JP5521055B2 - 薄膜太陽電池モジュールの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ホットスポット現象を回避するためのセル分離構造と、絶縁耐圧を確保するための周縁分離構造とを有する薄膜太陽電池モジュールの製造装置及び製造方法に関する。
一般に、複数の薄膜光電変換セルを直列接続してなる薄膜太陽電池モジュールは、帯状に形成された複数の薄膜光電変換セルをその短軸方向に集積した構造を有している。薄膜光電変換セルは、典型的には、透明基板上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層が順に積層された多層構造を有する。
このような構成の薄膜太陽電池モジュールにおいては、木の葉や鳥の糞などの遮光物が受光面に付着すると、発電方向と逆方向に直列接続されたダイオードとして振る舞うため、その部分の光起電力が低下しモジュール全体の出力が大幅に低下する。さらに、上記ダイオードとして振る舞うセルに逆方向耐電圧以上の電圧が印加されると、ホットスポット現象と呼ばれる局所的な加熱が生じ、モジュールの破壊にまで至ることがある。ホットスポット現象は、タンデム構造を有する太陽電池モジュールのような各セルの起電圧が高いモジュール構成において特に問題となる。
ホットスポット現象に関する問題を回避するため、例えば下記特許文献1には、短冊状に形成された薄膜光電変換セルを長軸方向に分割して、分割されたセルをそれぞれ直列接続することで形成された複数の直列アレイを有し、上記複数の直列アレイが相互に並列接続された薄膜光電変換モジュールが記載されている。
一方、薄膜太陽電池モジュールの製造工程には、モジュールの絶縁耐圧を確保するため、エッジディレーションと呼ばれる工程がある。例えば下記特許文献2には、レーザスクライブ法によりセル集積領域と周縁領域とを分離する方法が記載されている。これにより基板の周縁部に取り付けられる金属製フレームとの電気的短絡、あるいは基板の周縁部からの水分の浸潤による発電性能の低下が抑えられる。
特開2001−68713号公報 特開平11−186573号公報
ホットスポット対策のためのセル分離線と耐電圧確保のための周縁分離線は、いずれもレーザスクライブ法で形成することが可能である。しかしながら、各工程において分離線の形成条件は異なり、透明電極層、半導体層及び裏面電極層各々について最適なレーザ吸収波長も異なる。このため従来では、上記セル分離線と上記周縁分離線とを異なるレーザ加工装置を用いて形成するのが一般的であり、したがって生産性を向上させることは困難であった。
また、セル分離線と周縁分離線の形成に発生する積層膜の塵埃がセル集積基板やこれを支持するステージ等へ付着することで、製品及び装置の汚染が問題となる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ホットスポット対策用のセル分離構造と絶縁耐圧確保のための周縁分離構造とを共通の装置で形成することができるとともに、積層膜の加工屑の付着による製品及び装置の汚染を防止することができる薄膜太陽電池モジュールの製造装置を提供することにある。



上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造装置は、光透過性を有する第1の電極層と、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む光電変換層と、第2の電極層との積層膜で各々形成された複数の発電セルが透明基板上に直列的に接続された薄膜太陽電池モジュールを製造するための装置であって、第1のレーザ照射源と、第2のレーザ照射源と、移動機構と、制御部とを具備する。
上記第1のレーザ照射源は、第1の赤外線レーザを生成し、上記透明基板の周縁部に上記第1の赤外線レーザを照射することで、上記周縁部上の上記積層膜が除去された周縁分離部を形成する。
上記第2のレーザ照射源は、第2の赤外線レーザを生成し、上記透明基板上の上記発電セルの形成領域に上記第2の赤外線レーザを照射することで、上記発電セルを分断するためのセル分離線を形成する。
上記移動機構は、上記透明基板を支持するためのステージを有し、上記第1のレーザ照射源及び上記第2のレーザ照射源を上記ステージに対して相対移動させる。
上記制御部は、上記第1のレーザ照射源、上記第2のレーザ照射源及び上記移動機構をそれぞれ制御する。
本発明の一形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、光透過性を有する第1の電極層と、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む光電変換層と、第2の電極層との積層膜で各々形成された複数の発電セルが透明基板上に直列的に接続されたセル集積基板を作製する工程を含む。
ステージに支持された上記セル集積基板の周縁部に、第1のレーザ照射源から第1の赤外線レーザを照射することで、上記周縁部上の上記積層膜が除去された周縁分離部が形成される。
上記ステージに支持された上記セル集積基板上の上記発電セルの形成領域に、第2のレーザ照射源から第2の赤外線レーザを照射することで、上記発電セルを分断するためのセル分離線が形成される。
