JP5522448B2 - 回折光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、回折光学素子に関し、特に、ブレーズ型かつ透過型の回折光学素子に関する。
従来、ブレーズ型かつ透過型の回折光学素子(以下、透過ブレーズ型回折光学素子と称する)における周期構造の不連続な側面によって生ずるフレア光を抑制するために、側面の傾きを、入射光線の入射角に対する光強度分布に基づいて決めるようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−186118号公報
ところで、透過ブレーズ型回折光学素子においては、入射光の入射方向により、所望の回折次数(例えば、1次)の回折光(以下、主要回折光と称する)以外の不要な回折光(以下、不要回折光と称する)が増大し、不要回折光によりフレアの発生量が増大する。
例えば、図1に示される透過ブレーズ型の密着複層型位相フレネル回折光学素子である回折光学素子1について考える。
図1は、回折光学素子1の一部の拡大断面図を示している。回折光学素子1は、屈折率がn1の層11と屈折率がn2(>n1)の層12とが密着した二層構造とされる。層11と層12の境界面には、断面がノコギリ歯状のブレーズ21−1乃至21−nが、水平方向に連なるように形成されている。また、層11のブレーズの谷部を連なる面は入射面1Aであり、層11のブレーズの頂部を連なる面は出射面1Bである。
なお、図1では、ブレーズ21−1乃至21−nのうち、ブレーズ21−m付近の断面が示されている。また、以下、ブレーズ21−1乃至21−nを個々に区別する必要がない場合、単にブレーズ21と称する。
さらに、以下、ブレーズ21の側壁31と回折面32とのなす角度をθ1、入射面1Aに対する側壁31の傾きをθ2、入射面1Aに対する回折面32の傾きをθ3とする。なお、傾きθ2は90度に設定されており、側壁31は入射面1Aに対して垂直である。また、以下、ブレーズ21の高さをHとし、ブレーズ21間のピッチ幅(=ブレーズ21の幅)をWとする。さらに、以下、n次の回折光を、単にn次光と称する。
回折光学素子1においては、入射面1Aから入射した入射光が、各ブレーズ21の回折面32を通過し、回折面32において回折されて、出射面1Bから出射する。ブレーズ21の高さHは、波長λの入射光が入射面1Aに対して垂直(側壁31に対して平行)に入射した場合に主要回折光である1次光の回折効率が最大になり、1次光以外の不要回折光の回折効率が最小になるように、次式(1)で求まる値に設定される。
H=λ÷|n2−n1| …(1)
ただし、H<Wとする。
すなわち、回折光学素子1は、入射面1Aに対する入射光の入射角φの最適値(以下、最適入射角と称する)が0度になるように設計されている。
図2は、入射光の波長λ=0.6μm、層11の屈折率n1=1.63915、層12の屈折率n2=1.66915、ブレーズ21の高さH=20μm、ブレーズ21のピッチ幅W=50μmに設定した場合の、−1次光、0次光、2次光、3次光の入射角φに対する回折効率の特性をRCWA法により計算した結果を示すグラフである。具体的には、曲線C1aは−1次光の回折効率を示し、曲線C2aは0次光の回折効率を示し、曲線C3aは2次光の回折効率を示し、曲線C4aは3次光の回折効率を示している。なお、傾きθ2が90度なので、角度θ1≒68.2度となる。
入射角φについて時計回りの方向を正の方向、反時計回りの方向を負の方向とすると、図2から、入射角φが正の方向に大きくなるにつれて、−1次光および0次光の回折効率が先に大きくなり、入射角φが負の方向に大きくなるにつれて、2次光および3次光の回折効率が先に大きくなる。このように、回折光学素子1では、回折次数ごとの入射角φに対する回折効率の分布が均一ではなく、バラツキが生じている。そのため、入射光の入射角φが最適入射角に対して少しずれると、不要回折光の発生量が回折次数によってばらついてしまう。そして、この不要回折光のバラツキが、フレアの発生量分布の差を増大させ、像に悪影響を及ぼす。
また、逆に、この像に悪影響を及ぼすフレアの発生量分布の差を所望の範囲内に抑えたい場合、入射角φの許容範囲が狭くなってしまう。例えば、図2から、どの回折次数の不要回折光も回折効率を0.1%以下に抑えたい場合、入射角φの許容範囲M1aは約-1.5度〜約0.9度となり、入射角φの許容幅(マージン)は約2.4度となる。また、どの回折次数の不要回折光の回折効率も0.3%以下に抑えたい場合、入射角φの許容範囲M2aは約-4.2度〜約4.1度となり、入射角φの許容幅は約8.3度となる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、透過ブレーズ型回折光学素子の入射角の角度特性を良くするものである。
本発明の一側面の回折光学素子は、レンズ作用を有し、ブレーズ型かつ透過型の回折光学素子であって、回折光学素子の光軸を中心に輪帯状に形成されたブレーズが配列され、各ブレーズの入射光が通過する回折面に隣接した側壁の法線が、回折面に入射する光束の中心または重心の方向に対して垂直になるような傾きを有し、ブレーズのうち光軸から離れた位置にあるブレーズにおいて、側壁と回折面とのなす角度が直角または直角に近い角度をもつことを特徴とする。
本発明の一側面においては、入射光がブレーズにより回折され、出射される。
本発明の一側面によれば、ブレーズ型かつ透過型の回折光学素子の入射角の角度特性を良くすることができる。
従来の回折光学素子の構成の一例を示す拡大断面図である。 従来の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 本発明を適用した回折光学素子の一実施の形態を示す拡大断面図である。 角度θ11の決め方について説明するための図である。 角度θ11の決め方について説明するための図である。 角度θ11の決め方について説明するための図である。 角度θ11の決め方について説明するための図である。 角度θ11=75度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=80度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=85度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=90度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=95度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=100度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 角度θ11=105度の場合の図3の回折光学素子の入射角に対する不要回折光の回折効率の特性を示すグラフである。 各回折次数の不要回折光の回折効率が0.3%以下となる条件下での角度θ11に対する入射角φの許容範囲の特性を示す表である。 各回折次数の不要回折光の回折効率が0.1%以下となる条件下での角度θ11に対する入射角φの許容範囲の特性を示す表である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.まとめ
<1.実施の形態>
[回折光学素子の構成例]
図3は、本発明の一実施の形態である回折光学素子101の構成の例を、回折光学素子101の光軸を含むように示した拡大断面図である。回折光学素子101は、図1の回折光学素子1とほぼ同様の構成の透過ブレーズ型の密着複層型位相フレネル回折光学素子であり、図中、図1と対応する部分には、下二桁が同じ符合を付してある。
回折光学素子101は、回折光学素子1の層11と同じ屈折率n1の層111と、回折光学素子1の層12と同じ屈折率n2の層112とが密着した二層構造とされる。層111は、入射光が回折前に通過する層であり、層112は、入射光が回折後に通過する層である。また、層111の下面であって、入射光が入射する入射面101Aと、層112の上面であって、回折光が出射される出射面101Bとは互いに平行であり、層111と層112の境界面には、断面がノコギリ歯状のブレーズ121−1乃至121−nが、水平方向に連なるように形成されている。すなわち、ブレーズ121−1乃至121−nの配列方向は、入射面101Aおよび出射面101Bと平行である。
なお、図3では、回折光学素子101の一部であって、入射光の光束の中心もしくは重心方向、または、光強度が最も強い方向が、入射面101A(=ブレーズ121−1乃至121−nの配列方向)に対して垂直ではない領域である、ブレーズ121−m付近の拡大断面図が示されている。なお、回折光学素子101がレンズ作用を有し、ブレーズ121−1乃至121−nは回折光学素子101の光軸を中心に輪帯状に形成される場合、ブレーズ121−mは、回折光学素子101の光軸から離れた位置にある(特に最外周にある)ブレーズとなる。また、以下、ブレーズ121−1乃至121−nを個々に区別する必要がない場合、単にブレーズ121と称する。
さらに、以下、ブレーズ121の側壁131と回折面132との間の角度をθ11、入射面101Aに対する側壁131の傾きをθ12、入射面101Aに対する回折面132の傾きをθ13、入射面101Aへの垂線に対する側壁131の角度をψとする。さらに、以下、ブレーズ121の側壁131の斜面の長さ(高さ方向の長さ)が、上述した式(1)により求められる回折光学素子1のブレーズ21の高さHと等しく、ブレーズ121間のピッチ幅(=ブレーズ121の幅)が、回折光学素子1のブレーズ21間のピッチ幅Wと等しいものとする。従って、ブレーズ121の高さ=Hcosψとなる。
回折光学素子101においては、回折光学素子1と同様に、入射面101Aから入射した入射光が、各ブレーズ121の回折面132を通過し、回折面132において回折されて、出射面101Bから出射する。
回折光学素子101が回折光学素子1と異なる点は、入射面101Aに対する側壁131の傾きθ12が、回折面132に入射する入射光の光束の中心もしくは重心方向、または、光強度が最も強い方向に合わせて設定されている点である。なお、回折光学素子101がレンズ作用を有する場合、側壁131は回折光学素子101の光軸を中心に輪帯状に形成されるので、入射光の光束の中心方向もしくは重心方向、または、光強度が最も強い方向が側壁131の法線に対してほぼ垂直になるように、側壁131の傾きθ12が設定される。
そして、側壁131の斜面の長さHが、回折光学素子1の側壁31の高さと同じ値に設定されているので、ブレーズ121−mの最適入射角は、角度ψ(=90度−側壁131の傾きθ12)と等しくなる。すなわち、ブレーズ121−mにおいては、波長λの入射光が入射面101Aに対して入射角φ=ψで入射した場合に主要回折光である1次光の回折効率が最大になり、1次光以外の不要回折光が最小になる。従って、不要回折光によるフレアの発生量を最小に抑えることができる。
[ブレーズ121の角度θ11と発生する不要回折光との関係]
ここで、図4乃至図7を参照して、ブレーズ121の角度θ11と発生する不要回折光との関係について考える。
図4は、回折格子素子101のブレーズ121の1つを2次元にモデル化した図である。具体的には、点P1aと点P2を結ぶ線分L1aは側壁131を表し、点P1aと点P3を結ぶ線分L2aは回折面132を表している。補助線L3aは線分L2aの延長線であり、補助線L4aは、点P2を中心とし半径が側壁131の斜面の長さHと等しい円弧を表し、点P2と点P3を通る補助線L5はブレーズ121の下端を表している。角度θ11aは側壁131と回折面132との間の角度を表し、角度θ12aは入射面101Aに対する側壁131の傾きを表し、角度θ13aは入射面101Aに対する回折面132の傾きを表している。なお、図4では、角度θ12aを、図1の回折光学素子1のブレーズ21と同様に90度に設定した例を示している。また、点P4aは矢印A2aと線分L2aの交点であり、点P5aは矢印A2aと補助線L4aの交点であり、点P6aは矢印A3aと補助線L3aの交点であり、点P7aは矢印A3aと補助線L4aの交点である。
ここで、図5を参照して、入射面101Aに対して同じ入射角φで入射した光のうち点P2を通過する光と点P3を通過する光との間の位相差と、入射角φとの関係について説明する。なお、図5は、入射光が矢印A1a乃至A3aの方向に入射した場合の点P2を通過する光と点P3を通過する光との間に生じる位相差を説明するための模式図である。
図5の中央の図は、入射光が矢印A1aの方向に入射した場合、すなわち、入射角φが最適入射角の0度である場合を示している。この場合、点P2を通過する光と点P3を通過する光の間で、屈折率n1の層111を通過する距離の差は、点P2と点P3との間の距離(=ピッチ幅W)を考慮すると、実質的に点P2と点P1aとの間の距離(=側壁131の斜面の長さH)と等しくなる。従って、例えば、点P2を通過した光が、点P2からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相と、点P3を通過した光が、点P3からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相との差は1波長分となり、位相のズレは0となる。
図5の右側の図は、入射光が矢印A2aの方向に入射した場合、すなわち、入射角φが、最適入射角である0度から+αだけずれた場合を示している。この場合、点P2を通過する光と点P3を通過する光の間で、屈折率n1の層111を通過する距離の差は、点P2と点P3との間の距離(=ピッチ幅W)を考慮すると、実質的に点P2と点P4aとの間の距離H’(<H)と等しくなる。従って、例えば、点P2を通過した光が、点P2からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相と、点P3を通過した光が、点P3からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相との差は1波長分より短くなり、位相ズレs1が生じる。
図5の左側の図は、入射光が矢印A3aの方向に入射した場合、すなわち、入射角φが、最適入射角である0度から−αだけずれた場合を示している。この場合、点P2を通過する光と点P3を通過する光の間で、屈折率n1の層111を通過する距離の差は、点P2と点P3との間の距離(=ピッチ幅W)を考慮すると、実質的に点P2と点P6aとの間の距離H”(>H)と等しくなる。従って、例えば、点P2を通過した光が、点P2からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相と、点P3を通過した光が、点P3からλ/(n2−n1)+λ/n2だけ進んだ位置における位相との差は1波長分より長くなり、位相ズレs2が生じる。
ここで、位相ズレの発生量は、線分L2aおよび補助線L3aと補助線L4aとの間の距離(以下、差分距離dと称する)に依存する。すなわち、差分距離dが短いほど位相ズレの発生量は小さくなり、差分距離dが長いほど位相ズレの発生量は大きくなる。図4を見ると、入射角φが最適入射角である0度より負の方向に変化する場合、正の方向に変化する場合と比較して、差分距離dの変化率が大きくなり、その分、位相ズレの発生量の変化率も大きくなる。加えて、図2を参照して上述したように、最適入射角から入射角φがずれる方向により、先に大きくなる不要回折光の回折次数が異なるため、回折次数による不要回折光の分布のバラツキが大きくなる。
従って、最適入射角に対する入射角φのズレにより発生する差分距離dが短くなるほど、かつ、入射角φが正の方向にずれた場合と負の方向にずれた場合とで差分距離dの変化率の差が小さくなるほど、すなわち、図4の点P1a、点P4a、および点P5aで囲まれる領域D1a、並びに、点P1a、点P6a、および点P7aで囲まれる領域D2aが小さくなり、かつ、領域D1aと領域D2aとが、線分L1aの延長線を中心とする線対称に近づくほど、入射角φのズレに対する不要回折光の回折効率を小さくでき、かつ、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを小さくすることができる。すなわち、最適入射角からずれた入射光により発生する不要回折光の量を減らすことができ、かつ、各回折次数の不要回折光がバランスよく発生するようになる。その結果、像に悪影響を及ぼすフレアの発生を抑制できるとともに、入射角φの許容範囲を広くすることができる。
ここで、さらに図6および図7を参照して、入射角φのズレに対する不要回折光の回折効率を小さくでき、かつ、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを小さくすることができる条件について考える。
図6は、図4のブレーズ121とは異なるブレーズ121を2次元にモデル化した図である。なお、図6において、図4と対応する部分には、同じ符合、あるいは、最後の文字をaからbに変えた符号を付している。
図6のモデルでは、線分L1bの長さ=線分L1a(図4)の長さ=H、角度θ11b<90度、角度θ12b<角度θ12a(=90度)に設定されている。そして、最適入射角は矢印A1bの方向、すなわち、90度−角度θ12bとなる。
この場合、点P1b、点P4b、および点P5bで囲まれる領域D1b、並びに、点P1b、点P6b、および点P7bで囲まれる領域D2bは、図4の領域D1aおよび領域D2aよりそれぞれ小さくなっている。ただし、まだ領域D1bと領域D2bとが、線分L1bの延長線を中心とする線対称とはなっていない。
図7は、図4および図6のブレーズ121とは異なるブレーズ121を2次元にモデル化した図である。なお、図7において、図4と対応する部分には、同じ符合、あるいは、最後の文字をaからcに変えた符号を付している。
図7のモデルでは、線分L1cの長さ=線分L1a(図4)の長さ=H、角度θ11c=90度、角度θ12c<角度θ12b(図6)に設定されている。そして、最適入射角は矢印A1cの方向、すなわち、90度−角度θ12cとなる。
この場合、点P1c、点P4c、および点P5cで囲まれる領域D1cは、図4の領域D1aおよび図6の領域D1bより小さくなり、点P1c、点P6c、および点P7cで囲まれる領域D2cは、図4の領域D2aおよび図6の領域D2bより小さくなり、かつ、領域D1bと領域D2bとは、線分L1cの延長線を中心にしてほぼ線対称になっている。
従って、図3の回折光学素子101のブレーズ121において、角度θ11を90度に近づけるようにすれば、入射角φのズレに対する不要回折光の回折効率を小さくでき、かつ、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを小さくすることができる。
[角度θ11および入射角φに対する回折効率の特性の計算結果]
図8乃至図14は、図2の場合と同様の条件、すなわち、入射光の波長λ=0.6μm、層111の屈折率n1=1.63915、層112の屈折率n2=1.66915、側壁131の斜面の長さH=20μm、ブレーズ121のピッチ幅W=50μmとした条件下で、角度θ11を変化させながら、−1次光、0次光、2次光、3次光の入射角φに対する回折効率をRCWA法により計算した結果を示すグラフである。
なお、図8は角度θ11=75度に設定した場合の計算結果を示し、図9は角度θ11=80度に設定した場合の計算結果を示し、図10は角度θ11=85度に設定した場合の計算結果を示し、図11は角度θ11=90度に設定した場合の計算結果を示し、図12は角度θ11=95度に設定した場合の計算結果を示し、図13は角度θ11=100度に設定した場合の計算結果を示し、図14は角度θ11=105度に設定した場合の計算結果を示している。なお、最適入射角(=角度ψ)は、角度θ11=75度の場合、約7.7度となり、角度θ11=80度の場合、約13.2度となり、角度θ11=85度の場合、約18.5度となり、角度θ11=90度の場合、約23.6度となり、角度θ11=95度の場合、約28.5度となり、角度θ11=100度の場合、約33.2度となり、角度θ11=105度の場合、約37.7度となる。
また、図8乃至図14において、曲線C1b乃至C1hは、それぞれ−1次光の回折効率を示し、曲線C2b乃至C2hは、それぞれ0次光の回折効率を示し、曲線C3b乃至C3hは、それぞれ2次光の回折効率を示し、曲線C4b乃至C4hは、それぞれ3次光の回折効率を示している。さらに、図8乃至図14において、範囲M1b乃至M1hは、−1次光、0次光、2次光、および3次光の全ての回折効率が0.1%以下となる入射角φの範囲を示しており、範囲M2b乃至M2hは、−1次光、0次光、2次光、および3次光の全ての回折効率が0.3%以下となる入射角φの範囲を示している。
図2および図8乃至図14を比較すると、角度θ11が90度に近くなるほど、入射角φに対する不要回折光の回折効率の分布の回折次数による差が小さくなり、角度θ11が90度から離れるほど、入射角φに対する不要回折光の回折効率の分布の回折次数による差が大きくなることが分かる。
図15および図16は、図2および図8乃至図14に示される計算結果に基づいて、角度θ11に対する入射角φの許容範囲をまとめた表である。図15は、入射角φの許容範囲の規定に用いる回折効率の閾値を0.3%に設定し、どの回折次数の不要回折光も回折効率が0.3%以下となる条件下での入射角φの許容範囲を示している。また、図16は、回折効率の閾値を0.1%に設定し、どの回折次数の不要回折光の回折効率も0.1%以下となる条件下での入射角φの許容範囲を示している。なお、回折次数が−2次より小さい回折光、および、3次より大きい回折光は、強度が相対的に小さく像への影響が元々小さいため、ここでは無視している。
また、図15および図16の1列目は、ブレーズ121の角度θ11を示し、2列目は、1列目の角度θ11に対する最適入射角を示し、3列目は、1列目の角度θ11に対する入射角φの許容範囲を示し、4列目は、3列目の入射角φの許容範囲を、最適入射角を中心とする範囲で表し、5列目は、1列目の角度θ11に対する入射角φの許容幅(マージン)を示している。
図15に示されるように、回折効率の閾値を0.3%に設定した場合、入射角φの許容幅は、少なくとも角度θ11が75度乃至100度の範囲内で、角度θ11を従来の回折光学素子1と同じ68.2度に設定したときを上回っている。
従って、角度θ11を75度乃至100度の範囲内に設定すれば、回折光学素子101の入射角φの許容幅を、回折光学素子1の入射角φの許容幅より広くすることができる。換言すれば、角度θ11を75度乃至100度の範囲に設定した回折光学素子101では、回折光学素子1と比べて、最適入射角からずれた入射光により発生する不要回折光の量を減らすことができるとともに、各回折次数の不要回折光をバランスよく発生させることができる。そして、例えば、結像光学系に回折光学素子101を用いた場合に発生する、周辺画角で形成される像に生じるフレアを目立たなくすることができる。また、入射光の波長λにより、層111の屈折率n1と層112の屈折率n2との差にズレが生じ、位相ズレが生じる場合があるが、この材料起因の位相ズレも、入射角φのズレ方向に対してバランスを取ることが可能になる。
また、図16に示されるように、回折効率の閾値を0.1%に設定した場合、入射角φの許容幅は、少なくとも角度θ11が75度乃至95度の範囲内で、角度θ11を68.2度に設定したときを上回っている。従って、角度θ11を75度乃至95度の範囲に設定することにより、不要回折光の発生量をさらに抑制し、各回折次数の不要回折光をさらにバランスよく発生させることができ、より本発明の効果が顕著に現れる。
<2.まとめ>
以上により、以下の3点を実施することにより、不要回折光の発生量、および、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを小さくすることができ、像に悪影響を及ぼすフレアの発生を抑制できるとともに、入射角φの許容範囲を広くすることができる。
1.入射光の光束の中心方向もしくは重心方向、または、光強度が最も強い方向が側壁131の法線に対してほぼ直角となるように、側壁131の傾きθ12を設定する。
2.側壁131の斜面の長さH=λ÷|n2−n1|に設定する。
3.側壁131と回折面132とのなす角度θ11を直角にする、あるいは、直角に近づける。
特に、1と2は、不要回折光の発生量の抑制に効果があり、1と3は、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを抑制する効果がある。
なお、ブレーズ121のピッチ幅Wは、所望する主要回折光の方向により予め決まるため、上記の1と2の条件を満たすようにすれば、角度θ11の大きさは自動的に決まる。一方、例えば、不要回折光の発生量を少々増やしても、回折次数による不要回折光の分布のバラツキを小さくしたい場合には、側壁131の斜面の長さHを上記の値から変化させて、側壁131と回折面132とのなす角度θ11を直角に近づけるようにすればよい。
なお、本発明の実施の形態においては、全てのブレーズ121について、図15または図16を参照して上述した範囲(以下、推奨範囲と称する)内に角度θ11を設定する必要はなく、少なくとも1つのブレーズ121の角度θ11を推奨範囲内に設定するようにすれば、入射角φの許容範囲を広げ、フレアの発生を抑制する効果を得ることができる。
また、各ブレーズ121のピッチ幅Wが異なる場合、よりピッチ幅Wが短いブレーズ121の角度θ11を推奨範囲内に設定することにより、より効果が増大する。例えば、角度θ11を推奨範囲内に設定するブレーズ121を1つに絞る場合、ピッチ幅Wが最小のブレーズ121を選択することにより、効果が最大となる。
さらに、以上の説明では、1次光を主要回折光とし、1次光以外の回折光を不要回折光とする例を示したが、本発明は、1次光以外の回折光を主要回折光とする場合にも適用できる。例えば、m次光(mは自然数)を主要回折光とする場合、ブレーズ121の側壁131の斜面の長さHを、次式(2)で求まる値に設定するようにすればよい。
H=mλ÷|n2−n1| …(2)
また、以上の説明では、密着複層型の回折光学素子について説明したが、本発明は単層型の回折光学素子にも適用することが可能である。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
101 回折光学素子, 101A 入射面, 101B 出射面, 111,112 層, 121−1乃至121-n ブレーズ, 131 側壁, 132 回折面

Claims (8)

  1. レンズ作用を有し、ブレーズ型かつ透過型の回折光学素子において、
    前記回折光学素子の光軸を中心に輪帯状に形成されたブレーズが配列され、
    各前記ブレーズの入射光が通過する回折面に隣接した側壁の法線が前記回折面に入射する光束の中心または重心の方向に対して垂直になるような傾きを有し、
    前記ブレーズのうち前記光軸から離れた位置にあるブレーズにおいて、前記側壁と前記回折面とのなす角度が直角または直角に近い角度をもつ
    ことを特徴とする回折光学素子。
  2. 前記入射光の波長をλ、前記入射光が回折前に通過する層の屈折率をn1、前記入射光が回折後に通過する層の屈折率をn2とした場合、前記側壁の斜面の長さが実質的にmλ/|n2−n1|(mは回折次数)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
  3. 少なくとも1つのブレーズにおいて、前記側壁と前記回折面とのなす角度が75度以上100度以下であり、回折次数は1である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の回折光学素子。
  4. 前記少なくとも1つのブレーズにおいて、前記側壁と前記回折面とのなす角度が75度以上95度以下であり、回折次数は1である
    ことを特徴とする請求項3に記載の回折光学素子。
  5. 各前記ブレーズの前記配列方向のピッチ幅が異なる
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回折光学素子。
  6. 前記ブレーズのうち前記配列方向のピッチ幅がより短いブレーズにおいて、前記側壁と前記回折面とのなす角度が直角または直角に近い角度をもつ
    ことを特徴とする請求項5に記載の回折光学素子。
  7. 前記ブレーズのうち最外周のブレーズにおいて、前記側壁と前記回折面とのなす角度が直角または直角に近い角度をもつ
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の回折光学素子。
  8. 前記回折光学素子は、密着複層型の回折光学素子である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回折光学素子。
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