JP5547463B2 - テトラアザポルフィリン化合物およびディスプレイ用フィルタ - Google Patents
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Description
このような電磁波を遮蔽する手段として、当該電磁波を選択的に吸収する化合物を含有したディスプレイ用フィルタが提案されており、このような化合物として優れた光学特性のテトラアザポルフィリン化合物が注目されている。例えば、波長570〜605nmの範囲に吸収極大を有する特定の置換基(例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子など)を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタが提案されている(特許文献1、2および3)。
特定波長を選択的に吸収する化合物を、例えば、プラズマディスプレイ用、液晶ディスプレイ用のディスプレイ用フィルタに適用する場合には、該化合物を高分子フィルムの中に含有させたり、高分子フィルムの片面または両面に塗布したりする方法が適用される。また、複数の高分子フィルムを張り合わせる際に使用する粘着層の中に、特定波長を選択的に吸収する化合物を含有させる方法が適用される。このようなディスプレイ用フィルタの作製にあたっては、特定波長を選択的に吸収する化合物自体が、例えば、有機溶媒に対する良好な溶解度を備えるなどの特性が必要となる。また、ディスプレイ用フィルタを実際のディスプレイに装着して使用する場合には、耐久性(例えば、耐光性、耐湿熱性)が必要となる。このためディスプレイ用フィルタに使用する特定波長を選択的に吸収する化合物にも化合物自体の耐久性が要望されている。
上記のようなディスプレイ用フィルタの用途について、特許文献1〜4に記載されている特定構造の化合物は、所定の特性、例えば、有機溶媒に対する溶解性、耐久性(耐光性)に関し一定範囲の特性を有しているものの、なお充分ではなく、さらなる耐久性(例えば、耐湿熱性)の向上が求められている。
(i)下記の一般式(a)で表される置換基の少なくとも1種を有してなるテトラアザポルフィリン化合物である。
−R−O−Z (a)
〔式中、Rはアルキレン基、Zは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表す〕
(ii)さらに、本願発明は前記テトラアザポルフィリン化合物が一般式(1)で表される化合物である前記(i)記載のテトラアザポルフィリン化合物である。
〔式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、−R−O−Z基(Rはアルキレン基、Zは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表す)、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基を表し、R1〜R8の少なくとも1つは置換基−R−O−Z基であって、さらに、R1 〜R8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよく、Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す〕
さらに、本願発明は
(iv)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタであり、
(v)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のテトラアザポルフィリン化合物の少なくとも1種を含有するディスプレイ用フィルタを用いたディスプレイ装置に関するものである。
本発明は、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、および直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するテトラアザポルフィリン化合物(以下、本発明に係る化合物Aと略記する)、および該化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタ、さらには、該フィルタを具備してなるディスプレイ装置に関するものである。
−R−O−Z (a)
〔式中、Rはアルキレン基、Zは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表す〕
化合物Aは、テトラアザポルフィリン骨格に、置換基として、例えば、アルコキシアルキル基などの特異な基を有する化合物であり、優れた光学特性(例えば、光に対する吸収特性)、および優れた耐久性を有するものである。また、係る特性を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタは、優れた光学特性、優れた耐久性を有するものである。
一般式(1)で表される化合物において、好ましくは、R1 〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキル基、炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキルオキシ基、炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜30の置換アミノ基、並びに−R−O−Z基である。R1〜R8の少なくとも1つは、−R−O−Z基である。
−R−O−Z基における、Rはアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Zは直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数3〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキル基、あるいは炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表す。
好ましい−R−O−Z基としては、炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数3〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数5〜30の置換または未置換のアリールオキシアルキル基、炭素数6〜30の置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基である。