本発明の一実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法を説明する工程フローである。 上記薄膜太陽電池モジュール製造用のセル集積基板の製造方法を説明する工程断面図である。 上記セル集積基板の平面図である。 上記セル集積基板に周縁分離部を形成する工程を示す要部の断面図である。 上記周縁分離部の形成に用いられる赤外線レーザの照射源の構成を示す概略図である。 上記周縁分離部の形成方法を説明する要部の平面図である。 上記セル集積基板にセル分離線を形成する工程を示す要部の断面図である。 上記セル分離線の形成に用いられる赤外線レーザの照射源の構成を示す概略図である。 上記セル集積基板のモジュール工程を示す要部の断面図である。 本発明の一実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造装置を示す概略平面図である。 上記製造装置の概略側面図である。 上記製造装置に設けられる集塵ユニットの要部平面図である。
本発明の一実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造装置は、光透過性を有する第1の電極層と、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む光電変換層と、第2の電極層との積層膜で各々形成された複数の発電セルが透明基板上に直列的に接続された薄膜太陽電池モジュールを製造するための装置であって、第1のレーザ照射源と、第2のレーザ照射源と、移動機構と、制御部とを具備する。
上記第1のレーザ照射源は、第1の赤外線レーザを生成し、上記透明基板の周縁部に上記第1の赤外線レーザを照射することで、上記周縁部上の上記積層膜が除去された周縁分離部を形成する。
上記第2のレーザ照射源は、第2の赤外線レーザを生成し、上記透明基板上の上記発電セルの形成領域に上記第2の赤外線レーザを照射することで、上記発電セルを分断するためのセル分離線を形成する。
上記移動機構は、上記透明基板を支持するためのステージを有し、上記第1のレーザ照射源及び上記第2のレーザ照射源を上記ステージに対して相対移動させる。
上記制御部は、上記第1のレーザ照射源、上記第2のレーザ照射源及び上記移動機構をそれぞれ制御する。
上記製造装置は、周縁分離部を形成するための第1のレーザ照射源と、セル分離線を形成するための第2のレーザ照射源とを有する。光電変換層は、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含むため、赤外線レーザの照射により第2の電極層とともに除去可能である。また、赤外線レーザのレーザ出力を調整することにより、第1の電極層が除去される。したがって上記製造装置によれば、ホットスポット対策用のセル分離構造と絶縁耐圧確保のための周縁分離構造とを共通の装置で形成することができ、これにより生産性を向上させることができる。
一実施形態において、上記制御部は、上記第1のレーザ照射源から上記第1の赤外線レーザを第1の出力で照射させることで上記光電変換層及び上記第2の電極層を除去した後、上記第1の赤外線レーザを上記第1の出力よりも高い第2の出力で照射させることで上記第1の電極層を除去する。これにより、周縁分離部を効率よく形成することができる。
一実施形態において、上記制御部は、上記第2のレーザ照射源から上記第2の赤外線レーザを第1のフォーカス状態で照射させることで前記第1の電極層を除去した後、前記第2の赤外線レーザを前記第1のフォーカス状態とは異なる第2のフォーカス状態で照射させることで前記光電変換層及び前記第2の電極層を除去する。これにより、セル分離線を効率よく形成することができる。
上記製造装置は、集塵ユニットをさらに具備してもよい。
上記集塵ユニットは、第1の吸引ポートと、吸引ポンプと、弁機構とを有する。上記第1の吸引ポートは、上記ステージに支持される上記透明基板の上記周縁分離部の形成領域に対向して上記ステージに配置され、上記周縁分離部の形成方向に沿って分割された複数の吸引口を有する。上記弁機構は、上記第1の吸引ポートと上記吸引ポンプとの間に配置され上記複数の吸引口を個々に上記吸引ポンプと接続可能である。上記制御部は、上記周縁領域上を走査される上記第1の赤外線レーザの照射位置に対応して、上記複数の吸引口が個々に上記吸引ポンプと接続されるように上記弁機構を制御する。
集塵ユニットは、第1の赤外線レーザの照射により周縁分離部を形成する際に発生する上記積層膜の塵埃を吸引し、ステージ等への塵埃の付着による装置の汚染を回避する。また吸引口を分割し、レーザの照射位置に対応して吸引口を切り替える構造とすることで、集塵効率が高まり、吸引ポンプの運転動力が低減され、さらに吸引ポンプの小型化も実現可能となる。
上記集塵ユニットは、第2の吸引ポートをさらに有してもよい。上記第2の吸引ポートは、上記ステージに支持される上記透明基板上の上記セル分離線の形成領域に対向して配置され、上記弁機構を介して上記吸引ポンプと接続される。上記制御部は、上記第2のレーザ照射源から上記第2の赤外線レーザを照射する場合にのみ上記第2の吸引ポートが上記吸引ポンプと接続されるように上記弁機構を制御する。
第2の吸引ポートは、第2の赤外線レーザの照射によりセル分離線を形成する際に発生する上記積層膜の塵埃を吸引し、ステージ等への塵埃の付着による装置の汚染を回避する。第2の吸引ポートは、セル分離線の形成時にのみ吸引ポンプと接続されるので、周縁分離部の形成時における吸引ポンプの運転動力の低減を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、光透過性を有する第1の電極層と、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む光電変換層と、第2の電極層との積層膜で各々形成された複数の発電セルが透明基板上に直列的に接続されたセル集積基板を作製する工程を含む。
