JP5557493B2 - p−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子およびその製造方法 - Google Patents

p−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の結晶性を有するp−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子およびその製造方法に関する。
p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を微細な粒子として作製する際に、その結晶性について考慮した製造方法がいくつか提案されている。
特許文献1は、X線回折パターンにおける2θの28〜29度の範囲にある強度ピークの半値幅が0.600度以上0.800度以下にある赤色顔料と、所定の感光性樹脂成分とを含有する赤色カラーレジストインキを開示する。これにより、インクを用いてカラーフィルタを作製する際の、塗膜の高温暴露時の耐熱結晶析出性が向上するとされる。
特許文献2は、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角28±1°に半値幅が0.6°以上の回折ピークを少なくとも1つ示すp−ジクロロジケトピロロピロール顔料を適用したカラーフィルタを開示する。このカラーフィルタは、高いコントラストと良好な色相とを有し、しかも画像表示時の焼き付きによる表示不良の発生を抑えることが示されている。
特開2002−265840号公報 特開2008−139865号公報
確かに、上記特許文献に開示された技術を適用して結晶性の考慮されたp−ジクロロジケトピロロピロール顔料を用いることにより、カラーフィルタの製造や使用における「耐熱結晶析出性」や「焼き付きの防止性」といった熱的な影響に対して一定の効果がありうる。しかし、本発明者らの確認したところによれば、上記性能の良化を目的に例えば単に結晶性を高め結晶子サイズを大きくしたのでは、コントラストが低下してしまう。つまり、結晶子サイズの調節では耐熱性と高コントラスト化とは相反する特性となり、両者を高いレベルで満足することは困難であった。
本発明は、上述したようなカラーフィルタの色材として特に適した特定の顔料における問題点を解決し、さらにその他の諸特性を良化することを課題とする。すなわち、p−ジクロロジケトピロロピロール顔料の耐熱性を向上させるとともに、これを用いたカラーフィルタの高コントラスト化を実現し、しかも鮮やかな赤の色相を呈し、さらに高い経時安定性(カラーフィルタとして所定の期間使用しても褪色やコントラストの低下等劣化しない)を実現するp−ジクロロジケトピロロピロール顔料の微粒子およびその製造方法の提供を目的とする。
上記の課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を実質的にα型結晶変態とし、一方で結晶性については高めすぎず所定の結晶面方向における結晶子サイズを特定の値以下にすることで、かえってカラーフィルタとしたときに求められる上記特性のすべてを高いレベルでバランス良く満足することを見出した。本発明は上記の知見に基づきなされたものであり、すなわち上記の課題は以下の手段により解決された。
(1)p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を含有する微粒子であって、上記顔料におけるX線回折パターンより算出される(−1 5 1)面垂直方向の結晶子サイズが9nm以下であり、かつ「該」→「上記」置換(※要確認)顔料の下記で定義されるα型結晶化度が60%以上であるp−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子。
(1) ジクロロジケトピロール顔料に関して、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行う。測定は、日本工業規格JIS K03131(X線回折分析通則)に準じ、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行う。
(2) (1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。ここでバックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンの低角側のブラッグ角(2θ)=23.3°付近のすそと高角側のブラッグ角(2θ)=29.7°付近のすそとに接する直線を引き、この直線で表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作を行う。
(3) (2)で求められたバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、下記式によりα型結晶化度を算出する。
α型結晶化度=Iα/(Iα+Iβ)
ここで、Iαはα型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.1±0.3°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値、Iβはβ型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=27.0±0.3°付近の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値と定義する。
(2)ナノメートルサイズの微粒子であって、「該」→「上記」置換(※要確認)微粒子に分散剤と顔料誘導体との少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する(1)に記載の顔料微粒子。
(3)p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を良溶媒に溶解した溶液と、上記良溶媒と相溶する上記顔料の貧溶媒とを混合し、この混合液中で生成させた微粒子であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の顔料微粒子。
(4)上記良溶媒及び/又は貧溶媒に分散剤を含有させて上記両液を混合して、又はこれらとは別に良溶媒に分散剤を含有させた溶液を準備し上記両液とともに混合して生成させた、上記分散剤を埋包する微粒子であって、上記溶媒中に含有させた分散剤の少なくとも10質量%が微粒子に埋包されている()に記載の顔料微粒子。
(5)上記混合液中で生成させた微粒子を、有機溶剤と接触させることにより結晶化度を調整したことを特徴とする(3)または(4)に記載の顔料微粒子。
(6)平均粒径を100nm以下としたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
(7)単分散度を1.0〜2.0としたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
(8)上記顔料微粒子に埋包させる分散剤が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体もしくは共重合体である(2)〜(7)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
Figure 0005557493
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Jは−CO−、−COO−、−CONR−、−OCO−、フェニレン基、または−CCO−基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。Wは単結合、直鎖、分岐、もしくは環状のアルキレン基、又はアラルキレン基を表す。Pは複素環基を表す。)
(9)上記顔料微粒子に埋包させる分散剤の使用量が顔料100質量部に対して10〜300質量部の範囲であることを特徴とする(2)〜(8)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
(10)上記混合液中に顔料微粒子を生成させるに際し、上記混合液中に結晶成長抑制剤として顔料誘導体を共存させたことを特徴とする(3)〜(9)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
(11)上記分散剤が質量平均分子量1000以上の高分子分散剤である(2)〜(10)のいずれか1に記載の顔料微粒子。
(12)(1)〜(11)のいずれか1に記載のp−ジクロロジケトピロロピロールの顔料微粒子を含有することを特徴とする着色組成物。
(13)(12)に記載の着色組成物を用いて作成したことを特徴とするカラーフィルタ。
(14)少なくとも下記1)と2)または下記1)と3)の工程を含むことによりp−ジクロロジケトピロロピロール顔料の結晶子サイズおよび結晶化度を調整することを特徴とする、顔料微粒子の製造方法。
1)顔料を良溶媒に溶解した溶液と、上記良溶媒と相溶し上記顔料の貧溶媒とを混合し、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方の存在下、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する顔料微粒子を生成する
2)上記生成した顔料微粒子を湿式粉砕することにより下記で定義されるα型結晶化度を調整する
3)上記顔料微粒子に有機溶剤と接触させることにより下記で定義されるα型結晶化度を調整する
(1) ジクロロジケトピロール顔料に関して、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行う。測定は、日本工業規格JIS K03131(X線回折分析通則)に準じ、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行う。
(2) (1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。ここでバックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンの低角側のブラッグ角(2θ)=23.3°付近のすそと高角側のブラッグ角(2θ)=29.7°付近のすそとに接する直線を引き、この直線で表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作を行う。
(3) (2)で求められたバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、下記式によりα型結晶化度を算出する。
α型結晶化度=Iα/(Iα+Iβ)
ここで、Iαはα型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.1±0.3°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値、Iβはβ型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=27.0±0.3°付近の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値と定義する。
(15)上記良溶媒と貧溶媒との混合を、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方の存在下で行い、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する顔料微粒子を生成する(14)に記載の顔料微粒子の製造方法。
16)上記結晶化度を調整する有機溶剤が、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、有機塩基溶媒、これらと水との混合溶媒、またはこれらの混合溶媒である(14)または(15)に記載の顔料微粒子の製造方法。
本発明のp−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子は、カラーフィルタの色材として特に適し、高い耐熱性とともに、高コントラストを実現し、しかも鮮やかな赤の色相を呈し、高い経時安定性を実現するという優れた作用効果を奏する。
本発明の好ましい実施形態における顔料の微粒子を模式化して示す断面図である。 実施例得られた試料(顔料粉末)のX線スペクトルを示す図面である。 図1のX線スペクトルからバックグラウンドを除去した図面である。
以下に、本発明の好ましい実施態様について説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
本発明において、p−ジクロロジケトピロロピロール顔料(下記式(I)参照)は、X線回折パターンより算出される(−1 5 1)面垂直方向の結晶子サイズが9nm以下であり、同結晶子サイズが6以上であることが好ましく、7〜8.5nmであることがより好ましい。本発明において、X線回折パターンよりp−ジクロロジケトピロロピロール顔料の(−1 5 1)面垂直方向の結晶子サイズを求める方法は、特に断らない限り、下記実施例に示した条件及び手順による。該結晶子サイズを上記上限値以下とすることで一次粒子径が微小な粒子となり、これを分散することで高コントラスト分散液を調製することができる。他方、上記下限値以上とすることで、分散液、カラーレジストとした際の耐熱性を保持することができる。
Figure 0005557493
本発明において、上記p−ジクロロジケトピロロピロール顔料のα型結晶化度は60%以上であれば特に限定されないが、65〜82%が好ましく、70〜80%がより好ましい。α型結晶化度を上記上限値以下とすることで結晶成長を抑制し、カラーフィルタを高コントラストにすることができる。他方、上記下限値以上とすることでα型結晶の性質を発現することができ、所望の色を得ることができる。p−ジクロロジケトピロロピロール顔料の結晶変態については、たとえばα型結晶変態は特開昭58−210084号公報を参照することができる。β型結晶変態については特開平8−48908号公報を参照することができる。得られたジクロロジケトピロロピロール顔料の微粒子における結晶変態は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定によって確認することができ、本発明においては、そのα型結晶化度は実施例に記載の方法で決定される。
本発明のp−ジクロロジケトピロロピロール顔料は、上記特定の結晶子サイズと特定のα型結晶化度とを再沈法により得られた微粒子において規定することにより初めて、カラーフィルタとしたときに通常相反するものとして実現困難な「耐熱性」と「高コントラスト」とを実現し、さらに「赤の色相」及び「経時安定性」の良化をも実現した。その理由は定かではないが、再沈法で得られた微粒子は粒度分布がシャープであるために、α結晶化を進めてもオストワルド熟成の進行が小さく、単分散な微粒子のままα結晶化を促進できるからと考えている。
[α型結晶化工程]
(a)ビーズミルによる湿式粉砕
本発明の一実施態様においては、後述する再沈法により得た顔料微粒子を磨砕材により湿式粉砕することにより結晶化し、目的のα型結晶化度とすることが好ましい。具体的には、例えば水溶性無機塩類と湿潤剤、例えば有機溶剤と共に液状組成物として粉砕する工程である。本発明において磨砕材として用いられる材料としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等の水溶性無機塩類やジルコニアビーズ、チタニアビーズ等のセラミックビーズ、ガラスビーズ、スチールビーズ等が挙げられる。これら磨砕剤の使用量は、多い方が顔料の磨砕効果は高いが、通常は、粗製ジクロロジケトピロロピロール顔料に対して0.5〜50倍質量であることが好ましく、生産性、経済性の点から1〜20倍質量であることがより好ましい。
本発明で用いる湿潤剤としては、後述する結晶化溶媒と同様のものを用いることができる。中でも高沸点溶媒を用いることが好ましく、1−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
上述したような磨砕材による湿式粉砕については、例えば特開2008−24873号公報などを参考にしてもよい。
(b)有機溶剤との接触による結晶化
本発明の別の実施態様として、後述する再沈法により得た顔料微粒子を、有機溶剤と接触させることにより結晶化し、目的のα型結晶化度とすることが挙げられる。このとき、後述するように再沈法に用いる前記良溶媒及び/又は貧溶媒に分散剤を含有させて前記両液を混合して、又はこれらとは別に良溶媒に分散剤を含有させた溶液を準備し前記両液とともに混合して、前記溶媒中に含有させた分散剤の少なくとも10質量%を埋包させた顔料微粒子を用いることが好ましい。
結晶化溶媒としては、メタノールや1−ブタノール等のアルコール化合物溶媒、酢酸エチルや乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化合物溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、有機塩基溶媒が挙げられ、これらは単独もしくは水との混合溶媒、さらにこれらの混合溶媒を用いることができる。中でもアルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒であることが好ましく、メタノール、2−ブタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
本発明の着色組成物は上記特定の結晶子サイズとα型結晶化度とを有するp−ジクロロジケトピロロピロール顔料を含有する。p−ジクロロジケトピロロピロール顔料をナノメートルサイズの微粒子として含有することが好ましく、この濃度は特に限定されないが、2〜30質量%であることが好ましく、8〜16質量%であることがより好ましい。
[顔料微粒子]
微粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均等)などがある。本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。本発明において顔料微粒子(一次粒子)の平均粒径は100nm以下が好ましく、75nm以下がより好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。上記平均粒径の下限値は特に限定されないが、2nm以上であることが実際的である。顔料微粒子の平均粒径を上記上限値以下とすることで高コントラストのカラーフィルタを作製することができる。他方、上記下限値以上とすることで分散組成物を作製した際の粘度を低く抑えることができる。
粒子の均一性(単分散性)を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。本発明において顔料微粒子(一次粒子)の単分散性(本発明において、単分散性とは粒径が揃っている度合いをいう。)、つまりMv/Mnは1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。顔料微粒子の単分散性を上記上限値以下とすることでカラーフィルタを高コントラストにすることができ、またそれを作製するための顔料分散組成物を低粘度に保つことができる。
有機粒子の粒径の測定方法としては、顕微鏡法、質量法、光散乱法、光遮断法、電気抵抗法、音響法、動的光散乱法が挙げられ、顕微鏡法、動的光散乱法が特に好ましい。顕微鏡法に用いられる顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。動的光散乱法による粒子測定装置として、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150、大塚電子社製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000シリーズ(いずれも商品名)などが挙げられる。
[再沈法]
本発明においては、溶媒にp−ジクロロジケトピロロピロール顔料を溶解させた溶液を貧溶媒と接触させて、p−ジクロロジケトピロロピロール顔料の微粒子を生成させることが好ましい。このときp−ジクロロジケトピロロピロール顔料を溶解させる溶媒(良溶媒)と貧溶媒との相溶性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。良溶媒の貧溶媒に対する溶解量に特に上限はないが、任意の割合で混じり合うことが実際的である。
