JP5527185B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転部材が内周面に接して回転する圧縮機に関する。
従来、この種の圧縮機においては、内周面に、ロータの回転方向に延びるポート溝を設けることによって、作動室への流体の通路面積(作動室に吸入される流体が流れる通路の面積)を確保することが公知となっている。
例えば、特許文献1には、3枚のベーンを有するヨークベーン型コンプレッサにおいて、内周面に、吸入ポートから最大吸入回転角度まで延びるポート溝を設けたものが記載されている。
特開2001−165082号公報
図12(a)は、上記特許文献1のヨークベーン型コンプレッサを示す断面図である。ここで、吸入が開始される時のロータ90の回転角度を0°としたとき、圧縮が開始されるときのロータ90の回転角度を圧縮開始角度θaと言う。
図12(a)のように、内周面91にポート溝92を設けた場合、作動室への流体の通路面積が大きくなるものの、ベーン93がポート溝92を通過するまで圧縮が開始されないので、圧縮開始角度θaが大きくなる(圧縮が遅れる)。
圧縮開始角度θaが大きくなると、ベーンを1枚のみ有するヨークベーン型コンプレッサにおいては吸入容積が減少してしまうという問題が生じる。このことを図12(b)〜(d)を用いて説明する。図12(b)、(c)は、ベーンを1枚のみ有するヨークベーン型コンプレッサにおいて内周面91にポート溝を設けていないものを示し、図12(d)は、ベーンを1枚のみ有するヨークベーン型コンプレッサにおいて内周面91にポート溝92を設けたものを示す。
図12(b)に示すように、内周面91にポート溝を設けていない場合、ベーン93が吸入ポート94を通過すると圧縮が開始される。よって、圧縮開始角度θaは比較的小さくなるので、吸入容積Va(網掛ハッチングを施した部分の容積)が比較的大きくなる。
しかしながら、図12(c)に示すように、内周面91にポート溝を設けていない場合、作動室に吸入される流体の通路幅が小さくなるので、作動室への流体の通路面積も小さくなる。
一方、図12(d)に示すように、内周面91にポート溝92を設けた場合、作動室への流体の通路面積が大きくなるものの、ベーン93がポート溝92を通過するまで圧縮が開始されないので、圧縮開始角度θaが大きくなる(圧縮が遅れる)。
その結果、吸入容積Va(網掛ハッチングを施した部分の容積)が図12(b)のものと比較して減少してしまう。吸入容積Vaを図12(b)のものと同等にしようとすれば、圧縮機全体の体格を大きくする必要がある。
しかも、圧縮開始角度θaが大きくなると、圧縮角度(圧縮開始から圧縮終了までにロータが回転する角度)が小さくなるので、圧縮が急激となりトルク変動が大きくなってしまうという問題もある。
本発明は上記点に鑑みて、内周面にポート溝を設けることなく、作動室への流体の通路面積を確保することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、所定形状の内周面(102b503a)を形成する内周面形成部材(102503)と、
内周面(102b503a)に接して回転する回転部材(4181)と、
内周面(102b503a)と回転部材(4181)との間に形成される作動室(3171)を区画する区画部材(43、44、83)と
回転部材(41、81)の軸方向端面に対向する対向面(101a、504a)を形成する対向面形成部材(101、504)とを備え、
内周面形成部材(102503)には、作動室(3171)に吸入される流体が流れる吸入通路(102d503b)が形成され、
回転部材(4181)には、作動室(3171)と吸入通路(102d503b)とを連通する吸入連通路(411811)が形成されており、
吸入連通路(411、811)は、回転部材(41、81)の外縁に沿う円弧状に形成されて回転部材(41、81)の軸方向端面に開口し、
対向面形成部材(101、504)には、対向面(101a、504a)に開口して吸入通路(102d、503b)と連通する対向面側吸入連通路(101d、504d)が形成され、
吸入連通路(411、811)は、対向面側吸入連通路(101d、504d)を介して吸入通路(102d、503b)と連通することを特徴とする。
これによると、作動室(3171)と吸入通路(102d503b)とが、回転部材(4181)の吸入連通路(411811)を介して連通するので、作動室(3171)に吸入される流体が流れる通路の面積を吸入連通路(411811)によって確保することができる。このため、内周面にポート溝を設けることなく、作動室への流体の通路面積を確保することができる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、回転部材(4181)が回転することによって、吸入連通路(411、811)と対向面側吸入連通路(101d、504d)との連通および遮断が切り替えられることを特徴とする。
これによると、吸入連通路(411、811)と対向面側吸入連通路(101d、504d)との連通および遮断を切り替えるための専用の機構を設ける場合と比べて構成を簡素化できる。
請求項に記載の発明では、請求項1または2に記載の圧縮機において、吸入連通路(411、811)の一端部(411a、811a)は、区画部材(43、44、83)に対して回転部材(4181)の回転方向前方側に位置し、
吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、区画部材(43、44、83)に対して回転部材(4181)の回転方向後方側に位置していることを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、回転部材(4181)の外周面に開口していることを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、区画部材(43、44、83)の近傍に位置していることを特徴とする。
請求項に記載の発明では、所定形状の内周面(102b、103b)を形成する内周面形成部材(102、103)と、
内周面(102b、103b)に接して回転する回転部材(41、42)と、
内周面(102b、103b)と回転部材(41、42)との間に形成される作動室(31、32)を区画する区画部材(43、44)とを備え、
内周面形成部材(102、103)には、作動室(31、32)に吸入される流体が流れる吸入通路(102d、103d)が形成され、
回転部材(41、42)には、作動室(31、32)と吸入通路(102d、103d)とを連通する吸入連通路(411、421)が形成されており、
