以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。尚、画像形成装置1には、後述する定着装置が内蔵されている。
画像形成装置1は、画像読取部200(画像データ取得部の一例)と、画像形成本体部22とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ部220と、CIS(Contact Image Sensor)231と、画像形成本体部22の前面に露出するように配置されたユーザインタフェース部Iと、後述する反転機構を備えて構成されている。
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ対214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ対214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、原稿を検出する図略のタイミングセンサが設置されている。そしてそのタイミングセンサの出力要求に基づき、読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
スキャナ部220は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部220は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charged Coupled Device)229を備える。
このスキャナ部220は、光源222として白色蛍光ランプを備える。また、スキャナ部220は、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導く。スキャナ部220は、光源222として白色蛍光ランプを用いて構成されていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
ガラス221には、原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ部220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードとがある。
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213に対面して設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
更に、原稿給紙部210は、切換ガイド216、反転ローラ対217及び反転搬送路218を備えた反転機構を有する。この反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に向けて再搬送することで、再度CCD229によって裏面の読み取りが行われる。
この反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ対214によって排紙トレイ215に排紙される。
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ対217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ対217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
更に、画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部220)によって原稿の表面の読み取りを行わせるのと略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211からプラテン213に向けて搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
両面反転読取モード及び両面同時読取モードは、ADF読取モードを用いて原稿の両面読み取りを行う際の読取モードとして備えられている。両面反転読取モードは、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合に利用される一方、両面同時読取モードは、両面の印刷画像の画質に差があっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合に利用される。画像形成装置1は、例えば両面同時読取モードに初期設定されており、読取モードのモード設定操作が何も行われないまま画像形成指示が入力された場合には、両面同時読取モードで原稿の画像読取動作が行われるようになっている。
