以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、偏光光を用いてオブジェクトがディスプレイされたディスプレイ空間にマーカ画像を潜像化させ、当該潜像化させたマーカ画像に基づいて撮像されたディスプレイ空間とともに付加情報を画像としてユーザに提示する付加情報可視化制御示システムに、本発明の付加情報提供システム及び撮像装置を適用した場合の実施形態である。また、本願の説明においては、偏光板または偏光フィルタなどの偏光手段を通過した光を「偏光光」と定義する。
<第1実施形態>
はじめに、図1〜図4の各図を用いて本発明に係る付加情報可視化制御システムSの第1実施形態について説明する。
[付加情報可視化制御システム]
まず、図1〜図4の各図を用いて本実施形態における付加情報可視化制御システムSの構成について説明する。なお、図1は、本実施形態の付加情報可視化制御システムSの構成を示すシステム構成図であって液晶パネル200及び携帯用端末装置300の分割斜視図を含む図であり、図2は、本実施形態におけるディスプレイ空間10の画像(以下、「ディスプレイ空間画像」という。)IMに重畳されたマーカ画像と第1偏光光及び第2偏光光の関係を説明するための図である。また、図3は、携帯用端末装置300に表示されるマーク画像30が重畳されたディスプレイ空間画像IMの一例であり、図4は、ディスプレイ空間10におけるマーク画像30、オブジェクト20及び付加情報40の位置関係を説明するための図である。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、図1に示すように、商品などのオブジェクト20がディスプレイされるディスプレイ空間10(すなわち、現実空間)の背面に設けられたバックライト装置100と、ディスプレイ空間10の前面に設けられたマーク画像30を潜像化するための液晶パネル200と、潜像化されたマーク画像30を可視化しつつ、当該マーク画像30に基づいてオブジェクト20に関する付加情報40を表示する撮像カメラ機能付き携帯用端末装置(以下、単に「携帯用端末装置」という。)300と、を有している。特に、ディスプレイ空間10は、ショーウィンドウなどのガラスまたはアクリルなどの透明なケースで閉じられた空間であり、液晶パネル200は、当該ディスプレイ空間10の前面に設けられている。
なお、例えば、本実施形態のバックライト装置100は、本発明の入光手段を構成し、液晶パネル200は、本発明の潜像化手段を構成する。また、例えば、本実施形態の携帯用端末装置300は、本発明の撮像装置を構成する。
携帯用端末装置300は、基地局BSを介してネットワークNに接続することができるように構成されており、付加情報40を表示するための画像データ(以下、単に「画像データ」という。)、マーク画像30を認識するためのデータ(以下、「マーカデータ(参照用データ)」という。)及び付加情報40のディスプレイ空間10におけるマーク画像30の位置との相対的な位置関係を示す位置座標のデータ(以下、単に「相対座標データ」という。)をデータベース400から予め取得するようになっている。そして、液晶パネル200は、バックライト装置100の第1偏光光を照射する領域(以下、「偏光光出領域」ともいう。)50を透過した際に、人間にはその変化を認識することができない偏光光の一部を旋光させて、ディスプレイ空間10を視認可能に形成されたパネル表示領域60にマーク画像30を潜像化させるようになっている。そして、携帯用端末装置300は、マーク画像30が潜像化されたディスプレイ空間10を撮像すると、液晶パネル200によって旋光された偏光光の旋光度を光の透過率に変換してマーク画像30を視覚化するとともに、視覚化されたマーク画像30に基づいて、ネットワークNを介してデータベース400から取得した付加情報40を、携帯用端末装置300に形成された画像表示領域70に、マーク画像30及びオブジェクト20を有するディスプレイ空間画像IMを表示するようになっている。
例えば、バックライト装置100は、偏光光出力領域50を透過し、図2(a)に示すような均一な方向にのみ振動する偏光光をディスプレイ空間10に照射するようになっており、当該ディスプレイ空間10の前面にある液晶パネル200は、入光された第1偏光光を用いてパネル表示領域60において図2(b)に示すようなマーク画像30をディスプレイ空間10の前面に潜像化させるようになっている。そして、このマーク画像30が潜像化されたディスプレイ空間10を、携帯用端末装置300によって撮像すると、図2(c)に示すように、携帯用端末装置300は、潜像化されたマーク画像30を可視化して画像表示領域70に表示するようになっている。このとき、携帯用端末装置300は、表示したマーク画像30を解析してデータベース400から取得した付加情報40を表示する際のディスプレイ空間10上の位置を認識しつつ、図3に示すように、認識した位置に付加情報40を、撮像されたディスプレイ空間画像IMに重畳して表示するようになっている。
また、潜像化されるマーク画像30は、ディスプレイ空間画像IM内(すなわち、画像表示領域70)においてオブジェクト20との位置関係を定めるものである一方で、携帯用端末装置300によってディスプレイ空間10の前面のあらゆるポイント(撮像ポイント)から撮像される。このため、マーク画像30は、何れの角度であっても、また、撮像ポイントからの距離の長短があっても、一定にオブジェクト20との位置関係を定めるものでなければならない。そこで、本実施形態においては、マーク画像30が、上下及び左右の方向をそれぞれ個々に認識すること(すなわち、マークの姿勢を認識することが可能な回転非対称性の形状によって形成されている。例えば、図2(b)(c)に示すように、回転非対称性の形状とは、四角形と当該四角形の中に組み込まれた星形の二つの形状の組み合わせからなる形状である。ただし、この図形だけに限らず、45度、90度または180度などに形状の中心点を基準に回転したとしても、同一の形状とならない(重ならない)形状であればよい。
さらに、マーク画像30は、図4に示すように、ディスプレイ空間10内にディスプレイされたオブジェクト20とのディスプレイ空間10上の位置関係、すなわち、マーク画像30をディスプレイ空間10の座標系において原点(0,0,0)としたオブジェクト20の座標(x1、y1、z1)が的確に定義されて表示されるようになっている。そして、マーク画像30のディスプレイ空間10内の位置座標(以下、「3次元位置座標」ともいう。)を特定し、当該マーク画像30の3次元位置座標に基づいて付加情報40のディスプレイ空間10上の3次元位置座標(x2、y2、z2)を定めれば、当該付加情報40においてもディスプレイ空間10内においてオブジェクト20との位置関係を的確に規定した状態で表示することが可能となる。そこで、本実施形態では、マーク画像30のディスプレイ空間10上の位置を特定しつつ、当該特定された位置に基づいて付加情報40の表示するディスプレイ空間10上の位置を相対座標データとして提供し、オブジェクト20に対して適した位置に付加情報40を表示することができるようになっている。