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基、
1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ブチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、6−フルオロヘキシルオキシ基、4−フルオロシクロヘキシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−デシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−テトラデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキサデシルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシ基、ジクロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、3−クロロプロピルオキシ基、4−クロロシクロヘキシルオキシ基、7−クロロヘプチルオキシ基、8−クロロオクチルオキシ基、2,2,2−トリクロロエチルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、
一般式(1)において、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表し、好ましくは、2価の金属原子、または酸化金属原子である。
Mで表される1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Liなどを挙げることができる。
Mで表される3価の置換金属原子としては、例えば、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、Mn(OH)、Mn(OC6H5)
、Mn[OSi(CH3)3]、Fe−Cl、Ru−Clなどを挙げることができる。
Mで表される4価の置換金属原子としては、例えば、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、ZrI2、GeCl2、GeBr2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2〔式中、Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、Si(OR11)2、Sn(OR11)2、Ge(OR11)2、Ti(OR11)2、Cr(OR11)2〔式中、R11は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、Sn(SR12)2、Ge(SR12)2〔式中、R12は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕などを挙げることができる。
Mで表される酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiOなどを挙げることができる。
本発明に係る化合物Aの具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明にこれらに限定されるものではない。
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを、所望により塩基(例えば、モリブデン酸アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリアルキルアミン、アンモニア)の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2850505号、英国特許689387号、J.Gen.Chem.USSR,47,1954(1977)、特開平11−43619号公報、特開2006−321925号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
〔式中、R1〜R8は一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
一例として挙げると、例えば、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物、あるいは一般式(8)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物を、酸性触媒(例えば、酢酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素)および塩基性触媒(例えば、ピリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルフォリン、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下で、反応させることにより製造することができる〔例えば、特開平11−43619号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(10)で表される化合物とオキシ塩化リンを作用させて製造することができる〔例えば、J.Chem.Soc.,4839(1952)に記載の方法に従って製造することができる〕。
本明細書においては、一般式(1)で表される化合物とは、実際には、一般式(1−A)〜一般式(1−D)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表している〔例えば、Chemistry of Heterocyclic Compounds、24、1043(1988)、特開平11−43619号公報〕。
このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(1−A)で表される一つの構造式を記載しているものである。
尚、本発明に係る化合物Aとは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものである。
〔式中、R1〜R8およびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
具体例として、例えば、例示化合物番号2の化合物として記載した構造の化合物は、式(2−a)〜式(2−d)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表すものである。
また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を用いることができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を併用することができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイ、FED(Field Emission Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などの各種ディスプレイ用に適用可能なフィルタであり、各種ディスプレイに装着して使用される。尚、液晶ディスプレイにおいては、例えば、透過型、反射型などの各種態様に適用可能である。
本発明のディスプレイ用フィルタは、本発明に係る化合物Aを少なくとも1種含有することによって、ディスプレイ画面の可視光スペクトルを補正する特性を有する調光フィルムとして機能する。
本発明のディスプレイ用フィルタを、例えば、プラズマディスプレイ用フィルタに適用する場合、その構成は、特に限定するものではないが、一般には、機能性透明層(A)、基体(B)および透明粘着層(C)から成るフィルタである。
プラズマディスプレイ用フィルタは、機能性透明層、基体および透明粘着層を構成する少なくとも1つの層、あるいは部材に、本発明に係る化合物Aを少なくとも1種含有してなるものである。
また、プラズマディスプレイから発生する電磁波を遮蔽する目的で、プラズマディスプレイ用フィルタには、さらに、透明導電層(D)が設けられていることは好ましい。この場合、透明導電層(D)は、機能性透明層(A)と基体(B)との間に設けられる(図2)。
勿論、プラズマディスプレイ用フィルタを構成する場合、所望の要求特性を考慮し、その他種々の構成とすることができる。
例えば、プラズマディスプレイ用フィルタには、所望に応じて、ハードコート層、さらなる透明粘着層を設けることができる。また、複数の機能性透明層を設けてなるプラズマディスプレイ用フィルタとすることもできる。これらの層にも本発明に係る化合物Aが含有されていてもよい。
本発明のディスプレイ用フィルタを、例えば、液晶ディスプレイ用フィルタに適用する場合、その構成は、一般には、
(1)基体(B)から成るフィルタ(図4)
(2)透明粘着層(C)から成るフィルタ(図5)
(3)基体(B)と透明粘着層(C)から成るフィルタ(図6)
(4)基体(B)と機能性透明層(A)から成るフィルタ(図7)などがある。
尚、液晶ディスプレイ用フィルタは、ディスプレイ内の光源から視認部最表面に至る任意の経路中に設けられる。例えば、透過型の液晶ディスプレイの場合は、液晶ディスプレイ用フィルタは、液晶ディスプレイ画面上は勿論であるが、例えば、導光板、バックライト、偏光板、カラーフィルタなどに、例えば、透明粘着層を介して設けられる。
本発明のディスプレイ用フィルタには、ディスプレイに対する設置方法や要求される機能に応じて、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、ガスバリア機能、紫外線カット機能のいずれか一つ以上の機能を有し、且つ、可視光線を透過する機能性透明層が設けられる。
機能性透明層は、上記の各機能を一つ以上有する機能膜そのもの、あるいは機能膜を塗布法、印刷法、あるいは従来公知の各種成膜法により形成された支持体、さらには各機能を有する支持体を使用することができる。支持体は、透明な支持体が好ましく、一般には、透明ガラス、透明高分子フィルムである。尚、透明高分子フィルムとしては、例えば、後述する基体(B)で例示する透明高分子フィルムを挙げることができる。支持体の厚さに関しては特に制限するものではない。また、例えば、透明高分子フィルムから成る支持体に本発明に係る化合物Aを含有させることもできる。機能性透明層が機能膜そのものの場合にも、その膜中に本発明に係る化合物Aを含有させることができる。
機能性透明層は、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)機能、防眩(AG:アンチグレア)機能、あるいはその両機能を備えた反射防止防眩(ARAG)機能のいずれかの機能を有していることは好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタに耐擦傷性能を付加する目的で、機能性透明層がハードコート機能(耐摩擦機能)を有していることは好適である。ハードコート機能を有する機能性透明層は、ハードコート機能を有する膜、あるいは支持体上にハードコート膜を形成することにより調製することができる。ハードコート膜としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート膜の厚さは、一般に、1〜100μm程度である。ハードコート膜は、反射防止機能を有する透明機能層の高屈折率層、あるいは低屈折率層に用いることもできる。また、ハードコート膜上に反射防止膜が形成されて、機能性透明層が反射防止機能とハードコート機能の両機能を備えていてもよい。同様に、機能性透明層が防眩機能とハードコート機能の両機能を備えていてもよい。
防眩機能とハードコート機能の両機能を備える機能性透明層は、例えば、粒子の分散などにより凹凸を有するハードコート膜の上に、反射防止膜を形成することにより調製することができる。ハードコート機能を有する機能性透明層の表面硬度は、JISK5600に従った鉛筆硬度が、少なくともH以上、好ましくは、2H以上である。
また、機能性透明層に、例えば、紫外線を吸収する無機薄膜単層、あるいは無機薄膜多層から成る反射防止膜、または紫外線吸収化合物を含有する透明膜を形成することにより、機能性透明層に、さらに、紫外線カット機能を付与することができる。機能性透明層が、機能膜そのものの場合、例えば、透明導電層の主面に塗布法、印刷法などの各種成膜法により形成されていてもよい。機能性透明層が、機能膜を形成した透明な基体、各機能を有する透明な基体の場合は、粘着材を介して、例えば、透明導電層の主面に形成されていてもよい。
基体は、フィルタの支持体として機能し、一般に、可視光域において、透明ガラス、透明高分子フィルムが用いられる。透明高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6などのポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体などのビニル化合物、またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基体は、一般に、厚さが、10〜250μmであり、好ましくは、50〜250μmである。
