JP5549495B2 - 光学素子、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents
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Description
新規の光学素子として、例えば、非特許文献1において金属ナノ構造体の配置の変化に応じて生じる近接場光相互作用を利用して放射場の変調を行う光学素子が検討されている。この非特許文献1では、伸縮可能で柔軟な基板上に複数のナノ構造体を配置し、基板に対して一様に加えられた外力によりナノ構造体間の配置関係、すなわち、相互作用が変化し、全体システムの光学応答が制御可能と期待される、としている。
本発明に係る第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学素子の概略構成を示す図である。図1(A)は第1の実施の形態に係る光学素子100の概略構成を示す平面図、図1(B)は図1(A)のA−A´線から見た断面図、図1(C)は金属パターンの構成を示す図である。図1(A)及び(B)において、光学素子100は、樹脂基板101(樹脂層)上に配置される第1の金属層102と、第1の金属層102上に配置される第2の金属層103とを備え、第1の金属層102と第2の金属層103が積層した構造を有する金属パターン104を含んでいる。
次に、図1に示した光学素子100の製造方法について図4を参照して説明する。
まず、樹脂基板101を形成するために用いる下基板110(第1の基板)を準備する。この下基板110としては、例えば、6インチの石英基板を用いるものとする。なお、下基板110は、石英基板に限るものではなく、シリコン基板を用いてもよい。
次に、下基板110の上面に樹脂層としてPDMS101を所定量(例えば、15g)滴下して、厚さを1mm程度に設定する。
次に、下基板110の上面に滴下したPDMS101を平坦化するための押付け基板111(第2の基板)を準備する。この押付け基板111としては、例えば、シリコン基板を用いるものとする。押付け基板111の表面は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であることが好ましい。
次に、押付け基板111の一方の面上に、フッ素系の離型剤を塗布して離型層112を形成する。この離型剤は、PDMS101を平坦化した後、PDMS101から押付け基板111を分離することを容易にするためのものである。
次に、押付け基板111の離型層112を形成した面を硬化前のPDMS101の表面に押し付けた状態を保持し、PDMSを硬化させ押付け基板111の平坦面をPDMS101の表面に転写することで、PDMS101の表面を平坦化する。その際、2時間以上室温で放置することでPDMSは硬化するが、100℃以上に加熱することにより短時間で硬化させることも出来る。基板上に平坦な樹脂層を形成する方法としてスピンコート法が一般的であるが、硬化前のPDMSのような粘性の高い材料を平坦性よく塗布することが困難である。本方法では押付け基板111の平坦面をPDMSに転写することで、押付け基板111の平坦面と同等の平坦性を容易に実現できる。PDMS101の表面を平坦化することにより、後述する工程において形成される第1の金属層102であるCr層102及び第2の金属層103であるAu層103の平滑性を向上できる。
次に、PDMS101表面を平坦化した後、PDMS101から押付け基板111を分離する。
次に、押付け基板111を分離し、PDMS101表面を平坦化した下基板110を準備する。
次に、例えば、スパッタ法、蒸着法等の真空成膜法を用いてPDMS101表面上にCr層102を形成する。このCr層102の厚さは、例えば、2nmである。Cr層102の厚さは、特に限定するものではないが、PDMS101の透光性に影響を与えない程度のナノオーダーの厚さ1nm〜5nm程度に形成することが望ましい。
次に、Cr層102上にレジスト114を厚さ300nm程度塗布する。このレジスト114としては、例えば、電子線レジストZEP520(日本ゼオン株式会社製)等を用いてもよい。なお、レジスト材料は、特に限定するものではない。
次に、EB描画及び現像により、図1(C)に示した金属パターン104に対応する開口を有するレジストパターン114を形成する。PDMS101上に導電性を有するCr層102が形成されているため、電子線描画における電子のチャージアップを防止することができる。また、PDMS101上にCr層102を成膜した後でレジストを形成するため、PDMS101表面でレジストが剥がれてしまうのを防ぐことができる。なお、レジストパターンの形成は、ナノインプリントリソグラフィや集束イオンビームリソグラフィなどで行うことも可能である。
次に、例えば、スパッタ法、蒸着法等の真空成膜法を用いてCr層102上及びレジストパターン114上にAu層103を形成する。このAu層103の厚さは、例えば、200nm程度である。
次に、レジストパターン114及びレジストパターン114上のAu層103を除去し(リフトオフ)、Cr層102上にAu層103が積層した金属パターン104を形成する。
次に、PDMS101から下基板110を分離して光学素子100の製造を完了する。なお、完成したPDMS101の厚さは、0.1mm〜5mm程度にすることが望ましい。0.1mm未満であると、PDMS101分離の際に、機械的強度が足りず破損が生じる。5mmより大きいと弾性が生じにくくなるため、好ましくない。すなわち、PDMS101は、曲げることが可能な厚さにすることが望ましい。