画像形成装置1は、画像形成本体部22と、画像形成本体部22の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。画像形成本体部22は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙Pを1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙Pに画像を形成する画像形成部40とを備える。また、画像形成本体部22は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部220で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着部45とを備えている。
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーの供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙Pをスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ対463,464等が設けられている。
記録紙Pの両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙Pの一方の面に画像を形成した後、この記録紙Pを排出トレイ48側の搬送ローラ対463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ対463を反転させて記録紙Pをスイッチバックさせ、記録紙Pを用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により記録紙Pの他方の面に画像を形成した後、記録紙Pをスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
定着部45は、発熱する定着ローラ45Aと、定着ローラ45Aとの間でニップを形成する加圧ローラ45Bとを備える。定着部45は、定着ローラ45Aと加圧ローラ45Bとの間のニップにおいて、記録紙Pに転写されたトナー像を熱により当該記録紙Pに定着させる。
ユーザインタフェース部Iは、液晶モニタなどで構成された表示部5と、操作キー18とを備える。
ユーザインタフェース部Iは、例えば、操作キー18の操作によってコピー機能が選択され、図示しないスタートキーが操作されたとき、コピー機能の実行指示を後述する印字ジョブの実行指示として受け付ける。コピー機能は、画像読取部200によって原稿画像を読み取り、画像形成部40によって原稿画像を記録紙Pに形成する機能である。
表示部5は、操作キー18の操作によって選択された機能を実行するための画像を表示するために配置されている。
図2は、画像形成装置1に内蔵される定着装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
定着装置2は、先述の定着ローラ45Aを少なくとも含む定着部45、コントローラ10、誘導コイル121、及び温度検出部14を備える。尚、定着部45の機能については先述した通りであるため、説明を省略する。
また、コントローラ10の一部と、誘導コイル121とによって、磁束発生部12が構成されている。図2において、2点鎖線で磁束発生部12を示している。磁束発生部12は、スイッチング素子120、通電されたとき磁束を発生させる誘導コイル121、スイッチング素子120をオンオフさせるためのゲートドライバ122(駆動部の一例)、及び誘導コイル121で発生する磁束の大きさ及び方向を変化させるための共振コンデンサ123を備えて構成されている。
図3は、磁束発生部12の具体的な構成例を模式的に示した説明図である。磁束発生部12は、スイッチング素子120として、スイッチング素子120A及び120Bを備える。
そして、スイッチング素子120A及び120Bの直列回路が電源Vとグランドとの間に配置されている。スイッチング素子120Aとスイッチング素子120Bとの接続点には、誘導コイル121と共振コンデンサ123との直列回路の一端が接続されている。そしてまた、誘導コイル121と共振コンデンサ123との直列回路の他端がグランドに接続されている。具体的には、スイッチング素子120Aのコレクタが電源Vに接続され、スイッチング素子120Aのエミッタがスイッチング素子120Bのコレクタに接続され、スイッチング素子120Bのエミッタがグランドに接続されている。そして、スイッチング素子120Aのエミッタとスイッチング素子120Bのコレクタとの接続点に、誘導コイル121の一端が接続され、誘導コイルの他端が共振コンデンサ123の一端に接続され、共振コンデンサ123の他端がグランドに接続されている。
