JP5545221B2 - 酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法 - Google Patents

酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法に関する。
ガラス基板の光学的特性(反射率、透過率等)を調整するために、ガラス基板上に各種無機酸化物の薄膜を形成することが行われている。
無機酸化物の薄膜を低コストで形成する方法としては、熱分解によって無機酸化物となる前駆体を含むコート液を、高温のガラス基板に噴霧し、前駆体を熱分解してガラス基板上に無機酸化物の薄膜を形成する方法が知られている。この方法によって形成される低反射率および高透過率の薄膜としては、屈折率の点から、実質的に酸化ケイ素のみからなる薄膜(以下、酸化ケイ素膜と記す。)が理論上好ましい。
ここで、有機ケイ素化合物のみをコート液に含有させても、被膜が形成されないという問題がある。そのため、コート液には、有機ケイ素化合物の反応性を高めるためのチタン化合物または有機金属化合物を添加している(特許文献1)。
しかし、有機ケイ素化合物と、チタン化合物または有機金属化合物とを含むコート液を、高温のガラス基板上に塗布して形成される薄膜は、酸化ケイ素以外の金属酸化物を含むため、屈折率が高く、ガラス基板の反射率が充分に低くならない。
ここで、噴霧された前駆体がガラス基板に到達する前に気化するとガラス基板上に酸化ケイ素膜が形成されないとう問題がある。また、前駆体の熱分解温度が低すぎるとガラス基板に到達する前に前駆体が酸化ケイ素の粉体となりガラス基板上に連続した酸化ケイ素膜が形成されないとう問題がある。そのため、熱分解温度の高い前駆体を用いることが考えられる。
しかし、前駆体の熱分解温度が高すぎると、ガラス基板上での膜形成反応よりも気化が優先的に起きてしまう。そのため、充分な着膜効率が得られず、コスト、プロセスの面で不利となる。
特開平7−097237号公報
本発明は、高温のガラス基板上に酸化ケイ素膜を直接形成することができ、光の反射率が低く、光の透過率が高い、酸化ケイ素膜付ガラス基板を生産効率よく製造できる方法を提供する。
また、本発明は、ガラスリボン(ガラスのシート状連続成形体)を経てガラス基板を製造する方法において、高温のガラスリボン上に酸化ケイ素膜を直接形成する方法を提供する。
本発明の酸化ケイ素膜を有するガラス基板の製造方法は、下記の(1)、(2)の発明である。
(1)400〜650℃の温度範囲にあるガラス基板にオルガノポリシロキサンを塗布してガラス基板上に酸化ケイ素膜を形成する酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法であり、オルガノポリシロキサンとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板の温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンを用いることを特徴とする酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法
また、オルガノポリシロキサンの昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピーク温度とオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板の温度との差が50℃以上であることが好ましい。
また、オルガノポリシロキサンと液状媒体とを含むコート液をガラス基板に塗布することが好ましい。
また、液状媒体の沸点は60℃以上であることが好ましい。
また、オルガノポリシロキサンはシリコーンオイルであることが好ましい。
また、シリコーンオイルの粘度換算分子量は、3500〜130000であることが好ましい。
(2)溶融ガラスをガラスリボンに成形し、ガラスリボンを徐冷し、ついで切断してガラス基板を製造するガラス基板の製造方法において、ガラスリボンが400〜650℃の温度範囲にある位置にて、ガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布してガラスリボン上に酸化ケイ素膜を形成し、オルガノポリシロキサンとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンを用いることを特徴とする酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法。
(2)の発明においては、フロートバス中で溶融ガラスをガラスリボンに成形し、フロートバスと徐冷工程との間または徐冷工程中でオルガノポリシロキサンを塗布することが好ましい
また、オルガノポリシロキサンの昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピーク温度とオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度との差が50℃以上であることが好ましい。
