JP5536692B2 - 床材の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、床材の製造方法に関し、さらに詳しくは、石膏ボードを基材として用いた床材の製造方法に関する。
従来、複合フローリングの床材の基材として、南洋のラワン合板等の天然木材が広く用いられている。
しかしながら、近年における天然木材資源の枯渇化や、自然保護の社会的要請等を背景として、天然木材、特に持続可能ではない天然ラワン材の伐採を控える機運が高まっている。そのため床材等の建材用木材においても天然ラワン材の消費は制限される傾向にある。
ラワン合板に代替する技術としては、例えば、床材の基材として植林木合板を用いることが考えられる。しかしながら、植林木合板は、表面平滑性が低く、コストも高い。
また、表面平滑性等を改善するために植林木合板の上にMDF(中密度繊維板)を貼着し、MDFの上に化粧層として突き板を貼着した構成の床材も考えられる。しかしながら、床材の全体としての製造コストは依然として高い。
ラワン合板に代替する別の技術として、特許文献1、2には、石膏ボードを基材として用い、MDFをその上に貼着し、MDFの上に化粧層を貼着した床材が提案されている。廃材による化学石膏等から製造した石膏ボードは安価でありラワン合板に代替する材料として期待される。
しかしながら、石膏ボードを基材に用いた床材は、石膏ボードの端部に実加工を施すことが困難な場合がある。
そのため石膏ボードを基材に用いた床材のフローリング嵌合構造として、特別な手段も提案されている。例えば、特許文献1では石膏ボードとその上のMDFとを端部をずらして貼着し、この端部のずれにより嵌合構造を形成することが提案されている。特許文献2では、MDFの端部を加工して延出部を形成し、この延出部と石膏ボードの上面とにより実を形成することが提案されている。
しかしながら、これらの技術は従来のラワン合板による実に比べると良好なフローリング構造の形成が困難になる場合もある。
また、このような石膏ボードを基材とする床材の表面に化粧層として突き板を貼着する場合には、突き板の表面には着色塗料が塗装される。この着色塗料は、突き板の天然銘木の凹溝や導管等を充填し着色する。着色塗料を塗装することにより突き板の持つ自然の色合いを生かしつつ意匠性を高めることができる。
しかしながら、この着色塗料を塗装する際に着色ムラが生じると意匠性が損なわれてしまう。従って着色ムラはできる限り避けることが望ましい。石膏ボードを基材とする床材の場合、実加工のために石膏ボード以外の基材を四隅に配置することも考えられるが、複数の基材を用いる場合にはロール塗装機による塗装の際にこれらの基材間の厚みバラツキによる着色ムラに留意する必要がある。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、石膏ボードを基材に用いて良好なフローリング構造を形成することができ、さらに突き板に塗装する着色塗料の着色ムラを抑制することができる床材の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の床材の製造方法は、表裏の平坦面および厚み方向の側端部をそれぞれ有する石膏ボード、木質材、および木質ボードを、石膏ボードと木質材とが側端部同士で隣接し、石膏ボードおよび木質材の平坦面と木質ボードの平坦面とが未硬化の接着剤層を介して対向する積層体を得る工程と、接着剤層が流動性を有する状態で積層体を上下から加圧し、石膏ボードと木質材との厚みの差を接着剤層の厚みの差により吸収し、石膏ボードおよび木質材の露出側の平坦面を平滑に揃えて段差が抑制された状態にする工程と、この段差が抑制された状態で接着剤層を硬化させる工程とを含むことを特徴としている。
この床材の製造方法においては、接着剤層を硬化させて石膏ボードおよび木質材と木質ボードとを貼着した後、木質ボードの露出側の平坦面に突き板を貼着する工程と、木質ボードに貼着した突き板の表面にロール塗装機により着色塗料を塗装する工程とを含むことが好ましい。
