しかしながら、上述の様々な溶着の態様はあくまでも開封片が包装フィルムから離れる方向にカールするのを防ぐ観点からなされたものであるために、実際に開封を試みた場合に上手く開封できない場合があった。また、アンビルの方に溶着線に対応した突部が形成された上述の構成のホーン及びアンビルでは、超音波を発振するための一体成形される比較的高価なホーンの構成を簡素にできるという利点はあるものの、溶着工程において、ホーンとアンビルとの位置ずれを生じてしまう結果、この位置ずれが充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階におけるピンホールの発生や包装体の開封の失敗を誘発する原因となる場合もあった。
例えば、図6に示す従来の開封片付き包装体Rpの例においては、ホーン側に一本溶着線Laに対応する突部(発振面)を形成する一方で、アンビル側に押さえ溶着部Ldに対応する突部(受面)が形成されることにより合成樹脂のフィルムである被溶着物(包装フィルム(帯状フィルムFb)と開封片Fpと)の溶着がおこなわれている。超音波振動を加えるホーンに形成された突部(発振面)は包装フィルム(帯状フィルムFb)と接触して被溶着物に振動エネルギを伝達することにより一本溶着線Laを溶着する。一方、アンビルに形成された突部(受面)は開封片Fpと接触して支持することにより被溶着物に加えられた振動エネルギを受け止めて押さえ溶着部Ldを溶着する。
このように設けることで、ホーン側の突部(発振面)からアンビル側の突部(受面)に向かうにつれて振動エネルギの減衰が生じることとなることから、ホーン側の突部(発振面)とアンビル側の突部(受面)とにおいて溶着条件に差異を設けることができる。このため、一本溶着線Laをより強く溶着するとともに、押さえ溶着部Ldをより剥がれ易く(弱く)溶着することで開封し易い包装体を製造することができる。
しかしながら、溶着工程において、ホーンとアンビルとが位置ずれを生じてしまうと、押さえ溶着部Ldが一本溶着線Laに対して相対的に開封方向に位置ずれした位置において溶着されてしまう場合も生じ得る。この場合には、相対的に開封方向に位置ずれした押さえ溶着部Ldが一本溶着線Laの保護を十分におこなうことができず、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階において開封片Fpに加えられる力により一本溶着線Laの端部Laeの近傍にピンホールを生じてしまう原因となる場合もあった。ピンホールは開封片Fpに加えられる力が集中して作用し易い(応力集中を生じ易い)一本溶着線Laの両端部Laeの近傍により発生し易いものといえる。
一方で、押さえ溶着部Ldが開封片Fpの手前側に相対的に位置ずれした位置において溶着されてしまう場合も生じ得る。この場合には、開封者が開封片Fpの比較的小さな面積を指先で強くつまんで開封片Fpにねじりを加えて開封しようとすることにより、押さえ溶着部Ldに開封力が集中して押さえ溶着部Ldの近傍に開封片Fpの短辺の縁に起点を有する裂け目を生じてしまう原因となる場合もあった。さらに、この開封片Fpの裂け目が拡大し、一本溶着線Laに沿って横方向に裂け目が伸びることにより、開封片Fpが完全に千切れて開封の失敗の原因となる場合もあった。
こうした包装Rpの開封の失敗は、一本溶着線Laとともに溶着される押さえ溶着部Ldが所望の溶着力よりも強い溶着力で溶着されていることにも起因している。
本発明は上述の課題に鑑み、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールを発生してしまうことがなく、包装の開封が容易であるとともに開封の失敗が生じない開封片付き包装体、並びに該包装の開封を容易かつきれいに行うことができる開封片を取り付けるのに好適な溶着機、この溶着機を備える包装体製造装置及び包装体製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る包装体は、例えば図1に示すように、合成樹脂のフィルムが筒状に形成された筒状フィルムFtと;筒状フィルムFtに充填された内容物Cとを備え;内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端は集束されて結紮され、結紮端部Reを構成し;さらに、合成樹脂のフィルムで構成され、筒状フィルムFtの結紮端部Reの一方に近い側に溶着された矩形の開封片Fpとを備え;筒状フィルムFtと開封片Fpとの溶着部が、筒状フィルムFtの長手方向に対して直交する方向に直線的に1本が延びる一本溶着線Laと、一本溶着線Laの両端Laeからそれぞれ筒状フィルムFtの軸線に対して一方の結紮端部Reに向けて斜めの線状に形成され開封片Fpの縁に至る誘導溶着線Lbと、一本溶着線Laの両端Laeからそれぞれ筒状フィルムFtの軸線に対して一方の結紮端部Reから遠ざかる方向に向けて斜めの線状に形成され、一本溶着線Laの両端Laeのそれぞれと開封片Fpの縁との中間点まで延びる固定溶着線Lcとを含んで形成されている。
このように構成することにより、該包装体の開封時にカットラインの発生の起点となるように設けられた、即ち、該開封片に加えられる力が集中し易いように(応力集中し易いように)設けられた該一本溶着線の端部に加えられる力を、該一本溶着線、該誘導溶着線並びに該固定溶着線によりそれぞれ異なる方向へと均等に分散させることができることから、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階において該一本溶着線の端部におけるピンホールの発生を好適に防止することができる。
また該包装体の開封時において、開封者が該開封片のより小さな面積をより強く指先でつまんでねじりを加え、該開封片に剪断力を加えながら正しい開封方向に対して左右どちらかの斜めに傾いた方向に向けて該開封片を引き上げて開封しようとした場合には、該左右どちらかの斜めに傾いた開封方向に対向するように設けられた該斜めの線状に形成された該固定溶着線の端部が起点となって該包装体が開封することにより、該開封片が横方向(即ち、該包装体の長手方向に対して直交する方向)に千切れてしまうモードの該包装体の開封の失敗を好適に防止することができる。
また該開封片が横方向に千切れてしまう該包装体の開封の失敗のモードにおいて、該開封片の短辺の縁に該開封片の剪断による裂け目の起点が生じ、該開封片の横方向に該一本溶着線と平行して意図しない該開封片の裂け目が伸びる場合にも、該一本溶着線の両端から手前側の方向に設けられた該固定溶着線並びに該一本溶着線の両端から該結紮端部側(即ち、開封方向側)のカットライン上に設けられた該誘導溶着線が該開封片の横方向に伸びる該開封片の裂け目を吸収してカットラインに転じることができることから、該包装体の開封の失敗を好適に防止することができる。
また該開封片を開封方向に向けて引き上げる際に、該開封片の横方向に該一本溶着線が十分な長さを有して設けられていることにより、十分な幅と強度とを有する開封のための引き手基部を形成して提供することができるとともに、該誘導溶着線が該開封方向に対して角度を有する斜めの線状に設けられていることにより、該一本溶着線により形成された開封のための引き手基部を開封方向に向けて引き上げて該包装体を開封するにつれて、さらに該開封の横方向の幅を拡大して好適に該包装体を開封することができる。
また、本発明の第2の態様に係る包装体は、例えば図1及び図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係る包装体Rにおいて、開封片Fpの一方の結紮端部Reから一本溶着線Laよりも遠い側の部分に、固定溶着線Lcと接続しない、開封片Fpを筒状フィルムFtに固定する押さえ溶着部Ldが形成されている。
このように構成することにより、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階において該開封片に加えられる外力が該一本溶着線に直接作用することを防止して、該製造段階、又は流通段階における該一本溶着線の近傍でのピンホールの発生を防止することができる。
また、本発明の第3の態様に係る包装体は、例えば図1及び図2に示すように、上記本発明の第2の態様に係る包装体Rにおいて、押さえ溶着部Ldは、筒状フィルムFtと開封片Fpとの溶着力が、一本溶着線Laよりも弱く形成されて構成されている。
このように構成することにより、該包装体の開封時に該押さえ溶着部が該一本溶着線と比較して弱い力により容易に剥がれ、該開封片を指でつまみ易く開封し易い大面積の引き手として提供することができる。
また、本発明の第4の態様に係る包装体は、例えば図1及び図2(e)に示すように、上記本発明の第3の態様に係る包装体Rにおいて、押さえ溶着部Ldは、ローレット状に形成されて構成されている。
このように構成することにより、該押さえ溶着部の溶着力を好適に低減させることができる。
また、本発明の第5の態様に係る包装体は、例えば図1および図2に示すように、上記本発明の第1乃至第4の態様に係る包装体Rにおいて、内容物Cが、練り肉又はチーズとして構成されている。
このように構成することにより、該練り肉又はチーズをロケット包装することができるとともに、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することがなく、開封時において開封し易く、また開封の失敗が生じることのない該包装体を提供することができる。
