JP5555976B2 - 電流測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置に関する。
従来、特許文献1に、電気エネルギを出力する複数のセルを積層配置して構成された燃料電池に適用されて、この燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置が開示されている。この特許文献1の電流測定装置は、隣合うセルのうち一方のセルに電気的に接触する第1電極、他方のセルに電気的に接触する第2電極、および、第1電極と第2電極とを電気的に接続する板状の抵抗体を有して構成された電流測定部を備えている。
そして、電流測定部の第1電極と抵抗体とを接続する第1接続部および抵抗体と第2電極とを接続する第2接続部間の電位差を電流測定用電圧センサで検出し、検出された電位差を抵抗体の電気抵抗値で除することによって、燃料電池の内部を流れる電流を測定している。
さらに、特許文献1の電流測定部では、第1、第2電極および抵抗体を、それぞれ異なるプリント基板に配置して、それぞれのプリント基板を積層基板として一体に構成し、積層基板に形成された貫通接続用のスルーホールによって、第1接続部および第2接続部を構成している。これにより、ホールIC等を用いて電流測定部を構成する場合に対して、電流測定装置におけるセルの積層方向の厚み寸法を大幅に低減させている。
特開2007−280643
ところで、車両走行用電動モータの駆動源あるいは家庭用電源等に用いられる燃料電池では、大きな電気エネルギを出力する必要があるため、その内部を流れる電流値も高い値となる。このため、特許文献1のように第1、第2電極および抵抗体をスルーホールで接続する構成では、スルーホールの通電面積が小さいと、スルーホール自体が電気抵抗となり、燃料電池の内部を電流が流れにくくなってしまう。
さらに、燃料電池の内部を電流が流れにくくなると、燃料電池全体として出力できる電気エネルギ量が低下してしまうだけでなく、電流測定部を流れる電流が小さくなり電流測定用電圧センサが第1接続部および第2接続部間の電位差を正確に検出しにくくなるといった問題が生じる。これに対して、特許文献1では、スルーホールを複数箇所に設け、スルーホールの通電面積を十分に確保している。
しかしながら、実際に特許文献1の電流測定装置にて、燃料電池の内部を流れる電流を測定すると、例えば、ホールIC等を用いた場合とは、異なる値が測定されることがあった。そこで、本発明者らがその原因について調査したところ、電圧センサが第1接続部を構成する複数のスルーホールのうちの1つと第2接続部を構成する複数のスルーホールのうちの1つとの間の電位差を測定していることが原因であると判明した。
その理由は、特許文献1のように板状に形成された抵抗体の内部には、電流が均一に流れないことがあるからである。つまり、抵抗体のうち多くの電流が流れる部位に近いスルーホール間同士で電位差を測定する場合と、抵抗体のうち多くの電流が流れる部位に遠いスルーホール間同士で電位差を測定する場合とでは、計測される電位差が変わってしまうからである。
本発明は、上記点に鑑み、板状の抵抗体を有して構成された電流測定部を備える電流測定装置において、電流測定精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)に適用され、燃料電池(10)の内部を流れる電流を測定する電流測定装置であって、
隣合うセル(10a)間に配置されて、隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、第1電極(111)と第2電極(131)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)と、第1電極(111)と抵抗体(121)とを接続する第1接続部(101a)および抵抗体(121)と第2電極(131)とを接続する第2接続部(101b)間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差と、第1接続部(101a)および第2接続部(101b)間の抵抗体(121)の電気抵抗値を用いて、セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
第1接続部(101a)および第2接続部(101b)は、それぞれ抵抗体(121)を流れる電流の流れ方向に垂直な方向に並ぶように複数箇所に設けられており、この複数箇所に設けられた少なくとも2つ以上の第1接続部(101a)が第1配線パターン(122)により電気的に接続された状態とされ、また、複数箇所に設けられた少なくとも2つ以上の第2接続部(101b)が第2配線パターン(122)により電気的に接続された状態とされ、少なくとも2つ以上の第1接続部(101a)が第1配線パターン(122)を介して電位差検出手段(102)の一端側に接続され少なくとも2つ以上の第2接続部(101b)が第2配線パターン(122)を介して電位差検出手段(102)の他端側に接続されていることを特徴とする。
