JP5534735B2 - 覆工コンクリートの養生装置及びそれを用いた覆工コンクリートの養生方法 - Google Patents

覆工コンクリートの養生装置及びそれを用いた覆工コンクリートの養生方法 Download PDF

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Description

本発明は、トンネル覆工用の場所打ちコンクリートの養生装置及びそれを用いた覆工コンクリートの養生方法に関する。
一般に、トンネルの内壁面を覆う場所打ちの覆工コンクリートは、スライドセントルなどと称される移動型の型枠を設置し、打設、脱型、移動、設置を繰り返して仕上げるようにしている。
従来、打設後の脱型は、初期強度の得られる時間が経過した後に行われ、その後は養生を行うことなくトンネル坑内の雰囲気に解放されていたが、現在では覆工コンクリート打設後に養生を行って品質向上を図るようになっている。
例えば、シールドトンネルにおいては、通風防止締め切り方式と、散水養生方式とが知られている。
通風防止締め切り方式は、養生区間の前後をシート等で締め切り、通風を防ぐことでひび割れ発生等を防止するようにしているが、効果を定量化することが難しく、また、坑内が高温、多湿となり作業空間として好ましくないものである。
散水養生方式は、定期的または連続的に散水し、コンクリート表面を湿潤状態に保つことで、ひび割れ発生等を防止するものであるが、排水処理に手間がかかり、また、散水が滞ると、コンクリート表面が乾湿を繰り返すことになり、ひび割れ防止の観点から逆効果の場合がある。
また、山岳トンネルにおいては、主に、密閉方式と、密着方式とに分類される。
密閉方式は、特許文献1に示すように、覆工コンクリート表面から一定の間隔をおいて断熱性・気密性を有するシートを保持し、このシートと覆工コンクリート表面とで囲まれる空間を密閉化し、この密閉空間を超音波加湿器等の加湿器や加温機を用いて積極的に加湿・加温するようにしている。
密着方式は、特許文献2に示すように、断熱性・気密性を有する密着シートを、例えば、アーチ状に膨らむバルーンによって、覆工コンクリート表面に密着させ、覆工コンクリートの自己保有水、反応熱を逃がさないようにして、覆工コンクリートの硬化反応を促進するようにしている。
特開2000−73696号公報 特開2005−299323号公報
前述の特許文献1の場合にあっては、トンネルの断面が大きいと、上下で温度差が大きくなり、積極的に加湿・加温しても湿度・温度の均一化を図ることができない。
また、底部の密閉性保持が困難で、密閉空間内に外気が流入すると、シートの断熱性が低下することなどにより、覆工コンクリート表面に結露が生じ、覆工コンクリート表面を大量のドレインが流下して、覆工コンクリート表面の温度むらが大きくなる。
さらには、断熱性・気密性を有する密閉空間を作るため大がかりなシート構造を構築する必要があり、加湿器や加温機を懸架するために大がかりで丈夫な専用の鋼製架台が必要となり、設置、・解体・移動・再設置に時間がかかり、製造コストも嵩む。
そしてさらには、トンネルの断面プロフィール寸法は施工現場ごとに異なり転用性に乏しく、加湿・加温のためのランニングコストも嵩む事となる。
また、前述の特許文献2の場合にあっては、トンネル延長方向において支持されないバルーンの部分は垂れ下がりやすく、特に、天端に位置する部分が下方に垂れ下がりやすく、均一に支持するためには、バルーン自体や密着シートの荷重を加えた大きな荷重を坑内側から支持する大がかりな鋼製架台が必要になり、設置、・解体・移動・再設置に時間がかかり、製造コストも嵩む。
また、密着シート、バルーン、鋼製架台等は、他の施工現場への転用が困難で、トンネル断面プロフィールごとに製作する必要があるため、コストが嵩む。
さらに、バルーンの膨張、自然収縮には時間がかかり、バルーンの収縮、移動、再密着に相当の時間を要し、その間、覆工コンクリート表面が坑内環境に曝露されるため、覆工コンクリートの性能に影響が生じる。
そしてさらに、停電等によって、バルーンに空気を注入するブロア等が停止すると、バルーンが収縮してしまい、密着性が損なわれる。
本発明の目的は、養生性能に優れ、組み立て性がよく、コストの増加を抑える事ができる覆工コンクリートの養生装置及びそれを用いた覆工コンクリートの養生方法を提供することにある。
