JP5540201B2 - 電磁波プラズマ発生装置、その発生方法、その表面処理装置、およびその表面処理方法。 - Google Patents

電磁波プラズマ発生装置、その発生方法、その表面処理装置、およびその表面処理方法。 Download PDF

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本発明は、電磁波プラズマ発生装置、その発生方法、その表面処理装置、およびその表面処理方法に関するものである。
近年、半導体産業においては、配線密度の高密化に伴い、極めてクリーン度の高い環境が求められている。このようなクリーン度の高い環境を得るためには、半導体製造装置を構成する金属製部品、金属配管などの部材の表面がクリーンであることが求められる。金属製部品、金属配管などの部材の表面をクリーンにする方法の一つに、プラズマ法を用いるものがある。プラズマを高密度で発生させ、部材の表面をプラズマ処理することにより、クリーンにすることができる。さらに、反応ガスなどとともに部材表面をプラズマ処理することにより、部材表面に耐食性の高い薄膜を形成することもできる。そのため、プラズマ法に対するニーズは高まってきている。
特に、半導体装置に用いる金属配管は、腐食性ガスを用いることが多いので、その配管内部を耐食性薄膜で保護したいというニーズは高かった。しかし、プラズマを金属配管の内部表面に均一に発生させて、耐食性薄膜を形成することは困難であった。さらに、複雑な形状を有する部材の表面を均一にプラズマ処理することはより困難であった。そこで、このような金属配管の内部形状に合わせてプラズマを発生させる手段が求められていた。
特許文献1では、電磁波を用いてプラズマを制御し、導電性材質からなる被処理部材をプラズマ処理する例について開示されている。この被処理部材は、奥行きが深く、開口部は狭いので、アスペクト比が高い内部形状を有している。このような内部形状を有する被処理部材に対しても、負バイアス電圧と2.45GHzの電磁波を調整することによって、当該内部形状に沿って存在するプラズマシーズで重畳し、内面プラズマを生成維持することが可能になっている。
しかし、前記内面プラズマが、奥行き方向に沿って均一ではなく、被処理部材の内部表面を均一にプラズマ処理できないという問題があった。
電磁波を被処理部材の内部に反射させることなく伝搬進入させることができないため、十分な電磁波のパワーを内部に導入できないので、電界強度の不均一分布が生じ、内面プラズマの不均一分布が生じるためである。また、被処理部材の反対側が開放されている場合には、被処理部材の内部で前記電磁波が奥行き方向の定在波を形成し、電界強度の不均一分布が生じ、内面プラズマの不均一分布が生じるためである。
さらに、負バイアス電圧の値をいくら上げても、内面プラズマが全面点火されない場合もあった。
前記内面プラズマは、ターゲットに印加する負バイアス電圧の値を徐々に上げてある電圧値となったときに、前記被処理部材の内部で全面点火され生成維持されるが、電磁場が不均一に分布し、さらに、プラズマを被処理部材の内部に誘導する手段がない場合には、内面プラズマを生成するための電磁波を被処理部材の内部に均一に伝搬進入させることができないためである。
特開2004−47207号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、小さい負バイアス電圧値で電磁波プラズマを発生させ、パイプのような高アスペクト比の内部形状を有する被処理部材の内部に前記電磁波プラズマを均一に伝搬させる電磁波プラズマ発生方法およびその発生装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、ガス供給部、ガス排出部および電磁波供給部が備えられたチャンバーと、被処理部材に負の直流バイアス電圧を印加するバイアス印加手段とを具備しており、少なくとも一つの開口部を有する中空部を有する被処理部材の中空部の内部にプラズマを発生させる電磁波プラズマ発生装置であって、前記被処理部材が前記チャンバー内に配置されるとともに、前記電磁波供給部が、前記被処理部材の前記開口部を望む位置に配置され、前記チャンバー内で発生されるプラズマ生成領域を前記中空部内に誘導するプラズマ誘導手段が少なくとも1つ以上備えられ、該プラズマ誘導手段は、前記被処理部材の前記中空部に配置される線状の導電体であり、前記被処理部材の外表面には絶縁性薄膜が設けられていることを特徴とする。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記絶縁性薄膜がシリカコートであることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記線状の導電体が、前記中空部の中心軸と同軸状に配置されていることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記中空部に別の開口部が設けられている場合に前記線状の導電体の一端側が前記中空部の内部に配置され、前記線状の導電体の他端側が前記別の開口部より突出するように配置され、かつ、その突出長が前記被処理部材の内部から外部へ伝搬する電磁波の波長の1/4の整数倍の長さとされていることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記中空部に別の開口部が設けられている場合に前記別の開口部に、電磁波吸収部材が配置されていることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記電磁波供給部が、前記チャンバー内を望む位置に配置された誘電体と、前記誘電体を介して前記チャンバー内に電磁波を供給するために前記誘電体に接続された同軸ケーブルもしくは導波管とからなることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記線状の導電体が、前記誘電体に接続されていることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生装置は、前記誘電体が、前記チャンバー内を望む位置に配置されたフランジ部の内部に備えられ、前記フランジ部には、前記誘電体を貫通して前記フランジ部と同軸線路を形成する同軸内導体部が設けられ、前記同軸内導体部の一端側に前記線状の導電体が接続され、前記同軸内導体部の他端側に同軸ケーブルもしくは導波管が接続されていることが好ましい。
