本発明の第1実施形態は、マウンティング装置に用いられるプリント基板の支持装置に関し、とくに、プリント基板を2個のローラを備える支持具により水平に挟持するプリント基板の支持装置に関する。
図1は本発明の第1実施形態のプリント基板の支持装置斜視図、図2は本発明の第1実施形態のプリント基板の支持装置平面図、及び図3は本発明の第1実施形態のプリント基板の支持装置側面図であり、プリント基板を挟持する支持具の配置を表している。図中の直交座標はxy平面が水平面に、z軸が鉛直になるように採っている。なお、図1〜3は、プリント基板1を挟持して所定位置に支持した状態を表している。
図1〜3を参照して、本発明の第1実施形態のプリント基板の支持装置11は、プリント基板1をx軸方向及びy軸方向に押止して挟持する6個の支持具2(支持具2f、2m)を備える。この支持具2は、プリント基板の対向する2辺を、1辺を2個の支持具2fにより、他辺を1個の支持具2mにより、3点で支持する。かかる1対の対向する2辺を3点支持する3個の支持具2f、2mを1組として、互いに直交する方向に支持する2組の支持具2f、2mが設けられる。
即ち、矩形のプリント基板1の直交する2辺(図1、2中の、左辺及び上辺)に沿ってプリント基板1の外側に、それぞれ2個の支持具2fがプリント基板の支持装置11のペース5(図3参照)に固定されている。また、この直交する2辺にそれぞれ対向する辺(図1、2中の、右辺及び下辺)に近接して、それぞれの辺ごとに1個の支持具2mが設けられる。この各辺に1個づつ設けられる支持具2mは、移動手段3(図3参照)を用いて対向する辺の方向(移動方向6)へ向けて前後に移動することができる。
この移動手段3は、ベース5上に固設されたx軸方向に延在する棒状のガイド3bと、ガイド3bに跨乗してx軸方向に摺動するスライダー3aとを備える。移動可能な支持具2mは、スライダー3a上に固定され、スライダー3aの移動と共にx軸に沿って前後に移動することができる。なお、固定された支持具2f及び移動可能な支持具2mは、同じ高さにに設けられる。
プリント基板1は、移動可能に設けられた支持具2mにより一辺(図1〜3中の右辺)をx軸の負方向へ押圧され、対向する他辺を固定された支持具2fに当接されて押止される。この状態で、プリント基板1は、固定された2個の支持具2fと移動可能な支持具2mとの間に挟持される。なお、プリント基板1をy軸方向に挟持する固定された2個の支持具2fと移動可能な支持具2mは、固定する向き及び移動方向(y軸方向に移動する)が異なる他は、y軸方向に挟持する支持具2f、2mと同様である。
本第1実施形態では、x軸及びy軸の2方向からプリント基板1を挟持する。これにより、プリント基板1は、固定された支持具2fに当接してxy面内で位置決めされる。しかしこれに限られず、何れか一方向のみを挟持してもよい。このとき、挟持されない方向には、支持具2fによるプリント基板1の位置決めがなされない。この場合、例えば画像認識装置を用いた位置決め装置により、xy面内の位置決めがなされる。
図4は本発明の第1実施形態の支持具の構造説明図であり、図4(a)は支持具の斜視図を、図4(b)は支持具の側面図を及び図4(c)は支持具の正面図を表している。
図4を参照して、本第1実施形態の支持具2(支持具2f、2m)は、垂直断面がL字型の支持台2dと、支持台2dに固設された水平断面がL字型の取付部2cと、取付部2cに取り付けられた第1のローラ2a(以下「上段のローラ2a」という。)及び第2のローラ2b(以下「下段のローラ2b」という。)とを有する。以下、ベース5上に固定される支持具2fについて説明し、とくに支持具2fと支持具2mとが異なる部分はその都度説明する。
説明を簡明にするために、以下、x軸方向にプリント基板1を挟持する支持具2f、2mの構造を説明する。なお、y軸方向にプリント基板1を挟持する支持具2f、2mは、z軸回りに90度回転して設けられる他は、x軸方向にプリント基板1を挟持する支持具2f、2mと同様なので、説明を省略する。
支持台2dは、L字の垂線がベース5(図3を参照)上面に垂直になるように、L字の底面2d−1をベース5上面に接触させて固定される。なお、移動可能な支持具2mでは、L字の底面2d−1をスライダ3a上面に接触させて固定される。このとき、支持台2dの垂直な外壁面2d−2がx軸に垂直になるように固定する。取付部2cは、支持台2dの垂直な外壁面2d−2に、取付部2cのL字の一底辺2c−2を密接させて固定される。これにより、取付部2cの他の底辺2c−1はy軸に垂直に固定される。
取付部2cのy軸に垂直な他の底辺2c−1には、2本の回転軸2e−1、2e−2が螺設されている。この回転軸2e−1、2e−2は、その軸芯23−1、23−2が、支持された状態のプリント基板1上面(本第1実施形態では水平面)に平行な2つの平面21、22上にそれぞれ延在し、かつ、プリント基板1の挟持方向(x軸に沿う方向)に垂直に向くように設けられる。従って、y軸に平行な回転軸2e−1及び第2の回転軸2e−2が、上下段違いに設けられる。なお、支持された状態のプリント基板1の上面は、後述するように支持装置に設定された基準面と平行するか又は一致している。
