JP5556030B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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Description

本発明は、コールドランナーを有する射出成形用金型に関するものである。
射出成形は、成形材料を加熱シリンダからスプルー、ランナー、およびゲートを介して、金型のキャビティ内へ加圧下で注入することにより成形するものである。近年では、急速なグローバル化に伴い、製造業においても競争が激化し、製品の低コスト化および高品質化の両立が必須の条件になっており、上記射出成形においては、多数個取りの金型を使用することで低コスト化を実現している。
しかしながら、上記多数個取りの手法では、成形材料である樹脂が様々な要因により各キャビティに均等に充填されないため、成形品のバラツキが発生し易く、成形品の品質が低下することが知られている。この原因の1つとしては、ランナー内における成形材料の流れが不均一であることが挙げられる。
例えば、非特許文献1に記載のように、成形材料である樹脂の粘性が高く、非ニュートン粘性に従う場合、上記樹脂は、非ニュートン流体として挙動し、ランナーの屈曲、分岐等に応じて屈曲すると、屈曲後の上記樹脂は、屈曲の内側を通過した部分が、屈曲の外側を通過した部分に比べて、速度および温度が高くなり、粘度が低くなる。以下、この現象を「内回り現象」と称する。
反対に、上記樹脂の粘性が低く、ニュートン粘性に従う場合、上記樹脂は、ニュートン流体として挙動し、ランナーの屈曲、分岐等に応じて屈曲すると、屈曲後の樹脂は、屈曲の外側を通過した部分が、屈曲の内側を通過した部分に比べて、速度および温度が高くなる。以下、この現象を「外回り現象」と称する。なお、樹脂が非ニュートン流体およびニュートン流体の何れとして挙動するかは、樹脂の種類、温度、圧力などに依存する。
そこで、上記成形材料の流れを均一化する種々の手法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の射出成形装置には、複数のホットランナノズルに連通するマニホルドチャンネルが設けられ、該マニホルド内に、螺旋状の溶融通路部分を備える溶融物再流通部材が配置されている。該溶融物再流通部材は、溶融物が流入すると、テーパ部分の入口により圧力が上昇し、樹脂通路の断面中央部では溶融物が大きな速度で流れ、断面外側部分では、螺旋状の通路を溶融物が流れ、何度も方向が変えられ、上記断面中央部を流れる溶融物と部分的に混合する。このことにより、上記溶融物再流通部材は、入口に比べて出口の方が、剪断圧力の性能が均一化されることになる。
特開2007−106120(2007年04月26日公開) 特開平06−226784(1994年08月16日公開) 特表2002−523263(2002年07月30日公表) 井上良徳,「3次元樹脂流動解析ソフトRemylop-Flowによる射出成形ランナーの流動解析」,豊田中央研究所R&Dレビュー,2001年3月,第36巻,第1号,p.25−30
しかしながら、特許文献1では、ホットランナー金型が利用されるため、金型が大型化し、かつ、コストが大幅に増加することになる。この問題点を回避するには、加熱手段または保温手段を有さないランナーであるコールドランナーを利用することが考えられる。しかしながら、コールドランナーの場合、射出成形後に、上記コールドランナー内に硬化した成形材料を除去する必要がある。このため、上記コールドランナーに特許文献1のような複雑な構造を設けると、上記硬化した成形材料を容易に除去できなくなる虞がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コールドランナーに簡単な構造を設けることにより、成形品の品質を改善できる射出成形用金型を提供することにある。
本発明に係る射出成形用金型は、コールドランナーを有する射出成形用金型において、上記の課題を解決するために、上記コールドランナーは、通過する成形材料を、進行方向に対し右回りまたは左回りに90°以下の所定角度だけ回転させる材料回転部を備えることを特徴としている。
上記の構成によると、材料回転部は、成形材料を90°以下の所定角度だけ回転させればよく、特許文献1の溶融物再流通部材のように、成形材料を均一化するために360°以上回転させる必要は無い。従って、上記材料回転部は、特許文献1の溶融物再流通部材に比べて簡単な構造となるので、射出成形後の硬化した成形材料を容易に除去できなくなるという問題点を回避することができる。
ところで、上述の内回り現象が発生する主な原因としては、下記の2つのものが考えられる。第1の原因は、屈曲部では、屈曲方向に壁が存在しないことに起因するものである。このため、屈曲部の内側では、成形材料が上記壁による流動抵抗を受けなくて済むので、流れが速くなる。
第2の原因は、壁面近傍にて発生する剪断熱に起因するものである。コールドランナーの入口(インレット)から2方向に分岐するまでの通路である導入路では、樹脂等の成形材料の温度は、中央よりも壁面近傍の方が高くなっている。これは、上記壁面近傍の上記成形材料には、高い剪断速度による剪断発熱が生じたためと考えられる。そして、上記導入路の壁面近傍で高温になった成形材料が壁面に沿うように流れるために、分岐後の通路を流れる成形材料は、上記導入路の側がその反対側よりも、温度が高くなり、粘度が低くなるので、流れが速くなる。
そこで、以下では、成形材料の流れの偏りを、「流れの速い部分」と「流れの遅い部分」とで表現することにする。なお、上述の外回り現象の発生する成形材料の流れの偏りは、上記内回り現象の発生する成形材料の流れの偏りに比べて、反対向きとなるのみであるので、「流れの速い部分」と「流れの遅い部分」とで同様に表現することができる。
例えば、成形材料の流れに偏りが生じ、遅い部分と速い部分とが生じており、当該成形材料が分岐される場合、分岐後の各通路に、上記遅い部分と上記速い部分との両方が供給されるように、上記材料回転部が分岐前の成形材料を回転させればよい。これにより、分岐後の成形材料の流れには依然として偏りが存在するが、上記分岐後の各通路には上記成形材料が均等に供給されることになる。従って、上記各通路がそれぞれ連通する各キャビティ部に上記成形材料が均等に射出されるので、各成形品のバラツキを改善することができ、成形品の品質を改善することができる。