このように、付加情報可視化制御システムSは、付加情報40をディスプレイ空間10に仮想的に存在させてユーザに視覚させることができる構成を有しており、付加情報40をユーザに確実に視認させることができるとともに、オブジェクト20またはそのディスプレイ空間10における外観上の意匠性を損なわせることなく、かつ、デザインの拡張性を向上させることができるようになっている。
なお、本実施形態においては、マーク画像30が携帯用端末装置300において明瞭に可視化されるために、携帯用端末装置300に表示されるマーク画像30とその他の部分の画像、すなわち、撮像されたディスプレイ空間画像IMとのコントラスト比が大きくなるように、液晶パネル200は、マーク画像30のデータ(以下、「マーク画像データ」という。)に基づいてマーク画像30を潜像化させるようになっている。特に、マーク画像30は、黒色で表示することが最適であるが、携帯用端末装置300においてユーザが明瞭にマーク画像30を視覚することができればこれに限られない。
[バックライト装置]
次に、上述の図1を用いて本実施形態のバックライト装置100について説明する。
バックライト装置100は、ディスプレイ空間10を背面から照射する照明ユニット110と、照明ユニット110から照射された光を偏光させる偏光板120と、を有している。
[液晶パネル]
次に、上述の図1及び図5を用いて本実施形態の液晶パネル200の構成及び各部の動作を詳細について説明する。なお、図5は、本実施形態におけるバックライト装置100から照射される偏光光(以下、「第1偏光光」という。)と潜像形成領域62内において旋光される第1偏光光の一部の偏光光(以下、「第2偏光光」という。)の偏光方向の例を示す図である。
液晶パネル200は、複数の画素(ピクセル)から構成されたバックライト装置100の照射エリアと同等以上の透過領域61と、この透過領域61の一部であって第1偏光光の一部を旋光させてマーク画像30を潜像化させるための潜像形成領域62と、を有している。特に、この液晶パネル200は、上述のように、携帯用端末装置300においてマーク画像30がディスプレイ空間画像IM上に重畳表示されるように、透過領域61の左隅に潜像形成領域62を有している。そして、この液晶パネル200は、具体的には、入光された偏光光の一部を旋光させるためのパネル部210と、当該パネル部を駆動する駆動制御部220と、を有している。
パネル部210は、一対のガラス基板(以下、「第1ガラス基板」及び「第2ガラス基板」という。)211、212と、一対のガラス基板間に狭持される一対の透明電極(以下、「第1透明電極」及び「第2透明電極」ともいう。)213、214と、一対の透明電極間に狭持される一対の配向層(以下、「第1配向層」及び「第2配向層」ともいう。)215、216と、一対の配向層間に狭持される液晶層217と、によって形成される。
特に、液晶層217は、第1配向層215及び第2配向層216の間において所定の角度(具体的には90度)でねじられて配向されている液晶分子を有している。そして、この液晶層217は、潜像形成領域62の領域以外を透過する偏光光については、ねじられて配向された液晶分子に沿って、バックライト装置100から入光された偏光光を旋光度が90度となるように通過させる。その一方、この液晶層217は、駆動制御部に入力されたマーク画像データに基づく前記第1透明電極213及び第2透明電極214の制御に従って、入光された第1偏光光の一部である潜像形成領域62を透過する第1偏光光の旋光度を画素毎に調整し、マーク画像30を潜像化するようになっている。例えば、この液晶層217は、マーク画像30をディスプレイ空間10内に潜像化させるために、偏光光を0度(第1偏光光が液晶層217に入光される角度)から90度の範囲で旋光度を画素毎に調整するようになっている。
また、パネル部210は、列方向に沿ってのびるm列のデータ線(図示しない)と、図示しない行方向に沿ってのびるn行の走査線(図示しない)と、の交差部(すなわち画素)毎に液晶層を制御し、駆動制御部220に入力されたマーク画像データによって選択された走査線およびデータ線からの信号に基づいて、第1透明電極213及び第2透明電極214を制御して潜像形成領域62の各画素における第1偏光光の旋光度を個々に制御するようになっている。
例えば、上記の図2に示すように、潜像形成領域62が透過領域61の左隅に形成されている場合であって、バックライト装置100から照射された第1偏光光が図5(a)に示す方向に偏光されている場合には、液晶層217は、図5(b)に示すように、潜像形成領域62を通過する第1偏光光においては、入力された第1偏光光の旋光度を基準に0度(携帯用端末装置300には黒として表示される旋光度)から最大90度(携帯用端末装置300にはマーク画像30の背面のディスプレイ空間10がそのまま表示される(透過表示される)旋光度)に偏光するように旋光度を調整するようになっている。また、この場合において、液晶層217は、潜像形成領域62の領域外を通過する第1偏光光においては、図5(a)(b)に示すように、第1配向層215及び第2配向層216の作用により90度に旋光させて透過させるようになっている。
すなわち、本実施形態においては、潜像形成領域62の領域外を通過する第1偏光光においては、第1透明電極213及び第2透明電極214には電圧が印可されないので(すなわち、データ線及び走査線によって第1透明電極213及び第2透明電極214の電圧がOFFとなるので)、液晶層217は駆動できずに、図5(a)(b)に示すように90度ねじられて配向している液晶分子に沿って第1偏光光を90度旋光させるようになっている。一方、マーク画像30は、携帯用端末装置300において可視化されるために、潜像形成領域62の領域内を通過する第1偏光光(すなわち、第2偏光光)においては、駆動制御部220に入力されたマーク画像データに基づいて、第1透明電極213及び第2透明電極214に電圧が印可されるので(すなわち、データ線及び走査線によって第1透明電極213及び第2透明電極214の電圧がONとなるので)、図5(a)(b)に示すように画素毎に液晶層217を個々に駆動させ、入力された第1偏光光の旋光度を基準に旋光度が0度から90度の範囲で調整されるようになっている。
なお、図4(b)においては、マーク画像30は、旋光度が90度偏光した部分(透過)と旋光度が0度の部分(遮断)から形成された単純な画像であるが、所定の階調によってグレースケールを有するマーク画像30が形成されていてもよい。
