JP5524851B2 - 室温で安定な非結晶アスピリン - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、室温で安定な非結晶ガラス状アスピリン、及びその製造方法に関する。
関連出願
本出願は、いずれもが2007年10月17日に出願されたアメリカ合衆国仮特許出願第60/999,445号、第60/999,462号、第60/999,483号の恩恵を主張し、その内容全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、同日に出願された「化合物の固体状態を変化させる方法、及びその方法で製造した共アモルファス組成物」という名称のアメリカ合衆国特許出願第xx/xxx,xxx号、弁理士ドケット番号14331/30004に関連するし、その内容全体も本明細書に組み込まれているものとする。
背景
アセチルサリチル酸(ASA)は、1853年に、Charles Gerhardtによって最初に合成された。しかし、Gerhardtは、彼の発明を追求しなかった。バイエル社は、アスピリンの商標名で1899年に結晶性アセチルサリチル酸を販売した。結晶性アセチルサリチル酸についての米国特許第644,077号は、1900年にバイエル社の化学者であるFelix Hoffmannに登録された。最近まで、形態Iとして知れらている元の結晶形態は、唯一の公知のアスピリンの結晶形態であり、室温で安定である唯一のアスピリンの形態である。Chemical & Engineering News, November 21, 2005で報告されているよに、Zaworotko他, J. Am. Chem. Soc, 2005, 127, 16802は、アスピリンの第二多形形態の合成を報告した。アスピリン形態IIは、100 K(-173℃)で速度論的に安定であるが、周囲条件で形態Iに戻る。
アモルファスのガラス状アスピリンも形成されている。しかし、おそらくはいくらかの微視的な残留物を除いて、アモルファスなアスピリンは、これまで非常に低温でしか生成されてこなかった。約243K(-30℃)というガラス転移温度を超えるとアスピリンは急速に結晶形態Iへと変換される。したがってアスピリンの従来のあらゆる形態は、室温で形態Iに変換される。アモルファス形態を作り出して維持するために低温が必要である結果、これまでアモルファスな固体形態の実際的な用途は実質的になかった。
Johari他、Physical Chemistry Chemical Physics、2000年、第2巻、5479〜5484ページにも、融解させて冷却し、周囲温度でのボール-ミリングによってアスピリンをガラス化することで、298Kで数日間にわたって結晶化に対して安定なガラス状アスピリン又は過冷却粘性液体アスピリンが形成されることが報告されている。この粘性液体は、容器の中で傾けるとゆっくりと流動することが見いだされたが、298Kでは4〜5日の間、結晶化しなかった。このガラス状アスピリンのサンプルは最終的に完全に結晶化した。それは、サンプルを約340Kに維持したときに加速された。
Johariらは、ガラス状態は結晶状態よりも高いエネルギー状態を有し、音響モードの振動数はより小さく、非調和性はより大きいため、固体状態からの吸収と同化がより効果的かつ効率的になることを報告している。ガラス状アスピリンは、バルク形態では、細かい粉末にした同じ質量の結晶アスピリンよりもゆっくりと溶けることが報告されている。当該分野でよく知られているように、ある物質のバルク状サンプルは、細かい粉末にした結晶よりも表面積がはるかに小さい。そのためバルク形態を溶かすのはより難しく、これrは、Johariらによって報告されている、バルクのガラス状アスピリンの溶解速度がより小さいことを説明している。
発明の概要
本発明は、非結晶アスピリンに関する。本発明に従う非結晶アスピリンは、約20℃〜約30℃の温度で、少なくとも約30日間、好ましくは少なくとも6ケ月間、より好ましくは少なくとも約1年の保存中、結晶化しない。本発明の非結晶アスピリンは、マイクロカプセル化されることがある。
本発明は、非結晶アスピリンの製造方法にも関する。この方法は、少なくとも2種類の異なるレーザーからのレーザー光線を、アスピリンの溶媒溶液に適用して該溶媒を蒸発させることを含む。好ましくは、該レーザー光線は、パルス式であって有効平均パルス長が約10-9秒以下のパルスを持ち、各レーザーからのレーザー光線のパルスは異なる波長を持つ。好ましくは、該レーザーの少なくとも1つは可視光を発光する。より好ましくは、1つのレーザーは近紫外から青の範囲の照射線を出し、1つのレーザーは赤から近赤外の範囲の照射線を出す。良好な結果は、約400〜約470 nmの範囲の波長を有する光線を発光する1つのレーザー、及び約620〜約680 nmの範囲の波長を有する光線を発光する1つのレーザーからのレーザー光線で得られた。