良溶媒としては、特に限定されないが、有機酸(例えば、ギ酸、ジクロロ酢酸、メタンスルホン酸等)、有機塩基(例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ナトリウムメトキシド等)、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホラン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、乳酸エチル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、オクタン等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、ハロゲン系溶媒(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン等)、イオン性液体(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等)、二硫化炭素溶
媒、またはこれらの混合物などが好適に挙げられる。
これらの中でも、有機酸、有機塩基、水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、またはこれらの混合物がより好ましく、有機酸、有機塩基、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、またはこれらの混合物が特に好ましい。
有機酸としては、例えばスルホン酸化合物、カルボン酸化合物、酸無水物化合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
上記のスルホン酸化合物としては、アルキルスルホン酸、ハロゲン化アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸などが挙げられ、アルキル鎖や芳香環は無置換であっても置換されていてもよい。
本発明に用いられるスルホン酸化合物としては、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、アミノベンゼンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸4水和物、などが挙げられる。
上記カルボン酸化合物としては、アルキルカルボン酸、ハロゲン化アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸などが挙げられ、アルキル鎖や芳香環は無置換であっても上記置換基Tで置換されていてもよい。カルボン酸化合物として、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、ジフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、フルオロ酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロジフルオロ酢酸、シアノ酢酸、フェノキシ酢酸、ジフェニル酢酸、チオ酢酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸、2,2−ジクロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモプロピオン酸、2−クロロ酪酸、3−クロロ酪酸、4−クロロ酪酸、イソ酪酸、2−ブロモイソ酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、ニトロ酢酸、ホスホノ酢酸、ピルビン酸、シュウ酸、プロパルギル酸、トリメチルアンモニウム酢酸、安息香酸、テトラフルオロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、2−フルオロ安息香酸、ギ酸ベンゾイル、ベンゾイル安息香酸、2−ジメチルアミノ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、ピコリン酸、クエン酸、システイン、スルファニル酸、スクアリン酸などがあげられる。
本発明においては、カルボン酸及びスルホン酸以外にも、酸無水物を上記酸をなすものとして用いることができ、具体的には、無水酢酸、プロピオン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、トリクロロ酢酸無水物などの酸無水物が挙げられる。また、これら以外の有機酸として、例えば、リン酸イソプロピルエステル、リン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸、エチレンジアミンテトラホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、メチレンジホスホン酸が挙げられる。
有機酸としては、中でも、アルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸、ハロゲン化アルキルカルボン酸、芳香族スルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、がより好ましい。
有機塩基の例としては、第1級アミン類、第2級アミン類、第3級アミン類、第4級アミン類、アニリン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類、含窒素複素環類、金属アルコキシド類等があげられるがこれらに限定されるものではない。これらの中でも、第3級アミン類、第4級アミン類、モルホリン類、含窒素複素環類、金属アルコキシド類等が好ましい。
具体的には、アニリン、2−クロロアニリン、3−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2−ニトロアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,4−ジメトキシアニリン、p−フェニレンジアミン、ピリジン、2−アミノピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、2,2−ジピリジル、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロオクタン、1−シアノグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、シクロヘキシルアミン、ブチルアミン、シクロプロピルアミン、t−ブチルアミン、ベンジルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラヒドロキノリン、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、モルホリン、チオモルホリン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチルホスホルアミド、1−メチル−4−ピペリドン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、ソジウムメトキシド、ソジウムエトキシド、ソジウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどが挙げられる。
これらの中でも、アニリン、2,4−ジフルオロアニリン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロオクタン、トリエチルアミン、テトラヒドロキノリン、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルモルホリン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、ソジウムメトキシド、ソジウムエトキシド、ソジウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドが好ましく、2,4−ジフルオロアニリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、テトラヒドロキノリン、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルモルホリン、ソジウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシドがより好ましい。
スルホキシド系溶媒としては、より具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。
アミド系溶媒としては、より具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
顔料微粒子を析出させるときの調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
顔料を、良溶媒中に均一に溶解するとき、一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられることが好ましい。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合化合物顔料は、アルカリ性で、フタロシアニン化合物顔料は酸性で溶解することができる。
アルカリ性で溶解するときに用いられる塩基として、前記有機塩基以外に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの無機塩基を用いることも可能である。使用する塩基の量は特に限定されないが、無機塩基の場合、顔料に対して1.0〜30モル当量であることが好ましく、1.0〜25モル当量であることがより好ましく、1.0〜20モル当量であることが特に好ましい。有機塩基の場合、顔料に対して1.0〜100モル当量であることが好ましく、5.0〜100モル当量であることがより好ましく、20〜100モル当量であることが特に好ましい。
酸性で溶解するときに用いられる酸として、前記有機酸以外に、硫酸、塩酸、燐酸などの無機酸を用いることも可能である。使用する酸の量は特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多く、顔料に対して3〜500モル当量であることが好ましく、10〜500モル当量であることがより好ましく、30〜200モル当量であることが特に好ましい。
無機塩基または無機酸を有機溶媒と混合して、顔料の良溶媒として用いる際は、アルカリまたは酸を完全に溶解させるため、若干の水や低級アルコールなどのアルカリまたは酸に対して高い溶解度をもつ溶剤を、有機溶媒に添加することができる。水や低級アルコールの量は、顔料溶液全量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコールなどを用いることができる。
顔料溶液の粘度は0.5〜100.0mPa・sであることが好ましく1.0〜50.0mPa・sであることがより好ましい。
顔料溶液は、良溶媒に上記顔料と必要により他の成分を含んでいても構わない。
他の成分としては、特に限定されないが、酸(酸性基を有する有機化合物など)、塩基(塩基性を有する有機化合物など)が好適に挙げられる。なかでも本発明においては、塩基の存在化でジクロロジケトピロロピロール顔料を溶解することが好ましく、該塩基が有機塩基であることがより好ましい。
本発明においては、有機塩基(塩基性基を有する有機化合物)としては、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体などが挙げられ、好ましくはアルキルアミン、アリールアミン、イミダゾール誘導体が挙げられる。なかでも、アルキルアミン、イミダゾール誘導体が好ましい。
前記塩基性基を有する有機化合物の炭素数としては、6以上が好ましく、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上である。前記塩基性基を有する有機化合物において、アルキルアミンとしては、例えば、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−ヘチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、1−メチルブチルアミン、1−エチルブチルアミン、t−アミルアミン、3−アミノヘプタン、t−オクチルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジブチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メイルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシル−1−オクタデシルアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルー1,6−ヘキサンジアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’、N’ ’−ペンタメチルジエチレントリアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロドデシルアミン、1−アダマンダンアミンなどが挙げられ、好ましくはオクチルアミン、2−ヘチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン、t−オクチルアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ジオクチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メイルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシル−1−オクタデシルアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルー1,6−ヘキサンジアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’、N’ ’−ペンタメチルジエチレントリアミン、シクロドデシルアミン、1−アダマンダンアミンなどが挙げられ、さらに好ましくは、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジデシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミンなどが挙げられる。またポリアリルアミン、ポリビニルアミンなどの塩基性基を有する有機高分子化合物も好適である。
アリールアミンとしては、例えば、N,N−ジブチルアニリン、4−ブチルアニリン、4−ペンチルアミン、4−ヘキシルアミン、4−ヘプチルアニリン、4−オクチルアニリン、4−デシルアニリン、4−ドデシルアニリン、4−テトラデシルアニリン、4−ヘキサデシルアニリン、4−ブトキシアニリン、4−ペンチルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリンなどが挙げられるが、好ましくは4−オクチルアニリン、4−デシルアニリン、4−ドデシルアニリン、4−テトラデシルアニリン、4−ヘキサデシルアニリン、4−ペンチルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリンなどが挙げられ、さらに好ましくは、4−デシルアニリン、4−ドデシルアニリン、4−テトラデシルアニリン、4−ヘキサデシルアニリン、4−ペンチルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリンなどが挙げられる。
イミダゾール誘導体としては、例えば、1−(10−ヒドロキシデシル)イミダゾール、1−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどが挙げられる。
前記塩基性基を有する有機化合物としては、顔料に対し0.01〜30質量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、0.05〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
貧溶媒は特に限定されないが、貧溶媒に対するp−ジクロロジケトピロロピロール顔料の溶解度は、0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。該顔料の貧溶媒への溶解度にとくに下限はないが、通常用いられるものを考慮すると0.0001質量%以上が実際的である。
貧溶媒としては、特に限定されないが、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホラン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、乳酸エチル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、オクタン等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、ハロゲン系溶媒(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン等)、イオン性液体(例えば、1−エチル−3
−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等)、二硫化炭素溶媒、またはこれらの混合物などが好適に挙げられる。
これらの中でも、水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、またはこれらの混合物がより好ましく、水性媒体、アルコール系溶媒、またはこれらの混合物が特に好ましい。
水性媒体とは、水単独または水と水に可溶な有機溶媒や無機塩の溶解液をいう、例えば、水、有機化合物水溶液、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。
良溶媒の具体例として列挙したものと貧溶媒として列挙したものとで共通するものもあるが、良溶媒及び貧溶媒として同じものを組み合わせることはなく、前記顔料との関係で良溶媒に対する溶解度が貧溶媒に対する溶解度より十分高ければよく、顔料に関しては、例えば、その溶解度差が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。良溶媒と貧溶媒に対する溶解度の差に特に上限はないが、通常用いられる顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。
貧溶媒の状態は特に限定されず、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。顔料溶液の粘度は0.5〜100.0mPa・sであることが好ましく1.0〜50.0mPa・sであることがより好ましい。
顔料溶液と貧溶媒とを混合する際、両者のどちらを添加して混合してもよいが、顔料溶液を貧溶媒に噴流して混合することが好ましく、その際に貧溶媒が撹拌された状態であることが好ましい。撹拌速度は100〜10000rpmが好ましく150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。添加にはポンプ等を用いることもできるし、用いなくてもよい。また、液中添加でも液外添加でもよいが、液中添加がより好ましい。さらに供給管を介してポンプで液中に連続供給することが好ましい。供給管の内径は0.1〜200mmが好ましく0.2〜100mmがより好ましい。供給管から液中に供給される速度としては1〜10000ml/minが好ましく、5〜5000ml/minがより好ましい。
顔料溶液と貧溶媒との混合に当り、レイノルズ数を調節することにより、析出生成させる顔料ナノ粒子の粒子径を制御することができる。ここでレイノルズ数は流体の流れの状態を表す無次元数であり次式で表される。
Re=ρUL/μ ・・・ 数式(1)
数式(1)中、Reはレイノルズ数を表し、ρは顔料溶液の密度[kg/m]を表し、Uは顔料溶液と貧溶媒とが出会う時の相対速度[m/s]を表し、Lは顔料溶液と貧溶媒とが出会う部分の流路もしくは供給口の等価直径[m]を表し、μは顔料溶液の粘性係数[Pa・s]を表す。
