JP5524812B2 - コロイド固定化種と非コロイド構造上の種との相互作用 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、概して、化学物質および生化学的物質および検出方法、より詳しくは、コロイドが、電極、ビーズまたは細胞のような非コロイド構造に結合する技術、および多重シグナルが単一の結合結果を示す技術に関する。薬物スクリーニングを含めた技術は、本発明によって容易にされる。
発明の背景
薬物発見は、生理学的条件下における標的受容体との相互作用に関して多数の候補化合物をスクリーニングすることによって容易にされる。特に重要なのは、細胞表面受容体である。腫瘍発生を促進する生体分子相互作用の多くは、細胞内および細胞間両方のシグナリングを媒介する細胞表面タンパク質を必要とする。“腫瘍マーカー”は、悪性状態への形質転換の結果として独占的に発現されるかまたは過発現される細胞の表面上の分子である。これらマーカーのいくつかは、組織に浸潤し且つ転移を特徴とする攻撃的な成長経過を示す腫瘍の能力と相関している(これら腫瘍は、概して、患者にとって思わしくない結果と関係している)。例えば、細胞表面受容体αVβ3と細胞接着分子ビトロネクチンとの相互作用は、血管形成に関係している。J.Varner ら,“Integrins and cancer.”Curr
Opin Cell Biol. 8:724(1996);B.Vailhe ら,“In vitro angiogenesis is modulated by the mechanical properties of fibrin gels and is related to a αVβ3 integrin localization,”In Vitro Cell Dev Biol Anim., 33:763(1977);M.Horton,“The αVβ3 integrin 'vitronctin receptor',”Int J Biochem Cell Biol, 29:721(1997) を参
照されたい。実際に、黒色腫細胞上のこの受容体の増加した濃度は、思わしくない予後と相関している。もう一つの例は、MUC−1抗原であり、この抗原は、乳癌、前立腺癌、肺癌および卵巣癌で過発現される。
生きているそのままの細胞の表面上の標的受容体とリガンドとの相互作用を検出する性能は、これら相互作用を破壊する候補化合物のスクリーニングを可能にすると考えられる。細胞表面受容体の作用を阻止する薬物に関して化合物ライブラリーをスクリーニングすることは、薬物スクリーニング工程の間中、それらの天然のコンホメーションおよびマルチマー化状態にある受容体に臨界的に依存する。現在の技術によれば、細胞表面受容体とそれらの天然のリガンドとの相互作用を検出することは難しいしまたは不可能である。
現在の技術は、細胞へのリガンド相互作用を検定する性能が限られている。一つのこのような技術は、ELISA検定である。ELISAの場合、最初に、細胞を96ウェルプラスチックプレートに、抗体、コラーゲンによってかまたは、プラスチックプレートとの非特異的相互作用によって接着させる。次に、同族抗体を目的の細胞表面タンパク質に結合させる。相互作用する複合体を検出するために、最初の抗体に結合するように設計された、および酵素(通常は、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼ)に結合している第二の種間抗体を加える。洗浄工程では、非結合抗体を除去する。次に、酵素の基質を加えるが、その結果、酵素が存在する場合、比色変化が生じるであろう。その技術の変法では、第二抗体を蛍光標識に結合させた後、それを蛍光読み取り機で検出する。この技術の有用性を制限する固有の問題がいくつかあり、(1)プラスチックへの高率の非特異的抗体吸着がある;(2)弱いリガンド−受容体相互作用は、この技術に必要とされる多数の洗浄工程によって破壊される;(3)頻繁な洗浄工程、更には、酵素基質としての過酸化物の使用は、細胞に毒性でありうる;そして(4)検定には多数の細胞が必要とされる。具体的には、この検定は、次の理由で、薬物候補をスクリーニングするのに理想的に好適ではない。(1)抗体−受容体相互作用は、高親和性相互作用でありうるが、小分子またはタンパク質の薬物候補によって破壊されるとは考えられない;(2)抗体は、標的受容体を、その受容体の正常な機能を破壊しない部位で結合することがありうる;そして(3)検定は、薬物の存在下における細胞生存能力に関する情報を与えない。
要求されるのは、広範囲の特異的相互作用において多用性を増加させるおよび感度を増加させうる化学的または生物学的種間の結合結果を監視するまたは制御するアプローチである。例えば、細胞受容体およびそれらのリガンドの特異的相互作用((αVβ3受容体)の相互作用が含まれるが、これに制限されるわけではない)に対して薬物をスクリーニングするアプローチは、好都合であると考えられる。この例の場合、検定は、広範囲の腫瘍種類、特に、浸潤性腫瘍に対してスクリーニングを可能にするように柔軟であるべきである。特に、そのスクリーニングアプローチは、多数の候補薬物の迅速なスクリーニングを可能にすべきである。
発明の要旨
本発明は、薬物スクリーニングに有用な技術を含めた、化学的または生物学的種間相互作用を監視する(検出する)種々の新規な方法、組成物および種、および製品を提供する。
一つの態様において、本発明は、コロイド粒子に、非コロイド構造に固定する能力を与えた後、そのコロイド粒子が非コロイド構造に固定しているかどうか確認する方法を提供する。この態様は、コロイド粒子、または好ましくは、種々の構造を有する多数のコロイド粒子を必要とする広範囲の相互作用を包含する。磁気ビーズのようなビーズを含めた非コロイド構造は、ビーズに関して固定される種と、コロイド粒子に関して固定される種と
の相互作用の確認を助けるものとしてコロイド粒子と相互作用しうる。それらコロイド粒子は、ビーズを“装飾し”、特定の種/種相互作用の指標としてそれらを目視によって確認可能にすることができ、粒子の確認が電子または他の手段等によって行われうる場合の表面にコロイド粒子を補充するのに用いることができる。電極のような非コロイド構造は、コロイド粒子またはコロイド粒子上に固定される種と作用して、具体的な検定結果を示すことができる。細胞のような非コロイド構造は、コロイド構造と相互作用して、コロイド粒子が有する種への細胞の結合を示すことができる。コロイド粒子および非コロイド構造を必要とするこれらおよび他の技術の利点は、次の説明からなお一層明らかになるであろう。
もう一つの態様において、本発明は、ビーズ、コロイド粒子等のような製品に、金属結合標識/金属キレート結合によって化学的または生物学的物質を結合する技術を提供する。この方法で化学的または生化学的種に結合した製品は、本発明に包含される。
本発明のもう一つの態様は、リガンド/タンパク質相互作用の検出技術であって、電気活性物質と一定の近位関係にあるリガンドを提供し、そのリガンドとタンパク質との相互作用を、電気活性物質によって与えられる電気活性シグナルを監視することによって確認することを含み、またはそのシグナルは、電気活性物質がそのタンパク質に接近していることによる技術を包含する。この技術は、表面、およびその表面にも固定される電気活性物質と一緒に表面に固定されるタンパク質と相互作用すると考えられるリガンドを規定する本発明の製品によって容易にされうる。本発明のこの態様は、タンパク質/リガンド相互作用を、表面プラスモン共鳴の不存在下においてタンパク質かまたはリガンドを標識することなく確認する方法である本発明のもう一つの特徴を容易にする。
本発明は、更に、第一の生物学的または化学的物質の、多数のシグナリング因子を含む第二の生物学的または化学的物質への単結合をシグナル化する方法を可能にする技術および成分を提供する。本発明によって提供される製品は、この技術を容易にし、しかも多数のシグナリング因子に結合した第二物質に生物学的にまたは化学的に結合することができる第一の生物学的または化学的物質を規定する。多数のシグナリング因子は、多数のシグナリング因子を有し且つ物質への結合に適合している樹状体(dendrimeor)の重合体によってその物質に結合することができる。その技術は、多数のシグナリング因子も固定されるコロイド粒子に物質を固定することによっても容易にされうる。好ましい実施態様において、4以上のシグナリング因子が、化学的または生物学的単結合結果のシグナルを同時に与える。より好ましくは、少なくとも10、より好ましくは、少なくとも50、より好ましくは、少なくとも1000または10,000のシグナリング因子が、本発明のこの態様により、化学的または生物学的単結合結果のシグナルを同時に与える。
本発明のもう一つの態様は、シグナリング因子およびそこに固定されるタンパク質両方を有するコロイド粒子によって規定される。この成分の使用技術も、本発明に包含される。
本発明は、更に、表面に自己集合した単層を越える電子透過性を制御する技術を提供する。その技術において、自己集合した単層は、表面上に形成され、少なくとも第一分子種および第二分子種の混合物によって規定される。第一分子種は、表面での自己集合を、表面が暴露される流体がその表面と電気的に連通するのを妨げる密充填方式で促進する構造を有する。すなわち、第一種は、流体に対して表面を密封する比較的密充填した自己集合単層(SAM)を形成するが、それは、SAMが第一種だけから構成されているからである。本発明のこの態様によるSAMは、分子構造が、密充填した自己集合構造の破壊を引き起こし、それによって、表面が暴露される流体を表面と電気的に連通させる密充填構造の欠点を規定する場合、その第一種と、異なった分子構造を有する第二種とから構成され
る。この場合、その流体は、トンネル等による電子的連通が起こりうる表面に接触することによってまたはその表面に充分に近接した状態になることによってその表面と電気的に連通する。次の説明から分かるように、本発明のこの態様は、本発明の他の技術と一緒に、極めて有用でありうる。
記述されたように、本発明の一つの特徴は、薬物スクリーニングのための一連の成分および技術を提供することである。そのアプローチは、(1)普遍的シグナリング要素への天然リガンドの結合のための調節システム;(2)複数のシグナリング要素のそれぞれのリガンドへの結合によって増大した検出感度;(3)より簡単なフォーマット(洗浄工程、酵素切断および毒性物質を必要としない);(4)好都合な電子出力;および(5)多様化性能を提供する。
検定の一つの実施態様において、本発明は、導電性固体支持体上に生きているそのままの成長細胞を固定することを包含する。表面分子(例えば、受容体)および細胞内シグナリングタンパク質両方を有するこのような細胞を、天然において表面かまたは粒子様でありうる固体支持体に結合させる。これら細胞由来分子へのリガンド(または“結合パートナー”)は、既知および未知両方のリガンド、更には、推定上の薬物候補を含むことができ、それらを他の固体支持体に結合させないかまたは、表面または粒子様構造に結合させ、二つの結合パートナー間の結合が起こり且つ検出することができるような方法で、他の細胞由来分子と相互作用させる。結合パートナーの一方またはその結合支持体は、更に、検出装置によって認識され且つ定量されうる物質を用いて誘導体化されうる。次に、この複合体(相互作用による)を、非結合パートナーと結合複合体を区別するその結合複合体の特徴を用いて検出装置の存在下に置く。
一つの実施態様において、細胞は、金属支持体の導電性を保存するように処理された(例えば、細胞成長と両立しうる分子を用いてコーティングされた)金属支持体(例えば、金)上で成長させる。一つの実施態様において、均一導電性分子層を、絶縁分子種(飽和アルキルチオラートなど)を用いて均一にコーティングされた金属より高い速度で電子の伝導を可能にする金属表面に結合させる。もう一つの実施態様において、まず第二種の混合物を含めた不均一分子層は、表面に暴露される流体を、上記の表面と電気的に連通させる。もう一つの実施態様において、不均一導電性分子層を金属表面に結合させるが、その不均一層は、導電性または高導電性分子(または菌叢の“不足”)によって中断される低または非導電性種(例えば、一つのこのような種または複数のこのような種)の菌叢と考えられうる。

不均質導電層、または流体/表面電気連絡を促進する欠陥をもちうる不均質層の好ましい態様において、2タイプの分子を金属表面に付着させる:1)アルキルチオールスペーサー分子(非特異的吸着を阻止するために、エチレングリコール単位またはメチルを末端基とする)を用いてローン(lawn)を形成する;および2)導電種または欠陥形成種。導電種は後記の実験で容易に同定できる。1態様において、導電種は少なくとも1つの環構造を含む(たとえばベンゼン環、ピリミジン環など)。他の態様においては、導電種は環構造を含まず、−O−、−OH−、−NH2−およびSHから選択される基を含む。
均質導電層の好ましい態様においては、1タイプの分子のみ、すなわち導電種を金属表面に付着させる。複数の導電種を用いる他の態様も考慮される。この様式の欠陥形成分子および他の観点を以下にさらに記載する。
前記のように、1種類以上の細胞由来分子に対するリガンド(すなわち”結合パートナー”)を粒子様構造体に付着させて、アッセイに使用できる。1態様においては、リガンドをコロイドに付着させる。それらのコロイドは電気活性分子(たとえばフェロセン)を
含む。そのようなアッセイにおいては、リガンドと細胞由来分子(たとえば細胞表面受容体)の相互作用によりコロイド−−および電気活性分子−−は金属表面近くへ運ばれ、このリガンド相互作用を電気検出することができる。
前記のように、本発明は方法および組成物の両方を考慮する。1態様において本発明は、固体支持体に付着した第1分子および1種類以上のシグナリング素子(すなわち光伝達の変化、溶液の色の変化、電荷の変化などによる検出(これらに限定されない)を含めた任意の手段で検出できる信号を発する分子または分子クラスター)を含む組成物であって、第1分子はリガンドであり、細胞表面受容体と相互作用することができるものである組成物を考慮する。他の態様において本発明は、固体支持体に付着した第1分子、第2分子および第3分子を含む組成物であって、第1分子は細胞表面受容体と相互作用しうるリガンドを含み、第2分子は固体支持体上に単層を形成し、第3分子は電気活性である組成物を考慮する。
本発明は固体支持体の性質により限定されないものとする。1態様において、固体支持体はコロイド(たとえば金コロイド)である。本発明は、固体へのリガンドの付着の性質によっても限定されないものとする。1態様において、リガンドは固体支持体に共有結合する(直接に、または他のリガンドもしくは結合性部分を介して)。他の態様において、リガンドは非共有結合または静電相互作用により付着する。
本発明は多様なシグナリング素子を考慮する。これには蛍光分子、および比色基質に作用しうる酵素が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において本発明は、電気活性分子、すなわち適切な一般的電気集成装置の作用電極付近で電子的に測定できる酸化/還元電位をもつ分子を、シグナリング素子として考慮する。好ましい電気活性分子はメタロセンである。本発明により電気活性シグナリング素子として作動しうるメタロセンは既知である。特に好ましい電気活性分子の一例は、フェロセン基を含むもの、たとえばフェロセニルチオール(C3524FeS)である;しかし他の遷移金属有機錯体もシグナリング素子として考慮される。
本発明は化学物質または生化学物質の性質により限定されないものとする。多様な物質およびこれらの物質の結合相手、たとえば抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害物質、酵素/補因子、結合性タンパク質/基質、キャリヤータンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、タンパク質/核酸、リプレッサー/インデューサー、リガンド/細胞表面受容体、ウイルス/リガンドなどを、本発明の結合相互作用として採用できる。1態様において、この物質はリガンド、具体的にはペプチドである。好ましい態様においてペプチドは、金属キレートに結合しうる部分(たとえばヒスチジンタグ)で誘導体化される。この態様においては、固体支持体が金属キレートを含むことが好都合であり、ペプチドは金属キレートへのこの部分の結合により固体支持体に付着する。
ある態様においては、細胞由来の分子(細胞表面受容体および細胞内シグナリングタンパク質が共に含まれる)が固体支持体上に存在するか、またはそれに付着している。これらの細胞由来タンパク質の結合パートナー(既知および未知のリガンド、ならびに推定候補がいずれも含まれる)は表面および/または粒子様構造体に付着し、2つの結合パートナー間で結合が起きるように、細胞由来タンパク質と相互作用することができる。結合パートナーの一方またはそれが付着する支持体を、検出可能な物質でさらに誘導体化することができる。相互作用複合体は、結合した複合を結合していない結合パートナーから識別する特徴を利用して同定される。検出可能部分(結合パートナーの一方と共に共通の固体支持上に固定化されるか、または結合パートナーの一方に直接に付着している)の存在またはその変化を検出する。その相互作用を撹乱する分子は、この信号の損失を検出するこ
とにより同定できる。結合パートナーの一方を検出領域に閉じ込めて他方の結合パートナーを捕獲させることにより、あるいは結合した複合体を結合していない結合パートナーから識別する特徴を利用することにより、あるいは捕獲可能な要素を結合パートナーまたはそれが結合している固体支持体の一方に付着させることにより、相互作用パートナーを検出装置に導入する。本発明の他の利点、新規性および目的は、以下の本発明の詳細な説明を添付の図面と合わせて考慮すると明らかになるであろう。図面は模式図であり、現尺で描いたものではない。図面中、各種図面に描いた同一またはほぼ同一の構成要素は単一数字で表される。明確にするために、各図にすべての構成要素を表示したわけでなく、各態様において当業者に本発明を理解させるために説明が必要ではない構成要素は表示しなかった。
詳細な説明
一つの側面において、本発明は分析、薬物スクリーニング又はそれに類似した行為に際して、化学物質又は生物薬剤の間の相互作用を意図している。本発明には、そのままの細胞(電極又は溶液又は懸濁液中に成長した)へのリガンドを含むがそれに限らないリガンド相互作用の分析及び/又は阻害を含むが、それに限らない。本発明は、薬物候補物、既知又は推定の配位子及び小分子薬物ライブラリーの利用を含んでなる種々の態様を意図している。
一つの態様では、自己組立単層(SAMs)で誘導体化された又はされていない電極に細胞は成長する。推定リガンド(例えば、特定の細胞表面受容体への)は信号伝達要素(例えば電気活性複合体)と共に固体担体(例えば金コロイド)に固定化されている。これら誘導体化固体担体は検出電極上(金属担体)に固定化した細胞と培養する。標的受容体と固体担体(例えばコロイド結合リガンド)上のリガンドとの相互作用は、検出電極の近くに固定化信号伝達要素を繋ぎ止める。この相互作用はインピーダンスの変化として検出可能である。なにか特定なメカニズムに限定されないが、電極に電位が負荷されると近在の酸化還元活性金属複合体がその特徴的酸化電位が働き電位を放出する。振動成分を電圧傾斜の頂上に加えると、多数の電子が各金属複合体から放出され、電流出力として検出できる。この種の電気化学的分析の様式を交流ボルタンメトリー(ACV)と称す。