また、本発明の第6の態様に係る溶着機は、例えば図1乃至図3に示すように、合成樹脂製の主フィルムFbと、合成樹脂製の小片フィルムFpとが重ねられた被溶着物Fjに超音波エネルギを与え、主フィルムFbと小片フィルムFpとを溶着する溶着機1であって;被溶着物Fjに超音波エネルギを伝達するホーン2と;被溶着物Fjをホーン2との間で挟み、ホーン2の押圧力を受けるアンビル5とを備え;主フィルムFbと小片フィルムFpとの溶着が、小片フィルムFp内で線状に1本が延びる一本溶着線Laと、一本溶着線Laから遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の非平行に形成された誘導溶着線Lbと、一本溶着線Laから誘導溶着線Lbとは反対の側に一本溶着線Laから遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の非平行に形成された固定溶着線Lcであって、一本溶着線Laの両端Laeのそれぞれと開封片Fpの縁との中間点まで延びる固定溶着線Lcとを含んで行われるように、ホーン2及びアンビル5が構成され;小片フィルムFpの一本溶着線Laよりも固定溶着線Lcの側に、固定溶着線Lcと接続しない、小片フィルムFpを主フィルムFbに固定する押さえ溶着部Ldが形成されるように、ホーン2及びアンビル5が構成され;押さえ溶着部Ldに対応するホーン2の部分2Fdのアンビル5との距離Ddを、一本溶着線Laに対応するホーン2の部分2Faとアンビル5との距離Daよりも大きく構成されている。
このように構成することにより、該一本溶着線と該押さえ溶着部との溶着における位置ずれを生じることがなく、該主フィルムと該小片フィルムとを該一本溶着線、該誘導溶着線並びに該固定溶着線については強い溶着力で、該押さえ溶着部においては弱い溶着力でそれぞれ溶着することができることから、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することがなく、開封時において開封し易く、開封の失敗が生じることのない該開封片を該包装体の包装フィルムに好適に溶着することができる溶着機を提供することができる。
また、本発明の第7の態様に係る溶着機は、例えば図1、図2及び図4に示すように、上記本発明の第6の態様に係る溶着機1において、押さえ溶着部Ldに対応するホーン2の部分2Fdのアンビル5との距離Ddを、一本溶着線Laに対応するホーン2の部分2Faとアンビル5との距離Daよりも大きく構成する代わりに、押さえ溶着部Ldに対応するホーン2の部分2Fdにローレットを施して構成されている。
このように構成することにより、該一本溶着線に対応するホーンの部分と該アンビルの距離と該押さえ溶着部に対応するホーンの部分と該アンビルの距離とを異なる距離に設ける代わりに、該押さえ溶着部の溶着力を該一本溶着線の溶着力に対して弱い溶着力とすることができることから、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することなく、開封時において開封し易く開封の失敗が生じることのない該開封片を該包装体の包装フィルムに好適に溶着することができる溶着機を提供することができる。
また、本発明の第8の態様に係る溶着機は、例えば図1、図2及び図4に示すように、上記本発明の第6の態様に係る溶着機1において、押さえ溶着部Ldに対応するホーン2の部分2Fdにローレットを施して構成されている。
このように構成することにより、該押さえ溶着部の溶着力を該一本溶着線の溶着力に対してさらに弱い溶着力とすることができることから、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することなく、開封時において開封し易く、開封の失敗が生じることのない該開封片を該包装体の包装フィルムに好適に溶着することができる溶着機を提供することができる。
また、本発明の第9の態様に係る包装体製造装置は、例えば図1乃至図5に示すように、上記本発明の第6乃至第8の態様に係る溶着機1と;帯状に形成されている主フィルムFbに小片フィルムFpが溶着された小片付帯状フィルムFsを、該帯状の長手方向に延びる両側部が重なるように筒状に巻き、重なった該両側部を接合して、筒状フィルムFtを形成する筒状フィルム形成機10と;筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填機30と;内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮機70とを備える。
このように構成することにより、該小片フィルムを該開封片とする開封し易い該開封片付き包装体を製造する包装体製造装置を提供することができる。
また、本発明の第10の態様に係る包装体製造方法は、例えば図1乃至図5を参照して示すと、上記本発明の第9の態様に係る包装体製造装置100を用いて包装体Rを製造する方法であって;帯状の主フィルムFbに対し、矩形に形成された小片フィルムFpを、小片付帯状フィルムFsを筒状に巻いた際に重なった該両側部の裏側に小片フィルムFpがくる位置に重ね、溶着機1で被溶着物Fjを溶着する小片溶着工程と;筒状フィルム形成機10で筒状フィルムFtを形成する筒状フィルム形成工程と;充填機30で筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填工程と;結紮機70で内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮工程とを備える。
このように構成することにより、該小片フィルムを該開封片とする開封し易い該開封片付き包装体を製造することができる。
また、本発明の第11の態様に係る開封片付き包装体の製造方法は、例えば、図1乃至図5を参照して示すと、合成樹脂のフィルムFsを筒状に形成する筒状フィルム形成工程と;筒状フィルムFtに内容物Cを充填する内容物充填工程と;内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を集束し結紮する、結紮端部構成工程と;さらに、合成樹脂のフィルムで構成され、筒状フィルムFtの結紮端部Reの一方に近い側に矩形の開封片Fpを溶着する開封片溶着工程とを備え;該開封片溶着工程が、筒状フィルムFtの長手方向に対して直交する方向に直線的に1本が延びる一本溶着線Laを形成する工程と、一本溶着線Laの両端Laeからそれぞれ筒状フィルムFtの軸線に対して一方の結紮端部Reに向けて斜めの線状に形成され開封片Fpの縁に至る誘導溶着線Lbを形成する工程と、一本溶着線Laの両端Laeからそれぞれ筒状フィルムFtの軸線に対して一方の結紮端部Reから遠ざかる方向に向けて斜めの線状に形成され、一本溶着線Laの両端Laeのそれぞれと開封片Fpの縁との中間点まで延びる固定溶着線Lcを形成する工程と、開封片Fpの一方の結紮端部Reから一本溶着線Laよりも遠い側の部分に、固定溶着線Lcと接続しない、開封片Fpを筒状フィルムFtに固定する押さえ溶着部Ldを形成する工程とを含み、押さえ溶着部Ldの溶着力は一本溶着線Laの溶着力よりも弱く形成されるように構成されている。
このように構成することにより、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することがなく、開封時において開封し易く、開封の失敗が生じることのない該開封片付き包装体を製造することができる。
本発明によれば、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールを発生してしまうことがなく、包装の開封が容易であるとともに開封の失敗が生じない開封片付き包装体、並びに該包装の開封を容易かつきれいに行うことができる開封片を取り付けるのに好適な溶着機、この溶着機を備える包装体製造装置及び包装体製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る包装体Rについて説明する。本実施の形態の包装体Rは、内容物Cとしての魚肉練り肉が所定量ごとに充填されて密封された、いわゆるロケット包装された包装体である。包装体Rには、ソーセージ(豚練り肉)やプロセスチーズ等の他の内容物Cが所定量ごとに包装されて製造されるものとしてもよい。
図1に示す包装体Rは、合成樹脂製のフィルムが筒状に形成された筒状フィルムFtに魚肉練り肉である内容物Cが充填された後に両端が集束・結紮されて、包装体Rの両端に結紮端部Reが設けられて製造されている。筒状フィルムFtは、開封片Fpが溶着された帯状フィルムFbを、帯状の長手方向に延びる両側部が重なるように円筒状に巻き、重なった両側部を接合して形成されている。帯状フィルムFbの両側部の重ね方は、異なる面を接触させる封筒貼り及び同一面同士を接触させる合掌貼りのいずれでもよい。筒状フィルムFtの重ねられた両側部の裏側において、包装体Rの一方の結紮端部Re寄りの位置に、同じく合成樹脂製の矩形(長方形)のフィルムである開封片Fpが溶着線Lにより溶着されて取り付けられている。
図1に示す開封片Fpは、包装体Rの開封の容易のために取り付けられている。開封片Fpは、本実施の形態では、筒状フィルムFtの軸直角断面の円の周長の約1/3程度の長さに長辺が形成された長方形で、開封片Fpの長辺と帯状フィルムFbの長手方向とが直交して重ねられたうえで、溶着線Lにより帯状フィルムFbに取り付けられている。開封片Fpは、包装体Rとなったときに、結紮されている一方の結紮端部Reに近くの、集束によって帯状フィルムFbが皺にならない位置に取り付けられている。なお、本実施の形態に示す開封片Fpの長辺の長さは約20mmに設けられ、短辺の長さは約9.5mmに設けられているが、開封片Fpの大きさは包装体Rの大きさに合わせて適宜変更することができる。