尚、スイッチング素子120A及び120Bとしては、例えば、バイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等、種々の半導体スイッチング素子を用いることができる。
かかる構成の磁束発生部12では、スイッチング素子120Aがオンしスイッチング素子120Bがオフしているときには、電源Vから、スイッチング素子120A、誘導コイル121、及び共振コンデンサ123を介してグランドへ電流が流れる。この場合、電流は誘導コイル121を紙面右方向に流れ、この電流により共振コンデンサ123に電荷が蓄積される。
一方で、スイッチング素子120Aがオフしスイッチング素子120Bがオンしているときには、共振コンデンサ123が放電する。そして共振コンデンサ123の放電電流が、誘導コイル121及びスイッチング素子120Bを介してグランドへ流れる。この場合、電流は誘導コイル121を紙面左方向に流れる。
温度検出部14は、定着ローラ45Aの温度を検出し、当該温度を電圧で表した電圧信号をコントローラ10に向けて出力する。かかる温度検出部14は、サーミスタや熱電対などの感熱素子を用いて構成されている。尚、後述する温度検出部13も、温度検出部14と同様に、サーミスタや熱電対などの感熱素子を用いて構成されている。
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成されており、定着装置2を統括的に制御する。コントローラ10は、制御部20、温度検出部13、ゲートドライバ122、スイッチング素子120、及び共振コンデンサ123を備える。制御部20は、制御回路100、基準温度切換部101、スイッチ102、比較器103、及びバッファ104A,104Bを備える。
温度検出部13は、スイッチング素子120A及び120Bそれぞれについて、温度を検出し、検出された温度を表す電圧Vta,Vtbを、コントローラ10に出力する。例えば、温度検出部13は、2つの感熱素子を備えたブロックであり、各感熱素子は、例えば、スイッチング素子120A及び120Bのパッケージ表面に配置されている。以下、温度検出部13によって検出されたスイッチング素子120Aの温度を検出温度T2A、温度検出部13によって検出されたスイッチング素子120Bの温度を検出温度T2B、検出温度T2Aを表す電圧をVta、検出温度T2Bを表す電圧をVtbとする。また、検出温度T2Aと検出温度T2Bとを総称して検出温度T2と称し、電圧Vtaと電圧Vtbとを総称して電圧Vtと称する。
制御回路100は、例えばCPU、ROM、RAMなどを備えて構成されており、スイッチング素子120A及び120Bのオン、オフを制御する。尚、制御回路100の機能については後述する。
基準温度切換部101は、スイッチ102を駆動させるための駆動電流を出力する駆動回路である。この基準温度切換部101は、制御回路100から、スイッチ102の接点Cを接点aに接続することを指示する切換信号が出力されたとき、スイッチ102の接点Cを接点aに接続させる。
一方で、基準温度切換部101は、制御回路100から、スイッチ102の接点Cを接点bに接続することを指示する切換信号が出力されたとき、スイッチ102の接点Cを接点bに接続させる。
スイッチ102は、接点a、接点b、及び接点Cを備えている。スイッチ102は、接点Cと接点aとを導通(接続)させる第1状態と、接点Cと接点bとを導通(接続)させる第2状態とを切替可能な切替スイッチである。接点aには、例えば図略の定電圧回路から、第1基準温度TS1を表す電圧である基準電圧V1(第1基準電圧)が供給されている。接点bには、例えば図略の定電圧回路から、第2基準温度TS2を表す基準電圧V2(第2基準電圧)が供給されている。基準電圧V1,V2及び電圧Vtは、例えば、電圧が高くなるほど高い温度を示している。
ところで、スイッチング素子120A,120Bの自己発熱により生じた熱が熱伝導により温度検出部13まで伝わるのに時間がかかるため、定着温度未満の低温状態にある定着部45(定着ローラ45A)の温度を定着温度にまで上昇させる立ち上げモードを実行すると、スイッチング素子120A,120Bの実際の温度と検出温度T2A,T2Bとの間に差が生じる。
以下、スイッチング素子120A,120Bの実際の温度をそれぞれ実際温度T1A、T1Bと称し、実際温度T1A、T1Bを総称して実際温度T1と称する。
第1基準温度TS1は、例えば以下のようにして求められ、予め設定されている。すなわち、正常な画像形成装置1の立ち上げモードの実行中にスイッチング素子120A及び120Bの発熱に起因する急激な温度上昇によって生じる実際温度T1と検出温度T2との間の温度差の最大値Tupを例えば実験的に測定する。そして、この最大値TupにマージンMを加えた値を、破壊温度Taから減じた値が第1基準温度TS1とされている。