上段のローラ2a 及び下段のローラ2bは、第1及び第2の回転軸2e−1、2e−2にそれぞれの軸孔を緩挿させ、止め輪2rで脱落を防止されて、それぞれの回転軸2e−1、2e−2廻りに回動自在に、即ち外力が作用したときその外力に駆動されて回転するように取り付けられる。従って、上段のローラ2a 及び下段のローラ2bは、互いに段違いに設けられ、それぞれy軸に平行な回転軸2e−1、2e−2廻りにzx面内で回動する。これらのローラ2a、2bは、最外周が円形であれは足り、例えば円板形とすることができる。
なお、上段及び下段のローラ2a 、2bは、外力が加わったとき、外力により生ずるトルクに従って正逆何れにも容易に回転するように、小さな回転摩擦抵抗で回転することが望ましい。このため、上段及び下段のローラ2a、2bは、固設された回転軸2e−1、2e−2との回転摩擦が小さな材料、たとえばエンジニアリングプラスチックで製造されることが好ましい。もちろん回転摩擦抵抗が小さな回転軸受を用いることもできる。さらに、回転軸2e−1、2e−2を固設せず、回動自在に設けてもよい。
上述した上段のローラ2a 及び下段のローラ2bは、互いに段違いに設けられる。このとき、上段及び下段のローラ2a、2bの外周円が、回転軸2e−1、2e−2の軸芯23−1、23−2方向(y軸に沿う方向)から見たとき、2つの平面21、22の間で交差するように、言い換えれば、回転軸2e−1の軸芯2e−1の高さと、回転軸2e−1の軸芯2e−2の高さとの間の高さで交差するように、回転軸2e−1、2e−2の位置と上段及び下段のローラ2a、2bの直径とが設計される。このように設計することで、後述するように、回転軸2e−1、2e−2の軸芯の間の高さに搬入されたプリント基板1を、所定の高さに水平に支持することができる。なお、このように設計されるならば、回転軸2e−1、2e−2を上下斜めに設けてもよく、また、上段及び下段のローラ2a、2bの直径を異なるものとしてもよい。
本第1実施形態では、上段及び下段のローラ2a、2bを直径13mmの同一直径とし、回転軸2e−1、2e−2を互いに垂直方向に11mm離して設けた。従って、プリント基板1を所定の高さに支持するには、プリント基板1の挟持される両辺がこの回転軸2e−1、2e−2間の11mmの範囲の高さに入るようにプリント基板1を搬入すれはよく、精密な搬入精度は要求されない。
次に、プリント基板1の搬入から支持までの工程を説明する。
図2及び図3を参照して、まず初めに、図2の右側及び下側(図3の右側)に示す2個の移動可能な支持具2mを、それぞれx軸の正方向及びy軸の負方向へ後退しておく。これにより、対向する支持具2f、2mの間隔が広くなり、支持具2f、2m間へのプリント基板1の搬入が容易になる。
次いで、プリント基板1を、対向する支持具2f、2mの間の領域(プリント基板1が搬入される領域)に設けられたバックアップピン4上に搬入し載置する。このとき、バックアップピン4上に載置されたプリント基板1が、平面21、22の間に位置するように、即ち、第1及び第2のローラ2a、2bの回転中心(回転軸2e−1、2e−2の軸芯)の間の高さに支持されるようにバックアップピン4の上端の高さを制御する。
なお、バックアップピン4上へのプリント基板1の載置は、鉛直視したときプリント基板1の2辺(図1中の上辺及び左辺)が固定された支持具2fの下段のローラ2b上に重なるように載置される。具体的には、プリント基板1を第1及び第2のローラ2a、2bの回転軸2e−1、2e−2の間の高さまで降下し、ついで、プリント基板1を固定された支持具2f方向(図1中の上方及び左方)へ水平に移動した後、バックアップピン4上に載置する。あるいは、バックアップピン4をxy面内で移動可能とし、上方からバックアップピン4上に載置されたプリント基板1を固定された支持具2f方向へ移動することで、プリント基板1の2辺が固定された支持具2fの下段のローラ2b上に重なるようにしてもよい。
次いで、2個の移動可能な支持具2mを、それぞれx軸及びy軸に沿って図2の左方及び上方(移動方向6で示す方向)へ移動する。その結果、対向する支持具2f、2mが接近して、プリント基板1の両辺が左右の支持具のローラ2a、2bの外周上に載置される位置まで近づく。この状態で、バックアップピン4を降下する。これにより、プリント基板1は、その両辺を支持具2f、2mのローラ2a又はローラ2bの外周に接して支持される。例えば、プリント基板1の両辺が支持具2f及び支持具2mの下段のローラ2bに接して支持される。あるいは、プリント基板1の一辺が支持具2f、2mの一方の上段のローラ2a上に接し、他辺が他方の下段のローラ2bに接して支持される。なお、両辺が上段のローラ2aに接して支持された場合、後述するようにローラ2aが回転してプリント基板1を挟持できなくなるので、少なくともプリント基板1の一辺は下段のローラb上に落下し、一辺又は両辺が下段のローラ2bに接して載置された状態になる。
上述したプリント基板1のローラ2a、2b上への載置方法として、他に、バックアップピン4上に載置されたプリント基板1を、移動可能な支持具2mにより固定された支持具2f方向へ押し込み、プリント基板1の2辺(図1中の上辺及び左辺)が支持具2fのローラ2a又はローラ2b上に載置されるようにしてもよい。このとき、プリント基板1がバックアップピン4上を摺動するが、その摺動によるプリント基板1の破損が無視し得るものならば、この載置方法を用いることができる。
