JP5544587B2 - 樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 - Google Patents
樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5544587B2 JP5544587B2 JP2010243885A JP2010243885A JP5544587B2 JP 5544587 B2 JP5544587 B2 JP 5544587B2 JP 2010243885 A JP2010243885 A JP 2010243885A JP 2010243885 A JP2010243885 A JP 2010243885A JP 5544587 B2 JP5544587 B2 JP 5544587B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- metal
- base material
- substrate
- mold
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
このような要求に対応するために、従来、金属、セラミックスまたはガラス等からなる部材の一部を樹脂化した複合材、および樹脂で形成した部材を金属、セラミックスまたはガラス等からなる部材で補強した複合材のような、金属、セラミックスまたはガラス等からなる剛性の高い部材(基材)と樹脂とを接合して一体化した樹脂複合材が用いられている。
また、速やかに次の樹脂複合材の生産に移行できるように、基体と樹脂とを接触させた後(必要な場合は所定時間保持した後)は、得られた樹脂複合材を取り出すことができる所定の温度まで冷却することが好ましい。
より具体的には、金型本体または基材を挿入するキャビティーを彫り込んだ入れ子に装着した電熱ヒーターを用いて金型本体または入れ子を加熱する方法が知られている。
また金型内に形成した流路に蒸気または温水のような熱媒体を流すことにより金型を加熱する方法、および電磁誘導を用いて金型を加熱する方法も知られている。
一方、金型の少なくとも一部分を冷却する場合には、金型に形成した流路に冷水等の冷却媒体を通して冷却する方法が知られている。また、冷風を用いて金型を外側から冷却する方法も知られている。
図1は、本発明に係る金型100の断面図である。基材200を加熱可能な状態を示す。詳細は後述するが、加熱源として機能し、図の上下方向に移動可能な加熱コア300を基材200に接触させることにより基材200を加熱することができる。
従来の金型を加熱し、加熱された金型からの熱電伝導により基材を加熱する場合と比べて、直接、基材200を加熱できることから基材200を高効率でかつ迅速に加熱することが可能となる。
金型100は、固定側金型(上型)15と可動側金型(下型)11とから成なる。
固定側金型15と可動側金型11は、例えば真空吸着装置を金型開閉装置として用いることで、固定側金型15と可動側金型11とが接触した状態(閉じた状態)と固定側金型15と可動側金型11とが離間した状態(開いた状態)とを得ることができる。図1および図2はいずれも閉じた状態を示している。
さらに、本願発明に係る発明は、このような上型と下型のような上下に分離する金型に限定されるものではなく、キャビティーに基材200を挿入でき、基材200と樹脂16が接合して得られる樹脂複合材を取り出すことが可能な金型であれば如何なる形態の金型を用いてもよい。
下型キャビティー12と上型キャビティー16は、金型100が閉じた状態では、繋がって1つのキャビティーとなる。
なお、下型キャビティー12および/または上型キャビティー16は、金型内に中子設置し、該中子に設けてもよい。中子を使用すると、中子を取り替えるだけで容易にキャビティーの形状等を変更できるという利点がある。
図1に示す状態では、加熱コア300は、上方に位置し基材200と接触し、基材200を加熱することが可能である。
この空隙26には、下型11内部に配置された冷却媒体誘導路22および冷却媒体導入口22aを介して冷却媒体を導入することが可能であり、空隙26に冷却媒体が導入されると基材200は冷却される。
加熱コアに用いる材料は、ヒーター17からの熱を均一に分布できるように熱伝導性に優れた材料であることが好ましい。このような材料として、ベリリウム銅および鋼を例示することができる。
このような実施形態では、加熱コアが樹脂24と干渉することがない。また、基材の厚さ方向の距離は一般的に幅方向の距離より短いことが多いため、基材200の樹脂と接す面を迅速に加熱できるという利点がある。
非接触式温度センサーとしては、例えば赤外線センサーがある。温度センサー14が非接触式である場合は、温度センサー14が基材200と接触していなくても基材200の温度を測定できるため、加熱コア300が基材200と接触していない状態でも基材200の温度を測定できるという利点がある。
また、必要に応じて、温度センサー14は、加熱コア300の内部および/または外部に複数個配置してもよい。複数の温度センサー14を用いることで得られる、複数の温度測定値を例えばデータ処理装置に取り込み、平均値、中央値、最大値、最低値などの数値を用いて、基材200の温度を演算により決定することが可能となる。
ヒーター17は、基材200を所定の温度に昇温するのに十分な発熱量を有する。好ましくは、ヒーター17は基材200を400℃以上に加熱することができる。
隙間20は、好ましくは0.5mm以上である。上述の効果をより確実に得ることができるからである。
なお、加熱コアの側面と下型11との間に隙間20を有するとは、加熱コア300の側面全体が完全に下型11と接触していない状態だけでなく、加熱コア300の側面の一部が下型11と接触している状態を含むことは言うまでもない。
