JP5537164B2 - 画像再構成装置及びx線ct装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線CT装置における画像再構成処理に関する。
X線CT装置は、被検体の周囲の複数ビュー方向からX線を照射し、被検体を透過したX線の強度に関するデータをX線検出器にて収集し、収集したデータに基づいて画像再構成装置にて被検体内部のX線吸収係数の分布情報を画像化する装置である。通常、シングルスライスCT装置の画像再構成装置は、収集したデータをX線照射位置におけるX線吸収体に応じた投影データに変換し、投影データをフィルタ処理した後に逆投影することによって断層像を得る。通常、投影データは、1ビュー毎にチャネル数分の配列を有する配列データとして保持され、このような投影データは周波数空間上で係数がかけられてフィルタ処理され、その後、実空間に戻される。
ところで、画像の分解能の向上のために、上述のX線CT装置では、チャネルオフセット計測と呼ばれる計測手法が取られる場合がある。チャネルオフセット計測とは、例えば、特許文献1の段落0031等に記載されるように、X線検出器のチャネル方向の配列をX線源の焦点位置から4分の1チャネル分ずらすことによって、正方向と反対方向の照射を合わせ、サンプリング数を2倍とする手法である。シングルスライスCT装置では、X線照射方向が反対方向であってもスライス方向のX線照射角度が一致するので、反対方向からの照射による投影データを正方向からの照射による投影データの配列に挿入して、チャネル数の2倍の配列を持つ2倍配列データとすることが可能である。そして、この2倍配列データに対して、2倍のフーリエ変換点数でフーリエ変換を行なって、周波数空間上で2倍配列用のフィルタ係数を乗じ、その後実空間に戻す。そして半回転分の逆投影を行えば断層像を得ることができる。
一方、マルチスライスCT装置では、X線検出器の検出素子はチャネル方向及びスライス方向に複数配列されている。そのため、通常の計測で得られる投影データに対してフィルタ処理を行う際は、チャネル数分の配列データに対してフィルタをかけ、これをスライス数回1回転分の処理を行う。
ところで、マルチスライスCT装置は、上述のシングルスライスCT装置とは異なり、X線の照射方向が反対方向になるとスライス方向でのX線照射角度が一致しない。そのため、上述のシングルスライスCT装置と同様に、正方向の投影データに反対方向の投影データを挿入し、2倍配列での断層像の再構成処理を行うと、スライス方向に異なる角度で入射したX線によるデータが1ビューの投影データの中に混在し、このようなスライス方向の角度を無視したまま逆投影してしまうと、アーチファクトが発生してしまう。
そこで、分解能向上のためにチャネル数を2倍に拡張した処理を行う場合には、反対方向の投影データとは合わせずに、チャネル数の2倍の配列データを用意し、この配列データの偶数要素(または奇数要素)に元の投影データを複製し、奇数要素(または偶数要素)に例えば0を挿入した2倍配列データを生成し、このような2倍配列データに対して、2倍のフーリエ変換点数でフーリエ変換を行って周波数空間に変換し、2倍の係数を乗じ、その後フーリエ逆変換を行なっていた。また、このようにフィルタ処理された2倍配列データについて、1回転分の逆投影を行って断層像を生成していた。
特開2009−125250号公報
しかしながら、上述のようにマルチスライスCT装置において、分解能の向上のために2倍のフーリエ変換点数及び係数を用いたフィルタ処理を行うと、通常より2倍以上の計算量を要し、処理の入出力や途中経過で使用するメモリ量が増大し、処理時間も長大となっていた。
本発明は、分解能を向上しつつ、画像の生成処理を高速化することが可能な画像再構成装置及びX線CT装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために、本発明は、被検体周囲の複数のビュー方向から計測される投影データに対してフィルタ処理を行い、逆投影することにより断層像を再構成する画像再構成装置であって、既知の拡張配列用フィルタから前記投影データの配列数分のデータを抜き出すことにより前記投影データの配列数と同じ配列数の等倍配列用フィルタを作成する等倍配列用フィルタ作成手段と、前記投影データに対して、前記等倍配列用フィルタと既知の等倍配列サンプルとに基づいて求めた調整係数を用いたフィルタ処理を行うフィルタ処理手段と、前記フィルタ処理手段によってフィルタ処理された投影データの配列数を拡張する拡張手段と、前記拡張手段によって拡張された配列数で、断層像の再構成処理を行う断層像作成手段と、を備えることを特徴とする画像再構成装置である。