これによれば、それぞれ複数箇所に設けられた第1、第2接続部(101a、101b)のうち、少なくとも2つ以上の第1接続部(101a)および第2接続部(101b)が、第1、第2配線パターン(122、122)により電位差検出手段(102)に接続されているので、板状の抵抗体(121)を流れる電流が均一に流れていない場合であっても、電位差検出手段(102)の検出電位差に測定誤差が生じることを抑制できる。
さらに、電流値検出手段(51)が、測定誤差の抑制された検出電位差を用いてセル(10a)を流れる電流を検出するので、電流測定装置の電流計測精度を向上させることができる。
ところで、板状の抵抗体(121)を流れる電流は、電流の流れ方向に対して垂直な方向に不均一な分布となりやすい。従って、請求項1に記載の発明では、それぞれ複数箇所に設けられた第1、第2接続部(101a、101b)を、それぞれ抵抗体(121)を流れる電流の流れ方向に垂直な方向に並ぶように設け、このように配置した複数箇所の第1、第2接続部(101a、101b)を、それぞれ第1、第2配線パターン(122、122)により電気的に接続することで、効果的に電位差検出手段(102)の検出電位差に測定誤差が生じることを抑制できる。
なお、請求項1に記載された「電流の流れ方向」とは、実際に抵抗体(121)を流れる電流の向きと完全に一致する方向のみを意味するものではなく、これに均等な方向、物理的に第1接続部(101a)から第2接続部(101b)へ向かう方向のように、電流の向きと均等な方向を含む意味である。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電流測定装置において、第1電極(111)は、第1プリント基板(110)に配置されており、第2電極(131)は、第2プリント基板(130)に配置されており、第1プリント基板(110)および第2プリント基板(130)は、少なくとも抵抗体(121)を挟み込んだ状態で、積層基板として一体に結合され、第1接続部および第2接続部は、それぞれ、積層基板に設けられた丸孔形状の複数の第1スルーホール(101a)および第2スルーホール(101b)にて構成されていることを特徴とする。
これによれば、電流測定部(101)の積層方向の厚み寸法を低減でき、電流測定装置全体としての小型化を図ることができる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電流測定装置において、第1プリント基板(110)および第2プリント基板(130)の間には、第1スルーホール(101a)および第2スルーホール(101b)を電位差検出手段(102)へ接続する接続端子部(123)が設けられた第3プリント基板(120)が配置され、
第1配線パターン(122)および第2配線パターン(122)は、第3プリント基板(120)に設けられており、
第1配線パターン(122)は、少なくとも2つ以上の第1スルーホール(101a)を接続端子部(123)に接続するものであり、
第2配線パターン(122)は、少なくとも2つ以上の第2スルーホール(101b)を接続端子部(123)に接続するものであることを特徴とする。
これによれば、第3プリント基板(120)上で、少なくとも2つ以上の第1スルーホール(101a)を電位差検出手段(102)に接続できるとともに、少なくとも2つ以上の第2スルーホール(101b)を電位差検出手段(102)に接続できる。従って、電流測定部(101)と電位差検出手段(102)を接続するために、電流測定装置全体が大型化してしまうことを回避できる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電流測定装置において、抵抗体(121)は、第3プリント基板(120)に配置されていることを特徴とする。これにより、より一層、電流測定部(101)の厚み寸法を低減でき、電流測定装置全体としての小型化を図ることができる。
請求項に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の電流測定装置において、電流測定部(101)は、同一の隣合うセル(10a)間に複数個配置されていることを特徴とする。
これによれば、電流測定部(101)の配置箇所に対応するセル(10a)の各部位を流れる電流を精度良く計測できるので、セル(10a)内の電流密度分布を精度良く測定できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1〜図6により、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の電流測定装置100を適用した燃料電池システムの全体構成図である。この燃料電池システムは、電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に適用されており、車両走行用電動モータ等の電気負荷に電力を供給するものである。
まず、燃料電池システムは、図1に示すように、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。燃料電池10は、図示しない車両走行用電動モータ、二次電池、車両用各種補機類等の電気負荷に供給される電気エネルギを出力するもので、本実施形態では、固体高分子電解質型燃料電池を採用している。
