以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施の形態(固体撮像装置の構成例)
2.第2実施の形態(固体撮像装置の構成例)
3.第3実施の形態(固体撮像装置の構成例)
4.第4実施の形態(固体撮像装置の構成例)
5.第5実施の形態(固体撮像装置の構成例)
6.第6実施の形態(固体撮像装置の構成例)
7.第7実施の形態(固体撮像装置の構成例)
8.第8実施の形態(固体撮像装置の構成例)
9.第9実施の形態(固体撮像装置の構成例)
10.第10実施の形態(固体撮像装置の構成例)
11.第11実施の形態(固体撮像装置の構成例)
12.第12実施の形態(電子機器の構成例)
<1.第1実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図1〜図3に、本発明に係る固体撮像装置の第1実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図1は4画素共有の単位画素群が複数2次元に配列された画素部の平面図、図2A及びBは画素部の画角中心及び画角端の単位画素群の平面図、図3は図2AのA−A線上の断面図である。
先ず、第1実施の形態の理解を容易にするために、図33〜図34を用いて改善前の比較例について説明する。この比較例は、4画素共有のMOS固体撮像装置である。比較例のMOS固体撮像装置13は、複数の画素に1つ画素トランジスタ部を共有した単位画素群を複数配列して画素部が構成される。すなわち、MOS固体撮像装置13は、4つの光電変換部となるフォトダイオードPDを1つの画素トランジスタ部で共有する4画素共有の単位画素群14を有して成る。単位画素群14は、より詳しくは4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]と、4つの転送トランジスタTr1[Tr11〜Tr14]と、1つのフローティングディフージョン部FDを有する。さらに、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有して構成される。単位画素群14の中央のフローティングディフージョン部FDと各フォトダイオードPD1〜PD4との間にそれぞれポリシリコンによる転送ゲート電極15が配置され、4つのフォトダイオードPDに対する4つの転送トランジスタTr11〜Tr14が形成される。
リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4は、フォトダイオードPD1〜PD4の群の下側に、水平方向に沿って連続して配置される。リセットトランジスタTr2は、拡散領域16及び17と、リセットゲート電極20を有して構成される。増幅トランジスタTr3は、拡散領域17及び18と、増幅ゲート電極21を有して構成される。選択トランジスタTr4は、拡散領域18及び19と、選択ゲート電極22を有して構成される。単位画素群14内では、ポリシリコンのゲート電極による下地層が隣接する画素の境界線を挟んで非対称にレイアウトされている。すなわち、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4の画素トランジスタ部が、画素Gb及びRと、画素Gr及びBとの境界線を挟んで非対称に配置されている。また各画素Gr、R、Gb及びBの転送ゲート電極15が、隣接する相互の画素Gr、R、Gb及びBの境界線を挟んで非対称に配置されている。
各フォトダイオードPD1〜PD4に対応して導波路23が形成される。この例では、ベイヤ配列のカラーフィルタが用いられ、赤画素R、第1の緑画素Gb、青画素B及び第2の緑画素Grからなる4画素共有の単位画素群14が、繰り返し配列される。
図34は、図33の第2の緑画素Grを通るA−A線上の断面図である。図34に示すように、半導体基板24の表面側には光電変換部となるフォトダイオードPD4が形成され、半導体基板24の上方に、層間絶縁膜25を介して複数層の配線26が形成される。フォトダイオードPD4の上方には、層間絶縁膜25に埋め込まれるように、導波路23が形成される。導波路23の上方には、カラーフルタ層28が形成され、その上にオンチップレンズ29が形成される。一方、フォトダイオードPD4に近接してゲート絶縁膜27を介して形成された増幅ゲート電極21が形成される。
比較例の固体撮像装置13では、射光Lが、オンチップレンズ29、導波路23を透過して各画素のフォトダイオードPDに入射される。このとき、第2の緑画素Grでは、図33及び図34の丸枠cで示すように、導波路23を透過した入射光Lの一部が近接配置されているゲート長の大きい増幅ゲート電極21に蹴られる。第1の緑画素Gbでは、導波路23を透過した入射光Lがリセットゲート電極20、増幅ゲート電極21に影響されずにフォトダイオードPD1に入射される。このため、図35の波長対出力のグラフで示すように、第2の緑画素Grの感度(曲線r1参照)が第1の緑画素Gbの感度(曲線b1参照)より下がり、両緑画素Gr及びGb間で感度差が生じる。
これに対し、第1実施の形態に係る固体撮像装置は、4画素共有の単位画素群内での第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差が同等となるように、感度制御を可能にした場合である。
第1実施の形態に係る固体撮像装置41は、図2に示すように、複数の画素に1つ画素トランジスタ部を共有した単位画素群41を複数配列して画素部が構成される。すなわち、固体撮像装置41は、4つの光電変換部となるフォトダイオードPDを1つの画素トランジスタ部で共有する4画素共有の単位画素群42を有して成る。単位画素群42は、より詳しくは4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]と、4つの転送トランジスタTr1[Tr11〜Tr14]と、1つのフローティングディフージョン部FDを有する。さらに、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有して構成される。フローティングディフージョン部FDは、2×2配列の4つのフォトダイオードPD1〜PD4に囲まれた中央に配置される。このフローティングディフージョン部FDと各フォトダイオードPD1〜PD4との間にそれぞれポリシリコンによる転送ゲート電極43が配置される。これにより、各フォトダイオードPD1〜PD4に対する4つの転送トランジスタTr11〜Tr14が形成される。
リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4は、4つのフォトダイオードPD1〜PD4の群の下側に、水平方向に沿って連続して配置される。リセットトランジスタTr2は、拡散領域44及び45と、リセットゲート電極48を有して構成される。増幅トランジスタTr3は、拡散領域45及び46と、増幅ゲート電極49を有して構成される。選択トランジスタTr4は、拡散領域46及び47と、選択ゲート電極51を有して構成される。
各フォトダイオードPD1〜PD4に対応して導波路52が形成される。カラーフィルタ層57として、本例では図31に示すベイヤ配列のカラーフィルタ101が用いられている。従って、本例では、図1に示すように、赤画素R、第1の緑画素Gb、青画素B及び第2の緑画素Grからなる4画素共有の単位画素群42が、繰り返し配列されて、画素部40が構成される。