図1に示す溶着線Lは、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lcにより構成されている。本発明の一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lcは、以下に詳述するように充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが生じることがなく、開封時において開封し易く、開封の失敗を生じることのない開封片付き包装体を実現するために、これら三種の溶着線が特有の機能的形状を有する一連の溶着線として分断されることなく連結されて設けられている。溶着線Lを形成する「線」は、典型的には、その長さの幅に対する比(長さ/幅)が1を超えるように設けられている。
図1に示す一本溶着線Laは筒状フィルムFtの長手方向に対して直行する方向に、あるいは開封者から見て横方向に、直線的に一本の溶着線が延びる形状に設けられている。一本溶着線Laは、その長さが、開封片Fpの長辺(前記直交する方向の辺)の長さよりも短く、例えば開封片Fpの長辺の長さの0.4〜0.8倍、好ましくは0.5〜0.6倍、典型的には0.55倍に形成されており、開封片Fpの長辺方向における中央かつ短辺方向おける略中央に形成されている。一本溶着線Laは、開封片Fpをめくったときに一本溶着線Laの端部Laeから帯状フィルムFbが破壊されるように形成されているのが好適であり、典型的には直線状であるが、曲線状であってもよい。一本溶着線Laを例えば波形などの任意の曲線形状として設けることにより、同一の開封片Fpの長辺方向の幅の内に一本溶着線Laを直線状として設けた場合と比較して、一本溶着線Laの全長をより長く設けることができることから、一本溶着線Laをより強固なシール溶着線として設けることができる。しかしながら、後に詳述するホーン2の構成を簡素化する観点から、一本溶着線Laは直線状であることが好ましい。
図1に示す誘導溶着線Lbは、一本溶着線Laの両端Laeから包装体Rの一方の結紮端部Reの方向に向けて、即ち、開封者から見て開封方向に向けて、筒状フィルムFtの長手方向に延びる軸線に対してそれぞれ斜めに延びる線状に設けられている。言い換えれば、誘導溶着線Lbは一本溶着線Laの両端Laeから一本溶着線Laから遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の非平行に形成された溶着線として設けられている。
図1に示す固定溶着線Lcは、一本溶着線Laの両端Laeから包装体Rの一方の結紮端部Reから遠ざかる方向に向けて、即ち、開封者から見て開封方向の反対方向、あるいは開封片の手前側の方向に向けて、筒状フィルムFtの長手方向に延びる軸線に対してそれぞれ斜めに延びる線状に設けられている。言い換えれば、固定溶着線Lcは一本溶着線Laの両端Laeから誘導溶着線Lbとは反対の側に一本溶着線Laから遠ざかるにつれて広がりながら延びる2本の非平行に形成された溶着線として設けられている。
図1に示す固定溶着線Lcの開封片Fpの一方の端部(手前側の端部)Lcfは、開封片Fpの長辺側及び短辺側のいずれの縁にも至ることなく、一本溶着線Laと開封片Fpの縁との中間点において端部Lcfが位置するように設けられている。また、一本溶着線Laは開封片Fpの手前側の端部Fpfから所定の間隔を空けて端部Fpfに平行に設けられているために、開封片Fpの手前側の端部Fpfは自由端に設けられ、開封時には端部Fpfを指でつまんで開封片Fpを開封方向へとめくって引き上げることができる。一方、開封片Fpの開封方向側の端部、あるいは結紮端部Re側の端部Fpeは、誘導溶着線Lbの端部Lbfにより開封片Fpの角部において筒状フィルムFtに溶着されて固定されている。
図1に示す包装体Rは、開封に際して開封片Fpの自由端である端部Fpfを指でつまんで開封方向(結紮端部Reの方向)にめくった際に、最も応力集中が生じ易い一本溶着線Laの端部Laeが破壊の起点となってカットラインが発生し、その後、溶着線Lに沿ってカットラインが拡大して開封するように設けられている。
一方、上述の通り、開封に先立つ充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階において、図1に示す開封片Fpに意図しない外力が加わることもあり得る。この場合には、従来知られる多様な溶着線の形態を有する開封片においては、外力が作用する一本溶着線、特に外力が集中して作用する一本溶着線の端部において、またはその周辺に分布して、包装体の包装フィルム並びに開封片にピンホールが発生してしまうこともあった。
図1に示す本実施の形態の溶着線Lは、応力集中が生じ易く破壊の起点となり易い一本溶着線Laの端部Laeを中心として、一本溶着線La、誘導溶着線Lb、および固定溶着線Lcがそれぞれ略等角度間隔により隔てられた異なる角度の方向に向かって放射状に分散して延びる直線形状として配置されて設けられている。このため、本発明に係る溶着線Lは、一本溶着線Laの端部Laeに加えられる力を、力学的あるいは幾何学的に極めて均等に周辺部に分散させることができることから、一本溶着線Laの端部Laeにおける応力集中を緩和して、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階におけるピンホールの発生を好適に防止することができる。
図1に示す包装体Rの開封時には、一本溶着線Laの端部Laeにおいて発生したカットラインが溶着線Lに沿って拡大し、一本溶着線Laに沿って生じるカットラインにより十分な幅と強度とを有する開封のための引き手基部が形成される。また、開封のための引き手基部をさらに開封方向に引き上げることにより、誘導溶着線Lbに沿って誘導されるカットラインの進展が一本溶着線Laにより形成された引き手基部の幅よりもさらに広い幅のさらに十分な強度を有する開封帯を形成することができる。この開封帯は開封を開封方向に結紮端部Reに向かって進めるに従って若干先細りとなる傾向を有するが、誘導溶着線Lbによって開封幅が十分に拡大されているために、開封帯が途中で千切れて開封に失敗してしまうことがない。
開封が図1に示す結紮端部Reに到達すると、開封は結紮端部Reを包装体Rから取り除いて、さらに続けて裏側の包装フィルム(帯状フィルムFb)に至るまで開封することができる。このように開封をおこなうことにより、包装体Rの一方の端部から完全に包装フィルム(結紮端部Re及び帯状フィルムFb)を取り除いて包装体Rを開封することができる。
続いて図2を参照して、本発明に係る溶着線Lの他の実施の形態について説明する。図2に示す溶着線Lにおいては、一本溶着線Laよりも自由端側(開封片の手前側/端部Fpf側)に固定溶着線Lcと接続しない押さえ溶着部Ldがさらに設けられている。上述の通り、本発明に係る溶着線Lによれば、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階におけるピンホールの発生を好適に防止することができるが、上記の製造段階、又は流通段階において、意図しないさらに大きな外力が一本溶着線Laにかかることによってピンホールが発生してしまうことも考えられることから、押さえ溶着部Ldをさらに設けることが好ましい。押さえ溶着部Ldは、開封片Fpがめくれて一本溶着線Laに負荷がかかることのないように、一本溶着線Laよりも開封片Fpの自由端側(端部Fpf側)に設けるものとするとよい。本発明では、また、後に詳述するように、本発明に係る溶着機において、一本溶着線Laを形成するための突部(発振面)と押さえ溶着部Ldを形成するための突部(発振面)とを同一のホーンに設けることにより一本溶着線Laと押さえ溶着部Ldとの位置ずれが生じてしまうことを防止している。
図2に示す押さえ溶着部Ldは多様な形状と位置とに設けることができるが、本実施の形態においては、以下に詳述するように、押さえ溶着部Ldを設けても新たな開封失敗のモードを誘発してしまうことがないように配慮がなされている。新たな開封失敗のモードとは、開封片Fpの横方向(長手方向)に裂け目が入って開封片Fpが千切れてしまう開封失敗のモードであって、例えば、押さえ溶着部Ldが一本溶着線Laと略同等の溶着力により溶着されてしまうことにより押さえ溶着部Ldが剥がしにくくなってしまうことに起因する。
この場合には、開封者は押さえ溶着部Ldを正しく開封方向に引き上げて開封しようとすることを諦めて、開封片Fpのより小さな面積を指先で比較的強くつまんで、開封片Fpにねじりを加えながら開封片Fpにより強い集中した力を加えて溶着部を破壊して開封しようと試みるかもしれない。この場合には、開封者は正しい開封方向ではなく、開封片Fpを開封方向に対して左右のどちらかに傾いた斜め上の方向に向けて引き上げて開封をおこなおうとすることとなる。
また、開封片Fpにねじりを伴う集中した力が加えられて開封される場合には、開封片Fpの短辺の縁に集中して強い剪断力が加えられることとなる。この結果、例えば、開封片Fpの短辺の縁に設けられた押さえ溶着部Ldの近傍を起点として、開封片Fpの短辺の縁において開封片Fpの裂け目の起点が生じる場合もある。また、この開封片Fpの短辺の縁に生じた裂け目の起点から概して開封片Fpの横方向に向かって裂け目が伸びて開封片Fpが完全に千切れてしまう場合も生じ得る。なお、開封片Fpの横方向に裂け目が伸びる場合には、開封片Fpの裂け目は比較的応力集中を生じ易い一本溶着線La又は一本溶着線Laの近傍に沿って伸び易い傾向を有している。