等価直径Lとは、任意断面形状の配管の開口径や流路に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径をいう。等価直径Lは、配管の断面積をA、配管のぬれぶち長さ(周長)または流路の外周をpとすると下記数式(2)で表される。
L=4A/p ・・・ 数式(2)
配管を通じて顔料溶液を貧溶媒に注入して粒子を形成することが好ましく、配管に円管を用いた場合には等価直径は円管の直径と一致する。例えば、液体供給口の開口径を変化させて等価直径を調節することができる。等価直径Lの値は特に限定されないが、例えば、上述した供給口の好ましい内径と同義である。
顔料溶液と貧溶媒とが出会う時の相対速度Uは、両者が出会う部分の面に対して垂直方向の相対速度で定義される。すなわち、例えば静止している貧溶媒中に顔料溶液を注入して混合する場合は、供給口から注入する速度が相対速度Uに等しくなる。相対速度Uの値は特に限定されないが、例えば、0.5〜100m/sとすることが好ましく、1.0〜50m/sとすることがより好ましい。
顔料溶液の密度ρは、選択される材料の種類により定められる値であるが、例えば、0.8〜2.0kg/mであることが実際的である。また、顔料溶液の粘性係数μについても用いられる材料や環境温度等により定められる値であるが、その好ましい範囲は、上述した顔料溶液の好ましい粘度と同義である。
レイノルズ数(Re)の値は、小さいほど層流を形成しやすく、大きいほど乱流を形成しやすい。例えば、レイノルズ数を60以上で調節して顔料ナノ粒子の粒子径を制御して得ることができ、100以上とすることが好ましく、150以上とすることがより好ましい。レイノズル数に特に上限はないが、例えば、100000以下の範囲で調節して制御することで良好な顔料ナノ粒子を制御して得ることができ好ましい。あるいは、得られるナノ粒子の平均粒径が60nm以下となるようにレイノルズ数を高めた条件としてもよい。このとき、上記の範囲内においては、通常レイノルズ数を高めることで、より粒径の小さな顔料ナノ粒子を制御して得ることができる。
顔料溶液と貧溶媒との混合比は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。有機微粒子を析出させた場合の液中の粒子濃度は特に制限されないが、溶媒1000mlに対して有機粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。また、微粒子を生成させる際の調製スケールは、特に限定されないが、貧溶媒の混合量が10〜2000Lの調製スケールであることが好ましく、50〜1000Lの調製スケールであることがより好ましい。
[分散剤の埋包]
本発明のp−ジクロロジケトピロロピロール顔料が微粒子であるとき、そこに分散剤を埋包することが好ましい。ここで埋包とは、分散剤の分子の一部もしくは全部が微粒子内に取り込まれた状態をいう。例えば図1に基づいていうと、分散剤の全部が取り込まれた状態とは添加した分散剤の分子全体が微粒子10内に内包された状態であり(内在埋包分散剤2b参照)、一部取り込まれた状態とは添加した分散剤の一部分または官能基が粒子内に内包されその残部粒子外方に延在する状態であり(外在埋包分散剤2a参照)、埋包というときにはこの両者を含む。
本発明の微粒子は、模式化していえば図1に示したような顔料1を連続相として分散相となる特定の分散剤2を埋包するものとして説明することができるが、その他の成分を取り込んでまたは付着するなどして有していてもよい。このとき、埋包された分散剤2として、その分子全体が内包された内在埋包分散剤2bとその一部が外方に延在する外在埋包分散剤2aとが示されている。この外在埋包分散剤2aの外方延在部2oは内在部2iと連続しており、該外方延在部2oに立体反発性の部位を有し、他方、内在部2iに水不溶性色材と引き合う相互作用を示す部位を有することが好ましい。そのような埋包状態となる分散剤の好ましい分子構造及びその設計の実施態様は先に述べたとおりである。
本発明の微粒子における結晶化の状態を模式的に示すと、図1に示した微粒子10のように、結晶の連続相を構成する顔料1において、結晶化された部分(α型結晶化部)1bと結晶化されていない部分(非α型結晶化部)1aとが混在した状態といえる。このとき、α型結晶化部1bは図示したもののように部分的に複数箇所で存在していても、一箇所にまとまって存在していてもよい。結晶化部1bの形状は特に限定されず、言うまでもないが図示したもののように断面において円形である必要はない。ここで非α型結晶化部はα型結晶変態ではない部分であり、アモルファス状態であったり、β型結晶変態であったりしてもよい。
本発明の微粒子は、良溶媒もしくは貧溶媒の少なくとも一方に特定の分散剤を共存させ、これとともに又は別に顔料を良溶媒に溶解し、上記良溶媒側の液と貧溶媒がわの液とを混合し、分散剤が粒子に埋包されたビルドアップ微粒子であることが好ましい。前記分散剤は、質量平均分子量が1000以上の高分子分散剤が好ましく、さらに後述するような特定の構造部位を有する高分子分散剤がより好ましい。本発明において、分子量というとき特に断らない限り質量平均分子量を意味し、分子量及び分散度は下記の測定方法で測定した値をいう。
[分子量・分散度の測定方法]
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定する。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられるが、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。
以下に分子量測定の具体的な条件を示す。
装置:HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
検出器:示差屈折計(RI検出器)
プレカラム:TSKGUARDCOLUMN MP(XL)
6mm×40mm(東ソー(株)製)
サンプル側カラム:以下の2本を直結(全て東ソー(株)製)
・TSK-GEL Multipore-HXL-M 7.8mm×300mm
リファレンス側カラム:サンプル側カラムに同じ
恒温槽温度:40℃
移動層:テトラヒドロフラン
サンプル側移動層流量:1.0mL/分
リファレンス側移動層流量:0.3mL/分
試料濃度:0.1重量%
試料注入量:100μL
データ採取時間:試料注入後16分〜46分
サンプリングピッチ:300msec
本発明の顔料の微粒子は上記分散剤の共存下で生成させたものであることが好ましく、良溶媒に前記顔料を溶解した溶液と貧溶媒とを混合するにつき、(i)良溶媒側及び/又は貧溶媒側に前記分散剤を含有させて混合して、又は(ii)これらとは別に良溶媒に前記分散剤を溶解した溶液を準備し前記両液とともに混合して、生成させた前記分散剤を埋包するビルドアップ微粒子であることが好ましい。
良溶媒に対する埋包分散剤の溶解度は4.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましい。この溶解度に特に上限はないが、通常用いられる高分子化合物を考慮すると70質量%以下であることが実際的である。貧溶媒に対する埋包分散剤の溶解度は0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、粒子内部に一部又は全部取り込まれた分散剤は、従来のように粒子表面に例えば単に物理吸着しているのではなく、粒子内に固定化され不可逆的に取り込まれているため、微粒子が破壊されたり溶解されたりしないかぎり通常は分散媒体および/または組成物溶媒中で遊離や脱離がおきないという特徴を有する。そのため、分散剤が埋包された微粒子は、粒子同士の凝集が抑えられるという分散効果の持続性が高く、分散剤の使用量が少なくても、分散安定性がきわめて高い。このような分散剤を埋包した微粒子の特性は例えば、分散剤が溶解する溶媒で洗浄を繰り返しても分散剤が脱離しない、この量を測定することで確認することができる。
分散剤を粒子に効率的に埋包させる方法は特に限定されないが、例えば特定の分散剤を選択して用いるか、あるいは、流路混合法などのプロセス条件を調節するなどして行うことができる。以下に、分散剤を粒子に埋包させる好ましい実施態様について詳細に説明する。
通常の再沈法で分散剤を粒子に埋包させるためには、特定の分散剤を用いるのが好ましい。このとき、全ての分散剤分子が粒子に内包され、分散に必要な官能基までもがすべて粒子に内包されてしまうと、分散剤の分散性付与の役割を十分に果たせないことがある。そのため、上記分散に必要な官能基のすべてが粒子に内包されないようにすることが好ましい。分散剤を微粒子に適度に内包させ、分散安定性を付与するためには、下記の要件を満足する分散剤を用いることが好ましい。すなわち、
(1)分散剤を溶解しうる媒体が、組み合わせて用いられる顔料が溶解しうる媒体と相溶性がある関係にあること、
(2)分散剤が、質量平均分子量が1000以上の高分子分散剤であること、
(3)分散剤が、貧溶媒との混合により析出するが、その析出速度は顔料の析出より遅いものであること、
(4)分散剤が、顔料と相互作用性を有する官能基を少なくとも1つ含有すること、
の要件を達成することにより、上記分散剤を粒子に効率的かつ適度に内包させることができ好ましい。
本発明に用いられる上記埋包させる分散剤は、顔料を溶解させる良溶媒、これとは別に用意した良溶媒、又は、貧溶媒に溶解させて用いることが好ましい。上記分散剤の溶解及び混合の好ましい実施態様としては以下の方法が挙げられる。
(1)分散剤を顔料とともに良溶媒に共溶解させて、貧溶媒と接触させ、析出させる方法
(2)顔料溶解液と分散剤溶解液とを別々に作成しておき、貧溶媒と接触させ、析出させる方法
(3)顔料溶解液と貧溶媒とにそれぞれ分散剤を溶解した液どうしを接触させ、析出させる方法、などが挙げられる。
本発明の微粒子は、これらのいずれの方法で作製してもよいが、分散剤溶解溶液が顔料の溶解溶液と相溶性があることが好ましい。分散剤溶解液と顔料の溶解液が相溶しないと、貧溶媒との混合により、十分に分散剤が粒子内に取り込ませることができないことがある。上記の方法の中では、上記(1)(2)の方法が特に好ましく用いられる。
本発明において、分散剤を粒子内に取り込ませるためには、分散剤の質量平均分子量が1000以上の高分子分散剤であることが好ましく、さらに好ましくは3000以上30万以下、特に好ましいのは5000以上10万以下である。分散剤の分子量が低すぎると分散剤の粒子内取り込みの割合が低下することがあり、多すぎると分散剤の凝集が大きくなり、再分散性が悪化することがある。分散剤の分散度は、狭い、すなわち、単分散性のものが好ましく用いられる。分散剤の分散度は、数平均分子量と質量平均分子量の比で表され、分散度が1.0〜5.0の範囲の分散剤が好ましく、特に好ましくは1.0〜4.0の範囲のものが用いられる。
本発明で用いられる微粒子内に埋包させる分散剤(以下、これを単なる分散剤と区別して「埋包分散剤」ということがある。)は、あらかじめ良溶媒に溶解し、これを貧溶媒と混合することで析出するものが好ましい。このとき同様に顔料も良溶媒に溶解され、これを貧溶媒と接触させることで析出し微粒子となる性質を有するものであることが好ましい。このような微粒子形成における分子の析出挙動において、分散剤の析出速度が、顔料の析出速度よりも大幅に高い(早い)場合、分散剤が十分に粒子に取り込まれる前に分散剤が析出してしまう。そのため、分散剤が粒子に取り込まれにくい。分散剤を粒子に十分に取り込まれるためには、顔料の析出速度よりも、分散剤の析出速度が遅いことが好ましい。そして、必要によりこのように埋包分散剤の析出速度を調節することで、微粒子内に該分散剤を取り込ませる状態を制御することができる。このように共晶を形成するように析出させる観点から、埋包分散剤の析出速度は、顔料よりも遅いことが好ましく、その好適な速度は、顔料の種類、顔料と分散剤の親和性、顔料の析出速度、分散剤の構造、良溶媒と貧溶媒の溶媒親和性等に依存し、顔料と分散剤との析出速度比を、各粒子形成条件に基づき定めることが好ましい。
次に、埋包分散剤を粒子に取り込ませ、さらに分散媒体や組成物媒体中で、埋包された分散剤が遊離しないための好ましい分散剤の構造及びその作用について説明する。
埋包分散剤を粒子に適度に埋包させるためには、該分散剤と顔料とが混合工程を経て析出される段階で、両者が引き合う相互作用を示すように埋包分散剤の化学構造を設計することが好ましい。本発明では、溶媒に溶解した状態で埋包分散剤と顔料とを混合させることが好ましいが、このとき該分散剤と顔料との上記相互作用が小さいと、分散剤の粒子内への取り込み率が小さくなりすぎたり、埋包された分散剤が、分散媒体や組成物媒体中で遊離しやすくなったり、分散安定性が悪化したりすることがある。そのため、顔料と強く引き合い相互作用する構造部位を有する埋包分散剤を用いることが好ましく、この相互作用を強くして分散剤を粒子にしっかりと固定化することが好ましい。
本発明の微粒子においては、微粒子形成時に系内に投入された埋包分散剤の10質量%以上が埋包されたものであることが好ましい。すなわち、添加した埋包分散剤の質量(A)に対して、粒子に取り込まれて埋包された該分散剤の質量(B)の割合の百分率((B)/(A)×100)(以下、この率を「分散剤取込率」ということがある。)が10質量%以上であることが好ましい。上記分散剤取込率が小さすぎると、初期の分散性や分散安定性が十分でないことがある。さらに、上記分散剤取込率((B)/(A))は20質量%以上がより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。分散剤取込率の上限は特にないが計算上の上限が100質量%であり、98%以下であることが実際的である。本発明において、上記分散剤取込率は、特に断らない限り、以下の実施例に記載の方法に従って計算するものとする。
上記の取り込まれた埋包分散剤の量を微粒子の該分散剤以外の成分の質量に対する比率、つまり微粒子を分散相をなす埋包分散剤と顔料等がなす連続相とかなるとしてみたときその微粒子の連続相の質量(Y)に対して、上記分散相をなす埋包分散剤の質量(X)の比率の百分率((X)/(Y)×100)(以下、この比率を「分散剤埋包率」ということがある。)としていうと、5〜200質量%であり、8〜160質量%であることがより好ましい。この「分散剤埋包率」の測定および算出は、特に断らない限り、以下の実施例に記載の方法に従って行うものとする。
上記埋包分散剤ないしその構造部位として好ましい顔料と引き合う相互作用とは、分子の間又はその構造部位同士の吸着性ないしは親和性における相互作用を意味し、具体的には水素結合相互作用、π−π相互作用、イオン間相互作用、双極子相互作用、ロンドン分散力(ファンデルワールス力)、電荷移動相互作用がある。そのほかに、熱力学的要因に基づく疎水相互作用などが挙げられる。上記分散剤ないしその構造部位と顔料とが互いに引き合う相互作用として、上記のいずれの相互作用を利用してもよく限定はされないが、特に、水素結合相互作用、π−π相互作用、イオン間相互作用であることが有効である。したがって、埋包分散剤の部分構造として、上記の相互作用を強く示す部位を導入することが好ましく、これにより該分散剤が粒子内に取り込まれ適度に埋包された状態にしやすくなる。
以下に、水素結合相互作用、π−π相互作用、イオン間相互作用の実施態様を例に挙げ、これらの相互作用性を付与するための分散剤の分子構造及びその設計について述べる。
水素結合相互作用は、フッ素や酸素や窒素など電気陰性度の高い原子に水素が共有結合している分子において起こり、この場合、極性分子が生じる。このとき水素原子は1よりも小さな正電荷に帯電し、その結果、付近の別の分子に含まれる酸素など負に帯電した原子吸着しようとすると相互作用を起こす。この結果、2つの分子を結びつける安定した結合が生じる。例えば、顔料と水素結合を介して上記相互作用を生じやすい官能基を有する分散剤を用いると、分散剤の微粒子内への取り込み率を高めることができる。
π−π相互作用とは、有機化合物分子の芳香環の間に働く分散力であり、スタッキング相互作用とも呼ばれる。例えば、芳香族化合物は堅固な平面構造をとり、π電子系により非局在化した電子が豊富に存在する為、とくにロンドン分散力が強く発現する。したがって、π電子が増えるほど互いに引き合う力が強くなる。例えば、顔料とπ−π相互作用しやすい官能基を有する分散剤を用いると、分散剤の微粒子内への取り込み率を高めることができる。
イオン間相互作用とは、帯電したイオンの間で生じる相互作用である。例えば、異なる電荷は引き合うため、分散媒体中で、分散剤が、水不溶性対象物質と異なる電荷を持つように分子設計すれば、分散剤と顔料とが引き合う相互作用が強まり、分散剤の微粒子内への取込み率を高めることができる。
本発明では、埋包分散剤と顔料とが、上記の複数の相互作用を示すように分子設計したものを用いることが好ましい。該分散剤の好ましい分子構造は、対象とする顔料の種類により異なるが、例えば、顔料が有機顔料である場合、水素結合性相互作用を付与するためには、ヘテロ環状部位を有する高分子化合物を好ましく用いることができ、特に含窒素ヘテロ環状部位を有する高分子化合物が好ましい。さらには、π−π相互作用性や疎水相互作用を付与するために、芳香環を部分構造として有する分散剤が好ましい。また、同一分子骨格にヘテロ環と芳香環を同時に有するものが特に好ましい。
本発明で用いられる好ましい分散剤のヘテロ環状部分構造の具体例としては、以下に挙げる部位(I−1)から(I−29)およびフタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系などの有機色素構造が挙げられるが、本発明では特にこれらに限定されることはない。これらの部位を有するユニットは、高分子化合物を構成するユニット全体の1.0〜99.0モル%であることが好ましく、3.0〜95.0モル%であることがより好ましく、5.0〜90.0モル%の範囲で導入されることが特に好ましい。
Figure 0005557493
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また、本発明に用いられる分散剤
には、イオン間相互作用を目的として、以下に挙げる部位(II−1)から(II−4)を有する分散剤を用いることもできるが、特にこれらに限定されることはない。これらの部位を有するユニットは、高分子化合物を構成するユニット全体の1.0〜99.0モル%であることが好ましく、3.0〜95.0モル%であることがより好ましく、5.0〜90.0モル%の範囲で導入されることが特に好ましい。
Figure 0005557493
上記埋包分散剤は、上述の相互作用基を部分構造に有する高分子化合物が好ましいが、さらに有機溶剤系媒体(例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、またはこれらの混合物などが好適に挙げられるが、なかでも、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、またはこれらの混合物などがより好ましい。
ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセルソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。また沸点が180℃〜250℃である溶剤を必要によって使用することができる。有機溶媒の含有量は、光硬化性組成物全量に対して10〜95質量%が好ましい。)、もしくは反応性希釈剤(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン等の重合性化合物。)などの分散媒体に親和性が高い部分構造も有してことが好ましい。立体反発性の部位が分散媒体に親和性があることにより、埋包分散剤の粒子外に出ている部分(図1中 2o部位)によって、分散媒体中で分散性を付与するとができる。
前記、分散媒体との親和性部位としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい例として挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルおよびフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
