JP5527282B2 - 耳掛けハンガー及びそれを備えたイヤホン - Google Patents

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Description

本発明は、耳掛けハンガー及びそれを備えたイヤホンに係り、特に、ケーブルが内部に埋め込まれて通された耳掛けハンガー及びそれを備えたイヤホンに関する。
耳掛けハンガーを備えたイヤホンが知られている。このイヤホンは、安定した装着感が得られることから、運動をしながら使用するイヤホンに好適であるとして近年市場が拡大している。一例として特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載されたイヤホン(特許文献1ではヘッドホンと記載されている)は、耳掛けハンガーの内部に、イヤホンのスピーカに音声信号を供給するケーブルが通されている。
また、特許文献1には、ケーブル(特許文献1ではコードと称されている)の先端をソケットに差し込み自在とすることで、耳掛けハンガーがスピーカを備えた本体部から分離できることが開示されている。
さらに、耳掛けハンガーの内部構造として、耳掛けハンガーの形状を耳の形に合わせて変えて保持できるように、屈撓自在の芯線材(例えば金属線材)のまわりにケーブルを巻き付け軟質樹脂で被覆した例が開示されている。
金属線材を耳掛けハンガーの芯線材として用いることは、耳掛けハンガーを耳の形状により良好に合わせられるので好ましい。
実開平1−169896号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来の耳掛けハンガーのように、金属線のまわりにケーブルを巻き付けた状態で軟質樹脂で被覆すると、ケーブルにはねじれ応力が部分的に生じた状態で金属と一体化されてしまう。
さらにその状態から耳の形状に合わせて変形が施されるので、ケーブルには局部的に大きな応力が生じる虞がある。
従って、耳掛けハンガーを長期間使用した場合、ケーブルの導通不良や断線などの不具合発生が懸念される。
また、軟質樹脂の表面には、金属線のまわりに巻き付けられたケーブルの凹凸が反映して螺旋状の凹凸が生じ易く、外観品位が低下するという問題が生じる。
この表面の凹凸は、軟質樹脂を厚く成形することで抑制されるが、その分材料代が嵩み、耳掛けハンガー自体の断面積が大きくなって耳の形状に追従し難くなる場合が懸念される、という新たな問題が生じる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ケーブルが埋め込まれて通されると共に芯線材を有する耳掛けハンガーであっても、ケーブルに不具合が発生し難く、外観品位が良好な耳掛けハンガー及びそれを備えたイヤホン、を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
1)耳介(ER)の根本部分に掛けられる形状に湾曲したハンガー部(2)と、
前記ハンガー部(2)の内部に埋め込まれると共に前記ハンガー部(2)の一端から外部に延出しているケーブル(5)と、を備えた耳掛けハンガーであって、
前記ハンガー部(2)は、内部において前記ケーブル(5)よりも曲率の大なる側に配置された変形可能な芯線材(6)を有すると共に、断面形状において外形幅(W)が前記曲率の大なる側ほど小さいことを特徴とする耳掛けハンガー(2A)である。
2)前記ケーブル(5)の外径よりも前記芯線材(6)の外径の方が小さいことを特徴とする1)に記載の耳掛けハンガー(2A)である。
3)前記ケーブル(5)と前記芯線材(6)とを密着させて覆う被覆部(7)及び前記被覆部(7)を覆う樹脂部(8)を有していることを特徴とする1)又は2)に記載の耳掛けハンガー(2A)である。
4)1)〜3)のいずれか一つに記載の耳掛けハンガー(2A)と、
前記ケーブル(5)の一端(2t2)側に接続されたスピーカ(SP)を収納して前記耳掛けハンガー(2A)と一体的に連結されたハウジング(1)と、
を備えたイヤホン(50)である。
本発明によれば、ケーブルの不具合が発生し難く外観品位が良好である、という効果が得られる。