より具体的には、燃料電池10は、基本単位となる燃料電池セル10a(以下、単にセル10aと記載する。)が複数個、電気的に直列に接続されて構成されたものである。各セル10aでは、以下に示すように、水素と酸素とを電気化学反応させて、電気エネルギを出力する。
(負極側)H2→2H++2e-
(正極側)2H++1/2O2+2e-→H2
さらに、燃料電池10から出力される電気エネルギは、燃料電池10全体として出力される電圧を検出する電圧センサ11、および、燃料電池10全体として出力される電流を検出する電流センサ12によって計測される。なお、電圧センサ11および電流センサ12の検出信号は、後述する制御装置50に入力されている。
また、燃料電池10の空気極(正極)側には、酸化剤ガスである空気(酸素)を燃料電池10に供給するための空気供給配管20a、並びに、燃料電池10にて電気化学反応を終えた余剰空気および空気極で生成された生成水を燃料電池10から外気へ排出するための空気排出配管20bが接続されている。
空気供給配管20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気排出配管20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
さらに、空気供給配管20aおよび空気排出配管20bには、空気調圧弁23から流出した空気の有する湿度(水蒸気)を空気ポンプ21から圧送された空気へ移動させるための加湿器22が設けられている。この加湿器22は、複数本の中空糸にて構成されており、燃料電池10へ供給される空気を加湿する機能を果たす。
燃料電池10の水素極(負極)側には、燃料ガスである水素を燃料電池10に供給するための水素供給配管30a、水素極側に溜まった生成水を微量な水素とともに燃料電池10から外気へ排出するための水素排出配管30bが接続されている。さらに、水素供給配管30aおよび水素排出配管30bは、水素循環配管30cを介して接続されている。
水素供給配管30aの最上流部には、高圧水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給配管30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁32が設けられている。
水素排出配管30bには、生成水を微量な水素とともに外気へ排出するために所定の時間間隔で開閉する電磁弁34が設けられている。なお、上述の電気化学反応では、水素極側において生成水は発生しないものの、水素極側には、酸素極側から各セル10aの電解質膜を透過した生成水が溜まるおそれがある。そこで、本実施形態では、水素排出配管30bおよび電磁弁34を設けている。
水素循環配管30cは、水素供給配管30aの水素調圧弁32下流側と水素排出配管30bの電磁弁34上流側とを接続するように設けられている。これにより、燃料電池10から流出した未反応の水素を、燃料電池10に循環させて再供給している。また、水素循環配管30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が配置されている。
ところで、燃料電池10は発電効率を確保するために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10には、燃料電池10を冷却するための冷却水回路40が接続されている。この冷却水回路40には、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させるウォータポンプ41、電動ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
さらに、冷却水回路40には、冷却水を、ラジエータ43を迂回するように流すバイパス流路44が設けられている。冷却水回路40とバイパス流路44との合流点には、バイパス流路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。この流路切替弁45の弁開度が調整されることによって、冷却水回路40の冷却能力が調整される。
また、冷却水回路40の燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。なお、この温度センサ46の検出信号も、制御装置50に入力される。
制御装置50は、入力信号に基づいて、燃料電池システムを構成する各種電気式アクチュエータの作動を制御するもので、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。
具体的には、制御装置50の入力側には、上述の電圧センサ11、電流センサ12および温度センサ46の検出信号等の他に、後述する電流測定装置100の電流検出回路51から出力される電流信号が入力される。一方、出力側には、上述の空気ポンプ21、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、電磁弁34、ウォータポンプ41、流路切替弁45等の各種電気式アクチュエータが接続されている。
次に、本実施形態の電流測定装置100の詳細について説明する。電流測定装置100は、複数の電流測定部101が板状部材として一体的に構成された電流測定部集合板100a、各電流測定部101の所定部位間の電位差を検出する電流測定用電圧センサ102、および、セル10aの板面のうち各電流測定部101配置箇所に対応する部位の電流を検出して制御装置50へ出力する電流検出回路51を備えている。
