JP5549576B2 - 電解加工方法および電解加工装置 - Google Patents

電解加工方法および電解加工装置 Download PDF

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Description

本発明は、電解加工方法および電解加工装置に関するものである。
従来、特許文献1には、電極と被加工物との間への電解液の供給を、電極に設けた電解液供給孔を通じて行い、電極に振動を付加しながら電極と被加工物との間に電圧を印可することによって、スラッジ(加工屑)を排出しながら電解加工する電解加工方法が記載されている。
また、特許文献1には、望ましい電極/被加工物間隔を維持するように、被加工物の表面から材料を除去しながら電極の前進を制御する旨が記載されている。
特表2003−512189号公報
電極を用いる電解加工においては、加工中に電極が被加工物に接触して短絡が起こると加工が停止する上、電極と被加工物とが損傷するという問題がある。
短絡を抑制するためには、電極/被加工物間隔(極間距離)を大きめに維持すればよい。しかしながら、極間距離が大きいと、電極と被加工物との間に電流が流れにくくなるので加工時間が長くなってしまい、加工コストの増大を招く。つまり、短絡抑制は、加工時間短縮と背反の関係にある。
図7は、短絡抑制と加工時間短縮との背反を、孔明け加工の場合を例にして説明する図である。まず、極間距離が大きい場合、短絡は発生しない(短絡無し)が、電極11と被加工物1との間に電流が流れにくくなるので加工時間は長くなる。
極間距離が小さい場合、加工時間を短縮できるが、抜け際(貫通する時)に短絡が発生する(抜け際のみ短絡)。すなわち、被加工物1が部分的に貫通した場合、電解液が専ら貫通部を流れるようになり、非貫通部では電解液の流れが悪くなる。すると、非貫通部にスラッジやガスが充満するので、非貫通部の加工速度が遅くなり、非貫通部と貫通部とで加工が不均一になる。そのため、電極11と被加工物1の非貫通部とが接触して短絡が発生する。
極間距離がさらに小さい場合、加工時間をさらに短縮できる可能性があるが、スラッジやガスの排出が不十分になり、抜け際のみならず、貫通する前の加工中においても短絡が発生するようになる(加工中短絡)。
この点、特許文献1には、短絡抑制と加工時間短縮という背反を解決する手法について何ら言及されていない。
本発明は上記点に鑑みて、短絡抑制と加工時間短縮とを両立できる電解加工方法および電解加工装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電極(11)の電解液供給孔(11c)から被加工物(1)に電解液を供給し、電極(11)と被加工物(1)との間に電圧を印可する電解加工方法であって、
電極(11)と被加工物(1)との間に印可された電圧を検出手段(18)によって検出し、
検出手段(18)の検出電圧が、抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させることを特徴とする。
これによると、電極(11)と被加工物(1)との間に印可された電圧を短絡の可能性を表す指標として検出し、その検出結果に基づいて電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を変化させるので、短絡の可能性に応じて電極(11)の変位速度を変化させることができる。このため、短絡抑制と加工時間短縮とを両立できる。
特に、請求項1に記載の発明では、電極(11)と被加工物(1)との間に印可された電圧を検出手段(18)によって検出し、その検出電圧が、抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させるので、抜け際短絡を抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電解加工方法において、検出手段(18)の検出電圧が抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)と被加工物(1)との間を流れる電流を低下させることを特徴とする。
これにより、抜け際短絡を一層抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項またはに記載の電解加工装置において、検出手段(18)の検出電圧が抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)の変位速度をマイナスの速度にすることを特徴とする。
これによると、抜け際短絡の前兆がある場合、電極(11)を被加工物(1)と反対の方向に戻すことができるので、抜け際短絡を一層抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の電解加工方法において検出手段(18)の検出電圧が下降した場合、変位速度を減少させることを特徴とする。