冷却媒体誘導路22と冷却媒体導入口22aとは、例えば、下型11にドリルで穴を空けることで設置することが可能である。
次に上述の金型100を用いて、樹脂複合材を製造する方法を以下に詳述する。
図3は、(a)加熱コアの位置の時間変化、(b)基材の温度の時間変化、(c)冷却媒体供給装置のオン/オフ(すなわち、冷却媒体の供給の有無)の時間変化、および(d)金型の開閉の時間変化を模式的に示すグラフである。いずれのグラフも横軸は時間の経過を示しており、全てのグラフの横軸(時間の経過)は同じである(すなわち、横軸上の位置が同じであれば同じ時間経過である)。
また、初期状態では冷却媒体供給装置は、図3(c)に示すように作動しておらず、従って冷却媒体は空隙26に供給されていない。
さらに、初期状態では基材200は、例えば室温のような初期温度となっている。
このような加熱コア300の上昇(および下降)は、加熱コア300を例えば、エア・シリンダーのような、信号により駆動(上昇および下降)・停止できる装置と接続することにより行ってよい。
なお、樹脂24の射出は、例えば成形外観に加えて、接合強度とそのバラツキを確認して、樹脂24を溶解するバレルおよびノズルの温度、射出速度、樹脂24を基材200に押し付ける保圧力、保圧時間等の条件を制御して行うのが好ましい。
一方、樹脂24が熱硬化性樹脂の場合は、基材200の表面上で樹脂24が流動して化学反応により接合するには、硬化温度以上であることが好ましいが、硬化温度の+100℃(硬化温度より100℃高い温度)を超えると、硬化速度が速すぎて、化学反応による接合が不十分になる場合があるからである。
この下降により、加熱コア300は基材200と離れ、基材200と加熱コア300との間に空隙26を生ずる。
そして、加熱コア300が冷却媒体導入口22aよりも下側に到達すると、図3(c)に示すように冷却媒体供給装置をONにし、冷却媒体を空隙26に導入する。空隙26に導入された冷却媒体は基材200を冷却する。また、基材200を冷却することにより樹脂24を冷却することも可能である。
冷却媒体としては、安価で取り扱いが容易なことから空気を用いることが好ましいが、これ以外にも窒素、炭酸ガスもしくはそれらの混合気体のような気体、または水もしくはブラインのような液体を用いることもできる。但し、液体を使用する場合は、温度センサー17と同センサーを挿入している穴の防水に配慮することが好ましい。
以下に基材200について説明する。
基材200として、用いることができる材料は、特に限定されるものはなく、例えば金属、ガラス、セラミック、表面に金属箔を積層またはメッキした複合材(例えば紙とガラス繊維材と樹脂との複合材)がある。また、陽極酸化被膜を形成した金属等、表面処理により新たな層を形成した材料を基材200として用いてもよい。
図4に示す基材200は、ベース材料1の上に、金属化合物皮膜2を有し、さらに金属化合物被覆の上に反応性化合物層3を有している。
ここで、ベース材料1は、金属、ガラス、セラミックまたは表面に金属箔を積層またはメッキした複合材(例えば紙とガラス繊維材と樹脂との複合材)である。ベース材料1は陽極酸化被膜を形成した金属であってもよい。
但し、このメカニズムは、得られた結果より予想したものであり、本願発明の範囲を限定するものではない。
次に、基材200を所定温度に加熱することでシラノール含有トリアジンチオール誘導体のシラノール部分と金属化合物皮膜2に含まれる水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、アミン化合物、カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸およびフッ化物等の少なくとも1つとの間に脱水または脱ハロゲン結合反応が起こり、シラノール含有トリアジンチオール誘導体は、脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体に変わる。この結果、反応性化合物は金属化合物皮膜と化学的に結合する。
そして、樹脂24が熱可塑性樹脂の場合は、加熱され溶融した状態の樹脂分子が、また、樹脂24が熱硬化性樹脂の場合は、流動状態の樹脂分子が、反応性化合物層3と接触して、脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体のトリアジンチオール誘導体部分(トリアジンチオール金属塩部分またはビスマレイミド類を結合したトリアジンチオール誘導体)との間に化学的結合を生じる。
1).ベース材1の表面に金属化合物皮膜2を形成する金属化合物処理
2).金属化合物皮膜2のうえにアルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を含む反応性化合物を塗布し、金属化合物皮膜2の上に脱水シラノール含有トリアジンチオール誘導体を含む反応性化合物層3を形成する反応性化合物処理
3).前記反応性化合物処理をして得た好ましい基材200と金型100を用いて、基材200を所定の温度に加熱して樹脂24を接合する接合工程
これらのうち、接合工程については、「2.製造方法」で示した製造方法において、好ましい基材200を用いることで実現できる。
従って、以下に金属化合物処理と反応性化合物処理について説明する。
金属化合物皮膜(「化合物皮膜」ともいう)とは、水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、アミン化合物、カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、およびフッ化物より成る群から選ばれる少なくとも1つを含む皮膜を意味する。
