以下、図面を参照して、本発明にかかるカプセル型医療装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、本発明にかかるカプセル型医療装置の一例として、患者等の被検体の臓器内部に導入して体内画像を撮像するカプセル型内視鏡を例示して本発明の実施の形態を説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体2を有し、この筐体2の内部に撮像機能および無線通信機能を備える。具体的には、カプセル型内視鏡1は、筐体2の内部に、照明光を発光する複数の照明部3と、これら複数の照明部3と異なる方向に照明光を発光する複数の照明部4と、複数の照明部3によって照明された撮像視野A1の被写体画像を撮像する撮像部5と、複数の照明部4によって照明された撮像視野A2(すなわち撮像部5の撮像視野A1と異なる方向の撮像視野)の被写体画像を撮像する撮像部6と、撮像部5,6によって撮像された被写体画像(例えば被検体の体内画像)を外部に無線送信する無線通信部7とを備える。また、カプセル型内視鏡1は、筐体2の内部に、かかる照明部3,4、撮像部5,6、および無線通信部7を制御する制御部8と、かかるカプセル型内視鏡1の各構成部に電力を供給する電源部9とを備える。さらに、カプセル型内視鏡1は、筐体2の外部に形成された外部磁界に反応して筐体2を動作させる磁石10を筐体2の内部に備える。
筐体2は、上述したように患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡1の外装ケースとして機能する。かかる筐体2は、筒状構造を有する筒状胴部2aとドーム構造を有する光学ドーム2b,2cとによって形成され、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10を液密に内包する。
筒状胴部2aは、両端部が開口した筒状構造(例えば円筒構造)の外装部材であり、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10等のカプセル型内視鏡1の各構成部を内部に収容する。かかる筒状胴部2aの両端部(両側の開口端部)には光学ドーム2b,2cが各々取り付けられる。光学ドーム2b,2cは、所定の光波長帯域に対して透明なドーム状の光学部材であり、筒状胴部2aの両側の開口端部をそれぞれ塞ぐ。かかる光学ドーム2b,2cは、筒状構造の長手方向の両端部がドーム形状であるカプセル型の外形を有する筐体2のドーム部として機能する。
複数の照明部3,4は、LED等の発光素子を用いて実現され、互いに異なる方向の体内画像を撮像する撮像部5,6の各撮像視野A1,A2をそれぞれ照明する。具体的には、複数の照明部3は、光学ドーム2bを介して撮像部5の撮像視野A1に照明光を照射することによって、光学ドーム2b越しに撮像部5の撮像視野A1内の臓器内部を照明する。一方、複数の照明部4は、光学ドーム2cを介して撮像部6の撮像視野A2に照明光を照射することによって、光学ドーム2c越しに撮像部6の撮像視野A2内の臓器内部を照明する。
撮像部5,6は、筐体2の内部にそれぞれ固定配置され、互いに異なる撮像方向の体内画像を撮像する。具体的には、撮像部5は、CMOSイメージセンサまたはCCD等の固体撮像素子5aと、固体撮像素子5aの受光面に撮像視野A1の被写体画像を結像するレンズ等の光学系5bとを有する。かかる撮像部5は、上述した複数の照明部3によって照明された撮像視野A1に位置する臓器内部の画像(撮像視野A1の体内画像)を撮像する。一方、撮像部6は、CMOSイメージセンサまたはCCD等の固体撮像素子6aと、固体撮像素子6aの受光面に撮像視野A2の被写体画像を結像するレンズ等の光学系6bとを有する。かかる撮像部6は、上述した複数の照明部4によって照明された撮像視野A2に位置する臓器内部の画像(撮像視野A2の体内画像)を撮像する。
なお、カプセル型内視鏡1が図1に示すように長手方向の前方および後方を撮像する2眼タイプのカプセル型内視鏡である場合、かかる撮像部5,6の各光軸は、筐体2の長手方向の中心軸と略平行であり(望ましくは略一致し)、且つ撮像部5,6の撮像視野A1,A2の各方向は、互いに反対方向である。
無線通信部7は、送信アンテナ7aを有し、上述した撮像部5,6によって撮像された各体内画像を送信アンテナ7aを介して外部に順次無線送信する。具体的には、無線通信部7は、撮像部5または撮像部6が撮像した体内画像を含む画像信号を制御部8から取得し、この取得した画像信号に対して変調処理等を行って、この画像信号を変調した無線信号を生成する。無線通信部7は、かかる無線信号を送信アンテナ7aを介して外部に送信する。
制御部8は、上述した複数の照明部3,4、撮像部5,6、および無線通信部7を制御し、かかるカプセル型内視鏡1の各構成部の間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部8は、複数の照明部3の発光タイミングと撮像部5の撮像タイミングとを制御して、複数の照明部3が照明した撮像視野A1の体内画像を撮像部5に撮像させる。これと同様に、制御部8は、複数の照明部4の発光タイミングと撮像部6の撮像タイミングとを制御して、複数の照明部4が照明した撮像視野A2の体内画像を撮像部6に撮像させる。また、制御部8は、かかる撮像部5,6によって撮像された各体内画像を時系列に沿って順次無線通信部7に無線送信させる。
また、制御部8は、画像処理部8aを有する。画像処理部8aは、上述した撮像部5から画像データを取得する都度、この取得した画像データに対して所定の画像処理を行って、撮像視野A1の体内画像を含む画像信号を生成する。これと同様に、画像処理部8aは、上述した撮像部6から画像データを取得する都度、この取得した画像データに対して所定の画像処理を行って、撮像視野A2の体内画像を含む画像信号を生成する。かかる画像処理部8aによって生成された各画像信号は、上述した無線通信部7に順次送信される。
電源部9は、ボタン型電池またはキャパシタ等の蓄電部と、磁気スイッチ等を含むスイッチ回路とを有する。かかる電源部9は、所定の磁化方向の外部磁界によって電源のオンオフ状態を切り替え、電源オン状態の場合に蓄電部の電力をカプセル型内視鏡1の各構成部(複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、および制御部8)に供給する。
磁石10は、筐体2の外部に形成された外部磁界によるカプセル型内視鏡1の誘導を可能にするためのものである。具体的には、磁石10は、筐体2内部の所定位置に配置され、所定の方向(例えば筐体2の長手方向または径方向)の磁界を形成する。かかる磁石10は、筐体2外部の磁石(図示せず)等によって形成された外部磁界に反応して動作することによって、筐体2を動作させる。この場合、筐体2は、かかる磁石10の動作に追従して姿勢変更動作および変位動作の少なくとも一つを行う。なお、かかる筐体2の姿勢はカプセル型内視鏡1の姿勢であり、かかる筐体2の変位はカプセル型内視鏡1の変位である。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の重心および比重の設定について説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の重心位置および比重を説明するための模式図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1を液面に浮遊させた場合の筐体2と液面との境界部を例示する模式図である。なお、図3には、臓器内部の液面に浮遊したカプセル型内視鏡1の筐体2を鉛直上方側から見た(図2に示す方向Dから見た)状態が図示されている。
この実施の形態1では、被検体の臓器内部に導入される液体の液面にカプセル型内視鏡1が浮遊する(すなわち上述した照明部3,4および撮像部5,6等のカプセル型内視鏡1の各構成部を内包した筐体2が臓器内部の液面に浮遊する)ように、カプセル型内視鏡1の比重をこの液体に比して小さく設定し、かかる液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡1の筐体2が特定の浮遊姿勢を維持するように、カプセル型内視鏡1の重心を設定する。
具体的には、図2に示すように、カプセル型内視鏡1の重心Gは、カプセル型の筐体2の長手方向の中心軸CL上であって筐体2の中心Cから一端部側(例えば光学ドーム2c側)に外れた位置に設定される。このような位置に重心Gを有するカプセル型内視鏡1は、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sに浮遊した状態において、筐体2を液面Sに対して縦姿勢(すなわち筐体2の中心軸CLと液面Sとが略垂直となる浮遊姿勢)に維持させる。なお、かかる縦姿勢を液面Sにおいて維持するカプセル型内視鏡1は、この液面Sの上方に光学ドーム2b(すなわち撮像部5の撮像視野A1)を向けるとともに、この液面Sの下方に光学ドーム2c(すなわち撮像部6の撮像視野A2)を向ける。
一方、カプセル型内視鏡1の比重は、臓器内部に導入される液体に比して小さい比重であって、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢(例えば上述した縦姿勢)をとるカプセル型内視鏡1の筐体2の上方側ドーム部(すなわち光学ドーム2b)をこの液体の液面Sに浮揚させる程度の比重に設定される。この場合、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡1の筐体2と液面Sとの境界部Bは、図3に示すように、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢をとる筐体2を液面Sに対して垂直に投影した投影面Kaの内部であって、この投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。具体的には、図2に示すように、かかる境界部Bは、液面Sの上方を向く光学ドーム2bの外周面であって筒状胴部2aと光学ドーム2bとの接続界面の近傍を除く領域に形成される。
ここで、光学ドーム2bは、筐体2の中心軸CL上に位置する曲率中心Eと曲率半径rとによって規定される略半球形状を形成する。かかる光学ドーム2bの外径寸法は、筐体2の最大外径寸法をなす筒状胴部2aとの接続界面において最大値(例えば筐体2の最大外径寸法と同値)となり、この筒状胴部2aとの接続界面から光学ドーム2bの頂部(すなわち光学ドーム2bの外周面と筐体2の中心軸CLとの交点)に向けて順次減少し、この光学ドーム2bの頂部において最小値となる。
かかる光学ドーム2bの外周面に形成される境界部Bは、図2に示すように、筐体2の最大外径寸法(すなわち筒状胴部2aの外径寸法)に比して小さい外径寸法をなす筐体2の外周範囲Hの範囲内に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡1の比重を設定することによって、この液面Sに対する筐体2の投影面Kaの内部であって外周Kbを除く領域に位置する。なお、かかる筐体2の外周範囲Hの範囲内に液面Sが位置する場合、光学ドーム2bの外周面には、図3に示すように、点状または環状の境界部Bが形成される。
なお、カプセル型内視鏡1の重心Gは、筐体2の内部における無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各配置を調節することによって所望の位置に設定される。また、カプセル型内視鏡1の比重は、筐体2、照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各質量と筐体2の体積とを調節することによって所望の比重に設定される。
つぎに、被検体の胃内部の液面にカプセル型内視鏡1を浮遊させて胃内部の体内画像を集中的に撮像する場合を例示して、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡1の動作を説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル誘導システムの一構成例を示す模式図である。図5は、実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1が臓器内部の液面Sに浮遊した状態を例示する模式図である。図6は、カプセル型内視鏡に対する液体の表面張力の作用を説明するための模式図である。なお、図5には、胃内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡1の側面図および上面図が示されている。
図4に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル誘導システムは、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡1を磁力によって誘導しつつカプセル型内視鏡1によって撮像された体内画像群を取得するシステムであり、上述したカプセル型内視鏡1と、被検体15に液体12を供給する供給器11と、臓器内部のカプセル型内視鏡1を磁力によって誘導する磁石13と、カプセル型内視鏡1によって撮像された体内画像群を取得するワークステーション14とを備える。
供給器11は、被検体15の臓器内部(例えば胃内部)に液体12を供給する。液体12は、水または生理食塩水等の人体に無害な液体であり、被検体15の胃内部に導入された場合、この胃内部(具体的には胃壁の襞)を伸展させる。カプセル型内視鏡1の比重および重心Gは、上述したように、筐体2の外周範囲H(図2参照)の範囲内に液体12の液面Sを有するとともに、この液面Sに浮遊した状態において縦姿勢を維持するように設定される。例えば、液体12が水である場合、かかるカプセル型内視鏡1の比重は1未満に設定される。かかるカプセル型内視鏡1は、被検体15の口から胃内部に導入され、この胃内部の液体12の液面Sに浮遊するとともに、重心Gによって規定される浮遊姿勢(縦姿勢)を維持する。
