JP5531315B2 - マイクロアレイ用基板 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロアレイ用基板に関し、特に、基板上にパターン化された炭素質膜を備えたマイクロアレイ用基板に関する。
近年、マイクロ化学分析システム(μ−TAS)と呼ばれる一つのチップ又はデバイスにより様々な液体又は気体を分析する技術が注目を集めている。バイオテクノロジーの分野においても、遺伝子の解析等の分析にμ−TASを利用することが検討されている。μ−TASを利用して遺伝子の解析を行うことにより、複数の遺伝子発現を一度に解析することが可能となるだけでなく、極微量のサンプルにより解析が可能となる。
μ−TASを利用して遺伝子の解析を行うためには、DNAが固定されたDNAマイクロアレイを形成する必要がある。DNAマイクロアレイは、数万から数十万のDNAの部分配列が高密度に且つ規則正しく配置された基板である。DNAマイクロアレイを用いることにより、数万から数十万の遺伝子発現を一度に解析することが可能となる。
DNAマイクロアレイを形成するためには、DNAを規則正しく且つ強固に結合できる基板が必要となる。また、基板には非特異的なDNAの吸着が少なく、結合されたDNAの機能を阻害しないという特性も必要となる。
DNAマイクロアレイ用の基板として、ダイヤモンド様膜(DLC膜)等の炭素質膜が期待を集めている。例えば、DLC膜の表面に、N−ヒドロキシスクシンイミド等の活性化エステルを有する微小な化学修飾スポットを2次元配列することによりDNAマイクロアレイ用の基板を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004−309276号公報
しかしながら、前記従来のDLC膜を用いたDNAマイクロアレイ用基板には以下のような問題がある。
まず、DLC膜の表面に化学修飾スポットを形成しただけの場合には、DNAを固定するためにスポッティング技術を用いる必要があり、操作が煩雑になるという問題が生じる。反応性イオンエッチング(RIE)によりDLC膜の不要部分を除去する方法も知られているが、選択性に乏しいためDLC膜だけでなく下側の基材にダメージが生じたり、DLC膜の表面が粗くなり非特異的な吸着が生じたりするという問題が生じる。
また、DNAをN−ヒドロキシスクシンイミド等の活性化エステルを用いて固定している。これにより、DNAが共有結合により強固に固定されるというメリットがあるが、固定したDNAにダメージを与えることなく回収することは不可能である。
このような問題は、DNAマイクロアレイだけでなく、細胞マイクロアレイ又はプロテインマイクロアレイ等においても同様に生じる。
本発明は、前記従来の問題を解決し、DNA等のターゲットの固定が容易で且つダメージを与えることなく回収することが可能なマイクロアレイ用基板を実現できるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本願はマイクロアレイ用基板を、炭素質膜と炭素質膜の表面に形成されたプラズマ処理層とを有するターゲット固定領域を備えている構成とする。
具体的に、本発明に係るマイクロアレイ用基板は、基材と、基材の上に規則的に配置された複数のターゲット固定領域とを備え、ターゲット固定領域は、炭素質膜と、該炭素質膜の表面に形成されたプラズマ処理層とを有し、プラズマ処理層は、炭素質膜を構成する炭素と結合したイオン性の官能基を有していることを特徴とする。
本発明のマイクロアレイ用基板は、ターゲット固定領域の表面にイオン性の官能基を有するプラズマ処理層が形成されている。このため、ターゲット固定領域の上に、DNA、タンパク質又は細胞とうのターゲットをイオン結合により固定することができる。ターゲットをイオン結合により固定するため、雰囲気のイオン強度又はpH等を変化させることにより、固定されたターゲットを容易に回収することが可能となる。
本発明のマイクロアレイ用基板において、イオン性の官能基は、アミノ基及びカルボキシル基の少なくとも一方であればよい。
本発明のマイクロアレイ用基板において、複数のターゲット固定領域は、電圧が印加できるように形成されていてもよい。
この場合において、炭素質膜からなり、複数のターゲット固定領域同士を互いに接続するブリッジ部をさらに備えていてもよい。
この場合において、ブリッジ部における炭素質膜の膜厚は、ターゲット固定領域よりも薄いことが好ましい。
本発明のマイクロアレイ用基板において、基材はガラス又はシリコンとすればよい。