各画素R、Gb、B及びGrの基本的な構成は、図3に示す構成と同じである。すなわち、各画素R、Gb、B及びGrは、半導体基板53の表面側に光電変換部となるフォトダイオードPDが形成される。半導体基板53の上方には、フォトダイオードPD上を除いて、層間絶縁膜54を介して複数層の配線55が配置されてなる配線層50が形成される。フォトダイオードPDの上方には、層間絶縁膜54に埋め込まれるように、入射光をフォトダイオードPDに導く導波路52が形成される。層間絶縁膜54の表面は平坦化され、平坦化した表面上に、導波路52に対応するように入射光を分光するカラーフィルタ層57が形成され、その上にオンチップレンズ58が形成される。一方、各画素トランジスタのポリシリコンによるゲート電極43,48,49及び51は、ゲート絶縁膜31を介して形成される。図3の断面図では、フォトダイオードPD4に近接してゲート絶縁膜31を介して形成された増幅ゲート電極49が形成される。
各フォトダイオードPDに対応して形成される導波路52は、入射端から出射端に向かって断面積が一定の柱状体で形成される。例えば、円柱、角柱、長円形(楕円柱も含む)であってもよい。導波路52は、その径(幅)がフォトダイオードPDの幅、フォトダイオードPDに対応する配線55の開口幅よりも小さく設定され、後述の導波路52のずらし調整が可能となるように形成される。なお、導波路52は、入射端から出射端に向かって断面積が小さくなるようなテーパを有する柱状体とした構成も適用可能である。
単位画素群42内では、光入射面の下方の下地層が非対称に配置される。本例では導波路52の下方に形成された転送ゲート電極43による下地層は、隣接する相互の画素Gr、R、Gb及びBの境界線を挟んで非対称に配置される。つまり、各画素Gr、R、Gb及びBの転送ゲート電極43は、単位画素群42内で非対称にレイアウトされている。また、単位画素群42内では、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3及び選択トランジスタTr4の画素トランジスタ部が、画素Gb及びBと、画素R及びGrとの境界線を挟んで非対称にレイアウトされている。
後述の特定画素の導波路52をずらし調整する前の状態(図33の比較例の状態と同じ)では、導波路52が画素部40の全域に等間隔で配置され、各フォトダイオードPDと導波路52との位置関係が画素部40の全域において同じである。例えば、フォトダイオードPDの中心と導波路52の中心軸とが多少ずれて配置される場合、あるいはフォトダイオードPDの中心と導波路52の中心軸とが一致するように配置する場合がある。いずれもフォトダイオードPDの中心と導波路52の位置関係が画素部40の全域で同じ位置関係を維持している。
各色のカラーフィルタ層57及びオンチップレンズ58は、瞳補正がなされた構成、もしくは瞳補正がなされない構成とすることができる。カラーフィルタ層57及びオンチップレンズ58に対して瞳補正がなされる場合は、画素部40の中心から周辺に向かってフォトダイオードPDの中心に対するカラーフィルタ層57及びオンチップレンズ58の中心のずれ量が大きくなるようになされる。
そして、本実施の形態においては、導波路52を、単位画素群42内で各フォトダイオーPDに対して光学的対称性を得るための調整手段として用いる。本実施の形態では、画素部40の全域で各画素の導波路52が等間隔に配置された状態を基準にして、第2の緑画素Grの導波路52を、増幅ゲート電極49より離れるように位置ずらして配置する。この場合、位置ずれの調整方向及び調整量は、第1の緑画素Gbと感度が同等になるように設定される。本例では、第2の緑画素Grの導波路52を、基準状態である当初の状態での距離d1(図33の比較例参照)より大きい距離d2となるように、矢印Bで示すように、図において、斜め右上方向にずらす(いわゆるシフトする)。この第2の緑画素Grの導波路52の位置ずれの調整方向(ずれ方向)及び調整量(ずれ量)は、画角中心、画角端を含む画素部全域で同じとする。他の赤画素R、青画素B、第1の緑画素Gbの導波路52の位置は当初の状態から変更していない。
これにより、4画素共有の単位画素群42内で第2の緑画素Grの導波路52は、他の第1の緑画素Gb、赤画素R及び青画素Bの導波路52に対して、第1の緑画素Grと他の隣接する画素Gb、R及びBとの境界線を挟んで非対称の位置に配置される。
単位画素群42内の導波路52の全体のレイアウトは、上記第2の緑画素の導波路52のシフト位置を見込んで、導波路52を形成する際の露光マスクに予め形成される。従って、この露光マスクを用いることにより、単位画素群42内で意図的に第2の緑画素Grの導波路52だけ他の画素Gb、R及びBの導波路52に比べて所要の距離及び方向にシフトした導波路レイアウトが形成される。
第1実施の形態に係る固体撮像装置41によれば、第2の緑画素Grの導波路52のみを意図的に、下地のポリシリコンによる増幅ゲート電極49から離れるようシフトすることにより、入射光Lの増幅ゲート電極49での蹴られるのを防ぐことができる。これにより、第1及び第2の緑画素Gb及びGr間の感度差を低減し、あるいは無くすことができ、結果として、両緑画素Gb及びGrに対し光学的対称性が得られる。図4の波長対出力のグラフにおける曲線r2、b2で示すように、第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度を同等とすることができる。従って、第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差の改善により、格子ノイズなどのノイズを低減することができ、高画質の固体撮像装置を得ることができる。
<2.第2実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図5に、本発明に係る固体撮像装置の第2実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図5A及びBは画素部の画角中心及び画角端の単位画素群の平面図である。
導波路52の調整量となるずれ量、いわゆるシフト量は、フォトダイオードPDに対応する配線55の開口幅とのマージンから決まり、いくらでもシフトできるわけではない。この制限の中で、第2の緑画素Grの導波路52のみをずらしても、第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差を緩和できない場合もある。この点を改善したのが、第2実施の形態である。
第2実施の形態に係る固体撮像装置61は、第1実施の形態と同様に、第2の緑画素Grの導波路52を増幅ゲート電極49から所要の距離d2だけ離れるように、矢印Bで示す斜め右上方向にシフトする。同時に、第1の緑画素Gbの導波路52をリセットゲート電極48に所要の距離d3だけ近づくように、矢印Cで示す斜め右上方向にシフトして構成される。単位画素群42内の導波路52の全体のレイアウトは、画素部40の全域で同じである。本例では、第1の緑画素Gbの導波路52を矢印Cで示すように、第2の緑画素Grの導波路52のシフト方向と同方向にシフトしている。なお、第1及び第2の緑画素Gb及びGrのシフト方向は、これに限らず、それぞれ画素トランジスタTr12〜Tr4のレイアウトに応じて、最適な方向を選択することができる。
