JP5517030B2 - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Description
この構成のリニアアクチュエータでは、コイルに流れる電流により生じる磁界と永久磁石から生じている磁界の向きとに基づいて、アウタコアとインナコアとがスラスト方向に沿って往復動する。なお、例えばアウタコアが可動子の一部を構成する部材とされ、インナコアが固定子の一部を構成する部材とされる。
この種のリニアアクチュエータでは、コイルに通電して可動子がスラスト方向に移動すると、永久磁石には可動子が移動する方向とは反対方向の力が働くことになる。
従来、永久磁石は接着剤などでインナコアに接着されていたが、近年では接着によるコスト増や接着後の剥離等の問題を解消するため、接着せずに機械的に永久磁石をインナコアに組付ける構造が採用されているものもある。この構造では、インナコアに永久磁石が完全固定されるわけではないため、永久磁石が所定位置から若干位置ずれすることがある。
そうすると、コイルに通電し可動子がスラスト方向に移動して、永久磁石に可動子が移動する方向と反対方向の力が働くと、永久磁石は前記隙間を埋める方向に変位してしまい、永久磁石は所定位置を保持できなくなってしまう。
したがって、リニアアクチュエータの原点位置の変化を抑制して、スラスト方向の推力の低下や品質の低下を防止できる。
上記構成において、分割ボビン体どうしをインナコアに対してスラスト方向両側から組付け、壁部のうちの少なくとも一方が永久磁石の端面に当接することで押圧されて撓むと、該壁部の弾発力によって永久磁石は他方の壁部側に押圧されるから、永久磁石を両壁部によって挟持して、永久磁石をインナコアの外面の所定位置に保持することができる。
上記構成によれば、通電によって発生したコイルの熱は、ボビンからこれに接触しているインナコアに伝わり、インナコアからこれに接触しているシャフトに伝わるから、永久磁石をインナコアの所定位置に確実に保持しつつ、コイルの放熱性を向上させてリニアアクチュエータの性能を向上させるという効果がさらに得られる。
図1は本発明の第一の実施形態を示すリニアアクチュエータの単体斜視図、図2は分解斜視図、図3は固定子の構成部品であるインナコアとボビンの組品の分解斜視図、図4は組品の縦断面図、図5は一方の壁部およびその周辺の拡大斜視図、図6は拡大断面図、図7は組品の全体斜視図である。
固定子2は可動子3の内側にあって、不図示の車体側に固定される。可動子3は固定子2に対して前後方向(スラスト方向)に往復動可能に支持されている。
固定子2は、インナコア20(例えば図3参照)と、ボビン200と、永久磁石2000,2100と、シャフト6とを備えている。
インナコア20は、複数枚の積層鋼板を前後方向で圧着することで構成されている。この圧着は、例えばかしめ加工による。インナコア20の上下方向且つ左右方向の中心部に、シャフト6を接触状態で挿通する挿通孔21が前後方向(スラスト方向)に沿って形成されている。
インナコア20の上部および下部には、側方から窪む直方体形状の凹部26,27が形成されている。
前側の分割ボビン体210と後側の分割ボビン体220とでは、永久磁石2000,2100に当接する壁部の構成が異なる。
また、分割ボビン体210は、上鍔部231および下鍔部232を有する。上鍔部231および下鍔部232は、それぞれ左右方向端部に、上鍔部231、下鍔部232の上面231a、下面232aからそれぞれ立ち上がって前後方向に沿う縦壁233,243を有する。
分割ボビン体210の分割面210aは上下方向の平坦面に形成されている。
縦壁233は上鍔部231の左右両側に設けられて、永久磁石2000の左右側の端面2000a,2000bの前側略半分にそれぞれ当接する。縦壁243は下鍔部232の左右両側に設けられて、永久磁石2100の左右側の端面2100a,2100bの前側略半分にそれぞれ当接する。
弾発当接体235は、永久磁石2000の端面2003に弾性的に当接可能な構成されている。すなわち弾発当接体235は、上鍔部231の上面231aから、さらに上方に立設する本体板部237と、この本体板部237の上端から永久磁石2000の端面2003側に向けて直角に折曲された押圧片238とから構成されている。
このような押圧片238は正面視して略矩形形状に形成されている。
囲い壁251は、回避壁250の左右方向それぞれの端部から後方に向けて突出する段付壁252を介して一体的に形成されている。回避壁250と囲い壁251はともに押圧片238に平行に形成されている。
回避壁250を後方で支持するリブ270が、上鍔部231の上面231aに一体的に形成されている。リブ270は後側ほど高く形成されており、その後側端部が回避壁250に等しく設定され、リブ270は側面視して三角形状に形成されている。
また,上側の押圧片238が上側の永久磁石2000の端面2003に接触可能であるのに対して、下側の押圧片248は下側の永久磁石2100の端面2004に接触可能である点で異なる。
本体部221において、インナコア20の挿通孔21に前後方向で対向する領域は、挿通孔21よりも大径の開口部221Aとされている。この開口部221Aはシャフト6をインナコア20に挿通可能とする大きさに形成されている。
