JP5542522B2 - レーザ加工に用いるアシストガスの噴射ノズル及びレーザ加工装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2〜4についても、スパッタを満足できる水準まで減少させることができるものではなかった。
スパッタは、レーザ加工される被加工物の形状を所望形状とは異ならせてしまうものであり、レーザ加工物の品位、美観及び機能に関する問題の原因となり得る。
本発明者の研究によれば、レーザ加工物(被加工物)の形状が所望形状と食い違うスパッタ以外の原因は、特許文献3によるレーザ加工装置において生じるものであり、特許文献3によるレーザ加工装置においては低温ガス(20)が噴射されて被照射部(21)が冷却されることにより、冷却された被照射部(21)周辺に周辺雰囲気に含まれる水分が凝縮して結露や結霜(以下、「結霜等」という)が生じるためであることが明らかになった。かかる被照射部(21)周辺の結霜等は、照射されるレーザビームを反射や屈折させ、レーザ加工の精度を低下させるので、レーザ加工される被加工物の形状を所望形状とは異ならせてしまう原因となり得ることが判明した。
従って、スパッタを減少させることで、レーザ加工される被加工物の形状を所望形状に近づける、噴射ノズルに係る発明を「第1発明」といい、その噴射ノズルを使用するレーザ加工装置に係る発明を「第2発明」として以下説明する。
)である。
本ノズルは、レーザビームを被加工物の表面である被加工面に照射して被加工面を加工するレーザ加工において被加工面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルであって、被加工面から離間して配置され、かつ、被加工面に対向するノズル面と、アシストガスとレーザビームとを内部空間から外部空間に通過させるノズル面に形成された噴射口と、噴射口を通過するようノズル面に形成された凹条と、を備えてなる、噴射ノズルである。
本ノズルは、特許文献1の「レーザビームを被加工物の表面に照射して該表面を加工するレーザ加工において該加工される表面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズル」と同様、レーザビームを被加工物の表面である被加工面に照射して被加工面を加工するレーザ加工において被加工面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルである。被加工物の表面である被加工面にレーザビームを照射し、被加工物の被加工面が融解等するときに、アシストガスによって該融解した融解物等を吹き飛ばし除去することで、被加工物の被加工面を加工(レーザ加工)することができる(被加工物の被加工面にレーザビームを照射する位置と、被加工物の被加工面にアシストガスを吹き付ける位置と、が略一致するようになっている。)。本ノズルは、かかるアシストガスを噴射するための噴射ノズルである。
本ノズルは、被加工面に対向するノズル面と、ノズル面に形成された噴射口と、ノズル面に形成された凹条と、を備えてなる。
ノズル面は、被加工面に向かい合うように形成されるが、被加工面に略平行な面とされてもよい。
噴射口は、ノズル面に形成されると共に、本ノズルの内部空間から本ノズルの外部空間に向けてアシストガスとレーザビームとを通過させる(本ノズルの内部空間を通過したアシストガスとレーザビームとを本ノズルの外部空間に向けて噴射及び照射するための開口である。)。
凹条は、噴射口を通過するようノズル面に形成されるが、ここに「凹条が噴射口を通過する」とは、凹条の一端に噴射口が存する場合と、凹条の一端と他端との間に噴射口が存する場合と、を含む。
このような本ノズルによれば、被加工面に生じるスパッタを減少させることで、レーザ加工される被加工物の形状を所望形状に近づけることができる。
本ノズルにおいては、凹条が、ノズル面の外縁に達しているものである。
このように凹条がノズル面の外縁に達すること(即ち、凹条が噴射口とノズル面外縁とを連絡すること)により、被加工面に生じるスパッタを一層減少させることができる。