本発明に係るマイクロアレイ用基板の製造方法は、基材の上に炭素質膜を形成する工程(a)と、炭素質膜を選択的に除去することにより複数のターゲット固定領域を形成する工程(b)と、炭素質膜の表面にプラズマを照射することにより、炭素質膜の表面にイオン性の官能基を有するプラズマ処理層を形成する工程(c)とを備えていることを特徴とする。
本発明のマイクロアレイ用基板の製造方法は、プラズマ照射により炭素質膜の表面にイオン性の官能基を導入する工程とを備えている。このため、ターゲット固定領域の表面に選択的にイオン性の官能基を導入できる。従って、ターゲットの固定及び回収が容易なマイクロアレイ用基板を実現することができる。
本発明のマイクロアレイ用基板の製造方法において、工程(c)では、塩基性窒素含有化合物のプラズマを照射すればよい。
本発明のマイクロアレイ用基板の製造方法において、基材は、シリコン又は酸化シリコンからなり、工程(b)では、フルオロカーボン及び酸素を含み且つ酸素がフルオロカーボンよりも多い混合ガスのプラズマを用いてエッチングを行えばよい。
本発明のマイクロアレイ用基板の製造方法において、工程(b)では、複数のターゲット固定領域同士を接続するブリッジ部を残すようにエッチングを行えばよい。
本発明のマイクロアレイ用基板の製造方法において、工程(b)は、炭素質膜におけるターゲット固定領域及びブリッジ部を除く領域をエッチングにより除去する工程(b1)と、工程(b1)よりも後にブリッジ部を選択的にエッチングして、ブリッジ部の高さをターゲット固定領域よりも低くする工程(b2)とを含む用にすればよい。
本発明に係るマイクロアレイ用基板及びその製造方法によれば、DNA等の固定が容易で且つダメージを与えることなく回収することが可能なマイクロアレイ用基板を実現できる。
(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るマイクロアレイ用基板を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線におけるす断面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロアレイ用基板の製造方法を工程順に示す断面図である。 炭素質膜、シリコン膜及びシリコン酸化膜におけるガス種とエッチングレートの関係を示すグラフである。 窒素のカルボキシル基に対する比率とプラズマ処理層の表面電位との関係を示すグラフである。 (a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るマイクロアレイ用基板の変形例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVIb−VIb線におけるす断面図である。
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は(a)及び(b)は、一実施形態に係るマイクロアレイ用基板であり、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIb−Ib線における断面構成を示している。図1に示すように、ガラス等からなる基材11の上に、複数のターゲット固定領域12が規則的に形成されている。ターゲット固定領域12は、炭素質膜13のスポットであり、表面にプラズマ処理層13Aが形成されている。
炭素質膜13は、SP2(グラファイト)結合した炭素及びSP3(ダイヤモンド)結合した炭素を含む炭素骨格を主成分とする膜である。具体的には、グラファイト膜、ダイヤモンド膜及びいわゆるダイヤモンド様薄膜(DLC膜)等が含まれる。
プラズマ処理層13Aは、炭素質膜13にプラズマを照射することにより形成された層であり、炭素質膜13を構成する炭素と結合したイオン性の官能基を有している。イオン性の官能基とは、カルボキシル基(−C(=O)O)及びアミノ基(−NH2)を含む正又は負の電荷を有する官能基である。
炭素質膜は、平滑で不活性であるため通常は、その表面にDNA、タンパク質及び細胞等のターゲットを強固に固定することができない。このため、N−ヒドロキシスクシンイミド等の活性化エステルを導入することにより、ターゲットの固定を行っている。しかし、この場合にはターゲットが有する官能基と活性エステルとが反応して共有結合を形成するため、ターゲットを回収できないという問題がある。
本実施形態のマイクロアレイ用基板は、ターゲット固定領域12を形成する炭素質膜13の表面にイオン性の官能基が導入されている。このため、DNA、タンパク質及び細胞等のターゲットをイオン結合により固定することができる。また、ターゲットを固定した後、雰囲気のイオン濃度等を変化させることによりターゲットを脱離させ、回収することが可能となる。