本発明に用いられる埋包分散剤は、上記のとおり、芳香環と含窒素環状炭化水素基及び/又は4級アンモニウム基とからなる前記顔料と引き合う相互作用を示す構造部分を有する高分子分散剤であることが好ましい。このとき芳香環と含窒素環状炭化水素基及び/又は4級アンモニウム基とが同じ構造部位にあることが好ましく、これらが互いに連結して環をなしていてもよい。
本発明で用いられる分散剤は、上述の顔料と引き合う相互作用基の他に、各種の官能基を導入することができる。官能基の例として、分散媒体や組成物の媒体種、もしくは、組成物の用途に応じて、疎水基、酸基、塩基性基、架橋基、光重合性基、熱重合性基、等を導入することができる。これらの官能基を有するユニットは、高分子化合物を構成するユニット全体の95モル%以下であることが好ましく、90.0モル%以下であることがより好ましく、85モル%以下の範囲で導入されることが特に好ましい。なお、上記埋包分散剤は非水溶性の高分子化合物であることが好ましい。該高分子化合物が水溶性であると、水を主成分とする貧溶媒と接触させた際に、微粒子内に分散剤が取り込まれにくくなることがある。
前記酸性基として、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を有するモノマーと無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマー等を挙げることができる。また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)等が挙げられる。
塩基性基としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、その(メタ)アクリルアミド類としては、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられる。
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、および以下の構造のモノマーを挙げることができる。
前記その他官能基としては、これらの中でも特に炭素数4以上の炭化水素基を有するビニルモノマーの重合体、もしくは共重合体であることがより好ましく、さらに炭素数6以上24以下の炭化水素基を有するモノマーの重合体、もしくは共重合体であることが特に好ましい。
更に、イオン性官能基を含有するモノマーを利用することができる。イオン性ビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)のなかで、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子):塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
本発明の微粒子は、インクジェット記録インク用の着色剤としても用いることができる。この場合、分散媒体及び/または組成物媒体の主成分は水系溶媒(例えば、水および水/水溶性有機溶媒混合液。水溶性有機溶媒の例として、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
乾燥防止剤や湿潤剤の目的としては,多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい)である場合には、静電反発作用により微粒子間の凝集を抑制することが可能であり、前記酸性基、塩基性基、イオン性官能基を導入することにより水系媒体中で分散が可能となる。
前記相互作用基、立体反発性分散基、各種の官能基を有する埋包分散剤の重合形態としては、特に限定されないが、前記相互作用基を有するユニット、立体反発性分散基を有するユニット、各種の官能基を有するユニットの各ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体(例えば、メタクリル酸アルキルの単独重合体、スチレン類の単独重合体、メタクリル酸アルキル/スチレン類の共重合体、ポリビニルブチラールなど)、エステル系ポリマー(例えば、ポリカプロラクトンなど)、エーテル系ポリマー(例えば、ポリテトラメチレンオキシドなど)、ウレタン系ポリマー(例えば、テトラメチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリウレタンなど)、アミド系ポリマー(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66など)、シリコーン系ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサンなど)、カーボネート系ポリマー(例えば、ビスフェノールAとホスゲンから合成されるポリカーボネートなど)などが挙げられる。
前記高分子化合物としては、これらの中でも特に、各ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマーおよびこれらの変性物もしくは共重合体が好ましい。溶媒への溶解性調整、コスト、合成的な容易さ等の観点から、前記高分子化合物としては、各ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が最も好ましい。
各ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体の製造には、例えばラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でビニルモノマーの重合体もしくは共重合体を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
上記埋包分散剤として用いられる高分子分散剤は、どのような結合形態を取っているものでも、使用することができる。具体的には、ランダム(共)重合体、ブロック(共)重合体、グラフト(共)重合体のいずれの(共)重合体も用いることができるが、特に、ブロック(共)重合体、グラフト(共)重合体が好ましい。
上記の埋包分散剤としては下記の高分子化合物を用いることもまた好ましい。
前記高分子化合物としては、特に限定されないが、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体(例えば、メタクリル酸アルキルの単独重合体、スチレン類の単独重合体、メタクリル酸アルキル/スチレン類の共重合体、ポリビニルブチラールなど)、エステル系ポリマー(例えば、ポリカプロラクトンなど)、エーテル系ポリマー(例えば、ポリテトラメチレンオキシドなど)、ウレタン系ポリマー(例えば、テトラメチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリウレタンなど)、アミド系ポリマー(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66など)、シリコーン系ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサンなど)、カーボネート系ポリマー(例えば、ビスフェノールAとホスゲンから合成されるポリカーボネートなど)などが挙げられる。
前記高分子化合物としては、これらの中でも特に、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマーおよびこれらの変性物もしくは共重合体が好ましい。溶媒への溶解性調整、コスト、合成的な容易さ等の観点から、前記高分子化合物としては、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
前記ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい例として挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルおよびフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
前記高分子化合物は、これらの中でも特に炭素数4以上の炭化水素基を有するビニルモノマーの重合体、もしくは共重合体であることがより好ましく、さらに炭素数6以上24以下の炭化水素基を有するモノマーの重合体、もしくは共重合体であることが特に好ましい。例として、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸アダマンチルが挙げられる。
また上記以外にも、前記ビニルモノマーとして、酸性基を有するビニルモノマー、塩基性基を有するビニルモノマーなども好ましい例として挙げられる。
前記酸性基を有するビニルモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を有するモノマーと無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマー等を挙げることができる。また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)等が挙げられる。
塩基性窒素原子を有するビニルモノマーとして、その(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、その(メタ)アクリルアミド類としては、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられる。
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
Figure 0005557493
更に、イオン性官能基を含有するモノマーを利用することができる。イオン性ビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)のなかで、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子):塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
前記高分子化合物は、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーであることが好ましい。有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系の色素構造や、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等の複素環構造を有するモノマーを挙げることができる。
これら有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーの中でも、より具体的には、前記高分子化合物が、一般式(1)であらわされることを特徴とするモノマーの重合体もしくは共重合体であることが好ましい。なお、本発明において高分子化合物を繰返し単位構造式で表すとき、末端基は任意の原子もしくは任意の基であればよく、例えば単に水素原子、重合停止剤残基等であてもよい。
Figure 0005557493
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Jは−CO−、−COO−、−CONR−、−OCO−、フェニレン基、または−CCO−基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。Wは単結合、直鎖、分岐、もしくは環状のアルキレン基、又はアラルキレン基を表す。Pは複素環基を表す。
式(1)中、Jとしては−CO−、フェニレン基、ベンゾイル基が好ましい。Rは水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基など)、アリール基(例えばフェニル基)を表し、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。
前記Wで表されるアルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基等が挙げられ、中でもメチレン基、エチレン基、又はプロピレン基が好ましい。前記Wで表されるアラルキレン基としては、炭素数7〜13のアラルキレン基が好ましく、例えば、ベンジリデン基、シンナミリデン基等が挙げられる。前記Wで表されるアリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、クメニレン基、メシチレン基、トリレン基、キシリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基は特に好ましい。
また、Wで表される直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基、アラルキレン基中には、−NR32−、−NR3233−、−COO−、−OCO−、−O−、−SONH−、−NHSO−、−NHCOO−、−OCONH−、又は複素環から誘導される基、が結合基として介在されていてもよい。前記R32、R33は、それぞれ独立に水素又はアルキル基を表し、水素、メチル基、エチル基、プロピル基等が好適に挙げられる。
前記Wで表される連結基の中でも、単結合、又はアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、又は2−ヒドロキシプロピレン基がより好ましい。
式(1)中、Pは複素環基を表すが、中でも有機顔料を構成する複素環残基が好ましく、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系、キノフタロン系顔料を形成するヘテロ環残基があげられる。該複素環残基としてはチオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、バルビツール、チオバルビツール、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、キナクリドン、アントラキノン、フタルイミド、キナルジン、キノフタロンが挙げられ、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、キナクリドン、アントラキノン、フタルイミド、キナルジン、キノフタロン等が好ましく、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、バルビツール、チオバルビツール、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン、およびフタルイミドが特に好ましい。これらの複素環残基は使用する顔料の構造又は電子的な性質を鑑みて適宜選択され得る。
一般式(1)で表される繰返し単位は、中でも一般式(2)、(3)で表されるものが好ましい。
Figure 0005557493
は水素原子またはメチル基を表す。Yは−NH−、−O−、または−S−をあらわす。Wは単結合または二価の連結基を表し、単結合、直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基、またはアラルキレン基であることが好ましい。Pは複素環基をあらわす。上記式中、Wの好ましい範囲は、一般式(1)中のWと同じである。上記式中Pは、一般式(1)中のPと同じである。
式(1)、(2)、及び(3)で表される構造として好ましい具体例を以下に挙げる。尚、本発明はこれに限るものではない。
Figure 0005557493
Figure 0005557493
上記例示したものとともに、前記一般式(1)、(2)、及び(3)で表される繰返し単位中のPが、下記一般式(4)またはその互変異性体構造で表されることもまた好ましい。
Figure 0005557493
は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、またはアゾ基を表す。
ここで互変異性について説明する。互変異性とは異性体同士の可逆的相互変換であり、主にプロトン転位で、水素原子が相互に転位する現象である。また互変異性体とは、相互変換可能な構造異性体同士が、互いに変換する異性化の速度が速く、どちらの異性体も共存する平衡状態に達しうるものをさす。一般にみられる例としては、単結合と二重結合との変換を伴う、水素原子つまりプロトンの転位反応によって起こる。異性化の速度や平衡比は温度やpH、液相か固相か、また溶液の場合には溶媒の種類によっても変化する。平衡に達するのが数時間から数日の場合でも互変異性と呼ぶことが多い。
本発明においては、高分子化合物中で上記互変異性を示す化学構造(部)を互変異性体構造(部)といい、一般式(4)で表される繰り返し単位中の互変異性化反応によって得られる化学構造(互変異性体構造)は下記式(a)〜(h)のとおりである。
Figure 0005557493
は中でも、水素原子、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基、又はフェニル基が好ましい。
で表される置換基は中でも、下記一般式(7)で表されるアゾ構造を有することが好ましい。
Figure 0005557493
23は、置換ましくは無置換の、芳香環またはヘテロ原子含有(例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)複素環を表す。中でもその芳香環及び複素環の構造として、5員環〜6員環の単環または2縮合環が好ましい。その中でも、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、イソキサゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイソキサゾール環、ベンゾチアゾールチアジアゾール環が好ましい。
以下、前記一般式(4)で表される基を複素環基Pとして有する繰り返し単位として好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限るものではない。また、本具体例に挙げられている構造は、考えられる互変異性体構造の中の1例であり、他の互変異性構造も取りうる。
Figure 0005557493
Figure 0005557493
また、前記高分子化合物は、末端にエチレン性不飽和2重結合を有する重合性オリゴマーを共重合させた繰り返し単位を含むグラフト共重合体であることも好ましい。このような末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることからマクロモノマーとも呼ばれる。この特定の重合性オリゴマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなることが好ましい。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端にのみ有することが、所望のグラフト重合体を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、このマクロモノマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜20000の範囲にあることが好ましく、特に、2000〜10000の範囲が好ましい。
上記ポリマー鎖の部分は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びブタジエン、からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体あるいは共重合体、あるいはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリカプロラクトンであることが一般的である。
上記重合性オリゴマーは、下記一般式(5)で表されるオリゴマーであることが好ましい。
Figure 0005557493
但し、R及びR11は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わし、R10は炭素原子数1〜12のアルキレン基(好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基であり、置換基(例えば水酸基)を有していてもよく、さらにエステル結合、エーテル結合、アミド結合等を介して連結していてもよい)を表わし、Zは、フェニル基、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するフェニル基又は−COOR12(但し、R12は、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数7〜10のアリールアルキル基を表わす)を表わし、そしてqは20〜200である。Zは、フェニル基又は−COOR12(但し、R12は、炭素原子数1〜12のアルキル基)であることが好ましい。