本発明のディスプレイ用フィルタ、特にプラズマディスプレイ用フィルタが、ディスプレイ画面からの電磁波を遮蔽する特性を有する電磁波シールド体として機能することは好ましく、プラズマディスプレイ用フィルタには、機能性透明層、基体、透明粘着層の他に、さらに透明導電層(D)を備えていることが好ましい。
ディスプレイ用フィルタが、電磁波シールド体の形態の場合、基体の一方の主面上に透明導電層が形成される。本発明における透明導電層とは、単層または多層薄膜から成る透明導電層である。尚、電磁波シールド体においては、透明導電層と外部との電気的接続が必要あり、例えば、機能性透明層、透明粘着層などは、透明導電層の周縁部を残して、導通部を確保することが必要となる。単層の透明導電層としては、金属メッシュ、導電性格子状パターン膜などの導電性メッシュ、さらには金属薄膜や酸化物半導体薄膜などの透明導電性薄膜がある。多層薄膜から成る透明導電層としては、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜がある。金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜は、銀などの金属の持つ導電性、およびその自由電子による近赤外線反射特性、および特定波長領域における金属による反射を高屈折率透明薄膜により防止できることから、導電性、近赤外線カット機能、可視光線透過率に関して好ましい特性を有している。電磁波シールド機能、近赤外線カット機能を有するディスプレイ用フィルタを得るためには、電磁波吸収のための高い導電性と電磁波反射のための反射界面を多く有する金属薄膜と、高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜から成る透明導電層は好ましい。高い可視光線透過率と低い可視光線反射率に加え、プラズマディスプレイに必要な電磁波シールド機能を有するには、透明導電層が、面抵抗が、一般に、0.01〜30Ω/□、より好ましくは、0.1〜15Ω/□、さらに好ましくは、0.1〜5Ω/□であることが望ましい。また、透明導電層自体に、近赤外線カット機能を持たせることもでき、近赤外線波長領域、例えば、800〜1100nmにおける光線透過率極小を、20%以下にすることができる。
本発明において、透明粘着層は、任意の透明粘着材(接着剤、粘着剤)から成る層である。透明粘着層は、例えば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)など、ポリビニルエーテル、飽和ポリエステル、メラミン樹脂などから形成される。尚、粘着材としては、シート状、または液体状のものが使用できる。粘着材として、例えば、シート状の感圧型粘着材を使用する場合は、シート状粘着材を貼付け後、または接着剤を塗布後、ラミネートして貼り合わせる。粘着材として、例えば、液体状の接着剤を使用する場合は、塗布、貼合わせ後に、室温または高温下で処理することにより、あるいは紫外線照射することにより硬化させて貼り合わせる。その塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などを挙げることができる。
透明粘着層の厚みは、特に限定されるものではないが、一般に、0.5〜50μmである。透明粘着層が形成される面、および貼合わされる面は、予め易接着コートまたはコロナ放電処理などの易接着処理されていることは好ましい。さらに、透明粘着層を介して貼合わせた後、貼合わせ時に部材間に混入した空気を、脱泡、または粘着材に固溶させて、さらには部材間の密着力を向上させる目的で、加圧、加温条件下で処理を施すことは好ましい。透明粘着層の少なくとも1つの層に、本発明に係る化合物A色素を含有させることができる。
尚、本明細書において、含有とは、各種部材または膜などから成る各層、あるいは透明粘着材の内部に含有されることは勿論、部材または各層の表面に、塗布された状態を包含するものである。
本発明に係る化合物Aを、ディスプレイ用フィルタに含有させる方法としては、例えば、以下の(1)〜(4)の方法がある。
(1)透明粘着材に添加して、透明粘着層に含有させる方法、
(2)高分子樹脂に混練して含有させる方法、
(3)高分子樹脂または樹脂モノマーを含む有機溶媒に、本発明に係る化合物Aを、分散または溶解させ、各種部材、各層上に、例えば、キャスティングする方法、
(4)バインダー樹脂を含む有機溶媒に、本発明に係る化合物Aを加え、塗料として各種部材、各層上にコーティングする方法、がある。
尚、近赤外線吸収化合物としては、好ましくは、800〜1100nm程度に吸収極大を有する化合物である。係る近赤外線吸収化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、フタロシアニン化合物(例えば、金属フタロシアニン錯体)、ナフタロシアニン化合物(例えば、金属ナフタロシアニン錯体)、アントラキノン化合物、ジチオール化合物(例えば、ニッケルジチオール錯体)、ジイミニウム塩化合物などを挙げることができる。これら光吸収化合物、近赤外線吸収化合物の濃度は、該化合物の吸収波長、吸光係数、さらには、所望のディスプレイ用フィルタの光学特性(例えば、色純度、透過特性)を考慮し任意に設定することができる。
2−(n−ヘキシルオキシメチル)マレオニトリル7.68gを、n−ペンタノール50mlに加え、70℃に加熱後、混合物に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)4.86gを加えた。混合物を90℃に昇温した後、三塩化バナジウム1.57gを加え、さらに、120℃で18時間撹拌した。混合物から、n−ペンタノール45mlを留去した後、残渣に、メタノール水(50質量%)50mlを加えた後、固形物を濾過した。濾過した固形物を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開液:トルエン/クロロホルム(体積比:2/1)〕にて精製し、例示化合物番号2の化合物4.2gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、595nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、式(2−a)〜式(2−d)で表される化合物の混合物であった。