また、オルガノポリシロキサンと液状媒体とを含むコート液をガラスリボンに塗布することが好ましい。
また、液状媒体の沸点は60℃以上であることが好ましい。
また、オルガノポリシロキサンはシリコーンオイルであることが好ましい。
また、シリコーンオイルの粘度換算分子量は、3500〜130000であることが好ましい。
また、本発明の他の態様は、溶融ガラスをフロート法で成形してガラス基板を得る工程と、該ガラス基板を徐冷する徐冷工程との間、または該徐冷工程中で、シリコーンオイルおよび溶媒を含むコート液を前記ガラス基板上に塗布する酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法であって、シリコーンオイルとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつシリコーンオイル塗布時のガラス基板の温度未満の範囲にあるシリコーンオイルを用いる、酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法である。
本発明の酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法によれば、高温のガラス基板またはガラスリボン上に酸化ケイ素膜を直接形成することができ、光の反射率が低く、光の透過率が高い、酸化ケイ素膜付ガラス基板を生産効率よく製造できる。
実施例における塗布方法の一例を示す斜視図である。 実施例のガラス基板の反射率を示すグラフである。 ガラス製造装置の一例を示す概略図である。
本発明の酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法は、ガラス基板またはガラス基板となるガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布し、オルガノポリシロキサンを熱分解してガラス基板またはガラスリボン上に酸化ケイ素膜を形成する方法である。
オルガノポリシロキサンの塗布方法としては、オルガノポリシロキサンと液状媒体とを含むコート液をノズル(スプレーガン等。)を用いて噴霧するスプレー法が好ましい。
スプレー法による具体的な塗布方法としては、下記の方法(i)、(ii)等が挙げられ、工程数が少なく、酸化ケイ素膜を有するガラス基板を生産効率よく製造できる点から、方法(ii)が好ましい。
(i)固定されたガラス基板の上方でノズルを移動させながら、ノズルからガラス基板にコート液を噴霧する方法。
(ii)一方向に移動しているガラスリボンが後述の温度範囲にある位置に設置されたノズルから、ガラスリボンにコート液を噴霧する方法。特に、フロート法ガラス板製造方法において、フロートバス中で溶融ガラスを成形して得られたガラスリボンに対し、フロートバスと徐冷工程との間または徐冷工程中でコート液を噴霧することが好ましい。
コート液を塗布する際のガラス基板の温度は、400〜650℃であり、該温度範囲にあるガラス基板上でオルガノポリシロキサンが熱分解して酸化ケイ素となる。コート液を塗布する際のガラス基板の温度は、500〜650℃がより好ましい。ガラス基板の温度が400℃未満では、ガラス基板上のオルガノポリシロキサンを酸化ケイ素に熱分解するのに時間がかかるため、生産性が低い。ガラス基板の温度が650℃以下であれば、ガラスリボンが溶融バス内に存在しないため、スプレー中にバス内雰囲気を汚染する恐れが少ない。同様に、ガラスリボンにコート液を塗布する場合も、ガラスリボンが400〜650℃の温度範囲にある位置にて、ガラスリボンにコート液を塗布する。コート液を塗布する位置は、ガラスリボンが500〜650℃の温度範囲にある位置がより好ましい。フロート法でガラス基板を製造する場合、フロートバス直後の位置のガラスリボンの温度は、ガラス基板のガラス組成にもよるが、通常650℃程度である。フロートバスを出たガラスリボンは徐冷工程で徐冷され、徐冷工程中で400℃以下に冷却される。ここで、ガラス基板やガラスリボンの温度とは、コート液を塗布する側の表面温度を意味する。
ガラス基板の材料としては、ソーダライムシリカガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。また、ガラス基板としては、強化されていない生板ガラス基板が好ましい。
本発明においてオルガノポリシロキサンとは、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を骨格として、そのケイ素原子に結合した有機基を有するポリマーをいう。該有機基は、ケイ素原子に結合する原子が炭素原子である有機基である。ケイ素原子の一部には有機基以外の原子や基(たとえば、水素原子、水酸基、加水分解性基等。)が結合していてもよい。加水分解性基とは、水と反応して水酸基となり得る基である。例えば、ハロゲン原子(塩素原子等)、ケイ素原子に結合する原子が酸素原子である基(アルコキシ基、アシル基等)、ケイ素原子に結合する原子が窒素原子である基(アミノ基等)等が挙げられる。加水分解性基に対し、前記有機基は非加水分解性である。