この床材の製造方法においては、接着剤層を硬化させて石膏ボードおよび木質材と木質ボードとを貼着した後、木質材の側端部に実を形成する工程を含むことが好ましい。
本発明の床材の製造方法によれば、石膏ボードを基材に用いて良好なフローリング構造を形成することができ、さらに突き板に塗装する着色塗料の着色ムラを抑制することができる。
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の床材の製造方法の実施形態を工程順に示す断面図、図2はロール塗装機により床材の突き板に着色塗料を塗装する工程を説明する図、図3は図1および図2の工程により製造された床材を示す一部切欠斜視図である。なお図1は図3のA−A断面を示している。
図3に示すようにこの実施形態において製造される床材1は、基材として石膏ボード2を用いている。この石膏ボード2は矩形板状であり床材1の裏面側に設けられている。石膏ボード2の四辺の側端部2cには、4本の端材として長い矩形板状の木質材3が隣接して設けられている。
石膏ボード2および木質材3は、ほぼ等しい厚みで上面(図1の平坦面2b、3b)と下面(図1の平坦面2a、3a)とを揃えて配置されている。
木質材3の外側の側端部3cには実11が形成されている。長手方向に対向する2本の木質材3には、雄実11aと雌実11bとがそれぞれ長手方向に平行に形成されている。幅方向に対向する2本の木質材3にも、雄実11aと雌実11bとがそれぞれ幅方向に平行に形成されている。これらの雄実11aと雌実11bとは、2枚の木質材3を嵌合により接続できるようになっている。
石膏ボード2は、例えば、廃材を原料とした化学石膏等によるものを用いることができる。このような石膏ボード2は、省資源化が可能であり、原料と製造費が安価なため床材1の製造コストを低減することができる。
例えば、火力発電等で発生する化学石膏である排煙脱硫石膏は、次のようにして得られる。火力発電所において石炭を燃料に発電している場合、大量の亜硫酸ガスが発生する。煙突からそのまま放出することはできないので、排煙脱硫装置を取り付け、亜硫酸ガスに含まれる硫黄を除去する。このときに石灰を投入するが、装置内で化学反応し、副産物として残ったものが石膏になる。
廃材からの化学石膏としては、排煙脱硫石膏の他、肥料工場でリン鉱石に硫酸を反応させリン酸を製造する際に副生するリン酸石膏等がある。
これらの化学石膏は全て二水石膏で、比重は例えば0.7以上である。二水石膏は水溶性で多量の結晶水を持つため、石膏ボード2は耐火性に優れ、また耐熱性、遮音性等にも優れている。石膏ボード2は通常、石膏層とその表裏面を覆う原紙により構成されている。この石膏ボード2は、例えば、石膏等の原料と水とを混合して得たスラリーを原紙の間に流し込んで成形、乾燥して製造することができる。
石膏ボード2の厚みは、特に限定されないが、床材1の強度等を考慮すると6〜11mmが好ましい。
木質材3としては、例えば、広葉樹合板、針葉樹合板等の合板を用いることができる。合板のプライ数、積層方向、繊維方向は、特に限定されないが、4プライ以上で積層が厚み方向のものや、プライ数の半分以上の単板において繊維方向が床材1の長手方向であるものを用いることができる。木質材3の幅は、実11の加工性や強度を確保すること等を考慮すると、10〜50mmが好ましい。
石膏ボード2および木質材3の上には、これらを覆う1枚の木質ボード4が設けられている。木質ボード4としては、例えば、MDF、木材プラスチック複合ボード、ケナフボード等を用いることができる。
MDFは木材チップを蒸煮、解繊したものに合成樹脂の接着剤を加え板状に熱圧成形したものである。
木材プラスチック複合ボードは、木粉と熱可塑性樹脂とを配合して混練し押出成形したものである。例えば、ウッドプラスチックボード(WPB)と呼ばれている、木粉とポリプロピレン樹脂とを主原料として配合しさらに無機フィラー、強化剤等を配合したものを混練し押出成形した木材プラスチック複合ボードを用いることができる。
ケナフボードは、アオイ科の一年生草本類であるケナフの茎を解繊して得られるケナフ繊維を3次元的に絡ませたマットに熱硬化性樹脂の接着剤を含浸させた後、熱圧成形することにより得られる。
