JP5537740B2 - Il−17アンタゴニストを用いて乾癬を治療する方法 - Google Patents

Il−17アンタゴニストを用いて乾癬を治療する方法 Download PDF

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Description

本開示は、その開示が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、2010年10月8日に出願した米国仮特許出願第61/391388号の優先権を主張するものとする。
本開示は、治療上有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、AIN457抗体(「セクキヌマブ(secukinumab)」としても公知である)などのIL−17抗体を用いる、乾癬を治療するための新規レジメン(regimen)に関する。
乾癬は、不定の臨床像により特徴づけられる皮膚の慢性再発性疾患である。紅斑落屑性局面を示す尋常性(plaque)(局面型(plaque-type)又は慢性局面性(chronic plaque)とも呼ばれている)乾癬は、最も高頻度の臨床症状であり、したがって、尋常性乾癬(psoriasis vulgaris)とも呼ばれている。蓄積しつつある証拠により、乾癬は、環境因子により誘発される、一個人における複数の疾患遺伝子の共同作用によって引き起こされる多因子障害であることが示されている。これは、慢性炎症状態の影響に起因する可能性があると推測されている。原因に関係なく、一旦乾癬が限局性疾患として出現したならば、乾癬は、全生涯を通して持続し、しばしば予測できない間隔で発症する。
中等度から重度の乾癬の治療に対する伝統的なアプローチは、局所療法、光線療法(UVB、PUVA)並びに小分子全身療法、すなわち、メトトレキセート及びシクロスポリンなどである。累積的腎及び肝毒性に主として関連する安全性は、シクロスポリン及びメトトレキセートを用いる長期乾癬治療中の重要な問題であり、頻繁なモニタリングを必要とする(McClureら (2001) Drug Safety、25巻、913-27頁)。安全性に関する問題を低減するために、医師は、累積的臓器毒性(又は光線療法の場合、悪性腫瘍の可能性)を避けるために併用、回転、連続及び間欠アプローチなどの戦略を開発した(Van de Kerkhoffら (2001) Clin. Exp. Dermatol、26巻、356-61頁)。一般的に、新たな療法に回転する場合、次の薬物(又は次の療法)を導入すると同時に最初の薬物を徐々に減量する。場合によって、第1の薬物を漸減させた後、軽度の症状が出現するまで患者を無処置とすることができ、その時点で、症状がもはや耐えられなくなるまで光線療法又は局所療法を用い、次いで、第2の薬物を導入する。この方法を用いて、第1の薬物による反復療法をできる限り長期間(例えば、数年)遅延させることができる。しかし、反復療法中に例えば、シクロスポリンに反応してリバウンドが起こり得る。さらに、第1の薬物からの「休日」中でさえも、患者は、一般的に光線療法又は局所療法を用いた乾癬治療を受けている。
生物製剤は、扱いにくく、危険で、不便な伝統的な全身乾癬治療レジメンに解決策をもたらすように思われた。生物製剤が臓器毒性を有さないと仮定すると、その長期間の使用は、安全であると予想され、生涯にわたる治療が実現可能となる。残念ながら、乾癬の慢性生物学的療法施行中に様々な程度の有害事象、とりわけ、潜在性結核感染の再活性化及びTNFアルファ拮抗作用に起因する脱髄状態の誘発(又は悪化)が発生した(Ferrandizら (2010) Clinics in Dermatology、28巻、81-87頁)。他の有害事象は、血小板減少症、乾癬関連有害事象(例えば、丘疹性皮疹及び炎症フレア)、肝毒性、リンパ球減少症及び心血管合併症(うっ血性心不全又はその悪化)などである(Ferrandizら;Sullivan及びPreda (2009) Aust. Prescr.、32巻、14-18頁;Korkinaら(2010) Drugs of Today、46巻、119-36頁)。結果として、一部の臨床医は、すなわち、療法を中止し、再開することにより、それらの診療における生物学的療法を修正した。しかし、リバウンド、再治療時の免疫原性及び最初のレジメン時に達成された反応と比較して反応の低下(インフリキシマブ、アダリムマブ及びエタネルセプト再治療時に起こる)を含む、間欠生物学的療法に関する問題は、一部の生物学的療法が要求に応じる状況よりも連続的に用いることが最善であることを示唆するものである(Ferrandizら;Sullivan及びPreda; Menterら (2008) J. Am. Acad. Dermatol、58巻、826-850頁; Gelfandら (2008) Value in Health、11巻、400-407頁; Menterら (2007) Am Acad Dermatol.、56巻(1号)、31頁)。
長期の連続的生物学的療法の財政負担は多大である。生物製剤、特に慢性TNFアルファアンタゴニストの長期使用が悪性腫瘍及び他の重篤な障害をもたらし得るという問題もある。したがって、伝統的な連続全身療法(すなわち、不便な回転療法、副作用、臓器毒性)及び連続生物学的療法(すなわち、感染、潜在的悪性腫瘍、財政負担、未知の長期副作用)の危険並びに間欠療法の欠点(すなわち、リバウンド、再治療反応の低下)を避ける新たな乾癬治療レジメンが必要である。本明細書では、連続全身療法(小分子又は生物学的の両方)及び間欠生物学的療法時に遭遇する障害を克服する、乾癬の治療のための新規レジメンを開示する。
IL−17Aは、炎症性T細胞のサブセット、すなわち、いくつかの動物モデルにおけるいくつかの自己免疫及び炎症過程において極めて重要であるTh17細胞の主要なリンホカインである。IL−17Aは、主としてメモリーエフェクターCD4+及びCD8+Tリンパ球によって産生される。IL−17Aは、免疫媒介性炎症性疾患における主要な炎症誘発性サイトカインの1つとして認識されている。IL−17Aの中和は、免疫媒介性疾患の基礎をなす病態生理を治療するのに用いることができ、結果として症状の軽減をもたらす。
本開示の乾癬治療レジメンは、治療上有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、AIN457抗体(セクキヌマブ)などのIL−17抗体を用いる。セクキヌマブは、国際公開第2006/013107号(参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20090280131号としても公開)に開示されており、IgG1/κクラスの組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒトインターロイキン−17A抗体である。セクキヌマブは、ヒトIL−17Aに結合し、このサイトカインの生物活性を中和する。セクキヌマブは、IL−17に対する非常に高い親和性、すなわち、約100〜200pMのK及び0.67nMヒトIL−17Aの生物学的活性のインビトロ(in vitro)中和に関する約0.4nMのIC50を有する。したがって、セクキヌマブは、約1:1のモル比で抗原を中和する。このような高い結合親和性のため、セクキヌマブが治療応用に特に適するものとなっている。さらに、セクキヌマブは、非常に長い半減期、すなわち、約4週間(すなわち、約30日)の半減期を有し、これは、各投与間に長期にわたる期間をおくことを可能にするものであり、乾癬のような一生涯の慢性疾患を治療する場合に例外的特性である。セクキヌマブの長い半減期、高い親和性及び速やかな作用の発現のため、頻繁でない間隔で投与される比較的に低い用量のセクキヌマブを用いて乾癬を治療することが可能である。
治療上有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体を用いた導入及び/又は維持レジメンを用いる、乾癬の新規な治療レジメンを提供することが本開示の目的である。治療上有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体を用いる、再発の発現(start of relapse)(SoR)時に患者における乾癬を治療する新規な方法を提供することが本開示の他の目的である。SoR時の治療は、乾癬の療法への個別のアプローチを可能にし、薬物の最低可能用量を用いながら効果的な軽減をもたらす。
したがって、本明細書で開示するのは、a)導入レジメン中に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップと、b)その後、維持レジメン中に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。維持レジメンは、連続(例えば、月1回の治療)又は間欠投与(例えば、SoR時の治療)を用いることができる。
本明細書で開示するのは、a)導入レジメン(induction regimen)中に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、負荷レジメン(loading regimen)を含み、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回患者に投与することを含み、5回の用量はそれぞれ週1回送達される)と、b)その後、維持レジメン中(maintenance regimen)に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の用量を少なくとも1回患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子である。また本明細書で開示するのは、a)IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の乾癬治療からの再発の発現時に患者を特定するステップと、b)IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の用量を少なくとも1回患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、a)ゼロ週目に始めて、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回、それを必要とする患者に投与するステップ(5回の用量のそれぞれは週1回送達する)と、b)8週目に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップと、c)再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップと、d)再発のさらなる発現ごとにステップc)を反復するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、a)i.IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)を5週間にわたり週1回患者に投与するステップ(IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の初回用量は、ゼロ週目に投与する)と、ii.その後、8週目に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップとを含む、導入レジメン中にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップと、b)i.毎月、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップ、又はii.再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップを含む、維持レジメン中にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療するための治療レジメンである。
本明細書で開示するのは、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中(導入レジメンは、負荷レジメンを含み、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回投与するステップを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達する)及びb)その後、維持レジメン中に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子をa)ゼロ週目に始めて、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回、それを必要とする患者に投与し(5回の用量のそれぞれは週1回送達する)、b)その後、8週目に、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の量で患者に投与し、c)その後、再発の発現時に、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与し、d)その後、さらなる再発の発現ごとに、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を、a)i.IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を5週間にわたり週1回約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップ(IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の初回用量は、ゼロ週目に投与するものとする)と、ii.その後、8週目に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップとを含む、導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与すること、およびb)i.毎月、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップ、又はii.再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップを含む、維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するための薬剤の製造のためのIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の使用である。
本明細書で開示するのは、患者における乾癬を治療するのに用いるIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子であり、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時に前記患者を特定し、前記患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の用量を少なくとも1回投与するものとする。
本明細書で開示するのは、活性成分として及びIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を含む、乾癬を治療するための医薬組成物であり、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与するものとする。
本明細書で開示するのは、a)IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5週間、週1回、それを必要とする患者に投与するステップと、b)その後、i)月1回患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で投与するステップ、又はii)ステップa)の約1ヵ月後に患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で1回投与し、その後、再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、a)IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5週間、週1回、それを必要とする患者に投与するステップと、b)その後、i)月1回患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で投与するステップ、又はii)ステップa)の約1ヵ月後に患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で1回投与し、その後、再発の発現時に患者にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回投与するステップとを含む、乾癬を治療するための治療レジメンである。
本明細書で開示するのは、a)導入レジメン中に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、約52μg/ml〜約104μg/mlのIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の平均最高血漿濃度(Cmax)をもたらす負荷レジメンを含む)と、b)その後、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を、約5μg/ml〜約70μg/mlのIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中に患者に投与し(導入レジメンは、約52μg/ml〜約104μg/mlのIL−17結合性分子の平均最高血漿濃度(Cmax)をもたらす負荷レジメンを含む)、b)その後、約5μg/ml〜約70μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、a)IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、4回目の用量の1カ月後に約29.2μg/mlの平均トラフレベルをもたらす負荷レジメンを含む)と、b)その後、約15μg/mlのIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中に患者に投与し(導入レジメンは、4回目の用量の1カ月後に約29.2μg/mlの平均トラフレベルをもたらす負荷レジメンを含む)、b)その後、約15μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに用いるIL−17結合性分子である。
上述の方法、治療レジメン、キット、使用及び医薬組成物の一部において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療は、導入レジメンを含む。さらなる実施形態において、導入レジメンは、負荷レジメンを含む。いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回患者に投与するステップを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達する。いくつかの実施形態において、5回の用量は、それぞれ約75mg、約150mg又は約300mgである。いくつかの実施形態において、患者の体重が90kg未満である場合、約150mgの用量で5回患者に投与し、患者の体重が90kg以上である場合、約300mgの用量で5回患者に投与する。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、8週目に、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子による以前の治療は、再発の発現時にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子の用量を少なくとも1回患者に投与するステップを含む。上述の方法、治療レジメン、キット、使用及び医薬組成物の一部において、再発の発現は、再発の発現の評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大PASI反応の20%の喪失及びPASI75の喪失と定義される。上述の方法、治療レジメン、キット、使用及び医薬組成物の一部において、乾癬は、慢性局面型性乾癬である。
上述の方法、治療レジメン、併用、併用療法、キット、使用及び医薬組成物の一部において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子は、
a)セクキヌマブ、
b)Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体、
c)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体、
d)2つの成熟IL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合するIL−17抗体(前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)、
e)2つの成熟IL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合するIL−17抗体(前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL−17結合性分子が約100〜200pMのKを有し、IL−17結合性分子が約4週間のインビボ半減期を有する)、並びに
f)
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、
iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、
iv)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
v)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、並びに
viii)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン
からなる群から選択される抗体を含むIL−17抗体
からなる群から選択される。
上述の方法、治療レジメン、キット、使用及び医薬組成物において、好ましい実施形態は、IL−17に対するヒト抗体、例えば、最も好ましくはセクキヌマブを用いる。