ステージに支持された上記セル集積基板の周縁部に、第1のレーザ照射源から第1の赤外線レーザを照射することで、上記周縁部上の上記積層膜が除去された周縁分離部が形成される。
上記ステージに支持された上記セル集積基板上の上記発電セルの形成領域に、第2のレーザ照射源から第2の赤外線レーザを照射することで、上記発電セルを分断するためのセル分離線が形成される。
これにより、ホットスポット対策用のセル分離構造と絶縁耐圧確保のための周縁分離構造とを共通の装置で形成することができ、生産性を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法を示す工程フローである。同図に示すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法は、セル集積基板の作製工程(ST1)と、エッジディレーション工程(ST2)と、ホットスポット対策用のセル分離工程(ST3)と、モジュール化工程(ST3)とを有する。以下、それぞれの工程について説明する。
[セル集積基板の作製工程(ST1)]
図2は、セル集積基板の作製工程を工程順に説明する断面図である。図3は、セル集積基板を概略的に示す平面図である。
まず、透明基板10上に光透過性を有する透明電極層11(第1の電極層)が形成される(図2(A))。
透明基板10は矩形状に形成され、波長300nm以上の光を透過する透明な材料で構成される。本実施形態では透明基板10として白板ガラス基板が用いられるが、これに限られず、例えばソーダ石灰ガラス、青板ガラス、ホウ珪酸ガラス等が用いられてもよい。透明基板10の大きさは特に限定されず、例えば、長辺1400mm、短辺1100mm、厚み3.2mmとされる。
透明電極層11は、酸化亜鉛系の材料が用いられ、ZnOだけでなく、ZnOにアルミニウム(Al)が添加された酸化亜鉛系材料(AZO)、ZnOにガリウム(Ga)が添加された酸化亜鉛系材料(GZO)等が適用可能である。特に、AZO及びGZOは、耐プラズマ性に優れ、導電率及び近赤外域での光の透過率がいずれも高い。本実施形態において、透明電極層11は、AZO膜で構成される。透明電極層11は、スパッタリング法により、例えば600nm程度の厚みで形成されるが、勿論これに限られない。
必要に応じて、透明電極層11は、その表面に所定のテクスチャが形成されてもよい。これにより、透明電極層11の表面積が増大するため、光の透過効率や上層(光電変換層)との密着性を高めることが可能となる。上記テクスチャの形成方法としては、例えばアンモニウム塩水溶液によるエッチング処理が採用可能である。
次に、透明基板10上の透明電極層11の所定領域にレーザ光を照射することで、透明電極層11をパターニングする工程が行われる(図2(B))。
本実施形態では、透明電極層11に対し赤外線パルスレーザ光を照射し、照射範囲の一部を重複させながら上記赤外線パルスレーザ光を走査することで、透明電極層11に第1の分離溝11aを形成する。赤外線パルスレーザ光は、透明基板10側から透明電極層11に向けて照射される。これにより、透明電極層11の加工屑(ダスト)によるレーザ照射部の汚染を防止することができる。
透明基板10上の個々の透明電極層11は、分離溝11aによって短冊状の複数のセルに分割され、それぞれのセルが電気的に絶縁される。本実施形態では、セルの幅を8.9mm、セルの数は119個とした。
次に、透明基板10上に光電変換層12が形成される(図2(C))。
光電変換層12は、透明電極層11及び第1の分離溝11aを被覆するように成膜される。光電変換層12は、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む。本実施形態では、アモルファスシリコン層と、微結晶シリコンを含むマイクロシリコン層の積層体で光電変換層12が構成される。アモルファスシリコン層は、主として波長400〜600nmの可視光領域の光を受けて発電し、マイクロシリコン層は、主として波長700〜1300nmの近赤外領域の光を受けて発電する。これによりタンデム構造の光電変換層12が形成される。
アモルファスシリコン層およびマイクロシリコン層はそれぞれ、例えばプラズマCVD法で成膜される。各層の厚みは特に限定されず、アモルファスシリコン層の厚みは、例えば150〜250nmであり、マイクロシリコン層の厚みは、例えば800〜2000nmである。
続いて、透明基板10上の光電変換層12の所定領域にレーザ光を照射することで、光電変換層12が短冊状にパターニングされる(図2(D))。
本実施形態では、光電変換層12に対しパルスレーザ光を照射し、照射範囲の一部を重複させながら上記パルスレーザ光を走査することで、光電変換層12に第2の分離溝12aを形成する。第2の分離溝12aは、例えば図示するように、第1の分離溝11aと隣接するように形成されるが、勿論これに限られない。レーザ光は、上述と同様に透明基板10側から照射される。レーザ光の発振波長は、赤外線レーザでもよいし、その第2高調波(緑色レーザ)でもよい。
次に、透明基板10上に裏面電極層13(第2の電極層)が形成される(図2(E))。
裏面電極層13は、光電変換層12及び第2の分離溝12aを被覆するように成膜される。これにより、分離溝12aを介して透明電極層11と裏面電極層13とが電気的に接続される。本実施形態において、裏面電極層13は、比較的反射率の高い金属材料、例えばアルミニウムや銀などが用いられる。裏面電極層13の膜厚は特に限定されず、例えば数百nm〜数μmとされる。
続いて、透明基板10上の裏面電極層13の所定領域にレーザ光を照射することで、裏面電極層13が短冊状にパターニングされる(図2(F))。
