JP5539181B2 - 排ガス浄化触媒及び排ガス浄化触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化触媒及び排ガス浄化触媒の製造方法 Download PDF

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本発明は、例えば自動車排ガス中の有害物質を除去する排ガス浄化触媒、及びこの排ガス浄化触媒の製造方法に関する。
例えば自動車の排ガス中に含まれる窒素酸化物や一酸化炭素、炭化水素は環境規制の対象となっており、三元触媒(以下、排ガス浄化触媒という)はこれらの物質を分解して排ガスを浄化してから大気へと排出する役割を果たしている。排ガス浄化触媒は、例えばアルミナなどの担体に、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属を活性金属として担持させたものが一般的に知られている。この排ガス浄化触媒は、例えばエンジンの出口部付近に配置され、高温の排ガスと接触させることにより汚染物質を分解する活性を得ている。
一般的に、排ガス浄化触媒は例えば100m/g以上もの比表面積を有する担体の表面に粒子径の小さな活性金属を均一に分散担持することにより、汚染物質と活性金属との接触効率を向上させるといった構造的な効果を利用して触媒の活性を高めている。ところが排ガス浄化触媒は、高温の排ガスと長期間接触すると、担体の比表面積が低下したり、活性金属が凝集して粒子径が大きくなったりするため、次第にこうした構造的な効果が失われて触媒の活性が低下してしまうシンタリングと呼ばれる現象が知られている。
このため従来の排ガス浄化触媒は、シンタリングによる活性の低下を見越して、使用開始時の必要量よりも例えば3%程度多い活性金属を担持しておくことにより、構造的な効果が失われた後も必要な活性を維持する方策が採られてきた。しかしながらこの方策は、使用開始後、当面の期間中に必要な量以上の活性金属を触媒に担持する必要があるため、触媒コストへの影響が大きく、排ガス処理システムを高額にする要因となっていた。
特許文献1には、スピネル構造を持つBaAlを含み、高温雰囲気下で使用して凝集した活性金属を再分散させることが可能な排ガス浄化触媒が記載されているが、活性金属が凝集しても活性を維持可能な触媒は記載されていない。
また、特許文献2には、活性金属の移動、凝集や当該活性金属を担持する担体の凝集を抑制する目的でこれら活性金属や担体をBaAlで包んだ触媒粒子が記載されているが、当該触媒粒子を用いて触媒の耐久性能を評価した結果は記載されていない。また、他の触媒を用いて触媒の耐久性能を評価した実験においても、触媒耐久性能の評価温度が700℃と比較的低く、より高い温度において耐久性能を発揮することが可能か否かも明らかでない。
これらの先行技術に対し、本件出願人はBaAlとBaZrOとを含有する担体に活性金属を担持することにより、アルミナ担体に活性金属を担持した排ガス浄化触媒と比較して高い活性と耐久性を備える排ガス浄化触媒を開発した(特許文献3)。そして本発明者らは、この特許文献3に記載の排ガス浄化触媒の他にも高い耐久性を備える排ガス浄化触媒となる担体の探索を進めてきた。
特開2008−23482号公報:段落0066、段落0083、段落0096〜段落0097、表2 特開2008−168192号公報:段落0019、段落0044 特開2010−12459号公報:請求項1、表2、表3
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、活性金属の必要量が少なく、高温の条件下で長期間使用しても活性が低下しにくい排ガス浄化触媒及び当該排ガス浄化触媒の製造方法を提供することにある。
本出願における第1の発明は、アルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを含有し、30〜200nmの範囲の細孔径を含む担体に、活性金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化触媒である。
本出願における第2の発明は、前記アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比率は重量比で80:20から50:50の範囲であることを特徴とする排ガス浄化触媒である。
本出願における第3の発明は、前記担体に含まれるアルミン酸マグネシウムは、細孔径が30〜200nmの範囲であり、細孔容積が0.1〜0.2ml/gの範囲にあることを特徴とする前記排ガス浄化触媒である。
本出願における第4の発明は、活性金属は、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上の貴金属であることを特徴とする前記排ガス浄化触媒である。
本出願における第5の発明は、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を持つアルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを混合して担体を得る工程と、
この担体に活性金属を担持する工程と、を含むことを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第6の発明は、前記アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比率は重量比で80:20から50:50の範囲の混合比率であることを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第7の発明は、少なくとも一方が固体原料であるアルミニウム源及びマグネシウム源を用い、当該固体原料をメジアン径が0.1μm以下となるまで粉砕する工程と、前記アルミニウム源とマグネシウム源とを混合して第1の混合体を得る工程と、この混合体900℃以上の温度で焼成して30nm〜200nmの範囲の細孔径を持つアルミン酸マグネシウムを得る工程と、を含むことを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第8の発明は、前記マグネシウム源は、マグネシウム硝酸塩、マグネシウム硫酸塩、マグネシウム酢酸塩、マグネシウム炭酸塩、マグネシウム水酸化物塩、マグネシウム塩化物塩、酸化マグネシウムからなるマグネシウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のマグネシウム源であることを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第9の発明は、アルミニウム源とバリウム源とを混合して第2の混合体を得る工程と、この第1の混合体を900℃以上の温度で焼成してアルミン酸バリウムを得る工程と、を含むことを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第10の発明は、前記バリウム源は、バリウム硝酸塩、バリウム硫酸塩、バリウム酢酸塩、バリウム炭酸塩、バリウム水酸化物塩、バリウム塩化物塩及び酸化バリウムからなるバリウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のバリウム源であることを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第11の発明は、前記アルミニウム源は、アルミニウム硝酸塩、アルミニウム硫酸塩、アルミニウム酢酸塩、アルミニウム塩化物塩、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムからなるアルミニウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のアルミニウム源であることを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第12の発明は、前記アルミニウム源及びマグネシウム源がハイドロタルサイトであることを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本出願における第13の発明は、前記活性金属は、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上の貴金属であることを特徴とする前記排ガス浄化触媒の製造方法である。
本発明によれば、アルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを含有し、30nm〜200nmの範囲の細孔径を持つ担体に活性金属を担持することにより活性金属の分散性の向上や耐シンタリング性の向上が図れる。これらの効果により高温雰囲気可で長時間使用した場合であっても、従来の排ガス浄化触媒に比べて高い触媒活性を維持することができる。この結果、シンタリングの進行に伴う活性の低下を見越して使用開始時に必要量以上の活性金属を担持するといった方策を採る必要がないか、必要があったとしてもその担持量を削減することが可能となり触媒コストの低減に貢献することができる。
各調製例に係る担体をXRD測定した結果に係るスペクトル図である。 実施例及び比較例に係る模擬ガスの50%転化率温度を示す説明図である。 アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比に対する前記50%転化率温度の変化を示す説明図である。
本実施の形態に係わる排ガス浄化触媒は、所定の孔径範囲の細孔径を有し、アルミン酸マグネシウム(MgAl)とアルミン酸バリウム(BaAl)を含有する担体に活性金属を担持してなるものである。担体中にMgAl及びBaAlが共存することにより、排ガス浄化触媒の高温耐久性が向上し、高温雰囲気下においても優れた触媒性能(排ガス浄化効果)を示すことができる。本発明に係わる排ガス浄化触媒の実施の形態について、以下に説明する。
排ガス浄化触媒の組成
本排ガス浄化触媒は、アルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを含有し、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を持つ担体に、活性金属を担持してなることを特徴とするものである。アルミン酸マグネシウムは、例えば、アルミニウム含有化合物とマグネシウム含有化合物とを所定の比率で含む混合物の溶液を乾燥し、所定の条件下で焼結させることにより得ることができる。アルミン酸バリウムについても同様に、アルミニウム含有化合物とバリウム含有化合物とを所定の比率で含む混合物の溶液を乾燥し、所定の条件下で焼結させることにより得ることができる。このとき焼結温度を調節することなどにより、いずれもスピネル構造のアルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムを得ることができる。
このようにアルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとを含む担体に活性金属担持してなる排ガス浄化触媒が、良好な触媒活性と高温耐久性とを示す作用機構の詳細については明らかではない。アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとを共存させることにより、活性金属と担体との間の相互作用が得られ、触媒の耐久性が向上したものと推察される。
スピネル構造のアルミン酸マグネシウムは、アルカリ土類金属であるマグネシウムとアルミナの結合構造を備えることによって、アルミナ中の酸素のO 1sバインディングエネルギーが小さくなる。このバインディングエネルギーが小さいと、担持される活性金属と活性金属との相互作用が大きくなり、アルミン酸マグネシウムの表面に担持される活性金属の凝集を抑えて分散性を維持することができるのではないかと推測している。また発明者らは、アルミン酸バリウムが活性金属の活性を向上させる、いわば助触媒としての機能を有していることを把握している。そこでアルミン酸バリウムとアルミン酸マグネシウムとを混在させることで、当該アルミン酸バリウムもアルミン酸マグネシウムの表面に固定されやすくなる。この結果、活性金属とアルミン酸バリウムとが分散状態を保ったまま共存し、良好な耐シンタリング性能が発揮されるのではないかと考える。
このように活性金属の分散性を向上させるアルミン酸マグネシウムと、活性金属の活性を向上させるアルミン酸バリウムとを共存させることにより、触媒活性や高温耐久性の観点において排ガス浄化触媒の性能が向上する。そしてアルミン酸マグネシウムやアルミン酸バリウムが共存することによる性能の向上は、これらの物質を単体で使用した場合の効果を単純に加算した結果を上回る相乗効果が見られることも確認している。