ところで、流れに偏りの生じた上記成形材料がキャビティ部に射出される場合、成形品に成形材料の多寡の偏りが生じることになる。このため、複数のキャビティ部を有する多数個取りの手法の場合、各キャビティ部に射出される成形材料の上記偏りの方向が異なると、成形品における上記成形材料の多寡の偏りにバラツキが生じることになる。
そこで、本発明を適用して、上記成形材料の流れの偏りによって規定される偏り方向であって、上記各キャビティ部に射出される成形材料の当該キャビティ部に対する偏り方向が、上記複数のキャビティ部で同じとなるように、上記各材料回転部が上記各キャビティ部への供給前の上記成形材料を回転させればよい。これにより、各成形品における上記成形材料の多寡の偏りが揃うので、上記各成形品のバラツキを改善することができ、成形品の品質を改善することができる。
なお、詳細は後述するが、上記材料回転部は、上記成形材料の流れの偏りによって規定される偏り方向を、或る方向に沿うように回転させればよい。従って、成形材料の回転角は最大でも90°である。また、上記偏り方向は、上記コールドランナーにおける上記材料回転部よりも上流部における幾何学的配置によって決定され、上記或る方向は、上記分岐後の各通路の幾何学的配置、或いは、各キャビティ部の幾何学的配置によって決定される。従って、上記材料回転部が成形材料を回転させる回転角は予め定めることができる。
本発明に係る射出成形用金型では、上記コールドランナーは、上記材料回転部を備える直線部と、該直線部よりも上流側に位置し、上記成形材料を屈曲させる屈曲部と、上記直線部の下流側にて接続し、上記成形材料を分岐させる分岐部とを備えており、上記材料回転部は、上記屈曲部の数および屈曲方向によって決定される上記成形材料の偏り方向を、上記分岐部における2つの分岐方向の対称面に沿うように回転させるものであってもよい。
本願では、直線部とは、成形材料を進行方向に対して屈曲させたり、分岐させたりすることの無い部分としている。従って、進行方向に向かうにつれて狭くなるテーパ部、進行方向に向かうにつれて広くなる逆テーパ部なども上記直線部に含まれる。
また、偏り方向とは、上述のように、成形材料の流れの偏りによって規定される方向であり、本願では、上記成形材料の流れが遅い部分から速い部分への方向としている。上記偏り方向は、上記屈曲部の幾何学的配置によって決定される。
例えば、上記成形材料が非ニュートン流体として挙動する場合、上記屈曲部にて屈曲されると、屈曲部の内側の方が外側よりも流れが速くなる。従って、上記屈曲部の下流に接続する通路では、上記屈曲部の内側に接続した側の方が、上記屈曲部の外側に接続した側よりも流れが速くなる。すなわち、上記屈曲部の外側に接続した側から上記屈曲部の内側に接続した側の方向が上記偏り方向となる。反対に、上記成形材料がニュートン流体として挙動する場合、上記屈曲部の内側に接続した側から上記屈曲部の外側に接続した側の方向が上記偏り方向となる。
そこで、上記の構成によると、上記材料回転部により、上記偏り方向が上記分岐部における2つの分岐方向の対称面に平行となる。すなわち、上記成形材料の流れが遅い部分および速い部分の両方が、上記対称面上に位置することになる。従って、上記分岐後の2つの通路には、上記成形材料の流れが遅い部分および速い部分の両方が供給されるので、上記成形材料が均等に供給されることになる。従って、上述のように、成形品の品質を改善することができる。なお、上記成形材料を分岐する分岐部でも上記成形材料の屈曲が生じるので、上記屈曲部は、分岐部であってもよい。
また、本発明に係る射出成形用金型では、形状が同じである複数のキャビティ部をさらに備えており、上記コールドランナーは、上記材料回転部を備える直線部と、該直線部よりも上流側に位置し、上記成形材料を屈曲させる屈曲部と、上記直線部の下流側にて接続し、上記成形材料を上記キャビティ部に供給するゲートとをそれぞれ複数個備えており、上記各ゲートは、上記各キャビティ部の同じ位置に接続されており、上記各材料回転部は、上記屈曲部の数および屈曲方向によって決定される上記成形材料の偏り方向であって、上記各ゲートを介して上記各キャビティ部に射出される成形材料の当該キャビティ部に対する偏り方向が、上記複数のキャビティ部で同じとなるように回転させるものであってもよい。
上記の構成によると、上記各材料回転部が回転させた成形材料は、上記各ゲートを介して上記各キャビティ部の同じ位置から射出される。このとき、上記各キャビティ部に供給される上記成形材料の当該キャビティ部に対する上記偏り方向は、上記複数のキャビティ部で同じとなる。従って、上記遅い部分は上記各キャビティ部における同じエリアに供給され、上記速い部分は上記各キャビティ部における別の同じエリアに供給されることになる。その結果、上述のように、各成形品のバラツキを改善することができ、成形品の品質を改善することができる。
本発明に係る射出成形用金型では、上記材料回転部は、パーティング面に形成されていてもよい。この場合、射出成形後に金型を分離することにより、上記材料回転部にて硬化した成形材料を上記パーティング面から容易に除去することができる。
本発明に係る射出成形用金型では、上記材料回転部は、内壁から突出した突出部が、上記成形材料の進行方向に対し螺旋状に延在した螺旋部と、該螺旋部から上流側の内壁へ傾斜した傾斜部とを備えてもよい。この場合、上記傾斜部により、上記材料回転部は、上流側から下流側に向かうにつれて狭くなるテーパ状となる。従って、上記成形材料は、上記材料回転部と緩やかに衝突しながら回転するので、上記材料回転部により上記成形材料の流れが乱れて滞ることを抑制できる。
なお、上記材料回転部は、パーティング面を上流側とし、該パーティング面から垂直に延びる通路に形成されてもよい。この場合、射出成形後に上記通路にて硬化した成形材料を、上記パーティング面へ向けて移動させて除去することになる。従って、上記材料回転部は、上記硬化した成形材料が引っ掛からないような形状にする必要がある。
このような形状の例としては、上記通路は、テーパ状に形成されたテーパ部を下流側に備えており、上記材料回転部は、上記通路の内壁から突出した突出部が、上記通路の中心軸に対し螺旋状に延在した螺旋部と、該螺旋部から上記中心軸に対し平行にまたはテーパ状に延在して上記テーパ部に達する延在部とを備える形状が挙げられる。
