JP5549547B2 - 筋細胞の出力装置及び筋細胞の出力評価方法 - Google Patents

筋細胞の出力装置及び筋細胞の出力評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、筋細胞の出力装置及び筋細胞の出力評価方法に関する。
筋細胞又はその構造体の収縮能等を評価する試みがある。また、かかる収縮能等を動力源として利用する試みがある。例えば、心疾患等、筋細胞が関連する疾患の治療やそのための薬剤のスクリーニングのために、筋細胞を動力源として利用したり、筋細胞に発生する力(収縮力)を評価したりすることが試みられている。
一般に、筋細胞などの接着性の細胞は、プラスチックディッシュを用いて培養される。しかしながら、このような培養状態では、細胞は、培養面に接着しているため、培養して得られた筋細胞の出力の評価は不可能である。そこで、各種の評価方法が試みられている。例えば、筋細胞の自己集合能を利用して骨格筋様組織を作製し、この組織において発生した力を測定する方法が開示されている(非特許文献1,2)。また、筋管細胞をガラスマイクロ針によって保持し、ガラスマイクロ針のたわみによって発生力を測定する方法も開示されている(非特許文献3)。さらに、筋芽細胞とコラーゲンゲルとを所定形状に複合化した三次元の環状構造体を作製して、当該構造物の収縮力を測定する装置も開示されている(特許文献1)。さらに、初代培養の心筋細胞を対象としてその張力を測定する装置も開示されている(特許文献2)。
特開2004−500093号公報 特開2002−228655号公報
Dennis RG et. al., Am. J. Physiol. Cell. 280(2):C288-95 Herman Vandengurgh et.al., Muscle & Nerave(2008), 37, p438-447 Macmahon DK et.al., Am. J. Physiol. Cell. 266(6 pt 1):C1795-802
しかしながら、現在までのところ、培養細胞の構造体につき、これらの出力評価に適した細胞構造体の検討は全く行われていなかった。出力の評価対象となる検体を均質に作製できなことは、評価結果の信頼性や定量性を大きく低下させることになる。
すなわち、及びその評価方法上記非特許文献1、2の方法では、細胞の剥離と集積とを利用するため、再現性が低く、実験が非効率的である。また、作製できる微小組織の大きさ等を均一化することができないため、定量性に乏しい。さらに、細胞が折り重なった状態で評価するため、細胞が生きた状態でその内部構造を観察することができない。さらに、細胞構造体としての強度が弱いため、長期的観察は不可能であった。
非特許文献3の方法では、特殊な装置を要し、汎用的な評価方法として成立しない。さらに、特許文献1に記載の方法では、単一の細胞を評価対象とするため、定量性に乏しく、また、長期的な観察も不可能であった。さらにまた、特許文献2の方法では、評価対象を作製するのが極めて煩雑であり、かつ、細胞を配向することが困難である。このため、評価対象として安定した培養細胞体を作製するのは困難であった。また、評価対象の作製困難性は、同時に定量性の喪失を意味している。
そこで、本発明は、筋細胞の筋収縮力の出力に適した出力装置を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、この出力装置を用いた筋収縮に関連する細胞の出力評価方法等の用途を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するべく、筋細胞と支持体との複合化に着目し、所定の幅の長尺部を有する支持体を筋細胞の支持体として用いることで、筋細胞の収縮力を適切に出力できる知見を得た。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成した。本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、筋細胞の出力装置であって、所定の幅を有する1又は2以上の長尺部を備えるコラーゲンを主体とする支持体と、前記支持体の前記長尺部上に保持された筋細胞と、を有する複合体、を備える、出力装置が提供される。前記筋細胞は、骨格筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞及び筋管細胞から選択される1種又は2種以上とすることができる。
本発明の出力装置において、前記長尺部の所定の幅は、250μm以上650μm以下であることが好ましく、より好ましくは400μm以上500μm以下である。また、前記長尺部の長さは、2mm以上50mm以下であることが好ましい。
本発明の出力装置に置いては、前記筋細胞は、前記長尺部表面に接着されていることが好ましい。また、本発明の出力装置においては、2以上の前記複合体が集積されていることも好ましい。
本発明によれば、筋細胞の出力評価方法であって、以下の工程;
(a)本発明の筋細胞の出力装置の前記筋細胞に対して、筋収縮を促進又は阻害する可能性のある1又は2以上の刺激を付与する工程と、
(b)前記出力装置に発生した収縮力を検出する工程と、