(1)前記目的を達成するため、本発明の覆工コンクリートの養生装置は、トンネル覆工用の場所打ちコンクリートの養生を行う覆工コンクリートの養生装置であって、
前記覆工コンクリートの内壁面に密着可能にされた養生シートと、
前記養生シートの坑内側に配置されて前記養生シートを前記覆工コンクリートの内壁面に密着させた状態で維持する養生支保板と、
前記養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付け状態で維持する支保材とを有し、
前記養生シートは、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シートと、断熱部材からなる保温シートとからなり、前記保湿シートと前記保温シートとは、積層状態に直接、接着一体化さ
前記支保材は、第1の支保材と第2の支保材とを有し、
前記第1の支保材は、前記覆工コンクリートの内壁面に沿って設けられるリング状に形成され、弾性反力により前記養生支保板を前記覆工コンクリートの内壁面に押し付け可能とされ、
前記第2の支保材は、前記第1の支保材を内側から支持して形状を保持可能に三角形状に組まれてなることを特徴とする。
本発明によれば、養生シートとして、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シートと、断熱部材からなる保温シートとからなり、前記保湿シートと前記保温シートとは、積層状態に直接、接着一体化されたものを用いることにより、縫製加工等の必要がなく、製造が簡便であるとともに、取り扱い性に優れ、水平面だけでなく、鉛直面への施工作業も簡便であり、養生シートとしての保湿、保温機能等を良好に発揮することができ、養生性能に優れたものとすることができる。
また、養生シートに板状の養生支保板を背面材として用い、これらを支保材にて覆工コンクリートの内壁面側に押し付け保持するだけなので、組み立て性がよく、設置、再設置が簡単に行うことができ、しかも、大がかりな構造が不要となり、軽量で、コストの増加を抑えることができる。
(2)本発明においては、(1)において、
前記養生支保板は、エキスパンドメタル、パンチングメタル及びプラスチック段ボールの少なくともいずれかを用いることができる。
このような構成とすることにより、軽量で、かつ、安価で、曲面への追従が良好なものとすることができる。
(3)本発明においては、(1)または(2)において、
前記第1の支保材は、FRP製のロッドをトンネルの周方向に沿って曲折させ、その弾性反力にて前記養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付け可能とすることができる。
このような構成とすることにより、第1の支保材としてFRP性のロッドを用いることで、軽量、かつ、コスト削減を図ることができ、しかも、弾力性を有することで、トンネルの曲面に容易に追従させることができ、しかも、その弾性反力にて養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付けることができる。
(4)本発明の覆工コンクリートの養生方法は、(1)〜(3)のいずれかに記載の覆工コンクリートの養生装置を用いた覆工コンクリートの養生方法であって、
複数枚に分割された前記板状の養生支保板の外側面に同様に分割された前記養生シートを取り付ける工程と、
分割状態の養生シート及び養生支保板を前記工コンクリートの内面に接触させて下側から連結して設置する工程と、
前記養生シート及び養生支保板を前記養生シートの設置に伴って、分割された支保材を前記養生支保板に連結し、支保材によって前記養生支保板を前記覆工コンクリートの内壁面側に押圧する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、背当て板となる養生支保板に養生シートを取り付け、この養生シートを覆工コンクリートの内面に接触させて下側から連結して設置し、それに伴って、支保材を養生支保板に連結し、支保材によって養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押圧することで、簡単かつ確実に養生シートを覆工コンクリートの内壁面に密着させて、保湿、保温を確実に行って良好な養生を行うことができる。
また、組み立ても簡単で、設置、再設置を短時間で行うことができる。
本発明の養生方法は、特に、シールドトンネルの覆工コンクリートの養生に用いるに最適となる。
