JP5526381B2 - セスキテルペン変換酵素遺伝子及びそれを利用した酸化セスキテルペンの製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕以下の(a)、(b)、(c)、又は(d)に示す遺伝子、
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPH-シトクロムP450還元酵素の存在下でα-フムレンを8-ヒドロキシ-α-フムレンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(c)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(d)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNADPH-シトクロムP450還元酵素の存在下でα-フムレンを8-ヒドロキシ-α-フムレンに変換する活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子。
〔2〕以下の(e)、(f)、(g)、又は(h)に示す遺伝子、
(e)配列番号4記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(f)配列番号4記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ8-ヒドロキシ-α-フムレンをゼルンボンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(g)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(h)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ8-ヒドロキシ-α-フムレンをゼルンボンに変換する活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子。
〔3〕〔1〕もしくは〔2〕に記載のいずれか一方の遺伝子、又は〔1〕及び〔2〕に記載の両方の遺伝子を導入し、発現させた組換え大腸菌。
〔4〕〔1〕に記載の遺伝子又は〔1〕及び〔2〕に記載の両方の遺伝子に加えて、以下の(1)〜(4)の遺伝子を導入し発現させた組換え大腸菌、
(1)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(2)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(3)NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子、
(4)ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子。
〔5〕メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子が、ストレプトミセス属CL190株由来の遺伝子群である〔4〕に記載の組換え大腸菌。
〔6〕NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、シロイヌナズナ由来のATR2遺伝子である〔4〕又は〔5〕に記載の組換え大腸菌。
〔7〕NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、以下の(i)、(j)、(k)、又は(l)に示す遺伝子である〔4〕又は〔5〕に記載の組換え大腸菌、
(i)配列番号6記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(j)配列番号6記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(k)配列番号5記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(l)配列番号5記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子。
〔8〕NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、以下の(m)、(n)、(o)、又は(p)に示す遺伝子である〔4〕又は〔5〕に記載の組換え大腸菌、
(m)配列番号8記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(n)配列番号8記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(o)配列番号7記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、
(p)配列番号7記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子。
〔9〕ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子が、ハナショウガ由来のZSS1遺伝子である〔4〕乃至〔8〕のいずれかに記載の組換え大腸菌。
〔10〕〔4〕乃至〔9〕のいずれかに記載の組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から8-ヒドロキシ-α-フムレン又はゼルンボンを得ることを特徴とする、酸化セスキテルペンの製造方法。