好ましくは、これらの水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、アミン化合物、カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、およびフッ化物の合計が金属化合物皮膜の主成分(例えば質量比で金属化合物皮膜2の50%以上)となっている。
ベース材料1には各種の金属、表面に皮膜を形成した金属、ガラス、セラミックスならびに例えば紙および/またはガラス繊維材と樹脂の複合基材のような複合材料に金属箔を積層またはメッキした材料などを用いることが可能である。
ベース材料1に用いる、好ましい金属として、鉄及びその合金、鋼(合金鋼を含む)、ステンレス鋼、アルミニウム及びその合金、銅及びその合金、マグネシウム及びその合金、チタン及びその合金、これら金属および合金のメッキ品を例示できる。
セラミックは、アモルファスまたは結晶性の金属酸化物が使用可能である。好ましいアモルファスの金属酸化物の例は、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、石英ガラス、鉛ガラスである。結晶性の金属酸化物の例は、アルミナ、β-アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア、ベリリア、酸化亜鉛、チタニア、ムラニア、酸化錫、ITO、フェライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウムなどがあげられる。また、表面に皮膜を形成した金属は、陽極酸化処理により上記結晶性金属酸化物皮膜を形成した金属材料として、アルマイトと呼ばれるアルミナを形成したアルミニウム合金、マグネシアを形成したマグネシウム合金、チタニアを形成したチタンおよびチタン合金、酸化亜鉛を形成した亜鉛および亜鉛合金、酸化錫を形成した錫および錫合金などがあげられる。
紙やガラス繊維材などに樹脂を複合強化した基材に金属箔を積層または金属および合金のメッキした材料としては、各種の基板材料がある。
これらの好適な金属より成るベース材料1は金属化合物皮膜2の形成が容易である。すなわちこれらの好適な金属は、その電位−pH図に示されるように、酸、アルカリに反応するpH範囲が広く、金属化合物皮膜の形成が比較的容易である。さらに、得られた金属化合物皮膜2が優れた安定性を有するという利点もある。
ベース材料1の形状は、板(シート)状、管状、円筒状、直方体状、円錐状、角錐状を含む如何なる形状であってもよい。
ベース材料1の表面は、製造工程で生じる偏析、酸化被膜により不均一となったり、加工成形時に使用した圧延油、切削油、プレス油などが付着したり、あるいは搬送時に、発錆、指紋の付着等などで汚れる場合がある。このため、ベース材料1の表面の状態によっては適切な洗浄方法を用いて洗浄処理を行うのが好ましい。但し、洗浄は必須の処理ではない。
必要に応じて上述の洗浄処理および/または粗面化処理を実施した後、ベース材料1の表面に、金属化合物処理(「化合物処理」ともいう)を実施して、水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩およびフッ化物の少なくとも1つを含む金属化合物皮膜2を形成する。
金属化合物処理は以下に示す化合物、酸等の少なくとも1つを用いて、例えばこれらの水溶液に浸漬することにより実施する。
アルカリ処理および酸性処理について、以下に具体的に用いる溶液を示して説明する。
アルカリ処理に用いる金属化合物処理液(アルカリ化合物の水溶液)にベース材料1を浸漬し金属化合物処理を行うことができる。
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムのようなI族元素(周期律表でI族の元素)の水酸化物;I族元素の塩;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムのようなII族元素(周期律表でII族の元素)の水酸化物およびII族元素の塩の水溶液を用いることができる。これらの何れかを用いることにより、ベース材料1の表面に、水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が生成する。このような金属化合物皮膜2の主成分となる水酸化物の例として金属水酸化物(金属はベース材料1に含まれる金属)がある。また、金属化合物皮膜2として、金属水酸化物に代えて或いは金属水酸化物とともに金属水和酸化物が生成する。
I族元素の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが例示される。例えば、水酸化ナトリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水酸化ナトリウムの濃度0.04〜100g/L、温度30〜80℃で処理を行うのが好ましい。これにより、金属基体1の表面には、金属水酸化物および/または金属水和酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が形成される。
また、II族元素の塩とは、II族元素と弱酸とにより生ずる塩であり、その水溶液がアルカリ性を示す金属塩である。主に弱酸とII族元素とが結合して生じる塩であり、このようなII族元素の塩としては、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、および酢酸バリウムが例示される。例えば、酢酸バリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、酢酸バリウムの濃度0.05〜100g/L、温度30〜80℃で処理を行うのが好ましい。これにより、金属基体1の表面には、金属カルボン酸塩、金属水酸化物および/または金属水和酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が形成される。
アンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体または水溶性アミンの化合物の水溶液もアルカリ性を示す。これらの水溶液にベース材料1を浸漬しても金属化合物皮膜を形成できる。これらの水溶液の場合は、ベース材料1の表面に、金属水酸化物(金属はベース材料1に含まれる金属)のような水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が生成し、かつその極性からベース材料1にアミン錯体の形成および/または吸着が生じる。ただし、アンモニアの場合は、アルミニウムに対しては錯体を形成しない。また、アンモニアは、例えばアルミニウムと反応し水酸化物との複合塩であるアンモニウム塩を形成する。アンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、水溶性アミンは、広い意味でのアミン系化合物であり、アンモニア、ヒドラジン以外ではヒドラジン誘導体として加水ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等を、水溶性アミンとしてメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アリルアミン等を用いることができる。例えば、ヒドラジンの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、ヒドラジンの濃度0.5〜100g/L、温度30〜80℃であることが好ましい。これにより、金属基体1の表面には、水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2に加え、金属とヒドラジンの錯体の形成および/またはヒドラジンの吸着による金属化合物皮膜2が形成される。
例えば、炭酸ナトリウムの水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水溶液は炭酸ナトリウムの濃度:0.05〜100g/L、温度:30〜90℃の範囲内であることが好ましい。これにより、金属基体1の表面には、金属炭酸塩および/または金属水和酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が形成される。
以下に酸性処理に用いる金属化合物処理液の具体例を示す。
(1)リン酸、リン酸塩
リン酸、例えばリン酸水素亜鉛、リン酸水素マンガン、リン酸水素カルシウムのようなリン酸水素金属塩、例えばリン酸二水素カルシウムのようなリン酸二水素金属塩、および例えばリン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸ジルコニウムのようなリン酸金属塩等の−H2PO4、−HPO4または−PO4を含有するリン酸およびリン酸塩の溶液を用い、金属化合物処理を行う。なお、本明細書でいうリン酸とはオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等を含む広義の酸性のリン酸であり、リン酸塩とは、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等の広義の酸性のリン酸の化合物を含む概念である。
タンニン酸のようなカルボン酸水溶液を用い、アベース材料1に金属化合物処理を行う。これにより、ベース材料1の表面に、カルボン酸の金属塩、および/または水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜が生成する。
フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化アンモニウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウムのようなフッ化物水溶液にベース材料1を浸漬しても金属化合物皮膜を形成ができる。これにより、ベース材料1の表面に、金属フッ化物および/またはベース材料1に含まれる金属の水酸化物のような水酸化物を主成分とする金属化合物皮膜2が形成される。例えば、フッ化水素アンモニウム水溶液を用いて金属化合物処理を行う場合、水溶液は、濃度:1〜60g/L、温度:30〜70℃であることが好ましい。
硫酸、または硫酸ナトリウム、硫酸マンガン、硫酸カルシウム、硫酸チタニル、硫酸ジルコニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムのような硫酸の金属塩水溶液を用い、金属化合物処理を行う。これらの硫酸、硫酸塩を用いた場合には、金属硫酸塩を主成分とする金属化合物皮膜2がベース材料1の表面に形成される。
例えば、硫酸カリウム金属塩の水溶液を用いて金属塩化合物処理を行う場合、水溶液は、濃度0.5〜30g/L、温度30〜60℃であることが好ましい。
ベース材料1がアルミニウムまたはその合金である場合、アルカリ処理の「(1)I族元素の水酸化物、I族元素の塩、II族元素の水酸化物、II族元素の塩」およびならびに酸性処理の「(1)リン酸、リン酸塩」に記載の方法を用いるのが好ましい。
ベース材料1がチタンまたはその合金では、酸性処理の「(3)フッ化物」に記載の方法を用いるのが好ましい。
リン酸、リン酸塩による処理が好ましい理由は、金属化合物皮膜2として形成されるリン酸塩化合物が大きな極性を有し、トリアジンチオール誘導体のアルコキシシランが加水分解して生成するシラノールと結合しやすいためと考えられる。