本発明の電磁波プラズマ発生方法は、ガス供給部、ガス排出部および電磁波供給部が備えられたチャンバーと、被処理部材に負の直流バイアス電圧を印加するバイアス印加手段とを用いて、少なくとも1つの開口部を有する中空部を有しかつ外表面に絶縁性薄膜が設けられた被処理部材の中空部の内部に電磁波プラズマを発生させる電磁波プラズマ発生方法であって、前記被処理部材を前記チャンバー内に配置するとともに、前記電磁波供給部を前記被処理部材の前記開口部を望む位置に配置し、前記チャンバー内で発生させるプラズマ生成領域を、前記被処理部材の前記中空部に配置される線状の導電体からなるプラズマ誘導手段によって、前記中空部内に誘導することを特徴とする。
本発明の電磁波プラズマ表面処理装置は、本発明の電磁波プラズマ発生装置に、窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガスの供給手段が備えられていることを特徴とする。
本発明の電磁波プラズマ表面処理方法は、本発明電磁波プラズマ発生方法において、チャンバー内部に窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガスを供給しながら、電磁波プラズマを発生させて被処理部材の内壁面を表面処理することを特徴とする。
上記の構成によれば、小さい負バイアス電圧値で電磁波プラズマを発生させ、パイプのような高アスペクト比の内部形状を有する被処理部材の内部に前記電磁波プラズマを均一に伝搬させる電磁波プラズマ発生方法およびその発生装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置101は、ガス供給部40、ガス排出部41および電磁波供給部22が備えられたチャンバー10に、被処理部材3と、線状の導電体7からなるプラズマ誘導手段1とが備えられて構成されている。
また、電磁波供給部22には、誘電体51が備えられている。
被処理部材3は、開口された中空部5を備えたパイプ状被処理部材18であり、誘電体51を介してチャンバーと直流的に絶縁されて配置されている。なお、被処理部材3の材料としては、導電性材料であればよく、たとえば、金属あるいは合金材料などを挙げることができ、SUSなどを用いることができる。
線状の導電体7は、長手方向をパイプ状被処理部材18の長手方向と平行にされて、かつ開口された中空部5の内壁面5cに接触されずに中空部5の内部に配置されている。
このように、パイプ状被処理部材18の内部形状に合わせて、線状の導電体7が配置されることによって、パイプ状被処理部材18の内部形状に合わせて、電磁波プラズマを形成することができ、パイプ状被処理部材18の中空部5の内壁面5cをプラズマ処理することができる。
また、線状の導電体7が内壁面5cに接触する場合には、電磁波プラズマの分布が不均一となり好ましくない。
なお、線状の導電体7の材料としては、たとえば、タングステン・ワイヤー(W線)などを用いることができる。
また、線状の導電体7は、パイプ状被処理部材18の中空部5の内部に同軸状構造となるように配置されている。
同軸状構造とは、中空部5の中心軸となる位置に線状の導電体7が配置される構造をいい、このように配置することによって、中空部5へ伝搬進入する電磁波の反射を減らすことができ、パイプ状被処理部材18の内部で電磁波プラズマを均一に分布させることができる。
さらに、線状の導電体7は、その他端側7bが、パイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5bから外部に電磁波供給部22から放射される電磁波の波長の1/4の整数倍の長さだけ飛び出るように配置され、アンテナ部2とされている。
アンテナ部2が、前記被処理部材の内部から外部へ伝搬する電磁波の波長の1/4の整数倍の長さだけ飛び出るように配置されている場合には、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に、反射が起こらない。中空部5の中を伝搬してきた電磁波が中空部5の外に完全放射されるためである。その結果、電磁波を中空部5の中心軸方向に沿って、これまで以上に長く、均一に伝搬することができ、電磁波プラズマを均一に発生することができる。
なお、アンテナ部2を設けない場合でも、線状の導電体7の他端側7bが十分長く伸ばされた場合には、アンテナ部2を設ける場合と同様の効果を得ることができる。具体的には、電磁波を線状の導電体7に沿って長く伝搬させた場合には、線状の導電体7は抵抗を有するので、電磁波のパワーを減衰させつつ完全吸収することができ、中空部5の別の開口部5bで反射を起こさず、実質的に外部に電磁波を完全放射させることができる。その結果、電磁波が中空部5の長手方向に沿って、定在波を形成することを防ぐことができ、電磁波プラズマを均一に発生させることができる。
パイプ状被処理部材18は、配線32によりチャンバー10の外部に配置されたバイアス印加手段30と接続されている。バイアス印加手段30を操作して、パイプ状被処理部材18に負のバイアス電圧を印加できる構成となっている。そのため、バイアス印加手段30を操作して、パイプ状被処理部材18に負バイアスを印加し、発生させる電磁波プラズマをパイプ状被処理部材18の奥行き方向に均一に分布させることができる。
特に、電磁波供給部22からパイプ状被処理部材18に向けて放射された電磁波が、シース領域とプラズマ相との境界に沿って、中空部5の開口部5aから別の開口部5bに向けて伝搬される際に、パイプ状被処理部材18に負のバイアス電圧を印加することによって、前記電磁波に沿って発生される電磁波プラズマの均一性を高めることができる。
電磁波供給部22は、チャンバー10内を望む位置に配置された誘電体51と、誘電体51を介してチャンバー10内に電磁波を供給するために誘電体51に接続された同軸ケーブル60とから構成されている。
