JP5542868B2 - キラル・ビスオキサゾリン触媒 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、上記の不利益のうちの少なくとも1つを克服または実質的に緩和することである。また、さらなる目的は、上記の要望を少なくとも部分的に満足することである。
もう1の形態において、キラル・ビスオキサゾリン基は、以下のIeおよびIfよりなる群から選択される構造を有する。
−キラル・ビスオキサゾリンと金属種とを錯体形成させて錯化キラル・ビスオキサゾリンを形成し;ついで
−錯化したキラル・ビスオキサゾリンを無機基体にカップリングする
ことを含む不均一系キラル触媒を作製する方法を提供する。キラル・ビスオキサゾリンは、構造IIaないしIIfのうちのいずれか1を有することができ、前記したものとすることができる。金属種および無機基体は、前記したものとすることができる。錯体形成したキラル・ビスオキサゾリンは触媒として機能化することができる。
本発明は、炭素ブリッジにおける1のメチル置換基を用いて合成したキラル・ビスオキサゾリンが、メソ多孔性シリカ支持体に共有的に固定化した場合に、大きく改善されたエナンチオ選択性および反応性を提供するという驚くべきかつ予期し得ない知見に基づく。
R1はバルクな基とすることができ、化学反応を触媒することができる金属種と錯体形成した場合に、反応がキラル生成物を生成することができるのに十分にバルクとすることができる。キラル生成物は、約10%よりも大きい、または約20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99、99.5、99.75または99.9%よりも大きいエナンチオマー過剰率を有することができる。R1はアルキル基、例えばC1ないしC12アルキル基、またはアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基、例えばC6ないしC12アリール基またはC7ないしC12アリールアルキルまたはアルキルアリール基とすることができる。アルキル基は約1ないし12の炭素原子、または約1ないし6、1ないし4、3ないし12、6ないし12または4ないし8の炭素原子を有することができ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の炭素原子、または12を超える炭素原子を有することができる。アリール基は、6ないし12の炭素原子を有することができ、または6ないし9、9ないし12または8ないし10の炭素原子を有することができ、6、7、8、9、10、11または12の炭素原子、または12を超える炭素原子を有することができる。アルキルアリールまたはアリールアルキル基は、7ないし12の炭素原子、または9ないし12、7ないし9または9ないし12の炭素原子を有することができ、7、8、9、10、11または12の炭素原子、または12を超える炭素原子を有することができる。R1がアルキルである場合、それは直鎖もしくは分岐鎖または脂環式とすることができる。例えば、それは、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ノルボミル、アダマンチルまたはいくつかの他の好適な基とすることができる。R1がアリールである場合、それはフェニル、ビフェニル、ナフチルとすることができ、置換型アリール、例えばアルキルフェニル(例えば、ベンジル、t−ブチルフェニル)とすることができる。R1は複素環基、または置換型複素環基とすることもできる。R1基に結合した炭素原子は同一のキラリティーとすることができ、両方(S)または両方(R)とすることができる。
炭素ブリッジに1のメチル基を有するビスオキサゾリンの合成(ビスオキサゾリン2)
メチルマロン酸ジメチル(1.78g、12.2ミリモル)および(S)−tert−ロイシノール(3.0g、25.6ミリモル)をアルゴンフロー下で90℃に加熱し、反応の間に発生したメタノールを除去した。12時間後に、白色固形物を得た。残りの反応物を取り出すために、60℃にて高真空を加えた。ジヒドロキシメチルマロノジアミド1(3.27g、10.37ミリモル)を高収率(85%)で得た。100mlのSchlenkフラスコに、ジヒドロキシメチルマロノジアミド1(2.87g、9.08ミリモル)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.12g、0.99ミリモル)および40mlのCH2Cl2を満たした。ついで、トリエチルアミン(6ml、43.5ミリモル)を添加した。10mlのCH2Cl2中の塩化p−トルエンスルホン酸(3.77g、19.8ミリモル)の溶液を添加した。得られた鮮やかな黄色溶液を室温にて27時間攪拌した。それを20mlのCH2Cl2で希釈し、飽和NH4Clで洗浄した。その水性層をCH2Cl2で戻し抽出した(3×30ml)。合した有機抽出物を飽和NaHCO3で洗浄した。その水性層をCH2Cl2で戻し抽出した(3×30ml)。合した有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。濃縮した液体をフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製して、本明細書中においてビスオキサゾリン2という生成物を得た(2.03g、7.26ミリモル、80%収率)。
13C NMR(300MHz,CDCl3):δ=165.5,165.3,75.5,68.9,34.0,33.8,25.7,25.6,15.2.