これによると、検出手段(18)の検出電圧が下降した場合、すなわち加工中短絡の虞がある場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させるので、加工中短絡を抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電解加工方法において、電極(11)の変位速度を検出手段(18)の検出電圧に比例させることを特徴とする。
これによると、検出手段(18)の検出電圧が高い場合、すなわち加工中短絡の虞がない場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を高くし、検出手段(18)の検出電圧が低い場合、すなわち加工中短絡の虞がある場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を低くすることができるので、加工中短絡の抑制と加工時間の短縮とを良好に両立できる。
請求項に記載の発明では、電解液供給孔(11c)が形成された電極(11)と、
電解液供給孔(11c)に電解液を供給する電解液供給手段(19)と、
電極(11)と被加工物(1)との間に電圧を印可する電源(17)と、
電極(11)および被加工物(1)のうち少なくとも一方を変位駆動する駆動機構(12、13)と、
電極(11)と被加工物(1)との間に印可された電圧を検出する検出手段(18)と、
駆動機構(12、13)を制御する制御手段(15)とを備え、
制御手段(15)は、検出手段(18)の検出電圧が、抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)の被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させることを特徴とする。
これによると、上記した請求項1に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の電解加工装置において、制御手段(15)は、検出手段(18)の検出電圧が抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)と被加工物(1)との間を流れる電流が低下するように電源(17)を制御することを特徴とする。
これによると、上記した請求項に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項に記載の発明では、請求項またはに記載の電解加工装置において、制御手段(15)は、検出手段(18)の検出電圧が抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、電極(11)の変位速度をマイナスの速度にすることを特徴とする。
これによると、上記した請求項に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項に記載の発明では、請求項ないしのいずれか1つに記載の電解加工装置において制御手段(15)は、検出手段(18)の検出電圧が下降した場合、電極(11)の変位速度を減少させることを特徴とする。
これによると、上記した請求項に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項10に記載の発明では、請求項に記載の電解加工装置において、制御手段(15)は、電極(11)の変位速度を検出手段(18)の検出電圧に比例させることを特徴とする。
これによると、上記した請求項に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における電解加工装置の全体構成図である。 図1の電極および被加工物の断面図である。 図1の制御装置が実行する通常制御に用いられるマップである。 通常制御と短絡防止制御との切り替え処理を示すフローチャートである。 通常制御および短絡防止制御による作動例を示すタイムチャートである。 第2実施形態における電極および被加工物の断面図である。 短絡抑制と加工時間短縮との背反を、孔明け加工を例にして説明する図である。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における電解加工方法および電解加工装置を説明する。図1は、電解加工装置の全体構成図である。電解加工用電極11は、動力伝達機構12に保持されている。
動力伝達機構12は、駆動装置13からの駆動力によって駆動され、電極11が被加工物1(ワーク)に対して接近・離反するように電極11を往復動させる。すなわち、動力伝達機構12および駆動装置13は、電極11を変位駆動する駆動機構を構成している。