本発明は、細胞が直接的に金属担体へ結合する態様に限るつもりはない。態様では、金属担体に結び付いたリガンドの相互作用を通じて間接的に細胞が結合することを意図している。これは即ち、特定又は不特定の相互作用で直接的又は間接的に細胞に結合している分子により表面を被覆することで細胞が表面に補充できるといえる。例えば、末端メチル化自己組立単層(SAMs)は非特異的にコラーゲンと結合するが、順に細胞へ非特異的に結合する。その代わりとして、アルギニン、グリシン、アスパラギン酸(RGD)モチーフを含有するペプチドはビトロネクチンを模倣し、内皮細胞のような特異な細胞型に結合する。同様に、ポリリジン、正荷電、クリングルドメイン、インテグリン及びペプチド又はこれらの分子模倣物は、細胞の付着の際に表面に結合できる。これらのリガンドはSAMsに組み入れられることにより表面において展示できる。リガンドそれ自身が直接的にSAMに組み入れられる必要はない。リガンドに付着したアフィニティータグに対する結合相手を展示するSAMsが用いられる。例えば、ヒスチジンタグで修飾されたペプチドは簡単に、ニトリロ三酢酸‐ニッケルチオールを含有するSAMsに付着できる。その代替として、グルタチオンS‐トランスフェラーゼ融合タンパク質は、グルタチオン又はその誘導体を組み入れたSAMに付着できる。金属電極を用いる利点の一つは、表面でSAMを形成する分子の末端に多くの既知官能基を提供できることである。
例えば、溶液中の細胞は電気泳動で検出用電極へ引き寄せることができる。細胞由来分子は特異的に、フェロセン誘導体のような電気活性化合物を展示するコロイドに付着したリガンドに結合でき、結合した複合体を検出において補助をする。しかし、使用した検出
用要素は簡単に検出ができるいかなる荷電、電気活性な種又は蛍光タグに成り得る。
リガンド誘導体化コロイドは、自己組立単層(SAM)で修飾した又は修飾していない電極の近くに繋ぎ止めることができ、結合で誘起した電極電流における摂動で結合した細胞を検出できる。細胞由来のタンパク質は、磁気ビーズに付着したリガンドにも結合できる。その代替として、細胞由来タンパク質は、電気活性な樹状体上のリガンドにも結合できる。加えて、細胞由来タンパク質は、電気活性又は酸化還元複合体を提示する高分子に付着したリガンドと結合できる。また細胞由来タンパク質は、電気活性又は酸化還元複合体を展示する伝導性高分子に付着したリガンドと結合することもできる。
代替スキームでは、前述の系は2つの異なるリガンドを利用できる。一つ目のリガンドは構成要素的に発現した細胞表面受容体に結合していて、磁気ビーズ上に固定化でき、細胞を検出電極に補充するのに使用できる。二つ目のリガンドは目的の細胞表面受容体を認識するが、信号伝達コロイドに付着している。
他の代替スキームでは、前述の系は異なる電位で酸化する2つのフェロセン誘導体のような2つの区別できる電気活性複合体を利用できる。一番目のフェロセン誘導体は、目的の細胞表面受容体用のリガンドに直接的又は間接的に付着できる。二つ目のフェロセン誘導体は、構造的に発現した細胞表面受容体に結合する二つ目のリガンドに直接的又は間接的に付着する。このようにして、発現が生理的、環境的又は疾病関連変化で誘起した細胞由来分子(例えば、タンパク質)の誘導レベルを測定するのに2つの信号の比率が使用できた。この発現比率の比較は、同一の金属複合体を担持する両方のリガンドを有する別々の電極パッドに試料の別々の量を培養することによりできる。
本発明は、リガンド(推定の薬物候補物を含むが、これに限らない)を、粒子様である表面と付着させ、担体に付着又は細胞の上にそのまま存在する細胞表面タンパク質と相互作用させ、結合相手を同定したり、それらの存在の有無を測定し、それらのレベルの定量を行なうことを意図するものである。特に、細胞表面受容体を呈するもとのままの細胞は第一の結合相手として使用できる。電気活性複合体に直接的又は間接的に付着した既知又は推定のリガンドは第二の結合相手として行動する。しかし、これらリガンドに直接的又は間接的に付着した検出可能部分は、使いやすい荷電、電気活性又は蛍光タグになりうる。その代替として、第一の結合相手は、ニッケルのような金属を配位したニトリロ三酢酸(NTA)の如きキレートの複合体を担持したコロイドに結合したヒスチジンタグタンパク質(His‐タグ)、ペプチド、小分子又はDNAのように金属が結合したタグ種でありうる。コロイドは自己組立単層により誘導体化されているものか、されていないものである。検出相手として働く第二の結合相手は、SAMで修飾されるようなコロイド、金表面又は金被覆磁石ビーズでありうる。
種々な病的状態に関与する細胞由来タンパク質(cell-derived protein)のアップレギュレーションを阻害する薬物をスクリーニングするために、この系を用いることもできる。結合パートナー(薬物、抗体、又は細胞由来タンパク質に対するタンパク質/ペプチドリガンドを包含しうる)がひと度同定されたならば、この結合パートナーを検出部分に結合させて、疾患状態又は治療に応じた細胞由来タンパク質の発現レベルを定量することができる。これは、細胞表面と細胞内区画の両方に対する細胞由来タンパク質の発現及びトランスロケーションに関して薬物候補の間接的影響を試験する任意のアッセイでありうる。
薬物候補の同定は競合的阻害アッセイを用いて達成することもできる。詳しくは、溶液中で遊離している(free in solution)薬物候補を別々に該組成物と共にインキュベートすることができる。受容体又はリガンドへの薬物結合によって生じる標的細胞由来タンパク質に対する競合的阻害は、検出シグナルの時間又は用量依存損失として観察することがで
きる。
これを実施することは、既知リガンドにシグナリング(signaling)部分を直接又は間接的に結合させる方法を必要とし、次にセンシング表面(sensing surface)に複合体(complex)結合パートナーを結合させる又は補充する方法を提供した。前者は上述したが、後者は以下で述べる。
用いられるセンシング表面は種々な形態をとることができる。しかし、例示のために、誘導SAM(conducting SAM)によって改変される電極を用いる、結合パートナー複合体の補充方法を述べる。誘導SAMは金属表面に取り付けられた分子層であり、例えば飽和アルキルチオラートのような絶縁種(insulating species)によって均一に被覆された金属よりも高い速度での電子の誘導を可能にする。電子誘導の好ましい経路は、分子ワイヤ(molecular wires)(芳香環化合物のポリマー)が組み込まれている単層によって与えられうる。このためには、非限定的にポリ(エチニルフェニルチオール)(即ち、C1610S)、本明細書ではMFIと呼ぶ、を包含する、多様な分子を用いることができる:
Figure 0005524812
本明細書で用いる限り、“分子ワイヤ”は、SAMコーディングされた(SAM-coded)電極を電極と電気的に連通させる流体の能力を強化するワイヤを意味する。これは導電性分子を包含するか、又は上述し、以下でさらに詳述するように、SAM中の欠陥(defects)を電極と流体接触させることができる分子を包含する。他の分子ワイヤの非限定的リストは2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオスレイトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン−エタンチオール、及び2−メルカプトエチルエーテルを包含する。単層の導電性はまた、電極面の導電性を促進する分子の添加によっても強化することができる。誘導SAMは、非限定的に、(1)Sを末端に有するポリ(エチニルフェニル)鎖;(2)ベンゼン環を末端に有するアルキルチオール;(3)DNA塩基を末端に有するアルキルチオール;(4)単層中に充分にパックされない、任意の硫黄末端種;(5)特異的吸着を阻害しないエチレングリコール単位又はメチル基のいずれかを末端に有する上記プラス又はマイナスアルキルチオール・スペーサー分子の総てから構成されうる。チオール類は、金に対するそれらのアフィニティのために、SAMのすばやい形成のために挙げられる。米国特許第5,620,820号及び他の参考文献から当該技術分野に知られるように、チオールの代わりに他の分子を用いることもできる。相互作用SAMの下流には、チャージリーダー(charge reader)(例えば、アンメーター、チャージカウンター)又は光学的リーダー(例えば、表面プラスモン・レゾナンス・デテクター又は蛍光リーダー)が存在する。
シグナリングコロイド上の既知リガンドがそれらの同種の(cognate)細胞由来タンパク質と相互作用するときに、薬物候補を溶液中に加えて、特異な(differential)効果をモニターすることができる。直接又は間接的に細胞に結合するヘッド基(head groups)(例えば、メチル基、ポリK、正電荷、RGD配列、Kringleモチーフ、インテグリン、及び同種(the same)のペプチド模倣体(mimics))を末端に有する、例えばアルキルチオールのような分子をも提示する誘導SAMで被覆された電極に、細胞を補充することができる。或いは、アルキルチオール又は金属結合タグを介してSAMに連結される、誘導SAM上に提示される同種リガンドと相互作用する細胞表面受容体を有することによって、特異な相互作用(differential interactions)を定量することができる。この状況において、構成的に発現される受容体に対するリガンドによって電子シグナルが発生される。流動
力(flow force)下で、電子シグナルは、SAM固定リガンドと相互作用する細胞表面受容体の数に比例すべきである。流動速度の関数としての細胞移動速度は、細胞表面上の細胞接着分子に対する受容体の密度を示す。
細胞は、AC電圧ランプにやや正のバイアスが与えられる場合には、負に荷電するという事実のために、センシング電極に引き付けられる筈である。リガンドが結合するデンドリマー(dendrimers)又はポリマーに付加的な負に荷電した基を加えると、センシング表面への補充がさらに促進される。当業者はデンドリマー)又はポリマーに複数のシグナリング実体(signaling entities)を容易に固定することができる。或いは、金属結合タグを介して認識リガンドを取り付けることは、アルキルチオールNTAに対するそれらの結合(及びその結果として関連細胞の結合)を促進する。金被覆磁気ビーズ上に例えばフェロセンのような金属含有化合物を有するSAMは、センシング表面電極に複合体を補充するために、電磁界又は固定磁石の使用を可能にする。さらに、直接に又はアルキルチオール−ヒスチンジン・タグを介してリガンドを組み込むセンシング電極を用いて、例えば細胞接着分子とのような特異的相互作用又は非特異的相互作用を介して細胞を引き付けることができる。
しかし、結合パートナーの1つが分析溶液よりも高密度である結果として複合体が重力によって沈降するならば、簡単に重力によっても検出系への補充を行うことができる。インキュベーション段階中に早期沈降を避けるために機械的混合を行うことができる。
細胞由来タンパク質発生器として電極を用いるバリエーションでは、電極パッド上のポイントを用いて、細胞を溶解する(lyses)電圧スパイクを生じることができる。次に、細胞の内容物をシグナリングリガンドと共にインキュベートして、相互作用を検出する。
さらに、導電性分子によってチャンネルをラインして、系の検出能力を強化するために、SAMを用いて流動チャンネルの底部に沿った一定のトポロジーにおいて細胞結合分子をパターン化することができる。したがって、SAMは、細胞結合能力をセンシング能力(光学的又は電子的)と交替するパターンで結合部分を提示することができる。例として、メチル末端アルキルチオールのストリップをSAM中の導電性ポリピロール基と交替させる。細胞の側面に沿った受容体が評価されうるように細胞が溝中に存在するように、SAMのトポロジーを操作することもできる。例えばこれらのような交替機能SAMのストリップの形成は、米国特許第5,512,131号及び国際特許公開第WO96/29629号(両方とも本明細書に援用される)に記載されるように行うことができる。
これらの複合体は電子的に検出されることができる。好ましい検出方法は交流ボルタンメトリー(ACV)と呼ばれる電気化学的方法である。この検出方法を例えば高次調和分析のような付加的な分析方法を用いて補足することができる。これらの複合体は例えばSPRのような光学的手段を用いて検出することもできる。後者の方法を用いると、センシング表面への複合体の補充によって光学的性質の大きなシフトが生じる。また、リガンドがヒドロゲルに結合する場合には、結合パートナーとのそれらの相互作用が、光学的に検出されうる、ヒドロゲルの密度の変化をもたらしうる。
これらの方法を用いて、血液及び針バイオプシーを包含する多様なソースに由来する遊離細胞(free cell)上の細胞表面マーカーを検出することができる。さらに、これらを用いて、直接のin vitro結合アッセイにおいて、脈管形成又は癌転移を促進すると知られた又は疑われるような特異的相互作用を阻害する薬物をスクリーニングすることもできる。特に重要な細胞表面受容体は腫瘍発生と相関づけられている受容体であり、この理由はこれらの受容体のブロックが腫瘍を殺すことができるからである。恐らく、他の細胞の接着分子に結合する細胞表面受容体の過度発現(over-expression)がさらにいっそう
広範囲に重要であると思われる。これらの細胞相互作用は転移及び脈管形成の仲介者であるように思われる。
さらに、これらの方法を用いて、関与する特異的な受容体−接着分子相互作用を予め知ることなく、侵襲又は転移に特徴的であることが知られた細胞表現型を阻害する薬物をスクリーニングすることもできる。生理的に関連する相互作用を模倣する薬物のスクリーニングも、この系を用いて、溶液中で遊離する薬物候補を加えて、検出シグナルの損失を探すことによって、又は溶液中で遊離する既知リガンドを固体担体上の薬物候補と共に加えて、検出シグナルの発生を求めることによって、達成することができる。
1つの実施態様では、細胞表面タンパク質を次のように検出して、定量することができる:細胞表面受容体を認識するヒスチジン−タグ付きリガンドを、NTA(Hisタグ付きタンパク質を捕捉するため)とフェロセン部分(電子シグナリングのため)の両方を提示するSAMを有するコロイドに取り付ける。これらのバイオスペシフィック(biospecific)、電子シグナリング・コロイドを次に、標的受容体を提示する細胞と共にインキュベートする。次に、細胞を沈降させ、接着させる、又はSAM被覆電極上に引き付けて、ACV(図3)によって分析する。シグナリングコロイド上に固定されたリガンドが細胞表面上のそれらの同種受容体に結合したならば、フェロセン部分の特徴的な酸化電位における電流ピークが生じる。細胞表面受容体を認識する抗体を、Hisタグ付きタンパク質A又はCと最初に結合したNTA−フェロセン含有コロイド(NTA-ferrocene bearing colloids)に取り付けることができる。或いは、金属結合タグ/金属/キレート結合を介してコロイドに抗体を直接取り付けることもでき、この場合には、金属結合タグが抗体に結合する。ヒスチジン・タグを抗体に結合させる方法は“卵巣癌関連抗原CA125に対する196−14抗体からの単鎖Fvの構築”,Hashimoto,Y.,Tanigawa,K.,Nakashima,M.,Sonoda,K.,Ueda,T.,Watanabe,T.,及びImoto,T.:1999、Biological and Pharnaceutical Bulletin,22巻;(10)1068−1072;“大きい非免疫化ファージ・ディスプレイ・ライブラリーから単離されたナノモル未満のアフィニティを有するヒト抗体”,Vaughan,T.J.,Williams,A.J.,Pritchard,K.,Osbourn,J.K.,Pope,A.R.,Earnshaw,J.C.等,1996,Nature Biotechnology 14巻(3)267頁;“E coliにおける単鎖抗−HBx抗体の単離と精製”
,Zhou G.,Iui KD.,Sun HC,Chen YH,Tang
ZY及びSchroder CH,1997,123巻(11−12)609−13に見出すことができる。
本発明の方法の1例として、図4を参照して、細胞にコロイド粒子を固定することを含む有用な方法の1例を説明する。腫瘍マーカー、MUC−1は腫瘍細胞(neoplastic cells)に異常に(aberrantly)発現される。ATCCから入手可能な、ヒト組織培養胸部癌細胞系、MCF−7はMUC−1を過度発現する。Dana−Farber Cancer Instituteから入手可能な、抗体50、DF3又は、及びDF3−pをヒスチジン−タグ付きタンパク質G56を介して電子シグナリングコロイド52(NTA−SAMs54を有する)に取り付ける。標的細胞58を抗体含有シグナリングコロイド52と共にインキュベートし、次に分子ワイヤ58を含有するSAMによって被覆された電極40に対して電気泳動させて、ACVによって分析する。電極40上のSAMは、より慣用的な気密パッキング(tight-packing)SAM形成種内で混合された分子ワイヤ58を包含する。総ての図において例示の簡単さのために、分子ワイヤのみを概略的に示す。抗体含有シグナリングコロイドをMUC−160含有細胞と共にインキュベートする場合には、電流ピークが生じる。或いは、MUC−1に対する推定上の同種リガンド、I−CAMをHis−タグ付きにして、NTA基をも有するシグナリングコロイドに取り付けることがで
きる。
他のアッセイを図5に示す。薬物ライブラリーを例えばMUC−1/I−CAM相互作用のような、細胞表面タンパク質との特異的な相互作用を中断させるそれらの能力に関してスクリーニングすることができる。I−CAM64を上述したようにシグナリングコロイド62に結合させて、次にMUC−166を提示する細胞70及び対照細胞と共にインキュベートする。薬物候補68を、細胞とコロイドとが懸濁している溶液に加えると、次に細胞が電極に付着し、ACVによって分析される。シグナルの損失は薬物候補との相互作用を意味する。図6はこのスキームを容易に多重系にして、マイクロ電極の接合可能な(interfacable)アレイ74を含む使い捨て式マイクロウェル(microwells)のアレイ72を用いて、数千の薬物候補を同時にスクリーニングする方法を例示する。各ウェルは図5に示すようなアッセイ又は他のアッセイを含有する。
次に、図7を参照すると、シグナルアッセイを増加させるために、又は同種リガンドが知られていない細胞表面受容体80に結合する薬物をスクリーニングするために、電子シグナリング部分34をも有するコロイド又は粒子78上で小分子薬物ライブラリーを合成することができる又は同コロイド又は粒子78に共有結合させることができる配置が示される。シグナリング粒子に取り付けられた薬物候補76を重要な受容体80を提示する細胞82又は対照細胞84と共にインキュベートすることができる。このアッセイにおける薬物−標的相互作用はシグナルの増加を生じる(図7)。
細胞表面受容体、αVβ3は、細胞接着分子ビトロネクチン(vitronectin)との相互作用によって脈管形成の促進に関係づけられている。αVβ3細胞表面受容体を提示するヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)はCloneticsから商業的に入手可能である。αVβ3の作用を阻害する薬物をスクリーニングするために、ビトロネクチンに由来する、RGD含有配列を提示するHis−タグ付きペプチドを、NTA基とフェロセン部分の両方を提示するSAMを有するコロイドに取り付ける。このバイオスペシフィック・シグナリングコロイドを次にHUVEC細胞及び薬物候補と共にインキュベートする。HUVEC細胞は電極上で増殖することができる。しかし、細胞が溶液中又は懸濁液中にある場合には、細胞をセンシング電極に対して電気泳動させるか又は磁気的に引き付けて、ACVによって分析することができる。バイオスペシフィック・コロイドを対照細胞とではなくHUVEC細胞とインキュベートする場合には、電流ピークが生じる。薬物候補がαVβ3−RGD配列相互作用を妨害する場合には、シグナル損失が生じる。