本ノズルにおいては、凹条の被加工面への投影が、被加工面において既に加工された軌跡である既加工軌跡及び/又は被加工面においてこれから加工される軌跡である予定軌跡に略一致するものである。
ここにいう「凹条の被加工面への投影」とは、本ノズルにおけるアシストガスの噴射方向と平行な光線による凹条の被加工面への投影をいう。
レーザ加工装置に本ノズルを取り付けた状態において凹条の被加工面への投影が既加工軌跡及び/又は予定軌跡に略一致することで、被加工面に生じるスパッタを一層効果的に減少させることができる。
なお、「噴射口からノズル面に対し垂直方向にアシストガスが噴射される」とは、噴射口を接点とするノズル面への接平面に対して垂直な方向に噴射口からアシストガスが噴射されることをいう(なお、ノズル面が平面に沿っている場合であれば該平面に対して垂直な方向に噴射口からアシストガスが噴射されることをいう。)。
このようにすることで、噴射口を中心とした何れの方向にも略むらなくスパッタを減少させることができる。
被加工面は平面に沿ったものが多いことから、被加工面に対向するノズル面は平面に沿ったものとする方が、被加工面とノズル面との間をアシストガスが円滑に流通することができ、被加工面に生じるスパッタを減少させることができる。
前記凹条は、ノズル面に存する直線に沿って形成される真っ直ぐなものの方が被加工面に生じるスパッタを減少させることができる。
噴射口の周囲のいずれの方向にもある程度の範囲のノズル面が存在する方が被加工面に生じるスパッタを減少させることができる。
アシストガスの噴射方向に垂直な平面へのノズル面及び噴射口の正投影において、ノズル面の投影に全部が含まれる円形(噴射口の中心点を中心とする円)の半径(噴射口の中心点を中心とする半径)は、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは3mm以上、最も好ましくは5mm以上、逆に、好ましくは25mm以下、より好ましくは12mm以下、最も好ましくは10mm以下である(好ましくは1.5〜25mm、より好ましくは3〜12mm、最も好ましくは5〜10mm)。なお、噴射口の中心点とは、噴射口に一様に質量を分布させたときの重心をいう(例えば、噴射口が円形をなしていれば、該円形の中心である。)。
本装置は、レーザビームを発生させるレーザ発振器と、レーザビームを被加工物の表面である被加工面に照射して被加工面を加工するレーザ加工において被加工面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルと、噴射ノズルに形成された流路とを備えたレーザ加工装置であって、噴射ノズルは、被加工面から離間して配置され、かつ、被加工面に対向するノズル面と、アシストガスとレーザビームとを内部空間から流路を経て外部空間に通過させるためにノズル面に形成された噴射口と、噴射口を通過するようノズル面に形成された凹条とを備え、凹条が、ノズル面の外縁に達しており、凹条の被加工面への投影が、被加工面において既に加工された軌跡である既加工軌跡及び/又は被加工面においてこれから加工される軌跡である予定軌跡に略一致するものであり、噴射口から噴射されたアシストガスがその噴射口から凹条に沿ってノズル面の外縁まで吹き抜けることができるものである。
本ノズル11は、後述の凹条12を除き、直線13(図1(b)参照)を含む全ての平面における断面形状が図1(b)に示したものと同じ形状を有しており、直線13を軸としたいわゆる回転体を構成している。本ノズル11は、直線13を軸とした直円柱形状をした本体部15と、本体部15の側面(外周面)から突出し該側面を巡るように形成されたつば部17(本体部15を形成する該直円柱の側面を巡るリング形状をした外向きフランジ状をなしている。本ノズル11がレーザ加工機に取り付けられる際に用いられる。)と、を有し、金属によって一体的に形成されている。本ノズル11は、直線13に沿ってアシストガスを通過させる流路19が形成されている(図1(b)中、アシストガスは矢印K方向に向けて通過する。)。
本ノズル組立体111は、大まかには、本ノズル11と、本ノズル11を支持する内支持部113と、本ノズル11を支持した内支持部113を支持する外支持部115と、を備えてなる。