図2に示す本実施の形態の溶着線Lにおいては、このモードによる開封の失敗を防止するために、一本溶着線Laの端部Laeから手前側(自由端側/端部Fpf側)に向けて斜めに突出して固定溶着線Lcが設けられている。この固定溶着線Lcの手前側(自由端側/端部Fpf側)の端部Lcfは、上述の新たな開封失敗のモードに対応するために、上述の新たな開封失敗のモードにおいて開封者が正しい開封方向に対して左右のどちらかに傾いた斜め上の方向に開封をおこなおうとするものと説明したところの該斜め上の方向に対向する斜め下の方向に向けて図示のように端部Lcfを配向するように設けられている。
このため、開封者が上述の新たな開封失敗のモードの原因となり得るような斜めに傾いた方向に開封を行おうとする場合には、固定溶着線Lcの手前側(自由端側/端部Fpf側)の端部Lcfが非常時の応力集中の起点となってカットラインを生じて開封を開始することにより、上述の新たなモードの開封の失敗を防止することができるように設けられている。
一方で、通常の(正しい)開封方向において開封片Fpを引き上げようとする外力が加えられる場合には、固定溶着線Lcの手前側(自由端側/端部Fpf側)の端部Lcfは破壊の起点となり難い。固定溶着線Lcの手前側(自由端側/端部Fpf側)の端部Lcfは、通常の(正しい)開封方向に対して角度を有して斜めの方向に配向されて設けられている。また、固定溶着線Lcの端部Lcfは、外力が作用する引き手基部(一本溶着線La)から隔てられた一連の溶着線Lの末端部に位置されて設けられている。これにより、開封片Fpに通常の(正しい)開封方向において外力が作用する場合には、固定溶着線Lcの端部Lcfへの応力集中は引き手基部(一本溶着線La)、特に端部Laeへの応力集中と比較して緩やかなものとなる。このため、固定溶着線Lcの端部Lcfは充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールを発生してしまうことも無い。
また上述の通り、固定溶着線Lcは、一本溶着線Laの端部Laeから手前側(自由端側/端部Fpf側)に向けて斜め下方に突出して設けられている。このため、一本溶着線Laの端部Laeから手前側(自由端側/端部Fpf側)において、開封片Fpの短辺の縁に起点を生じて一本溶着線Laに沿って横方向に伸びようとする開封片Fpの裂け目を固定溶着線Lcが設けられているカットラインに吸収して該裂け目を開封のためのカットラインに転じることができるために、開封片Fpが千切れてしまう上述の新たなモードの開封の失敗を防止することができる。
このような効果を好適に得るために、固定溶着線Lcの端部Lcfは、一本溶着線Laの端部Laeから開封片Fpの短辺の縁までの中間点の位置に設けられている。ここで、固定溶着線Lcの長さは、例えば、一本溶着線Laの端部Laeから開封片Fpの短辺の縁まで延びる誘導溶着線Lbの長さの値の約10%から約80%までの値の範囲、より狭い範囲において例えば約15%から約60%までの値の範囲、さらに狭い範囲において例えば約20%から約40%までの値の範囲の長さに設けるものとするとよい。また、固定溶着線Lcの包装体Rの長手方向(正しい開封方向)に対する配向の角度は、例えば約0度から約80度までの値の範囲の角度に設けるものとするとよい。
また、図2に示す本実施の形態の溶着線Lにおいては、一本溶着線Laと誘導溶着線Lbとが一本溶着線Laの端部Laeにおいて隙間なく連結されているために、開封片Fpの短辺の縁にその起点を生じて一本溶着線Laの固定端側(開封方向側/端部Fpe側)において横方向に伸びる開封片Fpの裂け目を誘導溶着線Lbによりカットラインに吸収して同じく開封片Fpが千切れてしまうモードの開封の失敗を防止することができる。
さらに、図2に示す本実施の形態の溶着線Lにおいては、押さえ溶着部Ldが一本溶着線Laと比較して剥がれ易い(弱い)溶着力により溶着されている。このため、開封に際しては、開封者はより容易に押さえ溶着部Ldの溶着を剥がして、より大きな面積の開封片Fpをより深く指でつまんで利用して、開封片Fpをねじることなく正しく開封することができるように設けられている。具体的には、本実施の形態に示す押さえ溶着部Ldの平面形状における短辺方向(幅方向)の長さ(幅)は、一本溶着線Laの幅と比較して比較的幅広に設けられている。このように設けることにより、溶着工程において押さえ溶着部Ldに加えられる単位面積あたりの振動エネルギを減少させることができることから、押さえ溶着部Ldの溶着を一本溶着線Laと比較して剥がれ易い(弱い)溶着とすることができる。また、本実施の形態の押さえ溶着部Ldは、後に詳述するように、溶着工程において、押さえ溶着部Ldと一本溶着線Laとの溶着条件に有意な差異を設けることにより、一本溶着線Laと比較して剥がれ易い(弱い)溶着がなされている。
図2(a)に示す押さえ溶着部Ldは、一本溶着線Laと比較して剥がれ易い(弱い)溶着により固定溶着線Lcの延長線上に固定溶着線Lcとは不連続に設けられている。このように設けることにより、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階における開封片Fpの開封方向(包装体Rの長手方向)へのめくれを防止することができるだけでなく、開封片Fpの横方向(包装体Rの長手方向に直行する方向)へのめくれをも防止して好適に輸送段階におけるピンホールの発生を防止することができる。
なお、図2(a)に図示する押さえ溶着部Ldの平面形状における外形線は、他の溶着線L(一本溶着線La、誘導溶着線Lb、固定溶着線Lc)の平面形状における外形線と一連のパスラインにより結ぶことができる外形線の形状に設けられるものとしてもよい。このように設けることにより、後に詳述するように、本発明に係る溶着工程の部品(例えばホーン)に押さえ溶着部Ldと他の溶着線L(一本溶着線La、誘導溶着線Lb、固定溶着線Lc)とを溶着するための突部(例えば発振面)の平面形状を加工により設ける際に、例えば、一連のパスラインを有するエンドミルを自動制御して加工をおこなうマシニング加工によりこれらの平面形状を好適に加工して設けることができる。このため、溶着工程において損耗度の高い消耗部品である一方で、耐磨耗性材料を加工して設けるために製作が困難であった突部を有する溶着工程の部品(例えばホーン)を本実施の形態においては自動制御の一体加工により比較的容易に製作することができる。
さらに、図2(b)に示す他の実施の形態においては、図2(a)に示す開封片Fpと比較して開封辺Fpの短辺方向の長さ(端部Fpfと端部Fpeとの間の間隔)がより長く設けられているとともに、開封片Fpの端部Fpe側においてもつまみ代となる自由端を有するように溶着線Lの平面形状が設けられている。このように開封片Fpの手前側の端部Fpf側のみならず、開封片Fpの開封方向側の端部Fpe側にも自由端を設けることにより、端部Fpf側と端部Fpe側との両側から開封片Fpを指で挟んでめくり上げ、開封片Fpを二つ折りにして指でつまむことができる。このため、開封者がより強く開封片Fpをつまむことができるとともに、開封片Fpにねじりを伴うより大きな力を加えて開封した場合にも、開封片Fpが横方向に千切れてしまうことがなく、上述の新しいモードの開封の失敗を防止することができる。なお、図2(b)に示す開封片Fpの短辺方向の長さ(端部Fpfと端部Fpeとの間の間隔)は、例えば約11mmとして設けることができる。
また、図2(c)に示す他の実施の形態においては、図2(b)に示す溶着線Lの一本溶着線La(引き手基部)の長さをさらに長く、例えば開封片Fpの長手方向の長さの約65%にあたる約13mmに設けることにより開封片Fpをより指でつまみ易く設けることができるとともに、開封片Fp及び引き手基部の強度をより向上させることで、上述の新しいモードの開封の失敗を防止することができる。一方で、図2(b)に示す一本溶着線Laの長さが比較的短く、例えば開封片Fpの長手方向の長さの約50%にあたる約10mmに設けられた実施の形態においては、開封力を比較的短い一本溶着線La上に集中して作用させることができるために、溶着線L上に比較的容易にカットラインを設けることができる開封し易い包装体Rを実現することができる。なお、図2(b)並びに図2(c)に示す実施の形態ともに、平面形状において矩形の外形に設けられた押さえ溶着部Ldの配置位置は、固定溶着線Lcの一端Lcfの外形の一辺と押さえ溶着部Ldの長辺の外形とが一直線上に並ぶ(一連のパスラインにより結ぶことができる)配置位置において設けられており、上述のように、溶着工程の部品(例えばホーン)の製作を容易とすることができるレイアウト設定上の配慮がなされている。
一方で、図2(d)に示す他の実施の形態においては、開封片Fpの押さえ溶着部Ldは開封方向に対して斜めに角度を有するように配向して設けられている。このように設けることにより、例えば、図2(d)に示す押さえ溶着部Ld近傍の開封片Fpの長辺の縁に裂け目が生じた後に、開封片Fpの開封方向に向けて裂け目が伸びるような場合にも、応力集中を生じ易い押さえ溶着部Ldに沿って裂け目がある程度斜めの方向の内側に向けて伸びることにより、開封片Fpの裂け目が一本溶着線La又は固定溶着線Lcの手前側の位置に到達することが期待できる。開封片Fpの裂け目が一本溶着線La又は固定溶着線Lcに到達すれば、裂け目が一本溶着線La又は固定溶着線Lcに吸収されてカットラインに転じることが期待できる。