を備える、方法が提供される。前記(a)の工程は、少なくとも電気刺激を前記培養細胞に付与する工程とすることができる。
本発明の出力装置及び支持体の一例を示す図である。 本発明の出力装置に用いる支持体の他の一例を示す図である。 本発明の出力装置を用いて筋細胞の出力を評価する方法の一例を示す図である。 実施例で用いた筋細胞の評価系を示す図である。 長尺部の幅が250μm〜650μmとしたときの出力評価結果を示す図である。 2本型支持体を備える出力装置についての出力評価結果を示す図である。 厚みが異なる(20μm、35μm)の支持体をそれぞれ備える出力装置についての出力評価結果を示す図である。
本発明は、筋細胞の出力装置、その製造方法及びその用途に関する。本発明の出力装置によれば、筋細胞が支持体の長尺部に複合化されており、当該筋細胞に対して筋収縮刺激が付与されたとき、筋細胞の収縮力により支持体を含めた複合体を効果的に収縮させることができ、その結果、張力等として出力させることができる。このため、本発明の出力装置は、筋細胞の出力を得るのに適しているとともに、筋細胞の収縮力を簡易に評価することができる。また、かかる出力装置における複合体は、簡易な構造であり取り扱いも容易であるため、従来に比して評価対象として均質に作製できる。よって、従来に比較して正確性及び再現性に優れ、より定量性のある収縮力の評価が可能となっている。
また、このような出力装置によれば、支持体上で筋収縮を誘起する可能性のある刺激を付与したとき、筋細胞の収縮能を検出できるため、筋細胞自身の機能、応答性、分化程度を評価することができるほか、薬剤のスクリーニング等も可能となる。
以下、本発明の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。図1は、本発明の出力装置及びその支持体の一例を示す図であり、図2は、本発明の出力装置に用いる支持体の他の一例を示す図であり、図3は、本発明の出力装置を用いて筋細胞の出力を評価する方法の一例を示す図である。
(筋細胞の出力装置)
図1に示すように、本発明の出力装置2は、長尺部12を有する支持体10と筋細胞20とを備える複合体4を、その構成要素として備えている。
本発明の出力装置2に適用される筋細胞20は、筋収縮能に関し成熟した細胞のほか、未熟ではあっても、成熟した同種の細胞が備える収縮能と同質の収縮能を備える細胞を含んでいる。同質の収縮能は、例えば、成熟した細胞が骨格筋細胞であるとき、骨格筋細胞と同質の収縮をする傾向があれば足り、その程度は問わない。したがって、筋細胞には、成熟した筋細胞への分化途中の細胞や、成熟した筋細胞の幼弱細胞などの未成熟細胞が含まれる。なお、筋細胞としては、特に由来は問わない。ヒトあるいは非ヒト動物に由来する細胞が挙げられる。筋細胞は、iPS細胞やES細胞に由来していてもよい。さらに、遺伝子導入や遺伝子破壊がなされていてもよい。
筋収縮能に関し成熟した細胞は、骨格筋細胞、心筋細胞及び平滑筋細胞から選択することができる。これらのいずれであってもよいが、本発明の出力装置2は、収縮能の発現に細胞の配向性を要する骨格筋を適用対象とすることが好ましい。
骨格筋細胞の未成熟細胞としては、筋管細胞、筋芽細胞、骨格筋サテライト細胞、間葉系幹細胞等が挙げられる。心筋細胞の未成熟細胞としては、心筋細胞の幼若細胞又は分化途中にある細胞が挙げられ、例えば、心筋前駆細胞、心筋幹細胞、間葉系幹細胞等が挙げられる。平滑筋細胞の未成熟細胞としては、平滑筋細胞の幼若細胞又は分化途中にある細胞が挙げられ、例えば、平滑筋前駆細胞、間葉系幹細胞等が挙げられる。
筋細胞は培養細胞であることが好ましい。本明細書において、培養細胞とは、in vitroで培養された細胞を意味する。したがって、生体から採取後、一定期間培養された細胞であればよく、初代培養細胞も含まれる。
筋細胞20は、長尺部12上に直接備えられていてもよいし、異種の培養細胞層を介して備えられていてもよいが、長尺部12上に直接接着して備えられていることが好ましい。なかでも、長尺部12の表面に播種されて培養された細胞であることが好ましい。より具体的には、筋細胞20は、長尺部12の長尺状の平面形態に倣ってコンフルーエント状態まで培養されていることが好ましい。換言すれば、長尺部12の形状に習った培養細胞層を形成していることが好ましい。こうした状態であると最も収縮能を発現しやすく、出力の取り出し及び評価に好ましい。また、少なくとも単一の層状態で筋細胞20を備えている限り、さらに、筋細胞20が重層されていてもよいし、内皮細胞等の異種細胞の培養細胞が重層されていてもよい。
(支持体)
支持体10は、所定の幅を有する長尺部12を有している。長尺部12は、コラーゲンを主体として形成されている。コラーゲンは良好な細胞接着性と適度な柔軟性を備えることができるとともに、培養条件下で透明性を維持できる点において好ましい。コラーゲンとしては、不溶性コラーゲンと可溶性のコラーゲンとに分けることができるが、本発明の原料に用いられるコラーゲンは可溶性あるいは可溶化コラーゲンが用いられる。具体的には酵素可溶化コラーゲン(アテロコラーゲン)、アルカリ可溶化コラーゲン、酸可溶性コラーゲン、塩可溶性コラーゲン等を用いることができるが、特にアテロコラーゲンが望ましい。コラーゲンの可溶性はコラーゲンの架橋度に依存し、架橋度が高いほど不溶化することから、本発明に使用するコラーゲンの架橋度は、例えば、3量体以下であることが好ましく、より好ましくは2量体以下である。コラーゲンの分子量は例えば、約30万から約90万が好ましく、約30万から約60万がより好ましい。