以下に、本実施形態のマイクロアレイ用基板の製造方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、ガラス等の基材11の上に炭素質膜13を形成する。炭素質膜13の形成はどのような方法でもよいが、例えば以下のようにして行えばよい。
まず、基材11をプラズマCVD装置のチャンバ内にセットし、チャンバー内にアルゴン(Ar)を圧力が2Paとなるように導入する。続いて、電極間に高周波電力を印加し、プラズマを生成し、プラズマ中のArイオンにより、基材11表面を30分間ボンバードクリーニングする。続いて、チャンバ内にアセチレン(C22)を導入し、3分間成膜を行う。これにより、厚さが130nm程度のDLC膜である炭素質膜13が得られる。炭素質膜13を形成する際は、高周波電力を100W程度とすればよい。
次に、図2(b)に示すように、炭素質膜13をエッチングして、スポット状に形成する。スポットのサイズ及び数量は適宜決定すればよいが、例えば、75mm×25mmの基材の上に直径が30μmのスポットを形成する場合には、14区画に分割して各区画に20000個ずつスポットを形成すればよい。
炭素質膜のエッチングは、RIE等による方法が知られている。しかし、RIEにより炭素質膜をエッチングすると炭素質膜の表面がダメージを受け、表面粗度が大きくなる。また、基材もダメージを受ける等の問題が発生するおそれがある。このため、以下のような炭素質膜を選択的にエッチングする方法を用いることが好ましい。
まず、炭素質膜13を形成した基材にマスクを形成する。マスクはどのようなものでもよいが、例えば、クロム(Cr)マスクとすればよい。Crマスクは、炭素質膜13を形成した基材11上の全面に厚さが10nmのCr膜を形成した後、ヘキサメチルジシラザン(HDMS)を塗布し90℃で5分間ベーキングを行う。続いて、レジストを塗布し90℃で30分間プリベークした後、マスクアライナーによりスポット形状をしたマスクをかぶせた基材に4秒間紫外線をあて露光を行う。次に、基材11を現像液に浸漬し、75秒間現像を行い、100℃で30分間ポストベークを行う。次に、Crをエッチング液(硝酸第2セリウムアンモニウム51g+過塩素酸15g+純水300ml)を用いて15秒間エッチングする。この後、アセトンを用いて3分間洗浄し、Crマスク上のレジストを除去する。
次に、Crマスクを形成した基材11を、容量結合(CCP)型のプラズマ処理装置を用いて、選択的にエッチングする。プラズマ処理装置のチャンバ内に基材11をセットした後、チャンバ内の圧力を3×10-3Paとする。次に、チャンバー内にエッチングガスを導入し、平行平板電極間に100Wの高周波電力を印加することによりプラズマを生成させる。プラズマを20分間照射することにより、炭素質膜13を選択的にエッチングする。この後、Crエッチング液(硝酸第2セリウムアンモニウム51g+過塩素酸15g+純水300ml)を用いて、Crマスクを15秒間エッチングして除去する。
エッチングガスには、酸素を用いればよい。また、酸素とフルオロカーボン及び不活性ガスとの混合ガスとしてもよい。図3は、酸化シリコン(SiO2)及びシリコン(Si)と、炭素質膜であるDLCとのエッチングレートの違いを示している。SiO2及びSiは、4フッ化カーボン(CF4)の流量が多いほどエッチングレートが大きく、酸素だけではほとんどエッチングされない。一方、DLCは、酸素の流量が多いほどエッチングレートが大きくなる。このため、酸素を多く含む混合ガスのプラズマを用いることにより、ガラス又はシリコン等の基材11の上に形成した炭素質膜13を選択的にエッチングすることが可能となる。
表1は、プラズマ照射後の炭素質膜表面の表面粗度の測定結果を示している。酸素プラズマを照射した場合には、他のプラズマを照射した場合と比べて表面粗度が非常に大きくなる。このため、炭素質膜の平滑性を生かすためには、エッチングレートが少し低下するが、酸素とアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス又は酸素と不活性ガスとCF4等のフルオロカーボンとの混合ガスを用いることが好ましい。
酸素のみを用いてエッチングした場合、特にスポットの側面部分の表面粗度が大きくなり、表面積が増大する。このため、後のプラズマ処理の際にスポットの側面部分にも官能基が導入されるおそれが増大する。酸素と不活性ガスとの混合ガス又は、酸素と不活性ガスとフルオロカーボンとの混合ガスとすることにより、スポットの側面部分への官能基の導入を低減できるという効果が得られる。
フルオロカーボンを加える場合には、基材とのエッチング選択性を確保するために、フルオロカーボンよりも酸素の比率が高い方がよい。