好ましくは、レーザー光線は、ストラチャン装置(Strachan Device)、すなわち、米国特許第6,064,500号及び同第6,811,564号にStrachanによって開示されたタイプの装置で変更される。より好ましくは、変更されたレーザー発光は、ストラチャン装置によって変更されたレーザーの発光である。好ましくは、ストラチャン装置は、約10-12秒未満の有効平均パルス長、好ましくは約10-15秒以下の有効平均パルス長を有するレーザーパルスの生成を可能にする。しかし、ストラチャン装置の干渉パターンは、短いパルスの要求を低減する。2つのレーザーからのレーザー光線のパルスは、同時に又は交互に適用してよい。
好ましくは、アスピリン溶液で使用される溶媒は、アルコールであり、より好ましくは無水アルコール、例えば無水エタノールである。
好ましくは、本発明の方法において、アスピリンの溶媒溶液は、カバー付き容器内に置かれ、レーザー光線パルスのパルスは、アスピリン溶液に適用され、レーザーパルスを適用しながら溶媒の少なくとも一部は蒸発され、よって非結晶アスピリンを形成する。好ましくは、アスピリン溶液は、レーザーパルスの適用中、加熱される。レーザー光線は、好ましくは、溶媒の蒸発が完了するませ、アスピリン溶液に適用される。アスピリンは、溶媒を濃縮しながら、室温まで冷却され得る。
好ましくは、溶媒の蒸発は、レーザーパルスの適用が開始された後、一定時間抑制される。次いで、溶媒は、レーザーパルスの適用を継続しながら蒸発する。
好ましくは、本発明の非結晶アスピリンは、以下のステップ:
第1の回折格子と、第2の回折格子と、その第1の回折格子と第2の回折格子の間に配置された屈折要素とを備えるストラチャン装置(Strachan Device)の中をレーザー光線を通過させることを含む方法で製造される。それは、相殺的干渉によってそのレーザー光線の一部を相殺し、建設的干渉(destructive interference)によってレーザー光線のパルスを生成させる。ストラチャン装置を通過するレーザー光線は、次いで、アスピリンの溶媒溶液に適用され、溶媒は蒸発されて、本発明の非結晶アスピリンを生成する。好ましくは、ストラチャン装置を通過した後、レーザー光線のパルスは、約10-9秒以下の有効平均パルス長を有する。
図1は、対照の結晶アスピリンのサンプルの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図2は、本発明の結晶アスピリンのサンプルの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図3は、対照の結晶アスピリンの赤外線スペクトルパターンを示す。 図4は、参照の結晶アスピリンサンプルに対する広い吸収バンドを示す、本発明の非結晶アスピリンの赤外線スパクトルパターンを示す。 図5は、本発明の方法と同様な方法で形成されたがレーザー光線の適用のない、結晶アスピリンの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図6は、図5の結晶アスピリンサンプルの赤外線スペクトルパターンを示す。
発明の詳細な説明
本明細書で用いる、用語「非結晶アスピリン」は、、粉末X線回折(PXRD)分析の際に、結晶アスピリンのPXRDパターンに典型的である任意のPXRDピークが実質的に存在しないPXRDパターンを提供する、アスピリンの任意の形態を意味する。
本発明は、室温で安定であるアセチルサリチル酸又はアスピリンの非結晶性形態、及びアスピリンの安定な非結晶性形態の製造方法に関する。本発明の非結晶アスピリンは、温度約20℃〜30℃で少なくとも約24時間、好ましくは少なくとも約30日間、より好ましくは少なくとも3ヶ月間、最も好ましくは少なくとも6ヶ月間、安定である。本発明の非結晶アスピリンのサンプルは、温度約20℃〜30℃で少なくとも約1年間にわたって安定であった。
理論に拘束されるものではないが、ある化合物の非結晶形態は、その化合物のどの結晶化形態よりも分子間格子内の自由エネルギーが高いと考えられる。そのため非結晶形態は、結晶形態と似た粒子サイズである場合に、結晶形態よりも水への溶解度が約2〜8倍大きくなる。溶解度のこのような増加は、より早い溶解、吸収、臨床作用のほか、著しく大きな生物学的利用能につながる可能性がある。したがって、本発明の非結晶アスピリンは、経口摂取又は経粘膜送達、例えば舌下投与の後の条件下で、結晶アスピリンよりも大きな溶解速度を提供し、そしてより高い溶解度と生物学的利用能を提供する。したがって、温度約20℃〜30℃で安定である本発明の非結晶アスピリンは、結晶形態よりも臨床その他の利点を有するはずである。