セクキヌマブ治療患者に投与後8週間以内にリバウンドが認められないことを示す図である。図に試験CAIN457A2212からの個々の患者プロファイルを示す。各群のすべての患者が示されている。ベースラインPASIは、すべての患者について100%として示されている。曲線がY軸上で25%に達している場合、PASI75反応が達成されている。最終被験薬投与後8週間以内にY軸上の125%(灰色の水平線で示す)に達した場合、リバウンドが認められたこととなる。最終被験薬投与後8週間の時点(灰色の垂直線で図に示す)は、「1x3mg/kg」及び「1x10mg/kg」群については8週目であるが、「3x10mg/kg」群については12週目であり、「プラセボ」群は、実薬治療を受けなかったことに注意すること。 臨床試験CAIN457A2211の試験デザインを示す図である。 150mg(s.c.)セクキヌマブの各種治療レジメンを用いた12週間の導入相中の試験CAIN457A2211におけるPASI75反応率を示す図である。矢印は、セクキヌマブの投与の時点を示す。プラセボアームではセクキヌマブを投与しなかった。 患者来院治療週別の試験CAIN457A2211におけるPASI75達成反応率(維持期間に無作為化された被験者のサブグループ)を示す図である。PASI75の達成を有する患者のみを当試験の二重盲検維持治療期間に再無作為化したので、定義により、13週目のPASI75反応率は100%であった。「固定間隔」群の患者は、13週目及び25週目に150mgのセクキヌマブの投与を受けた。「再発の発現」群の患者は、13週目にセクキヌマブの投与を受けず、患者が各時点に再発の発現を経験した場合にのみ17、21、25及び29週目に150mgのセクキヌマブの投与を受けた。4Aに「固定間隔」及び「再発の発現」群の両方の結果を示す。4Bに「固定間隔」群の結果のみを示す。13週目(定義により100%)と比較した反応率の差を17、21及び25週目について示す。セクキヌマブ(AIN457)投与の時点を示す。 試験CAIN457A2211における「個別治療」維持において「再発の発現」を経験する観測累積確率を示す図である。図において再発の発現を有する被験者の百分率(y軸)を導入期間における最終セクキヌマブ注射以来の週単位の時間に対してプロットする。患者は、最初の12週間、3種のセクキヌマブ導入レジメン(「単回」、「月1回」及び「早期」)の1つにより治療した。結果として、最終セクキヌマブ投与以来の時間が群内で異なっている。 臨床試験CAIN457A2220の試験デザインを示す図である。 試験CAIN457A2220(12週間)におけるPASI75反応率を示す図である。「月1回」治療の被験者は、0、4及び8週目にセクキヌマブの注射を受けた。「25mg単回」アームの被験者は、0週目のみにセクキヌマブの投与を受けた。プラセボ患者は、セクキヌマブの注射を受けなかった。 第III相(皮下)で実施したレジメン並びに試験CAIN457A2212(静脈内投与経路)及びCAIN457A2211(皮下)におけるレジメンでのセクキヌマブのPK血漿濃度プロファイルのシミュレーションを示す図である。すべてのシミュレーションプロファイルは、90.9kgの体重(乾癬試験においてセクキヌマブで観測された一般的体重に基づく)を仮定した一般的な患者に関するものである。 200日の治療期間中の用量75mg、150mg及び300mgにおけるPASI75導入及び維持反応率のシミュレーションを示す図である。導入治療(0、1、2、3、4及び8週)の後、各用量を12週目及びその後は4週間ごとに投与した。 各種固定治療間隔でのPASI75反応率のシミュレーションを示す図である。第III相の用量の1つ(150mg)に基づいて、各種固定治療間隔(4、8及び12週)の影響を365日の治療期間にわたりシミュレーションする。導入治療は、3群すべてについて同じであり、維持における初回投与は、すべての群について84日目(=12週目)に行う。 臨床試験CAIN457A2304の試験デザインを示す図である。
開示の詳細な説明
本開示の様々な態様を以下の小節においてさらに詳細に述べる。本明細書において言及するすべての特許、公開特許出願、刊行物、参考文献及び他の資料は、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
「を含む(comprising)」という用語は、「を含む(including)」並びに「からなる」を含み、例えば、X「を含む(comprising)」組成物は、Xからもっぱらなっていてもよく又は別のものを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。
数値xに関する「約」という用語は、文脈上別途示されない限り、+/−10%を意味する。
「実質的に」という語は、「完全に」を除外しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことがあり得る。必要な場合、「実質的に」という語は、本開示の定義から除くことができる。
「IL−17アンタゴニスト」は、本明細書で用いているように、IL−17の機能、発現及び/又はシグナル伝達に拮抗する(例えば、低減する、阻害する、低下させる、遅延させる)ことができる(例えば、IL−17受容体へのIL−17の結合を阻止することにより)分子を指す。IL−17アンタゴニストの非限定的な例としては、IL−17結合性分子及びIL−17受容体結合性分子などがある。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニストを用いる。
「IL−17結合性分子」とは、単独又は他の分子と会合して(associated with)ヒトIL−17抗原に結合することができる分子を意味する。結合反応は、特異性が無関係であるが、同じイソ型の抗体、例えば、抗CD25抗体を用いる陰性対照試験を参照して、例えば、IL−17のその受容体への結合の阻害を測定するための結合アッセイ、競合アッセイ若しくはバイオアッセイなどの標準的方法(定性的アッセイ)又はあらゆる種類の結合アッセイにより示すことができる。IL−17結合性分子の非限定的な例としては、小分子、IL−17受容体デコイ、及びB細胞又はハイブリドーマにより産生される抗体及びキメラ、CDRグラフト若しくはヒト抗体又はその断片、例えば、F(ab’)及びFab断片、並びに単鎖又は単ドメイン抗体などがある。好ましくは、IL−17結合性分子は、IL−17の機能、発現及び/又はシグナル伝達に拮抗する(例えば、低減する、阻害する、低下させる、遅延させる)。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17結合性分子を用いる。
「IL−17受容体結合性分子」とは、単独又は他の分子と会合してヒトIL−17受容体に結合することができる分子を意味する。結合反応は、特異性が無関係であるが、同じイソ型の抗体、例えば、抗CD25抗体を用いる陰性対照試験を参照して、例えば、IL−17受容体のIL−17への結合の阻害を測定するための結合アッセイ、競合アッセイ若しくはバイオアッセイなどの標準的方法(定性的アッセイ)又はあらゆる種類の結合アッセイにより示すことができる。IL−17受容体結合性分子の非限定的な例としては、小分子、IL−17デコイ、及びB細胞又はハイブリドーマにより産生されるIL−17受容体に対する抗体及びキメラ、CDRグラフト若しくはヒト抗体又はその断片、例えば、F(ab’)及びFab断片、並びに単鎖又は単ドメイン抗体などがある。好ましくは、IL−17受容体結合性分子は、IL−17の機能、発現及び/又はシグナル伝達に拮抗する(例えば、低減する、阻害する、低下させる、遅延させる)。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17受容体結合性分子を用いる。
「抗体」という用語は、本明細書で述べているように、全抗体及びその抗原結合部又は単鎖を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合により相互に連結された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVと略記する)及び重鎖定常領域から構成されている。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3から構成されている。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記する)及び軽鎖定常領域から構成されている。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成されている。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれているより保存的である領域により散在させられている相補性決定領域(CDR)と呼ばれている超可変の領域にさらに細分することができる。各V及びVは、次の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配列している3つのCDR及び4つのFRから構成されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17又はIL−17受容体に対する抗体を用いる。
抗体の「抗原結合部」という用語は、本明細書で用いているように、抗原(例えば、IL−17)に特異的に結合する能力を保持している抗体の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片により果たされ得ることが示された。抗体の「抗原結合部」という用語に含まれる結合断片の例としては、V、V、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結されている2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片、V及びCH1ドメインからなるFd断片、抗体の一本の腕のV及びVドメインからなるFv断片、VドメインからなるdAb断片(Wardら、1989 Nature 341巻、544-546頁)並びに単離相補性決定領域(CDR)などがある。具体例としての抗原結合部位は、配列番号1〜6及び11〜13(表5)に示されているセクキヌマブのCDR、好ましくは重鎖CDR3などである。さらに、Fv断片の2つのドメインV及びVは、別個の遺伝子によりコードされるが、それらは、V及びV領域が一対になって一価分子を形成している単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知である、例えば、Birdら、1988 Science 242巻、423-426頁、及びHustonら、1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85巻、5879-5883頁参照)として調製されることを可能にする合成リンカーにより組換え法により連結することができる。そのような単鎖抗体も「抗体」という用語に含めるものとする。単鎖抗体及び抗原結合部は、当業者に公知の従来技術を用いて得られる。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17又はIL−17受容体に対する単鎖抗体又は抗体の抗原結合部を用いる。
「薬学的に許容される」という用語は、活性成分(単数又は複数)の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性物質を意味する。
「単離抗体」は、本明細書で用いているように、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、IL−17に特異的に結合する単離抗体は、IL−17以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。単離抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。IL−17「に特異的に結合する」単離抗体は、他の種のIL−17分子などの他の抗原と交差反応性であり得る。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17結合性分子は、単離抗体である。
「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書で用いているように、単一分子組成の抗体分子の製剤を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一結合特異性及び親和性を示す。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17結合性分子は、モノクローナル抗体である。
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で用いているように、フレームワーク及びCDR領域の両方がヒト由来の配列に由来する可変領域を有する抗体を含むものとする。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域も、Knappikら(2000 J Mol Biol 296巻、57-86頁)に記載されているようなヒト配列、例えば、ヒト生殖系列配列若しくはヒト生殖系列配列の変異型又はヒトフレームワーク配列解析から得られるコンセンサスフレームワーク配列を含む抗体に由来する。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織又はヒト細胞により産生される必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によりエンコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでランダム若しくは部位特異的突然変異誘発により又はインビボで体細胞突然変異により導入された突然変異)。しかし、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で用いているように、マウスなどの他の哺乳動物種の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフトされた抗体を含むものではない。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17結合性分子は、ヒト抗体である。
「IL−17」という用語は、以前はCTLA8として公知であったIL−17Aを指し、様々な種(例えば、ヒト、マウス及びサル)の野生型IL−17A、IL−17Aの多形変異体及びIL−17Aの機能的等価体を含む。本開示によるIL−17Aの機能的等価体は、好ましくは野生型IL−17A(例えば、ヒトIL−17A)との少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%又はさらには99%の全配列同一性を有し、ヒト皮膚線維芽細胞によるIL−6の産生を誘導する能力を実質的に保持している。
「Kdis」又は「K」という用語は、本明細書で用いているように、KとKとの比(すなわち、K/K)から得られ、モル濃度(M)として表される、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指すものとする。抗体のK値は、当技術分野で十分に確立されている方法を用いて決定することができる。抗体のKを測定する方法は、表面プラスモン共鳴を用いる又はBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを用いることによる。
本明細書で用いているように、「親和力」という用語は、単一抗原部位における抗体と抗原との間の相互作用の強さを指す。各抗原部位内で、抗体の「腕」の可変領域は、多数の部位において抗原と弱い非共有結合力により相互作用する。相互作用が大きいほど、親和力が強い。例えば、ELISA、ウエスタンブロット及びRIAなどの様々な種のIL−17に対する抗体の結合親和力を評価するための標準的アッセイが当技術分野で公知である。抗体の結合速度論(例えば、結合親和力)もビアコア(Biacore)解析などの当技術分野で公知の標準的アッセイにより評価することができる。IL−17の機能特性(例えば、受容体結合、骨溶解を予防又は改善すること)に対する抗体の影響を評価するためのアッセイは、実施例においてさらに詳細に述べる。
本明細書で用いているように、「対象(被験者)」及び「患者」という用語は、ヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物及び非哺乳動物を含む。
当技術分野で公知及び本明細書で述べる方法により測定されるIL−17の機能特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞、生理学的又は他の生物学的活性又は同類のもの)の1つ又は複数のものを「阻害する」抗体は、抗体が存在しない場合(又は無関係の特異性の対照抗体が存在する場合)に認められるものと比較して特定の活性の統計的に有意な低下に関連すると理解される。IL−17活性を阻害する抗体は、測定パラメーターの例えば、少なくとも10%、少なくとも50%、80%又は90%の統計的に有意な低下を引き起こし、特定の実施形態において、本開示の抗体は、IL−17機能活性の95%、98%又は99%以上を阻害し得る。
「誘導体」という用語は、特に示さない限り、アミノ酸配列変異体、並びに本開示によるIL−17結合性分子及びIL−17受容体結合性分子、例えば、指定の配列の共有結合修飾を定義するために用いられる。
「機能性誘導体」は、開示したIL−17結合性分子及びIL−17受容体結合性分子と同様の定性的生物学的活性を有する分子を含む。機能性誘導体は、本開示によるIL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子の断片及びペプチド類似体を含む。断片は、本開示によるポリペプチド、例えば、指定の配列の配列内の領域を含む。本明細書で開示したIL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子の機能性誘導体は、好ましくは本明細書で開示したIL−17結合性分子及びIL−17受容体結合性分子のV及び/又はV配列(例えば、表5のV及び/又はV配列)との少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%又はさらには99%の全配列同一性を有するV及び/又はVドメインを含む、或いは本明細書で開示したIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子のCDRとの少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%又はさらには99%の全配列同一性を有するCDR(表5に示すCDRとの1、2又は3アミノ酸の差)を含み、ヒトIL−17に結合する、又は、例えば、IL−17誘導性ヒト皮膚線維芽細胞のIL−6の産生を阻害する能力を実質的に保持している。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、本明細書で開示したIL−17結合性分子及びIL−17受容体結合性分子の機能性誘導体を用いる。
「IL−6を阻害する」は、本明細書で用いているように、初代ヒト皮膚線維芽細胞からのIL−6の産生を減少させるIL−17結合性分子の能力を指す。初代ヒト(皮膚)線維芽細胞におけるIL−6の産生は、IL−17に依存する(Hwang SYら、(2004) Arthritis Res Ther、6巻、R120-128頁)。要するに、ヒト皮膚線維芽細胞は、種々の濃度のIL−17結合性分子又はFc部を有するヒトIL−17受容体の存在下で組換えIL−17により刺激される。キメラ抗CD25抗体Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)は、陰性対照として好都合に用いることができる。16時間の刺激後に上清を採取し、ELISAによりIL−6についてアッセイする。IL−17結合性分子は、上記のように試験したとき、すなわち、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に対する前記阻害活性を測定したとき、約50nM以下(例えば、約0.01から約50nM)のIL−6の産生(1nMのヒトIL−17の存在下で)の阻害に関するIC50を一般的に有する。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、IL−17結合性分子及びその機能性誘導体は、約20nM以下、より好ましくは約10nM以下、より好ましくは約5nM以下、より好ましくは約2nM以下、より好ましくは約1nM以下の上で定義したIL−6の産生の阻害に関するIC50を有する。
「共有結合修飾」という用語は、有機タンパク質性若しくは非タンパク質性誘導体化剤による本開示によるポリペプチドの、例えば、指定の配列の、又はその断片の修飾、異種ポリペプチド配列への融合、及び翻訳後修飾を含む。例えば、指定の配列の共有結合修飾ポリペプチドは、ヒトIL−17に結合する、又は、例えば、IL−17誘導性ヒト皮膚線維芽細胞のIL−6の産生を架橋により阻害する能力を依然として有する。共有結合修飾は、伝統的には、標的アミノ酸残基を、選択される側若しくは末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、又は選択される組換え宿主細胞において機能する翻訳後修飾のメカニズムを利用することにより導入する。ある種の翻訳後修飾は、発現ポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル及びアスパラギニル残基は、しばしば翻訳後修飾により対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミド化される。或いは、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミド化される。他の翻訳後修飾は、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル、チロシン又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化などである。例えば、T. E. Creighton、Proteins: Structure and Molecular Properties、W. H. Freeman & Co.、San Francisco、79-86頁(1983)を参照のこと。共有結合修飾は、例えば、指定の配列並びにイムノアドヘシン及び異種シグナル配列へのN末端融合などのそれらのアミノ酸配列変異体の本開示によるポリペプチドを含む融合タンパク質などである。天然に存在しない共有結合修飾の一般的な例は、ペグ化である。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実施形態において、本明細書で開示したIL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子は、共有結合により修飾されている。
「実質的に同じ」という語句は、関連するアミノ酸又はヌクレオチド配列(例えば、CDR(単数又は複数)、V又はVドメイン)が特定の参照配列と比較して同じであるか又は微小な差を有する(例えば、保存的アミノ酸置換による)ことを意味する。微小な差は、指定の領域の5アミノ酸配列における1又は2置換などのわずかなアミノ酸の変化を含む。抗体の場合、第2の抗体は、同じ特異性を有し、同じものの親和力の少なくとも50%を有する。本明細書で開示した配列と実質的に同じ(例えば、少なくとも約85%の配列同一性)配列も本出願の一部である。いくつかの実施形態において、配列同一性は、約90%又はそれより大きい、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はより高値であり得る。