本実施の形態に係るガス浄化触媒は、前記アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比率は適宜設定することができるが、例えば重量比で80:20から50:50の範囲が好適である。後述の強制劣化サンプルによる試験の結果にて示すように、両物質の重量基準の混合比率がアルミン酸マグネシウム:アルミン酸バリウム=90:10から30:70の範囲内であれば、少なくとも100%のアルミン酸バリウムを担体として用いた場合よりも高い活性を発揮させることができている。そして同重量比が80:20から50:50の範囲では、各々100%のアルミン酸バリウムまたはアルミン酸マグネシウムを担体として用いた場合よりも高い活性が得られることを確認している。
排ガス浄化触媒の性状
担体性状
担体の細孔径、特に活性金属やアルミン酸バリウムの分散性向上に寄与するアルミン酸マグネシウムの細孔径の範囲は、30nm〜200nmの範囲であることが好ましい。30nmよりも小さな細孔は細孔内に活性金属やアルミン酸バリウムを固定することが困難であり、また200nmよりも大きな細孔は触媒の比表面積を増大させることに対する寄与が小さいので排ガス浄化触媒の機能を向上させる効果が小さい。但し、本実施の形態の排ガス浄化触媒は、アルミン酸マグネシウムがこの範囲外の細孔を併せ持っていることを排除するものではない。
ここで前記範囲内の細孔容積の合計は、全体の細孔容積の80%以上であることが望ましい。さらに好ましくは本実施の形態の排ガス浄化触媒の担体中には、細孔径が30nm〜200nm範囲の細孔が0.05ml/g以上、より好ましくは0.1〜0.2ml/g程度含まれていることが望ましい。細孔容積が0.05ml/g以下である場合には活性金属などを担持可能な細孔が少なく、細孔容積が0.2ml/g以上の担体は製造することが困難である。
さらにまたアルミン酸バリウム側にも細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を0.05ml〜0.2ml/gの細孔容積の範囲で備えていてもよいが、後述の実験結果に示すようにアルミン酸バリウムはこの範囲の細孔径が形成されにくいという性質を持っている。従って、アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとからなる担体に活性金属を担持してなる排ガス浄化触媒が存在するとき、この排ガス浄化触媒が上述の範囲の細孔を備えている場合には、当該細孔はアルミン酸マグネシウムに形成されていることが推定される。
本発明に係る排ガス浄化触媒の比表面積については、格別に限定されるものではなく、例えば、0.1〜95m/gの範囲で使用可能である。
活性金属
排ガス浄化触媒に担持する活性金属としては、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上である。好ましくはPt、PdまたはRhであることが好ましい。
前記排ガス浄化触媒に占める活性金属の割合は,0.05重量%以上、2.0重量%以下の範囲が好ましい。活性金属の割合が0.05重量%未満の場合には、実用的な触媒性能が得られない場合がある。また、活性金属の割合が2.0重量%を超える場合は、触媒性能を向上させる効果が飽和する傾向が強くなるので必ずしも必要とはされない。排ガス浄化触媒に占める活性金属の割合については,さらに好適には0.1〜1重量%の範囲が推奨される。
さらに本発明に係る排ガス浄化触媒には、前記活性金属に加えて、例えば遷移金属元素あるいは希土類元素等の元素を添加剤として担持してもよい。添加剤の具体例としては、例えばMn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、La、Ce、Pr、Ndなどから選択される1種類以上の元素を挙げることができる。これらの添加剤は、活性向上の目的で必要に応じて好適量が適宜添加される。
排ガス浄化触媒の製造方法
本排ガス浄化触媒は、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を持つアルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを混合し、こうして得られた担体に活性金属を担持することにより製造することができる。本排ガス浄化触媒の製造方法について、以下に示す。
本排ガス浄化触媒は、例えば次のようにして製造することができるが、当該排ガス浄化触媒は、下記に例示した方法により製造したものに限定されるものでないことはもちろんである。
本排ガス浄化触媒のアルミン酸マグネシウムは、アルミニウム含有化合物(アルミニウム源)とマグネシウム含有化合物(マグネシウム源)との混合物(第1の混合体)を例えば900℃以上の温度で焼成することにより得ることができる。
アルミニウム含有化合物としては、アルミニウム硝酸塩、アルミニウム硫酸塩、アルミニウム酢酸塩、アルミニウム塩化物塩等の各種のアルミニウム金属塩、酸化アルミニウム,アルミン酸ナトリウムなどから選ばれる少なくとも1種類以上のアルミニウム含有化合物を用いることができる。
一方、マグネシウム含有化合物については、マグネシウム硝酸塩、マグネシウム硫酸塩、マグネシウム酢酸塩、マグネシウム炭酸塩、マグネシウム水酸化物塩、マグネシウム塩化物塩等の各種のマグネシウム金属塩、酸化マグネシウムなどから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。また、アルミニウム及びマグネシウムの双方を含有するハイドロタルサイトなどの複合酸化物をアルミニウム及びマグネシウムの含有化合物として用いてもよい。
上記に挙げた各種アルミニウム含有化合物、マグネシウム含有化合物は、例えばマグネシウム塩及びアルミニウム塩をアンモニア水のようなアルカリ性物質と反応させて沈殿物を得てもよいし、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムをボールミルやビーズミルを用いて粉砕混合してもよい。このほか液相混合法や含浸法、逆ミセル法など、含有化合物の性状(例えば、粉末状であるか溶液であるかなど)に応じて適切な混合方法が選択され、特定の混合方法に限定されるものではない。
