JP5532896B2 - 航空機用の化粧室ユニット - Google Patents
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Description
まず、化粧室ユニットの側壁の製造時に、側壁の下端の複数箇所に、機内へ取り付けるための取り付け部材を予め埋めこんでおく。すなわち、軽量化の観点から、側壁は、例えば、コア材料として合成樹脂材からなるハニカム構造材を用い、その両面を繊維強化プラスチックパネルで挟み込んだ構造となっていることから、側壁の下端に、機体側に連結するための金属などの剛性を有する材料からなる取り付け部材を設けることが必要となる。そこで、この取り付け部材を側壁に埋め込み、取り付け部材と一体となった側壁を製造しておく。そして、それら側壁を含んで化粧室ユニットを組み立て、組み立て後、化粧室ユニットを機内に搬入し、側壁に埋め込まれた取り付け部材を、ボルトによりシートトラックなどの機内側の部材に固定している(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、化粧室ユニットの仕様の如何に拘わらず、側壁を予め量産でき、コストダウンを図る上で有利な化粧室ユニットを提供することにある。
したがって、従来のように、取り付け部材が埋め込まれて一体となった側壁を設ける必要がなくなり、側壁のみを予め量産することができ、化粧室ユニットのコストダウンを図る上で有利となる。
図1に示すように、化粧室ユニット10は機内のフロア12上に設置されている。
化粧室ユニット10は、床14(図6参照)、天井16、前壁18、機内の側壁13に沿った背面壁20、左右の側壁22を有し、これら壁により化粧室が仕切られている。化粧室には、便器や化粧台などが設けられ、前壁18に設けられたドア24により化粧室に出入りできる構成となっている。
この化粧室ユニット10は、左右の側壁22の下端の2箇所が本発明の取り付け構造により機体側に連結されている。
すなわち、左右の側壁22の下端の2箇所に、それぞれ切り欠き26(図2参照)、2枚の被挟持板28、取り付け部材30が設けられている。
また、切り欠き26の両側の側壁22の箇所にそれぞれ取り付け孔2202が貫通形成されている。
なお、側壁22は軽量化を図るため、例えば、合成樹脂材からなるハニカム構造のコアと、このコアの両面に接着された繊維強化プラスチックからなる表面板とで構成されている。
本例では後述するように過酷な条件下に化粧室ユニット10が設置されることから、2枚の被挟持板28は、強度、剛性に加え耐腐食性が高い材料から形成されており、このような材料として従来公知の様々な合成樹脂材料や金属材料が使用可能であり、中でもステンレスなどの金属材料が好適である。
被挟持板28は矩形を呈し、同形同大で、側壁22の切り欠き26と同じ輪郭の切り欠き32が下辺に開放状に形成されている。
2枚の被挟持板28の切り欠き32の両側の箇所に、それぞれ側壁22の取り付け孔2202と同軸上に位置するように取り付け孔34が複数形成されている。
また、各挟持板28板の4隅にねじ挿通孔36が形成されている。
被挟持板28は、この被挟持板28にあるいは側壁22に接着剤が塗布されたのち、位置決めして側壁22に合わされ、図3に示すように、ねじ挿通孔36に挿通したねじ38を、側壁22に埋め込んだインサートの雌ねじに螺合することで仮固定され、この仮固定された状態で前記塗布した接着剤により側壁22に接着されている。
このように2枚の被挟持板28を側壁22の両面に接着剤で接着することにより、取り付け部材30が受けた荷重が、2枚の被挟持板28から側壁22に伝達される。
フランジ部42は、本体部40が受けた荷重を2枚の被挟持板28に伝達するものであるため、取り付け部材30は強度、剛性を有する材料からなり、このような材料として従来公知の様々な合成樹脂材料や金属材料が使用可能である。
本例では後述するように過酷な条件下に化粧室ユニット10が設置されることから、取り付け部材30は、強度、剛性に加え耐腐食性が高い材料から形成されており、このような材料として従来公知の様々な合成樹脂材料や金属材料が使用可能であり、中でもステンレスなどの金属材料が好適である。
本体部40は、側壁22の切り欠き26と2枚の被挟持板28の切り欠き32にわたって挿入されこの挿入方向に貫通する開口4002が形成された枠状を呈している。
