JP5522634B2 - 跳ね出し部材およびこれを用いた抜き型 - Google Patents

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本発明は、型抜きの際に、打ち抜き製品や抜きカスを刃から跳ね出すための技術に関し、基板上に取り付けられた金属バネを有する跳ね出し部材およびこれを用いた抜き型に関する。
所定形状のプラスチック製のシートやフィルム(たとえば、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイに使用されるディスプレイ用シート等)、または所定形状の紙製品(たとえば、紙箱等の組み立て前の展開形状の紙)の型抜きの工程を、図14(A),(B),(C)に示す。
図14(A)に示すように、まず、下定盤91と上定盤92の一方(図14(A)では下定盤91)に抜き型93を配置し、この抜き型の上にシート,紙等の打ち抜き対象94を載置する。抜き型93は、帯状刃931と、基板932と、跳ね出しゴム933とを有している。
帯状刃931は、基板932に、上端縁(刃の部分)が基板表面Sから突出するように取り付けられており、基板932の上面には、帯状刃931の突出高さよりも高い厚みの跳ね出しゴム933が配置されている。
次に、図14(B)に示すように、上定盤92により跳ね出しゴム933を圧縮しつつ、打ち抜き対象94の型抜きを行う。この後、図14(C)に示すように、上定盤92を引き上げるが、圧縮された跳ね出しゴム933により、打抜かれた打ち抜き対象94(図14(C)では、打ち抜き製品を符号941で示し廃棄される打ち抜きカスを符号942で示す)は、帯状刃931に取り残されることなく上方に跳ね出される。
跳ね出しゴム933を設けない場合には、打ち抜き製品941や打ち抜きカス942が取り残されるが、この打ち抜き製品941や打ち抜きカス942を帯状刃931から取り外すことは容易ではない。したがって、従来、この種の抜き型には、跳ね出しゴム933は必須である。
特願2005−329521
ところで、図14に示した合板のボードを使用した抜き型は、森林資源保護の観点から、可能な限りリサイクルをすることが望ましい。しかし、跳ね出しゴム933は基板932に強固に接着されるため、取り外しが極めて困難である。しかも、跳ね出しゴム933を無理に取り外したとしても、当該跳ね出しゴム933には損傷が必ず生じるので再利用ができない。特に、跳ね出しゴムの弾性は、経時劣化するので、跳ね出しゴム933を再利用することはありえないといっても過言ではない。
また、上記の跳ね出しのために、コイルスプリングを使用することも考えられる。通常、トムソン刃が、基板932から露出している高さは、2mmから5mm程度である。コイルスプリングを使用した跳ね出し部材は、圧縮したときの高さが通常4mm以上と高いので、コイルスプリングを跳ね出しゴムの代替として使用することはできない。
また、近年、合成樹脂シートや合成樹脂フィルムには複雑な打ち抜き形状が要求されることがあり、たとえば狭い領域の跳ね出しが必要となる。跳ね出しの力は、跳ね出しゴムの平面視形状に依存するので、この狭い部分に跳ね出しゴムを使用したとしても、跳ね出しが行われないこともある。
本発明の目的は、型抜きの際に刃と刃との間の狭窄部の打ち抜き結果物(微細かつ複雑な打ち抜き箇所部分の、打ち抜き製品または打ち抜きカス)の跳ね出しが容易となる新規構造の跳ね出し部材およびこれを用いた抜き型を提供することである。
本発明は、(1)または(2)を要旨とする。
(1)
打ち抜き対象を打ち抜いた際に、打ち抜き結果物(打ち抜き製品および/または打ち抜きカス)を刃から離脱させるための跳ね出し部材であって、
自由状態で伸張しており、負荷が加わると圧縮される、1つまたは複数の金属バネと、
前記1つの金属バネまたは複数の金属バネの上端に取り付けた上板と、
からなり、
前記金属バネは、圧縮した際に、バネ有効部が伸縮方向に重なり合わない(平面視したときに重なり合わない)構成であり、
前記金属バネが渦巻き状の圧縮コイルバネであり、
前記上板に、線材からなる片持ち梁構造の跳ね出し部材、複数を支点とする線材からなる梁構造の跳ね出し部材、複数を支点とする線材からなる張架構造の跳ね出し部材が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする跳ね出し部材。

)に記載の跳ね出し部材が搭載された抜き型。
発明では、跳ね出し部材の上板に、片持ち梁構造の跳ね出し部材、梁構造の跳ね出し部材、張架構造の跳ね出し部材を設けることができるし、また、複数の上板間に架橋構造の跳ね出し部材を設けることができる。したがって、刃と刃との間の狭窄部の打ち抜き結果物(微細かつ複雑な打ち抜き箇所部分の、打ち抜き製品または打ち抜きカス)の跳ね出しが容易となる。
図1は梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材のを示す説明図であり、(A)は跳ね出し部材の平面図、(B)は打ち抜き対象を抜き型により打抜く前の状態を示す側面図、(C)は打ち抜き対象を抜き型により打抜いたときの状態を示す側面図である。 図2(A)は跳ね出し部材の圧縮前の様子を示す図、図2(B)は跳ね出し部材の圧縮時の様子を示す図である。 梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材の他のを示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。 図4は梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材のさらに他のを示す説明図であり、(A)は跳ね出し部材の平面図、(B)は側面図である。 図5は、片持ち梁構造を備えた本発明の跳ね出し部材を示す平面図である。 図6は、両持ち梁構造を備えた本発明の跳ね出し部材を示す平面図である。 図7は、2点を支点とする本発明の梁構造を持つ跳ね出し部材を示す平面図である。 図8は、2つの跳ね出し部材間に線材を渡した張架構造を示している。 図9は、線の他の例を示す図であり、(A)は金属バネが圧縮されていないときの線材を示し、(B)は金属バネが圧縮されときの線材を示している。 図10は、上板の傾斜や位置ずれを防止するためのガイド機構の説明図である。 図11(A),(B)は、跳ね出し部材の上板に1つの金属バネが設けられている例を示す図である。 図12は、U字形ピン44を備えた跳ね出し部材の説明図であり、(A)は打ち抜き対象を抜き型により打抜く前の状態を示す側面図、(B)は打ち抜き対象を抜き型により打抜いたときの状態を示す側面図、(C)は打ち抜き対象を抜き型により打抜いた後の状態を示す側面図、(D)は跳ね出し部材11の構造を示す説明図である。 図13は、除電機能を持つ跳ね出し部材を示す図。 図14(A),(B),(C)は、所定形状の紙製品(たとえば、紙箱等の組み立て前の展開形状の紙)の型抜きの工程を示す図である。
図1(A),(B),(C)は梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材11のを示す説明図である。
(A)は跳ね出し部材11の平面図、(B)は打ち抜き対象5を抜き型2により打抜く前の状態を示す側面図、(C)は打ち抜き対象5を抜き型2により打抜いたときの状態を示す側面図である。
図1(A),(B),(C)では、跳ね出し部材11は、1つの金属バネ(図1ではスパイラルコイルバネ)111と、金属バネ111の上端に取り付けた上板112と、金属バネ111の下端に取り付けた下板113とからなる。
金属バネ111は、自由状態で伸張しており、上定盤62による負荷が加わると圧縮されて復帰付勢力を持つ、いわゆる圧縮バネである。
図1(B)に示すように、抜き型2は下定盤61に載置されている。
図1(C)に示すように、上定盤62が下降することで、打ち抜き対象5が基板21から突出した刃22により切断される。図(C)では、打ち抜き対象5は、打ち抜き製品51、打ち抜きカス52に分離される。
図1(C)に示されるように、金属バネ111は、圧縮した際に、バネ有効部が伸縮方向に重なり合わない(平面視したときに重なり合わない)。これにより、金属バネ111は、刃22の高さ内に収まる。
図示はしないが、上定盤62が上方に引き上げられると、金属バネ111は、自由状態に戻るように付勢され、打ち抜き製品や打ち抜きカスが、跳ね出される。
以上のようにして、跳ね出し部材11は、打ち抜き対象5を打ち抜いた際に、打ち抜き結果物(打ち抜き製品51および/または打ち抜きカス52)を刃から離脱させる。
図2(A)に跳ね出し部材11の圧縮前の状態を示し、図2(B)に跳ね出し部材11の圧縮時の状態を示す。図2(A),(B)では、コイルの線材太さdを0.5mmとし、コイル最大中心径DMAXを8mmとし、コイル最小中心径DMINを4mmとしてある。また、バネ有効部の巻き数は「2」である。