本発明の画像再構成装置及びX線CT装置により、分解能を向上しつつ、画像の生成処理を高速化することが可能となる。
本発明に係る画像再構成装置402を有するX線CT装置1の外観構成図 X線CT装置1内部のハードウエア構成図 1回転の投影データに対して適用する本発明のフィルタ処理と、従来のフィルタ処理とを比較して説明する図 X線CT装置1が実行する調整係数算出処理のフローチャート 調整係数算出処理を説明する図 1回転に満たない投影データを説明する図
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、図1〜図2を参照して、本発明に係る画像再構成装置を搭載したX線CT装置1の構成について説明する。
図1に示すように、X線CT装置1は、スキャナ2、寝台3、及び操作ユニット4から構成される。X線CT装置1は、寝台3上の天板に固定される被検体6をスキャナ2の開口部に搬入してスキャンすることにより、被検体6の透過X線データを取得する。
スキャナ2は、図2に示すようにX線管201、X線制御装置202、コリメータ203、コリメータ制御装置204、X線検出器205、データ収集装置206、回転板207、回転板駆動装置208、回転制御装置209、及び駆動伝達系210から構成される。
X線管201はX線源であり、X線制御装置202により制御されて被検体6に対してX線を連続的または断続的に照射する。X線制御装置202は、操作ユニット4のシステム制御装置401により決定されたX線管電圧及びX線管電流に従って、X線管201に印加または供給するX線管電圧及びX線管電流を制御する。
コリメータ203は、X線管201から放射されたX線を、例えばコーンビーム(円錐形または角錐形ビーム)等のX線として被検体6に照射させるものであり、開口幅はコリメータ制御装置204により制御される。被検体6を透過したX線はX線検出器205に入射する。
X線検出器205は、例えばシンチレータとフォトダイオードの組み合わせによって構成されるX線検出素子群をチャネル方向(周回方向)に例えば1000個程度、列方向(体軸方向)に例えば1〜320個程度配列したものであり、被検体6を介してX線管201に対向するように配置される。また、X線検出器205とX線源201の焦点との位置関係には、1/4チャネルオフセットディテクタ方式が採用される。すなわち、X線検出器205の各検出素子のチャネル方向の配列はX線焦点から1/4チャネル分ずらして配置される。これにより、正方向と反対方向とで2倍のチャネル数でのサンプリングが行われ、空間分解能の向上が図られている。
X線検出器205はX線管201から放射されて被検体6を透過したX線を検出し、検出した透過X線データをデータ収集装置206に出力する。
データ収集装置206は、X線検出器205に接続され、X線検出器205の個々のX線検出素子により検出される透過X線データを収集し、ディジタルデータに変換し、画像再構成装置402に出力する。
回転板207には、X線管201、コリメータ203、X線検出器205、データ収集装置206が搭載される。回転板207は、回転制御装置209によって制御される回転板駆動装置208から、駆動伝達系210を通じて伝達される駆動力によって回転される。
寝台3は、被検体6が載置される天板5、寝台制御装置301、上下動装置302、及び天板駆動装置303から構成される。寝台制御装置301は、上下動装置302を制御して寝台3の高さを適切なものにする。また、天板駆動装置303を制御して天板5を体軸方向に前後動したり、体軸と垂直方向であって、かつ天板5に平行な方向(左右方向)に移動したりする。これにより、被検体6がスキャナ2のX線照射空間に搬入及び搬出される。
操作ユニット4は、表示装置7、操作装置8、システム制御装置401、画像再構成装置402、及び記憶装置404から構成される。操作ユニット4はスキャナ2及び寝台3に接続される。