誘電体51は、チャンバー10に設けられた孔部11に挿入され構成されている。誘電体51とチャンバー10の間には、シール部55が挿入され、誘電体51がチャンバー10に支持部64により固定されることにより、チャンバー10内の減圧状態が保たれる構成となっている。
同軸ケーブル60は、電磁波供給源20に接続されている。また、同軸ケーブル60は、線状の内部導体部62と、それを取り囲む絶縁体と、更に前記絶縁体を取り囲む外部導体部63とを有している。電磁波供給源20から発生された電磁波は、同軸ケーブル60の中の内部導体部62と外部導体部63との間を伝搬し、コネクタ部53によって同軸ケーブル60と接続された外部アンテナ部57の先端から、誘電体51を介して、パイプ状被処理部材18に放射される構成となっている。
なお、同軸ケーブル60の代わりに導波管を用いても良い。
電磁波供給部22には、電磁波をほとんど吸収することがない誘電体材料からなる誘電体51が備えられているので、減圧状態とされたチャンバー10内に配置された被処理部材3に向けて、パワーを減衰させることなく、電磁波を伝搬させることができる。
なお、誘電体51の材料としては、石英ガラスなどを挙げることができる。
また、チャンバー10内を減圧状態とした後、ガス供給口40およびガス排出口41のバルブを調節して、ガスの濃度を調整することができる。
さらに、ガス供給部40には、窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガス供給部42が設けられ、チャンバー10内に窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの反応ガスを供給できる構成となっている。プラズマCVD用の反応ガスとしては、たとえば、SiHとOや、テトラエトキシシラン(TEOS)とOなどを挙げることができる。これらの反応ガスを用いた場合には、パイプ状被処理部材18の開口された中空部5の内部にプラズマを発生させて、プラズマCVD法の原理で内壁面5cに薄膜を形成することができる。たとえば、SiOやダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜などを形成することができる。
また、Arなどの不活性ガスを用いた場合には、プラズマ表面処理により、パイプ状被処理部材18の中空部5の内壁面5cのクリーニングを行うことができる。
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の別の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置102は、プラズマ誘導手段1として用いられた線状の導電体7の他端側7bにアンテナ部2が設けられる代わりに、セラミックの布からなる電磁波吸収部材70が、パイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5b側に配置されている他は、図1において示した電磁波プラズマ発生装置101と同一の構成である。なお、実施形態1と同一の部材については同一の符号をつけて示してある。
電磁波吸収部材70がパイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5bに配置された場合には、電磁波が電磁波吸収部材70に吸収されるので、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に反射が起こらず、定在波が形成されるのを防ぎ、進行波のみを形成することができ、アンテナ部2を設ける場合と同様の効果を得ることができる。
電磁波吸収部材70の材料としては、セラミックの布のほか、カーボン、C/Cコンポジットなどを用いることができる。
なお、図2においては、電磁波吸収部材70を中空部5の別の開口部5bからスペースをあけて上方に配置されているが、この開口部5bに接して配置されていても良い。
また、本発明の実施形態では、線状の導電体7の他端部7bはアンテナ部2とされていないが、線状の導電体7の他端部7bがアンテナ部2とされ、その上で、電磁波吸収部材70が配置されていても良い。どちらも電磁波の反射を防止するという同一の効果をもたらすためである。
(実施形態3)
図3は、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置のさらに別の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置103は、プラズマ誘導手段1として線状の導電体7とともに、パイプ状被処理部材18の外表面18cに絶縁性薄膜12が成膜されている他は、図1において示した電磁波プラズマ発生装置101と同一の構成である。なお、実施形態1と同一の部材については同一の符号をつけて示してある。
パイプ状被処理部材18の外表面18cに絶縁性薄膜12が設けられた場合には、絶縁性薄膜12に接するプラズマシースに直流バイアスがかからないため,電磁波が外表面18cに沿って伝搬されず、絶縁性薄膜12上にプラズマを形成することはできない.よって電磁波は、実質的にパイプ状被処理部材18の内部でのみ吸収される。そのため、絶縁性薄膜12を設けない場合に比べて、パイプ状被処理部材18の内部に形成されたプラズマの密度を大きくすることができる。
絶縁性薄膜12の材料としては、シリカなどを挙げることができる。たとえば、パイプ状被処理部材18の外表面18cにCVD法などでシリカコーティング層からなる薄膜を形成して、絶縁性薄膜12とする。
(実施形態4)
図4は、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置のさらに別の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置104は、プラズマ誘導手段1として、アース部14に接続された線状の導電体7が2本用いられている他は、図1において示した電磁波プラズマ発生装置101と同一の構成である。また、被処理部材3としてバルブ状被処理部材19を用いている。なお、実施形態1と同一の部材については同一の符号をつけて示してある。