(5)本発明の他の覆工コンクリートの養生方法は、(1)〜(3)のいずれかに記載の覆工コンクリートの養生装置を用いた覆工コンクリートの養生方法であって、
前記トンネルの側部及び上部の内面形状に沿うように組み上げた支保材外面側に前記養生支保板及び養生シートを取り付ける工程と、
前記組み上げた支保材と養生支保板及び養生シートを下降かつ収縮させた状態で、養生位置まで搬送する工程と、
下降状態にある前記支保材を二次覆工コンクリートの天端まで上昇させる工程と、
収縮状態にある前記支保材を拡張させて前記養生シートを覆工コンクリートの内壁面に所定の押圧力で接触させる工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、トンネルの側部及び上部の内面形状に沿うように組み上げた支保材外面側に養生支保板及び養生シートを取り付け、支保材と養生支保板及び養生シートを下降かつ収縮させた状態で、養生位置まで搬送し、支保材を覆工コンクリートの天端まで上昇させ、支保材を拡張させて養生シートを覆工コンクリートの内壁面に所定の押圧力で接触させれば、簡単かつ確実に覆工コンクリートの保湿、保温を確実に行って良好な養生を確実に行うことができる。
また、組み立ても簡単で、設置、再設置を短時間で行うことができる。
本発明の養生方法は、特に、山岳トンネルの覆工コンクリートの養生に用いるに最適となる。
本発明の一実施の形態にかかるシールドトンネル二次覆工コンクリートの養生装置を示す断面図である。 図1の側方から見た断面図である。 図1の養生シートの断面図である。 他の養生シートの断面図である。 さらに他の養生シートの断面図である。 さらに他の養生シートの断面図である。 養生シート及び養生支保板の部分拡大斜視図である。 本実施の形態にかかる二次覆工コンクリートの養生装置を用いた覆工コンクリートの養生方法の初期工程を示す断面図である。 図8の状態から次の工程を示す断面図である。 本発明の他の実施の形態にかかる山岳トンネル覆工コンクリートの養生装置を示す断面図である。 図10における養生シートと養生支保板と支保材との関係を示す部分拡大断面図である。 支保材の部分拡大断面図である。 図10の昇降装置の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図9は、本発明の一実施の形態にかかるシールドトンネル二次覆工コンクリートの養生装置を示す図である。
図1は、本実施の形態におけるシールドトンネル二次覆工コンクリートの養生装置を示す断面図、図2は、その側方から見た断面図で、この二次覆工コンクリートの養生装置10は、シールドトンネル12の場所打ちの二次覆工コンクリート14の養生を行うもので、養生シート16と、養生支保板18と、支保材20とを有している。
養生シート16は、二次覆工コンクリート14の内壁面14Aに密着可能にされるもので、図3〜6に示すとおり、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シート22と、断熱部材からなる保温シート24とを備えてなる。
保湿シート22と保温シート24とは、積層状態に直接、接着一体化されてなる。
保湿シート22と保温シート24は、それぞれ均一な厚みに形成され、養生シート16も全体として均一な厚みを有している。
通常、保湿シート22と保温シート24の面同士が互いに全面にわたって接着一体化される。
また、接着は、接着剤を用いて接着するほか、接着剤を用いない熱溶着その他の溶着により行うことがより好ましい。
熱ラミネーションによる積層一体化は好ましい一態様である。
養生シート16は、例えば、幅45cm〜1m程度の長尺物としてロール状に巻回されて流通する。
保湿シート22は、水を湿潤状態に保持可能なシート状物である。
その機能水準としては、養生中コンクリート表面の相対温度が800%以上で7日間程度保持されるものが望ましい。
保温シート24と接着可能に形成されたものを用いる。
保湿シート22は、単数層、複数層のいずれによって構成されていてもよい。
保湿シート22としては、合成繊維不織布・織布や、これを基材シートとして高分子吸収体を固定したもの、又は繊維に一体化したものを用いることができる。
前記不織布としては、ポリエステル又はアクリル・レーヨン不織布などを用いることができる。