I族元素の水酸化物、I族元素の塩、II族元素の水酸化物、II族元素の塩を用いた処理が好ましい理由は、水酸化物、水和酸化物がベース材料表面に密に形成されやすく、そのOH基および酸基がトリアジンチオール誘導体のアルコキシシランが加水分解して生成するシラノールと結合しやすいこと、及びその結合強度が大きいからであると考えられる。
フッ化物による処理が好ましい理由は、形成される金属のフッ化物のフッ素が活性で、トリアジンチオール誘導体のアルコキシシランが加水分解して生成するシラノールと結合しやすいためと考えられる。
すなわち、複数の上述した金属化合物処理に用いる溶液(金属化合物処理液)を混合した溶液を用いて金属化合物皮膜を形成してもよい。また、上述した金属化合物処理に用いる溶液(金属化合物処理液)のうちの一種類を用いて金属化合物処理を行った後、別の種類の金属化合物処理液を用いて更に金属化合物処理を行ってもよい。
上述の方法により、ベース材料1の表面に金属化合物皮膜2を形成した後、金属化合物皮膜2の上に反応性化合物層3を塗布して形成する。
反応性化合物層3は、金属化合物皮膜2に塗布された時点でアルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体を含んでいる(好ましくは質量%で50%以上含んでいる。)
反応性化合物層3は、アルコキシシラン含有トリアジンチオール誘導体以外に例えばトリアジンチオールを含んでもよい。
即ち、以下の(式1)または(式2)に示した一般式で表される。
ラジカル開始剤は、樹脂を成形する際に行う加熱等の熱による分解でラジカルを生じ、上記マレイン酸による2つの二重結合部の他方の結合を開き、樹脂と反応、結合させる作用を有する。
樹脂24は、上述したように熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。
2 金属化合物皮膜2
3 反応性化合物層3
11 可動側金型(下型)
12 キャビティー(下型キャビティー)
13 センサーコア
14 温度センサー
15 固定側金型(上型)
16 キャビティー(上型キャビティー)
17 ヒーター
18 ゲート
19 ランナー
22 冷却媒体誘導路
22a 冷却媒体導入口
24 樹脂
26 空隙
100 金型
200 基材
300 加熱コア
Claims (9)
- キャビティーに基材を配置した後、該キャビティーに樹脂を導入することにより、前記基材と前記樹脂とを接合して樹脂複合材を形成するための金型であって、
前記基材の温度を測定する温度センサーと、
前記基材と接触して前記基材を加熱する加熱源と、
前記加熱源が前記基材から離間して生ずる前記加熱源と前記基材との間の空隙に、前記基材を冷却する冷却媒体を導入する誘導路と、
を含むことを特徴とする金型。 - 前記加熱源が、前記基材の前記樹脂と接合する面と反対側の面と接触および離間することを特徴とする請求項1に記載の金型。
- 金型のキャビティーに基材を配置する工程と、
加熱源を前記基材に接触させて前記基材を所定温度に加熱した後、前記キャビティーに樹脂を導入する工程と、
前記加熱源を前記基体から離間させて生ずる前記基体と前記加熱源との間の空隙に冷却媒体を導入して前記基体を冷却する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂複合材の製造方法。 - 前記加熱源が、前記基材の前記樹脂と接触する面と反対側の面と接触することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 前記基材が、
水酸化物、水和酸化物、アンモニウム塩、アミン化合物、カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩およびフッ化物より成る群から選ばれる少なくとも1つを含む金属化合物皮膜と、
該脱金属化合物皮膜の上に配置された水シラノール含有トリアジンチオール誘導体を含んで成る反応性化合物層と、
を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の製造方法。 - 前記金属化合物皮膜が、金属の水和酸化物および水酸化物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- 前記金属化合物皮膜が、リン酸水素金属塩、リン酸二水素金属塩およびリン酸金属塩より成る群から選択される少なくとも1つのリン酸塩を含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記所定の温度が前記熱可塑性樹脂のガラス転移点または融点から−50℃〜+100℃の範囲であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記樹脂が熱硬化性樹脂であり、前記所定の温度が熱硬化性樹脂の硬化温度から+0℃〜+100℃の範囲であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010243885A JP5544587B2 (ja) | 2010-10-29 | 2010-10-29 | 樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010243885A JP5544587B2 (ja) | 2010-10-29 | 2010-10-29 | 樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012096382A JP2012096382A (ja) | 2012-05-24 |
JP5544587B2 true JP5544587B2 (ja) | 2014-07-09 |