その他の構成は、第1実施の形態で説明したと同様であるので、図2に対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
第2実施の形態に係る固体撮像装置61によれば、第2の緑画素Grでは、その導波路52を下地の増幅ゲート電極49から離して感度の向上を図り、第1の緑画素Gbでは、その導波路52を下地のリセットゲート電極48に近づけて意図的に感度を落としている。この結果、第1及び第2の緑画素Gb及びGrに対し光学的対称性が得られ易くなる。すなわち、第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差をより低減し、あるいは無くすことができ、両緑画素Gb及びGrの感度の均一化を図ることができる。この第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差の改善により、格子ノイズなどのノイズを低減することができ、高画質の固体撮像装置を得ることができる。
<3.第3実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図6〜図7に、本発明に係る固体撮像装置の第3実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図6は最終的な第3実施の形態の単位画素群の概略構成図である。図7A及びBは斜め入射光に対する改善策を示す画素部の画角中心及び画角端の単位画素群の概略平面図である。
第3実施の形態に係る固体撮像装置は、両緑画素Gb、Grの感度差の制御と共に、色シェーディングの制御を可能にしたものである。
先ず、第3実施の形態の理解を容易にするために、図36の改善前の比較例について説明する。図36の比較例は、前述の図33の比較例と同じ構成であるので、対応する部分に同一符号を付して詳細説明を省略する。図36Aに示すように、画角中心では、入射光Lは紙面に垂直な方向から入射される(図では便宜的に入射光Lを上から下に向かって示す)。画素R、Gr、Gb、Bの各導波路23は転送ゲート電極15に近接して配置されているため、丸枠fで示すように、導波路23を透過した入射光Lの一部が転送ゲート電極15に蹴られ易くなる。一方、図36Bに示すように、画角端(図は画素部の左端を例にしている)では、入射光Lは右から左に向かって斜めに入射される。第1の緑画素Gbと赤画素Rへの入射光Lは、フォトダイオードPD1及びPD2が転送ゲート電極15の陰になるので、丸枠gで示すように、一部が転送ゲート電極15に蹴られる。第2の緑画素Gr及び青画素Bへの入射光Lも丸枠fで示すように、一部が転送ゲート電極15で蹴られ易くなる。また、画角中心及び画角端では、第2の緑画素Gr及び青画素Bの導波路23が共に増幅ゲート電極に近接しているので、丸枠eで示すように、入射光Lの一部が増幅ゲート電極21に蹴られる。これが為に、第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差が生じると共に、色シェーディングも生じる。
第3実施の形態に係る固体撮像装置63では、先ず、図7Aの画角中心及び図7Bの画角端で示すように、単位画素群42内の各画素R,Gr、Gb、Bの導波路52を、矢印Xで示すように、それぞれ転送ゲート電極43から離れるように水平方向にシフトする。これにより、各画素R,Gr、Gb、Bにおいて、斜めに入射した光L、画角中心では垂直入射光Lの一部が、転送ゲート電極43に蹴られ難くなる。従って、転送ゲート電極43における入射光Lの蹴られが、低減しもしくは無くなる。
一方、前述の第1実施の形態で説明したと同様に、第2の緑画素Grの導波路52を増幅ゲート電極49から離す方向にシフトすると共に、青画素Bの導波路52も増幅ゲート電極59から離す方向にシフトする。
従って、第3実施の形態に係る固体撮像装置63は、総合的に図6に示すように、矢印に示す方向に所要のシフト量をもってシフトして配置される。すなわち、第2の緑画素Grの導波路52は、転送ゲート電極43と増幅ゲート電極49から離れる斜め右上方向にシフト(矢印Y参照)した位置に配置される。この第2の緑画素Grの導波路52と線対称となるように、青画素Bの導波路52は、斜め右下方向にシフト(矢印Z参照)した位置に配置される。第1の緑画素Gb及び赤画素Rの導波路52は、転送ゲート電極43から離れる水平左方向にシフト(矢印X参照)した位置に配置される。単位画素群42内の全体の導波路52のレイアウトは、画素部40の全域で同じである。
その他の構成は、第1実施の形態で説明したと同様であるので、図6及び図7において、図2と対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
第3実施の形態に係る固体撮像装置63によれば、第1及び第2の緑画素Gb及びGr間の感度差を、低減しもしくは無くす等して改善することができ、格子ノイズなどのノイズを低減することができる。同時に、赤画素R及び青画素Bの感度も制御することができ、画素部40内の感度のばらつきを低減し、また、色シェーディングを改善することができる。画素部40内の感度のばらつきが低減するので、補正回路を削減でき、回路サイズの縮小が図れる。
<4.第4実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図8に、本発明に係る固体撮像装置の第4実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図8は、単位画素群内の第2の緑画素Grの断面図である。
下地層の非対称性は、ポリシリコンによるゲート電極だけでなく、配線のパターンにも起こり得る。第4実施の形態の固体撮像装置は、配線55による下地層の非対称性に対しても光学的対象性が得られるようにしたものである。
先ず、第4実施の形態の理解を容易にするために、図9の改善前の比較例について説明する。図9は、4画素共有の単位画素群内の第2の緑画素Grの断面図である。比較例の固体撮像装置33では、図9に示すように、半導体基板24の表面側には光電変換部となるフォトダイオードPD4が形成され、半導体基板24の上方に、層間絶縁膜25を介して複数層の配線26が形成される。フォトダイオードPD4の上方には、層間絶縁膜25に埋め込まれるように、導波路23が形成される。導波路23の上方には、カラーフルタ層28が形成され、その上にオンチップレンズ29が形成される。本例では、導波路23が最下層の配線26の上方に設けられ、最下層の一部の配線26が一部フォトダイオードPD4上に張出し、単位画素群内で配線26による下地層が非対称に形成されている。図示しないが、他の第1の緑画素Gb、赤画素R及び青画素Bでは、導波路23下の最下層の配線26がフォトダイオードPD1、PD2及びPD3上に張出していない。