磁石13は、カプセル型内視鏡1の筐体2の外部に外部磁界を形成し、胃内部の液体12の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡1(上述したように筐体2の内部に磁石10を有する)をこの外部磁界によって誘導する。この場合、カプセル型内視鏡1は、かかる磁石13の外部磁界に反応した磁石10(図1参照)の作用によって、姿勢変更動作および変位動作の少なくとも一つを行う。かかるカプセル型内視鏡1は、液面Sに浮遊した状態で移動または浮遊姿勢を変更しつつ、被検体15の胃内部の体内画像を順次撮像し、撮像した体内画像を外部に順次無線送信する。
ワークステーション14は、カプセル型内視鏡1が無線送信した体内画像を受信する無線通信機能と、この無線通信機能によって受信した体内画像を表示する画像表示機能とを有する。具体的には、ワークステーション14は、被検体15の体表上に配置される受信アンテナ14aを有し、この受信アンテナ14aを介して胃内部のカプセル型内視鏡1から被検体15の体内画像群を受信する。また、ワークステーション14は、かかるカプセル型内視鏡1から受信した被検体15の体内画像群(例えば胃内部を集中的に撮像した体内画像群)を表示部に表示し、且つ、かかる被検体15の体内画像群を記憶メディアに保存する。医師または看護師等のユーザは、かかるワークステーション14の表示部に表示された体内画像群を観察することによって、例えば被検体15の胃内部を隈なく検査することができる。
ここで、図2,3に示したように比重および重心Gを設定したカプセル型内視鏡1は、図5に示すように、被検体15の胃内部に導入された液体12の液面Sに浮遊した状態で縦姿勢(重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢の一例)をとる。かかる縦姿勢をとるカプセル型内視鏡1において、筐体2のうちの筒状胴部2aおよび下側の光学ドーム2cは液体12の中に沈み、上側の光学ドーム2bは、上述した筐体2の外周範囲Hの範囲内に液面Sとの境界部Bを有する。この場合、かかる筐体2(具体的には光学ドーム2b)と液面Sとの境界部Bは、常に、この液面Sに対する筐体2の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。
このような境界部Bを有するカプセル型内視鏡1は、胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃壁Wと接触した場合、筐体2と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成する(図5に示す接触状態を参照)。このため、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡1が胃壁Wに接触する前後において、かかる境界部Bの大きさは略一定である。
ここで、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡1の筐体2に対する液体12の表面張力は、かかる境界部Bの大きさ(すなわち液面Sにおける筐体2と液体12との接触面積)を減少させる方向に作用する。仮に、図6に示すように、この浮遊状態の筐体2と胃壁Wとが接触した状態において、この筐体2と胃壁Wとの間隙Lが液面Sに形成されない場合、この筐体2と液面Sとの境界部Bの大きさは、この筐体2と胃壁Wとの接触によって減少する。この場合、胃壁Wに接触した状態の筐体2と液面Sとの境界部Bは、胃壁Wから離間した状態の筐体2と液面Sとの境界部Bに比して小さくなる。このため、この筐体2に対する液体12の表面張力は、かかる境界部Bを減少させる方向、すなわち、胃壁Wに筐体2を押し付ける方向に作用する。これに起因して、この筐体2は、胃壁Wに押し付けられた状態(接触状態)で安定し、例え上述した磁石13の外部磁界によって誘導する場合であっても、この胃壁Wから離間し難くなる。この結果、胃内部におけるカプセル型内視鏡の姿勢変更および移動が制限され、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することが困難になる。
これに対し、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1は、図5に示したように、胃壁Wと接触した状態において筐体2と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成するので、かかるカプセル型内視鏡1の筐体2と胃壁Wとが接触する前後において、この筐体2と液面Sとの境界部Bの大きさは略一定である。このため、カプセル型内視鏡1は、筐体2と胃壁Wとを接触させる方向に作用する液体12の表面張力を軽減でき、外力の作用(例えば液体12の流れの作用または磁石13の外部磁界の作用)によって胃壁Wから容易に離間できる。この結果、カプセル型内視鏡1は、液体12の表面張力の作用によって阻害されずに、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊する(姿勢変更および移動の少なくとも一つを行う)ことができる。さらには、上述した磁石13の外部磁界によって胃内部のカプセル型内視鏡1を所望の浮遊姿勢および位置に容易に誘導することができる。
かかるカプセル型内視鏡1は、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊しつつ、液面Sの上方に撮像部5の撮像視野A1を向けて気体中の胃壁面の体内画像を順次撮像し、且つ、液面Sの下方に撮像部6の撮像視野A2を向けて液体12中の胃壁面の体内画像を順次撮像する。このようにして、かかるカプセル型内視鏡1は、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡1の作用効果は、胃内部に限らず、被検体15の所望の臓器内部(例えば大腸等)の液面Sにカプセル型内視鏡1を浮遊させることによって同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、カプセル型の筐体の中心から外れた位置に当該カプセル型医療装置の重心を設定して、この筐体を臓器内部の液体に浮遊した状態において特定の浮遊姿勢に維持させるようにし、当該カプセル型医療装置の比重をこの液体に比して小さく設定して、この筐体を臓器内部の液面に浮遊させ、この特定の浮遊姿勢をとる筐体をこの液面に対して垂直に投影した投影面内であって、この投影面の外周を除く位置に、この筐体と液面との境界部が形成されるように構成した。このため、臓器内部の液面に浮遊した状態の筐体が臓器壁面と接触した場合であっても、この筐体と臓器壁面との間隙を液面に常に形成することができ、これによって、この筐体と液面との境界部の大きさを臓器壁面との接触前後において略一定に維持することができる。この結果、臓器壁面と筐体とを接触させる方向に作用する液体の表面張力を軽減でき、臓器内部の液面に浮遊した状態で臓器壁面と接触した場合であっても、この液体の表面張力の作用によって阻害されずに、この臓器壁面から容易に離間できるカプセル型医療装置を実現することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型の筐体2の胴部をなす筒状胴部2aの外径寸法と、この筐体2のドーム部をなす光学ドーム2b,2cの最大外径寸法(すなわち筒状胴部2aとの接続界面における外径寸法)とを同等にしていたが、この実施の形態2では、かかる光学ドーム2b,2cの最大外径寸法に比して大きい外径寸法を有する筒状胴部をカプセル型の筐体の胴部として備えている。
図7は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図7に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡21は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体2に代えて筐体22を有する。この筐体22は、上述した実施の形態1における筐体2の筒状胴部2aに代えて筒状胴部22aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体22は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡21の外装ケースとして機能する。かかる筐体22は、筒状構造を有する筒状胴部22aと上述した光学ドーム2b,2cとによって形成され、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10を液密に内包する。
筒状胴部22aは、両端部が開口した筒状構造(例えば円筒構造)の外装部材であり、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10等のカプセル型内視鏡21の各構成部を内部に収容する。また、筒状胴部22aは、光学ドーム2b,2cの最大外径寸法R2に比して大きい外径寸法R1を有する。かかる筒状胴部22aの外径寸法R1は、この実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡21の筐体22の最大外径寸法である。なお、かかる筒状胴部22aの両端部(両側の開口端部)には、上述した実施の形態1の場合と略同様に光学ドーム2b,2cが各々取り付けられる。
つぎに、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡21の重心および比重の設定について説明する。図8は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡21の重心位置および比重を説明するための模式図である。この実施の形態2では、被検体の臓器内部に導入される液体の液面にカプセル型内視鏡21が浮遊する(すなわち上述した照明部3,4および撮像部5,6等のカプセル型内視鏡21の各構成部を内包した筐体22が臓器内部の液面に浮遊する)ように、カプセル型内視鏡21の比重をこの液体に比して小さく設定し、かかる液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡21の筐体22が特定の浮遊姿勢を維持するように、カプセル型内視鏡21の重心を設定する。
具体的には、図8に示すように、カプセル型内視鏡21の重心Gは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様に、カプセル型の筐体22の中心軸CL上であって筐体22の中心Cから一端部側(例えば光学ドーム2c側)に外れた位置に設定される。このような位置に重心Gを有するカプセル型内視鏡21は、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sに浮遊した状態において、筐体22を液面Sに対して縦姿勢に維持させる。かかる縦姿勢のカプセル型内視鏡21は、上述した実施の形態1の場合と同様に、液面Sの上方に光学ドーム2b(すなわち撮像部5の撮像視野A1)を向けるとともに、液面Sの下方に光学ドーム2c(すなわち撮像部6の撮像視野A2)を向ける。
一方、カプセル型内視鏡21の比重は、臓器内部に導入される液体に比して小さい比重であって、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢(例えば上述した縦姿勢)をとるカプセル型内視鏡21の筐体22のうちの少なくとも筒状胴部22aをこの液体の液面Sの下方に沈める程度の比重に設定される。この場合、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡21の筐体22と液面Sとの境界部Bは、上述した図3に示したように、重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢をとる筐体22を液面Sに対して垂直に投影した投影面Kaの内部であって、この投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。具体的には、図8に示すように、かかる境界部Bは、液面Sの上方を向く光学ドーム2bの外周面に形成される。
ここで、光学ドーム2bの最大外径寸法R2は、上述したように、筒状胴部22aの外径寸法R1(すなわち筐体22の最大外径寸法)に比して小さい。したがって、図8に示すように、筒状胴部22aの外径寸法R1に比して小さい外径寸法をなす筐体22の外周範囲Hの範囲内、すなわち、縦姿勢において上側の光学ドーム2bの外周面内に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡21の比重を設定することによって、筐体22と液面Sとの境界部Bは、この液面Sに対する筐体22の投影面Kaの内部であって外周Kbを除く領域に位置する。
さらに望ましくは、かかる光学ドーム2b越しに体内画像を撮像する撮像部5の撮像視野A1の視野境界面と光学ドーム2bとの交差部Pに比して下側である光学ドーム2bの外周面に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡21の比重を設定する。この場合、筐体22と液面Sとの境界部Bは、光学ドーム2bの外周面内であって、筒状胴部22aおよび光学ドーム2bの接続界面と交差部Pとの間に形成される。かかる比重を有するカプセル型内視鏡21は、液面Sにおいて縦姿勢をとる際に、この液面Sの下方に筒状胴部22aを沈めるとともに液面Sの上方に交差部Pを浮上させる。この結果、撮像部5は、撮像視野A1の外側に液面Sを外すことができ、液面Sにおける光の反射に阻害されることなく、光学ドーム2b越しに撮像視野A1の体内画像を撮像することができる。