この場合、上記材料回転部では、下流側に向かうにつれて、サイズが同じまたは小さくなり、さらに、上記テーパ部では、下流側に向かうにつれて、サイズが小さくなる。従って、射出成形後に硬化した成形材料は、上記パーティング面へ向けて移動させても、上記材料回転部に引っ掛かることがない。なお、上記螺旋部は上記テーパ部に設けてもよい。また、上記通路全体が上記テーパ部であってもよい。
また、上記形状の他の例としては、上記通路は、上記パーティング面に連通し、かつ上流側である上流部と、下流側であり、かつ上記上流部よりも狭い下流部と、上記上流部および上記下流部を接続する段部とを備えており、上記材料回転部は、上記段部に設けられている形状が挙げられる。
この場合、上記上流部よりも上記段部が狭く、上記段部よりも上記下流部が狭くなっている。従って、射出成形後に硬化した成形材料は、上記通路に引っ掛かることなく、上記パーティング面へ向けて移動させることができる。なお、上記段部の表面は、上記通路の中心軸に対し垂直でもよいし、傾斜していてもよい。
以上のように、本発明に係る射出成形用金型は、コールドランナーが備える材料回転部が、成形材料を90°以下の所定角度だけ回転させるものであるので、従来よりも簡単な構造でありながら、成形品の品質を改善できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態である射出成形用金型のコールドランナーにおける樹脂の流れを模式的に示す断面図である。 上記射出成形用金型における上記コールドランナーおよびキャビティの構造を模式的に示す斜視図である。 上記コールドランナーにおける第2直線部の一部切り欠き図であり、樹脂回転部の概要を示す図である。 図1の矢視断面図である。 通路の屈曲部における流体の流れを模式的に示す断面図である。 上記樹脂回転部における案内部の形状を決定する要素を示す図である。 本発明の別の実施形態である射出成形用金型のコールドランナーにおける第2直線部の一部切り欠き図であり、樹脂回転部の概要を示す図である。 本発明のさらに別の実施形態である射出成形用金型におけるコールドランナーおよびキャビティの構造を模式的に示す斜視図である。 上記コールドランナーにおける第2テーパ部の一部切り欠き図であり、樹脂回転部の概要を示す図である。 上記コールドランナーにおける樹脂の流れを模式的に示す断面図である。 本発明のさらに別の実施形態である射出成形用金型のコールドランナーにおける第2テーパ部の一部切り欠き図であり、樹脂回転部の概要を示す図である。 第2テーパ部を上記射出成形用金型の接合面側から見た図である。 本発明の他の実施形態である射出成形用金型におけるコールドランナーおよびキャビティの構造を模式的に示す斜視図である。 上記コールドランナーの第2直線部において樹脂回転部を通過する前後での樹脂の偏りを示す断面図である。 上記コールドランナーの第3直線部および第4直線部において樹脂回転部を通過する前後での樹脂の偏りを示す断面図である。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。なお、本発明は射出成形用金型に関するものであり、該射出成形用金型以外の射出成形機の構成としては公知のものを利用することができるので、以下では射出成形用金型に関して説明する。
図2は、本実施形態の射出成形用金型におけるコールドランナーおよびキャビティの構造を模式的に示している。なお、図示の例では、上記コールドランナーおよびキャビティの内壁のみが示されている。
図2に示すように、射出成形用金型10は、同じ成形品を形成するために同じ形状のキャビティを有する2つのキャビティ部11・12と、射出装置(図示せず)から射出された熱可塑性の樹脂(以下、単に「樹脂」と称する。)をキャビティ部11・12に供給するための通路であるランナーとを備えている。上記ランナーには、樹脂の流動性を維持するための加熱手段または保温手段を近傍に有するホットランナーと、上記加熱手段または保温手段を有さないコールドランナーとがあり、本実施形態では、コールドランナー13の上流にホットランナー14が設けられている。
コールドランナー13は、上流から順に、第1直線部20と、屈曲部21と、第2直線部22と、分岐部23と、第3直線部24および第4直線部25とを備える構成である。図2の例では、第1直線部20、第3直線部24、および第4直線部25の中心軸は、同じ方向であり、第2直線部22の中心軸に垂直な方向である。また、第3直線部24および第4直線部25における樹脂の進行方向の向きは、互いに反対である。
屈曲部21は、屈曲した通路を有し、第1直線部20の通路と第2直線部22の通路とを連結する。また、分岐部23は、分岐した通路を有し、第2直線部22の通路と第3直線部24および第4直線部25の通路とを連結する。第3直線部24および第4直線部25の通路の下流部は、それぞれキャビティ部11・12の同じ位置に連結する。
上記の構成により、第1直線部20に供給された樹脂が、屈曲部21にて垂直方向に屈曲されて第2直線部22に供給される。そして、第2直線部22に供給された樹脂が、分岐部23にて垂直方向であって互いに反対向きに分岐され、第3直線部24および第4直線部を介してキャビティ部11・12にそれぞれ供給される。
本実施形態では、第2直線部22には、供給された樹脂を回転させる樹脂回転部30が設けられている。図3は、射出成形用金型10における第2直線部22の要部を示すものであり、樹脂回転部30の概要を示している。図示のように、樹脂回転部30は、第2直線部22の内面の適所に、案内部31を設けた構成であり、案内部31は、上記内面からの突出部を、上記内面の周方向から樹脂の進行方向Fへ傾斜した方向へ延在した螺旋形状である。これにより、樹脂は、上記案内部31に衝突して、進行方向Fに対し右回りまたは左回りに回転することになる。
ところで、キャビティ部11・12に供給された樹脂が冷却されて硬化することにより、成形品が形成されると、コールドランナー13内に滞留する樹脂も冷却されて硬化する。従って、成形品を金型から除去する時に、コールドランナー13内の樹脂も除去する必要がある。なお、ホットランナー14は、樹脂の流動性を維持するための加熱手段または保温手段を近傍に有しているので、成形品が形成されても樹脂が硬化せず、樹脂を除去する必要が無い。