具体的には、第1基準温度TS1は、例えば以下の式(1)によって求められる。
TS1=Ta−(Tup+M) ・・・(1)
第2基準温度TS2は、例えば以下のようにして求められ、予め設定されている。すなわち、正常な画像形成装置1の定常モードの実行中にスイッチング素子120A及び120Bの発熱に起因する穏やかな温度上昇によって生じる実際温度T1と検出温度T2との間の温度差の最大値Tconstを例えば実験的に測定する。そして、この最大値TconstにマージンMを加えた値を、破壊温度Taから減じた値が第2基準温度TS2とされている。
具体的には、第2基準温度TS2は、例えば以下の式(2)によって求められる。
TS2=Ta−(Tconst+M) ・・・(2)
以下、第1基準温度TS1と第2基準温度TS2とを総称して、単に基準温度TSと称する。
ここで、破壊温度Taは、スイッチング素子120A及び120Bが破壊するおそれのある温度である。破壊温度Taとしては、スイッチング素子120A及び120Bが、例えばMOSFETなどのトランジスタで構成されている場合には、絶対最大定格として定められた温度を用いることができる。
比較器103は、例えば、オペアンプを用いて構成されている。比較器103の非反転入力端子(+)にはスイッチ102の接点Cが接続されている。従って、制御回路100が、基準温度切換部101によってスイッチ102の接点Cと接点aとを接続させると、比較器103の非反転入力端子(+)に基準電圧V1が印加される。また、制御回路100が、基準温度切換部101によってスイッチ102の接点Cと接点bとを接続させると、比較器103の非反転入力端子(+)に基準電圧V2が印加される。
このように、制御回路100は、基準電圧V1と基準電圧V2とを選択的に比較器103の非反転入力端子(+)に印加するようになっている。基準電圧V1及び基準電圧V2は、第1基準温度TS1及び第2基準温度TS2とそれぞれ対応しているから、制御回路100は、スイッチ102を切り替えることによって、第1基準温度TS1と第2基準温度TS2とのいずれかを選択することができる。
比較器103の反転入力端子(−)には温度検出部13が接続されている。そして、温度検出部13から出力された電圧Vtが、反転入力端子(−)に印加される。
比較器103は、反転入力端子(−)に入力された電圧Vtが、非反転入力端子(+)に入力された電圧以上となったとき、L(ロー)レベルの電圧信号を、バッファ104A,104Bを介して信号ラインL1及びL2へ出力する。このとき、ゲートドライバ122に入力される信号のレベルがLレベルに固定される。
図4はスイッチ102及び比較器103の具体的な配置例を示した回路図である。図4に示す比較器103は、比較器103Aと比較器103Bとを含んでいる。また、比較器103A,103Bの出力信号は抵抗Rによってプルアップされている。
図4では、スイッチング素子120Aに対応して比較器103Aが設けられ、スイッチング素子120Bに対応して比較器103Bが設けられている。
そして、スイッチ102は、比較器103A及び103Bに共通して配置されており、スイッチ102の接点Cが比較器103A,103Bの非反転入力端子(+)に接続されている。これにより、比較器103A,103Bの非反転入力端子(+)には、スイッチ102を通じて、第1基準温度TS1を示す基準電圧V1と、第2基準温度TS2を示す基準電圧V2とのいずれかが入力される。
比較器103Aの反転入力端子(−)には、温度検出部13から出力された電圧Vtaが入力され、比較器103Bの反転入力端子(−)には、温度検出部13から出力された電圧Vtbが入力される。
比較器103Aは、温度検出部13から出力された電圧Vtaが、スイッチ102によって選択された基準電圧以上となったとき、Lレベルの電圧信号を、バッファ104A,104Bを介して信号ラインL1,L2へ出力する。比較器103Bは、温度検出部13から出力された電圧Vtbが、スイッチ102によって選択された基準電圧以上となったとき、Lレベルの電圧信号をバッファ104A,104Bを介して信号ラインL1,L2へ出力する。
比較器103A,103Bは、例えばオープンドレイン出力となっている。そして、比較器103A,103Bの出力信号が負論理でワイヤードORされて、比較器103の出力信号とされ、バッファ104A,104Bを介して信号ラインL1,L2へ出力される。バッファ104A,104Bによって、信号ラインL1,L2が短絡しないようにされている。
例えば、バッファ104A,104Bはオープンドレイン出力とされ、信号ラインL1,L2は図略のプルアップ抵抗によってプルアップされている。これにより、比較器103A,103Bの出力信号と制御回路100のパルス出力信号とが信号ラインL1,L2上において負論理でワイヤードORされるようになっている。