結晶アスピリン及び本発明の非結晶アスピリンの粉末X線回折(PXRD)分析は、2つの形態の分子配列の相違を証明する。化合物の結晶形態は、角度2θで測定すると、X線ビームの特定の反射角で特徴的なピークを有するPXRDパターンを有する。一般に、測定の解像度は±0.2°2θの程度である。反射は、結晶内で分子が規則正しく配置されていることの結果である。これに対して、一部が非結晶である化合物のサンプルは、ピークが実質的にぼけた、又は低くなったPXRDパターンを有し、純粋な非結晶化合物のサンプルは、一般に特徴的なピークのまったくないPXRDパターンを有する。分子は非結晶化合物の中でランダムに配置されているため、PXRDパターンに反射ピークは観察されない。いくつかの非結晶化合物では、広い範囲にわたって発生する強度の変化が、ベースラインのノイズとともに観察される可能性がある。
結晶アスピリンの典型的なPXRDパターンを図1に示す。図1のPXRDパターンは、結晶アスピリンの特徴的な多数のピークを有する。
これに対して、図2は、本発明の非結晶アスピリンのPXRDパターンを示している。非結晶アスピリンのPXRDパターンは、結晶アスピリンについて図1に示した高度に結晶的なパターンとは極めて対照的である。結晶アスピリンの強度の大きなPXRDピークが実質的に存在しない。このことは、本発明の非結晶アスピリンに存在している秩序がせいぜい非常に短い範囲の秩序であることを示している。図1のPXRDパターン解像度は、図2に示したPXRDパターンの解像度よりも数倍大きいことに注目することが重要である。したがって図1の結晶アスピリンのPXRDパターンで観察されるどのピークも、図2の非結晶アスピリンのPXRDパターンに存在する可能性があるが、実際には図1のベースラインのノイズよりも大きな強度を持たない。これは、図2に示したように、PXRDで分析したアスピリンが実質的に純粋な非結晶アスピリンであることの明確な証拠である。PXRDにピークをもたらす、サンプル中のアスピリン分子の秩序は実質的に存在しない。
室温でのアスピリンの結晶化する強い熱力学的傾向を考慮すると、非常に狭い範囲の微結晶性形成が図2で示したサンプル中に存在する可能性がある。しかし、室温での非結晶アスピリンのPXRDパターンは、数個のアスピリン分子を超えない非常に短い範囲の秩序を有する微結晶構造が、せいぜい、サンプル全体にランダムに分散されていることを示唆している。実質的に、該サンプルは、非常に短い範囲の秩序を有するいくつかのランダムな微結晶構造を含むことがある、完全にランダム化された典型的な真のガラスの連続相からなる。本発明の非結晶アスピリンの物理化学的特性は、純粋なガラスで予想されるのと実質的に同じであると考えられる。分子の配置は実質的にランダムであり、これは、非結晶アスピリンを結晶形態よりもより溶解させる可能性がある。
PXRDパターンの特徴的な反射ピークの消失と同様に、サンプルに含まれる化合物の非結晶形態の量が増大するにつれて、フーリエ変換赤外(FTIR)分光の吸収帯は広くなる。これは、非結晶形態が存在することの別の証拠である。結晶材料の赤外スペクトルは、一般に、非結晶形態よりも鋭くかつ解像度がより大きい吸収帯を示す。結晶材料と、その同じ化合物の非結晶形態の間で形態が変化するため、赤外スペクトルに含まれるいくつかの帯もいくらかシフトすることがある。
結晶アスピリンと非結晶アスピリンのFTIR分析の結果をそれぞれ図3と図4に示す。これらのアスピリンサンプルは、図1と図2でPXRDによって分析したものである。図3に示した結晶アスピリンのFTIRパターンの吸収ピークは相対的に明確である。それとは対照的に、図4に示した非結晶アスピリンのFTIRパターンは、比較的広い吸収帯を生じる。結晶アスピリンと本発明の非結晶アスピリンのFTIRスペクトルを比較すると、これら2つのサンプルは同じ化学物質であることがわかる。しかし、図4で分析したサンプルのFTIRピークの広がりは、その化合物が非結晶形態であることに合致している。
従来の結晶アスピリンと非結晶アスピリンの結晶構造の違いは、結晶形態と非結晶形態の偏光顕微鏡(PLM)写真でも観察される。偏光顕微鏡では、結晶アスピリンは複屈折を生じる。複屈折は、結晶形態に含まれる分子が、非結晶形態には存在しない非常に秩序だったパターンに配置されている異方性材料に出現する。その結果、結晶アスピリンの偏光顕微鏡写真は、結晶形態で見られる分子の秩序だった配列が欠けた純粋な非結晶アスピリンでは観察されない高度の複屈折を示す。複屈折は、結晶アスピリンの偏光顕微鏡写真での高度な結晶化したサンプルの全体にわたってはっきりと見える。これは高次の白干渉色を示す。
対照的に、複屈折は、本発明の純粋な等方性非結晶アスピリン粒子の偏光顕微鏡写真では観察されない。複屈折の非存在は、本発明の非結晶アスピリンの証拠である。上記のように、複屈折は、結晶形態で見られるが非結晶形態には存在しない、分子の秩序だった配列を必要とする。
本発明の非結晶アスピリンは、比較的高いパルス繰返し速度で、少なくとも2つの供給源からの異なった波長のレーザー光線の極短パルスに、アスピリン溶液を曝露し、そして溶媒を蒸発させることによって製造される。レーザー光線のパルスは、同時に又は交互に適用してよい。