上記重合性オリゴマー(マクロモノマー)の好ましい例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート及びポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、ポリスチレンの分子末端の一個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーを挙げることができる。市場で入手できるこのような重合性オリゴマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
上記重合性オリゴマーは、前記一般式(5)で表される重合性オリゴマーだけでなく、下記一般式(6)で表される重合性オリゴマーであることも好ましい。
Figure 0005557493
前記一般式(6)中、R13は水素原子またはメチル基をあらわし、R14は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Qは−OR15または−OCOR16を表す。ここでR15、R16は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。nは2〜200を表す。
前記一般式(6)において、R13は、水素原子又はメチル基を表す。R14は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。Qは、−OR15又は−OCOR16を表す。ここで、R15は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R16は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。また、nは、2〜200を表し、5〜100が好ましく、10〜100が特に好ましい。
一般式(6)で表される重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
一般式(6)で表される重合性モノマーは前記したように市販品としても入手可能であり、市販品としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:NKエステルM−40G,M−90G,M−230G(以上、新中村化学工業(株)製);商品名:ブレンマーPME−100,PME−200,PME−400,PME−1000,PME−2000、PME−4000(以上、日油(株)製))、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350,日油(株)製)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000,日油(株)製)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー70PEP−350B,日油(株)製)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー55PET−800,日油(株)製)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーNHK−5050,日油(株)製)、などが挙げられる。
また上記一般式(5)(6)の重合性オリゴマー以外にも、ポリカプロラクトンモノマーも好ましく、市販品としては、ポリカプロラクトンモノメタクリレート(商品名:プラクセル FM2D、FM3、FM5、FA1DDM、FA2D、ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体の製造には、例えばラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でビニルモノマーの重合体もしくは共重合体を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
前記ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体は、末端に官能基を有する高分子化合物であってもよい。該官能基としては、析出した顔料への吸着能に優れた官能基であることが好ましい。
末端に官能基を有する高分子化合物は、例えば、官能基を含有する連鎖移動剤を用いてラジカル重合を行う方法、官能基を含有する重合開始剤を用いて重合(例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合など)を行う方法などにより、合成することが可能である。
高分子化合物の末端に官能基を導入できる連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メカルプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メカルプルイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、メルカプトアセトフェノン、ナフタレンチオール、ナフタレンメタンチオール等)またはこれらメルカプト化合物の酸化体であるジスルフィド化合物、およびハロゲン化合物(例えば、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸など)が挙げられる。
また、高分子化合物の末端に官能基を導入できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス(2−シアノペンタノール)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等又はこれらの誘導体等が挙げられる。
更に本発明では下記一般式(1)の高分子化合物を分散剤として用いてもよい。
〔化1〕
一般式(1)
(HOOC−)−R−(−COO−[−R−COO−]−R
(式中、Rは4価のテトラカルボン酸化合物残基、Rはモノアルコール残基、Rはラクトン残基、mは2または3、nは1〜50の整数、tは(4−m)を表す。)
更に前記一般式(1)の高分子化合物は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
〔化2〕
一般式(2)
−CH−C(R14)(Y−R15−Z)−
(式中、R14は水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R15は単結合、又は2価の連結基を表す。Yは−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。Zは含窒素複素環構造を有する基を表す。)
上記埋包分散剤の使用量は特に限定されないが、顔料の微粒子を析出させるに際し、系内に添加する量として、顔料100質量部に対して10〜300質量部の範囲であることが好ましく、10〜120質量部の範囲であることがより好ましく、20〜100質量部の範囲であることが特に好ましい。本発明の微粒子においては、上述のように、上記再沈法に投入される埋包分散剤の10質量%以上が埋包されることが好ましい。前記埋包分散剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。本発明の分散物において埋包分散剤の含有量は特に限定されないが、その上限値が上記系内に添加した量であり、下限値が微粒子に埋包された量であることが実際的であり、具体的には1〜294質量%であることが好ましく、2〜99質量%であることがより好ましい。
本発明で埋包分散剤として用いることができる高分子化合物の例を以下に示すが本発明はこれらに制限されるものではない。
(1)ポリメタクリル酸メチル
(2)ポリプロピレングリコール
(3)ポリεカプロラクトン
(4)メタクリル酸メチル/スチレン共重合体
(5)メタクリル酸ベンジル/アクリル酸共重合体
(6)メタクリル酸メチル/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体
(7)メタクリル酸メチル/上記構成成分Q−17を与えるモノマー共重合体
(8)メタクリル酸メチル/上記構成成分Q−17を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(9)上記構成成分M−1を与えるモノマー/スチレン/メタクリル酸共重合体
(10)上記構成成分M−1を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(11)上記構成成分M−1を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体
(12)上記構成成分Q−22を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリスチレン/メタクリル酸共重合体
(13)上記構成成分Q−10を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(14)上記構成成分M−1を与えるモノマー/末端(メタ)アクリロイル化ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール/メタクリル酸共重合体
(15)上記構成成分Q−4を与えるモノマー/末端(メタ)アクリロイル化ポリエチレングリコール/メタクリル酸共重合体
(16)上記構成成分Q−1を与えるモノマー/末端(メタ)アクリロイル化ポリプロピレングリコール/メタクリル酸共重合体
(17)上記構成成分M−1を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリカプロラクトン/メタクリル酸共重合体
(18)上記構成成分Q−21を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリスチレン/メタクリル酸/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体
(19)上記構成成分M−1を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(20)上記構成成分Q−22を与えるモノマー/スチレン/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体
(21)上記構成成分M−1を与えるモノマー/N,N−ジメチル−4−ビニルベンズアミド/メタクリル酸共重合体
(22)上記構成成分Q−23を与えるモノマー/4−tブチルスチレン/メタクリル酸共重合体
(23)上記構成成分M−3を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(24)上記構成成分Q−24を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリカプロラクトン共重合体
(25)上記構成成分M−2を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/末端(メタ)アクリロイル化ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体
(26)上記構成成分M−7を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート共重合体
(27)上記構成成分Q−9を与えるモノマー/4−ビニルピリジン/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(28)上記構成成分M−10を与えるモノマー/末端メタクリロイル化ポリブチルメタクリレート/N−ビニルイミダゾール共重合体
(29)上記構成成分M−1を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリn−ブチルメタクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(30)上記構成成分Q−4を与えるモノマー/アクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
(31)上記構成成分M−13を与えるモノマー/スチレン/メタクリル酸共重合体
(32)上記例示化合物M−1を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/メタクリル酸ドデシル共重合体
(33)上記構成成分Q−1を与えるモノマー/メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリスチレン/メタクリル酸ステアリル共重合体
(34)メタクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/メタクリル酸イソボルニル共重合体
(35)メタクリル酸シクロヘキシル/4−ビニルピリジン共重合体
(36)上記構成成分Q−1を与えるモノマー/メタクリル酸ブチル共重合体
(37)上記構成成分M−1を与えるモノマー/スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体
(38)上記構成成分M−2を与えるモノマー/スチレン/メタクリル酸ブチルエステル共重合体
(39)上記構成成分Q−21を与えるモノマー/メタクリル酸tブチルエステル/メタクリル酸共重合体
(40)上記構成成分Q−10を与えるモノマー/スチレン/ブチルアクリルアミド共重合体
(41)メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体
また、前記化合物に加えて市販の高分子化合物を使用してもよい。市販のブロック型高分子としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−2000、2001」、EFKA社製「EFKA4330、4340」等を挙げることができる。市販のグラフト型高分子としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース24000、28000、32000、38500、39000、55000」、BYK Chemie社製「Disperbyk−161、171、174」等が挙げられる。市販の末端変性型高分子としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース3000、17000、27000」等を挙げることができる(市販ポリマーはいずれも商品名)。
本発明において埋包分散剤は、顔料1質量部に対して0.1〜0.4質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1〜0.2質量部の範囲で用いることがより好ましい。
[結晶成長抑制剤]
本発明顔料微粒子については、再沈法により顔料微粒子を形成する際に結晶成長抑制剤を共存させたものであることが好ましく、塩基性基と複素環基とで構成される有機化合物を添加することも好ましい。
このような有機化合物としては、特に指定はないが、例えば2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、1−(2−アミノフェニル)ピロール、5−アミノピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−1−エチルピラゾール、3−アミノトリアゾール、2−アミノチアゾール、5−アミノインドール、2−アミノベンズチアゾール、5−アミノベンズイミダゾール、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾール、フタルイミド、5−アミノベンズイミダゾロン、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾロン、5−アミノウラシル、6−アミノウラシル、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、メラミン、アミノピラジン、8−アミノキノリン、3−アミノキノリン、9−アミノアクリジン、ASTRAブルー6GLL(塩基性フタロシアニン誘導体)、2−アミノアントラキノン、3−アミノアントラキノン、アクリドン、N−アクリドン、キナクリドン、NILEレッド、メチレンバイオレットナフタルイミドなどが挙げられる。好ましくは、2−アミノベンズチアゾール、5−アミノベンズイミダゾール、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾール、5−アミノベンズイミダゾロン、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾロン、5−アミノウラシル、6−アミノウラシル、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、メラミン、8−アミノキノリン、3−アミノキノリン、9−アミノアクリジン、ASTRAブルー6GLL(塩基性フタロシアニン誘導体)、2−アミノアントラキノン、3−アミノアントラキノン、アクリドン、N−アクリドン、キナクリドン、NILEレッド、メチレンバイオレットナフタルイミドが挙げられ、より好ましくは、9−アミノアクリジン、ASTRAブルー6GLL(塩基性フタロシアニン誘導体)、2−アミノアントラキノン、3−アミノアントラキノン、アクリドン、N−アクリドン、5−アミノベンズイミダゾール、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾール、5−アミノベンズイミダゾロン、N,N−ジメチル−5−アミノベンズイミダゾロン、5−アミノウラシル、6−アミノウラシル、NILEレッド、メチレンバイオレットナフタルイミドが挙げられる。
前記塩基性基と複素環基とで構成される有機化合物の添加量としては、顔料に対し0.01〜40質量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜30質量%の範囲にあることがより好ましく、0.05〜25質量%の範囲にあることが特に好ましい。
上記に挙げた以外にも特開昭56−118462号公報、特開昭63−264674号公報、特開平1−217077号公報、特開平3−9961号公報、特開平3−26767号公報、特開平3−153780号公報、特開平3−45662号公報、特開平4−285669号公報、特開平6−145546号公報、特開平6−212088号公報、特開平6−240158号公報、特開平7−331182号公報、特開平10−30063号公報、特開平10−195326号公報、特開2007−9096号公報、特開2008−24873号公報等に記載の顔料誘導体を挙げることができる。ここで言う顔料誘導体とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料誘導体型の化合物、あるいは化学修飾された顔料前駆体の顔料化反応により得られる顔料誘導体型の化合物を指す。市販品としては、例えば、EFKA社製「EFKA6745(フタロシアニン誘導体))」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)」等を挙げることができる(いずれも商品名)。顔料誘導体を用いる場合、その使用量としては、顔料に対し0.5〜40質量%の範囲にあることが好ましく、3〜30質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜25質量%の範囲にあることが特に好ましい。
上記の結晶成長抑制剤は顔料微粒中に埋包されていることが好ましい。埋包されていることの確認ないしその量の測定は例えば前記埋包分散剤と同様にして確認することができ、取り込み率は0.5〜40質量%であることが好ましく、埋包率は1〜30質量%であることが好ましい。なお、上記顔料誘導体の具体例としては、実施例で示した化合物S−1、S−2等が挙げられる。
[併用分散剤]