2−(3−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリル7.68gを、n−ペンタノール50mlに加え、70℃に加熱後、混合物に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)4.86gを加えた。混合物を90℃に昇温した後、塩化第二銅1.35gを加え、さらに、120℃で18時間撹拌した。混合物から、n−ペンタノール45mlを留去した後、残渣に、メタノール水(50質量%)50mlを加えた後、固形物を濾過した。濾過した固形物を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開液:トルエン/クロロホルム(体積比:2/1)〕にて精製し、例示化合物番号6の化合物、5.2gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、593nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例2において、2−(3’−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリルを使用する代わりに、2−(3’−n−ペンチルオキシエチル)−3−フェニルマレオニトリル10.2gを使用した以外は、製造例2に記載の操作に従い、例示化合物番号10の化合物6.8gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、602nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例1において、三塩化バナジウムを使用する代わりに、塩化ニッケル1.3gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号21の化合物5.7gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、582nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例1において、三塩化バナジウムを使用する代わりに、塩化パラジウム1.8gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号23の化合物4.9gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、580nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例1において、2−(n−ヘキシルオキシメチル)マレオニトリルを使用する代わりに、2−(3’−エトキシプロピルオキシメチル)マレオニトリル7.76gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号26の化合物4.5gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、592nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例2において、2−(3’−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリルを使用する代わりに、2−(2’−エトキシエチルオキシメチル)−3−tert−ブチルマレオニトリル9.44gを使用した以外は、製造例2に記載の操作に従い、例示化合物番号37の化合物6.2gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、596nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例1において、2−(n−ヘキシルオキシメチル)マレオニトリルを使用する代わりに、2−(4’−tert−ブチルフェニルオキシメチル)マレオニトリル9.6gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号44の化合物5.0gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、594nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例2において、2−(3’−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリルを使用する代わりに、2−(フェニルオキシメチル)−3−n−ブチルマレオニトリル9.6gを使用した以外は、製造例2に記載の操作に従い、例示化合物番号46の化合物6.5gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、595nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例2において、2−(3’−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリルを使用する代わりに、2−(ベンジルオキシメチル)−3−メチルマレオニトリル8.48gを使用した以外は、製造例2に記載の操作に従い、例示化合物番号61の化合物5.3gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、593nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例2において、2−(3’−エトキシプロピル)−3−エチルマレオニトリルを使用する代わりに、2−(1’,1’−ジヒドロパーフルオロエチルオキシメチル)−3−tert−ブチルマレオニトリル9.84gを使用した以外は、製造例2に記載の操作に従い、例示化合物番号75の化合物6.6gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、593nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したように、異性体の混合物であった。
製造例1において、2−(n−ヘキシルオキシメチル)マレオニトリルを使用する代わりに、2−〔2’,2’−ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシメチル〕マレオニトリル10.8gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号77の化合物5.8gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、596nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