〔11〕以下の(1)〜(3)及び(4A)の遺伝子、並びに(X)の遺伝子候補を導入し発現させた組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から変換されたセスキテルペンを調製し、その変換されたセスキテルペンの化学構造を解析することにより、セスキテルペン変換酵素の触媒機能を同定することを特徴とする、セスキテルペン変換酵素遺伝子の機能解析方法、
(1)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(2)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(3)NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子、
(4A)ファルネシル二リン酸からセスキテルペンを合成する酵素の遺伝子、
(X)セスキテルペン変換酵素遺伝子候補。
〔12〕ファルネシル二リン酸からセスキテルペンを合成する酵素の遺伝子が、ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子である〔11〕に記載のセスキテルペン変換酵素遺伝子の機能解析方法。
培地中に添加されたD-メバロノラクトン(D-mevalonolactone;自然にD-メバロン酸に変換される)を利用するためには、それを基質とするメバロン酸キナーゼから始まる4つのメバロン酸経路遺伝子、すなわち、メバロン酸キナーゼ(mevalonate kinase;MVA kinase)、ホスホメバロン酸キナーゼ(phosphomevalonate kinase; PMVA kinase)、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(diphosphomevalonate decarboxylase;DPMVA decarboxylase)とIPPイソメラーゼ(Idi;IPP isomerase)(これらの酵素の触媒機能は図1参照のこと)が必要である。Idiには互いに構造が異なる、1型(type 1)と2型(type 2)のものが存在している。どちらのIdiを用いてもよいが、発明者らは実施例では2型のIdiを用いた。その理由は、発明者らが実施例で用いたストレプトミセス(Streptomyces)属CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子群(非特許文献4;Accession no AB037666)では、MVA kinase、DPMVA decarboxylase、PMVA kinase、2型IPP isomerase遺伝子がこの順番で遺伝子群を形成していた(図2)ので、プラスミドの作製にこの遺伝子群をそのままの形で用いる方が後に続くプラスミドの作製が容易であったからである。また、メバロン酸経路遺伝子群のソースであるが、発明者らは実施例ではストレプトミセス属CL190株由来のものを用いたが、酵母や他の細菌由来の相当遺伝子群を用いても問題ないことは言うまでもない(そのような例は非特許文献7に示されている)。また、発明者らは実施例では示していないが、2型idi遺伝子に加えて1型のidi遺伝子をさらに加えると、組換え大腸菌内でFPPの生産量が若干増量されることが分かっている(非特許文献6)。
組換え大腸菌を用いてα-フムレンを変換するP450(たとえばCYP71BA1)を働かせ、変換産物[酸化したα-フムレン(たとえば8-ヒドロキシ-α-フムレン)]を得るには、1で示したメバロン酸経路遺伝子群(通常4遺伝子)に加えて、α-フムレン合成酵素(シンターゼ;synthase)遺伝子(たとえばZSS1遺伝子)、α-フムレン変換酵素(P450)遺伝子(たとえばCYP71BA1遺伝子)、及びNADPH-P450レダクターゼ遺伝子(たとえばATR2遺伝子、ZoRED1遺伝子、またはZoRED2遺伝子)の3遺伝子を大腸菌に導入して発現させる必要がある。また、上記の合計7個の遺伝子の中で、α-フムレン合成酵素遺伝子の代わりに任意のセスキテルペン合成酵素を、α-フムレン変換酵素(P450)遺伝子の代わりに、そのセスキテルペン変換酵素(P450)遺伝子を用いると、任意のセスキテルペンの変換産物(任意のセスキテルペンの酸化物)を得ることができる。このように、通常(少なくとも)合計7遺伝子もの多重遺伝子を発現する形で大腸菌に導入する必要があるので、複数個の大腸菌ベクターを利用した方が容易である。発明者らは実施例では2種類の大腸菌ベクターを用いた。1つは、クロラムフェニコール耐性遺伝子とP15AオリジンをもつpACYC184(accession no. X06403)であり、pET、pUC、pBluscriptベクター等のColE1系のオリジンをもつ多くの大腸菌ベクターと共存可能である。もう1つは、アンピシリン耐性遺伝子、ColE1系のオリジン、及びT7プロモータをもつpET101/D-TOPOベクター(Invitrogen製)またはpET Duet-1ベクター(Novagen製)である。
2で作製したプラスミドpAC-MvATR2Hum(クロラムフェニコール耐性)とpET-ZzP450T1(アンピシリン耐性)、または、プラスミドpAC-MvZoRED1またはpAC-MvZoRED2(クロラムフェニコール耐性)とpET-Hum-ZzP450T1(アンピシリン耐性)を大腸菌BL21(DE3)に共導入し、クロラムフェニコールとアンピシリンの2つに薬剤に対して耐性の組換え大腸菌を作製した。得られた組換え大腸菌を、D-メバロノラクトン(濃度の1例は0.5 mg/mL)を培地に加えて培養すると(一例は実施例3、9に示されている)、組換え大腸菌は8-ヒドロキシ-α-フムレン(構造は図3)を生産する。