なお、初めに、対向する支持具2f、2mを、プリント基板1がローラ2a、2b上に載置され得る距離まで接近させておき、プリント基板1をローラ2a、2b上に直接載置することもできる。このとき、プリント基板1を上方から搬入できるように、上段のローラ2aの直径を下段のローラ2bの直径より小さくする、又は、上段のローラ2aより下段のローラ2bを、内側(プリント基板1が搬入される領域側)に設けることが好ましい。また、プリント基板1の対向する2辺(例えばx軸方向に対向する2辺)のみで支持し、この支持方向に垂直な方向(例えばy軸方向)から水平にプリント基板1を搬入することもできる。
図3を参照して、対向する支持具2f、2mのローラ2a、2b上にプリント基板1を載置したのち、移動可能な支持具2(図3中に示す右側の支持具2)をx軸の負方向へ移動する。この結果、次に説明するように、プリント基板1はその両辺がそれぞれ上下段の2個のローラ2a、2bに咬持され、対向する支持具2f、2mの間に水平に挟持されて支持されることになる。
図5は本発明の第1実施形態の機能説明図であり、プリント基板を水平に支持する支持具の機能を説明している。
図5(a)を参照して、支持具2f、2m間に搬入されたプリント基板1は、上述したように対向する支持具2f、2mのローラ2a、2b上に載置される。説明を簡明にするため、プリント基板1の一辺(図5の左側)が、固定された支持具2fの下段のローラ2b上に載置され、他辺(図5の右側)が、移動可能な支持具2mの上段のローラ2aに接して載置されたと仮定する。
次いで、移動可能な支持具2mを、固定された支持具2fの方向(移動方向6)へ移動する。これにより、対向する支持具2f、2mが互いに接近し、プリント基板1は、その左辺が接する支持具2fの下段のローラ2bとその右辺が接する支持具2mの上段のローラ2aとに挟まれて両辺から押圧される。このプリント基板1に印加された押圧は、支持具2fのローラ2b及び支持具2mのローラ2aにそれぞれトルク及び抗力を生じさせる。
即ち、この押圧は、支持具2fの下段のローラ2bの外周とプリント基板1左辺との接触点に、ローラ2bの半径方向に向く抗力と、ローラ2b外周の接線方向に向く摩擦力とを生じさせる。なお、この抗力と摩擦力との合力は押圧に等しい。押圧によりローラ2bに生ずるトルクは,ローラ2bの軸芯からプリント基板1がローラ2bの外周に接する点(押圧の作用点)に至る位置ベクトルと、この摩擦力との外積として表される。即ち、このトルクは、ローラ2b外周の接線方向に作用する摩擦力の向きにローラ2b外周が移動するように、ローラ2bを回転させる。
この摩擦力は、押圧がローラ2bの軸芯の上方を通過するとき、即ちプリント基板の下面を含む平面がローラ2bの軸芯より上にあるときは斜め上方を向き、逆に、押圧がローラ2bの軸芯の下方を通過するとき、即ちプリント基板の上面を含む平面がローラ2bの軸芯より下にあるときは斜め下方を向く。押圧によりローラ2bに発生するトルクは、この摩擦力の方向に従って、押圧がローラ2bの軸芯の上方又は下方を通過するときそれぞれ、プリント基板1がローラ2b外周に接する点(押圧の作用点)を上方又は下方に移動する向きに生ずる。
一方、プリント基板1は、ローラ2aとローラ2bの軸芯間の中間の高さにプリント基板1の両辺が存するように、ほぼ水平に載置される。プリント基板1は薄いので、このとき、プリント基板1の上面又は下面を含む平面は、ローラ2aの軸芯より下方かつローラ2bの軸芯より上方を通過する。
図5(a)中の左端に示す固定された支持具2fでは、プリント基板1は、下段のローラ2bの軸芯より上方で下段のローラ2b外周と接し、プリント基板の下面を含む平面はローラ2bの軸芯より上を通過する。このため、プリント基板1に印可された押圧は、ローラ2bの軸芯の上方を通過する 従って、支持具2fの下段のローラ2bには、押圧の作用点を上方に、即ち下段のローラ2bを反時計回転(回転のベクトルがy軸の正方向を向く回転方向r1)に回転させるトルクが発生する。ローラ2bは、回転軸2e−2廻りに回動自在に取り付けられているから、このトルクにより、下段のローラ2bは回転方向r1(反時計回転)に回転し始める。
なお、上記では、図5(a)に示すように、プリント基板1の左端が左側の支持具2fの下段のローラ2bに接触する場合を説明したが、プリント基板1の左端が左側の支持具2fの上段のローラ2aに接触する場合は、プリント基板1は、上段のローラ2aの軸芯より下方で上段のローラ2b外周と接し、プリント基板の上面を含む平面はローラ2aの軸芯2e−1より下にくる。このため、プリント基板1に印可された押圧は、ローラ2aの軸芯2e−1の下方を通過する。従って、支持具2fの上段のローラ2bには、押圧の作用点を下方に、即ち上段のローラ2bを時計回転(回転のベクトルがy軸の負方向を向く図5(b)に示す回転方向r3)に回転させるトルクが発生する。即ち、固定された支持具2fの上下段のローラ2a、2bには、プリント基板1が接触したとき、互いに逆向きのトルクが生ずる。
