JP5521502B2 - 水系機能インク及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水系機能インク及びそれを用いた画像形成方法に関する。
産業用途のインクジェットインクとして、塩化ビニルシート等の非吸収性記録媒体上に直接印字できるインクジェットインクが、近年開発されている。これらのインクジェットインクとしては、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インクジェットインクや、重合性モノマーを主成分とする活性光線硬化型インクジェットインクが挙げられる。溶剤インクジェットインクは、その溶剤を乾燥させて大気中に蒸発させるため、近年社会的に問題となっているVOC(揮発性有機化合物)が多いという課題がある、また、作業者に対しても、臭気や安全上の影響が懸念され、十分な換気等の設備対応が必要となる。活性光線硬化型インクジェットインクは、印字後直ちに硬化させるのでVOCはゼロに近いが、使用するモノマーによっては、皮膚感作性を有するものが多く課題を抱えており、また、高価な活性光線の照射光源をプリンタに組み込むという制約があり、印刷分野で実用化するという観点では課題を残しているのが現状である。加えて、光沢を有するシート等に印字した場合、著しく光沢感が損なわれてしまう。
このような背景の中で、環境負荷が少なく、従来からホーム用途で広く使用されている水を主成分とする水系インクジェットインクで、直接、非吸水性記録媒体に印字できるインクジェットインクの開発が盛んに行われている。
非吸水性記録媒体に、高速で液寄りが発生することなく高画質な画像を記録し、かつその画像の耐久性も屋外使用に耐えるほどの高耐久性のものにする試みは種々行われているが、いまだ十分満足のいくインク及び方法の提案は見られない。
例えば、非吸水性記録媒体に印字し、十分な耐久性を有する画像を形成するにはインク中にバインダー樹脂を添加することが必要である。バインダー樹脂として、インク溶解性樹脂や水溶性樹脂を添加した技術が、例えば、特許文献1、2に公開されている。バインダー樹脂を水系インク中に溶解して添加することは、以下の利点を有する。一つはバインダー自体が基材上で乾燥する過程で製膜し、透明感のある塗膜を形成しやすい。このため、高い光沢で光学濃度の高い画像を得ることができる。また、樹脂が水系インクまたはそれに順ずる水系洗浄液に再溶解しやすいので、プリンタ内でインクが乾燥、固化した場合も、樹脂が水系インクまたはそれに順ずる水系洗浄液で洗浄することで溶解、除去することが可能である。すなわち、定期的な洗浄メンテナンスをすることで長期にわたり、欠や曲がりの少ない安定な画像を得ることができる、一方で、以下の課題がある。一つは、画像の耐久性、特に溶剤での洗浄等で画像が取れてしまったり、基材によっては十分な接着性が得られず強くこすることで画像が取れてしまったりすることがあり改善が必要である。
一方、インク中に分散性樹脂を添加する技術が公開されている。分散樹脂は、前記水系インク溶解性樹脂と以下のような差異がある。製膜後の皮膜は一般的に、前記水系インク溶解性樹脂からなる皮膜に比べ高い耐久性を示す。しかしながら、製膜にはその樹脂物性、構造に応じた熱エネルギーが必要となる。室温以下の低い温度で製膜する分散樹脂もあるが、このような樹脂を水系インクに用いた場合、プリンタ内でインクが乾燥、固化しやすく、この場合、その皮膜の高い耐久性故に、洗浄、除去がしにくい。
このため、プリンタ内で乾燥、固化しにくいように、より高温で製膜する樹脂を用いることが好ましいが、この場合は、プリント後に製膜のためにプリント物に加熱し製膜する必要がある。一般的に、非吸水性記録媒体に印字する場合、プリント時の液寄り等の画像劣化を防ぐため、記録時に記録媒体を40℃以上に加熱することが必要とされる。このような状況でヘッドでのインクの乾燥、固化を防ぐため、より高温で製膜する樹脂を使うのが通常である。この場合、プリント後に製膜のために、70℃前後、あるいはそれ以上の温度で加熱する必要がある。このような高温の加熱は、装置の大型化や、消費電力の増大、さらに、プリント基材に高い耐熱性が要求される等使用上の課題が多大である。
また、プリント対象基材として、塩ビフィルム等の樹脂フィルム以外に、安価で比較的光沢の高いコート紙、アート紙等の印刷本紙にプリントする要望もある。印刷本紙は加熱するとカールが発生しやすく、加熱できる温度には制限がある。プリント後に製膜のために、70℃前後、あるいはそれ以上の温度の加熱には耐えられない。
また、ノズルの高密度化、高周波数化に伴う高速印字に対して、インク吸収層のない記録媒体に対して液寄りが発生することなく、高画質を得ることは実際に困難である。
特定の溶剤、及び液中に分散された熱可塑性樹脂を含有する被記録面がプラスチックフィルムであるインクジェット記録媒体用印刷下地液に関する技術は、特許文献3に開示されている。
特開2000−44858号公報 特開2006−249393号公報 特開2006−281570号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、疎水性記録媒体、印刷本紙等にインク混じりのない高品位な画質が印字でき、光沢、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性、メンテナンスでの回復性にも優れた水系機能インクと、それを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.酸価が50以上120未満で、重量平均分子量が20,000以上100,000以下である樹脂を含有し、顔料が0.01質量%未満であることを特徴とする水系機能インク。
2.前記樹脂の組成が、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、その総量が、樹脂組成中で10質量%以上80質量%未満であることを特徴とする前記1に記載の水系機能インク。
3.前記樹脂がインクに溶解していることを特徴とする前記1または2に記載の水系機能インク。
4.さらに有機溶剤として、炭素数4以上のジオール、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールのエステルの少なくとも1種を含有し、その総量が、インク中で5質量%以上50質量%未満であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の水系機能インク。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の水系機能インクと顔料を含有する水系顔料インクを併用することを特徴とする画像形成方法。
6.前記水系機能インク、前記水系顔料インクの順に印字することを特徴とする前記5に記載の画像形成方法。
7.前記水系機能インク、前記水系顔料インク、前記水系機能インクの順に印字することを特徴とする前記5に記載の画像形成方法。
本発明により、疎水性記録媒体にインク混じりのない高品位な画質が印字でき、光沢、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性、メンテナンスでの回復性にも優れた水系機能インクと、それを用いた画像形成方法を提供することができた。
本発明者らは、サイン用途に用いられる塩化ビニルシートをはじめ、種々の樹脂基材や、印刷本紙等のインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりのない高画質な印字でき、かつ光沢が高く、耐擦性や接着性の高い画像を形成することを目的に検討を重ねた。特に、水系顔料インクと共に用いることで、これらの効果を一段と発揮する機能インクについて、詳細に検討した結果、本発明に至ったものである。
本発明の水系機能インクは、水系顔料インクに先立って記録媒体の前面あるいは特定箇所にのみ付与する前処理インクとして用いること、また、水系顔料と同一キャリッジ上のヘッドから付与し、記録インクと前後して付与すること、あるいは、水系顔料インク付与後にオーバーコート液として付与すること等の使用方法がある。いずれの場合においても、本発明の水系機能インクは、水系機能インク中の樹脂成分が画像耐久性を向上させるのに役立つものである。使用方法によっては、液寄りを改善したり、光沢を上げたり、光学濃度を高める等の効果を発現する場合もある。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の水系機能インクは、酸価が50以上120未満で、重量平均分子量が20,000以上100,000以下である樹脂を含有し、顔料が0.01質量%未満であることを特徴とする水系機能インクである。顔料は好ましくは0.001質量%未満であり、最も好ましいのは無添加である。本発明の水系機能インクは、可視画像を形成する目的の水系インクではなく、水系顔料インクと共に用いることで、本発明の課題を解決する機能インクである。また、着色されていないので、いかなる色インクとの組み合わせでも、色への影響を考慮することなく自由に使用可能である。
〔樹脂〕
本発明の水系機能インクに用いる樹脂、インク溶解性樹脂について説明する。
本発明の水系機能インクは特定の樹脂を含有することが特徴である。特定の樹脂はその重量平均分子量と酸価によって特徴付けられる。
(重量平均分子量)
水系インクジェット用に用いられてきた樹脂の多くは、分散樹脂である。エマルジョンあるいはラテックスといわれるこれら分散性樹脂は、通常エマルジョン重合法で重合され、その重量平均分子量は、10万より大きい。10万より大きい分散樹脂を添加した場合、プリント後にこの分散性樹脂を製膜させることで、十分な皮膜強度が得られる。また、高光沢で高濃度な画像が得られる。分散樹脂を製膜させるには、樹脂ごとの物性、組成に合った温度条件が必要である、通常別途加熱装置が必要となる。一般的には、樹脂のガラス転移温度を低く設計することで、製膜に必要な温度を下げることができるが、実際インクジェットインクに用いる場合、樹脂のガラス転移温度を低く設計するだけでは、十分な皮膜強度、高光沢で高濃度な画像を得られないことが多い。また、ガラス転移温度を低く設定し過ぎると、画像形成後にプリントがくっつく、ブロッキングが発生したり、また、インクジェットプリンタ内で製膜し、安定に射出できなくなったりする。
以上のように、重量平均分子量が10万より大きい分散樹脂を用いるには通常別途加熱装置が必要であり、装置が大型化し、消費電力も大きくなり、耐熱性のない記録媒体には適さない。
一方、水溶性樹脂を用いることもあるが、通常用いるものはエマルジョンよりはるかに低分子量のものである。重量平均分子量が1万以下のものが多く、2万を超えるものは少ない。本発明者らの詳細な検討により、重量平均分子量が20,000より小さいものはその皮膜強度が不十分であることが分かった。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
(酸価)
さらに、樹脂には親水性のものから疎水性のものまで設計可能であるが、親水性のものは、そもそも耐水性がなく、屋外での使用に向かない。また、疎水性のものは、水系インクの場合、分散して添加する方法しかないが、この場合、製膜するのに加熱等の負荷が生じる。前記エマルジョンは疎水性樹脂の部類である。また、疎水性樹脂は特定の有機溶剤にしか溶解しないので、樹脂がプリンタ内で固化した場合は、有機溶剤で洗浄するしかなく、臭気、安全性上現実的ではない。
親水性と疎水性の中間に属する樹脂が存在する。例えば、疎水性部分と親水性部分の両方を持つもので、酸モノマーを共重合成分として持つ樹脂が該当する。酸モノマー含有量の指標として知られている酸価を指標にして検討した結果、樹脂の酸価が50以上120未満の樹脂は、プリント時に樹脂の疎水部分が選択的に基材に結合し、残りの酸性基を多く含む部分が表面に出るため、表面の濡れ性は向上しその効果が大きいことが分かった。酸価はアルカリ滴定法により求められる。
製膜しやすさと、製膜後の強度、光沢等の特性との関係を、前記の重合平均分子量と合わせて、本発明者らは詳細に検討した。その結果、酸価が50以上120未満で、重量平均分子量が20,000以上100,000以下の樹脂を添加することで、上記課題が解決することが判明した。
本発明に用いられる樹脂としては、アクリル樹脂をはじめとするビニル系共重合樹脂を好ましく用いることができるが、他にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂等種々のタイプを用いることができる。
アクリル樹脂をはじめとするビニル系共重合樹脂は、周知のごとく非常に多数のモノマーから自由に設計することができ、重合がし易く、また低コストで製造できるという利点を有している。特に、先に述べたように、インクに添加する際に求められる多数の要求に答えるには、設計自由度の大きいアクリル樹脂が適している。
中でも、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、その総量が、樹脂組成中で10質量%以上80質量%未満であるインクが好ましい。
本発明者らの検討では、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、その総量が10質量%以上80質量%未満の場合、塩ビ等の非吸収性基材に対して特に高い画像耐久性を得るのに特に有効であることが判明した。
アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸cyclo−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸cyclo−ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
これらは、アルキル基の炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルまたはアルキル基の炭素数が9以上のメタクリル酸アルキルエステルに比べて、射出がより安定で、メンテナンス性に特に優れている。
本発明の水系機能インクに添加する上記樹脂は、水系機能インクに完全に溶解していても、部分的に溶解しているものでも、分散されているものでもよい。樹脂が記録媒体上で製膜しやすく、かつ乾燥固化した状態から除去しやすさを考えた場合、水系機能インクに完全に溶解しているもの、または部分的に溶解しているものが好ましく、より好ましくは完全に溶解しているものである。
前記樹脂は、インク中に安定に溶解するために、酸性基部分の全部あるいは一部をアルカリで中和したモノマーを用いることが好ましい。中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等や、アミン類(例えば、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等)を用いることができる。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像耐久性を向上することができる観点から好ましい。特に、アンモニアで中和した酸モノマーは、印字した後の乾燥性が速く、プリント後、直ちに印字物を重ねることができ、加えてインク混じりを防止できる観点からも好ましい。また、対塩としてN,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを用いることは、射出安定性上好ましい。
樹脂の添加量は、本発明の効果が発現する範囲であれば制限はないが、インク中の固形分量としては、1質量%から12質量%の範囲で用いることが好ましい。
〔有機溶剤〕
本発明の水系機能インクには、有機溶剤として炭素数4以上のジオール、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールのエステルの少なくとも1種を含有し、その総量が、インク中で5質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
炭素数4以上のジオール、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールのエステルを用いることで、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙等のインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。また、光沢が高く、耐擦性や接着性の高い画像を形成するのに有効である、推測ではあるが、インク分散樹脂の製膜助剤となり低温での製膜を促進しているものと考えている。
炭素数4以上のジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等も好ましく用いることができる。
グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールのエステルとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、有機溶剤として、窒素または硫黄を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、水溶性アミドまたはジメチルスルフォキシドの少なくとも1種を含有し、窒素または硫黄を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、水溶性アミドまたはジメチルスルフォキシドの総量が、インク中で5質量%以上25質量%未満であることは好ましい。
これらの溶剤は、塩化ビニル等の記録媒体を溶解または軟化あるいは膨潤しうる作用を有する溶剤を添加することにより、塩化ビニルと本発明に係る樹脂の接着性がより一層向上し、優れた画像の接着性、耐擦性が得られる観点から好ましい。このような溶剤も、インク分散樹脂の溶解性があり、製膜助剤として有効である。
窒素原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物、特には5〜7員環が好ましく、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン1,3−ジメチルイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミドゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられる。環状アミド以外の窒素原子を含有する環状溶剤としてはホルミルモルホリン、イオウ原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物が好ましく、5−7員環が好ましく、例えば、スルホラン等が挙げられる。環状エステル溶剤としてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられ、乳酸エステルとしては、乳酸ブチル、乳酸エチル等が挙げられる。アルキレングリコールジエーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。アルキレングリコールモノエーテルモノエステルとしては、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが挙げられる。
本発明においては、インクジェットヘッドからのインク射出安定性、メンテナンス性及び形成した画像の光沢の観点から、溶剤の1つとして、水溶性アルカノールアミン類を、インク全質量の0.30質量%以上2.0質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、0.3質量以上1.8質量%以下である。本発明に好ましく適用することのできる水溶性アルカノールアミン類としては、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを挙げることができる。
その他には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、等を添加してもよい。
〔界面活性剤〕
本発明の水系機能インクには界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤が好ましい。
シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤の添加することにより、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙等のインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高品位な印字画像が得られる。また、低表面張力溶剤と併用することが、特に好ましい。
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348等が挙げられる。
フッ素系の界面活性剤としては、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この中でも、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤のうち、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤と共に、下記に示す界面活性剤を併用することも可能である。
例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
〔画像形成方法〕
次に、本発明の水系機能インクを用いた画像形成方法(インクジェット記録方法)について説明する。
本発明の水系機能インクの使用方法は、大別すると2つの方法がある。
第1の方法は、水系機能インクがプリント基材に直接着弾して機能を発揮する方法である。この場合の第1の効果は、基材と画像の接着性を向上させることである。水系機能インクが基材に着弾し、製膜することで、基材とインク層の接着性を高めるからである。第2の効果は、基材の濡れ性改良である。水系機能インク中の樹脂が基材上に製膜することで基材の表面エネルギーは大きくなり、濡れ性が向上する。このことが記録インク同士の液寄りを改善し、画質が向上する。特に本発明の水系機能インク中の樹脂の酸価が50以上120未満の樹脂は、樹脂の疎水部分が選択的に基材に結合し、残りの酸性基を多く含む部分が表面に出るため、表面の濡れ性は向上しその効果が大きい。エマルジョンのように疎水性樹脂では親水部が少な過ぎ、このような効果は不十分である。もちろん、水系機能インクに含まれる活性剤等が濡れ性をさらに向上させることも期待できる。
また、本発明者らは液寄り現象について詳細に検討したところ、疎水性基材に印字する場合、記録インク同士の液寄りは、低インクDuty部で顕著に起こる反面、高Duty部ではその発生が少ないことを見出している。いわゆるビーディング現象は発生しやすいが、高Duty部でのカラーブリードはその発生が少ない。本発明者らの検討で、この現象を利用して、本発明の水系機能インクを利用することの効果(第3の効果)を確認している。すなわち、記録インク付与の完全に前工程で水系機能インク付与を行わずとも、記録インクと水系機能インクをほぼ同時に、または前後して付与することで、結果的に各画素内の総インク付与量を高めることで液寄りの改善した画像が得られることが判明した。第1、第2の効果とも、水系機能インクが基材をなるべく多く被覆することが望ましい。最も機能を発揮するには、水系機能インクを単独で基材に直接プリントする方法である。さらに好ましくは、水系機能インクを乾燥してから顔料インクを印字する方法である。
また、水系機能インクと顔料インクを前後して、あるいは同時にプリントする方法、プリント時間の短縮化と装置の小型化等で利点も多く好ましい。この場合、水系機能インクの少なくとも一部は、プリント基材に直接着弾する必要がある。第3の効果の場合は、機能インクと顔料インクを前後して、あるいは同時にプリントする方法が好ましい。
本発明の水系機能インクに添加した樹脂は、乾燥と同時に成膜するので基材を被覆する上記目的に適している。一般的なエマルジョン樹脂を用いると成膜に時間や加熱が必要であり、また完全成膜させることは材料、条件の選択が必要であり好ましくない。
以上のような水系機能インクの使用方法においては、基材との接着性、基材の濡れ性改良を目的に樹脂を選択することが好ましい。
第2の方法は、水系機能インクが顔料インクからなる塗膜最表面を覆うことで機能を発揮する方法がある。
この効果は、画像保存、画像の耐久性向上であり、さらに、光沢調整、あるいは光学濃度を上げることである。画像の溶剤耐性や耐傷性等は画像表面の膜物性に大きく依存する。
第2の方法において、水系機能インクが顔料インクからなる塗膜最表面をなるべく多く被覆することが望ましい。最も機能を発揮するには、水系機能インクが、顔料インクからなる塗膜最表面全面を覆うように、顔料インクでの印字後に機能インクでオーバープリントする方法である。さらに好ましくは、顔料インクで記録後、乾燥してから記録インクを印字する方法である。
また、水系機能インクと顔料インクを前後して、あるいは同時にプリントする方法は、プリント時間の短縮化と装置の小型化等で利点も多く好ましい。この場合、水系機能インクの少なくとも一部は、顔料インクからなる塗膜最表面を覆う必要がある。本発明の水系機能インクに添加した樹脂は、乾燥と同時に成膜するので顔料インクからなる塗膜最表面を被覆する上記目的に適している。一般的なエマルジョン樹脂を用いると成膜に時間や加熱が必要であり、また完全成膜させることは材料、条件の選択が必要であり好ましくない。
以上のような水系機能インクの使用に際して、水系機能インクはカラーインクと同一のヘッドキャリッジに搭載して、同じスキャン時に機能インク、カラーインク双方を付与する方法、機能インク、カラーインク付与を分けるため、複数回に分けて印字する方法を用いることができる。複数回に分けて印字する方法とは、具体的には、水系機能インクを最初に印字し、メディアを戻し、カラーインクで上書きする方法や、カラーインクを最初に印字し、メディアを戻し、機能インクで上書きする方法等がある。
また、プリンタ内に複数のヘッドキャリッジを平行に配して、キャリッジごとに、機能インク用ヘッド、カラーインク用ヘッドに分けて各インクを数秒以上の時間差を開けて付与する方法もある。このとき、最初のインクの付与後に、中間乾燥装置を設けることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例
《樹脂の合成》
〔樹脂1の合成〕
500ml四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール185gをフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流した。滴下ロートに、メタクリル酸メチル78g、アクリル酸n−ブチル8g、アクリル酸2−エチルヘキシル5g、メタクリル酸9g及び開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、さらに、AIBN0.05gのイソプロピルアルコール溶液を、15分かけ滴下した。この後さらに5時間加熱還流した。
反応液を放冷後、溶媒のイソプロピルアルコールを減圧にて留去した。この残渣に、アルカリ中和塩基として28%アンモニア水を6.7g、イオン交換水を553g添加し、加熱撹拌して溶解した。この樹脂1(アンモニア塩)溶液中の樹脂固形分濃度は、約15質量%である。
上記合成した樹脂1の酸価、ガラス転移温度及び重量平均分子量を、下記の方法に従って測定した。
〈酸価の測定〉
上記樹脂水溶液を乾燥固化した樹脂10gを300mlの三角フラスコに秤量し、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50ml加えて樹脂を溶解する。次いで、フェノールフタレイン指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記計算式(1)で酸価(mgKOH/g)を求める。
樹脂によって、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50mlに溶解しないものは、エタノール50ml、あるいは、エタノール/純水=1:1の混合溶媒約50mlのどちらか溶解するほうを選択して、他は同じ操作にて滴定を行った。
計算式(1) A=(B×f×5.611)/S
式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは樹脂の質量(g)、5.611は水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。
上記方法により測定した樹脂1の酸価は、59mgKOH/gであった。
〈ガラス転移温度(Tg)の測定〉
DSC−7示差走査カロリメータ(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)を用いてTgを測定した。
測定手順として、樹脂1の10.00mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。なお、リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。
測定条件としては、測定温度0〜130℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータを元に解析を行った。なお、測定は窒素気流条件下で行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度とした。
上記方法により測定した樹脂1のガラス転移温度は、80℃であった。
〈重量平均分子量の測定〉
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: テトラヒドロフラン
カラム: 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度:40℃
注入量: 100μl
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用した。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
上記方法により測定した樹脂1の重量平均分子量は、30,000であった。
〔樹脂2〜5及び比較樹脂1〜4の合成〕
上記樹脂1の合成において、モノマー組成を表1に記載のように変更した以外は同様にして、樹脂2〜5及び比較樹脂1〜4を合成した。なお、表1に記載の重量平均分子量となるように、開始剤量、重合条件を適宜調整した。これらの樹脂はインク溶解性樹脂である。
〔比較樹脂5の合成〕
500ml四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イオン交換水250g、メタクリル酸メチル59g、メタクリル酸n−ブチル35g、メタクリル酸6g、30%Rodafac RS710 3.0gを添加し、メカニカルスターラーにて撹拌しながら90℃に加熱した。ここへ、過硫酸カリウム0.4gを40gのイオン交換水に溶解した水溶液を滴下ロートより滴下した。滴下後、90℃にて4時間加熱撹拌をした。反応液を冷却後、アンモニア水を加えpH8.5に調整し、比較樹脂5を合成した。比較樹脂5は分散性樹脂である。
得られた樹脂1〜5及び比較樹脂1〜5の酸価、ガラス転移温度、重量平均分子量を上記の方法で測定した結果を表1に示す。
Figure 0005521502
《水系機能インクの調製》
〔水系機能インク1の調製〕
樹脂1 8.0部
有機溶剤:2−メチル−1,3−プロパンジオール 10.0部
2−ピロリドン 5.0部
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 5.0部
界面活性剤:BYK−348(シリコーン系界面活性剤、ビッグケミー製) 0.5部
イオン交換水で、100部となるように仕上げた。
上記各添加剤を添加、攪拌、混合した後、孔径が5μmのフィルタを用いてろ過を行って、本発明の水系機能インク1を調製した。
〔水系機能インク2〜7及び比較インク1〜5の調製〕
水系機能インク1の調製において、樹脂、有機溶剤、界面活性剤を表2に記載のように変更した以外は同様にして、水系機能インク2〜7及び比較インク1〜5を調製した。
Figure 0005521502
《顔料分散体の調製》
〔ブラック顔料分散体Bk〕
カーボンブラック 10.0部
顔料分散剤(efka4570:高分子分散剤efka4570(EFKA社製))
5.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0部
イオン交換水 80.0部
上記各添加剤を混合、撹拌した後、平均粒径が1.5mmのジルコニアビーズをペイント缶の50体積%となるように添加し、ペイントコンディショナーにて6時間振蓋した後、ビーズを除き、ブラック顔料分散体Bkを調製した。
〔イエロー顔料分散体Y、マゼンタ顔料分散体M、シアン顔料分散体Cの調製〕
ブラック顔料分散体Bkの調製において、カーボンブラックをC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外は同様にして、それぞれイエロー顔料分散体Y、マゼンタ顔料分散体M、シアン顔料分散体Cを調製した。
《顔料インクの調製》
〔顔料インクBkの調製〕
顔料分散体:ブラック顔料分散体Bk 顔料固形分として2.5部
樹脂:樹脂1 2.0部
溶剤:2−メチル−1,3−プロパンジオール 10.0部
2−ピロリドン 18.0部
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 5.0部
界面活性剤:BYK−348(シリコーン系界面活性剤、ビッグケミー製) 0.5部
イオン交換水で、100部となるように仕上げた。
上記各添加剤を添加、攪拌、混合した後、孔径が5μmのフィルタを用いてろ過を行って、顔料インクBkを調製した。
〔顔料インクY、顔料インクM、顔料インクCの調製〕
顔料インクBkの調製において、顔料分散体Bkをイエロー顔料分散体Y、マゼンタ顔料分散体M、シアン顔料分散体Cに変えた以外は同じ処方で、顔料インクY、顔料インクM、顔料インクCを調製した。
《インクの評価》
上記調製した各インクを用いて、下記の方法に従って画像形成し、評価を行った。
〔画像形成法1〕
ピエゾ型のインクジェットヘッド(インク液滴量14pl)5基を並列に配置し、5基のヘッドには、順に水系機能インク、顔料インクBk、顔料インクC、顔料インクM、顔料インクYをプリントできるようにした。解像度は720dpi×720dpiに設定した。dpiは2.54cm当たりのドット数を表す。インクジェットプリント装置には、記録媒体を下方より接触式ヒーターにて任意に加温できる機能を備え、インクジェットヘッドの格納ポジションには、水系機能インクの空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができる。
上記インクジェットプリント装置のY、M、C、Bkヘッドに、上記調製した顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkを各々充填した。また、水系機能インク用ヘッドには、表2記載の水系機能インクを順次入れ替えて評価した。
まず、水系機能インクヘッドより、溶剤インクジェットインクプリンタ用の軟質塩化ビニルシート基材全面に、水系機能インクを印字率が100%Dutyになるよう印字した。この時の水系機能インク付与量は10ml/mであった。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。印字後、ヒーターを用いてメディア表面から非接触加熱し50℃にて1分間加熱乾燥した。
このプリント物を再度、同じプリンタにセットし、顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkからなるカラーインクにてプリンした。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。記録後さらに後乾燥工程として50℃にて3分加熱を行った。
〔画像形成法2〕
上記インクジェットプリント装置のY、M、C、Bkヘッドに、上記調製した顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkを各々充填した。また、水系機能インク用ヘッドには、表2記載の水系機能インクを順次入れ替えて評価した。
水系機能インク、及び、顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkからなるカラーインクを同時にプリントした。プリント画像データは、Y、M、C、Bkヘッドに送られデータに基づき印字を行った。水系機能インクヘッドには、プリント画像データと同面積領域全面に印字率70%Dutyの画像データを送り機能インクを付与した。この時の水系機能インク付与量は7ml/mであった。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。記録後さらに後乾燥工程として50℃にて3分加熱を行った。
〔画像形成法3〕
上記インクジェットプリント装置のY、M、C、Bkヘッドに、上記調製した顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkを各々充填した。また、水系機能インク用ヘッドには、表2記載の水系機能インクを順次入れ替えて評価した。
まず、水系機能インクヘッドより、溶剤インクジェットインクプリンタ用の軟質塩化ビニルシート基材全面に、水系機能インクを印字率が70%Dutyになるよう印字した。この時の水系機能インク付与量は7ml/mであった。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。印字後、ヒーターを用いてメディア表面から非接触加熱し50℃にて1分間加熱乾燥した。
このプリント物を再度、同じプリンタにセットし、顔料インクY、顔料インクM、顔料インクC、顔料インクBkからなるカラーインクにてプリンした。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。記録後さらに後乾燥工程として50℃にて3分加熱を行った。
さらに、このプリントを同じプリンタにセットし、水系機能インクヘッドより、全面に水系機能インクを印字率が100%Dutyになるよう印字した。この時の水系機能インク付与量は10ml/mであった。プリント時には、記録媒体の下方より、接触式ヒーターにて、軟質塩化ビニルシートの表面温度が50℃となる条件で加熱しながら記録した。記録後さらに後乾燥工程として50℃にて3分加熱を行った。
(射出安定性)
画像形成法1において、顔料インクを印字せずにインクジェット用OHPフィルムに、水系機能インクのみ射出し、下記基準で射出安定性を評価した。
3:不吐出、曲がりがなく射出は安定にしていた
2:曲がりの発生が見られた
1:不吐出も見られた。
(耐擦性)
画像形成法1〜3で作成した画像表面を、綿布(カナキン3号)を用い、9Nの荷重をかけてこすり、画像表面の傷発生、塗膜剥がれの状態を目視観察し、下記基準で耐擦性を評価した。
5:30往復こすっても、傷の発生はまったく認められない
4:10往復では傷の発生は認められないが、30往復では表面に僅かに傷の発生が認められる
3:10往復では表面に傷の発生が認められ、30往復では画像膜に剥がれが発生する
2:10往復で、画像膜に剥がれが生じる
1:5往復で、画像膜の剥がれが認められる。
(接着性)
画像形成法1、2で作成した画像について、基盤目テープ剥離試験を行った。基盤目テープ剥離試験は、JIS K 5600(塗料一般試験法)の第5部(塗膜の機械的性質)第6節(付着性:クロスカット法)に規定する方法に従った。そして、1mm間隔で相互に直交するよう、11本ずつ切り込み線を付けた後、その基盤目上にセロハン製粘着テープ(ニチバン社製LP−24)を粘着させ、直ちにテープを引き剥がし、画像膜の剥離状態を目視観察し、下記基準で接着性を評価した。
5:画像膜の剥離がまったく認められない
4:画像膜の一部で僅かに剥離が認められる
3:画像膜の一部で、剥離の発生が認められる
2:画像膜の一部で、明らかな剥離の発生が認められる
1:画像膜の大部分で、剥離を生じている。
(インク混じり)
30℃、相対湿度60%の環境下、画像形成法1、2で作成したプリント物の10%Dutyから100%Dutyまで10%Duty刻みの各画像を目視及びマイクロスコープで観察し、画質はじきの有無やインク混じりにより発生するビーディング発生、小文字描画性により、下記基準でインク混じりを評価した
5:はじき、ビーディングもなく、小文字描画、白抜き文字の描画性も明瞭
4:はじき、ビーディングもなく、小文字描画できるが、白抜き文字の描画性がやや不明瞭
3:はじきはないが、ビーディングがごく僅かに見られ、小文字描画できるがやや不明瞭
2:はじきはないが、ビーディングが目立ち、小文字描画できず
1:局所的なはじきが見られ、ビーディングも激しく、小文字描画できず。
(光沢性)
20℃、相対湿度30%の環境下、画像形成法3で作成したプリント物の100%Duty画像の20°光沢度を測定した。光沢度の測定は、日本電色工業株式会社製変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いた。得られた20度光沢度より、下記基準で光沢性を評価した。
5:20度光沢度が、100%以上である
4:20度光沢度が、85%以上、100%未満である
3:20度光沢度が、55%以上、85%未満である
2:20度光沢度が、30%以上、55%未満である
1:20度光沢度が、30%未満である。
(濃度)
上記光沢評価に用いた100%Duty画像の反射濃度を測定し、下記基準で濃度を評価した。
5:濃度が2.0以上
4:濃度が1.8以上、2未満
3:濃度が1.6以上、1.8未満
2:濃度が1.4以上、1.6未満
1:濃度が1.4未満。
評価の結果を表3に示す。
Figure 0005521502
表3より明らかなように、本発明の水系機能インクは、比較例に対し、疎水性記録媒体にインク混じり(ビーディング)のない高品位な画質が印字でき、光沢性、耐擦性及び接着性に優れた画像を形成でき、かつ射出安定性にも優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 水系顔料インクによる画像形成の際に用いる前処理インク、水系顔料インクの付与と同時に付与するインク及びオーバーコート液の少なくともいずれかとして用いることのできる水系機能インクであって、酸価が50以上120未満で、重量平均分子量が20,000以上100,000以下である樹脂をインクに溶解している状態で含有し、該樹脂の組成は、1)アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一の化合物、2)メタクリル酸メチル並びに3)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ブチル及びメタクリル酸エチルのうち少なくとも一の化合物を含み、顔料が0.01質量%未満であることを特徴とする水系機能インク。
  2. 前記化合物3)の総量は、樹脂組成中で10質量%以上80質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の水系機能インク。
  3. さらに有機溶剤として、炭素数4以上のジオール、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールのエステルの少なくとも1種を含有し、その総量が、インク中で5質量%以上50質量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の水系機能インク。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水系機能インクと顔料を含有する水系顔料インクを併用することを特徴とする画像形成方法。
  5. 前記水系機能インク、前記水系顔料インクの順に印字することを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  6. 前記水系機能インク、前記水系顔料インク、前記水系機能インクの順に印字することを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  7. 前記水系機能インクと前記水系顔料インクとを同時に付与することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
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