レーザー光線の有効パルス長は、好ましくは、ピコ秒の範囲(10-12〜10-9秒)を超えず、フェムト秒の範囲(10-15〜10-12秒)又はフェムト秒未満(10-15秒未満)の範囲でよい。レーザーの1つは、好ましくは、発光の中心を、可視スペクトルの下半分、すなわち約400〜約550nm、好ましくは近紫外(UV)〜青の範囲に、より好ましくは約400〜約470nmの波長に有する。他方のレーザーは、好ましくは、発光の中心を、可視スペクトルの上半分、すなわち約550〜約700nm、好ましくは赤〜近赤外(IR)の範囲に、より好ましくは約620〜約680nmの波長に有する。用途によっては、発光の中心が似た波長にある2つのレーザー、すなわち2つの短波長のレーザー、2つの長波長のレーザー、又は発光の中心が550nm近くにある2つのレーザーを用いることが有用である。しかし、優れた結果は、中心波長が約400〜約470nmにある1つのレーザーと、中心波長が約620〜約680nmにある第2のレーザーを用いて得られた。
理論に拘束されるものではにが、レーザーの出力帯域幅は有効な短いパルス長によって広くなると考えられる。これは不確定性原理の帰結である。その結果、レーザー光の短いパルスは、アスピリンの多数の振動状態及び/又は電子状態と相互作用するフォトンを提供して、非結晶形態を提供すると考えられる。その結果、処理する化合物の特定の吸収帯に対応する発光を持つレーザーは必要ない。
極短レーザーパルスは、レーザーの出力を変調して電磁(EM)波の建設的干渉がまばらなノードを生成させることによって作り出される。これについてはStrachanに付与されたアメリカ合衆国特許第6,064,500号と第6,811,564号に開示されており、その開示内容全体が参考として本明細書に組み込まれる。本明細書で用いる用語「ストラチャン装置」は、Strachanがこれらの特許に開示しているタイプの装置を意味する。'500特許と'564特許に規定されていて本明細書で用いるストラチャン装置は、第1の回折格子と、第2の回折格子と、その第1の回折格子と第2の回折格子の間に配置された屈折要素とを備えている。レーザービームが、連続ビームであれパルス式ビームであれ、ストラチャン装置の第1の回折格子と屈折要素と第2の回折格子を順番に通過するとき、ビームの少なくとも一部が相殺的干渉によって実質的に相殺される。ストラチャン装置を通過する光ビームの相互作用によって相殺的干渉が起こり、ビームはストラチャン装置を出ていくときに実質的に相殺されている。屈折要素により、レーザー光源の単一の臨界波長ではなく小さな範囲の波長全体で相殺させることができる。
建設的干渉が比較的まばらである領域が、相殺要素の高周波域と低周波域の間で口径から選択された方向に発生する。ストラチャン装置の出力によってこの装置から離れた位置に建設的干渉が起こる場合にだけ、建設的干渉がまばらなノードが生じる。建設的干渉は、ごく短い時間の間だけ起こるため、光の極短パルスとなる。これらのパルスは有効パルス長が約10-9秒以下であると考えられる。
ストラチャン装置では、レーザーの波長又は波長の相対振幅がわずかに変化することで、これらノードの位置が急速に変化する。そのためには、例えばレーザーダイオードの電流をわずかに変化させたり、接合部の温度を不規則に変化させたりすることでレーザーの中心周波数を変動させる。その結果、連続的なレーザービームは、低周波数の振幅の比較的わずかな変調という簡単な手段によって持続時間が極めて短いパルス列に変換される。1MHzの周波数を超えるダイオードレーザーの振幅変調は完全に当業者の能力範囲である。その結果、持続時間がピコ秒の範囲である有効パルス長を容易に実現でき、フェムト秒又はフェムト秒未満のパルスは、適切に準備したストラチャン装置と振幅変調したダイオードレーザーを用いて実現できる。
例えば連続ダイオードレーザーを用いると、持続時間が極めて短いパルス列のパルス繰り返し周波数は、直接的なレーザーダイオード駆動装置によって規定されるか、音響光学的又は電気光学的変調装置によって規定される。直接的なレーザー駆動法の固有電流変調では、レーザーの中心周波数がより変動するようになって一致するパルスの期間が短くなるのに対し、音響光学的変調では、変調されたビームの口径が結晶の最適変調口径の直径よりも大きい場合に似た効果が得られる。なぜなら外側の半径は内側の半径よりも変調が少ないために機能する有効口径が変化するからである。
非結晶アスピリンを製造する本発明では、少なくとも2つの異なるレーザーからの速い極短レーザーパルス列を交互にアスピリンに当てる。上述のように、レーザーの出力帯域幅は、短いパルス長によって広くなる。これは不確定性原理の帰結である。その結果、レーザー光の短いパルスは、アスピリンの多数の振動状態及び/又は電子状態と相互作用するフォトンを提供して非結晶形態を提供すると考えられる。その結果、アスピリンの特定の吸収帯に対応する発光を持つレーザーは必要ないため、レーザーの選択は重要ではない。青-紫の波長帯(好ましくは、約400〜約470nm)で光を放つレーザーと、赤〜近赤外の波長帯(好ましくは、約620〜約680nm)で光を放つレーザーを用いると、優れた結果が得られた。