バルブ状被処理部材19は、中空部5が分岐部15で分岐され、水平方向にそれぞれ反対方向に折れ曲がり、中空部5の別の開口部5bが副中空部16、17とされている。分岐部15において開閉を行う機構を設けることにより(不図示)ことにより、副中空部16、17とから流入するガスや水などの流体の流れを制御することができる構成となっている。
図4に示すように、バルブ状被処理部材19は、その中空部5の開口部5aを電磁波供給部22に向けて配置されている。
副中空部16において、線状の導電体7の一端側7aは、その長手方向を副中空部16の長手方向と平行にされて、かつ、副中空部16の内壁面16cに接触されずに、副中空部16の内部に配置され、かつ、同軸状構造となるように配置されている。
また、線状の導電体7の他端側7bは、バルブ状被処理部材19の副中空部16から外部に、電磁波供給部22から放射される電磁波の波長の1/4の整数倍の長さだけ飛び出るように配置されてアンテナ部2とされている。
さらに、このアンテナ部2は、アース部14に接続されている。
また、2つある線状の導電体7の他方も、副中空部17において同様の構成で配置されている。
電磁波供給部22からバルブ状被処理部材19に向かって放射された電磁波は、中空部5の開口部5aから入射される。入射された電磁波は、分岐部15で副中空部16、17へ分岐され、副中空部16、17の内部に配置された線状の導電体7からなるプラズマ誘導手段1に沿って、バルブ状被処理部材19の外部に放射される。この電磁波に沿って、電磁波プラズマも中空部5および副中空部16,17の内部形状に沿って形成される。
このように、バルブ状被処理部材19が複雑な形状であったとしても、線状の導電体7からなるプラズマ誘導手段1を用いることにより、内部形状に沿って電磁波プラズマを形成することができ、内壁面16c、17cのプラズマ表面処理を行うことができる。
本実施形態の電磁波プラズマの発生方法では、中空部5の別の開口部5bが2つの副中空部16、17とされたバルブ状被処理部材19についての一例を示したが、中空部5の別の開口部5bに複数の副中空部が存在する被処理部材である場合でも、個々の副中空部に線状の導電体7を導入することにより、電磁波を中空部5の開口部5aから別の開口部5bに設けられた副中空部まで誘導し、容易に、かつ、均一に副中空部の内部表面をプラズマ処理することができる。
(実施形態5)
図5は、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置のさらに別の一例を示す断面模式図である。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置105は、被処理部材3としてパイプ状被処理部材18を用い、電磁波供給部22にフランジ部50を用いている他は、図1において示した電磁波プラズマ発生装置101と同一の構成である。また、なお、実施形態1と同一の部材については同一の符号をつけて示してある。
電磁波供給部22は、チャンバー10に設けられた孔部11にフランジ部50が挿入され構成されている。フランジ部50はチャンバー10に隙間なく挿入されて、真空リークを防ぐ措置がなされているので、チャンバー10内の減圧状態が保たれている。
また、パイプ状被処理部材18は、絶縁リング部56を介してフランジ部50上に配置されており、電気的絶縁性が確保されている。
フランジ部50は、同軸内導体部59が誘電体51で取り囲まれ、更にその誘電体51をSUSの外部筐体が取り囲んで形成されている。また、同軸ケーブル60は、内部導体部62が絶縁体で取り囲まれ、その絶縁体が外部導体部63で取り囲まれて形成されている。また、その同軸ケーブル60は電磁波供給源20と接続されている。フランジ部50のチャンバー10外部側では、同軸ケーブル60が接続され、フランジ部50の同軸内導体部59と同軸ケーブル60の内部導体部62とが接続されている。さらに、フランジ部50のチャンバー10内部側では、線状の導電体7の一端側7aが、同軸内導体部59と接続されている。
フランジ部50には、誘電体51を貫通して同軸内導体部59が設けられている。つまり、フランジ部50と同軸内導体部59との間には、誘電体51が備えられており、かつ同軸ケーブル60の内部導体部62とプラズマ誘導手段1との間に直流電流が流れうる構成となっている。電磁波供給源20で発生された電磁波は、同軸ケーブル60の内部導体部62と外部導体部63の間を伝搬して、フランジ部50内部の誘電体51まで伝搬され、そこから線状の導電体7に案内され、パイプ状被処理部材18の中空部5の内部に放射される構成となっている。
このようにして放射された電磁波は、線状の導電体7の同軸状に中空部5の内部を伝搬する。さらに、中空部5の別の開口部5bにはアンテナ部2が設けられているので、中空部5の別の開口部5bで反射することなく、中空部5の外部に放射される。このため、パイプ状被処理部材18の中空部の内部形状に沿って、均一に電磁波を形成することができ、その電磁波に沿って均一に電磁波プラズマを形成することができる。
なお、同軸ケーブル60の代わりに導波管を用いても良い。
フランジ部50内部の誘電体51に線状の導電体7が接続されていることが好ましい。線状の導電体7をパイプ状被処理部材18の中空部5の中心軸に配置するとともに、電磁波供給部22の中心軸に配置することにもなり、電磁波をより均一に誘導することができるためである。
(実施形態6)
次に、本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生方法の一例について、電磁波プラズマ発生装置101を用いて説明する。
先に記載したように、電磁波プラズマ発生装置101は、ガス供給部40、ガス排出部41および電磁波供給部22が備えられたチャンバー10と、パイプ状被処理部材18にバイアス電圧を印加するバイアス印加手段30とが備えられている。電磁波供給部22は、誘電体35と電磁波供給源20に接続された同軸ケーブル60とから構成され、その誘電体51がチャンバー10内を望む位置に配置されている。また、少なくとも1つの開口部5aを有する中空部5を有するパイプ状被処理部材18が、チャンバー10の内部に、開口部5aを電磁波供給部22側に向けて配置されている。
