JP5548854B2 - ポリ(n−アルキルカルバゾール)柱状構造体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1] ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[2] 直径が0.1〜10μmである、前記[1]項に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[3] N−アルキルカルバゾールをアルコール溶媒中で電解重合してなる、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[4] 前記アルコール溶媒は、1mM〜10Mの支持電解質を含有することを特徴とする、前記[3]項に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[5] 前記支持電解質が過塩素酸テトラブチルアンモニウムであることを特徴とする、前記[4]項に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[6] 前記ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体が、中空状であることを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
[7] N−アルキルカルバゾールを重合させ、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体を製造する方法であって、支持電解質を含有するアルコール溶媒中で前記N−アルキルカルバゾールを電解重合することを特徴とする、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体の製造方法。
ルカルバゾール)とは、下記式(1)で表される少なくとも1種のN−アルキルカルバゾールを重合して得られる重合度が2以上のN−アルキルカルバゾール重合体をいう。
を、特定の溶媒、特にアルコールを溶媒として用いた電解重合により重合することで、製造することができる。このような方法により、動作電極上にポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体が製造される。
カルバゾールのN位にアルキルが結合したN−アルキルカルバゾールは、水素化ナトリウム等の強塩基性のアルカリ金属化合物存在下で、カルバゾールとアルキル化剤であるハロゲン化アルキルとの脱ハロゲン化水素反応により合成することができる。または、カルバゾールカリウム塩とハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化カリウム反応で合成することができる。N−アルキルカルバゾールのアルキルは特に限定されないが、炭素数が1以上(上記式(1)において、nが1以上を示す。)のアルキルであればよい。商業的に入手容易という観点から、炭素数22以下(上記式において、nが22以下を示す。)のアルキルであることが好ましい。炭素数1〜8がさらに好ましく、特に好ましくは炭素数が1〜4である。具体的には、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−プロピルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−ブチルカルバゾールが好ましい。また、アルキルの1つ又は複数の水素が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホ及びアミノから選択される少なくとも1種の基で置き換えられてもよい。
上記アルキル化剤であるハロゲン化アルキルは、試薬メーカーより入手することができる。実験室で取り扱うには、反応性、アルキルの種類の豊富さから、アルキルモノ臭化物が扱いやすい。入手できるアルキルモノ臭化物は、具体的に、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−3−メチル−ブタン、1−ブロモヘキサン、2−ブロモヘキサン、3−ブロモヘキサン、1−ブロモメチルペンタン、1−ブロモヘプタン、3−ブロモヘプタン、4−ブロモヘプタン、1−ブロモ−5−メチルヘキサン、1−ブロモ−2−エチルヘキサン、1−ブロモオクタン、2−ブロモオクタン、1−ブロモノナン、2−ブロモノナン、1−ブロモデカン、1−ブロモウンデカン、1−ブロモドデカン、2−ブロモドデカン、1−ブロモトリデカン、1−ブロモテトラデカン、2−ブロモテトラデカン、1−ブロモペンタデカン、1−ブロモヘプタデカン、1−ブロモ−2−メチルヘキサデカン、1−ブロモオクタデカン、1−ブロモエイコサン、1−ブロモドコサンがあり、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)、ランカスター社等から入手できる。
上記ハロゲン化アルキルは、アルキルモノハロゲン化物以外に、アルケンのハロゲン水素付加反応により得ることができる。この反応は、アルケン溶液にハロゲン化水素を添加することで容易に進行する。アルケンのハロゲン化水素付加反応でハロゲン化アルキルを得るには、JOHN WILEY & SON,INC.出版のOrganic Syntheses IV 543−544頁(1962年発行)記載の方法に従ってアルキルモノヨウ化物をアルケンのヨウ化水素付加反応により、合成することが都合がよい。
ル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−2−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−2−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、5−メチル−2−ヘプテン、5−メチル−3−ヘプテン、2−オクテン、trans−3−オクテン、trans−4−オクテン、2−ノネン、4−ノネン、3,3,5−トリメチル−1−ヘキセン、cis−2−デセン、cis−4−デセン、cis−5−デセン、5−ドデセン、7−テトラデセン、cis−9−トリコセンがあり、東京化成工業(株)等より入手できる。