動力伝達機構12としては、ボールネジ、カム、シリンダ、ピエゾアクチュエータ、ダイヤフラム、バネ等が適宜用いられる。駆動装置13としては、モータやエアシリンダ、ピエゾアクチュエータ等が適宜用いられる。
駆動装置13の作動状態は、センサ14によって検出される。センサ14の検出信号は制御装置15に入力される。制御装置15は、センサ14の検出信号に基づいて、電極11の往復動方向における位置を把握することができる。
被加工物1は、ベース16に固定されるようになっている。ベース16は、銅やSUS(ステンレス鋼)などの電気抵抗の低い金属で形成されている場合と、御影石等の石定盤のように絶縁剛性体から成る場合とがある。前者の場合、被加工物1はベース16に直接取り付けられて固定される。後者の場合、石定盤の上に銅やSUS(ステンレス鋼)の治具を別途取り付けて被加工物を固定する。
電源17は、電極11と被加工物1との間に電流を供給するものであり、例えばパルス電源や直流電源が用いられる。電源17の出力電圧は、制御装置15(制御手段)によって制御される。制御装置15は、設定電流が電極11と被加工物1との間に流れるように電源17の出力電圧を制御する。
電極11と被加工物1との間に印可される電圧、および電極11と被加工物1との間に流れる電流は、電圧電流計18(検出手段)によってモニタリング(継続的に検出)される。電圧電流計18の電圧モニタ値および電流モニタ値は、制御装置15に入力される。
電解液供給装置19(電解液供給手段)は、塩化ナトリウムや硝酸ナトリウムの水溶液などの電解液を吐出する。電解液供給装置19から吐出された電解液は、電極11に形成された電解液供給孔11cを通して電極11と被加工物1との間に供給される。
電解液供給装置19は、電解液の吐出口を開閉するバルブ(図示せず)と、アキュムレーター等の圧力変動を抑制する機構(図示せず)とを有している。電解液供給装置19のバルブの開閉は、制御装置15によって制御される。また、電解液供給装置19は、電解液の供給圧力を制御できるとともに、複数の電解液を準備しておき、被加工物の種類毎に適した電解液に切り替えできるようにするのが好ましい。
電極11と被加工物1との間に供給された電解液は、タンク20に回収される。タンク20に回収された電解液は、遠心分離装置やフィルタを有する濾過装置21を通して電解液供給装置19に戻されるようになっている。
図2は、電極11および被加工物1の断面図である。図2(a)は、加工途中の状態を示し、図2(b)は、加工完了状態を示している。
電極11は、筒状の導電部11aと、導電部11aの外周側を覆う絶縁部11bとを有している。導電部11aは、SUS(ステンレス鋼)などの電気抵抗の低い金属で形成されている。絶縁部11bは、ポリアセタールコポリマーや耐熱塩化ビニルなどの電気抵抗の高い絶縁材で形成されている。絶縁部11bには電解液供給孔11cが形成されている。また、絶縁部11bは、ポリテトラフルオロエチレン等のコーティング材で形成されていてもよい。
このような電極11を用いて、電解液供給孔11cから電解液を矢印のように供給しながら被加工物1と導電部11aの間に電圧を印加し、被加工物1のうち導電部11aと対向する部位の金属を溶出させ、被加工物1の表面に凹形状の加工部1aを形成する。
また、被加工物1のうち導電部11aから離れた部位1bでは電解反応は起こらず、平坦な非加工部となる。加工部1aと非加工部1bとの境界にはエッジ部1cが形成される。
加工の進展に合わせて電極11を被加工物1に接近させ、加工部1aの深さを深くし、加工部1aを貫通させる。これにより、被加工物1に貫通孔が形成される。
貫通孔の加工時間(加工速度)は、電極11を被加工物1に接近させる速度(電極送り速度)と相関関係がある。すなわち、電極送り速度が速いと加工速度が速くなって加工時間が短くなり、電極送り速度が遅いと加工速度が遅くなって加工時間が長くなるという関係がある。
電極11の絶縁部11bは、所定の加工寸法を得るためと、加工したい箇所以外での2次的な加工の発生を防止するために用いる。
電極11の導電部11aは、図2の例のように絶縁部11bから突き出すように形成してもよいが、突き出さないで、その端部が絶縁部11bと同一面になるようにしてもよい。絶縁部11bは、導電部11aに圧入され、あるいは接着などにより接合されて導電部11aと一体化される。
図2の例では、電解液供給孔11cがストレート形状になっているが、ストレート形状に限らず、例えば電解液の出口部がテーパ状に広くなった形状になっていてもよい。
次に、孔明け加工時に制御装置15が行う制御処理を説明する。制御装置15が行う制御処理には、通常制御と短絡防止制御とがある。
図3は、通常制御に用いられるマップである。図4は、通常制御と短絡防止制御との切り替え処理の概要を示すフローチャートである。図5は、通常制御および短絡防止制御による作動例を示すタイムチャートである。