前記高分子吸収体としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系などが挙げられる。
ポリアクリル酸ナトリウムは、自重の400倍の吸水性能を有しており、従来の湿潤養生マットが構成材料自体に保水性がなく、保水層の空隙中に保水するのに対して、水を取り込み、取り込まれた水は圧力や重力によって排出されにくく、時間経過と共に徐々に緩やかに放散されるため、好適である。
また、前記基材シートには、保温シート24と接着される側の面に非通水性のシートを形成し、非通水性のシートと不織布又は織布との積層体からなるシートとして用いることができる。
非通水性のシートには、ポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルム、その他種々のメンブレンを用いることができる。
このような構成とすることにより、後に接着一体化される保温シート24への保湿シート22からの水分の浸透を防止できるとともに、保温シート24と同類の素材を使用することにより、接着一体化の際のバインダーの役割を果たすことができる等の利点がある。
保湿シート22の厚みは限定されないが、好ましくは1〜3mm程度である。
保温シート24を形成する断熱部材は、上記保湿シート22と直接、接着可能なものであり、コンクリート養生において必要な所定の保温、断熱性能を備えたものである。
保温、断熱性能としては、理論値として、熱伝導率で0.020〜0.055W/(m・K)、熱伝達率で0.5〜3.5W/(m2・K)である。
保温シート24を形成する断熱部材としては、ロール状に巻回することの可能な柔軟性を有する、軟質樹脂発泡体を用いることができる。
軟質樹脂発泡体としては、独立気泡構造のものが好適に用いられる。
例えば、軟質な独立気泡構造の発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ウレタン
等が挙げられる。
中でも、低熱伝導率(例えば、0.030〜0.045W/(m・K))で、クッション性、耐水性、耐久性等が良好である点で、発泡ポリエチレンが好ましく用いられる。
軟質樹脂発泡体の発泡倍率は、通常10〜50程度、好ましくは30〜50である。
保温シート24の厚みは限定されないが、好ましくは10〜50mm程度である。
図4は、保温シート24が、発泡倍率の異なる軟質樹脂発泡体の2層からなり、保湿シート側の層26を高発泡倍率とし、他の層28を保湿シート側の層26よりも低発泡倍率の層とした例を示す。
例えば、保湿シート側の層26を41〜50の発泡倍率、他の層28を30〜40の発泡倍率とした、発泡ポリエチレン等が好ましい一例として挙げられる。
図5は、保温シート24の外表面に、耐水性を有する熱反射層30を設けた例を示すものである。熱反射層30は、厚み7〜20μm程度のアルミ蒸着材又はアルミ箔が望ましい。アルミ箔は物理的に損傷しやすいため、又アルカリ水で溶出するため、ポリエステル、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムで外面が被覆されているフィルムないしシートが望ましい。
熱反射層30は、ラミネーション、接着剤等で、保温シート24の外表面に適宜手段で積層一体化することができる。
本発明に係る養生シート16のコンクリート表面への設置は、保湿シート22側をコンクリートの表面に当てて行えばよい。
なお、図6に示すように、保湿シート22と保温シート24とを、例えばシートの幅方向に互いにずらして接着一体化してもよく、このように形成すれば、施工時に、隣接する養生シート1の間で、保湿シート22の端面同士が突き当たる部分が、保温シート24で覆われるとともに、全体として平滑な設置面を形成することができる。
養生支保板18は、養生シート16の坑内側に配置されて、養生シート16を二次覆工コンクリート14の内壁面に密着させた状態で維持するもので、二次覆工コンクリート14の内壁面の形状に追従しうる板状のものとされている。
本実施の形態においては、養生支保板18は、図7に示すように、所定間隔でシールドトンネルの軸方向に沿ってリブ32を配設したエキスパンドメタル34を用いるようにしている。
養生支保板18としては、エキスパンドメタル34の他、パンチングメタルやプラスチック段ボールなどの軽量、かつ、安価で、二次覆工コンクリート14の内壁面の形状に追従しうる板状のものを採用することができる。