天然ポリペプチド及びその機能性誘導体に関する「同一性」は、本明細書においては、配列を整列させ、最大パーセントの同一性を達成するために、必要な場合にギャップを導入した後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せずに、対応する天然ポリペプチドの残基と同じである候補配列におけるアミノ酸残基の百分率と定義する。N又はC末端延長も挿入も同一性を低下させると解釈しないものとする。整列の方法及びコンピュータプログラムは、周知である。同一性のパーセントは、標準的整列アルゴリズム、例えば、Altshulら((1990) J. Mol. Biol.、215巻、403-410頁)により記載されたBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)、Needlemanらのアルゴリズム((1970) J. Mol. Biol.、48巻、444-453頁)又はMeyersらのアルゴリズム((1988) Comput. Appl. Biosci.、4巻、11-17頁)により求めることができる。一組のパラメーターは、ギャップペナルティ12、ギャップ延長ペナルティ4、フレームシフトギャップペナルティ5を有するBlosum 62スコアリングマトリックスであってもうよい。2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列の間の同一性のパーセントは、PAM120重み付き残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを用いたALIGNプログラム(version2.0)に組み込まれたE. Meyers及びW. Millerのアルゴリズム((1989) CABIOS、4巻、11-17頁)を用いて求めることもできる。
「アミノ酸(単数又は複数)」は、すべての天然に存在するL−α−アミノ酸を指し、また例えば、D−アミノ酸を含む。アミノ酸は、周知の一文字又は三文字表示により特定される。
「アミノ酸配列変異体」という用語は、本開示による配列と比較してそれらのアミノ酸配列の若干の差を有する分子を指す。例えば、指定の配列の本開示によるポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、ヒトIL−17に結合する、又は、例えば、IL−17誘導性ヒト皮膚線維芽細胞のIL−6の産生を阻害する能力を依然として有する。置換変異体は、少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、例えば、指定の配列の本開示によるポリペプチドにおける同じ位置におけるその位置に挿入された異なるアミノ酸を有するものである。これらの置換は、分子内の1つのアミノ酸のみが置換された、単一であってもよく、又はそれらは、2つ以上のアミノ酸が同じ分子内で置換された、多重であってもよい。挿入変異体は、例えば、指定の配列の本開示によるポリペプチドにおける特定の位置におけるアミノ酸に直接隣接して挿入された1つ又は複数のアミノ酸を有するものである。アミノ酸に直接隣接しては、α−カルボキシ又はアミノ酸のα−アミノ官能基に結合したを意味する。欠失変異体は、除去された、例えば、指定の配列の本開示によるポリペプチドにおける1つ又は複数のアミノ酸を有するものである。通常、欠失変異体は、分子の特定の領域における欠失した1つ又は2つのアミノ酸を有する。
本明細書で用いているように、「治療上有効量」は、障害若しくは再発性障害を治療する、予防する、癒す、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる、その少なくとも1つの症状を改善する、又はそのような治療が行われない場合に予想される生存期間を超えて対象の生存期間を延長させることを目的とした対象(ヒト患者など)への単回若しくは反復投与で有効であるIL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体))の量を指す。単独で投与した個々の活性成分(例えば、IL−17結合性分子)に適用する場合、当用語は、当成分のみに適用される。配合剤に適用する場合、当用語は、配合剤として、連続して又は同時に投与したかどうかにかかわりなく、治療効果をもたらす活性成分の合計量を指す。
本明細書で用いているように、「乾癬」という用語は、局面型、滴状、逆性、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症を含む。本明細書で開示した方法、レジメン、併用、キット及び組成物により治療すべき好ましい種類の乾癬は、局面型乾癬である。
「治療」又は「治療する」という用語は、予防的治療又は予防療法並びに罹患のリスクのある又は罹患したと疑われる患者並びに病気である又は罹患若しくは医学的状態が診断された患者の治療を含む根治又は病態修飾療法の両方を指し、臨床的再発の抑制を含む。障害若しくは再発性障害を予防する、癒す、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる、その1つ又は複数の症状を改善するために、又はそのような治療が行われない場合に予想される生存期間を超えて対象の生存期間を延長させるために、治療は、医学的障害を有する対象又は障害に最終的に罹る可能性がある対象に対して行うことができる。
以下の定義は、欧州医薬品審査庁ヒト用医薬品委員会(2004年)乾癬の治療を適応とする医薬品の臨床研究に関するガイドライン(Committee for medicinal products for human use (CHMP), European Medicines Agency for the Evaluation of Medicines for Human Use. (2004) Guideline on Clinical investigation of medicinal products indicated for the treatment of psoriasis.)、CHMP/EWP/2454/02corr文書(London、UK)に準拠して用いる。
・治療反応(反応者):ベースラインと比較して乾癬の面積及び重症度指標(PASI)スコアの75%以上の改善(低下)を達成する(PASI75とも呼ばれる)患者は、治療反応者と定義される。
・部分反応(部分反応者):ベースラインPASIスコアからの50%(PASI50とも呼ばれる)以上、75%(PASI75とも呼ばれる)未満の改善を達成する患者は、部分反応者と定義される。
・無反応(非反応者):ベースラインPASIスコアからの50%未満のPASIの低下を達成する患者は、非反応者と定義される。
・再発(再発者):患者が試験中の前回に達成したPASIの利得の50%以上を喪失する場合、患者は、「再発」を示すとみなされる。
・リバウンド(リバウンダー):ベースラインPASIの値の悪化(又は新たな膿疱性、紅皮症性若しくはより炎症性の乾癬が治療を中止してから8週間以内に発生する)、例えば、ベースラインPASIの値の125%を超えるPASI。
PASI採点法において、頭部、体幹、上肢及び下肢を表1に定義した紅斑、肥厚(局面隆起、硬化)及び鱗屑形成(scaling)(落屑)について別個に評価する。4つの身体部位のそれぞれにおける各徴候の平均重症度に0〜4のスコアを割り当てる。各身体部位における病変により覆われている面積を当該身体部位の総面積の百分率として概算する。頭頸部、上肢、体幹及び下肢はそれぞれ身体表面積の約10%、20%、30%及び40%に対応するため、PASIスコアは、以下の式を用いて計算する。
PASI=0.1(EH+IH+DH)AH+0.2(EU+IU+DU)AU+0.3(ET+IT+DT)AT+0.4(EL+IL+DL)AL
PASIスコアは、乾癬の徴候なしに対応する0の下限値から72.0の理論的最大値までに及び得る。PASIスコアは、小数点以下第1位まで、例えば、9.0、10.1、14.2、17.3等に限定表示する。PASIスコアに関するさらなる情報は、Henseler T、Schmitt-Rau K (2008) Int. J. Dermatol.、47巻、1019-1023頁で入手できる。
本明細書で用いているように、「再発の発現」(SoR)という語句は、再発の発現の評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大薬物反応(ベースラインと比較して)の15%〜25%の喪失及びPASI75の喪失を指す。開示した方法、使用及びレジメンのいくつかの実施形態において、乾癬患者はSoRを経験した。本開示のいくつかの実施形態において、SoRは、再発の発現の評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大薬物反応(ベースラインと比較して)の20%の喪失及びPASI75の喪失を指す。
表2にPASI採点法を用いて患者が「再発の発現」(「SoR」)を示すかどうかを判断する計算のいくつかの非限定的な例を示す。表2で用いるSoRの定義は、PASI利得の20%の喪失及びPASI75反応の喪失である。この定義は、高い反応(初期反応又はSoR治療後の反応)を有する患者が、これまでに達成された最良の改善利得の20%を失ったとしても追加の投与なしに続けることを可能にする(表2における患者5参照)。患者5のような反応者については、SoR治療は、PASI75が失われるまで開始されず(患者5の値F)、PASI75が再び失われるまで継続されない(患者5の値K)。
表2は、患者は、PASI75が達成される(患者1について値Bを値Cと比較する)まで、SoR治療に適格でないことを特に示す。表2は、最初にSoR治療を受けている一部の患者は、少なくともPASI75を達成しない(患者2について値Bを値Gと比較する)ため、連続SoR治療に再び適格ではないことも示す。
表2は、患者は、SoRを経験したと確認されたならば、PASI75(値B)を超えるまで、4週間ごとにIL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブにより治療することも示す。ある場合に、例えば、患者4〜5は、PASI75(患者4〜5について値G)を再び達成するためにIL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブの1用量のみが必要である。別の場合には、例えば、患者3は、PASI75(患者3について値G)を再び達成するために複数の用量が必要である。
表2に示すように、SoR治療中にPASI75が達成されたならば、次のSoRPASIスコア(値K)を決定するために新たな計算を行う。患者3及び4の場合、SoR治療後の新たな改善利得(値H)がこれまでに達成された最良の改善利得である(各患者についてHをDと比較する)ので、新たなSoRPASIスコア(値K)を決定するのに新たな改善利得(値H)を用いる。しかし、いくつかの状況において、例えば、患者6についてSoR治療後の新たな改善利得(値H)は、これまでに達成された最良の改善利得でなく(患者6についてHをDと比較する)、したがって、これまでに達成された最良の改善利得(値D)は、次のSoRPASIスコア(値K)を決定するうえでの依然としてベンチマークである。
最大反応、改善、得られた改善、失われた改善、SoR等は、利用可能な採点法、例えば、PASI、インデックス病変の視覚的評価などの医師の評価有効性尺度、体表面積測定(BSA)、臨床徴候スコア:総重症度徴候スコア(TSS)、医師の改善の包括的評価(PGA)若しくは他の包括的スコア(例えば、研究者の改善の包括的評価(IGA))、又は症状改善(心因性掻痒症、痛み)、包括的改善の患者の評価、PASIの患者の評価(自己記入PASI−SAPASI)などの患者の評価有効性尺度、又は皮膚科学のHRQLスケール(DLQI、DQOLSなどの一般的スケール及びPDI、PLSIなどの特定の乾癬スケール)により測定することができることは、理解されよう。好ましい例において、SoRは、PASI採点法(医師評価又は患者評価、好ましくは医師評価)を用いて評価する。
患者が既にSoRを示し、後に第2のSoRを示す場合、その後の再発は、「再発のさらなる発現」又は「さらなるSoR」と呼ばれる。本開示のいくつかの実施形態において、患者は、さらなるSoRを経験した。
本明細書で用いているように、「乾癬用全身薬による治療を以前に受けた」及び「以前の乾癬治療」という語句は、全身薬を用いた乾癬治療を以前に受けた患者のことを言うために用い、例えば、患者は、非反応者、反応者、再発者、リバウンダー又は部分反応者である。そのような患者は、エファリズマブなどの生物製剤による治療を以前に受けた患者及びシクロスポリンなどの非生物製剤による治療を以前に受けた患者などである。本明細書で用いているように、セクキヌマブによる乾癬の治療を以前に受けた患者は、「前セクキヌマブ治療」を受けたと呼ばれる。本開示のいくつかの実施形態において、患者は、乾癬用全身薬による治療を以前に受けた。
本明細書で用いているように、「乾癬用全身薬による治療を以前に受けなかった」という語句は、全身乾癬治療を以前に受けなかった患者のことを言うために用いる。本開示のいくつかの実施形態において、患者は,乾癬用全身薬による治療を以前に受けなかった。
本明細書で用いているように、「投薬を受けたことがない(naive)」という用語は、全身乾癬治療を以前に受けなかった患者を指す。本開示のいくつかの実施形態において、患者は、投薬を受けたことがない。
「治療レジメン」とは、疾患の治療のパターン、例えば、乾癬の治療中に用いられる投与のパターンを意味する。治療レジメンは、導入レジメン及び維持レジメンを含み得る。本開示のいくつかの実施形態において、患者にIL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子、例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ又はIL−17受容体結合性分子、例えば、IL−17受容体抗体)の導入レジメン及び維持レジメンを受けさせる。表3に乾癬の治療のための承認済み治療レジメンの例を示す。特に、これらのレジメンのいずれもSoR時の治療を提供しない。
「導入レジメン」という語句は、疾患の初期治療に用いられる治療レジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。乾癬の治療中、治療の最初の12週間は、一般的に「導入期間」と呼ばれ、導入レジメンが用いられるのはこの期間中である。導入レジメンの一般的な目的は、導入期間中に高レベルの薬物を患者の系に供給することである。導入レジメンでは(一部又は全体において)「負荷レジメン」を用いることができ、これは、医師が維持レジメン中に用いるよりも大きい用量の薬物を投与すること、医師が維持レジメン中に薬物を投与するよりも高頻度で薬物を投与すること、又は両方を含み得る。導入レジメン中のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の送達は、皮下経路による、例えば、約75mg〜約300mg(s.c.)の用量の送達、静脈内経路による、例えば、約1mg/kg〜約50mg/kgi.v.(例えば、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg等)の用量の送達又は他の投与経路(例えば、筋肉内、i.m.)によるものであり得る。いくつかの実施形態において、導入レジメン中に用いられるIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)の用量は、s.c.で送達される、約150mg又は約300mgである。
IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の送達のための導入レジメンは、特定の用量ではなく、PK情報(表10参照)を用いてデザインすることもできる。開示したレジメン及び方法については、当業者は、導入レジメン中に、約29.2μg/mLの平均トラフレベル(30〜40%の患者間変動を有する)をもたらすようにIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)を送達することができる。或いは、当業者は、導入レジメン中に一般的な90kg患者で約52μg/ml〜約104μg/mlのCmaxをもたらすようにIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)を送達することができる。いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、約7〜8日のTmax及び約30日の消失半減期を有する。
「維持レジメン」という語句は、例えば、患者をより長期間(数ヵ月又は数年)にわたり寛解状態に維持するために疾患の治療中の患者の維持のために用いられる治療レジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。この時間枠は、「維持期間」と呼ばれる。維持レジメンは、連続療法(例えば、規則的間隔で、例えば、週1回、月1回、年1回等で薬物を投与すること)又は間欠療法(例えば、断続治療、間欠治療、再発時治療又は特定のあらかじめ定めた基準[例えば、疼痛、疾患発症、PASIスコア等]の達成後の治療)を用いることができる。維持療法中のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の送達は、皮下経路による、例えば、約75mg〜約300mg(s.c.)の用量の送達、静脈内経路による、例えば、約1mg/kg〜約50mg/kgi.v.(例えば、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg等)の用量の送達又は他の投与経路(例えば、筋肉内、i.m.)によるものであり得る。開示した内容のいくつかの実施形態において、維持レジメン中に用いられるIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)の用量は、約150mg又は約300mg(例えば、s.c.で送達される)である。用量は、1回又は複数回の注射として送達することができ、例えば、150mgの用量は、75mgの2回の注射として送達することができ、300mgの用量は、150mgの2回の注射として送達することができる。
IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の送達のための維持レジメンは、特定の用量ではなく、PK情報(表10参照)を用いてデザインすることもできる。開示したレジメン及び方法については、当業者は、約15μg/mLの平均定常状態トラフレベル(30〜40%の患者間変動を有する)をもたらすように維持レジメン中にIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)を送達することができる。或いは、当業者は、導入レジメン中に、一般的な90kg患者で、約5μg/ml〜約70μg/ml、例えば、約5μg/ml〜約33μg/ml又は約11μg/ml〜約70μg/ml、好ましくは約16μg/ml又は約33μg/mlの平均定常状態トラフレベルをもたらすようにIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)を送達することができる。いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、約7〜8日のTmaxを有する。いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、約30日の消失半減期を有する。
1つの実施形態において、維持レジメンは、あらかじめ定めた反応基準(例えば、SoRを示すPASIスコア又は臨床徴候)の実現時に薬物の用量の少なくとも1回(例えば、1又は2回)、例えば、セクキヌマブの用量の1回の投与を用いる。そのような療法は、間欠療法(例えば、連続療法と比べて)として公知であり、間欠療法の1つの形がSoR時の治療である。SoR時のセクキヌマブの投与に、あらかじめ定めた反応基準(例えば、PASI75)の達成に関して患者をモニタリングすること(又は患者の自己モニタリング)が後続し得る。患者がSoR治療後にあらかじめ定めた反応基準を達成しない場合、患者は、あらかじめ定めた反応基準が達成されるまでIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)による治療を続けることができる。患者がSoR治療後にあらかじめ定めた反応基準を達成する場合、さらなるSoRが起こるまで、治療を中止する。患者がさらなるSoRを示唆するスコアを示す場合、患者にセクキヌマブの用量の少なくとも1回(例えば、1又は2回)、例えば、セクキヌマブの用量をもう1回投与することができる(又は自己投与であってもよい)。この工程をSoR療法中に繰り返す。SoR時の治療は、患者に完全に個別の療法を経験させると同時に臨床的に意味のある反応を達成するために可能な最低レベルの薬物曝露を維持することから、SoR時の治療が乾癬の管理への独特なアプローチを提供することが認識されよう。
したがって、いくつかの実施形態において、維持レジメンは、所定のエンドポイントが満たされるまで、例えば、PASI75の達成まで、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の投与を用いることができる。さらなる実施形態において、維持レジメンは、再発の発現時にIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量を用いて患者を治療するステップと、その後、PASI75が達成されるまでIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量を用いて月1回患者を治療するステップとを含む。
いくつかの実施形態において、患者がSoR(例えば、SoRの評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大反応の20%の喪失及びPASI75の喪失)を経験したならば、あらかじめ定めた反応基準(例えば、PASI75)が再び達成されるまで続く、例えば、月1回の投与(4週間ごと)でIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)の用量を少なくとも1回(例えば、1、2、3、4回又はそれ以上)患者に投与する。他の実施形態において、患者がSoR(例えば、SoRの評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大反応の20%の喪失及びPASI75の喪失)を経験したならば、PASI75が達成されるまで月1回、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)の約75mg〜約300mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg、好ましくは約150mg又は約300mg)の用量を少なくとも1回(例えば、1、2、3、4回又はそれ以上)患者に投与する。いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子を、SoRが診断された直後(例えば、1、2、3、4、5、6、7、10、14、21日後)に、その後はPASI75が達成されるまで月1回患者に投与する。他の実施形態において、SoRを示していると確認された患者には次の予定の予約時にIL−17結合性分子を投与し、その後はPASI75が達成されるまでIL−17結合性分子を月1回患者に投与する。
本明細書で用いているように、「再発の発現時の患者を特定すること」、「再発の発現時の患者を特定する」等は、患者が特定のあらかじめ定めたスコア、例えば、PASIスコアの実現のため、医師によりSoRを示していると認識されることを意味する。いくつかの実施形態において、開示した方法、レジメン及び使用は、SoR時の患者を特定することを可能にする。