好ましくは、好ましい交代式パルス列は、1つ以上のストラチャン装置を用いて発生させる持続時間がごく短くて建設的干渉がまばらなノードを含む。理論に拘束されるものではないが、交代式の極短レーザーパルス列は、アスピリンの電子状態及び/又は振動状態と相互作用し、分子間相互作用を阻止し、したがって結晶形成を阻止し及び/又は結晶構造を破壊すると考えられる。
本発明の室温で安定な非結晶アスピリン物は、好ましくは、ストラチャン装置を通過した少なくとも2つの異なるレーザーからの振幅変調した散在性建設的ノードを、アスピリンの溶媒溶液に交互に当てることによって製造される。好ましくは。交互にパルス列を当てることは頻繁に繰り返される。
有用な溶媒は、典型的には、アスピリンが少なくとも適度に溶け、ほぼ室温〜約130℃で蒸発し、非毒性の有機溶媒である。好ましくは、アスピリンは、アルコールに溶解され、より好ましくはエタノールに溶解される。溶媒は好ましくは無水であり、最も好ましい溶媒は無水エタノールである。
好ましくは、レーザー光線は、溶媒が実質的に蒸発するまでアスピリン溶液に適用される。より好ましくは、アスピリン溶液は、レーザー光線の適用及び溶媒の蒸発中、加熱される。最も好ましくは、レーザー光線は最初にアスピリン溶液に適用されるが、そこでは該溶媒は溶媒の蒸発を実質的に阻止する透明なカバーで覆われている。次いで、透明なカバーは外され、レーザー光線の適用は溶媒を蒸発させる間続けられる。
好ましくは、レーザーは、青-紫の波長帯で光を放つレーザーと、赤-オレンジの波長帯で光を放つレーザーを含む。より好ましくは、レーザーは、約400〜約470nmの範囲と約620〜約680nmの範囲でそれぞれ光を放つ。異なる波長で光を放つ3つ以上のレーザーも本発明で用いることができる。ストラチャン装置と、408nmで光を放つダイオードレーザーと、674nmで光を放つダイオードレーザーを用いて優れた結果が得られた。
本発明の方法が通常の空気の存在下で非結晶アスピリンを提供することが示されたが、該方法は、不活性雰囲気の中でも実施できる。不活性雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴンや、他の不活性ガスを用いて提供することができる。コスト上の理由で窒素が好ましい。不活性ガスを用いると、この方法を実施中のアスピリンの酸化傾向が排除されるであろう。
例示としての以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様の単なる例であって本発明を限定すると解釈してはならず、本発明の範囲は添付の請求項によって規定される、
上で考察したように、非結晶アスピリンは、室温では熱力学的に平衡ではなく、結晶性であるか、又は室温未満であるガラス転移温度を超える温度、すなわち最高融解温度で結晶化することがこれまでに見出されている。しかし、本発明に従うレーザー光線の繰返し適用は、アスピリンを、少なくとも約1年までの間、室温で安定なままであることが見出された優れた非結晶性ガラスに変換する。
実施例1
長波長(赤)である674nmの振幅変調した構造化レーザー光の後に短波長である408nm(紫)の振幅変調した構造化レーザー光を、ストラチャン装置から1回だけ、無水エタノールにアスピリンを溶かした溶液に当てた。各レーザーからの約3cmに広がったビームを、それぞれの波長のレーザー光についてストラチャン装置から25cmの距離でサンプルの上方をゆっくりと回転させた。面偏光顕微鏡を用いた処理済アスピリンの分析から、場合によってはアスピリンの小さな(一般に1ミリメートル(1mm)未満の)等方性液滴の小断片が生じることがわかった。液滴は、溶媒が蒸発した後に室温で安定であった。液滴の大半は、複屈折性結晶材料のコアと等方性アスピリンのハロ(halo)を持っていたが、いくつかの液滴は完全に等方的であった。結晶化材料が形成されつつ前面に接触するときに結晶化に抵抗するという等方性材料の能力は、溶媒が蒸発してしまうと、本方法によって製造された本発明の非結晶アスピリンが安定であることを証明している。
実施例2
レーザー光線を頻繁に繰り返して当てて安定な非結晶アスピリンを作ると、約80〜約90%又はそれ以上が透明な非結晶アスピリンが製造された。約2〜3mm又はそれ以上の大きさの純粋なガラス状材料の液滴と、幅が数十mmの非結晶アスピリンの池が、室温で約1年まで安定であることが見いだされた。
上述のように、基準となる標準結晶アスピリンをPXRDによって分析した。基準となる標準結晶アスピリンの反射ピークの特徴的なパターンを図1に示す。結晶アスピリンは、フーリエ変換赤外分光によっても分析した。その結果を図3に示す。非結晶状態になった化合物のPXRDパターンでは特徴的な反射ピークが失われるため、FTIR分光によって化合物の素性が確認されるとともに、非結晶状態であることの別の証拠が、結晶状態と比べて非結晶状態で起こる吸収帯の広がりによって示される。