内周面(102b、103b)、回転部材(41、42)、区画部材(43、44)、および作動室(31、32)を複数組備え、
複数個の回転部材(41、42)のうち1個の回転部材(41)は、他の回転部材(42)よりも回転位相が進んでおり、
複数個の作動室(31、32)の間を仕切る仕切り部材(105)を備え、
複数個の作動室(31、32)のうち1個の回転部材(41)によって形成される作動室(31)を上流側作動室としたとき、
仕切り部材(105)に、上流側作動室(31)から、複数個の作動室(31、32)のうち吸入行程の完了後で流体を圧縮中の他の作動室(32)に至る吐出通路(105a)が形成されていることを特徴とする。
これによると、複数個の作動室(31、32)で流体を圧縮するので、軸トルクの変動を小さく抑えることができる。しかも、回転位相の進んだ上流側作動室(31)と回転位相の遅れた他の作動室(32)とで協働して流体を圧縮するので、各作動室(31、32)における軸トルクの変動特性を異ならせることができる。このため、合成軸トルクにおける軸トルクのピークの発生を抑制することができるので、低トルク変動と低変動周波数とを両立することができる(後述する図5を参照)。
しかも、作動室(31、32)と吸入通路(102d、103d)とが回転部材(41、42)の吸入連通路(411、421)を介して連通するので、吸入面積を確保しつつ圧縮開始角度を小さくする(圧縮を早める)ことができる(後述する図9を参照)。
このため、合成軸トルクにおける軸トルクのピークの発生を容易に抑制することができるので、低トルク変動と低変動周波数とを容易に両立することができる(後述する図10を参照)。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、他の作動室(32)を下流側作動室としたとき、
上流側作動室(31)の内圧が下流側作動室(32)の内圧よりも低い場合に吐出通路(105a)を閉じる機構(41、42)を備えることを特徴とする。
これにより、下流側作動室(32)の冷媒が吐出通路(105a)を通じて上流側作動室(31)に逆流してしまうことを防止できる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において上流側作動室(31)および下流側作動室(32)は、上流側作動室(31)の軸方向に隣り合って配置され、
吐出通路(105a)を閉じる機構は、回転部材(41、42)によって構成されていることを特徴とする。
これによると、吐出通路(105a)を閉じるための専用の機構を設ける場合と比べて構成を簡素化できる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、回転部材(41、42)は、内周面(102b、103b)に内接して回転するロータであり、
区画部材(43、44)は、ロータ(41、42)の外周面から出没して内周面(102b、103b)に当接するベーンであり、
吐出通路(105a)のうち上流側作動室(31)側の端部は、上流側作動室(31)を形成するロータ(41)と重合し、
吐出通路(105a)のうち下流側作動室(32)側の端部は、下流側作動室(32)を形成するロータ(42)と重合し、
上流側作動室(31)を形成するロータ(41)には、吐出通路(105a)を上流側作動室(31)に連通させる上流側連通路(41b)が形成され、
下流側作動室(32)を形成するロータ(42)には、吐出通路(105a)を下流側作動室(32)に連通させる下流側連通路(42b)が形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項に記載の圧縮機において、上流側連通路(41b)は、上流側作動室(31)を形成するロータ(41)のうち仕切り部材(105)側の端面に形成された溝で構成され、
下流側連通路(42b)は、下流側作動室(32)を形成するロータ(42)のうち仕切り部材(105)側の端面に形成された溝で構成されていることを特徴とする。
これにより、ロータ(41、42)に対する連通路(41b、42b)の加工を容易に行うことができる。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の圧縮機において、回転部材(41、42、81)は、内周面(102b、103b、503a)に内接して回転するロータであり、
区画部材(43、44、83)は、ロータ(41、42、91)の外周面から出没して内周面(102b、103b、503a)に当接するベーンであることを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、請求項ないし11のいずれか1つに記載の圧縮機において、内周面(102b、103b)は断面正円形状になっており、
回転部材(43、44)は、内周面(102b、103b)に対して偏心して回転するロータである。このように、本発明はヨークベーン型圧縮機に適用可能である。
請求項13に記載の発明では、請求項ないし11のいずれか1つに記載の圧縮機において、内周面(503a)は断面楕円形状になっており、
回転部材(81)は、内周面(503a)に対して同心的に回転するロータである。このように、本発明はボッシュベーン型圧縮機にも適用可能である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における車両用冷凍サイクルの模式図である。 第1実施形態における圧縮機の断面図である。 図2の吐出通路を開閉する仕組みを説明する説明図である。 図3のC−C断面図およびD−D断面図である。 第1実施形態におけるボア内圧、ボア容量および軸トルクの変化を示すグラフである。 第2実施形態における圧縮機の断面図である。 図6におけるロータ側吸入連通路の動きを説明する説明図である。 第2実施形態における膨張面積および膨張面積変化を示すグラフである。 第2実施形態における吸入面積増大効果を説明する図である。 第2実施形態における軸トルク変動周波数の低減効果を説明する図である。 第3実施形態における圧縮機の断面図である。 従来技術における圧縮機の断面図である。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を説明する。図1〜図5に示す本実施形態は、本発明の適用対象となる圧縮機の基本構成を示す参考例としての実施形態である。
図1は、本実施形態の圧縮機が適用される車両用冷凍サイクルの模式図である。圧縮機(コンプレッサ)1は、冷媒(流体)を吸入して吐出する。凝縮器(放熱器)2は、圧縮機1から吐出された気相冷媒を凝縮させる。減圧器3は、凝縮器2から流出した冷媒を減圧する。減圧器であり、蒸発器4は、減圧器3にて減圧された液相冷媒を蒸発させる。蒸発器4から流出した気相冷媒は圧縮機1に吸入される。
図2は圧縮機1の断面図である。圧縮機1は、2気筒のヨークベーン型圧縮機であり、2つの気筒を形成するハウジング10(内周面形成部材)と、ハウジング10内に挿入されるシャフト11とを有している。
図2の例では、ハウジング10は、軸方向(図2(a)の左右方向)に分割された4個の分割ハウジング部材101、102、103、104と、分割ハウジング部材102、103、104相互の間に挟まれる2枚の仕切り板105、106とを、ボルト(図示せず)で締結固定することによって構成されている。分割ハウジング部材101〜104および仕切り板105、106は、アルミニウムで形成されている。
4個の分割ハウジング部材101〜104のうち軸方向中央側に配置される分割ハウジング部材102、103には、円形孔102a、103aが軸方向に貫通して形成されている。したがって、分割ハウジング部材102、103は、断面円形状(断面正円形状)の内周面102b、103bを形成する。
これに対し、軸方向一端側(図2(a)の左端側)に配置される分割ハウジング部材101には、分割ハウジング部材102の円形孔102aを閉塞する平坦面101aが形成されている。
これにより、分割ハウジング部材101〜103と仕切り板105、106との間には、2個の断面円形状の空間21、22が軸方向に直列に形成されることとなる。なお、本実施形態では、2個の断面円形状空間21、22の内径寸法および容積が互いに同じになっている。
2個の断面円形状空間21、22は、冷媒を吸入して圧縮する作動室31、32を構成する。したがって、仕切り板105、106は、2個の作動室31、32を仕切る仕切り部材としての役割を果たしている。
4個の分割ハウジング部材101〜104のうち軸方向他端側(図2(a)の左端側)に配置される分割ハウジング部材104には、軸方向一端側(図2(a)の左端側)を向いて開口する凹部104aが形成されている。
したがって、分割ハウジング部材104と仕切り板106との間に空間23が形成されることとなる。この空間23は、断面円形状空間21、22すなわち作動室31、32で圧縮された冷媒が吐出される吐出室を構成する。
シャフト11は、3個の断面円形状空間21、22の非中心部および仕切り板105、106を貫通している。シャフト11の両端側部位は、ベアリング12、13を介してハウジング10に回転可能に支持されている。
分割ハウジング部材101には、シャフト11の一端部(図2(a)の左端部)をシャフト駆動手段(図示せず)に連結するための孔101cが形成されている。孔101cの内部には、冷媒漏れを防止するためのリップシール14が配置されている。
本例では、車両走行用のエンジンをシャフト駆動手段として用いているので、シャフト11の一端側には、エンジンからの駆動力が伝達されるプーリ(図示せず)および電磁クラッチ(図示せず)が連結されている。シャフト駆動手段として電動モータを用いてもよい。
2個の断面円形状空間21、22の各々には、シャフト11に連結された円盤状のロータ41、42(回転部材)が配置されている。
ロータ41、42は、外径寸法が断面円形状空間21、22の内径寸法より小さくなっているとともに、その中心部がシャフト11に連結されている。ロータ41、42の外径寸法は、シャフト11の中心と、断面円形状空間21、22の内周面のうちシャフト11から最も近い部位(以下、最近接部と言う。)との間の距離と同一に設定されている。したがって、ロータ41、42は、断面円形状空間21、22の最近接部に内接しながら回転することができる。換言すれば、ロータ41、42は、断面正円形状の内周面102b、103bに対して内接状態で偏心回転する。本実施形態では、ロータ41、42の外形寸法は互いに同じになっている。
内周面102b、103bとロータ41、42との間には、冷媒を吸入して圧縮する作動室31、32が形成される。以下では、説明の便宜上、軸方向一端側の作動室31を1段目作動室、軸方向他端側の作動室32を2段目作動室と言う。
ロータ41、42の外周面には、ロータ41、42の内側に向かって窪んだ凹部41a、42aが形成されている。凹部41a、42aは、ロータ41、42の軸方向全長に亘って溝状に形成されている。
凹部41a、42aには、板状のベーン43、44(区画部材)が摺動可能(出没可能)に挿入されている。凹部41a、42aには、ベーン43、44を内周面102b、103bに向かって付勢するスプリング(図示せず)が配置されている。
スプリング(図示せず)の付勢力によって、ベーン43、44は、ロータ41、42の回転位置に応じてロータ41、42の外周面から出没して内周面102b、103bに当接する。したがって、作動室31、32は、ベーン43、44によって2つの空間に区画される。
以下では、説明の便宜上、ベーン43、44が内周面102b、103bの最近接部に当接するときのロータ41、42の回転角度を0°と定義する(図3(a)を参照)。本実施形態では、2個のロータ41、42は、相互間の回転位相差が均等になるようにシャフト11に連結されている。すなわち、ロータ41、42相互の回転位相差は、360°/2=180°に設定されている。
図2(b)、(c)に示すように、分割ハウジング部材104には、蒸発器4から流出した冷媒(未圧縮冷媒)を吸入する吸入口15が形成されている。図2(b)に示すように、分割ハウジング部材102には、吸入口15から吸入された冷媒を作動室31に供給する吸入通路102dが形成されている。
吸入通路102dは、内周面102bに開口している。本例では、吸入通路102dの配置位置は、ロータ41の回転角度で表すと約10〜30°の所になっている(図3を参照)。
図2(c)に示すように、分割ハウジング部材103にも、吸入通路102dと同様の吸入通路103dが形成されている。吸入通路103dの配置位置および形状等は吸入通路102dと同様である。
図2(a)、(b)に示すように、仕切り板105には、隣り合う作動室31、32同士を連通する吐出通路105aが形成されている。本実施形態では、吐出通路105aが3個形成されている。3個の吐出通路105aの配置位置は、ロータ41、42の回転角度で表すと約270°、約310°、約350°の所になっている(図3を参照)。吐出通路105aは、仕切り板105の表裏を貫通する円形孔で構成されている。
吐出通路105aは、ロータ41、42によって開閉される。図3は、吐出通路105aをロータ41、42によって開閉する仕組みを説明する説明図であり、ロータ41、42が1回転する間の作動を回転角度30°毎に示している。
図4(a)は、図3(a)のC−C断面図であり、吐出通路105aがロータ41、42によって閉じられている状態を例示している。図4(b)は、図3(i)のD−D断面図であり、吐出通路105aがロータ41、42によって開かれている状態を例示している。
ロータ41には、吐出通路105aを1段目作動室31に連通させるための連通路41bが形成されている。図4に示すように、連通路41bは、ロータ41のうち仕切り板105側の端面に形成された溝で構成されている。具体的には、連通路41bは、ベーン43の近傍部位からロータ41、42の周方向に円弧状に延びる周方向溝と、周方向溝のうちベーン43側の端部から径方向外側に向かって延びてロータ41、42の外周面に到達する径方向溝とで構成されている。周方向溝は、3個の吐出通路105aのうち隣接する2つの吐出通路105aに同時に重合できる長さを有している。
同様に、ロータ42には、吐出通路105aを2段目作動室32に連通させるための連通路42bが、ロータ41の連通路42bと同形状かつ重合するように形成されている。
図3において、ロータ41、42は時計回り方向に回転する。以下では、説明の便宜上、ロータ41、42の回転方向を単に回転方向と言う。また、ロータ41の回転角度を1段目の回転角度と言い、ロータ42の回転角度を2段目の回転角度と言う。
図3(a)〜(h)に示す1段目の回転角度が0°〜210°かつ2段目の回転角度=180°〜30°の場合には、図4(a)に例示するように吐出通路105aが閉じられる。すなわち、吐出通路105aの両端部がロータ41、42によって塞がれる。
一方、図3(i)〜(l)に示す1段目の回転角度=240°〜330°かつ2段目の回転角度=60°〜150°の場合には、図4(b)に例示するように吐出通路105aが開かれる。すなわち、吐出通路105aの両端部がロータ41、42の連通路41b、42bと重合するので、吐出通路105aが両作動室31、32に連通することとなる。
図2(a)に示す仕切り板106には、作動室32と吐出室23とを連通する最終吐出通路(図示せず)が形成されている。仕切り板106には、最終吐出通路を開閉する吐出弁(図示せず)が配置されている。図2の例では、吐出弁としてリード弁が用いられており、吐出弁の開度を規制するリテーナ16が仕切り板106に配置されている。吐出室23の冷媒は、ハウジング10に形成された吐出口(図示せず)から凝縮器2に向けて吐出される。
次に、上記構成における作動を説明する。シャフト駆動手段(図示せず)がシャフト11を回転駆動するとロータ41、42が回転する。ロータ41、42の回転によって、作動室31、32毎に吸入行程と圧縮行程とが繰り返し行われる。
ここで、吸入行程は、作動室31、32が吸入通路102d、103dと連通状態になって、吸入通路102d、103dからの未圧縮冷媒が作動室31、32に吸入される行程である。圧縮行程は、作動室31、32が吸入通路102d、103dと非連通状態になって、作動室31、32において冷媒が圧縮される行程である。
上述のごとく、作動室31、32はベーン43、44によって2つの空間に区画される。この2つの空間のうち一方の空間で吸入行程が行われ、他方の空間で圧縮行程が行われる。
このことを図3に基づいて具体的に説明する。ここでは1段目作動室31についてのみ説明するが、2段目作動室32についても基本的作動は同様である。
図3(b)〜(l)に示す1段目の回転角度≠0°のときには、作動室31に形成される2つの空間のうちベーン43に対して反回転方向側(反時計回り方向側)に位置する空間で吸入行程が行われ、もう1つの空間、すなわちベーン43に対して回転方向側(時計回り方向側)に位置する空間で圧縮行程が行われる。
作動室31の一方の空間が吸入通路102dと連通状態になったときに吸入行程が始まる。そして、作動室31の一方の空間が吸入通路102dと非連通状態になったときに吸入行程が終了すると同時に圧縮行程が開始される。
圧縮行程の終了は、図3(a)に示す1段目の回転角度=0°になったときである。すなわち、1段目の回転角度=0°のときには、ベーン43が断面円形状空間21、22の内周面の最近接部によってロータ41の外周面と同一面上まで押し込まれるので、圧縮行程が行われる空間の容積が零になって圧縮行程が終了する。
このように、作動室31の2つの空間のうち1つの空間に着目すれば、シャフト11が2回転する間に吸入行程および圧縮行程が1サイクル行われることとなる。一方、作動室31全体に着目すれば、吸入行程および圧縮行程は作動室31の2つの空間で並行して行われるので、シャフト11が1回転する間に吸入行程および圧縮行程が1回ずつ行われることとなる。
上述のごとく図3(i)〜(l)に示す1段目の回転角度が240°〜330°の場合には吐出通路105aが開かれる。これにより、1段目作動室31において圧縮された冷媒は、吐出通路105aを通じて、隣り合う2段目作動室32に吐出される。
上述のごとく2段目作動室32では1段目作動室31に対して回転位相が180°遅れているので、吐出通路105aが開かれるときの2段目の回転角度は60°〜150°である。
このため、2段目作動室32の2つの空間のうち圧縮行程中の空間(吸入行程完了後で圧縮中の空間)に、1段目作動室31で圧縮された冷媒が供給される。その結果、2段目作動室32では、吸入通路102dから供給された未圧縮冷媒に、1段目作動室31で圧縮された圧縮冷媒が混合されて圧縮されることとなる。
そして、2段目作動室32の内圧が所定圧力以上に達すると、吐出弁(図示せず)が開くので、2段目作動室32で圧縮された冷媒が吐出室23に吐出される。
ここで、2段目の回転角度が180°〜330°の場合は、1段目作動室31の回転角度が0°〜150°である。すなわち、この場合には1段目作動室31では圧縮行程が終了して吸入行程になっているので、1段目作動室31の内圧は2段目作動室32の内圧よりも低くなっている。
このとき、図3(a)〜(f)に示すように吐出通路105aは閉じられているので、2段目作動室32の冷媒が吐出通路105aを通じて1段目作動室31に逆流してしまうことが防止される。
図5(a)は、上記作動におけるボア内圧(作動室の2つの空間のうち圧縮行程中の空間の内圧)の変動を示すグラフである。図5(a)の横軸の回転角度は、1段目の回転角度を示している。図5(a)の破線は、別の参考例として、作動室の総容量が本実施形態と同一かつ作動室が1つのみ(1気筒)のヨークベーン型圧縮機におけるボア内圧の変動を示している。
上述のごとく作動室31、32相互間には180°の位相差が設定されているので、各作動室31、32で圧縮行程が行われる期間は180°ずつずれることとなる。
したがって、回転角度=0°〜180°では1段目作動室31のみで冷媒を圧縮し、回転角度=180°〜360°では1、2段目作動室31、32で冷媒を圧縮し、回転角度=360°〜540°では2段目作動室32のみで冷媒を圧縮することとなる。
1段目作動室31のみで冷媒を圧縮する回転角度=0°〜180°では、参考例と同様にボア内圧が上昇する。
1、2段目作動室31、32で冷媒を圧縮する回転角度=180°〜360°のうち、回転角度=180°〜210°では吐出通路105aがまだ開かれておらず、1段目作動室31と2段目作動室32とが隔絶されている。
このため、1段目作動室31では、引き続いて参考例と同様にボア内圧が上昇する一方、2段目作動室32では未圧縮冷媒のみが圧縮されるので2段目作動室32の内圧が1段目作動室31の内圧よりも低くなる。
そして、回転角度=210°〜360°では吐出通路105aが開かれることによって、1段目作動室31の内圧と2段目作動室32の内圧とが均圧した後に1、2段目作動室31、32の内圧が上昇することとなる。このため、参考例と比べてボア内圧の上昇が緩やかになる。
なお、回転角度=約360°以降でボア内圧の上昇が止まるのは、ボア内圧が吐出弁(図示せず)の開弁圧(所定圧力)に達して吐出弁が開くためである。
図5(a)から分かるように、本実施形態では圧縮行程が540°(360°+180°)で完了するので、圧縮行程が360°で完了する1気筒の参考例と比べてボア内圧の上昇を緩やかにすることができる。このため、参考例と比べてトルク変動を大幅に低減できるとともに、トルク変動周波数において1次成分を主成分とすることができる。ここで、1次成分とは、回転角度360°(ロータが1回転)当たりを1周期として1回発生する成分のことを意味する。
この効果について詳しく説明する。図5(b)は、上記作動におけるボア容量(作動室の2つの空間のうち圧縮行程中の空間の容量)の変動を作動室31、32毎に示したグラフである。図5(c)は、上記作動における軸トルクの変動を作動室31、32毎に示したグラフである。図5(d)は、図5(c)における各作動室31、32の軸トルクを合成した合成軸トルクを示したグラフである。
ここで、軸トルクは、シャフト11を駆動するために必要なトルクのことであり、ボア容量の変動量およびボア内圧と関係がある。具体的には、ボア容量の変動量およびボア内圧が大きい場合に軸トルクが大きくなる。
したがって、図5(a)に示すボア内圧、および図5(b)に示す各作動室31、32のボア容量の変動特性から図5(c)に示す各作動室31、32の軸トルクを求めることができ、さらに図5(c)に示す各作動室31、32の軸トルクを合成することによって図5(d)に示す合成軸トルクを求めることができる。なお、図5(c)、(d)の破線は、上記参考例、すなわち作動室の総容量が本実施形態と同一かつ1気筒のヨークベーン型圧縮機における軸トルクを示している。
本実施形態では、図5(c)に示すように各作動室31、32における軸トルクの変動特性が互いに顕著に異なるので、図5(d)に示すように合成軸トルクの変動を小さく抑えることができるとともに、合成軸トルクにおいて各作動室31、32の圧縮行程毎に大きなピークが発生することを回避して主たるピークの発生を回転角度360°につき1回のみに抑えることができる。
このため、低トルク変動および低変動周波数という従来背反していた特性を両立することができる。そして、低トルク変動を実現することによって、ヨークベーン型圧縮機の作動をスムーズにして振動を低減することができる。また、低変動周波数を実現することによって、エンジンルームに配置される各種補機等との共振を抑制することができる。
また、本実施形態によると、吐出通路105aは、下流側作動室32が吸入行程中の場合に閉じられるので、上流側作動室31から下流側作動室32に吐出された冷媒が下流側作動室32の吸入通路103dに逆流してしまうことを防止できる。
また、本実施形態によると、吐出通路105aは、上流側作動室31の内圧が下流側作動室32の内圧よりも低くなっている場合に閉じられるので、下流側作動室32の冷媒が吐出通路105aを通じて上流側作動室31に逆流してしまうことを防止できる。
しかも、本実施形態によると、吐出通路105aが仕切り板106に形成されているとともに、ロータ41、42に、吐出通路105aを両作動室31、32に連通させるための連通路41b、42bが形成されているので、上述のような複雑なタイミングでの吐出通路105aの開閉をロータ41、42によって行うことができる。換言すれば、吐出通路105aを閉じる機構をロータ41、42によって構成することができる。
このため、吐出通路105aを閉じるための専用の機構(例えば弁機構)を設ける場合と比べて構成を簡素化でき、ひいては部品点数の削減およびコストの低減を図ることができる。
特に、本実施形態では、吐出通路105aは、仕切り板106を貫通する単純な円形孔で構成され、上流側連通路41bおよび下流側連通路42bは、ロータ41、42の端面に形成された溝で構成されているので、吐出通路105aおよび両連通路41b、42bの加工を容易に行うことができる。
また、上流側連通路41bおよび下流側連通路42bは、3個の吐出通路105aのうち隣接する2つの吐出通路105aに同時に重合できる長さを有しているので、回転角度=210°〜360°の全範囲にわたって吐出通路105aを開き続けることができる。このため、1段目作動室31で圧縮された冷媒を2段目作動室32へ安定して吐出することができる。
また、上流側連通路41bはベーン43の近傍に形成されているので、1段目作動室31から2段目作動室32への冷媒の吐出を、1段目作動室31の圧縮行程の最後(回転角度:360°)まで良好に行うことができる。
また、本実施形態によると、2個の作動室31、32が協働して冷媒を圧縮するので、最終的な冷媒の吐出は2段目の作動室32から行われ、1段目の作動室31からは行われない。このため、吐出弁(図示せず)および吐出室23が1個ずつで済む。したがって、例えば2個(複数個)の作動室が互いに独立して冷媒を圧縮するために吐出弁および吐出室が2個(複数個)ずつ必要になるものと比較して、部品点数の削減によるコスト低減および体格の小型化を図ることができる。
(第2実施形態)
本第2実施形態では、上記第1実施形態の圧縮機1に対して、ロータ側吸入連通路411、421(吸入連通路)およびハウジング側吸入連通路101d、106a(対向面側吸入連通路)を追加している。
ロータ側吸入連通路411はロータ41に形成され、ロータ側吸入連通路421はロータ42に形成されている。ハウジング側吸入連通路101dは分割ハウジング部材101に形成され、ハウジング側吸入連通路106aは仕切り板106に形成されている。
ロータ側吸入連通路411およびハウジング側吸入連通路101dは、1段目作動室31に冷媒を流入させるための冷媒通路を構成している。同様に、ロータ側吸入連通路421およびハウジング側吸入連通路106aは、2段目作動室32に冷媒を流入させるための冷媒通路を構成している。
ロータ側吸入連通路421およびハウジング側吸入連通路106aの構造は、ロータ側吸入連通路411およびハウジング側吸入連通路101dの構造と同様であるので、以下ではロータ側吸入連通路411およびハウジング側吸入連通路101dの構造を説明し、ロータ側吸入連通路421およびハウジング側吸入連通路106aの構造については説明を省略する。
ロータ側吸入連通路411は、ロータ41のうち分割ハウジング部材101側の端面(軸方向一端側の平坦面)に溝状に形成されている。本例では、ロータ側吸入連通路411は、ロータ41の外縁に沿う円弧状(C字状)に形成されている。
ロータ側吸入連通路411の一端部411aは、ベーン43に対してロータ41の回転方向前方側(図6(b)の時計回り方向側)に位置しており、ロータ41の外縁よりも内側で終端している。すなわち、ロータ側吸入連通路411の一端部411aは、1段目作動室31に連通していない。
ロータ側吸入連通路411の他端部411bは、ベーン43に対してロータ41の回転方向後方側(図6(b)の反時計回り方向側)に位置しており、ロータ41の外縁に到達してロータ41の外周面に開口している。すなわち、ロータ側吸入連通路411の他端部411bは、1段目作動室31に連通している。
ハウジング側吸入連通路101dは、分割ハウジング部材101(対向面形成部材)のうちロータ42の軸方向端面と対向する平坦面101a(対向面)に溝状に形成されており、その一端部が分割ハウジング部材102の吸入通路102dと連通し、その他端部がロータ側吸入連通路411と連通可能になっている。
図7(a)、(b)に示すように、ロータ41の回転角度が0°〜45°の場合には、ロータ側吸入連通路411はハウジング側吸入連通路101dと連通(重合)しない。このため、吸入通路102dからの未圧縮冷媒は直接作動室31、32に吸入されるだけで、ハウジング側吸入連通路101dおよびロータ側吸入連通路411を通じて作動室31、32に吸入されることはない。
図7(c)〜(h)に示すように、ロータ41の回転角度が90°〜315°の場合には、ロータ側吸入連通路411はハウジング側吸入連通路101dと連通(重合)する。このため、吸入通路102dからの未圧縮冷媒は直接作動室31、32に吸入されるとともに、ハウジング側吸入連通路101dおよびロータ側吸入連通路411を通じて作動室31、32に吸入される。
ロータ側吸入連通路411、421を円弧状にすることにより、360°に近い回転角度まで吸入通路を確保することができる。図8(b)に示すように、ロータ側吸入連通路411、421とハウジング側吸入連通路101dとの連通が終了(遮断)する角度(吸入連通溝連通終了角度)は、図8(a)に示すΔ膨張面積(回転角度に対する膨張面積の変化量)が十分に小さくなった角度にするのが望ましい。
図9に示すように、ハウジング側吸入連通路101dおよびロータ側吸入連通路411が設けられている本実施形態では、ハウジング側吸入連通路101dおよびロータ側吸入連通路411を設けていない比較例に比べて冷媒の吸入面積を大きくすることができる。
すなわち、比較例では、吸入面積=吸入隙間×ボア長であるのに対し、本実施形態では、吸入面積=吸入隙間×ボア長+吸入溝面積であるので、吸入溝面積の分、冷媒の吸入面積を大きくすることができる。なお、吸入隙間とは、図9(b)に示すように、吸入通路102dの出口とロータ41の外周面との間の隙間の寸法であり、ボア長とは、図9(c)に示すように、作動室31の軸方向寸法である。なお、図9(b)では、図示の都合上、断面ハッチングを省略している。
したがって、本実施形態では、圧縮開始角度を早めても吸入面積を確保できるので、性能と小型化とを両立できる。
さらに、本実施形態では、吸入面積を確保しつつ圧縮開始角度を小さくする(圧縮を早める)ことができるので、トルク変動周波数において1次成分を主成分とすることが容易になる。すなわち、図10に示すように、圧縮開始角度が45°である場合には、圧縮開始が遅いので1段目から2段目への吐出時期が遅れて1段目のボア内圧が上がりすぎてしまい、その結果、トルク変動が狙い通りの1次成分の特性ではなく2次成分の特性となってしまうのに対し、圧縮開始角度が20°である場合には、圧縮開始が早いので1段目から2段目への吐出時期が早くなって1段目のボア内圧が小さくなり、その結果、トルク変動が狙い通りの1次成分の特性となる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、本発明をヨークベーン型圧縮機に適用した例を示したが、本第3実施形態では、本発明をボッシュベーン型圧縮機に適用している。ボッシュベーン型圧縮機は、ロータが断面楕円形状の内周面に接しながら回転することによって冷媒を圧縮するものである。
以下では、上記第2実施形態と異なる部分について説明し、上記第2実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図11(a)に示すように、本実施形態のボッシュベーン型圧縮機は、1つの気筒を有している。ハウジング50(内周面形成部材)は、フロントハウジング501と、リヤハウジング502と、ロータハウジング503と、2枚のサイドプレート504、505とを有している。
ロータハウジング503には、楕円形穴を形成する内周面503aが形成されている。2枚のサイドプレート504、505には、ロータハウジング503の楕円形穴を閉塞する平坦面が形成されている。
これにより、ロータハウジング503とサイドプレート504、505との間には、断面楕円形状の空間61が形成されることとなる。断面楕円形状の空間61は、冷媒を吸入して圧縮する作動室71を構成する。
シャフト51は、断面楕円形状の空間61の中心部を貫通している。断面楕円形状の空間61には、シャフト51に連結された円盤状のロータ81(回転部材)が配置されている。
ロータ81は、外径寸法が断面楕円形状空間61の短径寸法と同じになっているとともに、その中心部がシャフト51に連結されている。したがって、ロータ81は、断面楕円形状空間61の短径部においてロータハウジング503の内周面503aに内接しながら、断面楕円形状の空間61に対して同心的に回転することができる。内周面503aとロータ81との間には、三日月状の作動室71が2つ形成される。
ロータ81の外周面には2つの凹部81aが形成されており、2つの凹部81aのそれぞれには、板状のベーン83(区画部材)が摺動可能(出没可能)に挿入されている。ベーン83により、作動室71が2つに区画される。
ロータ側吸入連通路811(吸入連通路)は、ロータ81のうちサイドプレート504側の端面(平坦面)に形成されている。ロータ側吸入連通路811は、2つの作動室71に対応して2つ形成されている。本例では、ロータ側吸入連通路811は、ロータ81の外縁に沿う円弧状(C字状)に形成されている。
ロータ側吸入連通路811の一端部811aは、一方のベーン83に対してロータ81の回転方向前方側(図11(b)の時計回り方向側)に位置しており、ロータ81の外縁よりも内側で終端している。すなわち、ロータ側吸入連通路811の一端部811aは、作動室71に連通していない。
ロータ側吸入連通路811の他端部811bは、他方のベーン83に対してロータ81の回転方向後方側(図11(b)の反時計回り方向側)に位置しており、ロータ81の外縁に到達してロータ81の外周面に開口している。すなわち、ロータ側吸入連通路811の他端部811bは、作動室71に連通している。
ハウジング側吸入連通路504d(対向面側吸入連通路)は、サイドプレート504(対向面形成部材)のうちロータ81の軸方向端面と対向する平坦面504a(対向面)に、2つのロータ側吸入連通路811に対応して2つ形成されており、その一端部がロータハウジング503の吸入通路503bと連通し、その他端部がロータ側吸入連通路811と連通可能になっている。
図11(b)は、ロータ側吸入連通路811がハウジング側吸入連通路504dと連通(重合)している状態を示している。この状態では、吸入通路503bからの未圧縮冷媒は直接作動室71に吸入されるとともに、ハウジング側吸入連通路504dおよびロータ側吸入連通路811を通じて作動室71に吸入される。
図11(c)は、ロータ側吸入連通路811がハウジング側吸入連通路504dと連通(重合)していない状態を示している。この状態では、吸入通路503bからの未圧縮冷媒は直接作動室71に吸入されるだけで、ハウジング側吸入連通路504dおよびロータ側吸入連通路811を通じて作動室71に吸入されることはない。
本実施形態においても、上記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(他の実施形態)
(1)上記第2、第3実施形態では、ロータ側吸入連通路411、811がロータ41、81の端面に溝状に形成されているが、ロータ側吸入連通路411、811がロータ41、81の内部に穴状に形成されていてもよい。
同様に、上記第2、第3実施形態では、ハウジング側吸入連通路101d、504dがハウジング10、50の平坦面101a、504aに溝状に形成されているが、ハウジング側吸入連通路101d、504dがハウジング10、50の内部に穴状に形成されていてもよい。
この場合には、例えばロータ側吸入連通路411、811の一部がロータ41、81の端面に開口し、ハウジング側吸入連通路101d、504dの一部がハウジング10、50の平坦面101a、504aに開口していれば、ロータ側吸入連通路411、811とハウジング側吸入連通路101d、504dとが連通可能となる。
なお、ハウジング側吸入連通路101d、504dは必須ではなく、ロータ側吸入連通路411、811が吸入通路102d、503bと直接連通するようになっていてもよい。
(2)上記第1、第2実施形態は、吐出通路105a、106aの配置および形状の一例を示したものに過ぎず、吐出通路105a、106aの配置および形状を種々変形可能である。
(3)上記第1、第2実施形態では、吐出通路105a、106aをローリングピストン31〜33またはロータ41、42によって開閉するようになっているが、吐出通路105a、106aを弁機構(例えばリード弁や電磁弁等)によって開閉するようにしてもよい。
例えば、吐出通路をハウジングに形成して吐出通路を弁機構によって開閉するようにしてもよい。また、吐出通路をベーンに形成し、ベーンの出没によって吐出通路が開閉されるようにしてもよい。また、吐出通路をシャフトに形成し、シャフトの回転によって吐出通路が開閉されるようにしてもよい。
(4)上記第1、第2実施形態では、内周面102b、103bがハウジング10、50によって形成されているが、ハウジングにシリンダブロックを収容し、シリンダブロックに内周面102b、103bを形成するようにしてもよい。
(5)上記第2実施形態では、本発明を2気筒のヨークベーン型圧縮機に適用した例を示したが、これに限定されることなく、気筒を3個以上有するヨークベーン型圧縮機にも本発明を適用可能である。
(6)上記第3実施形態では、本発明を1気筒のボッシュベーン型圧縮機に適用した例を示したが、これに限定されることなく、気筒を2個以上有するボッシュベーン型圧縮機にも本発明を適用可能である。
(7)上記第3実施形態では、断面楕円形状の内周面を有するボッシュベーン型圧縮機に本発明を適用した例を示したが、内周面の断面形状が厳密な楕円形状でなくてもよく、略楕円状の特殊プロフィール形状になっていてもよい。
(8)本発明の適用対象となる圧縮機は、ヨークベーン型圧縮機やボッシュベーン型圧縮機に限定されるものではなく、回転部材が所定形状の内周面に接して回転する種々の回転型圧縮機に本発明を広く適用可能である。
(9)上記各実施形態では、車両用冷凍サイクルの冷媒を圧縮する圧縮機に本発明を適用した例を示したが、これに限定されることなく、種々の流体を圧縮する圧縮機に本発明を広く適用可能である。
31、32 作動室
41、42 ロータ(回転部材)
43、44 ベーン(区画部材)
101 分割ハウジング部材(対向面形成部材)
102、103 分割ハウジング部材(内周面形成部材)
102b、103b 内周面
105 仕切り板(仕切り部材)
105a 吐出通路
105b 貫通孔部
105c 溝部
102d 吸入通路
411 ロータ側吸入連通路(吸入連通路)
101a 平坦面(対向面)
101d ハウジング側吸入連通路(対向面側吸入連通路)

Claims (13)

  1. 所定形状の内周面(102b503a)を形成する内周面形成部材(102503)と、
    前記内周面(102b503a)に接して回転する回転部材(4181)と、
    前記内周面(102b503a)と前記回転部材(4181)との間に形成される作動室(3171)を区画する区画部材(43、44、83)と
    前記回転部材(41、81)の軸方向端面に対向する対向面(101a、504a)を形成する対向面形成部材(101、504)とを備え、
    前記内周面形成部材(102503)には、前記作動室(3171)に吸入される流体が流れる吸入通路(102d503b)が形成され、
    前記回転部材(4181)には、前記作動室(3171)と前記吸入通路(102d503b)とを連通する吸入連通路(411811)が形成されており、
    前記吸入連通路(411、811)は、前記回転部材(41、81)の外縁に沿う円弧状に形成されて前記回転部材(41、81)の前記軸方向端面に開口し、
    前記対向面形成部材(101、504)には、前記対向面(101a、504a)に開口して前記吸入通路(102d、503b)と連通する対向面側吸入連通路(101d、504d)が形成され、
    前記吸入連通路(411、811)は、前記対向面側吸入連通路(101d、504d)を介して前記吸入通路(102d、503b)と連通することを特徴とする圧縮機。
  2. 前記回転部材(4181)が回転することによって、前記吸入連通路(411、811)と前記対向面側吸入連通路(101d、504d)との連通および遮断が切り替えられることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  3. 前記吸入連通路(411、811)の一端部(411a、811a)は、前記区画部材(43、44、83)に対して前記回転部材(4181)の回転方向前方側に位置し、
    前記吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、前記区画部材(43、44、83)に対して前記回転部材(4181)の回転方向後方側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、前記回転部材(4181)の外周面に開口していることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  5. 前記吸入連通路(411、811)の他端部(411b、811b)は、前記区画部材(43、44、83)の近傍に位置していることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  6. 所定形状の内周面(102b、103bを形成する内周面形成部材(102、103と、
    前記内周面(102b、103bに接して回転する回転部材(41、42と、
    前記内周面(102b、103bと前記回転部材(41、42との間に形成される作動室(31、32を区画する区画部材(43、44とを備え、
    前記内周面形成部材(102、103には、前記作動室(31、32に吸入される流体が流れる吸入通路(102d、103dが形成され、
    前記回転部材(41、42には、前記作動室(31、32と前記吸入通路(102d、103dとを連通する吸入連通路(411、421が形成されており、
    前記内周面(102b、103b)、前記回転部材(41、42)、前記区画部材(43、44)、および前記作動室(31、32)を複数組備え、
    複数個の前記回転部材(41、42)のうち1個の回転部材(41)は、他の前記回転部材(42)よりも回転位相が進んでおり、
    複数個の前記作動室(31、32)の間を仕切る仕切り部材(105)を備え、
    複数個の前記作動室(31、32)のうち前記1個の回転部材(41)によって形成される作動室(31)を上流側作動室としたとき、
    前記仕切り部材(105)に、前記上流側作動室(31)から、複数個の前記作動室(31、32)のうち吸入行程の完了後で前記流体を圧縮中の他の作動室(32)に至る吐出通路(105a)が形成されていることを特徴とする圧縮機。
  7. 前記他の作動室(32)を下流側作動室としたとき、
    前記上流側作動室(31)の内圧が前記下流側作動室(32)の内圧よりも低い場合に前記吐出通路(105a)を閉じる機構(41、42)を備えることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  8. 前記上流側作動室(31)および前記下流側作動室(32)は、前記上流側作動室(31)の軸方向に隣り合って配置され、
    前記吐出通路(105a)を閉じる機構は、前記回転部材(41、42)によって構成されていることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  9. 前記回転部材(41、42)は、前記内周面(102b、103b)に内接して回転するロータであり、
    前記区画部材(43、44)は、前記ロータ(41、42)の外周面から出没して前記内周面(102b、103b)に当接するベーンであり、
    前記吐出通路(105a)のうち前記上流側作動室(31)側の端部は、前記上流側作動室(31)を形成する前記ロータ(41)と重合し、
    前記吐出通路(105a)のうち前記下流側作動室(32)側の端部は、前記下流側作動室(32)を形成する前記ロータ(42)と重合し、
    前記上流側作動室(31)を形成する前記ロータ(41)には、前記吐出通路(105a)を前記上流側作動室(31)に連通させる上流側連通路(41b)が形成され、
    前記下流側作動室(32)を形成する前記ロータ(42)には、前記吐出通路(105a)を前記下流側作動室(32)に連通させる下流側連通路(42b)が形成されていることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  10. 前記上流側連通路(41b)は、前記上流側作動室(31)を形成する前記ロータ(41)のうち前記仕切り部材(105)側の端面に形成された溝で構成され、
    前記下流側連通路(42b)は、前記下流側作動室(32)を形成する前記ロータ(42)のうち前記仕切り部材(105)側の端面に形成された溝で構成されていることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  11. 前記回転部材(41、42、81)は、前記内周面(102b、103b、503a)に内接して回転するロータであり、
    前記区画部材(43、44、83)は、前記ロータ(41、42、91)の外周面から出没して前記内周面(102b、103b、503a)に当接するベーンであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の圧縮機。
  12. 前記内周面(102b、103b)は断面正円形状になっており、
    前記回転部材(43、44)は、前記内周面(102b、103b)に対して偏心して回転するロータであることを特徴とする請求項ないし11のいずれか1つに記載の圧縮機。
  13. 前記内周面(503a)は断面楕円形状になっており、
    前記回転部材(81)は、前記内周面(503a)に対して同心的に回転するロータであることを特徴とする請求項ないし11のいずれか1つに記載の圧縮機。
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