コラーゲンはまた生体組織由来、リコンビナントコラーゲンのいずれであっても良い。生体組織由来の場合、使用する組織に特に制限はないが、例えば真皮層が採取しやすく溶解が容易である。生体組織由来の場合、動物種に特に制限はなく、培養時にコラーゲンが熱変性を起こすことのない変性温度を持つコラーゲンであれば問題はない。具体的にはウシ、ブタ等哺乳動物由来、ニワトリ等の鳥類由来、マグロ、イズミダイ等の暖流、熱帯地域に生息する魚類由来等を用いることができる。コラーゲンの構成アミノ酸側鎖の化学修飾物、具体的にはアセチル化、サクシニル化、フタール化等のアシル化、メチル化、エチル化等のエステル化等を用いることが可能である。
なお、長尺部12は、コラーゲンの他、他の生体親和性材料を混合することもできる。生体親和性材料としては、例えばゼラチン、フィブリン、アルブミン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ペクチン、アガロース、ハイドロキシアパタイト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、またはグリコール酸、乳酸もしくはアミノ酸の重合体もしくはこれらの共重合体、またはこれらの生体親和性材料の2種類以上の混合物等が挙げられる。
支持体10の長尺部12は、おおよそ一定の厚みを有するフィルム状であることが好ましい。長尺部12は、好ましくは、長尺部12の全体にわたっておおよそ同一の幅を備える長方形状である。長尺部12の幅は、長尺部12上に筋細胞20を備える複合体4とし、その筋細胞20を一定の等尺収縮状態下においたとき、より大きな収縮能を発現するように設定されていることが好ましい。こうすることで、感度よく、筋細胞の収縮能を検出できるからである。
一般に、骨格筋細胞等の収縮能は、細胞の配向性が高いほど大きく、等尺収縮状態としたときの発生張力も大きいとされている。また、細胞の配向性を得るためには、細胞層の幅(収縮方向に直交する方向)を100μm以下にする必要があるとされている。しかしながら、本発明者らによれば、筋細胞等を長尺部12表面でその平面形状に習って長尺状形態に培養し、その長軸方向に沿って収縮状態を形成したとき、その幅が100μmをゆうに超える幅において発生張力が最大となることがわかった。長尺部12の幅は、後述する筋細胞の出力評価方法により決定することができる。これについては後段で説明する。
長尺部12は、その幅が250μm以上650μm以下であることが好ましい。250μm未満であると強度が十分でなく取り扱いが困難になるほか、等尺性収縮状態での評価も困難だからである。また、650μmを超えると、骨格筋細胞又はその前駆細胞の配向性が低下しすぎて収縮力を取り出したり評価したりするのには適さなくなるからである。より好ましくは、400μm以上である。400μm以上であると、長尺部12の単位断面積当たりの収縮力としては安定化する傾向になるからである。さらに好ましくは440μm以上である。上限は、より好ましくは500μm以下である。長尺部12の幅の範囲は、より好ましくは、400μm以上500μm以下であり、最も好ましくは、440μm以上460μm以下である。
長尺部12の厚みは、特に限定しないが、筋収縮力の取り出しや評価性のほか、取り扱い性と経済性とを考慮すると25μm以上100μm以下であることが好ましい。25μm未満であると脆弱なために取り扱いが困難になるだけでなく、細胞培養中に細胞が発生する力によって長尺部12のコラーゲン膜が変形してしまうおそれがあるからである。また、100μmを超えると、かかる膜厚のコラーゲンフィルムが作製困難あるいは高コストになるほか、透明度が低下し細胞観察が困難になるからである。より好ましくは30μm以上60μm以下である。
長尺部12の長さは特に限定しないが、出力の取り出し及び評価を考慮すると、2mm以上50mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以上50mm以下であることが好ましく、より好ましくは10mm以上25mm以下である。
支持体10は、長尺部12を1個備えていてもよいが、例えば、長軸方向が揃うように2個以上の長尺部12を並列して備えていてもよい。複数個の長尺部12を備えることで、大きな出力の取り出しや評価が可能となる。支持体10が、長尺部12を複数個備える形態においては、2以上の長尺部12に生じる収縮が、隣接する又は近傍の長尺部12における収縮を阻害しないように配置されることが好ましい。2個以上の長尺部12を備える支持体10の例を図2に示す。この場合、各長尺部12は、互いの収縮を妨げない程度に適宜間隔を置くことができる。