本実施形態では、裏面電極層13に対し緑色パルスレーザ光を照射し、照射範囲の一部を重複させながら上記緑色パルスレーザ光を走査することで、裏面電極層13に第3の分離溝13aを形成する。第3の分離溝13aは、例えば図示するように、第2の分離溝12aと隣接するように形成されるが、勿論これに限られない。レーザ光は、上述と同様に透明基板10側から照射され、裏面電極層13は、分離溝13aの形成領域に位置する光電変換層12と共に除去される。
以上のようにして、透明基板10上に、複数の発電セルが直列的に接続されたセル集積基板15が作製される(図2(F))。各々の発電セルは、透明電極層11と光電変換層12と裏面電極層13との積層膜で構成される。セル集積基板15は、図3に示すように、長辺方向(Y軸方向)に長手方向を有する短冊状の複数の発電セル14が短辺方向(X軸方向)に直列して接続されたセルアレイを有する。
次に、セル集積基板15に周縁分離部V1とホットスポット対策用のセル分離線V2とが形成される。周縁分離部V1は、図3に示すようにセル集積基板15の周縁部1aに沿って環状に形成され、セル分離線V2は、周縁部1aより内方側の発電領域1bに、発電セル14の長手方向と直交する方向に直線的に複数本形成される。後述するように、周縁分離部V1はエッジディレーション工程において、セル分離線V2はセル分離工程において、レーザスクライブ法によってそれぞれ形成される。
[エッジディレーション工程(ST2)]
エッジディレーション工程は、セル集積基板15の周縁部1a上に位置する積層膜(透明電極層11、光電変換層12及び裏面電極層13)を除去する。これにより、これらの層と後述するモジュール化工程(ST4)で周縁部1aに取り付けられる金属フレーム等とがショートし、あるいは薄膜太陽電池モジュールとして完成された後に、周縁部1aからの水分の浸潤による発電性能の低下を防止することができる。
周縁分離部V1は、セル集積基板15の周縁部1aに赤外線レーザを照射することで形成される。図4(A),(B)は、エッジディレーション工程を説明するセル集積基板15の周縁部1aの断面図である。図示するように、エッジディレーション工程は、周縁部1a上の光電変換層12及び裏面電極層13を除去する工程(第1の加工工程)と、周縁部1a上の透明電極層11を除去する工程(第2の加工工程)とを有する。
エッジディレーション工程では、近赤外線帯域に発振波長を有する第1の赤外線レーザL1が用いられる。本実施形態では、第1の赤外線レーザL1として、最大出力450W、繰り返し周波数6kHz、パルス幅40nsecを有するNd:YAGレーザ(波長1064nm)が用いられる。
第1の赤外線レーザL1は、透明基板10側から第1のレーザ照射源から照射される。透明基板10上での第1の赤外線レーザL1のスポット径は例えば1mm角とされる。上記第1のレーザ照射源は、例えば可変式減光機構を有し、加工に要するレーザ出力を任意に調整することが可能である。
図5は、第1の赤外線レーザL1を照射する第1のレーザ照射源の一構成例を示す概略図である。図5に示すように第1のレーザ照射源100は、発振器101と、可変減衰器102と、集光レンズ107と、ホモジナイザ103と、スキャナ104と、fθレンズ105とを有する。
発振器101は、赤外線レーザ光を出射する。可変減衰器102は、発振器101から出射されたレーザ光を減衰させ、出力を調節する。集光レンズ107は、可変減衰器102から出射されたレーザ光を、ホモジナイザ103に集光させる。スキャナ104は、レーザ光を走査する。スキャナ104は、回転する多面体のミラーからなるポリゴンスキャナ、外部磁界により振動するミラーからなるガルバノスキャナ、共振により振動するミラーからなるレゾナントスキャナ等が用いられる。fθレンズ105は、スキャナ104で走査されたレーザ光の走査速度及びレーザスポット形状を補正する。
第1の赤外線レーザL1は、fθレンズ105を通過したレーザ光で形成される。図6は、スキャナ104によって第1の赤外線レーザL1が走査される様子を示すセル集積基板15の部分平面図である。第1の赤外線レーザL1は、スキャナ104によって図6においてX軸方向に走査される。この際、スキャナ104の走査によって同一領域上を第1の赤外線レーザL1が照射することを避けるため、第1のレーザ照射源が図6においてY軸方向に移動する。本実施形態では、スキャナ104による走査速度が5400mm/sec程度とされ、第1のレーザ照射源の走査速度が300mm/sec程度とされる。
セル集積基板15は、透明基板10側を上方に向けて図示しないステージ上に載置される。第1のレーザ照射源は、ステージの上方を移動しながら第1の赤外線レーザL1を出射することで、第1の赤外線レーザL1をセル集積基板15の周縁部1a上で走査する。
図4(A)に示す第1の加工工程において、第1のレーザ光L1は、透明基板10及び透明電極層11を透過して光電変換層12に吸収され、光電変換層12が除去されることにより、その上層である裏面電極層13も除去される。これにより、周縁部1a上に、光電変換層12及び裏面電極層13が除去される。
光電変換層12は、近赤外領域に吸収特性を有する半導体層(微結晶シリコン層)を含むため、第1の赤外線レーザL1により効率よく除去される。第1の赤外線レーザL1の出力は特に限定されないが、レーザのエネルギー密度が過度に大きい場合、透明電極層11も同時に溶断される。このとき、透明電極層11の加工屑が裏面電極層13に付着して短絡を生じさせるシャントと呼ばれる現象が生じ得る。また、透明基板10にクラックが生じるおそれがある。このため、第1の加工工程における第1の赤外線レーザL1の出力(第1の出力)は透明電極層11が除去されない大きさに設定され、例えば70W(1.33J/cm2)程度とされる。