次に、例えば、スパッタ法、蒸着法等の真空成膜法を用いてPDMS101表面上にCr層102を形成する。このCr層102の厚さは、例えば、2nmである。Cr層102の厚さは、特に限定するものではないが、PDMS101の透光性に影響を与えない程度のナノオーダーの厚さ1nm〜5nm程度に形成することが望ましい。
次に、例えば、スパッタ法、蒸着等の真空成膜法を用いてCr層102上にAu層103を形成する。このAu層103の厚さは、例えば、200nm程度である。
次に、Cr層102上にレジスト114を厚さ300nm程度塗布する。このレジスト114としては、例えば、電子線レジストZEP520(日本ゼオン株式会社製)等を用いてもよい。なお、レジスト材料は、特に限定するものではない。
次に、EB描画及び現像により、レジスト114に図1(C)に示した金属パターン104に対応したレジストパターン114を形成する。PDMS101上に導電性を有するCr層102が形成されているため、電子線描画における電子のチャージアップを防止することができる。
次に、レジストパターン114をマスクにしてCr層102、Au層103をエッチングする。その後、レジストパターン114を除去し、Cr層102にAu層103が積層して構成された金属パターン104を得る。
次に、PDMS101から下基板110を分離して光学素子100の製造を完了する。
本発明の第2の実施の形態に係る光学素子200について図7〜図10を参照して説明する。第2の実施の形態に係る光学素子200は、金属パターンの形状を短冊形状にしたことに特徴がある。なお、図7〜図10に示す光学素子200の構成では、第1の実施の形態に示した光学素子100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その構成説明は省略する。
本発明の第3の実施の形態に係る光学素子300について図11〜図13を参照して説明する。第3の実施の形態に係る光学素子300は、金属パターンとして略リング形状の一部に切り欠き部を有する金属ナノ構造体を複数配置したことに特徴がある。光学素子300はメタマリアルを構成するためのメタマリアル用部材である。なお、図11〜図13に示す光学素子300の構成では、第1の実施の形態に示した光学素子100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その構成説明は省略する。
本発明の第4の実施の形態に係る光学素子400について図14〜図16を参照して説明する。第4の実施の形態に係る光学素子400は、金属パターンとして略リング形状のものに複数の切り欠き部を有しており、C字形状のパターンを有する金属ナノ構造体を複数配置したことに特徴がある。光学素子400はメタマリアルを構成するためのメタマリアル用部材である。なお、図14〜図16に示す光学素子400の構成では、第1の実施の形態に示した光学素子100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その構成説明は省略する。
本発明の第5の実施の形態に係る光学素子500について図17〜図19を参照して説明する。第5の実施の形態に係る光学素子500は、金属パターンとして矩形のリング形状の一部に切り欠き部を有する金属ナノ構造体を複数配置したことに特徴がある。光学素子500はメタマリアルを構成するためのメタマリアル用部材である。なお、図17〜図19に示す光学素子500の構成では、第1の実施の形態に示した光学素子100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その構成説明は省略する。
本発明の第6の実施の形態に係る光学素子600について図20を参照して説明する。第6の実施の形態に係る光学素子600は、第3の実施の形態に示した光学素子300を5層積層して構成している。第3の実施形態に示した光学素子300を積層した場合を例示しているが、第4の実施形態、第5の実施形態に示した光学素子400、光学素子500を積層してもよい。積層数は5層に限定されるものではなく、用途、求める特性に応じて複数の層を積層することができる。略リング形状の金属パターンは積層方向に位置合わせされていてもよいし、1層あるいは複数層毎に切り欠き部の位置を交互にずらして配置してもよいし、さらには積層された状態で切り欠き部の位置が上面視でランダムに配置されるようにしてもよい。また、積層する光学素子は第3の実施の形態に示した光学素子300に限るものではなく、第4の実施の形態に示した光学素子400、または第5の実施の形態に示した光学素子500であってもよい。また、図20に示す光学素子600は複数の光学素子300を密着させて積層する構成を示しているが、光学素子300間を所定間隔離隔して積層する構成としてもよい。
Claims (14)
- 透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された複数の金属パターンと、を備え、
前記金属パターンは、前記樹脂層上に配置される第1の金属層と、前記第1の金属層上に配置される第2の金属層とが積層して構成され、
隣接する前記第2の金属層の間隔が1000nm以下であり、
前記樹脂層を変形させることで隣接する前記第2の金属層の間隔が変化することを特徴とする光学素子。 - 透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された複数の金属パターンと、を備え、
前記金属パターンは、前記樹脂層上に配置される第1の金属層と、前記第1の金属層上に配置される第2の金属層とが積層して構成され、
前記第2の金属層は少なくとも一部に切り欠き部を有する略リング形状であり、
前記切り欠き部の間隔が1000nm以下であり、