支持体10は、筋収縮の出力の取り出し及び/又は出力の評価のために他の部材(出力先又は評価手段)に連結するための要素を備えていてもよい。こうした要素は、長尺部12の長軸方向に沿う両端部又はその一方を用いてもよいが、長尺部12の長軸方向に沿う両端又は片端に連結部14として備えられていてもよい。連結部14は、長尺部12と一体に成形されたものであってもよい。すなわち、コラーゲンを主体とし長尺部12と連続する単一のフィルムとして形成されていてもよい。この場合、連結部14は、図1に例示するように、長尺部12と明らかに区別できる形態を備えていてもよいが、長尺部12が延長形成された形態であってもよい。連結部14には、筋収縮の出力の取り出し又は出力の評価のために好ましい形態を備えることができる。例えば、図1に示すように、固定等に有利に長尺部12よりも大きな強度を確保できる大きさ、厚み、及び/又は形状を備えていてもよい。また、固定等のための貫通孔部16を備えるなどの加工がなされていてもよい。連結部14は、その表面に筋細胞20を備えている必要はないが、長尺部12と同様に細胞接着性材料で形成されている場合には、表面には筋細胞が接着保持されていてもよい。
フィルム状の支持体10とその長尺部12上の筋細胞20とを備える複合体4は支持体10と筋細胞20の積層体である。すなわち、複合体2は、長尺部12に対応する平面形態を少なくともその一部に有する実質的にシート状形態を有している。このため、筋細胞20は、支持体10で支持されて補強され、取り扱い性に優れたものとなっている。
複合体10は、そのまま本発明の出力装置2の全体を構成する場合もあるし、2以上の複合体4を集積して本発明の出力装置2とすることもできる。複合体4の集積は、例えば、複合体4を同一平面内に並列して配置されるように集積してもよいし、複合体4を異なる高さ(長尺部12の厚みに沿う方向)集積してもよい。さらにこれらを組み合わせて平面方向及び高さ方向に集積してもよい。複合体4を並列させる場合には、複合体4間を密接させてもよいし、間隙を置いて並列させてもよい。高さ方向に集積する場合には、各複合体4を直接積層してもよいし、間隙をおいて積層してもよい。高さ方向に集積する場合には、複合体4間に適宜空間が形成されるように支持体10を適当な保持固定手段で保持してもよい。これらのいずれの集積形態においても、効果的に出力を取り出し又は評価するには、各複合体4の長尺部12の長軸方向は同一方向又はほぼ同一方向に配向されていることが好ましい。
以上説明したように、本発明の出力装置2は、その筋細胞20に、筋収縮を誘起する刺激を付与することで筋細胞20が収縮し、その収縮力を外部に対して張力等として出力することができる。本発明の出力装置2が備える基本構成要素である複合体4にあっては、筋細胞20は、支持体の長尺部上に実質的シート状に培養されている。すなわち、従来のように複雑な構造体とはなっておらず、単純な構造を備えている。このため、筋細胞の収縮能に基づいて発生する張力等として出力するのに適した構造となっている。したがって、こうした出力を動力源として用いたり、評価したりするのに適している。また、単純な構造であるため、作製が容易であり作製の正確性、再現性も向上されているため、安定した出力を取り出すことができるとともに正確性や再現性に優れ、定量性の高い評価が可能となっている。
また、本発明の出力装置は、支持体の長尺部に筋細胞を備えているため、良好なハンドリング性も備えている。取り扱いが容易であるため、出力の取り出しや評価を簡易化することができる。この結果、安定した出力を取り出すことができるとともに正確性や再現性に優れ、定量性の高い評価が可能となっている。
さらに、本発明の出力装置の基本構成要素である支持体が単純な構造であるため、収縮に基づく張力発生系を容易に最適化することができる。特に、長尺部の幅が、発生張力に大きく影響しており、その最適化を図ることで、簡易に出力能力を最適化することができる。この結果、本発明の出力装置によれば、より小さい長尺部からより大きな出力を容易に取り出すことができる。同時に、収縮能を発生張力として検出する際の検出感度を高めることができる。
さらにまた、本発明の出力装置によれば、筋細胞は、長尺部上にシート状(層状)に形成される。また、長尺部は、コラーゲンを主体としており、透明性が高いものとなっている。このため、筋細胞の分化状態及び配向状態を含む各種の状態の視認性(目視及び顕微鏡下を含む)に優れ、観察を容易に行うことができる。筋研究や利用において、可視性は重要である。したがって、本発明の出力装置は、観察や研究に適した出力装置となっている。
本発明の出力装置によれば、後述する筋細胞の出力評価方法に適用することで、研究用途、新規薬剤のスクリーニング、培養細胞の評価等を簡素化、高効率化、高精度化することができる。
本発明の出力装置2は、骨格筋等の機能を生体外で利用するアクチュエータなどに用いることができる。また、本発明の出力装置2は、筋細胞等の収縮に関連する疾患(心疾患等の心筋関連疾患、筋ジストロフィー等の骨格筋関連疾患、高血圧・喘息・消化機能障害等の平滑筋関連疾患)の治療のために利用できる。例えば、ヒト等におけるこうした疾患の治療のための再生医療材料又はその評価に用いることができる。また、こうした疾患の治療のための薬剤スクリーニング又は治療薬の薬効評価に用いることがもできる。
本発明によれば、本発明の出力装置2を用いた筋細胞等の出力の取得方法も提供される。すなわち、本発明の出力装置2に対して、筋収縮を誘起する刺激を付与することで、効果的にその出力を取り出すことができる。出力装置2の筋細胞20の収縮力は、張力等として外部に取り出すことができる。