チャンバー10内を減圧し、ガス供給部40からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部41のバルブを調節して、チャンバー10内のガスの量を一定として、チャンバー10内圧力を一定にして、初期プラズマを電磁波供給部22の近接領域に形成する。その後、100MHz〜100GHzの周波数の電磁波を、電磁波供給部22から放射した後に、パイプ状被処理部材18に負のバイアス電圧を徐々に印加する。プラズマ誘導手段1である線状の導電体7が、チャンバー10内で発生したプラズマ生成領域を中空部5内に誘導し、ある負のバイアス電圧となったときに、プラズマが全面点火する。プラズマが全面点火されることにより、パイプ状被処理部材18の内部を均一にプラズマ表面処理することができる。
また、プラズマ誘導手段1として、パイプ状被処理部材18の外表面18cに絶縁性薄膜12を設けることによっても、パイプ状被処理部材18の内部に電磁波プラズマを誘導することができ、パイプ状被処理部材18の内部を均一にプラズマ処理することができる。
(実施形態7)
次に、本発明の実施形態である電磁波プラズマ表面処理装置の一例について、電磁波プラズマ発生装置101を用いて説明する。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ表面処理装置は、図1に示すように、ガス供給部40に、窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガスの供給手段42が備えられ、構成されている。
そのため、所定の表面処理用反応ガスを供給手段42からガス供給部40を介してチャンバー10内に導入することができ、パイプ状被処理部材18の内壁面18cを、この所定の表面処理用反応ガスでプラズマ表面処理をすることができる。
(実施形態8)
次に、本発明の実施形態である電磁波プラズマ表面処理方法の一例について、電磁波プラズマ発生装置101を用いて説明する。
実施形態6に記載したように、パイプ状被処理部材18の内部で電磁波プラズマを全面点火させた状態で、表面処理用反応ガスを供給手段42からガス供給部40を介してチャンバー10内に導入し、パイプ状被処理部材18の内壁面18cを、この表面処理用反応ガスでプラズマ表面処理する。たとえば、プラズマCVD用の表面処理用反応ガスを用いた場合には、被処理部材18の内壁面18cにプラズマCVD法により均一な膜厚の薄膜を形成することができる。
以下、本発明の実施形態の効果について説明する。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置101は、プラズマ誘導手段1が、長手方向をパイプ状被処理部材18の長手方向と平行にされて、かつ中空部5の内壁面5cに接触されずに中空部5の内部に配置され、かつ、パイプ状被処理部材18の中空部5の内部に同軸状構造となるように配置されている構成なので、中空部5に差し込まれた線状の導電体7のまわりに中空部5の内部形状に沿って、電磁波プラズマを形成することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置101は、線状の導電体7の他端側7bが、パイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5bから外部に、電磁波供給部22から放射される電磁波の波長の1/4の整数倍の長さだけ飛び出るように配置されてアンテナ部2とされているので、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に、反射が起こらなくすることができる。その結果、電磁波を中空部5の軸方向に沿った定在波の形成を防止することが出来、電磁波プラズマを均一に発生することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置102は、パイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5b側に電磁波吸収部材70が配置されているので、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に、反射が起こらなくすることができる。その結果、電磁波を中空部5の軸方向に沿った定在波の形成を防止することが出来、電磁波プラズマを均一に発生することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置103は、パイプ状被処理部材18の外表面18cに絶縁性薄膜12が設けられているので、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に、反射が起こらなくすることができる。その結果、電磁波を中空部5の軸方向に沿った定在波の形成を防止することが出来、電磁波プラズマを均一に発生することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置101〜105は、パイプ状被処理部材18が、配線32を介して、前記チャンバー10の外部に備えられたバイアス印加手段30に接続されているので、パイプ状被処理部材18に負のバイアス電圧を印加することができ、電磁波プラズマを拡大することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置101〜105は、電磁波供給部22に誘電体51が備えられているので、この誘電体51を介して、電磁波をチャンバー10内の被処理部材3の内部に容易に導入することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置105は、電磁波供給部22に誘電体51を貫通した同軸内導体部59を備えたフランジ部50が配置され、前記フランジ部50のチャンバー外部側に電磁波を供給する同軸ケーブル60が接続され、前記フランジ部50のチャンバー内部側にプラズマ誘導手段1が接続されているので、電磁波供給源20で発生された電磁波を、誘電体51を介して、フランジ部50の同軸内導体部59に案内され、チャンバー10内に電磁波を伝搬することができ、それに伴い電磁波プラズマを発生させることができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