JP5554226B2 - 射出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂材料の射出装置に関し、詳しくは材料供給部からペレット状の樹脂材料が射出部の内部に供給され、この射出部において樹脂材料を溶融して金型内に射出する形式の射出装置に関する。
この種の技術については、例えば特許文献1に開示されている。この技術では、射出部にペレット状の樹脂材料を供給するための材料供給通路が、材料供給ブロック内に上下向きに形成されている。この材料供給ブロックの上端に、ペレット状の樹脂材料を入れたホッパが設けられ、材料供給ブロックの下端に、溶融樹脂の射出部を構成する加熱シリンダが設けられている。そして、材料供給通路を通じてホッパから加熱シリンダにペレット状の樹脂材料が重力落下によって供給される。
材料供給ブロックにはブリッジブレーカーが設けられ、その押し込み通路が材料供給通路の下端および加熱シリンダの内部に連通している。この押し込み通路内で往復動作するブリッジブレーカーのプランジャの機能により、材料供給通路内で発生する樹脂材料のブリッジ現象を防止している。
特開2002−307485号公報
特許文献1に開示されている技術では、ペレット状の樹脂材料を重力落下によって加熱シリンダ(射出部)に供給しているので、材料供給通路内における樹脂材料のブリッジ現象は慢性的に発生する。そして、ブリッジ現象による樹脂材料の塊は、重力の方向へ力がバランスよく分散された状態で保持され、ブリッジブレーカーのプランジャによって一方向から力を加えても樹脂材料の重力バランスが崩れにくく、ブリッジ現象の効果的な防止対策になっていない。
また、樹脂材料を重力落下によって射出部に供給している以上、射出部における溶融樹脂の射出方向は下向きに限られる。このため、設備のレイアウトが制約を受け、例えば設備を水平に近い角度に設置した場合は、樹脂材料の供給が安定せず、射出による成形品の品質に悪影響がでる。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、射出部に向けて供給されるペレット状の樹脂材料のブリッジ現象を防止し、あるいは発生したブリッジ現象を解消し、また射出部では重力に逆らった方向への溶融樹脂の射出をも可能とすることである。
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
ペレット状の樹脂材料が材料供給部によって射出部の内部に供給され、この射出部において樹脂材料を溶融して金型内に射出する構成の射出装置であって、材料供給部は、射出部の内部に通じる筒状の供給路と、この供給路に内蔵されたスクリューと、このスクリューをその軸線回りに回転させる駆動機構とによって構成されている。この駆動機構によってスクリューを供給路内で回転させることにより、ペレット状の樹脂材料が射出部の内部に供給されるように構成されている。
また、駆動機構が、駆動シリンダの作動杆とスクリューとを連結する二組のリンクを備え、これらのリンクとスクリューとがそれぞれ個別のワンウェイクラッチを介して連結され、作動杆の往復動作をそれぞれスクリューの一方向への回転として伝えるように構成されている。
本発明においては、材料供給部が、その供給路内で回転するスクリューによってペレット状の樹脂材料を射出部の内部に供給するように構成されていることから、ペレット状の樹脂材料を重力落下によって供給する方式と異なり、供給路内における樹脂材料のブリッジ現象を防止することができる。仮に樹脂材料がブリッジ現象を起こしたとしても、回転するスクリューによって樹脂材料の塊に色々な方向から力が加わり、塊を保持しているバランスが崩れてブリッジ現象が解消される。このような機能により、射出部においては常に安定した射出が行われる。
また、射出部の内部には材料供給部から樹脂材料が強制的に供給されることから、射出部においては重力に逆らった方向へ溶融樹脂を射出することが可能となり、射出装置の設備のレイアウトを自由に設定することができる。
さらに、材料供給部における駆動シリンダの作動杆の往復動作を、二組のリンクとそれぞれ個別のワンウェイクラッチとによってスクリューの一方向への回転として伝えることにより、駆動シリンダの機能が一定であればスクリューの回転量がより大きくなり、樹脂材料の供給性能が高められる。