従って、比較器103A,103Bの出力信号のうち少なくとも一方がLレベルになると、信号ラインL1,L2の信号レベルは強制的にLレベルにされる。
基準電圧V1、基準電圧V2は第1基準温度TS1、第2基準温度TS2を示し、電圧Vtaは検出温度T2Aを示している。従って、比較器103Aは、スイッチング素子120Aの温度が、制御回路100によって選択された基準温度以上となったときに、信号ラインL1,L2の信号レベルを強制的にLレベルにする。
電圧Vtbは検出温度T2Bを示している。従って、比較器103Bは、スイッチング素子120Bの温度が、制御回路100によって選択された基準温度以上となったときに、信号ラインL1,L2の信号レベルを強制的にLレベルにする。
以下、制御回路100の機能について説明する。制御回路100は、定着ローラ45Aの温度を、定着温度未満の低温状態から定着温度にまで上昇させる立ち上げモードと、定着ローラ45Aの温度を定着温度に維持させる定常モードとを有している。
ここに、定常モードには、印字ジョブの指示を待つ待機モードと、印字ジョブを実行する印字モードとが含まれている。また、定着温度は、トナー像を記録紙Pに定着させるのに適した温度である。
そして、制御回路100は、立ち上げモードでは、スイッチ102の接点Cを接点aに接続することを指示する切換信号を基準温度切換部101に出力する。一方、制御回路100は、定常モードでは、スイッチ102の接点Cを接点bに接続することを指示する切換信号を基準温度切換部101に出力する。
また、制御回路100は、ゲートドライバ122に所定周期のパルス信号を出力する。制御回路100から出力されるパルス信号は、例えば、オープンドレイン出力となっている。
具体的には、制御回路100は、信号ラインL1及びゲートドライバ122を通じて、スイッチング素子120Aに所定周期のパルス信号を出力する。また、制御回路100は、信号ラインL2及びゲートドライバ122を通じて、スイッチング素子120Bに、スイッチング素子120Aに出力されるパルス信号とは位相が180度異なるパルス信号を出力する。
これにより、スイッチング素子120Aがオンのときはスイッチング素子120Bがオフとなり、スイッチング素子120Aがオフのときはスイッチング素子120Bがオンとなる。
これにより、誘導コイル121に通電される電流の方向が、順方向(図3の紙面右方向)と逆方向(図3の紙面左方向)との間で交互に切り換わるので、誘導コイル121で発生する磁束の向きが順次変化する。その結果、定着ローラ45Aで渦電流が発生して、定着ローラ45Aが発熱する。
そして、立ち上げモードでは、スイッチ102の接点Cが接点aに接続されるので、比較器103A及び103Bの非反転入力端子(+)には、基準電圧V1が入力される。このとき、比較器103A及び103Bのうちいずれかの比較器の反転入力端子(−)に入力される電圧が、基準電圧V1以上となると、当該いずれかの比較器からLレベルの電圧信号が信号ラインL1及びL2に出力される。その結果、すべてのスイッチング素子がオフとなる。
一方で、定常モードでは、スイッチ102の接点Cが接点bに接続されるため、比較器103A及び103Bの非反転入力端子(+)には、基準電圧V2が入力される。このとき、比較器103A及び103Bのうちいずれかの比較器の反転入力端子(−)に入力される電圧が、基準電圧V2以上となると、当該いずれかの比較器からLレベルの電圧信号が信号ラインL1及びL2に出力される。その結果、すべてのスイッチング素子がオフとなる。
制御回路100は、画像形成装置1の電源投入時、或いは、スリープモードから通常モードへの復帰時に、スイッチング素子120A及び120Bにパルス信号を出力して、温度検出部14により検出される定着ローラ45Aの温度が定着温度となるように、定着ローラ45Aを発熱させる。
スリープモードとは、例えばユーザが長時間画像形成装置1を使用しなかった場合やユーザが画像形成装置1をスリープモードに移行させる操作を行った場合等に、定着ローラ45Aの温度を低下させて通常モードよりも電力消費を減少させる動作モードのことである。
ここにおいて、画像形成装置1の電源投入時、或いは、スリープモードから通常モードへの移行後に定着ローラ45Aの発熱を開始してから、定着ローラ45Aが定着温度になるまでの期間が、立ち上げモードの一例に相当している。
そして、制御回路100は、定着ローラ45Aの温度が定着温度に達したとき、定着ローラ45Aの温度が定着温度を維持するように、スイッチング素子120A及び120Bへのパルス出力を制御する。
ここにおいて、定着ローラ45Aの温度を定着温度に維持させている期間が、定常モードの一例に相当している。