表示装置7は、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路で構成され、システム制御装置401に接続される。表示装置7は画像再構成装置402から出力される再構成画像やシステム制御装置401が取り扱う種々の情報を表示するものである。
操作装置8は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置、及び各種スイッチボタン等により構成され、操作者によって入力される各種の指示や情報をシステム制御装置401に出力する。操作者は、表示装置7及び操作装置8を使用して対話的にX線CT装置1を操作する。
システム制御装置401は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。システム制御装置401は、スキャナ2内のX線制御装置202、コリメータ制御装置204、データ収集装置206、X線検出器205、及び回転制御装置209を制御し、また、寝台3内の寝台制御装置301を制御するものである。
画像再構成装置402は、システム制御装置401の制御によってスキャナ2内のデータ収集装置206が収集した透過X線データを取得する。画像再構成装置402は、データ収集装置206が収集した透過X線データに対して、対数変換や感度補正等の前処理を行ない、X線吸収体に応じた投影データを生成する。更にこの投影データをフィルタ処理し、逆投影することにより断層像を再構成する。
このとき、本発明の画像再構成装置402は、分解能向上のために投影データの配列数を例えば2倍に拡張した拡張チャネル数で断層像の再構成を行う。
本発明における投影データのフィルタ処理及びチャネル拡張に関しては、後述する。
記憶装置404は、ハードディスク等により構成されるものであり、システム制御装置401に接続される。記憶装置404には、データ収集装置206が収集した透過X線データや画像再構成装置402が再構成した断層像等が記憶される。また、これらの各種データの他、X線CT装置1の各種機能を実現するためのプログラム等を記憶する。
次に、図3〜図6を参照して、本発明に係るX線CT装置1において実行される投影データのフィルタ処理、及びフィルタ処理に用いられる調整係数の算出処理について説明する。
本実施の形態のX線CT装置1の画像再構成装置402は、被検体周囲の複数のビュー方向から計測され、前処理の施された投影データに対してフィルタ処理を行う。また、既知の2倍配列用フィルタの処理結果と同等の処理結果を等倍配列データ(2倍拡張しない投影データの配列数)から得るための調整係数の算出処理を実行する。フィルタ処理や調整係数の算出処理を行う際、画像再構成装置402は、記憶装置404からフィルタ処理または調整係数算出処理に関するプログラム及びデータを読み出し、このプログラム及びデータに基づいて処理を実行する。
図3は、(a)本発明におけるフィルタ処理の流れと、(b)従来のフィルタ処理の流れとを比較して説明する図である。
図3(b)に示す従来のマルチスライスCT装置のフィルタ処理では、チャネル数×ビュー数×スライス数分の配列を持つ投影データ61のチャネル数を2倍に拡張するため、画像再構成装置402は、単一の角度(ビュー)について2倍のチャネル数の配列を作成し、この2倍配列の偶数要素に元の投影データを複製して格納し、奇数要素に例えば0を挿入する(ステップS101)。この配列を1回転分作成し、チャネル拡張結果65とする。従来のフィルタ処理では、2倍のフーリエ変換点数及び2倍の係数(既知)でフィルタをかけ(ステップS102)、2倍フィルタ処理結果66を得る。その後、2倍フィルタ処理結果66に対して360度の逆投影を行なう。フィルタ処理や逆投影処理は加算処理であるため、フィルタ処理後に反対方向のデータを含めた1回転(360度)の逆投影を行なっても、フィルタ処理前に反対方向のデータを合成して半回転のフィルタ処理及び逆投影を行なうのと同様の結果を得ることができ、分解能が向上する。
ただし、この処理手順では、フーリエ変換点数が2倍であるため、計算量が大きくなる。また、配列数も2倍であるためフィルタ処理時のメモリ量が多く必要となる。
一方、図3(a)に示すように、本発明のフィルタ処理では、従来と同様のチャネル数×ビュー数×スライス数分の配列を持つ投影データ61のチャネル数を2倍に拡張するために、まず、投影データの配列数と同じ配列数の等倍配列用フィルタ62をかけ(ステップS11)、等倍フィルタ処理結果63を得る。