アルミニウム含有化合物とマグネシウム含有化合物との混合比については、アルミニウム及びマグネシウムの存在比がアルミン酸マグネシウム中のこれらの物質の存在比に合わせて混合する場合などが考えられるが、この例に限定されない。例えばアルミニウム含有化合物及びマグネシウム含有化合物の混合比に対する焼成後のアルミン酸マグネシウムとそのほかの副生成物(酸化アルミニウムや酸化マグネシウムなど)の相関関係を予備実験などにより予め求めておき、その焼成条件下において、これら副生成物の生成割合が最小となる混合比にて各含有化合物を混合してもよい。
上述の各種混合方法により得られた混合物は、ボールミルやビーズミルなどによってメジアン径が例えば0.1μm以下となるまで粉砕される。0.1μm(=100nm)以下の微細な粒径に粉砕することにより、焼成後のアルミン酸マグネシウムに、細孔径が30nm〜200nmの範囲を含む多数の細孔を形成することができる。ここで前記混合物にグラファイトやカーボンナノチューブといったナノ構造材料を同時に混合して、これらの構造材料を細孔の鋳型として30nm〜200nmの範囲の細孔を選択的に形成するようにしてもよい。
粉砕後の混合物は、900℃以上の温度で焼成することにより、アルミン酸マグネシウムを得ることができる。焼成温度が900℃よりも低いと、十分な量のアルミン酸マグネシウムが形成されないおそれがある。一方で焼成温度の上限は特に限定されないが、例えば1550℃を超える温度で焼成を行う場合には、耐熱性の高い特殊な炉材を用いた焼成炉が必要となり経済性が低くなるおそれがある。
また焼成雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気や窒素雰囲気、真空雰囲気などでもよいが、窒素雰囲気や真空雰囲気下で焼成する場合には、混合物中に酸素源として酸化アルミニウムや酸化マグネシウムなどの酸化物を含有している必要がある。
焼成後のアルミン酸マグネシウムには、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムなどの不純物を含んでいてもかまわない。但し、アルミン酸マグネシウムが重量比で80%以上含まれていることが好ましい。含有量が80%より少ないと触媒性能が低下する恐れがある。
次いで、アルミン酸バリウムの製造方法について説明する。本排ガス浄化触媒のアルミン酸バリウムは、アルミニウム含有化合物(アルミニウム源)とバリウム含有化合物(バリウム源)との混合物(第2の混合体)を例えば900℃以上の温度で焼成することにより得られる。アルミン酸バリウムの原料として利用可能なアルミニウム含有化合物については、アルミン酸マグネシウムの製造方法に関する説明にて列挙した既述のアルミニウム含有化合物とほぼ同様である。
一方、バリウム含有化合物については、バリウム硝酸塩、バリウム硫酸塩、バリウム酢酸塩、バリウム炭酸塩、バリウム水酸化物塩、バリウム塩化物塩などの各種バリウム金属塩、及び酸化バリウムなどから選ばれる少なくとも1種類以上を用いることができる。またアルミン酸バリウムの例においてもアルミニウム及びバリウムの双方を含有する複合化酸化物をこれらの金属の含有化合物として用いてもよい。
アルミニウム含有化合物とバリウム含有化合物とを混合して得られた混合物は、ボールミルなどにより粉砕する工程を経ずに900℃以上の焼成温度で焼成を行ってもよい。後述の実施例に示すように、900℃以上の温度で焼成されたアルミン酸バリウムには、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔は殆ど含まれない場合が多いからである。但し、例えばアルミニウム含有化合物とバリウム含有化合物とを十分に混合することなどを目的としてこれらの化合物のメジアン径が0.1μm以下となるまで粉砕してから焼成を行ってもよいことはもちろんである。また、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を含むアルミン酸バリウムを使用することを排除するものでもない。900℃以上で焼成を行う際の焼成雰囲気や焼成温度範囲についてはアルミン酸マグネシウムの焼成と同様であるので重複の記載を省略する。
焼成後のアルミン酸バリウムには、酸化バリウム及び酸化アルミニウムなどの不純物を含んでいてもかまわない。但し、アルミン酸バリウムが重量比で80%以上含まれていることが好ましい。含有量が80%より少ないと触媒性能が低下する恐れがある。
このようにして得られた細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を含むアルミン酸マグネシウム、及びアルミン酸バリウムについて、重量比でアルミン酸マグネシウム:アルミン酸バリウム=80:20〜50:50の範囲の比率で混合することにより、排ガス浄化触媒の担体が得られる。
活性金属の担持工程
本発明に係わる排ガス浄化触媒の製造方法においては、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上の活性金属が担持される。これらの活性金属のいずれを選択して得られた排ガス浄化触媒においても排ガスの浄化効果を得ることができるが、より好ましくはPt、Pd、Rhから選ばれる少なくとも1種類以上の活性金属を担持するといよい。活性金属の担持方法については、格別の方法に限定されるものではないが、通常は固相混合法、液相混合法、共沈法、合浸法、逆ミセル法などの各種の担持法が適用される。
例えば、含浸法により担持を行う場合には、前記活性金属の単体の溶液または前記活性金属を含む化合物(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物)の溶液に、前述の工程で調製した担体を含浸させ、溶媒を蒸発乾固させる。しかる後、大気中または不活性雰囲気中にて温度300℃〜500℃で焼成することにより、排ガス浄化触媒を調製する。前記焼成時間については、通常は1時間〜20時間の範囲で行われる。また、焼成に先立って温度90℃〜150℃で1時間〜12時間の範囲で乾燥処理を行っても構わない。
前記活性金属の単体の溶液または活性金属を含む化合物の溶液の溶媒については、水または有機溶媒が使用される。ここで、有機溶媒としては、担体、活性金属の単体金属または活性金属を含む化合物と反応性のないものであれば利用することができる。