比較例の固体撮像装置33では、図9の丸枠hで示すように、第2の緑画素Grへの入射光Lの一部が最下層の配線26に蹴られて感度を落とす。これによって、第1及び第2の緑画素Gb、Grの感度差が生じる。他の色画素のフォトダイオードPD上に最下層の配線26の一部が延長し、配線26による下地層のレイアウトが非対称の場合には、色シェーディングが生じ得る。
第4実施の形態に係る固体撮像装置65は、図8に示すように、半導体基板53の表面側には光電変換部となるフォトダイオードPD4が形成され、半導体基板53の上方に、層間絶縁膜54を介して複数層の配線55が形成される。配線55は、基本的にフォトダイオードPD4に対応する部分が開口されている。フォトダイオードPD4の上方には、層間絶縁膜54に埋め込まれるように、入射光をフォトダイオードPDに導く導波路52が形成される。層間絶縁膜54の表面は平坦化され、この層間絶縁膜の表面上に、カラーフルタ層57が形成され、その上にオンチップレンズ58が形成される。本例では、導波路52が最下層の配線55の上方に設けられ、最下層の一部の配線55が一部フォトダイオードPD4上に張出している。また、図示しないが、他の第1の緑画素Gb、赤画素R及び青画素Bでは、導波路52下の最下層の配線55がフォトダイオードPD1、PD2及びPD3上に張出していない。従って、単位画素群42内で配線55による下地層のレイアウトは非対称に形成されている。
そして、本実施の形態においては、第2の緑画素Grの導波路52が、フォトダイオードPD4上に張出した配線55から離れるようにシフトして形成される。他の画素R、Gb、Bの導波路52は、フォトダイオードPDに対して同じ位置に配置される。第2の緑画素Grの導波路52のみが当初の状態からシフトされるので、単位画素群42内で第2の緑画素Grの導波路52は、他の画素Gb、R、Bの導波路52に対して、第2の緑画素Grと他の隣接する画素Gb、R、Bとの境界線を挟んで非対称に配置される。単位画素群42内の全体の導波路52のレイアウトは、画素部40の全域で同じにする。
その他の4画素共有の構成は、第1実施の形態で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
第4実施の形態に係る固体撮像装置65によれば、第2の緑画素Grの導波路52を、フォトダイオードPD4上に張出す配線55から離れるようにシフトするので、入射光Lは配線55に蹴られることなくフォトダイオードPD4に入射され、感度が上がる。従って、第1及び第2の緑画素Gb、Grの感度差を低減し、もしくは無くすことができ、両緑画素Gb及びGrの感度の均一化を図ることができる。この第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差の改善により、格子ノイズなどのノイズを低減することができ、高画質の固体撮像装置を得ることができる。
なお、他の色画素のフォトダイオードPD上に最下層の配線55の一部が張出している場合には、その画素の導波路をシフトさせる。この構成により、入射光が配線55により蹴られることがなく、色シェーディングを抑制することができる。
<5.第5実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図10に、本発明に係る固体撮像装置の第5実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図10A、Bは最終的な第5実施の形態の画角中心の単位画素群、画角端の単位画素群の概略構成図である。
本実施の形態の固体撮像装置は、第1〜第4実施の形態で説明した導波路のシフトと、導波路瞳補正とを組み合わせて、緑画素Gr及びGb間の感度差の改善と共に、色シェーディングの改善を図るものである。
先ず、図11〜図14を用いて、導波路瞳補正について説明する。図11、図14の断面図では、説明を容易にするために、画素トランジスタは省略してある。図11Aは画角中心の画素、図11Bは画角端の画素を示す。固体撮像装置の画素は、図11に示すように、半導体基板53の表面側に光電変換部となるフォトダイオードPDが形成され、半導体基板53の上方にフォトダイオードPD上を除いて、層間絶縁膜54を介して複数層の配線55が形成される。フォトダイオードPDの上方には、層間絶縁膜54に埋め込まれるように、入射光をフォトダイオードPDに導く導波路52が形成される。層間絶縁膜54の表面は平坦化され、平坦化した表面上に、導波路52に対応するようにカラーフルタ層57が形成され、その上にオンチップレンズ58が形成される。
導波路52は、フォトダイオードPD上の層間絶縁膜54に導波路孔を形成し、その導波路孔に層間絶縁膜54よりも屈折率の高い透光性を有する材料、例えば窒化シリコン膜、ダイヤモンド膜もしくは樹脂材料を埋め込んで形成される。マイクロレンズ58及びカラーフィルタ層57には、斜め光に対しても効率良く集光できるように、瞳補正が加えられる。その瞳補正量は、画角中心(例えば画素部中心)より画角端に向かうに従って大きくなる。
画素部40内の各フォトダイオードPDに対応して形成される導波路52は、前述したと同様に、入射端から射出端に向かって断面積が一定の柱状体に形成される。例えば、円柱、角柱、長円柱(楕円柱も含む)等である。そして導波路52は、その入射端面に入射される入射光の光束の中心LCと、導波路52の中心軸Cとが一致して配置される。
この場合、図11Aの画角中心の画素では、マイクロレンズ58の中心軸方向から入射光が入射されるので、マイクロレンズ58によって集光された入射光はカラーフィルタ層57を透過して分光されて、導波路52の入射端面より入射される。そして、導波路52の中心軸Cに沿って導かれて射出端面より射出され、フォトダイオードPDの中心に照射される。すなわち、マイクロレンズ58の中心を透過した入射光は、カラーフィルタ層57の中心、導波路52の中心軸Cに沿って透過され、フォトダイオードPDの中心に照射される。したがって、導波路52の瞳補正は行っていない。
図11Bの画角中心から外れる画素、図では画角端の画素では、上記したように、マイクロレンズ58やカラーフィルタ層57には、斜め光に対しても効率良く集光できるように、瞳補正が加えられる。それと共に、導波路52は、その入射端面に入射される入射光の光束の中心LCと、その中心軸Cとが一致するように配置される。すなわち、導波路52に対して瞳補正がかけられる。
また、画素部40内で同等の波長の入射光が入射されるフォトダイオードPDでは、フォトダイオードPDの中心に対する導波路52の中心軸Cのずれ量は、画素部40の中心のフォトダイオードPDより外側方向に向かって大きくなっている。すなわち、画素部40の中心から外側方向に離れるに従い、マイクロレンズ58して瞳補正を行っているが、それでは不十分である。そこで、入射光の同一波長の光に対して、フォトダイオードPDの中心に対する導波路52の中心軸のずれ量が大きくしていくことで、マイクロレンズ58から入射される光束の中心が導波路52の中心軸Cに一致するようになる。