また、図2(e)に示す他の実施の形態においては、押さえ溶着部Leは溶着面がローレット状に形成されるとともに、図2(a)乃至図2(d)に示す押さえ溶着部Ldと比較して溶着面が大面積に設けられている。図2(e)に示す押さえ溶着部Ldは、ローレット状に凹凸が設けられて形成された平坦ではない溶着面において、実質的な溶着面積が減少されているとともに、例えば角部等の応力集中を生じ易く剥離の起点となり易い多くの微細な形状を有することとなる。このため、図2(e)に示す押さえ溶着部Ldを剥がす際には、一本溶着線Laと比較して明確に弱い力で溶着を剥がすことができる。なお、ローレット状とは、溶着面に何らかの形状の凹凸形状が設けられていることを意味するものであり、後に詳述するように、押さえ溶着部Ldを溶着する溶着機のホーンが工具としてのローレット(工具)により加工されていことを限定する意味を有しない。ホーンに設けられる凹凸形状の断面形状は、ローレット加工において有することとなる三角形の凸断面形状に限られず、例えば、後に詳述するような台形の凸断面形状を有するものであってもよい。また、ホーンに設けられる凹凸形状の平面形状(即ち、溶着面に設けられる凹凸形状の平面形状)は、例えば、縞模様であっても、波形であっても、等間隔で配置された多数の四角形であっても、等間隔で配置された多数の円形であっても、その他の任意の幾何学形状であってもよい。
なお、以上の図2に示した実施の形態において、図2(a)及び図2(e)に示す手前側にのみ自由端Fpfを有する実施の形態の群と、図2(b)乃至図2(d)に示す手前側及び開封方向側の両方に自由端Fpfと自由端Fpeとを有する実施の形態の群とでは、後に詳述する溶着機1(溶着機1a)及び包装体製造装置100における配置(図5参照)において製造上の差異を有している。溶着機1(溶着機1a)及び製造装置100においては、ロール状に巻かれた原反25より開封片Fpが一定の流し方向(供給方向)で供給され、供給された開封片Fpがカッター8により切断されて個片化されているが、この際の流し方向(供給方向)及びカッター8の配置位置において両群は製造上の差異を有している。図2(a)及び図2(e)に示す実施の形態の群においては、図2の紙面に対して下側の方向から上側の方向に向けて開封片Fpの供給がおこなわれ、該供給の上流側において、カッター8は開封片Fpの紙面に対して下側(自由端Fpf側)の溶着がおこなわれることのないスペースに配置されて設けられている。一方、図2(b)乃至図2(d)に示した実施の形態の群においては、反対に、図2の紙面に対して上側の方向から下側の方向に向けて開封片Fpの供給がおこなわれ、該供給の上流側において、カッター8は開封片Fpの紙面に対して上側(自由端Fpe側)の溶着がおこなわれることのないスペースにおいて設けられている。本発明においては、溶着線L及び押さえ溶着部Ldの配置においてこれらの製造上の配慮もなされている。
続いて図3を参照して、本発明に係る第2の実施の形態の溶着機1について説明する。図3は、溶着機1を説明して示す側面図である。なお、図3においては、本発明に係る溶着機1の構成を機能的にわかり易く図示するために、実際の寸法とは異なる寸法により形状を誇張して溶着機1の図示をおこなっている。溶着機1は、図1及び図2に示す形状の溶着線Lにより2つの部材Fb並びにFpを溶着する構成となっている。溶着機1は、典型的には、後に詳述する図5に示す包装体製造装置100に組み込まれて用いられる。
図3に示す溶着機(welding device)1は、被溶着物Fjに超音波エネルギを伝達するホーン(horn)2と、ホーン2の押圧力を受けるアンビル(anvil)5とを備えている。被溶着物Fjは、合成樹脂製の主フィルムとしての帯状フィルムFbと、合成樹脂製の小片フィルムとしての開封片Fpとが重ねられたものである。被溶着物Fjは、ホーン2の発振面2F(発振面2Fa、2Fd)とアンビル5の受面5Fとに挟圧されて溶着される。図3に示す本実施の形態における帯状フィルムFbの溶着前の厚さは約40μmであり、開封片Fpの溶着前の厚さは約80μmに設けられている。このように開封片Fpの厚さを帯状フィルムFbの厚さよりも厚く設けることにより、開封片Fpが横方向に千切れてしまう新たなモードの開封の失敗を好適に防止することができる。好ましくは、開封片Fpの厚さは帯状フィルムFbの厚さに対して例えば約1.2倍程度の厚さから約4倍程度の厚さまでの値の範囲に設けるものとするとよい。さらに好ましくは、開封片Fpの厚さは帯状フィルムFbの厚さに対して約1.5倍程度の厚さから約3.5倍程度の厚さまでの値の範囲に設けるものとするとよい。最も好ましくは、開封片Fpの厚さは帯状フィルムFbの厚さに対して約1.8倍程度の厚さから約2.5倍程度の厚さまでの値の範囲に設けるものとするとよい。例えば、本実施の形態において示すように、開封片Fpの厚さは帯状フィルムFbの厚さの2倍の厚さに設けるものとするとよい。
図3を参照した以下の説明において、被溶着物Fj及び溶着線Lに言及しているときは適宜図1及び図2を参照することとする。ホーン2は、超音波縦振動を増強させるのに適した略柱状(本実施の形態では略四角柱状)に一体で形成されており、柱状の一方の端面に一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するための発振面2Fa及び押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdが形成されている。ホーン2の発振面2Fa、2Fdの反対側の端面2Gには、超音波振動を発生させる振動子(oscillator)3が取り付けられている。ホーン2は、溶着による摩耗を小さくする観点からチタン合金で形成されていると好適である。本実施の形態における振動子3は、ランジュバン型振動子が用いられているが、被溶着物Fjを適切に溶着することができれば他の振動子を用いてもよい。
図3に示すように、本実施の形態の溶着機1では、押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdと一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するための発振面2Faとが同一のホーン2に設けられている。また、ホーン2の押さえ溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddは、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lcを溶着するための発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daよりも大きくなるように構成されている。言い換えれば、ホーン2の押さえ溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdは、他の溶着線を溶着するための発振面2Faよりも浅く被溶着物Fjに接触されるように設けられている。
このように構成されていることにより、一本溶着線Fa(図1、図2参照)と押さえ溶着部Ld(図2参照)との溶着の位置ずれを生じることがなく、主フィルム(帯状フィルムFb)と小片フィルム(開封片Fp)とを一本溶着線Fa、誘導溶着線Fb並びに固定溶着線Fcについては強い溶着力で溶着することができる一方で、押さえ溶着部Ldについては比較的剥離し易い(弱い)溶着力でそれぞれ溶着することができる。このため、上述のように、充填及び加圧・加熱殺菌処理等の製造段階、又は流通段階においてピンホールが発生することがなく、開封時において開封し易く、開封の失敗が生じることのない開封片Fpを包装体Rの包装フィルム(帯状フィルムFb)に好適に溶着することができる。
図3に示すホーン2の一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するための発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daは、加振条件にも影響を受けるものではあるが、例えば、一般的な超音波振動溶着機の加振条件の下では、約50μmから約80μmまでの値の範囲内の距離に設けるものとすることができ、さらに狭い範囲においては、例えば、約55μmから約70μmまでの値の範囲内の距離に設けることで好適に強固なシール溶着をおこなうことができる。
また、図3に示すホーン2の押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdは、同様に加振条件にも影響を受けるものではあるが、例えば、一般的な超音波振動溶着機の加振条件の下では、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するための発振面2Faとの高低差を、例えば、約10μmから約50μmまでの値の範囲内の高低差として設けることで好適に剥離し易い(弱い)溶着をおこなうことができる。