この例では、本体部40は、底壁4004と、底壁4004の両側から起立する左右壁4006と、左右壁4006の両端を接続する上壁4008とを有し、開口4002は、底壁4004、左右壁4006、上壁4008の内側に上下に縦長の矩形状に形成されている。
底壁4004には、側壁22を機内に取り付けるためのボルト挿通孔4010が貫通形成されている。
フランジ部42は、開口4002の貫通方向の本体部40の両面に設けられている。
フランジ部42は、本体部40の厚さよりも薄い厚さで、本体部40の左右側方に突出して設けられている。
フランジ部42には、被挟持板28の複数の取り付け孔34と同軸上にそれぞれ取り付け孔4202が形成されている。
すなわち、取り付け部材30は、両フランジ部42で2枚の被挟持板28を挟持し両フランジ部42が2枚の被挟持板28に側壁22の厚さ方向に移動不能にかつ側壁22の厚さ方向と直交する方向に移動不能に結合されることで側壁22に取り付けられている。したがって、本体部40が受けた荷重は、両フランジ部42から2枚の被挟持板28に伝達される。
この例では、ねじ部材44は、雌ねじ部材46と雄ねじ部材48とで構成されている。
雌ねじ部材46は、頭部4602と、筒部4604とを含んで構成されている。
頭部4602は、両フランジ部42のうちの一方のフランジ部42に当接され、筒部4604は、このフランジ部42の取り付け孔4202およびこのフランジ部42に当て付けられる被挟持板28の取り付け孔34ならびに側壁22の取り付け孔2202に挿通される。筒部4604には、雌ねじ4606が形成されている。
雄ねじ部材48は皿ねじで、頭部4802と、雄ねじ4804とを含んで構成されている。頭部4802は、両フランジ部42のうちの他方のフランジ部42に当接され、雄ねじ4804は、このフランジ部42の取り付け孔4202およびこのフランジ部42に当て付けられる被挟持板28の取り付け孔34に挿入され筒部4604の雌ねじ4606に螺合される。ねじ部材44、2枚の被挟持板28を介して取り付け部材30が側壁22に取り付けられた状態で、底壁4004は側壁22の下辺に沿って延在し、雄ねじ部材48の頭部4802は、フランジ部42の表面と同一面かあるいはこの表面よりも窪む。
化粧室ユニット10に、機内のフロア12から離れる方向への荷重がかかった場合、この荷重は、ボルト50から本体部40に伝達され、本体部40から両フランジ部42がねじ部材44により一対の被挟持板28を挟持し被挟持板28に側壁22の厚さ方向および厚さ方向と直交する方向に移動不能に結合されることにより2枚の被挟持板28に分散して伝達され、2枚の被挟持板28から側壁22に分散して伝達される。したがって、側壁22における応力集中の発生が抑制され、化粧室ユニット10の取り付け強度が確保される。
また、化粧室ユニット10に、機内のフロア12と平行する方向への荷重がかかった場合、すなわち、ボルト50の延在方向と直交する方向への荷重がかかった場合、この荷重は、前記と同様に、ボルト50から本体部40に伝達され、本体部40から両フランジ部42を経て2枚の被挟持板28に分散して伝達され、2枚の被挟持板28から側壁22に分散して伝達される。したがって、側壁22における曲げ応力の発生が抑制され、化粧室ユニット10の取り付け強度が確保される。
また、化粧室ユニット10に、機内のフロア12への荷重がかかった場合、2枚の被挟持板28、取り付け部材30を介してこの荷重を受ける他、従来と同様に、化粧室ユニット10の底部周囲とフロア12との間に埋め込まれたシーリング材などにより受ける。
したがって、従来のように、機体側に連結するための金属などの剛性を有する材料からなる取り付け部材が埋め込まれて一体となった側壁を設ける必要がなくなり、側壁22のみを予め量産し、仕様が決定してから側壁22に切り欠き26を形成し、この切り欠き26を利用して2枚の被挟持板28を介して取り付け部材30を取り付けることが可能となる。
したがって、側壁22のみを予め量産することができ、化粧室ユニット10の取り付け強度を確保しつつ化粧室ユニット10のコストダウンを図る上で有利となる。