等倍配列用フィルタ62は、既知の2倍配列用フィルタ54の処理結果と同等の処理結果を等倍配列データから得るために調整されたフィルタである。すなわち、等倍配列用フィルタ62は、既知の2倍配列用フィルタ54を実空間上に再現させ、再現した2倍配列用フィルタ54から投影データ61の配列数分のデータ(例えば偶数要素)を抜き出し、投影データ61の配列数と同じ配列数とすることにより求められる。投影データに用いるフィルタは、通常、周波数空間上で乗算する係数として保持されるため、この等倍配列用フィルタ62も、後述する調整係数算出処理にて調整係数として予め算出される(図4、図5参照)。
等倍配列用フィルタ62による処理結果63は、チャネル拡張後に既知の2倍配列用フィルタ54をかけた2倍フィルタ処理結果66の偶数要素と同じものとなる。
等倍フィルタ処理結果63を表す式を次式(1)に示す。
Figure 0005537164
ここで、
D[]は、フィルタ処理前の配列、
F[]は、フィルタ処理結果、
k[]は、実空間上の係数、
Cは、チャネル数である。
次に、画像再構成装置402は、等倍フィルタ処理結果63をチャネル拡張する(ステップS12)。等倍フィルタ処理結果63のチャネル拡張では、画像再構成装置402は、2倍のチャネル数の配列を用意し、この配列の偶数要素に、等倍フィルタ処理結果63を複製して格納し、奇数要素に0ではない所定の数値を補間により求めて挿入する。これをフィルタ処理結果2倍拡張データ64とする。
奇数要素の補間に用いる係数の算出については後述する。
ここで、まず図4及び図5を参照して、等倍配列用フィルタ処理62に用いる調整係数(k[])59の算出処理を説明する。
X線CT装置1では、実空間における畳み込み演算を周波数空間での積として演算することにより演算時間を短縮させている。そのためフィルタは、周波数空間上でかける係数として保持されている。
この係数k[]を周波数空間上で、あるサンプルデータにかけ、実空間に戻すことによりフィルタの形状が再現される。
サンプルデータは、簡単のために、1点のみを1、他の点を0と設定したデータとする。以下、このサンプルデータのうち、2倍配列用のフーリエ変換点数の配列を持つものを2倍配列サンプル51という(図5参照)。
画像再構成装置402は、元の投影データの配列数の2倍の配列数となる2倍配列サンプル51を作成し(ステップS1)、この2倍配列サンプル51に対して既知の2倍配列用のフィルタ処理を行って、2倍配列用フィルタ54を再現する(ステップS2)。この2倍配列用のフィルタ処理では、画像再構成装置402は、2倍配列サンプル51を2倍のフーリエ変換点数でフーリエ変換し(フーリエ変換結果52)、既知の2倍配列用係数53をかけ、フーリエ逆変換する。こうして、2倍配列用フィルタ54の形状が実空間に再現される(図4上段)。
次に画像再構成装置402は、再現した2倍配列用フィルタ54から偶数要素を抜き出し、等倍配列用フィルタ55を作成する(ステップS3)。画像再構成装置402は、作成された等倍配列用フィルタ55のフーリエ変換を行う。このフーリエ変換結果56をAとする(ステップS4)。
一方、画像再構成装置402は、元の投影データ61の配列数と同じ配列の等倍配列サンプル57を作成し(ステップS5)、この等倍配列サンプル57を等倍配列用の点数でフーリエ変換する。このフーリエ変換結果58をBとする(ステップS6)。ここで、等倍配列サンプル57は、簡単のために等倍配列用のフーリエ変換点数を持つ配列の1点のみを1、他の点を0と設定したデータとする。
画像再構成装置402は、A(等倍配列用フィルタ55のフーリエ変換結果56)とB(等倍配列サンプル57のフーリエ変換結果58)との各要素の除算をし、その結果を調整係数59とする(ステップS7)。
以上の調整係数算出処理によって生成された調整係数59を用いて、図3(a)に示すように、投影データ61をフィルタ処理(等倍配列用フィルタ処理;ステップS11)すれば、その配列の各要素は、図3(b)に示す従来のマルチスライスCT装置のフィルタ処理のように、チャネル拡張を行った後に2倍配列用のフィルタ処理を行った場合の2倍フィルタ処理結果66の偶数要素と同じ結果となる。