石膏ボード2および木質材3と木質ボード4は接着剤により貼着されている。そして木質ボード4の上には化粧層としてその全体を覆う突き板10が接着剤により貼着されている。突き板10の表面には着色塗料が塗装され、素地着色が施されている。
木質ボード4の厚みは、特に限定されないが、強度やその他の性質等を考慮すると2〜4mmが好ましい。
床材1は、例えば、根太張用や直張用の複合フローリングの通常のサイズに従って製造することができる。例えば、厚み10〜18mm、幅75〜303mm、長さ240〜4000mmとすることができる。実11は、長さ方向または幅方向の側端部のみに形成することもできる。
この実施形態では、以上のような構成を有する床材1を図1および図2に示す工程により製造する。
最初の工程として、図1(b)に示すような石膏ボード2および木質材3と木質ボード4とが未硬化の接着剤層5を介して対向する積層体6を形成する。
まず図1(a)に示すように、木質ボード4の平坦面4bの全面に接着剤を塗布して未硬化の接着剤層5を形成する。
接着剤としては、例えば、ユリア樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、アクリル樹脂接着剤、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル樹脂接着剤、酢酸ビニル樹脂接着剤、水性ビニルウレタン系樹脂接着剤等を用いることができる。
そして図1(b)に示すように、木質ボード4の平坦面4bに塗布した接着剤層5の上に、石膏ボード2および木質材3を配置する。
石膏ボード2および木質材3は側端部2c、3c同士を隣接させる。これにより石膏ボード2および木質材3の平坦面2b、3bと木質ボード4の平坦面4bとが未硬化の接着剤層5を介して対向する積層体6を得ることができる。
なお、このように石膏ボード2と木質材3とが側端部2c、3c同士で隣接し、石膏ボード2および木質材3の平坦面2b、3bと木質ボード4の平坦面4bとが未硬化の接着剤層5を介して対向する積層体6を得ることができれば、その作製方法として上記以外の方法を用いることもできる。
例えば、石膏ボード2の平坦面2bおよび木質材3の平坦面3bのそれぞれに接着剤を塗布して未硬化の接着剤層5を形成し、接着剤を塗布していない木質ボード4の平坦面4bの上にこれらを配置することができる。
また木質ボード4の平坦面4bに接着剤を塗布して未硬化の接着剤層5を形成し、石膏ボード2の平坦面2bおよび木質材3の平坦面3bのそれぞれに接着剤を塗布して未硬化の接着剤層5を形成する。そして接着剤層5を形成した石膏ボード2および木質材3を、接着剤層5を形成した木質ボード4の平坦面4bの上に配置することができる。
また石膏ボード2および木質材3の上に未硬化の接着剤層5を介して木質ボード4を配置することもできる。例えば、石膏ボード2および木質材3を側端部2c、3c同士で隣接させて平坦面2b、3bを上にして配置し、その上に接着剤層5を塗布した木質ボード4を配置することができる。
また石膏ボード2および木質材3を側端部2c、3c同士で隣接させて接着剤層5を塗布した平坦面2b、3bを上にして配置し、その上に接着剤層5を塗布していない木質ボード4を配置することができる。
また石膏ボード2および木質材3を側端部2c、3c同士で隣接させて接着剤層5を塗布した平坦面2b、3bを上にして配置し、その上に接着剤層5を塗布した木質ボード4を配置することができる。
この実施形態では次の工程として、この積層体6を両面から加圧する。例えば図1(c)に示すように、積層体6を一対のプレス板7の間に配置し、プレス板7の両外側から加圧することができる。
この加圧は、過剰な圧力ではなく、石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aが平滑に揃うように、適度な圧力で行う。圧力は1〜5kg/cm2が好ましい。