なお、カプセル型内視鏡21の重心Gは、筐体22の内部における無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各配置を調節することによって所望の位置に設定される。また、カプセル型内視鏡21の比重は、筐体22、照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各質量と筐体22の体積とを調節することによって所望の比重に設定される。
つぎに、被検体の胃内部の液面にカプセル型内視鏡21を浮遊させて胃内部の体内画像を集中的に撮像する場合を例示して、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡21の動作を説明する。図9は、実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡21が臓器内部の液面Sに浮遊した状態を例示する模式図である。なお、図9には、胃内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡21の側面図および上面図が示されている。
本発明の実施の形態2にかかるカプセル誘導システムは、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡21を磁力によって誘導しつつカプセル型内視鏡21によって撮像された体内画像群を取得するシステムであり、上述した実施の形態1にかかるカプセル誘導システム(図4参照)のカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡21を備える。その他の構成は上述した実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかるカプセル誘導システムにおいて、カプセル型内視鏡21の比重および重心Gは、筐体22の外周範囲H(図8参照)の範囲内(望ましくは交差部Pの下側)に液体12の液面Sを有するとともに、この液面Sに浮遊した状態において縦姿勢を維持するように設定される。かかるカプセル型内視鏡21は、被検体15の口から胃内部に導入され、この胃内部の液体12の液面Sに浮遊して特定の浮遊姿勢を維持する。
具体的には、図9に示すように、かかるカプセル型内視鏡21は、被検体15の胃内部に導入された液体12の液面Sに浮遊した状態で縦姿勢(重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢の一例)をとる。かかる縦姿勢をとるカプセル型内視鏡21において、筐体22のうちの筒状胴部22aおよび下側の光学ドーム2cは液体12の中に沈み、上側の光学ドーム2bは、上述した筐体22の外周範囲Hの範囲内に液面Sとの境界部Bを有する。さらに望ましくは、かかる光学ドーム2bは、上述した筐体22の外周範囲Hの範囲内であって交差部Pの下側に液面Sとの境界部Bを有する。この場合、かかる筐体22(具体的には光学ドーム2b)と液面Sとの境界部Bは、常に、この液面Sに対する筐体22の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。
このような境界部Bを有するカプセル型内視鏡21は、胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃壁Wと接触した場合、筐体22と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成する(図9に示す接触状態を参照)。このため、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡21が胃壁Wに接触する前後において、かかる境界部Bの大きさは略一定である。ここで、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡21の筐体22に対する液体12の表面張力は、上述したように、かかる境界部Bの大きさ(すなわち液面Sにおける筐体22と液体12との接触面積)を減少させる方向に作用する。かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡21は、胃壁Wに接触する前後において境界部Bの大きさを略一定に維持するため、筐体22と胃壁Wとを接触させる方向に作用する液体12の表面張力を軽減でき、外力の作用(例えば液体12の流れの作用または磁石13の外部磁界の作用)によって胃壁Wから容易に離間できる。
この結果、カプセル型内視鏡21は、液体12の表面張力の作用によって阻害されずに、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊する(姿勢変更および移動の少なくとも一つを行う)ことができる。さらには、上述した磁石13の外部磁界によって胃内部のカプセル型内視鏡21を所望の姿勢および位置に容易に誘導することができ、かかるカプセル型内視鏡21によって胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。
かかるカプセル型内視鏡21は、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊しつつ、液面Sの上方に撮像部5の撮像視野A1を向けて気体中の胃壁面の体内画像を順次撮像し、且つ、液面Sの下方に撮像部6の撮像視野A2を向けて液体12中の胃壁面の体内画像を順次撮像する。このようにして、かかるカプセル型内視鏡21は、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡21の作用効果は、胃内部に限らず、被検体15の所望の臓器内部(例えば大腸等)の液面Sにカプセル型内視鏡21を浮遊させることによって同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、カプセル型の筐体の筒状胴部の外径寸法をこの筐体のドーム部の最大外径寸法に比して大きくし、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定して、この筐体を臓器内部の液面に浮遊させるとともに、この筐体のうちの少なくとも筒状胴部を液面下に沈めるようにし、その他を上述した実施の形態1と同様に構成した。このため、このドーム部の外周面に臓器内部の液面を容易に位置させることができるとともに、臓器内部の液面に浮遊した状態の筐体が臓器壁面と接触した場合であっても、上述した実施の形態1と同様に、この筐体と臓器壁面との間隙を液面に常に形成することができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、臓器内部の液面に浮遊させる当該カプセル型医療装置の比重を容易に設定することができる。
また、かかる筐体のドーム部(例えば上述した光学ドーム2b)越しに体内画像を撮像する撮像部の撮像視野境界面とドーム部との交差部の下側に臓器内部の液面を位置させる程度に、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定できる。このため、このドーム部および筒状胴部の接続界面と交差部との間に臓器内部の液面と筐体との境界部を形成でき、この交差部を臓器内部の液面の上方に浮上させることができる。この結果、この撮像部の撮像視野の外側に液面を外すことができ、液面における光の反射に阻害されることなく、筐体のドーム部越しに体内画像を撮像することができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型の筐体2の胴部をなす筒状胴部2aの外径寸法を長手方向について略一定にしていたが、この実施の形態3では、筒状構造の一端部から他端部に向かって先細りするテーパ状の外形を有する筒状胴部をカプセル型の筐体の胴部として備えている。
図10は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図10に示すように、この実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡31は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体2に代えて筐体32を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体32は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡31の外装ケースとして機能する。かかる筐体32は、筒状構造を有する筒状胴部32aとドーム構造を有する光学ドーム32b,32cとによって形成され、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10を液密に内包する。
筒状胴部32aは、両端部が開口した筒状構造の外装部材であって、外径寸法R4をなす一端部から外径寸法R4に比して小さい外径寸法R3をなす他端部に向かって先細りするテーパ状の外形を有する。かかる筒状胴部32aは、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10等のカプセル型内視鏡31の各構成部を内部に収容する。この場合、撮像視野A2の体内画像を撮像するための複数の照明部4および撮像部6は、かかる筒状胴部32aの一端部側(外径寸法R4をなす端部側)に固定配置され、撮像視野A1の体内画像を撮像するための複数の照明部3および撮像部5は、かかる筒状胴部32aの他端部側(外径寸法R3をなす端部側)に固定配置される。
光学ドーム32b,32cは、所定の光波長帯域に対して透明なドーム状の光学部材であり、筒状胴部32aの両側の開口端部をそれぞれ塞ぐ。具体的には、光学ドーム32cは、開口端部において外径寸法R4をなす略半球構造を有し、上述した筒状胴部32aの一端部(外径寸法R4をなす側の端部)に取り付けられる。一方、光学ドーム32bは、開口端部において外径寸法R3(<外径寸法R4)をなす略半球構造を有し、上述した筒状胴部32aの他端部(外径寸法R3をなす側の端部)に取り付けられる。かかる光学ドーム32b,32cは、筒状構造の長手方向の両端部がドーム形状であるカプセル型の外形を有する筐体32のドーム部として機能する。
かかる筒状胴部32aと光学ドーム32b,32cとによって形成されるカプセル型の筐体32において、筒状胴部32aの一端部における外径寸法R4は、光学ドーム32cの最大外径寸法であって筐体32の最大外径寸法であり、筒状胴部32aの他端部における外径寸法R3は、光学ドーム32bの最大外径寸法であって上述した外径寸法R4に比して小さい。
つぎに、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡31の重心および比重の設定について説明する。図11は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡31の重心位置および比重を説明するための模式図である。この実施の形態3では、被検体の臓器内部に導入される液体の液面にカプセル型内視鏡31が浮遊する(すなわち上述した照明部3,4および撮像部5,6等のカプセル型内視鏡31の各構成部を内包した筐体32が臓器内部の液面に浮遊する)ように、カプセル型内視鏡31の比重をこの液体に比して小さく設定し、かかる液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡31の筐体32が特定の浮遊姿勢を維持するように、カプセル型内視鏡31の重心を設定する。
具体的には、図11に示すように、カプセル型内視鏡31の重心Gは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様に、カプセル型の筐体32の中心軸CL上であって筐体32の中心Cから一端部側(例えば光学ドーム32c側)に外れた位置に設定される。このような位置に重心Gを有するカプセル型内視鏡31は、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sに浮遊した状態において、筐体32を液面Sに対して縦姿勢に維持させる。かかる縦姿勢のカプセル型内視鏡31は、液面Sの上方に光学ドーム32b(すなわち撮像部5の撮像視野A1)を向けるとともに、液面Sの下方に光学ドーム32c(すなわち撮像部6の撮像視野A2)を向ける。
一方、カプセル型内視鏡31の比重は、臓器内部に導入される液体に比して小さい比重であって、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢(例えば上述した縦姿勢)をとるカプセル型内視鏡31のうちの外径寸法R4(すなわち筐体32の最大外径寸法)に比して小さい外径寸法をなす筐体32の外周部をこの液体の液面Sに浮揚させる程度の比重に設定される。この場合、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡31の筐体32と液面Sとの境界部Bは、上述した図3に示したように、重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢をとる筐体32を液面Sに対して垂直に投影した投影面Kaの内部であって、この投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。具体的には、図11に示すように、かかる境界部Bは、液面Sの上方を向く光学ドーム32bの外周面または筒状胴部32aの外周面であって上述した外径寸法R4をなす外周面(すなわち筒状胴部32aと光学ドーム32cとの接続界面近傍の外周面)を除く領域に形成される。