また、液晶層217の各画素は、第1透明電極213及び第2透明電極214によって駆動制御されるので、マーク画像30を潜像化させる潜像形成領域62は、上記の左隅に固定されることはなく、適宜、入光した第1偏光光が透過する液晶層217内の領域であればどの領域であってもよいし、潜像化する画像の内容も変化させることができるようになっている。
駆動制御部220は、上記の図1に示すように、複数のデータ線を介して各画素に該当する液晶層217を制御するデータ線駆動回路221と、複数の走査線を介して各画素に該当する液晶層217を制御する走査線駆動回路222と、パネル部210に表示するマーク画像データを一時的に記憶するメモリ回路223と、各部を制御する制御回路224と、を備えている。
データ線駆動回路221は、制御回路224の制御の下、m列の複数のデータ線を有し、入力されたマーク画像データに基づいて該当するデータ線を選択するようになっている。また、走査線駆動回路222は、制御回路224の制御の下、n行の複数の走査線を有し、入力されたマーク画像データに基づいて該当する走査線を選択するようになっている。
制御回路224は、上記の各部を統括制御するようになっている。特に、この制御回路224は、マーク画像データを、各画素の液晶層217における旋光度を制御するためのマトリクスデータに変換し、当該変換されたマトリクスデータに基づいてデータ線駆動回路221及び走査線駆動回路222を制御するようになっている。また、メモリ回路223には、パネル部210に表示するためのマーク画像データがPC500から制御回路224を介して供給され、当該供給されたマーク画像データが内部に記憶される。
[携帯用端末装置]
次に、上述の図1及び図6を用いて本実施形態の携帯用端末装置300について説明する。なお、図6は、本実施形態における携帯用端末装置300の機能を示す機能ブロック図である。
携帯用端末装置300は、例えば、携帯用電話機、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)またはタブレット型携帯用端末装置などの携帯可能な通信端末装置である。携帯用端末装置300は、基地局BSを介してネットワークNに接続することができるように構成されている。
構造的には、携帯用端末装置300は、図1に示すように、筐体310と、背面(すなわち、液晶パネル200と対向する面)に設けられた偏光フィルタ320と、偏光フィルタ320を介して液晶パネル200の透過領域61を撮像するためのカメラユニット330と、前面(すなわち、液晶パネル200と対向する面と反対の面)にカメラユニット330によって撮像されたディスプレイ空間10などの画像を表示する表示パネル340と、を有している。
特に、カメラユニット330は、光電変換する撮像素子(以下、「CCD」という)と、当該CCDを格納する筐体及び撮像レンズなどのカメラ機構と、を備え、操作部357の操作に基づいて、CCDに形成された所定の被写範囲の影像を所定の画像データに変換し、表示パネル340に表示させる。また、カメラユニット330は、データ処理部360の制御の下、付加情報可視化制御処理時に、撮像した画像、すなわち、ディスプレイ空間10の画像(具体的には、キャプチャされた画像)を画像解析処理部に出力するようになっている。
また、偏光フィルタ320は、第1偏光光を透過するとともに、第2偏光光については、液晶パネル200において画素毎に旋光された第2偏光光の旋光度に基づいて当該第2偏光光の透過率を制御するようになっている。すなわち、偏光フィルタ320は、第1偏光光と平行となるように配置され、潜像化されたマーク画像30に基づく第2偏光光の旋光度に対応させてその透過率を制御するようになっている。なお、偏光フィルタ320は、筐体310に固定されて形成されていてもよいし、筐体310から着脱可能に形成されていてもよい。
一方、携帯用端末装置300は、マーク画像30を可視化しつつ、当該マーク画像30に基づいてディスプレイ空間10における付加情報40を表示させるためのアプリケーションプログラムを搭載している。アプリケーションプログラムは、携帯用端末装置300が有する種々のハードウェアと協働し、
(1)携帯用端末装置300の現在位置及び撮像方向に基づいて、画像データ、マーカデータ及び相対座標データ(以下、「付加情報表示用データ」ともいう。)をデータベース400から取得するデータ取得処理、
(2)カメラユニット330によって所定の領域を撮像させつつ、撮像された画像(すなわち、ディスプレイ空間画像IM)を解析して可視化されたマーク画像30を認識する画像解析処理、
(3)認識されたマーク画像30のディスプレイ空間10上の位置座標を特定するとともに、オブジェクト20に付加する付加情報40のディスプレイ空間10上の位置座標を特定する座標認識処理、及び、
(4)特定された付加情報40のディスプレイ空間10上の位置座標を、表示パネル340の画像表示領域70上の位置座標に変換しつつ、ディスプレイ空間画像IMに重畳して表示する付加情報表示処理、
の各種の処理を含む付加情報可視化制御処理を実行するためのプログラムである。
携帯用端末装置300は、上述の各処理を行うために、図6に示すように、データベース400との通信を行う通信インターフェース351と、取得した付加情報表示用データが記憶されるデータ記憶部352と、上記のデータ取得処理画像解析処理、座標認識処理及び付加情報表示処理の各処理を行うデータ処理部360と、を有している。また、携帯用端末装置300は、種々の画像を表示する表示パネル340と、表示パネル340における種々の描画を制御する描画制御部354と、現在位置を検出する現在位置検出部355と、カメラユニット330によって撮像している方向を検出する方向検出部356と、ユーザの操作を入力するための操作部357と、全体を制御する端末管理制御部359と、各種のプログラムを記憶するとともに各プログラムが実行される際に用いられるメモリ機能を有するROM/RAM358と、を有し、各部材は、バスBによって互いに接続されている。
なお、例えば、本実施形態の通信インターフェース351は、本発明の取得手段を構成し、カメラユニット330は、本発明の読取手段を構成する。また、本発明のデータ記憶部352は、本発明の記憶手段を構成し、データ処理部360は、本発明の取得手段、認識手段、制御手段、算出手段及び特定手段を構成する。
通信インターフェース351は、データ処理部360の制御の下、アンテナATを有し、ネットワークNに接続される基地局BSを介してデータベース400と通信回線を構築して付加情報表示用データなどの種々のデータの授受を行う。
データ記憶部352には、データ処理部360の制御の下、通信インターフェース351によって取得された付加情報表示用データが記憶される。