なお、本発明によれば、出力装置用の支持体も提供される。本発明の支持体は、上記した支持体の各種形態を備えることができる。典型的には、支持体は、250μm以上650μm以下の幅を備える長尺部を備えるコラーゲンフィルムの態様を採ることができ、より好ましくは、25μm100μm以下の厚みのコラーゲンフィルムとすることができる。
(筋細胞の出力装置の作製方法)
本発明の出力装置2は、例えば、以下の方法によって作製することができる。典型的には、上記した支持体10を準備し、支持体10の長尺部12に筋細胞20又はその前駆細胞を播種し培養して筋細胞20を取得する。
支持体10は、例えば、公知の方法で各種のコラーゲンを用いて作製することができる。所定形状及びサイズの長尺部12を得るには、適当な成形条件を付与すればよい。細胞培養担体としてのコラーゲンフィルム及びその製造方法は当業者に周知である。また、シート状フィルムを商業的に入手して、必要に応じて所定形状に加工してもよい。支持体10には、長尺部12の他、必要に応じて連結部14等を別途形成してもよい。
なお、支持体10が複数の長尺部12を備えるとき、例えば、図2に示すように、同一平面内に複数の長尺部12を備えるときには、図2に示すような形状の支持体10を作製することができる。
つぎに、こうした支持体10の長尺部12上に筋細胞20を得る。筋細胞を長尺部12上で直接培養する場合、培養に先だって、長尺部12に筋細胞又はその前駆細胞を播種する。播種される細胞は、筋細胞の前駆細胞であってもよい。長尺部12上での培養工程において筋細胞に公知の方法で分化させることで最終的に筋細胞20を得ることができる。播種される細胞は、例えば、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞や筋管細胞の他、これらの前駆細胞としての、骨格筋由来幹細胞、心筋由来幹細胞、平滑筋由来幹細胞等のほか、線維芽細胞、筋芽細胞、筋管細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞、ES細胞、iPS細胞、骨芽細胞、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、神経細胞等が挙げられる。なお、播種される細胞は、個々の細胞を意味するほか、生体から採取されて組織を構成している状態の細胞や人工的にシート状に形成された細胞を含んでいる。したがって、播種される細胞としては、必ずしも細胞懸濁液のような形態を採る必要はなく、筋肉組織のような組織又はその一部(組織片)や細胞シートであってもよい。
培養条件は特に限定されないで、播種した細胞の種類に応じて適宜設定される。また、分化させることが必要な場合には、適宜、必要な培地や化合物が用いられる。例えば、筋芽細胞を播種する場合、2%牛血清を含む分化培地を供給することで筋管細胞に分化させることができる。
筋細胞は接着性細胞であり、所望の分化状態で長尺部12の表面にその平面形態に倣って接着してコンフルーエントな状態にまで培養されることが好ましい。長尺部12以外への細胞の接着を抑制して長尺部12の形態で筋細胞20を取得し、また、支持体10の培養基材からの剥離を容易にするためには、細胞非接着性の表面に支持体10を配置した状態で細胞を播種し、接着させることが好ましい。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの基材の表面に支持体10を配置した状態で細胞を播種し、接着させ、未接着の細胞を洗浄等で除去した後、培養を行うことが好ましい。なお、PDMSは、支持体10を固定するためのピン等を固定するのに必要な硬さ及び強度等を有しているという利点もある。支持体10の固定は、培地交換操作において誤って支持体10上で培養中の筋細胞20に障害を与えるおそれを回避するために重要である。なお、接着後も、そのまま細胞非接着性表面上に支持体10を配置した状態で培養を継続することが好ましい。
筋細胞として所望の分化状態でかつコンフルーエント状態になるまで培養したら、培養工程を終了することができる。筋細胞20の分化状態必要に応じて特異的なタンパク質などをマーカーとして確認することもできる。また、筋細胞20の配向状態も、細胞染色等によって確認することができる。
なお、筋細胞20の重層形態を得る場合、長尺部12上において得られた筋細胞20に、別にシート状に形成された筋細胞20を重層してもよいし、長尺部12上で培養した筋細胞20にさらに、筋細胞等を播種して培養してもよい。また、培養筋細胞20と異種細胞の培養細胞層との重層形態を採る場合、予め、異種細胞を長尺部12に播種・培養し、コンフルーエントとした後、筋細胞等を播種・培養してもよいし、筋細胞20のシートを積層してもよい。
以上のようにして、本発明の出力装置2の複合体4を得ることができる。この複合体4をさらに集積するときには、所望の集積形態に応じて、複合体4を配列し及び/又は積層等する。複合体4を集積するために、必要に応じて複数の複合体4をまとめるために支持体10又はその連結部14をクランプないし保持する適当な保持手段を用いてもよい。