ここで、筒状胴部32aの外径寸法は、光学ドーム2cとの接続界面において最大値(外径寸法R4)となり、この光学ドーム2cとの接続界面から光学ドーム2bとの接続界面に向けて順次減少し、この光学ドーム2bとの接続界面において最小値(外径寸法R3)となる。また、かかる筒状胴部32aの外径寸法R3は、上述したように、光学ドーム32bの最大外径寸法と略同値である。したがって、図11に示すように、筒状胴部32aの外径寸法R4に比して小さい外径寸法をなす筐体32の外周範囲Hの範囲内に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡31の比重を設定することによって、筐体32と液面Sとの境界部Bは、この液面Sに対する筐体32の投影面Kaの内部であって外周Kbを除く領域に位置する。
さらに望ましくは、液面Sの上方を向く光学ドーム32b越しに体内画像を撮像する撮像部5の撮像視野A1の視野境界面と光学ドーム32bとの交差部Pに比して下側の外周面に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡31の比重を設定する。この場合、筐体32と液面Sとの境界部Bは、筒状胴部32aまたは光学ドーム32bの外周面内であって、筒状胴部32aおよび光学ドーム32cの接続界面と交差部Pとの間に形成される。かかる比重を有するカプセル型内視鏡31は、液面Sにおいて縦姿勢をとる際に、この液面Sの上方に交差部Pを浮上させる。この結果、撮像部5は、撮像視野A1の外側に液面Sを外すことができ、液面Sにおける光の反射に阻害されることなく、光学ドーム32b越しに撮像視野A1の体内画像を撮像することができる。
なお、カプセル型内視鏡31の重心Gは、筐体32の内部における無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各配置を調節することによって所望の位置に設定される。また、カプセル型内視鏡31の比重は、筐体32、照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各質量と筐体32の体積とを調節することによって所望の比重に設定される。
つぎに、被検体の胃内部の液面にカプセル型内視鏡31を浮遊させて胃内部の体内画像を集中的に撮像する場合を例示して、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡31の動作を説明する。図12は、実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡31が臓器内部の液面Sに浮遊した状態を例示する模式図である。なお、図12には、胃内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡31の側面図および上面図が示されている。
本発明の実施の形態3にかかるカプセル誘導システムは、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡31を磁力によって誘導しつつカプセル型内視鏡31によって撮像された体内画像群を取得するシステムであり、上述した実施の形態1にかかるカプセル誘導システム(図4参照)のカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡31を備える。その他の構成は上述した実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかるカプセル誘導システムにおいて、カプセル型内視鏡31の比重および重心Gは、筐体32の外周範囲H(図11参照)の範囲内(望ましくは交差部Pの下側)に液体12の液面Sを有するとともに、この液面Sに浮遊した状態において縦姿勢を維持するように設定される。かかるカプセル型内視鏡31は、被検体15の口から胃内部に導入され、この胃内部の液体12の液面Sに浮遊して特定の浮遊姿勢を維持する。
具体的には、図12に示すように、かかるカプセル型内視鏡31は、被検体15の胃内部に導入された液体12の液面Sに浮遊した状態で縦姿勢(重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢の一例)をとる。かかる縦姿勢をとるカプセル型内視鏡31は、筒状胴部32aと下側の光学ドーム32cとの接続界面近傍の外周面(すなわち外径寸法R4をなす外周面)を除く筒状胴部32aの外周面、例えば、筒状胴部32aと上側の光学ドーム32bとの接続界面近傍の外周面を液面Sに浮揚させる。この場合、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡31の筐体32は、上述した筐体32の外周範囲Hの範囲内であって交差部Pの下側に液面Sとの境界部Bを有する。かかる筐体32と液面Sとの境界部Bは、常に、この液面Sに対する筐体32の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。
このような境界部Bを有するカプセル型内視鏡31は、胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃壁Wと接触した場合、筐体32と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成する(図12に示す接触状態を参照)。このため、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡31が胃壁Wに接触する前後において、かかる境界部Bの大きさは略一定である。ここで、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡31の筐体32に対する液体12の表面張力は、上述したように、かかる境界部Bの大きさ(すなわち液面Sにおける筐体32と液体12との接触面積)を減少させる方向に作用する。かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡31は、胃壁Wに接触する前後において境界部Bの大きさを略一定に維持するため、筐体32と胃壁Wとを接触させる方向に作用する液体12の表面張力を軽減でき、外力の作用(例えば液体12の流れの作用または磁石13の外部磁界の作用)によって胃壁Wから容易に離間できる。
この結果、カプセル型内視鏡31は、液体12の表面張力の作用によって阻害されずに、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊する(姿勢変更および移動の少なくとも一つを行う)ことができる。さらには、上述した磁石13の外部磁界によって胃内部のカプセル型内視鏡31を所望の姿勢および位置に容易に誘導することができ、かかるカプセル型内視鏡31によって胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。
かかるカプセル型内視鏡31は、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊しつつ、液面Sの上方に撮像部5の撮像視野A1を向けて気体中の胃壁面の体内画像を順次撮像し、且つ、液面Sの下方に撮像部6の撮像視野A2を向けて液体12中の胃壁面の体内画像を順次撮像する。このようにして、かかるカプセル型内視鏡31は、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡31の作用効果は、胃内部に限らず、被検体15の所望の臓器内部(例えば大腸等)の液面Sにカプセル型内視鏡31を浮遊させることによって同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、一端部から他端部に向けて先細りするテーパ状の外形を有する筒状胴部をカプセル型の筐体の胴部にして、このテーパ状の筒状胴部の一端部において筐体の最大外径寸法をなすようにし、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定して、この筐体の最大外径寸法をなす筒状胴部の一端部を除く筐体の外周面内に臓器内部の液面との境界部を有するようにし、その他を上述した実施の形態1と同様に構成した。このため、この筐体の最大外径寸法に比して小さい外径寸法をなす筐体の外周面内に臓器内部の液面を容易に位置させることができるとともに、臓器内部の液面に浮遊した状態の筐体が臓器壁面と接触した場合であっても、上述した実施の形態1と同様に、この筐体と臓器壁面との間隙を液面に常に形成することができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、臓器内部の液面に浮遊させる当該カプセル型医療装置の比重を容易に設定することができる。
また、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定することによって、かかる筐体のドーム部(例えば上述した光学ドーム2b)越しに体内画像を撮像する撮像部の撮像視野境界面とドーム部との交差部の下側に臓器内部の液面を容易に位置させることができる。このため、このドーム部および筒状胴部の接続界面と交差部との間に臓器内部の液面と筐体との境界部を容易に形成でき、この交差部を臓器内部の液面の上方に確実に浮上させることができる。この結果、この撮像部の撮像視野の外側に液面を確実に外すことができ、液面における光の反射に阻害されることなく、筐体のドーム部越しに体内画像を撮像することができる。
さらに、カプセル型の筐体の筒状胴部の外形をテーパ状にしたので、筒状胴部の長手方向について略一定の外径寸法をなす筒状胴部に比して筒状胴部を成形し易くなり、この結果、カプセル型の筐体を簡易に成形することができ、カプセル型医療装置の製造性が向上する。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型の筐体2の胴部をなす筒状胴部2aの外径寸法を長手方向について略一定にしていたが、この実施の形態4では、カプセル型の筐体の筒状胴部の外周面に、周状に連続する凹部を形成し、この凹部内に筐体と液面との境界部を形成している。
図13は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図13に示すように、この実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡41は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体2に代えて筐体42を有する。この筐体42は、上述した実施の形態1における筐体2の筒状胴部2aに代えて筒状胴部42aを有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体42は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡41の外装ケースとして機能する。かかる筐体42は、筒状構造を有する筒状胴部42aと上述した光学ドーム2b,2cとによって形成され、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10を液密に内包する。
筒状胴部42aは、両端部が開口した筒状構造(例えば略円筒構造)の外装部材であり、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10等のカプセル型内視鏡41の各構成部を内部に収容する。また、筒状胴部42aは、その外周面の一部領域、例えば、光学ドーム2b側の端部の近傍に、周状に連続する凹部43を有する。凹部43は、かかる筒状胴部42aの最大外径寸法(すなわち筐体42の最大外径寸法)に比して小さい外径寸法をなす。かかる凹部43は、カプセル型内視鏡41が浮遊する液体の液面に対して略平行になるように、筒状胴部42aの外周回りに円状または楕円状に形成される。なお、かかる筒状胴部42aの両端部(両側の開口端部)には、上述した実施の形態1の場合と略同様に光学ドーム2b,2cが各々取り付けられる。
つぎに、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡41の重心および比重の設定について説明する。図14は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡41の重心位置および比重を説明するための模式図である。図15は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡4を液面に浮遊させた場合の筐体42と液面との境界部を例示する模式図である。なお、図15には、臓器内部の液面に浮遊したカプセル型内視鏡41の筐体42を鉛直上方側から見た(図14に示す方向Dから見た)状態が図示されている。
この実施の形態4では、被検体の臓器内部に導入される液体の液面にカプセル型内視鏡41が浮遊する(すなわち上述した照明部3,4および撮像部5,6等のカプセル型内視鏡41の各構成部を内包した筐体42が臓器内部の液面に浮遊する)ように、カプセル型内視鏡41の比重をこの液体に比して小さく設定し、かかる液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡41の筐体42が特定の浮遊姿勢を維持するように、カプセル型内視鏡41の重心を設定する。