図3に示すように、アンビル5は、平面形状(不図示)が矩形の板状に形成されており、一方の端面である受面5Fが表面に現れるように、アンビルホルダ(anvil holder)6に嵌め込まれて支持されている。アンビル5は、ホーン2と同様に、溶着による摩耗を小さくする観点からチタン合金で形成されていると好適である。アンビル5は、その受面5Fがホーン2の発振面2F(発振面2Fa、2Fd)に対向する位置に配設されている。また、ホーン2及びアンビル5は、発振面2Fと受面5Fとが相対的に接近し離れる移動ができるように構成されている。本実施の形態では、アンビル5が固定され、ホーン2がアンビル5に対して接近及び離れる往復動ができるように構成されている。
なお、図3に示した溶着機1においては、ホーン2に一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するための突部(発振面2Fa)及び押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための突部(発振面2Fd)を設けるものとする一方で、アンビル5の受面5Fはフラット(平坦)であるものとして説明したが、他の実施の形態においては、これとは逆に、ホーン2の発振面2Fをフラット(平坦)に設けるものとする一方で、アンビル5の受面5Fに一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lcを溶着するための突部(受面)及び押さえ溶着部Ldを溶着するための突部(受面)を設けるものとするものとしてもよい。このように設ける場合には、超音波溶着工程において損耗度の高い消耗部品である一方で、耐磨耗性材料を加工して設けるために製作が困難であったホーン2の製作をより容易なものとすることができる。
続いて図4を参照して、本発明に係る他の実施の形態の溶着機1aについて説明する。図4は、本発明に係る他の実施の形態の溶着機1aを示す側面図である。図4においても、本発明に係る溶着機1aの構成を機能的にわかり易く図示するために、実際の寸法とは異なる寸法により形状を誇張して溶着機1aの図示をおこなっている。溶着機1aは、押さえ溶着部Ld(図2参照)の溶着面をローレット状に設けることができる溶着機である。溶着機1aは、上述の溶着機1(図3参照)と略同様の構成によるものであるが、押さえ溶着部Ldを形成するためのホーン2の発振面2Fdの構成のみにおいて異なっている。
図4に示す溶着機1aにおいては、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するためのホーン2の発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daと、押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddとの距離とは同一の距離に設けられている。その代わりに、押さえ溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdにはローレットが施されて設けられ、押さえ溶着部Ldの溶着面をローレット状に形成するように設けられている。ここで、ローレットが施されるとは、発振面2Fdに微細な凹凸形状が設けられることを指し、実際に工具としてのローレット(工具)を用いて加工がおこなわれる場合を含め、電極放電加工、レーザ加工等の任意の加工法を用いて発振面2Fdに凹凸形状を設けるものとすることができる。例えば、レーザ加工を用いて発振面2Fdに所定の間隔を隔てた多数のV字断面形状の平行溝を彫ることにより、発振面2Fdに台形の凸断面形状を有する凹凸形状を設けることができる。
図4に示す本実施の形態のように、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するためのホーン2の発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daと、押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddとの距離とを同一の距離に設ける場合には、ホーン2の発振面2F(発振面2Fa、2Fd)を面一に設けることができるため、ホーン2の製作上、好適である。
一方、他の実施の形態においては、さらに図4において破線で示すように、押さえ溶着部Ld(図2参照)の溶着をさらに剥がれ易い(弱い)溶着とするために、上述の溶着機1(図3参照)と同様に、押さえ溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddを一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するためのホーン2の発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daよりも大きい距離として設けるものとしてもよい。
また、さらに他の実施の形態においては、図4に示す押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddを一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するためのホーン2の発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daよりも逆に小さい距離として設けるものとしてもよい。このように設けることにより、押さえ溶着部Ldを溶着する発振面2Fdに施されるローレット(凹凸)の形状と溶着工程における超音波振動に伴う摩擦熱による線膨張の影響を受ける溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdからアンビル5の受面5Fまでの距離Ddとの溶着条件を相互に調整して所望の押さえ溶着部Ldの溶着力(溶着条件)を得ることができる。
例えば、図4に示す押さえ溶着部Ld(図2参照)を溶着するための発振面2Fdに施されるローレット(凹凸)の形状をより剥離の起点を多く有して剥がれ易い凹凸形状として設けることができる。一方で、押さえ溶着部Ldを溶着するための発振面2Fdからアンビル5までの距離Ddを一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)を溶着するためのホーン2の発振面2Faからアンビル5の受面5Fまでの距離Daよりも小さい距離として設けることもできる。この場合には、両溶着条件の設定が相殺されることとなる。このようにして、押さえ溶着部Ldの溶着力は自在に調整して設けることもできる。
なお、図4に示す本実施の形態においても、第2の実施の形態(図3参照)において示した構成と同様に、ホーン2をフラット(平坦)に設けるとともに、アンビル5に一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc及び押さえ溶着部Ldの溶着のための突部(受面)を設けるものとして、ホーン2の製作をより容易にすることもできる。
続いて図5を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る包装体製造装置100の構成を説明する。図5は、包装体製造装置100の概略構成図である。以下の説明において言及する溶着機1(溶着機1a)の詳細な構成及び溶着線Lについては、適宜図1乃至図4を参照することとする。包装体製造装置(packaging apparatus)100は、上述した溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)と、帯状フィルムFbに開封片Fpが溶着された小片付帯状フィルムとしての小片付フィルムFsを筒状フィルムFtに形成する筒状フィルム形成機としての筒状形成機(tube forming device)10と、筒状フィルムFtに内容物Cを充填する充填機(feeding device)30と、筒状フィルムFtに充填された内容物Cを所定量ごとに分離するしごき装置(wringer)40と、内容物Cが分離された部分の筒状フィルムFtに密封のための溶着をする横接合装置(horizontal sealing device)61と、内容物Cが充填された筒状フィルムFtの両端を結紮する結紮機としての集束接合装置(bundling ligating device)70と、連続して製造された包装体Rを個別に分離するために適所のフィルムを切断する切断装置(cutting device)としてのカッター81とを備えている。図5の紙面上の上下は実際の鉛直方向の上下に対応し、小片付フィルムFsは図中、上から下に流れるように走行する。すなわち、上が充填包装作業における小片付フィルムFsの走行方向の上流側、下が走行方向の下流側となる。
図5に示す帯状フィルムFbは、その幅が、製造される包装体R(図1参照)の軸直角断面における円周の長さよりも両側部が重なる分(筒状フィルムFtを形成するために重なる分)だけ長く形成されている。帯状フィルムFbの材質は、加熱溶着させるため塩化ビニリデン系樹脂とするのが好ましく、他のオレフィン系樹脂でもよい。開封片Fpの材質も、帯状フィルムFbの材質と同様に、塩化ビニリデン系樹脂とするのが好ましく、他のオレフィン系樹脂でもよい。帯状フィルムFbと開封片Fpとは、同じ材質であっても異なる材質であってもよい。ここで、塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体が好適である。帯状フィルムFbは、ロール状に巻かれ、原反21として回転自在に(帯状フィルムFbを引き出すことができるように)支持されている。開封片Fpは、溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)に隣接したカッター8で切断されて形成されるものであり、カッター8による切断前はロール状に巻かれて原反25として回転自在に(引き出すことができるように)支持されている。