データ処理部360は、付加情報可視化制御処理を実行するアプリケーションプログラム(以下、「付加情報可視化制御プログラム」ともいう。)によって実行される付加情報可視化制御処理を実現するようになっている。例えば、データ処理部360は、ROM/RAM358に記録された付加情報可視化制御プログラムによって携帯用端末装置300の各部を制御しつつ、通信インターフェース351、カメラユニット330、描画制御部354及び操作部357と連動して、または、これらを制御して上述の各種の処理を実行する。
具体的には、データ処理部360は、付加情報可視化制御プログラムを起動することによって、上述の各処理を実行するデータ取得処理部361、画像解析処理部362、座標認識処理部363及び付加情報表示処理部364を構築する。なお、例えば、本実施形態のデータ取得処理部361は、本発明の取得手段を構成し、画像解析処理部362は、認識手段を構成する。また、本実施形態の座標認識処理部363は、算出手段及び特定手段を構成し、付加情報表示処理部364は、本発明の制御手段を構成する。また、データ処理部360における各部の動作の詳細については、後述する。
表示パネル340は、所定のサイズの画像表示領域70を有し、例えば、液晶素子またはEL(Electro Luminescence)素子のパネルによって構成される。そして、表示パネル340は、描画制御部354において生成された描画データに基づいて所定の画像を表示するようになっている。特に、本実施形態では、表示パネル340は、上記の付加情報可視化制御プログラムが実行されている際に、描画制御部354の制御の下、データ処理部360、カメラ制御部及び操作部357と連動しつつ、ディスプレイ空間画像IM、マーク画像30及び付加情報40を表示するようになっている。
描画制御部354は、端末管理制御部359の制御の下またはデータ処理部360の制御の下、表示パネル340に所定の画像を描画させるために必要な描画データを生成するようになっており、生成された描画データを当該表示パネル340に出力するようになっている。
現在位置検出部355は、付加情報可視化制御プログラムの実行中に、データ処理部360の制御の下、ネットワークNを介してGPS衛星の位置を認識しつつ、当該GPS衛星から送信された衛星信号(GPS信号)を検出し、当該検出されたGPS信号に基づいて携帯用端末装置300の現在位置の座標値を算出(すなわち、検出)する。そして、この現在位置検出部355は、この算出された座標値を位置情報としてデータ処理部360に提供するようになっている。ただし、携帯用端末装置300が、電話機能を有している場合には、電話に用いる電波を電話基地局において受信した方角と電波強度に基づいて当該携帯用端末装置300の現在位置を算出してもよい。
方向検出部356は、微弱な地磁気を検知する磁気センサと、重力の方向を検出する加速度センサとから形成されており、付加情報可視化制御プログラムの実行中に、データ処理部360の制御の下、カメラユニット330の撮像方向を検出し、検出した方向を方向情報としてデータ処理部360に提供するようになっている。
操作部357は、各種の確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキーなどの多数のキー及び表示パネル340上に設けられたタッチセンサにより構成され、各操作を行う際に用いられるようになっている。具体的には、操作部357は、付加情報可視化制御プログラムの起動時にカメラユニット330による撮像その他の処理を実行するための操作を行う際に用いられるようになっている。
端末管理制御部359は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、携帯用端末装置300の全般的な機能及び付加情報可視化制御プログラムを実行するための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
ROM/RAM358には、携帯用端末装置300として機能するための各種の制御プログラムが記録されているとともに、付加情報可視化制御プログラムが記録されている。また、このROM/RAM358は、各種の処理が実行される際のワークエリアとして用いられる。
2.付加情報表示用データ
次に、本実施形態の付加情報表示処理で用いられる付加情報表示用データについて説明する。
画像データは、付加情報表示処理が実行される際に表示パネル340に付加情報40として表示される画像を生成するためデータであり、撮像されたディスプレイ空間画像IMに、該当するオブジェクト20の画像位置に対応付けられて表示される画像を生成するための各種のデータから構成される。具体的には、画像データには、画像として表示するためのコンテンツ情報の他に、コンテンツの画像表示領域70のサイズなどのディスプレイ空間画像IMに重畳表示する際に必要なパラメータのデータが含まれる。例えば、画像データには、オブジェクト20としてのディスプレイ商品の商品名称、価格、種別毎の在庫情報などを示すテキスト、当該テキストのフォント、大きさ及び色などのテキストの表示制御をする書式、写真または動画像などのコンテンツ、当該コンテンツの表示領域に対するサイズなど、ディスプレイ空間10内にタグ的に画像として表示させるデータが含まれる。なお、コンテンツ情報には、写真などの静止画像の他に、使用例の説明VTRなどの動画像も含まれる。また、一の画像データは、単一のコンテンツから構成されているデータであってもよいし、複数のコンテンツから形成されているデータであってもよい。
マーカデータは、画像解析処理が実行される際にカメラユニット330によって撮像されたディスプレイ空間画像IMの中から可視化されて表示されているマーク画像30を認識するためのデータであり、マーク画像30と同一の画像パターンのデータである。具体的には、このマーカデータは、各画素の二値化データなどのマーク画像30が正規化された際の画像と同一画像を形成する各画素のデータである。
相対座標データは、ディスプレイ空間10上のマーク画像30の位置座標に基づく付加情報40を表示するディスプレイ空間10上の位置座標のデータである。具体的には、相対座標データは、上述の図4に示すように、マーク画像30の位置座標を原点としたX座標、Y座標及びZ座標からなる3次元の位置座標データである。なお、例えば、この3次元位置座標は、付加情報40を画像として表示する際の中心を示すが、これに限られず、表示する付加情報40の画像における左上または右下などの位置を示してもよい。
3.データ処理部の詳細
次に、図3及び図6を用いて本実施形態のデータ処理部360における各部の構成及びその動作の詳細について説明する。