、アンテナ部2を表面波アンテナとして機能させることができるので、中空部5の別の開口部5bに電磁波が達した際に、電磁波の反射を防止し、電磁波が中空部5の軸方向に沿って定在波を形成するのを防止でき、電磁波プラズマをより均一に発生することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、パイプ状被処理部材18の中空部5の別の開口部5bに電磁波吸収部材70を配置することにより、この開口部5bに電磁波が達した際に、電磁波の反射を防止し、電磁波が被処理部材3内で定在波を形成するのが防止でき、電磁波プラズマをより均一に発生することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、負バイアス電圧が直流の場合、パイプ状被処理部材18の外表面18cに絶縁性薄膜12を設けることにより、プラズマ相をパイプ状被処理部材18の内部に閉じ込めることができ、プラズマを誘導することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、パイプ状被処理部材18に負のバイアス電圧を印加する構成なので、電磁波に沿って発生されたプラズマを強めることができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、誘電体51を介して、電磁波供給部22からパイプ状被処理部材18に向けて電磁波が放射される構成なので、容易に、かつ、効率的に電磁波プラズマをパイプ状被処理部材18の内部に生成することができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、電磁波によってプラズマが発生させるので、マグネトロン方式などに比べてエネルギー効率が高く、安価にプラズマ表面処理を行うことができる。
本発明の実施形態である電磁波プラズマの発生方法は、中空部5の別の開口部5bに2つの副中空部16,17が存在するバルブ状被処理部材19である場合でも、個々の副中空部16,17にプラズマ誘導手段1を配置することにより、電磁波を中空部5の開口部5aから別の開口部5bに設けられた副中空部16、17まで誘導することができる構成なので、容易に、かつ、均一に副中空部16,17の内部表面をプラズマ処理することができる。
本発明の実施形態であるプラズマ表面処理装置は、電磁波プラズマ発生装置101〜105に、表面処理用のガス供給部42を取り付けた構成なので、容易に表面処理用のガスを供給することができ、高アスペクト形状のパイプ状被処理部材18であっても、配管形状が複雑なバルブ状被処理部材19でも、容易に、かつ、均一にその内部表面をプラズマ処理することができる。
本発明の実施形態であるプラズマ表面処理方法は、先に記載の電磁波プラズマの発生方法を用いて、表面処理用の反応ガスを供給して成膜する方法なので、高アスペクト形状のパイプ状被処理部材18であっても、配管形状が複雑なバルブ状被処理部材19の内部でも、容易に、かつ、均一に電磁波プラズマを発生させることができ、その内部表面をプラズマ処理することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図4に示すバルブ状形状を有したSUSからなる被処理部材を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成できるかどうか確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、何のコーティング処理も行っていない。この被処理部材をチャンバー内に配置し、図4に示すように、開口された中空部を電磁波供給部である誘電体上に配置し、副中空部には、プラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を内壁に接触しないように差込み、副中空部の他端側から3cmとなる位置に配置したアース部材に固定した。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を93Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−100Vまで変化させた。
バイアス電圧を−66V印加したときに、プラズマが全面点火し、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができた。
(実施例2)
図4に示すバルブ状形状を有したSUSからなる被処理部材を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成できるかどうか確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、シリカコーティング処理を行った。この被処理部材をチャンバー内に配置し、図4に示すように、開口された中空部を電磁波供給部である誘電体上に配置した。しかし、実施例1とは異なり、副中空部には、プラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を配置しなかった。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を93Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−100Vまで変化させた。
バイアス電圧を−83V印加したときに、プラズマが全面点火し、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができた。
(比較例1)
図4に示すバルブ状形状を有したSUSからなる被処理部材を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成できるかどうか確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、何のコーティング処理も行っていない。この被処理部材をチャンバー内に配置し、図4に示すように、開口された中空部を電磁波供給部である誘電体上に配置した。しかし、実施例1とは異なり、副中空部には、プラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を配置しなかった。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を93Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−100Vまで変化させた。