この養生支保板18と養生シート16とは、接着剤、ねじ等の固定手段にて予め一体化するようにしており、この一体化した養生支保板18及び養生シート16を二次覆工コンクリート14の内壁面に沿って複数組用いるようにしている。
また、各組の連結は、養生支保板18のリブ32同士をボルト・ナット等の連結手段にて連結するようにしている。
支保材20は、養生支保板18を二次覆工コンクリート14の内壁面側に押し付け状態で維持するもので、第1の支保材36と第2の支保材38とを有する。
第1の支保材36は、養生支保板18を直接二次覆工コンクリート14の内壁面側に押し付けるもので、二次覆工コンクリート14の内壁面に沿って、周方向に棒状材が複数本、例えば5本連結されてリング状に形成され、このリング状の第1の支保材36がシールドトンネル12の軸方向に所定間隔で、複数、例えば3個設けられるようになっている。
各棒状材は、各端部で連結部材を用いて連結されるようになっている。
第1の支保材36としては、鉄筋その他を用いることができるが、本実施の形態では、FRP製のロッドを用い、このロッドをシールドトンネル12の周方向に沿って曲折させ、その弾性反力にて養生支保板18を二次覆工コンクリート14の内壁面側に押し付けるようにしており、その結果、軽量、かつ、コスト削減を図ることができ、しかも、弾力性を有することで、トンネルの曲面に容易に追従させることができ、しかも、その弾性反力にて養生支保板を二次覆工コンクリート14の内壁面側に押し付けることができるようになっている。
また、3個のリング状の第1の支保材36は、シールドトンネル12の軸方向に沿う連結ロッド40により、シールドトンネル12の周方向で所定間隔をおいて複数箇所で連結されるようになっている。
第2の支保材38は、第1の支保材36を内側から支持して、全体の形状を保持するもので、複数本、例えば3本のサポート部材42を三角形に組んだものを、シールドトンネル12の軸方向で2カ所用いるようにしている。
三角形のサポート部材42は、シールドトンネル12の底部側を底辺とし、天端を頂点とする正三角形を構成するようになっており、底辺に位置する2本のサポート部材42間には、床版44(図8、図9参照)が掛け渡され、床版44上を通行できるようになっている。
この第2の支保材38は、サポート部材42に限らず、単管その他の材料を用いることも可能であり、また、第2の支保材38の形状も三角形に限らず、種々の多角形状とすることも可能である。
このように、養生シート16として、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シート22と、断熱部材からなる保温シート24とからなり、保湿シート22と保温シート24とは、積層状態に直接、接着一体化されたものを用いることにより、縫製加工等の必要がなく、製造が簡便であるとともに、取り扱い性に優れ、水平面だけでなく、鉛直面への施工作業も簡便であり、養生シートとしての保湿、保温機能等を良好に発揮することができ、養生性能に優れたものとすることができる。
また、養生シート16に養生支保板18を背面材として用い、これらを支保材20にて二次覆工コンクリート14の内壁面側に押し付け保持するだけなので、組み立て性がよく、設置、再設置が簡単に行うことができ、しかも、大がかりな構造が不要となり、軽量で、コストの増加を抑えることができる。
さらに、第2の支保材38を3本のサポート部材42により三角形状にすることで、シールドトンネル12の狭小作業空間での設置作業を可能にし、支保設置後も養生空間の通行が可能となり、後工程に影響を及ぼすことがなく、しかも、養生空間を締め切ることがないので、シールドトンネル12内が高温、多湿にならず、長期の養生が可能となる。
次に、本実施の形態における二次覆工コンクリートの養生装置10を用いた覆工コンクリートの養生方法について、図1、図8、図9を中心に説明する。
本実施の形態においては、下段、中段、上段と下側から養生装置を組み立てていくようになっており、まず、下段の組み立てにおいては、図8に示すように、シールドトンネル12の断面寸法にあわせて複数枚、例えば5枚に分割された板状の養生支保板18の外側面に、同様に分割された養生シート16を取り付けて一体化する。
次に、一体化された分割状態の養生シート16及び養生支保板18を、養生シート16を二次覆工コンクリート14の内壁面に接触させて底辺部に複数、例えば片側3枚ずつ計6枚設置する。