データ取得処理部361は、ユーザによる操作部357の操作に基づいて、通信インターフェース351と連動してデータベース400から画像データ、マーカデータ及び相対座標データの付加情報表示用データの各データを取得してデータ記憶部352に記憶するようになっている。具体的には、データ取得処理部361は、付加情報可視化制御プログラムが起動させることによって、カメラユニット330によるディスプレイ空間10の撮像の開始を検出すると、現在位置検出部355を制御して携帯用端末装置300の現在位置の座標値を取得するとともに、方向検出部356を制御して検出されたカメラユニット330の撮像方向を示す方向情報を取得するようになっている。そして、データ取得処理部361は、通信インターフェース351を介してデータベース400から現在位置及び方向情報に基づいて特定される付加情報表示用データを取得するようになっている。
なお、データ取得処理部361は、例えば、BLUETOOTH(IEEE:the Institute of Electrical and Electronics Engineers 802.15/登録商標)やWi−Fi(IEEE802.11シリーズ/登録商標)などの近距離無線通信によってデータベース400から付加情報表示用データの各データを直接取得してデータ記憶部352に記憶してもよい。この場合には、通信インターフェース351は、所定の通信回路を有し、データ取得処理部361の制御の下、データベース400の所定の通信距離範囲に属した際に、所定の認証その他の接続処理(例えば、ペアリング)を実行して通信回線を接続するようになっている。そして、データ取得部361は、接続された通信回路を介して付加情報表示用データの各データを直接取得してデータ記憶部352に記憶してもよい。
画像解析処理部362は、カメラユニット330によって撮像されたディスプレイ空間画像IMを解析し、データ記憶部352に記憶されたマーカデータに基づいて当該ディスプレイ空間画像IMからマーク画像30を認識するようになっている。具体的には、画像解析処理部362は、認識対象画像であるディスプレイ空間画像IMに対してテンプレートを用いて正規化相関係数によるテンプレートマッチングを行うようになっている。具体的には、画像解析処理部362は、空間画像に対して二値化処理を実行し、カメラユニット330によって生じた歪みを補正しつつ、該当する領域に対して予め算出された変換行列を用いて透視変換を実行するようになっている。この該当する領域とは、テンプレートとして用いられる画像に該当する領域を言い、本実施形態では、マーク画像30と同一の画像がテンプレートであるので、すなわち、中央部に回転非対称性の形状を有する四角形がテンプレートとなるので、画像解析処理部362は、二値化された空間画像から四角形領域を補正しつつ抽出し、抽出した四角形領域に対して透視変換を実行するようになっている。そして、画像改正処理部362は、透視変換された領域からテンプレートに類似する領域をマーク画像30として認識するようになっている。
なお、画像解析処理部362におけるテンプレートを用いたマッチングの詳細については、加藤博一、Mark Billinghurst、浅野浩一、橘啓八郎共著「マーカ追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション」日本バーチャルリアリティ学会論文誌Vol.4、No.4(1999年)及び加藤博一著「拡張現実感システム構築ツールARToolKitの開発」電子情報通信学会 信学技報 PRMU 2001−232(2002−2)に記載されている。
座標認識処理部363は、認識されたマーク画像30の中心における2次元位置座標、すなわち、画像表示領域70の座標系における位置座標を特定するとともに、予め算出してある変換行列に基づいて画像表示領域70上の2次元座標系を、テンプレートとのサイズ差を考慮しつつ、ディスプレイ空間10の座標系におけるマーク画像30の中心の3次元位置座標への透視変換を実行し、マーク画像30の中心の3次元位置座標を特定するようになっている。また、座標認識処理部363は、データ記憶部352に記憶された相対座標データに基づいて付加情報40を表示するディスプレイ空間10上の3次元位置座標を認識するとともに、予め算出してある変換行列に基づいてディスプレイ空間10の座標系における付加情報40を表示する3次元位置座標から画像表示領域70上の2次元位置座標に透視変換(透視逆変換)を実行して付加情報40の表示する2次元位置座標を特定するようになっている。
付加情報表示処理部364は、座標認識処理部363によって認識された付加情報40を表示する2次元位置座標とデータ記憶部352に記憶された画像データに基づいて、描画制御部354及び当該描画制御部354を制御し、付加情報40を画像としてディスプレイ空間画像IMに重畳させて表示パネル340の画像表示領域70に表示させるようになっている。具体的には、付加情報表示処理部364は、認識された付加情報40を表示するための2次元位置座標に基づいて、画像データに含まれるテキスト及び画像などのパラメータデータ及びコンテンツデータを制御し、画像として表示されるサイズを特定しつつ、上述の図3に示すように付加情報40を表示させるようになっている。
なお、付加情報表示処理部364は、付加情報40における表示上のサイズの特定においては、パラメータデータに含まれる予め定められた付加情報40のサイズとディスプレイ空間10内の位置に基づいて、当該付加情報をディスプレイ空間画像IM(2次元画像)系に上記の変換行列を用いて透視変換を実行して当該付加情報40の表示サイズを特定するようになっている。ただし、付加情報表示処理部364は、この特定方法に代えて、パラメータデータに含まれる携帯用端末装置300とマーク画像30のディスプレイ空間10内における予め定められた基準距離と付加情報40のサイズの情報を参照し、パラメータデータに含まれる基準距離と、ディスプレイ空間内の携帯用端末装置300及びマーク画像30の実距離に反比例させて、すなわち、基準距離より実距離が短い場合には、付加情報40のサイズパラメータデータに含まれる標準サイズより大きくし、基準距離より実距離が長い場合には、付加情報40のサイズパラメータデータに含まれる標準サイズより小さくするように付加情報40の表示サイズを特定してもよい。
[付加情報可視化制御処理]
次に、図7を用いて本実施形態の携帯用端末装置300における付加情報可視化制御処理について説明する。なお、図7は、本実施形態における付加情報可視化制御処理の動作を示すフローチャートである。
まず、端末管理制御部359が、ユーザによる操作部357への操作によって付加情報可視化制御プログラムの起動を検出すると(ステップS101)、カメラユニット330が起動してディスプレイ空間10の撮像を開始する(ステップS102)。なお、描画制御部354は、カメラユニット330における撮像が開始されると、カメラユニット330によって撮像された画像を表示パネル340に表示させる。