バイアス電圧を−100Vとしても、プラズマが全面点火することはなく、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することはできなかった。
以上、実施例1,2および比較例1の実験条件および実験結果を表1に示す。
Figure 0005540201
(実施例3)
1/4インチ径、長さ100mmのパイプ状形状を有したSUSからなる被処理部材(1/4インチ・パイプ)を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成できるかどうか確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、シリカコーティング処理を行った。この被処理部材をチャンバー内に配置し、図3に示すように、開口された中空部の開口部を電磁波供給部である誘電体上に配置し、開口された中空部の別の開口部には、プラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を内壁に接触しないように差込んだ。また、このW線は、開口された中空部の別の開口部から3cmほど外部に飛び出すように配置した。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を93Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−50Vまで変化させた。
バイアス電圧を−46V印加したときに、プラズマが全面点火し、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができた。
(比較例2)
1/4インチ径、長さ100mmのパイプ状形状を有したSUSからなる被処理部材を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成できるかどうか確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、何のコーティング処理も行わなかった。また、実施例3と同様に、この被処理部材をチャンバー内に配置し、開口された中空部を電磁波供給部である誘電体上に配置したが、中空部にはプラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を配置しなかった。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを40sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を93Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−50Vまで変化させた。
バイアス電圧を−50Vとしても、プラズマが全面点火することはなく、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができなかった。
以上、実施例3および比較例2の実験条件および実験結果を表2に示す。
Figure 0005540201
(実施例4)
1/4インチ径、長さ100mmのパイプ状形状を有したSUSからなる被処理部材を用いて、配管内にプラズマを内部形状に沿って均一に形成するのに必要な電磁波のパワーが、アンテナ部2を形成した場合としない場合とでどの程度違いがあるかを確認する実験を行った。
被処理部材の外面には、シリカコーティング処理を行った。この被処理部材をチャンバー内に配置し、図3に示すように、開口された中空部の開口部を電磁波供給部である誘電体上に配置し、開口された中空部の別の開口部には、プラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を内壁に接触しないように差込んだ。また、このW線は、開口された中空部の別の開口部から3cmほど外部に飛び出すように配置した。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを20sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を32Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、100Wのパワーで電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−54Vまで変化させた。その後、電磁波のパワーを100Wから300Wまで変化させた。
電磁波のパワーを300Wとしたときに、プラズマが全面点火し、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができた。
(実施例5)
1/4インチ径、長さ100mmのパイプ状形状を有したSUSからなる被処理部材の外面には、シリカコーティング処理を行った。また、実施例4と同様に、この被処理部材をチャンバー内に配置し、開口された中空部を電磁波供給部である誘電体上に配置したが、中空部にはプラズマ誘導手段であるタングステン・ワイヤー(W線)を配置しなかった。
チャンバー内を減圧し、ガス供給部からArガスを20sccmの流速で流入させた後、ガス排出部のバルブを調節して、チャンバー内のガスの量を一定として、チャンバー内圧力を32Paとして、初期プラズマを供給口の近接領域に形成した。その後、2.5GHzの周波数で、12cmの波長(真空中)の電磁波を、100Wのパワーで電磁波供給部から放射した後に、被処理部材に印加するバイアス電圧を0Vから−54Vまで変化させた。その後、電磁波のパワーを100Wから300Wまで変化させた。
電磁波のパワーを300Wとしても、プラズマが全面点火することはなく、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができなかった。