製造例1において、2−(n−ヘキシルオキシメチル)マレオニトリルを使用する代わりに、2−〔6−(1’,1’−ジヒドロパーフルオロエチルオキシ)ヘキシル〕マレオニトリル11.9gを使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、例示化合物番号82の化合物7.5gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、595nmに吸収極大を示した。尚、この固体は、製造例1に記載したのと同様に、異性体の混合物であった。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚さ:80μm)を基体とし、その一方の面に、機能性透明層として、次の機能性透明膜をロール・ツー・ロールで連続的に形成した。すなわち、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加え、さらにITO微粒子(平均粒径:10nm)を分散させた塗工液をグラビアコーターにて塗工し、紫外線硬化させて、導電性ハードコート膜(膜厚:3μm)を形成した。その上に含フッ素有機化合物溶液をマイクログラビアコーターにて塗工し、90℃で乾燥、熱硬化させて、屈折率1.4の反射防止膜(膜厚:100nm)を形成し、ハードコート機能(鉛筆硬度:2H)、反射防止機能(表面の可視光線反射率:0.9%)、帯電防止機能(面抵抗:7×109Ω/□)、防汚機能を有する機能性透明膜を形成した。
アクリル系粘着剤(80質量%)と、この例示化合物番号2の化合物を含む希釈液(20質量%)を混合し、機能性透明膜/TACフィルムのTAC面上に、コンマコーターにより乾燥膜厚25μmに塗工し、乾燥させて、透明粘着層を形成した。透明粘着層面に離型フィルムをラミネートしてロール状に巻き取り、離型フィルムを有するディスプレイ用フィルタを作製した。
実施例1において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号10の化合物(実施例2)、例示化合物番号26の化合物(実施例3)、例示化合物番号37の化合物(実施例4)、例示化合物番号44の化合物(実施例5)、例示化合物番号61の化合物(実施例6)、例示化合物番号75の化合物(実施例7)、例示化合物番号77の化合物(実施例8)、例示化合物番号82の化合物(実施例9)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
実施例1において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号2の化合物を使用しない以外は、実施例1に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
実施例1において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号2の化合物を使用する代わりに、比較化合物として、特開2008−268331号公報に記載の化合物を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
実施例および比較例で作製したディスプレイ用フィルタに関して、ディスプレイ用フィルタの装着前と比較し、以下の特性に関して測定、評価した。その結果を第1表、第2表に示した。
(1)プラズマディスプレイの明所コントラスト比(最高輝度/最低輝度比)
ディスプレイ用フィルタを装着後のプラズマディスプレイで評価した。周囲明るさ100lxの明時において、プラズマディスプレイの白色表示時の最高輝度(cd/m2)と黒色表示時の最低輝度(cd/m2)を、ミノルタ(株)製の輝度計(LS−110)を用いて測定し、コントラスト比(最高輝度/最低輝度比)を求めた。尚、ディスプレイ用フィルタ装着前のコントラスト比は、20であった。また、耐湿熱性試験を行った後、コントラスト比を求めた。耐湿熱性試験は、ディスプレイ用フィルタを、80℃、80%RHで、200時間保存した後、コントラスト比を求めた。その結果は、第1表に示した。
ディスプレイ用フィルタの小片を、(株)日立製作所製の分光光度計(U−300)を用いて測定し、595nmの透過率の610nmの透過率に対する比率(%)(595nmの透過率/610nmの透過率×100)を求めた。また、耐湿熱性試験を行い、595nmの610nmの透過率に対する比率を求めた。
耐湿熱性試験は、ディスプレイ用フィルタを、80℃、85%RHで、100時間保存した後、コントラスト比を求めた。透過率の値が小さいほど、プラズマディスプレイから発せられる不要な電磁波を効率よく吸収することを示している。その結果は、第1表に示した。
ディスプレイ用フィルタを形成する前後で評価した。
三原色である赤色(R)表示、緑色(G)表示、青色(B)表示において、ミノルタ(株)製CRTカラーアナライザ(CA100)を用いて、RGB色度(x、y)を測定した。三原色の色度がNTSC方式で定められた色度に近いほど好ましい。その結果は、第2表に示した。
尚、第1表中、A1値は、コントラスト比を表し、
A2値は、595nmの610nmに対する透過率(%)を表す。
B1値は、耐湿熱試験後におけるコントラスト比を表し、
B2値は、耐湿熱試験後における595nmの610nmに対する透過率(%)を表す。
ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットに、例示化合物番号75の化合物を0.018質量%、例示化合物番号82の化合物を0.018質量%、さらに白色発光の色度を補正用に赤色色素PS−Red−G〔三井化学(株)製〕を0.004質量%混合した後、260〜280℃で溶融し、押し出し機によりPETフィルム(厚さ:250μm)を作製した。その後、このPETフィルムを2軸延伸して、基体中に例示化合物番号75の化合物、例示化合物番号82の化合物、および赤色色素PS−Red−Gを含有するフィルム状の基体(厚さ:125μm)を作製した。
さらにロール状に巻き取った上記フィルム状の基体の一方の面上に、機能性透明層として次の機能性透明膜をロール・ツー・ロールで連続的に形成した。すなわち、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加え、さらに有機シリカ微粒子(平均粒径:15μm)を分散させた塗工液を、塗工し、紫外線硬化させて、防眩機能(ヘーズ値:5%)、およびハードコート機能(鉛筆硬度:2H)を有する機能性透明膜(厚さ:3μm)を形成した。その後、アクリル系粘着剤を用いて、機能性透明膜とは反対側のフィルム状の基体面上に、透明粘着層を形成した。
