JP5516489B2 - 無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法 - Google Patents
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Description
まず、従来技術ではないが、先願の技術として特願2010−128149号明細書に記載の技術がある。特願2010−128149号明細書には、無機酸化物材料を、5mmよりも小さい粒度まで粗粉砕した後、150μm以下の粒度のものを篩いとり、全体に対する150μm以下の粒度の質量割合を測定した上で、前記の150μm以下の粒度の材料中に含まれるエトリンガイトの量をX線回折(X−Ray Diffraction;XRD)により定量し、それを質量割合で割り戻すことによって無機酸化物材料中のエトリンガイトを定量する方法が記載されている。
また、非特許文献7には、合成エトリンガイトとジルコン(ZrSiO4)の混合物に内標準試料を添加してXRD測定を行うと、XRDから得られたエトリンガイトの濃度と、仕込みのエトリンガイト濃度との間に良好な直線関係が得られたという報告がなされている。
また、非特許文献9には、ダイナミックTGと呼ばれる通常のTGでは識別できない「隣接した温度の重量減少」を分離して検出することが可能な分析手法を用いて、エトリンガイト/モノサルフェート混合物中のエトリンガイトの比率と、エトリンガイトからの水分子の脱離に由来する65℃における重量の減少率と、の関係を示す検量線を作成すると、非常に良い直線性が得られたという報告がなされている。
非特許文献3に記載されたDTAによる定量方法は、XRDとは異なり、エトリンガイトのわずかな組成の違いや結晶性の違いに対して、エトリンガイトの定量値が影響を受けにくいという実験結果が報告されている。しかしながら、セメントの水和反応が進行し、生成されるCSH相の比率が多くなるに従い、CSHに由来する広幅な吸熱ピークがエトリンガイトの吸熱ピークと同じような温度域に観測されることから、両者のピークが重なってしまう。このため、エトリンガイトを精度良く定量することが困難となる。また、非特許文献3に記載された混合溶媒による抽出法では、エトリンガイト試薬の抽出率が93.6〜98.4%となるため、エトリンガイトがほぼ全量抽出されるものの、モノサルフェートも同時に5.1〜8.1%抽出されてしまう。このため、精度良くエトリンガイトを定量する方法としては理想的ではない。また、この方法では、溶媒抽出という前処理が必要なため、簡便な方法とは言い難く、分析者によって測定値がばらつく可能性もある。
非特許文献6に記載の方法は、セメント硬化過程におけるエトリンガイトのXRD強度の変化を示しているだけであり、測定に絶対的な定量性はない。
非特許文献9の方法は、純物質に対しては有効であると思われるが、スラグ中に生成された微量のエトリンガイトを定量したい場合、測定誤差が大きくなる懸念がある。また、スラグを始めとする無機酸化物材料中には様々な形態の水和物が存在していると予想されるため、非特許文献9の方法では、同じような温度域において他の水和物に起因する重量減少が観測される可能性が高い。
以上のように、特願2010−128149号明細書、特許文献1、及び非特許文献3〜8に記載されたXRDによるエトリンガイトの定量方法は汎用的に用いられている方法であるが、定量値がエトリンガイトの生成プロセスやマトリックスの種類、配向性、結晶性等の影響を受けやすいという問題がある。
このような事情に鑑みて、本発明は、固体核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)法を用いることで、無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を、迅速に且つ精度良く定量する方法を提供することを目的とする。更に詳しくは、エトリンガイト以外のアルミニウムを含有する化合物と無機酸化物材料との混合物の固体NMRスペクトルを測定し、エトリンガイト以外のアルミニウム含有化合物と無機酸化物材料中のエトリンガイトの固体NMRスペクトルのピークの積分強度の比率から、無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を、事前処理を行うことなく迅速に且つ精度良く測定する方法を提供することを目的とする。