そこで、本実施形態では、第2直線部22は、2つの金型を接合することにより形成される。そして、射出成形後に上記2つの金型を分離して、第2直線部22内にて硬化した樹脂が金型10aのパーティング面40から除去される。このとき、押出しピンや重力を利用して、上記硬化した樹脂をパーティング面40に垂直な方向に移動させると、上記硬化した樹脂が樹脂回転部30に引っ掛かることなく除去できる。
なお、図3では、上記2つの金型のうち、一方の金型10aのみを記載しており、他方の金型は省略しているが、後述する図4の(b)に示すように、本実施形態では上記他方の金型にも案内部31が設けられている。すなわち、本実施形態では、案内部31が2個設けられているが、1個のみでもよいし、3個以上でもよい。案内部31の個数および配置は、樹脂の流れ易さや、射出成形後の樹脂の除去容易性などによって適宜決定される。
樹脂回転部30を設けることによる効果を、図1および図4を参照して説明する。図1は、第1直線部20から第3直線部24および第4直線部25までの樹脂の流れを模式的に示している。また、図4の(a)〜(c)は、それぞれ、図1のA−A’線、B−B’線、およびC−C’線にて断面し、矢印方向に見た図である。
なお、図1および図4における通路20・22・24・25内の矢印は、当該位置における樹脂の流れを示しており、矢印の大きさが当該位置における樹脂の流速に対応している。また、図1において、図面の裏側に該当する位置における樹脂の流れは破線で示している。
図1および図4の(a)に示すように、第1直線部20では、樹脂の流れが均一である。しかしながら、屈曲部21では、樹脂の粘性に応じて樹脂の流れが不均一となる。
図5は、通路の屈曲部における流体の流れを示している。同図の(a)は、粘性が高いために上記流体が非ニュートン流体である場合を示している。また、同図の(b)は、粘性が低いために上記流体がニュートン流体である場合を示している。
非ニュートン流体は、壁面に接していると流動抵抗が大きく、接していないと小さくなる。そして、通路の屈曲部では屈曲する側に壁がない状態、すなわち直線状の通路において片方の壁がなくなった状態に相当する。よって、屈曲部内側Cinの流体が受ける流動抵抗は屈曲部外側Coutよりも小さくなり、その影響で内側の流体粘度は低くなる。これは、屈曲部内側Cinを通る流体が流れ易くなることを意味する。従って、図5の(a)に示すように、屈曲部内側Cinを通過した流体の方が、屈曲部外側Coutを通過した流体よりも流速が大きくなり、ひいては単位時間当りの流量が多くなる。
一方、ニュートン流体は、壁面に接していると流動抵抗が小さくなるため、流体がまっすぐに流れ易い。これは、屈曲部外側Coutを通る流体が流れ易くなることを意味する。従って、図5の(b)に示すように、屈曲部外側Coutを通過した流体の方が、屈曲部内側Cinを通過した流体よりも流速が大きくなり、ひいては流量が多くなる。
一般に、樹脂は、粘性が高く、非ニュートン流体として挙動するものが多い。この場合、上記内回り現象により、屈曲部21の内側を通過した樹脂は、屈曲部21の外側を通過した樹脂よりも流速が大きくなる。一方、第2直線部22では、第2直線部22の中心軸を基準として、第1直線部20の配置側が屈曲部21の内側に接続し、その反対側が屈曲部21の外側に接続している。
従って、屈曲部21を通過して第2直線部22に供給された樹脂は、図4の(b)に示すように、第2直線部22の中心軸を基準として、第1直線部20の配置側(すなわち第3直線部24の配置側)の方が、その反対側(すなわち第4直線部25の配置側)よりも流速が大きくなる。すなわち、上記樹脂の流速は、第1直線部20の中心軸と平行な方向に偏っていると言える。
従って、本実施形態の樹脂回転部30を省略した場合、上記内回り現象により、第3直線部24に供給される樹脂の方が、第4直線部25に供給される樹脂よりも流量が多くなる。これにより、第3直線部24から第1キャビティ部11に供給される樹脂は、第4直線部25から第2キャビティ部12に供給される樹脂よりも流量が多くなり、その結果、第1キャビティ部11の成形品は、第2キャビティ部12の成形品よりも寸法が大きくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、樹脂回転部30は、上記樹脂の流速の偏り方向dが、第3直線部24および第4直線部の対称軸の方向となるように、供給された樹脂を回転させている。具体的には、本実施形態では、樹脂回転部30が、供給された樹脂を進行方向に対し右回りに90°回転させている。
従って、樹脂回転部30を通過した樹脂は、図4の(c)に示すように、偏り方向dが第3直線部24および第4直線部25の中心軸と垂直な方向となり、図面に対し下側(同図の(b)が記載されている側)の方が、その反対側よりも流速が大きくなる。
これにより、流速の大きい樹脂および流速の小さい樹脂の何れもが、分岐部23にて分岐されて、第3直線部24および第4直線部25に供給されるので、第3直線部24および第4直線部25に供給される樹脂の流量は等しくなる。その結果、第3直線部24および第4直線部25から第1キャビティ部11および第2キャビティ部12にそれぞれ供給される樹脂の流量が等しくなるので、第1キャビティ部11の成形品と、第2キャビティ部12の成形品との寸法のバラツキを抑えることができ、成形品の品質を改善することができる。
なお、本実施形態では、樹脂回転部30が、供給された樹脂を進行方向に対し右回りに90°回転させているが、左回りに90°回転させてもよい。なぜなら、この場合、樹脂回転部30を通過した樹脂は、図4の(c)において、図面に対し下側(同図の(b)が記載されている側)の方が、その反対側よりも流速が小さくなるのみであるので、第3直線部24および第4直線部25に供給される樹脂の流量は等しくなるからである。
また、本実施形態では、説明の簡略化のために、図2に示すような構造としているが、通常は、屈曲部21を分岐部に変更し、第2直線部22、分岐部23、第3直線部24、第4直線部25、第1キャビティ部11、および第2キャビティ部12と同様の構成が、第1直線部20に対し線対称に設けられた構造となっている。この場合でも、上記線対象に設けられた構成において、上述の内回り現象が発生するので、樹脂回転部30と同様の構成を設けることが望ましい。