或いは、電子シグナリング部分をも提示するビーズ、コロイド又は担体上で薬物候補を合成するか、又は同ビーズ、コロイド又は担体に取り付けるができる。これらの“粒子”を標的細胞と共にインキュベートし、センシング電極に取り付けて、ACVによって分析することができる。アトラクティブ・フィールド(attractive field)を次に逆転させて、RGD配列含有ペプチドを溶液中に滴定する(titrated into the solutions)。細胞を再びセンシング電極に対して電気泳動して、再分析する。シグナルの損失は、薬物−細胞相互作用がαVβ3受容体に対して特異的であり、RGDペプチドのIC50を薬物に対する結合アフィニティに相関づけることができることを意味する。
或いは、αVβ3にやはり結合する49アミノ酸ペプチド、エキスタチンをHis−タグ付きにして、上記アッセイにおけるRGD含有ペプチドと置換させることができる。
第1結合パートナーは、金被覆された磁気ビーズであってもよい。これにより、アルキルチオールSAMがその上に形成されることができ、そして、細胞由来タンパク質のヒスチジン−タグされた可溶性断片を捕捉することが可能である。この場合、第2結合パートナーは、擬陽性を避けるために、非磁気固体上にその金属−含有アルキルチオールSAMを有
するべきである。よって、第2結合パートナーは、同じ表面上にリガンド及び電気活性を提示する、コロイド、リポソーム、又はポリスチレンビーズであってもよい。
本発明の一つの一般的な技術は、電気シグナル実体(entity)を電極の表面に補充する(結合パートナーによる結合部分(生物学的剤又は化学剤)の捕捉を示す)ために磁気粒子を使用することを含む。図27を参照すると、最初の種30はコロイド状粒子32に結合しており、これはメタロセンフェロセンなどのシグナル実体を運搬するシグナル能力を有している。30の結合パートナーと予測される第2の種36は、信号を送ることはできないが、電極40に磁気的に引きつけらうる、磁気粒子38に結合している。種30および第2種36の一つの特に有用な技術はタンパク質であり、よって、本発明はプロテオミクスの分野で特に有用性を見出す。上記技術は、コロイド粒子32に、非コロイド状構造の磁気ビーズ38に結びつく(fasten)能力を与えることを含む、本発明の側面の一例である。コロイド粒子の非コロイド構造への結びつきの決定は、磁気ビーズを電極へ引き寄せ、コロイド粒子も電極の近くに存在するか、あるいは結合していないかを決定することによって行う。具体的には、2種の成分を共に溶液中でインキュベートし、得られた複合体を電極に磁気的に誘引させる。次いで、電極をAlternating Current Voltammetry(ACV)(Laviron E:J.Electro Anal Chem.,1979,10:35)によって分析する。電流を、実時間でボルト数の関数としてプロットする。第1成分状の電気シグナル部分が電極の非常に近くまで引かれる場合、特徴のある電位において特有の電流ピークが生じるであろう。2種のタンパク質が互いに相互作用する場合、磁気粒子が検出電極に誘引されると、それはシグナル能力を伴うコロイド粒子も運ぶであろう。第1の成分は小さな金のコロイドであるので、コロイド粒子上の第1種及び磁気粒子に結合した第2種の相互作用を介して検出電極に特異的に補充されない限り、懸濁(液)中に留まるであろう。第1種と第2種間の相互作用を介してシグナル粒子が磁気粒子に結合された場合にのみ、電気シグナルが発生するであろう。この態様において、コロイド粒子はフェロセンによって例示されるような、補助的なシグナル実体を含む。後述される他の態様において、コロイド粒子自体がシグナル実体であり、補充的実体は要求されない。
このストラテジーは、アレイ形式中のタンパク質−タンパク質相互作用について迅速にスクリーニングするために用いることができる。可能性のある臨床標的を探索する場合、研究者は、特定のタンパク質に対する結合パートナーの同定を必要とすることが多い。この既知タンパク質はマグネチックビーズに接着しうる。このことは、化学的な官能基を表する商業的に入手可能なマグネチックビーズへの既知タンパク質の直接的な化学カップリングにより、同源の抗体を介したプロテインAコート化マグネチックビーズへの接着により、または金でコートされたマグネチックビーズ(NTA-SAMを用いて誘導されたもの(例えば、米国特許5,620,850を参照のこと。これは、引用により本願明細書に援用される。))への既知タンパク質ヒスチジンタグ付バージョンの接着により、達成されうる。可能性のある結合パートナーは、ヒスチジンタグ付タンパク質として明示され得、そして、フェロセン部分を表してもいるNTA-SAMコート化コロイドへ独立して接着しうる。マルチウェルアレイの各々のウェルは、電極アレイと連結されるが、マグネチックビーズ上の既知タンパク質を含有するものである。シグナリングコロイドへ接着する明白に推定される結合パートナーは、各々のウェルへ独立して添加されることが可能である。そして、結果として得られる複合体は電磁的に電極へ接着し、候補であるタンパク質のいずれが既知タンパク質へ結合したかが決定される。既知種は、必ずしもタンパク質であることを要さない。
代わりに、生物学的な又は化学的な試薬30が薬物候補であり、その結合パートナー(可能性のある結合パートナー)36が薬物候補の標的である。またその逆もある。詳細には、薬物候補はマグネチック粒子及びシグナリングコロイドへ接着する既知標的種へ接着することができ、医学的に意味のある標的種へ結合する薬物候補を同定することができる。あ
るいは、種30及び36は、順に標的及び標的のリガンドとなり得、この技術はリガンドの標的への結合を阻害するための候補薬物の存在下、30を36へしっかり結びつけることができるよう、コロイド32及びマグネチックビーズ38を近接するようにもたらすことを含みうる。以下に見られるように、この技術は種々の非コロイド状構造とコロイドの相互作用に適用することができる。
本技術の先行技術例えばELISA、蛍光ラベリングおよびSPRに対する利点は次のものを含む:本システムではタンパク質標識の必要がない;タンパク質は標識成分に付着している。金のコロイドは、a)シグナル部分;およびb)タンパク質付着のための官能基の両者で予め標識できる。ヒスチジン−タグを有するタンパク質を捕捉するためのNTA/Ni2+および電子シグナルのためのフェロセン誘導体の両者を提示する自己アッセンブルモノレヤーは、コロイド上に形成される。未修飾タンパク質の化学的カップリング( 標準的EDC/NHS 化学) のために、カルボキシル基を取り込むSAMSもまた使用できる。この技術はモジュラーである。現実に、任意の生物学的な成分を、シグナル体を有するコロイド上に不動化できる。容易に微小電極列上に複合体化できるので、この技術は、経済的な複合体化技術である。
リポソームもまた第一結合パートナー30として使用できる。上記のとおり、シグナル蛋白質自体リポソーム中へ取り込むことができ、またはHis−タグを有する可溶性レセプターを捕捉するためリポソーム形成後にアルキルチオール−含有脂質をリポソームに取り込んでもよい。第二の結合パートナー36は、アルキルチオール鎖に結合した金属化合物またはその中に取り込んだ脂質を有するリポソームでありうる。加えて、リポソームは、安定性を高めるために、リポソーム形成後に紫外線活性化架橋を可能にする、光活性化可能な基を有してもよい。

組織スライスを細胞由来の蛋白質として用いてもよい。組織スライスは、透析膜に付着させ、次いで、細胞由来蛋白質に結合する金属含有化合物を有するコロイド、デンドリマーまたはポリマーに結合するリガンドとインキュベートする。次いで組織スライスを裏返し、組織が付着した側を電極に近づけて、電気的または電気化学的に分析する。その代わりに、組織スライスは、透析膜に付着した結合パートナーとの相互作用により透析膜に付着させるか、またはSAMコート電極中の結合リガンドとの相互作用により電極に結合させることもできる。組織スライスは、結合リガンドを特殊なパターンで透析膜に埋め込むことにより、透析膜に繋ぎ止めることもできる。
第1結合パートナーは、金被覆された磁気ビーズであってもよい。これにより、アルキルチオールSAMがその上に形成されることができ、そして、細胞由来タンパク質のヒスチジン−タグされた可溶性断片を捕捉することが可能である。この場合、第2結合パートナーは、擬陽性を避けるために、非磁気固体上にその金属−含有アルキルチオールSAMを有するべきである。よって、第2結合パートナーは、同じ表面上にリガンド及び電気活性を提示する、コロイド、リポソーム、又はポリスチレンビーズであってもよい。
本発明の一つの一般的な技術は、電気シグナル実体(entity)を電極の表面に補充する(結合パートナーによる結合部分(生物学的剤又は化学剤)の捕捉を示す)ために磁気粒子を使用することを含む。図27を参照すると、最初の種30はコロイド状粒子32に結合しており、これはメタロセンフェロセンなどのシグナル実体を運搬するシグナル能力を有している。30の結合パートナーと予測される第2の種36は、信号を送ることはできないが、電極40に磁気的に引きつけらうる、磁気粒子38に結合している。種30および第2種36の一つの特に有用な技術はタンパク質であり、よって、本発明はプロテオミクスの分野で特に有用性を見出す。上記技術は、コロイド粒子32に、非コロイド状構造の磁気ビーズ38に結びつく(fasten)能力を与えることを含む、本発明の側面の一例である。コロイド粒子の非
コロイド構造への結びつきの決定は、磁気ビーズを電極へ引き寄せ、コロイド粒子も電極の近くに存在するか、あるいは結合していないかを決定することによって行う。具体的には、2種の成分を共に溶液中でインキュベートし、得られた複合体を電極に磁気的に誘引させる。次いで、電極をAlternating Current Voltammetry(ACV)(Laviron E:J.Electro Anal Chem.,1979,10:35)によって分析する。電流を、実時間でボルト数の関数としてプロットする。第1成分状の電気シグナル部分が電極の非常に近くまで引かれる場合、特徴のある電位において特有の電流ピークが生じるであろう。2種のタンパク質が互いに相互作用する場合、磁気粒子が検出電極に誘引されると、それはシグナル能力を伴うコロイド粒子も運ぶであろう。第1の成分は小さな金のコロイドであるので、コロイド粒子上の第1種及び磁気粒子に結合した第2種の相互作用を介して検出電極に特異的に補充されない限り、懸濁(液)中に留まるであろう。第1種と第2種間の相互作用を介してシグナル粒子が磁気粒子に結合された場合にのみ、電気シグナルが発生するであろう。この態様において、コロイド粒子はフェロセンによって例示されるような、補助的なシグナル実体を含む。後述される他の態様において、コロイド粒子自体がシグナル実体であり、補充的実体は要求されない。
このストラテジーは、アレイ形式中のタンパク質−タンパク質相互作用について迅速にスクリーニングするために用いることができる。可能性のある臨床標的を探索する場合、研究者は、特定のタンパク質に対する結合パートナーの同定を必要とすることが多い。この既知タンパク質はマグネチックビーズに接着しうる。このことは、化学的な官能基を表する商業的に入手可能なマグネチックビーズへの既知タンパク質の直接的な化学カップリングにより、同源の抗体を介したプロテインAコート化マグネチックビーズへの接着により、または金でコートされたマグネチックビーズ(NTA-SAMを用いて誘導されたもの(例えば、米国特許5,620,850を参照のこと。これは、引用により本願明細書に援用される。))への既知タンパク質ヒスチジンタグ付バージョンの接着により、達成されうる。可能性のある結合パートナーは、ヒスチジンタグ付タンパク質として明示され得、そして、フェロセン部分を表してもいるNTA-SAMコート化コロイドへ独立して接着しうる。マルチウェルアレイの各々のウェルは、電極アレイと連結されるが、マグネチックビーズ上の既知タンパク質を含有するものである。シグナリングコロイドへ接着する明白に推定される結合パートナーは、各々のウェルへ独立して添加されることが可能である。そして、結果として得られる複合体は電磁的に電極へ接着し、候補であるタンパク質のいずれが既知タンパク質へ結合したかが決定される。既知種は、必ずしもタンパク質であることを要さない。
代わりに、生物学的な又は化学的な試薬30が薬物候補であり、その結合パートナー(可能性のある結合パートナー)36が薬物候補の標的である。またその逆もある。詳細には、薬物候補はマグネチック粒子及びシグナリングコロイドへ接着する既知標的種へ接着することができ、医学的に意味のある標的種へ結合する薬物候補を同定することができる。あるいは、種30及び36は、順に標的及び標的のリガンドとなり得、この技術はリガンドの標的への結合を阻害するための候補薬物の存在下、30を36へしっかり結びつけることができるよう、コロイド32及びマグネチックビーズ38を近接するようにもたらすことを含みうる。以下に見られるように、この技術は種々の非コロイド状構造とコロイドの相互作用に適用することができる。
本技術の先行技術例えばELISA、蛍光ラベリングおよびSPRに対する利点は次のものを含む:本システムではタンパク質標識の必要がない;タンパク質は標識成分に付着している。金のコロイドは、a)シグナル部分;およびb)タンパク質付着のための官能基の両者で予め標識できる。ヒスチジン−タグを有するタンパク質を捕捉するためのNTA/Ni2+および電子シグナルのためのフェロセン誘導体の両者を提示する自己アッセンブルモノレヤーは、コロイド上に形成される。未修飾タンパク質の化学的カップリング( 標準的EDC/NHS
化学) のために、カルボキシル基を取り込むSAMSもまた使用できる。この技術はモジュラーである。現実に、任意の生物学的な成分を、シグナル体を有するコロイド上に不動化できる。容易に微小電極列上に複合体化できるので、この技術は、経済的な複合体化技術である。
リポソームもまた第一結合パートナー30として使用できる。上記のとおり、シグナル蛋白質自体リポソーム中へ取り込むことができ、またはHis−タグを有する可溶性レセプターを捕捉するためリポソーム形成後にアルキルチオール−含有脂質をリポソームに取り込んでもよい。第二の結合パートナー36は、アルキルチオール鎖に結合した金属化合物またはその中に取り込んだ脂質を有するリポソームでありうる。加えて、リポソームは、安定性を高めるために、リポソーム形成後に紫外線活性化架橋を可能にする、光活性化可能な基を有してもよい。

組織スライスを細胞由来の蛋白質として用いてもよい。組織スライスは、透析膜に付着させ、次いで、細胞由来蛋白質に結合する金属含有化合物を有するコロイド、デンドリマーまたはポリマーに結合するリガンドとインキュベートする。次いで組織スライスを裏返し、組織が付着した側を電極に近づけて、電気的または電気化学的に分析する。その代わりに、組織スライスは、透析膜に付着した結合パートナーとの相互作用により透析膜に付着させるか、またはSAMコート電極中の結合リガンドとの相互作用により電極に結合させることもできる。組織スライスは、結合リガンドを特殊なパターンで透析膜に埋め込むことにより、透析膜に繋ぎ止めることもできる。
種々な病的状態に関与する細胞由来タンパク質(cell-derived protein)のアップレギュレーションを阻害する薬物をスクリーニングするために、この系を用いることもできる。結合パートナー(薬物、抗体、又は細胞由来タンパク質に対するタンパク質/ペプチドリガンドを包含しうる)がひと度同定されたならば、この結合パートナーを検出部分に結合させて、疾患状態又は治療に応じた細胞由来タンパク質の発現レベルを定量することができる。これは、細胞表面と細胞内区画の両方に対する細胞由来タンパク質の発現及びトランスロケーションに関して薬物候補の間接的影響を試験する任意のアッセイでありうる。
薬物候補の同定は競合的阻害アッセイを用いて達成することもできる。詳しくは、溶液中で遊離している(free in solution)薬物候補を別々に該組成物と共にインキュベートすることができる。受容体又はリガンドへの薬物結合によって生じる標的細胞由来タンパク質に対する競合的阻害は、検出シグナルの時間又は用量依存損失として観察することができる。
これを実施することは、既知リガンドにシグナリング(signaling)部分を直接又は間接的に結合させる方法を必要とし、次にセンシング表面(sensing surface)に複合体(complex)結合パートナーを結合させる又は補充する方法を提供した。前者は上述したが、後者は以下で述べる。
用いられるセンシング表面は種々な形態をとることができる。しかし、例示のために、誘導SAM(conducting SAM)によって改変される電極を用いる、結合パートナー複合体の補充方法を述べる。誘導SAMは金属表面に取り付けられた分子層であり、例えば飽和アルキルチオラートのような絶縁種(insulating species)によって均一に被覆された金属よりも高い速度での電子の誘導を可能にする。電子誘導の好ましい経路は、分子ワイヤ(molecular wires)(芳香環化合物のポリマー)が組み込まれている単層によって与えられうる。このためには、非限定的にポリ(エチニルフェニルチオール)(即ち、C16H10S)、本明細書ではMFIと呼ぶ、を包含する、多様な分子を用いることができる:
本明細書で用いる限り、“分子ワイヤ”は、SAMコーディングされた(SAM-coded)電極を電極と電気的に連通させる流体の能力を強化するワイヤを意味する。これは導電性分子を包含するか、又は上述し、以下でさらに詳述するように、SAM中の欠陥(defects)を電極と流体接触させることができる分子を包含する。他の分子ワイヤの非限定的リストは2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオスレイトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン−エタンチオール、及び2−メルカプトエチルエーテルを包含する。単層の導電性はまた、電極面の導電性を促進する分子の添加によっても強化することができる。誘導SAMは、非限定的に、(1)Sを末端に有するポリ(エチニルフェニル)鎖;(2)ベンゼン環を末端に有するアルキルチオール;(3)DNA塩基を末端に有するアルキルチオール;(4)単層中に充分にパックされない、任意の硫黄末端種;(5)特異的吸着を阻害しないエチレングリコール単位又はメチル基のいずれかを末端に有する上記プラス又はマイナスアルキルチオール・スペーサー分子の総てから構成されうる。チオール類は、金に対するそれらのアフィニティのために、SAMのすばやい形成のために挙げられる。米国特許第5,620,820号及び他の参考文献から当該技術分野に知られるように、チオールの代わりに他の分子を用いることもできる。相互作用SAMの下流には、チャージリーダー(charge reader)(例えば、アンメーター、チャージカウンター)又は光学的リーダー(例えば、表面プラスモン・レゾナンス・デテクター又は蛍光リーダー)が存在する。
シグナリングコロイド上の既知リガンドがそれらの同種の(cognate)細胞由来タンパク質と相互作用するときに、薬物候補を溶液中に加えて、特異な(differential)効果をモニターすることができる。直接又は間接的に細胞に結合するヘッド基(head groups)(例えば、メチル基、ポリK、正電荷、RGD配列、Kringleモチーフ、インテグリン、及び同種(the same)のペプチド模倣体(mimics))を末端に有する、例えばアルキルチオールのような分子をも提示する誘導SAMで被覆された電極に、細胞を補充することができる。或いは、アルキルチオール又は金属結合タグを介してSAMに連結される、誘導SAM上に提示される同種リガンドと相互作用する細胞表面受容体を有することによって、特異な相互作用(differential interactions)を定量することができる。この状況において、構成的に発現される受容体に対するリガンドによって電子シグナルが発生される。流動力(flow force)下で、電子シグナルは、SAM固定リガンドと相互作用する細胞表面受容体の数に比例すべきである。流動速度の関数としての細胞移動速度は、細胞表面上の細胞接着分子に対する受容体の密度を示す。