本発明の耳掛けハンガーを備えたイヤホンの実施例を説明するための外観図である。 本発明の耳掛けハンガーの実施例を説明するための断面図である。 本発明の耳掛けハンガーの実施例を説明するための部分断面図である。 本発明の耳掛けハンガーの実施例を説明するための他の部分断面図である。 本発明の耳掛けハンガーの実施例を説明するための外観図である。 本発明の耳掛けハンガーを使用した状態を説明する図である。
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の耳掛けハンガーを備えたイヤホンの実施例を示す外観斜視図である。
図1に示したイヤホンは右耳に装着するものである。左耳に装着するイヤホンの耳掛けハンガーの形状は、耳への装着状態で鉛直面に対して対称となるので、以下、右耳に装着するものを代表として説明する。
実施例のイヤホン50は、本体部HTと、本体部HTに対して一体的に連結された耳掛けハンガー部HGと、耳掛けハンガー部HGから延出したケーブル5と、を有する。
本体部HTは、スピーカSPを内部に収納すると共にそのスピーカSPからの音を外部に出力する音筒部1aが形成されたハウジング1を有する。
耳掛けハンガー部HGは、一端側がP1点にてハウジング1に一体的に連結すると共に耳介の根本部分に沿う形状で湾曲したハンガー部2からなる。すなわち、ハンガー部2は、耳介の根本部分に掛けることができる形状を有している。
ケーブル5は、ハンガー部2に埋め込まれており、一端側がハウジング1の内部に導入され他端側がハンガー部2から外部に露出している。
具体的には、一端側はハンガー部2からハウジング1の内部に入りスピーカSPに接続されている。他端側はプラグ(図1には図示せず)に接続されている。
イヤホン50は、プラグを音楽再生装置などの機器に接続してスピーカSPにより音声を再生できるようになっている。
音筒部1aには、ゴム材などで形成されたイヤーピース4が着脱自在に装着されている。
イヤホン50は、右耳用であって、イヤーピース4を外耳道内に挿入すると共にハンガー部2を右耳の耳介根本に掛け、ケーブル5が耳介の後方側において首に向け引き出されるように装着される。
図2は、ハンガー部2の図1におけるS1−S1断面図である。
図2中のRC1は、S1−S1断面となる部位の近傍における曲率中心RC1(図1参照)の方向を示している。すなわち、図2の上方側が、ハンガー部2を耳に装着した際の頭頂部側となる。S1−S1断面となる部位の曲率半径はRs1で示される(図1)。
図2において、ハンガー部2は、ケーブル5と、ハンガー部2の芯線材となる線材6と、ケーブル5及び線材6を被覆する被覆部7と、被覆部7を包む樹脂部8と、を有して形成されている。
ケーブル5は、芯線5aと芯線5bとそれらを被覆する外皮部5cとからなる二芯ケーブルであり、外径は例えば1.4mmである。
芯線5a,5bは、エナメル線を用いることができる。外皮部5cの材料例は、塩化ビニル(PVC)である。
線材6の材料例は、SUS(ステンレス鋼)であり、外径は例えば、0.8mmである。
線材6は、手により所望の形状に変形可能であり、その変形した形状を維持できる特性を有している。
ケーブル5と線材6とは密着した状態で被覆部7により被覆されている。
被覆部7は、汎用の熱収縮チューブである。
樹脂部8は、被覆部7を所定の厚さで覆う樹脂層であって、材料例は熱可塑性エラストマである。
図3及び図4を用いてハンガー部2の両端部について説明する。
図3は、ハンガー部2のハウジング1から遠い側の端部近傍を、樹脂部8を断面として示した図である。
ケーブル5に対し曲率中心RC2のある側に密着した線材6の端部6t1は、ハンガー部2の端部2t1から所定の距離L1の位置にある。
被覆部7は、線材6の端部6t1を完全に覆い、ハンガー部2の端部2t1から、所定の距離L1よりも短い距離L2の位置まで被覆している。
図4は、ハンガー部2のハウジング1に近い側の端部近傍を、樹脂部8を断面として示した図である。
ケーブル5に対し曲率中心RC3のある側に密着した線材6の端部6t2は、ハンガー部2の端部2t2から所定の距離L3の位置にある。
被覆部7は、線材6の端部6t2を完全に覆い、ハンガー部2の端部2t2から、所定の距離L3よりも短い距離L4の位置まで被覆している。
ケーブル5は、樹脂部8から引き出されている。
ハンガー部2を、耳掛けハンガーとして、例えばイヤホンのオプション部品などの単体で流通させる場合は、図4に示されるように、ケーブル5の先端部を加工して芯線5a,5bが露出するようにしてもよい。