まず、通常制御では、設定電流を加工設定電流(図5)にする。加工設定電流は、予め制御装置15に記憶されている。これにより、制御装置15は、電極11と被加工物1との間に加工設定電流が流れるように電源17の出力電圧を制御する。
また、通常制御では、電圧電流計18によってモニタリング(継続的に検出)された電圧値(電圧モニタ値)と図3のマップとに基づいて、電極送り速度(加工速度)を変化させる。図3のマップは、予め制御装置15に記憶されている。
図3のマップでは、電極送り速度は電圧モニタ値に比例している。これにより、図5に示すように、電圧モニタ値が低下した場合、電極送り速度(加工速度)が低下する。
図3の例では、電圧モニタ値が所定値よりも低い場合、電極送り速度をマイナスにする。電圧モニタ値が短絡検知電圧以下の場合、電極送り速度が下限値(−設定加工速度)に設定される。また、図3の例では、電極送り速度に上限値(設定加工速度×最大倍率)が設定されている。
電圧モニタ値は、電極11と被加工物1との間の距離(極間距離)と相関関係がある。すなわち、電極11と被加工物1との間の距離(極間距離)が小さいほど、電極11と被加工物1との間において電気抵抗が小さくなって電流が流れやすくなる。
したがって、通常制御では、極間距離が大きくなっていて電圧モニタ値が高くなっている場合、電極送り速度を早くして極間距離を小さくする。一方、極間距離が小さくなっていて電圧モニタ値が低くなっている場合、電極送り速度を遅くして極間距離を大きくする。場合によっては電極送り速度がマイナスになる)。
このため、極間距離が適切な距離に維持されるので、適切な加工速度を維持しつつ、電極11の先端が被加工物1に接触して短絡することを防止できる。
短絡防止制御は、加工部1aが被加工物1を貫通する際(抜け際)に短絡を防止するために行われる制御である。図5に示すように、短絡防止制御では、電極送り速度をマイナスにする。すなわち、電極11を被加工物1から離反させる。
また、短絡防止制御では、設定電流を短絡設定電流に変更する。短絡設定電流は、通常設定電流よりも低い値であり、具体的には、加工が成立しないほど低いレベルの電流値が選定されている。
図4のフローチャートに示すように、通常制御と短絡防止制御との切り替えは、電圧モニタ値に基づいて行われる。図4のフローチャートは、電源17にパルス電源が用いられている場合の例を示している。
まず、ステップ100にて、電圧電流計18が検出した電圧モニタ値を取得する。これにより、制御装置15は、印可されたパルス電圧のピーク値を把握することができる。
次いで、ステップS110にて、所定時間内におけるピーク電圧の上昇量が第1閾値(図5)以上か否かを判定する。第1閾値は、予め制御装置15に記憶されている。
所定時間内におけるピーク電圧の上昇量が第1閾値以上であると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS120、S130へ進み、短絡防止制御を実行する。
具体的には、ステップS120にて、電極送り速度をマイナスの所定速度に変更する。これにより、電極11が被加工物1から離反する。マイナスの所定速度の値は、予め制御装置15に記憶されている。
さらに、ステップS130にて、設定電流を短絡設定電流に変更する。短絡設定電流は、通常設定電流よりも低い値であり、具体的には、加工が成立しないほど低いレベルの電流値が選定されている。これにより、電極11と被加工物1との間に流れる電流が極めて低くなり、加工が中断される。短絡設定電流は、予め制御装置15に記憶されている。
次いで、ステップS140にて、ピーク電圧が第2閾値(図5)以上であるか否かを判定する。第2閾値は、予め制御装置15に記憶されている。ピーク電圧が第2閾値以上であると判定した場合(YES判定の場合)、ステップS150へ進み、通常制御を実行する。すなわち、電極送り速度を図3のマップに基づいて決定し、設定電流を通常設定電流にする。
ステップS140にて、ピーク電圧が第2閾値未満である場合と判定した場合(NO判定の場合)、ステップS140を繰り返す。
ステップS110にて、所定時間内におけるピーク電圧の上昇量が第1閾値未満であると判定した場合(NO判定の場合)、ステップS150へ進み、通常制御を実行する。
図5の例では、加工開始直後には通常制御が実施され、電極11が被加工物1に向かって下降する。加工が進展するにつれ、極間距離が短くなり電圧モニタ値が低下する。これに伴い電極送り速度を低下させる。これにより、加工中の短絡が防止されるとともに、電圧モニタ値が基準電圧とほぼ同じ値に維持される。
さらに加工が進展して被加工物1が部分的に貫通すると、電圧モニタ値に特有の上昇が現れる。そのメカニズムは以下の通りであると考えられる。