Figure 0005531315
次に、図2(c)に示すように、スポット状の炭素質膜13にプラズマを照射することによりプラズマ処理層13Aを形成する。プラズマ照射は、以下のようにして行えばよい。
まず、スポット状の炭素質膜13を形成した基材11を平行平板型のプラズマ照射装置のチャンバにセットし、チャンバー内の圧力を3×10-3Paとする。続いて、チャンバ内に反応ガスを圧力が1Paとなるように導入して、平行平板電極間に100Wの高周波電力を印加することによりプラズマを発生させる。プラズマを15秒間照射することにより、プラズマ処理層13Aを形成した。
反応ガスには、アンモニア(NH3)又はアンモニアを含む混合ガスを用いればよい。このように、アンモニアを用いることにより、アミノ基を導入できる。また、酸素又は酸素を含む混合ガスを用いることにより、カルボキシル基を導入できる。酸素に代えて不活性ガスを用いた場合にも、空気中の酸素又は水分等との反応によりカルボキシル基が導入される。アンモニア等と酸素等とを組み合わせることにより、カルボキシル基とアミノ基の両方を導入することも可能となる。また、プラズマ照射前のチャンバの到達真空度を低く設定することにより、アンモニアを照射した場合にもアミノ基だけでなくカルボキシル基が導入される。
図4はX線光電子分光分析(XPS)法により求めたプラズマ照射後の炭素質膜における窒素のカルボキシル基に対する存在比(N/C(=O)O)と、表面電位との関係を示している。
XPS測定には、日本電子株式会社製の光電子分光装置JPS−9010MCを用いた。X線源にはAlを用い、加速電圧が12.5kVで、エミッション電流が17.5mAの条件でX線を発生させた。試料中から任意に選択した直径5mmのエリアについて測定を行った。また、X線を試料に対して垂直に入射させ、検出角度を0度とすることにより、5nm程度の深さまでの組成を測定している。
結合エネルギーの測定領域は、274eV〜294eV、389eV〜409eV及び522eV〜542eVとし、それぞれC1s、N1s及びO1sのピークを得た。得られたピークの面積比を比較することにより炭素に対する酸素の存在比O/C及び炭素に対する窒素の存在比N/Cを求めた。また、C1sピークは、カーブフィッティングによりC−C成分、C−O成分、C=O成分及びC(=O)O成分に分割した。C(=O)O成分のC1sピークに対する面積比を求めることによりカルボキシル基成分C(=O)Oの全炭素に対する存在比C(=O)O/Cを求めた。
窒素についてはどのような状態となっているかは明確ではない。しかし、アミノ基、アミド基及びアミン基等の窒素を含む官能基(窒素性官能基)を形成していると考えられる。窒素性官能基の詳細な分析は困難であるが、XPS測定においてN1sピークは、398.9eVに出現した。これは、アミン及びアミドのN1sの束縛エネルギー(400±1eV)からずれており、今回のサンプルにおいては、窒素性官能基のうちの少なくとも一部はアミノ基となっていると考えられる。
表面電位の測定は以下のようにして行った。測定には、大塚電子株式会社製のゼータ電位・粒径測定システムELS−Zを用いた。ガラス基材の表面に形成した炭素質膜に所定のプラズマを照射した後、炭素質膜を平板試料用セルに密着させ、セル内にモニタ用粒子を注入した。モニタ用粒子は10mMの塩化ナトリウム(NaCl)溶液中に分散させた大塚電子株式会社製のものを用いた。セル深さ方向の各レベルについてモニタ粒子の電気泳動を行い、セル内部の見かけの速度分布を測定した。電気泳動は、平均電場が17.33V/cmで、平均電流が1.02mAの条件で行った。得られた見かけの速度分布を森・岡本の式に基づいて解析することにより、炭素質膜表面の表面電位を求めた。なお、平板試料用セルは、セル表面の電荷の影響を抑えるため、ポリアクリルアミドによりコーティング処理して用いた。
図4に示すように、チャンバの到達真空度が高い状態(5×10-3Pa)においてアンモニアのプラズマを照射した場合には、N/C(=O)Oの値が大きくなり表面電位も正の値を示した。一方、到達真空度が低い状態(2Pa)において、酸素又はアルゴンのプラズマを照射した場合には、N/C(=O)Oの値が小さくなり、表面電位は大きな負の値を示した。酸素又はアルゴンの後にアンモニアのプラズマを照射した場合にはその中間の値を示している。
このように、プラズマ処理層13Aを形成する際のプラズマ照射の条件を変化させることにより、プラズマ処理層13Aに導入されるイオン性官能基の量と種類とを制御し、任意の表面電位を有するプラズマ処理層を形成することができる。このため、ターゲットの種類に応じた表面電位を有するプラズマ処理層が形成されたマイクロアレイ用基板を用いることにより、DNA、タンパク質又は細胞等のターゲットをターゲット固定領域12の表面にイオン結合により結合することが可能となる。