投与の時期は、一般的にセクキヌマブの初回投与の当日(「ベースライン」としても公知である)から測定される。しかし、医療提供者は、表4に示すように投与スケジュールを明らかにするためにしばしば異なる命名法を用いる。
特に、0週目は、一部の医療提供者により1週目と呼ばれることがあり、一方0日目は、一部の医療提供者により1日目と呼ばれることがある。したがって、異なる医師が、同じ投与スケジュールに言及しているが、例えば、3週目/21日目、3週目/22日目、4週目/21日目、4週目/22日目に投与される用量を指定する可能性がある。一貫性を保つために、投与の最初の週を本明細書において0週目と呼ぶものとし、一方、投与の最初の日を1日目と呼ぶものとする。しかし、この命名法は単に一貫性を保つために用いるものであり、限定的であると解釈すべきではなく、すなわち、週1回の投与は、医師が特定の週を「1週目」又は「2週目」と呼ぶかどうかにかかわりなく、IL−17結合性分子の週1回の投与という規定であることは、当業者により理解されよう。本明細書で指定した慣例を用いた命名の例として、導入レジメン中に週1回投与されるセクキヌマブの5負荷用量は、0週目(例えば、約1日目)、1週目(例えば、約8日目)、2週目(例えば、約15日目)、3週目(例えば、約22日目)及び4週目(例えば、約29日目)に供給することができる。導入レジメンのこの部分は、「5週間にわたり毎週」とも呼ばれる。負荷用量は、2週間ごとに(すなわち、隔週に)、例えば、0週目、2週目、4週目等に投与することができる。負荷用量は、3週間ごとに、例えば、0週目、3週目、6週目等に投与することができる。負荷用量は、1週間にわたり毎日、例えば、1〜7日目に投与することができる。
導入レジメン中、おおよそ57日目(8週目)にセクキヌマブのさらなる用量を供給することができる。導入レジメンのこの部分は、「月1回」と呼ばれ、この時点は、「8週目」であると呼ばれる。負荷用量は、毎週(例えば、0、1、2、3、4週目等)又は隔週(例えば、0、2、4、6、8、10週目等)投与することもできる。或いは、負荷用量は、最初の月に1回の高用量注入(例えば、約10mg/kg、約30mg/kg)として送達することができ、その後は月1回s.c.注射剤を投与することができる(例えば、4週目及び8週目等)。或いは、負荷用量は、最初の月に複数回での高用量注入(例えば、約10mg/kgの用量で3回)として送達することができ、その後は月1回s.c.注射剤を投与することができる。投与は正確な時点に行う必要はなく、例えば、57日目に予定の投与を例えば、52日目〜62日目(+/−5日)に行うことができることは理解されよう。好ましい実施形態において、導入レジメンは、5週間にわたる週1回の投与(0、1、2、3及び4週目)とそれに続く8週目における月1回の投与を用いる。
維持レジメンについては、用量を毎月(「月1回投与」とも呼ばれる)(すなわち、4週間ごと、すなわち、約28日ごと)、2ヵ月ごと(すなわち、8週間ごと、すなわち、約56日ごと)又は3ヵ月ごと(すなわち、12週間ごと、すなわち、約84日ごと)に供給することができる。本明細書で用いているように、連続療法を用いる維持レジメンの最初の用量は、導入レジメンの最終の用量から測定された日に投与される。したがって、例として、導入レジメンの最終の用量が8週目に供給される場合、月1回の維持レジメンの一部としての最初の用量は、12週目に送達され、2ヵ月ごとの維持レジメンの一部としての最初の用量は、16週目に送達され、3ヵ月ごとの維持レジメンの一部としての最初の用量は、20週目に送達される等である。好ましい実施形態において、維持レジメンは、12週目に始まる月1回の投与を用いる。
本明細書で用いているように、「投与する手段」という語句は、事前充填注射器、バイアル及び注射器、ペン型注射器、自動注入装置、点滴静注及びバッグ、パッチ、ゲル、ポンプ等を含むが、これらに限定されない、生物製剤を全身投与するための利用可能な用具を示すために用いる。そのような品目を用いて、患者は、薬物を自己投与する(すなわち、自身のために薬物を投与する)ことができ、又は医師が薬物を投与することができる。
いくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)は、0、1、2、3、4及び8週目に約150mg、続いて連続維持療法としてその後毎月(すなわち、4週間ごとに)約150mgの用量として投与することができる。いくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)は、0、1、2、3、4及び8週目に約300mg、続いて連続維持療法としてその後毎月(すなわち、4週間ごとに)約300mgの用量として投与することができる。さらなる実施形態において、満足のいく反応が得られたならば、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)を中止することができ、その後の再発は、SoR又は反応の他の喪失が検出されたならば直ちに前の有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の再導入により管理する。
いくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)による療法中にブースター用量を用いることができる。「ブースター用量」は、本明細書で用いているように、IL−17結合性分子による乾癬療法中に送達される標準用量より大きいIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の用量(又は数回分用量)を指す。例えば、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)の用量は、導入期間中に反応しない又は部分反応者である患者について増量することができる。したがって、0、1、2、3及び8週目に150mgのIL−17結合性分子による治療を受けていた患者に12週目に約300mgのIL−17結合性分子を供給することができ、患者がそのとき反応者に転換した場合、患者はその後150mgの用量により治療する。或いは、医師は、16週目(すなわち、12週目ではない)にブースター用量を投与することができる。いくつかの実施形態において、医師は、1又は複数ブースター用量(例えば、12週目に1ブースター用量及びその後は標準用量、12及び16週目にブースター用量並びにその後は標準用量等)を用いることができる。いくつかの実施形態において、最初の用量が150mgである場合、ブースターは、例えば、約300mg又は少なくとも約10mg/kgである(例えば、約10mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約15mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約20mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約30mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等])。いくつかの実施形態において、最初の用量が300mgである場合、ブースターは、例えば、少なくとも約10mg/kgである(例えば、約10mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約15mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約20mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等]、約30mg/kgを1、2、3、4又は5回投与[例えば、週2回、毎週、2週間ごと、3週間ごと等])。いくつかの実施形態において、部分反応者又は非反応者に導入期間後4〜8週間にわたりブースター用量を供給する。
いくつかの実施形態において、患者が導入レジメン中に部分反応者又は非反応者である場合、維持レジメンは、導入レジメン中に用いたIL−17結合性分子の用量より高いIL−17結合性分子のブースター用量を用いて患者を治療するステップを含む。
好ましい実施形態において、方法及びIL−17結合性分子の使用は、全身療法(又は光線療法)の候補である成人患者における中等度から重度の慢性局面型乾癬の治療を提供する。本明細書における方法及び使用は、例えば、乾癬関連掻痒、フレイキング、皮膚剥脱、き裂、疼痛、落屑及び発赤などの乾癬の様々な徴候及び症状の軽減(すなわち、低減)をもたらすことも期待される。
IL−17結合性分子
様々な開示した医薬組成物、レジメン、使用、方法及びキットがセクキヌマブのようなIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)又はIL−17受容体結合性分子(例えば、IL−17受容体抗体)を利用する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を順に含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含み、前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1(N−Y−W−M−N)を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2(A−I−N−Q−D−G−S−E−K−Y−Y−V−G−S−V−K−G)を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3(D−Y−Y−D−I−L−T−D−Y−Y−I−H−Y−W−Y−F−D−L)を有する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、超可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−xを順に含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含み、前記CDR1−xは、アミノ酸配列配列番号11(G−F−T−F−S−N−Y−W−M−N)を有し、前記CDR2−xは、アミノ酸配列配列番号12(A−I−N−Q−D−G−S−E−K−Y−Y)を有し、前記CDR3−xは、アミノ酸配列配列番号13(C−V−R−D−Y−Y−D−I−L−T−D−Y−Y−I−H−Y−W−Y−F−D−L−W−G)を有する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を順に含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)を含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4(R−A−S−Q−S−V−S−S−S−Y−L−A)を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5(G−A−S−S−R−A−T)を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6(Q−Q−Y−G−S−S−P−C−T)を有する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、少なくとも1つの免疫グロブリンVドメイン及び少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインを含み、a)免疫グロブリンVドメインは、i)超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)又はii)超可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−x(前記CDR1−xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2−xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3−xは、アミノ酸配列配列番号13を有する)を含み、b)免疫グロブリンVドメインは、超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)を含む。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、少なくとも1つの免疫グロブリンVドメイン及び少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインを含み、a)少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインは、超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を順に含み、前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有し、b)少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインは、超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を順に含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、少なくとも1つの免疫グロブリンVドメイン及び少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインを含み、a)少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインは、超可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−xを順に含み、前記CDR1−xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2−xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3−xは、アミノ酸配列配列番号13を有し、b)少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインは、超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を順に含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、以下を含む。
a)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、
b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、
c)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、
d)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
e)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
f)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
g)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、又は
h)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン
Kabatの定義に基づき、X線解析により決定され、Chothia及び共同研究者のアプローチを用いた、セクキヌマブの超可変領域のアミノ酸配列を表5に示す。
好ましい実施形態において、重及び軽鎖の両方の可変ドメインは、ヒト由来のもの、例えば、配列番号10(=軽鎖の可変ドメイン、すなわち、配列番号10のアミノ酸1〜109)及び配列番号8(=重鎖の可変ドメイン、すなわち、配列番号8のアミノ酸1〜127)に示すセクキヌマブ抗体のものである。定常領域ドメインも好ましくは、例えば、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、Kabat E.A.ら、US Department of Health and Human Services、Public Health Service、National Institute of Healthに記載されている適切なヒト定常領域ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号10の可変軽ドメインを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号8の可変重ドメインを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号10の可変軽ドメイン及び配列番号8の可変重ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号10の3つのCDRを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号8の3つのCDRを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号10の3つのCDR及び配列番号8の3つのCDRを含む。Chothia及びKabat定義の両方に従う配列番号8及び配列番号10のCDRは、表5に見いだすことができる。
いくつかの実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号15の軽ドメインを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号17の重ドメインを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号15の軽ドメイン及び配列番号17の重ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号15の3つのCDRを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号17の3つのCDRを含む。他の実施形態において、本開示のIL−17結合性分子は、配列番号15の3つのCDR及び配列番号17の3つのCDRを含む。Chothia及びKabat定義の両方に従う配列番号15及び配列番号17のCDRは、表5に見いだすことができる。
超可変領域は、好ましくはヒト由来のものであるが、あらゆる種類のフレームワーク領域と会合させることができる。適切なフレームワーク領域は、Kabat E.A.ら、前出に記載されている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワーク、例えば、セクキヌマブ抗体の重鎖フレームワークである。それは、順に、例えば、FR1(配列番号8のアミノ酸1〜30)、FR2(配列番号8のアミノ酸36〜49)、FR3(配列番号8のアミノ酸67〜98)及びFR4(配列番号8のアミノ酸117〜127)領域からなる。X線解析によるセクキヌマブの確定超可変領域を考慮に入れると、他の好ましい重鎖フレームワークは、順に、FR1−x(配列番号8のアミノ酸1〜25)、FR2−x(配列番号8のアミノ酸36〜49)、FR3−x(配列番号8のアミノ酸61〜95)及びFR4(配列番号8のアミノ酸119〜127)領域からなる。同様に、軽鎖フレームワークは、順に、FR1’(配列番号10のアミノ酸1〜23)、FR2’(配列番号10のアミノ酸36〜50)、FR3’(配列番号10のアミノ酸58〜89)及びFR4’(配列番号10のアミノ酸99〜109)領域からなる。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、少なくともa)順に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変ドメイン並びにヒト重鎖の定常部又はその断片を含む免疫グロブリン重鎖又はその断片(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)、並びにb)順に超可変領域と場合によりCDR1’、CDR2’及びCDR3’超可変領域も含む可変ドメイン並びにヒト軽鎖の定常部又はその断片を含む免疫グロブリン軽鎖又はその断片(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)を含むヒトIL−17抗体から選択される。
1つの実施形態において、IL−17結合性分子は、a)順に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む第1のドメイン(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)、並びにb)超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む第2のドメイン(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)、並びにc)第1のドメインのN末端及び第2のドメインのC末端又は第1のドメインのC末端及び第2のドメインのN末端に結合しているペプチドリンカーを含む抗原結合部位を含む単鎖結合性分子から選択される。
或いは、IL−17結合性分子は、順にa)超可変領域CDR1(配列番号1)、CDR2(配列番号2)及びCDR3(配列番号3)又はb)超可変領域CDR1、CDR2、CDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含んでいてもよく、前記超可変領域CDR1は、配列番号1に示すようにCDR1の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR2は、配列番号2に示すようにCDR2の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CD3は、配列番号3に示すようにCDR3の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記IL−17結合性分子は、前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で約1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができ、前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する。
同様に、IL−17結合性分子は、順にa)超可変領域CDR1−x(配列番号11)、CDR2−x(配列番号12)及びCDR3−x(配列番号13)又はb)超可変領域CDR1−x、CDR2−x、CDR3−xを含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含んでいてもよく、前記超可変領域CDR1−xは、配列番号11に示すようにCDR1−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR2−xは、配列番号12に示すようにCDR2−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR3−xは、配列番号13に示すようにCDR3−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記IL−17結合性分子は、前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができ、前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する。