本発明の出力装置の製造方法によれば、簡単な操作で出力装置2を製造することができる。すなわち、出力装置2の基本構成要素である複合体4においては、筋細胞20は、実質的にシート状に培養されており、従来のように複雑な構造体を作製する必要がない。このため、従来に比べて均質な状態の出力装置2を容易に得ることができる。
(筋細胞の出力評価方法)
本発明の筋細胞の出力評価方法は、本発明の出力装置2を用いる。本発明の評価方法は、本発明の出力装置2の筋細胞20に対して、筋収縮を誘起する可能性のある刺激を付与する工程(刺激付与工程)と、出力装置2に発生する収縮力を検出する工程(検出工程)と、を備えることができる。以下、図3を適宜参照して、本発明の出力評価方法について説明する。図3は、本発明の出力評価方法の一例を示す図である。
筋細胞の出力評価にあたっては、評価対象とするべき筋細胞20を備える出力装置2を準備する。例えば、動力源等としての出力評価のためには、特に限定しないで、ヒト又は非ヒト動物由来の筋細胞が用いられる。また、再生医療材料としての評価のためには、移植先生物に適切な異種動物由来の又は同種由来(自家又は他家由来)の筋細胞が用いられる。さらに、筋細胞の収縮を促進又は阻害する薬剤のスクリーニングのためには、対象動物、すなわち、ヒト又は非ヒト動物由来の筋細胞が用いられる。さらにまた、オーダーメイド治療のための薬効評価のためには、特定個体から採取した細胞に由来する筋細胞が用いられる。これらの各種筋細胞には、各前駆細胞から分化させて得られたものであってもよく、培養筋細胞は、iPS細胞に由来していてもよい。さらに、遺伝子導入や遺伝子破壊がなされていてもよい。
(刺激付与工程)
刺激付与工程では、出力装置2の筋細胞20に対して筋収縮を促進又は阻害する可能性のある刺激を付与する。こうした刺激を付与するにあたり、本発明の出力装置2は、等尺性収縮による評価形態及び等張性収縮による評価形態のいずれに基づくものであってもよいが、図3に示すように、等尺収縮による評価形態に基づくものであることが好ましい。すなわち、出力装置2における長尺部12の長さが一定になるように保持できるようにしておき、この状態にある筋細胞20に刺激を付与して評価することが好ましい。等尺収縮時の筋細胞20の収縮により発生する張力を測定することで簡便に筋細胞20の収縮能を評価できるからである。
付与する刺激は、筋収縮を促進又は阻害する可能性があれば足り、結果として筋収縮を促進又は阻害するかどうかは問わない。かかる刺激としては、物理的刺激及び/又は化学的刺激が挙げられる。筋細胞の基本的能力、すなわち、筋の収縮能力(張力発生能力)の有無やその程度を評価する場合には、筋収縮させる電気的刺激によるのが好ましい。簡易でかつ再現性を容易に確保できるからである。
物理的刺激としては、筋を収縮させることが知られている電気刺激や機械的な刺激が挙げられる。電気刺激としては、例えば、単収縮を発生させるようなパルス電流が挙げられる。また、機械的刺激としては、モーター等による引っ張りが挙げられる。心筋等においては、筋の引き伸ばし時の出力評価は有用である。また、昆虫飛翔筋でも、引っ張りによる筋収縮発生現象がある。また、化学的刺激としては、各種化合物等の投与が挙げられる。また、化学的刺激としては、筋細胞の収縮を促進又は阻害する薬剤のスクリーニング時における試験化合物が挙げられる。また、オーダーメイド治療等における筋収縮を促進又は阻害する薬剤に対する反応性(薬効)の評価時における薬剤等が挙げられる。このような試験化合物や薬剤は、図3に示す出力評価系の培養容器中に充填される液体培地等に供給されうる。それ自体で筋収縮を生じさせるかどうか阻害するかどうかの評価ために単独で付与される場合がありうるが、以下に記載するように、他の刺激と組み合わされて付与される場合もある。
こうした刺激は、2種類以上を組み合わせることもできる。例えば、筋収縮を促進又は阻害する可能性のある試験化合物や薬剤などの化学的刺激の存在下に、電気パルスなどの物理的刺激(筋収縮を生じさせることが知られている刺激)を加えることができる。こうすることで、化学的刺激非存在時の筋細胞の収縮能力との対比から、筋細胞の収縮能力に対するこれらの試験化合物や薬剤の作用の有無や程度を評価できる。
(検出工程)
検出工程では、出力装置2が刺激によって収縮したことによって収縮力を検出する。かかる収縮力を検出するには、例えば、等尺性収縮による評価系において、張力として検出することができる。等尺性収縮系では、図3に示すように、出力装置2の筋細胞20の長さ(長尺部12の長さ)を一定に保持するように固定しておくと、筋細胞20に生じた収縮力によってひずみゲージに張力が作用し、ひずみゲージに変位(ひずみ)が生じる。この変位により、ひずみゲージの抵抗値が変化するため、この抵抗値の変化により、出力装置2において生じた収縮力をひずみゲージに作用した張力として検出・測定することができる。なお、ひずみゲージにおいて得られた電気信号(抵抗値)は、PCなど、当該電気信号に基づいて張力又はひずみを算出できるプログラムが作動するCPUを備えるコンピュータ等に出力され、当該コンピュータにおいて処理され、張力等として出力される。収縮力を検出するための評価系の構成は、特に限定しない。図3に示す公知の等尺性収縮の評価系のほか、等張性収縮の評価系を適用することができる。なお、等尺性収縮の評価系においては、筋細胞20に生じる収縮力(収縮量)は微小であるため、通常の等尺性収縮の評価系とは異なりモーター等で引っ張って等尺状態に維持する必要は必ずしもなく、単に、長尺部12を連結部14等を一定長さに介して固定しておくだけでもよい。ひずみゲージは従来公知のひずみゲージを利用できる。