本発明の顔料の微粒子は、上記特定の構造部位を有する埋包分散剤を主として用い、微粒子に埋包させたものであることが好ましいが、埋包されない分散剤を併用してもよい。併用する分散剤は、例えば、分散物の粘度調製、上記埋包分散剤との反応性付与、上記埋包分散剤との相互作用性付与、分散媒体との親和性付与、貧溶媒で析出した粒子の解凝集をおこなう目的、微粒子のサイズを調製する目的、良溶媒と貧溶媒の親和性を調整する目的、分散媒体との親和性付与の目的で用いることができる。界面活性剤、低分子分散剤、高分子分散剤など、通常の分散剤を併用して用いることができる。併用する分散剤の使用割合は特に限定されるものではないが、上記埋包分散剤1質量部に対して0.01〜1質量部の範囲で用いるのが好ましく、0.05〜0.5質量部の範囲で用いるのがより好ましい。
併用される分散剤としては高分子化合物を用いることができ、具体的にはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、アルケニルスルホン酸、ビニルアミン、アリルアミン、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルホスホン酸、ビニルピロリドン、アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つはカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、アルキレンオキサイドのいずれかになる官能基を有する単量体)から構成されるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの変性物、及びこれらの塩等が挙げられる。或いは、アルブミン、ゼラチン、ロジン、シェラック、デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然高分子化合物、およびこれらの変性物も併用することができる。
[カラーフィルタ用組成物の調製及びカラーフィルタの作製]
良溶媒、貧溶媒が含まれた状態で結晶化処理を行った場合、第3溶媒を用いて良溶媒・貧溶媒を除去することができる。第3溶媒の種類は特に限定されないが、有機溶媒であることが好ましく、例えば、エステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒または脂肪族化合物溶媒がより好ましく、エステル化合物溶媒が特に好ましい。また、該第3溶媒は上記溶媒による純溶媒であっても、複数の溶媒による混合溶媒であってもよい。
なお、本発明においては、上記の第3溶媒に限らず後述する第4溶媒を含め、分散組成物の媒体とされる、前記良溶媒及び前記貧溶媒のいずれとも異なる溶媒を総称して「第3の溶媒」という。
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
なかでも、乳酸エチル、酢酸エチル、エタノール、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートが好ましく、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。なお第3溶媒が良溶媒もしくは貧溶媒と同じものであることはない。
第3溶媒の添加の時機は顔料微粒子の析出後であれば特に限定されないが、微粒子を析出させた混合液に添加しても良いし、混合液の溶媒分の一部、を除去してから加えても良いし、あるいは全部を予め除去(濃縮)してから添加してもよい。
すなわち、第3溶媒を置換用溶媒として用い、微粒子を析出させた分散液中の良溶媒及び貧溶媒からなる溶媒分を第3溶媒で置換することができる。
あるいは、良溶媒および貧溶媒を完全に除去(濃縮)し、顔料粒子粉末として取り出してから、第3溶媒を加えることもできる。
また、後述する顔料分散組成物とするときに、1度目の溶媒分の除去工程(第1除去)を経た後、第3溶媒を添加して溶媒置換し、2度目の溶媒分の除去工程(第2除去)により溶媒分を除去し粉末化してもよい。そして、その後顔料分散剤及び/又は溶媒を添加して所望の顔料分散組成物とすることができる。
あるいは良溶媒および貧溶媒を完全に除去(濃縮)し、顔料粒子粉末として取り出してから、第3溶媒及び/又は顔料分散剤を添加して、所望の顔料分散組成物とすることができる。
第3溶媒の添加量は特に限定されないが、水不溶性色材の微粒子100質量部に対して、100〜300000質量部であることが好ましく、500〜10000質量部であることがより好ましい。
顔料微粒子析出後の混合液からの溶媒分の除去工程としては、特に限定されないが、例えば、フィルタなどによりろ過する方法、遠心分離によって顔料微粒子を沈降させて濃縮する方法などが挙げられる。
フィルタろ過の装置は、例えば、減圧あるいは加圧ろ過のような装置を用いることができる。好ましいフィルタとしては、ろ紙、ナノフィルタ、ウルトラフィルタなどを挙げることができる。
遠心分離機は顔料微粒子を沈降させることができればどのような装置を用いてもよい。例えば、汎用の装置の他にもスキミング機能(回転中に上澄み層を吸引し、系外に排出する機能)付きのものや、連続的に固形物を排出する連続遠心分離機などが挙げられる。遠心分離条件は、遠心力(重力加速度の何倍の遠心加速度がかかるかを表す値)で50〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましく、150〜6000が特に好ましい。遠心分離時の温度は、分散液の溶剤種によるが、−10〜80℃が好ましく、−5〜70℃がより好ましく、0〜60℃が特に好ましい。
また、溶媒分の除去工程として、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて濃縮する方法、加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する方法、それらを組合せた方法などを用いることもできる。
顔料の微粒子は例えばビヒクル中で分散させた状態で用いることができる。前記ビヒクルとは、塗料でいえば、液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
再分散化後の微粒子の分散組成物の微粒子濃度は目的に応じて適宜定められるが、好ましくは分散組成物全量に対して微粒子が2〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。上記のようなビヒクル中に分散させる場合に、バインダーおよび溶解希釈成分の量は顔料の種類などにより適宜定められるが、分散組成物全量に対して、バインダーは1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。溶解希釈成分は5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
本発明において顔料の微粒子を第3の溶媒に再分散させるとき、別の分散剤等を添加しなくても、第3の溶媒中で顔料微粒子の凝集状態が自発的に解かれ媒体中に分散する性質を有することが好ましく、この性質があることを「自己分散しうる」ないし「自己分散性を有する」という。ただし、本発明において再分散性を一層向上させるために、微粒子の再分散時に顔料分散剤等を添加してもよい。ただし、本発明において再分散性を一層向上させるために、微粒子の再分散時に顔料分散剤等を添加してもよい。かかる観点から再分散困難な凝集(aggregate)と再分散可能な軟凝集(agglomerate)を区別していうことがある。
このような凝集状態(agglomerate)にある微粒子を再分散する方法として、例えば超音波による分散方法や物理的なエネルギーを加える方法を用いることができる。用いられる超音波照射装置は10kHz以上の超音波を印加できる機能を有することが好ましく、例えば、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機などが挙げられる。超音波照射中に液温が上昇すると、ナノ粒子の熱凝集が起こるため、液温を1〜100℃とすることが好ましく、5〜60℃がより好ましい。温度の制御方法は、分散液温度の制御、分散液を温度制御する温度調整層の温度制御、などによって行うことができる。
物理的なエネルギーを加えて顔料ナノ粒子を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の分散機が挙げられる。また、高圧分散法や、微小粒子ビーズの使用による分散方法も好適なものとして挙げられる。
顔料分散組成物には、顔料の分散性をより向上させる目的で、従来から公知の顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤などを本発明の効果を損なわない限りにおいて加えることもできる。分散剤として用いられる顔料誘導体としては先に説明したものを含む。
顔料分散剤としては、高分子分散剤(例えば、直鎖状高分子、ブロック型高分子、グラフト型高分子、末端変性型高分子等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等)、顔料誘導体等を挙げることができる。分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子、グラフト型高分子、末端変性型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
高分子化合物の例として、ブロック型高分子としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−2000、2001」、EFKA社製「EFKA4330、4340」等を挙げることができる。グラフト型高分子の例としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース24000、28000、32000、38500、39000、55000」、BYK Chemie社製「Disperbyk−161、171、174」等が挙げられる。末端変性型高分子の例としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース3000、17000、27000」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
特に限定されないが、例えば、特開2007−9096号公報や、特開平7−331182号公報等に記載の酸性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有する顔料誘導体、フタルイミドメチル基などの官能基を導入した顔料誘導体などが好適に用いられる。
市販品としては、EFKA社製「EFKA6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
線状高分子としては、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができ、上記顔料誘導体と併用することも好ましい。
顔料分散剤は、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用して使用してもよい。
光硬化性組成物は、前記顔料の微粒子の分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤(以下、光重合開始剤系と称する場合もある)とを含み、好ましくは、更に、アルカリ可溶性樹脂を含む。以下、光硬化性組成物の各成分について説明する。
顔料微粒子および、その分散組成物を作製する方法については既に詳細に述べた。光硬化性組成物中の微粒子の含有量は、全固形分(本発明において、全固形分とは、有機溶媒を除く組成物合計をいう。)に対し、3〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%がさらに好ましい。この量が多すぎると分散液の粘度が上昇し製造適性上問題になることがある。少なすぎると着色力が十分でない。また、調色のために通常の顔料と組み合わせて用いてもよい。顔料は上記で記述したものを用いることができる。
光重合性化合物(以下、重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーと称する場合がある)としては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合する多官能モノマーであることが好ましい。そのような光重合性化合物としては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。また、特開平10−62986号公報に一般式(1)および(2)に記載のように、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も好適なものとして挙げられる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
光重合性化合物は、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、光硬化性組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。この量が多すぎると現像性の制御が困難になり製造適性上問題となる。少なすぎると露光時の硬化力が不足する。
光重合開始剤又は光重合開始剤系(本発明において、光重合開始剤系とは複数の化合物の組み合わせで光重合開始の機能を発現する混合物をいう。)としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」や、オキシム系として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等も好適なものとしてあげることができる。
光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。光硬化性組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。この量が多すぎると感度が高くなりすぎ制御が困難になる。少なすぎると露光感度が低くなりすぎる。
アルカリ可溶性樹脂としては、光硬化性組成物ないし、カラーフィルタ用インクジェットインクの調製時に添加することもできるが、前記微粒子の分散組成物を製造する際、または微粒子形成時に添加することも好ましい。顔料の溶液および顔料の溶液を添加して顔料の微粒子を生成させるための貧溶媒の両方もしくは一方にアルカリ可溶性樹脂を添加することもできる。またはアルカリ可溶性樹脂溶液を別系統で顔料の微粒子形成時に添加することも好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、酸性基を有するバインダーが好ましく、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するアルカリ可溶性のポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩などを有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4,139,391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、顔料の微粒子100質量部に対する添加量は10〜200質量部が一般的であり、25〜100質量部が好ましい。
その他、架橋効率を向上させるために、アルカリ可溶性樹脂の側鎖に重合性基を有していてもよく、UV硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等も有用である。更に、アルカリ可溶性樹脂として、側鎖の一部に水溶性の原子団を有する樹脂を用いることもできる。
光硬化性組成物においては、上記成分の他に、更に光硬化性組成物調製用の有機溶媒(第4溶媒)を用いてもよい。第4溶媒の例としては、特に限定されないが、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、またはこれらの混合物などが好適に挙げられるが、なかでも、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、またはこれらの混合物などがより好ましい。
ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセルソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、n−オクタン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。また沸点が180℃〜250℃である溶剤を必要によって使用することができる。有機溶媒の含有量は、光硬化性組成物全量に対して10〜95質量%が好ましい。
また、光硬化性組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、光硬化性組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
光硬化性組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、光硬化性組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。
光硬化性組成物には、必要に応じ前記着色剤(顔料)に加えて、着色剤(染料、顔料)を添加することができる。着色剤のうち顔料を用いる場合には、光硬化性組成物中に均一に分散されていることが望ましい。染料ないし顔料としては、具体的には、前記顔料として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。補助的に使用する染料もしくは顔料の含有量は、光硬化性組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
光硬化性組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、光硬化性組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
また、光硬化性組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
光硬化性組成物はその組成を適宜に調節して、インクジェットインクとすることができる。インクジェットインクとしてはカラーフィルタ用以外にも、印字用等、通常のインクジェットインクとしてもよいが、なかでもカラーフィルタ用インクジェットインクとすることが好ましい。
インクジェットインクは前記の顔料微粒子を含むものであればよく、重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーを含む媒体に、前記の顔料微粒子を含有させたものであることが好ましい。ここで重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーとしては、先に光硬化性組成物において説明したものを用いることができる。
このとき、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sであることが好ましく、8〜22mPa・sであることがより好ましく、10〜20mPa・sであることが特に好ましい(本発明において粘度は、特に断らない限り25℃のときの値である。)。前記射出温度の設定以外に、インクに含有させる成分の種類と添加量を調節することで、粘度の調整をすることができる。前記粘度は、例えば、円錐平板型回転粘度計やE型粘度計などの通常の装置により測定することができる。
また、射出時のインクの表面張力は15〜40mN/mであることが、画素の平坦性向上の観点から好ましい(本発明において表面張力は、特に断らない限り23℃のときの値である。)。より好ましくは、20〜35mN/m、最も好ましくは、25〜30mN/mである。表面張力は、界面活性剤の添加や、溶剤の種類により調整することができる。前記表面張力は、例えば、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)や、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和科学社製)などの測定器を用いて白金プレート方法により測定することができる。
カラーフィルタ用インクジェットインクの吹き付けとしては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