具体的には、図14に示すように、カプセル型内視鏡41の重心Gは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様に、カプセル型の筐体42の中心軸CL上であって筐体42の中心Cから一端部側(例えば光学ドーム2c側)に外れた位置に設定される。かかる重心Gは、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sと上述した筒状胴部42aの凹部43とが略平行になるカプセル型内視鏡41の浮遊姿勢を規定するものである。かかる重心Gを有するカプセル型内視鏡41は、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sに浮遊した状態において、筐体42を液面Sに対して縦姿勢に維持させるとともに、この液面Sに対して筒状胴部42aの凹部43を略平行にする。かかる縦姿勢のカプセル型内視鏡41は、上述した実施の形態1の場合と同様に、液面Sの上方に光学ドーム2b(すなわち撮像部5の撮像視野A1)を向けるとともに、液面Sの下方に光学ドーム2c(すなわち撮像部6の撮像視野A2)を向ける。
一方、カプセル型内視鏡41の比重は、臓器内部に導入される液体に比して小さい比重であって、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢(例えば上述した縦姿勢)をとるカプセル型内視鏡41の筐体42の凹部43をこの液体の液面Sに浮揚させる程度の比重に設定される。この場合、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡41の筐体42と液面Sとの境界部Bは、図15に示すように、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢をとる筐体42を液面Sに対して垂直に投影した投影面Kaの内部であって、この投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。具体的には、図14に示すように、かかる境界部Bは、筒状胴部42aの外周面の一部において周状に連続する凹部43の内部に形成される。
ここで、筒状胴部42aの凹部43は、この液面Sに対して略平行であり、筐体42の最大外径寸法に比して小さい外径寸法をなす。したがって、図14に示すように、筐体42の最大外径寸法に比して小さい外径寸法をなす筐体42の外周範囲Hの範囲内、すなわち、筒状胴部42aの凹部43の内部に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡41の比重を設定することによって、筐体42と液面Sとの境界部Bは、この液面Sに対する筐体42の投影面Kaの内部であって外周Kbを除く領域に位置する。
なお、カプセル型内視鏡41の重心Gは、筐体42の内部における無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各配置を調節することによって所望の位置に設定される。また、カプセル型内視鏡41の比重は、筐体42、照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各質量と筐体42の体積とを調節することによって所望の比重に設定される。
つぎに、被検体の胃内部の液面にカプセル型内視鏡41を浮遊させて胃内部の体内画像を集中的に撮像する場合を例示して、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡41の動作を説明する。図16は、実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡41が臓器内部の液面Sに浮遊した状態を例示する模式図である。なお、図16には、胃内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡41の側面図および上面図が示されている。
本発明の実施の形態4にかかるカプセル誘導システムは、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡41を磁力によって誘導しつつカプセル型内視鏡41によって撮像された体内画像群を取得するシステムであり、上述した実施の形態1にかかるカプセル誘導システム(図4参照)のカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡41を備える。その他の構成は上述した実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかるカプセル誘導システムにおいて、カプセル型内視鏡41の比重および重心Gは、筐体42の外周範囲H(図14参照)の範囲内である凹部43の内部に液体12の液面Sを有するとともに、この液面Sに浮遊した状態において縦姿勢を維持するように設定される。かかるカプセル型内視鏡41は、被検体15の口から胃内部に導入され、この胃内部の液体12の液面Sに浮遊して特定の浮遊姿勢を維持する。
具体的には、図16に示すように、かかるカプセル型内視鏡41は、被検体15の胃内部に導入された液体12の液面Sに浮遊した状態で縦姿勢(重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢の一例)をとる。かかる縦姿勢をとるカプセル型内視鏡41は、筒状胴部42aの凹部43の内部に筐体42と液面Sとの境界部Bを有する。この場合、かかる筐体42と液面Sとの境界部Bは、常に、この液面Sに対する筐体42の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。
このような境界部Bを有するカプセル型内視鏡41は、胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃壁Wと接触した場合、筐体42と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成する(図16に示す接触状態を参照)。このため、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡41が胃壁Wに接触する前後において、かかる境界部Bの大きさは略一定である。ここで、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡41の筐体42に対する液体12の表面張力は、上述したように、かかる境界部Bの大きさ(すなわち液面Sにおける筐体42と液体12との接触面積)を減少させる方向に作用する。かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡41は、胃壁Wに接触する前後において境界部Bの大きさを略一定に維持するため、筐体42と胃壁Wとを接触させる方向に作用する液体12の表面張力を軽減でき、外力の作用(例えば液体12の流れの作用または磁石13の外部磁界の作用)によって胃壁Wから容易に離間できる。
この結果、カプセル型内視鏡41は、液体12の表面張力の作用によって阻害されずに、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊する(姿勢変更および移動の少なくとも一つを行う)ことができる。さらには、上述した磁石13の外部磁界によって胃内部のカプセル型内視鏡41を所望の姿勢および位置に容易に誘導することができ、かかるカプセル型内視鏡41によって胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。
かかるカプセル型内視鏡41は、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊しつつ、液面Sの上方に撮像部5の撮像視野A1を向けて気体中の胃壁面の体内画像を順次撮像し、且つ、液面Sの下方に撮像部6の撮像視野A2を向けて液体12中の胃壁面の体内画像を順次撮像する。このようにして、かかるカプセル型内視鏡41は、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。また、かかるカプセル型内視鏡41は、上述したように凹部43の内部に液面Sとの境界部Bを有するので、この液面Sの上方を向く光学ドーム2bを液面Sから確実に浮上させることができる。この結果、撮像部5は、撮像視野A1の外側に液面Sを外すことができ、液面Sにおける光の反射に阻害されることなく、光学ドーム2b越しに撮像視野A1の体内画像を撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡41の作用効果は、胃内部に限らず、被検体15の所望の臓器内部(例えば大腸等)の液面Sにカプセル型内視鏡41を浮遊させることによって同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、カプセル型の筐体の胴部をなす筒状胴部の外周面に、周状に連続する凹部を形成し、この筐体の中心から外れた位置に当該カプセル型医療装置の重心を設定して、この筐体をこの凹部と臓器内部の液面とが略平行になる特定の浮遊姿勢に維持させるようにし、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定して、この筐体を臓器内部の液面に浮遊させるとともに、この液面と筐体との境界部をこの凹部内に形成するようにし、その他を上述した実施の形態1と同様に構成した。このため、この筒状胴部の端部に取り付けられた光学ドームを臓器内部の液面の上方に確実に浮上させることができるとともに、臓器内部の液面に浮遊した状態の筐体が臓器壁面と接触した場合であっても、上述した実施の形態1と同様に、この筐体と臓器壁面との間隙を液面に常に形成することができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、この光学ドーム越しに体内画像を撮像する撮像部の撮像視野外に液面を確実に外すことができ、液面における光の反射に阻害されることなく体内画像を撮像することができる。
また、上述した凹部を筒状胴部の外周面に形成するので、カプセル型の筐体の小型化を促進することができる。この結果、被検体の臓器内部にカプセル型医療装置が滞留する可能性を低減することができる。
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型の筐体2の胴部をなす筒状胴部2aの外径寸法を長手方向について略一定にしていたが、この実施の形態5では、カプセル型の筐体の筒状胴部の外周面に、周状に連続する凸部を形成し、この凸部を除く筐体の外周面に液面との境界面を形成している。
図17は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す断面模式図である。図17に示すように、この実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡51は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1の筐体2に代えて筐体52を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
筐体52は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡51の外装ケースとして機能する。かかる筐体52は、筒状構造を有する筒状胴部52aと上述した光学ドーム2b,2cとによって形成され、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10を液密に内包する。
筒状胴部52aは、両端部が開口した筒状構造(例えば略円筒構造)の外装部材であり、複数の照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10等のカプセル型内視鏡51の各構成部を内部に収容する。また、筒状胴部52aは、その外周面の一部領域、例えば、光学ドーム2b側の端部の近傍に、周状に連続する凸部53を有する。凸部53は、かかる筒状胴部52aの外周面において部分的に、筐体52の最大外径寸法R5をなす。すなわち、かかる凸部53を有する筒状胴部52aは、凸部53において筐体52の最大外径寸法R5を有し、この凸部53以外の外周面において外径寸法R6を有する。この筒状胴部52aの外径寸法R6は、光学ドーム2b,2cの最大外径寸法(すなわち筒状胴部52aとの接続界面における光学ドーム2b,2cの外径寸法)と略同等であり、この最大外径寸法R5に比して小さい。かかる筒状胴部52aの両端部(両側の開口端部)には、上述した実施の形態1の場合と略同様に光学ドーム2b,2cが各々取り付けられる。なお、かかる凸部53は、カプセル型内視鏡51が浮遊する液体の液面に対して略平行になるように、筒状胴部52aの外周回りに円状または楕円状に形成されることが望ましい。
つぎに、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡51の重心および比重の設定について説明する。図18は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡51の重心位置および比重を説明するための模式図である。この実施の形態5では、被検体の臓器内部に導入される液体の液面にカプセル型内視鏡51が浮遊する(すなわち上述した照明部3,4および撮像部5,6等のカプセル型内視鏡51の各構成部を内包した筐体52が臓器内部の液面に浮遊する)ように、カプセル型内視鏡51の比重をこの液体に比して小さく設定し、かかる液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡51の筐体52が特定の浮遊姿勢を維持するように、カプセル型内視鏡51の重心を設定する。
具体的には、図18に示すように、カプセル型内視鏡51の重心Gは、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡1と同様に、カプセル型の筐体52の中心軸CL上であって筐体52の中心Cから一端部側(例えば光学ドーム2c側)に外れた位置に設定される。この場合、かかる重心Gは、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sと上述した筒状胴部52aの凸部53とが略平行になるカプセル型内視鏡51の浮遊姿勢を規定するものであることが望ましい。かかる重心Gを有するカプセル型内視鏡51は、検査対象の臓器内部に導入された液体の液面Sに浮遊した状態において、筐体52を液面Sに対して縦姿勢に維持させる。かかる縦姿勢のカプセル型内視鏡51は、上述した実施の形態1の場合と同様に、液面Sの上方に光学ドーム2b(すなわち撮像部5の撮像視野A1)を向けるとともに、液面Sの下方に光学ドーム2c(すなわち撮像部6の撮像視野A2)を向ける。