非加水分解性の基である有機基としては、炭化水素基(炭素原子と水素原子からなる有機基)が好ましい。また、有機基は、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等)を有する有機基、ハロゲン原子(フッ素原子等)を有する有機基等であってもよい。ヘテロ原子は、反応性基(エポキシ基、カルボキシ基、アミノ基等)の一部であってもよい。炭化水素基としては、アルキル基(メチル基、エチル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、エチニル基等)、アリール基(フェニル基等)等が挙げられる。
オルガノポリシロキサンには、シロキサン結合の骨格が線状構造を有する線状ポリマー、骨格が分岐構造を有する分岐状ポリマー、骨格が網目構造を有する架橋ポリマー、骨格が三次元網目構造を有する三次元架橋ポリマー等がある。また、他のオルガノポリシロキサンとして、線状構造を有するシロキサン結合の骨格の2以上を2価以上の有機基(アルキレン基等。)で連結した架橋ポリマー、シロキサン結合の骨格とシロキサン結合を有しない有機ポリマー骨格とが結合したポリマー等もある。
本発明におけるオルガノポリシロキサンとしては、前記温度範囲の温度にあるガラス基板やガラスリボン上で熱分解して酸化ケイ素となり得るものであれば、前記オルガノポリシロキサンのいずれも用いることができる。特に、オルガノポリシロキサン自身が液状であるもの、液状媒体に溶解して溶液となり得るもの、または液状媒体に分散して分散液となり得るものであることが好ましい。
本発明において用いるオルガノポリシロキサンとしては、ガラス基板に塗布する場合、昇温速度10℃/minで加熱した際の主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板の温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンが好ましい。また、ガラスリボンに塗布する場合、昇温速度10℃/minで加熱した際の主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンが好ましい。オルガノポリシロキサンを昇温速度10℃/minで加熱した際に主たる発熱ピークが示される位置の温度を、以下発熱ピーク温度という。
該発熱ピーク温度以上においてオルガノポリシロキサンが熱分解して酸化ケイ素となる。したがって、ガラス基板の温度やオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度よりも低い発熱ピーク温度を有するオルガノポリシロキサンを用いる。逆に言えば、ある発熱ピーク温度を有するオルガノポリシロキサンを用いる場合、該オルガノポリシロキサンを塗布するガラス基板の温度は該発熱ピーク温度を超える温度とし、ガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布する位置は、ガラスリボンが該発熱ピーク温度を超える温度となる位置とする。
上述したように、オルガノポリシロキサンを塗布するガラス基板の温度やオルガノポリシロキサンを塗布する位置のガラスリボンの温度は、400〜650℃である。したがって、本発明において用いるオルガノポリシロキサンは、発熱ピーク温度が650℃未満のものから選ばれる。
さらに、ガラス基板やガラスリボンの温度と、オルガノポリシロキサンの発熱ピーク温度とが近接していると、酸化ケイ素となる熱分解反応の速度が遅くなる。そのため、炭化物等の副生物が残存するおそれが生じ、さらに生産性が不充分となるおそれがある。両者の温度差は30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、充分な反応速度を得るためには100℃以上がさらに好ましい。該条件を考慮すると、本発明で用いるオルガノポリシロキサンとしては、発熱ピーク温度が300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板またはガラスリボンの温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンから選択することが好ましい。
発熱ピーク温度が300℃以上あることで、スプレー法による噴霧等でオルガノポリシロキサンを塗布する場合、オルガノポリシロキサンがガラス基板やガラスリボンの表面に到達する前に熱分解するおそれが少なくなる。発熱ピーク温度がオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板またはガラスリボンの温度未満であれば、オルガノポリシロキサンがガラス基板やガラスリボンの表面に到達した後に速やかに膜形成反応が起こり、良好な着膜効率でガラス基板やガラスリボン上に酸化ケイ素膜を形成できる。