アスピリンの高度非結晶状態は、ストラチャン装置によって変調して構造化した長波長のレーザー光の後に短波長のレーザー光を当てるというサイクルを繰り返すことによってを作り出した。ストッパ付きのエルレンマイヤーフラスコの中で12.5分間にわたって140℃に加熱して磁気撹拌機を用いて9000回転/分(rpm)で撹拌しながら、10mgの参照用結晶アスピリン標準サンプルを450mgの無水エタノールに溶かした。この溶液を60mm×15mmのガラス製ペトリ皿に移し、ガラス製カバーで覆った。このペトリ皿をホットプレートの上で100℃に加熱した。
ストラチャン装置で変調したレーザー光線の繰り返しサイクルによってアスピリン溶液を処理した。第1のサイクルは、中心波長が674nmのダイオードレーザーからの振幅変調したダイオードレーザー光を当てることであった。第2のサイクルは、中心波長が408nmのダイオードレーザーからの振幅変調したダイオードレーザー光を当てることであった。ストラチャン装置から25cmの距離でサンプルをゆっくりと回転させ、約3cmに広がった各ビームの中を通過させた。
674nmのダイオードレーザーのビームは、光学要素なしでピーク電力が4.80mWであった。ソーラボ社の5倍ビーム・エキスパンダとストラチャン装置を通過した後、ピーク電力は約50%低下した。ストラチャン装置を用いて674nmのビームを調節して位相が80%相殺されるレベルにし、直径3cmのビーム全体で約.048mWの電力を実現した。
408nmのビームは、追加の光学要素なしでピーク電力が約4.80mWであった。ソーラボ社の5倍ビーム・エキスパンダとストラチャン装置を通過した後、ピーク電力は約50%低下した。ストラチャン装置を用いて408nmのビームを調節して位相が80%相殺されるレベルにし、約0.48mWの直径3cmのビームを得た。
どちらのビームも6.25メガヘルツ(MHz)で電子的に振幅変調した。上述のように、理論に拘束されるものではないが、レーザーの出力帯域幅はストラチャン装置が生み出す有効パルス長によって広がると考えられる。これは不確定性原理の帰結である。するとレーザー光の中のフォトンがアスピリン分子の多数の電子モード及び/又は振動モードと相互作用する。
上述のように、カバーをしたガラス製ペトリ皿をホットプレートの上に載せ、そのペトリ皿の中でアスピリン溶液を674nmのレーザーで1分間処理し、次いで408nmのレーザーで1分間処理した。その後、振幅変調して構造化した674nmのレーザーの後、408nmのレーザーを各レーザーシステムについて1分間という別のサイクルを続けた。674nmのレーザーの後に408nmのレーザーで処理するという第3のシークエンスは、各レーザーシステムについて2分間実施した。
このサイクルの後にガラス製カバーをペトリ皿から外してエタノールを蒸発させる。さらに5サイクルにわたってレーザー処理している期間中、エタノール溶液中のアスピリンをホットプレートの上に残した。674nmの後に408nmのレーザーで処理するという次のサイクルは、各レーザーシステムについて2分間実施した。674nmの後に408nmのレーザーで処理するという次の4つのサイクルでは、各サイクルを2分間適用した。そのとき、各サイクルでそれぞれのレーザーシステムを1分間ずつ適用した。最後のレーザー処理サイクルが終了すると、レーザー処理したアスピリンのサンプルをホットプレートから取り出し、約18℃〜20℃という室温かつ湿度35%で溶媒を蒸発させるプロセスを続けた。
レーザー処理の終了時に大半の溶媒はすでに蒸発してしまっており、透明な非結晶アスピリンからなる幅約3cmの「池」になった。結晶化した狭い縁部が池の外縁部のまわりに帯状に形成されていて、周辺部の約30%を占めていた。活性な結晶化前線が形成されるにもかかわらず、レーザー処理シークエンスのサイクルが終了した後にこの前線は無視できるくらいしか広がっていなかった。
1時間以内の蒸発で系は安定化し、サンプルの質量の80%以上が硬化して結晶形態ではなく透明な非結晶形態になった。約18℃〜22℃という室温かつ湿度30〜40%で継続して保管すると、6ヶ月を超える期間にわたってサンプルの外観が変化せず、結晶化した縁部の隣接部でさえ、透明な非結晶アスピリンが広がった状態が維持された。これらの観察結果は、本発明の方法で製造したアスピリンの非結晶形態が安定であることを示している。