発明者らは大腸菌B株のBL21(DE3)を用いたが、大腸菌の株には、大腸菌K12株のJM109(DE3)など種々の株が存在するので、大腸菌の株としてBL21(DE3)に限定されるものでない。また、組換え大腸菌の培養培地として、発明者らはLB培地を利用したが、大腸菌の培養培地としては、2x YT培地、TB培地等多くの培地が存在するので、LB培地に限定されるものでない。また、発明者らが用いている遺伝子組換え実験方法としては、実施例で示されているメーカーによる実施マニュアル以外に、多くの手引書が存在している。たとえば、Sambrook and Russel, Molecular Cloning A Laboratory Manual (Third edition) Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001が例示できる。本手引書は包括的であり、通常の遺伝子組換え実験方法以外に、大腸菌株の種類、ベクターの種類、培養法等が示されているので、参考にして実験を行うことができる。
本発明のシトクロムP450遺伝子は、(a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPH-シトクロムP450還元酵素の存在下でα-フムレンを8-ヒドロキシ-α-フムレンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、(c)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、(d)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNADPH-シトクロムP450還元酵素の存在下でα-フムレンを8-ヒドロキシ-α-フムレンに変換する活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子を含む。
本発明の脱水素酵素遺伝子は、(e)配列番号4記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、(f)配列番号4記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ8-ヒドロキシ-α-フムレンをゼルンボンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、(g)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子、(h)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ8-ヒドロキシ-α-フムレンをゼルンボンに変換する活性を有するポリペプチドをコードするDNAからなる遺伝子を含む。
本発明の第一の組換え大腸菌は、上記シトクロムP450遺伝子もしくは上記脱水素酵素遺伝子のいずれか一方の遺伝子、又は上記シトクロムP450遺伝子及び上記脱水素酵素遺伝子の両方の遺伝子を導入し、発現させたものである。
イソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群としては、前述したストレプトミセス属CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子群(非特許文献4)を用いることができるが、これ以外にも出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、細菌ストレプトコッカス・プノイモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来のメバロン酸経路遺伝子群(S. H. Yoon, Y. M. Lee, J. E. Kim, S. H. Lee, J. H. Lee, J. Y. Kim, K. H. Jung, Y. C. Shin, J. D. Keasling, S. W. Kim, Biotechnology & Bioengineering, 94: 1025-1032, 2006)なども用いることができる。
イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子としては、前述したストレプトミセス属CL190株由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(非特許文献4)を用いることができるが、これ以外にも大腸菌由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(V. J. J. Martin, D. J. Pitera, S. T. Withers, J. D. Newman, J. D. Keasling, Nature Biotechonosy, 21: 796-802, 2003)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(S. Kajiwara, P. D. Fraser, K. Kondo, N. Misawa, Biochemical Journal, 324: 421-426, 1997)、緑藻ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)由来のイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子(前述のJ. J. Martinらの文献、及び前述のS. Kajiwaraらの文献)なども用いることができる。
NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子としては、前述したシロイヌナズナ由来のNADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子(非特許文献8)、金時ショウガ由来のNADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子(配列番号5及び配列番号7)を用いることができるが、これら以外にもヨモギ科の植物アルテミシア・アヌア(Artemisia annua)由来のNADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子(M. C. Y. Chang, R. A. Eachus, W. Trieu, D.K. Ro, J. D. Keasling, Nature Chemical Biology, 3: 274-277, 2007)、酵母キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)由来のNADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子(前述のM. C. Y. Changらの文献)なども用いることができる。
ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子としては、前述したハナショウガ由来のα−フムレン合成酵素遺伝子(非特許文献2及び3)を用いることができる。
本発明の酸化セスキテルペンの製造方法は、上記組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から8-ヒドロキシ-α-フムレン又はゼルンボンを得ることを特徴とするものである。
本発明のセスキテルペン変換酵素遺伝子の機能解析方法は、(1)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、(2)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、(3)NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子、(4A)ファルネシル二リン酸からセスキテルペンを合成する酵素の遺伝子、及び(X)セスキテルペン変換酵素遺伝子候補を導入し発現させた組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から変換されたセスキテルペンを調製し、その変換されたセスキテルペンの化学構造を解析することにより、セスキテルペン変換酵素の触媒機能を同定することを特徴とするものである。
pAC-Mevプラスミド(非特許文献6)を基に、放線菌(Streptomyces sp. CL190株)由来のメバロン酸経路4遺伝子 [mevalonate (MVA) kinase, diphosphomevalonate (DPMVA) decarboxyrase, phosphomevalonate (PMVA) kinase, 2型isopentenyl pyrophosphate (IPP) isomerase;各種酵素が触媒する基質と反応産物の化学構造を含む代謝マップは図1に示されている]、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のNADPH-P450 reductase遺伝子(ATR2)、及びハナショウガ由来α-humulene合成遺伝子(ZSS1)を発現するプラスミドpAC-MvATR2Hum(図2)を作製した。具体的には次の手順で作製した:
pAC-Mevプラスミドを鋳型に、CL190idi Fw(5’-ATCGTCAAGGAGGTCGGCAAC-3’〔配列番号9〕)およびCL190idi Rv(5’- TAGATATCTCATCGTGTGCTTCCCGTCG-3’〔配列番号10〕、下線はEcoRV部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより、放線菌Streptomyces sp. CL190株由来の2型IPP isomerase遺伝子(idi)の3’末端側546 bpを含む部分配列を増幅した。PCR増幅したidi断片は、制限酵素SacI-EcoRVにて消化後、pAC-Mevプラスミドの相当部位に連結し、プラスミドpAC-Mvを作製した。次に、MAPS1(5’-ATCCAATTGGGCGCGCCTTAATTAAACTAGTA-3’〔配列番号11〕、下線は制限酵素MfeI、AscI、PacI、SpeI部位を示す)およびMAPS2(5’-AGCTTACTAGTTTAATTAAGGCGCGCCCAATTGGAT-3’〔配列番号12〕、下線は制限酵素MfeI、AscI、PacI、SpeI部位を示す)の2つのプライマーを等量ずつ混合し、95℃で30秒、72℃で2分、37℃で2分、および25℃で2分連続的に反応させてアニーリングし、MfeI、AscI、PacI、およびSpeIの4制限酵素部位を含む2本鎖オリゴヌクレオチド断片を作製した。プラスミドpAC-Mvを制限酵素EcoRV-HindIII消化後、これと作製した2本鎖オリゴヌクレオチド断片を連結し、プラスミドpAC-Mv(MAPS)を作製した。