同様にこの押圧は、プリント基板1の右端に接する支持具2m上段のローラ2aにも抗力と摩擦力を生じさせ、この摩擦力は上段のローラ2aにトルクを生じさせる。このトルクは、プリント基板1上面がローラ2aの軸芯より下方に位置するように載置されるため、反時計回転のトルクとなる。従って、支持具2m上段のローラ2aは反時計方向に回転し始める。
なお、プリント基板1の右端が右側の支持具2mの下段のローラ2bに接触する場合は、プリント基板1は、下段のローラ2bの軸芯より上方で下段のローラ2b外周と接し、プリント基板の下面を含む平面がローラ2aの軸芯より上を通過する。このため、支持具2mの下段のローラ2bは、時計方向(図5(b)に示す回転方向t4)に回転し始める。
する。即ち、支持具2fと同様に、移動可能な支持具2mの上下段のローラ2a、2bにも、プリント基板1の接触により互いに逆向きのトルクが生ずる。
上述のように、プリント基板1の辺に接する支持具2fの下段のローラ2b及び支持具2mの上段のローラ2aは、共に反時計方向に回転する。その結果、支持具2f下段のローラ2bに接するプリント基板1の辺(左辺)は、ローラ2bの回転に従って上方へ移動し、他方、支持具2m上段のローラ2aに接するプリント基板1の辺(右辺)は、ローラ2aの回転に従って下方へ移動する。
従って、対向する支持具2f、2mの接近とともに、プリント基板1の両辺は、支持具2fのローラ2bに接する一辺が支持具2fのローラ2b回転に従って上方へ運ばれ、支持具2mのローラ2aに接する他辺が支持具2mのローラ2aの回転に従って下方へ運ばれる。その結果、プリント基板1の両辺は、一辺が接する下段のローラ2b及び他辺が接する上段のローラ2aのそれぞれの上下に設けられた支持具2fの上段のローラ2a及び支持具2mの下段のローラ2bに接近し、ついには各辺が各支持具2f、2mの上下段の両方のローラ2a、2bに接触する。なお、このプリント基板1各辺の上下段のーラ2a、2bへの接触は、通常は、初めに対向する支持具2f、2mの一方で起こり、その後に他方で起こる。
図5(b)を参照して、プリント基板1の一方の辺が上段のローラ2a及び下段のローラ2bの両方に接触すると、その上段及び下段のローラ2a、2bには互いに反対方向のトルクを生ずるので、互いに逆向きに(回転方向r1、r3又は回転方向r2、r4に)回転し始める。その結果、プリント基板1のその一方の辺は、互いに逆向きに回転する上段及び下段のローラ2a、2bの外周の間に咬持される。そして、プリント基板1の辺を咬持した上下段のローラ2a、2bは、互いに回転を拘束されて回転を停止するので、その後押圧している間は剛体として振るまうようになる。
プリント基板1を咬持して回転を停止し剛体として振るまうローラ2a、2bは、プリント基板1に印加される押圧をそのまま回転軸2e−1、2e−2を介して支持具2f、2mの取付部2cへ伝達する。従って、例えば右辺が支持具2mにより押圧されたプリント基板1は、左辺が接する支持具2fの上下段のローラ2a、2bに咬持され、支持具2fのローラ2a、2bを押止する状態で支持具2f、2m間に支持される。
さらに支持具2f、2mが接近すると、ついには、図5(b)を参照して、プリント基板1は、その両辺が支持具2f、2mの上下段のローラ2a、2bに咬持されて、対向する支持具2f、2m間に挟持されるようになる。そして、移動可能な支持具2mは、プリント基板1が支持具2f、2m間に挟持される位置まで移動した後、停止する。この停止位置は、予め実測された又は予め計算された支持具2f、2m間の距離に基づいて定められる。あるいは、支持具2mの押圧を測定し、押圧が上昇する位置としてもよい。
上述した説明では、プリント基板1の一辺が支持具2fの下段のローラ2b上に、他辺が支持具2mの上段のローラ2aに接して載置されたと仮定した。左右が逆に、即ちプリント基板1の一辺が上段のローラ2aに、他辺が下段のローラ2b接するように載置された場合も、プリント基板1の両辺は同様にして上下段のローラ2a、2bに咬持されて挟持される。さらに、両辺が共に下段のローラ2b上に載置された場合も同様に、図5(b)を参照して、左右のローラ2bの回転(回転方向r1、r4)に従い両辺は上方へ運ばれ、プリント基板1は、両辺を上下段のローラ2a、2bに咬持されて挟持される。
上述したように、本第1実施形態のプリント基板の支持装置11では、プリント基板1は、両辺が上下段のローラ2a、2bに咬持された状態で、支持具2f、2m間に挟持される。ローラ2a、2bがプリント基板1を咬持する高さは、プリント基板1の厚さ、ローラ2a、2bの直径及びローラ2a、2bの軸芯位置により決定される。本第1実施形態では、プリント基板1の両辺を挟持する支持具2f、2mは、同一形状をなしかつ同一の高さに設けられている。従って、プリント基板1の両辺は常に同一高さに支持されるので、プリント基板1は確実に水平に挟持される。
なお、プリント基板1を挟持する支持具2f、2mのローラ2a、2bの直径、軸芯の配置が異なる場合、支持具2f、2mの取付高さを調整して、プリント基板1を水平に支持する。この場合、支持されるプリント基板1の水平からの傾きが部品の実装に際して許容される範囲に納まるならば、プリント基板1を挟持する支持具2f、2mを同一高さに設けても差し支えない。