縦壁239は上鍔部241の左右両側に設けられて、永久磁石2000の左右側の端面2000a,2000bの後側略半分にそれぞれ当接する。縦壁249は下鍔部242の左右両側に設けられて、永久磁石2100の左右側の端面2100a,2100bの後側略半分にそれぞれ当接する。
分割ボビン体220の分割面220aは上下方向の平坦面に形成されている。
また,上側の壁部201の前面201aが上側の永久磁石2000の端面2004に接触可能であるのに対して、下側の壁部202の前面202aが下側の永久磁石2100の端面2104に接触可能である点で異なる。
また、分割ボビン体210,220どうしを、インナコア20の前後方向から覆うようにして組合せることで、ボビンBとインナコア20の組品Uとなる。
アウタコア7は複数枚の積層鋼板を前後方向で圧着することで構成されている。この圧着は、例えばかしめ加工による。
アウタコア7は角筒状に形成されている。アウタコア7の内面のうち、上部および下部に、永久磁石2000,2100とそれぞれ上下方向(ラジアル方向)で対向する上側の膨出部70、下側の膨出部71が一体的に形成されている。
下側の膨出部71の上面71aは永久磁石2100の下面2006に上下方向で対向する面であり、永久磁石2100の下面2006に沿う曲面とされている。
各板バネ4,5の中心部に、シャフト6の途中部分が挿通される挿通孔4A,5Aが形成されている。シャフト6の途中部分は、挿通孔4A,5Aに挿通されている。また、シャフト6の途中部分は、インナコア20の挿通孔21に接触状態で挿通されている。
シャフト6の先端部にナットNを螺合させることで、板バネ4,5とシャフト6とが一体化される。
符号Sは各分割ボビン体210,220の開口部211A,221Aに挿入されるスリーブ状のスペーサである。
この押圧片238は対向面212から後方へ突出して、本体板部237はその基部を中心として、前後方向に撓むことができるよう構成されている。
分割ボビン体210,220どうしが圧接されて、対向する方向に歪むと、上側の押圧片238が永久磁石2000の端面2003に押圧されて、ボビンBの歪み量に応じた分だけ押圧片238が前方へ撓む。これは、永久磁石2000はその後方において壁部201によって支持されているからである。
したがって、コイルCをコイル巻回部B1,B2に巻付けると、上側の弾発当接体235はその弾性により、永久磁石2000の端面2003を後方へ押圧する。これによって、永久磁石2000の位置を保持することができる。
分割ボビン体210,220どうしが圧接されて、対向する方向に歪むと、押圧片238が永久磁石2000の端面2003に押圧されて、ボビンBの歪み量に応じた分だけ押圧片238が前方へ撓む。これは、永久磁石2000はその後方において壁部201によって支持されているからである。
したがって、コイルCをコイル巻回部B1,B2に巻付けると、弾発当接体235はその弾性により、永久磁石2000の端面2003を後方へ押圧する。これによって、永久磁石2000の位置を保持することができる。
しかしながら、この実施形態では、接着剤を用いることなくインナコア20の所定位置に永久磁石2000,2100を確実に保持することができるから、コスト高にならず、リニアアクチュエータ1の性能も安定させられる。
しかしながら、本発明の実施形態によれば、接着剤を用いなくても永久磁石2000,2100の位置を保持することができるから、アクチュエータ1としての信頼性を向上させることができる。
しかしながら上記のように永久磁石2000,2100をインナコア20の所定位置に保持しているので、可動子3の移動方向とは反対の方向の力が永久磁石2000,2100に働いても、永久磁石2000,2100の変位(位置ずれ)を防止することができる。
しかしながら、分割ボビン体210の壁部234,244の弾発当接体235,245は、対向面212から後方へ突出する押圧片238,248を有している。
したがって、永久磁石2000,2100に対するインナコア20の前後方向の寸法が大きい場合でも、永久磁石2000,2100を所定の位置に保持することが可能になる。
例えば、永久磁石2000,2100に対するインナコア20の前後方向の寸法誤差の範囲を知って、その寸法誤差より押圧片238,248の前後方向の長さを長くしておく。こうすることによって、押圧片238,248を永久磁石2000,2100の端面2003,2103に接触させて本体板部237,247を前方へ撓ませることができる。
したがって、永久磁石2000,2100に対するインナコア20の前後方向の寸法が大きい場合であっても、永久磁石2000,2100を後方へ向けて弾発付勢し、所定の位置に保持することができる。
この場合でも、本体板部237,247の前方へ撓み量が異なる(前述の場合に比べて多くなる)だけであって、永久磁石2000,2100を後方へ弾発付勢して、所定の位置を保持することができる。
何れにしても、対向面212がコア前面22に当接する前に、押圧片238,248が永久磁石2000,2100の端面2003,2103に当接して、弾発当接体235,245の弾性により、永久磁石2000,2100の変位を防止することができる。