一方、カプセル型内視鏡51の比重は、臓器内部に導入される液体に比して小さい比重であって、上述した重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢(例えば上述した縦姿勢)をとるカプセル型内視鏡51のうちの最大外径寸法R5に比して小さい外径寸法をなす筐体52の外周部をこの液体の液面Sに浮揚させる程度の比重に設定される。この場合、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡51の筐体52と液面Sとの境界部Bは、上述した図3に示したように、重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢をとる筐体52を液面Sに対して垂直に投影した投影面Kaの内部であって、この投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。具体的には、図18に示すように、かかる境界部Bは、筐体52の外周面のうちの凸部53を除く領域内、例えば、液面Sの上方を向く光学ドーム2bの外周面に形成される。
ここで、筒状胴部52aの凸部53は、筐体52の最大外径寸法R5をなすものであり、液面Sに対する筐体52の投影面Kaの外周Kbを形成する。したがって、かかる凸部53を除く筐体52の外周面内、例えば図18に示すように、最大外径寸法R5に比して小さい外径寸法をなす筐体52の外周範囲Hの範囲内である光学ドーム2bの外周面に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡51の比重を設定することによって、筐体52と液面Sとの境界部Bは、この液面Sに対する筐体52の投影面Kaの内部であって外周Kbを除く領域に位置する。
さらに望ましくは、液面Sの上方を向く光学ドーム2bと撮像視野A1の視野境界面との交差部Pに比して下側の外周面に液面Sが位置する浮遊状態となるようにカプセル型内視鏡51の比重を設定する。この場合、筐体52と液面Sとの境界部Bは、光学ドーム2bの外周面内であって、筒状胴部52aおよび光学ドーム2bの接続界面と交差部Pとの間に形成される。かかる比重を有するカプセル型内視鏡51は、液面Sにおいて縦姿勢をとる際に、この液面Sの上方に交差部Pを浮上させる。この結果、撮像部5は、撮像視野A1の外側に液面Sを外すことができ、液面Sにおける光の反射に阻害されることなく、光学ドーム2b越しに撮像視野A1の体内画像を撮像することができる。
なお、カプセル型内視鏡51の重心Gは、筐体52の内部における無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各配置を調節することによって所望の位置に設定される。また、カプセル型内視鏡51の比重は、筐体52、照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、電源部9、および磁石10の各質量と筐体52の体積とを調節することによって所望の比重に設定される。
つぎに、被検体の胃内部の液面にカプセル型内視鏡51を浮遊させて胃内部の体内画像を集中的に撮像する場合を例示して、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡51の動作を説明する。図19は、実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡51が臓器内部の液面Sに浮遊した状態を例示する模式図である。なお、図19には、胃内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡51の側面図および上面図が示されている。
本発明の実施の形態5にかかるカプセル誘導システムは、臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡51を磁力によって誘導しつつカプセル型内視鏡51によって撮像された体内画像群を取得するシステムであり、上述した実施の形態1にかかるカプセル誘導システム(図4参照)のカプセル型内視鏡1に代えてカプセル型内視鏡51を備える。その他の構成は上述した実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかるカプセル誘導システムにおいて、カプセル型内視鏡51の比重および重心Gは、筐体52の外周面のうちの凸部53を除く領域内(望ましくは交差部Pの下側)に液体12の液面Sを有するとともに、この液面Sに浮遊した状態において縦姿勢を維持するように設定される。かかるカプセル型内視鏡51は、被検体15の口から胃内部に導入され、この胃内部の液体12の液面Sに浮遊して特定の浮遊姿勢を維持する。
具体的には、図19に示すように、かかるカプセル型内視鏡51は、被検体15の胃内部に導入された液体12の液面Sに浮遊した状態で縦姿勢(重心Gによって規定される特定の浮遊姿勢の一例)をとる。かかる縦姿勢をとるカプセル型内視鏡51は、凸部53を除く筐体52の外周面、例えば、液面Sの上方を向く光学ドーム2bの外周面であって交差部Pの下側を液面Sに浮揚させる。この場合、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡51の筐体52は、この光学ドーム2bの外周面であって交差部Pの下側に液面Sとの境界部Bを有する。かかる筐体52と液面Sとの境界部Bは、常に、この液面Sに対する筐体52の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く位置に形成される。
このような境界部Bを有するカプセル型内視鏡51は、胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃壁Wと接触した場合、筐体52と胃壁Wとの間隙Lを液面Sに常に形成する(図19に示す接触状態を参照)。このため、かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡51が胃壁Wに接触する前後において、かかる境界部Bの大きさは略一定である。ここで、液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡51の筐体52に対する液体12の表面張力は、上述したように、かかる境界部Bの大きさ(すなわち液面Sにおける筐体52と液体12との接触面積)を減少させる方向に作用する。かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡51は、胃壁Wに接触する前後において境界部Bの大きさを略一定に維持するため、筐体52と胃壁Wとを接触させる方向に作用する液体12の表面張力を軽減でき、外力の作用(例えば液体12の流れの作用または磁石13の外部磁界の作用)によって胃壁Wから容易に離間できる。
この結果、カプセル型内視鏡51は、液体12の表面張力の作用によって阻害されずに、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊する(姿勢変更および移動の少なくとも一つを行う)ことができる。さらには、上述した磁石13の外部磁界によって胃内部のカプセル型内視鏡51を所望の姿勢および位置に容易に誘導することができ、かかるカプセル型内視鏡51によって胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。
かかるカプセル型内視鏡51は、胃内部の液面Sにおいて自由に浮遊しつつ、液面Sの上方に撮像部5の撮像視野A1を向けて気体中の胃壁面の体内画像を順次撮像し、且つ、液面Sの下方に撮像部6の撮像視野A2を向けて液体12中の胃壁面の体内画像を順次撮像する。このようにして、かかるカプセル型内視鏡51は、胃内部の体内画像を広範囲に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡51の作用効果は、胃内部に限らず、被検体15の所望の臓器内部(例えば大腸等)の液面Sにカプセル型内視鏡51を浮遊させることによって同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態5では、カプセル型の筐体の胴部をなす筒状胴部の外周面の一部分に、この筐体の最大外径寸法をなす凸部を周状に連続する態様で形成し、この筐体の中心から外れた位置に当該カプセル型医療装置の重心を設定して、臓器内部の液面に対する筐体の投影面の外周をこの凸部によって形成する特定の浮遊姿勢をこの筐体に維持させるようにし、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定して、筐体の外周面であってこの凸部を除く領域内に臓器内部の液面との境界部を有するようにし、その他を上述した実施の形態1と同様に構成した。このため、臓器内部の液面に浮遊した状態の筐体が臓器壁面と接触した場合であっても、この筐体の凸部によって、この筐体と臓器壁面との間隙を液面に常に形成することができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、臓器内部の液面に浮遊させる当該カプセル型医療装置の比重を容易に設定することができる。
また、液面に対する筐体の投影面の外周を形成する筐体の凸部の大きさを必要最小限に止めることができるため、液面に臓器壁面との間隙を常に形成可能な外形を有する筐体の過度な大型化を防止でき、この結果、被検体の臓器内部にカプセル型医療装置が滞留する可能性を低減することができる。
さらに、かかる凸部を筐体の外周面に形成しているため、撮像部等の当該カプセル型医療装置の各構成部を内蔵するために必要な筐体の内部容積を容易に確保でき、当該カプセル型内視鏡の各構成部を筐体内部に容易に配置することができる。この結果、当該カプセル型内視鏡の重心を容易に設定することができる。
また、当該カプセル型医療装置の比重を臓器内部の液体に比して小さく設定することによって、かかる筐体のドーム部(例えば上述した光学ドーム2b)越しに体内画像を撮像する撮像部の撮像視野境界面とドーム部との交差部の下側に臓器内部の液面を容易に位置させることができる。このため、この筐体と液面との境界部をこの交差部の下側に容易に形成でき、この交差部を臓器内部の液面の上方に浮上させることができる。この結果、この撮像部の撮像視野の外側に液面を外すことができ、液面における光の反射に阻害されることなく、筐体のドーム部越しに体内画像を撮像することができる。
なお、本発明の実施の形態1〜5では、臓器内部の液面に浮遊した状態においてカプセル型内視鏡を縦姿勢に維持していたが、これに限らず、筐体内部の中心から外れた所望の位置に当該カプセル型内視鏡の重心を設定することによって、臓器内部の液面に浮遊した状態で縦姿勢以外の所望の浮遊姿勢をカプセル型内視鏡に維持させてもよい。具体的には、図20に示すように、臓器内部の液面Sと筐体2の長手方向の中心軸とが略平行となる横姿勢を浮遊状態のカプセル型内視鏡に維持させてもよいし、図21に示すように、筐体2の長手方向の中心軸が臓器内部の液面Sに対して所定の角度をなして傾斜する斜め姿勢を浮遊状態のカプセル型内視鏡に維持させてもよい。いずれの浮遊姿勢をカプセル型内視鏡に維持させる場合であっても、この液面Sに対する筐体の投影面Kaの内部であって投影面Kaの外周Kbを除く領域に筐体と液面Sとの境界部Bが形成されるように、当該カプセル型内視鏡の比重および重心を設定すればよい。この結果、いずれの浮遊姿勢をとるカプセル型内視鏡が臓器壁面(例えば胃壁W等)に接触した場合であっても、この臓器壁面と筐体との間隙Lを液面Sに常に形成することができる。
また、本発明の実施の形態1〜5では、筐体内部に磁石10を配置して、カプセル誘導システムの外部磁界(例えば磁石13による外部磁界)によって臓器内部のカプセル型内視鏡を誘導可能にしていたが、これに限らず、外部磁界を用いずに被検体の体位を変化させることによって、この被検体の臓器内部のカプセル型内視鏡を動作させてもよい。この場合、カプセル型内視鏡の筐体内部に、上述した磁石10に代えて錘部材を設け、この錘部材等の配置によってカプセル型内視鏡の重心を設定してもよいし、カプセル型内視鏡の筐体内部に磁石10または錘部材を配置しなくてもよい。筐体内部に磁石10または錘部材を配置しない場合、上述した照明部3,4、撮像部5,6、無線通信部7、制御部8、および電源部9等の他の構成部の配置によってカプセル型内視鏡の重心を設定すればよい。
さらに、本発明の実施の形態1〜5では、撮像部5,6の各光軸と筐体の中心軸CLとが略平行であるカプセル型内視鏡を例示したが、これに限らず、撮像部5,6の各光軸は、筐体の中心軸CLに対して垂直または所定の角度をなして斜めに傾斜してもよい。すなわち、筐体の径方向に撮像視野を有する側視型のカプセル型内視鏡であってもよいし、筐体の中心軸CLに対して傾斜する方向に撮像視野を有する斜視型のカプセル型内視鏡であってもよい。
また、本発明の実施の形態3では、筐体32の最大外径寸法(上述した外径寸法R4)をなす筒状胴部32aの外周面(すなわち筒状胴部32aおよび光学ドーム32cの接続界面近傍)と光学ドーム32cとを臓器内部の液面Sの下方に沈めていたが、これに限らず、筐体32の外周面のうちの外径寸法R4に比して小さい外径寸法をなす領域内に液面Sとの境界部Bを有していれば、この光学ドーム32cを液面Sに浮揚させてもよいし、この筒状胴部32aと光学ドーム32cとの接続界面近傍を液面Sの上方に浮上させてもよい。