Family
ID=46388892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010243885A Expired - Fee Related JP5544587B2 (ja) | 2010-10-29 | 2010-10-29 | 樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5544587B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6363347B2 (ja) * | 2014-01-23 | 2018-07-25 | イビデン株式会社 | 複層コートアルミニウム基材 |
JP6363348B2 (ja) * | 2014-01-23 | 2018-07-25 | イビデン株式会社 | 複層コートアルミニウム基材 |
JP6470493B2 (ja) * | 2014-01-23 | 2019-02-13 | イビデン株式会社 | 複層コートアルミニウム基材 |
JP6470492B2 (ja) * | 2014-01-23 | 2019-02-13 | イビデン株式会社 | 複層コートアルミニウム基材及び複層コートアルミニウム基材の製造方法 |
JP6420094B2 (ja) * | 2014-08-27 | 2018-11-07 | 東レ・デュポン株式会社 | 熱可塑性樹脂複合成形体、及び、熱可塑性樹脂複合成形体の製造方法 |
-
2010
- 2010-10-29 JP JP2010243885A patent/JP5544587B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012096382A (ja) | 2012-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5544587B2 (ja) | 樹脂複合材成形用金型および樹脂複合材の製造方法 | |
JP5058593B2 (ja) | 金属と樹脂の複合体の製造方法 | |
JP6387301B2 (ja) | アルミ樹脂接合体及びその製造方法 | |
WO2011027854A1 (ja) | アルミニウム合金物品、アルミニウム合金部材およびその製造方法 | |
JP6079791B2 (ja) | 金属−樹脂接合体の製造方法 | |
KR101115786B1 (ko) | 고내식성 복합체의 제조 방법 | |
JP5531326B2 (ja) | アルミニウム−樹脂複合体の製造方法 | |
JP5129903B2 (ja) | マグネシウム合金複合体とその製造方法 | |
JP6503936B2 (ja) | 金属樹脂複合成形体及びその製造方法 | |
JP5381687B2 (ja) | 樹脂接合性に優れたアルミニウム合金部材及びその製造方法 | |
WO2011071102A1 (ja) | 耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品及びその製造方法 | |
KR100796883B1 (ko) | 밀착성의 평가 방법 | |
CN103826822A (zh) | 铝树脂接合体及其制造方法 | |
TW201427808A (zh) | 金屬樹脂複合體及金屬樹脂複合體之製造方法 | |
TW201434621A (zh) | 金屬樹脂複合體及金屬樹脂複合體之製造方法 | |
CN110385826B (zh) | 铝合金与树脂的复合物及其制造方法 | |
JP5673814B2 (ja) | アルミ・樹脂射出一体成形品製造用のアルミ形状体及びこれを用いたアルミ・樹脂射出一体成形品並びにそれらの製造方法 | |
TW201515844A (zh) | 金屬與樹脂的複合體及其製造方法 | |
JP5205109B2 (ja) | マグネシウム合金物品およびマグネシウム合金部材 | |
WO2011071061A1 (ja) | アルミ・樹脂・銅複合品及びその製造方法並びに密閉型電池向け蓋部材 | |
JP5834345B2 (ja) | アルミニウム合金物品、アルミニウム合金部材およびその製造方法 | |
CN104060268B (zh) | 一种液态金属处理剂和复合体材料的制备方法 | |
JP2016056443A (ja) | アルミニウム‐樹脂複合体の製造方法 | |
WO2016199339A1 (ja) | 金属樹脂複合成形体及びその製造方法 | |
WO2019107529A1 (ja) | 少なくとも表面の全部又は一部がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面を粗面化するためのエッチング剤、粗面化基材の製造方法、粗面化基材、基材-樹脂硬化物の接合体の製造方法、及び基材-樹脂硬化物の接合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130701 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140318 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140325 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140421 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5544587 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |