JP5522759B2 - 導電性積層フィルム、タッチパネル用電極板、タッチパネルおよび導電性積層フィルム用粘着剤 - Google Patents

導電性積層フィルム、タッチパネル用電極板、タッチパネルおよび導電性積層フィルム用粘着剤 Download PDF

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Description

本発明は、二枚の透明プラスチック基材を、粘着剤層を介して積層した導電性積層フィルムに関する。また本発明は前記導電性積層フィルムを用いたタッチパネル用電極板に関する。さらには、本発明は前記タッチパネル用電極板を用いたタッチパネルに関する。さらには、前記導電性積層フィルムの粘着剤層の形成に用いる粘着剤に関する。
種々の方式のタッチパネルのうち、液晶ディスプレイと組み合わされて使用されるものは、液晶ディスプレイが薄型化や省電力化を達成するために採用されていることから、抵抗膜式タッチパネルが多く用いられている。一般に抵抗膜式タッチパネルにはマトリクス方式とアナログ方式とがあり、目的用途によって使い分けられている。マトリクス方式は、押圧側(入力操作側)基板と非押圧側(ディスプレイ側)基板とで互いに交差する方向に短冊状電極を形成しスペーサを介して対向配置したものである。
一方、アナログ式タッチパネルは、導電性フィルムの透明導電性薄膜を内側にして、スペーサを介し対向配置し、透明導電性薄膜の一方に電流を流し他方の透明導電性薄膜における電圧を計測するようにして、対向する透明導電性薄膜を指やペン等による押圧操作を介して接触させ、その接触部分での電流の流れにより位置を検知するようにしたものである。通常、通電のために透明導電性薄膜の端部には、銀ペースト等の導電性ペーストからなるリードが設けられている。前記リードは、例えば対向配置の導電性フィルムの表面をフラットに保ちながら、透明導電性薄膜間に介在させた導電性ペーストを100〜150℃で1〜2時間加熱して硬化処理する方法などにより形成される。
また導電性フィルムとしては、押圧操作時の耐擦傷性や打点特性に耐えられるように、透明基材の一方の面に透明導電性薄膜を設けた導電性フィルムに、粘着剤層を介して外表面にハードコート層を有する透明基材(ハードコートフィルム)を貼り合わせた導電性積層フィルムが提案されている(特許文献1)。
前記導電性積層フィルムに用いられる透明基材としてプラスチック基材が主に用いられているが、前記硬化処理により、導電性フィルムの透明基材を形成しているプラスチック材料のオリゴマー成分が、透明基材同士を接着している粘着剤層に移行して、粘着剤層が梨地状になる問題がある。かかる梨地状の粘着剤層を有する導電性積層フィルムをタッチパネルに適用すると、画面の視認性不良が生じる。
前記導電性積層フィルムにおける粘着剤層の問題を解決するために、導電性フィルムの透明基材と粘着剤層との間に、無機物または有機物により、透明基材中のオリゴマーの粘着剤層への拡散を防止するための拡散防止層を設けることが提案されている(特許文献2)。しかし、拡散防止層を設けることは、導電性積層フィルムの製造工程が増え、また、薄型化が望まれる導電性積層フィルムに反して総厚みが大きくなる。
特許第2667686号明細書 特開2002−103504号公報
本発明は、透明プラスチック基材の一方の面に透明導電性薄膜を設けた導電性フィルムに、粘着剤層を介して、別の透明基材を貼り合わせた導電性積層フィルムであって、前記粘着剤層が梨地状になるのを抑えることができる導電性積層フィルムを提供することを目的とする。
また本発明は当該導電性積層フィルムを用いたタッチパネル用電極板を提供すること、さらには当該タッチパネル用電極板を用いたタッチパネルを提供することを目的とする。さらには、前記導電性積層フィルムの粘着剤層の形成に用いる粘着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す導電性積層フィルムにより前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、第一面と第二面を有する第一透明基材と、第一面と第二面を有する第二透明基材の第一面に透明導電性薄膜を有する導電性フィルムとを、第一透明基材の第二面と第二透明基材の第二面とが対向するように配置し、粘着剤層を介して接着した導電性積層フィルムであって、
第一透明基材と第二透明基材は、いずれもプラスチック基材であり、
粘着剤層は、メチル(メタ)アクリレート1〜35重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート60〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%をモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する粘着剤により形成されていることを特徴とする導電性積層フィルム、に関する。
前記導電性積層フィルムにおいて、アクリル系ポリマーは、メチル(メタ)アクリレート1〜28重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート65〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%をモノマー単位として含有することが好ましい。
前記導電性積層フィルムにおいて、官能基含有モノマーが、カルボキシル基含有モノマーであることが好ましい。
前記導電性積層フィルムにおいて、粘着剤は、架橋剤を含有することが好ましい。
前記導電性積層フィルムにおいて、粘着剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
前記導電性積層フィルムにおいて、第一透明基材の第一面にハードコート層を有することができる。
前記導電性積層フィルムは、第一透明基材と第二透明基材が、いずれもポリエステル系樹脂により形成されている場合に好適に適用される。
また本発明は、前記導電性積層フィルムを用いたタッチパネル用電極板、に関する。
また本発明は、透明導電性薄膜を有する一対のタッチパネル用電極板を、透明導電性薄膜同士が対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、タッチパネル用電極板の少なくとも一方が、前記タッチパネル用電極板であることを特徴とするタッチパネル、に関する。
また本発明は、前記導電性積層フィルムの粘着剤層の形成に用いられる、メチル(メタ)アクリレート1〜35重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート60〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%をモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する粘着剤からなることを特徴とする導電性積層フィルム用粘着剤、に関する。
導電性積層フィルムにおいて、第一透明基材と第二透明基材を接着している粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが用いられていた。特にアクリル系粘着剤が用いられていた。通常、アクリル系粘着剤のベースポリマーであるアクリル系ポリマーとしては、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートをモノマー単位の主成分とし、極性を付与するために官能基含有モノマーを共重合成分として含む。一方、メチル(メタ)アクリレートは、溶解度パラメーターが高く、他のアルキル(メタ)アクリレートに比べて、極性を有するものの、炭素数が1しかなく、ガラス転移点が高く、粘着性能への寄与が小さいこと、また架橋剤を用いる場合の架橋点として機能し難いことから粘着剤のアクリル系ポリマーとしては用いられていない。
本発明の導電性積層フィルムでは、上記のように、通常、モノマー単位としては用いられない、メチル(メタ)アクリレートを、他のアルキル(メタ)アクリレートおよび官能基含有モノマーとともに用いたアクリル系ポリマーのモノマー単位として用い、当該アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤を、導電性積層フィルムの粘着剤層の形成に用いた場合には、当該粘着剤層が梨地状になることを抑えられることを見出したものである。アクリル系ポリマーが、モノマー単位としてメチル(メタ)アクリレート単位を含有することで、透明プラスチック基材中のオリゴマー成分の粘着剤層への移行を抑えることができ、またはオリゴマー成分が粘着剤層へ移行したとしても粘着剤層中のメチル(メタ)アクリレート単位が梨地状になることを抑えられたものと思われる。
このように、本発明の導電性積層フィルムによれば、粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤のモノマー単位組成によって、梨地状になる問題を抑制でき、別途、拡散防止層を設けることにより製造工程が増えたり、総厚みが大きくなったりすることはない。
上記本発明の導電性積層フィルムでは、粘着剤層を、メチル(メタ)アクリレートをモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤で形成することで、粘着剤層が梨地状になることを抑えられるものの、メチル(メタ)アクリレートのモノマー単位が多くなりすぎると、導電性積層フィルムに加熱による硬化処理を施す場合には、前記粘着剤層において球状気泡を生じてしまう場合がある。本発明の導電性積層フィルムでは、かかる加熱発泡については、アクリル系ポリマーにおける、メチル(メタ)アクリレートのモノマー単位の割合を制御することで抑えることができる。
本発明の導電性積層フィルムの一例の断面図である。 本発明の導電性積層フィルムの一例の断面図である。 本発明の導電性積層フィルムを用いたタッチパネルの一例を示す断面図である。
以下に本発明の導電性積層フィルムを、図1、2を参照しながら説明する。図1に示す通り、導電性積層フィルムは、第一透明基材1と、第二透明基材2の片面に透明導電性薄膜3を有する導電性フィルムとが、粘着剤層4を介して接着されている。第一透明基材1と第二透明基材2は、いずれも第二面が粘着剤層4により、接着されている。導電性フィルムにおいて、透明導電性薄膜3は、第二透明基材2の第一面に設けられている。また、図2では、第一透明基材1の第一面にハードコート層5が設けられている。
第一透明基材、第二透明基材としては、いずれもプラスチック基材が用いられる。前記透明基材のプラスチック材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などの適宜なプラスチックが用いられる。これらは延伸したものを用いることができる。これらのなかでも、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレートを用いた場合に、プラスチック材料中のオリゴマーが粘着剤層に移行しやすく、かかるプラスチック材料を用いる場合に、本発明は好適に適用される。
第一透明基材、第二透明基材のフィルム厚は、適宜に決定しうるが一般的には、タッチパネル形成時の作業性や性能等の点より適宜に3〜300μm程度、さらには5〜250μm、特に10〜200μmが好ましい。
また、第一透明基材のフィルム厚は、第二透明基材のフィルム厚よりも厚くなるように、それぞれの選択するのが好ましい。通常、第一透明基材のフィルム厚は、50〜300μm程度、好ましくは75〜200μm、第二透明基材のフィルム厚は、3〜100μm程度、好ましくは10〜50μm、であり、これらの範囲で、第一透明基材のフィルム厚が、第二透明基材のフィルム厚より厚くなるように選択するのが好ましい。
導電性フィルムは、第二透明基材の片面に透明導電性薄膜を設けることにより得られる。透明導電性薄膜の形成は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法またはこれらの組み合わせ法などの各種薄膜形成法を適宜に選択し、第二透明基材のフィルム上に透明導電性薄膜形成材からなる膜を付設することにより行うことができる。透明導電性薄膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点から、前記薄膜形成法としては真空蒸着法やスパッタリング法を採用するのが好ましい。
前記透明導電性薄膜の形成材としては、透明な導電性の膜を形成しうるものを適宜に選択して用いる。好ましくは、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫およびこれらの合金等からなる金属、また酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウムおよびこれらの混合物等からなる金属酸化物、ヨウ化銅等からなる他の金属化合物などが用いられる。前記透明導電性薄膜は、結晶層、非結晶層のいずれであってもよい。
透明導電性薄膜の厚さは、使用目的に応じて適宜に決定することができる。厚さは通常10〜300nm、好適には10〜200nmであるのがよい。厚さが10nmより薄いと、表面電気抵抗が103Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となりにくく、厚すぎると、透明性の低下などをきたしやすい。
図1、図2には示していないが、透明導電性薄膜3は、第二透明基材の第一面にアンカー層を介して設けられていてもよい。アンカー層は1層または2層以上設けることができ。アンカー層としては、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成する。アンカー層の形成は、第二透明基材と透明導電性薄膜との密着性を向上させるとともに、透明導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性を向上させ、タッチパネル用としての打点特性の向上に有効である。
アンカー層を形成する無機材料としては、例えば、無機物として、SiO2、MgF2、A123などが好ましく用いられる。また有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
アンカー層は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテフィング法、塗工法などにより形成できる。
アンカー層の厚さは、通常、100nm以下、好ましくは15〜100nm程度、さらに好ましくは20〜60nmであるのがよい。
なお、透明導電性薄膜の付設に際しては、第二透明基材のフィルム表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理等の適宜な接着処理を施して、透明導電性薄膜との密着性を高めることもできる。
ハードコート層は、第一透明基材の第一面をハードコート処理して形成することができる。ハードコート処理は、例えばアクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂を塗布して硬化処理する方法などにより行うことができる。ハードコート処理に際しては、前記アクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂にシリコーン樹脂等を配合して表面を粗面化して、タッチパネル等として実用した際に鏡作用による写り込みを防止しうるノングレア面を同時に形成することもできる。
ハードコート層を形成する際、厚さが薄いと硬度不足となり、一方厚すぎるとクラックが発生する場合がある。また、カールの防止特性等も考慮に入れると、好ましいハードコート層の厚さは0.1〜30μm程度であるのが好ましい。
本発明の導電性積層フィルムにおける、第一透明基材と第二透明基材を接着するための粘着剤層は、メチル(メタ)アクリレート、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび官能基含有モノマーをモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する粘着剤により形成される。
なお、本発明における(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明における、(メタ)は前記同様の意味である。
炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよい。具体例としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソ(メタ)ノニルアクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数の平均値は4〜8であるのが好ましい。これらのなかでも接着性の点から、n‐ブチルアクリレートが好ましい。これらアルキル(メタ)アクリレートは、単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマーが挙げられる。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。
また官能基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマーが挙げられる。その具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記以外の官能基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;スルホン酸基含有モノマー;リン酸基含有モノマー;ビニルエステルモノマー;アミド基含有モノマー、ジメチルアミノメチルアクリルアミド等のアミノ基含有モノマー;イミド基含有モノマー;N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマ一などが挙げられる。