導波路52は、その径が、導波路52の射出端から射出される入射光がフォトダイオードPDの表面内に照射される大きさに形成されている。したがって、従来技術の導波路のように、フォトダイオードPDの表面の大きさと同等な大きさには形成されていない。また、導波路52の径は、カラーフィルタ層57を透過してきた入射光の導波路52の入射端面におけるスポット径よりも大きく形成されていることが好ましい。なお、スポット径は、入射光の波長によって異なり、例えばカラーフィルタ層57によって分光される色が赤色光、緑色光、青色光の場合、赤色光のスポット径が最も大きく、次に緑色光、青色光の順になる。よって、導波路52の径は、各色で変えて形成するのでは、レイアウトが複雑になるので、例えば、入射光の中間の波長域である緑色光を基準に決定される。または、配線層50の配線55とのマージンがある場合には、赤色光を基準に決定されてもよい。
導波路52の径を従来の導波路よりも小さくすることで瞳補正のマージンを拡大することができる。それとともに、導波路52の周囲に配置されている配線55の幅を縮小することによって、さらに導波路52の瞳補正量のマージンを拡大することができる。
一方、図12に示すように、画素部40内で同等の波長の入射光が入射されるフォトダイオードPDでは、フォトダイオードPDの中心軸FCに対する導波路52の中心軸Cのずれ量が、画素部40の中心から外側方向に向かって大きくなっているものである。言い換えれば、画素部40の中心から同等の距離にあるフォトダイオードPDでは、フォトダイオードPDに入射される光の波長さが長くなるにしたがって、フォトダイオードPDの中心軸FCに対する導波路52の中心軸Cのずれ量が大きくなる。導波路52の瞳補正量は「青色光(B)<緑色光(G)<赤色光(R)」の関係にする。勿論、平面レイアウト上、フォトダイオードPDより導波路52は小さいものとする。この結果、各々の導波路52でシェーディングを最適化することができる。
通常、画素の中心から外側方向に離れるに従い、マイクロレンズ58により集光された入射光の入射角は大きくなる。そのとき、マイクロレンズ58に対して瞳補正を行っているが、それでは不十分である。そこで、上記説明したように、入射光の同一波長の光に対して、フォトダイオードの中心に対する導波路の中心軸のずれ量を大きくしていくことで、マイクロレンズ58から入射される光束の中心を導波路の中心に入るようになる。
通常、マイクロレンズ58およびカラーフィルタ層57は、入射光がフォトダイオードPDの中心軸方向に入射されるように瞳補正がかけられている。例えば、入射光の基準の波長の光(例えば、緑色光)に対して、マイクロレンズ58およびカラーフィルタ層57の瞳補正がなされている。この場合、図12Aに示すように、青色光はマイクロレンズ58によって大きく曲げられるので、導波路52の入射端面に入射する入射角が大きくなる。従って、マイクロレンズ58及びカラーフィルタ層57は瞳補正によってフォトダイオードPDの中心軸FCより画素中心方向に大きくずらされる。しかし、この大きくずらされていても、カラーフィルタ層57を射出した光は、導波路52の入射端面におけるフォトダイオードPDの中心軸FC方向に近い位置に入射される。従って、導波路52の入射端面に入射される入射光はほとんど導波路52内に導かれる。この場合も、導波路52の入射端面に入射される入射光の光束の中心軸LCと導波路52の中心軸Cとが一致するように、導波路52の位置が補正される。
図12Cに示すように、赤色光は、青色光よりマイクロレンズによって曲げられにくいので、導波路52の入射端面に入射する入射角が青色光よりも小さくなる。また、マイクロレンズ58及びカラーフィルタ層57は瞳補正によってフォトダイオードPDの中心軸より画角中心方向に大きくずらされている。このため、カラーフィルタ層57を射出した光は、導波路52の入射端面におけるフォトダイオードPDの中心軸FCから放れた位置に入射される。場合によっては導波路52の入射端面から大部分がはみ出した状態で入射される。しかしながら、本例では、導波路52の入射端面に入射される入射光の光束の中心軸LCと導波路52の中心軸Cとが一致するように、導波路52の位置が補正される。このため、カラーフィルタ層57を射出した入射光はほとんど導波路52の入射端面に入射されて導波路52内に導かれる。
また、図12Bに示すように、緑色光は、青色光よりマイクロレンズ58によって曲げられにくく、赤色光より曲げられやすいので、導波路52の入射端面に入射する入射角が青色光よりも小さく、赤色光よりも大きくなる。マイクロレンズ58及びカラーフィルタ層58は瞳補正によってフォトダイオードPDの中心軸より画角中心方向にずらされるので、カラーフィルタ層57を射出した光は、導波路52の入射端面でフォトダイオードPDの中心軸FCから離れた位置に入射される。しかしながら、本例では、導波路52の入射端面に入射される入射光の光束の中心軸LCと導波路52の中心軸Cとが一致するように、導波路52の位置が補正されている。このため、カラーフィルタ層57を射出した入射光のほとんどが導波路52の入射端面に入射されて導波路52内に導かれる。
このように、各導波路52は、各フォトダイオードPDの中心に対する導波路52の中心軸Cのずれ量が、カラーフィルタ層57によって分光される波長が短くなるに従って、フォトダイオードPDの中心に対する導波路52の中心軸Cのずれ量が小さくなる。従って、各導波路52の入射端面への入射光の波長が異なっても、その波長に対応して導波路52が配置されているので、画素ごとに感度が異なることはなく、また色シェーディングを発生することもない。
図13及び図14に、上述の導波路に瞳補正を行った4画素共有に適用した固体撮像装置を示す。図13Aは、図14に示す画素部40の画角中心の4画素共有の単位画素群42の導波路52のレイアウトを示す。図13Bは、図14に示す画素部40の右上の画角端の4画素共有の単位画素群42の導波路52のレイアウトを示す。画素部40の右下、左上、左下の画角端の4画素共有の単位画素群42の導波路52のレイアウトは、画角中心を中心にそれぞれ図13Bの導波路52のレイアウトと対称のレイアウトになる。
第5実施の形態に係る固体撮像装置67は、図11〜図14に示した瞳補正された導波路52のレイアウトに、さらに第1実施の形態で示す第2の緑画素Grの導波路52のみをシフトさせたレイアウトを加えて構成される。
第5実施の形態に係る固体撮像装置67によれば、導波路52に瞳補正を行った構成を有するので、色シェーディングが改善される。同時に第1及び第2の緑画素Gb、Gr間の感度差を改善することができ、高画質の固体撮像装置を得ることができる。
第5実施の形態では、上例の他、第2実施の形態〜第4実施の形態のいずれかと、図11乃至図14で説明した導波路瞳補正とを組み合わせた構成とすることもでき、同様の効果を奏する。
<6.第6実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図15に、本発明に係る固体撮像装置の第5実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、2画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。