排ガス浄化触媒における前記活性金属の担持量または担持した活性金属の粒子径については、活性金属の担持方法によっても異なるが、通常は前記活性金属の金属単体の溶液または活性金属を含む化合物の溶液に含まれる金属成分の濃度を調節することにより制御することができる。金属濃度としては、例えば0.1重量%〜10重量%の範囲が選択される。なお、排ガス浄化触媒に担持した活性金属の粒子径については、担体の組成によっても影響を受ける場合があるため、排ガス浄化触媒の設計に当たっては、事前に担体組成、活性金属の種類、活性金属単体溶液または活性金属を含む化合物の溶液濃度などについて、実験により検量線を作成することが推奨される。
製造された排ガス浄化触媒は、例えばセラミック製のハニカム基体に例えばウォッシュコート法などによって当該排ガス浄化触媒をコーティングすることによりモノリス触媒を得ることができる。ウォッシュコート法は、前記排ガス浄化触媒を均一に分散させ、粘度を調整したスラリー中に当該基体を浸漬してから引き上げ、これを乾燥させることにより触媒をコーティングする手法である。このことで、水に分散しやすいアルミン酸バリウムとをアルミン酸マグネシウムとをよく混合することができる。なお、自動車などに搭載する排ガス浄化触媒の形状はモノリス触媒に限定されるものではなく、例えば打錠や転動により、触媒をペレット状の成型体として使用してもよく、また粉末のまま使用してもよい。
以上に述べた手法によって得られた排ガス浄化触媒によれば、アルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを含有し、30nm〜200nmの範囲の細孔径を持つ担体に活性金属を担持することにより活性金属の分散性の向上や耐シンタリング性の向上が図れる。これらの効果により高温雰囲気可で長時間使用した場合であっても、従来の排ガス浄化触媒に比べて高い触媒活性を維持することができる。この結果、シンタリングの進行に伴う活性の低下を見越して使用開始時に必要量以上の活性金属を担持するといった方策を採る必要がないか、必要があったとしてもその担持量を削減することが可能となり触媒コストの低減に貢献することができる。
[1]X線回折(XRD)測定
X線回折測定は株式会社リガク製MultiFlexを用いた。測定はX線源をCu、波長15.4056nm)、管電圧を40kV、管電流を20mA、データ範囲を2θ=10〜80degree、サンプリング間隔を0.02degree、スキャン速度を0.3degree/秒、発散スリットを1.0degree、散乱スリットを1.0degree、発光スリットを0.3mmの条件で行った。
[2]比表面積測定
調製した担体原料(後述のアルミン酸マグネシウム(MgAl(1)、(2))、アルミン酸バリウム(BaAl)及びMBA(マグネシウム、バリウム、及びアルミニウムの複合酸化物))約0.2〜2gを250℃で40分間乾燥し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(株式会社マウンテック Macsorb HM model 1220)を用いた窒素吸着法(BET法)により、窒素の吸着量から、BET1点法に基づいて比表面積を算出した。
[3]細孔径及び細孔容積測定
[2]の比表面積測定法と同様の担体原料(MgAl(1)、(2))、BaAl及びMBA)約0.2〜2gを、大気雰囲気下で300℃、1時間焼成後、10Paまで脱気した雰囲気下で300℃、2時間焼成を行った。この試料に対して、細孔分布測定装置(日本ベル株式会社 BELSORP-miniII)を用いた窒素吸着法により、窒素の吸着量から細孔径及び細孔容積を算出した。測定点数は92点とした。また、同様にして排ガス浄化触媒の細孔径を測定した。
[4]COパルス法による活性金属の平均粒子径測定
貴金属の担持微粒子の平均粒子径測定は、自作の流通式の装置を用いた。測定は日本触媒学会発行の触媒(1986年、頁28〜41)に記載されているCOパルス法によって求めた。
[5]触媒活性試験
実施例及び比較例で調製した各排ガス浄化触媒を高温雰囲気下で保持する強制劣化処理を行い、処理前後での触媒の活性を調べた。使用したモノリス触媒の作製方法とライトオフ温度の測定方法は次の通り。
(1)モノリス触媒の作製方法
実施例及び比較例で調製した排ガス浄化触媒を水に分散して、排ガス浄化用触媒を含有するスラリー(固形分30質量%)を得た。そして、コージェライト製のセラミックハニカム基体(体積5.3cm、400cells/inch)を前記スラリー中に浸漬し、引き上げる方法(ウォッシュコート法)により、コート密度が100g/Lとなるようにコートして、基体上に均一な触媒層を形成させ、サンプル用のモノリス触媒を得た。なお、乾燥条件は、何れも温度150℃、30分とし、ウォッシュコートの回数は1回とした。
(2)ライトオフ温度の測定方法
各モノリス触媒を800℃に加熱した大気雰囲気中で24時間保持する高温耐久処理を行い、当該処理の前後にてモデルガスを処理し、各触媒の耐久性能を調べた。
モデルガスの処理実験にあたっては、各モノリス触媒を常圧流通式の試験装置に装填し、(表1)に示す組成のモデルガス(理論空気比14.7)を空間速度50000h−1で通流した。試験装置の触媒のホルダーにはヒータが設けられており、このヒータによりモノリス触媒の温度を150℃から650℃へと漸次上昇させ、モデルガス中のプロピレン(C:以下HCという)の浄化率((モノリス触媒入口のHC濃度−モノリス触媒出口のHC濃度)×100/モノリス触媒入口のHC濃度[%])が50%に達したときの温度をライトオフ温度(以下、50%転化率温度と記す)と定義して、このライトオフ温度を比較することにより評価を行った。
(表1)
モデルガス組成
Figure 0005539181
NO:一酸化窒素、CO:一酸化炭素、H:水素、C:プロピレン、N:窒素
[6]担体調製
(1)アルミン酸マグネシウム(MgAl)の調製
[調製例1]
ベーマイト(AlO(OH))118.2gと酸化マグネシウム31.30gとイオン交換水348.80gとを混合し、固形物のメジアン径が0.1μmとなるまでボールミルで粉砕した。得られたスラリーを乾燥し、1000℃の大気中で10時間焼成し[調整例1]のアルミン酸マグネシウム(以下、MgAl(1)と記す)を得た。MgAl(1)についてのXRD測定の結果を図1に示す。また当該MgAl(1)の比表面積、細孔径範囲及び細孔容積を(表2)に示す。
[調製例2]
酢酸マグネシウム四水和物168.5gとイオン交換水60gとを加熱し混合した後、ベーマイト118.2gを加え攪拌混合した。得られた混合物を乾燥後、1000℃の大気中で10時間焼成し[調整例2]のアルミン酸マグネシウム(以下、MgAl(2)と記す)を得た。MgAl(2)についてのXRD測定の結果を図1に示す。また当該MgAl(2)の比表面積、細孔径範囲及び細孔容積を(表2)に示す。