図2、3により、電流測定部集合板100aについて説明する。なお、図2は、燃料電池10の外観斜視図であり、図3は、電流測定部集合板100aの分解図である。図2に示すように、電流測定部集合板100aは複数枚設けられており、それぞれ隣合うセル10a間に配置されている。
さらに、図3に示すように、電流測定部集合板100aは、配線パターンが形成(プリント)された第1プリント基板110、第2プリント基板130および第3プリント基板120の3枚のプリント基板を有している。そして、これらのプリント基板110〜130は、絶縁性接着剤を介在させた状態で、ホットプレスによって一体化された積層基板として構成されている。
なお、第1〜第3プリント基板110〜130としては、一般的なガラスエポキシ基板を採用できる。また、積層基板として構成された電流測定部集合板100aのうち、対向する2辺(図3では、左右両辺)の近傍には、それぞれ積層基板の表裏を貫通する貫通穴が3つ形成されている。これらの貫通穴は、セル10aを積層した際に、空気、水素および冷却水を流通させるためのマニホールドとして機能する。
さらに、両側のマニホールドの間には、複数の電流測定部101が、直交する二方向にマトリックス状(格子状)に配置されている。より具体的には、本実施形態の電流測定部101は、図3に示すように、紙面上下方向に6個、紙面左右方向に7個のマトリックス状に配置されている。
つまり、本実施形態では、電流測定部101が、同一の隣合うセル10a間に複数配置されている。これにより、複数個の電流測定部101が電流測定部集合板100aの板面の全体に渡って配置されることになるので、本実施形態の電流測定装置100では、セル10aの面内における電流密度分布を測定することができる。
電流測定部101は、隣合うセル10aのうち一方のセル10aに電気的に接触する第1電極111、隣合うセル10aのうち他方のセル10aに電気的に接触する第2電極131、および、第1電極111と第2電極131とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体121を有して構成されている。
従って、第1電極111および第2電極131は一対の電極として構成されて、板状の電流測定部集合板100aの両板面に配置されることになる。具体的には、第1電極111は、第1プリント基板110における一方のセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に配置され、第2電極131は、第2プリント基板130における他方のセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に配置されている。
また、抵抗体121は、第3プリント基板120のうち第1プリント基板110に対向する側(図3の紙面手前側)の面に配置されている。一方、第3プリント基板120のうち抵抗体121が形成されている側と反対側(図3の紙面奥側)の面には、電流測定用配線122が設けられている。
さらに、第3プリント基板120の1辺には、電流測定用配線122が接続された信号取り出し用のコネクタ123が設けられている。なお、図3では、電流測定用配線122を破線で囲まれた斜線で示している。また、これらの第1電極111、第2電極131、抵抗体121および電流測定用配線122は、金属箔(具体的には銅箔)にて、第1〜第3プリント基板110〜130に配線パターンとして形成されている。
次に、図4、5により、第1〜第3プリント基板110〜130の具体的積層態様、並びに、電流測定部101を構成する第1電極111、第2電極131、抵抗体121および電流測定用配線122の電気的接続態様を説明する。なお、図4は、電流測定部101の断面図であり、図5は、電流測定部101における電流の流れを示す説明図である。
図4に示すように、第1プリント基板110と第3プリント基板120の間と、第3プリント基板120と第2プリント基板130の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤112、124が配置されている。また、第1〜第3プリント基板110〜130には、複数の丸孔形状の第1、第2スルーホール101a、101bが設けられている。
この第1、第2スルーホール101a、101bの内周面には、第1、第2電極111、131等と同様の金属箔から構成される導電体が形成されている。そして、第1スルーホール101aを介して、第1電極111、抵抗体121および電流測定用配線122が接続され、第2スルーホール101bを介して、抵抗体121、第2電極131および電流測定用配線122が接続されている。従って、第1、第2スルーホール101a、101bは、それぞれ本実施形態の第1、第2接続部を構成している。
また、第1電極111は抵抗体121の一端側に接続され、第2電極131は抵抗体121の他端側に接続されているため、抵抗体121では、図5の矢印に示すように、一端側(第1スルーホール101a側)と他端側(第2スルーホール101b側)との間で電流が流れることになる。さらに、複数の第1、第2スルーホール101a、101bは、それぞれ抵抗体121を流れる電流の流れ方向(図5の矢印方向)に対して垂直な方向に並ぶように配置されている。