さらに、本発明の実施の形態5では、筐体52の最大外径寸法(上述した外径寸法R5)をなす筒状胴部52aの凸部53を臓器内部の液面Sの下方に沈めていたが、これに限らず、筐体52の外周面のうちの凸部53を除く領域内に液面Sとの境界部Bを有していれば、この凸部53を液面Sの上方に浮上させてもよい。
また、本発明の実施の形態1〜5では、体内画像を撮像する撮像部(上述した撮像部5,6)と体内画像を無線送信する無線ユニット(上述した無線通信部7)とをカプセル型の筐体内部に備えたカプセル型内視鏡を例示したが、これに限らず、本発明にかかるカプセル型医療装置は、体内画像を撮像する撮像部と体内画像を被検体外部の受信装置に無線送信する無線通信部とをカプセル型の筐体内部に有するカプセル型の医療装置であればよい。また、かかるカプセル型医療装置の撮像機能は、光学的に画像を撮像するものに限らず、超音波断層像、X線画像、または放射線画像を撮像するものであっても当然よい。
(胃内部観察方法)
つぎに、上述した図4に示したように、被検体15の胃内部の液面に浮遊させたカプセル型内視鏡1によって胃内部の体内画像群を撮像する場合を例示して、カプセル型内視鏡1によって胃内部の体内画像群を撮像して被検体15の胃内部を観察する胃内部観察方法について説明する。図22は、カプセル型内視鏡1を用いて被検体15の胃内部を観察する胃内部観察方法の一例を示すフローチャートである。なお、図22は、自宅等から通院する被検体15の胃内部観察方法を示している。
図22に示すように、被検体15は、軽食を摂取し(ステップS101)、このステップS101の処理から所定時間以上経過した後、胃の内部に存在する胃内容物を十二指腸側へ排出する(ステップS102)。このステップS102の処理は、カプセル型医療装置によって体内画像群を撮像される被検体15の胃内部を洗浄する洗浄ステップであり、被検体15の胃内部にカプセル型医療装置(具体的にはカプセル型内視鏡1)を導入する前に処置される胃前処置の一例である。なお、かかる被検体15の胃内容物は、被検体15が摂取した食物等の摂取物と、胃壁に付着した付着物および胃分泌物とを含む。
被検体15は、このステップS102の処理によって胃内部を洗浄した後、上述した液体12(すなわちカプセル型内視鏡1に比して大きい比重を有する水等の液体)を摂取して、胃内部を伸展させる(ステップS103)。このステップS103において、被検体15は、例えば図4に示した供給器11を用いて所定量(例えば500ml)の液体12を摂取して、胃内部に液体12を貯留する。かかる液体12は、被検体15の胃壁のヒダを伸展させる。この場合、被検体15は、所望の体位でもよいが、左側臥位であることが望ましい。なお、このステップS103において被検体15が摂取する液体12の摂取量は、過去に被検体15に対して行われた胃内検査(カプセル型内視鏡検査、内視鏡検査、X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査等)の結果をもとに調整してもよいし、被検体15の胃内部に導入したカプセル型医療装置による体内画像を参照しつつ調整してもよい。
その後、被検体15は、胃内部の体内画像群を撮像するために、撮像機能を有したカプセル型医療装置の一例であるカプセル型内視鏡1を嚥下し(ステップS104)、胃内部にカプセル型内視鏡1を導入する。この場合、被検体15は、所望の体位でもよいが、左側臥位であることが望ましい。また、カプセル型内視鏡1は、上述した前処置用薬剤の摂取後、所定時間(例えば30分程度)が経過した後に、被検体15の胃内部に導入されることが望ましい。被検体15の胃内部のカプセル型内視鏡1は、図4に示したように、被検体15の胃内部の液面Sに浮遊しつつ胃内部の体内画像群を順次撮像する。かかるカプセル型内視鏡1によって撮像された体内画像群は、上述したように、受信アンテナ14aを介してワークステーション14に取得される。
つぎに、医師または看護師等のユーザ(検査者)は、かかるカプセル型内視鏡1によって撮像された被検体15の体内画像群をワークステーション14に表示させ、このワークステーション14に表示された体内画像群を観察することによって、この被検体15の胃内部を観察する(ステップS105)。この場合、検査者は、必要に応じて被検体15の体位を変換することによって、胃内部を広範囲に撮像した体内画像群をカプセル型内視鏡1に撮像させ、かかる広範囲な体内画像群をワークステーション14に表示させて被検体15の胃内部を隈なく観察する。この時、撮像した体内画像群は、隣接する画像同士を結合して表示してもよい。その後、被検体15は、胃内部のカプセル型内視鏡1を十二指腸側へ排出するために、体位を変換し、あるいは軽い運動を実施してもよい。
なお、上述した胃内部観察方法において、被検体15は、液体12を摂取した後にカプセル型内視鏡1を摂取していたが、これに限らず、液体12が胃内部において胃壁のヒダを伸展させつつカプセル型内視鏡1を液面Sに浮遊させるという条件を満足すれば、被検体15は、カプセル型内視鏡1を摂取した後に液体12を摂取してもよい。この場合、被検体15が摂取したカプセル型内視鏡1による体内画像を参照して胃の運動が活発であると判断した場合、被検体15に摂取させる液体12にペパーミントオイル等の鎮痙剤を混合してもよい。
また、上述したステップS103において、被検体15は500mlの液体12を一度に摂取していたが、これに限らず、被検体15は、胃壁のヒダを伸展させる際に液体12を所定量ずつ(例えば100mlずつ)分割して摂取してもよい。あるいは、別途注射によって鎮痙剤を被検体15内に導入してもよい。
つぎに、上述したステップS102の処理である胃内容物の排出処理について説明する。図23は、被検体15の胃内容物の排出処理を達成するまでの処理方法の一例を示すフローチャートである。図23に示すように、上述したステップS101において軽食を摂取し終えた被検体15は、所定量の液体を摂取する(ステップS201)。このステップS201において被検体15が摂取する液体は、例えば水、発砲水(炭酸水)、またはアルカリ水等であり、この液体の摂取量は500ml程度である。なお、被検体15は、上述したステップS101の処理(軽食の摂取処理)終了後に行う液体の摂取処理(ステップS201)において、かかる液体を数分から10分程度の時間内に摂取し終えることが望ましい。被検体15は、このように数分から10分程度の時間内に液体を摂取し終えることによって、胃内に液体を一度に溜めることができ、この結果、胃内の洗浄効果を高めることができる。さらに、かかる液体を摂取するタイミングは、軽食の摂取後から少なくとも30分から1時間以上経過した後、例えば被検体15が自宅を出る直前であることが望ましい。これは、摂取した食べ物の大半が十二指腸側に流れて胃内に食べ物等の固形物が殆ど残っていない状態で被検体15に液体を摂取させるためである。
このステップS201の処理を終了した後、被検体15は、カプセル型内視鏡1を用いた胃内部の検査(カプセル型内視鏡検査)が行われる病院へ通院する(ステップS202)。被検体15は、このように通院(歩行等)することによって、軽度な運動を行ったことになる。
つぎに、被検体15は、カプセル型内視鏡検査によって観察される胃内部を事前に洗浄するための前処置用薬剤を摂取する(ステップS203)。具体的には、被検体15は、かかる前処置用薬剤として、プロナーゼ等の粘液除去剤、ガスコンドロップ等の除泡剤、ペパーミントオイル等の鎮痙剤、および重曹水等のアルカリ性溶液のうちのいずれか一つ、あるいは、これら複数の薬剤のうちの少なくとも2つを混合した薬剤を摂取する。または、被検体15は、これら複数の薬剤の中から複数選択される所望の薬剤群を順次摂取してもよい。かかる前処置用薬剤は、被検体15の胃内部に導入された場合、胃壁に付着した胃分泌物または摂取物等の胃内容物を十二指腸側に排出しやすい状態にする。被検体15は、上述したステップS101において軽食を摂取してから2〜4時間程度経過した後に、かかる前処置用薬剤を摂取することが望ましい。なお、被検体15は、かかる前処置用薬剤を胃壁の略全範囲に行き渡らせるために、前処置用薬剤の摂取後に体位を変換してもよい。
かかる前処置用薬剤を摂取した状態の被検体15は、胃内部を洗い流すための液体を摂取し(ステップS204)、その後、自身の体位を変換する(ステップS205)。これによって、被検体15は、胃壁に付着した胃分泌物および摂取物等の胃内容物を胃内部から十二指腸側に洗い流すことができ、この結果、カプセル型内視鏡検査前の胃内部の洗浄処理を達成する。このように胃内部を洗浄し終えた被検体15は、上述したステップS103の処理に進む。
このステップS204において、被検体15は、上述した前処置用薬剤を摂取してから5分以上経過した後に液体を摂取することが望ましい。また、このステップS205において、被検体15は、胃内部の液体を流動するように体位を変換すればよく、例えば、右側臥位と他の体位とを繰り返してもよいし、右側臥位と背臥位の中間体位とを繰り返してもよいし、右側臥位と背臥位とを繰り返してもよい。
なお、被検体15は、このステップS205の体位変換処理に加えて、用手圧迫および振動の少なくとも一つを行ってもよいし、体位変換後に軽度な運動を追加してもよい。また、被検体15は、ステップS205において、体位を変換する代わりに散歩等の軽度な運動を所定時間(例えば15分程度)行ってもよい。
このようなステップS201〜S205の処理手順によって達成される胃内容物の排出処理は、カプセル型内視鏡検査前に被検体15の胃内部を洗浄する胃洗浄処理に相当し、これらステップS201〜S205のうちのステップS201,S202は、この胃洗浄処理における予備洗浄の処理手順であり、ステップS203〜S205は、この胃洗浄処理における本洗浄の処理手順である。
なお、上述したステップS201〜S205に例示される胃内容物の排出処理の処理手順は、カプセル型内視鏡検査が行われる病院へ通院する被検体15の処理手順であるが、被検体15が入院中の患者等の通院しない被検体である場合、上述したステップS202に代えて、上述した軽食の摂取(ステップS101)から前処置用薬剤の摂取(ステップS203)までに2〜4時間程度を確保する行動を行えばよい。この場合、被検体15は、散歩等の軽度な運動を行ってもよい。また、被検体15が通院する被検体であるか否かによらず、被検体15は、上述したステップS102の前に軽食を摂取しなくてもよい。
以上、説明したように、上述した胃内部観察方法では、軽食の摂取後に水等の液体を必要量(例えば500ml程度)摂取しているので、胃壁に付着した胃内容物を洗い流すことができる。また、胃内容物の排出処理の処理手順において、前処置用薬剤を摂取する前に通院によって軽度な運動を行っているので、胃内部から十二指腸側への胃内容物の排出を促進することができる。
また、上述した胃内部観察方法では、上述した前処置用薬剤を摂取しているので、胃分泌物等の胃内容物を胃壁から剥がれ易い状態にすることができ、この前処置用薬剤の摂取処理と次の液体摂取処理(ステップS204)との間に5分以上の時間間隔を空けることによって、この前処置用薬剤による胃洗浄効果を高めることができる。また、前処置用薬剤を摂取した後に水等の液体を必要量摂取しているので、この液体の液流によって胃内部を洗浄することができ、前処置用薬剤および液体を摂取した後に被検体の体位を変換しているので、胃内部に液流を発生させることができ、この結果、胃壁から胃分泌物等の胃内容物をより剥がれ易くすることができる。さらに、かかる前処置用薬剤および液体を摂取処理後に、体位変換および軽度な運動の少なくとも一つを被検体に行わせるので、胃内部から十二指腸への胃内容物の排出をより促進することができる。
さらに、上述した胃内部観察方法では、カプセル型医療装置の嚥下処理の直前または直後に、胃壁のヒダを伸展させるための水等の液体を被検体に摂取させるので、胃内部に残存する液体の透明度が高い状態(すなわち胃内部を観察しやすい状態)を維持しつつ、胃壁のヒダを伸展させることができる。
(胃内部観察方法の変形例)
つぎに、上述した胃内部観察方法の変形例について説明する。この胃内部観察方法の変形例では、胃内容物の排出処理を達成するための処理手順が上述した胃内部観察方法と異なる。したがって、この胃内部観察方法の変形例における胃内容物の排出処理について以下に説明する。
図24は、被検体15の胃内容物の排出処理を達成するまでの処理方法の変形例を示すフローチャートである。なお、この胃内部観察方法の変形例では、被検体15は、上述したステップS101〜S104と略同様の処理手順を行って、胃内部にカプセル型内視鏡1を導入し、検査者は、上述したステップS205と同様に、このカプセル型内視鏡1によって撮像された体内画像群を用いて被検体15の胃内部を観察する。この場合、被検体15は、上述した胃内容物の排出処理において、図23に示したステップS201〜S205の処理手順に代えて図24に示すステップS301〜S311の処理手順を行う。
すなわち、図24に示すように、上述したステップS101において軽食を摂取し終えた被検体15は、上述したステップS201〜S203の処理手順と同様に、所定量(例えば500ml程度)の液体を摂取し(ステップS301)、カプセル型内視鏡検査が行われる病院へ通院し(ステップS302)、上述した前処置用薬剤を摂取する(ステップS303)。
前処置用薬剤を摂取した状態の被検体15は、所定の液体を摂取し(ステップS304)、その後、自身の体位を変換する(ステップS305)。具体的には、被検体15は、ステップS304において、必要量(例えば100ml程度)の発泡水を摂取する。この場合、被検体15は、所望の体位をとってもよいが、左側臥位の体位をとりつつ発泡水を摂取することが望ましい。また、被検体15は、ステップS303において前処置用薬剤を摂取後、5分以上が経過した後に、この発泡水を摂取することが望ましい。一方、被検体15は、ステップS305において、胃内部の液体(発泡水)を流動するように体位を変換すればよく、例えば、左側臥位から背臥位への体位変換または伏臥位から背臥位への体位変換を行ってもよいし、その逆に、背臥位から左側臥位への体位変換または背臥位から伏臥位への体位変換を行ってもよい。また、被検体15は、このステップS305の体位変換処理に加えて、用手圧迫および振動の少なくとも一つを行ってもよい。