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のATR2遺伝子配列については、非特許文献8の情報を基に作製したATR2遺伝子における葉緑体移行配列および膜貫通領域の配列を除いた遺伝子部分を含むプラスミドpSTV28-ATR2を鋳型に、ATR2 Fw(5’-AGTTTAAAGGAGGCAGCTATGCGTCGCTCCGGTTCTGGGAATTCAAAACGTG-3’〔配列番号13〕、下線はDraI部位とSD配列を示す、8番目から13番目の塩基がSD配列、22番目から27番目の塩基は大腸菌型コドンに改変した塩基を示す)およびATR2 Rv(5’-AGCAATTGTTACCATACATCTCTAAGATATCTTCCACTCG-3’〔配列番号14〕、下線はMfeI部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。PCR増幅したATR2断片は、制限酵素DraI-MfeIにて消化後、pAC-Mv(MAPS)プラスミドのEcoRV-MfeI部位に連結し、プラスミドpAC-MvATR2を作製した。ZSS1遺伝子配列については、pUC-Zss1プラスミド(非特許文献2)を鋳型に、Hum Fw(5’-CAGAATTCAGGAGGCAGCTATGGAACGTCAGTCGATGGCCCTTGTTGG-3’〔配列番号15〕、下線はEcoRI部位とSD配列を示す、9番目から14番目の塩基がSD配列、23番目から28番目の塩基は大腸菌型コドンに改変した塩基を示す)およびHum Rv(5’-GGTCTAGATTAAATAAGAAAGGATTCAACAAATATGAGAG-3’〔配列番号16〕、下線はXbaI部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。PCR増幅したZSS1断片は、制限酵素EcoRI-XbaIにて消化後、プラスミドpAC-MvATR2のMfeI-SpeI部位に連結し、目的とするプラスミドpAC-MvATR2Hum(図2)を作製した。pAC-MvATR2Humはクロラムフェニコール耐性遺伝子を有しており、その元となる大腸菌用ベクターはP15AオリジンをもつpACYC184(accession no. X06403)である。pET、pUC、pBluscriptベクター等のColE1系のオリジンをもつ多くの大腸菌ベクターと共存可能である。
ハナショウガ(Zingiber zerumbet (L.) Smith)由来のシトクロムP450遺伝子(CYP71BA1と命名)(塩基配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)は以下のようにして取得した:ハナショウガの根茎から抽出した全RNA(非特許文献2)から、SuperScript(商標)III First-strand Synthesis Kit(Invitrogen製)を用いて、ポリ(dT)プライミングにより、cDNAを合成し、プライマー1(5’- AARGARACIHTIMGIHTICAYCC -3’〔配列番号17〕)およびプライマー2(5’- CANATYCTICKICCISHICCRAAIGG -3’〔配列番号18〕)の2つのプライマーとEx Taq(TaKaRa BIO)を用いたRT-PCRによりDNA断片(部分長配列)を増幅した。条件は、初期変性として94℃を2分、その後94℃を30秒、48℃を1分30秒、72℃を1分のサイクルを4サイクル繰り返し、さらに94℃を30秒、54℃を1分30秒、72℃を1分のサイクルを30サイクル繰り返し、最終伸長として72℃で3分間反応させた。また、これで得られた反応液を鋳型として同様の条件でさらにDNA断片を増幅させた。得られたDNA断片を精製し、pGEM-T easy vector(Promega製)にクローン化して配列決定した。この決定した配列を元にプライマー3(5’- CAGAGATGAGAAGTATTGGGGCTCC -3’〔配列番号19〕)およびプライマー4(5’- CTTGAAGCTCTCTGCATCGGAG -3’〔配列番号20〕)を設計し、これらのプライマーとSmart RACE cDNA Amplification Kit(TaKaRa BIO;Clontech製)を用いて、そのマニュアルに従い5’-および3’ -RACE PCRを実施し断片を増幅させ、上記と同様の方法で配列を決定した。また、ここで得られた配列より発現ベクターに導入するためにプライマー5(5’- CACCATGGAAGCTATTTCCCTCTTC -3’〔配列番号21〕)およびプライマー6(5’- CTATGGCAGAGGAATTATTAGCTTG -3’〔配列番号22〕)を設計し、Prime Star(TaKaRa BIO)を用いて98℃を10秒、65℃を5秒、72℃を1分30秒のサイクルを32サイクル繰り返す条件でPCRを行った。全長のCYP71BA1遺伝子を含む増幅されたDNA断片は、Champion pET Directional TOPO Expression Kits(Invitrogen)を用いマニュアルに従い、pET101/D-TOPO vector(Invitrogen)に連結し、プラスミドpET-ZzP450T1を作製した。
実施例1で作製したプラスミドpAC-MvATR2Hum及び実施例2で作製したプラスミドpET-ZzP450T1(または実施例2で作製した別のP450遺伝子発現用プラスミド)を、大腸菌BL21(DE3)に共導入した組換え大腸菌を作製した。この大腸菌を用い、以下の手順で培養を行った。1)各プラスミド導入大腸菌をLB培地3 mL(100 μg/mLアンピシリン、30 μg/mL クロラムフェニコールを含む)、30℃、16時間前培養、2)2.5 mLのTB本培養液(100 μg/mLアンピシリン、30 μg/mL クロラムフェニコール、0.5 mg/mLのD-メバロノラクトン(D-mevalonolactone)、80 μg/mL の5-アミノレブリン酸、0.1 mM FeSO4を含む)に1% (v/v)植菌し、30℃、OD600=0.8まで培養、3)IPTGを終濃度0.1 mMになるよう添加後、18℃で3日間培養、4)反応液に500 μLの飽和NaCl、1mLの酢酸エチルを添加して抽出、酢酸エチル層をHPLC分析。なお、操作2)と3)は次の方法でも代替出来る。2)2.5 mLのOvernight Express TB培養液(100 μg/mLアンピシリン、30 μg/mL クロラムフェニコール、0.5 mg/mLのD-メバロノラクトン、80 μg/mL 5-アミノレブリン酸、0.1 mM FeSO4を含む、Overnight Express 試薬はNovagen社より販売されている)に1% (v/v)植菌し、37℃、4時間培養、3)18℃で3日間培養。