本発明におけるオルガノポリシロキサンとしては、前記オルガノポリシロキサンのうち線状のポリマーが好ましく、線状のジオルガノポリシロキサンが特に好ましい。ジオルガノポリシロキサンとは、2個の有機基が結合したシリルオキシ基を繰り返し単位とするポリマーであり、線状のジオルガノポリシロキサンでは両末端のケイ素原子に3個の有機基が結合する。有機基の一部は水素原子であってもよい。有機基は通常炭素数4以下のアルキル基(特にメチル基)であるが、一部の有機基はアルケニル基やフェニル基であってもよい。また、有機基は、前記のように、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等。)を有する有機基、ハロゲン原子(フッ素原子等。)を有する有機基等であってもよい。
本発明におけるオルガノポリシロキサンとしては、特に、シリコーンオイルが好ましい。本発明におけるシリコーンオイルとは、室温で流動性を有するオイル状の化合物である線状オルガノポリシロキサンを意味する。シリコーンオイルは、通常、下式(1)で表される。
Figure 0005545221


式(1)において、R〜Rは有機基または水素原子を表し、nは1以上の整数を表す。R〜Rが有機基の場合、それら有機基は同一であっても異なっていてもよい。[ ]内の2官能性の単位は通常D単位と呼ばれ、両末端の[ ]外の1官能性の単位はM単位と呼ばれている。nが2以上の整数である場合(すなわち、D単位が2以上存在する場合)、それらD単位は異なっていてもよい。2個存在するM単位も異なっていてもよい。D単位が異なるとはRとRの少なくとも1つが異なることをいう。M単位が異なるとはR、R、Rの少なくとも1つが異なることをいう。
式(1)で表されるシリコーンオイルとしては、R〜Rがすべてメチル基であるシリコーンオイル、またはR〜Rの一部が水素原子またはメチル基以外の有機基であって他がメチル基であるシリコーンオイルが好ましい。以下、R〜Rのすべてがメチル基である場合、そのD単位を以下D単位といい、そのM単位を以下M単位という。一方、RとRの一方がメチル基で他方が水素原子またはメチル基以外の有機基であるD単位を以下D単位といい、R〜Rの2つがメチル基で他の1つが水素原子または他の有機基であるM単位を以下M単位という。そうすると、R〜Rがすべてメチル基である式(1)で表されるシリコーンオイルは、M(Dで表すことができる。式(1)で表されるシリコーンオイルがケイ素原子に結合した水素原子またはメチル基以外の有機基を有する場合、M(D(D2で表されるシリコーンオイル、M(Dで表されるシリコーンオイル、M(D(Dで表されるシリコーンオイルが好ましい(ただし、pおよびqは1以上の整数であり、p+q=nである)。メチル基以外の有機基としては、炭素数2以上のアルキル基(エチル基等。)、ポリフルオロアルキル基、フェニル基、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等。)を有する有機基(特に反応性基(エポキシ基、アミノ基等。)を有する有機基)等が好ましい。
〜Rのすべてがメチル基であるシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルと呼ばれている。また、R〜Rの一部がフェニル基で他がメチル基であるシリコーンオイルは、メチルフェニルシリコーンオイルと呼ばれ、R〜Rの一部が水素原子で他がメチル基であるシリコーンオイルは、メチルハイドロジェンシリコーンオイルと呼ばれている。さらに、R〜Rの一部が、長鎖アルキル基(炭素数6〜22の直鎖アルキル基が好ましい)、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等。)を有する有機基、ハロゲン原子(フッ素原子等。)を有する有機基等で他がメチル基であるシリコーンオイルは変性シリコーンオイルと呼ばれている。変性シリコーンオイルは、メチル基以外の有機基の種類やその有機基が有する反応性基の種類により、たとえば、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等と呼ばれている。本発明におけるシリコーンオイルとしては、これらのシリコーンオイルが好ましく、長鎖アルキル変性シリコーンオイルが特に好ましい。
式(1)におけるnは重合度を表し、R〜Rが同一のシリコーンオイル間の比較では、通常nが大きくなるほどその粘度が高くなる。したがって、シリコーンオイルの粘度によりそのnの値(すなわち分子量)を測定することができ、その分子量は粘度換算分子量と呼ばれている。本発明におけるシリコーンオイルとしては、粘度換算分子量が3500〜130000のシリコーンオイルが好ましく、3500〜100000のシリコーンオイルがより好ましく、更に6000〜55000のシリコーンオイルがより好ましい。
シリコーンオイルの粘度換算分子量が3500以上であれば、ガラス基板やガラスリボンに付着する前に気化しにくく、酸化ケイ素膜の形成効率がよくなる。シリコーンオイルの粘度換算分子量が130000以下であれば、ヘイズが低く抑えられ、透過率を高く維持できる。また、シリコーンオイルの粘度が高すぎず、取扱性がよい。
シリコーンオイルの粘度換算分子量は、下記の手順にて求める。
(I)シリコーンオイルの動粘度η(25℃)を求める。