(1)無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法であって、前記無機酸化物材料と、無機酸化物材料中には存在しないアルミニウム含有化合物である添加化合物とを固体NMR試料管の中に導入する試料導入工程と、前記固体NMR試料管の中にある、前記無機酸化物材料と前記添加化合物との混合物に対して、固体NMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルの測定を行って、前記混合物の固体NMRスペクトルを得る固体NMRスペクトル測定工程と、前記固体NMRスペクトルの前記エトリンガイトに起因するピークの波形と、前記固体NMRスペクトルの前記添加化合物に起因するピークの波形とを比較した結果に基づいて、前記無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を求めるエトリンガイト含有量導出工程と、を有することを特徴とする無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(2)前記固体NMRスペクトルの測定は、27Alの固体NMRスペクトルの測定であり、前記エトリンガイト含有量導出工程において、前記27Alの固体NMRスペクトル測定によって得られた固体NMRスペクトルのピークの化学シフト値から、エトリンガイトに起因するピークを同定し、前記無機酸化物材料中のエトリンガイトに起因するピークと、前記添加化合物に起因するピークとの積分強度比から、前記無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を求めることを特徴とする(1)に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(3)前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、27Al MAS(Magic Angle Spinning)法を用いて測定することを特徴とする(1)又は(2)に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(4)前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、11.7 T以上の静磁場強度下で測定することを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(5)前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、10kHz以上の試料回転速度で測定することを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(6)前記添加化合物は、アルミニウムを含有するエトリンガイト以外の化合物であり、且つ対称性の良い結晶格子を有する化合物であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(7)前記添加化合物は、前記無機酸化物材料に対して1mass%以上、50mass%以下の比率で混合されることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(8)前記添加化合物は、AlK(SO4)2・12H2Oであることを特徴とする(6)又は(7)に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(9)前記固体NMRスペクトルの前記エトリンガイトに起因するピークの波形と、前記固体NMRスペクトルの前記添加化合物に起因するピークの波形とが分離していることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
(10)前記無機酸化物材料は、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、無機酸化物材料、フライアッシュ、ボトムアッシュ、コンクリート、セメントまたはそれらの2種以上の混合物であることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
以下に説明する本発明の実施形態では、無機酸化物材料に、当該無機酸化物材料中には存在しないアルミニウム含有化合物(添加化合物)を一定の割合で混合して固体NMR試料管に導入し、当該混合物の固体27Al NMRスペクトルの測定を行い、当該無機酸化物材料中のエトリンガイトに相当する「NMRスペクトルのピーク」と、添加化合物の「NMRスペクトルのピーク」との積分強度を比較することによって、無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの定量を迅速に且つ精度良く評価でき、無機酸化物材料の管理及び利用指針とするようにしている。なお、前記の「混合物」は、無機酸化物材料とアルミニウム含有化合物とが均一に混合されているものである必要はなく、NMR試料管に共に入っていればよいことを意味する。また、無機酸化物材料としては、例えば、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、無機酸化物材料、フライアッシュ、ボトムアッシュ、コンクリート、セメント、又はそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明者らは、無機酸化物材料中のエトリンガイトを定量する際には、定量誤差の原因となる測定試料の前処理等を必要とせず、得られた定量結果が属人的とならないためには、NMR測定が有効であることを見出した。
NMRでは、試料内部を含めた試料全体の構造を明らかにすることができる。NMRは、結合相手の元素や結合角といった局所構造のわずかな差異に対しても、得られる化学シフト値(周波数)が敏感である。さらに、NMRには、元素の選択性があるため、無機酸化物材料のような多成分且つ複雑な構造を持つ材料に対して、エトリンガイトのみのピークを検出できる。
本実施形態において、無機酸化物材料中のエトリンガイトの定量は、固体27Al NMRスペクトルの測定により行うことができる。Al原子の結合状態により特定の化学シフト値を与えるので、測定した無機酸化物材料の固体27Al NMRスペクトルの化学シフト値から、当該無機酸化物材料に存在するエトリンガイトの有無を特定する。
また、27Al核は核スピンが5/2であり、四極子核であるという特徴を持つ。四極子核の固体NMRスペクトルの測定においては、一般的に2次の核四極子相互作用の影響によって、得られるAl含有化合物のピークが非対称化・広幅化するため、ピークの検出が困難になるばかりでなく、定量精度も低下するという問題点を有する。しかしながら、本発明者らは、本実施形態で観測するエトリンガイトの結晶構造の対称性が非常に良いため、2次の核四極子相互作用の大きさの指標となる核四極子結合定数がほぼゼロとなり、固体NMRスペクトルでも、溶液NMRスペクトルで得られるような左右対称な先鋭化したピークを得ることができることに着目した。
高炉徐冷スラグaにおいては、2つのピークが観測された。一つは60〜70ppm付近にピークトップを示す広幅且つ非対称なピーク101であり、もう一つは13.2ppmに現れる非常に先鋭化したピーク102である。
固体27Al NMRスペクトルの測定の結果から、無機酸化物材料中のエトリンガイトを定量する方法として、主に2つの方法が考えられる。一つ目の方法(第1の方法)として、以下の方法が考えられる。
まず、固体NMR試料管の中に封入するエトリンガイトの質量を変えて27Al MAS NMRスペクトルを複数測定し、当該複数の27Al MAS NMRスペクトルから得られるエトリンガイトのピークの積分強度と、固体NMR試料管に封入したエトリンガイトの質量とを相互に関係づける検量線を予め作成する。
最後に、以上の方法で決定したエトリンガイトの質量を固体NMR試料管の中に封入した無機酸化物材料の全質量で割ることによって、無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量をmass%単位で求めることができる。
図2に示すように、AlK(SO4)2・12H2O中のAlは−0.2 ppmに非常に先鋭なピーク201を示す。さらに、AlK(SO4)2・12H2Oの27Al MAS NMRスペクトルのピークは、エトリンガイトの27Al MAS NMRスペクトルのピーク202と重なり合っていないため、標準試料として好適である。
図3に、静磁場強度を変化させたときの高炉徐冷スラグcとAlK(SO4)2・12H2Oの混合物の27Al MAS NMRスペクトルの一例を示す。なお、図3の横軸の単位はppmである。また、図3の※の下に示されているピークは、エトリンガイトのスピニングサイドバンドを表し、★の下に示されているピークは、スラグ骨格のスピニングサイドバンドを表し、●の下に示されているピークは、AlK(SO4)2・12H2Oのスピニングサイドバンドを表す。
エトリンガイト(mass %)=(Wref/Woxide)(Mett/Mref)(Sett/Sref)×50 ・・・(1)
ここで、(1)式の変数は以下の通りである。
Woxide:NMR測定に供した無機酸化物材料の質量(mg)
Wref:前記無機酸化物材料と共にNMR試料管に導入したAlK(SO4)2・12H2Oの質量(mg)
Mref:AlK(SO4)2・12H2Oの分子量(=474.39)
Mett:エトリンガイトの分子量(=1255.11)
Sref:27Al MAS NMRスペクトルから得られたAlK(SO4)2・12H2Oに由来するピークの積分強度
Sett:27Al MAS NMRスペクトルから得られた無機酸化物材料中のエトリンガイトに由来するピークの積分強度
以上の前記第2の方法を用いることによって、溶媒抽出等の前処理を必要とせずに、測定誤差を生じる原因となる因子を低減でき、無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量を迅速に且つ精度良く決定することができる。
また、不均一な構造を有する無機酸化物材料を測定対象とする場合には、エトリンガイトの含有量の代表性を向上させるために、別の部分からサンプリングした試料中のエトリンガイトを複数回測定し、得られた定量値の平均をとることが望ましい。
なお、以上の処理は、NMR装置と、情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)とを用いることにより実現することができる。
以下に、本発明の内容を具体的に説明するための実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、64.24mgの高炉徐冷スラグbと、2.90mgのAlK(SO4)2・12H2Oとを直径4.0mmの固体NMR測定用試料管に均一になるように導入した後、固体NMRプローブに挿入し、700MHz固体NMR装置(測定磁場強度=16.4T)にセットした。固体NMR測定用試料管を外部磁場に対してマジック角(54.7°)だけ傾斜し、18kHzの速度で回転させた。このときの27Al核の共鳴周波数は、182.30MHzであった。27Al NMRの化学シフト基準として、AlCl3水溶液のピークを−0.1ppmとした。27Al MAS NMRスペクトルの測定にはシングルパルス法を用い、パルスのフリップ角を18°に設定した。また、励起された核スピンを完全に緩和させるため、パルス繰り返し時間を0.5sに設定した。スペクトルの観測幅を1MHzに設定して測定した。積算回数を1280回に設定した。一つの27Al MAS NMRスペクトルを得るのに要した時間は約10分であった。表1に、蛍光X線分光法により求めた高炉徐冷スラグbの元素分析値を示す。
図2において、60〜70ppm付近に高炉徐冷スラグbのスラグ骨格内に存在しているAlの主ピーク203が、13.2ppmに高炉徐冷スラグb中に存在しているエトリンガイトの主ピーク202が、−0.2ppmにAlK(SO4)2・12H2Oの主ピーク201がそれぞれ観測された。また、スラグ骨格/エトリンガイト/AlK(SO4)2・12H2Oの各主ピーク203、202、201の位置から、試料回転周波数(試料回転速度)である18kHz(=98.7 ppm)離れるごとに、SSB(随伴線)が観測された。
図4に、高炉徐冷スラグb/AlK(SO4)2・12H2Oの27Al MAS NMRスペクトルで観測されたエトリンガイト及びAlK(SO4)2・12H2Oの全てのSSBの積分強度を、ぞれぞれの主ピークの積分強度に加算したスペクトルを示す。なお、図4の横軸の単位はkHzである。
次に、Woxide=64.24 mg、Wref=2.90 mg、Mett=1255.11、Mref=474.39、Sref=60.83、Sett=40.52のそれぞれの値を(1)式に代入したところ、高炉徐冷スラグb中のエトリンガイトの含有量は3.98 mass%と算出された。
実施例2では、嵩密度の異なる3種類(CaCO3あるいは50.9CaO−5.5MgO−12.5Al2O3−31.1SiO2ガラス(質量比)あるいはポリエチレン)のマトリックスと、エトリンガイト試薬と、AlK(SO4)2・12H2Oとを、直径4.0mmの固体NMR測定用試料管に均一になるように導入した後、固体NMRプローブに挿入し、700MHz固体NMR装置(測定磁場強度=16.4T)にセットした。固体NMR測定用試料管を外部磁場に対してマジック角(54.7°)だけ傾斜し、18 kHzの速度で回転させた。このときの27Al核の共鳴周波数は、182.30MHzであった。27Al NMRの化学シフト基準として、AlCl3水溶液のピークを−0.1ppmとした。27Al MAS NMRスペクトルの測定にはシングルパルス法を用い、パルスのフリップ角を18°に設定した。また、励起された核スピンを完全に緩和させるため、パルス繰り返し時間を0.5sに設定した。スペクトルの観測幅を1MHzに設定して測定した。積算回数を1280回に設定した。一つの27Al MAS NMRスペクトルを得るのに要した時間は約10分であった。表2に、固体NMR測定用試料管に導入したマトリックスの質量(Wmatrix)と、エトリンガイトの質量(Wett)と、AlK(SO4)2・12H2Oの質量(Wref)と、AlK(SO4)2・12H2OのNMRピークの積分強度(Sref)と、エトリンガイトのNMRピークの積分強度(Sett)とを示す。
エトリンガイト及びAlK(SO4)2・12H2Oの主ピークの積分強度に、それぞれの全てのSSBの積分強度を加算することで、定量性の高い結果を得た。仕込みのエトリンガイトの濃度と27Al MAS NMRスペクトル測定から得られたエトリンガイトの濃度を表2に示した。
得られたデータはほぼ傾き1の直線上に乗っていることから、少なくともエトリンガイトの濃度が0.3〜10mass%程度の範囲内では、信頼性の高い定量値が得られることが確認できた。また、固体NMR測定用試料管への導入密度は、およそCaCO3/CaO−MgO−Al2O3−SiO2ガラス/ポリエチレン=2.5/2.9/1.0(ポリエチレンの密度を1.0としたときの相対値)であった。図5を見ると、ポリエチレンのような嵩密度が(相対的に)小さいマトリックスでもCaO−MgO−Al2O3−SiO2ガラスのような嵩密度が(相対的に)大きいマトリックスでも、得られるデータは1:1の関係を示す直線状にあることから、マトリックスの種類に依存しない一義的な定量値が得られた。以上の結果から、今回発明した固体27Al NMRによる方法を用いれば、マトリックスの種類に寄らず、精度の高いエトリンガイトの定量値を得ることが可能となることが確かめられた。
以上説明した本実施形態によれば、無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を、事前処理を行うことなく迅速に且つ精度良く測定することが可能となることから、鉄鋼業やセメント製造業における利用価値は極めて高いものである。
102、103、202、302、306 エトリンガイトの主ピーク
101、203、301、304、305 スラグ骨格の主ピーク
401 SSBを加算したエトリンガイトの主ピーク
402 SSBを加算したAlK(SO4)2・12H2Oのピーク
Claims (10)
- 無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法であって、
前記無機酸化物材料と、無機酸化物材料中には存在しないアルミニウム含有化合物である添加化合物とを固体NMR試料管の中に導入する試料導入工程と、
前記固体NMR試料管の中にある、前記無機酸化物材料と前記添加化合物との混合物に対して、固体NMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルの測定を行って、前記混合物の固体NMRスペクトルを得る固体NMRスペクトル測定工程と、
前記固体NMRスペクトルの前記エトリンガイトに起因するピークの波形と、前記固体NMRスペクトルの前記添加化合物に起因するピークの波形とを比較した結果に基づいて、前記無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を求めるエトリンガイト含有量導出工程と、
を有することを特徴とする無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。 - 前記固体NMRスペクトルの測定は、27Alの固体NMRスペクトルの測定であり、
前記エトリンガイト含有量導出工程において、前記27Alの固体NMRスペクトル測定によって得られた固体NMRスペクトルのピークの化学シフト値から、エトリンガイトに起因するピークを同定し、前記無機酸化物材料中のエトリンガイトに起因するピークと、前記添加化合物に起因するピークとの積分強度比から、前記無機酸化物材料中に存在するエトリンガイトの含有量を求めることを特徴とする請求項1に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。 - 前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、27Al MAS(Magic Angle Spinning)法を用いて測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、11.7 T以上の静磁場強度下で測定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記固体NMRスペクトル測定工程は、前記固体NMRスペクトルを、10kHz以上の試料回転速度で測定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記添加化合物は、アルミニウムを含有するエトリンガイト以外の化合物であり、且つ対称性の良い結晶格子を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記添加化合物は、前記無機酸化物材料に対して1mass%以上、50mass%以下の比率で混合されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記添加化合物は、AlK(SO4)2・12H2Oであることを特徴とする請求項6又は7に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記固体NMRスペクトルの前記エトリンガイトに起因するピークの波形と、前記固体NMRスペクトルの前記添加化合物に起因するピークの波形とが分離していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
- 前記無機酸化物材料は、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、無機酸化物材料、フライアッシュ、ボトムアッシュ、コンクリート、セメントまたはそれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の無機酸化物材料中のエトリンガイトの含有量の定量方法。
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