3日後、培養液を一部取り、GC-MS分析を行った。サンプルは、DB-WAXキャピラリーカラム(0.25 mm × 0.25 μm × 30 m, J&W Scientific社製)を装備した島津GCMS-QP5050Aシステム(島津社製)を用いて定性・定量分析を行った。スプリットインジェクション(比率:22:1、インジェクター温度:250℃)により、サンプル(1 μL)をインジェクションした。分析プログラムは、40℃で3分間保持後、毎分3℃ずつ80℃まで、さらに毎分5℃ずつ180℃まで加温し、その後毎分10℃ずつ240℃ まで加温した後、この温度を5分間保持する条件で行った。質量分析は、出力70 eV、インターフェース温度250℃で、40〜400 m/zの範囲を測定した。保持時間(26.2分)と質量分析結果より定性分析を行った。8-ヒドロキシ-α-フムレン(8-hydroxy-α-humulene)の標品は、株式会社ナード研究所に合成を依頼し入手した。
ハナショウガ(Zingiber zerumbet (L.) Smith)由来の脱水素酵素遺伝子(デヒドロゲナーゼ;dehydrogenase;ZSD1と命名)(塩基配列:配列番号3、アミノ酸配列:配列番号4)は以下のようにして取得した:ハナショウガの根茎から抽出した全RNA(非特許文献2)から、SuperScript(商標)III First-strand Synthesis Kit(Invitrogen)を用いて、ポリ(dT)プライミングにより、cDNAを合成し、プライマー7(5’- GGIAARGTIGCCHTIRTVACIGG -3’〔配列番号23〕)およびプライマー8(5’- GGRCTNACRCARTTIACIC -3’〔配列番号24〕)の2つのプライマーとEx Taq(TaKaRa BIO)を用いたRT-PCRによりDNA断片(部分長配列)を増幅した。条件は、初期変性として94℃を2分、その後94℃を30秒、51℃を30秒、72℃を30秒のサイクルを35サイクル繰り返し、最終伸長として72℃で2分間反応させた。得られたDNA断片を精製し、pGEM-Teasy vector(Promega)にクローン化して配列決定した。この決定した配列を元にプライマー9(5’- CGGATGTCAATGACCTTGTCACCTGT -3’〔配列番号25〕)およびプライマー10(5’- GATGAGCTTGGTCAGCAAGTAAGCCAAC -3’〔配列番号26〕)を設計し、これらのプライマーとSmart RACE cDNA Amplification Kit(TaKaRa BIO;Clontech)を用いてそのマニュアルに従い5’-および3’ -RACE PCRを実施しDNA断片を増幅させ、上記と同様の方法で配列を決定した。また、ここで得られた配列より発現ベクターに導入するためにプライマー11(5’- CACCATGAGGTTAGAAGGGAAAGTTGC -3’〔配列番号27〕)およびプライマー12(5’- TTCGAACACTTGGAGTGTATGG -3’〔配列番号28〕)を設計し、Prime Star(TaKaRa)を用いて98℃を10秒、55℃を5秒、72℃を1分のサイクルを30サイクル繰り返す条件でPCRを行った。全長のZSD1遺伝子を含む増殖されたDNA断片は、Champion pET Directional TOPO Expression Kits(invitrogen)を用いマニュアルに従い、pET101/D-TOPO vector(Invitrogen)に連結し、プラスミドpET-ZzSDR1を作製した。ZSD1遺伝子にコードされるZSD1タンパク質は267アミノ酸残基からなる全長804 bpのshort-chain dehydrogenase/ reductaseの配列であった。
大腸菌BL21(DE3)にpET-ZzSDR1を形質転換し、定法によりZSD1タンパク質を合成させた。そのタンパク質をNiアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。TEST-TUBE&VIAL (NICHIDEN-RIKA GLASS)に20 mMの8-ヒドロキシ-α-フムレンを5 μl、80 mM NADを25 μl、上記の精製タンパク質を970 μl加え、パラフィルムを巻いて31 ℃で一晩反応させた。反応物を2 mlチューブに移し、ペンタンを500 μl加え重層した。ボルテックスミキサーにより懸濁し、遠心分離 (4000 rpm、2 min、4℃)を行い、上層を回収した。ペンタンを500 μl加え、同様の操作を3回繰り返し、上層を回収した。次にサンプルを濃縮するために窒素ガスを吹きつけ、サンプルが100 μl程度になるまで濃縮した。