前記官能基含有モノマーのなかでも、接着性を向上させ、架橋点を増やし効率的に架橋して耐熱性を向上できる。カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーを用いるのが好適である。特に、被着体との密着性を得るための極性成分の点からカルボキシル基含有モノマーが好ましい。
前記各モノマー単位の割合は、メチル(メタ)アクリレート1〜35重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート60〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%である。
メチル(メタ)アクリレートのモノマー単位の割合が1重量%未満では、粘着剤層が梨地状態になるのを抑制するのが難しい。一方、メチル(メタ)アクリレートが多くなると、加熱時の発泡を抑える点からは好ましくない。これらを考慮すれば、メチル(メタ)アクリレートのモノマー単位の割合は、1〜28重量%、さらには5〜25重量%、さらには10〜20重量%であるのが好ましい。
炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのモノマー単位の割合は、粘着剤層の粘着特性を維持する点、特に被着体へのヌレ性維持のためから、60〜98重量%であり、さらには65〜98重量%、さらには70〜90重量%、さらには75〜85重量%であるのが好ましい。
官能基含有モノマーのモノマー単位の割合は、粘着剤に極性を付与し、また架橋剤を用いる場合の架橋点を導入する観点、吸水率等から、0.1〜10重量%であり、さらには0.5〜8重量%、さらには1〜7重量%、さらには2〜5重量%であるのが好ましい。
また、前記アクリル系ポリマーは、前記各モノマーと共重合可能なモノマーをモノマー単位として含有することができる。共重合モノマーとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、αメチルスチレンなどのスチレン系モノマー;ビニルトルエン、ビニルトルエンなどのビニルトルエン系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら共重合モノマーは、本発明の目的を損なわない範囲で用いられ、通常、モノマー単位として30重量%以下含有することができる。好ましくは20重量%以下、10重量%以下である。
本発明のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、60万以上、好ましくは70万〜300万である。重量平均分子量が60万より小さい場合は、耐久性に乏しくなる傾向がある。一方、作業性の観点より、前記重量平均分子量は300万以下が好ましい。
本発明のアクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の任意の製法を適宜選択できる。例えば、溶液重合においては、重合溶媒として、たとえば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合は、たとえば、モノマー全量100重量部に対しアゾビスイソブチロニトリル等の重合開示剤0.01〜0.2重量部加え、通常、窒素気流下で、50℃〜70℃程度で、8〜30時間行われる。乳化重合の場合は重合開始剤に加えて、乳化剤など適宜選択して使用することができる。また、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することできる。乳化剤、連鎖移動剤は特に限定されない。
本発明の粘着剤は、前記アクリル系ポリマーの他に、架橋剤を含有することができる。架橋剤の配合により、粘着剤は架橋処理されて耐熱性(加熱発泡の抑制効果)を向上させることができる。
架橋剤としては、アクリル系ポリマー中の官能基との反応性を有するものが好適に用いられる。架橋剤としては、過酸化物、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属塩、などが挙げられる。その他、紫外線や電子線を用いて、粘着剤を架橋することができる。これら架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を併用できる。これら架橋剤のなかでも、イソシアネート系架橋剤が接着性の観点から好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類や、各種ポリオールで変性したジイソシアネート付加物、イソシアヌレート環やビューレット体やアロファネート体を形成させたポリイソシアネート化合物などが挙げられる。なお、芳香族系のイソシアネート化合物は、硬化後の粘着剤層が着色する場合があるため、透明性が要求される用途では、イソシアネート系架橋剤としては、脂肪族系や脂環族系のイソシアネート系化合物が好適である。
前記架橋剤の配合量は、多すぎると架橋過多になり粘着特性に劣るため、アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常、5重量部以下、さらには0.01〜5重量部が好ましい。さらには0.1〜3重量部であるのが好ましい。
さらに本発明の粘着剤には、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の配合により、粘着剤の耐湿性を向上させることができる。
シランカップリング剤としては、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するシランカップリング剤;3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3‐トリエトキシシリル‐N‐(1,3‐ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;3‐クロロプロピルトリメトキシシラン;アセトアセチル基含有トリメトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良い。