この場合、中央部の2枚の一体化された分割状態の養生シート16及び養生支保板18間に誤差調整用として間隔Sを開けておく。
次いで、養生シート16及び養生支保板18の設置に伴って、分割された第1の支保材36用のFRP製のロッドを養生支保板18に軸方向で複数箇所、例えば3カ所連結し、かつ、これらのFRP製のロッドを連結ロッド40で連結する。
この場合、誤差吸収用の間隔S部分は、補助押さえ材46にてFRP製のロッド同士を連結しておく。
次に、同じ高さ位置の2本の連結ロッド40間に、三角形の底辺に位置するサポート部材42を2本掛け渡して固定する。
次いで、2本のサポート部材42間に複数枚の床版44を掛け渡して固定する。
この状態で、床版44上を通行でき、かつ、作業足場としても活用することができる。
次に、中段の組み立てにはいる。
この場合、図9に示すように、シールドトンネル12の両側部位置で、下段の最上部の養生シート16及び養生支保板18に続いて、例えばそれぞれ3枚ずつ一体化された養生シート16及び養生支保板18を自立状態で設置して連結する。
次いで、下段の場合と同様に、第1の支保材36を構成するFRP製のロッド、連結ロッド40を取り付ける。
この場合、中段のFRP製のロッドは、下段のFRP製のロッドと連結する。
次に、中段の頂部に位置する2本の連結ロッド40間にサポート部材42を水平に掛け渡して固定し、仮止めをしておく。
そして、上段の組み立てに際しては、予め一体化された複数、例えば4枚の養生シート16及び養生支保板18と、第1の支保材36を構成するFRP製のロッドと、連結ロッド40とを陸組みして、上段部に設置し、中段及び上段の養生シート16及び養生支保板18同士、FRP製のロッド同士を連結する。
この状態で、養生シート16及び養生支保板18と、第1の支保材の構築が終了する。
次いで、仮止め用の水平状態のサポート部材42を外し、2本のサポート部材42にて底辺部のサポート部材42の両端部位置と、頂部位置の連結ロッド40とを連結することで、第2の支保材38の構築が終了して、図1に示す状態となる。
これによって、第1の支保材36がその弾性反力によって養生支保板18及び養生シート16を二次覆工コンクリート14の内壁面側に押圧することができる。
このように、背当て板となる養生支保板18に養生シート16を取り付け、この養生シート16を二次覆工コンクリート14の内面に接触させて下側から順次連結して設置し、それに伴って、第1の支保材36を養生支保板18に連結し、第1の支保材36によって養生支保板18を二次覆工コンクリート14の内壁面側に押圧し、かつ、第2の支保材38にて全体形状を保持することで、簡単かつ確実に養生シートを覆工コンクリートの内壁面に密着させて、保湿、保温を確実に行って良好な養生を行うことができる。
また、組み立ても簡単で、設置、再設置を短時間で行うことができる。
図10〜図13は、本発明の他の実施の形態にかかる山岳トンネル覆工コンクリートの養生装置を示す図である。
図10は、本実施の形態にかかる覆工コンクリートの養生装置を示す全体概略図、図11は、その要部の拡大断面図で、この覆工コンクリートの養生装置50は、山岳トンネル52の場所打ちの覆工コンクリート54の養生を行うもので、養生シート16(図2参照)と、養生支保板56(図2参照)と、支保材58(図1参照)とを有している。
養生シート16は、覆工コンクリート54の内壁面に密着可能にされるもので、その構成は前述の実施の形態におけるものと同様につき説明を省略する。
養生支保板56は、養生シート16の坑内側に配置されて、養生シート16を覆工コンクリート54の内壁面に密着させた状態で維持するもので、覆工コンクリート54の内壁面の形状に追従しうる板状のものとされている。
本実施の形態においては、養生支保板56は、プラスチック段ボールを用いるようにしている。
養生支保板18としては、プラスチック段ボールの他、パンチングメタルやエキスパンドメタルなどの軽量、かつ、安価で、覆工コンクリート54の内壁面の形状に追従しうる板状のものを採用することができる。
この養生支保板56と養生シート16とは、接着剤、ボルト・ナット等の固定手段にて予め一体化するようにしており、この一体化した養生支保板56及び養生シート16を覆工コンクリート54の内壁面に沿って複数組用いるようにしている。
また、各組の連結は、図11に示すように、養生支保板56同士を粘着テープ60等の連結手段にて連結するようにしている。