外支持部115が形成する直円錐台形状の両底面のうち大なる底面115aと、本ノズル11の他方の底面15bと、は同一平面に略属すると共に、外支持部115が形成する直円錐台形状の両底面のうち小なる底面115bと、内支持部113の一底面113dと、は同一平面に略属するように、外支持部115に対して内支持部113は固定されている。
連通流路116eの一端には、乾燥された空気が供給されるようになっており、該供給された乾燥空気は、連通流路116eの他端から環状の隙間116(第1隙間116a)に流入し、筒状の第3隙間116cを経て底面115aから環状に噴出する。
そして、基準平面に属する直線s2に沿って吸入流路118(直線s2に対して垂直な断面は略円形である)が形成されている。吸入流路118の一端は外支持部115が形成する前記直円錐台の側面に開口すると共に(なお、吸入流路118の一端近傍は半径を大きくとられ吸入流路チャンバー118cを形成している。)、吸入流路118の他端は底面115aに開口している。直線s2と底面115aとがなす角118d(劣角をいう)はここでは約20度であるが、これに限定されるものでないことは言うまでもない。
噴射流路117は、冷却ガスを底面115aから噴射(噴射流路チャンバー117cから底面115aに向けて噴射する)するものであり、吸入流路118は底面115aに面した空間に存する雰囲気を吸入(底面115aから吸入流路チャンバー118cに向けて吸入する)ものである。
そして、本ノズル組立体111の外支持部115の小なる底面115b及び内支持部113の一底面113d(底面115b及び一底面113dは同一平面に略属する。)に底面141aが密接することで、底面115b及び一底面113dに開口している第1隙間116aを塞ぐ閉塞部材141が、本ノズル組立体111の上部に取り付けられている。閉塞部材141は、直線13を軸とする直円柱(底面115bの半径とほぼ同じ半径)形状をしており、直線13に沿って連続した内部空間141k(内部空間141kは直線13を軸とした回転体形状をしている)を有している。内部空間141kは、底面141aにおいて内部空間113nに連通している(内部空間141kの底面141aにおける半径は、ガス流路部113n1の一底面113dにおける半径r1に略等しい。)。
レーザ発振器309から発生されたレーザビーム309cは、レーザビーム309cを反射する鏡313によって直線13に沿った方向に反射され、レンズ310にて焦点調節された後、直線13に沿って内部空間141kの上部(閉塞部材141の底面141b側)からガス流路部113n1及び本ノズル11の流路19を経て樹脂封止体301に照射されることで樹脂封止体301をレーザ加工(切断)する(なお、レーザ発振器309からのレーザビーム309cを直線13に沿った方向に発生させるようにして鏡313を省略することもできる。)。また、レーザビーム309c照射と同時に、レーザ加工(切断)用のアシストガスも内部空間141kの上部(閉塞部材141の底面141b側)からガス流路部113n1及び本ノズル11の流路19を経て樹脂封止体301に噴射される。
そして、噴射流路チャンバー117cには、空気冷却装置411から圧送された冷却ガス(冷却空気)(露点温度:−70℃以下、温度:−60℃)が流量制御弁413により流量調整され供給されている。噴射流路チャンバー117cに供給された冷却ガスは、噴射流路117を経て底面115aから噴射される(図3中、矢印F2)。
さらに、吸入流路チャンバー118cには、真空ポンプ421のサクション(吸入側)が接続されることで、流量制御弁423により流量調整された状態で吸入流路チャンバー118cから気体(空気)が吸引されている。これにより底面115aと樹脂封止体301との間に存する雰囲気(空気)が吸入流路118を経て吸入されている(図3中、矢印F3)。
なお、凹条の被加工面への投影を既加工軌跡及び/又は予定軌跡に略一致させるため、ここでは被加工物(樹脂封止体301)が図3において正逆両方向に回動(被加工面(主表面302a)に垂直な直線(ここでは直線13に平行な直線)を軸に回動する)するようになっているが、これに限定されるものではなく、凹条12の方向が既加工軌跡及び/又は予定軌跡に略一致すればよいので、本ノズル11に対して被加工面(主表面302a)が相対的に回動すればよく、例えば、被加工面(主表面302a)は回動せずに本ノズル11が回動するようにしてもよい。