さらに露出させた芯線5a,5bにプラグやコネクタを接続してもよい。
図5は、ハンガー部2を耳掛けハンガー2Aとして単体で流通させる場合の例を示す外観図である。
耳掛けハンガー2Aは、ハンガー部2の一方の端部2t1からケーブル5の一端側が引き出されており、その先端にはプラグ5pが設けられている。
ハンガー部2の他方の端部2t2には、他の部材に係合させるための一対の爪部2kが設けられている。
また、端部2t2からはケーブル5の他端側が引き出されており、その先端の芯線5a,5bにコネクタ5nが接続されている。
ハンガー部2をハウジング1と一体化させてイヤホン50とする場合は、例えば、樹脂部8の端部2t2とハウジング1とに両者が互いに係合する係合部を形成しておいて係合によって一体化する。芯線5a,5bは、ハウジング1内に導入してスピーカSPに接続する。
上述した構成のハンガー部2は、例えば以下の方法で作成される。
予め、ハンガー部2の外形に対応したキャビティを有する射出成形用の金型を作製しておく。
〔工程1〕線材6を所定の長さに切断しておく。
〔工程2〕被覆部7となる熱収縮チューブにケーブル5と所定長の線材6とを挿通させる。
線材6は、予め所定の形状に塑性変形させておくのが望ましい。具体的には、耳介の根本におけるハンガー部2が掛かる部位の形状に近似させた湾曲変形を付与しておく。
線材6に湾曲形状を付与した場合は、ケーブル5は、線材6の外側に沿うように配置する。
〔工程3〕熱収縮チューブを所定長に切断する。具体的には、所定長は線材6の端部6t1,6t2が完全に覆われるような長さとする。また、熱収縮チューブは、収縮後に線材6の端部6t1,6t2を完全に覆える位置に配置する。
〔工程4〕熱収縮チューブを加熱し、ケーブル5と線材6とを互いに密着した状態で一体化する。以下、工程4で一体化した状態のものを、便宜的に一体化ケーブルと称する。
〔工程5〕金型のキャビティ内の所定位置に、工程4で形成した一体化ケーブルを配置し、一体化ケーブルの周囲に熱可塑性エラストマによる樹脂層を形成する。
以上の工程により、ハンガー部2が作成される。
一体化ケーブルをキャビティ内で安定的に保持するため、保持具や突き出しピンを用いてもよい。
工程5の後、必要に応じてケーブル5の末端処理や、別工程で形成したハウジング1との一体化等の工程を経て、耳掛けハンガー部HGを有するイヤホン50が作成される。
上述した耳掛けハンガー部HG及びそれを備えたイヤホン50から種々のメリットが得られる。
まず、装着感が良好である。
図2において、ハンガー部2は、ケーブル5の外径よりも線材6の外径の方が小さくなっている。被覆部7(加熱後の熱収縮チューブ)の厚さは被覆する部材の厚さに対して充分薄いので、被覆部7の外形に沿った形状で収縮している。
従って、被覆部7の断面形状は、尾側(図2の下方側)が小径弧状で頭側(図2の上方側)が大径弧状の概ね落下滴状(落下しているときの滴のような形状)を呈する(図2の姿勢については逆落下滴状)。
樹脂部8は、被覆部7に対して概ね均一の肉厚で形成されるので、ハンガー部2の断面形状も、尾側が小径弧状で頭側が大径弧状の概ね落下滴状を呈する。
すなわち、ハンガー部2は、外形幅W(図2参照)が、曲率の大となる側(曲率半径が小さい側)ほど小さくなる断面形状で形成されている。
図6は、ハンガー部2を右耳の耳介に掛けた状態を後頭部側から見た図であり、ハンガー部2を断面で示している。
図6において、ハンガー部2は耳介ERと頭部HDとの間に収められる。
耳介ERと頭部HDとの隙間の左右幅は、頭頂部(図6の上方)に向かうに従って広くなる。
従って、線材6の外径をケーブル5の外径よりも小径とし、その線材6をケーブル6に対して曲率中心側(ハンガー部2における内側)に配置して被覆部7で覆い、被覆部7に対して樹脂部8を概ね均一の肉厚で形成したことで断面形状が概ね逆落下滴状になっているハンガー部2は、極めて良好に耳介ERと頭部HDとの間に収められる。
すなわち、ハンガー部2またはそれを備えたイヤホン50は、耳への装着感が極めて良好になっている。
また、ケーブル5の長期信頼性が確保される。
ケーブル5は、線材6に巻き付けられていないので、巻き付けによる応力が発生しない。
また、耳介ERの根本に沿った湾曲形状において、ケーブル5は外側に配置されているので曲率がより小さい(曲率半径が大きい)姿勢になっている。従って、湾曲に伴ってケーブル5に生じる応力がより小さくなっている。