支保材58は、養生支保板56を覆工コンクリート54の内壁面側に押し付け状態で維持するもので、第1の支保材62と第2の支保材64とを有する。
第1の支保材62は、養生支保板56を直接覆工コンクリート54の内壁面側に押し付けるもので、覆工コンクリート54の内壁面に沿って、周方向に沿ってメインフレーム66が複数本、山岳トンネル12の軸方向に所定間隔で設けられるようになっている。
また、各メインフレーム66は、図11に示すように、固定サドル等を用いて養生支保板56及び養生シート16にリベット等にて固定されるようになっている。
なお、メインフレーム66の両下端部は、床面68から距離をおいて設置され、かつ、フリーな状態とされている。
また、メインフレーム66の端部位置から床面68にかけては、脚部養生シート70が設けられるようになっている。
メインフレーム66としては、鋼材その他を用いることができるが、本実施の形態では、FRP製のロッドを用い、このロッドを山岳トンネル52の周方向に沿って曲折させ、その弾性反力にて養生支保板56を覆工コンクリート54の内壁面側に押し付けるようにしており、その結果、軽量、かつ、コスト削減を図ることができ、しかも、弾力性を有することで、トンネルの曲線に容易に追従させることができ、しかも、その弾性反力にて養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付けることができるようになっている。
また、複数のメインフレーム66は、山岳トンネル52の軸方向に沿う鋼材72により、山岳トンネル52の周方向で所定間隔をおいて複数箇所で連結されるようになっている。
メインフレーム66と鋼材72とは、図12に示すように、バインド線等の固定用材料86にて連結されるようになっている。
第2の支保材64は、第1の支保材62を内側から支持して、全体の形状を保持するもので、風管74の下部位置で、両側部の鋼材72に水平に掛け渡した水平支保材76を山岳トンネル52の軸方向に複数本設けられるとともに、各水平支保材76から頂部位置の鋼材72に向けて斜めに配設された斜支保材78が水平支保材76及び各頂部位置の鋼材72に連結固定されるようになっている。
また、各水平支保材76及び斜支保材78の端部は、山岳トンネル52の両側部付近に垂直に立設した複数本の支柱80に連結、固定されている。
各支柱80の下端は、図13にも示すように、エアジャッキ等の昇降手段82に支持され、各昇降手段82の下端には、走行キャスター84が設けられている。
また、支柱80対応位置の床面68には、山岳トンネル52の軸方向に沿って、走行レール88が配設され、この走行レール88上を走行キャスター84が走行できるようになっている。
また、この覆工コンクリートの養生装置50では、養生シート16間に図示せぬ湿潤水チューブを取り付けて、覆工コンクリート54の表面に湿潤水を供給するようにしてもよい。
次に、この山岳トンネル覆工コンクリートの養生装置50を用いた覆工コンクリートの養生方法について説明する。
まず、走行可能、かつ、昇降可能に立設した支柱80上に第2の支保材64を組み上げ、この第2の支保材64に山岳トンネル52の側部及び上部の内面形状に沿うように第1の支保材62を組み上げる。
次いで、この第1の支保材62の外面側に養生支保板56及び養生シート16を取り付ける。
次に、組み上げた支保材58と養生支保板56及び養生シート16を昇降手段82により下降させ、かつ、メインフレーム66の下端部を内側に曲折させて収縮させた状態で、養生位置まで搬送する。
次いで、下降状態にある支保材58を昇降手段82により、覆工コンクリート54の天端まで上昇させる。
次に、収縮状態にあるメインフレーム66の両端部を解放して、両端部を拡張させて養生シート16を覆工コンクリート54の内壁面に所定の押圧力で接触させれば、養生開始状態となる。
このように、山岳トンネル52の側部及び上部の内面形状に沿うように組み上げた支保材58の第1の支保材62の外面側に養生支保板56及び養生シート16を取り付け、支保材58と養生支保板56及び養生シート16を下降かつ収縮させた状態で、養生位置まで搬送し、支保材58を覆工コンクリート54の天端まで上昇させ、第1の支保材62の両端部を拡張させて養生シート16を覆工コンクリート54の内壁面に所定の押圧力で接触させれば、簡単かつ確実に覆工コンクリート54の保湿、保温を確実に行って良好な養生を確実に行うことができる。