本発明の評価方法によれば、簡易にひずみゲージ等を用いた評価系で、筋細胞の収縮力(出力)を評価することができる。従来、筋の出力は、特別な装置や高価な装置によってのみ測定されていたが、本発明の評価方法によれば、本発明の出力装置2を用いることで、簡易な評価系に適用することが可能になり、この結果、正確性及び再現性に優れ、ひいては定量性のある出力評価を行うことができるようになる。また、実験動物を用いなくても筋出力評価実験が可能となる。さらに、筋細胞の収縮力に関連する、出力評価、薬剤スクリーニング、再生治療用材料の評価、筋ジストロフィー等の筋関連疾患のオーダーメイド治療における効果評価等の試験、研究を容易に実現することができるようになる。
以下、本発明の具体例を、実施例を挙げて説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
(支持体の作製)
コラーゲンフィルム(高研株式会社製、CLF01、厚み35μm)を長さ18mm、幅250μm〜1200μmの帯状の各長さの長尺部とその両端に直径1mmの略六角形の連結部を形成し、中央に貫通孔を形成し、支持体とした。また、同一のコラーゲンフィルムを用いて、幅が450μm〜750μmの長尺部を2本備える点以外は、先に作製した支持体と同様に2本型支持体を作製した。また、厚みが20μmである以外は同一のコラーゲンフィルムを用いて、長尺部の幅が450μmの長尺部を備える支持体も別に作製した。
(出力装置の作製)
作製した異なる幅の長尺部を備える支持体をそれぞれ、PDMSでコートした35mmプラスチックディッシュ上に固定し、紫外線照射下に5分間載置して滅菌した。その後、0.5×105cells/mlのC2C12筋芽細胞を含む増殖培地(10%牛胎児血清を含むDMEM培地)を2ml滴下して、C2C12筋芽細胞を播種した。
37℃、5%CO2下で24時間インキュベートし、C2C12細胞がコラーゲンフィルム上に接着したことを確認後、未接着の細胞を増殖培地で洗浄・除去した。その後、接着した細胞を、37℃、5%CO2下、増殖培地を用いてコンフルーエント状態になるまで培養し、培地を分化培地(2%牛胎児血清を含むDMEM培地)に交換し、筋分化を誘導した。分化培地を24時間毎に交換し、1週間培養することによって分化した筋管細胞が得られた。細胞を蛍光色素によって染色し、蛍光顕微鏡で観察すると、支持体の長尺部の長軸方向に配向した筋管細胞を確認できた。これらを出力装置として用いることとした。
(出力評価)
得られた各出力装置を、図4に示す評価系に適用した。すなわち、分化培地が充填された培養容器を温度制御用ホットプレート上に載置して、内部の培地を28℃に保持した。この容器内に出力装置の連結部の貫通孔部を介して弛まないようにピンによって出力装置を等尺収縮可能に固定した。また、一方の連結部を出力装置の収縮力が伝達されるようにひずみゲージに連結した。ひずみゲージからの電気信号をPCに出力できるようにした。出力装置の長尺部の長軸方向に沿う各面に炭素電極を配置して、筋管細胞の収縮に必要な電気パルスを付与できるようにアンプに接続した。
各出力装置の長尺部上の筋管細胞に対して、電気パルス(1V/mm、10ms plus duration)を付与して、筋管細胞に発生した収縮力に基づく張力をひずみゲージを用いて測定した。結果を図5に示す。
図5に示すように、250μmから650μmの範囲で、長尺部上の筋細胞の収縮力を張力として検出できた。特に、長尺部の幅が約500μmまで幅の増大にほぼ応じて発生した張力も増大していた。500μmを超えたあたりから、支持体の厚みによらずに張力は一定となった。このことから、長尺部の幅が500μmを超えると、効果的な筋収縮も生じず、幅に応じた張力も発生しないことがわかった。また、支持体の幅が250μmから約500μmまでは、おおよそ幅に応じた張力が発生する点で好ましいが、最も刺激に対して効果的に筋収縮させて張力を取り出す又は評価するには、400μm以上500μm以下、より好ましくは、450μm近傍(440μm以上460μm以下程度)であることがわかった。
また、2本型支持体を利用して作製した出力装置についても、同様にして発生張力を評価したところ、図6に示すように、同じ幅の1本型出力装置に比較して、大きな出力を取り出せることがわかった。この結果から、適切な幅の長尺部を複数本備えることで、本数に応じたより大きな出力が得られることがわかった。
さらに、異なる厚み(35μmと20μm)のコラーゲンフィルムを用いて作製した支持体(長尺部の幅が450μm)を用いた出力装置についての発生張力を同一条件で試験した。結果を図7に示す。図7に示すように、厚みが20μmであるとき、発生張力は厚みが35μmの場合に比べて半減していた。このことから、長尺部の厚みが20μm程度であると、筋細胞の収縮力を取り出しにくく、また筋細胞の収縮力の検出感度が低下する傾向があることがわかった。以上の結果から、筋細胞の収縮力に基づく出力の取り出し及び評価を考慮すると長尺部ないし支持体の厚みは25μm以上であることが好ましいことがわかった。