そしてまた、制御回路100は、立ち上げモードのときには、基準温度切換部101によって、スイッチ102の接点Cを接点aに接続させることによって、第1基準温度TS1(基準電圧V1)を選択する。この状態で、例えば、スイッチング素子120Aに対応する比較器103Aの反転入力端子(−)に入力される電圧が、第1基準温度TS1を表す基準電圧V1以上となると、比較器103Aは、Lレベルの電圧信号を信号ラインL1及びL2に出力する。
ここにおいて、比較器103A及び103Bのうちいずれか1つでもLレベルの電圧信号を出力すると、制御回路100から出力されたパルス信号が強制的にLレベルとなり、スイッチング素子120A及び120Bのすべてがオフする。
一方で、制御回路100は、定常モードのときは、基準温度切換部101によって、スイッチ102の接点Cを接点bに接続させることによって、第2基準温度TS2(基準電圧V2)を選択する。この状態で、例えば、スイッチング素子120Aに対応する比較器103Aの反転入力端子(−)に入力される電圧が、第2基準温度TS2を表す基準電圧V2以上となると、比較器103Aは、Lレベルの電圧信号を信号ラインL1及びL2に出力する。
これにより、各スイッチング素子120A及び120Bには、Lレベルの電圧信号が出力されるので、各スイッチング素子120A及び120Bがオフとなる。なお、スイッチング素子120A及び120BがLレベルの電圧信号に応じてオフする例を示したが、スイッチング素子120A及び120Bは、Hレベルの電圧信号に応じてオフしてもよい。この場合、比較器103が出力する信号レベルも反転する。
また、基準電圧V1,V2及び電圧Vtは、電圧が高くなるほど高い温度を示す例を示したが、基準電圧V1,V2及び電圧Vtは、電圧が高くなるほど低い温度を示してもよい。この場合、比較器103は、電圧Vtが基準電圧以下のときにLレベルの電圧信号を出力する構成とすればよい。
尚、以上の説明では、主に比較器103Aの動作について説明したが、比較器103Bの動作についても比較器103Aと同様であるため、比較器103Bの動作については説明を省略する。
以下、温度検出部13により検出されるスイッチング素子120A及び120Bの検出温度T2と、実際のスイッチング素子120A及び120Bの実際温度T1との関係について、説明する。
図5は、正常時における、温度検出部13により検出される検出温度T2と、実際のスイッチング素子120A及び120Bの実際温度T1との関係を示した説明図である。
立ち上げモードでは、定着ローラ45Aの温度を低温から定着温度にまで上昇させるために、定着ローラ45Aに流れる渦電流を増加させる必要がある。また、定着ローラ45Aに流れる渦電流を増加させるために誘導コイル121が発生させる磁束を増加させる必要がある。このために制御回路100が、スイッチング素子120A及び120Bに流れる電流を増加させるように制御するので、スイッチング素子120A及び120Bの発熱量が増加する。
具体的には、制御回路100は、画像形成装置1の電源がオンされた後、或いは、スリープモードから通常モードへ移行した後、スイッチング素子120A及び120Bに出力するパルス信号のパルス周波数を高くして、スイッチング周波数を増大させることで、定着ローラ45Aの発熱量を増大させる。
この場合、スイッチング周波数が増大すると、スイッチング素子120A及び120Bの発熱量が増大し、スイッチング素子120A及び120Bの実際温度T1が急激に上昇する。
そうすると、スイッチング素子120A及び120Bの温度上昇が急激となるが、その熱が温度検出部13に伝わるのに時間がかかるため、検出温度T2はスイッチング素子120A及び120Bの実際温度T1に遅れて上昇する。
そのため、図5に示すように、立ち上げモードでは、検出温度T2と、実際温度T1との間の温度差が増大する。
一方、定常モードでは、定着ローラ45Aの温度を定着温度に維持させるのに必要な電力を誘導コイル121に供給すればよいため、スイッチング素子120A及び120Bの発熱量は立ち上げモードよりも少ない。
そのため、図5に示すように、定常モードでは、検出温度T2と、実際温度T1との間の温度差は、立ち上げモードよりも少なくなる。
そして、図5に示すように、立ち上げモードでは、検出温度T2が、第1基準温度TS1を下回り、定常モードでは、検出温度T2が、第2基準温度TS2を下回る。定常モードでは、定着ローラ45Aの温度が定着温度に維持されているとき、スイッチング素子120の温度は、定常素子温度TS0となる。
図6は、立ち上げモードで、スイッチング素子120A及び120Bの過熱異常が生じたときの、検出温度T2と、実際温度T1との関係を示した説明図である。図7は、定常モードで、スイッチング素子120A及び120Bの過熱異常が生じたときの、検出温度T2と、実際温度T1との関係を示した図である。