射出装置の設備全体を一部断面で表した正面図。 図1のノズル本体を拡大して表した断面図。 材料供給部の駆動機構を表した側面図。 材料供給部から射出部への樹脂材料の供給状況を表した説明図。 材料供給部のスクリューのみを拡大して表した構成図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図面で示す射出装置の全体的な構成は、所定の樹脂材料を溶融して射出する射出部10と、この射出部10に向けてペレット状の樹脂材料を供給する材料供給部40とに大別される。この射出装置は、予め成形された樹脂製品(一次成形品)の一部に金型を合わせることでキャビティーを構成し、そこに別の成形品(二次成形品)を直接成形する、いわばダイレクト成形用の装置であり、成形の詳細については後述する。このような成形手段によれば、まず一次成形品の金型に変更を加えることなく、一次成形品の自由な箇所へ目標とする形状の最終成形品を提供できる等の利点がある。また、従来二部品を結合するための結合部品に代わって、ダイレクト成形によって二部品の間に結合する部材を設けることで、結合部品の管理費用等がかからず、低コストに二部品を結合することができる。
なお、二次成形品の樹脂材料には、220℃程度の加熱温度で溶融するポリプロピレン(PP)等が使用される。また、成形品によってはPPのリサイクル材を使用することも可能である。
射出部10は、そのボデー12の一端部に例えばエアシリンダを用いた射出シリンダ14が装着され、他端部にノズル本体20が装着された構成になっている。このボデー12の内部に、材料供給部40からペレット状の樹脂材料が供給される。
ボデー12およびノズル本体20は同軸線上に配置され、相互の内部は連通している。射出シリンダ14のプランジャ16は、該射出シリンダ14の駆動により、ボデー12の内部からノズル本体20の内部までの範囲で往復作動する。
ノズル本体20は、円筒形状のノズルホルダー22の内部にトーピード24が組込まれた構成になっている。このノズルホルダー22の基端部は、リテーナ26および複数本のボルト28によってボデー12の端部に結合され、ノズルホルダー22の先端部には、二次成形品を成形するための一方の金型30(例えば上型)がネジ締結によって結合されている。ノズルホルダー22の外周には、電熱式のヒーター23が設けられている。このヒーター23により、ノズルホルダー22の内部に送られてきたペレット状の樹脂材料を溶融させることができる。一方、ボデー12の外周部には冷却カプラ(図示省略)が設けられ、ヒーター23による熱影響を抑えるようになっている。
金型30は、他方の金型31(例えば下型)と共に一次成形品36の一部分を両側から挟み付けた状態で型締めされる(図2)。この結果、既に述べたように両金型30,31および一次成形品36の表面の一部や貫通孔によって二次成形品のキャビティー32が構成される。そして、金型30はノズルホルダー22の内部からキャビティー32に連通するゲート34を備えている。このゲート34は、トーピード24の内部に進退作動可能に組込まれたピストン24aの先端面により、通常は閉ざされている。
ゲート34とトーピード24端面との間での圧力(樹脂圧)が上昇すると、その圧力によってピストン24aが図2で示すスプリング24bの弾力に逆らって退行し、ゲート34が開放される。すなわち、射出部10のボデー12内に供給されたペレット状の樹脂材料は、プランジャ16の作動によってノズル本体20のノズルホルダー22内に送られて溶融されるとともに、金型30のゲート34からキャビティー32に射出されて二次成形品(図示省略)が成形される。
図2で示すように、一次成形品36は例えば二枚の板材であって、相互の貫通孔を合わせた状態で重ね合わされている。そして、キャビティー32で成形される二次成形品は、二枚の板材である一次成形品36を結合する部材となる。したがって、これまでのように二部品を別部品で結合していたのと異なり、結合部品を管理する手間や費用等が不要になる。