(2)アルミン酸バリウム(BaAl)の調製
ベーマイト118.2gと硝酸バリウム202.99gとイオン交換水749.4gとを混合し、固形物のメジアン径が0.1μmとなるまでをボールミルで粉砕した。得られたスラリーを乾燥し、1500℃の大気中で10時間焼成しアルミン酸バリウム(以下BaAlと記す)を得た。BaAl)についてのXRD測定の結果を図1に示す。また当該BaAlの比表面積、細孔容積を(表2)に示す。
(3)MBAの調製
酢酸マグネシウム四水和物63.31gとイオン交換水42.21gに溶解した酢酸マグネシウム水溶液と、酢酸バリウム18.01gをイオン交換水42.02gに溶解した酢酸バリウム水溶液とを混合し、マグネシウムとバリウムを含む水溶液を調製した。そこへベーマイト55.91gを混合し攪拌した後、得られた混合物を乾燥させ、1000℃の大気中で10時間焼成しマグネシウム、バリウム、及びアルミニウムの複合酸化物(以下、MBAという)を得た。MBAについてのXRD測定の結果を図1に示す。また当該MBAの比表面積、細孔容積を(表2)に示す。
(表2)
各担体原料の比表面積及び細孔容積
Figure 0005539181
以上に説明した各調製例で得られた担体原料の特性について確認しておく。図1は、各担体原料のXRD測定により得られたXRDスペクトルを示しており、各スペクトルは下段から順にMgAl(1)、MgAl(2)、BaAl、MBAを示している。図中、白抜きの三角印「△」は、アルミン酸マグネシウムの結晶の回折角(2θ)の位置を示し、白抜きの丸印「○」はアルミン酸バリウムの結晶の回折角の位置を示している。
図1によれば、MgAl(1)、(2)の担体原料中にはアルミン酸マグネシウムが含まれ、BaAlの担体原料中にはアルミン酸バリウムが含まれていることが確認できる。これに対してMBAの場合にはアルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムの結晶の回折角の位置がピークは現れているが、その回折強度は、MgAl(1)、(2)及びBaAlの回折強度に比べて小さい。同じ条件下で測定したXRDスペクトルの回折強度の比は、各回折角に対応する物質の含有量の比を表している。したがってMBA中に含まれるアルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムの量は、他の担体原料に比べて少ないことが分かる。
これに対しMgAl(2)の担体原料には、細孔径が3nm〜20nmの範囲の細孔がトータル容量で0.14ml/g含まれていたが、30nm〜200nmの範囲の細孔は殆ど含まれていなかった。MgAl(2)の担体原料の調製においては、原料のスラリーをボールミルで粉砕する処理を行っていない。従って、ベーマイトなどの原料表面に予め存在していた細孔のみが残存し、例えば粉砕した粒子が融合してこれらの粒子同士の隙間が細孔となるといった現象が発生しなかったのではないかと考えられる。
またBaAlの担体原料については、計測した3nm〜200nmの範囲に細孔は殆ど含まれていなかった。アルミン酸バリウムの融点(1827℃)はアルミン酸マグネシウムの融点(2135℃)に比べて融点が低いことから、焼成時においても元の微粒子の構造が残りにくく細孔が潰れてしまうといった理由があるのかもしれない。
アルミン酸バリウム及びアルミン酸マグネシウムの含有量が少ないMBAについては細孔径及び細孔容積の測定は行わなかった。
また、表2示した各担体原料の比表面積を比較すると、最も比表面積が大きな担体原料はMBA(68.6m/g)であり、次いでMgAl(2)(30m/g)、MgAl(1)(15m/g)、BaAl(1m/g)の順に比表面積が小さくなっている。
以上に説明した担体原料を用いて実施例、比較例、参考例に係る排ガス浄化触媒を調製し、強制劣化処理後の触媒活性を評価する。
[実施例1]
70gのMgAl(1)と30gのBaAlとを混合し(混合比率70:30)、3.53gのジニトロジアンミン白金硝酸水溶液(田中貴金属製、Pt換算8.5%)を含浸担持した。含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、排ガス浄化触媒(細孔径範囲30〜200nm)を得た。
得られた排ガス浄化触媒40gを、119gの2%硝酸及び4.0gのベーマイトと共に湿式粉砕して、メジアン径が10μm以下のスラリーを調製した。得られたスラリーを直径20mm、高さ17mm、400cells/inch、6mlのコージェライト製ハニカムにコーティングした。排ガス浄化触媒のコーティング量は、焼成後の触媒量換算で100g/Lである。排ガス浄化触媒がコーティングされたハニカムは、150℃で乾燥したあと後、400℃の大気中で3時間焼成し排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒のサンプルを得た。こうして得られたサンプルをさらに900℃の大気中で5時間焼成する強制劣化処理を行い、強制劣化サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[実施例2]
80gのMgAl(1)と20gのBaAlとを混合して、混合比率を80:20とした点以外は[実施例1]と同様にして排ガス浄化触媒(細孔径範囲30〜200nm)を調製した。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[実施例3]
50gのMgAl(1)と50gのBaAlとを混合して、混合比率を50:50とした点以外は[実施例1]と同様にして排ガス浄化触媒(細孔径範囲30〜200nm)を調製した。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[比較例1]
BaAlを混合していない100gのMgAl(1)にジニトロジアンミン白金硝酸水溶液3.53gを含浸し、含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、[比較例1]の排ガス浄化触媒(細孔径範囲30〜200nm)を得た。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[比較例2]