すなわち、このように接着剤層5が流動性を有する状態で積層体6を両面から加圧することで、図1(b)の石膏ボード2の厚みt1と木質材3の厚みt2との差を接着剤層5の厚みT1、T2の差により吸収する。従って石膏ボード2および木質材3は、接着剤層5側にこれらの厚みバラツキによる段差8が生じるようになる。
すなわち、接着剤を多めに塗布し接着剤層5を厚くすることで、接着剤層5はバッファーとして作用する。これにより、石膏ボード2と木質材3との厚みバラツキによる露出側の平坦面2a、3aの間での段差の発生を抑制することができる。換言すると、接着剤層5により厚みバラツキが吸収されることで、接着剤層5は加圧後には厚みが均一ではなく石膏ボード2の位置と木質材3の位置とでこれらの厚みバラツキを解消するように厚い部分と薄い部分が生じるようになる。このように積層体6に過剰に圧力を加えることなく適度に加圧することにより接着剤層5が厚みの調整機能を果たす。
図1においては、石膏ボード2に面する接着剤層5の厚みT1と木質材3に面する接着剤層5の厚みT2との差T1−T2は、木質材3の厚みt2と石膏ボード2の厚みt1との差t2−t1と近似するようになる。これにより、石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aを平滑に揃えて段差が抑制された状態にすることができる。このように段差が抑制されることで、後の工程において突き板10の表面に着色塗料を塗装する際に着色ムラを抑制することができる。
従って接着剤層5は厚めにすることが好ましい。接着剤層5による石膏ボード2と木質材3との厚みバラツキの吸収を考慮すると、接着剤層5の厚みは50〜300μmが好ましい。
なお、図1では木質材3が石膏ボード2よりも厚い例を示しているが、石膏ボード2が木質材3よりも厚い場合も同様に接着剤層5により厚みバラツキを吸収することができる。
これに対して、過剰な圧力で積層体6を加圧すると、図4に示すように、図1(b)の木質材3の厚みt2と石膏ボード2の厚みt1との差を接着剤層5により吸収することが困難になる。特に過剰な圧力により接着剤層5の厚みが小さくなった場合には、石膏ボード2の露出側の平坦面2aと木質材3の露出側の平坦面3aとの間に段差9が生じるようになる。従って後の工程において突き板10の表面に着色塗料を塗装する際に着色ムラを抑制することが困難になる。
なお、プレス板7による積層体6の加圧は図1(c)に示すように、石膏ボード2および木質材3を上にし木質ボード4を下にして行ってもよく、あるいは木質ボード4を上にし石膏ボード2および木質材3を下にして行ってもよい。
この実施形態では次の工程として、石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aの段差が抑制された状態で接着剤層5を硬化させる。これにより石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aを平滑に揃えて石膏ボード2および木質材3と木質ボード4とを貼着した積層体6を得ることができる。
この実施形態では次の工程として、図1(d)に示すように、木質ボード4の露出側の平坦面4aに突き板10を貼着する。また、木質材3の側端部3cに実11を形成する。
突き板10は、サクラ、ケヤキ、ナラ等の天然木の丸太を切断しフリッチと呼ばれる形に成形し、スライサーにより薄くスライスされたものを用いることができる。突き板10と木質ボード4との貼着は接着剤を用いて行うことができる。
なお、図1(d)には図示していないが、図3に示すようなV溝10aを突き板10の表面に形成することができる。このV溝10aは、V溝加工により床材1の長手方向に複数本を互いに平行に形成することができ、外観上のアクセントになり多少の膨張収縮にも対応することができる。
実11の形成は、従来より合板を基材とする複合フローリングにおいて行われている実加工と同様の方法で行うことができる。実11の嵌合方式としては、バットジョイント、スカーフジョイント、本実、相じゃくり、フィンガージョイント、V字ジョイント等を挙げることができる。
この実施形態では次の工程として、木質ボード4に貼着した突き板10の表面に図2に示すロール塗装機12により着色塗料を塗装する。