レーザー処理したアスピリンを6ヶ月保管した後にPXRDによって調べた。図2に示したパターンは、この材料がX線で見ると高度に非結晶であることを示しており、対照の結晶アスピリンについて図1に示した高度に結晶化されたパターンとは極めて対照的である。結晶アスピリンで見られる強度の大きな反射ピークと比較し、レーザー処理したアスピリンではこれらのピークがほぼ完全に消失した。これは、生成した非結晶ガラス形態の中ではせいぜい非常に短い範囲の秩序が残っているだけであることを示している。同様にして調製したサンプルでは、さらに6ヶ月保管した後に結晶化は観察されなかった。これらの観察結果は、本発明の方法で製造したアスピリンの非結晶形態が安定であることを示している。
次に、フーリエ変換赤外(FTIR)分光を利用し、X線で非結晶であることがわかったアスピリンのサンプルを走査した。その結果を図4に示す。図3に示したアスピリンの参照用結晶材料のFTIR分光と比較すると、結晶アスピリン参照サンプルのより明確な帯と比べてX線で非結晶であることがわかったアスピリンのサンプルでは相対的に広い吸収帯が明らかである。結晶材料の赤外スペクトルは、一般に、結晶格子中の分子の運動の自由度が小さくなるために非結晶形態よりも鋭い吸収帯、すなわちより解像度のよい吸収帯を示す。結晶材料と、その同じ化合物の非結晶形態の間で形態が変化するため、赤外スペクトルの中のいくつかの吸収帯もシフトする可能性がある。結晶アスピリンとレーザー処理したアスピリンのFTIRスペクトルの比較からわかるように、これら化合物は明らかに同じ化学物質である。レーザー処理したアスピリンのスペクトルのピークの広がりは、アスピリンの非結晶形態に合致する別の特徴である。
実施例3
長波長と短波長の順番を逆にして、すなわち短波長の後に長波長という順番のサイクル式レーザー処理により、実施例2のプロトコルにおいてその後の試験を繰り返した。このプロトコルによっても室温で安定な非結晶ガラス状アスピリンの収率は90%になった。この非結晶アスピリンは23ヶ月にわたって室温で安定なままであった。このような非結晶アスピリンを入れたペトリ皿を約6週間の期間にわたって傾けた状態にした。サンプルの流動は観察されなかった。
比較例
レーザー光線を当てなかったことを除き、実施例2及び3のプロトコルを繰り返した。得られた材料は明らかに結晶であり、それをPXRD分析によって確認した。レーザー光線を当てずに得られた結晶アスピリンのPXRDパターンを図5に示す。図5のPXRDパターンは、図1に示した対照サンプルと同じピークを有する。得られた結晶アスピリンのFTIR分析も実施した。得られたスペクトルを図6に示してあり、図3に示したスペクトルと実質的に同じである。これらの結果は、非結晶アスピリンが実験のアーチファクトではなく、本発明の方法においてレーザー光線を当てたことの直接的な結果であることをはっきりと示している。
本発明の安定な非結晶性ガラス状アスピリンは、室温での長期保存中、非結晶形態を維持する。結果として、非結晶形態の使用は、初めて、臨床的使用又は他の適用に実用性がある。例えば、化合物の非結晶形態は同一化合物の結晶形態よりも溶解性であると考えられるので、非結晶アスピリンは、より迅速に溶解し、より低投薬量でのより活性であるはずである。特に、この形態は、粘膜刺激への減少した傾向と共に、より低投薬量で臨床的症状をより速く緩和する迅速作用アスピリンに可能性を与える。
この形態を大規模に生産するために、マイクロカプセル化は、非結晶アスピリンから構成された大きな粒子よりも本質的に安定なより小さい粒子サイズを生成し、そして封止することができる。マイクロカプセル化は、より広い範囲の温度と湿度で長期にわたる保管安定性を維持することを容易にする。本発明の非結晶アスピリンは、迅速吸収された粘膜又は局所的送達系の実用性を向上させることもできる。マイクロカプセル化は当該分野でよく知られている。
本明細書に開示された発明が上述の目的を満たすことは十分に予測されることは明らかであるが、ご承知のように、多数の変更及び態様が当業者によって考案され得るだろう。そのため、添付のクレームは、本発明の真の趣旨及び範囲内にあるものとしてかかる変更及び態様のすべてをカバーすることを意図している。

Claims (27)

  1. 図2に記載のPXRDパターンを実質的に有する、20℃〜30℃の室温で少なくとも30日間の保存中結晶化しない、非結晶アスピリン。
  2. 20℃〜30℃の室温で少なくとも6ケ月間の保存中結晶化しない、請求項1記載の非結晶アスピリン。
  3. マイクロカプセル化されている、請求項1又は2記載の非結晶アスピリン。
  4. 請求項1記載の非結晶アスピリンの製造方法であって、以下:
    アスピリンの溶媒溶液に少なくとも2つの異なったレーザーからのレーザー光線を適用し;及び
    溶媒を蒸発させること、
    を含み、
    該レーザー光線が、10-9秒以下の有効平均パルス長を有、各レーザーからの該レーザー光線が異なる波長を有する、方法。
  5. 前記レーザーのうちの少なくとも1つが可視光を放つ、請求項4記載の方法。
  6. 1つのレーザーが近紫外から青の範囲の照射線を出し、1つのレーザーが赤から近赤外の範囲の照射線を出す、請求項4又は5記載の方法。