本ノズル11においては、前記凹条12が、ノズル面(底面15b)に存する直線14に沿って形成されるものである。真っ直ぐな凹条の方が被加工面に生じるスパッタを減少させることができる理由については必ずしも明らかではないが、真っ直ぐな凹条の方がアシストガスが凹条に沿って円滑に流通することができ、スパッタの元になる融解物等の飛沫が凹条に沿ってアシストガスにうまく同伴されることで凹条を外れた被加工面に飛散しにくいので、スパッタが凹条を外れた被加工面に生じにくいのではないかと本発明者は推測しているが、本発明がこの推測した理由により限定されるものではない(この推測した理由を本発明が奏しているか否かは本発明の技術的範囲の解釈に影響を与えない。)。
そして、図3に示したレーザ加工装置においては、被加工面(主表面302a)に対向(ここでは平行)する対向面(ここでは底面115aと底面15bとを含んで構成される。)であって、アシストガスとレーザビームとを内部空間から外部空間へ向け通過させる通過孔(ここでは噴射口19ba)と、通過孔(噴射口19ba)を取り囲む閉じた曲線(ここでは略円形)に沿って形成された脱湿気体噴射孔(底面115aと底面15bとの間の第3隙間116c)と、が形成された対向面(底面115aと底面15bとを含んでなる)を有するものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、アシストガス及びレーザビーム309cを導く内部空間(ここでは流路19)を有し、先端に前記通過孔(ここでは噴射口19ba)が形成されたノズル11と、ノズル11を保持するノズル保持具(ここでは内支持部113と外支持部115とを含んでなる。)と、を含んでなり、脱湿気体噴射孔(底面115aと底面15bとの間の第3隙間116c)が、対向面(底面115aと底面15bとを含んでなる)においてノズル11の周囲を巡る前記閉じた曲線に沿ってノズル11とノズル保持具(内支持部113と外支持部115とを含んでなる)との間に形成されるものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、前記閉じた曲線(底面115aと底面15bとの間の第3隙間116cが沿って形成されている閉じた曲線)が、通過孔(噴射口19ba)を中心とする円を略なすものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、レーザビーム309cを被加工面(主表面302a)に照射しつつレーザビーム309cに対して被加工物(樹脂封止体301)を連続的に移動させることで、被加工物(樹脂封止体301)に連続した貫通溝をレーザ加工により形成するものであり(ここでは被加工物(樹脂封止体301)が図3において左方向(図3中、矢印Xとは反対方向)に移動することにより、レーザビーム309cの照射部分は被加工面(主表面302a)において図3中では右方向(図3中、矢印X方向)に移動させて被加工物(樹脂封止体301)に連続した貫通溝を形成する。)、冷却気体噴射孔(底面115aにおける噴射流路117の開口)から噴射される冷却気体(冷却空気)の少なくとも一部は、形成された貫通溝の内部に向けて噴射されるものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、貫通溝の内部に向けて噴射される前記少なくとも一部は、照射部分に向けて噴射されるものであり、貫通溝の内部に向けて噴射される前記少なくとも一部の、被加工面(主表面302a)に平行な速度成分(矢印F2方向に噴射されるので、その噴射速度のうち被加工面(主表面302a)に平行な速度成分は図3中では右方向に向いている。)は、照射部分における貫通溝の形成方向(図3中では右方向)と同じ方向に向いているものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、気体を吸引する吸引孔(底面115aにおける吸入流路118の開口)を対向面(底面115aと底面15bとを含んでなる)に有するものである。