また、被挟持板28および取り付け部材30は、耐腐食性を有する材料から形成されているので、乗客の昇降用ドアを開けた際に雨が吹き込むような過酷な条件の機内の箇所に化粧室ユニット10が設置される場合であっても、化粧室ユニット10の取り付け構造の耐久性を図る上で有利となる。
また、左右の側壁22は化粧パネル(化粧シート)で覆われ、開口4002を形成する底壁4004の上面と、左右壁4006の内面と、上壁4008の下面と、ボルト50の頭部のみが機内に露出し、上記のような過酷な条件による長期使用により、ボルト50や取り付け部材30を取り替える必要が生じた場合であっても、ボルト50を交換できることは無論のこと、取り付け部材30も雄ねじ部材48、雌ねじ部材46を介して側壁22から取り外し可能であるので、その交換を簡単に行え、メンテナンス作業のコストダウンを図る上でも有利となる。
なお、以下の変形例、実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
第1の実施の形態では、2枚の被挟持板28が切り離され2つの部品となっていたが、この変形例では、1つの部品となっている。
すなわち、2枚の被挟持板28の下端は、側壁22の下端面を通る接続板部2802により接続され、一体化されている。
このように2枚の被挟持板28が一体化された部材を用いると、組み立て作業の簡素化が図れ、コストダウンを図る上でより有利となる。
第2の実施の形態では、2枚の被挟持板28を用いていない点が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、第2の実施の形態でも側壁22に切り欠き26、取り付け孔2202が設けられ、第1の実施の形態と異なって、取り付け部材60が2枚の被挟持板28を用いずに切り欠き26を利用して側壁22に直接取り付けられている。
フランジ部64は、本体部62が受けた荷重を側壁22に伝達するものであるため、取り付け部材60は強度、剛性を有する材料からなり、このような材料として従来公知の様々な合成樹脂材料や金属材料が使用可能である。
本例では上述した過酷な条件下に化粧室ユニット10が設置されることから、取り付け部材60は、強度、剛性に加え耐腐食性が高い材料から形成されており、このような材料として従来公知の様々な合成樹脂材料や金属材料が使用可能であり、中でもステンレスなどの金属材料が好適である。
本体部62は、側壁22の切り欠き26に挿入され、側壁22の厚さ方向に貫通する開口6202が形成された枠状を呈している。
本体部62は、底壁6204と、底壁6204の両側から起立する左右壁6206と、左右壁6206の両端を接続する上壁6208とを有し、開口6202は、底壁6204、左右壁6206、上壁6208の内側に上下に縦長の矩形状に形成されている。
底壁6204には、側壁22を機内に取り付けるためのボルト挿通孔6210が上下に貫通形成されている。
フランジ部64は、開口6202の貫通方向の本体部62の両面に設けられている。
フランジ部64は、本体部62の厚さよりも薄い厚さで、本体部62の上方および左右側方に第1の実施の形態よりも大きな突出量で突出して設けられている。
両フランジ部64には、取り付け孔2202と同軸上に位置するようにそれぞれ取り付け孔6402が形成されている。
また、この例では、第1の実施の形態と同様に、ねじ部材44は、雌ねじ部材46と雄ねじ部材48とで構成されている。
雌ねじ部材46の頭部4602は、両フランジ部64のうちの一方のフランジ部64に当接され、雌ねじ部材46の筒部4604は、このフランジ部64の取り付け孔6402、側壁22の取り付け孔2202に挿通される。筒部4604には、雌ねじ4606が形成されている。
雄ねじ部材48の頭部4802は、両フランジ部64のうちの他方のフランジ部64に当接され、雄ねじ部材48の雄ねじ4804は、このフランジ部64の取り付け孔6402に挿入され筒部4604の雌ねじ4606に螺合される。
接着剤およびねじ部材44を介して取り付け部材60が側壁22に取り付けられた状態で、底壁6204は、側壁22の下辺に沿って延在する。
化粧室ユニット10に、機内のフロア12から離れる方向への荷重がかかった場合、この荷重は、ボルト50から本体部62に伝達され、本体部62から両フランジ部64に分散して伝達され、両フランジ部64から側壁22に分散して伝達される。したがって、側壁22における応力集中の発生が抑制され、化粧室ユニット10の取り付け強度が確保される。