図5に示す帯状フィルムFbの原反21と溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)との間には、原反21から引き出された帯状フィルムFbを溶着機1(溶着機1a)に導くガイドローラ22A、22B、22Cが設けられている。開封片Fpの原反25と溶着機1との間には、原反25から引き出された開封片Fpを溶着機1(溶着機1a)に導くガイドローラ26A、26B、26C、26Dが設けられている。帯状フィルムFbを案内するガイドローラ22A、・・・及び開封片Fpを案内するガイドローラ26A、・・・の数は、それぞれ原反21、25の設置位置やフィルムの張力等に応じて、適宜増減させてもよい。
図5に示す溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)は、ホーン2が上方に、アンビル5がホーン2の鉛直下方に位置するように配設されている。ホーン2及びアンビル5が設置される向きは、発振面2F(2Fa、2Fd)(図3、図4参照)が帯状フィルムFbの面に対向し且つ一本溶着線La(図1、図2参照)の長手方向が帯状フィルムFbの流れ方向に直交する向きにホーン2が設置され、ホーン2と協働して被溶着物Fjに溶着線Lを与えることができるようにアンビル5が設置されている。カッター8は、溶着機1(溶着機1a)に対して帯状フィルムFbの流れ方向上流側に隣接して設けられている。また、溶着機1(溶着機1a)及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpの送り速度に同期して移動しながら溶着を行い溶着後に再び溶着の初動作に戻る拝み運動(ボックスモーションともいう)をする移動手段(不図示)に取り付けられている。溶着機1(溶着機1a)へ、帯状フィルムFbがホーン2側に、開封片Fpがアンビル5側に(本実施の形態では帯状フィルムFbが上で開封片Fpがその下に)供給されるように、原反21、25及びガイドローラ22A、・・・、26A、・・・が配置されている。溶着機1(溶着機1a)と筒状形成機10との間には、溶着機1(溶着機1a)でできた小片付フィルムFsを筒状形成機10に導くガイドローラ29A、29B、29Cが設けられている。ガイドローラ29A、・・・の数は、溶着機1(溶着機1a)の設置位置や小片付フィルムFsの張力等に応じて、適宜増減させてもよい。
図5に示す筒状形成機10は、小片付フィルムFsを円筒状に巻く機構のフォーミングプレート(forming plate)11及び案内筒(guide tube)12と、小片付フィルムFsが筒状に巻かれて重ねられた両側部を接合する縦接合装置(vertical sealing device)13とを有している。フォーミングプレート11は、上下に開口する円筒形状を有している。また、周方向の一箇所で縦方向に延びる円周方向の隙間をもっている。フォーミングプレート11の上端縁は湾曲傾斜しており、小片付フィルムFsは、開封片Fpを外側にしてその内面に沿うように案内されることにより側縁部で重ね合わせられて筒状に巻かれる。案内筒12は、円筒状の部材であり、筒状に巻かれた小片付フィルムFsの内部に位置するように(換言すれば、筒状に巻かれた小片付フィルムFsが案内筒12を取り囲むように)、フォーミングプレート11内から下方に延びるように配設されている。縦接合装置13は案内筒12の脇に配設されており、縦接合装置13と案内筒12とで小片付フィルムFsの重ねられた両側部を挟圧して溶着することにより、小片付フィルムFsの両側部を縦接合して筒状フィルムFtを形成するように構成されている。縦接合装置13による溶着手段は超音波加熱溶着が好適であるが、これ以外にも抵抗加熱溶着、高周波誘電加熱溶着、レーザ加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いることができる。
図5に示す充填機30は、形成された筒状フィルムFtに内容物Cを充填するポンプ31とノズル32とを有している。ノズル32は、フォーミングプレート11の上方に設置されたポンプ31に接続され、先端が案内筒12内へ導入されている。ノズル32の先端は、縦接合装置13より下流側で開口している。なお、ポンプ31は、フォーミングプレート11の上方ではなく、内容物Cを適宜補充しやすい他の位置に設置し、配管によりノズル32と連接されていてもよい。特に、練状食品のように比較的重量のある内容物Cを充填する場合には、地上に設置された容器に貯留された練状食品を、ポンプによりノズル32の位置に圧送して供給するのがよい。案内筒12及びノズル32の下流側に、送り装置である送りローラ14が設けられている。送りローラ14では、筒状フィルムFt内に内容物Cが充填された状態の筒状体15aを、一対の円柱状の送りローラ14が内容物Cを押圧した状態で筒状体15aを下方へ連続して狭圧搬送する。筒状体15aが送りローラ14で下方へ搬送されるのに伴って、原反21から帯状フィルムFbが引き出され、原反25から開封片Fpが引き出されるように構成されている。
図5に示すしごき装置40は、送りローラ14の下流側に設けられている。しごき装置40のしごきローラ41は、図5において紙面に垂直方向に延びる筒状外面を有し、その直角方向の長さは少なくとも折り幅よりも長いものであり、腕体42により支持されている。なお、「折り幅」とは筒状体15aを扁平にしたときの幅、言い換えれば筒状体15aの円周長の半分の長さをいう。腕体42はその一端42aを中心に揺動可能で、中間部でピン等を介して横部材43が接続されている。一対の横部材43が近接方向に移動すると、一対のしごきローラ41により筒状体15aは挟圧される。横部材43が離間方向へ後退すると、しごきローラ41は筒状体15aを挟圧することはなくなる。このように、走行する筒状体15aに走行方向で所定の距離だけ離れて内容物Cの不在部15bを形成する。しごき装置40は、筒状体15aに内容物Cの不在部15bを扁平に形成できればよく、ローラに限られず、例えば、平らな部材で筒状体15aを両側から押しつぶし、内容物を上下に振り分けるようなものであってもよい。このような押しつぶしも、ここでいう「しごき」の概念に含まれるものとする。
図5に示す横接合装置61は、しごき装置40の下流側に設けられている。横接合装置61は、一次シールを行う装置であり、不在部15bの面の両側で互いに対向する超音波ホーン62とアンビル63を有している。アンビル63の、超音波ホーン62に対向する対向面は平坦である。一方、超音波ホーン62は、不在部15bの幅方向に延びる2つの平行な突起部62aを有している。このように構成された超音波ホーン62とアンビル63とは互いに近接し、超音波ホーンの2つの突起部62aがアンビル63の対向面との間で不在部15bを挟圧すると共に、超音波ホーン62が超音波エネルギを放出することにより、不在部15bに2つの位置X1、X2で線状の一次シールを施す。超音波ホーン62とアンビル63との対向面の形状は、上記に限られず、例えば、超音波ホーン62の対向面62aもアンビル63の対向面と同様に平坦な形状として、略不在部15bの長さと同等な幅の帯状の一次シールを施してもよい。なお、溶着手段としては超音波加熱溶着が好適であるが、これ以外にも抵抗加熱溶着、高周波誘電加熱溶着、レーザ加熱溶着、溶融樹脂滴吹付溶着、その他種々の溶着手段を用いてもよい。
図5に示す集束接合装置70は、横接合装置61の下流側に設けられている。集束接合装置70は、集束板72、73を有する集束装置と、超音波ホーン77とアンビル78とを有する二次シール装置とを含んで構成されている。図5では、横接合装置61と集束接合装置70とが同じ向きに記載されているが、実際は集束接合装置70は横接合装置61と直交する向き(図5の紙面に垂直方向)に配置される。超音波ホーン77及びアンビル78は、下方に連続搬送される筒状体15a及び不在部15bを挟むように対向して配設されている。超音波ホーン77は、上下に、超音波ホーン62の2つの突起部62aよりも狭い間隔を空けて2つの突起部77aが形成されている。超音波ホーン77は、その上下が集束板72で挟まれている。アンビル78は、その上下が集束板73で挟まれている。集束板72、73の組及び超音波ホーン77とアンビル78との組は、それぞれの組同士で互いに近接し次いで離れる往復動を、両組同時に又は別個に行うように構成されている。集束板72、73には、連続搬送される筒状体15a側の対向縁にV字状あるいはU字状の集束溝が形成されている。集束接合装置70は、不在部15bが流れてきたときに、対向する集束板72、73を近接させ、このとき左右の集束板72、73が重なり、それぞれの集束溝の底同士で不在部15bを集束し、その後超音波ホーン77の突起部77aとアンビル78の受部78aとで不在部15bを挟圧すると共に集束された不在部15bを溶着して、集束された不在部に2つの位置Y1、Y2で線状の二次シールを、2つの一次シールの間(X1とX2の間)に、施すように構成されている。本実施の形態では、一次シール及び二次シールが結紮手段となる。