また、組み立ても簡単で、設置、再設置を短時間で行うことができる。
本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、種々の形態に変形可能である。
例えば、支保材、特に第2の支保材の構造は、前記実施の形態に限定されることなく、
種々の材料、形状、構造のものを用いることが可能である。
10 シールドトンネル二次覆工コンクリートの養生装置
12 シールドトンネル
14 二次覆工コンクリート
16 養生シート
18、56 養生支保板
20、58 支保材
22 保湿シート
24 保温シート
34 エキスパンドメタル
36、62 第1の支保材
38、64 第2の支保材
50 山岳トンネル覆工コンクリートの養生装置
52 山岳トンネル
54 覆工コンクリート
66 メインフレーム
80 支柱
82 昇降手段
84 走行キャスタ
88 バインド線等の固定用材料

Claims (5)

  1. トンネル覆工用の場所打ちコンクリートの養生を行う覆工コンクリートの養生装置であって、
    前記覆工コンクリートの内壁面に密着可能にされた養生シートと、
    前記養生シートの坑内側に配置されて前記養生シートを前記覆工コンクリートの内壁面に密着させた状態で維持する養生支保板と、
    前記養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付け状態で維持する支保材とを有し、
    前記養生シートは、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シートと、断熱部材からなる保温シートとからなり、前記保湿シートと前記保温シートとは、積層状態に直接、接着一体化され、
    前記支保材は、第1の支保材と第2の支保材とを有し、
    前記第1の支保材は、前記覆工コンクリートの内壁面に沿って設けられるリング状に形成され、弾性反力により前記養生支保板を前記覆工コンクリートの内壁面に押し付け可能とされ、
    前記第2の支保材は、前記第1の支保材を内側から支持して形状を保持可能に三角形状に組まれてなることを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
  2. 請求項1において、
    前記養生支保板は、エキスパンドメタル、パンチングメタル及びプラスチック段ボール
    の少なくともいずれかを用いることを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1の支保材は、FRP製のロッドをトンネルの周方向に沿って曲折させ、その弾性反力にて前記養生支保板を覆工コンクリートの内壁面側に押し付け可能とされていることを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の覆工コンクリートの養生装置を用いた覆工コンクリートの養生方法であって、
    複数枚に分割された前記板状の養生支保板の外側面に同様に分割された前記養生シートを取り付ける工程と、
    分割状態の養生シート及び養生支保板を前記工コンクリートの内面に接触させて下側から連結して設置する工程と、
    前記養生シート及び養生支保板を前記養生シートの設置に伴って、分割された支保材を前記養生支保板に連結し、支保材によって前記養生支保板を前記覆工コンクリートの内壁面側に押圧する工程と、
    を含むことを特徴とする覆工コンクリートの養生方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の覆工コンクリートの養生装置を用いた覆工コンクリートの養生方法であって、
    前記トンネルの側部及び上部の内面形状に沿うように組み上げた支保材外面側に前記養生支保板及び養生シートを取り付ける工程と、
    前記組み上げた支保材と養生支保板及び養生シートを下降かつ収縮させた状態で、養生位置まで搬送する工程と、
    下降状態にある前記支保材を覆工コンクリートの天端まで上昇させる工程と、
    収縮状態にある前記支保材を拡張させて前記養生シートを覆工コンクリートの内壁面に所定の押圧力で接触させる工程と、
    を含むことを特徴とする覆工コンクリートの養生方法。
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