(1)一部が貫通することで、電解液が専ら貫通部を流れるようになり、非貫通部では電解液の流れが悪くなる。すると、非貫通部にスラッジやガスが充満するので電流が流れにくくなるので、電圧モニタ値が上昇すると考えられる。
(2)一部が貫通することで、加工部面積が小さくなる。このため、抵抗が大きくなるので電圧モニタ値が上昇すると考えられる。
被加工物1が部分的に貫通した場合、非貫通部にスラッジやガスが充満するので、非貫通部の加工速度が遅くなり、非貫通部と貫通部とで加工が不均一になる。そのため、電極11と被加工物1の非貫通部とが接触して短絡する可能性が高くなる(短絡の兆候)。
そこで、本実施形態では、ステップS110〜S130のように、短絡の兆候となる電圧モニタ値の上昇(本例では、所定時間内におけるピーク電圧の上昇量が第1閾値以上)が検知された場合、短絡防止制御が実行されるので、貫通時の短絡(抜け際短絡)を防止することができる。
具体的には、短絡防止制御では、電極送り速度がマイナスの所定速度に変更されるので、電極11が被加工物1から離反する方向に戻される(電極戻し)。これと同時に、設定電流が短絡設定電流に変更されるので、モニタ電圧値が大幅に低下する。
短絡防止制御時には、電極11が被加工物1から離反する方向に戻されて極間距離が増加するにつれてモニタ電圧値が上昇する。そして、モニタ電圧値が第2閾値以上になると、短絡防止制御から通常制御に戻される。すなわち、極間距離が十分に確保されると、通常制御に戻して加工を再開する。
このようにして、抜け際短絡(貫通時の短絡)を防止しながら被加工物1に貫通孔を加工する。
本実施形態によると、電極送り速度(電極11の被加工物1側への相対的な変位速度)を、短絡の可能性を表す指標としての電圧モニタ値(電圧電流計18の検出結果)に基づいて変化させるで、短絡防止と加工時間短縮とを両立できる。
具体的には、短絡防止制御では、被加工物1が部分的に貫通したときに現れる電圧モニタ値の上昇を検知して電極を戻すので、抜け際短絡(被加工物1が貫通する際の短絡)を防止できる。また、通常制御では、極間距離の代用特性としての電圧モニタ値に応じて電極送り速度を制御するので、加工中短絡(貫通する前の加工中における短絡)を防止できる。
このような制御を行った場合、単純に極間距離を大きめに維持することで短絡を防止する場合に比べて加工時間を短縮できる。したがって、短絡防止と加工時間短縮とを両立できる。
なお、短絡防止制御では必ずしも電極を戻す必要はなく、電圧モニタ値の上昇を検知した時点に比べて電極送り速度を低下させて電極送りをゆっくりにすれば、電極送り速度を低下させない場合と比較して短絡を抑制することができる。
因みに、加工開始時および貫通時に電極送りをゆっくりにすれば、図2(b)に示すエッジ部1cを滑らかなR形状に成形することができる。この加工方法は、エッジ部1cのR形状精度が極めて重要となる場合に非常に有効である。
(第2実施形態)
本第2実施形態は、被加工物2の奥まった部分に孔明け加工を行う例を示すものである。
図6に示すように、電極11は、直線形状部と、直線形状部から直交方向に突出する複数の先端部とを有し、複数の先端部のそれぞれに電解液供給孔11cが形成されている。電極11は、上記第1実施形態と同様に、導電部11aと、導電部11aの外周側を覆う絶縁部11bとを有している。
被加工物2には、挿入側の孔2aと抜け側の孔2bとが予め形成されている。電極11は、被加工物2の挿入側の孔2aと抜け側の孔2bとを連通する孔2cを明ける加工を行う。
具体的には、電極11を挿入側の孔2aに挿入し、抜け側の孔2bに向かって送りながら上記第1実施形態と同様の制御処理を行うことによって、複数の孔2cを一度に明ける。
本実施形態によると、切削等の他の加工技術では加工が難しい孔明け加工を行うことができる。具体的には、奥まった部分の孔明け加工や、横穴明け加工を行うことができる。また、本実施形態によると、複数の孔を同時に加工することができる。
ちなみに、電解液供給装置19は、複数の電解液供給孔11cに対して電解液の供給を独立して行えるように、複数系統をそれぞれ独立して開閉可能になっているのが望ましい。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、動力伝達機構12および駆動装置13が電極11を往復動させるが、これに限定されるものではなく、電極11および被加工物1のうち少なくとも一方を変位駆動して、電極11の被加工物1側への相対的な変位速度を変化させるようにすればよい。
また、上記第1実施形態は、制御装置15による制御処理の一例を示したものに過ぎず、これに限定されることなく、制御装置15による制御処理を種々変形可能である。