カッター81は、アンビル78内の中程の位置に設けられている。カッター81は板状に形成されており、切断される不在部15bが存在する側に鋭利な刃部が設けられている。カッター81も、アンビル78と同様に、往復動をする。そこで、集束接合装置70及びカッター81は、共通の駆動装置(不図示)により駆動する構成とするのが、構成が単純化されて好ましい。ただし、集束板72、73が互いに近接し、超音波ホーン77とアンビル78とが不在部15bを挟圧した後に、カッター81がフィルムを切断する位置に動くような構成とすることが好ましい。また、横接合装置61、集束接合装置70及びカッター81は、筒状体15aが下方に送られるのと同じ速さで下方に移動しつつ、不在部15bを挟み込み一次シール及び二次シールを施し、切断した後、不在部15bを開放して上の位置に戻る、いわゆる「拝み運動(ボックスモーション)」をするのが好ましい。そこで、横接合装置61、集束接合装置70及びカッター81が、共通の上下に移動する架台(不図示)上に設置されると、構成が簡単になる。
続いて図1から図5までを参照して、溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)及び包装体製造装置100の作用を説明する。溶着機1(溶着機1a)の作用は、包装体製造装置100の作用の一貫として説明する。包装体製造装置100が以下に説明するように作用することで、包装体R(図1参照)が得られる。原反21は、後の工程で形成される筒状フィルムFtの軸直角断面における円周長よりも両側部が重なる分だけ長い幅を有する長尺の合成樹脂が用いられており、原反25は、開封片Fp(図1、図2参照)の長辺の距離(包装体Rの軸直角断面における円周方向の長さ)に相当する幅を有する長尺の合成樹脂が用いられている。原反25の幅は、製造された包装体Rのフィルムを開封しやすくする観点から、例えば原反21の幅の1/4〜1/3あるいは15〜30mmとなっており、本実施の形態では原反21の幅の2/7であって20mmとなっている。開封片Fpは、帯状フィルムFb(図1参照)よりも小さい。
図5に示す原反21から引き出された帯状フィルムFbは、ガイドローラ22A、22B、22Cで方向を変え、所定の張力がかけられてたわまないようにされたうえで溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)に導かれる。他方、原反25から引き出された開封片Fp(図1参照)は、ガイドローラ26A、26B、26C、26Dで方向を変え、所定の張力がかけられてたわまないようにされたうえで溶着機1(溶着機1a)に導かれる。溶着機1(溶着機1a)に導かれた帯状フィルムFb(図1参照)及び開封片Fpは、帯状フィルムFbが上方(ホーン2側)、開封片Fpが下方(アンビル5側)となる位置関係で、ホーン2とアンビル5との間に進入する。このとき溶着機1(溶着機1a)及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpの流れ方向最上流の位置で帯状フィルムFb及び開封片Fpの進入を待機している。
図5に示す帯状フィルムFb(図1参照)及び開封片Fp(図1参照)は、同じ速度でホーン2とアンビル5との間に進入する。開封片Fpがアンビル5に対して所定の位置まで進入すると、開封片Fpの位置がアンビル5に対して位置決めされてセットされ、開封片Fpがアンビル5に保持される。開封片Fpの保持は、例えば、アンビル5による負圧を用いた吸着によりおこなうことができる。開封片Fpがアンビル5に対して位置決めされる所定の位置は、包装体R(図1参照)となったときにその包装体Rの長手方向で見た開封片Fpの長さの半分の位置に、一本溶着線La(図1、図2参照)が形成される位置であり(図1、図2参照)、本実施の形態では、包装体Rの長手方向で見た開封片Fpの先端から4〜5mmの位置に一本溶着線Laが形成される位置である。開封片Fpが溶着機1(溶着機1a)にセットされる直前から、溶着機1及びカッター8は、帯状フィルムFb及び開封片Fpと同じ方向に同じ速度で動き出す(横移動)。そして、溶着機1(溶着機1a)は横移動しながらホーン2とアンビル5とで帯状フィルムFb及び開封片Fpを挟圧して超音波加熱溶着をし、カッター8は横移動しながら開封片Fpを所定の位置(一本溶着線Laが開封片Fpの流れ方向中央となる位置)で切断する。開封片Fpが切断されたら、開封片Fpの保持を解除して、開封片Fpがアンビル5から離れることができるようにする。
図5に示す帯状フィルムFb及び開封片Fpの溶着が行われる際、一本溶着線La、誘導溶着線Lb並びに固定溶着線Lc(図1、図2参照)は溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)により強い溶着力で溶着される。一方、押さえ溶着部Ld(図2参照)は溶着機1(溶着機1a)により比較的剥がれ易い(弱い)溶着力で溶着される。また、一本溶着線Laと押さえ溶着部Ldとは相対的に位置ずれして溶着されることがない(図3、図4参照)。このため、開封片Fp付きの包装体Rとなったときには、輸送段階においてピンホールを生じることがなく、開封時において開封し易く、開封の失敗を生じることがない包装体Rを製造することができる。なお、一本溶着線Laが形成される際には、発振面2F(2Fa、2Fd)の中央部分における振動圧力を基準である1と換算した場合に、開封片Fpをめくったときの包装体Rの開封を成功させる確率を向上させる観点から、一本溶着線Laの端部Laeを形成する部分における振動圧力が0.8以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい(上限はいずれも基準である1以下になる)。これは確実に開封をおこなうことができるために強固に一本溶着線Laを溶着するための配慮である。他方、押さえ溶着部Ldは一本溶着線Laと比較して剥がれ易い(弱い)溶着力により溶着されることとなる。上述のようにして、帯状フィルムFbに開封片Fpが溶着された小片付フィルムFsが形成される(小片溶着工程)。
図5に示す溶着機1(溶着機1a)(図3、図4参照)で、帯状フィルムFb(図1参照)に開封片Fp(図1参照)が溶着されて得られた小片付フィルムFsは、ガイドローラ29A、29B、29Cを通過してフォーミングプレート11に到達する。フォーミングプレート11に到達した小片付フィルムFsは、フォーミングプレート11の上端縁に形成された湾曲傾斜を介して円筒状の内部に引き込まれ、両側部が重ねられて筒状に巻かれる。筒状に巻かれた小片付フィルムFsは、その形態を維持してフォーミングプレート11の下方に位置する案内筒12に送られる。筒状に巻かれた小片付フィルムFsが案内筒12に沿って下方に送られる際、縦接合装置13によって小片付フィルムFsの両側部が長手方向に沿って溶着される。筒状に巻かれた小片付フィルムFsの両側部が溶着されることにより、筒状フィルムFt(図1参照)が形成される(筒状フィルム形成工程)。
図5に示す縦接合装置13で溶着されて筒状フィルムFt(図1参照)が形成されると、この筒状フィルムFt内にポンプ31からノズル32を経て内容物C(図1参照)が充填される(充填工程)。筒状フィルムFtに内容物Cが充填されて生成された筒状体15aは、送りローラ14によって下流側へ搬送される。一対の送りローラ14は、筒状体15aを局部的に押しつぶすように狭圧して搬送するが、押しつぶされた筒状体15aは、送りローラ14の位置を通過した後は内容物Cによる内圧により元の筒形に復帰する。その後、筒状体15aは、送りローラ14の下流側で一対のしごきローラ41により間欠的に所定の長さにわたり狭圧され、筒状フィルムFtの重ねられた両側部が片面に収まるように扁平にされて、内容物Cのない不在部15bが所定の間隔をもって形成される。
図5に示す筒状体15aは順次しごき装置40の下流に送られ、形成された不在部15bが横接合装置61に至ると、超音波ホーン62の2つの突起部62aとアンビル63との間に不在部15bが挟まれ、超音波ホーン62から超音波エネルギが放出されて、不在部15bに対して2つの線状の一次シールが施される(一次シール工程)。続いて、一次シールが施された不在部15bは、下流に送られ、集束接合装置70の位置に達する。集束接合装置70において、まず、しごき装置40で形成された不在部15bは、対向する集束板72、73により集束溝の溝底に、細く集束される(集束工程)。次に、集束された不在部15bを、二次シール装置の超音波ホーン77の2つの突起部77aとアンビル78の対向面で挟み込み、2つの位置Y1、Y2で二次シールが施される(二次シール工程)。本実施の形態では、一次シール工程と集束工程と二次シール工程とで、結紮工程を構成している。そして、二次シールが施された直後に、カッター81によって、フィルムは2つの二次シールの間で切断される(切断工程)。このように、シールの間で切断されることにより、1個ずつの開封片Fp付き包装体R(図1参照)となる。この開封片Fp付き包装体Rは、包装体製造装置100から取り出され、次の工程に供給される。
以上の説明では、図5に示す包装体製造装置100が横接合装置61を備えることとしたが、集束接合装置70による集束後のシールで包装体R(図1参照)の密封性が充足する場合は、横接合装置61を省略してもよい。包装体製造装置100は、横接合装置61をオプションとして組み込みの有無を適宜決定できる構成とするとよい。横接合装置61が省略される場合は、典型的には、しごき装置40の下流側次段に集束接合装置70が設けられる。