図4(B)に示す第2の加工工程においては、周縁部1aに残存する透明電極層11が除去される。この工程では、第1の加工工程において照射されるレーザ出力よりも大きなレーザ出力に調整される。本実施形態では、第1の赤外線レーザL1の出力(第2の出力)は270W(5.13J/cm2)とされる。そして図4(B)に示すように、領域A1のセル側の端部から所定距離(例えば1mm)だけ離れた領域に第1の赤外線レーザL1を照射することで、周縁部1aの領域内に透明電極層11の端部11aが部分的に露出するように、周縁部1a上の透明電極層11が除去される。これにより、シャント及びクラックの発生を防止することができる。
以上のようにして、セル集積基板15の周縁部1aに周縁分離部V1が形成される。周縁分離部V1の形成幅は特に限定されないが、ここでは約10mmとされる。
[セル分離工程(ST3)]
セル分離工程は、セル集積基板15の発電領域1b上に配列された発電セル14各々に複数のセル分離線V2(図3)を形成する。これにより、発電セル14が単列の直列アレイから多列の直列アレイに変換されることで、ホットスポット現象に起因する発電出力の低下あるいはモジュールの破壊を防止することができる。
セル分離線V2は、セル集積基板15上の発電セル14の形成領域に赤外線レーザを照射することで形成される。これにより、個々の発電セル14が複数のセルに分断される。図7(A),(B)は、セル分離工程を説明するセル集積基板15の要部の断面図である。図示するように、セル分離工程は、セル分離線V2の形成領域に位置する透明電極層11を除去する工程(第3の加工工程)と、当該透明電極層11の直上に位置する光電変換層12及び裏面電極層13を除去する工程(第4の加工工程)とを有する。
セル分離工程では、近赤外線帯域に発振波長を有する第2の赤外線レーザL2が用いられる。本実施形態では、第2の赤外線レーザL1として、最大出力20W、繰り返し周波数40kHz、パルス幅30nsecを有するファイバーレーザ(波長1060nm)が用いられる。
第2の赤外線レーザL2は、透明基板10側から第2のレーザ照射源から照射される。透明基板10上での第2の赤外線レーザL2のスポット径は例えば50μmとされる。上記第2のレーザ照射源は、セル集積基板15が載置されるステージに対してZ軸方向(高さ方向)に移動可能である。これにより任意に加工高さを調整することが可能である。
図8は、第2のレーザ照射源の一構成例を示すブロック図である。第2のレーザ照射源200は、発振器201と、光ファイバー202と、コリメータレンズ203と、アイソレータ204と、エキスパンダ205と、集光レンズ206とを有する。
発振器301内で生成されたレーザ光は、光ファイバー302内で伝送され、光ファイバー302の射出端からコリメータレンズ303へ入射する。コリメータレンズ303へ入射したレーザ光は、コリメータレンズ303で平行光とされた後、アイソレータ304を透過してエキスパンダ305へ入射する。アイソレータ304は、例えば集光レンズ306やセル集積基板15上で反射したレーザ光が光ファイバー302側へ戻ることを防止するためのものである。アイソレータ304を透過したレーザ光は、エキスパンダ305によって適切なビーム径に調整された後、集光レンズ306によって所定の焦点位置に集光される。
エキスパンダ305には可変倍率式のものが用いられており、基板照射位置での集光ビームのスポット径dを調整する。スポット径d[mm]は、エキスパンダ305への入射ビームの直径をD、エキスパンダ305の倍率をm、集光レンズ306の焦点距離をf、光の波長をλ、ビーム品質をMとしたとき、以下の式で表すことができる。
d=(M×4×λ×f)/(π×m×D) …(1)
スポット径dは、透明導電膜の構成材料、厚み、パターン幅、パターン精度等に応じて適宜設定することができ、AZO膜を加工する場合のスポット径dは、30μm以上100μm以下である。例えば、M=2、λ=1064[nm]、f=150[mm]、D=1.2[mm]、m=7とすると、スポット径dは、約48μmとなる。
第2の赤外線レーザL2は、集光レンズ206を通過したレーザ光で形成される。本実施形態の形態では、第2の赤外線レーザL2として、中央部よりも周辺部のビーム強度が高い断面強度分布(ビームプロファイル)を有する赤外線パルスレーザ光が用いられる。これによりレーザ照射位置と非照射位置との境界部をシャープに形成できることで、セル集積基板15を高度精度に加工することができる。
ここで、レーザ発振器201は、ファイバーレーザ媒質と、励起光源とを有している。励起光源は、励起光をファイバーレーザ媒質へ出射する。励起光の出射タイミングによってレーザ光のパルス幅が制御される。特に、数十nsという微小なパルス幅を容易に実現することが可能である。ファイバーレーザ媒質は、利得媒質としてコアに希土類イオンを添加したファイバーが主に用いられており、YAG結晶等の結晶媒質に比べて広帯域な光増幅が可能である。ファイバーレーザ媒質から射出されるレーザ光は、断面強度分布が異なる複数のモードを有しており、光ファイバー302のコア径及びファイバー長を調整することによって、所望のシングルモードのレーザ光が出力される。本実施形態において、発振器301から射出されるレーザ光は、中心部に強度のピークを有するLP01モードと、周辺部にピーク強度を有するLP11モードが混在するマルチモードを有しており、光ファイバー302は、伝送過程でLP01モードのレーザ光を適度に減衰させつつ、所望とするLP11モードのレーザ光が選択的に出力されるように、コア径及びファイバー長が設定されている。