図2に示すように、ロール塗装機12は、床材1の突き板10に着色塗料を塗装するスポンジロール13と、突き板10の表面の余剰の着色塗料を掻き取るリバースロール15と、床材1の下面を支持する支持ロール14、16とを備えている。
スポンジロール13としては、合成樹脂を発泡させたもの、例えば、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体等をロールとしたものを用いることができる。
リバースロール15としては、例えば、ウレタンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム等をロールとしたものを用いることができる。
着色塗料としては、例えば、木質材料系の着色ステイン塗料を用いることができる。例えば、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、アミノアルキッド樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料等を用いることができる。作業環境における安全面や大気汚染に関する影響等を考慮すると、水性の着色塗料を用いることが好ましい。
ロール塗装機12に床材1を搬送し、支持ロール14、16により床材1の下面を支持しながら上流側において突き板10の表面に搬送方向に回転するスポンジロール13から着色塗料を供給して塗布する。着色塗料は不図示の塗料タンクからスポンジロール13に供給され、着色塗料は床材1の突き板10の表面全体にローラーコートされる。
そして連続的に下流側において、着色塗料がローラーコートされた突き板10の表面に搬送方向とは逆側に回転するリバースロール15を押し当てて余剰の着色塗料を掻き取ることにより均一に着色塗料を塗装する。余剰の着色塗料は不図示の回収タンクに回収される。これにより、着色塗料が凹溝や導管等に充填され、凹溝や導管等が着色される。
このとき、床材1は、図1(b)の石膏ボード2の厚みt1と木質材3の厚みt2との差が接着剤層5の厚みT1、T2の差により吸収されて、石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aを平滑に揃えて段差が抑制された状態にされている。
そのため床材1を搬送しながらリバースロール15で着色塗料を掻き取るときに、石膏ボード2と木質材3との間の位置が通過する際にもリバースロール15と支持ロール16による床材1への加圧力は石膏ボード2の位置と木質材3の位置で均一になる。
従って、床材1の長手方向に渡り掻き取りムラがなく、着色ムラを抑制して突き板10の表面に素地着色を施すことができる。
これに対して図4のように過剰な圧力で積層体6を加圧すると、木質材3の厚みt2と石膏ボード2の厚みt1との差を接着剤層5により吸収することができなくなり石膏ボード2の露出側の平坦面2aと木質材3の露出側の平坦面3aとの間に段差9が生じるようになる。この場合は、図5に示すように、床材1を搬送しながらリバースロール15で着色塗料を掻き取るときに、石膏ボード2と木質材3との間の位置が通過する際に段差9により圧力差が生じてしまう。そのため床材1の長手方向に掻き取りムラが生じ、突き板10の表面に素地着色の着色ムラが生じてしまう。
突き板10の表面にロール塗装機12により着色塗料を塗装した後、溶媒を飛散させて乾燥する。乾燥は、例えば、ジエットドライヤー等を用いて行うことができ、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間30秒〜3分の条件で乾燥することができる。
その後、この素地着色を施した突き板10には、突き板10の表面保護や仕上がり等を考慮して表面全体にクリア塗料を塗装することができる。
クリア塗料は、例えば下塗り、中塗り、上塗り等の複数回の塗装により行うこともでき、これらの塗装の前後において適宜に研磨(サンディング)を行うことができる。