図3に示したレーザ加工装置においては、気体を吸引する吸引孔(底面115aにおける吸入流路118の開口)を対向面(底面115aと底面15bとを含んでなる)に有し、吸引孔(底面115aにおける吸入流路118の開口)から吸引される気体の移動方向(図3中、矢印F3方向)と、冷却気体噴射孔(底面115aにおける噴射流路117の開口)から噴射される冷却気体の移動方向(図3中、矢印F2方向)と、アシストガスの噴射方向(直線13に沿った方向)と、が一平面(図3の断面)に存するものである。
加えて、本ノズル11を用い、除湿装置401(空気乾燥装置)からの乾燥空気の供給を無くした(流量制御弁403を閉じる)場合には、結霜等による加工精度低下が観察されたが、除湿装置401(空気乾燥装置)からの乾燥空気の供給を再開した(流量制御弁403を開けた)場合には、しばらくすると結霜等による加工精度低下が見られなくなった。
そして、本ノズル11を用い、真空ポンプ421による雰囲気(空気)吸引を無くした(流量制御弁423を閉じる)場合には、多数のスパッタが観察されたが、真空ポンプ421による雰囲気(空気)吸引を再開した(流量制御弁423を開けた)場合には、スパッタの発生が減少した。
ノズル101は、直線103(図4(b)参照)を含む全ての平面における断面形状が図4(b)に示したものと同じ形状を有しており、いわゆる回転体を構成している。ノズル101は、本体部105(円柱形状をした円柱部分と、該円柱の底面を大きい方の底面とする円錐台形状をした円錐台部分と、が一体に合わさった形状を有している。)と、本体部105の側面から突出し該側面を巡るように形成されたつば部107(本体部105の一部を形成する該円柱部分の側面を巡るように形成されリング形状を有している。ノズル101がレーザ加工機に取り付けられる際に用いられる。)と、を有して一体に金属によって形成されており、内部には直線103に沿ってアシストガスを通過させる流路109が形成されている(図4(b)中、矢印K方向に向けてアシストガスを通過させる。)。
このように流路109は、円錐台流路部109aと、円錐台流路部109aに続く円柱流路部109bと、を有して構成されているので、アシストガスが図4(b)中、矢印K方向に向けて通過すると、まず、円錐台流路部109aにおいては下流に行くにつれて断面積が減少し、円柱流路部109bにおいては断面積が変化しない。アシストガスは、最終的には、円柱流路部109bの噴射口109baから噴射される。
本ノズル組立体211は、大まかには、ノズル101と、ノズル101を支持する内支持部213と、ノズル101を支持した内支持部213を支持する外支持部215と、を備えてなる。
外支持部215が形成する直円錐台形状の両底面のうち大なる底面215aと、ノズル101の先端面105bと、は同一平面に略属すると共に、外支持部215が形成する直円錐台形状の両底面のうち小なる底面215bと、内支持部213の一底面213dと、は同一平面に略属するように、外支持部215に対して内支持部213は固定されている。
連通流路216eの一端には、乾燥された空気が供給されるようになっており、該供給された乾燥空気は、連通流路216eの他端から環状の隙間216(第1隙間216a)に流入し、第3隙間216cを経て底面215aから環状に噴出する。
そして、基準平面に属する直線s2に沿って吸入流路218(直線s2に対して垂直な断面は略円形である)が形成されている。吸入流路218の一端は外支持部215が形成する前記直円錐台の側面に開口すると共に(なお、吸入流路218の一端近傍は半径を大きくとられ吸入流路チャンバー218cを形成している。)、吸入流路218の他端は底面215aに開口している。直線s2と底面215aとがなす角218d(劣角をいう)はここでは約20度であるが、これに限定されるものでないことは言うまでもない。
噴射流路217は、冷却ガスを底面215aから噴射(噴射流路チャンバー217cから底面215aに向けて噴射する)するものであり、吸入流路218は底面215aに面した空間に存する雰囲気を吸入(底面215aから吸入流路チャンバー218cに向けて吸入する)ものである。