次いで、データ取得処理部361は、携帯用端末装置300の現在位置を示す現在位置情報及びカメラユニット330の撮像方向を示す方向情報を取得し、当該取得した現在位置情報及び方向情報に基づいて、データベース400から通信インターフェース351を介して、画像データ、マーカデータ及び相対座標データを含む付加情報表示用データを取得してデータ記憶部352に記憶する(ステップS103)。
次いで、画像解析処理部362は、カメラユニット330によって撮像され、表示パネル340に表示されたディスプレイ空間画像IM(一フレームの画像)をキャプチャし、データ記憶部352に記憶されたマーカデータに基づいて当該ディスプレイ空間画像IMの解析処理を実行する(ステップS104)。
次いで、画像解析処理部362は、ディスプレイ空間画像IM内にマーク画像30の有無を判断する(ステップS105)。例えば、画像解析処理部362は、マーク画像30の候補として上述のように抽出した四角形領域を正規化しつつ、テンプレートとの類似度を算出し、最も類似度の高い四角形領域をマーク画像30と認識する。ただし、画像解析処理部362は、当該算出された類似度が予め定められた閾値以下の場合には、マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在しない(すなわち、認識できない)と判断する。
なお、当該マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在すると(認識できたと)判断した場合には(ステップS105:Yes)、ステップS106の処理に移行し、当該マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在しないと(認識できないと)判断した場合には(ステップS105:No)、ステップS109の処理に移行する。
次いで、座標認識処理部363は、マーク画像30の中心における画像表示領域70上の2次元位置座標を特定するとともに、予め定められた変換行列を用いて当該2次元位置座標をディスプレイ空間10上の3次元位置座標を特定する(ステップS106)。
次いで、座標認識処理部363は、認識されたマーク画像30の中心における3次元位置座標とデータ記憶部352に記憶された相対座標データに基づいて、オブジェクト20空間上の付加情報40を表示するための3次元位置座標を特定する(ステップS107)。
次いで、付加情報表示処理部364は、付加情報40のオブジェクト20空間上の3次元位置座標を予め定められた変換行列を用いて画像表示領域70上の2次元座標に変換して特定しつつ、特定された付加情報40の2次元位置座標とデータ記憶部352に記憶された画像データに基づいて、付加情報40を表示パネル340に表示する(ステップS108)。このとき、付加情報表示処理部364は、描画制御部354を制御し、画像データに基づいて、サイズ、テキスト及び画像などのパラメータデータ及びコンテンツデータを制御して、図3に示すように、付加情報40を表示させる。
最後に、データ取得処理部361は、操作部357によって付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行されたか否かを判断し(ステップS109)、付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行されていない場合には(ステップS109:No)、ステップS103の処理に移行し、付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行された場合には(ステップS109:Yes)、カメラユニット330における撮像を中止して(ステップS110)本動作を終了させる。
[作用効果]
以上、本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、マーカとして機能するマーク画像30をディスプレイ空間10に潜像化させることによって、カメラユニット330で撮像をしない限り視覚化することができない構成にする一方で、付加情報40を要求するユーザに対しては、カメラユニット330の表示パネル340に表示させることができる。したがって、本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、付加情報40を確実に視認させつつ、ディスプレイ空間10における意匠性を損なわせることなく、かつ、デザインの拡張性を向上させることができるとともに、マーカの生成及び変更の容易性並びにその表示の的確性を向上させることができる。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、付加情報40を表示するためのマーカを画像によって形成し、ディスプレイ空間10の任意の位置に表示させることができるとともに、マーカを用いて付加情報40を表示する位置とオブジェクト20の位置関係を的確に認識させることができるので、マーク画像30とオブジェクト20とのディスプレイ空間10内における位置を的確に設定することによって、マーカの生成及び変更の容易性並びにその表示の的確性を向上させることができる。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、マーク画像30のディスプレイ空間10上の位置座標に基づいて付加情報40を表示するためのディスプレイ空間10における位置を特定することができるとともに、マーク画像30とオブジェクト20のディスプレイ空間10における位置関係が的確に規定されていることが前提となるので、付加情報40をオブジェクト20の関係において適切な表示位置に表示させることができる。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、データベース400から付加情報40を提供しているので、当該付加情報40を一元管理することができるとともに、付加情報40のメンテナンスの容易性を向上させること、最新の付加情報40を容易に提供すること及び付加情報40を提供する際の撮像装置の処理負荷を低減させることができる。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、カメラユニット330において撮像を開始すれば、携帯用端末装置300の現在位置及び撮像方向に基づいてマーク画像30を認識するためのマーカデータをデータベース400から取得することができるので、ユーザ操作の容易性を向上させることができる。
本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、マーク画像30に回転非対称性のマークを用いているので、マーク画像30があらゆる方向から撮像されたとしても、当該マーク画像30を認識することができる。
[変形例]
次に、本実施形態の付加情報可視化制御システムSにおける変形例を説明する。