次に、案内部31の形状の決定方法について説明する。図6は、案内部31の形状を決定する要素を示している。同図の上段は、第2直線部22の内面を中心軸に平行に切断して展開した図であり、同図の下段は、上記内面を樹脂の進行方向に見た図である。なお、同図の上段および下段の対応箇所は一点鎖線で結ばれている。図示のように、案内部31は、回転角α、傾斜角β、および突出幅pによって決定される。
上述のように、回転角αは、図4の(b)および(c)に示すように、理論的な予測が可能である。また、案内部31において、回転角αが樹脂の回転量に最も影響が大きく、回転角αの値で樹脂がどの程度回転するかがほぼ決定する。
しかしながら、実際には、回転後の樹脂の慣性力および剪断熱、樹脂の粘度などにより、樹脂の実際の回転量が理論的な予測値からずれることがある。この場合、第1キャビティ部11および第2キャビティ部12の成形品の寸法がばらつく虞がある。
そこで、コールドランナー13の幾何学的形状から成形品の評価指標を算出する公知のシミュレーション技術を利用して、回転角α、傾斜角β、および突出幅pを種々に変化させて、第1キャビティ部11および第2キャビティ部12の成形品の上記評価指標をそれぞれ算出する。これにより、上記評価指標のバラツキが、最小、或いは、所定の許容範囲内となる回転角α、傾斜角β、および突出幅pを決定することができる。なお、上記評価指標としては、上記成形品の寸法、樹脂量、密度などの標準偏差、平均差などが挙げられる。
〔実施の形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態の射出成形用金型10における第2直線部22の要部を示すものであり、樹脂回転部30の概要を示している。本実施形態の樹脂回転部30は、図3に示す樹脂回転部30に比べて、形状が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の樹脂回転部30は、図3に示す案内部31に、案内部31から上流側の内面に向けて傾斜した傾斜部32を追加した構成である。すなわち、傾斜部32は、樹脂の進行方向Fに沿って狭くなるテーパ部となる。これにより、本実施形態の樹脂回転部30は、図3に示す樹脂回転部30に比べて、傾斜部32により樹脂が緩やかに衝突するので、樹脂の流れが乱れて滞ることを抑制できる。
〔実施の形態3〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、本実施形態の射出成形用金型におけるホットランナー、コールドランナー、およびキャビティ部の構造を模式的に示している。本実施形態の射出成形用金型10は、図2に示す射出成形用金型10に比べて、コールドランナー13の幾何学的形状と、樹脂回転部30の位置および形状とが異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
コールドランナー13は、上流から順に、分岐部51と、第1直線部52および第2直線部53と、第1屈曲部54および第2屈曲部55と、第1テーパ部56および第2テーパ部57とを備える構成である。図8の例では、第1テーパ部56および第2テーパ部57の中心軸は、同じ方向であり、第1直線部52および第2直線部53の中心軸に垂直な方向である。また、第1直線部52および第2直線部53における樹脂の進行方向の向きは、互いに反対である。
分岐部51は、分岐した通路を有し、ホットランナー14の通路と第1直線部52および第2直線部53の通路とを連結する。また、屈曲部54は、屈曲した通路を有し、第1直線部52の通路と第1テーパ部56の通路とを連結する。また、屈曲部55は、屈曲した通路を有し、第2直線部53の通路と第2テーパ部57の通路とを連結する。第1テーパ部56および第2テーパ部57の通路の下流部は、それぞれキャビティ部11・12に連結する。
上記の構成により、ホットランナー14からの樹脂が、分岐部51にて垂直方向であって互いに反対向きに分岐されて、それぞれ第1直線部52および第2直線部53に供給される。第1直線部52に供給された樹脂が、屈曲部54にて垂直方向に屈曲されて第1テーパ部56に供給される一方、第2直線部53に供給された樹脂が、屈曲部55にて垂直方向に屈曲されて第2テーパ部57に供給される。そして、第1テーパ部56および第2テーパ部57に供給された樹脂が、キャビティ部11・12にそれぞれ供給される。
上述のように、第1屈曲部54を通過して第1テーパ部56に供給された樹脂は、第1直線部52の中心軸と平行な方向に偏っている。このような樹脂が第1キャビティ部11に供給されると、第1キャビティ部11にて形成される成形品は、第1直線部52の中心軸と平行な方向に偏りが生じることになる。同様に、第2キャビティ部12にて形成される成形品は、第2直線部53の中心軸と平行な方向に偏りが生じることになる。
具体的には、第1テーパ部56に供給された樹脂は、上述の内回り現象により、屈曲部54の内側に近い側の方が、屈曲部54の外側に近い側よりも流速が大きくなる。換言すれば、第1テーパ部56の中心軸を基準として、第1直線部52の配置側の方が、その反対側よりも流速が大きくなる。これにより、第1テーパ部56から第1キャビティ部11に供給される樹脂は、図8の矢印D1’にて示す方向に流量が偏り、図8の右側の方が左側よりも流量が多くなる。
その結果、第1キャビティ部11の成形品は、図8の右側の方が左側よりも寸法が大きくなる。同様に、第2キャビティ部12の成形品は、上述の内回り現象により、図8の矢印D2’にて示す方向に流量が偏り、図8の左側の方が右側よりも寸法が大きくなる。すなわち、成形品における樹脂の多寡の偏りにバラツキが生じることになる。
そこで、本実施形態の第1テーパ部56および第2テーパ部57には、供給された樹脂を回転させる樹脂回転部60・61がそれぞれ設けられている。なお、第1テーパ部56および樹脂回転部60の構造と、第2テーパ部57および樹脂回転部61の構造とは鏡像(面対称)の関係にあるので、以下では樹脂回転部61について説明する。図9は、射出成形用金型10における第2直線部53、屈曲部55、および第2テーパ部57の要部を示すと共に、樹脂回転部61の概要を示している。