本発明において電解重合とは、通電手段を用いることにより、重合性モノマーを重合させる重合方法である。
まず、上記の方法で合成したN−アルキルカルバゾールを特定の溶媒、特にアルコール溶媒に溶かす。このとき、溶媒中のN−アルキルカルバゾール濃度は溶媒を100重量部とした場合に0.002〜200重量部であることが好ましく、0.02〜20重量部であることが好ましい。N−アルキルカルバゾールの濃度をこのような範囲とすることで、十分な反応速度で重合反応を行うことができる。
N−アルキルカルバゾールの製造に用いるアルキル化剤は、アルキルモノ臭素化物を東京化成工業(株)、シグマ−アルドリッチ社及びランカスター社より購入した。試薬として購入できないアルキル化剤は、JOHN WILEY & SON,INC.出版のOrganic Syntheses IV 543−544頁(1962年発行)の例に従ってアルケンのヨウ化水素付加反応により合成した。
テトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの3対1(容量比)の混合溶媒にカルバゾールを溶解し、上記で得たアルキル剤(アルキル臭化物又はアルキルヨウ化物)をカルバゾール1当量に対して1当量加え、撹拌しながら水素化ナトリウム1.5当量に相当する60重量%の水素化ナトリウム鉱物油分散物(関東化学(株)製、商品名「水素化ナトリウム」)を徐々に加え、室温で1時間撹拌した。そこに、反応を停止させるためにメタノールを気泡が出なくなるまで加えた後、溶媒を減圧下で蒸発除去した。残渣にジクロロメタンを加え、3N塩酸と水とで洗浄した。無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、濾過した。得られた濾液に含まれる溶媒を真空除去し、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製した。
ポリ(N−n−オクチルカルバゾール)の製造に用いるモノマー(N−n−オクチルカルバゾール)を例に具体的な合成法を説明する。
テトラヒドロフラン(30mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)の混合溶液にカルバゾール(東京化成工業(株)製、6.0g、0.036mol)を溶かし、1−ブロモオクタン(東京化成工業(株)製、3.95g、0.036mol)を加え、さらに室温(約20℃)で60重量%水素化ナトリウム鉱物油分散物((関東化学(株)製、商品名「水素化ナトリウム」、2.16g、0.054mol)を徐々に添加し、1時間攪拌し反応を完了させた。
反応完了後、得られた反応液に、メタノールを気泡が出なくなるまで注ぎ、反応を停止させた。エバポレーターで反応液中の溶媒を除去後、濃縮物を塩化メチレンで抽出し、有機層を3N塩酸、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液中の塩化メチレンをエバポレーターで除去し、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。エバポレーターでヘキサンを除去し、透明液体(8g、収率80%)を得た。H−NMRにより、N−n−オクチルカルバゾールであることが確認できた。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって純度が99.5%であることを確認した。図1にNMRチャートを示す。
また、実施例において使用したN−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾールは東
京化成工業(株)より購入した。
SEM写真において、作製したポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体の大きさに応じて柱状構造体が10以上100以下含まれる任意の範囲を設定し、その範囲内に存在するポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体10点の直径を測定し、その相加平均値を直径とした。
メタノール20mLに、終濃度が10mMとなるようにN−メチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、通電量30mC/cm2で重合することで、ポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。電解重合の温度条件を変化させ、それぞれの場合で作製したポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体の動作電極上のSEM観察を図2〜7に示す。なお、図3及び図7については倍率を変化させて観察した。重合温度は、(1)−20℃(図2)、(2)−10℃(図3)、(3)0℃(図4)、(4)10℃(図5)、(5)20℃(図6)、(6)40℃(図7)の6条件で実施した。直径は、各々(1)0.6μm、(2)0.7μm、(3)0.6μm、(4)0.3μm、(5)0.4μm、(6)0.3μmであった。