このように、インナコア20の表面にボビンBの内面が当接すれば、コイルCへの通電によって発生した熱は、ボビンB、インナコア20、インナコア20に接触状態で挿通しているシャフト6を通って、外部へ排熱される。したがって、リニアアクチュエータ1としての性能の信頼性を確保することができる。
上記第一の実施形態では、弾発当接体235,245は、分割ボビン体210の上鍔部231および下鍔部232に形成した。しかしながら、第二の実施形態では、分割ボビン体210の凹部210Aにおいて、その底壁260の一部に、弾発当接体2350を一体的に形成している。弾発当接体2350は、底壁260の一部を加工してさらに上方に延長した本体板部2360とその上端部を折曲するよう設けた押圧片2370とから一体的に形成されている。押圧片2370は、凹部210Aを構成する上鍔2380に形成した開口部2380Aから上方に突出している。開口部2380Aの前後幅は、本体板部2360の前方への撓みを許容できるよう設定されている。
ボビンBのコイル巻回部B1にコイルCを巻付けると、その巻付け力によって押圧片2370が端面2003に当接した状態で、弾発当接体2350の本体板部2360がインナコア20のコア前面22に当接する方向に撓む。
この本体板部2360の弾性により、永久磁石2000が後方へ弾発付勢され、後側の壁部201の前面201aと押圧片2370とで永久磁石2000を所定位置に確実に保持することができる。
なお、図では分割ボビン体210において、上側の凹部210Aのみを示している。しかしながら、図示しないが、下側の凹部210Aにも上下を逆転した同様の構成の弾発当接体を設けている。これによって、永久磁石2100を保持することができる。
この実施形態の構成は、第一の実施形態における弾発当接体235における押圧片238を省略したものである。換言すれば弾発当接体235が本体板部2375のみから構成されている。なお、本体板部2375の後面2375aは、対向面212と面一である。他の構成は上記第一の実施形態と同様である。
なお、図では分割ボビン体210において、上鍔部231側の本体板部237のみ示している。しかしながら、図示しないが、分割ボビン体210の下鍔部232に本体板部237とは上下を逆転した同様の構成の弾発当接体(本体板部)を設けている。この構成により、永久磁石2100を前後方向で保持することができる。他の作用効果は、上記第一の実施形態と同様である。
例えば、弾発当接体235(245)において、本体板部237(247)に対する押圧片238(248)の折曲角度は、上記実施形態では直角としている。しかしながらこの角度に限定されず、押圧片238の先端部238aが永久磁石2000の端面2003を押圧する際に、永久磁石2000をインナコア20のコア上面28から上方へ持ち上げないような角度(例えば90度よりも小さい角度)に設定することも好ましい。このことは、押圧片248についても同様である。
Claims (4)
- インナコアと、アウタコアに内外で対向するようインナコアの外面の所定位置に配置される永久磁石と、該永久磁石を露出させた状態でインナコアを覆うコイルが巻付けられるボビンとを有し、該ボビンはインナコアにスラスト方向両側から組付けられるよう分割された分割ボビン体からなるリニアアクチュエータであって、
前記各分割ボビン体に、前記永久磁石のスラスト方向の各端面にそれぞれ対向する壁部が設けられ、該壁部のうちの少なくとも一方は、前記永久磁石を他方の壁部側に向けて弾発付勢可能に構成され、分割ボビン体どうしをスラスト方向で組付けるとそれぞれの壁部が永久磁石のそれぞれの端面にスラスト方向で当接して挟持するよう構成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 少なくとも一方の分割ボビン体の壁部は、分割ボビン体どうしをスラスト方向で組付けると、当接した永久磁石の端面によって押圧されて撓むよう構成されていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
- 分割ボビン体どうしをスラスト方向で組合せた状態でコイルが巻付けられ、該巻付け力によって分割ボビン体どうしがスラスト方向に組付けられて、壁部どうしで永久磁石を挟持するよう構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリニアアクチュエータ。
- 各分割ボビン体はインナコアのスラスト方向の側面に密着され、インナコアとボビンの組品に、スラスト方向のシャフトが接触状態で挿通されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のリニアアクチュエータ。
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JP4924914B2 (ja) * | 2005-11-11 | 2012-04-25 | シンフォニアテクノロジー株式会社 | アウタ可動型リニアアクチュエータ |
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