また、各画素形成のために用いるインクジェット法に関しては、インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、あらかじめ基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、通常の方法を用いることができる。
インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう。)には、通常のものを適用でき、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを使うことができる。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。
また、各画素を形成した後、加熱処理(いわゆるベーク処理)する加熱工程を設けることができる。即ち、光照射により光重合した層を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプを照射する。加熱の温度及び時間は、感光性濃色組成物の組成や形成された層の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を獲得する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
このようにして形成されたカラーフィルタのパターン形状は特に限定されるものではなく、一般的なブラックマトリックス形状であるストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
既述のカラーフィルタ用インクジェットインクを用いた画素形成工程の前に、予め隔壁を作成し、該隔壁に囲まれた部分にインクを付与する作製方法が好ましい。この隔壁はどのようなものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクスの機能を持った遮光性を有する隔壁(以下、単に「隔壁」とも言う。)であることが好ましい。該隔壁は通常のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材、方法により作製することができる。例えば、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクスや、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020]や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。
光硬化性組成物を用いた塗布膜における含有成分については、既に記載したものと同様である。また、光硬化性組成物を用いた塗布膜の厚さは、その用途により適宜定めることができるが、0.5〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。この光硬化性組成物を用いた塗布膜においては、前述のモノマーもしくはオリゴマーを重合させて光硬化性組成物の重合膜とし、それを有するカラーフィルタを作製することができる(カラーフィルタの作製については後述する。)。光重合性化合物の重合は、光照射により光重合開始剤又は光重合開始剤系を作用させて行うことができる。
尚、上記塗布膜は、光硬化性組成物を、通常の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコータが好適に用いられる。
光硬化性組成物の基板への塗布方法は、1〜3μmの薄膜を均一に高精度に塗布できるという点からスピン塗布が優れており、カラーフィルタの作製に広く一般的に用いることができる。しかし、近年においては、液晶表示装置の大型化および量産化に伴って、製造効率および製造コストをより高めるために、スピン塗布よりも広幅で大面積な基板の塗布に適したスリット塗布がカラーフィルタの作製に採用されるようになってきている。尚、省液性という観点からもスリット塗布はスピン塗布よりも優れており、より少ない塗布液量で均一な塗膜を得ることができる。
スリット塗布は、先端に幅数十ミクロンのスリット(間隙)を有し且つ矩形基板の塗布幅に対応する長さの塗布ヘッドを、基板とのクリアランス(間隙)を数10〜数100ミクロンに保持しながら、基板と塗布ヘッドとに一定の相対速度を持たせて、所定の吐出量でスリットから供給される塗布液を基板に塗布する塗布方式である。このスリット塗布は、(1)スピン塗布に比して液ロスが少ない、(2)塗布液の飛びちりがないため洗浄処理が軽減される、(3)飛び散った液成分の塗布膜への再混入がない、(4)回転の立ち上げ停止時間がないのでタクトタイムが短縮化できる、(5)大型の基板への塗布が容易である、等の利点を有する。これらの利点から、スリット塗布は大型画面液晶表示装置用のカラーフィルタの作製に好適であり、塗布液量の削減にとっても有利な塗布方式として期待されている。
尚、上記作製方法における塗布は、通常の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、既に説明した、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。スリットコータの好ましい具体例等は、前記と同様である。
カラーフィルタは、コントラストに優れることが好ましい。本発明においてコントラストとは、特に断らない限り、後述する実施例において採用された測定方法により測定された値をいう。カラーフィルタのコントラストが高いということは液晶と組み合わせたときの明暗のディスクリミネーションが大きくできるということを意味しており、液晶ディスプレイがCRTに置き換わるためには非常に重要な性能である。
カラーフィルタは、テレビ用として用いる場合は、F10光源による、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のそれぞれ全ての単色の色度が、下表に記載の値(以下、本発明において「目標色度」という。)との差(ΔE)で5以内の範囲であることが好ましく、更に3以内であることがより好ましく、2以内であることが特に好ましい。
x y Y
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.656 0.336 21.4
G 0.293 0.634 52.1
B 0.146 0.088 6.90
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本発明において色度は、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、目標色度との差は、La表色系の色差で表す。
カラーフィルタを備えた液晶表示装置はコントラストが高く、黒のしまり等の描写力に優れ、とくにVA方式であることが好ましい。ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等としても好適に用いることができる。また、上記カラーフィルタはCCDデバイスに用いることができ、優れた性能を発揮する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
<有機顔料ナノ粒子分散液の調整>
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)を良溶媒とし、良溶媒1000部に顔料C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50部を分散させ、ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%メタノール溶液52.3部を滴下して顔料溶液1を調製した。この顔料溶液を、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液の液温が24.5℃の時の粘度が14.3mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸水溶液(和光純薬社製)19部を含有したイオン交換水1000部を用意した。
ここで、10℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により500rpmで攪拌した貧溶媒1000部に、顔料溶液1をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて、流路径1.1mmの送液配管から流速400ml/minで100部注入することにより、有機顔料粒子を形成し、有機顔料ナノ粒子分散液1を調製した。
上記の手順で調製した有機顔料ナノ粒子分散液1を(株)コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト1を回収した。
前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト1をオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより有機顔料粉末1aを得た。
上記組成の有機顔料粉末1aと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート110部を混合し、サンドグラインダーミルBSG−01(AIMEX社製)で、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、1500rpmで1時間湿式粉砕し、有機顔料ナノ粒子分散液1aを調製した。
これを(株)コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、同様に遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト1aを回収した。
前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト1aをオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより有機顔料粉末1を得た。
(実施例2)
(重合体P−1の合成)
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して78℃まで昇温し30分攪拌する。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間78℃で加熱攪拌する。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、78℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返す。最後の2時間攪拌後、引き続いて90度で2時間加熱攪拌する。得られた反応液をイソプロパノール1500部に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を濾取して、加熱乾燥させることでグラフト重合体P−1(質量平均分子量10000)を得た。
(モノマー溶液)
・モノマーM−1 5.0部
・スチレン 14.0部
・メタクリル酸 2.0部
・1−メチル−2−ピロリドン 46.67部
(開始剤溶液)
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
1.2部
・1−メチル−2−ピロリドン 2部
MAA;メタクリル酸(和光純薬社製)
NMP;1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬社製)
良溶媒(第1溶媒)として、N−メチルピロリドン1000部にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液70.5部(和光純薬社製)を混合し、これを80℃に加熱しながら、顔料C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50部及びグラフト共重合体P−1を10.0部を添加して、顔料溶液2を調製した。この顔料溶液2を、ビスコメイトVM−10A−L(CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液2の液温が25℃のときの粘度が13.3mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸(和光純薬社製)16部を含有した水1000部を容易した。
ここで、15℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により500rpmで攪拌した貧溶媒中に、顔料溶液2をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて注入した。顔料溶液2の送液配管の流路径及び供給口径を2.2mmとし、その供給口を貧溶媒中に入れ、流速200ml/minで100部注入することにより、有機顔料粒子を形成し、顔料分散液2を調製した。
上記の手順で調製した有機顔料ナノ粒子分散液2を(株)コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト2を回収した。
この有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト2にプロピレングリコールモノメチルエーテル150部を加え、20℃で8時間攪拌後、コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト2aを回収した。前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト2aをオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより有機顔料粉末2を得た。
(実施例4)
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)を良溶媒とし、良溶媒1000部に顔料C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50部、化合物S−1 10部を分散させ、ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%メタノール溶液61.1部を滴下して顔料溶液4を調製した。この顔料溶液を、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液の液温が24.5℃の時の粘度が12.8mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸水溶液(和光純薬社製)21部を含有したイオン交換水1000部を用意した。
Figure 0005557493
ここで、5℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により700rpmで攪拌した貧溶媒中に、顔料溶液4をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて注入した。顔料溶液4の送液配管の流路径及び供給口径を2.2mmとし、その供給口を貧溶媒中に入れ、流速200ml/minで100部注入することにより、有機顔料粒子を形成し、顔料分散液4を調製した。
上記の手順で調製した有機顔料ナノ粒子分散液4を(株)コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト4を回収した。
この有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト4にプロピレングリコールモノメチルエーテル150部を加え、20℃で4時間攪拌後、コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト4aを回収した。前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト4aをオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより有機顔料粉末4を得た。
(実施例5)
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)を良溶媒とし、良溶媒1000部に顔料C.I.ピグメントレッド254(イルガジンレッド2030、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50部、化合物S−1 10部、化合物S−2 15部を分散させ、ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%メタノール溶液64.1部を滴下して顔料溶液5を調製した。この顔料溶液を、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液の液温が24.5℃の時の粘度が10.8mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸水溶液(和光純薬社製)23部を含有したイオン交換水1000部を用意した。
Figure 0005557493
ここで、5℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により400rpmで攪拌した貧溶媒中に、顔料溶液5をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて注入した。顔料溶液5の送液配管の流路径及び供給口径を2.2mmとし、その供給口を貧溶媒中に入れ、流速200ml/minで100部注入することにより、有機顔料粒子を形成し、顔料分散液5を調製した。
上記の手順で調製した有機顔料ナノ粒子分散液5を(株)コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて6000rpmで80分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト5を回収した。
この有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト5にプロピレングリコールモノメチルエーテル180部を加え、20℃で14時間攪拌後、コクサン社製H−112型遠心濾過機および敷島カンバス(株)社製P89C型濾布を用いて6000rpmで80分濃縮し、次いでイオン交換水を1100部加え混合し、遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100部加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト5aを回収した。前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト5aをオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより有機顔料粉末5を得た。
(比較例1)
C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)そのものを有機顔料粉末C1とした。
(比較例2)
実施例1と同様に有機顔料粉末1aを調製し、これを有機顔料粉末C2とした。
(比較例3)
C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):250部、塩化ナトリウム:2500部およびジエチレングリコール200部をステンレス1ガロンニーダーに仕込み、3時間混練した。つぎにこの混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃まで加熱、攪拌した。約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗を5回くりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除き、水ウエットケーキ顔料を得た。これを乾燥機にて90°C、18時間乾燥させて水分を蒸発し、有機顔料粉末C3を得た。
得られた有機顔料粉末1〜5(実施例)、C1〜C3(比較例)について、下記の方法にてX線回折測定を行い、α型結晶化度、(−1 5 1)面結晶子サイズ、平均粒径を算出した。算出結果を表1に示す。
(α型結晶化度評価)