他方、挟持されたプリント基板1の上面の高さは、プリント基板1の厚さにも依存する。このプリント基板1の上面の高さは、プリント基板1の厚さとローラ2a、2bの直径及び位置から、例えばローラ2a、2bの軸芯位置又はベース5上面からの距離として幾何学的に算出することができる。また、予めプリント基板1を挟持したときのプリント基板上面の高さを実測し、その実測された厚さと上面の高さとの関係から、厚さが知れたプリント基板1について、その上面の高さを求めることもできる。このように求められたプリント基板1上面の高さは、部品搭載の際にあるべきプリント基板1上面の高さ、即ちプリント基板1上面の基準とされる高さとして用いられる。このように、本第1実施形態のプリント基板の支持装置11装置によれば、プリント基板1は所定の高さに水平に確実に支持される。
この、プリント基板1上面の高さの実測は部品の実装前に行う一回の測定で足り、部品の実装時には高さの実測は必要ではない。従って,本第1実施形態のプリント基板の支持装置11には、高価な高さ測定装置を付加する必要はない。このため、本第1実施形態のプリント基板の支持装置11装置は、安価に製造することができる。
上述したように、本第1実施形態のプリント基板の支持装置11では、プリント基板1の両辺はローラ2a、2bの外周に接触した状態で、ローラ2a、2bの回転に従ってその外周上を滑ることなく移動する。従って、プリント基板1を挟持する際に、プリント基板1がローラ2a、2bの外周面を摺動しないので、プリント基板1周縁部の上下面に設けられた導電パターンは破損されない。
さらに、ローラ2a、2bの外周上に両辺が接触したプリント基板1に押圧が印加されたとき、その押圧により生ずるプリント基板1とローラ2a、2b外周間の摩擦力は,ローラ2a、2bの回転によりその大部分が逃がされる。その結果、プリント基板1とローラ2a、2b外周との間に残る摩擦力は、主としてローラ2a、2bの転がり摩擦に起因する摩擦力となる。この転がり摩擦は、プリント基板1とローラ2a、2b外周間に生ずる滑り摩擦と比べて、非常に小さくすることができる。このため、プリント基板1とローラ2a、2bの外周との間には、転がり摩擦に起因する摩擦力が働くのみで、滑り摩擦に起因する大きな摩擦力は働かない。従って、図12(f)を参照して説明したV溝113にプリント基板1を挟持する従来のプリント基板の支持装置で生ずるように、V溝113の壁面とプリント基板1との摩擦力(滑り摩擦)が大きいため、プリント基板1がV溝113の壁面を滑動せずV溝113の壁面途中に固定されるという問題は回避される。
上記工程を経てプリント基板1を挟持した後、吸着ヘッドに吸着された部品をプリント基板1上面に近接して保持し、フェイスダウンボンディングにより部品をプリント基板1上に固定し搭載する。部品を保持する高さは、予め算出又は実測されたプリント基板1上面の高さを基準として定められる。
なお、上述したこれまでの説明では、プリント基板の支持装置11をプリント基板1上面が水平になるように設置し、この水平なプリント基板1上面を部品搭載時の高さの基準としていた。しかし、これに限られず、プリント基板の支持装置11の機械的基準面、例えばペース5上面、あるいはローラ2a、2bの軸芯間の中点を通る平面を基準面とすることもできる。このような機械的に設定された基準面は必ずしも水平でなくてもよいが、その場合、水平面からの基準面の面の傾きを補正する必要がある。
なお第1実施形態では、、ローラ2a、2bがベース5上面に垂直に上下に設けられているので、プリント基板の上面はローラ2a、2bの軸芯間の中点を通る機械的に設定された水平な基準面に平行に支持される。従って、プリント基板1の厚さの違いに起因するこの基準面からの高さのずれを修正することで、部品の保持すべき高さを精密に算出することができる。
さらに、ローラ2a、2bの直径が異なる又は軸芯が斜めに設けられた場合、プリント基板1の厚さの違いが、プリント基板1上面を機械的に設定された基準面から傾斜させる場合がある。しかし、この傾斜角は予め計算又は実験的に知得することができるので、基準面からの傾斜量を修正して、この基準面に基づきプリント基板1上面の高さを容易に算出することができる。
なお、上述した部品を搭載する際、図3を参照して、バックアップピン4をその先端がプリント基板1下面に近接するまで上昇させ、プリント基板1の下方への反りを抑制することが好ましい。
上述した第1実施形態のプリント基板1の支持装置11では、プリント基板1の対向する辺を3個の支持具2f、2mにより3点支持する。これにより、プリント基板1は水平に支持される。さらに支持具2f、2mを多くして、各辺を多点で、例えは各辺2点又は3点で支持することもできる。このように多点で支持することで、湾曲しているプリント基板1を平坦に修正した状態で支持することができる。
また、第1実施形態の支持装置2f、2mは、プリント基板1の両辺を上下段のローラ2a、2bに咬持して挟持する。ローラ2a、2bの外周面は、プリント基板1の上下面に対して凸面をなし、辺から中央に向けて急速に離れる。このため、プリント基板1の周辺近くの上下面にも、背の高い部品を搭載することができる。
本発明の第2実施形態は、プリント基板を3個のローラを備える支持具により挟持するプリント基板の支持装置に関する。
図6は本発明の第2実施形態のプリント基板の支持装置斜視図であり、プリント基板を挟持する支持具の配置を表している。図7は本発明の第2実施形態の支持具の構造説明図であり、プリント基板を挟持する支持具の構造を表している。なお、図7(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、支持具の斜視図、y軸負方向から見た側面図及びx軸方向から見た正面図を表している。また、図6〜図7中の直交座標は図1〜図3と同様である。さらに、図6は、プリント基板1を挟持して所定位置に支持した状態を表している。
図6を参照して、本第2実施形態のプリント基板の支持装置12は、プリント基板1の各辺をそれぞれ2個の支持具2を用いて挟持する。即ち、プリント基板1の直交する2辺(図6中の左側及び上側の辺)を各辺ごとに、ベース5に固定された2個の支持具2fで支持し、これに対向する2辺を各辺ごとに、対向する辺の方向(x軸及びy軸に沿う方向)へ押圧する移動可能な2個の支持具2mにより支持する。
この第2実施形態のプリント基板の支持装置12は、支持具2f、2mの上段のローラとして2個のローラ2a、2a’が設けられること、及び、移動可能な支持具2mが各辺ごとに2個づつ設けられることを除く他、既述の第1実施形態のプリント基板の支持装置12と同様の構成を有する。以下、説明を簡明にするため、支持具2の構造及び支持具2の設置数の相違について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図7を参照して、本第2実施形態の支持具2(支持具2f又は支持具2mを表す。)は、上段の回転軸2e−1に2個のローラ2a、2a’が設けられる。この上段のローラ2a、2a’のうち取付部2cのy軸に垂直な底辺2c−1に近い位置に設けられたローラ2a、及び、下段の回転軸2e−2に設けられた下段のローラ2bは、第1実施形態と同様の形状及び取付位置を有する。
他方、上段のローラ2a、2a’のうち取付部2cの底辺2c−1から離れた位置に設けられたローラ2a’は、第1実施形態にはなく、第2実施形態で追加されたものである。
この新たに追加された上段のローラ2a’は、一方の上段のローラ2aと形及び寸法が同一で、上段のローラ2aと同じく上段の回転軸2e−1に緩挿され回転軸2e−1廻りに回動自在に取り付けられる。なお、上段の2個のローラ2a、2a’は、図7(c)を参照して、下段のローラ2bを両側がら挟むように設けられる。
図8は本発明の第2実施形態の支持具の機能を説明するための正面図であり、第2実施形態の支持具2に挟持されたプリント基板1の姿勢の変化を表している。
図8を参照して、プリント基板1を下段のローラ2b上に載置したとき、プリント基板1がy軸に対して斜めに傾いて載置される場合がある。かかる場合、プリント基板1を挟持するためにプリント基板1を支持装置2に(x軸方向から)押圧すると、プリント基板1の下段のローラ2bに接触する辺は下段のローラ2bの回転と共に上方へ移動する。そして、プリント基板1のこの辺は、まず初めに、プリント基板1の辺のうち上方へ傾いている側が、上段のローラ2a(図8中の右側のローラ2a)の外周に接触する。さらに押圧すると、プリント基板1のこの辺は、下段のローラ2bにより上方へ押し上げられ、上段のローラ2aにより下方へ押し下げられる。従って、段違いに設けられたこの2個のローラ2a、2bは、プリント基板1の辺を水平に向かわせる回転方向Rのトルクを生じ、このトルクに従いプリント基板は水平方向へ回転する。
プリント基板1が水平位置(図8中のプリント基板1’で示す位置)まで回転すると、プリント基板1の辺のうち下方へ傾いていた側が上段のローラ2a’(図8中の左側のローラ2a’)の外周に接触する。このため、プリント基板1の辺の下面は下段のローラ2bの外周に接触し、辺の上面は2個の上段のローラ2a、2a’の外周に同時に接触する。その結果、プリント基板1は、辺を上下から下段のローラ2b及び2個の上段のローラ2a、2a’により咬持されて、図6を参照して、対向する支持具2f、2m間に挟持される。
既述のように、上段の2個のローラ2a、2a’は、同一直径を有し、同一の水平な回転軸2c−1に軸孔を貫通させて設けられる。従って、この2個のローラ2a、2a’の外周は水平な回転軸2c−1方向から見て完全に重なっている。このため、2個のローラ2a、2a’の外周に同時に接するプリント基板1上面は、水平になる。従って、上段及び下段のローラ2a、2a’、2bとの間に咬持されたプリント基板1は、常にプリント基板1の上面が水平になるように保持される。
本第2実施形態では、プリント基板1の対向する辺(プリント基板1の対向する端)は、各辺ごとに2個ずつ設けられた支持具2f、2mにより挟持され、4点で支持される。従って、プリント基板1全体は、8個の支持具2f、2mにより支持される。
このように1辺を2個の支持具2f又は2mに押圧されて支持されたプリント基板1は、各支持具2f、2mのローラ2a、2a’、2bに咬持された各位置で、プリント基板1の辺が水平になるように拘束される。このため、プリント基板1が湾曲する場合、プリント基板1が水平な平面になるように矯正される。従って、薄くて容易に湾曲するプリント基板1をも、確実に水平に支持することができる。
なお、本第2実施形態では、上段に2個のローラ2a、2a’を設けたが、上段に1個のローラ2aを設け、そのローラ2aを両側から挟む2個の下段のローラ2bを設けることもできる。
本発明の第3実施形態は、第2実施形態のプリント基板の支持装置12に用いられた3個のローラ2a、2a’、2bを有する支持具2f、2mを、プリント基板1の各辺に1個づつ設置したプリント基板の支持装置13に関する。
図9は本発明第3実施形態のプリント基板の支持装置斜視図であり、プリント基板1をを挟持する支持具2f、2mを表している。
図9を参照して、本第3実施形態のプリント基板の支持装置13では、プリント基板1の対向する辺を、支持具2f及び支持具2mにより挟持する。このプリント基板の支持装置13に用いられる支持具2f、2mは、第2実施形態の支持具2f、2mと同様であり、1個の下段ローラ2bの両側に2個の上段のローラ2a、2a’が設けられた支持具2である。
既に第2実施形態で説明したように、この3個のローラ2a、2a’、2bを備えた支持具2f、2mは、そのそれぞれの支持点においてプリント基板1の端(辺)が水平になるように支持する。従って、従って、プリント基板1の例えはx軸方向に対向する2辺は、その2辺を挟持する2個の支持具2f、2mにより水平に支持される。しかし、薄いプリント基板1は支持具2f、2mに押圧されて、挟持方向(x軸方向)に湾曲することがある。
本第3実施形態では、互いに直交する方向にプリント基板1を挟持する。このため、プリント基板1を互いに直交方向に挟持する2組の支持具2f、2mの内の一方の組の支持具2f、2mに押圧されて生ずるプリント基板1の湾曲は、他方の組の支持具2f、2mにより矯正されるので、プリント基板1は平面を維持したまま水平に支持される。もちろん、湾曲が問題にならない大きさならば、一方の組(x軸又はy軸方向に対向する支持具2f、2mの組)の支持具のみを設けることもできる。この場合、位置合わせ装置を用いて、挟持されない方向の位置合わせを行う。
この第3実施形態によると、4個又は2個の支持具2f、2mを用いて、プリント基板1を水平に支持することができる。従って、第2実施形態に比べ簡易かつ安価なプリント基板の支持装置を提供することができる。
本発明の第4実施形態は、プリント基板表面の検査装置に用いられる、プリント基板1を鉛直に挟持するプリント基板の支持装置14に関する。
図10は本発明の第4実施形態のプリント基板の支持装置側面図であり、主面が鉛直に支持されたプリント基板の主面に垂直な方向から見た主要な装置構成を表している。図11は、本発明の第4実施形態のプリント基板の支持装置断面図であり、図10のAA’断面を表している。なお、図10及び図11中の直交座標系は、鉛直方向をz軸に、支持されたプリント基板1主面がzx平面に平行になるようにx軸を水平に、及び、プリント基板1主面に垂直にy軸を採っている。
図10および図11を参照して、本第4実施形態のプリント基板の支持装置14は、装置の基台をなすベース基部5aに、板状の垂直ベース部材5bを上面(板状の1主面をいい、支持具2f、2mが設けられる面)が鉛直になるように固定したペース5を備える。
鉛直に固定された垂直ベース部材5b上面に、プリント基板1の下辺を支持する2個の支持具2f、及び、プリント基板1の左辺を支持する2個の支持具2fが固設されている。さらに、垂直ベース部材5b上に、プリント基板1の上辺を押圧して支持する1個の支持具2m、及び、プリント基板1の右辺を押圧して支持する1個の支持具2mが移動方向6に沿って移動可能に設けられている。これらの支持具2f、2mは、第1実施形態で用いた支持具2f、2mと同様の構造と取付方法とを有する。
即ち、垂直ベース部材5b上面に移動方向6に伸長するガイド3bが固定され、このガイド3bに跨乗してスライドするスライダー3aが設けられている。移動可能な支持具2mは、このスライダー3a上面に固定され、移動方向6に沿って移動することができる。
本第4実施形態では、プリント基板1の右辺を支持する移動可能な支持具2mのガイド3bを第1実施形態より長く形成する。これにより、支持具2mがガイド3bの右端(図10中に支持具2m’として示した位置)に移動したとき、固定された支持具2fと支持具2m’との間にプリント基板1”を挿入できるスペースが形成される。なお、上方から押止する支持具2mを案内するガイド3mの長さは、第1実施形態と同様jしてよい。
上述した本第4実施形態のプリント基板の支持装置14は、第1実施形態のプリント基板の支持装置12をベース5上面が垂直になるように設置した場合と同様である。但し、プリント基板1の右辺を水平方向に支持する支持具2mのガイド3bが長いこと、及び、移動可能な支持具2mが上辺及び右辺に各1個づつ設けられる点で異なる。しかし、この違いは必須ではない。例えば、プリント基板1をプリント基板の支持装置14に搬入し挟持することができるスペースが準備されるならば、ガイド3bの長さは第1実施形態と同じであってもよい。また、第2実施形態又は第3実施形態のように、支持具2f、2mをプリント基板1の各辺ごとに複数個又は1個づつ設けることもできる。さらに、支持具2f、2mを第2実施形態と同様に、2個の上段ローラ2a、2a’と1個の下段のローラ2bを備えたものとすることもできる。