2 出力装置
4 複合体
10 支持体
12 長尺部
14 連結部
16 貫通孔部
20 筋細胞

Claims (19)

  1. 筋細胞の出力装置であって、
    所定の幅を有する1又は2以上のフィルム状の長尺部を備えるコラーゲンを主体とする支持体と、前記支持体の前記長尺部上で培養され保持された筋細胞と、を有する複合体、
    を備え、
    前記長尺部の幅は、400μm以上500μm以下である、出力装置。
  2. 前記筋細胞は、前記支持体の平面形状に倣ってコンフルーエント状態に培養されている、請求項1に記載の出力装置。
  3. 前記長尺部の幅は、440μm以上460μm以下である、請求項1又は2に記載の出力装置。
  4. 前記長尺部の厚みは、25μm以上100μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の出力装置。
  5. 前記長尺部の長さは、2mm以上50mm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の出力装置。
  6. 前記支持体は、前記長尺部の長軸方向に沿う両端に、コラーゲンを主体として前記長尺部と連続する、前記長尺部を前記長尺部上に保持された筋細胞の収縮の出力を取り出す部材に連結するための連結部をさらに有している、請求項1〜5のいずれかに記載の出力装置。
  7. 筋細胞の出力装置の製造方法であって、
    400μm以上500μm以下の幅を有する1又は2以上のフィルム状の長尺部を備えるコラーゲンを主体とする支持体上で、筋細胞又はその前駆細胞を培養する工程、
    を備える、製造方法。
  8. 前記培養工程は、前記支持体を細胞非接着性表面に配置した状態で前記筋細胞又はその前駆細胞を培養する工程である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 筋細胞の筋出力の評価方法であって、
    以下の工程;
    (a)請求項1〜6のいずれかに記載の筋細胞の出力装置の前記細胞に対して、筋収縮を促進する1又は2以上の刺激を付与する工程と、
    (b)前記出力装置に発生した収縮力を検出する工程と、
    を備える、方法。
  10. 前記(a)の工程は、筋収縮を生じさせる物理的刺激を前記筋細胞に付与する工程である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記(a)工程は、化学的刺激を付与する工程である、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記化学的刺激は、1又は2以上の化合物である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記(b)工程は、等尺性収縮又は等張性収縮による評価系によって前記収縮力を検出する工程である、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 筋細胞の収縮を促進又は阻害する薬剤のスクリーニング方法であって、
    以下の工程;
    (a)請求項1〜6のいずれかに記載の筋細胞の出力装置の前記筋細胞に対して、1又は2以上の試験化合物を付与する工程と、
    (b)前記出力装置に発生した収縮力を検出する工程と、
    を備え、
    前記(a)の工程は、さらに、筋収縮を生じさせる刺激を付与することを含む、方法。
  15. 前記刺激は、物理的刺激である、請求項14に記載の方法。
  16. 筋収縮を促進又は阻害する薬剤に対する特定個体から採取した筋細胞の反応性を評価する方法であって、
    以下の工程;
    (a)請求項1〜6のいずれかに記載の筋細胞の出力装置であって前記筋細胞は前記特定個体から採取された筋細胞である出力装置の前記筋細胞に対して、筋収縮を促進又は阻害する1又は2以上の薬剤を付与する工程と、
    (b)前記出力装置に発生した収縮力を検出する工程と、
    を備え、
    前記(a)の工程は、さらに、筋収縮を生じさせる刺激を付与することを含む、方法。
  17. 再生医療用材料の筋出力の評価方法であって、
    以下の工程;
    (a)請求項1〜6のいずれかに記載の筋細胞の出力装置であって前記筋細胞は前記再生医療用材料を構成する筋細胞である出力装置の前記筋細胞に対して、筋収縮を促進する1又は2以上の刺激を付与する工程と、
    (b)前記出力装置に発生した収縮力を検出する工程と、
    を備える、方法。
  18. 筋細胞の出力装置のための支持体であって、
    400μm以上500μm以下の幅を有する1又は2以上のフィルム状の長尺部を備えるコラーゲンを主体とする支持体。
  19. 前記長尺部の長軸方向に沿う両端に、コラーゲンを主体として前記長尺部と連続し、前記長尺部を前記長尺部上に保持された筋細胞の収縮の出力を取り出す部材に連結するための連結部をさらに有している、請求項18に記載の支持体。
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