上記の第1実施形態においては、液晶パネル200がディスプレイ空間10の前面に設けられているが、当該ディスプレイ空間10の背面に設けられていてもよい。ただし、この場合であっても、バックライト装置100からの第1偏光光が入光されるように、液晶パネル200は、バックライト装置100の前面に設けられる。
また、上記の第1実施形態においては、付加情報可視化制御システムSは、ショーウィンドウなどのガラスまたはアクリルなどの透明なケースで閉じられたディスプレイ空間10に適用させるようになっているが、商品がディスプレイさせている棚などのオープンな空間においても同一の構成によって適用させることができるようになっている。
また、上記の第1実施形態の携帯用端末装置300は、付加情報可視化制御プログラムを起動するときに、カメラユニット330を起動させて認識された携帯用端末装置300の現在位置情報及び方向情報に基づいてデータベース400から付加情報表示用データを取得するようになっているが、カメラユニット330を起動する前に、ユーザの操作または付加情報可視化制御プログラムに沿って取得すべき付加情報表示用データをデータベース400から取得するようにしてもよい。この場合には、ユーザ操作によって付加情報40可視化表示処理を実行する際に、取得した付加情報表示用データを指定するようになっている。
また、上記の第1実施形態の液晶パネル200において、第2ガラス基板212と第2透明電極214の間に各画素に対応して配色されたカラーフィルタを有してもよい。この場合は、マーク画像30をカラー化することができるので、種々の画像又は情報をマーク画像30として提供することができる。
また、上記の第1実施形態の付加情報可視化制御システムSにおいて、第1偏光光と、前記潜像化されたマーク画像30を形成するための第2偏光光と、をそれぞれ円偏光に変換する第1の1/4波長板を有するとともに、携帯用端末装置300の偏光フィルタ320の液晶パネル200側の面に、円偏光に変換された第1偏光光及び第2偏光光をそれぞれ直線偏光に変換する第2の1/4波長板を有してもよい。具体的には、図1において、第2ガラス基板212の携帯用端末装置300の側の面に1/4波長板を配置し、偏光フィルタ320の液晶パネル200側の面に1/4波長板を追加して設置することとなる。こうすることにより、携帯用端末装置300と液晶パネル200の間においては、第1偏光光及び第2偏光光を円偏光させることができるので、第1偏光光及び第2偏光光の光強度の変化に耐性ができるとともに、マーク画像30を明瞭に提供することができる。また、この場合においては、携帯用端末装置300を使用し、どの角度で液晶パネル200を撮像しても、マーク画像30の明・暗が変化しなくなるので利便性がよくなる。
また、上記の第1実施形態の付加情報可視化制御システムSにおいては、ネットワークNを介してデータベースから付加情報表示用データが取得されてデータ記憶部352に記憶されるようになっているが、フラッシュメモリなどの携帯用端末装置300に着脱可能な記憶媒体に予め記憶された各種のデータを用いて付加情報を表示するようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態の付加情報可視化制御システムSにおいて、携帯用端末装置300は、偏光フィルタ320を有するカメラユニット330に加えて、さらに、当該カメラユニット330と異なる別のカメラユニット(偏光フィルタ無しのカメラユニットであって、カメラユニット330と区別するために、以下、「第2カメラユニット」という。)を有していてもよい。この場合には、携帯用端末装置300は、端末管理制御部359の下、操作部357及び描画制御部354と連動しつつ、カメラユニット330と第2カメラユニットの使用切換を行うことができるように構成されている。そして、カメラユニット330によってディスプレイ空間10を撮像した場合には、表示パネル340は、図3に示すように、マーク画像30及び付加情報40を表示する。その一方で、第2カメラユニットによってディスプレイ空間10を撮像した場合には、偏光フィルタが無いため、第2偏光光を認識することができないので、表示パネル340は、マーク画像30及び付加情報40を表示できず、オブジェクト20を表示するだけである。
<第2実施形態>
次に、図8及び図9を用いて本発明に係る付加情報可視化制御システムSの第2実施形態について説明する。
本実施形態において、マーク画像30は、付加情報表示用データが組み込まれた2次元コードによって形成されているとともに、携帯用端末装置300は、第1実施形態におけるデータ処理部360におけるデータ取得処理部361に代えて2次元コード解析部371を有している点に特徴がある。なお、本実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一の部材については、同一の番号を付してその説明を省略する。なお、2次元コードとは、マトリックス型の2次元コードであり、例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)とも呼ばれる。
[データ処理部]
本実施形態の携帯用端末装置300のデータ処理部370は、ディスプレイ空間画像IM上にマーク画像30として2次元コードを認識すると、当該認識した2次元コードを解析して画像データ、マーカデータ及び相対座標データの付加情報表示用データを取得するようになっている。
具体的には、データ処理部370は、付加情報可視化制御プログラムを起動することによって、図8に示すように、2次元コード解析部371、画像解析処理部362、座標認識処理部363及び付加情報表示処理部364を構築する。なお、例えば、本実施形態の2次元コード解析部371は、本発明の取得手段を構成し、画像解析処理部362は、認識手段を構成する。また、本実施形態の座標認識処理部363は、算出手段及び特定手段を構成し、付加情報表示処理部364は、本発明の制御手段を構成する。
2次元コード解析部371は、画像解析処理部362によってマーク画像30として2次元コードを識別された場合に、当該認識された2次元コードの画像を取得するとともに、取得した2次元コードをデコードとして、画像データ、マーカデータ及び相対座標データの付加情報表示用データを取得してデータ記憶部352に記憶するようになっている。
画像解析処理部362は、四角形上の2次元コードの角(例えば、3点)にある所定のパターンによって形成されている位置検出パターンをディスプレイ空間画像IM内からパターン認識し、当該2次元コードの部分の画像(以下、「2次元コード画像」という。)を識別するようになっている。
[付加情報可視化制御処理]
次に、図9を用いて本実施形態の携帯用端末装置300における付加情報可視化制御処理について説明する。なお、図9は、本実施形態における付加情報可視化制御処理の動作を示すフローチャートである。