元素分析C16H28N2O2として:
計算値=C,68.53;H,10.07;N,9.99
実測値=C,68.14;H,10.22;N,9.84
MeLi(0.516ml、Et2O中の1.6M、0.825ミリモル)を、−50℃の10mlのTHF中のビスオキサゾリン2(0.21g、0.75ミリモル)の溶液に添加した。30分間攪拌した後に、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン(0.148ml、0.75ミリモル)を添加し、その溶液を室温まで温めた。室温にて2日間攪拌した後に、THFを蒸発させ、トルエンを添加した。トルエン溶液をMCFに添加し、それをHMDSを用いるTMS(0.4ミリモル/g)によって部分的に修飾した。ついで、トルエン懸濁液を攪拌しつつ1日間90℃に加熱し、濾過した。
元素分析:
実測値=C,11.45;H,2.25;N,0.73
ビスオキサゾリンの負荷:0.26ミリモル/g
MCF−支持ビスオキサゾリンを80℃にて一晩脱気した。ついで、真空下でHMDSを固形物に添加した。ついで、真空下にて液体N2を用いてフラスコを冷却した。ついで、それをシールし、室温まで温めた。ついで、フラスコを75℃のオーブン中に5時間置いた。反応後に、過剰量のHMDSを真空下にて除去した。
(CuOTf)2・トルエン(0.011ミリモル)またはCu(OTf)2(0.022ミリモル)をCH2Cl2(2ml)中のMCF−固定化ビスオキサゾリン(0.022ミリモル)に添加した。その混合物を室温にて5日間攪拌した。Cu(OTf)2の場合には、ジアゾ酢酸(0.015ミリモル)を添加して銅を減少した。スチレン(153μl、1.32ミリモル)を添加した後に、ジアゾ酢酸エチル(1.1ミリモル、2mlのCH2Cl2で希釈)の溶液を、シリンジポンプを用いて2時間にわたって添加した。ついで、その混合物を1時間攪拌し、遠心した。溶液部分を収集し、トランス/シス割合および収率をガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。エナンチオマー過剰率は、Cyclodex−Bカラムを用いるGCによって測定した。ついで、沈澱物をCH2Cl2(5ml)で3回洗浄し、遠心した。回収した触媒は、さらなる実験用の出発物質として使用した。
Claims (21)
- 不斉シクロプロパン化、エン反応、ディールス・アルダー反応、アリル置換、アジリジン化反応、ムカイヤマ・アルドール反応、エナンチオ選択的ヘンリー反応およびβ−アミノ酸を合成するためのカルバメートのエナンチオ選択的コンジュゲート付加からなる群より選択される反応の触媒のための、疎水性無機基体にカップリングしたキラル・ビスオキサゾリン基を含む不均一系キラル触媒であって、疎水基の数が無機基体グラム当たり0.2ないし2ミリモルであり、該ビスオキサゾリン基がCu(I)イオンに錯体形成しており、ここに、キラル・ビスオキサゾリン基がIa’、Ib’、Ic’、Id’、Ie’およびIf’:
[式中、
R1はバルクな基であって、R2は水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択され、あるいはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成し、
R3はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択され、
Tは無機基体にカップリングするためのテザー基であり、ここにテザー基は無機基体にカップリングするためのカップリング基およびカップリング基をCR3基に連結するためのリンカー基を含み、ここにカップリング基はケイ素原子を含み、リンカー基は式−(CH2)n−(式中のnは1−12)のものであり、および
R1およびR2が結合する各炭素原子は、独立して、それに結合する水素原子またはアルキル基をも有する]
よりなる群から選択される構造を有する該触媒。 - キラル・ビスオキサゾリン基が単一のテザー基によって無機基体にカップリングしている請求項1記載の触媒。
- ビスオキサゾリンが無機基体に共有結合している請求項1または2記載の触媒。
- R1がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の触媒。
- R1がt−ブチルであり、R2が水素であって、R3がメチルである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の触媒。
- リンカー基が、アルキレン基、アリーレン、アルキルアリーレン基およびアリールアルキレン基よりなる群から選択される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の触媒。
- リンカー基が−C3H6−である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の触媒。
- 無機基体が多孔性である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の触媒。
- 無機基体がメソ多孔性である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の触媒。
- 無機基体がシリカを含む請求項1ないし9のいずれか1項に記載の触媒。
- 疎水基がトリメチルシリル基である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の触媒。
- キラル・ビスオキサゾリンを疎水性無機基体にカップリングし、ついでキラル・ビスオキサゾリンをCu(I)に錯体形成することを含む不均一系キラル触媒の作製方法であって、ここに、疎水基の数が無機基体グラム当たり0.2ないし2ミリモルであり、キラル・ビスオキサゾリンがIIa、IIb、IIc、IId、IIeおよびIIf:
[式中、
R1はバルクな基であって、R2は水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択され、あるいはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成し、
R3はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択され、および
T’は無機基体にカップリングすることができる基であり、ここにテザー基は無機基体にカップリングするためのカップリング基およびカップリング基をCR3基に連結するためのリンカー基を含み、ここにカップリング基はケイ素原子を含み、リンカー基は式−(CH2)n−(式中のnは1−12)のものである]
よりなる群から選択される構造を有する該作製方法。 - カップリングが単一のテザー基を介するものである請求項12記載の方法。
- R1がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基よりなる群から選択される請求項12または13記載の方法。
- R1がt−ブチルであり、R2が水素であり、R3がメチルであってT’がトリメトキシシリルプロピルである請求項12ないし14のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、無機基体と疎水化剤とを反応させて疎水性無機基体を作製することを含む請求項12ないし15のいずれか1項に記載の方法。
- 疎水化剤が、シランおよびシロキサンよりなる群から選択される請求項16記載の方法。
- 疎水性無機基体が疎水性メソ多孔性シリカである請求項12ないし17のいずれか1項に記載の方法。
- 出発物質を、疎水性無機基体にカップリングしたキラル・ビスオキサゾリン基を含む請求項1ないし11のいずれか1項に記載の不均一系キラル触媒に曝すことを含む出発物質から生成物への反応を触媒する方法であって、該反応が不斉シクロプロパン化、エン(ene)反応、ディールス・アルダー反応、アリル置換、アジリジン化反応、ムカイヤマ・アルドール反応、エナンチオ選択的ヘンリー反応およびβ−アミノ酸を合成するためのカルバメートのエナンチオ選択的コンジュゲート付加からなる群より選択される該方法。
- 反応が不斉シクロプロパン化である請求項19記載の方法。
- 約90%よりも大きなエナンチオマー過剰率を有する生成物を生成する請求項19または20記載の方法。
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