図9に示すように、第2テーパ部57は、図3に示す第2通路部22に比べて、キャビティ部12の成形品にゲート径の跡が残らないようにするために、キャビティ部12に向かうにつれて狭くなるテーパ状となっている。樹脂回転部61は、第2テーパ部57の内面の適所に、案内部62および延在部63を設けた構成である。案内部62は、図3に示す案内部31と同様の形状である。また、延在部63は、案内部62から下流側に、第2テーパ部57の中心軸と平行な方向、またはテーパ状に延在して、第2テーパ部57に到達する形状である。
樹脂回転部61を設けることによる効果を、図10を参照して説明する。図10は、第2直線部53から第2キャビティ部12までの樹脂の流れを模式的に示している。なお、第2テーパ部57の樹脂が第2キャビティ部12に供給される部分57aがゲートである。また、図10の第2キャビティ部12は、同図の左側12aと右側12bとが、それぞれ、図1の第3直線部24および第4直線部25に対応する。
従って、第2キャビティ部12では、流速の大きい樹脂および流速の小さい樹脂の何れもが、図10の左側12aおよび右側12bにそれぞれ拡散する。これにより、図10の左側12aおよび右側12bにそれぞれ供給される樹脂の流量は等しくなる。また、図10の裏側には流速の大きい樹脂が拡散し、図10の表側には流速の小さい樹脂が拡散する。これにより、図10の裏側の方が表側よりも流量が多くなり、その結果、第2キャビティ部12の成形品は、図10における裏側の方が表側よりも寸法が大きくなる。すなわち、図8の矢印D2にて示す方向に流量が偏って、成形品の寸法が偏ることになる。
一方、上述のように、第1テーパ部56および樹脂回転部60の構造と、第2テーパ部57および樹脂回転部61の構造とは鏡像(面対称)の関係にあるので、第1キャビティ部11では、図8の矢印D1にて示す方向に流量が偏って、成形品の寸法が偏ることになる。従って、第1キャビティ部11の成形品は、第2キャビティ部12の成形品と寸法の偏りが同じになる。その結果、上記各成形品のバラツキを改善することができ、成形品の品質を改善することができる。
なお、本実施形態の射出成形用金型10は、3つの金型を、図10に示す二点差線にて接合して形成されるものである。そして、射出成形後に上記3つの金型を分離して、第2直線部53、第2屈曲部55、および第2テーパ部57にて硬化した樹脂が金型のパーティング面70(図9参照)から除去される。
樹脂回転部61では、延在部63の存在により、下流に向かうにつれて、寸法が同じまたは狭くなっている。また、樹脂回転部61以外の第2テーパ部57では、下流に向かうにつれて寸法が狭くなっている。従って、第2テーパ部57にて硬化した樹脂をパーティング面70から除去する場合、上記硬化した樹脂が樹脂回転部61にて引っ掛かることがない。
なお、図9および図10では、案内部62および延在部63は、1組のみ示されているが、2組でもよいし、3組以上でもよい。案内部62および延在部63の組数および配置は、樹脂の流れ易さや、射出成形後の樹脂の除去容易性などによって適宜決定される。
〔実施の形態4〕
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図11および図12を参照して説明する。本実施形態の射出成形用金型10は、図8に示す射出成形用金型10に比べて、第1テーパ部および第2テーパ部の形状と、樹脂回転部の形状が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、第1テーパ部および第2テーパ部の各構成は同様であるので、以下では第2テーパ部について説明する。
図11は、本実施形態の射出成形用金型10における第2直線部53、屈曲部55、および第2テーパ部58の要部を示すと共に、樹脂回転部64の概要を示している。また、図12は、第2テーパ部58をパーティング面70側から見た図である。本実施形態の第2テーパ部58は、上流部71および下流部72を備える構成である。
上流部71は、屈曲部55に接続する通路であり、径が変化しない筒状、または、下流に向かうにつれて狭くなるテーパ状に形成されている。また、下流部72は、上流部71と第2キャビティ部12とに接続する通路であり、第2キャビティ部12に向かうにつれて狭くなるテーパ状に形成されている。下流部72の上流端は、上流部71よりも径が狭く形成されている。このため、上流部71の下流端には、段部73が形成されている。
樹脂回転部64は、第2テーパ部58の内面の適所に、案内部65を設けた構成である。案内部65は、段部73からの突出部を、上流部71および下流部72の軸を中心として渦巻状に延在した形状である。上流部71を進む樹脂は、段部73における案内部65の規制により、進行方向Fに対し右回りまたは左回りに回転し、その後、下流部72を進むことになる。
上記の構成によると、上流部71では下流に向かうにつれて寸法が同じまたは狭くなっており、下流部72では下流に向かうにつれて寸法が狭くなっている。また、段部73は、外側の径(寸法)が上流部71の径に等しく、内側の径が下流部72の上流端の径に等しい。従って、第2テーパ部58にて硬化した樹脂をパーティング面70から除去する場合、上記硬化した樹脂が上流部71、段部73、および下流部72にて引っ掛かることがない。
なお、段部73は、第2テーパ部58の中心軸に対し、垂直な面として形成されてもよいし、傾斜した面として形成されてもよい。上記傾斜した面として形成される場合、樹脂回転部64は、図9に示すような延在部63を備えることが望ましい。
〔実施の形態5〕
次に、本発明の他の実施形態について、図13〜図15を参照して説明する。図13は、本実施形態の射出成形用金型におけるコールドランナーおよびキャビティ部の構造を模式的に示している。本実施形態の射出成形用金型10は、図2に示す射出成形用金型10に比べて、コールドランナー13の幾何学的形状と、樹脂回転部の数および位置とが異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態のコールドランナー13は、図2に示すコールドランナー13における第3直線部24および第1キャビティ部11を、第2直線部22を軸とし、第2直線部22から分岐部23への向きに対し右回りに90°回転させた構成となっている。