上板112の厚みおよび下板113の厚みt1,t2はそれぞれ0.5mmとしてある。本実施形態では、上板112および下板113としてベークライト板,アルミニウム板,合成樹脂板を使用することができる。
上板112および下板113としてアルミニウム板のような導電性材料を使用することで、打ち抜き対象5に帯電した静電気、あるいは打ち抜き時に生じる静電気を除去することができる(後述する図13参照)。
図2(A),(B)では、跳ね出し部材11の自由高さHfは5mmであり、圧縮時高さHpは2.0mmである。したがって、刃22の高さが3mmである場合には、図(A),(B)の跳ね出し部材11は、1mmの打ち抜き対象5に適用することができる。
図3は梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材11の他のを示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図1および図2の実施形態では金属バネ111として円形のスパイラルコイルバネを使用したが、図3(A),(B)では、矩形のスパイラルコイルバネを使用している。図3の金属バネ111も、圧縮した際に、バネ有効部が伸縮方向に重なり合わない(平面視したときに重なり合わない)。これにより、金属バネ111は、刃22の高さ内に収まる。
図4は梁構造または張架構造を持たない跳ね出し部材11のさらに他の実施形態を示す説明図であり、(A)は跳ね出し部材11を平らに圧縮した状態の平面図、(B)は跳ね出し部材11を圧縮していない状態の側面図である。図1から図3の実施形態では金属バネ111として円形や矩形のスパイラルコイルバネを使用したが、図4(A),(B)では、板バネを使用している。金属バネ111(板バネ)には、大カップ輪郭(U字)のスリットが形成され、この大カップ輪郭(U字)のスリットの内側に向きが反対の中カップ輪郭(U字)のスリットが形成され、この中カップ輪郭(U字)のスリットの内側に大カップ輪郭(U字)と向きが同じの小カップ輪郭(U字)のスリットが形成されている。
跳ね出し部材11の、スリットにより形成される外側の矩形部分が基材21の表面に面接触できるので、図4の跳ね出し部材11では下板113を設けていない。跳ね出し部材11の、スリットにより形成される内側のT字部分には上板112が取り付けられる。
図4の金属バネ111も、圧縮した際に、バネ有効部が伸縮方向に重なり合わない(平面視したときに重なり合わない)。これにより、金属バネ111は、刃22の高さ内に収まる。
図5から図10は本発明の跳ね出し部材11(梁構造または張架構造を持つ)を用いた抜き型2の具体例を示す説明図である。
図5は、片持ち梁構造を備えた跳ね出し部材11を示している。図3では、1つの上板112に多数の金属バネ111が設けられている。刃22の内側の跳ね出し部材11の上板112の2箇所から、片持ち梁構造の線材(たとえばピアノ線)31が突出している。
図6は、両持ち梁構造を備えた跳ね出し部材11を示している。図6でも、1つの上板112に多数の金属バネ111が設けられている。刃22の内側の跳ね出し部材11の上板112からは、2箇所を支点とする両持ち梁構造の線材(たとえばピアノ線)32が突出している。
図7は、2点を支点とする梁構造を持つ跳ね出し部材11を示している。図7では、2つの上板112に1つの金属バネ111が設けられている。刃22の内側の跳ね出し部材11の上板112からは、2箇所を支点とする両持ち梁構造の線材(たとえばピアノ線)33が突出している。
図8は、2つの跳ね出し部材11間に線材を渡した張架構造を示している。図7では、2つの上板112に1つの金属バネ111が設けられている。刃22の内側の跳ね出し部材11の上板112の2箇所に張架構造の線材(たとえばピアノ線)34が張架されている。
図9は、線の他の例を示す図であり、(A)は金属バネ111が圧縮されていないときの線材35を示し、(B)は金属バネ111が圧縮されときの線材35を示している。本実施形態では、図9のように線材35は基板21の表面に押接することもある。
図10および図11は、上板112の傾斜や位置ずれを防止するためのガイド機構の説明図である。
図10では、跳ね出し部材11の上板112には図示はされていないが複数の金属バネ111が設けられている。
上板112の複数箇所(図10では2箇所が表示されている)にはピン41が形成され、基板21にはピンガイド42が形成され、ピン41はピンガイド42内を摺動することができる。これにより、上板112の傾斜や位置ずれが防止される。
図11(A),(B)では、跳ね出し部材11の上板112に1つの金属バネ111が設けられている。
上板112の金属バネ111にはピン41が形成され、ピン41はピンガイド42内を摺動することができる。これにより、上板112の傾斜や位置ずれが防止される。
図12は、U字形ピン44を備えた跳ね出し部材11を示しており、(A)は打ち抜き対象を抜き型により打抜く前の状態を示す側面図、(B)は打ち抜き対象を抜き型により打抜いたときの状態を示す側面図、(C)は打ち抜き対象を抜き型により打抜いた後の状態を示す側面図、(D)は跳ね出し部材11の構造を示す説明図である。
この跳ね出し部材11は、図12(A)から(D)に示すように、跳ね出し部材11の上板112にU字形ピン44の一端が取り付けられ、抜き型2内の空間45を介して、U字形ピン44の他端が抜き型2の表面に突出できる。これにより、従来、跳ね出しゴムを設けることができず、打ち抜き製品の跳ね出しができなかった箇所でも、跳ね出しを行うことができる。
ところで、打ち抜き対象の打抜きに際しては、当該打ち抜き対象や打打ち抜き製品が搬送されなかったり、静電気により打ち抜き製品が損傷する等、種々の静電気障害が生じたりする。
図13は、除電機能・帯電防止機能を持つ跳ね出し部材11を示している。この跳ね出し部材11は、上板112がアルミニウム等の導電性であり、基板21は金属板の削り出しにより形成されている。
図13(A)の例では、上板112と基板21とは、静電気放電用の電線により直接接続されている。
図13(B)の例では、上板112と基板21とは、静電気放電用の電線DCCにより抵抗Rを介して接続されている。この抵抗により急激な電流が流れることを防止できる。
以上のように図13(A),(B)の跳ね出し部材11を用いることで、打ち抜き製品51,打ち抜きカス52から静電気が除去されたり、帯電が防止されたりする等の種々の障害が解消される。
上記した図1,図2,図3に示した跳ね出し部材11の実施形態では、金属バネ111としてスパイラルコイルバネを使用するときに、コイル径が小さい側を上板112側としコイル径が大きい側を下板113側としたが、この逆に、コイル径が大きい側を上板112側としコイル径が小さい側を下板113側とすることができる。
また、図4に示した跳ね出し部材11の実施形態でも、金属バネ111として板バネを使用するときに、径が小さい側を上板112側とし径が大きい側を下板113側としたが、この逆に、径が小さい側を上板112側とし径が大きい側を下板113側とすることができる。この場合には、実装に際しては、2形態を交互に混在させて配置することもできる。
さらに、上記の実施形態では、抜き型2を下定盤に取り付ける実施形態を説明したが、抜き型2を上定盤に取り付けることもできる。
2 抜き型
5 抜き対象
11 跳ね出し部材
21 基板
22 刃
31,32,33,34,35 線材
41 ピン
42 ピンガイド
44 U字形ピン
45 空間
51 抜き製品
52 抜きカス
61 下定盤
62 上定盤
111 金属バネ
112 上板
113 下板
d 線材太さ
DMAX コイル最大中心径
DMIN コイル最小中心径
R 抵抗
S 基板表面
t1 上板の厚み
t2 下板の厚み

Claims (2)

  1. 打ち抜き対象を打ち抜いた際に、打ち抜き結果物(打ち抜き製品および/または打ち抜きカス)を刃から離脱させるための跳ね出し部材であって、
    自由状態で伸張しており、負荷が加わると圧縮される、1つまたは複数の金属バネと、
    前記1つの金属バネまたは複数の金属バネの上端に取り付けた上板と、
    からなり、
    前記金属バネは、圧縮した際に、バネ有効部が伸縮方向に重なり合わない(平面視したときに重なり合わない)構成であり、
    前記金属バネが渦巻き状の圧縮コイルバネであり、
    前記上板に、線材からなる片持ち梁構造の跳ね出し部材、複数を支点とする線材からなる梁構造の跳ね出し部材、複数を支点とする線材からなる張架構造の跳ね出し部材が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする跳ね出し部材。
  2. 請求項1に記載の跳ね出し部材が搭載された抜き型。
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