下塗りおよび中塗りには、例えば、常温硬化型のウレタン樹脂塗料、あるいは加熱硬化型のメラミン樹脂塗料、尿素・メラミン樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、あるいは紫外線硬化型のウレタン樹脂塗料、ポリエステル変性アクリル樹脂塗料等を用いることができる。
上塗りには、例えば、アクリル樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料等を用いることができる。
こうして図3に示すような、着色塗料およびクリア塗料の塗装による塗膜17が形成された床材1を製造することができる。このような塗膜17によれば、突き板10の持つ自然の色合いを生かした表現ができ、木の自然な雰囲気を演出することもできる。
以上の工程により製造された図3に示す床材1は、例えば、建物の床下地の上に複層フローリングとして床材1を複数枚を並べて設置することができる。その際には、隣接する一方の床材1の図1(d)に示す雌実11bに、他方の床材1の雄実11aを挿入して床材1同士を嵌合する。
このようにして床材1を隙間なく固定することができ、良好なフローリング構造を形成することが可能となる。また床材1の施工は、床材1を接着剤により床下地に貼着し、雄実11aに釘を打ち込んで床下地に固定する場合がある。この場合にも、合板等の木質材3を実加工の部材として用いることで、釘打ちによる割れや欠け等を抑制することができる。そして実11を合板等の木質材3により形成することで、複数枚の床材1同士がしっかりと組み合い、反りやねじれも抑制することができる。さらに継ぎ目の外観も良好にすることができる。
以上に説明したこの実施形態の床材の製造方法によれば、接着剤層5が流動性を有する状態で積層体6を上下から加圧し、石膏ボード2と木質材3との厚みの差を接着剤層5の厚みの差により吸収している。これにより石膏ボード2および木質材3の露出側の平坦面2a、3aを平滑に揃えて段差が抑制された状態にしている。従って、木質材3に実11を加工することで石膏ボード2を基材に用いて良好なフローリング構造を形成することができ、さらに突き板10に塗装する着色塗料の着色ムラを抑制することができる。
また、木質ボード4の露出側の平坦面4aには突き板10を貼着し、木質ボード4に貼着した突き板10の表面にロール塗装機12により着色塗料を塗装している。従って、外観が良好で着色塗料の着色ムラも抑制された床材1を得ることができる。
また、木質材3の側端部3cには実11を形成している。従って、複数枚の床材1同士がしっかりと組み合う良好なフローリング構造を形成することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
木質ボードとして厚み2.7mmのMDFを用いて、その平坦面に接着剤を塗布して未硬化の接着剤層を形成した。接着剤として水性ビニルウレタン系樹脂の接着剤(固形分50質量%)を用い、接着剤層の塗布量は40g/尺2とした。
木質ボードとして厚み2.7mmのMDFを用いて、その平坦面に接着剤を塗布して未硬化の接着剤層を形成した。接着剤として水性ビニルウレタン系樹脂の接着剤(固形分50質量%)を用い、接着剤層の塗布量は40g/尺2とした。
そして木質ボードの平坦面に塗布した接着剤層の上に、厚み9.5mmの石膏ボードおよび厚み9.5mmの合板の木質材を配置した。石膏ボードおよび木質材は側端部同士を隣接させ、これにより石膏ボードおよび木質材の平坦面と木質ボードの平坦面とが未硬化の接着剤層を介して対向する積層体を得た。
この積層体を一対のプレス板の間に配置し、プレス板の両外側から2.5kg/cm2の圧力で加圧し、接着剤を硬化した。
この積層体の木質ボードの露出側の平坦面に厚み0.25mmの突き板を貼着した。また、木質材の四方の側端部には実加工を施し、長手方向の側端部に雄実と雌実を形成し、幅方向の側端部にも雄実と雌実を形成した。
次に、木質ボードに貼着した突き板の表面に図2に示すロール塗装機により着色塗料を塗装した。ロール塗装機に床材を搬送し、支持ロールにより床材の下面を支持しながら上流側において突き板の表面にスポンジロールから着色塗料を供給して突き板の表面全体にローラーコートした。そして連続的に下流側において、着色塗料がローラーコートされた突き板の表面に搬送方向とは逆側に回転するリバースロールを押し当てて余剰の着色塗料を掻き取った。