次に、等倍フィルタ処理結果63のチャネル拡張について説明する。
投影データにかけるフィルタは、輪郭強調のために、一般に、0位置(中央)で値が高く、周辺で負の値をとり、無限遠で0に収束する形状としている。
一方、従来の2倍配列用フィルタ54は、分解能を向上し、シャープな画像を得るために、0位値(中央)を含む偶数要素より奇数要素の方が、平均的に小さい値としている。これは以下の式(2)のように表される。
Figure 0005537164
本実施の形態では、画像再構成装置402は、等倍フィルタ処理結果63を2倍配列データの偶数要素に複製して格納し、奇数要素は周辺の偶数要素から補間して求める。すなわち、偶数要素(等倍フィルタ処理結果63の各要素)に補間係数kodd[]を重み付け加算した値を奇数要素として挿入する。このとき用いる補間係数kodd[]を、和が1未満となるように設定する。これは、上述の2倍配列用フィルタの性質を維持するためである。これにより、フィルタ処理結果2倍拡張データ64(図3)の奇数要素は、偶数要素よりも平均的に小さい値となる。
補間係数kodd[]は以下の式(3)、(4)のように表される。
Figure 0005537164
画像再構成装置402は、式(3)、(4)の補間係数kodd[]を補間対象とする奇数要素の周辺偶数要素に乗算する。これにより、補間される奇数要素は、周辺の偶数要素よりも小さい値となるため、分解能が向上し、シャープな画像が得られるようになる。
なお、式(3)、(4)に示すように、補間の演算は、実質2点の重み付け加算であるため、計算量の大きな増大にはならない。
なお、図6に示すような、1回転に満たないビュー範囲で計測が行なわれた投影データ71についてチャネル拡張を行う場合等は、従来、0挿入ではなく合計1の補間係数による補間によりチャネルを拡張し、2倍拡張データ73を得ている。この場合、チャネル拡張後の偶数要素と奇数要素とは平均的に同じデータ量である。
そのため、本発明においても、1回転に満たないビュー範囲で計測が行なわれた投影データについては、等倍フィルタ処理結果63の各要素に、和が1となる補間係数を重み付け加算し、その値を奇数要素として挿入する。
例えば0度〜270度をビュー範囲(3/4回転)とする投影データ71では、0度〜90度の範囲と、180度〜270度の範囲は互いに反対方向のデータが存在するが、90度〜180度の範囲には反対方向のデータが存在しない。
このような反対方向からの照射による投影データが必ずしも存在しない投影データに本発明のフィルタ処理を適用する場合は、チャネル数×ビュー数×スライス数分の配列を持つ投影データ71について、そのチャネル数の配列で等倍配列用フィルタ62をかけ(ステップS11)、等倍フィルタ処理結果63を算出する。この場合の等倍配列用フィルタ62は、上述の2倍配列サンプル51の代わりに、2倍配列サンプル51から奇数要素の補間を行なったサンプルデータをもとに、上述の調整係数算出処理と同様の手順で予め求められる。
また、チャネル数を拡張する際(ステップS12)は、画像再構成装置402は、等倍フィルタ処理結果63に、合計1となる補間係数を重み付け加算した値を挿入する。具体的には、等倍フィルタ処理結果を偶数要素に複製した2倍配列データを作成し、奇数要素に、周辺の偶数要素2点の平均値を挿入する。補間係数は、奇数要素の隣(+1または−1)の位置で1/2、他の位置で0とする。
以上説明したように、本発明の画像再構成装置402は、既知の2倍配列用フィルタ54を実空間上に再現させ、再現した2倍配列用フィルタ54から投影データ61の配列数分のデータを抜き出すことにより投影データ61の配列数と同じ配列数の等倍配列用フィルタ62を予め作成しておく。そして、画像再構成装置402は、投影データ61に対して、等倍配列用フィルタ62を用いたフィルタ処理を行い、等倍フィルタ処理結果63の配列数を2倍に拡張し、拡張された配列数で、断層像の再構成処理を行う。
このため、投影データの等倍のフィルタ処理で2倍チャネルのフィルタ処理結果の偶数要素相当の分布を得ることが可能となり、2倍配列でフィルタ処理した結果と類似した結果を、投影データのチャネル数でそのままフィルタ処理する計算量で得ることができる。よって、分解能を向上しつつ、計算量やメモリ容量を低減させ、高速に断層像を作成できる。