メタノール20mLに、終濃度が10mMとなるようにN−メチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、温度は−10℃で重合することで、ポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。電解重合の通電量を変化させ、それぞれの場合で作製したポリ(N−メチルカルバゾール)柱状ナノ構造体の動作電極上のSEM観察を図8〜12に示す。通電量は、(7)1mC/cm2(図8)、(8)5mC/cm2(図9)、(9)10mC/cm2(図10)、(10)30mC/cm2(図11)、(11)60mC/cm2(図12)の5条件で実施した。直径は、各々(7)1.3μm、(8)1.0μm、(9)0.9μm、(10)1.5μm、(11)1.1μmであった。
メタノール20mLに、終濃度が10mMとなるようにN−メチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、温度は20℃で重合することで、ポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。電解重合の通電量を変化させ、それぞれの場合で作製したポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体の動作電極上のSEM観察を図13〜16に示す。通電量は、(12)2.4mC/cm2(図13)、(13)5mC/cm2(図14)、(14)10mC/cm2(図15)、(15)30mC/cm2(図16)の4条件で実施した。直径は、各々(12)0.5μm、(13)0.4μm、(14)0.4μm、(15)0.4μmであった。
メタノール20mLに、終濃度が下記の濃度となるようにN−メチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照
電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、温度は−10℃で通電量30mC/cm2で重合することで、ポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。N−メチルカルバゾールの濃度を変化させ、それぞれの場合で作製したポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体の動作電極上のSEM観察を図17〜19に示す。N−メチルカルバゾールの濃度は、(16)10mM(図17)、(17)15mM(図18)、(18)20mM(図19)の3条件で実施した。直径は、各々(16)1.0μm、(17)0.6μm、(18)0.4μmであった。
メタノール20mLに、終濃度が下記の濃度となるようにN−メチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、温度は20℃で通電量30mC/cm2で重合することで、ポリ(N−メチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。N−メチルカルバゾールの濃度を変化させ、それぞれの場合で作製したポリ(N−メチルカルバゾール)柱状ナノ構造体の動作電極上のSEM観察を図20〜22に示す。なお、図20および図22については、倍率を変化させて観察した。N−メチルカルバゾールの濃度は、(19)5mM(図20)、(20)10mM(図21)、(21)20mM(図22)の3条件で実施した。直径は、各々(19)0.2μm、(20)0.4μm、(21)0.3μmであった。
メタノール20mLに、終濃度が10mMとなるようにN−エチルカルバゾールを加え、さらに終濃度が0.1Mとなるように支持電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを加えた。この溶液を用い、動作電極としてITO、対向電極として白金板、参照電極として飽和カロメル電極を使用し、重合電位1.1V、温度は−10℃で通電量30mC/cm2で重合することで、ポリ(N−エチルカルバゾール)柱状構造体を作製した。作製した柱状構造体は、ひも状の形状をしており、長さは平均値20μm、直径は平均値1μmであった。
Claims (6)
- 直径が0.1〜10μmである、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
- N−アルキルカルバゾールをアルコール溶媒中で電解重合してなり、該電解重合において、動作電極および対向電極の間に印加する電圧が参照電極に対して+0.5〜3.0Vであるか、または参照電極を用いない場合、陽極と陰極の間に印加する電圧が+0.9V以上+4.0V以下である、請求項1に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
- 前記アルコール溶媒は、1mM〜10Mの支持電解質を含有することを特徴とする、請求項2に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
- 前記支持電解質が過塩素酸テトラブチルアンモニウムであることを特徴とする、請求項3に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
- 前記ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体が、中空状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体。
- N−アルキルカルバゾールを重合させ、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体を製造する方法であって、支持電解質を含有するアルコール溶媒中で前記N−アルキルカルバゾールを電解重合することを特徴とし、かつ、該電解重合において、動作電極および対向電極の間に印加する電圧が参照電極に対して+0.5〜3.0Vであるか、または参照電極を用いない場合、陽極と陰極の間に印加する電圧が+0.9V以上+4.0V以下である、ポリ(N−アルキルカルバゾール)柱状構造体の製造方法。
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