金時ショウガ(Zingiber officinale Roscoe, Japanese “Kintoki” cultivar)由来のNADPH-P450還元酵素(レダクターゼ;reductase)1遺伝子(ZoRED1と命名)(塩基配列:配列番号5、アミノ酸配列:配列番号6)及びNADPH-P450還元酵素2遺伝子(ZoRED2と命名)(塩基配列:配列番号7、アミノ酸配列:配列番号8)は以下のようにして取得した:金時ショウガの根茎から抽出した全RNAを鋳型とし、Creator(商標)SMART(商標)cDNA Library Construction Kit(Clontech)を用いて二本鎖cDNAを合成した。ZoRED1の5'及び3'末端部分の配列は、合成した二本鎖cDNAを鋳型とし、ZoRED1-5R(5'-AAAGAAAACACCAAGAGGAGGTTTG-3'〔配列番号29〕、5'-RACE用)及びZoRED1-3R(5'-ACCGTGTTGTATTCCTAAATCGTGA-3'〔配列番号30〕、3'-RACE用)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。ZoRED2の5'及び3'末端部分の配列は、合成した二本鎖cDNAを鋳型とし、ZoRED2-5R(5'-CTCCTTGTCAGCATGGATAGAGAAA-3'〔配列番号31〕、5'-RACE用)及びZoRED2-3R(5'-AGGTGCATCTACCCCATATACTGCT-3'〔配列番号32〕、3'-RACE用)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。得られた各DNA断片を精製し、pGEM-Teasy vector(Promega)にクローン化して塩基配列を決定した。ZoRED1全長配列は、合成した二本鎖cDNAを鋳型とし、決定した塩基配列を基に作製したZoRED1Fw(5'-ACACAATTGAGGAGGCAGCTATGCAGCCCGGCGACGTT-3'〔配列番号33〕、下線はMfeI部位を示し、5'末端から10〜15番目の塩基がSD配列である。)及びZoRED1Rv(5'-GGACTAGTTACCACACATCACGCAGG-3'〔配列番号34〕、下線はSpeI部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。ZoRED2全長配列は、合成した二本鎖cDNAを鋳型とし、決定した塩基配列を基に作製したZoRED2Fw(5'-AAACAATTGAGGAGGCAGCTATGCAGACGGGTTCCGAG-3'〔配列番号35〕、下線はMfeI部位を示し、5'末端から10〜15番目の塩基がSD配列である。)及びZoRED2Rv(5'-GGACTAGTCACCATACATCTCTTAGGTATCTCC-3'〔配列番号36〕、下線はSpeI部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。PCR増幅したZoRED1及びZoRED2断片は、制限酵素MfeI-SpeIにて消化後、pAC-Mv(MAPS)プラスミドの相当部位に連結し、それぞれpAC-MvZoRED1及びpAC-MvZoRED2プラスミドを作製した。
ZSS1遺伝子配列については、pUC-Zss1プラスミド(非特許文献2)を鋳型に、Hum Fw2(5’- AGGAGATATACCATGGAGAGGCAGTCGATGG-3’〔配列番号37〕、下線は相同組換え配列部位を示す)およびHum Rv2(5’- ATGCGGCCGCAAGCTTAAATAAGAAAGGATTCAACAAATATG-3’〔配列番号38〕、下線は相同組換え配列部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。PCR増幅したZSS1断片は、制限酵素NcoI-HindIII処理して直鎖状にしたpET Duet-1ベクター(Novagen製)と混合した後、In-Fusion(商標)Advantage PCR Cloning Kit(Clontech)を用いた相同組換え法によりpET Duet-1プラスミドの相当部位に連結し、pET-Humプラスミドを作製した。CYP71BA1配列については、pET-ZzP450T1プラスミドを鋳型とし、ZzP450T1Fw(NdeI)(5'- GGAATTCCATATGGAAGCTATTTCCCTCTTCTC-3'〔配列番号39〕、下線はNdeI部位を示す)及びZzP450T1 Rv(KpnI)(5'- GGGGTACCTATGGCAGAGGAATTATTAGCTTG-3'〔配列番号40〕、下線はKpnI部位を示す)の2つのプライマーを用いたPCRにより増幅した。PCR増幅したCYP71BA1断片は、制限酵素NdeI-KpnIにて消化後、pET-Humプラスミドの相当部位に連結し、プラスミドpET-Hum-ZzP450T1を作製した。
実施例7で作製したプラスミドpAC-MvZoRED1またはpAC-MvZoRED2、及び実施例8で作製したプラスミドpET-Hum-ZzP450T1を、大腸菌BL21(DE3)に共導入した組換え大腸菌を作製した。この大腸菌を用い、実施例3に示した手順で培養を行った。そして、実施例4で示した手順でGC-MS分析を行ったところ、プラスミドpAC-MvZoRED1またはpAC-MvZoRED2及びpET-Hum-ZzP450T1を保持する組換え大腸菌による変換産物の8-ヒドロキシ-α-フムレンの生成量は、実施例4で行ったプラスミドpAC-MvATR2Hum及びpET-ZzP450T1を保持する組換え大腸菌の生成量の2倍程度であった。したがって、ハナショウガのCYP71BA1遺伝子を大腸菌で機能発現するためのNADPH-P450レダクターゼ遺伝子の相性は、シロイヌナズナ由来のATR2遺伝子より金時ショウガ由来のZoRED1またはZoRED2遺伝子の方がよいことが分かった。
Claims (12)