着色塗料を乾燥後、着色塗料を塗装した突き板の表面にクリア塗料を塗装し床材を得た。
<比較例1>
実施例1において、プレス板による積層体への加圧を10kg/cm2の圧力で行い接着剤を硬化した。それ以外は実施例1と同様にして床材を得た。
実施例1において、プレス板による積層体への加圧を10kg/cm2の圧力で行い接着剤を硬化した。それ以外は実施例1と同様にして床材を得た。
実施例1と比較例1の床材について、突き板表面の着色ムラを目視で評価した。その結果を表1に示す。
表1より、実施例1では、着色ムラが全く見られなかった。これは接着剤層を厚くし適度な圧力で積層体を両面から加圧することで、石膏ボードの厚みと木質材の厚みとの差を接着剤層の厚みの差により吸収し石膏ボードおよび木質材の厚みバラツキによる露出側の平坦面の段差を抑制したことによると考えられる。すなわち床材を搬送しながらリバースロールで着色塗料を掻き取るときに、石膏ボードと木質材との間の位置が通過する際にもリバースロールと支持ロールによる床材への加圧力は石膏ボードの位置と木質材の位置で均一になる。従って床材の長手方向に渡り掻き取りムラがなく、着色ムラを抑制して突き板の表面に素地着色を施すことができたと考えられる。
これに対して比較例1では、過剰な圧力により接着剤層の厚みが小さくなり、石膏ボードおよび木質材の露出側の平坦面の間に段差が生じていた。そして段差位置の付近において突き板の表面には着色塗料の着色ムラが目視により確認された。すなわち床材を搬送しながらリバースロールで着色塗料を掻き取るときに、石膏ボードと木質材との間の位置が通過する際に露出側の段差により圧力差が生じてしまう。そのため床材の長手方向に掻き取りムラが生じ、突き板の表面に素地着色の着色ムラが生じたと考えられる。
1 床材
2 石膏ボード
2a 平坦面
2b 平坦面
2c 側端部
t1 厚み
3 木質材
3a 平坦面
3b 平坦面
3c 側端部
t2 厚み
4 木質ボード
4a 平坦面
4b 平坦面
4c 側端部
5 接着剤層
T1、T2 厚み
6 積層体
8 段差
10 突き板
11 実
12 ロール塗装機
2 石膏ボード
2a 平坦面
2b 平坦面
2c 側端部
t1 厚み
3 木質材
3a 平坦面
3b 平坦面
3c 側端部
t2 厚み
4 木質ボード
4a 平坦面
4b 平坦面
4c 側端部
5 接着剤層
T1、T2 厚み
6 積層体
8 段差
10 突き板
11 実
12 ロール塗装機
Claims (3)
- 表裏の平坦面および厚み方向の側端部をそれぞれ有する石膏ボード、木質材、および木質ボードを、前記石膏ボードと前記木質材とが前記側端部同士で隣接し、前記石膏ボードおよび前記木質材の前記平坦面と前記木質ボードの前記平坦面とが未硬化の接着剤層を介して対向する積層体を得る工程と、前記接着剤層が流動性を有する状態で前記積層体を上下から加圧し、前記石膏ボードと前記木質材との厚みの差を前記接着剤層の厚みの差により吸収し、前記石膏ボードおよび前記木質材の露出側の前記平坦面を平滑に揃えて段差が抑制された状態にする工程と、この段差が抑制された状態で前記接着剤層を硬化させる工程とを含むことを特徴とする床材の製造方法。
- 前記接着剤層を硬化させて前記石膏ボードおよび前記木質材と前記木質ボードとを貼着した後、前記木質ボードの露出側の前記平坦面に突き板を貼着する工程と、前記木質ボードに貼着した前記突き板の表面にロール塗装機により着色塗料を塗装する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の床材の製造方法。
- 前記接着剤層を硬化させて前記石膏ボードおよび前記木質材と前記木質ボードとを貼着した後、前記木質材の前記側端部に実を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の床材の製造方法。
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