同様に、IL−17結合性分子は、順にa)超可変領域CDR’1(配列番号4)、CDR’2(配列番号5)及びCDR’3(配列番号6)又はb)超可変領域CDR1’、CDR2’、CDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含んでいてもよく、前記超可変領域CDR’1は、配列番号4に示すようにCDR’1の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’2は、配列番号5に示すようにCDR’2の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’3は、配列番号6に示すようにCDR’3の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記IL−17結合性分子は、前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができ、前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する。
或いは、IL−17結合性分子は、重(V)及び軽鎖(V)可変ドメインの両方を含んでいてもよく、前記IL−17結合性分子は、a)順に超可変領域CDR1(配列番号1)、CDR2(配列番号2)及びCDR3(配列番号3)を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)並びに順に超可変領域CDR1’(配列番号4)、CDR2’(配列番号5)及びCDR3’(配列番号6)を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、又はb)順に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)(前記超可変領域CDR1は、配列番号1に示すようにCDR1の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR2は、配列番号2に示すようにCDR2の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR3は、配列番号3に示すようにCDR3の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なる)並びに順に超可変領域CDR1’、CDR2’、CDR3’を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)(前記超可変領域CDR’1は、配列番号4に示すようにCDR’1の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’2は、配列番号5に示すようにCDR’2の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’3は、配列番号6に示すようにCDR’3の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なる)を含む少なくとも1つの抗原結合部位を有し、前記IL−17結合性分子は、前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができ、前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する。
或いは、IL−17結合性分子は、重(V)及び軽鎖(V)可変ドメインの両方を含んでいてもよく、前記IL−17結合性分子は、a)順に超可変領域CDR1−x(配列番号11)、CDR2−x(配列番号12)及びCDR3−x(配列番号13)を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)並びに順に超可変領域CDR1’(配列番号4)、CDR2’(配列番号5)及びCDR3’(配列番号6)を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、又はb)順に超可変領域CDR1−x、CDR2−x及びCDR3−xを含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)(前記超可変領域超可変領域CDR1−x、CDR2−x、CDR3−x、前記超可変領域CDR1−xは、配列番号11に示すようにCDR1−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR2−xは、配列番号12に示すようにCDR2−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR3−xは、配列番号13に示すようにCDR3−xの超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なる)並びに順に超可変領域CDR1’、CDR2’、CDR3’を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)(前記超可変領域CDR’1は、配列番号4に示すようにCDR’1の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’2は、配列番号5に示すようにCDR’2の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なり、前記超可変領域CDR’3は、配列番号6に示すようにCDR’3の超可変領域と3、好ましくは2、より好ましくは1アミノ酸異なる)を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記IL−17結合性分子は、前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができ、前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する。
本明細書で開示したヒトIL−17抗体は、配列番号17として示されているものと実質的に同じである重鎖及び配列番号15として示されているものと実質的に同じである軽鎖を含み得る。本明細書で開示したヒトIL−17抗体は、配列番号17を含む重鎖及び配列番号15を含む軽鎖を含み得る。
本明細書で開示したヒトIL−17抗体は、a)配列番号8に示されているものと実質的に同じアミノ酸配列を有する可変ドメイン及びヒト重鎖の定常部を含む1つの重鎖並びにb)配列番号10に示されているものと実質的に同じアミノ酸配列を有する可変ドメイン及びヒト軽鎖の定常部を含む1つの軽鎖を含み得る。
IL−17のその受容体への結合の阻害は、国際公開第2006/013107号に記載されているようなアッセイを含む様々なアッセイで好都合に試験することができる。「同程度に」という用語は、参照及び同等の分子が、本明細書で参照したアッセイ(国際公開第2006/013107号の実施例1参照)の1つにおいて、統計的根拠に基づいて本質的に同じIL−17阻害活性を示すことを意味する。例えば、本開示のIL−17結合性分子は、国際公開第2006/013107号の実施例1に記載されているようにアッセイしたとき、対応する参照分子のIC50と好ましくは実質的に同じ、その約10nM、より好ましくは約9、8、7、6、5、4、3、2又は約1nM以下であるヒト皮膚線維芽細胞におけるヒトIL−17により誘導されるIL−6の産生に対するヒトIL−17の阻害に関するIC50sを一般的に有する。或いは、用いるアッセイは、可溶性IL−17受容体(例えば、国際公開第2006/013107号の実施例1のヒトIL−17R/Fc構成体)及び本開示のIL−17結合性分子によるIL−17の結合の競合的阻害のアッセイであり得る。
本開示は、CDR1、CDR2、CDR3、CDR1−x、CDR2−x、CDR3−x、CDR1’、CDR2’若しくはCDR3’又はフレームワークのアミノ酸残基の1つ又は複数、一般的に少数(例えば1〜4)のものが、対応するDNA配列の例えば、突然変異、例えば、部位特異的突然変異誘発により変化しているIL−17結合性分子も含む。本開示は、そのような変化したIL−17結合性分子をコードするDNA配列を含む。特に、本開示は、CDR1’又はCDR2’の1つ又は複数の残基が配列番号4(CDR1’について)及び配列番号5(CDR2’について)に示されている残基から変化したIL−17結合性分子を含む。
本開示はまた、ヒトIL−17に対する結合特異性を有するIL−17結合性分子、特にIL−17のその受容体への結合を阻害することができるIL−17抗体及び前記分子の約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の濃度で1nM(=30ng/ml)ヒトIL−17の活性を50%阻害することができるIL−17抗体(前記阻害活性は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu−IL−17により誘導されるIL−6の産生に基づいて測定する)を含む。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子、例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブは、Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含む成熟ヒトIL−17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブは、Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80含む成熟ヒトIL−17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブは、2つの成熟ヒトIL−17鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む。これらのエピトープを定義するのに用いた残基番号付けスキームは、1つが成熟タンパク質の最初のアミノ酸である残基(すなわち、23アミノ酸N末端シグナルペプチドを欠き、グリシンから始まるIL−17A)に基づいている。未熟IL−17Aの配列は、Swiss−ProtエントリーQ16552に示されている。いくつかの実施形態において、IL−17抗体は、約100〜200pMのKを有する。いくつかの実施形態において、IL−17抗体は、約0.67nMヒトIL−17Aの生物活性のインビトロ中和に関して約0.4nMのIC50を有する。いくつかの実施形態において、IL−17抗体は、約4週間(すなわち、約23〜約30日)のインビボ半減期を有する。いくつかの実施形態において、皮下(s.c.)投与されたIL−17抗体の絶対的生物学的利用能は、約60〜約80%の範囲、例えば約76%を有する。
本開示の特に好ましいIL−17結合性分子は、ヒト抗体、特に、国際公開第2006/013107号の実施例1及び2に記載されているセクキヌマブである。セクキヌマブ(AIN457)は、免疫媒介炎症性状態の治療の臨床試験に現在供されているIgG1/カッパイソ型の組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒトインターロイキン17A(IL−17A、IL−17)抗体である。
治療レジメン、治療の方法、医薬組成物及び使用
開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体は、乾癬の治療、予防又は改善に有用である。
IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体は、インビトロ、エクスビボで用いることができ、又は医薬組成物に混入し、乾癬をインビボで治療し、改善し、又は予防するために個体(例えば、ヒト対象)に投与することができる。医薬組成物は、その意図した投与経路に適合するように処方するものとする(例えば、経口組成物は、一般的に不活性希釈剤又は可食性担体を含む)。投与経路の他の非限定的な例としては、非経口(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜及び直腸投与などがある。各意図した経路に適合する医薬組成物は、当技術分野で周知である。
IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子、例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体は、薬学的に許容される担体と混合した場合、医薬組成物として用いることができる。そのような組成物は、IL−17結合性分子に加えて、担体、様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤及び当技術分野で周知の他の物質を含んでいてもよい。担体の特性は、投与経路に依存する。
開示した方法に用いる医薬組成物は、特定の標的障害の治療のための追加の治療薬も含んでいてもよい。例えば、医薬組成物は、抗炎症薬も含んでいてもよい。そのような追加の因子/薬剤は、IL−17結合性分子との相乗効果を産生するために又はIL−17結合性分子により引き起こされる副作用を最小限にするために医薬組成物に含めることができる。
本開示の医薬組成物は、IL−17結合性分子が、他の薬学的に許容される担体に加えて、水溶液中にミセル、不溶性単層、液晶又はラメラ層として凝集した形で存在する脂質のような両親媒性物質と結合しているリポソームの形であってもよい。リポソーム製剤用の適切な脂質としては、制限なしに、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リソレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などがある。
本開示の治療の方法又は使用を実施するに際して、治療上有効量のIL−17結合性分子を対象、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与する。IL−17結合性分子は、本開示の方法により単独で、又は例えば、炎症に対する追加の療法と併用するなど、他の療法と併用して、投与することができる。1つ又は複数の薬剤と併用投与する場合、IL−17結合性分子は、他の薬剤と同時又は連続して投与することができる。連続して投与する場合、主治医がIL−17結合性分子を他の薬剤と併用投与する適切な順序を決定する。
治療上有効量のIL−17結合性分子を経口投与する場合、結合剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤又はエリキシル剤の形である。錠剤の形で投与する場合、本開示の医薬組成物は、ゼラチンなどの固体担体又は佐剤をさらに含んでいてもよい。液体の形で投与する場合、水、石油、落花生油(落花生アレルギーに関して注意を払う)などの動物又は植物由来の油、鉱油、ダイズ油又はゴマ油又は合成油などの液体担体を加えることができる。液体の形の医薬組成物は、生理食塩溶液、デキストロース若しくは他の糖溶液又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールをさらに含んでいてもよい。
治療上有効量のIL−17結合性分子を静脈内、皮膚又は皮下注射により投与する場合、IL−17結合性分子は、発熱物質を含まず、非経口で許容できる溶液の形である。静脈内、皮膚又は皮下注射用の医薬組成物は、IL−17結合性分子に加えて、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性賦形剤又は当技術分野で公知の他の賦形剤を含んでいてもよい。
開示した方法に用いる医薬組成物は、従来の方法で製造することができる。1つの実施形態において、医薬組成物は、好ましくは凍結乾燥体として提供する。即時投与のために、それを適切な水性担体、例えば、滅菌注射用水又は滅菌緩衝生理食塩水に溶解する。ボーラス注射ではなく注入による投与のためにより大きい容積の溶液を調製することが望ましいと考えられる場合、ヒト血清アルブミン又は患者自身のヘパリン加血液を調合時に生理食塩水に混入することが好都合である。過剰なそのような生理的に不活性なタンパク質の存在により、注入溶液とともに用いられる容器及びチューブの壁上への吸着による抗体の損失が予防される。アルブミンを用いる場合、適切な濃度は、生理食塩溶液の0.5から4.5重量%である。他の製剤は、液体又は凍結乾燥製剤を含む。
適切な用量は、もちろん、例えば、用いられる特定のIL−17結合性分子、宿主、投与方法並びに治療される状態の性質及び重症度並びに患者が受けた以前の治療の性質によって異なる。最終的には、主治医が個々の対象を治療するためのIL−17結合性分子の量を決定する。いくつかの実施形態において、主治医は、低用量のIL−17結合性分子を投与し、対象の反応を観察することができる。他の実施形態において、対象に投与するIL−17結合性分子の初回用量(単数又は複数)は、高く、次いで、再発の徴候が発生するまで用量を下方調節する。対象にとって最適な治療効果が得られるまで、より高い用量のIL−17結合性分子を投与することができ、その時点では一般的に用量をさらに増加させない。
IL−17結合性分子は、非経口的に、例えば、前肘若しくは他の末梢静脈に静脈内に、筋肉内に又は皮下に好都合に投与される。本開示の医薬組成物を用いる静脈内(i.v.)療法の継続期間は、治療される疾患の重症度並びに個々の患者の状態及び個人的反応によって異なる。本開示の医薬組成物を用いる皮下(s.c.)療法も考えられる。主治医は、本開示の医薬組成物を用いる、i.v.又はs.c.療法の適切な継続期間及び療法の施行の時期を決定する。
満足のいく結果(治療、予防、症状の発症の遅延)は、体重1キログラム当たり約0.05mgから約20mg、より通常、体重1キログラム当たり約0.1mgから約20mgの用量で得られると一般的に示されている。投与頻度は、ほぼ週1回から約3ヵ月ごとに1回の範囲、例えば、約2週間ごとに1回から約12週間ごとに1回の範囲、例えば、4から8週間ごとに1回であり得る。投与頻度は、とりわけ、治療レジメンの相に依存する。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)は、導入レジメン及び/又は維持レジメン中に投与する。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、負荷レジメンを含む。さらなる実施形態において、負荷レジメンは、セクキヌマブの1、2、3、4、5、6週間又はそれ以上の期間にわたり週1回の投与、好ましくはセクキヌマブの5週間、週1回の投与(例えば、0、1、2、3、4週目に送達)を含む。いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、セクキヌマブの1日1回、例えば、1週間にわたり送達されるセクキヌマブの1日1回の投与を含む。いくつかの実施形態において、これらの1週間量又は1日量で投与することができる負荷用量は、約25mg〜約300mg(s.c.送達)、例えば、約150mg〜約300mg(s.c.)、例えば、約150mg又は約300mg(s.c.送達〜であり得る。他の実施形態において、導入レジメンは、負荷レジメンを含めることに加えて、月1回の投与としてセクキヌマブの送達、例えば、セクキヌマブの1、2、3、4、5ヵ月又はそれ以上の月数月1回、好ましくは8週目に送達されるセクキヌマブの1ヵ月量(one monthly dose)の送達をさらに含む。
いくつかの実施形態において、維持レジメンは、月2回、月1回、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとの連続的送達でのIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)(例えば、約75mg〜約300mg(s.c.送達)、例えば、約150mg〜約300mg(s.c.)、例えば、約150mg又は約300mg)の投与を含む。好ましい実施形態において、維持用量を月1回送達する。いくつかの実施形態において、用量を維持レジメン中に月1回送達する場合、最初の月1回の用量を12週目に、その後月1回(例えば、約4週間ごと又は約28日ごとに)送達する。いくつかの実施形態において、用量を維持レジメン中に2ヵ月ごとに送達する場合、最初の用量を16週目に、その後2ヵ月ごとに(例えば、約8週間ごと又は約56日ごとに)送達する。いくつかの実施形態において、用量を維持レジメン中に3ヵ月ごとに送達する場合、最初の用量を20週目に、その後3ヵ月ごと(例えば、約12週間ごと又は約84日ごとに)送達する。
いくつかの実施形態において、維持レジメンは、SoR後の1又は2用量投与(例えば、1用量投与)としてのIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)(例えば、約75mg〜約300mg(s.c.送達)、例えば、約150mg〜約300mg(s.c.)、例えば、約150mg又は約300mg)の間欠投与を含む。これらの1又は2用量の投与の後、患者は、本明細書で定義したさらなるSoRについてモニターする。さらなるSoR(これは容認できる皮膚科学的採点法、好ましくはPASI採点法を用いて判定することができる)が見られたときに、患者にセクキヌマブの追加の用量を1又は2回(例えば、1回)を投与することができる。このSoR時の治療は、患者の乾癬の症状がSoR時に施行される間欠療法により十分に再治療される(例えば、再発PASIスコアを容認できるPASIスコアに改善することができる)限り、患者の生涯にわたり継続することができる。いくつかの実施形態において、SoRは、再発の発現の評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大PASI反応の20%の喪失及びPASI75の喪失と定義される。
いくつかの実施形態において、SoR後の維持レジメンは、所定のエンドポイントが満たされるまで、例えば、PASI75の達成まで、セクキヌマブ(例えば、約75mg〜約300mg(s.c.送達)、例えば、約150mg〜約300mg(s.c.)、例えば、約150mg又は約300mg)の用量を少なくとも1回(例えば、1、2、3、4回又はそれ以上)投与することを含む。好ましい実施形態において、患者がSoRを経験したならば、PASI75が達成されるまで月1回、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)の約75mg〜約300mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg、好ましくは約150mg又は約300mg)の用量を少なくとも1回(例えば、1、2、3、4回又はそれ以上)を患者にs.c.投与する。