- 以下の(a)、(b)、又は(c)に示す遺伝子、
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPH-シトクロムP450還元酵素の存在下でα-フムレンを8-ヒドロキシ-α-フムレンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(c)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。 - 以下の(e)、(f)、又は(g)に示す遺伝子、
(e)配列番号4記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(f)配列番号4記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ8-ヒドロキシ-α-フムレンをゼルンボンに変換する活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(g)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。 - 請求項1もしくは請求項2に記載のいずれか一方の遺伝子、又は請求項1及び2に記載の両方の遺伝子を導入し、発現させた組換え大腸菌。
- 請求項1に記載の遺伝子又は請求項1及び2に記載の両方の遺伝子に加えて、以下の(1)〜(4)の遺伝子を導入し発現させた組換え大腸菌、
(1)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(2)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(3)NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子、
(4)ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子。 - メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子が、ストレプトミセス属CL190株由来の遺伝子群である請求項4に記載の組換え大腸菌。
- NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、シロイヌナズナ由来のATR2遺伝子である請求項4又は5に記載の組換え大腸菌。
- NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、以下の(i)、(j)、又は(k)に示す遺伝子である請求項4又は5に記載の組換え大腸菌、
(i)配列番号6記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(j)配列番号6記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(k)配列番号5記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。 - NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子が、以下の(m)、(n)、又は(o)に示す遺伝子である請求項4又は5に記載の組換え大腸菌、
(m)配列番号8記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺伝子、
(n)配列番号8記載のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつNADPHからシトクロムP450への電子伝達活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
(o)配列番号7記載の塩基配列からなるDNAからなる遺伝子。 - ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子が、ハナショウガ由来のZSS1遺伝子である請求項4乃至8のいずれか一項に記載の組換え大腸菌。
- 請求項4乃至9のいずれか一項に記載の組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から8-ヒドロキシ-α-フムレン又はゼルンボンを得ることを特徴とする、酸化セスキテルペンの製造方法。
- 以下の(1)〜(3)及び(4A)の遺伝子、並びに(X)の遺伝子を導入し発現させた組換え大腸菌を、メバロン酸又はメバロノラクトンを含む培地で培養して培養物又は菌体から酸化セスキテルペンを調製し、その酸化セスキテルペンの化学構造を解析することにより、セスキテルペン酸化酵素の触媒機能を同定することを特徴とする、セスキテルペン酸化酵素遺伝子の機能解析方法、
(1)メバロン酸又はメバロノラクトンからイソペンテニル二リン酸までの合成を行うメバロン酸経路遺伝子群、
(2)イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、
(3)NADPH-シトクロムP450還元酵素遺伝子、
(4A)ファルネシル二リン酸からセスキテルペンを合成する酵素の遺伝子、
(X)(4A)の遺伝子がコードする酵素によって合成されるセスキテルペンを酸化するセスキテルペン酸化酵素遺伝子。 - ファルネシル二リン酸からセスキテルペンを合成する酵素の遺伝子が、ファルネシル二リン酸からα-フムレンを合成する酵素の遺伝子である請求項11に記載のセスキテルペン酸化酵素遺伝子の機能解析方法。
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