また、本実施形態の第2直線部22、第3直線部24、および第4直線部25には、供給された樹脂を回転させる樹脂回転部80〜82がそれぞれ設けられている。樹脂回転部80は、第3直線部24および第4直線部25に供給される樹脂の量を揃えるために設けられている。また、樹脂回転部81・82は、それぞれ、第1キャビティ部11および第2キャビティ部12にて樹脂が均等に広がるようにするために設けられている。
なお、樹脂回転部80〜82の形状は、上記実施形態の樹脂回転部30・60・61・64のうち、任意のものを選択すればよいので、その説明を省略する。以下では、樹脂回転部80〜82が、樹脂をそれぞれどの程度回転させればよいかについて説明する。
まず、樹脂回転部80における樹脂の回転量について説明する。図14の(a)・(b)は、図4の(b)・(c)に対応するものである。すなわち、図14の(a)・(b)は、第2直線部22において樹脂回転部80を通過する前後での樹脂の偏りをそれぞれ示している。
上述の内回り現象により、屈曲部21の内側を通過した樹脂は、屈曲部21の外側を通過した樹脂よりも流速が大きくなるので、屈曲部21を通過して第2直線部22に供給された樹脂は、屈曲部21の内側に近い側の方が、屈曲部21の外側に近い側よりも流速が大きくなる。換言すれば、図14の(a)に示すように、第2直線部22の中心軸を基準として、第1直線部20の配置側の方が、その反対側(すなわち第4直線部25の配置側)よりも流速が大きくなる。すなわち、上記樹脂の流速は、第1直線部20の中心軸と平行な方向に偏っている。
従って、本実施形態の樹脂回転部80を省略した場合、第3直線部24に供給される樹脂の方が、第4直線部25に供給される樹脂よりも流量が多くなる。これにより、第3直線部24から第1キャビティ部11に供給される樹脂は、第4直線部25から第2キャビティ部12に供給される樹脂よりも流量が多くなり、その結果、第1キャビティ部11の成形品は、第2キャビティ部12の成形品よりも寸法が大きくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、樹脂回転部80は、上記樹脂の流速の偏り方向dが、第3直線部24および第4直線部の対称軸の方向となるように、供給された樹脂を回転させている。具体的には、本実施形態では、樹脂回転部30が、供給された樹脂を進行方向に対し左回りに45°回転させている。
従って、樹脂回転部80を通過した樹脂は、図14の(b)に示すように、偏り方向dが第3直線部24および第4直線部25の対称軸の方向となり、流速の大きい樹脂および流速の小さい樹脂の何れもが、分岐部23にて分岐されて、第3直線部24および第4直線部25に供給されることになる。これにより、第3直線部24および第4直線部25に供給される樹脂の流量は等しくなる。その結果、第3直線部24および第4直線部25から第1キャビティ部11および第2キャビティ部12にそれぞれ供給される樹脂の流量が等しくなるので、第1キャビティ部11の成形品と、第2キャビティ部12の成形品との寸法のバラツキを抑えることができる。
次に、樹脂回転部81・82における樹脂の回転量について説明する。図15の(a)は、第3直線部24において樹脂回転部81を通過する前での樹脂の流速の偏りを示している。また、図15の(b)は、第4直線部25において樹脂回転部82を通過する前での樹脂の流速の偏りを示している。そして、図15の(c)は、第3直線部24および第4直線部25において、樹脂回転部81・82を通過した後での樹脂の流速の偏りを示している。
分岐部23では、第2直線部22から供給された樹脂が分岐されると共に、屈曲されて、第3直線部24および第4直線部25にそれぞれ供給されている。従って、分岐部23では樹脂が屈曲するので、第3直線部24および第4直線部25では、分岐部23による樹脂の流速の偏りが生じる。
また、図14の(b)に示すように、第2直線部22から分岐部23に供給される樹脂は偏っているので、分岐部23にて分岐されて第3直線部24および第4直線部25にそれぞれ供給される樹脂も偏ることになる。すなわち、第3直線部24および第4直線部25に供給される樹脂には、分岐部23より前の構成による偏りd1と、分岐部23による偏りd2とが生じることになる。
具体的には、第3直線部24では、図14の(b)に示す偏りdが、分岐部23にて屈曲されて、図15の(a)に示す偏りd1となる。すなわち、偏りd1の方向は、第2直線部22の中心軸lから右回りに45°回転した方向となる。一方、分岐部23による偏りd2は、図4の(b)の場合と同様に、図15の(a)に示す偏りd2となる。すなわち、偏りd2の方向は、第2直線部22の中心軸lと平行な方向となる。
従って、偏りd1と偏りd2との対称軸は、第2直線部22の中心軸lから左回りに67.5°回転した方向となる。すなわち、第4直線部25の側(図の右側)の方よりもその反対側の方が、樹脂の流速が大きくなる。従って、本実施形態の樹脂回転部81を省略した場合、第1キャビティ部11には、図13の矢印D1’にて示す方向に流量が偏って、第4直線部25の側の方よりもその反対側の方が、樹脂の流量が大きくなり、その結果、成形品の寸法が大きくなる。
一方、第4直線部25では、図14の(b)に示す偏りdが、分岐部23にて屈曲されて、図15の(b)に示す偏りd1となる。すなわち、偏りd1の方向は、第2直線部22の中心軸lから左回りに45°回転した方向となる。一方、分岐部23による偏りd2は、図4の(b)の場合と同様に、図15の(a)に示す偏りd2となる。すなわち、偏りd2の方向は、第2直線部22の中心軸lと平行な方向となり、第3直線部24の偏りd2と同様である。
従って、偏りd1と偏りd2との対称軸は、第2直線部22の中心軸lから右回りに67.5°回転した方向となる。すなわち、第3直線部24の側(図の左側)の方よりもその反対側の方が、樹脂の流速が大きくなる。従って、本実施形態の樹脂回転部82を省略した場合、第2キャビティ部12には、図13の矢印D2’にて示す方向に流量が偏って、第3直線部24の側の方よりもその反対側の方が、樹脂の流量が大きくなり、その結果、成形品の寸法が大きくなる。