さらに電磁波のパワーを上げ、500Wとしたときに、プラズマが全面点火し、配管側面に設けた微細観測穴からの発光を確認することができた。
以上、実施例4および実施例5の実験条件および実験結果を表3に示す。
Figure 0005540201
本発明は、電磁波プラズマ発生装置とその発生方法に関するものであり、この発生装置と発生方法を用いることにより、高アスペクト比を有するパイプ状の配管の内部においても、その表面をガスにより洗浄したり、耐食性薄膜によりコーティングすることができる。そのため、腐食性ガスを用いる半導体産業などにおいて利用可能性がある。
本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態である電磁波プラズマ発生装置の一例を示す断面模式図である。
符号の説明
1…プラズマ誘導手段、1a…一端側、1b…他端側、2…アンテナ部、3…被処理部材、3a…一端側、3b…他端側、5…中空部、5a…開口部、5b…別の開口部、7…線状の導電体、7a…一端側、7b…他端側、10…チャンバー、11…孔部、12…絶縁性薄膜、14…アース部、15…分岐部、16、17…副中空部、18…パイプ状被処理部材、19…バルブ状被処理部材、20…電磁波供給源、22…電磁波供給部、30…バイアス印加手段、32…配線、40…ガス供給部、41…ガス排出部、42…反応ガス供給部、50…フランジ部、51…誘電体、53…コネクタ部、55…シール部、56…絶縁リング部、57…外部アンテナ部、59…同軸内導体部、60…同軸ケーブル、62…内部導体部、63…外部導体部、64…支持部、70…電磁波吸収部材、101、102、103、104、105…電磁波プラズマ発生装置。

Claims (11)

  1. ガス供給部、ガス排出部および電磁波供給部が備えられたチャンバーと、被処理部材に負の直流バイアス電圧を印加するバイアス印加手段とを具備しており、少なくとも一つの開口部を有する中空部を有する被処理部材の中空部の内部にプラズマを発生させる電磁波プラズマ発生装置であって、
    前記被処理部材が前記チャンバー内に配置されるとともに、前記電磁波供給部が、前記被処理部材の前記開口部を望む位置に配置され、
    前記チャンバー内で発生されるプラズマ生成領域を前記中空部内に誘導するプラズマ誘導手段が少なくとも1つ以上備えられ、
    該プラズマ誘導手段は、前記被処理部材の前記中空部に配置される線状の導電体であり、
    前記被処理部材の外表面には絶縁性薄膜が設けられていることを特徴とする電磁波プラズマ発生装置。
  2. 前記絶縁性薄膜がシリカコートであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  3. 前記線状の導電体が、前記中空部の中心軸と同軸状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  4. 前記中空部に別の開口部が設けられている場合に、
    前記線状の導電体の一端側が前記中空部の内部に配置され、
    前記線状の導電体の他端側が前記別の開口部より突出するように配置され、かつ、その突出長が前記被処理部材の内部から外部へ伝搬する電磁波の波長の1/4の整数倍の長さとされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  5. 前記中空部に別の開口部が設けられている場合に、
    前記別の開口部に、電磁波吸収部材が配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  6. 前記電磁波供給部が、前記チャンバー内を望む位置に配置された誘電体と、前記誘電体を介して前記チャンバー内に電磁波を供給するために前記誘電体に接続された同軸ケーブルもしくは導波管とからなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  7. 前記線状の導電体が、前記誘電体に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  8. 前記誘電体が、前記チャンバー内を望む位置に配置されたフランジ部の内部に備えられ、
    前記フランジ部には、前記誘電体を貫通して前記フランジ部と同軸線路を形成する同軸内導体部が設けられ、
    前記同軸内導体部の一端側に前記線状の導電体が接続され、
    前記同軸内導体部の他端側に同軸ケーブルもしくは導波管が接続されていることを特徴とする請求項6または7に記載の電磁波プラズマ発生装置。
  9. ガス供給部、ガス排出部および電磁波供給部が備えられたチャンバーと、被処理部材に負の直流バイアス電圧を印加するバイアス印加手段とを用いて、
    少なくとも1つの開口部を有する中空部を有しかつ外表面に絶縁性薄膜が設けられた被処理部材の中空部の内部に電磁波プラズマを発生させる電磁波プラズマ発生方法であって、
    前記被処理部材を前記チャンバー内に配置するとともに、前記電磁波供給部を前記被処理部材の前記開口部を望む位置に配置し、
    前記チャンバー内で発生させるプラズマ生成領域を、前記被処理部材の前記中空部に配置される線状の導電体からなるプラズマ誘導手段によって、前記中空部内に誘導することを特徴とする電磁波プラズマ発生方法。
  10. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電磁波プラズマ発生装置に、窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガスの供給手段が備えられていることを特徴とする電磁波プラズマ表面処理装置。
  11. 請求項9に記載の電磁波プラズマ発生方法において、
    チャンバー内部に窒化、クリーニングまたはプラズマCVDの表面処理用反応ガスを供給しながら、電磁波プラズマを発生させて被処理部材の内壁面を表面処理することを特徴とする電磁波プラズマ表面処理方法。
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