(II)動粘度ηが100mm/秒以上の場合、下式(2)のBarryの式から分子量Mを求める。動粘度ηが100mm/秒未満の場合、下式(3)のWarrikの式から分子量Mを求める。
logηCS/25℃=1.00+0.0123M0.5 ・・・(2)、
logηP/40℃=1.43logM−5.54 ・・・(3)。
ここで、
ηCS/25℃:25℃における動粘度、
ηP/40℃:40℃における粘度、
M:分子量
である。
上述したように、シリコーンオイルとしては、発熱ピーク温度が300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板またはガラスリボンの温度未満の範囲にあるシリコーンオイルから選択されることが特に好ましい。該シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上述したように、本発明におけるオルガノポリシロキサンとしては、シリコーンオイル以外に、400〜650℃の温度範囲にあるガラス基板またはガラスリボン上で熱分解して酸化ケイ素となり得るオルガノポリシロキサンを用いることができる。該オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、シリコーンレジン、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、およびそれらの原料であるシロキサン結合を骨格とする化合物が挙げられる。
シリコーンレジンは、T単位と呼ばれる1個の有機基がケイ素原子と結合したRSiO3/2で表される3官能性の単位(ただし、Rは前記R〜Rと同様の有機基を表す。)を主たる構成単位とする硬化性のオルガノポリシロキサンである。シリコーンレジンは、T単位以外に前記D単位を有していてもよい。さらに、Q単位と呼ばれる4官能性の単位(SiO4/2で表される。)や前記M単位を有することもある。硬化前のシリコーンレジンを本発明におけるオルガノポリシロキサンとして用いることができる。シリコーンゴムやシリコーンエラストマーは、架橋性のオルガノポリシロキサン(架橋性有機基(ビニル基等。)を有するオルガノポリシロキサン、シラノール基や加水分解性基が結合したケイ素原子を有するオルガノポリシロキサン等。)を架橋して得られるポリマーであり、該架橋したポリマーやその原料である架橋性のオルガノポリシロキサンを本発明におけるオルガノポリシロキサンとして用いることができる。
オルガノポリシロキサンの塗布は、液状オルガノポリシロキサンやオルガノポリシロキサン粉末を直接ガラス基板やガラスリボンに塗布することで行うことができる。より好ましくは、オルガノポリシロキサンの溶液や分散液からなるコート液をガラス基板やガラスリボンに塗布することによって行う。コート液における液状媒体は、噴霧等の際にはガラス基板やガラスリボンの表面に到達する前に蒸発させて除去してもよいが、通常はコート液が高温のガラス基板やガラスリボンの表面に到達した後蒸発させて除去する。ガラス基板やガラスリボン上に均一な酸化ケイ素膜を形成するためには、ガラス基板やガラスリボン上にオルガノポリシロキサンの膜を形成した後、オルガノポリシロキサンを熱分解することが好ましい。そのためには、比較的沸点の高い液状媒体を用い、ガラス基板やガラスリボン上に液状媒体を含むオルガノポリシロキサンの膜を形成した後、液状媒体を蒸発させることが好ましい。
オルガノポリシロキサンの溶液に用いる液状媒体としては、オルガノポリシロキサンを溶解できる溶媒が挙げられ、炭化水素類(飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等。)、不飽和炭化水素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。オルガノポリシロキサンの分散液(乳化液を含む)に用いる液状媒体としては、オルガノポリシロキサンを溶解しないものが挙げられ、具体的には水が挙げられる。また、オルガノポリシロキサンの種類によりそれを溶解しない有機溶媒を用いてもよく、有機溶媒としては前記溶媒が挙げられる。
液状媒体の沸点は、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。液状媒体の沸点が60℃以上であれば、高温のガラス基板やガラスリボンの表面に付着する前に気化しにくく、酸化ケイ素膜の形成効率がよくなる。液状媒体は、塗布されたガラス基板やガラスリボンの表面の温度よりも低い沸点を有する限り、その沸点の上限は制約されない。しかし、通常は300℃未満の沸点を有する液状媒体が用いられる。ガラス基板やガラスリボン上で速やかに蒸発除去するためには、液状媒体の沸点は250℃以下が好ましい。液状媒体のより好ましい沸点は80〜200℃である。
コート液の固形分濃度(コート液中のオルガノポリシロキサンの濃度をいう。以下同様)は、酸化ケイ素膜の形成効率およびコート液の粘度(取扱性)の点から、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
コート液の塗布量は、酸化ケイ素膜の最薄層部分の厚さが10〜300nmとなる量が好ましく、また300nm以上の凸部分を有していても構わない。