本第4実施形態のプリント基板の支持装置14は、さらに、プリント基板の搬送機構7を備える。なお、図10には、プリント基板1をプリント基板の支持装置14に搬入した状態の搬送機構7が、図11には、プリント基板1を搬入した後の搬送機構7が描かれている。
搬送機構7は、アーム回転軸7d廻りにyz面内で水平位置から鉛直位置まで回転するアーム7aと、アーム7aの鉛直位置で、プリント基板1と対向するアーム7aの側面に設けられた把持具7bとを有する。把持具7bはアーム7aの先端とそれより根元(アーム回転軸7dに近い側)に近い位置に取り付けられたx軸方向に長い2つの突起からなり、突起(把持具7b)の互いに対向する壁面にx軸方向に伸びる溝7cが形成されている。 この把持具7bの少なくとも一方の突起は、アーム7aの伸長方向に移動可能に設けられ、ばねにより他方の突起方向に付勢される。これにより、プリント基板1の対向する辺を把持具7bの溝7cに緩挿し、一方の把持具7bに付勢することでプリント基板1は把持具7b間に挟持される。
搬送機構7は、アーム回転軸7dに沿って摺動可能とされる。即ち、プリント基板1主面に平行にx軸方向に移動することができる。後述するように、この搬送機構7を用いて、プリント基板1をプリント基板の支持装置14に搬入し鉛直に支持する位置に搬入することができる。
次に、本第4実施形態でのプリント基板1の搬入及び支持工程を説明する。
まず、プリント基板1の上辺及び右辺をそれぞれ支持する移動可能な支持具2mを、それぞれ上方及び右方に後退する。また、アーム7aは水平位置に置かれる。そして、プリント基板1が、対向する2辺(図10の上下に対応する2辺)を把持具7bの溝7cに挿入されて把持具7b間に挟持される。なお、溝7cは、挿入時にプリント基板1の辺近傍に形成された導電パターンの破損を回避するために、プリント基板1の辺が遊嵌するように形成される。
次いで、アーム7aを鉛直になるまで回転して、プリント基板1を垂直ベース部材5b上面に略平行に保持する。このとき、プリント基板1は、図10中にプリント基板1”として示す位置、即ち左方の5個の支持具2f、2mと右方に後退した1個の支持具2mとの間のスペースに保持されるように、アーム7aのx軸方向の位置が調整される。また、保持されたプリント基板1が、各支持具2f、2mが備える上段のローラ2aの軸芯23−1を含むプリント基板1上面に平行な平面21(図4参照)と下段のローラ2bの軸芯23−2を含むプリント基板1上面に平行な平面22との間に位置するように、搬送機構7とプリント基板1との間隔が調整されている。
次いで、アームを左方に配置された5個の支持具2f、2m方向にx軸に沿って移動し、プリント基板1の左端及び下端が、固定された支持具2fのローラ2a、2bに近接乃至接触する位置に保持する。このプリント基板1の位置は、搬送機構7がプリント基板1の把持を開放したとき、プリント基板1が、固定された支持具2fのローラ2a、2bにより、倒れることなく保持される位置であればよい。例えば、プリント基板の下端が下方の支持具2fのローラ2a、2b上に載置され、プリント基板の左端が他方の支持具2fのローラ2a、2bの間に緩挿される位置である。
次いで、搬送機構7の把持を開放し、プリント基板1を下方の固定された支持具2fのローラ2a、2b上に載置する。その後、アーム7aを水平位置に回転し、さらにx軸方向に移動して、搬送機構7を初期位置に戻す。
次いで、上方及び右方に設けられた移動可能な支持具2mを移動方向6へ移動させ、プリント基板1の上辺及び右辺からプリント基板1を支持具2mにより押圧する。その結果、プリント基板1は、左右及び上下から支持具2f、2mにより挟持される。これにより、第1実施形態と同様に、プリント基板1は、支持具2f、2mで定まる平面(第4実施形態では鉛直面)に平行に保持される。従って、本第4実施形態では、図12(f)に示すような従来の支持具103R、103Lで見られるプリント基板1の滑り摩擦に起因するプリント基板1の支持位置の不確定さや、プリント基板1の反りが回避される。また、プリント基板1の上面(図11の左側の主面)のy軸方向の位置も正確に定まる。
なお、本第4実施形態では搬送機構7の把持を開放した後、移動可能な支持具2mを移動した。このプリント基板1の搬入、支持工程はこれに限らず、プリント基板1を鉛直に支持できればよく、例えば移動可能な支持具2mをプリント基板1に近接乃至接触させた後、把持を開放することもできる。この場合、プリント基板1の鉛直保持は全ての支持具2f、2mを用いてなされるので、2辺のみを支持具2fにより保持する場合に較べてプリント基板1の保持が確実になされる。
次いで、図11を参照して、プリント基板1の上面に焦点が合うまで顕微鏡の鏡筒8を近づけ、プリント基板1の上面を走査してプリント基板上の部品及び導電パターンの外観検査を行う。本第4実施形態のプリント基板の支持装置14により、プリント基板1を所定位置に鉛直に保持することができるので、外観検査が精密になされる。