そして、本ノズル組立体211の外支持部215の小なる底面215b及び内支持部213の一底面213d(底面215b及び一底面213dは同一平面に略属する。)に底面241aが密接することで、底面215b及び一底面213dに開口している第1隙間216aを塞ぐ閉塞部材241が、本ノズル組立体211の上部に取り付けられている。閉塞部材241は、直線103を軸とする直円柱形状をしており、直線103に沿って連続した内部空間241k(内部空間241kは直線103を軸とした回転体形状をしている)を有している。内部空間241kは、底面241aにおいて内部空間213nに連通している(内部空間241kの底面241aにおける半径は、ガス流路部213n1の一底面213dにおける半径r8に略等しい。)。
加えて図4及び図5も参照しつつ説明すると、レーザ発振器309から発生されたレーザビーム309cは、レーザビーム309cを反射する鏡313によって直線103に沿った方向に反射され、レンズ310にて焦点調節された後、直線103に沿って内部空間241kの上部(閉塞部材241の底面241b側)からガス流路部213n1及びノズル101の流路109を経て樹脂封止体301に照射されることで樹脂封止体301をレーザ加工(切断)する(なお、レーザ発振器309からのレーザビーム309cを直線103に沿った方向に発生させるようにして鏡313を省略することもできる。)。また、レーザビーム309c照射と同時に、レーザ加工(切断)用のアシストガスも内部空間241kの上部(閉塞部材241の底面241b側)からガス流路部213n1及びノズル101の流路109を経て樹脂封止体301に噴射される。
そして、噴射流路チャンバー217cには、空気冷却装置411から圧送された冷却ガス(冷却空気)(露点温度:−70℃以下、温度:−60℃)が流量制御弁413により流量調整され供給されている。噴射流路チャンバー217cに供給された冷却ガスは、噴射流路217を経て底面215aから噴射される(図6中、矢印F2)。
さらに、吸入流路チャンバー218cには、真空ポンプ421のサクション(吸入側)が接続されることで、流量制御弁423により流量調整された状態で吸入流路チャンバー218cから気体(空気)が吸引されている。これにより底面215aと樹脂封止体301との間に存する雰囲気(空気)が吸入流路218を経て吸入されている(図6中、矢印F3)。
なお、図6においては、図示及び理解を容易にするため、底面215aと主表面302aとの間を拡げた状態を図示している(実際にレーザ加工する際には、底面215aと主表面302aとを接近させて行う。)。
図6に示したレーザ加工装置においては、被加工面(主表面302a)に対向する対向面(ここでは底面215aと先端面105bとを含んでなる)であって、アシストガスとレーザビーム309cとを内部空間から外部空間へ向け通過させる通過孔(ここでは噴射口109ba)と、通過孔(噴射口109ba)を取り囲む閉じた曲線に沿って形成された脱湿気体噴射孔(底面215aと先端面105bとの間に形成された第3隙間216c)と、が形成された対向面を有するものである。
図6に示したレーザ加工装置においては、アシストガス及びレーザビーム309cを導く内部空間(ここでは流路109)を有し、先端に前記通過孔(ここでは噴射口109ba)が形成されたノズル101と、ノズル101を保持するノズル保持具(ここでは内支持部213と外支持部215とを含んでなる)と、を含んでなり、脱湿気体噴射孔(底面215aと先端面105bとの間に形成された第3隙間216c)が、対向面(底面215aと先端面105bとを含んでなる)においてノズル101の周囲を巡る前記閉じた曲線(ここでは略円形)に沿ってノズル101とノズル保持具(内支持部213と外支持部215とを含んでなる)との間に形成されるものである。
図6に示したレーザ加工装置においては、前記閉じた曲線(底面215aと先端面105bとの間の第3隙間216cが沿って形成されている閉じた曲線)が、通過孔(噴射口109ba)を中心とする円を略なすものである。