また、等倍配列用フィルタ62を算出する際は、周波数空間上に再現された既知の2倍配列用フィルタから偶数要素を抜き出した等倍配列のフィルタと、等倍配列サンプル57と、の周波数空間上での比から調整係数として算出すればよい。これにより、等倍配列用フィルタ62を周波数空間上にかける調整係数として算出、保持できる。
また、等倍フィルタ処理結果63の各要素に補間係数kodd[]を重み付け加算した値を挿入する場合に、補間係数kodd[]の和を1未満とすれば、配列に0挿入した場合のように、先鋭化した拡張配列データを得ることができ、分解能が向上される。
一方で、等倍フィルタ処理結果63の各要素に補間係数kodd[]を重み付け加算した値を挿入する場合に、補間係数kodd[]の和を1とすれば、従来の1回転未満の計測による投影データに対するチャネル拡張のように、0挿入ではなく補間によるチャネル拡張をした場合と同等のチャネル拡張結果を得ることもできる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像処理装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1・・・・・X線CT装置
2・・・・・スキャナ
3・・・・・寝台
4・・・・・操作ユニット
6・・・・・被検体
7・・・・・表示装置
8・・・・・操作装置
201・・・X線管(X線源)
203・・・コリメータ
204・・・コリメータ制御装置
205・・・X線検出器
401・・・システム制御装置
402・・・画像再構成装置
404・・・記憶装置
61・・・・・投影データ
62、55・・等倍配列用フィルタ
63・・・・・等倍フィルタ処理結果
64・・・・・フィルタ処理結果2倍拡張データ
51・・・・・2倍配列サンプル
53・・・・・2倍配列用係数
54・・・・・2倍配列用フィルタ
57・・・・・等倍配列サンプル
59・・・・・調整係数

Claims (5)

  1. 被検体周囲の複数のビュー方向から計測される投影データに対してフィルタ処理を行い、逆投影することにより断層像を再構成する画像再構成装置であって、
    既知の拡張配列用フィルタから前記投影データの配列数分のデータを抜き出すことにより前記投影データの配列数と同じ配列数の等倍配列用フィルタを作成する等倍配列用フィルタ作成手段と、
    前記投影データに対して、前記等倍配列用フィルタと既知の等倍配列サンプルとに基づいて求めた調整係数を用いたフィルタ処理を行うフィルタ処理手段と、
    前記フィルタ処理手段によってフィルタ処理された投影データの配列数を拡張する拡張手段と、
    前記拡張手段によって拡張された配列数で、断層像の再構成処理を行う断層像作成手段と、
    を備えることを特徴とする画像再構成装置。
  2. 前記フィルタ処理に使用されるフィルタ関数が周波数空間でかける係数として保持される場合、
    前記等倍配列用フィルタ作成手段によって作成された等倍配列用フィルタと、前記投影データの配列数と同じ配列数の等倍配列サンプルと、の周波数空間上での比から調整係数を算出する調整係数算出手段を更に備え、
    前記フィルタ処理手段は、
    前記投影データを周波数空間上のデータに変換し、前記調整係数算出手段によって算出された調整係数を乗じ、実空間上のデータに戻すことによりフィルタ処理結果を得ることを特徴とする請求項1に記載の画像再構成装置。
  3. 前記拡張手段は、前記フィルタ処理された投影データの各要素に補間係数を重み付け加算した値を挿入する際、該補間係数の和を1未満とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像再構成装置。
  4. 1回転未満の計測による投影データに対しては、前記拡張手段は、前記フィルタ処理された投影データの各要素に補間係数を重み付け加算した値を挿入する際、該補間係数の和を1とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の画像再構成装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一項に記載の画像再構成装置を備えたX線CT装置。
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