細胞は、AC電圧ランプにやや正のバイアスが与えられる場合には、負に荷電するという事実のために、センシング電極に引き付けられる筈である。リガンドが結合するデンドリマー(dendrimers)又はポリマーに付加的な負に荷電した基を加えると、センシング表面への補充がさらに促進される。当業者はデンドリマー)又はポリマーに複数のシグナリング実体(signaling entities)を容易に固定することができる。或いは、金属結合タグを介して認識リガンドを取り付けることは、アルキルチオールNTAに対するそれらの結合(及びその結果として関連細胞の結合)を促進する。金被覆磁気ビーズ上に例えばフェロセンのような金属含有化合物を有するSAMは、センシング表面電極に複合体を補充するために、電磁界又は固定磁石の使用を可能にする。さらに、直接に又はアルキルチオール−ヒスチンジン・タグを介してリガンドを組み込むセンシング電極を用いて、例えば細胞接着分子とのような特異的相互作用又は非特異的相互作用を介して細胞を引き付けることができる。

しかし、結合パートナーの1つが分析溶液よりも高密度である結果として複合体が重力によって沈降するならば、簡単に重力によっても検出系への補充を行うことができる。インキュベーション段階中に早期沈降を避けるために機械的混合を行うことができる。
細胞由来タンパク質発生器として電極を用いるバリエーションでは、電極パッド上のポイントを用いて、細胞を溶解する(lyses)電圧スパイクを生じることができる。次に、細胞の内容物をシグナリングリガンドと共にインキュベートして、相互作用を検出する。
さらに、導電性分子によってチャンネルをラインして、系の検出能力を強化するために、SAMを用いて流動チャンネルの底部に沿った一定のトポロジーにおいて細胞結合分子をパターン化することができる。したがって、SAMは、細胞結合能力をセンシング能力(光学的又は電子的)と交替するパターンで結合部分を提示することができる。例として、メチル末端アルキルチオールのストリップをSAM中の導電性ポリピロール基と交替させる。細胞の側面に沿った受容体が評価されうるように細胞が溝中に存在するように、SAMのトポロジーを操作することもできる。例えばこれらのような交替機能SAMのストリップの形成は、米国特許第5,512,131号及び国際特許公開第WO96/29629号(両方とも本明細書に援用される)に記載されるように行うことができる。
これらの複合体は電子的に検出されることができる。好ましい検出方法は交流ボルタンメトリー(ACV)と呼ばれる電気化学的方法である。この検出方法を例えば高次調和分析のような付加的な分析方法を用いて補足することができる。これらの複合体は例えばSPRのような光学的手段を用いて検出することもできる。後者の方法を用いると、センシング表面への複合体の補充によって光学的性質の大きなシフトが生じる。また、リガンドがヒドロゲルに結合する場合には、結合パートナーとのそれらの相互作用が、光学的に検出されうる、ヒドロゲルの密度の変化をもたらしうる。
これらの方法を用いて、血液及び針バイオプシーを包含する多様なソースに由来する遊離細胞(free cell)上の細胞表面マーカーを検出することができる。さらに、これらを用いて、直接のin vitro結合アッセイにおいて、脈管形成又は癌転移を促進すると知られた又は疑われるような特異的相互作用を阻害する薬物をスクリーニングすることもできる。特に重要な細胞表面受容体は腫瘍発生と相関づけられている受容体であり、この理由はこれらの受容体のブロックが腫瘍を殺すことができるからである。恐らく、他の細胞の接着分子に結合する細胞表面受容体の過度発現(over-expression)がさらにいっそう広範囲に重要であると思われる。これらの細胞相互作用は転移及び脈管形成の仲介者であるように思われる。
さらに、これらの方法を用いて、関与する特異的な受容体−接着分子相互作用を予め知ることなく、侵襲又は転移に特徴的であることが知られた細胞表現型を阻害する薬物をスクリーニングすることもできる。生理的に関連する相互作用を模倣する薬物のスクリーニングも、この系を用いて、溶液中で遊離する薬物候補を加えて、検出シグナルの損失を探すことによって、又は溶液中で遊離する既知リガンドを固体担体上の薬物候補と共に加えて、検出シグナルの発生を求めることによって、達成することができる。
1つの実施態様では、細胞表面タンパク質を次のように検出して、定量することができる:細胞表面受容体を認識するヒスチジン−タグ付きリガンドを、NTA(Hisタグ付きタンパク質を捕捉するため)とフェロセン部分(電子シグナリングのため)の両方を提示するSAMを有するコロイドに取り付ける。これらのバイオスペシフィック(biospecific)、電子シグナリング・コロイドを次に、標的受容体を提示する細胞と共にインキュベートする。次に、細胞を沈降させ、接着させる、又はSAM被覆電極上に引き付けて、ACV(図3)によって分析する。シグナリングコロイド上に固定されたリガンドが細胞表面上のそれらの同種受容体に結合したならば、フェロセン部分の特徴的な酸化電位における電流ピークが生じる。細胞表面受容体を認識する抗体を、Hisタグ付きタンパク質A又はCと最初に結合したNTA−フェロセン含有コロイド(NTA-ferrocene bearing colloids)に取り付けることが
できる。或いは、金属結合タグ/金属/キレート結合を介してコロイドに抗体を直接取り付けることもでき、この場合には、金属結合タグが抗体に結合する。ヒスチジン・タグを抗体に結合させる方法は“卵巣癌関連抗原CA125に対する196−14抗体からの単鎖Fvの構築”,Hashimoto,Y.,Tanigawa,K.,Nakashima,M.,Sonoda,K.,Ueda,T.,Watanabe,T.,及びImoto,T.:1999、Biological and Pharnaceutical Bulletin,22巻;(10)1068−1072;“大きい非免疫化ファージ・ディスプレイ・ライブラリーから単離されたナノモル未満のアフィニティを有するヒト抗体”,Vaughan,T.J.,Williams,A.J.,Pritchard,K.,Osbourn,J.K.,Pope,A.R.,Earnshaw,J.C.等,1996,Nature Biotechnology 14巻(3)267頁;“E coliにおける単鎖抗−HBx抗体の単離と精製”
,Zhou G.,Iui KD.,Sun HC,Chen YH,Tang ZY及びSchroder CH,1997,123巻(11−12)609−13に見出すことができる。
本発明の方法の1例として、図4を参照して、細胞にコロイド粒子を固定することを含む有用な方法の1例を説明する。腫瘍マーカー、MUC−1は腫瘍細胞(neoplastic cells)に異常に(aberrantly)発現される。ATCCから入手可能な、ヒト組織培養胸部癌細胞系、MCF−7はMUC−1を過度発現する。Dana−Farber Cancer Instituteから入手可能な、抗体50、DF3又は、及びDF3−pをヒスチジン−タグ付きタンパク質G56を介して電子シグナリングコロイド52(NTA−SAMs54を有する)に取り付ける。標的細胞58を抗体含有シグナリングコロイド52と共にインキュベートし、次に分子ワイヤ58を含有するSAMによって被覆された電極40に対して電気泳動させて、ACVによって分析する。電極40上のSAMは、より慣用的な気密パッキング(tight-packing)SAM形成種内で混合された分子ワイヤ58を包含する。総ての図において例示の簡単さのために、分子ワイヤのみを概略的に示す。抗体含有シグナリングコロイドをMUC−160含有細胞と共にインキュベートする場合には、電流ピークが生じる。或いは、MUC−1に対する推定上の同種リガンド、I−CAMをHis−タグ付きにして、NTA基をも有するシグナリングコロイドに取り付けることができる。
他のアッセイを図5に示す。薬物ライブラリーを例えばMUC−1/I−CAM相互作用のような、細胞表面タンパク質との特異的な相互作用を中断させるそれらの能力に関してスクリーニングすることができる。I−CAM64を上述したようにシグナリングコロイド62に結合させて、次にMUC−166を提示する細胞70及び対照細胞と共にインキュベートする。薬物候補68を、細胞とコロイドとが懸濁している溶液に加えると、次に細胞が電極に付着し、ACVによって分析される。シグナルの損失は薬物候補との相互作用を意味する。図6はこのスキームを容易に多重系にして、マイクロ電極の接合可能な(interfacable)アレイ74を含む使い捨て式マイクロウェル(microwells)のアレイ72を用いて、数千の薬物候補を同時にスクリーニングする方法を例示する。各ウェルは図5に示すようなアッセイ又は他のアッセイを含有する。
次に、図7を参照すると、シグナルアッセイを増加させるために、又は同種リガンドが知られていない細胞表面受容体80に結合する薬物をスクリーニングするために、電子シグナリング部分34をも有するコロイド又は粒子78上で小分子薬物ライブラリーを合成することができる又は同コロイド又は粒子78に共有結合させることができる配置が示される。シグナリング粒子に取り付けられた薬物候補76を重要な受容体80を提示する細胞82又は対照細胞84と共にインキュベートすることができる。このアッセイにおける薬物−標的相互作用はシグナルの増加を生じる(図7)。
細胞表面受容体、αVβ3は、細胞接着分子ビトロネクチン(vitronectin)との相互作用によって脈管形成の促進に関係づけられている。αVβ3細胞表面受容体を提示するヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)はCloneticsから商業的に入手可能である。αVβ3の作用を阻害する薬物をスクリーニングするために、ビトロネクチンに由来する、RGD含有配列を提示す
るHis−タグ付きペプチドを、NTA基とフェロセン部分の両方を提示するSAMを有するコロイドに取り付ける。このバイオスペシフィック・シグナリングコロイドを次にHUVEC細胞及び薬物候補と共にインキュベートする。HUVEC細胞は電極上で増殖することができる。しかし、細胞が溶液中又は懸濁液中にある場合には、細胞をセンシング電極に対して電気泳動させるか又は磁気的に引き付けて、ACVによって分析することができる。バイオスペシフィック・コロイドを対照細胞とではなくHUVEC細胞とインキュベートする場合には、電流ピークが生じる。薬物候補がαVβ3−RGD配列相互作用を妨害する場合には、シグナル損失が生じる。
或いは、電子シグナリング部分をも提示するビーズ、コロイド又は担体上で薬物候補を合成するか、又は同ビーズ、コロイド又は担体に取り付けるができる。これらの“粒子”を標的細胞と共にインキュベートし、センシング電極に取り付けて、ACVによって分析することができる。アトラクティブ・フィールド(attractive field)を次に逆転させて、RGD配列含有ペプチドを溶液中に滴定する(titrated into the solutions)。細胞を再びセンシング電極に対して電気泳動して、再分析する。シグナルの損失は、薬物−細胞相互作用がαVβ3受容体に対して特異的であり、RGDペプチドのIC50を薬物に対する結合アフィニティに相関づけることができることを意味する。
或いは、αVβ3にやはり結合する49アミノ酸ペプチド、エキスタチンをHis−タグ付きにして、上記アッセイにおけるRGD含有ペプチドと置換させることができる。
次の理由から、メタロセン類はシグナル伝達構成要素として特に有用である。各種フェロセン誘導体があり、100mVから800mVの独自の電圧で各個に酸化するための選択が可能である。各酸化電位は、シグナル伝達コロイドにより認識された細胞表面受容体の数に比例する独自の標識を表す。
図8に示すように、細胞表面分子は、懸濁状態の細胞または組織試料中に埋込まれた細胞上に検出可能である。凍結腫瘍標本86は冷凍切片化し、RGD含有ペプチドまたはメチル終端基のような細胞結合基90で誘導化されたフレキシブルな半透膜サポート上へ直接置く。次いで当該標本は、興味ある細胞表面受容体のためのリガンド94も提供する電子シグナル伝達コロイド92とともにインキュベートする。インキュベーション後、未結合のコロイドは洗い流す。次に前記サポート膜を、細胞サイズに匹敵する電極ディメンジョンをもつ微小電極アレー96と物理的に接触させ、ACVにより分析する。組織標本の各セクターは、タンパク質含量および発現レベルを分析し、次いで組織病理と相関させる。この能力により単細胞分析の適切が保証されるが、それは本法により、癌細胞と特異的に関連するタンパク質パターンを同定し、ランダムで異常なタンパク質発現を放棄することが可能だからである。懸濁状態の細胞も同様にサポート膜に付着させることが可能である。
上記の生体特異性コロイドは、in vivoイメージング(生体内画像法)を容易にするのにも利用可能である。使用するコロイドは、比較的不活性な金である。腫瘍マ−カ−用の抗体または他のリガンドを提示するように誘導化された金コロイドは、内服または注射により投与が可能である。同種腫瘍マーカーを提示する腫瘍塊は、濃縮装置として働くコロイドで覆われるようになる。当該腫瘍は、X線またはX線コンピュータ断層撮影(CT)のような画像技術により検出可能であるが、腫瘍塊は金属で包まれているので、良好な結果が得られる。溶液状態の個々のコロイドは可視化されず、検出にはかからない。生体特異性コロイドでそのように標識された腫瘍は、MRI(磁気共鳴画像)によっても検出可能である。画像は、Fe,GdまたはCrのような常磁性金属および他のコントラスト剤を組入れることにより、鮮明にできる。コントラスト剤は、コロイド上に形成されるSAMs中へ金属キレートチオールを取込むことにより、コロイドへの付着が可能である。あるいは、腫瘍上に発現される標的タンパク質に対する同族リガンドを提示するだけのSAMsは、コントラスト
剤物質より成る粒子上に形成可能である。鉄または磁鉄鉱コアをもつコロイドは、金コート後、生体特異性SAMsで誘導化してもよい。あるいは、リポソーム様粒子は、金属コントラスト剤が「コア」を形成し、生体特異性リガンドが溶剤へ露呈するように、キレート基で終端する脂質鎖から形成されてもよい。あるいは、当該コロイドは、ラマン分光分析を含むエネルギー吸収または分散技術により検出できる特定の分光特徴を持つ部分を、前記生体特異性リガンドのほかに、備えてもよい。画像装置は、体外に置かれていてもよく、あるいはスコープまたは光ファイバー上で体内へ導入してもよい。別の、ラジオ周波数を伝える部分を備えたコロイドは、腫瘍塊上へ濃縮されれば、検出可能なシグナルを発生することがある。個々のコロイドからのシグナルは、腫瘍塊に結合したコロイドの濃縮物から発生するシグナルに比べれば、無視できるか、検出不能である。
この技術は、シグナル伝達および候補薬剤標的の発見に重要なタンパク質/タンパク質相互作用または薬剤/タンパク質相互作用の研究に利用できる普遍的なタンパク質相互作用ツールキットへ、開発可能である。本技術は経済的である。何故なら、当該システムのエレクトロニックスは安価で常備成分を使用しており、当該生体電子「粒子」は、オフラインで合成される普通成分から自己集合するからである。ある実施態様での本システムは、どこにでもあるシグナル伝達コロイドと補給粒子とに基づいている。NTAを提示するSAMsは、いかなる金基質上にも迅速に形成可能である。ニッケル原子と配位した場合、NTA基はヒスチジン標識タンパク質を特異的に捕捉する。NTAチオール類およびトリエチレングリコール終端チオール類を提示するSAMsは、ヒスチジン標識タンパク質を選択的に捕捉するが、その他のものの非特異的吸着には抵抗することが明らかにされた(米国特許第5,620,850号)。このことは、ヒスチジン標識タンパク質が、金コート磁性ビーズあるいはフェロセン/チオールシグナル伝達部分も提示する金コロイド上に形成可能なことを、意味している。これらの前形成粒子は、生体的に特異的認識粒子を生じさせるために、所望のヒスチジン標識タンパク質と短時間だけインキュベートが必要である。
図9に関して、2つのタンパク質が相互に作用するかどうかを決めるには、第1のタンパク質104を、NTA54およびフェロセンリガンド34を提示するコロイド106に結合させ、第2のタンパク質100を、NTAリガンド54のみを提示するSAMコート磁性ビーズ102に結合させる。それら2つの粒子型を混合し、磁石108が下にある検知電極40へ磁性的に補給する。当該磁性ビーズが、それら2つのタンパク質分子種の相互作用を介して、シグナル伝達コロイドヘ接続された場合のみ、電子シグナルが発生する。非ヒスチジン標識タンパク質も、カルボキシ終端チオールを取込むSAMsをそれらの上に形成することにより、シグナル伝達または磁性(補給可能)粒子へ付着させることが可能である。次いで標準EDC/NHS共役化学を使って、1級アミンを提示するすべての分子を付着させることができる。この電子標識ステップはタンパク質調製ステップから分離しているので、当該システムは、普遍的電子シグナル伝達コロイドおよび磁性粒子を用いて、効率的に多重化が可能である。これによって、タンパク質相互作用データベースの構築が容易になり、研究者が癌の分子プロフィールを解読するのに役立つ。
相互作用タンパク質パートナーは、シグナルの消失を検知することにより明らかにされた小分子ドラッグライブラリーおよびドラッグリードとインキュベートが可能である。あるいは、既知の標的タンパク質へ結合する候補薬剤を直接スクリーニングするため、小分子ドラッグライブラリーを磁性ビーズ上で購入することも可能である。
上記の基本技術は、酵素活性を調整する薬剤の探索にも利用可能である。ある種の酵素は、疾患の進行に非常に重要なことが明らかにされている。活性化するために、特定の部位で切断されなければならない分子もあり、それを行う酵素の活性を阻害する薬剤のスクリーニングも考えられる。上記の技術は、その目的のために下記のように使用することも可能である。
本技術の実施に当り有用なものとして下記がある:EdelsteinおよびDistefanoは、光活性化架橋分子で修飾されたファルネシルピロリン酸基は、酵母FPTによるRAS由来のペプチドモチーフへ添加が可能である(Edelstein R.and Distefano M.(1997)。酵母ファルネシルプロテイントランスフェラーゼの光親和性標識および光活性イソプレノイドを取込むRASタンパク質の酵素的合成。Biochem.and Biophys.Res.Comm.235,377−382)。彼等の目的は、このアッセイ法を用いて、上記2つを架橋によって、ファルネシル誘導体がFPTにより認識されることを、示すことである。この知見は、ファルネシルまたはガレニル部分が、酵素活性または特異性を妨げずに、ピロリン酸から遠位末端でビオチンにより修飾されることがある、という考えと符合している。
図10に関して、酵素切断部位(ECS)110は、1端112で、既知結合パートナー(BP1)がある分子122に結合できる。他端114で、SAM(HS−R−X)中へ取込み可能な分子116へ結合できる。ここで、Sは硫黄、RはSAM中へ取込める分子種、Xはリンカーである。得られた分子は、コロイド116上のSAMsへ、電子シグナル(HS−R−XM)を送達できる基118とともに、取込める。ここで、Mは酸化還元活性金属または遷移金属(または電極に近付けたとき、電子シグナルを伝達できる別の基)である。磁性ビーズまたは粒子120は誘導化して、相互標的分子(BP3)へ同時結合を介して直接あるいは間接的にBP1 122に結合する分子124(例えばストレプタビジン)(BP2)を、提示する。