ここで、図6により、第3プリント基板120の電流測定用配線122の配線パターンについて説明する。なお、図6は、第3プリント基板120の抵抗体121が形成されている側と反対側の面の概略的な配線パターンを示すパターン図である。図6に示すように、本実施形態では、複数の第1スルーホール101aの全てが配線122の配線パターンによって接続され、複数の第2スルーホール101bの全てが配線122の配線パターンによって接続されている。
そして、図4、5に示すように、第1、第2スルーホール101a、101bには、それぞれ電流測定用配線122および外部配線を介して、電流測定用電圧センサ102が接続されている。電流測定用電圧センサ102は、第1スルーホール101aと第2スルーホール101bとの2点間の電位差を検出して、検出信号を電流検出回路51に出力する電位差検出手段である。
電流検出回路51は、電流測定用電圧センサ102の検出電位差および第1スルーホール101aおよび第2スルーホール101b間の抵抗体121の電気抵抗値を用いて、演算処理を行うことで、セル10aの面内における各電流測定部101に対応する部位に流れる電流を算出する電流値検出手段である。
次に、電流測定装置100による電流測定方法について説明する。燃料電池10に水素および空気が供給されることで、燃料電池10での発電が開始される。電流測定装置100の各電流測定部101では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極111の板面に電流が流れる。
そして、第1電極111→第1スルーホール101a→抵抗体121→第2スルーホール101b→第2電極131の順に電流が流れ、第2電極131の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。
このとき、電流測定用電圧センサ102によって、第1スルーホール101aと第2スルーホール101bとの2点間の電位差を測定する。前述の如く、本実施形態では、予め定めた電気抵抗値を有する抵抗体121を用いているので、第1、2スルーホール101a、101b間の抵抗体121の電気抵抗値も既知の値となる。
そこで、電流検出回路51では、電流測定用電圧センサ102による検出電位差を、予め既知情報として記憶している第1、2スルーホール101a、101b間の抵抗体121の電気抵抗値で除する演算処理を行うことで、抵抗体121に流れた電流値を算出する。そして、電流検出回路51では、上記演算処理によって得られた電流値を、制御装置50へ出力する。
さらに、制御装置50では、セル10aの面内における電流分布を検出し、検出された電流分布に基づいて燃料電池10の発電状態を推定し、空気供給量および供給圧、水素供給圧、冷却水循環量の制御等を行う。これにより、燃料電池システムの効率および信頼性を向上させている。
この際、本実施形態では、全ての第1スルーホール101aおよび全ての第2スルーホール101bが、電流測定用電圧センサ102に接続されているので、板状の抵抗体121を流れる電流が均一に流れていない場合であっても、電流測定用電圧センサ102の検出電位差に測定誤差が生じることを抑制できる。
さらに、電流検出回路51が、測定誤差の抑制された検出電位差を用いてセル10aの各部位を流れる電流を検出するので、電流測定装置100の電流計測精度を向上させることができ、燃料電池システムの効率および信頼性をより一層向上させることができる。
しかも、複数の第1スルーホール101aおよび複数の第2スルーホール101bが、第1スルーホール101aから第2スルーホール101bへ向かう向き、すなわち電流の流れる方向に対して垂直な方向に並んでいるので、電流の流れ方向に対して垂直な方向に不均一な電流分布となりやすい板状の抵抗体121を採用する電流測定装置100であっても、効果的に電流計測精度を向上させることができる。
また、第1電極111、第2電極131、抵抗体121および電流測定用配線122を第1〜第3プリント基板110〜130に形成して、これらを第1、第2スルーホール101a、101bで接続しているので、電流測定部101のセル10a積層方向の厚み寸法を低減でき、電流測定装置100全体としての小型化を図ることができる。さらに、第1、第2スルーホール101a、101bおよび電流測定用電圧センサ102を接続するために、電流測定装置100全体が大型化してしまうことも回避できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、複数の第1、第2スルーホール101a、101bの全てを同一の配線パターンで接続した例を説明したが、本実施形態では、図7に示すように、個々の第1スルーホール101aに接続される配線パターン同士、および、個々の第2スルーホール101bに接続される配線パターン同士を接続した例を説明する。
つまり、本実施形態では、第1スルーホール101aおよび電流測定用電圧センサ102は、全ての第1スルーホール101aに電気的に接続された配線を介して接続されており、第2スルーホール101bおよび電流測定用電圧センサ102は、全ての第2スルーホール101bに電気的に接続された配線を介して接続されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