セル集積基板15は、透明基板10側を上方に向けて図示しないステージ上に載置される。第2のレーザ照射源は、ステージの上方を移動しながら第2の赤外線レーザL2を出射することで、第2の赤外線レーザL2をセル集積基板15の発電領域1b上で発電セル14の短手方向(図3、図7においてX軸方向)に沿って走査する。
図7(A)に示す第3の加工工程において、第2のレーザ光L1は、透明基板10を透過して透明電極層11に吸収される。これにより、透明電極層11が除去されるとともに、その上層である光電変換層12及び裏面電極層13も除去される。これにより、発電セル14に、第1の溝部G1が形成される。
第3の加工工程における第2の赤外線レーザL2の出力は例えば7Wである(9.5J/cm2)。セル集積基板15に対する第2のレーザ照射源の走査速度は例えば600mm/secである。第2の赤外線レーザL2の焦点は、透明電極層11に合わせられる。
図7(B)に示す第4の加工工程においては、第1の溝部G1の周囲に位置する光電変換層12及び裏面電極層13が除去される。この工程では、第3の加工工程におけるレーザ出力と同じ7Wで第2の赤外線レーザL2が照射される。この際、第2の赤外線レーザL2は、その焦点が透明電極層11よりも透明基板10側に設定されることで、光電変換層12及び裏面電極層13に対してデフォーカス状態で照射される。これにより、第1の溝部G1より幅が大きい第2の溝部G2が光電変換層12及び裏面電極層13に形成される。
以上のようにして、セル集積基板15の発電領域1bに第1の溝部G1及び第2の溝部G2からなるセル分離線V2が形成される。例えば、第1の溝部G1の幅は30〜100μm、第2の溝部G2の幅は100〜500μmとされる。
[モジュール化工程(ST4)]
図9は、モジュール化された薄膜太陽電池モジュール20を示す要部の断面図である。モジュール化工程ST4は、周縁分離部V1及びセル分離線V2を形成したセル集積基板15を薄膜太陽電池モジュール20として完成させる。
セル集積基板15には、透明電極層11及び裏面電極層13のそれぞれに接続される図示しない配線が形成される。配線は、例えばハンダペーストのリフロー、導電性の接着剤による封止、メッキ等の方法によって形成される。
次に、裏面電極層13上に絶縁性樹脂からなる絶縁層17を形成する。絶縁性樹脂には例えばEVA(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)が用いられる。次に、絶縁層17上に防湿性が高い材料からなる保護層18が形成される。保護層18は、PET(Polyethylene Terephthalate)、Al、PET等の積層体であってもよい。絶縁層17及び保護層18は、セル集積基板15の裏面電極層13側をEVAシート及びPET/Al/PETシートによって被覆し、減圧下でラミネートすることにより形成される。次に、保護層18上に図示しないフレームを取り付け、セル集積基板15がモジュール化される。このようなモジュール化工程は一例であり、ここに示すものに限られない。
[レーザ加工装置]
続いて、以上のようにして製造される薄膜太陽電池モジュールの製造装置について説明する。本実施形態の製造装置は、上述したエッジディレーション工程(ST2)とセル分離工程(ST3)とを実施するためのレーザ加工装置に係る。図10は、本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す平面図であり、図11はその側面図である。
本実施形態のレーザ加工装置50は、ステージ51と、第1のレーザ照射源100と、第2のレーザ照射源200と、ステージ51に対して第1及び第2のレーザ照射源100,200を相対移動させる移動機構と、制御部57とを有する。
ステージ51は、図2に示した工程によって作製されたセル集積基板15を支持する。ステージ51の上面には複数のピン52が配置されており、セル集積基板15は、その透明基板10側を上方に向けてピン52上に配置される。
第1のレーザ照射源100は、図5に示した構成を有しており、セル集積基板15の周縁部1aに周縁分離部V1を形成するための第1の赤外線レーザL1をステージ51上のセル集積基板15へ向けて出射する。第2のレーザ照射源200は、図8に示した構成を有しており、セル集積基板15の発電領域1bにセル分離線V2を形成するための第2の赤外線レーザL2をステージ51上のセル集積基板15へ向けて出射する。
第1及び第2のレーザ照射源100,200はそれぞれヘッド部材53に共通に支持されている。ヘッド部材53には、図10においてZ軸方向に延在するガイドレール(図示略)が敷設されており、第1及び第2のレーザ照射源100,200は、上記ガイドレールに沿ってZ軸方向に移動可能である。
ヘッド部材53は、ステージ51上に設置されたガントリー54に支持されている。ガントリー54には、図10においてY軸方向に延びるガイドレール55が敷設されており、ヘッド部材53は、ガイドレール55に沿ってガントリー54に対して相対移動可能である。一方、ステージ51の上面には、図10においてX軸方向に延びる一対のガイドレール56が敷設されており、ガントリー54は、これらガイドレール56に沿ってステージ51に対して相対移動可能である。