  7. 1つのレーザーが400〜470nmの範囲の波長を有する照射線を出し、1つのレーザーが620〜680nmの範囲の波長を有する照射線を出す、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記レーザー光線を、ストラチャン装置(Strachan Device)で変化させる、ここで、該ストラチャン装置は、第1の回折格子、第2の回折格子及び第1の回折格子と第2の回折格子との間に配置された屈折要素を含み、該ストラチャン装置は、相殺的干渉によってレーザー光線の一部を相殺し、建設的干渉によってレーザー光線のパルスを生成する、請求項4〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記レーザーがダイオードレーザーである、請求項8記載の方法。
  10. 前記レーザー光線が、10-12秒以下の有効平均パルス長を有する、請求項4〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記レーザー光線が、10-15秒以下の有効平均パルス長を有する、請求項4〜9のいずれか1項記載の方法。
  12. 少なくとも2つの異なったレーザーからのレーザーパルスを同時に適用することを更に含む、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 少なくとも2つの異なったレーザーからのレーザーパルスを交互に適用することを更に含む、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記溶媒がアルコールである、請求項4〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記溶媒が無水アルコールである、請求項4〜13のいずれか1項記載の方法。
  16. アスピリンの溶媒溶液を取得し;
    該溶媒溶液をカバー付きの容器に収容し;
    該アスピリン溶液にレーザー光線パルスのパルスを適用し;及び
    該レーザーパルスを適用しながら該溶液の少なくとも一部を蒸発させ、それによって非結晶アスピリンを形成すること、
    を更に含む、請求項4〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記レーザーパルスを適用している間、前記アスピリン溶液を加熱することを更に含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記溶液を100℃の温度に加熱することを更に含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記溶媒の蒸発が完了するまで、前記アスピリン溶液に前記レーザー光線を適用することを更に含む、請求項16〜18いずれか1項記載の方法。
  20. 前記溶媒を蒸発させながら前記アスピリンを室温まで冷却することを更に含む、請求項19記載の方法。
  21. 前記レーザー光線の適用を開始した後、所定の期間にわたって溶媒の蒸発を阻止し、次いでレーザーパルスの適用を続けながら溶媒を蒸発させることを更に含む、請求項16〜20のいずれか1項記載の方法。
  22. 前記溶媒の蒸発が完了するまで前記溶液に前記レーザー光線を適用することを更に含む、請求項21記載の方法。
  23. 少なくとも2つの異なるレーザーからのレーザー光線を同時に適用することを更に含む、請求項16〜22のいずれか1項記載の方法。
  24. 少なくとも2つの異なるレーザーからのレーザー光線を交互に適用することを更に含む、請求項16〜22のいずれか1項記載の方法。
  25. 前記レーザーパルスがストラチャン装置で変更されたレーザー発光である、ここで、該ストラチャン装置は、第1の回折格子、第2の回折格子及び第1の回折格子と第2の回折格子との間に配置された屈折要素を含み、該ストラチャン装置は、相殺的干渉によってレーザー光線の一部を相殺し、建設的干渉によってレーザー光線のパルスを生成する、請求項16〜24のいずれか1項記載の方法。
  26. 請求項1記載の非結晶アスピリンを含む、医薬組成物。
  27. 非結晶アスピリンの製造方法であって、以下:
    第1の回折格子と、第2の回折格子と、該第1の回折格子と該第2の回折格子の間に配置された屈折要素とを備えるストラチャン装置の中を、10 -9 秒以下の有効平均パルス長を有し、少なくとも2つの供給源からの異なった波長を有する、レーザー光線を通過させ;相殺的干渉によって該レーザー光線の一部を相殺し;建設的干渉によってレーザー光線の有効パルスを生成させ;
    該ストラチャン装置の中を通過したレーザー光線を、アスピリンの溶媒溶液に適用し;及び
    該溶媒を蒸発させること、
    を含む、方法。
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