つぎに、被検体15は、所定の液体を摂取し(ステップS306)、その後、自身の体位を変換する(ステップS307)。具体的には、被検体15は、ステップS306において、必要量(例えば100ml程度)の発泡水を摂取する。この場合、被検体15は、所望の体位をとりつつ発泡水を摂取してもよいが、上述したステップS304と同様に、左側臥位の体位をとりつつ発泡水を摂取することが望ましい。一方、被検体15は、ステップS307において、胃内部の液体(発泡水)を流動するように体位を変換すればよく、例えば、左側臥位から背臥位への体位変換または伏臥位から背臥位への体位変換を行ってもよいし、その逆に、背臥位から左側臥位への体位変換または背臥位から伏臥位への体位変換を行ってもよい。また、被検体15は、このステップS307の体位変換処理に加えて、用手圧迫および振動の少なくとも一つを行ってもよい。
このように前処置用薬剤および発泡水を胃内部に含んだ状態の被検体15は、散歩等の軽度な運動を5分間程度行い(ステップS308)、その後、所定の液体を摂取する(ステップS309)。このステップS309において、被検体15は、必要量(例えば300ml程度)の水を摂取する。なお、上述した軽度な運動(ステップS308)を省略し、ステップS307の体位変換処理後にステップS309の液体摂取処理を行ってもよい。
つぎに、被検体15は、上述したステップS307と同様に体位を変換し(ステップS310)、その後、散歩等の軽度な運動を10分間程度行う(ステップS311)。これによって、被検体15は、胃壁に付着した胃分泌物および摂取物等の胃内容物を胃内部から十二指腸側に洗い流すことができ、この結果、カプセル型内視鏡検査前の胃内部の洗浄処理を達成する。このように胃内部を洗浄し終えた被検体15は、上述したステップS103の処理に進む。
なお、被検体15は、かかる軽度な運動(ステップS311)および体位変換処理(ステップS310)の少なくとも一つを行うようにしてもよい。
このようなステップS301〜S311の処理手順によって達成される胃内容物の排出処理は、カプセル型内視鏡検査前に被検体15の胃内部を洗浄する胃洗浄処理に相当し、これらステップS301〜S311のうちのステップS301,S302は、この胃洗浄処理における予備洗浄の処理手順であり、ステップS303〜S311は、この胃洗浄処理における本洗浄の処理手順である。
ここで、上述したステップS301〜S311の処理手順による胃内容物の排出処理では、発泡水を摂取した後に被検体15の体位を変換する処理手順を複数回繰り返し、また、ステップS309において水を摂取した後に被検体15の体位変換処理および軽度な運動を行っていたが、これらの処理手順を簡略化することも可能である。図25は、胃内容物の排出処理の処理手順を簡略化した一例を示すフローチャートである。
図25に示すように、上述したステップS101において軽食を摂取し終えた被検体15は、上述したステップS301〜S303の処理手順と同様に、所定量(例えば500ml程度)の液体を摂取し(ステップS401)、カプセル型内視鏡検査が行われる病院へ通院し(ステップS402)、上述した前処置用薬剤を摂取する(ステップS403)。
ステップS403の処理手順を終了した被検体15は、所定の液体を摂取し(ステップS404)、その後、自身の体位を変換する(ステップS405)。具体的には、被検体15は、ステップS404において、必要量(例えば200ml程度)の発泡水を摂取する。すなわち、被検体15は、上述したステップS304とステップS306とに摂取量を分割していた発泡水をステップS404において一度に摂取する。この場合、被検体15は、所望の体位をとってもよいが、上述したステップS304,S306と同様に、左側臥位の体位をとりつつ発泡水を摂取することが望ましい。また、被検体15は、ステップS403において前処置用薬剤を摂取後、5分以上が経過した後に、この発泡水を摂取することが望ましい。一方、被検体15は、ステップS405において、胃内部の液体(発泡水)を流動するように体位を変換すればよく、例えば、背臥位から左側臥位を経て伏臥位に体位変換する順に体位変換を行ってもよいし、その逆に、伏臥位から左側臥位を経て背臥位に体位変換する順に体位変換を行ってもよい。また、被検体15は、このステップS405の体位変換処理に加えて、用手圧迫および振動の少なくとも一つを行ってもよい。
このように前処置用薬剤および発泡水を胃内部に含んだ状態の被検体15は、上述したステップS308と同様に、散歩等の軽度な運動を5分間程度行い(ステップS406)、その後、上述したステップS309と同様に、必要量の液体、例えば300ml程度の水を摂取する(ステップS407)。なお、上述した軽度な運動(ステップS406)を省略し、ステップS405の体位変換処理後にステップS407の液体摂取処理を行ってもよい。
その後、被検体15は、上述したステップS405と同様に体位を変換する(ステップS408)。これによって、被検体15は、胃壁に付着した胃分泌物および摂取物等の胃内容物を胃内部から十二指腸側に洗い流すことができ、この結果、カプセル型内視鏡検査前の胃内部の洗浄処理を達成する。このように胃内部を洗浄し終えた被検体15は、上述したステップS103の処理に進む。なお、被検体15は、ステップS408において体位を変換していたが、これに限らず、かかる体位変換処理に代えて軽度な運動を所定時間(例えば10〜15分間程度)行ってもよい。
このようなステップS401〜S408の処理手順によって達成される胃内容物の排出処理は、カプセル型内視鏡検査前に被検体15の胃内部を洗浄する胃洗浄処理に相当し、これらステップS401〜S408のうちのステップS401,S402は、この胃洗浄処理における予備洗浄の処理手順であり、ステップS403〜S408は、この胃洗浄処理における本洗浄の処理手順である。
なお、上述したステップS301〜S311またはステップS401〜S408に例示される胃内容物の排出処理の処理手順は、カプセル型内視鏡検査が行われる病院へ通院する被検体15の処理手順であるが、被検体15が入院中の患者等の通院しない被検体である場合、上述したステップS302またはステップS402に代えて、上述した軽食の摂取(ステップS101)から前処置用薬剤の摂取(ステップS303またはステップS403)までに2〜4時間程度を確保する行動を行えばよい。この場合、被検体15は、散歩等の軽度な運動を行ってもよい。また、被検体15が通院する被検体であるか否かによらず、被検体15は、上述したステップS102の前に軽食を摂取しなくてもよい。
以上、説明したように、上述した胃内部観察方法の変形例は、上述した胃内部観察方法と同様の作用効果を享受するとともに、前処置用薬剤を摂取した後に発泡水(炭酸水)を摂取しているので、胃壁に付着した胃分泌物等の胃内容物を胃壁から容易に剥離することができる。具体的には、前処置用薬剤を摂取した後に発泡水を摂取した場合、胃壁に付着した胃分泌物等の胃内容物に気泡が付着する。かかる気泡は、胃内部の液面に浮上し、その浮力によって胃壁からの胃内容物の剥離処理を促進する。
また、前処置用薬剤および発泡水を摂取した後に被検体の体位を変換しているので、胃内部に液流を発生させることができるとともに、発泡水の溜まる部位および気泡の浮上方向を変化させることができ、この結果、胃壁から胃分泌物等の胃内容物をより剥がれ易くすることができる。さらに、前処置用薬剤および発泡水を摂取した後に水を必要量摂取しているので、胃内部に水流を発生させることによって、胃壁から胃分泌物等の胃内容物をより容易に剥離することができる。
このような胃内部観察方法の変形例は、上述した胃内部観察方法と同様に被検体の胃内部の検査に有用であり、特に、胃粘液の粘度が高いことが予測される被検体(例えばピロリ菌感染者等)、以前に実施した胃内部の検査(カプセル型内視鏡検査、内視鏡検査等)の結果をもとに胃粘液の粘度が高い旨が判明している被検体、または以前に実施した胃内部の検査において胃内部の残液が著しく濁っていた被検体の胃内部を観察する胃内部観察方法に好適である。
なお、上述した胃内部観察方法およびその変形例において、被検体15に摂取させる水または発泡水等の液体の温度は、室温から体温温度までの範囲内の温度であることが望ましい。また、前処置用薬剤の配合と、前処置用薬剤を摂取してから液体を摂取するまでの時間と、発泡水または水等の液体の摂取量と、被検体15の運動時間および体位変換処理とは、過去に実施した胃内部の検査結果をもとに調整してもよい。
(付記1)胃内容物を十二指腸側に排出する排出ステップと、
前記排出ステップによって胃内容物を排出された胃の内部に液体を導入し、該液体によって前記胃のヒダを伸展する伸展ステップと、
前記伸展ステップによってヒダを伸展させた前記胃の内部にカプセル型医療装置を導入するカプセル導入ステップと、
前記カプセル型医療装置によって前記胃の体内画像群を撮像する撮像ステップと、
を含むことを特徴とする胃内部観察方法。
(付記2)前記排出ステップは、
前記胃の内部を洗浄する液体を摂取する第1の液体摂取ステップと、
前記第1の摂取ステップを終了してから任意の時間を空ける時間調整ステップと、
前記第1の摂取ステップを終了してから任意の時間が経過した場合に、前記胃の内壁から胃内容物を剥離し易くする薬剤を摂取する薬剤摂取ステップと、
前記薬剤によって剥離し易くなった前記胃内容物を前記胃の内壁から剥離する液体を摂取する第2の液体摂取ステップと、
前記第2の液体摂取ステップによって剥離した前記胃内容物を前記胃から十二指腸側へ排出するために軽度な運動を行う運動ステップと、
を含むことを特徴とする付記1に記載の胃内部観察方法。
(付記3)前記排出ステップは、
前記胃の内部を洗浄する水を摂取する水摂取ステップと、
前記胃の内壁から胃内容物を剥離し易くする薬剤を摂取する薬剤摂取ステップと、
前記薬剤によって剥離し易くなった前記胃内容物を前記胃の内壁から剥離する発泡水を摂取する発泡水摂取ステップと、
前記胃の内部に前記発泡水を含む被検体の体位を変換する体位変換ステップと、
前記発泡水摂取ステップによって剥離した前記胃内容物を前記胃から十二指腸側へ排出するために軽度な運動を行う運動ステップと、
を含むことを特徴とする付記1に記載の胃内部観察方法。
(付記4)前記伸展ステップは、前記胃の内部に500ml程度の水を導入して前記胃のヒダを伸展することを特徴とする付記1に記載の胃内部観察方法。
(付記5)前記運動ステップは、前記軽度な運動として15分程度の散歩を行うことを特徴とする付記2または3に記載の胃内部観察方法。
(付記6)胃内部の検査を行う検査室の外部で実施し、被検体の胃内部を予備的に洗浄する予備洗浄ステップと、
医療従事者の監視下で実施し、前記被検体の胃内部を洗浄する本洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする胃洗浄方法。
(付記7)前記予備洗浄ステップは、
前記被検体の胃内部に液体を導入する液体導入ステップと、
前記液体を胃内部に含む前記被検体に軽度な運動を行わせる運動ステップと、
を含むことを特徴とする付記6に記載の胃洗浄方法。
(付記8)前記本洗浄ステップは、
前記被検体の胃の内壁から胃内容物を剥離し易くする薬剤を摂取する薬剤摂取ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間を空ける時間調整ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間が経過した場合に、前記薬剤によって剥離し易くなった前記胃内容物を前記胃の内壁から剥離する液体を摂取する液体摂取ステップと、
前記液体を胃内部に含む前記被検体の体位を変換する体位変換ステップと、
を含むことを特徴とする付記6または7に記載の胃洗浄方法。
(付記9)前記予備洗浄ステップは、前記被検体の胃内部に500ml程度の前記液体を導入し、
前記本洗浄ステップは、前記被検体の胃内部に500ml程度の前記液体を導入することを特徴とする付記6〜8のいずれか一つに記載の胃洗浄方法。
(付記10)前記本洗浄ステップは、
前記被検体の胃の内壁から胃内容物を剥離し易くする薬剤を摂取する薬剤摂取ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間を空ける時間調整ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間が経過した場合に、前記薬剤によって剥離し易くなった前記胃内容物を前記胃の内壁から剥離する液体を摂取する液体摂取ステップと、
前記液体を胃内部に含む前記被検体に軽度な運動を行わせる運動ステップと、
を含むことを特徴とする付記6または7に記載の胃洗浄方法。
(付記11)前記本洗浄ステップは、
前記被検体の胃の内壁から胃内容物を剥離し易くする薬剤を摂取する薬剤摂取ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間を空ける時間調整ステップと、
前記薬剤摂取ステップを終了してから任意の時間が経過した場合に、前記薬剤によって剥離し易くなった前記胃内容物を前記胃の内壁から剥離する発泡水を摂取する発泡水摂取ステップと、
前記発泡水を胃内部に含む前記被検体の体位を変換する体位変換ステップと、
前記体位変換ステップをし終えた前記被検体に液体を摂取させる液体摂取ステップと、
前記液体を胃内部に含む前記被検体に軽度な運動を行わせる運動ステップと、
を含むことを特徴とする付記6または7に記載の胃洗浄方法。