オルガノポリシロキサンは、ガラス基板やガラスリボン上で熱分解し、酸化ケイ素となる。この際、熱分解雰囲気に酸素の存在が必要とされる。酸素のない雰囲気下では、オルガノポリシロキサンは低分子量のオルガノポリシロキサンに解重合しやすく、低分子量のオルガノポリシロキサンは低沸点の化合物であることから気化しやすい。そのため、酸素のない雰囲気下では、オルガノポリシロキサンは、酸化ケイ素とならずに気化して失われやすい。したがって、オルガノポリシロキサンの熱分解は酸素含有雰囲気(空気等。)下で行う。フロート法で成形したガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布する場合、その塗布位置はフロートバス出口以降の位置とする。フロートバス内は、通常、還元雰囲気に保たれていることから、フロートバス内部のガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布しても酸化ケイ素膜は生成し難い。フロートバス出口以降では、たとえフロートバスから出た還元性ガスが空気に混入することがあったとしても、通常、酸化ケイ素が生成するに充分な酸素が存在する雰囲気にある。また、フロートバス出口以降のガラスリボンは徐冷装置(徐冷窯等。)に移行し、該徐冷装置の内部雰囲気もまた、通常は加熱空気雰囲気にある。したがって、ガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布する位置は、フロートバスと徐冷工程との間の位置、または徐冷工程中の位置とすることが好ましい。
酸化ケイ素膜の厚さは、10〜300nmであることが好ましい。厚さが該範囲の酸化ケイ素膜は、反射防止膜として有用である。ただし、反射防止以外を目的とする酸化ケイ素膜を形成する場合は、厚さは必ずしも該範囲に限定されるものではない。
以上説明した本発明の酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法にあっては、オルガノポリシロキサンを加熱されたガラス基板やガラスリボンに塗布しているため、スパッタ法やCVD法に比べ、酸化ケイ素膜を生産効率よく形成できる。また、オルガノポリシロキサンを用いているため、有機金属化合物を用いることなく、酸化ケイ素膜を形成できる。よって、光の反射率が低く、光の透過率が高い、酸化ケイ素膜を有するガラス基板を生産効率よく製造できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例1〜13、16〜21は実施例であり、例14、15は比較例である。
(発熱ピーク温度)
シリコーンオイルについて、TG−DTA(BrukerAXS社製、ASC 7000S)を用い、昇温速度10℃/minで、25℃から700℃まで昇温させたときに現れる発熱ピークを測定した。該発熱ピークのうち最も高いピークにおける温度を主たる発熱ピーク温度とした。
(動粘度)
シリコーンオイルの動粘度(25℃)は、JIS Z8803(1991年)によるウベローデ粘度計により測定した。
(反射率)
ガラス基板の反射率は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U4100)を用いて、波長300〜1200nmの光における、ガラス基板の片面反射率を測定した。コート液を塗布した場合は、塗布された面のガラス基板の片面反射率を測定した。
(反射率低減量)
酸化ケイ素膜が形成されていないガラス基板の、波長550〜650nmにおける反射率の平均値から、酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板の、波長550〜650nmにおける反射率の平均値を減算して反射率の差(反射率低減量)を求めた。
(ヘイズ)
ガラス基板のヘイズは、ヘイズメーター(ビック ガードナー社製、ヘイズガード プラス E−4725型)を用いて測定した。
〔例1〕
シリコーンオイル(表1記載のジメチルシリコーンオイル、信越シリコーン社製、粘度換算分子量:15000、25℃動粘度:300mm/s)を、n−ヘキサンに溶解し、固形分濃度が10質量%のコート液を得た。
塗布装置としては、KM−100(SPD研究所社製)を用いた。ガラス基板としては、10cm×10cm×3mmのソーダライムガラス(旭硝子社製)を用いた。
ガラス基板をステージ上に載置し、ステージ裏面側にステージと非接触でヒーターを設置した。ヒーターの放射熱により、ステージを介してガラス基板を600℃に加熱した。ガラス基板の温度は、ガラス基板の一側面に熱伝対を接触させることにより測定した。スプレーガンでコート液を噴霧する前にガラス基板を充分な時間加熱したため、ここで測定された温度はガラス基板の表面温度とほぼ同じとみなしてよい。
ガラス基板を600℃まで昇温した後、図1に示すように、ガラス基板10の上方でスプレーガン12をS1〜S3の3つのステップで移動させながら、スプレーガン12からガラス基板10上にコート液を噴霧した。S1〜S3の3つのステップを1サイクルとし、5サイクルで塗布を行った。また、スプレーガン12からコート液を噴霧する際、送液速度が0.4〜0.6mL/秒となるようにスプレーガン12への送液圧力を調節し、噴霧圧力は0.1MPaとした。各ステップにおける塗布時間は10秒とした。なお、ステージ、ガラス基板、スプレーガンは防爆装置で囲われた状態で噴霧を行い、雰囲気温度は調整しなかった。
酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板の反射率低減量およびヘイズを測定した。結果を表1に示す。
〔例2〜8〕
シリコーンオイルを表1に示す25℃動粘度、粘度換算分子量のシリコーンオイル(表1記載のジメチルシリコーンオイル、信越シリコーン社製)に変更した以外は、例1と同様にして酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を得た。
酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板の反射率低減量およびヘイズを測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005545221

〔例9〜11〕
液状媒体を表2に示す溶媒に変更し、塗布サイクルを表2に示す回数とした以外は、例1と同様にして酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を得た。
酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板の反射率低減量およびヘイズを測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005545221

〔例12、13〕
シリコーンオイルを表3に示すシリコーンオイル(信越シリコーン社製)に変更した以外は、例1と同様にして酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を得た。
酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板の反射率低減量およびヘイズを測定した。結果を表3に示す。なお、例13のガラス基板の反射率を図2に示す。
Figure 0005545221

〔例14〕
溶媒(日本アルコール販売社製、ソルミックスAP−11)の80.4質量%、0.07mol/LのHNOの12.0質量%、テトラエトキシシランの7.67質量%からなるコート原液を調製した。該原液を水で希釈し、固形分濃度が1質量%のコート液を得た。
該コート液を用いた以外は、例1と同様にして1サイクルの塗布を行った。ガラス基板上を走査型電子顕微鏡で観察したが、酸化ケイ素膜は形成されていなかった。該ガラス基板の反射率を図2に示す。コート液を塗布する前のガラス基板のみと比べると、反射率の低下はほとんどなかった。
〔例15〜17〕
ガラス基板の温度を表4に示す温度に変更し、塗布サイクルを表4に示す回数とした以外は、例13と同様にして酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を得た。
ガラス基板の表面におけるコート液の固化状態を観察した。結果を表4に示す。コート液が固化し、酸化ケイ素膜が形成されたことが確認されたガラス基板について、反射率低減量およびヘイズを測定した。結果を表4に示す。
温度が300℃のガラス基板上で形成されたサンプルは、コート液が固化せず、酸化ケイ素膜が形成されなかった。
Figure 0005545221

〔例18〕
図3に示すガラス製造装置を用いて酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を製造する。ガラス製造装置20は、ガラス原料を溶解し、溶融ガラス30とする溶解窯22と、溶解窯22から供給された溶融ガラス30を溶融スズ24の表面に浮かべることで溶融ガラス30をガラス基板となるガラスリボン32に成形するフロートバス26と、該ガラスリボン32を徐冷する徐冷窯28と、フロートバス26の出口と徐冷窯28の入り口との間で、かつガラスリボン32の上方に570mmの高さで設置されたエアー式スプレーガン34とを備える。徐冷窯28を出たガラスリボン32は図示されていない切断装置により切断されてガラス基板とされる。
n−デカン(ジャパンエナジー社製)の50質量%、長鎖アルキル変性シリコーンオイル(信越化学工業製、型番KF−412、粘度換算分子量:18000、発熱ピーク温度:490℃)の50質量%からなるコート液を調製する。
搬送速度:4.2m/分で移動するガラスリボン32に、フロートバス26と徐冷窯28の間でガラスリボン32表面温度が600℃にある位置にて、送液速度:36kg/時、噴霧圧力:4.5kg/cmの条件で、スプレーガン34からコート液を噴霧し、ガラスリボン32上にシリコーンオイルの膜を形成し、その後、シリコーンオイルを熱分解させてガラスリボン32上に酸化ケイ素膜を形成する。
〔例19〜23〕
各ステップにおける塗布時間を0.3秒とし、シリコーンオイル、塗布サイクル数を表5に変更し、またシリコーンオイルの種類、液状媒体を変更した以外は、例1と同様にして酸化ケイ素膜が形成されたガラス基板を得た。結果を表5に示す。
Figure 0005545221

本発明の製造方法で得られた酸化ケイ素膜を有するガラス基板は、太陽電池用カバーガラス、ディスプレイ用保護板、自動車用ガラス、鉄道車両用ガラス、船舶用ガラス、建材用ガラス等として有用である。
なお、2008年12月12日に出願された日本特許出願2008−317407号、および2009年11月9日に出願された日本特許出願2009−256068号の明細書、特許請求の範囲、図面、要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
10 ガラス基板
26 フロートバス
28 徐冷窯
30 溶融ガラス
32 ガラスリボン
34 エアー式スプレーガン

Claims (14)

  1. 400〜650℃の温度範囲にあるガラス基板にオルガノポリシロキサンを塗布してガラス基板上に酸化ケイ素膜を形成する酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法であり、
    オルガノポリシロキサンとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板の温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンを用いることを特徴とする酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法。
  2. オルガノポリシロキサンの昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピーク温度とオルガノポリシロキサン塗布時のガラス基板の温度との差が50℃以上である、請求項に記載の製造方法。
  3. オルガノポリシロキサンと液状媒体とを含むコート液をガラス基板に塗布する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 液状媒体の沸点が60℃以上である、請求項に記載の製造方法。
  5. オルガノポリシロキサンがシリコーンオイルである、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. シリコーンオイルの粘度換算分子量が、3500〜130000である、請求項に記載の製造方法。
  7. 溶融ガラスをガラスリボンに成形し、ガラスリボンを徐冷し、ついで切断してガラス基板を製造するガラス基板の製造方法において、
    ガラスリボンが400〜650℃の温度範囲にある位置にて、ガラスリボンにオルガノポリシロキサンを塗布してガラスリボン上に酸化ケイ素膜を形成し、
    オルガノポリシロキサンとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度未満の範囲にあるオルガノポリシロキサンを用いることを特徴とする酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法。
  8. 前記ガラス基板の製造方法がフロート法ガラス製造方法であって、当該フロート法ガラス製造工程のフロートバス中で溶融ガラスをガラスリボンに成形し、フロートバスと徐冷工程との間または徐冷工程中でオルガノポリシロキサンを塗布する、請求項に記載の製造方法。
  9. オルガノポリシロキサンの昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピーク温度とオルガノポリシロキサン塗布位置のガラスリボンの温度との差が50℃以上である、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. オルガノポリシロキサンと液状媒体とを含むコート液をガラスリボンに塗布する、請求項のいずれかに記載の製造方法。
  11. 液状媒体の沸点が60℃以上である、請求項10に記載の製造方法。
  12. オルガノポリシロキサンがシリコーンオイルである、請求項11のいずれかに記載の製造方法。
  13. シリコーンオイルの粘度換算分子量が、3500〜130000である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 溶融ガラスをフロート法で成形してガラス基板を得る工程と、該ガラス基板を徐冷する徐冷工程との間、または該徐冷工程中で、シリコーンオイルおよび溶媒を含むコート液を前記ガラス基板上に塗布する酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法であって、
    シリコーンオイルとして、昇温速度10℃/minで加熱したときの主たる発熱ピークが300℃以上かつシリコーンオイル塗布時のガラス基板の温度未満の範囲にあるシリコーンオイルを用いる、酸化ケイ素膜付ガラス基板の製造方法。
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