例えば、電子シグナル伝達コロイド116は、酵素切断部位(ECS)をもち、ビオチンで終端するチオール類で誘導化可能である。磁性ビーズは、ストレプタビジンで誘導化できる。磁性ビーズおよびシグナル伝達コロイドは、興味ある酵素および候補薬剤とインキュベート可能である。ある候補薬剤が当該酵素の作用を調整または阻害するならば、当該部位(例えば、タンパク質またはペプチドの)は切断されず、シグナル伝達コロイドは、ビオチン/ストレプタビジン相互作用により、磁性ビーズへ結合するはずである。その複合体が磁性的に検知電極に結合する場合には、電流ピークが生じ、シグナル検出アッセイの感度が得られる。すなわち、タンパク質を、1端でSAM形成分子種を介するコロイド116およびビーズ120、およびビーズ120上の固定化結合パートナー124ヘ付けられる結合パートナー122への連結を行い、それについて、切断または調整をモニターする。当該タンパク質はさまざまな方法でコロイドおよびビーズに連結可能であるが、上記のほかに、コロイドは金属を配位するキレートを提示する、タンパク質は金属結合標識をつける、などが含まれる。本発明はさらに次のように一般化される、すなわち、コロイド粒子116およびビーズ120のような何らかの非コロイド構造への連結に適応されるすべての構成要素は、当該コロイドおよび非コロイド構造に提示され、前記構成要素を切断する能力をもつ酵素および当該酵素の活性の調整用の候補薬剤の存在下で、それに連結が可能である。非コロイド構造は、図示のように、ビーズまたは電極そのものでもよい。
BP1はBP2および/またはBP3と同じであってよい。例えば、ECSおよびBP1(ビオチン)をもつチオールは、磁性ビーズ上で遊離ストレプタビジン(BP3)に、次いでビオチン(BP2)に結合可能である。
あるいは、標的分子に分子基を付加する酵素を阻害するか、加速することを探してもよい。例えば、コロイド粒子および非コロイド構造を、当該非コロイド構造への連結に適応された酵素の基質、当該粒子の連結に適応された酵素活性を介して当該基質へ連結可能な分子種、および当該酵素の基質へ、接触させてもよい。それはさらに、当該酵素の調整用の候補薬剤の存在下で、行うことが可能で、当該非コロイド構造は、当該非コロイド構造への連結に適応された酵素の基質、当該粒子の連結に適応された酵素活性を介して当該基質へ連結可能な分子種、および当該基質の酵素、に対する非コロイド構造をもつ磁性ビーズであってもよい。それはさらに、当該酵素の調整用の候補薬剤の存在下で実施可能で、
当該非コロイド構造は、固定化電極活性構成要素を備えたコロイド粒子をもつ磁性ビーズでもよい。あるいは、当該非コロイド構造は、電極表面であってもよい。
特異的には、図11に関しての場合で、電子シグナル伝達コロイド126は、当該基が付加されるキレート/金属/金属結合標識連結を介して、分子128で誘導化される。付加されるピースである付加分子130は、第1結合パートナー(BP1)132(ビオチンであってもよい)が終端になっている。磁性ビーズ12は、BP1の結合パートナー(BP2)134(ストレプタビジンでもよい)。コロイド、磁性ビーズ、付加分子、興味ある酵素、および候補薬剤をインキュベートし、次いで電極に引付けて、分析する。対照に比較して、シグナルのロスから、当該薬剤は酵素活性を阻害し、一方シグナルのゲインから、薬剤は当該酵素活性を高進したことが、明らかになった。
本発明に従って、多種のSAMsを、多種の表面で使用し、電極、コロイド粒子、などのような物の表面で、結合パートナー、シグナル伝達構成要素、などのような所望の分子種を提供する。当該分野の通常技術は、多種の表面、官能基、分子部分のスペースなどから選択可能である。例示記載は米国特許第5,620,850号にみられる。この米国特許は、ニトリロトリ酢酸、2,2'-ビス(サリシリデンアミノ)-6.6'-デメチルジフェニル、および1,8-ビス(a-ピリジル)-3,6-ジチアオクタンなどを含む使用可能なさまざまな金属結合標識も記載している。
ビーズを含むさまざまな非コロイド構造は、上記のとおりである。ビーズは重合性材料、アガロース、テンタゲルおよび/または磁性材料を含むことが可能である。ポリスチレンビーズはきわめて有用である。
(1) コロイド粒子の非コロイド構造に固定される能力を可能にし;そして該コロイド粒子の該非コロイド構造に対する固定を測定することを含む方法。
(2) コロイド粒子が、補助的シグナル実体を含む、(1)記載の方法。
(3) 補助的シグナル実体が、色素、ピグメント、電気的活性(electroactive)分子、蛍光部分、上方制御燐光、または西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル部分を含む、(2)記載の方法。
(4) シグナル実体がメタロセンを含む、(3)記載の方法。
(5) シグナル実体がフェロセンを含む、(4)記載の方法。
(6) 複数のコロイド粒子が、非コロイド構造に固定されることを可能にし、そして複数の粒子の非コロイド構造に対する固定を測定することを含む、(1)記載の方法。
(7) 複数のコロイド粒子が補助的シグナル実体を含む、(6)記載の方法。
(8) 補助的シグナル実体が色素、ピグメントまたは電気的活性分子を含む、(7)記載の方法。
(9) さらに、非コロイド構造に連結しているまたは連結に適応している生物学的または化学的剤、および粒子に連結しているまたは連結に適応している生物学的または化学的剤の結合パートナーを提供することを含み、可能にする工程が、剤および結合パートナーを介し、粒子が非コロイド構造に連結することを可能にすることを含む、(1)記載の方法。
(10) 非コロイド構造がビーズである、(1)記載の方法。
(11) ビーズがポリマー素材、アガロース、テンタゲル(tentagel)、および/または磁気素材を含む、(10)記載の方法。
(12) ビーズがポリスチレンビーズである、(11)記載の方法。
(13) 剤が非コロイド構造に連結し、結合パートナーが粒子に連結し、そして剤および結合パートナーが互いに結合するのを可能にすることを含む、(9)記載の方法。
(14) 剤および結合パートナーが互いに生物学的に結合するのを可能にすることを含む、(13)記載の方法。
(15) 生物学的または化学的剤が薬剤候補であり、そして結合パートナーが該薬剤候補の標的である、(9)記載の方法。
(16) 非コロイド構造がビーズである、(15)記載の方法。
(17) 生物学的または化学的剤が核酸配列である、(9)記載の方法。
(18) 生物学的または化学的剤がペプチドであり、そして結合パートナーが該ペプチドの結合パートナーである、(9)記載の方法。
(19) 生物学的または化学的剤がタンパク質であり、そして結合パートナーが該タンパク質の結合パートナーである、(9)記載の方法。
(20) コロイド粒子が固定化標的を保持し、そして非コロイド構造が該標的に対するリガンドを保持し、該標的に対する該リガンドの結合を妨げる候補薬剤の存在下で、コロイド粒子が非コロイド構造に固定される能力を可能にすることを含む、(1)記載の方法。
(21) 非コロイド構造がビーズであり、さらに、複数のビーズ、ビーズに対する連結に適応している複数の生物学的または化学的剤、複数の粒子、および粒子に対する連結に適応している生物学的または化学的剤の複数の結合パートナーを含む、ここで剤および結合パートナーの少なくともいくつかは、互いに結合する能力を有すると推測される、(1)記載の方法であって、ビーズの少なくともいくつかを粒子の少なくともいくつかに曝露し、そしてビーズに対する粒子の固定を測定する、前記方法。
(22) 生物学的または化学的剤が薬剤候補であり、そして結合パートナーが該薬剤候補の標的である、(21)記載の方法であって、2つの別個の位置にあり、各々異なる固定薬剤候補を保持する、少なくとも第一および第二のビーズを提供し、複数の粒子を少なくとも2つのビーズに曝露し、そして第一のビーズ対第二のビーズに対する粒子の連結を区別することを含む、前記方法。
(23) 少なくとも2つのビーズがマルチウェルプレートの少なくとも2つの異なるウェルに別個に位置する、(22)記載の方法。
(24) 生物学的または化学的剤が薬剤候補であり、そして結合パートナーが該薬剤候補の標的である、(21)記載の方法であって、2つの別個の位置にある薬剤候補を保持する、少なくとも2つビーズを提供し、該薬剤候補の第一の標的を保持するコロイド粒子の第一の組に、第一のビーズを曝露し、そして該薬剤候補の第二の標的を保持するコロイド粒子の第二の組に、第二のビーズを曝露し、そして第一のビーズに対する粒子の第一の組対第二のビーズに対する粒子の第二の組の連結を区別することを含む、前記方法。
(25) 粒子と相互作用する、吸収または透過電磁放射のスペクトルの変化を測定することにより、非コロイド構造に対する粒子の固定を測定することを含む、(9)記載の方法。
(26) 視覚的検査により、非コロイド構造に対する粒子の固定を測定することを含む、(26)記載の方法。
(27) 複数のビーズおよび該ビーズに連結している剤、複数の粒子および該粒子に連結している結合パートナーを提供し、そしてビーズに粒子を曝露し、そしてビーズに対する粒子の固定を測定することを含む、(21)記載の方法。
(28) 剤または結合パートナーの少なくとも1つが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、それぞれ、非コロイド構造または粒子に対する連結に適応している、(9)記載のキット。
(29) 剤または結合パートナーの少なくとも1つが、それに固定されている、金属調整キレートを保持し、そして剤または結合パートナーの少なくとも1つが、ポリアミノ酸タグで誘導体化されている、(28)記載の方法。
(30) 剤または結合パートナーの少なくとも1つが、相補的核酸配列対を介し、それぞれ、ビーズまたは粒子に対する連結に適応している、(9)記載の方法。
(31) 結合パートナーが、グルタチオン/グルタチオン−s−トランスフェラーゼリガンド相互作用を介し、粒子に対する連結に適応している、(9)記載の方法。
(32) ポリマービーズ並びに第一および第二のビーズに連結している少なくとも第一および第二の剤をそれぞれ含む、少なくとも第一および第二の非コロイド構造を提供し;
各々、それに固定されている第一および/または第二の剤の推測上の結合パートナーを保持する、複数のコロイド粒子を提供し;
粒子にビーズを曝露し;そして第一のビーズ対第二のビーズに対する粒子の連結を区別することを含む、(9)記載の方法。
(33) 第一および第二のポリマービーズに連結されている第一および第二の剤が、結合パートナーと生物学的または化学的相互作用を有すると推測され、そして区別する工程が、第一の剤および結合パートナー対第二の剤および結合パートナーの間の生物学的相互作用を区別することを含む、(32)記載の方法。
(34) 各々、それに固定されている剤を保持するビーズを含む、複数の非コロイド構造を提供し;
コロイド粒子の第一の組および第二の組を提供し、第一の組は、各々、それに固定されている、剤の第一の推測上の結合パートナーを保持し、そして第二の組は、各々、それに固定されている、剤の第二の推測上の結合パートナーを保持し;粒子の第一の組に少なくとも第一のビーズを、そして粒子の第二の組に少なくとも第二のビーズを曝露し;
第一のビーズに対する粒子の第一の組対ビーズに対する第二の組の連結を区別することを含む、(9)記載の方法。
(35) 第一および第二の推定上の結合パートナーが、剤と生物学的または化学的相互作用を有すると推測され、そして区別する工程が、剤および第一の推測上の結合パートナー対剤および第二の推測上の結合パートナーの間の生物学的相互作用を区別することを含む、(34)記載の方法。
(36) 非コロイド構造が細胞である、(1)の方法。
(37) さらに、粒子に対する連結に適応している、細胞の表面の受容体に対するリガンドを提供することを含み、可能にする工程が、受容体と相互作用するリガンドを介し、粒子が細胞に連結することを可能にすることを含む、(36)記載の方法。
(38) リガンドがペプチド、タンパク質、抗体、酵素、または小分子である、(37)記載の方法。
(39) リガンドが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、粒子に対する連結に適応している、(37)記載の方法。
(40) リガンドがポリアミノ酸タグを保持し、そして粒子が固定された金属調整キレートを保持する、(38)記載の方法。
(41) キレートがニトリロ三酢酸である、(40)記載の方法。
(42) 粒子が、ニトリロ三酢酸を含む、自己集合単層を保持する、(40)記載の方法。
(43) 粒子が、固定キレートを含む、自己集合単層を保持する、(40)記載の方法。
(44) リガンドおよび粒子を細胞に曝露し、リガンドが粒子に連結するのを可能にし、そして受容体に対するリガンドの固定を測定することを含む、(37)記載の方法。
(45) 粒子と相互作用する、吸収または透過電磁放射のスペクトルの変化を測定することにより、細胞に対する粒子の固定を測定することを含む、(36)記載の方法。
(46) 細胞に対する粒子の固定を、電子的に測定することを含む、(36)記載の方法。
(47) 改変電流電圧測定(current voltametry)を介し、細胞に対する粒子の固定を測定することを含む、(46)記載の方法。
(48) 視覚的検査を介し、細胞に対する粒子の固定を測定することを含む、(45)記載の方法。
(49) 表面に受容体を提示する細胞を提供し;
コロイド粒子を提供し;そしてコロイド粒子が受容体に固定されるのを可能にすることを含む、(36)記載の方法。
(50) コロイド粒子が補助的シグナル実体を含む、(49)記載の方法。
(51) 第一の剤が生物学的または化学的リガンドであり、そして第二の剤が表面に受容体を提示する細胞である、(116)記載の方法であって、リガンドが受容体に固定されるのを可能にすることを含む、前記方法。
(52) 複数のシグナル実体が、第一の剤に連結されているポリマーに連結されている、複数のシグナル実体を含む、(116)記載の方法。
(53) 複数のシグナル実体が、第一の剤に連結されているデンドリマーに連結されている、複数のシグナル実体を含む、(116)記載の方法。
(54) 第一の剤が、複数の固定化シグナル実体を含むコロイド粒子に固定される、(116)記載の方法。
(55) 複数のシグナル実体が複数の電気的活性分子を含む、(250)記載の方法。
(56) 複数の電気的活性分子が複数のメタロセンを含む、(55)記載の方法。
(57) 複数の電気的活性分子が複数のフェロセンを含む、(55)記載の方法。
(58) ポリマーが、結合タグ/金属/キレート連結を介し、第一の剤に連結している、(52)記載の方法。
(59) 第一の剤が、ポリアミノ酸タグを保持し、そしてポリマーが金属調整キレートを保持する、(58)記載の方法。
(60) デンドリマーが、結合タグ/金属/キレート連結を介し、第一の剤に連結している、(53)記載の方法。
(61) 第一の剤がポリアミノ酸タグを保持し、そしてデンドリマーが金属調整キレートを保持する、(60)記載の方法。
(62) シグナル実体の少なくとも1つが、色素、ピグメント、電気的活性分子、蛍光部分、上方制御燐光、または西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル部分を含む、(114)記載の方法。
(63) 非コロイド構造が、表面に受容体を曝露する細胞であり、さらに、粒子に対する連結に適応している、受容体に対するリガンドを提供し、そしてリガンドおよび受容体の間の相互作用を破壊する候補薬剤の存在下で、リガンドおよび粒子を細胞に曝露し;そして細胞に対する粒子の固定を測定することを含む、(1)記載の方法。
(64) 測定する工程が、候補薬剤が受容体/標的タンパク質相互作用を破壊する有効性を示す、細胞に対する粒子の固定の阻害を測定することを含む、(63)記載の方法。
(65) 別個の位置にある、少なくとも第一および第二の細胞を提供し、第一の細胞の細胞受容体に対するリガンドおよびコロイド粒子、ここで該リガンドは粒子に対する連結に適応している、並びにリガンドおよび受容体の間の相互作用を破壊する第一の候補薬剤に、第一の細胞を曝露し、そして第二の細胞に、リガンドおよびコロイド並びにリガンドおよび受容体の間の相互作用を破壊する第二の候補薬剤を添加し、そして第一の細胞対第二の細胞に対する粒子の連結を区別することを含む、(63)記載の方法。
(66) 非コロイド構造が表面に受容体を曝露する細胞である、(1)記載の方法であって、さらに:別個の位置にある、少なくとも2つの細胞を提供し;
細胞受容体に対する異なる標的タンパク質および各標的タンパク質に対する連結に適応しているコロイド粒子に各細胞を曝露し;そして細胞受容体への異なる標的タンパク質の結合を示す、細胞に対する粒子の固定を測定することを含む、前記方法。
(67) 表面上に固定化グルタチオンおよび固定化シグナル実体を保持する、コロイド粒子を含む、物品。
(68) 表面上に、グルタチオンを含む自己集合単層を保持する、コロイド粒子を含む、物品。
(69) 非コロイド構造が磁気ビーズであり、そしてコロイド粒子が補助的シグナル実体を含む、(9)記載の方法。
(70) シグナル実体がメタロセンである、(69)記載の方法。
(71) シグナル実体がフェロセンである、(69)記載の方法。
(72) 剤および結合パートナーの存在下で、さらに、剤または結合パートナーを切断する能力を有する酵素の存在下で、ビーズに粒子を曝露することを含む、(69)記載の方法。
(73) 剤、結合パートナー、および酵素の存在下で、さらに、酵素活性を穏やかにする候補薬剤の存在下で、ビーズに粒子を曝露することを含む、(72)記載の方法。
(74) 結合パートナーが、酵素により切断されることが可能なタンパク質またはペプチドを含む、(73)記載の方法。
(75) タンパク質が、コロイドに対する、そしてビーズに対する連結に適応している、(74)記載の方法。
(76) タンパク質が金属結合タグおよびビオチンを含み、コロイドまたはビーズの1つが金属調整キレートを含み、そしてコロイドまたはビーズのもう一方がストレプトアビジンを含む、(75)記載の方法。
(77) タンパク質が金属結合タグおよびビオチンを含み、コロイドが金属調整キレートを含み、そしてビーズがストレプトアビジンを含む、(75)記載の方法。
(78) シグナル実体がメタロセンであり、そして結合パートナーが酵素により切断されることが可能なタンパク質を含む、(69)記載の方法であって、剤、結合パートナー、および酵素の存在下で、さらに酵素活性を穏やかにする候補薬剤の存在下で、ビーズに粒子を曝露し、ビーズを磁気的に電極の近くに引き寄せ、そして電極を活性化させることにより、電極に対するメタロセンの近接度を測定し、それにより、酵素の切断活性を阻害する薬剤候補の有効性を測定することを含む、前記方法。
(79) コロイド粒子および非コロイド構造を、コロイド粒子に対する、そして非コロイド構造に対する連結両方に適応している実体に、該実体を切断する能力を有する酵素および酵素活性を穏やかにする候補薬剤両方の存在下で曝露することを含む、(1)記載の方法。
(80) 非コロイド構造が磁気ビーズであり、そしてコロイド粒子が固定化電気的活性種を含む、(79)記載の方法であって、ビーズを磁気的に電極の近くに引き寄せ、そして電極を活性化させることにより、電極に対する該電気的活性種の近接度を測定し、それにより、酵素の切断活性を阻害する薬剤候補の有効性を測定することを含む、前記方法。
(81) 非コロイド構造が電極表面であり、そしてコロイド粒子が固定化電気的活性種を含む、(79)記載の方法であって、コロイド粒子、コロイド粒子に対する、そして電極に対する連結両方に適応している実体、酵素、および候補薬剤に電極を曝露し、そして電極を活性化させることにより、電極に対する該電気的活性種の近接度を測定し、それにより、酵素の切断活性を阻害する薬剤候補の有効性を測定することを含む、前記方法。
(82) 非コロイド構造が磁気ビーズである、(89)記載の方法。
(83) コロイド粒子が補助的シグナル実体を含む、(82)記載の方法。