また、化粧室ユニット10に、機内のフロア12と平行する方向への荷重がかかった場合、すなわち、ボルト50の延在方向と直交する方向への荷重がかかった場合、この荷重は、前記と同様に、ボルト50から本体部62に伝達され、本体部62から両フランジ部64に分散して伝達され、両フランジ部64から側壁22に分散して伝達される。したがって、側壁22における曲げ応力の発生が抑制され、化粧室ユニット10の取り付け強度が確保される。
また、化粧室ユニット10に、機内のフロア12への荷重がかかった場合、取り付け部材60を介してこの荷重を受ける他、従来と同様に、化粧室ユニット10の底部周囲とフロア12との間に埋め込まれたシーリング材などにより受ける。
Claims (7)
- 化粧室を仕切る側壁を備えた航空機用の化粧室ユニットであって、
前記側壁の下端に該側壁の厚さ方向に貫通し下方に開放状に形成された切り欠きと、
前記側壁の下端で該側壁の厚さ方向の両面に接着剤で接着され、前記側壁の切り欠きと合致する下方に開放状の切り欠きが形成され、受けた荷重を前記側壁に伝達する2枚の被挟持板と、
前記側壁の切り欠きと前記2枚の被挟持板の切り欠きにわたって挿入され前記側壁の厚さ方向に貫通する開口が形成された枠状の本体部と、前記開口の貫通方向の前記本体部の両面に設けられ前記本体部が受けた荷重を前記2枚の被挟持板に伝達するフランジ部とを有する取り付け部材とを備え、
前記取り付け部材は、前記本体部が前記側壁の切り欠きと前記2枚の被挟持板の切り欠きに挿入され、両フランジ部で前記2枚の被挟持板を挟持し両フランジ部が前記2枚の被挟持板に前記側壁の厚さ方向に移動不能にかつ前記側壁の厚さ方向と直交する方向に移動不能に結合されることで前記側壁に取り付けられ、
前記本体部は、前記取り付け部材が前記側壁に取り付けられた状態で、前記側壁の下辺に沿って延在して前記開口の下部を仕切り前記側壁を機内に取り付けるためのボルト挿通孔が上下に貫通形成された底壁を有している、
航空機用の化粧室ユニット。 - 前記両フランジ部による前記2枚の被挟持板の挟持および前記両フランジ部と前記2枚の被挟持板の結合は、前記側壁および前記2枚の被挟持板ならびに前記両フランジ部を貫通するねじ部材によりなされている、
請求項1記載の化粧室ユニット。 - 前記2枚の被挟持板および前記取り付け部材は、合成樹脂材料または金属材料で形成されている、
請求項1または2記載の化粧室ユニット。 - 前記本体部は、前記底壁に加え、前記底壁の両側から起立する左右壁と、左右壁の両端を接続する上壁とを有し、
前記開口は、前記底壁、左右壁、上壁の内側に矩形状に形成されている、
請求項1乃至3に何れか1項記載の航空機用の化粧室ユニット。 - 前記2枚の被挟持板の箇所にそれぞれねじ挿通孔が形成され、
前記2枚の被挟持板は前記ねじ挿通孔に挿通されたねじにより前記側壁に仮固定された状態で前記接着剤で接着されている、
請求項1乃至4に何れか1項記載の航空機用の化粧室ユニット。 - 前記2枚の被挟持板の下端は、前記側壁の下端面を通る接続板により接続され、一体化されている、
請求項1乃至5に何れか1項記載の航空機用の化粧室ユニット。 - 前記ねじ部材は、雌ねじ部材と雄ねじ部材とを含んで構成され、
前記側壁の両面に接着剤で接着された2枚の被挟持板の前記切り欠きの周囲の箇所にそれぞれ同軸上に複数の取り付け孔が形成され、
前記本体部が前記側壁の切り欠きと前記2枚の被挟持板の切り欠きにわたって挿入された状態で、前記複数の取り付け孔と同軸上に前記両フランジ部にそれぞれ取り付け孔が形成され、
前記雌ねじ部材は、両フランジ部のうちの一方のフランジ部に当接される頭部と、この頭部から突出しこの頭部が当接されるフランジ部の取り付け孔およびこのフランジ部に当接される被挟持板の取り付け孔ならびに前記側壁に挿通され雌ねじが形成された筒部とを有し、
前記雄ねじ部材は、両フランジ部のうちの他方のフランジ部に当接される頭部と、この頭部から突出しこの頭部が当接されるフランジ部の取り付け孔およびこのフランジ部に当接される被挟持板の取り付け孔に挿入され前記雌ねじに螺合する雄ねじとを有している、
請求項2記載の航空機用の化粧室ユニット。
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