間欠療法、例えば、SoR時の治療により患者の乾癬の症状が改善されない(例えば、再発PASIスコアを容認できるPASIスコア、例えば、PASI75に改善することができない)場合、患者は、連続療法に入ることができる。連続療法を用いる維持レジメンにおいて、患者にセクキヌマブ(例えば、約150mg〜約300mg(s.c.)、例えば、約150mg又は約300mg(s.c.))を週1回、月2回、月1回、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに投与することができる。或いは、維持レジメンは、間欠療法(例えば、治療SoR)として始めることができるが、連続療法に切替えることができる。例えば、患者がSoR間の規則的間隔を示す場合、医師は、患者を連続療法に切替えることを決定するが、個々の患者について明らかにされた特定の間隔を用いることとなる(あらかじめ定めた間隔ではなく)。これは、SoRが各投与のきっかけとなる完全個別アプローチではなく、「半個別」アプローチとなる。例えば、患者が5〜6週間ごとにSoRスコアを一貫して示す場合、医師は、患者を間欠療法(SoR時の治療)から5又は6週間ごとのセクキヌマブの連続投与に切替えることができる。
いくつかの実施形態において、開示した導入及び/又は維持レジメンに用いるセクキヌマブの用量は、患者の体重に基づいている。1つの実施形態において、患者の体重が約90kg以下である場合、患者に約150mg(s.c.)を投与する。1つの実施形態において、患者の体重が約100kg以下である場合、患者に約150mg(s.c.)を投与する。他の実施形態において、患者の体重が約90kgを超える場合、患者に約300mg(s.c.)を投与する。他の実施形態において、患者の体重が約100kgを超える場合、患者に約300mg(s.c.)を投与する。開示した方法に用いる他の種類の体重に基づく投与は、例えば、70kg未満で75mg、90kg未満で150mg、90kg以上で300mgなどである。さらに、当業者は、体重に基づく投与と反応に基づく投与の組合せに基づいてIL−17結合性分子を投与することができ、例えば、70kg未満である例えば150mgへの非反応者は、300mgに増量する。
特定の患者、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)による治療に対して部分反応、無反応を示す患者について用量の増加が必要であり得る(例えば、導入及び/又は維持相中)ことは、理解されよう。したがって、セクキヌマブの用量は、約75mg〜約300mg(s.c.)より大きい、例えば、約80mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400mg等であり得る。特定の患者、例えば、有害事象又はIL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブ)による治療に対して有害反応を示す患者について用量の減少が必要であり得る(例えば、導入及び/又は維持相中)ことも、理解されよう。したがって、セクキヌマブの用量は、約75mg〜約300mg(s.c.)未満、例えば、約25mg、約50mg、約80mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、250mg等であり得る。
本明細書で開示するのは、a)導入レジメン中にIL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、負荷レジメンを含み、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17結合性分子の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回患者に投与することを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達する)と、b)その後、維持レジメン中にIL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子の5回の用量は、それぞれ約75mg〜約300mgである。いくつかの実施形態において、5回の用量は、それぞれ約150mg又はそれぞれ約300mgである。いくつかの実施形態において、患者の体重が90kg未満である場合、約150mgの用量で5回患者に投与し、患者の体重が90kg以上である場合、約300mgの用量で5回患者に投与する。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、8週目にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mgで患者に投与することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、維持レジメンは、月1回、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに、約75mg〜約300mgのIL−17結合性分子により患者を治療するステップを含む。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、再発の発現時に、少なくとも1回のIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量で患者を治療するステップを含む。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、再発のさらなる発現ごとに、少なくとも1回のIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量で患者を治療するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、再発の発現時に、IL−17結合性分子約75mg〜約300mgの用量で患者を治療し、その後、PASI75が達成されるまで月1回IL−17結合性分子約75mg〜約300mgの用量で患者を治療するステップを含む。いくつかの実施形態において、患者が導入レジメン中にIL−17結合性分子による治療に対する部分反応者又は非反応者である場合、維持レジメンは、導入レジメン中に用いたIL−17結合性分子の用量より高いIL−17結合性分子のブースター用量で患者を治療するステップを含む。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時に、IL−17結合性分子の少なくとも1回用量を患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。また本明細書で開示するのは、a)IL−17結合性分子を用いた以前の乾癬治療からの再発の発現時に、患者を特定するステップと、b)IL−17結合性分子の少なくとも1回用量を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子の少なくとも1回の用量は、それぞれ約75mg〜約300mgである。いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子の少なくとも1回の用量は、それぞれ約150mg又は約300mgである。いくつかの実施形態において、ステップa)及びb)を反復する。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子による以前の治療は、導入レジメンを含む。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、負荷レジメンを含む。いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mgの用量で5回患者に投与するステップを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達する。いくつかの実施形態において、5回の用量は、それぞれ約150mg又は約300mgである。いくつかの実施形態において、患者の体重が90kg未満である場合、約150mgの用量で5回患者に投与し、患者の体重が90kg以上である場合、約300mgの用量で5回患者に投与する。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、8週目にIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgを患者に投与するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、IL−17結合性分子による以前の治療は、再発の発現時にIL−17結合性分子の少なくとも1回用量を患者に投与するステップを含む。
本明細書で開示するのは、a)ゼロ週目に始めて、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回、それを必要とする患者に投与するステップ(5回の用量のそれぞれは週1回送達する)と、b)8週目に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップと、c)再発の発現時に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップと、d)再発のさらなる発現ごとに、ステップc)を反復するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、
a)i.IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で5週間にわたり週1回患者に投与するステップ(IL−17結合性分子の初回用量をゼロ週目に投与する)と、ii.その後、8週目に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップとを含む、IL−17結合性分子を導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与するステップと、
b)i.毎月、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で患者に投与するステップ、又はii.再発の発現時に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップを含む、IL−17結合性分子を維持レジメン中に患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療するための治療レジメンである。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中(導入レジメンは、負荷レジメンを含み、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて、IL−17結合性分子の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回投与するステップを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達する)及びb)その後、維持レジメン中に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。
いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、IL−17結合性分子を約150mg又は約300mgの用量で5回投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、患者の体重が90kg未満である場合、約150mgの用量で5回患者に投与し、患者の体重が90kg以上である場合、約300mgの用量で5回患者に投与する。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、8週目にIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgを患者に投与するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、維持レジメンは、月1回、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとに約75mg〜約300mgのIL−17結合性分子により患者を治療するステップを含む。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、再発の発現時に、少なくとも1回のIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量で患者を治療するステップを含む。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、再発のさらなる発現ごとに、少なくとも1回のIL−17結合性分子の約75mg〜約300mgの用量で患者を治療するステップをさらに含む。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子をa)ゼロ週目に始めて、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5回、それを必要とする患者に投与し(5回の用量のそれぞれは週1回送達する)、b)その後、8週目に、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の量で患者に投与し、c)その後、再発の発現時に、少なくとも1回の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与し、d)その後、さらなる再発の発現ごとに、約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、
a)i.IL−17結合性分子を5週間にわたり週1回約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップ(IL−17結合性分子の初回用量は、ゼロ週目に投与するものとする)と、ii.その後、IL−17結合性分子を8週目に約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップとを含む、導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与すること、および
b)i.毎月、2ヵ月ごと又は3ヵ月ごとにIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で患者に投与するステップ、又はii.再発の発現時に、IL−17結合性分子をIL−17結合性分子の約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量を少なくとも1回患者に投与するステップを含む、維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時に、IL−17結合性分子を患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するための薬剤の製造のためのIL−17結合性分子の使用である。
本明細書で開示するのは、患者における乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子であり、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時の前記患者を特定し、前記患者にIL−17結合性分子の用量を少なくとも1回投与するものとする。
本明細書で開示するのは、活性成分として及びIL−17結合性分子を含む、乾癬を治療するための医薬組成物であり、IL−17結合性分子による以前の治療からの再発の発現時にIL−17結合性分子を患者に投与するものとする。
本明細書で開示するのは、a)IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5週間、週1回、それを必要とする患者に投与するステップと、b)その後、i)月1回患者にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)投与するステップ、又はii)ステップa)の約1ヵ月後に患者にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で1回投与し、その後、再発の発現時に、IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、a)IL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で5週間、週1回、それを必要とする患者に投与するステップと、b)その後、i)月1回患者にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)で投与するステップ、又はii)ステップa)の約1ヵ月後に患者にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で1回投与し、その後、再発の発現時に患者にIL−17結合性分子を約75mg〜約300mg(例えば、約150mg〜約300mg)の用量で少なくとも1回投与するステップとを含む、乾癬を治療するための治療レジメンである。
本明細書で開示するのは、a)導入レジメン中にIL−17結合性分子をそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、約52μg/ml〜約104μg/mlのIL−17結合性分子の平均最高血漿濃度(Cmax)をもたらす負荷レジメンを含む)と、b)その後、IL−17結合性分子を、約5μg/ml〜約70μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中に患者に投与し(導入レジメンは、約52μg/ml〜約104μg/mlのIL−17結合性分子の平均最高血漿濃度(Cmax)をもたらす負荷レジメンを含む)、b)その後、約5μg/ml〜約70μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。
いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、約32日目に約52μg/mlのIL−17結合性分子のCmaxをもたらす。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、約5μg/ml〜約33μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、約16μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす。いくつかの実施形態において、負荷レジメンは、約32日目に約104μg/mlのIL−17結合性分子のCmaxをもたらす。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、約11μg/ml〜約70μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、約33μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす。いくつかの実施形態において、導入レジメンは、12週間である。いくつかの実施形態において、維持レジメンは、IL−17結合性分子の月1回の投与を用いる。
本明細書で開示するのは、a)IL−17結合性分子を導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与するステップ(導入レジメンは、4回目の用量の1ヵ月後に約29.2μg/mlの平均トラフレベルをもたらす負荷レジメンを含む)と、b)その後、約15μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中にIL−17結合性分子を患者に投与するステップとを含む、乾癬を治療する方法である。
本明細書で開示するのは、IL−17結合性分子を、a)導入レジメン中に患者に投与し(導入レジメンは、4回目の用量の1ヵ月後に約29.2μg/mlの平均トラフレベルをもたらす負荷レジメンを含む)、b)その後、約15μg/mlのIL−17結合性分子の平均定常状態トラフレベルをもたらす維持レジメン中に患者に投与することを特徴とする、乾癬を治療するのに使用するためのIL−17結合性分子である。
乾癬の治療のための併用療法
本開示の治療の方法、レジメン又は使用を実施するに際して、治療上有効量のIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又は及びIL−17受容体結合性分子を対象、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与する。IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又は及びIL−17受容体結合性分子は、本開示の方法により単独で、又は例えば、乾癬用の追加の薬剤及び療法と併用するなど、他の療法と併用して、投与することができる。1つ又は複数の追加の薬剤と併用投与する場合、IL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又は及びIL−17受容体結合性分子は、他の薬剤と同時又は連続して投与することができる。連続して投与する場合、主治医がIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)又は及びIL−17受容体結合性分子を他の薬剤と併用投与する適切な順序を決定する。
乾癬の治療中に様々な療法を開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子と有利に併用することができる。そのような療法は、局所薬(一般用医薬品、非ステロイド化合物及びステロイド化合物)、光線療法及び全身治療(例えば、生物製剤又は化学物質を用いる)を含む。開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子とともに用いる局所薬の非限定的な例としては、サリチル酸、コールタール、Dovonex(登録商標)(カルシポトリエン)、Taclonex(登録商標)(カルシポトリエン及びジプロピオン酸ベタメタゾン)、Tazorec(登録商標)(タザロテン)、ピメクロリムス、タクロリムス、Vectical(登録商標)(カルシトリオール)、Zithranol−RR(登録商標)(アントラリン)及び局所ステロイド(例えば、コルチコステロイド)などがある。開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子とともに用いる光線療法の例としては、ソラレン+UVAによる治療又はUVB(タールを用いる又は用いない)による治療などがある。開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子とともに用いる全身治療に用いる薬剤の例としては、アシトレチン(Soriatane(登録商標))などのレチノイド、シクロスポリン、メトトレキセート、Hydrea(登録商標)(ヒドロキシ尿素)、イソトレチノイン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、スルファサラジン、6−チオグアニン、フマレート(例えば、フマル酸ジメチル及びフマル酸エステル)、アザチオプリン、コルチコステロイド、レフルノミド、タクロリムス、T細胞阻害薬(Amevive(登録商標)(アレファセプト)及びRaptiva(登録商標)(エファリズマブ)など)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)阻害薬(Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)及びSimponi(登録商標)(ゴリムマブ)など)並びにインターロイキン12/23阻害薬(Stelara(登録商標)(ウステキヌマブ)、タソシチニブ、エファリズマブ及びブリアキヌマブなど)などがある。