図6に示したレーザ加工装置においては、レーザビーム309cを被加工面(主表面302a)に照射しつつレーザビーム309cに対して被加工物(樹脂封止体301)を連続的に移動させることで、被加工物(樹脂封止体301)に連続した貫通溝をレーザ加工により形成するものであり(ここでは被加工物(樹脂封止体301)が図6において左方向(図6中、矢印Xとは反対方向)に移動することにより、レーザビーム309cの照射部分は被加工面(主表面302a)において図6中では右方向(図6中、矢印X方向)に移動させて被加工物(樹脂封止体301)に連続した貫通溝を形成する。)、冷却気体噴射孔(底面215aにおける噴射流路217の開口)から噴射される冷却気体(冷却空気)の少なくとも一部は、形成された貫通溝の内部に向けて噴射されるものである。
図6に示したレーザ加工装置においては、貫通溝の内部に向けて噴射される前記少なくとも一部は、照射部分に向けて噴射されるものであり、貫通溝の内部に向けて噴射される前記少なくとも一部の、被加工面(主表面302a)に平行な速度成分(矢印F2方向に噴射されるので、その噴射速度のうち被加工面(主表面302a)に平行な速度成分は図6中では右方向に向いている。)は、照射部分における貫通溝の形成方向(図6中では右方向)と同じ方向に向いているものである。なお、貫通溝の内部に向けて噴射される前記少なくとも一部の、被加工面(主表面302a)に平行な速度成分(矢印F2方向に噴射されるので、その噴射速度のうち被加工面(主表面302a)に平行な速度成分は図6中では右方向に向いている。)を、照射部分における貫通溝の形成方向(図6中では右方向)と同じ方向に向けるために、ここでは被加工物(樹脂封止体301)が図6において正逆両方向に回動する(被加工面(主表面302a)に垂直な直線(ここでは直線103に平行な直線)を軸に回動する)ようになっているが、これに限定されるものではなく、ノズル101に対して被加工面(主表面302a)が相対的に回動すればよく、例えば、被加工面(主表面302a)は回動せずにノズル101が回動するようにしてもよい。
図6に示したレーザ加工装置においては、気体を吸引する吸引孔(底面215aにおける吸入流路218の開口)を対向面(底面215aと先端面105bとを含んでなる)に有するものである。
図6に示したレーザ加工装置においては、気体を吸引する吸引孔(底面215aにおける吸入流路218の開口)を対向面(底面215aと先端面105bとを含んでなる)に有し、吸引孔(底面215aにおける吸入流路218の開口)から吸引される気体の移動方向(図6中、矢印F3方向)と、冷却気体噴射孔(底面215aにおける噴射流路217の開口)から噴射される冷却気体の移動方向(図6中、矢印F2方向)と、アシストガスの噴射方向(直線103に沿った方向)と、が一平面(図6の断面)に存するものである。
そして、図6に示したレーザ加工装置を用い、真空ポンプ421による雰囲気(空気)吸引を無くした(流量制御弁423を閉じる)場合には、多数のスパッタが観察されたが、真空ポンプ421による雰囲気(空気)吸引を再開した(流量制御弁423を開けた)場合には、スパッタの発生が減少した。
12 凹条
12a 一方側
12b 他方側
13 直線
14 直線
15 本体部
15a、15b 底面
17 つば部
19 流路
19a 絞り流路部
19b ストレート流路部
19ba 噴射口
101 ノズル
103 直線
105 本体部
105a 底面
105b 先端面
107 つば部
109 流路
109a 円錐台流路部
109b 円柱流路部
109ba 噴射口
111 本ノズル組立体
113 内支持部
113c 環状溝
113d 一底面
113n 内部空間
113n1 ガス流路部
115 外支持部
115a、115b 底面
115n 内部空間
115n1 内支持部遊嵌部
115n2 ノズル遊嵌部
116 隙間
116a 第1隙間
116b 第2隙間
116c 第3隙間
116e 連通流路
117 噴射流路
117c 噴射流路チャンバー
117d 角
118 吸入流路
118c 吸入流路チャンバー
118d 角
141 閉塞部材
141a、141b 底面
141k 内部空間
211 本ノズル組立体
213 内支持部
213c 環状溝