以上のようにして、ヘッド部材53は、ステージ51に対してX軸、Y軸及びZ軸方向にそれぞれ相対移動可能に構成される。ここで、ヘッド部材53、ガントリー54及び上記各ガイドレールは、第1及び第2のレーザ照射源100,200をステージ51に対して相対移動させる移動機構に相当する。当該移動機構は、例えばリニアモータ等の駆動部を各軸について備えている。
制御部57は、第1及び第2のレーザ照射源100及び上記移動機構の駆動をそれぞれ制御する。本実施形態では、セル集積基板15に対してエッジディレーション処理及びセル分離処理を実行する。この際、各工程における赤外線レーザL1,L2の出射タイミング、出力調整等を制御するとともに、上記移動機構によるヘッド部材53のステージ51に対する相対移動制御を行う。
上述の例によれば、制御部57は、エッジディレーション工程において、第1のレーザ照射源100から第1の赤外線レーザL1を第1の出力(70W)で照射させることで、セル集積基板15の周縁部1a上に位置する光電変換層12及び裏面電極層13を除去する。その後、制御部57は、第1のレーザ照射源100から第1の赤外線レーザL1を第2の出力(270W)で照射させることで、セル集積基板15の周縁部1a上に位置する透明電極層11を除去する。これにより、セル集積基板15に周縁分離部V1が形成される。
一方、制御部57は、セル分離工程において、第2のレーザ照射源200から第2の赤外線レーザL2を、透明電極層11に焦点を合わせたフォーカス状態で照射させることで、セル集積基板15上のセル分離線の形成領域に位置する透明電極層を除去する。その後、制御部57は、第2のレーザ照射源200から第2の赤外線レーザL2を、上記セル分離線の形成領域上に位置する光電変換層12及び裏面電極層13に対してデフォーカス状態で照射させることで、これら光電変換層12及び裏面電極層13を除去する。これにより、セル集積基板15にセル分離線V2が形成される。なお赤外線レーザL2の焦点位置は、第2のレーザ照射源200をヘッド部材53に対してZ軸方向へ移動することによって調整される。
本実施形態のレーザ加工装置50は、セル集積基板15に照射される第1及び第2の赤外線レーザL1,L2のレーザ出力をモニタする検出器58を有する。検出器58はステージ51上に配置されている。検出器58は、例えばサーモパイル方式の検出器が用いられ、吸収体に光を吸収させてその温度を熱電対で測定する。検出時、第1及び第2のレーザ照射源100,200は、検出器58の直上に移動される。検出器58の出力は制御部57へ供給され、制御部57は、検出器58の検出信号に基づいて、レーザ照射源100,200を制御する。
以上のように本実施形態のレーザ加工装置50は、周縁分離部V1を形成するための第1のレーザ照射源100と、セル分離線V2を形成するための第2のレーザ照射源200とを有する。これにより、ホットスポット対策用のセル分離構造と絶縁耐圧確保のための周縁分離構造とを共通の装置で形成することができ、薄膜太陽電池モジュール20の生産性を向上させることができる。
また、本実施形態のレーザ加工装置50は、集塵ユニット65を有する。集塵ユニット65は、セル集積基板15に対するレーザ加工の際に発生する加工屑を収集する。これにより、周縁分離部V1及びセル分離線V2の形成の際に発生する積層膜の塵埃がセル集積基板15やステージ51等へ付着することを防止し、製品及び装置の汚染を回避することができる。
集塵ユニット65は、吸引治具60と、弁機構63と、吸引ポンプ64とを有する。
吸引治具60は、ステージ51に支持されたセル集積基板15と対向するように、ステージ51に設置されている。図12は、吸引治具60の平面図である。吸引治具60は、第1の吸引ポート61(61a,61b,61c及び61d)と、第2の吸引ポート62(62a,62b,62c,62d,62e,62f,62g及び62h)とを有する。第1の吸引ポート61a〜61dは、セル集積基板15の周縁部1aに対応するように枠状に組み合わせて構成されている。第2の吸引ポート62a〜62hは、セル集積基板15のセル分離線V2の形成領域に対応するように、第1の吸引ポート61a〜61dの枠体の内方に適宜配置されている。
本実施形態において、レーザ照射源100,200は、ステージ51の上方に設置されており、レーザL1,L2は、セル基板15の成膜面とは反対側から照射される。一方、吸引治具60の各吸引口は、セル集積基板15の成膜面と向かい合わせとなるように、重力方向に対して逆向き(上向き)に開口している。これにより、周縁分離部V1及びセル分離線V2の形成の際に発生する積層膜の加工屑を効率よく集塵することができる。
弁機構63は、吸引治具60と吸引ポンプ64との間に配置されている。図12に示すように弁機構63は、第1の吸引ポート61a〜61dに個々に対応する複数の第1の開閉弁P1a,P1b,P1c及びP1dと、第2の吸引ポート62a〜62hに個々に対応する複数の第2の開閉弁P2a,P2b,P2c,P2d,P2e,P2f,P2g及びP2hとを有する。弁機構63は、制御部57の指令に応じて個々に開閉される。
吸引ポンプ64は、制御部57によって駆動制御される。吸引ポンプ64は、セル集積基板15への周縁分離部V1及びセル分離線V2の形成時は、常時駆動される。
以上のように本実施形態の吸引治具60は、周縁分離部V1及びセル分離線V2の形成領域を吸引する吸引口が複数の吸引ポート61a〜61d,62a〜62hに分割されている。したがって制御部57は、弁機構63を制御することで、吸引ポート61a〜61d,62a〜62hを個々独立して吸引ポンプ64に接続し、これら吸引ポートを個別に吸引制御することが可能である。