MgAl(1)を混合していない100gのBaAlにジニトロジアンミン白金硝酸水溶液3.53gを含浸し、含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、比較例の排ガス浄化触媒(細孔径範囲30〜200nm)を得た。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[比較例3]
混合するアルミン酸マグネシウムの担体原料としてMgAl(2)を用い、含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、比較例の排ガス浄化触媒(細孔径範囲3〜20nm)を得た。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[比較例4]
MBA(マグネシウム及びバリウム及びアルミニウム複合酸化物)にジニトロジアンミン白金硝酸水溶液3.53gを含浸し、含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、比較例の排ガス浄化触媒を得た。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。強制劣化サンプルについての50%転化率温度を図2に示す。
[参考例1]
90gのMgAl(1)と10gのBaAlとを混合して、混合比率を90:10とし、含浸後の担体を110℃の大気中で3時間乾燥した後、400℃の大気中で3時間焼成し、参考例の排ガス浄化触媒(平均細孔径30〜200nm)を得た。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。
[参考例2]
30gのMgAl(1)と70gのBaAlとを混合して、混合比率を30:70として参考例としての排ガス浄化触媒(平均細孔径30〜200nm)を調製した。そして[実施例1]と同様の条件で排ガス浄化触媒をコートしたモノリス触媒及びその強制劣化処理サンプルを得た。
(表3)
各実施例及び比較例に使用した担体及びその混合比
Figure 0005539181
図2に示した各実施例及び比較例に係る触媒活性試験の結果によれば、[実施例1〜3]に係る強制劣化サンプルの50%転化率温度は、433℃〜446℃となっている。これに対して、100%のMgAl(1)を用いた[比較例1]では、50%転化率温度が629℃、また100%のBaAlを用いた[比較例2]における50%転化率温度は495℃である。こられの試験結果から、アルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムは、各々単独で排ガス浄化触媒の担体として使用する場合に比べてこれらの物質を共存させることにより強制劣化処理後も高い活性を維持できることが分かる。
また、[実施例1]と[比較例3]とを比べると、これらの排ガス浄化触媒は、アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとを70:30の比率で混合した点で共通する。一方で[実施例1]の排ガス浄化触媒はアルミン酸マグネシウムとして、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を0.14ml/g含むMgAl(1)を用いたが、[比較例3]のMgAl(2)は細孔径が3nm〜20nmの範囲の細孔を0.14ml/g含むものである。
そしてこれらの強制劣化サンプルの50%転化率温度を比較してみると、[実施例1]の方が[比較例3]よりも転化率温度が43℃低く、強制劣化処理後の活性が高い。このことから排ガス浄化触媒の担体を構成する物質が共通であっても、当該担体に含まれる細孔のサイズによって強制劣化処理後の触媒活性が異なることを確認できる。そしてアルミン酸マグネシウム中に細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を備える排ガス浄化触媒は、細孔径が3nm〜20nmの範囲のモノよりも高い触媒活性を呈することが分かる。
さらにまたのマグネシウム、バリウム及びアルミニウムの複合酸化物からなるMBAを担体として利用した[比較例4]についてもいずれの実施例よりも強制劣化処理後の触媒活性は低かった。図1にて検討したようにMBAはアルミン酸マグネシウムやアルミン酸バリウムの含有割合が少なく、これらの物質が共存していたとしても十分な活性や耐シンタリング性が発揮できなかったものと考えられる。これらのことから高活性で耐シンタリング性の高い排ガス浄化触媒を製造するためには、細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔径を含み、アルミン酸マグネシウムの含有割合の高い担体原料と、アルミン酸バリウムの含有割合の高い担体原料とを別々に調製し、しかる後、これらの担体原料を混合して担体を得る手法が好適であるといえる。
次に排ガス浄化触媒の担体中におけるアルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比の影響を検討する。図3は[実施例1〜3]、[比較例1、2]及び[参考例1、2]の各触媒活性評価について、アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比に対する50%転化率温度をプロットした図である。図3中、下側の横軸はアルミン酸マグネシウムの混合比、上側の横軸はアルミン酸バリウムの混合比を各々重量%表示してある。また縦軸はHCの50%転化率温度を示している。
図3によれば、強制劣化サンプルの触媒活性試験結果につき、100%のアルミン酸マグネシウムを用いた[比較例1]において50%転化率温度が最も高くなっている。アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムの混合比が90:10の[参考例1]、同じく30:70の[参考例2]は、[比較例1]よりは活性が高いが、100%のアルミン酸バリウムを担体とした[比較例2]と比べると50%転化率温度が高く、強制劣化処理後の触媒活性が低い。これらに対して[比較例1〜3]の強制劣化サンプルは、いずれの比較例、参考例よりも触媒活性が高い。