(84) シグナル実体がメタロセンである、(82)記載の方法。
(85) シグナル実体がフェロセンである、(84)記載の方法。
(86) 基質および結合パートナーの存在下で、さらに、酵素活性を穏やかにする候補薬剤の存在下で、ビーズに粒子を曝露することを含む、(82)記載の方法。
(87) 結合パートナーが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、粒子に対する連結に適応しており、そして基質が、ビオチン/ストレプトアビジン連結を介し、ビーズに対する連結に適応している、(86)記載の方法。
(88) シグナル実体がメタロセンであり、さらに、ビーズを磁気的に電極の近くに引き寄せ、そして電極を活性化させることにより、電極に対するメタロセンの近接度を測定し、それにより、酵素活性を穏やかにする薬剤候補の有効性を測定することを含む、(86)記載の方法。
(89) コロイド粒子および非コロイド構造を、非コロイド構造に対する連結に適応している酵素基質、粒子に対する連結に適応している、酵素活性を介し、基質に連結可能な分子種、および基質に対する酵素に曝露することを含む、(1)記載の方法。
(90) さらに、コロイド粒子および非コロイド構造を、酵素活性を穏やかにする候補薬剤に曝露することを含む、(89)記載の方法。
(91) 非コロイド構造が磁気ビーズであり、そしてコロイド粒子が固定化電気的活性実体を保持する、(89)記載の方法であって、ビーズを磁気的に電極の近くに引き寄せ、そして電極を活性化させることにより、電極に対する電気的活性実体の近接度を測定し、それにより、酵素活性を穏やかにする薬剤候補の有効性を測定することを含む、前記方法。
(92) 非コロイド構造が電極表面であり、そしてコロイド粒子が固定化電気的活性実体を保持する、(89)記載の方法であって、電極表面を、コロイド粒子、基質、酵素、および候補薬剤に曝露し、そして電極を活性化させることにより、電極に対する電気的活性実体の近接度を測定し、それにより、酵素活性を穏やかにする薬剤候補の有効性を測定することを含む、(89)記載の方法。
(93) SPRの非存在下で、タンパク質またはリガンドのいずれも標識することなく、タンパク質/リガンド相互作用を測定することを含む方法。
(94) リガンドを、リガンドと相互作用すると推定されるタンパク質に曝露する、ここで該リガンドはタンパク質に対する近接度に応じた電気的活性シグナルを有する電気的活性実体と固定された近接関係にある、ことを含む、(93)記載の方法。
(95) 電気的活性実体が、該電気的活性実体およびタンパク質の間の近接度の改変に応じて改変可能な電気的活性シグナルを有する、(93)記載の方法。
(96) リガンドおよび電気的活性実体両方が固定されている表面に、タンパク質を曝露することを含む、(93)記載の方法。
(97) 表面が電極表面である、(96)記載の方法。
(98) リガンドおよび電気的活性実体が、各々、表面で自己集合単層の一部を形成する、(96)記載の方法。
(99) 自己集合単層が、該自己集合単層の電子に対する透過性を亢進する種を含む、(98)記載の方法。
(100) 電子に対する透過性を亢進する種が、伝導性自己集合単層形成種を含む、(99)記載の方法。
(101) 電子に対する透過性を亢進する種が、自己集合単層中に不全部位を引き起こす種を含む、(99)記載の方法。
(102) 電気的活性実体がメタロセンを含む、(93)記載の方法。
(103) 電気的活性実体がフェロセンを含む、(93)記載の方法。
(104) 電気的活性実体がフェロセンジカルボン酸を含む、(93)記載の方法。
(105) リガンドが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、自己集合単層形成種に連結している、(98)記載の方法。
(106) 表面、並びに、各々、表面に固定されている、タンパク質と相互作用すると推定されるリガンドおよび電気的活性実体を明示する物品。
(107) さらに、表面に固定されている電子に対する表面の透過性を亢進させる種を含む、(106)記載の物品。
(108) 生物学的または化学的剤に対する連結に適応している、複数のシグナル実体を保持するポリマーまたはデンドリマーを含む種。
(109) ポリマーまたはデンドリマーが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、化学的または生物学的剤に対する連結に適応している、(108)記載の種。
(110) ポリマーまたはデンドリマーが、金属を調整することが可能なキレートを保持する、(108)記載の種。
(111) ポリマーまたはデンドリマーが、複数の電気的活性種を保持する、(108)記載の種。
(112) ポリマーまたはデンドリマーが、複数のメタロセンを保持する、(108)記載の種。
(113) ポリマーまたはデンドリマーが、複数のフェロセンを保持する、(180)記載の種。
(114) 複数のシグナル実体を用い、第一の生物学的または化学的剤の、第二の生物学的または化学的剤への単一の結合をシグナル形成することを含む方法。
(115) 複数のシグナル実体を用い、単一の結合を同時にシグナル形成することを含む、(114)記載の方法。
(116) 複数のシグナル実体を保持する第一の剤を提供し、第一の剤が第二の剤に結合することを可能にし、そしてシグナル実体を介し、結合を測定することを含む、(114)記載の方法。
(117) 第一の剤が、シグナル実体が固定されている粒子に連結される、(116)記載の方法。
(118) 第一の剤が、ポリマーを介し、シグナル実体に連結される、(116)記載の方法。
(119) 第一の剤が、デンドリマーを介し、シグナル実体に連結される、(116)記載の方法。
(120) 複数のシグナル実体に連結されている、第二の剤に生物学的または化学的に結合することが可能な、第一の生物学的または化学的剤を含む物品。
(121) 第一の剤が、シグナル実体が固定されている粒子に連結される、(120)記載の物品。
(122) 第一の剤が、ポリマーを介し、シグナル実体に連結される、(120)記載の方法。
(123) 第一の剤が、デンドリマーを介し、シグナル実体に連結される、(120)記載の方法。
(124) コロイド粒子該コロイド粒子に固定されているシグナル実体;および該コロイド粒子に固定されているタンパク質を含む組成物。
(125) 表面を明示する物品、および該物品の表面上に形成される自己集合単層であって、該表面が曝露されている流体が該表面と電気的に伝達しあうことを妨げる、緊密充填方式で、他の第一の種と表面で自己集合することを促進する分子構造を有する第一の分子種、および緊密充填自己集合構造の破壊を引き起こし、それにより緊密充填構造中に不全を明示し、該表面が曝露されている流体が該表面と電気的に伝達しあうのを可能にする方式で、第一の種と異なる分子構造を有する第二の分子種の混合物を含む、前記単層。
(126) 第一の種が、本質的に直線であり、そして第二の種が、少なくとも1つ、非直線部分を含む、(125)記載の物品。
(127) 第一の分子および固体支持体に結合している1つまたはそれ以上のシグナル要素を含み、前記の第一の分子が、細胞表面受容体と相互作用することが可能なリガンドである、組成物。
(128) 前記固体支持体がコロイドである、(127)の組成物。
(129) 前記コロイドが金コロイドである、(128)の組成物。
(130) 前記リガンドが、前記コロイドに直接共有結合している、(128)の組成物。
(131) 前記シグナル要素が電気的活性分子である、(128)の組成物。
(132) 前記電気的活性分子がフェロセンを含む、(131)の組成物。
(133) 前記リガンドがペプチドである、(127)の組成物。
(134) 前記ペプチドが金属キレートに結合することが可能な部分で誘導体化されている、(133)の組成物。
(135) 前記部分がヒスチジンタグを含む、(134)の組成物。
(136) 前記ヒスチジンタグが前記ペプチドのN−末端にある、(135)の組成物。
(137) 前記固体支持体が金属キレートを含み、そして前記ペプチドが、前記金属キレートへの前記部分の結合を介し、前記固体支持体に結合している、(134)の組成物。
(138) 固体支持体が第二の分子の単層を含む、(127)の組成物。
(139) 前記単層が自己集合単層である、(138)の組成物。
(140) 前記の第二の分子がチオールである、(138)の組成物。
(141) 固体支持体に結合している、第一の分子、第二の分子および第三の分子を含む、ここで前記の第一の分子は、細胞表面受容体と相互作用することが可能なリガンドを含み、前記の第二の分子は、前記固体支持体上に単層を形成し、そして前記の第三の分子は電気的に活性である、組成物。
(142) 前記固体支持体がコロイドである、(141)の組成物。
(143) 前記コロイドが金コロイドである、(142)の組成物。
(144) 前記リガンドが、前記コロイドに直接共有結合している、(142)の組成物。
(145) 前記電気的活性分子がフェロセンを含む、(144)の組成物。
(146) 前記リガンドがペプチドである、(144)の組成物。
(147) 前記ペプチドが金属キレートに結合することが可能な部分で誘導体化されている、(146)の組成物。
(148) 前記部分がヒスチジンタグを含む、(147)の組成物。
(149) 前記ヒスチジンタグが前記ペプチドのN−末端にある、(148)の組成物。
(150) 前記固体支持体が金属キレートを含み、そして前記ペプチドが、前記金属キレートに対する前記部分の結合を介し、前記固体支持体に結合している、(147)の組成物。
(151) 前記の第二の分子がである、(141)の組成物。
(152) 前記固体支持体がリポソームである、(127)の組成物。
(153) 前記リポソームが、反応基を含む、少なくとも1つの脂質を含む、(138)の組成物。
(154) 少なくとも1つの分子種の単層を含む金属支持体であって、前記単層が金属支持体を電極として使用することが可能であるように配置されている、前記支持体上に増殖している細胞を含む、組成物。
(155) a)i)細胞表面分子と相互作用することが可能なリガンドを含むコロイドを含む溶液およびii)前記リガンドと相互作用することが可能な細胞表面分子を少なくとも1つ含む、増殖細胞を含む電極を含む組成物を提供し、b)前記組成物に前記コロイドの少なくとも部分を添加することを含む方法。
(156) さらに:c)前記細胞表面分子と前記リガンドの相互作用の測定値として、前記コロイドの凝集を検出することを含む、(155)の方法。
(157) 前記コロイドが金コロイドである、(155)の方法。
(158) 前記金コロイドを、工程(a)の前に、チオール基を取り込むように処理する、(157)の方法。
(159) 工程(a)の前に、結合パートナーを有する部分で前記リガンドを誘導体化する、(155)の方法。
(160) 工程(a)の前に、金属キレートに結合することが可能な部分で前記リガンドを誘導体化する、(159)の方法。
(161) 前記部分がヒスチジンタグを含む、(160)の方法。
(162) a)i)細胞表面分子と相互作用することが可能なリガンドを含むコロイドを含む溶液、ii)候補薬剤、およびii)前記リガンドと相互作用することが可能な細胞表面分子を少なくとも1つ含む、増殖細胞を含む電極を含む組成物を提供し、b)前記薬剤および前記組成物と、前記コロイドの少なくとも部分を混合することを含む方法。
(163) 磁気素材を用い、電極に対し、電子的シグナル物体を突出させることを含む方法。
本発明のこれらおよび他の実施態様は、下記の実施例からさらによく理解できよう。下記の実施例は、本発明の長所を例示することを意図しているが、本発明の全容を例示するものではない。
以下の実施例と実験は、本発明の特定の態様を示したものであり、特定の態様によって本発明を制限するものではない。
以下の記載した幾つかの態様において、実施例では、SAM形成、コラーゲンコーティング、細胞増殖、コロイド形成、および交流ボルタンメトリー(ACV)を含む。SAM形成では、ガラス顕微鏡スライドにチタン層をスパッタし、更に金層を付着させる。それぞれの電極は、10%メチル末端チオール(HS―(CH215CH3)、40%トリエチレングリコール末端チオール、HS(CH211(CH2CH23OH(化学式)、および50%MF−1を含むDMF溶液300ul中で室温にて0.5時間インキュベートした。次ぎに、400uMのトリエチレングリコール末端チオール2mlをチップを含むシンチレーションバイアルに加え、それからバイアルを水浴中で以下のサイクルで加熱した:55℃2分、37℃2分、55℃1分、37℃2分、それから室温10分。次ぎに電極をエタノールにつけ、それから滅菌PBSで洗浄した。滅菌を確実にするために、それらをバイオ安全キャビネット内のLTV殺菌灯の下に1時間置いた。
コラーゲンコーティングでは、PBS中0.005mg/mlのコラーゲンの200ul小滴をそれぞれの電極に加え、4℃で2時間インキュベートした。
細胞増殖では、電極は細胞増殖フラスコ内に置き、培養液と特定の細胞表面レセプターであるαVβ3が存在するヒト内皮細胞(HUVECs)を加えた。電極と液を含む細胞をCO2インキュベーター内で37℃にて24時間培養した。100倍での観察結果では、細胞は電極に付着していて、成長表現型である蜘蛛の巣状に広がった形態を示していた。
コロイド調製では、市販の金コロイド(Auro Dye)1.5mlを10分間マイクロフュージ(microfuge)にて遠心によりペレット化した。ペレットを100ul貯蔵バッファー(クエン酸
ナトリウムとTween-20)中に再懸濁した。90uMニトリロ三酢酸(NTA)―チオール、90uMフェロセンーチオール、および500uMカルボキシ末端チオールを含む100ulジメチルホルムアミド(DMF)溶液。チオール溶液中での3時間の培養の後、コロイドをペレット化し、上澄を捨てた。それらを400uMのトリエチレングリコール末端チオール100ulを含むDMF中で55℃2分、37℃2分、55℃1分、37℃2分培養した。a)αVβ3レセプターに結合するようにデザインしたペプチド、HHHHHH(S4G13GRGDSGRGDS:もしくはb)無関係なペプチド、HHHHHH―ゲルタチオンS―トランスフェラーゼ(GST)のいずれか。RGDモチーフを含むペプチドは、内皮細胞のαVβ3レセプターに結合することが示された。ビトロネクチン(αVβ3の天然リガンド)中のRGDモチーフが相互作用に関係していると考えられる。
ACV分析は、CH Instruments electrochemical analyzer を使用して行った。3つの電極系を使用した。銀対塩化銀参照電極をプラチナ補助電極とともに使用した。誘導金コートチップは実行電極として使用した。25mV過電圧を周波数10Hzで電極に供給した。
実施例1
この実施例では、ファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼ(FPT)およびゲラニルゲラニル・プロテイン・トランスフェラーゼ(GGPT)の阻害剤をスクリーニングするためのアッセイについて記載する。
RASタンパク質は小型のGTP結合タンパク質であり、シグナル変換、分化、および増殖に影響を及ぼす。RASにおける変異はGTPアーゼ活性を低下させるが、これはヒト癌の40%で見られており、構成的(constitutive)RAS活性を引き起こす(Bos. JL (1989) Cancer Res. 49, 4682-4689)。しかしながら、RASが活性化されるためには、細胞膜に局在しなければならない。RASが細胞膜に結合する前に、酵素、ファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼ(FPT)がRASのC末端に脂質様基を付加して膜への結合が促進される必要がある(Zhang FL, Kirschmeier P, Carr D, James L, Bond R, Wang L, Patton R, Windsor W, Syto R, Zhang R,およびBishop WR(1997), Ha-ras、N-ras、Ki-ras4A、およびKi-ras4Bの、in vitroにおけるファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼおよびゲラニルゲラニル・プロテイン・トランスフェラーゼI型の基質としてのキャラクタリゼーション, J Biol. Chem. 272:15, 10232-9)。FPTはファルネシル基(図12の1)をそのプレニル・ドナーであるファルネシルピロリン酸(2)から、C末端モチーフCAAX(式中、Cはシステインであり、Aは脂肪族であり、そしてXはメチオニンまたはセリンである)を含有するタンパク質上のシステインの硫黄に移動させる。関連酵素であるゲラニルゲラニル・プロテイン・トランスフェラーゼ(GGTP)の基質は一般にC末端ロイシンを有するが、この酵素はゲラニル基(3)をCAAXモチーフを有するRASタンパク質に結合させる。ただしその速度はFPTによって触媒されるファルネシル化過程よりかなり緩慢である。これらの酵素の調節は癌治療の研究の重要な分野となっているが、これはFPTおよびGGPT活性の阻害剤によってRASの細胞を転換させる能力が失われるためである。FPTおよびGGPT活性を阻害するための戦略で現在開発中のものには以下がある:1)天然のタンパク質基質と競合させるための短鎖ペプチド・モチーフおよびペプチド・ミミックの使用;2)酵素には結合するがタンパク質基質に転移されないファルネシル/ゲラニル類似体の使用(Holstein S, Cermak D, Wiemer D, Lewis K, およびHohl R(1998), ファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼの阻害剤である可能性があるものとしてのファルネシルピロリン酸のホスホネートおよびビスホスホネート類似体, Bioorg Med Chem 6:6 687-94);および3)酵素活性を阻害する天然産物の使用(Jayasuriya H, Silverman K, Zink D, Jenkins R, Sanchez M, Pelaez F, Vilella D, Lingham R, およびSingh S(1998),クラバリン酸(Clavaric acid):Clavariadelphus truncatus由来のファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼのトリテルペノイド阻害剤, J Nat Prod 61:12, 1568-70)。しかしその機構は明らかでない。ペプチド阻害剤はin vitroの酵素アッセイで非常に有効であるが細胞アッセイでは効果がなく、これはプロテアーゼによって迅速に分解されるためであり、従って治療にはほとんど価値がない。合理的な薬剤設計の使用によってFPT/GGPT活性を
阻害するためのファルネシル/ゲラニル類似体が生成されてきた。in vitroにおいて、類似体は酵素活性を阻害すると考えられるが、FPT、または選択的に標的とされるべきRASの特定の変異型への特異性は高くない。更に、アッセイの設計によってこれらの類似体群がRASに結合されるかどうか、そして類似体での修飾によって膜への結合が促進されるかどうかを確認することが不可能となる。天然の産物を阻害のフェノタイプによってランダムにスクリーニングする。いくつかの天然の産物がFPTまたはGGPTの阻害剤であることが同定されているが、スクリーニングには時間がかかり、標的酵素の活性および特異性がどのように変更されたかを確認するための莫大な連続的なアッセイを必要とする。製薬会社が約10年を費やしてFPTの阻害剤を同定するために徹底的な研究と開発を行い、最終的にはその阻害剤がRASの変異型に非特異的であることを見出しただけであった、ということは珍しくない。