例えば、制御部57は、周縁分離部V1の形成工程(エッジディレーション工程)において、セル集積基板15の周縁部1a上を走査される第1の赤外線レーザL1の照射位置に対応して、複数の第1の吸引ポート61a〜61dが個々に吸引ポンプ64と接続されるように弁機構63を制御する。この場合、ひとつの吸引ポートが吸引ポンプ64と接続されている場合は、他の吸引ポートは吸引ポンプ64と接続されないように弁機構63が制御される。上記のように、第1の赤外線レーザL1による加工領域に対応して吸引ポート61a〜61dを切り替える構造とすることで、集塵効率が高まり、吸引ポンプ64の駆動電力が低減され、さらに吸引ポンプ64の小型化も実現可能となる。
一方、制御部57は、セル分離線V2の形成工程(セル分離工程)においては、第1の吸引ポート61a〜61dを吸引ポンプ64から遮断し、第2の吸引ポート62a〜62hを吸引ポンプ64と接続するように弁機構63を制御する。これにより、第2の吸引ポート62a〜62hのみ作動させることができるため、全ての吸引ポートを作動させる場合と比較して集塵効を高め、吸引ポンプ64の駆動電力を低減し、さらには吸引ポンプ64の小型化を図ることができる。
なお、第2の吸引ポートも複数に分割されているため、第2の赤外線レーザL2の照射位置に対応して、吸引作動させる吸気ポートを逐次切り替えるように弁機構63を制御してもよい。これにより上記効果が更に顕著となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、第1のレーザ照射源100及び第2のレーザ照射源200は共通のヘッド部材53に支持され、共通の移動機構によってステージ51に対して相対移動可能に構成されるようにした。これに代えて、各レーザ照射源をそれぞれ個々の移動機構によって個別に移動可能に構成されてもよい。これにより、セル集積基板15に対して周縁分離部V1とセル分離線V2とを同時に形成することが可能となる。
また以上の実施形態では、周縁分離部V1及びセル分離線V2の形成に際してレーザ照射を2回に分ける例を説明したが、これに限られない。例えば、赤外線レーザを2分割し、一方のレーザで透明導電層を除去し、他方のレーザで光電変換層及び裏面電極層を除去してもよい。例えば、500W程度のYAGレーザを用いてこれを1:9に出力を分割し、大出力のレーザ光と小出力のレーザ光とを同時に生成してもよい。この際、大出力のレーザ光は例えば1mm角のビームスポットに集光してガルバノにてスキャンし、小出力のレーザ光は例えば50μmのビームスポットに集光して移動機構によってスキャンすることができる。
また、セル分離線V2の形成に際して、2回目のレーザ加工はデフォーカス状態でレーザを照射したが、デフォーカスせずにレーザ(ビーム)を2分割し、これらを1回目の照射部分の両端に沿って照射するようにしてもよい。
10…透明基板
11…透明電極層
12…光電変換層
13…裏面電極層
14…発電セル
15…セル集積基板
20…薄膜太陽電池モジュール
50…レーザ加工装置
51…ステージ
57…制御部
65…集塵ユニット
61,62…吸引ポート
63…弁機構
64…吸引ポンプ
100…第1のレーザ照射源
200…第2のレーザ照射源
L1…第1の赤外線レーザ
L2…第2の赤外線レーザ
V1…周縁分離部
V2…セル分離線

Claims (2)

  1. 光透過性を有する第1の電極層と、赤外線波長帯域の光に吸収特性を有する半導体層を含む光電変換層と、第2の電極層との積層膜で各々形成された複数の発電セルが透明基板上に直列的に接続された薄膜太陽電池モジュールの製造装置であって、
    第1の赤外線レーザを生成し、前記透明基板の周縁部に前記第1の赤外線レーザを照射することで、前記周縁部上の前記積層膜が除去された周縁分離部を形成する第1のレーザ照射源と、
    第2の赤外線レーザを生成し、前記透明基板上の前記発電セルの形成領域に前記第2の赤外線レーザを照射することで、前記発電セルを分断するためのセル分離線を形成する第2のレーザ照射源と、
    前記透明基板を支持するためのステージと、
    前記第1のレーザ照射源及び前記第2のレーザ照射源を支持し、前記第1のレーザ照射源及び前記第2のレーザ照射源を前記ステージに対して相対移動させる移動機構と、
    前記ステージに支持される前記透明基板の前記周縁分離部の形成領域に対向して前記ステージに配置され、前記周縁分離部の形成方向に沿って分割された複数の吸引口を有する第1の吸引ポートと、吸引ポンプと、前記第1の吸引ポートと前記吸引ポンプとの間に配置され前記複数の吸引口を個々に前記吸引ポンプと接続可能な弁機構とを有する集塵ユニットと、
    前記第1のレーザ照射源、前記第2のレーザ照射源及び前記移動機構をそれぞれ制御するとともに、前記周縁領域上を走査される前記第1の赤外線レーザの照射位置に対応して、前記複数の吸引口が個々に前記吸引ポンプと接続されるように前記弁機構を制御する制御部と
    を具備する薄膜太陽電池モジュールの製造装置。
  2. 請求項1に記載の薄膜太陽電池モジュールの製造装置であって、
    前記集塵ユニットは、第2の吸引ポートをさらに有し、
    前記第2の吸引ポートは、前記ステージに支持される前記透明基板上の前記セル分離線の形成領域に対向して配置され、前記弁機構を介して前記吸引ポンプと接続され、
    前記制御部は、前記第2のレーザ照射源から前記第2の赤外線レーザを照射する場合にのみ前記第2の吸引ポートが前記吸引ポンプと接続されるように前記弁機構を制御する
    薄膜太陽電池モジュールの製造装置。
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