また、ケーブル5と線材6との相対配置が被覆部7で締め付けられているためにズレることなく維持される。すなわち、ハンガー部2を変形させても、ケーブル5の位置は常に外側に維持される。従って、長期の使用において、繰り返し変形しても、生じる応力は常に小さく維持される。
このように、ケーブル5に加わる種々の応力が小さいので、ケーブル5の導通不良や断線などの不具合が発生する可能性が極めて低い。従って、長期信頼性が確保される。
また、異常な過大外力が負荷されても不具合が生じ難い。
線材6は、被覆部7により、両端部がその被覆部7で覆われつつケーブル5に対して密着させられている。この密着は、被覆部7(熱収縮チューブ)の熱収縮に伴う締め付け力によって維持される。
従って、通常の使用状態の範囲内でハンガー部2を変形させても、線材6のケーブル5に対する径方向,周方向,及び長手方向の位置がハンガー部2の変形に伴ってずれることはない。
また、ハンガー部2やイヤホン50に対して、意図しない取り扱いなどによって異常な過大外力(例えば破壊するほどの変形力)が負荷されても、ケーブル5及び線材6は被覆部7に覆われ、さらに樹脂部8により覆われているので、線材6が外部に露出するなどの不具合が生じる虞は極めて低くなっている。
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
耳掛けハンガー部HGは、イヤホン用でなくてもよい。例えば、マイクを備えた所謂インカム用や補聴器用であってもよい。
ケーブル5はニ芯線に限定されない。例えば補聴器用の場合、ケーブル5は、マイクの出力線を含めた三本以上の芯線であってよい。
線材6の材質はSUSに限定されない。他の金属材料又は樹脂材であってもよい。さらに詳しくは、所定形状を記憶できる形状記憶合金や形状記憶樹脂であってもよい。
ハンガー部2は、同一平面内で湾曲していなくてもよい。耳介により良好に掛けられるために、三次元的に湾曲していてもよい。すなわち、頭部に対して離接する方向にも曲がっていてよい。その場合においても、線材6はケーブル5に対して曲率中心側に配設される。
すなわち、イヤホン50の装着状態において、線材6がケーブル5に対して必ずしも鉛直面内にあることを意味していない。湾曲の仕方で曲率中心が鉛直面内にない場合、線材6は曲率中心を含む平面内に位置するように配設される。
イヤホン50として右耳用のものを説明したが、一方の耳用のみを有するものに限らず、左耳用及び右耳用の一対の本体部HTを備えてステレオ音声を聴くことができるステレオタイプであってもよい。
1 ハウジング
1a 音筒部
2 ハンガー部、2A 耳掛けハンガー
2t1,2t2 端部
4 イヤーピース
5 ケーブル
5a,5b 芯線、5c 外皮部、5n コネクタ、5p プラグ
6 線材(芯線材)
6t1,6t2 端部
7 被覆部
8 樹脂部
50 イヤホン、HT 本体部、HG 耳掛けハンガー部
ER 耳介、HD 頭部
L1〜L4 距離
RC1〜RC3 曲率中心
Rs1 曲率半径
SP スピーカ
W 外形幅

Claims (4)

  1. 耳介の根本部分に掛けられる形状に湾曲したハンガー部と、
    前記ハンガー部の内部に埋め込まれると共に前記ハンガー部の一端から外部に延出しているケーブルと、を備えた耳掛けハンガーであって、
    前記ハンガー部は、内部において前記ケーブルよりも曲率の大なる側に配置された変形可能な芯線材を有すると共に、断面形状において外形幅が前記曲率の大なる側ほど小さいことを特徴とする耳掛けハンガー。
  2. 前記ケーブルの外径よりも前記芯線材の外径の方が小さいことを特徴とする請求項1記載の耳掛けハンガー。
  3. 前記ケーブルと前記芯線材とを密着させて覆う被覆部及び前記被覆部を覆う樹脂部を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の耳掛けハンガー。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の耳掛けハンガーと、
    前記ケーブルの一端側に接続されたスピーカを収納して前記耳掛けハンガーと一体的に連結されたハウジングと、
    を備えたイヤホン。
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