理想的には、構成的に活性なRAS変異体のファルネシル化を特異的に阻害するが、細胞の生存に必要な野生型基質の修飾には影響を与えないような薬剤の迅速な同定が望まれる。ある戦略は、RASの特定の型に関係するアッセイにおける未標識の薬剤候補のマス・スクリーニングを可能にすることによってこれらの問題を解決する。
出願人は容易に複合できる以下のようなアッセイを設計した:1)野生型の標的タンパク質および変異体を最初のスクリーニング過程に導入し;2)目的の酵素による標的タンパク質へのファルネシル/ゲラニル基およびその類似体の結合を直接検出および定量し;そして3)酵素活性に対する薬剤候補の影響の差異を検出できる。
ある戦略は以下のようなものである:1)ヒスチジンで標識したRASタンパク質(または種々の変異体から誘導したペプチド・モチーフもしくはフラグメント)を、コロイドを有するSAM(NTA/Ni(II)群(ヒスチジン標識タンパク質を捕捉するため)および電子シグナリングのためのフェロセンのような遷移金属の両方を呈する)に結合させる;2)ファルネシルピロリン酸誘導体をビオチンで修飾する(図13);3)酵素を付加する;4)阻害剤の候補を付加する;5)磁気ビーズを含有するストレプトアビジンを付加する;6)感知する(sensing)電極に磁気的に誘引して電子的に分析する。酵素FPTはビオチニル化したファルネシル(またはゲラニル)部分を、シグナリング・コロイドに固定化したRASに結合させる。磁気ビーズを有するストレプトアビジンはビオチンに結合し、複合体はrecruitableかつ検出可能である。アッセイはマイクロウェル中で平行して実施するが、このウェルは微小電極アレイ、種々のRAS変異体をシグナリング・コロイドに固定化させたもの、そして薬剤候補を積層した(interfaced)ものである。微小電極アレイ全体を電子的に分析し、特定の標的タンパク質について、酵素活性に対する薬剤候補の影響の差異を測定する。酵素がファルネシル基を標的変異体タンパク質に結合させるのに薬剤候補が干渉すると、電子シグナルの低下が起こる。
この戦略を使用して酵素の活性のモニタリング、あるいはその活性を調節する薬剤のスクリーニングを行うことができる。非ヒスチジン標識タンパク質を標準的なカップリング化学によってシグナリング・コロイドに結合させることもできる。あるいはまたファルネシル誘導体を、磁気ビーズに固定させた群の結合パートナーであるビオチン以外の認識群で修飾することもできる。
EdelsteinおよびDistefanoの報告によれば、感光化可能な架橋結合部分で修飾したファルネシルピロリン酸基を酵母FPTによってRASから誘導したペプチド・モチーフに結合させることができる(Edelstein RおよびDistefano M(1997),酵母ファルネシル・プロテイン・トランスフェラーゼのフォトアフィニティー標識および感光性イソプレノイドを導入するRASタンパク質の酵素的合成, Biochem. and Biophys. Res. Comm. 235, 377-382)。その目的はこのアッセイを使用して、2つの架橋結合によってファルネシル誘導体がFPTに
認識されることを示すことであった。この発見は、酵素活性または特異性に影響を与えることなくファルネシルまたはゲラニル(garenyl)部分をピロホスフェートからの末端においてビオチン修飾できるという考えと矛盾しない。
実施例2
この実施例では、既知のリガンドまたは既知の治療薬の未知の標的を同定するためのアッセイについて記載する。
本発明を使用して既知の生体分子の標的を同定することができる。例えば、癌を治療するためのある種の血管形成阻害剤が同定されている;ほとんどの場合、それらがどのように血管形成を阻害するのかは理解されていない。同定されている血管形成阻害剤の多くは抗体またはタンパク質であり、製造および投与が小型分子の薬剤に比べてはるかに困難である。これらの場合、小型分子剤のライブラリーを標的分子との相互作用について直接試験できるように、これらの治療の分子標的を同定することにかなりの労力が向けられる。
以下は血管形成阻害剤Ai1(これはタンパク質である)の生理学的標的を同定し、ヒスチジン標識(His標識)タンパク質としてAi1を発現させ、そしてHis標識の捕捉のためにニトリロ3酢酸基を有する磁気ビーズ(または粒子)に結合させるための戦略である。この時点では、システムは未知の標的分子のための生体特異的リガンドを有するrecruitable粒子から成る。その後、誘導体化した磁気ビーズを細胞抽出物または細胞溶解物と共にインキュベートし、その後磁気的に濃縮する(磁気ビーズは固定または可変の電磁場を使用して、あるいは溶液を磁気カラムまたはポリマーを通過させることによって、大量の中から容易に回収できる)。この時点で、Ai1を呈する磁気ビーズは標的分子を捕捉したものである。次いでイミダゾールを磁気ビーズに結合させてNTA/NiII複合体を生成してキレートとし、Ai1およびその標的を遊離させることができる。次いでタンパク質について、タンパク質シーケンシング、ゲル電気泳動などのような既知の分析を行う。消化酵素をこの過程に使用して表面に結合した標的を遊離させてもよい。
治療薬がAi2(抗体)の場合、上記のように進行させるが、ただしタンパク質AまたはG(またはその活性フラグメント)を磁気ビーズに結合させ、これがその後Ai2捕捉する。あるいはまた、非特異的相互作用を低減するために、SAM提示NTAを使用してHis標識したタンパク質AまたはGを捕捉することができる。
実施例3
この実施例では、細胞をSAMで被覆した金コーティング電極に結合させた。電極に結合したままの細胞を、細胞表面のレセプターに特異的なリガンドと、電極に電子シグナルを運搬する能力のあるレドックス活性な金属の両方を呈するように誘導された金コロイドを含有する溶液と共にインキュベートした。一定のインキュベーション時間の後、電極を交流ボルタンメトリー(ACV)でスキャンした。コロイド結合リガンドと細胞表面レセプター間の正の相互作用により、レドックス活性な金属がもたらされ、またコロイド上で電子シグナルを変換するのに十分近接する。
より明確には、電極をSAMで被覆し、50% ビス(エチニルフェニルチオール)(すなわちC16H10S)のバックグラウンドで10% メチル・ヘッド基とし、電極への電子の流れを促進した。40% トリエチレングリコール末端チオール(HS(CH)211(CH2CH23OH)を、単層充填を促進するために含有させる。既に報告したように、細胞増殖は、コラーゲンをコーティングしたHSC15-メチル-末端SAM上で維持できる。HSCH2C15CH3およびコラーゲンは共に分子を絶縁させ、電極への電子の流れを阻害する。この理由により、この実施例では、飽和炭素鎖-コラーゲン被覆を減少させて、より伝導性の高い分子網に隣接する増殖細胞の島を生成した。ヒト内皮細胞(HUVEC)は血管形成に重要な細胞表面レセプター、αVβ3を呈するが、これを電極上に増殖させた。レセプターのためのリガンドを有するSAMコーティングした金コロイドおよび電子シグナングのためのフェロセン部分を細
胞提示電極と共にしばらくインキュベートした後、ACVで分析した。
ACV分析には、1ml容量のシリコン・ガスケットを細胞提示電極に固定した。His標識RGDモチーフ・ペプチドとあらかじめ結合させたNTA-Niコロイド100μlとPBS100μlをガスケットに添加して細胞提示電極と共にインキュベートした。15分後、最初のACVスキャニングを行った。2回の連続したスキャニングを15分間隔で行った。発生した電流をプロットした(−−−)(図17)。正の1.6μAmpのピークとは全く対照的に、ネガティブ・コントロールでは明瞭なピークは得られなかった。
実施例4:伝導性表面上の細胞増殖
この実施例ではコラーゲンでコーティングしていない“伝導性の”表面上での細胞増殖の電子的検出について記載する。細胞を硫黄含有分子で修飾した金電極上で増殖させ、いくつかの場合には単層としたがコラーゲンではコーティングしなかった。電極の修飾を、実施例3の電極の調製の部分に記載したようにして実施したが、100%候補分子と共にインキュベートした電極はトリエチレングリコール末端チオール中での熱サイクルは行わなかった。いくつかの電極を同一の細胞増殖フラスコ内で組み立て、HUVEC細胞を含有する培地を添加した。電極および細胞をCO2インキュベーター内で24時間インキュベートした。100Xの倍率で表面を視覚的に分析した。表1に表面の修飾およびそれに次ぐ細胞接着/増殖特性を記載する。表面の非特異的結合は低かった。しかしながら、一度細胞が結合すれば、細胞増殖は良好であった。細胞は、SAMを介して金属を配位して金属キレートをなし、タンパク質上の金属結合タグを介してタンパク質をSAMに結合させ、タンパク質が細胞に結合することによって、SAMに容易に固定できる。結果を証明するために写真を撮影した(未掲載)。細胞をコロイド(上記)と共にインキュベートしたが、これはフェロセン部分とペプチドHHHHHH(S4G13GRGDSGRGDS(これは細胞表面上のアルファVベータ3レセプターに特異的である);またはネガティブ・コントロールとして無関係のペプチドHHHHHH-グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を示した。図18が示すところによれば、100%エチニルフェニルチオール(MF1)SAMコーティングした電極上での細胞増殖は、アルファVベータ3レセプターに特異的なリガンドを有するコロイドと共にインキュベートした場合にのみ電流のピークを生成し(図18、実線)、無関係のペプチドGSTで被覆したコロイドとインキュベートした場合にはピークを生成しなかった(図18、点線)。
図19は絶縁性トリエチレングリコール末端チオールのバックグラウンドにおける25% 2-メルカプトエチルエーテルで被覆した電極の電気化学的スキャニングである。RGD配列ペプチドを呈するコロイドから誘導された細胞は小さなピークを生成し(図19、実線)、GSTペプチドを呈するコロイドと共にインキュベートした細胞は生成しなかった(図19、点線)。
Figure 0005524812
実施例5:グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン結合によるコロイド粒子を持つポリマービーズの装飾
図20および21を参照されたい。以下の実施例は、標的蛋白を提供するコロイドが、標的蛋白の結合パートナーである小分子、または薬物候補を提供する非コロイド粒子上にどのように凝集するかを記載する。多数のコンビナトリアル薬物ライブラリーは非コロイド粒子またはビーズ上で合成し、医学的に適切な標的化学種を示すコロイド粒子と混合することができる。標的化学種の結合パートナーである薬物を示すビーズはたやすく確認することができる。なぜならコロイド粒子はビーズ上に凝集し、それを赤く着色するからである。
標的蛋白、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)はヒスチジン標識し、NTA−Niを提供するSAM被覆コロイド上に固定した(ヒスタミン標識はNTA−Niに結合する)。表面上に40uM NTA−Niを提供するコロイド30ulを21.5uM GST
65ulに添加し、溶液中のGST最終濃度を14uMにした。GSTに結合する小分子である、グルタチオンはアガロースビーズに結合した形状でSigma−Aldrichから市販されている。グルタチオン被覆ビーズはGST結合コロイド溶液とインキュベートした。すぐ後でGSTはグルタチオンビーズに結合し、溶液中から着色コロイドを引き寄せ、ビーズを赤く着色した(図20)。GSTに結合しない、小分子を示すビーズはGST結合コロイドとインキュベートしたとき、無色のままであった(図21)。第2の陰性対照は、グルタチオン被覆ビーズをGST非存
在下でNTA−Ni 30ulとインキュベートしたものであるが、NTA−Ni−コロイドがビーズ表面またはグルタチオンに非特異的に結合しないことを示した。
実施例6:電子に対するSAM透過性制御の証明
本実施例は電子伝達の促進を含むSAMを形成する能力について記載する。SAMは第一のしっかり充填された化学種と、第2の電子伝達に対するSAMの透過性を増強する、異なる分子構造の化学種との混合物を含む表面上で形成する。欠陥、または抜け穴をSAM中に形成し、表面がさらされる溶液が表面と電気的に伝達できるようにする。具体的には、全体としてSAMに関連した破壊的な構造を持つイオウ含有小化合物をSAMに取り込ませ、電子に対するより高い透過性を示した。本実施例は、表面を電気的に相対的に伝導性にし、細胞成長を支持できることを示している。
水溶性フェロセン誘導体は電解液:NaClO4 500uM中にフェロセンジカルボン酸 100mMを含む溶液中に溶解した。作用電極は異なる量の2−単位分子ワイヤ(MFI)を含むSAMで誘導体化した金被覆電極であった。特徴的なフェロセン電位のピークの高さは分子ワイヤ密度の関数としてプロットした。陰性対照として、金被覆電極をトリエチレングリコール末端チオール100%を含む絶縁SAMで誘導体化した。図22はSAMの‘伝導性’、または溶液中の電子がSAMに浸透する能力はSAMに統合された2−単位分子ワイヤの密度の関数であることを示す。このシステムはイオウ含有化合物のパネルで修整した電極の伝導性を試験するために使用した。化合物は候補化合物50%およびトリエチレングリコール末端チオール50%で、DMF中に溶解した。電極は実施例1に記載したように誘導体化した。表2は候補化合物と、ACVにより分析したときに生じた電流ピークの高さを記載した。図22はポリ(エチニルフェニルチオール)による単層破壊の関数として単層伝導度試験の2つの実験結果を示す。
SAMはDMF中で500uM トリエチレエングリコール末端チオールおよび500uMのメルカプトベンゾチアゾールまたは2−メルカプトエチルエーテルのどちらかとから金チップ上で形成した。チップはフラットな基質と1ml許容量のシリコンガスケットの間に固定した。フェロセンジカルボン酸溶液は500uM NaClO4中に溶解し、Ag/AgCl参照電極およびPt補助電極を持つシリコンガスケットに置いた。金チップは作用電極として連結した。上記システムはACVにより分析した。電極と通じ合う溶液中のフェロセンから生じた電流のピークの程度は、SAM中に欠陥を作製することにより、SAMの電子の透過性を向上させる試験化合物の能力の指標となった。図23は、単に絶縁種、トリエチレエングリコール末端(CH2)II−SH(+++線)および報告によるとより伝導性のポリエチニルフェニルチオール種(MF1)(実線)からなるSAMのオーバーレイである。伝導性のポリエチニルフェニルチオール種は同じ分子としてはより伝導性であると期待されるが、別の反復単位を持つものはより伝導性であると報告されている(Science 1997Bumm et
al.,)。予測したように、アルキルチオールSAMはフェロセンジカルボン酸溶液中の電流ピークを生じないが、50% ポリエチニルフェニルチオールからなるSAMはピークを生じる。図24は2−メルカプトエチルエーテル(実線)およびメルカプトベンゾチアゾール(+++線)を含むより伝導性のSAMに対する図23(点はTEG末端チオール、星印はポリエチニルフェニルチオールである)のプロットを示し、ポリエチニルフェニルSAMの電流ピークは50% 2−メルカプトエチルエーテルからなるSAMまたは50% メルカプトベンゾチアゾールからなるSAMにより発生したピークより程度が低いことを示している。このことはSAMに伝導性化学種を取り込むか、またはSAMに‘欠陥’または‘オープナー’を挿入することのいずれかにより、SAMが電子透過性になれるという概念と一致する。
表2.トリエチレエングリコール末端チオールのバックグラウンド中で以下の化合物により電極を誘導体化した。電極の準備は実施例1に記載したように行った。表面の‘伝導性’または透過性は電解液 (0.5M NaClO4)中のフェロセンジカルボン酸の酸化/還元
により生じた電流ピークの程度を測定することにより試験した。非特異的結合に抵抗する各化合物の能力は測定前にBSA(ウシ血清アルブミン)に各表面を浸すことにより試験した。非特異的に吸着した蛋白は単層から電極への電子の伝導を遮断するであろう。
Figure 0005524812
実施例7:蛋白−蛋白相互作用の検出
本実施例は固定化したシグナル伝達をする実体と固定化蛋白を持つコロイド粒子の有効性を記載する(図27を参照されたい)。
ヒスチジン標識グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−His)は40uM NTA−Niおよび100uM フェロセン−チオールを示す、NTA−SAM−被覆コロイドに付着させた。蛋白Aを提供する市販の磁気ビーズは1/10結合能において抗GST抗体で被覆し、1:5の比でGSTコロイドに添加し、磁石の頂上にすえた50% MF−1SAM被覆電極上で測定した。磁石は磁気ビーズを電極表面に引き寄せ、厚い、可視の沈殿物を形成した。GSTコロイドは磁気ビーズ上のGST抗体との相互作用により電極表面に引き寄せられ、約280mVの電流ピークを生じた。GSTがコロイド表面に付着しないものと、GST抗体が磁気ビーズに付着しない2種の陰性対照を使用した。いずれの陰性対照も電流ピークを生じなかった。図25は上記の説明の結果をプロットしている。実線は磁気ビーズ上のGST−His提供コロイドおよび抗GST/Abとの相互作用を示す。白丸はGSTを提供しないコロイドとインキュベートした、抗体を提供する磁気ビーズを示す。黒丸は、GSTを提供するコロイドとインキュベートした、抗体を提供しないビーズを示す。
実施例8:
細胞検出
本実施例は、表面と電子的に連絡するために露出されている表面への流れを許すSAM内の欠落を形成することで、SAMを横切る電子的連絡を高める分子種を含む混合体を包含する表面上にSMAを形成することの利点、及び蛋白質に結合したシグナル実体を持つコロイドを接着させることの有用性について示す。続いて蛋白質は、SAMを表す電極の表面に結合された細胞に固定化される。この場合の欠落は、フェニル環を含むSAM−取り込み分子のかさにより誘導される。
HUVEC細胞は培地中に懸濁され、フラスコ中の金表面上にコーティングされたSAMの上に置かれる。SAMは50%の直鎖型チオール、及び50%の2単位のポリ(エチニルフェニル)チオール(MF1)を含んだ。8.4mMのRGD−Hisペプチド溶液、5μlを培地に加え、細胞を37℃で一晩インキュベーションし、電極表面に接着させた。約16時間後、、RGD−Hisペプチドを捕捉するためのNTA及びシグナル発生のためのフェロセンを提示しているSMAコーティングコロイド100μlを細胞に加え、室温にて20分間インキュベーションした。次に電極を緩衝液で濯ぎ、未結合のコロイドを洗い落とし、測定した。最高電流は220−250mVに記録された。陰性コントロールは細胞に結合できないHis−GSTとインキュベーションされた細胞である。コロイドを陰性コントロールに加え、電極を緩衝液中に濯いでから測定した。陰性コントロールに関しては最大電流は観察されなかった。図26は、細胞/表面相互作用により、細胞表面のフェロセンシグナル発生実体を表すコロイドとhisタグの付いたリガンドを電極表面に運搬した時生じたピーク(実線)を示す。菱形はコロイドが細胞表面受容体に結合しない様に選択された無関係の蛋白質を表す陰性コントロールを示している。
実施例9:
蛋白質/リガンド相互作用の検出
本実施例は、蛋白質又はリガンドのいずれかを標識しない場合の、SPRなしの状態に於ける蛋白質/リガンド相互作用決定能を示している。具体的には、電子反応性実体、即ちフェロセンと固定した近位関係にあり、その電子シグナルが蛋白質に対する近接度に依存しているリガンドを、電極表面上にリガンドとフェロセンを含むSMAを形成することで、リガンドと相互作用すると思われる蛋白質に対し曝す。
実施例10:
未修飾リガンドに関するリガンド−受容体相互作用の検出