乾癬の治療中に、開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子と併用して用いる追加の薬剤は、アプレミラスト、モメタソーム、ボクロスポリン、ケトコナゾール、ニューロスキンフォルテ、組換えヒトインターロイキン10、ボクロスポリン、VX−765、MED−I545、デカン酸フルフェナジン、アセトムイノフン(acetomuinophn)、ビモシアモーセクリーム、ドキシサイクリン、バンコマイシン、AbGn168、ビタミンD3、RO5310074、フルダラビン、カルシポトリオール及びヒドロコルチゾン(LEO80190)、LE80185(Taclonex(登録商標)Scalp局所懸濁剤/Xamiol(登録商標)ゲル剤)、フォセトリア(一価MF59アジュバント加ワクチン、tgAAC94遺伝子治療ベクター、アプレミラスト、カプサイシン、プシレラックス(Psirelax)、ABT−874(抗IL−12)、IDEC−114、MEDI−522、INCB018424ホスフェートクリーム、LE29102、BMS587101、CD2027、CRx−191、8−メトキシソラレン又は5−メトキシソラレン、ビシリンL−A、LY2525623、INCB018424、LY2439821、CEP−701、CC−10004、セルトリズマブ(CZP)、GW786034(パゾパニブ)、ドキシサイクリンクルクミノイドC3複合体、NYC0462、RG3421、hOKT3ガンマ1(Ala−Ala)、BT061、テプリズマブ、硫酸コンドロイチン、CNTO1275、IL−12p40及びIL−23p40サブユニットに対するモノクローナル抗体、BMS−582949、MK0873、MEDI−507、M518101、ABT−874、AMG827、AN2728、AMG714、AMG139、PTH(1−34)、U0267泡、CNTO1275、QRX−101、CNTO1959、LEO22811、イミキモド、CTLA4Ig、ドナリエラ・バーダウィル(Dunaliella Bardawil)藻類、AS101クリーム剤、ピオグリタゾン、ピメクロリムス、ラニビズマブ、ジドブジンCDP870(セルトリズマブペゴール)、オネルセプト(r−hTBP−1)、ACT−128800、4,4−ジメチルベンジソ−2H−セレナジン、CRx−191、CRx−197、ドキセルカルシフェロール、LEO19123クリーム剤(カルシポトリオール+LEO80122)、LAS41004、WBI−1001、タクロリムス、RAD001、ラパマイシン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ABT−874、アミノプテリン、AN2728、CD2027、ACT−128800、フロ酸モメタゾン、CT327、クロベタゾール+LCD、BTT1023、E6201、局所ビタミンB12、INCB018424ホスフェートクリーム剤、キサミオールゲル剤、IP10.C8、BFH772、LEO22811、フルフェナジン、MM−093、クロベックス、SCH527123、CF101、SRT2104、BIRT2584、CC10004、テトラチオモリブデート、CP−690,550、U0267、ASP015K、VB−201、アシトレチン(U0279とも呼ばれる)、RWJ−445380、ソラライト、プロピオン酸クロベタゾール、ボツリヌス菌毒素A型、アレファセプト、エルロチニブ、BCT194、ウルトラベート軟膏剤、ロフルミラスト、CNTO1275、ハロベタゾール、CTA018クリーム剤、ILV−094、COL−121、MEDI−507、AEB071などである。乾癬の治療中にセクキヌマブと併用して用いる追加の薬剤は、IL−6アンタゴニスト、CD20アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、IL−17アンタゴニスト、IL−8アンタゴニスト、IL−21アンタゴニスト、IL−22アンタゴニスト、VGEFアンタゴニスト、CXCLアンタゴニスト、MMPアンタゴニスト、デフェンシンアンタゴニスト、IL−1ベータアンタゴニスト及びIL−23アンタゴニスト(例えば、受容体デコイ、拮抗抗体等)などである。当業者は、開示したIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子との共送達のための上記の薬剤の適切な用量を認識することができる。
乾癬の治療のためのキット
本明細書に提供するのは、乾癬の治療のためにIL−17アンタゴニスト、例えば、IL−17結合性分子(例えば、セクキヌマブなどのIL−17抗体)及びIL−17受容体結合性分子を提供するのに有用なキットである。そのようなキットは、IL−17アンタゴニスト(例えば、液体若しくは凍結乾燥剤形の)又はIL−17アンタゴニストを含む医薬組成物を含み得る。さらに、そのようなキットは、IL−17結合性分子を投与する手段(例えば、注射器又は前充填ペン)及び使用説明書を含み得る。これらのキットは、例えば、同封のIL−17アンタゴニスト、例えば、セクキヌマブと併用して送達するための乾癬の治療用の追加の治療薬(上述の)を含み得る。
したがって、本明細書で開示するのは、a)治療上有効量のIL−17結合性分子を含む医薬組成物、b)IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)を乾癬を有する患者に投与する手段、並びにc)i)a.IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)の約75mg〜約300mgを5週間にわたり週1回患者に投与し(IL−17結合性分子の初回用量をゼロ週目に投与する)、b.その後、IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)の約75mg〜約300mgを8週目に患者に投与することを含む、導入レジメン中に患者にIL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)を投与すること、及びii)a.IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)の約75mg〜約300mgを毎月、2ヵ月ごと若しくは3ヵ月ごとに患者に投与すること、又はb.再発の発現時に、IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)を約75mg〜約300mgの用量で少なくとも1回患者に投与することを含む、維持レジメン中に患者にIL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)を投与することを示す説明書を含むキットである。
一般
開示した方法、レジメン、キット、使用又は医薬組成物のいくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)は、
a)セクキヌマブ、
b)Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体、
c)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含むIL−17のエピトープに結合するIL−17抗体、
d)2つの成熟IL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合するIL−17抗体(前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む)、
e)2つの成熟IL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合するIL−17抗体(前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL−17結合性分子が約100〜200pMのKを有し、IL−17結合性分子が約4週間のインビボ半減期を有する)、並びに
f)
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、
iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、
iv)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
v)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、並びに
viii)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン
からなる群から選択される抗体を含むIL−17抗体
からなる群から選択される。
上述の方法、治療レジメン、使用、医薬組成物、併用、併用療法及びキットにおいて、好ましい実施形態は、ヒトIL−17抗体、例えば、ヒトIL−17抗体(例えば、ヒトモノクローナル抗体)、最も好ましくはセクキヌマブを用いる。
開示した方法、レジメン、キット、IL−17結合性分子、使用及び医薬組成物のいくつかの実施形態において、IL−17アンタゴニスト(例えば、IL−17結合性分子又はIL−17受容体結合性分子)は、患者により自己投与される。
上述の方法、治療レジメン、使用、医薬組成物、併用、併用療法及びキットのいくつかにおいて、セクキヌマブにより治療すべき患者は、投薬を受けたことがない患者である(すなわち、以前に乾癬の治療を受けなかった)。他の実施形態において、セクキヌマブにより治療すべき患者は、乾癬用全身薬による、例えば、メトトレキセート、シクロスポリン、フマル酸エステル、アシトレチン、アレファセプト、アダリムバム、エファリズマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、ゴリムマブ又はウステキヌマブからなる群から選択される薬剤による治療を以前に受けた。好ましい実施形態において、全身薬は、メトトレキセートである。
いくつかの実施形態において、開示した治療レジメンは、全身療法又は光線療法の候補である中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者に用いる。いくつかの実施形態において、開示した治療レジメンは、全身療法又は光線療法の候補であり、他の全身療法が医学的にさほど適切でない場合に、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者に用いる。いくつかの実施形態において、開示した治療レジメンは、全身療法の候補であり、他の全身療法が医学的にさほど適切でない場合に、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者に用いる。いくつかの実施形態において、患者は、抗TNFアルファ乾癬治療非反応者、部分反応者(例えば、不十分反応者)、再発者又はリバウンダーであり得る。
上述の方法、治療レジメン、使用、医薬組成物、併用、併用療法及びキットのいくつかにおいて、再発の発現は、a)再発の発現の評価が行われる来院の前の任意の時点に達成された最大PASI反応の少なくとも20%(1/5)の喪失及びb)PASI75の喪失と定義される。
上述の方法、治療レジメン、使用、医薬組成物、併用、併用療法及びキットのいくつかにおいて、患者は、手掌及び又は足底の乾癬、顔面乾癬、頭皮乾癬、性器乾癬、逆乾癬又は爪乾癬に罹患している。さらなる実施形態において、乾癬は、慢性局面型乾癬である。
[実施例]
乾癬を治療するためにセクキヌマブを用いる概念実証
完了済みの概念実証(PoC)試験(CAIN457A2102)において、活動性慢性局面型乾癬を有する36例の患者における単回静脈内注入として3mg/kgで投与したセクキヌマブの効果をプラセボの効果と比較した。試験において、乾癬の面積及び重症度指標(PASI)並びに治験責任医師による包括的評価(Investigator Global Assessment)(IGA)エンドポイントに基づいて4週エンドポイントにおける有効性及び12週における持続的有効性が実証された。
フォローアップ(CAIN457A2212)試験において、次の3種のセクキヌマブi.v.レジメンを活動性慢性局面型乾癬を有する患者において試験した:1x3mg/kg(1日目に投与)、1x10mg/kg(1日目に投与)及び3x10mg/kg(1、15及び29日目に投与)。3mg/kgi.v.アームは、PoC(40%の患者が12週間後にPASI75を達成する)に認められる有効性を確認した。10mg/kgi.v.アームは、3mg/kgi.v.治療アームと比較してはるかに改善された有効性を示し、73%(10mg/kg)〜87%(3x10mg/kg)の患者が12週目にPASI75を達成している。さらに、セクキヌマブの作用の発現が非常に速かった(約2週間)。特に、図1に示すように、リバウンドは、セクキヌマブ治療患者において投与後8週間以内には認められない。これは、患者におけるリバウンドを誘発することが示された様々な他の乾癬治療薬、例えば、いくつかのTNFアルファアンタゴニスト及びシクロスポリンと対照的である。このようなリバウンドの欠如は、間欠的乾癬治療、例えば、セクキヌマブによるSoR時の治療の実現可能性を示唆するものである。
試験CAIN457A2211
(実施例2.1)プロトコール
主要目的
プラセボと比較して、12週間の治療後のPASI75の達成に関して、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者に皮下投与したセクキヌマブの3種の導入レジメンの有効性を評価すること。
試験デザイン
この多施設試験では並行群無作為化二重盲検デザインを用いる。試験の図示的説明を図2に示す。試験は、スクリーニング期間、導入期間、維持期間及びフォローアップ期間の4つの期間からなる。4週間のスクリーニング期間は、患者の適格性を評価し、有効性を否定された(disallowed)薬物を患者から漸減させるために用いる。ベースライン来院時に、適格患者を導入治療アームの1つに無作為化する。無作為化は、体重(≧90kg又は<90kg)に従って層別化する。患者を以下のように無作為化する。
導入期間
患者を以下の4つの導入治療アームの1つにそれぞれ1:2:2:1の比率で割り付ける。
・単回注射による導入−「単回」:1週目にセクキヌマブ150mgをs.c.投与する
・月1回の注射による導入−「月1回」:1、5、9週目にセクキヌマブ150mgをs.c.投与する
・早期負荷導入−「早期」:1、2、3、5週目にセクキヌマブ150mgをs.c.投与する
・プラセボ−「プラセボ」:1、2、3、5、9週目にプラセボを投与する。
実薬治療アームのそれぞれでは、試験中、盲検を維持するためにプラセボ注射を投与するものとする。
維持期間
13週目に、患者を反応者(少なくともPASI75を達成)、部分反応者(PASI50を達成するが、PASI75は達成しない)又は非反応者(PASI50を達成しない)と分類する。13週目における反応者を以下の維持治療アームの1つに1:1の比率でさらに無作為化する。
・固定時間間隔レジメン−「FI」:13週目及び25週目にセクキヌマブ150mg(s.c.)を、再発の発現を観察する定期計画来院時にプラセボを投与する
・再発発現時治療レジメン−「SR」:13週目及び場合により再発の発現が認められない場合に25週目にプラセボを投与し、再発の発現を観察する定期計画来院時にセクキヌマブ150mg(s.c.)を投与する。
プラセボレジメンでの反応者は、プラセボアームに留まり、13週目及び25週目にプラセボを、再発の発現を観察する定期計画来院時にプラセボを投与する。
オープンラベル相
13週目における非反応者及び部分反応者並びに13週目以後の計画来院時に2連続再発を経験する患者は、オープンラベル相−「OL」:4週間ごとのセクキヌマブ150mg(s.c.)投与に入ることが適格であるものとする。試験に留まっているすべての患者に対する最終被験薬投与は、33週目であり得る。すべての無作為化患者は、安全性をモニターするために最終被験薬投与の4週間後に無治療フォローアップ期間に入り、12週間にわたりモニターするものとする(来院13、14及び15)。主目的を問うための評価は、導入期間の終了時(13週目)に実施する。
乾癬の面積及び重症度指標:PASI
PASIスコアは、計画来院時に得られる。PASI採点法において、頭部、体幹、上肢及び下肢を紅斑、肥厚(局面隆起、硬化)及び鱗屑形成(落屑)について別個に評価する(表1参照)。
(実施例2.2)試験CAIN457A2211の結果
中間解析結果(12週):
PASI反応
12週目に実施した中間解析から得られるデータは、プラセボアームにおける5%と比較して「単回」アームにおける12%、「月1回」アームにおける43%及び「早期」アームにおける55%のPASI75を示している(表5及び図3)。「月1回」及び「早期」アームの両方がプラセボと比較して統計的有意性(p<0.001)を示した。「早期」アーム(最初の5週間以内の4x150mgセクキヌマブs.c.)は、最高有効性を示し、これは、3mg/kgIV(PoC)より良好であったが、10mg/kgIV(CAIN457A2212)より低かった。
試験CAIN457A2211において、「早期」アーム(8週目における投与を含まなかった)における反応率は、8週目の後に有意味なほどには改善しなかったが、「月1回」アーム(8週目における投与を含んでいた)における反応率は、8週目の後に明らかに改善した(図3)。さらに、8週目にPASI75反応を既に達成した「早期」アームにおける8例の患者は、12週目までにPASI75を喪失した。このデータは、週1回の負荷の後の月1回投与を支持するものである。
体重−反応関係も試験CAIN457A2211において示され、90kg未満の体重を有する患者の60.9%が12週間の治療後にPASI75反応を示したのに対して、90kg以上の体重を有する患者の群ではわずか47.6%がこの反応を達成した(表6)。治験責任医師による包括的評価(IGA)スコア又は0又は1の達成の反応率も、プラセボ(3.0%;p<0.001)と比較したとき、「月1回」(22.6%)及び「早期」(37.9%)アームで統計的に有意に良好であった。この試験におけるセクキヌマブの短期安全性プロファイルは、プラセボと同等であり、用量効果は認められず、すべての用量アーム及びプラセボにわたり有害事象の百分率(約60〜70%)は同様であった。これには、プラセボコホートにおける37%と比較して、「単回」、「月1回」及び「早期」コホートにおけるそれぞれ21%、39%、33%であった感染事象が含まれていた。重篤な有害事象(SAE)の百分率は、プラセボコホートにおける3%と比較して、「単回」、「月1回」及び「早期」コホートにおけるそれぞれ5%、2%、5%であった。
IGA反応
PASI反応に加えて、治験責任医師による包括的評価(IGA)達成に関して主要エンドポイント解析を実施した。0(なし)から5(非常に重度)までのスケールを用いた。0(なし)又は1(ほぼなし)のIGAに達した場合、患者はIGA反応者とみなされた。選択基準は、3以上のベースラインIGAであった。12週間の治療後に、IGA反応は、「単回」アームの患者の4.5%、「月1回」アームの患者の22.6%及び「早期」アームの37.9%により達成され、プラセボアームの患者の3.0%のみがIGA0/1反応を達成した。
長期にわたるPASI反応の場合と同様に、IGA反応者の数が「月1回」アームで8週間後のセクキヌマブの投与後に増加したが、8週間後にセクキヌマブを投与しなかった「早期」アームではわずかに増加したことが示された。さらに、体重−IGA反応関係も「単回」及び「月1回」レジメンについて示されたが、「早期」レジメンについては示されなかった。「単回」アームにおいて、12週間の治療後のIGA反応率は、90kg未満の体重群で8.8%であったが、90kg以上の体重群で0.0%であった。同様に、「月1回」アームにおいて、反応率は、35.3%及び10.1%であった。「早期」アームにおいて、反応率は、体重群間で非常に類似しており、39.1%(90kg未満)及び36.5%(90kg以上)であった。
中間解析結果(28週):
中間解析(IA)は、103例の患者が12週間の治療後にPASI75反応に達した16週間後に実施した。このIAにおいて、2種の維持レジメン(「固定間隔」及び「再発の発現時の治療」)を比較する重要な副次的目的を内部データモニタリング委員会(DMC)が評価した。
ベースライン人口統計データ(demographics)
無作為化時の人口統計データと比較して、この中間解析における集団は、より低い平均体重(無作為化時の93.1kgと比較して85.1kg)を有する患者からなっていた。他の点では、人口統計データは同等であった。反応者のみが二重盲検維持期間に入ったので、平均体重の差は予想されたものであり、より低い体重は、セクキヌマブによる治療後に反応を示すより高い可能性に関連している。
PASI反応
「固定間隔」治療アーム(51例の患者、無作為化の12及び24週間後の150mgのセクキヌマブs.c.による維持治療)において、患者の94.1%が維持に入って4週目に(5.9%の反応の喪失)、8週間後には80.4%(19.6%の喪失)、66.7%が維持期間に入って12週目に(33.3%の喪失)PASI75反応を示した(図4A及び4B)。25週目の来院時に、患者をセクキヌマブにより再治療したところ、4週間後に、PASI75反応を有する患者の百分率は、68.6%にわずかに増加した。
さらに、4週間の固定間隔を試験CAIN457A2211のオープンラベル部分において試験した。定義により、試験のこの部分に入った患者は、12週目にPASI75反応を有さなかった。4週間ごとにセクキヌマブ150mgオープンラベルにより治療した場合、有意な割合の患者が8〜12週間以内に反応者状態に変わった(表7)。4週間の維持間隔の根拠を裏付けるために、一旦PASI75反応率の特定のレベルが達成されるならば(「単回」及び「月1回」:20週目;「早期」及びプラセボ:24週目)、この割合は、このレジメンにより同じレベルに維持されるか、又はわずかに改善されることに注目すべきである。患者を4週間ごとに150mgのセクキヌマブにより治療した、試験CAIN457A2211のオープンラベルアームにおける患者の安全性解析により、オープンラベルアームと他の治療レジメン(すなわち、固定間隔=12週間ごとの治療及び再発の発現時の再治療)との臨床的に意味のある差は明らかになっていない。これは、4週間ごとの維持におけるセクキヌマブによる治療が容認できる安全性プロファイルを示す見込みがあるという想定を裏付けるものである。
さらに、患者が「再発の発現」(CAIN457A2211試験において、これは、以前に達成されたPASI利得の少なくとも33%の喪失と定義した。ここで、PASI利得は、無作為化時のPASIスコアから試験中にこれまでに達成された最低PASIを引いたものである。)を経験するまでの時間を評価した。「再発の発現」アーム(患者が「再発の発現」を経験した場合にのみ患者を再治療した)において、最終被験薬投与後の13週目に、最初の「再発の発現」観察を行った(患者の6.0%)。最終被験薬投与後の16週目に、患者のわずか28.5%が、20週目に41.4%が、24週目に55.6%が「再発の発現」を経験した(図4A、点線)。
IGA反応
維持期間の開始時(すなわち、被験薬を開始してから12週間後)に、「固定間隔」アームの患者の64.7%がIGA0(「なし」)又は1(「ほぼなし」)反応を示した。維持に入って4週目に、この反応は、患者の70.6%により、8週目に患者の60.8%により示された。患者が維持において最初に再治療を受ける前の維持期間に入って12週目に、患者の52.9%がIGA0/1反応を有し、このレベルは、4週間後に維持されていた(51.0%)。