シランカップリング剤の配合量が多くなると、透明基材への接着力が増大しすぎて、再剥離性に劣るため、アクリル系ポリマー100重量部に対して、2重量部以下、さらには0.01〜2重量部、さらには0.02〜1重量部であるのが好ましい。
さらに本発明の粘着剤には、その他の公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、粘着付与剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
本発明の粘着剤は、溶液として用いることができる。用いられる溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合してもよい。溶媒は、重合溶媒をそのまま用いることができる他、粘着剤層を均一に塗布できるように、重合溶媒以外の一種以上の溶媒を新たに加えてもよい。
上記粘着剤は、支持体上に塗布、乾燥し、粘着剤層を製造する。粘着剤が架橋剤を含有する場合には適宜に加熱処理等により架橋処理が施される。架橋処理は、溶媒の乾燥工程の温度で行っても良いし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
前記粘着剤層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、剥離処理したセパレーターなどの支持体上の片面または両面に前記粘着剤からなる層を形成した後、前記層を加熱処理することにより得ることができる。かかる架橋処理は、前記層を形成する溶媒の乾燥工程の温度で行っても良いし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。得られた粘着剤層は、その後、第一または第二透明基材に貼り合せられる。また前記粘着剤層は、第一または第二透明基材に前記粘着剤を塗布した後、加熱処理することにより、第一または第二透明基材上に直接得ることができる。得られた粘着剤層は、その後、粘着剤層の架橋反応の調整を目的としてエージング処理を行ってもよい。
粘着剤層は、第一透明基材と第二透明基材を接着後そのクッション効果により、第二透明基材の一方の面に設けられた透明導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させるため、粘着剤層の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜500μm、好ましくは5〜10μmの範囲に設定するのが望ましい。
粘着剤層の弾性係数が1N/cm2未満となると、粘着剤層は非弾性となるため、加圧により容易に変形してフィルム基材ひいては透明導電性薄膜に凹凸を生じさせ、また加工切断面からの粘着剤のはみ出しなどが生じやすく、さらに透明導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上効果が低減する。また、100N/cm2を超えると、粘着剤層が硬くなり、そのクッション効果を期待できなくなり、透明導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性を向上できない。
粘着剤層の厚さが1μm未満となると、そのクッション効果を期待できなくなるため、透明導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上を望めない。また、粘着剤層を厚くしすぎると、透明性を損なったり、粘着剤層の形成や透明基材の貼り合わせ作業性、さらにコストの面で好結果が得られにくい。
本発明の導電性積層フィルムは、タッチパネルや液晶ディスプレイなどの種々の装置の形成などに好ましく用いることができる。特に、ハードコート処理を有しているのでタッチパネルの如く、外部と接触する部品ないし接触する部位に好ましく用いることができる。
図3は、本発明の導電性積層フィルムを用いたタッチパネルの例を示したものである。すなわち、透明導電性薄膜3a、3bを有する一対のパネル板(タッチパネル用電極板)P1、P2を、互いに直交するように設けた透明導電性薄膜3a、3b同士が対向するように、スペーサsを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板P1として、上記した図1に示す導電性積層フィルムを使用したものである。
このタッチパネルにおいては、パネル板P1側より、入力ペンMにて押圧打点したとき、透明導電性薄膜3a、3b同士が接触して、電気回路のON状態となり、上記押圧を解除すると、元のOFF状態に戻る、透明スイッチ横体として機能する。その際、パネル板P1が上記の導電性積層フィルムからなるため、透明導電性薄膜にスジの発生を抑えることができる。
なお、上記の図3において、パネル板P2は、プラスチックフィルムやガラス板などからなる透明基材6に透明導電性薄膜3bを設けたものであるが、上記のパネル板P1と同様の図1に示す導電性積層フィルムを使用してもよい。
以下に、本発明について実施例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例中、部は重量部である。
実施例1
(アクリル系ポリマーの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、メチルアクリレート5部、n‐ブチルアクリレート93部、アクリル酸2部、および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチルに加え、固形分濃度30重量%に調整し、さらに窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なって、重量平均分子量180万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。