我々はフェロセン誘導体の特徴的酸化電位を、フェロセン誘導体の局所環境の化学的性質に基づきシフトできることを見いだした。蛋白質をフェロセン誘導体近位部に近づけると、別のポテンシャル位置に第2電流が現れる。この変化したピークの大きさは、システム内の蛋白質密度に比例する。金コーティングした電極のパネルを、トリエチレングリコール末端チオールのバックグランドの中に一定密度の伝導性分子ワイヤーチオール及び各種密度のメチル末端チオールを含んでいる異質SAMsで誘導化した。これまでに;1)トリエチレングリコール末端SAMは蛋白質の非特異的吸着に抵抗すること;そして2)メチル末端SAMは蛋白質、特にコラーゲンに結合することが示されている。従って我々は電極をコラーゲン溶液とインキュベーションすれば、非特異的に吸着したコラーゲンの密度が、増加したメチル末端チオール密度より高くなると推測した。2%、4%、10%及び15%のメチル末端チオールを含むSAMsを金コーティング電極上に形成した。電極の半数を2時間、4℃で0.005mg/mlのコラーゲンPBSとインキュベーションし、残り半数はPBS単独とインキュベーションした。電極は、電極液(0,5MのNaClO4)に溶解された水溶性フェロセン誘導体であるフェロセンジカルボン酸を使った交流ボルタメトリー(ACV)により解析された。特有電位でフェロセンの酸化/還元を交互に行うと最大電流が作られる。この最大電流の大きさとそれが発生した時の電位を記録した。低密度のメチル末端チオールでは、蛋白質コラーゲンが存在したときのみ約300mVで10%以上の第2最大電流が作られた。図28は、フェロセンジカルボン酸存在時の高密度メチル末端チオール電極について示している。実線はメチルチオールに結合したコラーゲン存在時の電極を表している。電極表面にあるコ
ラーゲンによりもたらされた疎水環境はフェロセンの酸化電位をシフトさせ、2つのピークが見られる。黒丸はコラーゲンに結合していない、即ちフェロセンの酸化に影響しない高密度メチル末端チオール電極を表している。
この戦略を利用することで、次の様にして非修飾型蛋白質、ペプチド、細胞の存在を検出することができる:アルキルチオールに結合したフェロセンジカルボン酸、電子の流れを通過できるSAM形成のためのチオール、及び標的ペプチドの結合相手で終止するチオール(結合相手はヒスチジンタグも持ち、SAM中のNTA−Ni成分との結合により電極に結合できる)より混合SAMを形成する。サンプル液中に標的種が存在する場合には、続いてそれはSAM上に存在するその結合相手に結合する。SMA表面近くの蛋白質の存在は、フェロセンジカルボン酸付近の化学的環境を変化させ、その酸化電位を低電位にシフトする。固定化された酸化還元−活性金属の特有酸化電位のシフトは、標的種の存在を示す。 これら実験を環上に極性置換基を持たないフェロセン誘導体を使い実施した場合には、この効果は観察されなかった。従って、この作業戦略に関しては、固定化酸化還元−活性金属が極性環境中にあること、そして固定化された結合相手(チオールを介しSAMに接続されている)が可能な限り小さいことが必須である。
実施例11:
ELISA
分子又は細胞生物学当業者にとって一般的な技術は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である(Current Protocols in Molcecular Biology、Volume2、Immunology11,2、1996。著作権保有者Wiley and Sons Inc、1994−1998)。ELISAsの主要な問題点は感度である。酵素シグナルの発生は1;1である;1抗体結合酵素は1抗原の存在を伝達する。従って、効果的なELISAにはマイクログラム量の抗原が必要であり、この量は全ての例で実行可能というものではない。この問題が低レベルで発現されている、又は存在している細胞表面上の抗原の検出に関しELISAsを無効にしている。ELISAに関する別の問題点は低抗原濃度の場合、アッセイに非常に時間がかかることである。酵素による加水分解量は加水分解時間に直接比例する。通常ELISAを実施する場合、標的種はプラスチック基質に直接又は間接に結合されている。続いて固定化された種の存在は、シグナル発生能も持つ二次抗体がそれに結合することで検出される;二次抗体には通常酵素、典型的には西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ(AP)、又は添加された基質と反応して色変化(分光光度計により検出される)を生ずる蛍光タグ、又は蛍光光度計により検出できる蛍光標識タグで標識されている(例えば”インビボに於ける感染神経繊維及び感覚神経に受動的に移動させられた、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質Dに対するヒト組換え体モノクローナル抗体の局在(Localization of a passively transferred human recombinat monoclonal antibody to herpes simplex virus glycoprotein D to infected nerve fibers and sensory neurons in vivo”)、Sanna PP、Deerinck TJとEilisman
MH、1999、Journal of Virology Oct.73巻、(108817−23)を参照せよ)。多くの場合、その都合により、全ての抗体に酵素を標識する必要はなく、マウス抗体が特異的抗体として利用され、次に酵素標識されたウサギ抗マウス抗体が加えられる。
ここに記載された技術を使うことでELISAsの感度を大きく上げ、そして天然リガンド(蛋白質又はペプチド)、あるいは薬物候補をプローブ分子として使うことで固定された標的種の存在を検出することができる。固定された種の存在は、多数の西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRPO)又はアルカリホスファターゼ(AP)も存在しているコロイドに結合されたリガンドにそれを結合させることで検出される。酵素は酵素に直接結合したヒスチジンタグを含む各種方法、又はヒスチジンタグ付き蛋白質Gを介しコロイドに結合されているヤギ抗体にマウス抗ヤギ酵素標識抗体を結合させることで、より好都合にコロイドに結合される(Akerstom、B.,Nielson,E.,Bjorck,L.Journal of Biological Chemist
ry、1987、Oct.5、262巻(28);1388−91ページ、及びFahnestock,S.R.,Alexander、P.,Nagle、JとFilpula、D.(1986)Journal of Bacteriology167巻、870−880)。多数の酵素を持つコロイド上に共固定されたリガンドを二次抗体の代わりに標的種と結合させることで、結合分子に対するシグナル発生分子の割合が大きく増加する。コロイド状の1抗体又はリガンドがELISAプレート上に提示された抗原に結合すると、数千または数百万の酵素の結合が生じる。あるいは、既知種は目的にあわせ96ウエル型プレートのウエルに結合できることから、それぞれが選択された薬物候補を表すコロイドを持つ1種類のプローブを、シグナル発生酵素と共に利用することができる。現在これを既存ELISA技術を使い実行することは不可能であり、各薬物候補を1種類の酵素に結合させることはできない。あるいは、固定標識に関する天然リガンドを、シグナル発生酵素や、相互作用を破壊するためにプレートの各ウエルに加えられる薬物候補と共にコロイド上に提示させることができる。未結合コロイドは洗浄段階で消失するため、そのシグナルも同時に消失する。抗体−又はリガンド提示コロイドの標的はELISAプレートに直接又は間接的に結合された(別の抗体又はリガンドを介して)細胞又は蛋白質でもよい。ELISAに関するこの改良の利点は感度だけではなく、効率にもある。数千のシグナル発生酵素がコロイドを介し1抗原に対し結合し続けるため、基質の加水分解がより迅速に起こり、適当な測定に要する時間は短くなるだろう。当業者は、ここに掲載された全パラメータが例示であり、実際のパラメータは本発明の方法及び装置が使用される具体的応用に依存することを容易に理解するだろう。従って、上記実施態様は例示的にのみ表されており、具体的に記述された以外に、添付されたクレームの範囲内にあり、そしてそれに等しい発明が別に実施できることが理解される。
無傷の細胞上にあるそれらのコグネイト細胞表面受容体と相互作用するデンドリマーまたはポリマーを介して、金属含有化合物、たとえばフェロセンに付着したリガンドを示す。 無傷の細胞上にあるそれらのコグネイト細胞表面受容体と相互作用する粒子に付着したリガンドおよび金属含有化合物、たとえばフェロセンを示す。 電気的または電気化学的シグナリングのためのレドックス活性金属をも提示するコロイド上の自己形成単層(self−assembled monolayer)に付着したタンパク質を示す。ターゲット受容体をもつ細胞を、目的受容体に対するコグネイトリガンドを保有するコロイドと共にインキュベートし、次いで電気泳動または磁気により検出電極に付着させる。この図は現尺で描かれたものではなく、コロイドは金原子20個から直径数ナノメーターまでの範囲のさまざまなサイズで調製しうることを留意されたい。 MUC−1特異性抗体DF−3を提示する電気シグナリングコロイドと共にインキュベートした、腫瘍マーカーMUC−1をもつ細胞を示す。抗体は、コロイド上の自己形成単層中に取り込まれたNTA/Ni(II)基に結合したHisタグ付きプロテインGを介してコロイドに付着している。 薬物ライブラリーをそれらの各メンバーが細胞表面タンパク質との相互作用を撹乱する能力についてスクリーニングするために使用できるアッセイ法の1態様を示す。 マイクロウェル(使い捨て)を微小電極アレイおよびロボチックと界面接触させることにより薬物スクリーニングアッセイを容易にマルチ化しうることを示す。電極アレイの分析は、複数の電極を同時に分析できる改良型電気化学分析装置を用いて実施できる。電極は、マイクロウェルに挿入しうるように(矢印参照)構成できる。 薬物候補を、電気活性シグナリング部分をも保有する粒子上で合成するか、またはそれらの粒子に共有結合させうることを示す。シグナリング粒子に付着した薬物候補を、目的受容体を提示する細胞および目的受容体を発現しなかった対照細胞と共にインキュベートすることができる。このアッセイにおいて薬物−ターゲット相互作用の結果、信号が増加するであろう。 RGDモチーフを含むペプチドとの相互作用によって柔軟な半透過性支持体に付着した組織検体を示す。次いで、目的とする細胞表面受容体に対するリガンドを保有する電気活性シグナリングコロイドと共に、検体をインキュベートする。検体をすすぎ、次いで微小電極アレイと界面接触させる。電極アレイは、電極寸法が細胞寸法に適合するように作成できる。次いで検体をACVにより解析し、次いでこれを組織病理と関連づけることができる。 容易にマルチ化しうる、ユニバーサル捕獲およびシグナリング粒子に基づくタンパク質−タンパク質相互作用アッセイ法を示す。Hisタグ付きタンパク質を選択的に捕獲するNTA/Ni(II)リガンドを保有する自己形成単層を、シグナリングコロイドおよび金被覆した磁性ビーズ上に形成する。次いでそれぞれのタイプの粒子を種々のHisタグ付きタンパク質と共に短時間インキュベートする。次いで磁界により磁性ビーズを検出電極に引き付ける。コロイド上の電気活性標識(レドックス活性部分であってもよい)が第1タンパク質と第2タンパク質の相互作用により電極へ運ばれた場合にのみ、信号が伝達される。Hisタグを含まないタンパク質がカルボキシ末端基付きチオールを提示する自己形成単層を保有するユニバーサル粒子に付着する可能性があることも留意されたい。 酵素開裂部位(enzyme cleavage site,ECS)をもち、かつビオチンを末端とするチオールで誘導体化された、電気活性シグナリングコロイドを示す。磁性ビーズをストレプトアビジンで誘導体化し、次いで磁性ビーズおよびシグナリングコロイドを、目的とする酵素および薬物候補と共にインキュベートする。薬物候補が目的酵素の作用を阻害すれば、その部位は開裂せず、シグナリングコロイドはビオチン−ストレプトアビジン相互作用により磁性ビーズに付着したままであろう。生じた複合体が検出電極に磁気的に付着すると、電流ピークが生じ、このアッセイ法の信号検出アッセイを増大するであろう。 酵素活性を変調させる薬物のスクリーニング方法を示す。このスキームでは、酵素修飾のターゲットであるタンパク質を、電気活性部分をも保有するコロイドに付着させる。酵素がターゲットタンパク質に付加する基を、ビオチンで標識しておく。酵素が適正に機能すると、ビオチン標識化合物はシグナリングコロイド上のタンパク質に付加する。次いでこの生成複合体をストレプトアビジン被覆した磁性ビーズに結合させる。次いで複合体を検出電極に電磁気的に付着させる。薬物候補をこのアッセイに添加することができる。対照と比較した信号損失はその薬物候補が酵素を阻害したことを指示し、一方、信号増加はその薬物が酵素活性を高めたことを指示するであろう。 ファルネシル基、ファルネシルピロホスフェートおよびゲラニル−ゲラニルピロホスフェートの化学構造を示す。 ビオチンのような認識基によるファルネシル様またはゲラニル様部分の修飾を示す。 ビオチン部分をもつファルネシルピロホスフェート誘導体を示す。ファルネシルプロテイントランスフェラーゼ(FPT)酵素は、RASタンパク質変異体へのファルネシル誘導体の付加を触媒する。ストレプトアビジンを保有する磁性ビーズを用いて複合体を検出電極に捕獲させると、電流出力の測定によりこの酵素の活性または薬物候補が酵素活性を変化させる能力を定量できる。 薬物候補が酵素活性を変調させる能力を評価しうることを示す。それぞれ空間的にアクセスできるマイクロウェルに、RASタンパク質(野生型または変異体)、FPT酵素、ビオチン修飾した付加基(ファルネシル誘導体)、ストレプトアビジンを保有する磁性ビーズ、およびプラスまたはマイナスの薬物候補を入れる。次いで交流ボルタメトリー(ACV)を含めた多様な電気的および電気化学的方法で電極を分析することができる。 RGD含有リガンドとコラーゲン被覆電極上で増殖させた細胞との相互作用のACV分析のプロットを示す。 (陰性)対照リガンドとコラーゲン被覆電極上で増殖させた細胞との相互作用のACV分析のプロットを示す。 単一タイプの導電性分子のみを含む金属支持体上で増殖させた細胞のACV分析のプロットを示す。 RGD含有リガンドと絶縁性分子および導電性分子の不均質単層を含む金属支持体上で増殖させた細胞との相互作用のACV分析のプロットを示す。 コロイド装飾ビーズ、詳細にはタンパク質/タンパク質相互作用によりビーズに結合したコロイドの写真のフォトスコピーである。 図20に示した実験の陰性対照の写真のフォトスコピーである。 導電性分子の%(絶縁種のローン中における)としての単層の導電率上昇が増大することを証明するプロットを示す。 2単位分子ワイヤ、ポリ(エチニルフェニル)チオール、MFIを含有する自己形成単層の導電率を、陰性対照(非導電性の自己形成単層)に対比して示した、ACV分析(フェロセン溶液を用いて測定)のプロットを示す。 図23の2つの自己形成単層の単層導電率を、より導電率の高い単層に対比して測定したACV分析(フェロセン溶液を用いて測定)のプロットを示す。 磁性ビーズへのコロイドの結合により測定したタンパク質/タンパク質相互作用のACV分析を示す。 図26は、フェロセンシグナル体およびHis−タグを有するリガンドを細胞表面レセプターへ提示するコロイドが、細胞/電極表面相互作用で電極表面へ運ばれたとき生じるピーク(実線)を示す。 プロットを図25に示した、磁性ビーズへのコロイドの結合により測定したタンパク質/タンパク質相互作用のアッセイ法の模式図である。 表面結合タンパク質を含む電極のACV分析のプロット、ならびにそれらがフェロセン酸化電位に与える影響(実線)および陰性対照(点線)を示す。

Claims (21)

  1. 固定化された化学的または生物学的な剤および固定化シグナル実体をその表面に保持する自己集合単層で被覆したコロイド粒子である物品であって、前記剤の少なくとも1つが自己集合単層に結合したタンパク質であり、ポリマーまたはデンドリマーが、金属結合タグ/金属/キレート連結を介し、化学的または生物学的剤に対する連結に適応している、上記物品。
  2. 生物学的または化学的剤に対する連結に適応している、複数のシグナル実体を保持するポリマーまたはデンドリマーを含む、請求項1に記載の物品。
  3. ポリマーまたはデンドリマーが、金属に配位可能なキレートを保持する、請求項2に記載の物品。
  4. ポリマーまたはデンドリマーが、複数の電気的活性種を保持する、請求項2に記載の物品。
  5. ポリマーまたはデンドリマーが、複数のメタロセンを保持する、請求項2に記載の物品。
  6. ポリマーまたはデンドリマーが、複数のフェロセンを保持する、請求項2に記載の物品。
  7. コロイド粒子である第1の剤を、非コロイド構造である第2の剤へ固定すること;
    コロイド粒子が非コロイド構造へ固定されたことを測定すること;
    を含む、薬剤候補のスクリーニング方法であって、
    コロイド粒子は、自己集合単層とシグナル実体を含んでなり、
    シグナル実体は、色素、ピグメント、電気的活性分子、蛍光部分、上方制御燐光、または、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む酵素連結シグナル部分を含んでなり、
    コロイド粒子が、固定化されたリガンドを保持し、非コロイド構造が、リガンドへの標的結合パートナーを保持し、ポリマーまたはデンドリマーが、結合タグ/金属/キレート連結を介し、第1の剤に連結しており、
    リガンドと標的結合パートナーとの結合を阻害する候補薬剤の存在下で、コロイド粒子が非コロイド構造に固定されるようにすることを含み、リガンドと標的結合パートナーとの結合が阻害されることによって候補薬剤の存在が示される、上記方法。
  8. 複数のシグナル実体によって同時にシグナル形成させることを含む、請求項に記載の方法。
  9. 複数のシグナル実体を保持する第1の剤を提供し、第1の剤が第2の剤に結合することを可能にし、そしてシグナル実体を介し、結合を測定することを含む、請求項に記載の方法。
  10. 第1の剤が生物学的または化学的リガンドであり、第2の剤が表面に受容体を提示する細胞であり、リガンドが受容体に固定されるのを可能にすることを含む、請求項に記載の方法。
  11. 複数のシグナル実体が、第1の剤に連結されているポリマーに連結されている、複数のシグナル実体を含む、請求項に記載の方法。
  12. 複数のシグナル実体が、第1の剤に連結されているデンドリマーに連結されている、複数のシグナル実体を含む、請求項に記載の方法。
  13. 第1の剤が、複数の固定化シグナル実体を含むコロイド粒子に固定される、請求項に記載の方法。
  14. 複数のシグナル実体が複数の電気的活性分子を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 複数の電気的活性分子が複数のメタロセンを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 複数の電気的活性分子が複数のフェロセンを含む、請求項14に記載の方法。
  17. 第1の剤が、ポリアミノ酸タグを保持し、そしてポリマーが金属キレートを保持する、請求項に記載の方法。
  18. 第1の剤がポリアミノ酸タグを保持し、そしてデンドリマーが金属キレートを保持する、請求項に記載の方法。
  19. 第1の剤が、シグナル実体が固定されているコロイド粒子に連結される、請求項に記載の方法。
  20. 第1の剤が、ポリマーを介し、シグナル実体に連結される、請求項に記載の方法。
  21. 第1の剤が、デンドリマーを介し、シグナル実体に連結される、請求項に記載の方法。
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