先ず、第6実施の形態の理解を容易にするために、図16を用いて改善前の2画素共有の固体撮像装置34の比較例について説明する。固体撮像装置34は、導波路11を有する構成例である。固体撮像装置34は、前述の図38の固体撮像装置1の各画素に導波路11を追加して構成される。他の構成は図38で説明したと同様であるので、図16において図38と対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。この固体撮像装置34では、2画素共有の単位画素群14内で転送ゲート電極3が隣接する画素の境界線に対して非対称にレイアウトされている。すなわち、画素B及びGrの転送ゲート電極3が両画素B及びGrの境界線に対して非対称に配置され、画素Gb及びRの転送ゲート電極3が両画素Gb及びRの境界線に対して非対称に配置される。ベイヤ配列の赤画素R、第1及び第2の緑画素Gb、Gr及び青画素Gbの4つの画素の組を見ると、転送ゲート電極3による下地レイアウトが非対称であるため、緑画素Gb、Grの感度差や、色シェーディングが発生する。
第6実施の形態に係る固体撮像装置69は、図15に示すように、2画素共有の単位画素群71を繰り返し2次元配列して画素部が構成される。2画素共有の単位画素群71は、2つのフォトダイオードPD1、PD2と、2つの転送トランジスタTr11、Tr12と、1つのフローティングディフージョン部FD、リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3により構成される。各フォトダイオードPD1,PD2に対応して導波路78は配置される。本例では、ベイヤ配列のカラーフィルタが用いられているので、赤画素Rと第1の緑画素Gbによる2画素共有の単位画素群71、及び青画素Bと第2の緑画素Grによる2画素共有の単位画素群71が、繰り返し配列される。隣接する2組の2画素共有の単位画素群71で、1組の4画素Gr,R,Gb、Bが構成される。
転送トランジスタTr1、Tr12は、それぞれポリシリコンによる転送ゲート電極70と,フォトダイオードPD[PD1、PD2]と,フローティングディフージョン部FDとを有して構成される。リセットトランジスタTr2は、ポリシリコンによるリセットゲート電極72と、フローティングディフージョン部FDと、ソース領域73を有して構成される。増幅トランジスタTr3は、ポリシリコンによる増幅ゲート電極74と、ソース領域75及びドレイン領域76を有して構成される。フローティングディフージョン部FDと増幅ゲート電極74とは配線77により接続される。増幅トランジスタTr3のソース領域は、垂直信号線(図示せず)が接続される。
本実施の形態においては、レイアウトが非対称の下地層、この例ではポリシリコンの転送ゲート電極70による下地層の影響を受け難い方向に、各画素R、Gb、Gr及びBの導波路78をシフトさせて構成される。本例では、第1の緑画素Gb及び青画素Bの導波路78が図において水平右方向にシフトし、第2の緑画素Gr及び赤画素Rの導波路78が図において垂直下方向にシフトされる。本例のシフト方向は一例に過ぎず、下地層の非対称性に応じて種々のシフト方向が選択される。第1〜第5実施の形態の構成も選択できる。4つの画素R、Gb、Gr及びBを組として見たとき、各組内の全体の導波路78のレイアウトは、画素部の全域で同じである。
第6実施の形態に係る固体撮像装置69によれば、2画素共有において、各画素の導波路78を入射光が影響を受ける転送ゲート電極70から離して配置されるので、両緑画素Gb,Gr間の感度差や色シェーディングを改善することができる。各画素に対して光学的対称性が得られ、高画質化された固体撮像装置を提供することができる。
<7.第7実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図17〜図18に、本発明に係る固体撮像装置の第7実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。図18Aは図17のA−A線上の概略断面図、図18Bは図17のB−B線上の概略断面図である。本実施の形態は、調整手段として導波路を用いずに、配線を用いて光学的対称性を得るための光量調整を行う構成とした場合である。
先ず、第7実施の形態を理解するために、図19〜図20を用いて改善前の4画素共有の固体撮像装置35の比較例について説明する。比較例の固体撮像装置35は、単位画素群14において、フォトダイオードPD[PD1〜PD4]の上方に導波路を有しておらず、導波路を除いた以外は、前述の図33の構成と同じである。図19の平面図では、配線26を付加しており、この配線26はフォトダイオードPD上に重なることなく配置される。図19及び図20において、図33及び図34と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
比較例の固体撮像装置35の単位画素群14では、図20Aの断面図に示すように、第2の緑画素Grに入射した入射光の一部がフォトダイオードPD4に近接配置された下地層となる増幅ゲート電極21に蹴られる。一方、図20Bの断面図に示すように、第1の緑画素Gbに入射した入射光は、下地層となるゲート電極に蹴られることなく、フォトダイオードPD1へ入射される。青画素Bに入射される入射光も同様に増幅ゲート電極21に蹴られ、第1の緑画素Gbに入射される入射光はゲート電極に蹴られない。従って、両緑画素GrとGbでは入射光量に差が生じ、感度差が生じる。また、各画素Gr、Bと、画素Gb、Rとの入射光量に差が生じ、光学的非対称性が生じる。
第7実施の形態に係る固体撮像装置81は、図17及び図18に示すように、4画素共有の単位画素群42において、導波路及び配線を除いた他の構成が前述の第1実施の形態の図2及び図3と同様に構成される。すなわち、 第7実施の形態に係る固体撮像装置81は、図17に示すように、画素として、4つの光電変換部となるフォトダイオードPDを1つの画素トランジスタ部で共有する4画素共有の単位画素群42を有して成る。単位画素群42は、より詳しくは4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]と、4つの転送トランジスタTr1[Tr11〜Tr14]と、1つのフローティングディフージョン部FDを有する。さらに、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有して構成される。各画素のフォトダイオードPDの上方には、導波路を形成しない。
フローティングディフージョン部FDは、2×2配列の4つのフォトダイオードPD1〜PD4に囲まれた中央に配置される。このフローティングディフージョン部FDと各フォトダイオードPD1〜PD4との間にそれぞれポリシリコンによる転送ゲート電極43が配置される。これにより、各フォトダイオードPD1〜PD4に対する4つの転送トランジスタTr11〜Tr14が形成される。リセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4は、4つのフォトダイオードPD1〜PD4の群の下側に、水平方向に沿って連続して配置される。
各画素R、Gr、Gb及びBは、図18に示すと同様に半導体基板53の表面に光電変換部となるフォトダイオードPDが形成され、半導体基板53上に層間絶縁膜54を介して複数層の配線55を形成した配線層50が形成される。さらに配線層50上にカラーフィルタ層57及びオンチップレンズ58が積層形成される。