なお、図7は、第1実施形態の図6に対応する図面である。さらに、図7では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。これは以下の実施形態でも同様である。
本実施形態の電流測定装置100においても、第1実施形態と同様に、電流測定装置100の電流計測精度を向上させることができ、燃料電池システムの効率および信頼性を向上させることができるとともに、電流測定装置100全体としての小型化を図ることができる。
(第3実施形態)
上述の実施形態では、複数の丸孔形状の第1、第2スルーホール101a、101bを採用した例を説明したが、本実施形態では、図8に示すように、それぞれ1つの長孔形状の第1、第2スルーホール101a、101bを採用した例を説明する。なお、図8は、第1実施形態の図6に対応する図面である。
本実施形態の第1、第2スルーホール101a、101bは、それぞれ抵抗体121を流れる電流の流れ方向に対して垂直な方向に延びる形状に形成されている。これにより、電流の流れ方向に対して垂直な方向に不均一な分布となりやすい板状の抵抗体121を採用する電流測定装置100であっても、第1実施形態と同様に、電流計測精度を向上させることができるとともに、電流測定装置100全体としての小型化を図ることができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態と同様に、長孔形状の第1、第2スルーホール101a、101bを採用しているが、図9に示すように、第1、第2スルーホール101a、101bを複数(具体的には、2個)設けている。さらに、全ての第1スルーホール101a同士、および、第2スルーホール101b同士を配線パターンで接続している。なお、図9は、第1実施形態の図6に対応する図面である。
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、電流計測精度を向上させることができるとともに、電流測定装置100全体としての小型化を図ることができる。さらに、第1、第2スルーホール101a、101bを長孔形状に形成すると、積層基板の強度低下が懸念されるものの、本実施形態のように、長孔形状のスルーホールを複数箇所に分割して形成すれば、積層基板の強度低下の抑制を図ることもできる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の第1、第2実施形態では、複数の第1、2スルーホール101a、101bの全てを電流測定用電圧センサ10に接続した例を説明したが、少なくとも2つ以上の第1スルーホール101aおよび少なくとも2つ以上の第2スルーホール101bを電流測定用電圧センサ10に接続すれば、電流測定装置の電流計測精度を向上させる効果を得ることができる。
(2)上述の実施形態では、特許請求の範囲に記載された第1接続部および第2接続部を、第1スルーホール101aおよび第2スルーホール101bにて構成した例を説明したが、本願発明はこれに限定されない。金属製のジャンパピンなどによって第1接続部および第2接続部を構成してもよい。
(3)上述の実施形態では、第1、第2スルーホール101a、101bの双方を丸孔形状あるいは長孔形状で形成した例を説明したが、いずれか一方を複数の丸孔形状で形成して互いに接続し、他方を長孔形状としてもよい。
(4)上述の実施形態では、図2において、図示の明確化のため3枚の電流測定部集合板100aを記載しているが、電流測定部集合板100aの数はこれに限定されない。電流測定部集合板100aの数を増加させることで、セル10aの面内における電流分布をより精度良く検出できる。例えば、2枚のセル10aに対して1枚の電流測定部集合板100aを配置することが望ましい。
(5)上述の実施形態では、電流測定部集合板100aにセル10aの面内の全体に渡って配置されるように複数の電流測定部101を設けたが、電流測定部101は少なくとも1個設けられていればよい。これにより、セル10aにおける電流測定部101に対応する部位の局所電流を測定することができる。
(6)上述の実施形態では、第1電極111、第2電極131、抵抗体121および電流測定用配線122を銅箔で形成した例を説明したが、例えば、抵抗体121のみを、第1、第2電極111、131よりも抵抗値の大きい材料(例えば、ニッケル箔)で形成してもよい。これにより、第1スルーホール101aと第2スルーホール101bとの2点間の抵抗体121の電位差が大きくなり、電位差を測定しやすくなる。
(7)上述の実施形態では、抵抗体121および電流測定用配線122を第3プリント基板120に形成した例を説明したが、抵抗体121および電流測定用配線122をそれぞれ異なるプリント基板に形成してもよい。この場合は、それぞれのプリント基板を第1、第2プリント基板に挟み込んだ状態で積層基板として一体化すればよい。
(8)上述の実施形態で説明した、第1、第2スルーホール101a、101bを接続する構成、あるいは、長孔形状とする構成は、電流測定部集合板100aが隣合うセル10a間に配置される場合のみならず、セル10aの積層方向の外側に設けられた一対の集電板に配置される電流測定装置100であっても適用可能である。