213d 一底面
213n 内部空間
213n1 ガス流路部
215 外支持部
215a、215b 底面
215n 内部空間
215n1 内支持部遊嵌部
215n2 ノズル遊嵌部
216 隙間
216a 第1隙間
216b 第2隙間
216c 第3隙間
216e 連通流路
217 噴射流路
217c 噴射流路チャンバー
217d 角
218 吸入流路
218c 吸入流路チャンバー
218d 角
241 閉塞部材
241k 内部空間
241a、241b 底面
301 樹脂封止体
302 プリント基板
302a 主表面
303 チップ
304 封止樹脂
309 レーザ発振器
309c レーザビーム
310 レンズ
313 鏡
401 除湿装置
403 流量制御弁
411 空気冷却装置
413 流量制御弁
421 真空ポンプ
423 流量制御弁
Claims (10)
- レーザビームを被加工物の表面である被加工面に照射して被加工面を加工するレーザ加工において被加工面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルであって、
被加工面から離間して配置され、かつ、被加工面に対向するノズル面と、
アシストガスとレーザビームとを内部空間から外部空間に通過させるためにノズル面に形成された噴射口と、
噴射口を通過するようノズル面に形成された凹条と、
を備えてなり、
凹条が、ノズル面の外縁に達しており、
凹条の被加工面への投影が、被加工面において既に加工された軌跡である既加工軌跡及び/又は被加工面においてこれから加工される軌跡である予定軌跡に略一致するものであり、
噴射口から噴射されたアシストガスがその噴射口から凹条に沿ってノズル面の外縁まで吹き抜けることができる、
噴射ノズル。 - 噴射口からノズル面に対し垂直方向にアシストガスが噴射されるものである、請求項1に記載の噴射ノズル。
- ノズル面が平面に沿ったものである、請求項1又は2に記載の噴射ノズル。
- 前記凹条が、ノズル面に存する直線に沿って形成されるものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載の噴射ノズル。
- 噴射口から噴射されるアシストガスの噴射方向に垂直な平面へのノズル面及び噴射口の正投影において、噴射口の中心点から半径1.5mmの円形の全部がノズル面に含まれるものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の噴射ノズル。
- レーザビームを発生させるレーザ発振器と、レーザビームを被加工物の表面である被加工面に照射して被加工面を加工するレーザ加工において被加工面に吹き付けるアシストガスを噴射するための噴射ノズルと、噴射ノズルに形成された流路とを備えたレーザ加工装置であって、
噴射ノズルは、被加工面から離間して配置され、かつ、被加工面に対向するノズル面と、アシストガスとレーザビームとを内部空間から流路を経て外部空間に通過させるためにノズル面に形成された噴射口と、噴射口を通過するようノズル面に形成された凹条とを備え、
凹条が、ノズル面の外縁に達しており、
凹条の被加工面への投影が、被加工面において既に加工された軌跡である既加工軌跡及び/又は被加工面においてこれから加工される軌跡である予定軌跡に略一致するものであり、
噴射口から噴射されたアシストガスがその噴射口から凹条に沿ってノズル面の外縁まで吹き抜けることができる、
レーザ加工装置。 - 噴射口からノズル面に対し垂直方向にアシストガスが噴射されるものである、請求項6に記載のレーザ加工装置。
- ノズル面が平面に沿ったものである、請求項6又は7に記載のレーザ加工装置。
- 前記凹条が、ノズル面に存する直線に沿って形成されるものである、請求項6乃至8のいずれか1に記載のレーザ加工装置。
- 噴射口から噴射されるアシストガスの噴射方向に垂直な平面へのノズル面及び噴射口の正投影において、噴射口の中心点から半径1.5mmの円形の全部がノズル面に含まれるものである、請求項6乃至9のいずれか1に記載のレーザ加工装置。
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