本実施の形態は、光学的対称性を得るための調整手段に配線55を用いている。本実施の形態では、下地層である増幅ゲート電極の影響を受けない第1の緑画素Gb及び赤画素RのフォトダイオードPD1及びPD2の一部を上層の配線55から一部張出した張出し部55aにて遮光する。張出し部55aによる入射光量の調整量、すなわちフォトダイオードPD1及びPD2の夫々に重なる張出し量は、フォトダイオードPD1及びPD2への入射光量が、他のフォトダイオードPD3及びPD4への入射光量と同等になるように設定される。この配線55の張出し部55aのレイアウトは、画素部40の全域の単位画素群42において同じである。
その他の構成については、図2及び図3で説明したと同様である。図17及び図18において、図2及び図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
第7実施の形態に係る固体撮像装置81によれば、増幅ゲート電極49の影響を受けない画素、この例では第1の緑画素Gb及び赤画素Rに対し、配線55の張出し部55aの張出し量を調整することにより、入射光量を調整することができる。これにより、第1及び第2の緑画素Gb及びGr間の感度差を低減し、あるいは無くすことができる。また、各画素R、Gr、Gb及びBに対する入射光量を同等にすることができる。色シェーディングの改善も図れる。従って、光学的対称性を得ることができ、高画質化された固体撮像装置を提供できる。
<8.第8実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図21〜図22に、本発明に係る固体撮像装置の第8実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。本実施の形態は、導波路のない構成であり、調整手段としてポリシリコンによるダミー電極を用いて光量調整を行い、光学的対称性を得るようにした場合である。
先ず、第8実施の形態を理解するために、図23〜図24を用いて改善前の4画素共有であって、導波路を有しない固体撮像装置36の比較例について説明する。比較例に係る固体撮像装置36は、単位画素群14において、フォトダイオードPD[PD1〜PD4]の上方に導波路を有しておらず、導波路及び配線のレイアウトを除いた以外は、前述の図19及び図20の構成と同じである。この固体撮像装置36では、配線26のレイアウトが非対称である。本例では、単位画素群14において、配線26が青画素B及び第2の緑画素Grの一部に重なるように形成される。図23及び図24において、図19及び図20と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
比較例の固体撮像装置36で示すように、配線26の非対称性が避けられない場合、青画素B及び第2の緑画素Grに入射される入射光の一部が配線26に蹴られることになり、画素間において入射光量に差が生じ、光学的対称性が得られない。
第8実施の形態に係る固体撮像装置83は、前述の第7実施の形態で説明したと同様に、フォトダイオードPDの上方に導波路を有しない4画素共有の単位画素群42を配列して画素部42が構成される。配線55は、図23及び図24の比較例と同様に、レイアウトが非対称と成るように形成される。すなわち、配線55が青画素B及び第2の緑画素Grの一部に重なるように形成される。
本実施の形態は、光学的対称性を得るための調整手段として画素トランジスタのゲート電極と同時に形成されるポリシリコンによるダミー電極84を用いている。すなわち、本実施の形態では、配線55の影響を受けない第1の緑画素Gb及び赤画素RのフォトダイオードPD1及びPD2に近接してダミー電極84が形成される。ダミー電極84は、入射光の一部がダミー電極84によって蹴られる位置に形成されるように配置される。ダミー電極84による入射光量の調整量、即ちフォトダイオードPD1及びPD2に沿う長さは、フォトダイオードPD1、PD2への入射光量が、他の配線55によって蹴られた後のフォトダイオードPD3、PD4への入射光量と同等になるように設定される。このダミー電極84のレイアウトは、画素部40の全域の単位画素群42において同じである。
その他の構成については、図17及び図18で説明したと同様である。図21及び図22において、図17及び図18と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
第8実施の形態の固体撮像装置83では、図22Aに示すように、第2の緑画素Grに入射される入射光Lの一部が張出された配線55によって蹴られ、第2の緑画素Grへの入射光量が減る。青画素Bにおいても同様に、入射される入射光Lの一部が張出された配線55によって蹴られ、青画素Bへの入射光量が減る。一方、配線55の影響を受けない第1の緑画素Gbでは、図22Bに示すように、入射した入射光Lの一部がダミー電極84に蹴られ、第1の緑画素Gbへの入射光量が減る。これの入射光量の減る量は、ダミー電極84の大きさを制御することにより、各画素共に同等にすることができる。
第8実施の形態に係る固体撮像装置83によれば、単位画素群42内において、配線55のレイアウトの非対称性が避けられない場合に、配線55の影響を受けない画素に近接して、下地層にダミー電極84を配置することにより、光学的対称性が得られる。すなわち、第1及び第2の緑画素Gb及びGr間の感度差を低減し、あるいは無くすことができる。また、各画素R、Gr、Gb及びBに対して同等の入射光量を得ることができる。色シェーディングの改善も図れる。
<9.第9実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図25〜図26に、本発明に係る固体撮像装置の第9実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。本実施の形態は、導波路のない構成であり、調整手段としてオンチップレンズを用いて光量調整を行い、光学的対称性を得るようにしたものである。
先ず、第9実施の形態を理解するために、図27〜図28を用いて改善前の4画素共有であって、導波路を有しない固体撮像装置37の比較例について説明する。比較例の固体撮像装置37は、単位画素群14において、フォトダイオードPD[PD1〜PD4]の上方に導波路を有しておらず、導波路を除いた以外は、前述の図19の構成と同じである。図27及び図28において、図19及び図20と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
比較例の固体撮像装置37の単位画素群14では、図28Aの断面図に示すように、第2の緑画素Grに入射した入射光の一部がフォトダイオードPD4に近接配置された下地層となる増幅ゲート電極21に蹴られる。一方、図28Bの断面図に示すように、第1の緑画素Gbに入射した入射光は、下地層となるゲート電極に蹴られることなく、フォトダイオードPD1へ入射される。青画素Bに入射される入射光も同様に増幅ゲート電極21に蹴られ、第1の緑画素Gbに入射される入射光はゲート電極に蹴られない。従って、両緑画素GrとGbでは入射光量に差が生じ、感度差が生じる。また、各画素Gr及びBと、画素Gb及びRとの入射光量に差が生じ、光学的非対称性が生じる。