第1実施形態の燃料電池システムの全体構成図である。 第1実施形態の燃料電池の斜視図である。 第1実施形態の電流測定部集合板の分解図である。 第1実施形態の電流測定部の断面図である。 第1実施形態の電流測定部の電流の流れを示す説明図である。 第1実施形態の第3プリント基板の配線パターンを示すパターン図である。 第2実施形態の第3プリント基板の配線パターンを示すパターン図である。 第3実施形態の第3プリント基板の配線パターンを示すパターン図である。 第4実施形態の第3プリント基板の配線パターンを示すパターン図である。
符号の説明
10 燃料電池
10a セル
51 電流検出回路
101 電流測定部
101a 第1スルーホール
101b 第2スルーホール
102 電流測定用電圧センサ
110 第1プリント基板
111 第1電極
120 第3プリント基板
121 抵抗体
130 第2プリント基板
131 第2電極

Claims (5)

  1. 酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成された燃料電池(10)に適用され、前記燃料電池(10)の内部を流れる電流を測定する電流測定装置であって、
    隣合う前記セル(10a)間に配置されて、前記隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、前記隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、前記第1電極(111)と前記第2電極(131)とを電気的に接続するとともに予め定めた電気抵抗値を有する板状の抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)と、
    前記第1電極(111)と前記抵抗体(121)とを接続する第1接続部(101a)および前記抵抗体(121)と前記第2電極(131)とを接続する第2接続部(101b)間の電位差を検出する電位差検出手段(102)と、
    前記電位差検出手段(102)によって検出された検出電位差と、前記第1接続部(101a)および前記第2接続部(101b)間の前記抵抗体(121)の電気抵抗値を用いて、前記セル(10a)を流れる電流値を検出する電流値検出手段(51)とを備え、
    前記第1接続部(101a)および前記第2接続部(101b)は、それぞれ、前記抵抗体(121)を流れる電流の流れ方向に垂直な方向に並ぶように複数箇所に設けられており、
    前記複数箇所に設けられた少なくとも2つ以上の前記第1接続部(101a)が第1配線パターン(122)により電気的に接続された状態とされ、また、前記複数箇所に設けられた少なくとも2つ以上の前記第2接続部(101b)が第2配線パターン(122)により電気的に接続された状態とされ、
    少なくとも2つ以上の前記第1接続部(101a)が前記第1配線パターン(122)を介して前記電位差検出手段(102)の一端側に接続され少なくとも2つ以上の前記第2接続部(101b)が前記第2配線パターン(122)を介して前記電位差検出手段(102)の他端側に接続されていることを特徴とする電流測定装置。
  2. 前記第1電極(111)は、第1プリント基板(110)に配置されており、
    前記第2電極(131)は、第2プリント基板(130)に配置されており、
    前記第1プリント基板(110)および前記第2プリント基板(130)は、少なくとも前記抵抗体(121)を挟み込んだ状態で、積層基板として一体に結合され、
    前記第1接続部および前記第2接続部は、それぞれ、前記積層基板に設けられた丸孔形状の複数の第1スルーホール(101a)および第2スルーホール(101b)にて構成されていることを特徴とする請求項に記載の電流測定装置。
  3. 前記第1プリント基板(110)および前記第2プリント基板(130)の間には、前記第1スルーホール(101a)および前記第2スルーホール(101b)を前記電位差検出手段(102)へ接続する接続端子部(123)が設けられた第3プリント基板(120)が配置され、
    前記第1配線パターン(122)および前記第2配線パターン(122)は、前記第3プリント基板(120)に設けられており、
    前記第1配線パターン(122)は、少なくとも2つ以上の前記第1スルーホール(101a)を前記接続端子部(123)に接続するものであり、
    前記第2配線パターン(122)は、少なくとも2つ以上の前記第2スルーホール(101b)を前記接続端子部(123)に接続するものであることを特徴とする請求項に記載の電流測定装置。
  4. 前記抵抗体(121)は、前記第3プリント基板(120)に配置されていることを特徴とする請求項に記載の電流測定装置。
  5. 前記電流測定部(101)は、同一の隣合う前記セル(10a)間に複数個配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の電流測定装置。
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