これに対し、本実施形態では、樹脂回転部81は、偏りd1と偏りd2との対称軸を、第1キャビティ部11の主たる広がり面の法線方向(第2直線部22の中心軸lに平行)に回転させている。具体的には、本実施形態では、樹脂回転部81が、供給された樹脂を進行方向に対し右回りに67.5°回転させている。これにより、樹脂回転部81を通過した樹脂の偏りは、図15の(c)に示すようになる。従って、第1キャビティ部11では、図13の矢印D1にて示す方向に、流量が偏って成形品の寸法が偏ることになる。
一方、樹脂回転部82は、偏りd1と偏りd2との対称軸を、第2キャビティ部12の主たる広がり面の法線方向(第2直線部22の中心軸lに平行)に回転させている。具体的には、本実施形態では、樹脂回転部82が、供給された樹脂を進行方向に対し左回りに67.5°回転させている。これにより、樹脂回転部82を通過した樹脂の偏りは、図15の(c)に示すようになり、樹脂回転部81を通過した樹脂の偏りと同様となる。従って、第2キャビティ部12では、図13の矢印D2にて示す方向に、流量が偏って成形品の寸法が偏ることになる。
従って、第1キャビティ部11の成形品は、第2キャビティ部12の成形品と寸法の偏りが同じになる。その結果、上記各成形品のバラツキを改善することができ、成形品の品質を改善することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、成形材料として樹脂を利用しているが、金属など樹脂以外の物質と樹脂との混合物を成形材料として利用することもできるし、射出成形技術に適用可能な任意の物質を利用することができる。
また、上記実施形態では、樹脂回転部は、通路の内面に凸設した案内部であるが、通路の内面に開設した溝部でもよい。
また、上記実施形態では、樹脂は、粘性が高く、非ニュートン流体として挙動するとしている。しかしながら、樹脂の種類、温度、および圧力によっては、粘性が低く、ニュートン流体として挙動するものも存在する。ニュートン流体の場合、図5の(b)に示すように外回り現象となるので、図5の(a)に示すように内回り現象となる非ニュートン流体に比べて、上記偏り方向の向きが反対となる。従って、樹脂がニュートン流体として挙動する場合には、上記実施形態における上記偏り方向の向きを反対向きにすればよく、本願発明を適用することができる。
本発明に係る射出成形用金型は、コールドランナーが備える材料回転部が、樹脂等の成形材料を進行方向に対し90°以下の所定角度だけ回転させることにより、従来よりも簡単な構造でありながら、成形品の品質を改善できるので、コールドランナーを利用する任意の射出成形機に適用することができる。
10 射出成形用金型
10a 金型
11 第1キャビティ部
12 第2キャビティ部
13 コールドランナー
20 第1直線部
21 屈曲部
22 第2直線部
22 第2通路部
23 分岐部
24 第3直線部
25 第4直線部
30・60・61・64・80〜82 樹脂回転部
31・62・65 案内部
32 傾斜部
40 パーティング面
51 分岐部
52 第1直線部
53 第2直線部
54 屈曲部
54 第1屈曲部
55 屈曲部
55 第2屈曲部
56 第1テーパ部
57 第2テーパ部
58 第2テーパ部
63 延在部
70 パーティング面
71 上流部
72 下流部
73 段部

Claims (6)

  1. コールドランナーを有する射出成形用金型において、
    上記コールドランナーは、通過する成形材料を、進行方向に対し回転させる材料回転部を備えており、
    上記材料回転部は、内壁から突出した突出部が、上記成形材料の進行方向に対し螺旋状に延在した螺旋部と、該螺旋部から上流側の内壁へ傾斜した傾斜部とを備えることを特徴とする射出成形用金型。
  2. 上記材料回転部は、パーティング面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. コールドランナーを有する射出成形用金型において、
    上記コールドランナーは、通過する成形材料を、進行方向に対し回転させる材料回転部を備えており、
    上記材料回転部は、パーティング面を上流側とし、該パーティング面から垂直に延びる通路に形成されており、
    該通路は、テーパ状に形成されたテーパ部を下流側に備えており、
    上記材料回転部は、上記通路の内壁から突出した突出部が、上記通路の中心軸に対し螺旋状に延在した螺旋部と、該螺旋部から上記中心軸に対し平行にまたはテーパ状に延在して上記テーパ部に達する延在部とを備えることを特徴とする射出成形用金型。
  4. コールドランナーを有する射出成形用金型において、
    上記コールドランナーは、通過する成形材料を、進行方向に対し回転させる材料回転部を備えており、
    上記材料回転部は、パーティング面を上流側とし、該パーティング面から垂直に延びる通路に形成されており、
    該通路は、
    上記パーティング面に連通し、かつ上流側である上流部と、
    下流側であり、かつ上記上流部よりも狭い下流部と、
    上記上流部および上記下流部を接続する段部とを備えており、
    上記材料回転部は、上記段部に設けられていることを特徴とする射出成形用金型。
  5. 上記コールドランナーは、
    上記材料回転部を備える直線部と、
    該直線部よりも上流側に位置し、上記成形材料を屈曲させる屈曲部と、
    上記直線部の下流側にて接続し、上記成形材料を分岐させる分岐部とを備えることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の射出成形用金型。
  6. 形状が同じである複数のキャビティ部をさらに備えており、
    上記コールドランナーは、
    上記材料回転部を備える直線部と、
    該直線部よりも上流側に位置し、上記成形材料を屈曲させる屈曲部と、
    上記直線部の下流側にて接続し、上記成形材料を上記キャビティ部に供給するゲートとをそれぞれ複数個備えており、
    上記各ゲートは、上記各キャビティ部の同じ位置に接続されていることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の射出成形用金型。
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