透明粘着層面に離型フィルムをラミネートしてロール状に巻き取り、離型フィルムを有するディスプレイ用フィルタを作製した。さらに、該ディスプレイ用フィルタをシート状に裁断し、離型フィルムを剥離して、プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に枚葉式ラミネーターを用いて貼合わせた。この際、表示部全体に透明粘着層部を貼合わせるようにシート裁断、貼り位置合わせを行なった。貼合わせ後、60℃、2×105Paの条件下でオートクレーブ処理し、ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。このディスプレイ用フィルタは、波長610nmの透過率に対する595nmの透過率は30%であった。また、このディスプレイ用フィルタを装着したプラズマディスプレイは、周囲照度100lxの条件下における明所コントラスト比が、ディスプレイ用フィルタを装着する前が20であったのに対し、37に向上した。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(厚さ:188μm)を基体とし、その一方の面に、PETフィルムから順に、ITO薄膜(膜厚:40nm)、銀薄膜(膜厚:11nm)、ITO薄膜(膜厚:95nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:90nm)、銀薄膜(膜厚:12nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の透明導電層を形成し、面抵抗2.2Ω/□の透明導電層を有する透明積層体を作製した。酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)溶媒に、例示化合物番号75の化合物、および赤色色素PS−Red−G〔三井化学(株)製〕を溶解させて希釈液とした。
アクリル系粘着剤(80質量%)と、この希釈液(20質量%)を混合し、コンマコーターにより透明積層体の基体側の面に、乾燥膜厚25μmに塗工し、乾燥させて、粘着面に離型フィルムをラミネートして、離型フィルムと透明積層体の基体に挟み込まれた透明粘着層を形成した。尚、粘着材の屈折率は1.51、消光係数は0であった。尚、例示化合物番号75の化合物および赤色色素PS−Red−Gは、乾燥した粘着材の中で、それぞれ1150(質量)ppm、1050(質量)ppm含有するように調製した。
酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)溶媒に、例示化合物番号10の化合物を溶解させて希釈液とした。アクリル系粘着剤(80質量%)と、この例示化合物番号10の化合物を含む希釈液(20質量%)を混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(75μm)の面上に、ダイコーターにより乾燥膜厚20μmに塗工、乾燥させて、ディスプレイ用フィルタを製造した。尚、例示化合物番号10の化合物は、乾燥した粘着材の中で1200(質量)ppm含有するように、希釈液を調製した。このディスプレイ用フィルタは、波長610nmの透過率に対する595nmの透過率は19%であった。赤色の色度(x、y)が、(0.612、0.335)である透過型液晶ディスプレイ画面(カラーフィルタ付き)に、このディスプレイ用フィルタを装着すると、赤色の色度が、(0.616、0.332)となった。すなわち、本発明のディスプレイ用フィルタを装着すると、赤色の色度が、NTSC方式で定められた赤色の色度(0.670、0.330)に近づいた。
12:基体(B)
13:透明粘着層(C)
21:機能性透明層(A)
22:基体(B)
23:透明粘着層(C)
24:透明導電層(D)
31:機能性透明層(A)
32:基体(B)
33:透明粘着層(C)
34:透明導電層(D)
42:基体(B)
53:透明粘着層(C)
62:基体(B)
63:透明粘着層(C)
71:機能性透明層(A)
72:基体(B)
Claims (3)
- 下記の一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物。
〔式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、−R−O−Z基(Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Zは炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数3〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数5〜30の置換または未置換のアラルキル基、あるいは炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基を表す)、
水素原子、ハロゲン原子、
炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、
炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、
炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、
炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基、
炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、
炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基を表し、
R1〜R8の少なくとも1つは置換基−R−O−Z基であって、
Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す〕 - 請求項1のテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタ。
- 請求項1のテトラアザポルフィリン化合物の少なくとも1種を含有するディスプレイ用フィルタを用いたディスプレイ装置。
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