考察及び解析
内部主要エンドポイント解析(PEA)は、すべての患者が12週間の治療の期間に達した後に実施した。結果から、セクキヌマブが「月1回」及び「早期」アームにおいてプラセボと比較して、試験した適応症に有効であり、12週間の治療後のPASI75達成に関するセクキヌマブの効果を示すという主要エンドポイントを満たしていることが確認される。
中間解析は、12週間の治療の後に反応者であった103例の患者について実施した。2種の維持レジメン(「固定間隔」及び「再発の発現時の治療」)を比較する主要な副次的エンドポイントは、内部データモニタリング委員会(DMC)が評価した。「固定間隔」レジメンにおける維持中の治療目的が患者をPASI75反応の状態に保つことであることを考慮すると、中間解析は、改定固定治療間隔は4週間とすべきであることを示すものであった。このレジメンは、固定投与を解析するすべての第III相試験に用いられている。
試験CAIN457A2211からの維持情報の解釈により、大部分の患者をPASI75反応に維持するために、4週間の固定治療間隔が必要であることが示された(図4)。しかし、患者の66.7%がセクキヌマブの最終投与の12週間後までそれらのPASI75反応を維持しており、したがって、この時点より早期に再治療することは必ずしも必要でなかった可能性がある(図4A及びB)。再発の発現時再治療アプローチの解析により、一部の患者がより長い間隔で再治療を受けて成功を収める可能性があることが示されている。図5に再発の発現を有する対象の数の時間的推移を示す。最終セクキヌマブ投与後の約6ヵ月後でさえもかなりの割合の患者が意味のある臨床反応を維持していることがわかる。これらのデータは、個別維持治療アプローチがセクキヌマブによる乾癬の治療に有用であり得ることを意味している。すべての患者がそのようなアプローチに適格であるとは限らず(すなわち、それらの個別の反応/再発挙動のため、症状の綿密なモニタリングの必要があるため、又は医師に直ちに連絡する必要があるため)、したがって、固定間隔治療レジメンを好む可能性があるが、一部の患者は、個別療法による恩恵を受けると予想される。4週間ごとより低い頻度での注射の必要のある患者は、固定間隔によるレジメンと比較して少ない薬物に曝露されると思われ、これは、安全上の恩恵とみなされる。
試験CAIN457A2211の維持期間の解析により、個別治療アプローチの実現可能性及び可能な恩恵が示されているが、「再発の発現時の再治療」に関する規則をより高度な疾患制御を達成するように精密化することができることも示されている。したがって、理想的な疾患制御を最大にし、維持するために、再発の発現時の再治療の開始並びに停止規則の両方が第III相向けに修正され、第III相における再発の発現は、以前のPASI利得の20%(第II相における33%に対立するものとして)の喪失及びPASI75反応の喪失として定義されている。さらに、再発の発現時の再治療が開始されたならば、PASI75反応が再び達成されるまで、それを4週間ごとのセクキヌマブの単回投与により継続するものとする。
試験A2220
(実施例3.1)プロトコール
主要目的
プラセボと比較して、治療を開始してから12週間後のPASI75の達成に関して、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者における月1回s.c.投与したセクキヌマブの3種の用量(25mg、75mg及び150mg)の又は単回投与(25mg)としての有効性を評価すること。
試験デザイン
これは、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する120例の患者における多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群試験である。患者が約25試験施設で登録されることが予期されるが、施設は、5例以上の患者を登録すべきである。
試験は、スクリーニング、治療及びフォローアップの3つの期間からなる。試験デザインの図による表示を図6に示す。
最長4週間のスクリーニング期間は、患者の適格性を評価し、有効性を否定された薬物を患者から漸減させるために用いる。適格患者は、5つの治療群の1つに無作為化し、被験薬を月1回で3回(1、5及び9週目)投与する。プラセボ又はセクキヌマブの2種のレジメンとしての3種の用量の1つを1:1:1:1:1の無作為化比率で各治療群の患者に投与する。無作為化は、体重(90kg未満又は90kg以上)に従って層別化する。治療期間中、患者は2、3、5及び9週目に施設に来院する。患者は、5及び9週目に被験薬の投与を受ける。すべての来院時に、安全性、有効性及びPK評価を行う。12週間の治療期間の終了時に、患者は、最長24週間のフォローアップ期間に入る。患者がフォローアップの終了の前に他の全身乾癬治療又は光線療法を必要とする場合、試験来院の終了を行うべきである。
すべての患者が治療相を完了したならば、主要エンドポイント(すなわち、治療を開始してから12週間後のPASI75の達成)を解析する。
試験デザインの根拠
本試験は、12週間の治療期間(9週目の最終被験薬投与を含む)の用量範囲情報を提供する。本試験の目的は、乾癬の症状の重症度を低減する(プラセボと比較して)セクキヌマブの用量(単数又は複数)を決定することである。
本試験は、セクキヌマブによる治療を開始してから12週間後に中等度から重度の局面型乾癬を有する患者に乾癬の面積及び重症度指標(PASI)並びに治験責任医師による包括的評価(IGA)達成により測定される乾癬の症状の重症度の低下があるかどうかを検討するためにデザインされている。PASIスコア、乾癬の症状の重症度及び患者の身体部位が疾患により影響を受ける範囲の評価は、治験責任医師による包括的評価(IGA)と併せて有効性を評価するのに容認できるものと保健当局によりみなされている。
治療アーム
患者は、以下の5種の治療アームの1つに1アーム当たり24例の患者として1:1:1:1:1の比率で割り付けるものとする。
・「3x150mg」アーム: 1、5及び9週目にセクキヌマブ150mgをs.c.投与する
・「3x75mg」アーム: 1、5及び9週目にセクキヌマブ75mgをs.c.投与する
・「3x25mg」アーム: 1、5及び9週目にセクキヌマブ25mgをs.c.投与する
・「1x25mg」アーム: 1週目にセクキヌマブ25mgをs.c.投与し、5及び9週目にプラセボをs.c.投与する、及び
・「プラセボ」アーム: 1、5及び9週目にプラセボをs.c.投与する
乾癬の面積及び重症度指標:PASI
PASIスコアは、計画来院時に得られる。PASI採点法において、頭部、体幹、上肢及び下肢を紅斑、肥厚(局面隆起、硬化)及び鱗屑形成(落屑)について別個に評価する(表1参照)。
(実施例3.2)CAIN457A2220試験結果(12週目)
PASI反応
PASI75(主要変数)、PASI50及びPASI90反応の結果を図7に示し、表8に要約する。最高反応は、3x150mgコホートにおいて認められ、81.5%(p<0.001対比プラセボ)のPASI75及び51.9%(p<0.001対比プラセボ)のPASI90を有していた。3x75mgコホートは、12週間の治療後に57.1%(p=0.002対比プラセボ)のPASI75を有していた。したがって、コホート間における明らかな用量反応関係を、プラセボと統計的に異なっていなかった1x25mg群を除くすべてのコホートについて確認することができる(すなわち、3.4%(p=0.308)の1x25mg及び19.2%(p=0.362)の3x25mgコホートは、プラセボと比較したとき、統計的に有意な差を示さなかった(表9))。特に、PASI90は、3x75mgコホートの患者の19%及び3x25mgコホートの7.7%によってのみ達成された。反応率は、1x25mgコホートにおいて非常に低く、いずれの患者もPASI90を達成しなかった。プラセボ反応率は、PASI75について9.1%(患者22例中2例)であり、PASI90について4.5%(患者22例中1例)であった。サブグループ解析(表9)において、最高PASI75(93.8%)反応が3x150mgにより治療し、体重が90kg未満の患者に認められたのに対して、体重が90kg以上の患者の63.6%のみが12週間の治療後にこのコホートにおいてPASI75を達成した。
考察及び解析
この12週間用量設定試験の結果は、慢性局面型乾癬におけるセクキヌマブの有効性をさらに確認するものである。3回にわたり月1回s.c.投与したセクキヌマブ150mgは、それぞれ81.5%及び51.9%のPASI75及びPASI90反応率をもたらした(表8)。これらの反応率は、試験A2211における最高反応コホート、すなわち、患者が4xセクキヌマブ150mg(s.c.)(ベースライン、1週目、2週目及び4週目)の投与を受けた「早期」アームにおいて観測された反応率より高かった。
本試験の主要エンドポイント解析からのデータは、セクキヌマブ25mg(s.c.)の単回注射の臨床効果がプラセボと同様であることを明確に示唆している。3x25mgコホートにおける反応は、プラセボより数値的にわずかに高いが、プラセボと対比して統計的有意性を示さない。3x75mg及び3x150mgコホートの両方が良好なPASI75反応を示している。しかし、3x150mgコホートのみが12週目に50%を超えるPASI90反応を達成している。
試験CAIN457A2211の投与レジメンの一部で認められたように、治療への反応に対する体重の影響が存在し、90kg未満の体重を有する被験者は、著しくより高いPASI75反応率を有する(表9)。この体重の影響はほとんどの用量コホートで認められるが、1x25mg及び3x25mgにおける90kg未満対90kg以上の患者間の反応の差は、プラセボとさほど異なっていない。これは、これらの低用量が臨床的に意味のある恩恵をもたらさないというさらなる兆候である。
要約すると、CAIN457A2220は、乾癬におけるセクキヌマブの無効投与レジメン(1x25mg及び3x25mg)を明確にするという目的を達成し、12週目に良好なPASI75反応を達成するために、少なくとも3x150mgが必要であることを実証している。乾癬におけるセクキヌマブの他の試験において認められたように、本試験により、評価した投与レジメンを用いた臨床反応率に対する体重の影響があることが確認された。
モデリング及びシミュレーション−導入及び維持レジメンの改善
(実施例4.3)モデリング研究
セクキヌマブ用量/レジメン、セクキヌマブ血漿濃度及びPASI反応関係の間の関係をポピュレーションPK/PDアプローチを用いてモデル化した。モデルは、試験CAIN457A2102、CAIN457A2103、CAIN457A2211、CAIN457A2212及びCAIN457A2220からのデータに基づいて付加的に構築し、更新した。
試験CAIN457A2102及びCAIN457A2212は、実施例1で述べている。試験CAIN457A2211は実施例2で述べている。試験CAIN457A2220は、実施例3で述べている。試験CAIN457A2103では、皮下投与後のセクキヌマブの絶対的生物学的利用能を評価した。中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する14例の患者を1日目にセクキヌマブの皮下(150mg、n=7)又は静脈内(1mg/kg、n=7)投与を受けるように無作為化した。29日目の第2の被験薬投与は、逆の経路により行った。患者を最終投与後12週間にわたってフォローアップした。皮下投与したセクキヌマブの局所忍容性は、優れており、患者が疼痛を報告したり、又は医師が注射部位の反応を報告したりという証拠はなかった。皮下投与したセクキヌマブの生物学的利用能は、静脈内投与と比較して約60%であった。結果は、セクキヌマブの皮下投与を支持するものであった。
セクキヌマブの濃度プロファイルは、皮下投与を反映する一次吸収と静脈内投与を反映するゼロ次吸収の組合せによる2コンパートメントモデルにより記述される。PASIプロファイルは、ターンオーバー(間接的反応)モデルにより特徴づけられる。薬物効果は、中央コンパートメントにおけるセクキヌマブの濃度により促進されるEmax関数によりターンオーバーモデルに作用する。個人間変動は、PKパラメーター(クリアランス、分布容積、コンパートメント間クリアランス、末梢コンパートメントの分布容積、生物学的利用能及び吸収速度)並びにPDパラメーター(ターンオーバーアウトレート(turnover out-rate)kout、PASI定常状態レベル及びEC50)に対する変量効果として推定する。
このモデル及び最終パラメーター推定値に基づいて、シミュレーションを行って、提案された投与レジメンの予期されるアウトカムを予測した。シミュレーションの反復ごとに新たなパラメーターをサンプリングすることにより、固定効果の不確実性並びに変量効果分散パラメーターを考慮に入れた。モデルのバリデーションは、標準的な評価方法(適合度分析、予測的チェック及び前向き予測に基づく外部バリデーション)を用いて実施した。
(実施例4.3)モデリング研究の結果
300mgセクキヌマブs.c.は乾癬における第II相試験において試験しなかったが(関節リウマチにおいて試験したが)、患者を乾癬試験CAIN457A2212においてより高用量(3x10mg/kgi.v.まで)に曝露した。図8に示すように、150mg及び300mg(s.c.)を用いる提案された負荷レジメンは、試験CAIN457A2212と比較して低い曝露をもたらす。より具体的には、300mg(s.c.)の提案された投与レジメンは、高曝露ピークを避けると同時に10mg/kgi.v.と類似の曝露プロファイルをもたらし、10mg/kgi.v.で認められたのと同様のPASI75反応率をもたらすと推定される。したがって、CAIN457A2304では、150mg及び300mg用量を用いるs.c.負荷レジメンを続行する。
提案された導入レジメンは、4つの乾癬試験(CAIN457A2102、CAIN457A2211、CAIN457A2212及びCAIN457A2220)からのデータを用いた付加的なモデルに基づく解析により支持されている。図9に見られるように、提案された導入レジメン(1、2、3、4及び5週目の5週間にわたり週1回とその後9週目の追加の導入投与)は、試験CAIN457A2211において観測された反応率と比較したとき、12週間の治療後に著しく良好なPASI75反応率をもたらすと予測される。図9に示す75mg投与レジメンの予測される有効性は、理想的でない。
提案された維持レジメンもモデルに基づく解析により支持されている。4、8及び12週の固定治療間隔を150mg用量についてシミュレートし、結果を図10に示す。4週間の間隔のみが大部分の患者におけるPASI75反応を効果的に維持することがわかる。
試験CAIN457A2304
試験CAIN457A2304は、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者における最長1年間にわたる乾癬の面積及び重症度指標(PASI)並びに治験責任医師による包括的評価(IGA)スコアに基づく有効性を実証し、安全性及び忍容性を評価するための、固定間隔又は再発発現時治療維持レジメンでの皮下セクキヌマブの無作為化二重盲検多施設試験であるように計画されている。
最長4週間のスクリーニング期間の後、約918例の患者を2種の用量(150mg又は300mg)のうちの1つの用量でセクキヌマブの投与を受けるように無作為化する。セクキヌマブは、導入相中は0、1、2、3、4及び8週目に投与する。導入相の終了時に、12週間の治療後にPASI75反応を示した患者を12週目から開始して、48週目まで4週間ごとに(52週間の全治療期間にわたり)セクキヌマブ(2種の用量、すなわち、150mg若しくは300mg)の投与を受けるように、又は個別治療レジメンでセクキヌマブの投与を受けるように無作為化する。個別レジメンにおいては、患者は、再発の発現(以前に達成された最大PASI利得の少なくとも20%の喪失及びPASI75反応の喪失と定義される)を経験した場合にのみセクキヌマブの投与を受け、その後、患者がPASI75反応を達成するまで4週間ごとにセクキヌマブの投与を受け続け、その後、治療を再び中止する。個別の用量は、患者が導入期間中に投与を受け、反応した用量(すなわち、150mg又は300mg)と同等である。試験の図示的説明を図11に示す。
本試験CAIN457A2304の主要目的が2種の維持レジメンを比較することであり、非常に少数のプラセボ患者だけが試験の維持部分に入る(すなわち、治療の最初の12週間を超える)と予想されるので、本試験はプラセボ群を含まない。維持治療期間の終了後、患者は、延長試験CAIN457A2304E1に参加する、又は最終被験薬投与後12週間のフォローアップ期間に入るのに適格である。
CAIN457A2304の延長試験(CAIN457A2304E1)は、中等度から重度の慢性局面型乾癬を有する患者における追加の1年間にわたる乾癬の面積及び重症度指標(PASI)並びに治験責任医師による包括的評価(IGA)スコアに基づく有効性を実証し、安全性及び忍容性を評価するための、固定間隔又は再発発現時治療維持レジメンでの皮下セクキヌマブの無作為化二重盲検多施設試験であるように計画されている。
試験CAIN457A2304に参加し、各試験の維持治療期間を完了した患者は、この延長試験に参加するのに適格であるものとする。患者は、患者がコア試験中に受けた用量(すなわち、セクキヌマブの150mg又は300mg)及びレジメン(すなわち、「固定間隔での投与」又は「再発の発現時投与」)を受け続けるものとする。延長試験の治療期間は、現在のところ少なくとも52週間と計画されている。
セクキヌマブの薬物動態(PK)情報
上述の実施例で述べたものを含む様々な試験から得られたデータに基づいて、セクキヌマブに関する以下のPK情報を提供する(表10)。
さらに、セクキヌマブが約7〜8日のTmax及び約30日の消失半減期を有することが確認された。この実施例で提供されたPK情報は、SoR時の乾癬の治療のための種々の投与レジメン、例えば、実施例で用いた用量と異なるIL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)の用量の送達又は実施例で用いたのと同じ用量の送達(ただし、実施例で用い時点と異なる時点に供給される)をデザインするのに用いることができる。同じPKプロファイルを維持することにより、投与レジメンが変化し得るとしても、当業者は、SoR時の乾癬の治療を含む、乾癬の治療のためにIL−17結合性分子(例えば、IL−17抗体、例えば、セクキヌマブ)を用いることができると予想される。
[配列表]

Claims (13)

  1. 乾癬を治療するための、IL−17抗体を含む医薬組成物であり、
    IL−17抗体が、
    a)導入レジメン中にそれを必要とする患者に投与されるものであり、ここで導入レジメンは、負荷レジメンを含み、負荷レジメンは、ゼロ週目に始めて150mg〜300mgの用量のIL−17抗体を5回皮下投与するステップを含み、5回の用量のそれぞれは週1回送達され、及び
    b)その後、維持レジメン中に投与されるものであり、維持レジメンが、4週間ごと、150mg〜300mgの用量のIL−17抗体を皮下投与するステップを含むこと
    を特徴とし、
    ここで、前記IL−17抗体は2つの成熟IL−17タンパク質鎖を有するIL−17ホモ二量体のエピトープに結合し、ここで前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL−17抗体が100〜200pMのKを有し、IL−17抗体が23〜30日のインビボ半減期を有する、
    前記医薬組成物。
  2. ステップa)の全ての用量およびステップb)の全ての用量が、150mg又は300mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 患者の体重が90kg未満である場合、150mgの用量のIL−17抗体を患者に投与し、患者の体重が90kg以上である場合、300mgの用量のIL−17抗体を患者に投与する、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 導入レジメンが、8週目に50mg〜300mgの用量のIL−17抗体を患者に皮下投与するステップをさらに含む、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. ステップa)の前に、患者が乾癬用全身薬による治療を以前に受けていなかった、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. ステップa)の前に、患者が乾癬用全身薬による治療を以前に受けていた、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記全身薬が、メトトレキセート、シクロスポリン、フマル酸エステル、アシトレチン、アレファセプト、アダリムマブ、エファリズマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、ゴリムマブ及びウステキヌマブからなる群から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
  8. 乾癬を治療するための、IL−17抗体を含む医薬組成物であり、
    IL−17抗体が、
    a)150mg〜300mgの5回の用量としてそれを必要とする患者に皮下投与されるものであり、5回の用量のそれぞれは週1回送達され、及び
    b)その後、4週間ごと、150mg〜300mgとして患者に皮下投与されるものであること
    を特徴とし、
    ここで、前記IL−17抗体が、
    i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、
    ii)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン
    iii)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、または
    iv)セクキヌマブ
    を含む、前記医薬組成物。
  9. IL−17抗体が、0、1、2、3、4および8週目に150mg〜300mgの用量として皮下投与され、その後4週間ごと皮下投与される、請求項に記載の医薬組成物。
  10. ステップa)の全ての用量およびステップb)の全ての用量が、150mg又は300mgである、請求項8または9に記載の医薬組成物。
  11. 乾癬が尋常性乾癬である、請求項1〜10のいずれかの項に記載の医薬組成物。
  12. IL−17抗体が
    a)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV ドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV ドメイン、
    b)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン、
    c)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV ドメイン、または
    d)セクキヌマブを含む、請求項1〜11のいずれかの項に記載の医薬組成物。
  13. IL−17抗体がセクキヌマブである、請求項1〜12のいずれかの項に記載の医薬組成物。
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