(アクリル系粘着剤の調製)
上記アクリル系ポリマーの固形分100部に対して、架橋剤として、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート0.1部と、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1部を添加し、これらを均一に混合して、本発明のアクリル系粘着剤を得た。
(ハードコートフィルムの作成)
第一透明基材として、厚さ125μm、幅1000mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン社製,品番F17)を準備し、その片面にアクリルウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディックU4005」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さ5μmのハードコート層を設けてハードコートフィルムを作成した。
(導電性積層フィルムの作成)
上記粘着剤をハードコートフィルムの第二面(ハードコート層のない面)に塗布し、150℃で5分間乾燥して、厚さ23μmの粘着剤層を形成し、さらにこの上に、導電性フィルムの第二面(透明導電性薄膜を設けなかった面)を貼り合わせて、導電性積層フィルムを作成した。
実施例2〜4、比較例1
実施例1において、メチルアクリレート、n‐ブチルアクリレートおよびアクリル酸の割合を、表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系ポリマーを調製した。また当該アクリル系ポリマーを用いて、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤を得た。また、実施例1と同様にして導電性積層フィルムを作成した。
(評価実験)
上記各例で得られた導電性積層フィルム(サンプル)について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
(粘着剤層のオリゴマーの確認)
各サンプルを、150℃で1時間または160℃で1時間の条件で、加熱オーブンにて加熱した後、恒温高湿槽(60℃,95%RH雰囲気下)で240時間晒した。その後、サンプルを取り出し、透過型顕微鏡200倍にて観察し、以下の基準で評価した。
○:オリゴマーを確認できない。
×:オリゴマーを確認できる。
(粘着剤層の外観)
各サンプルを、150℃で1時間、加熱オーブンにて加熱した。その後、サンプルを取り出し、透過型顕微鏡200倍にて観察し、以下の基準で評価した。
○:球状気泡を確認できない。
×:球状気泡を確認できる。
Figure 0005522759
表1に示すように、本発明の導電性積層フィルムは、粘着剤層にオリゴマーが見られなかった。また、本発明の導電性積層フィルムは、メチルアクリレートの割合を制御することで、粘着剤層の球状気泡も抑えられる。
1 第一透明基材
2 第二透明基材
3 透明導電性薄膜
4 粘着剤層
5 ハードコート層

Claims (9)

  1. 第一面と第二面を有する第一透明基材と、第一面と第二面を有する第二透明基材の第一面に透明導電性薄膜を有する導電性フィルムとを、第一透明基材の第二面と第二透明基材の第二面とが対向するように配置し、粘着剤層を介して接着した導電性積層フィルムであって、
    第一透明基材と第二透明基材は、いずれもポリエステル系樹脂により形成されているプラスチック基材であり、
    粘着剤層は、メチル(メタ)アクリレート1〜35重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート60〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%をモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する粘着剤により形成されていることを特徴とする導電性積層フィルム。
  2. 官能基含有モノマーが、カルボキシル基含有モノマーであることを特徴とする請求項記載の導電性積層フィルム。
  3. メチル(メタ)アクリレートが、メチルアクリレートであることを特徴とする請求項1または2記載の導電性積層フィルム。
  4. 粘着剤は、架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の導電性積層フィルム。
  5. 粘着剤は、シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の導電性積層フィルム。
  6. 第一透明基材の第一面にハードコート層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の導電性積層フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の導電性積層フィルムを用いたタッチパネル用電極板。
  8. 透明導電性薄膜を有する一対のタッチパネル用電極板を、透明導電性薄膜同士が対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、タッチパネル用電極板の少なくとも一方が、請求項記載のタッチパネル用電極板であることを特徴とするタッチパネル。
  9. 請求項1記載の導電性積層フィルムの粘着剤層の形成に用いられる、メチル(メタ)アクリレート1〜35重量%、炭素数が2〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート60〜98重量%および官能基含有モノマー0.1〜10重量%をモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含有する粘着剤からなることを特徴とする導電性積層フィルム用粘着剤。
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