(1) ジクロロジケトピロール顔料に関して、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。測定は、日本工業規格JIS K03131(X線回折分析通則)に準じ、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行った。図1にX線回折パターンを例示する。
(2) (1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求めた。ここでバックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンの低角側のブラッグ角(2θ)=23.3°付近のすそと高角側のブラッグ角(2θ)=29.7°付近のすそとに接する直線を引き、この直線で表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作を行った。顔料粉末1の測定結果を示す図で例示して説明すると、図1のX線回折強度の値から、A点およびB点に接する直線Lで表される回折強度を除去したパターンを求め、これをバックグラウンドを除去したX線回折パターンとする。バックグラウンドを除去したX線回折パターンの例を図2に示す。
(3) (2)で求められたバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、下記式によりα型結晶化度を算出する。
α型結晶化度=Iα/(Iα+Iβ)
ここで、Iαはα型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.1±0.3°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値、Iβはβ型結晶変体の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=27.0±0.3°付近の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値と定義する。図2の例では、線L1と線L2の長さがIβおよびIαに相当する。
上記の定義において、ジクロロジケトピロール顔料のα型結晶化度が高い場合、β型結晶の特徴であるブラッグ角(2θ)=27±0.3°の位置に明確な回折ピークが見られないケースがあるが、この場合、Iβはバックグラウンド除去後のブラッグ角(2θ)=27.0°の回折強度値と定義する。また、ジクロロジケトピロール顔料のα型結晶化度が低い場合、α型結晶の特徴である28.1°付近に明確なピークを示さないケースがあるが、この場合、Iαはバックグラウンド除去後のブラッグ角(2θ)=28.1°の回折強度値と定義する。
これら定義において、ジクロロジケトピロール顔料のα型結晶化度が高くβ型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)=27°近傍に明確なピークが見られない場合でも、Iβの値はゼロとなることはなく、したがってα型結晶化度の値は1となることは無いことに注意が必要である。何故ならば、β型結晶由来の回折ピークが27°に存在しなくても、その両側に存在するα型結晶由来の回折ピークのすその広がりが27°にかかるため、27°の回折ピークは有限な値となるためである。また、同様にジクロロジケトピロール顔料のβ型結晶化度が高くα型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)=28.1°近傍に明確なピークが見られない場合でも、Iαの値はゼロとなることはなく、したがってα型結晶化度の値はゼロとなることは無い。何故ならば、ブラッグ角(2θ)=27°近傍に存在するβ型結晶由来の回折ピークの高角側のすその広がりが28.1°近傍までかかるため、28.1°の回折ピークは有限な値となるためである。
(結晶子サイズ評価)
(1) α型結晶化度の決定方法同様、ジクロロジケトピロール顔料につき、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行った。さらにα型結晶化度の決定方法同様、バックグラウンドを除去したX線回折パターンを算出した。
(2) (1)で得たバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、α型結晶変態由来のブラッグ角(2θ)=24.6±0.3°近傍の回折ピークおよび28.1±0.3°近傍の回折ピークそれぞれに対し、半値幅および回折ピークのブラッグ角(2θ)を求める。半値幅の算出は、上記測定範囲に存在する4つの回折ピーク(α型結晶変態由来のブラッグ角24.6°、25.6°、28.1°各近傍の3つのピークおよびβ型結晶変態由来のブラッグ角27°近傍のピーク)それぞれを市販のデータ解析ソフトを用いてピーク分離を行うことにより算出可能となる。実施例においては、Wave Metorics社製データ解析ソフト Igor Proを用い、ピーク形状をVoigt関数としてフィッティングを行い算出される半値幅の値を用いることとする。
(3) (2)で算出した回折ピーク半値幅および下記シェラーの式により結晶子サイズを算出する。
D=Kλ/(10×B×cosA)
B=Bobs−b
ここで、
D:結晶子サイズ(nm)
Bobs:(2)で算出した半値幅(rad)
b:X線回折装置角度分解能補正係数であり、標準シリコン結晶測定時の半値幅(rad)。本発明では下記装置構成および測定条件で標準シリコン結晶を測定し、b=0.2とした。
A:回折ピークブラッグ角2θ(rad)
K:シェラー定数(K=0.94と定義する)
λ:X線波長(Å)(CuKα線であるため、λ=1.54)
測定条件の詳細は下記であった。
X線回折装置:(株)リガク社製RINT2500
ゴニオメーター:(株)リガク社製RINT2000縦型ゴニオメーター
サンプリング幅:0.01°
ステップ時間:1秒
発散スリット:2°
散乱スリット:2°
受光スリット:0.6mm
管球:Cu
管電圧:55KV
管電流:280mA
(平均粒径の測定)
得られた顔料粉末にポリビニルピロリドン(和光純薬(株)製)を混合し、乳酸エチル(和光純薬(株)製)で希釈した後、超音波ホモジナイザー(製品名:Model450 ブランソン製)で分散した。これを試料台に薄くスピンコートして撮影飼料とし、走査型電子顕微鏡にて粒子像を観察した。観察画像から、一次粒子が明瞭に識別できるもの400個に対して粒径測定を行い、数平均径を算出した。
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
α化率 (-1 5 1) 平均粒径
結晶子サイズ (nm)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1 69% 8.0nm 15.2nm
実施例2 66% 8.2nm 18.1nm
実施例3 73% 8.6nm 16.6nm
実施例4 81% 9.0nm 17.8nm
実施例5 77% 8.9nm 18.2nm
比較例1 86% 14.2nm 32.4nm
比較例2 33% 計算不能 測定不能
比較例3 77% 11.2nm 24.2nm
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(実施例6)
実施例1で得られた有機顔料粉末1を用い、下記組成の有機顔料分散組成物1を調製した。
有機顔料粉末A2 10.0部
分散樹脂1 7.88部
顔料誘導体1 0.98部
S−1 0.97部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
79.75部
顔料誘導体1の構造を以下に示す。
Figure 0005557493
Figure 0005557493
主鎖Mn:600、グラフト量 9.3mol%(vs.全アミン)、
酸価 10mgKOH/g、Mw:10000
Ra:−CO−nC15または水素原子
v:40、w:5、x:10、y+z:45
上記組成の有機顔料分散組成物をモーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、2000rpmで1時間、次いで直径0.05mmのジルコニアビーズを用い、2000rpmで4時間分散し、有機顔料分散組成物11を得た。
有機顔料粉末1に代えて実施例2〜5および比較例1〜3で得られた有機顔料粉末1〜5、C1〜C3を用いた以外、上記と同様にして、有機顔料分散組成物12〜15、C11〜C13をそれぞれ調製した。
得られた有機顔料分散組成物について、下記の方法にてコントラスト測定・経時コントラスト測定・耐熱性試験を行った。算出結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例で調製した有機顔料粉末は、比較例で調製した有機顔料粉末と異なり、好適な有機顔料分散組成物を調製できることを確認した。
(コントラスト測定)
得られた有機顔料分散組成物試料を、それぞれガラス基板上に厚みが2μmになるように塗布し、サンプルを作製した。バックライトユニットとして3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板((株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518)の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン社製BM−5)を用いた。2枚の偏光板、サンプル、色彩輝度計の設置位置は、バックライトから13mmの位置に偏光板を、40mm〜60mmの位置に直径11mm長さ20mmの円筒を設置し、この中を透過した光を、65mmの位置に設置した測定サンプルに照射し、透過した光を、100mmの位置に設置した偏光板を通して、400mmの位置に設置した色彩輝度計で測定した。色彩輝度計の測定角は2°に設定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が1280cd/m2になるように設定した。
(経時コントラスト評価)
さらに上記顔料分散組成物を分散30日後に再度上記と同様の方法で塗布し、上記と同様の方法でコントラストを測定し、経時コントラストとした。
得られた結果を下表に示した。
(耐熱性試験)
得られた有機顔料分散組成物試料を、それぞれガラス基板上に厚みが2μmになるように塗布し、サンプルを作製した。このサンプルを230℃、90分間ポストベークした。このようにして作成した塗布膜サンプルを前述の方法に従ってコントラスト評価を行った。
上記により得られたコントラスト値をポストベーク前の値に対する比として求め、下記のランク付けを行った。
3:コントラスト比 0.8倍以上1倍以下
2:コントラスト比 0.6倍以上0.8倍未満
1:コントラスト比 0.6倍未満
[表2]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
有機顔料分散組成物 コントラスト 経時コントラスト 耐熱性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
11 31864 30256 3
12 28532 25432 2
13 26744 26002 3
14 27019 27120 3
15 29231 28866 3
C11 9214 9196 3
C12 32011 19326 1
C13 13548 13617 3
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の結果より、本発明のp−ジクロロジケトピロロピロール顔料(実施例)は、比較例のものに対して、カラーフィルタにおいて極めて高いコントラストを実現し、その高コントラストが長期間維持され、しかも高い耐熱性示すことがわかる。

Claims (16)

  1. p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を含有する微粒子であって、当該顔料におけるX線回折パターンより算出される(−1 5 1)面垂直方向の結晶子サイズが9nm以下であり、かつ該顔料の下記で定義されるα型結晶化度が60%以上であるp−ジクロロジケトピロロピロール顔料微粒子。
    (1) ジクロロジケトピロール顔料に関して、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行う。測定は、日本工業規格JIS K03131(X線回折分析通則)に準じ、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行う。
    (2) (1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。ここでバックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンの低角側のブラッグ角(2θ)=23.3°付近のすそと高角側のブラッグ角(2θ)=29.7°付近のすそとに接する直線を引き、この直線で表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作を行う。
    (3) (2)で求められたバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、下記式によりα型結晶化度を算出する。
    α型結晶化度=Iα/(Iα+Iβ)
    ここで、Iαはα型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.1±0.3°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値、Iβはβ型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=27.0±0.3°付近の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値と定義する。
  2. ナノメートルサイズの微粒子であって、該微粒子に分散剤と顔料誘導体との少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する請求項1に記載の顔料微粒子。
  3. p−ジクロロジケトピロロピロール顔料を良溶媒に溶解した溶液と、前記良溶媒と相溶する前記顔料の貧溶媒とを混合し、この混合液中で生成させた微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔料微粒子。
  4. 前記良溶媒及び/又は貧溶媒に分散剤を含有させて前記両液を混合して、又はこれらとは別に良溶媒に分散剤を含有させた溶液を準備し前記両液とともに混合して生成させた、前記分散剤を埋包する微粒子であって、前記溶媒中に含有させた分散剤の少なくとも10質量%が微粒子に埋包されている請求項に記載の顔料微粒子。
  5. 前記混合液中で生成させた微粒子を、有機溶剤と接触させることにより結晶化度を調整したことを特徴とする請求項3または4に記載の顔料微粒子。
  6. 平均粒径を100nm以下としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
  7. 単分散度を1.0〜2.0としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
  8. 前記顔料微粒子に埋包させる分散剤が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体もしくは共重合体である請求項2〜7のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
    Figure 0005557493
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Jは−CO−、−COO−、−CONR−、−OCO−、フェニレン基、または−CCO−基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。Wは単結合、直鎖、分岐、もしくは環状のアルキレン基、又はアラルキレン基を表す。Pは複素環基を表す。)
  9. 前記顔料微粒子に埋包させる分散剤の使用量が顔料100質量部に対して10〜300質量部の範囲であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
  10. 前記混合液中に顔料微粒子を生成させるに際し、当該混合液中に結晶成長抑制剤として顔料誘導体を共存させたことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
  11. 前記分散剤が質量平均分子量1000以上の高分子分散剤である請求項2〜10のいずれか1項に記載の顔料微粒子。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のp−ジクロロジケトピロロピロールの顔料微粒子を含有することを特徴とする着色組成物。
  13. 請求項12に記載の着色組成物を用いて作成したことを特徴とするカラーフィルタ。
  14. 少なくとも下記1)と2)または下記1)と3)の工程を含むことによりp−ジクロロジケトピロロピロール顔料の結晶子サイズおよび結晶化度を調整することを特徴とする、顔料微粒子の製造方法。
    1)顔料を良溶媒に溶解した溶液と、前記良溶媒と相溶し前記顔料の貧溶媒とを混合し、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方の存在下、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する顔料微粒子を生成する
    2)前記生成した顔料微粒子を湿式粉砕することにより下記で定義されるα型結晶化度を調整する
    3)前記顔料微粒子に有機溶剤と接触させることにより下記で定義されるα型結晶化度を調整する
    (1) ジクロロジケトピロール顔料に関して、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行う。測定は、日本工業規格JIS K03131(X線回折分析通則)に準じ、ブラッグ角(2θ)が、23°から30°の範囲で行う。
    (2) (1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。ここでバックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンの低角側のブラッグ角(2θ)=23.3°付近のすそと高角側のブラッグ角(2θ)=29.7°付近のすそとに接する直線を引き、この直線で表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作を行う。
    (3) (2)で求められたバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、下記式によりα型結晶化度を算出する。
    α型結晶化度=Iα/(Iα+Iβ)
    ここで、Iαはα型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.1±0.3°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値、Iβはβ型結晶変態の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=27.0±0.3°付近の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値と定義する。
  15. 前記良溶媒と貧溶媒との混合を、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方の存在下で行い、分散剤または顔料誘導体の少なくともどちらか一方を埋包させた構造を有する顔料微粒子を生成する請求項14に記載の顔料微粒子の製造方法。
  16. 前記結晶化度を調整する有機溶剤が、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、有機塩基溶媒、これらと水との混合溶媒、またはこれらの混合溶媒である請求項14または15に記載の顔料微粒子の製造方法。
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