前記樹脂層を変形させることで前記切り欠き部の間隔が変化することを特徴とする光学素子。 - 前記第1の金属層と前記第2の金属層が上面視において同一形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子。
- 前記第1の金属層が前記樹脂層の全面に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子。
- 前記第1の金属層がCr、Ti、Ni、W、これらの酸化物及び窒化物のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学素子。
- 前記第1の金属層の厚さが1nm以上、5nm以下であることを特徴とする請求項5記載の光学素子。
- 前記樹脂層がシリコン樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学素子。
- 第1の基板上に透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層を形成し、
前記樹脂層上に第1の金属層を形成し、
前記第1の金属層上にレジストを塗布し、その露光、現像を行ない、少なくとも複数の開口の幅が1000nm以下となるようにレジストパターンを形成し、
少なくとも前記レジストパターンの開口により露出した前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、
前記レジストパターンを除去し、前記第1の金属層と前記第2の金属層が積層した金属パターンを形成し、
前記第1の基板と前記樹脂層を離間させて剥離すること、を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 第1の基板上に透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層を形成し、
前記樹脂層上に第1の金属層を形成し、
前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、
前記第2の金属層上にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして、隣接する前記第2の金属層の間隔が1000n
m以下となるように前記第2の金属層をエッチングして、前記第1の金属層と前記第2の金属層が積層した金属パターンを形成し、
前記第1の基板と前記樹脂層を離間させて剥離すること、を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 第1の基板上に透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層を形成し、
前記樹脂層上に第1の金属層を形成し、
前記第1の金属層上にレジストを塗布し、その後露光、現像を行ない、少なくとも一部に切り欠き部を有する略リング形状の開口を有し、前記切り欠き部の間隔が1000nm以下となるようにレジストパターンを形成し、
少なくとも前記レジストパターンの開口により露出した前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、
前記レジストパターンを除去し、前記第1の金属層と前記第2の金属層が積層した金属パターンを形成し、
前記第1の基板と前記樹脂層を離間させて剥離すること、を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 第1の基板上に透光性及び弾性率が100KPa以上10MPa以下の弾性を有する樹脂層を形成し、
前記樹脂層上に第1の金属層を形成し、
前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、
前記第2の金属層上にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして、少なくとも一部に切り欠き部を有する略リング形状の開口を有し、前記切り欠き部の幅が1000nm以下となるように前記第2の金属層をエッチングして、前記第1の金属層と前記第2の金属層が積層した金属パターンを形成し、
前記第1の基板と前記樹脂層を離間させて剥離すること、を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記樹脂層の形成後に、平坦面を有する第2の基板を前記樹脂層に押し当て、前記第2の基板の平坦面を前記樹脂層に転写すること、を更に含むことを特徴とする請求項9乃至11の何れか一項に記載の光学素子の製造方法。
- 透光性及び弾性を有する樹脂層と、前記樹脂層上に配置された複数の金属パターンと、を備え、前記金属パターンは、前記樹脂層上に配置される第1の金属層と、前記第1の金属層上に配置される第2の金属層とが積層して構成され、隣接する前記第2の金属層の間隔が1000nm以下である光学素子であって、当該光学素子の前記樹脂層を変形させて隣接する前記第2の金属層の間隔を変化させることを特徴とする光学素子の使用方法。
- 透光性及び弾性を有する樹脂層と、前記樹脂層上に配置された複数の金属パターンと、を備え、前記金属パターンは、前記樹脂層上に配置される第1の金属層と、前記第1の金属層上に配置される第2の金属層とが積層して構成され、前記第2の金属層は少なくとも一部に切り欠き部を有する略リング形状であり、前記切り欠き部の間隔が1000nm以下である光学素子であって、当該光学素子の前記樹脂層を変形させて隣接する前記切り欠き部の間隔を変化させることを特徴とする光学素子の使用方法。
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