ここで、排ガス浄化触媒の担体中にアルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとを共存させることによる相乗効果がないとすると、各混合比率における50%転化率温度はアルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムを各々単独で用いたときの混合比率に応じた線形和となり、図3中に破線で示した直線上の値になると予想される。ところが、実際には[実施例1〜3]及び[参考例1、2]のいずれの排ガス浄化触媒についても、50%転化率温度は上記の破線上の値を下回っている。これは担体中にアルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとが共存していることにより、強制劣化処理後の触媒活性を向上させる相乗効果が発揮された結果ではないかと考えられる。
しかしながら[参考例1、2]に係る排ガス浄化触媒は、100%のアルミン酸マグネシウムを用いた[比較例1]よりも50%転化率温度が低い一方で、100%のアルミン酸バリウムを用いた[比較例2]よりは50%転化率温度が低い。これに対してアルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムの混合比率が80:20から50:50の範囲にある[実施例1〜3]は他の全ての比較例及び参考例の50%転化率温度を下回る結果が得られている。したがって、アルミン酸マグネシウム及びアルミン酸バリウムの混合比率が上述の範囲の排ガス浄化触媒はより良好な性能を発揮すると言える。

Claims (13)

  1. アルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを含有し、30〜200nmの範囲の細孔径を含む担体に、活性金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 前記アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比率は重量比で80:20から50:50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
  3. 前記担体に含まれるアルミン酸マグネシウムは、細孔径が30〜200nmの範囲であり、細孔容積が0.1〜0.2ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の排ガス浄化触媒。
  4. 前記活性金属は、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上の貴金属であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の排ガス浄化触媒。
  5. 細孔径が30nm〜200nmの範囲の細孔を持つアルミン酸マグネシウムと、アルミン酸バリウムとを混合して担体を得る工程と、
    この担体に活性金属を担持する工程と、を含むことを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法。
  6. 前記アルミン酸マグネシウムとアルミン酸バリウムとの混合比率は重量比で80:20から50:50の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  7. 少なくとも一方が固体原料であるアルミニウム源及びマグネシウム源を用い、当該固体原料をメジアン径が0.1μm以下となるまで粉砕する工程と、
    前記アルミニウム源とマグネシウム源とを混合して第1の混合体を得る工程と、
    この混合体900℃以上の温度で焼成して30nm〜200nmの範囲の細孔径を持つアルミン酸マグネシウムを得る工程と、を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  8. 前記マグネシウム源は、マグネシウム硝酸塩、マグネシウム硫酸塩、マグネシウム酢酸塩、マグネシウム炭酸塩、マグネシウム水酸化物塩、マグネシウム塩化物塩、酸化マグネシウムからなるマグネシウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のマグネシウム源であることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  9. アルミニウム源とバリウム源とを混合して第2の混合体を得る工程と、
    この第1の混合体を900℃以上の温度で焼成してアルミン酸バリウムを得る工程と、を含むことを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一つに記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  10. 前記バリウム源は、バリウム硝酸塩、バリウム硫酸塩、バリウム酢酸塩、バリウム炭酸塩、バリウム水酸化物塩、バリウム塩化物塩及び酸化バリウムからなるバリウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のバリウム源であることを特徴とする請求項9に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  11. 前記アルミニウム源は、アルミニウム硝酸塩、アルミニウム硫酸塩、アルミニウム酢酸塩、アルミニウム塩化物塩、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムからなるアルミニウム源群から選ばれる少なくとも1種類以上のアルミニウム源であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一つに記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  12. 前記アルミニウム源及びマグネシウム源がハイドロタルサイトであることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
  13. 前記活性金属は、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Au及びAgからなる貴金属群から選ばれる少なくとも1種類以上の貴金属であることを特徴とする請求項5ないし12のいずれか一つに記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
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