なお、二次成形品には、二部材を結合する部材の他、例えば所定の一次成形品に設けられるリブや隔壁などがあり、その形状によってはノズル本体20に結合された金型30と一次成形品の一部のみによってキャビティーを構成する場合がある。このように、一次成形品に各種の二次成形品をダイレクト成形することで、既に述べたように一次成形品の金型に変更を加えることなく、一次成形品の自由な箇所へ目標とする形状の最終成形品を容易に提供することができる。
材料供給部40は、射出部10の軸線方向と直交する方向に配置された筒状の供給路44を備えている。この供給路44は、射出部10のボデー12内に連通しており、かつその内部にはホッパー46からペレット状の樹脂材料が供給される(図1)。なお、ホッパー46には、供給ホース48を通じてペレット状の樹脂材料がエア圧等によって送り込まれる。
図1で示すように、供給路44の内部にはスクリュー50が該供給路44と同軸上に組み込まれている。このスクリュー50は、材料供給部40の基板42に対して軸受52によって回転自在に支持されている。また、スクリュー50の基端部は、基板42を貫通して外方に延びている。
材料供給部40の駆動機構54について説明すると、基板42の下部には例えばエアシリンダを用いた駆動シリンダ56が組付けられている(図1)。この駆動シリンダ56の作動杆57は該駆動シリンダ56の駆動により、スクリュー50の軸線と直交する上下方向へ往復作動する。
駆動シリンダ56の作動杆57とスクリュー50の基端部とは、二組のリンク60によって連結されている(図3)。これら二組のリンク60は、ピン64によって互いに連結された二つのリンク部材62,63によって構成されている。二組のリンク60における一方のリンク部材62は、作動杆57に固定された連結部材58の両端部にピン65によってそれぞれ連結されている。また、二組のリンク60における他方のリンク部材63はスクリュー50の基端部にワンウェイクラッチ66を介してそれぞれ連結されている(図1)。これらのワンウェイクラッチ66のスクリュー50に対する回転伝達方向は、互いに逆方向に設定されている。
駆動シリンダ56の作動杆57が往復作動することにより、二組のリンク60が図3の実線で示す状態あるいは仮想線で示す状態に作動する。このとき、二組のリンク60の一方は作動杆57の往動時に、他方は作動杆57の復動時において個々のワンウェイクラッチ66を通じてスクリュー50をそれぞれ一方向へ回転させる。つまり、ダブルリンク60と二つのワンウェイクラッチ66とを組み合わせたことで、シングルリンクと比較して作動杆57の一往復によるスクリュー50の回転量(回転角度)が大きくなるとともに、スクリュー50の回転が一方向へ連続することになる。このスクリュー50の回転により、供給路44におけるペレット状の樹脂材料が射出部10のボデー12内に短時間で効率よく供給される。
前述のように、ホッパー46から供給路44に供給されたペレット状の樹脂材料は、スクリュー50の回転によって射出部10のボデー12内に強制的に供給される。そして、ボデー12内に供給された樹脂材料は、射出シリンダ14の駆動に伴うプランジャ16の押出し動作により、ノズル本体20のノズルホルダー22内に送られる。このノズルホルダー22内での樹脂材料は、ヒーター23で加熱されてトーピード24を通過する付近から溶融樹脂となり、金型30のゲート34からキャビティー32に射出される。
ここで、射出部10のボデー12内に対する樹脂材料の供給と射出との具体的な関連を図4によって説明する。図4(A)で示す樹脂材料の供給時においては、スクリュー50の回転によってボデー12内にペレット状の樹脂材料が連続して供給されている。図4(B)で示す射出時には、プランジャ16が押出されることで、ボデー12内の樹脂材料はノズル本体20に向けて送り出され、図4(C)で示す射出後のボデー12内は一時的に空になる。この後、樹脂材料は空になったボデー12内に抵抗なく供給され、ボデー12内と供給路44との連通部付近で樹脂材料が詰まる現象(ブリッジ現象)の発生を解消することができる。