例えば、上記第1実施形態では、所定時間内におけるピーク電圧の上昇量が第1閾値以上であると判定した場合、短絡防止制御を実行するが、短絡防止制御の実行条件はこれに限定されるものではなく、電圧電流計18の検出電圧が抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、短絡防止制御を実行するようにすればよい。
例えば、上記第1実施形態では、通常制御における電極送り速度が電圧モニタ値に比例しているが、これに限定されるものではなく、電圧電流計18の検出電圧が下降した場合、電極送り速度を減少させるようにすればよい。
例えば、上記第1実施形態では、電極送り速度を電圧モニタ値に基づいて変化させるが、電極送り速度を電流モニタ値に基づいて変化させるようにしてもよい。
また、上記各実施形態は、本発明を孔明け加工に適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、溝成形加工等の種々の加工に本発明を広く適用可能である。
1 被加工物
11 電極
11c 電解液供給孔
12 動力伝達機構(駆動機構)
13 駆動装置(駆動機構)
15 制御装置(制御手段)
17 電源
18 電圧電流計(検出手段)
19 電解液供給装置(電解液供給手段)

Claims (10)

  1. 電極(11)の電解液供給孔(11c)から被加工物(1)に電解液を供給し、前記電極(11)と被加工物(1)との間に電圧を印可する電解加工方法であって、
    前記電極(11)と前記被加工物(1)との間に印可された電圧を検出手段(18)によって検出し、
    前記検出手段(18)の検出電圧が、抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記電極(11)の前記被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させることを特徴とする電解加工方法。
  2. 前記検出手段(18)の検出電圧が前記抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記電極(11)と前記被加工物(1)との間を流れる電流を低下させることを特徴とする請求項に記載の電解加工方法。
  3. 前記検出手段(18)の検出電圧が前記抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記変位速度をマイナスの速度にすることを特徴とする請求項またはに記載の電解加工装置。
  4. 前記検出手段(18)の検出電圧が下降した場合、前記変位速度を減少させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の電解加工方法。
  5. 前記変位速度を前記検出手段(18)の検出電圧に比例させることを特徴とする請求項に記載の電解加工方法。
  6. 電解液供給孔(11c)が形成された電極(11)と、
    前記電解液供給孔(11c)に電解液を供給する電解液供給手段(19)と、
    前記電極(11)と被加工物(1)との間に電圧を印可する電源(17)と、
    前記電極(11)および前記被加工物(1)のうち少なくとも一方を変位駆動する駆動機構(12、13)と、
    前記電極(11)と前記被加工物(1)との間に印可された電圧を検出する検出手段(18)と、
    前記駆動機構(12、13)を制御する制御手段(15)とを備え、
    前記制御手段(15)は、前記検出手段(18)の検出電圧が、抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記電極(11)の前記被加工物(1)側への相対的な変位速度を減少させることを特徴とする電解加工装置。
  7. 前記制御手段(15)は、前記検出手段(18)の検出電圧が前記抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記電極(11)と前記被加工物(1)との間を流れる電流が低下するように前記電源(17)を制御することを特徴とする請求項に記載の電解加工装置。
  8. 前記制御手段(15)は、前記検出手段(18)の検出電圧が前記抜け際短絡の前兆となる上昇を示した場合、前記変位速度をマイナスの速度にすることを特徴とする請求項またはに記載の電解加工装置。
  9. 前記制御手段(15)は、前記検出手段(18)の検出電圧が下降した場合、前記変位速度を減少させることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の電解加工装置。
  10. 前記制御手段(15)は、前記変位速度を前記検出手段(18)の検出電圧に比例させることを特徴とする請求項に記載の電解加工装置。
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