第9実施の形態に係る固体撮像装置85は、図25及び図26に示すように、フォトダイオードPDの上方に導波路を有しない4画素共有の単位画素群42が構成される。この4画素共有の単位画素群42を複数配列して画素部40が構成される。単位画素群42は、前述したと同様に、4つのフォトダイオードPD[PD1〜PD4]と、4つの転送トランジスタTr1[Tr11〜Tr14]と、1つのフローティングディフージョン部FDを有する。さらに、1つのリセットトランジスタTr2、増幅トランジスタTr3、選択トランジスタTr4を有して構成される。
各画素R、Gr、Gb及びBは、図26に示すと同様に半導体基板53の表面に光電変換部となるフォトダイオードPDが形成され、半導体基板53上に層間絶縁膜54を介して複数層の配線55を形成した配線層50が形成される。さらに配線層50上にカラーフィルタ層57及びオンチップレンズ58が積層形成される。
本実施の形態の固体撮像装置85は、光学的対称性を得るための調整手段としてオンチップレンズ58を用いる。本実施の形態では、下地層となる増幅ゲート電極49の影響を受ける第2の緑画素Gr及び青画素Bのオンチップレンズ58のみが、オンチップレンズ58を透過する入射光Lが増幅ゲート電極に蹴られない位置にシフトされる。すなわち、第2の緑画素Gr及び青画素Bのオンチップレンズ58は、集光ポイントが増幅ゲート電極49から離れる方向にシフトされる。単位画素群42におけるオンチップレンズ58のレイアウトは、画素部40の全域の単位画素群42において同じにする。
第9実施の形態では、図26Aに示すように、第2の緑画素Grにおいてオンチップレンズ58が増幅ゲート電極から離れる方向にシフトされるので、入射される入射光Lが増幅ゲート電極49に蹴られずにフォトダイオードPD4に入射される。青画素Bにおいてもオンチップレンズ58がシフトされるので、第2の緑画素Grと同様である。第1の緑画素Gbでは、オンチップレンズ58がシフトされず、入射光が下地層であるゲート電極に影響されずにフォトダイオードPD1に入射される。赤画素Rにおいても入射光が下地層であるゲート電極に影響されずに入射されるので、第1の緑画素Gbと同様である。
第9実施の形態に係る固体撮像装置85によれば、画素Gr、Bのオンチップレンズ58をシフトさせることにより光量調整がなされるので、前述と同様に第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差を同等にすることができる。また、各画素R、Gr、Gb及びBに対して同等の入射光量を得ることができる。色シェーディングの改善も図れる。従って、光学的対称性を得ることができる。
<10.第10実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図29〜図30に、本発明に係る固体撮像装置の第10実施の形態を示す。本実施の形態の固体撮像装置は、4画素共有のMOS固体撮像装置に適用した場合である。本実施の形態は、第9実施の形態に示す光量調整でも感度差が十分出ない場合の更なる改善策である。
第10実施の形態に係る固体撮像装置87は、4画素共有の単位画素群42において、第2の緑画素Gr及び青画素Bのオンチップレンズ58を下地層の増幅ゲート電極49から離れる方向にシフトさせる。同時に、第1の緑画素Gb及び赤画素Rのオンチップレンズ58を下地層の配線55に近づける方向にシフトさせる。
第10実施の形態に係る固体撮像素子87によれば、第2の緑画素Gr及び青画素Bでは、オンチップレンズ58を増幅ゲート電極49から離し、集光ポイントを移動するので、入射光量の損失が回避され感度が向上する。一方、第1の緑画素Gb及び赤画素Rでは、オンチップレンズ58を配線55に近づけ、配線55により入射光量を減らすように調整するので、感度が低減する。結果として総合的に第1及び第2の緑画素Gb及びGrの感度差を同等にすることができる。また、各画素R、Gr、Gb及びBに対して同等の入射光量を得ることができる。色シェーディングの改善も図れる。従って、光学的対称性を得ることができる。
<11.第11実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
本発明に係る固体撮像装置は、図示しないが、前述の第1〜第10実施の形態で説明した光学的対称性を得るための構成を、CCD固体撮像装置に適用することもできる。CCD固体撮像装置に適用した場合にも、前述と同様の光量調整ができ、各画素に対し光学的対称性が得られるものである。
上例では、本発明を2画素共有、4画素共有の固体撮像装置に適用したが、その他の複数画素共有の固体撮像装置にも適用することができる。
上例では、図31のベイヤ配列のカラーフィルタ101を備えた固体撮像装置に適用したが、その他、図32の斜め配列としたハニカム配列のカラーフィルタ102を備えた固体撮像装置に適用することもできる。
上例では、本発明をカラー固体撮像装置に適用した場合であるが、その他、監視カメラ等に使用されるモノクロ等の単色固体撮像装置に適用することも可能である。この場合も導波路、配線、ダミー電極、オンチップレンズ等を補正手段として用いることができる。
<12.第12実施の形態>
[電子機器の構成例]
上述の本発明に係る固体撮像装置は、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話、あるいは撮像機能を備えた他の機器、などの電子機器に適用することができる。
図37に、本発明に係る電子機器の一例としてカメラに適用した第12実施の形態を示す。本実施の形態に係るカメラは、静止画像又は動画撮影可能なビデオカメラを例としたものである。本実施も形態のカメラ91は、固体撮像装置92と、固体撮像装置92の受光センサ部に入射光を導く光学系93と、シャッタ装置94を有する。さらに、カメラ91は、固体撮像装置92を駆動する駆動回路95と、固体撮像装置92の出力信号を処理する信号処理回路96とを有する。
固体撮像装置92は、上述した各実施の形態の固体撮像装置のいずれかが適用される。光学系(光学レンズ)93は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置92の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置92内に、一定期間信号電荷が蓄積される。光学系93は、複数の光学レンズから構成された光学レンズ系としてもよい。シャッタ装置94は、固体撮像装置92への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路95は、固体撮像装置92の転送動作及びシャッタ装置94のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路95から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置92の信号転送を行う。信号処理回路96は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、或いは、モニタに出力される。
第12実施の形態に係るカメラなどの電子機器によれば、固体撮像装置92において緑画素Gb、Grの感度を同等にする等、光学的対称性を得ることができ、高画質化が図られ、信頼性の高い電子機器を提供することができる。