イオン結合は、溶液中のイオン濃度によってその強度が大きく変化する。このため、ターゲットを固定したマイクロアレイ用基板を固定した際とはイオン濃度又はpH等が異なる溶液に浸漬することにより、ターゲット固定領域12の表面に固定されたターゲットを容易に回収することができる。
また、炭素質膜は半絶縁性であり抵抗値を調整することにより微弱な電流を流すことが可能となる。このため、図5に示すように、ターゲット固定領域12同士がブリッジ部14により互いに接続されるようにすれば、ターゲット固定領域12に電圧を印加することが可能となる。ターゲット固定領域12に微弱な電圧を印加することにより、イオン性官能基を有するプラズマ処理層の表面の電気的特性が変化する。これにより、ターゲットの固定及び剥離が容易となる。特に、細胞の場合には電気的特性により固定量等が大きく変化するため、特に有用である。
炭素質膜の抵抗値は、SP2結合とSP3結合との比率等によって変化させることができる。また、表面への官能基の導入によっても変化させることができる。
ブリッジ部14の高さは、ターゲット固定領域12と同じでもよい。しかし、ターゲット固定領域12よりもブリッジ部14の高さを低くすることにより、スポットの測定精度が向上する。ブリッジ部14の高さをターゲット固定領域12よりも低くする場合には、まず、基材の上に炭素質膜を形成した後、ターゲット固定領域及びブリッジ部となる領域をマスクしてエッチングする。この後、ターゲット固定領域のみをマスクしてブリッジ部となる領域をエッチングし、ブリッジ部の高さを調整すればよい。
なお、図5においてはブリッジ部14を形成した後、プラズマ照射を行うことにより、ブリッジ部14の上部にもプラズマ処理層が形成されている例を示している。しかし、プラズマ照射を行った後、ブリッジ部14を形成すれば、ブリッジ部14の上部にはプラズマ処理層は形成されない。
本実施形態において、基材11にはガラスを用いる例を示したが、他のシリコン系の材料、例えばシリコン基板又は酸化シリコン被膜が形成されたシリコン基板等を用いてもよい。また、プラスチック等の材料からなる基材を用いてもよい。
プラズマ処理層を形成するプラズマ照射には、アンモニア以外の塩基性窒素含有化合物を用いてもよい。塩基性窒素含有化合物としては、一般式がNR123により示される有機アミン類(但し、R1、R2及びR3は水素、−CH3、−C25、−C37又は−C48であり、R1、R2及びR3は互いに同一であっても、異なっていてもよい。)又はベンジルアミン及びその2級、3級アミン等が挙げられる。但し、アンモニアがコスト、取り扱いの容易さから好ましい。
また、エッチングによりターゲット固定領域を形成した後、プラズマ処理層を形成する例を示したが、プラズマ処理層を形成した後、エッチングを行ってもよい。
本発明に係る、マイクロアレイ用基板及びその製造方法は、ターゲットの固定が容易で且つダメージを与えることなく回収することが可能なマイクロアレイ用基板を実現でき、基板上にパターン化された炭素質膜を備えたマイクロアレイ用基板及びその製造方法等として有用である。
11 基材
12 ターゲット固定領域
13 炭素質膜
13A プラズマ処理層
14 ブリッジ部

Claims (3)

  1. 基材と、
    前記基材の上に規則的に配置され、前記基材が露出した部分に囲まれた複数のターゲット固定領域と、
    前記基材の前記ターゲット固定領域と同じ側に設けられ、前記複数のターゲット固定領域に電圧を印加できるように前記複数のターゲット固定領域同士を互いに接続するブリッジ部とを備え、
    前記ターゲット固定領域は、炭素質膜と、該炭素質膜の表面に形成されたプラズマ処理層とを有し、
    前記プラズマ処理層は、前記炭素質膜を構成する炭素と結合したイオン性の官能基を有し、
    前記ブリッジ部は、前記炭素質膜からなり、
    前記ブリッジ部における前記炭素質膜の膜厚は、前記ターゲット固定領域よりも薄いことを特徴とするマイクロアレイ用基板。
  2. 前記イオン性の官能基は、アミノ基及びカルボキシル基の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロアレイ用基板。
  3. 前記基材はガラス又はシリコンからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロアレイ用基板。

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