なお、射出部10に対して材料供給部40を交換することにより、射出する樹脂材料の色替えを行う場合がある。この場合に、射出後に射出部10のボデー12内が空になった時点で、材料供給部40からの樹脂材料の供給を停止するように制御すれば、前の樹脂材料を射出部10のボデー12内から排出するための無駄な射出を繰り返すことなく、ボデー12内で異なる色の樹脂材料が混ざり合うのを防止できる。
ペレット状の樹脂材料は、スクリュー50の回転によって供給路44からボデー12内に強制的に供給されることから、この供給路44内において樹脂材料が仮にブリッジ現象を起こしたとしても、ブリッジ現象による樹脂材料の塊に対し、一方向へ回転するスクリュー50によって色々な方向から力が加わることになる。この結果、樹脂材料の塊を保持しているバランスが崩れ、ブリッジ現象が解消される。
しかも、スクリュー50は軸心回りに回転しているだけであるから、従来のブリッジブレーカーにおいて往復動作するプランジャとは異なり、スクリュー50の先端部をボデー12におけるプランジャ16の通過部位に可能な限り近づけて配置することができる。これにより、既に述べたように射出後のボデー12内に樹脂材料が残留するのを抑えてボデー12内を空にすることができる。
なお、一般的に用いられるスクリューは、金属材料を所定の形状に加工するため、高価な部品とされている。これに対し、材料供給部40のスクリュー50は、ロッド50Aの外周に板状のコイルバネ50Bを巻き付け、相互の複数箇所をスポット溶接50Cで固定した安価な構造が採用されている(図5)。つまり、この構造を一般的なスクリューの代用品とすることにより、装置自体のコストを大きく削減することができる。
以上のように、材料供給部40においてはスクリュー50の回転により、ペレット状の樹脂材料を射出部10のボデー12内に向けて強制的に供給しているので、射出部10では重力に逆らった方向へ溶融樹脂を射出することができる。このため、射出装置全体の設備のレイアウトに自由度が生まれ、設備の占有面積を縮減する等の対策が可能になる。例えば射出部10を水平に設置するのと比べ、射出部10を垂直に設置すれば装置の占有面積は格段に縮減される。
さらに、射出部10における射出方向を任意に設定して小型化を図ることにより、ダイレクト成形あるいは通常の成形において射出部10を金型側に直接組付けることが容易となり、大型設備を用いることなく、ホットランナーレス化や多色成形に対応することができる。
以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。
例えば、材料供給部40の駆動機構54において、スクリュー50の回転による樹脂材料の供給効率を要求しない場合は、リンク60をシングルタイプに代えることも可能である。また、駆動機構54の回転駆動源である駆動シリンダ56をモータに代えることも可能である。この場合のモータは、一般的なトルクモータあるいはサーボモータを問わず、かつモータの主軸からスクリュー50への回転伝達手段についても、直結あるいはギヤ等の採用のいずれでもよい。
一方、射出部10のノズル本体20においては、ゲート34の開口面積が小さいことから、トーピード24のピストン24aを省略してゲート34を常時開放した形式に代えることも可能である。
10 射出部
20 ノズル本体
30 金型
40 材料供給部
44 供給路
50 スクリュー
54 駆動機構
60 リンク
66 ワンウェイクラッチ

Claims (1)

  1. ペレット状の樹脂材料が材料供給部によって射出部の内部に供給され、この射出部において樹脂材料を溶融して金型内に射出する構成の射出装置であって、
    材料供給部は、射出部の内部に通じる筒状の供給路と、この供給路に内蔵されたスクリューと、このスクリューをその軸線回りに回転させる駆動機構とによって構成され、この駆動機構によってスクリューを供給路内で回転させることにより、ペレット状の樹脂材料が射出部の内部に供給されるように構成され、駆動機構が、駆動シリンダの作動杆とスクリューとを連結する二組のリンクを備え、これらのリンクとスクリューとがそれぞれ個別のワンウェイクラッチを介して連結され、作動杆の往復動作をそれぞれスクリューの一方向への回転として伝えるように構成されている射出装置。
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