まず、端末管理制御部359が、ユーザによる操作部357への操作によって付加情報可視化制御プログラムの起動を検出すると(ステップS201)、カメラユニット330が起動してディスプレイ空間10の撮像を開始する(ステップS202)。なお、描画制御部354は、カメラユニット330における撮像が開始されると、カメラユニット330によって撮像された画像を表示パネル340に表示させる。
次いで、画像解析処理部362は、カメラユニット330によって撮像されて表示パネル340に表示されたディスプレイ空間画像IM(一フレームの画像)をキャプチャし、データ記憶部352に記憶されたマーカデータに基づいて当該ディスプレイ空間画像IMの解析処理を実行する(ステップS203)。
次いで、画像解析処理部362は、ディスプレイ空間画像IM内にマーク画像30(すなわち、2次元コード)の有無を判断する(ステップS204)。例えば、画像解析処理部362は、上述のように、四角形上の2次元コード画像の角にある位置検出パターンを認識して2次元コード画像を識別する。ただし、画像解析処理部362は、位置検出パターンを認識できない場合には、マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在しない(すなわち、認識できない)と判断する。
なお、当該マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在すると(認識できたと)判断した場合には(ステップS205:No)、ステップS205の処理に移行し、当該マーク画像30がディスプレイ空間画像IM内に存在しないと(認識できないと)判断した場合には(ステップS204:No)、ステップS209の処理に移行する。
次いで、2次元コード解析部371は、識別された2次元コード画像を取得し、当該2次元コードをデコードするとともに、画像データ、マーカデータ及び相対座標データの付加情報表示用データを取得してデータ記憶部352に記憶する(ステップS205)。
次いで、座標認識処理部363は、2次元コードであるマーク画像30の中心における画像表示領域70上の2次元位置座標を特定するとともに、予め定められた変換行列を用いて当該2次元位置座標をディスプレイ空間10上の3次元位置座標を特定する(ステップS206)。
次いで、座標認識処理部363は、認識された2次元コードの中心における3次元位置座標とデータ記憶部352に記憶された相対座標データに基づいて、オブジェクト20空間上の付加情報40を表示するための3次元位置座標を特定する(ステップS207)。
次いで、付加情報表示処理部364は、付加情報40のオブジェクト20空間上の3次元位置座標を予め定められた変換行列を用いて画像表示領域70上の2次元座標に変換して特定しつつ、特定された付加情報40の2次元位置座標とデータ記憶部352に記憶された画像データに基づいて、付加情報40を表示パネル340に表示する(ステップS208)。このとき、付加情報表示処理部364は、描画制御部354を制御し、画像データに基づいて、サイズ、テキスト及び画像などのパラメータデータ及びコンテンツデータを制御して、図3に示すように、付加情報40を表示させる。
最後に、データ取得処理部361は、操作部357によって付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行されたか否かを判断し(ステップS209)、付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行されていない場合には、ステップS203の処理に移行し、付加情報可視化制御プログラムの終了操作が実行された場合には、カメラユニット330における撮像を中止して(ステップS210)本動作を終了させる。
[作用効果]
以上、本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、第1実施形態の効果に加えて、ネットワークNに接続する機能を有しない端末装置であっても、当該読取手段が搭載されていれば、付加情報40を提供することができるので、多くの携帯用端末装置300を当該システムの携帯用端末装置300として用いることができる。
また、本実施形態の付加情報可視化制御システムSは、付加情報40を一般化しつつある2次元コードによって提供することができるので、多くの携帯用端末装置300を当該システムの携帯用端末装置300として用いることができる。
[変形例]
次に、本実施形態の付加情報可視化制御システムSにおける変形例を説明する。
第1実施形態の変形例と同様に、第2実施形態の液晶パネル200が当該ディスプレイ空間10の背面に設けられていてもよい。ただし、この場合であっても、バックライト装置100からの第1偏光光が入光されるように、液晶パネル200は、バックライト装置100の前面に設けられる。
また、第1実施形態の変形例と同様に、商品がディスプレイさせている棚などのオープンな空間においても同一の構成によって適用させることができるようになっている。
また、第1実施形態の変形例と同様に、第2実施形態において、カメラユニット330を起動する前に、ユーザの操作または付加情報可視化制御プログラムに沿って取得すべき付加情報表示用データをデータベース400から取得するようにしてもよい。この場合には、ユーザ操作によって付加情報40可視化表示処理を実行する際に、取得した付加情報表示用データを指定するようになっている。
また、第1実施形態の変形例と同様に、第2実施形態の液晶パネル200において、第2ガラス基板212と第2透明電極214の間に各画素に対応して配色されたカラーフィルタを有してもよい。この場合は、マーク画像30をカラー化することができるので、種々の画像又は情報をマーク画像30として提供することができる。
また、第1実施形態の変形例と同様に、第2実施形態の付加情報可視化制御システムSにおいて、第1偏光光と、前記潜像化されたマーク画像30を形成するための第2偏光光と、をそれぞれ円偏光に変換する第1の1/4波長板を有するとともに、携帯用端末装置300の偏光フィルタ320の液晶パネル200側の面に、円偏光に変換された第1偏光光及び第2偏光光をそれぞれ直線偏光に変換する第2の1/4波長板を有してもよい。具体的には、図1において、第2ガラス基板212の携帯用端末装置300の側の面に1/4波長板を配置し、偏光フィルタの代わりに1/4波長板を使用することとなる。こうすることにより、携帯用端末装置300と液晶パネル200の間においては、第1偏光光及び第2偏光光を円偏光させることができるので、第1偏光光及び第2偏光光の光強度の変化に耐性ができるとともに、マーク画像30を明瞭に提供することができる。また、この場合においては、携帯用端末装置300を使用し、どの角度で液晶パネル200を撮像しても、マーク画像30の明・暗が変化しなくなるので利便性がよくなる。