図6に示すように、立ち上げモードで、スイッチング素子120A及び120Bのうち、例えば、スイッチング素子120Aが過熱されて、スイッチング素子120Aの実際温度T1が破壊温度Ta付近にまで上昇すると、スイッチング素子120Aの検出温度T2が実際温度T1に追随して、破壊温度Taに近づく。
そして、スイッチング素子120Aの温度T1が破壊温度Taよりも低く、かつ当該破壊温度Taに近い温度となったとき、スイッチング素子120Aの検出温度T2が、第1基準温度TS1以上となる。
そして、第1基準温度TS1は、先述したように、立ち上げモードにおいてスイッチング素子120A,120Bをオフさせる温度として設定されているため、検出温度T2が第1基準温度TS1以上となったとき、スイッチング素子120A,120Bがオフとなる。
また、図7に示すように、定常モードで、スイッチング素子120A及び120Bのうち、例えば、スイッチング素子120Aの温度T1が破壊温度Ta付近にまで上昇すると、スイッチング素子120Aの検出温度T2が、実際温度T1に追随して定常素子温度TS0よりも高い破壊温度Taに近づく。
そして、スイッチング素子120Aの温度T1が破壊温度Taよりも低く、かつ破壊温度Taに近い温度となったとき、検出温度T2は、第2基準温度TS2以上となる。
そして、第2基準温度TS2は、先述したように、定常モードにおいてスイッチング素子120A,120Bをオフさせる温度として設定されているため、検出温度T2が第2基準温度TS2以上となったとき、スイッチング素子120A,120Bがオフとなる。
このように、立ち上げモードでは、検出温度T2が第1基準温度TS1以上となったときにスイッチング素子120A,120Bがオフとなり、定常モードでは、検出温度T2が第2基準温度TS2以上となったときにスイッチング素子120A,120Bがオフとなる。
これにより、以下の効果が奏される。すなわち、スイッチング素子120A,120Bをオフさせる基準温度が第1基準温度TS1のみであった場合には、定常モードでは、図7に示すように、温度検出部13により検出される検出温度T2は、定常素子温度TS0よりも低い第1基準温度TS1を超えているため、基準温度TS1でスイッチング素子120A,120Bをオフさせていては定常モードでスイッチング素子120A,120Bを駆動させることができない。
この場合、不必要にスイッチング素子120A,120Bをオフすることとなり、実際温度T1が破壊温度Taを超えるおそれのない場合にまでスイッチング素子120A,120Bをオフさせてしまう。
一方、スイッチング素子120A,120Bをオフさせる基準温度がTS2のみであった場合には、立ち上げモードでは、図6から明らかなように、温度検出部13により検出される検出温度T2がTS2に達したときには、スイッチング素子120Aの温度T1が既に破壊温度Taを超えてしまった状態となる。この場合、スイッチング素子120Aは破壊してしまうおそれがある。
定着装置2は、上記の技術的特徴を有するため、立ち上げモード、定常モードのいずれにおいても、適切に、スイッチング素子120Aの温度が破壊温度Taに達することを防止できる。これにより、不必要にスイッチング素子120Aをオフすることがなく、適切に、スイッチング素子120Aを破壊から保護することができる。
尚、以上の説明では、スイッチング素子120Aについて説明したが、スイッチング素子120Bについても同様であるため、スイッチング素子120Bについては説明を省略する。
以下、定着装置2の処理の一例について説明する。図8は、定着装置2の基本動作の一例について示したフローチャートである。
制御回路100は、スリープモードから通常モードへ復帰したとき、或いは、画像形成装置1の電源スイッチがオンとされたとき、装置を起動して、スイッチング素子120Aとスイッチング素子120Bとを交互にオンオフさせる動作を開始する(ステップS0)。これにより、定着部45の発熱が開始される。
次に、制御回路100は、温度検出部14により検出される定着ローラ45Aの温度を確認する(ステップS1)。そして、定着ローラ45Aの温度が定着温度に満たなければ(ステップS1でNO)、制御回路100は、立ち上げモードとして、定着ローラ45Aの温度を速やかに上昇させるために、高周波のパルス信号を信号ラインL1,L2とゲートドライバ122とを介してスイッチング素子120A,120Bへ供給する(ステップS2)。
以降、定着ローラ45Aの温度が定着温度に達するまでの期間、すなわちステップS1〜S4が繰り返される期間が立ち上げモードに相当している。
立ち上げモードでは、定着ローラ45Aが誘導コイル121からの磁束によって急速に発熱することでその温度が急上昇すると共に、スイッチング素子120A,120Bの実際温度T1A,T1Bも急速に上昇し、実際温度T1A,T1Bに遅れて検出温度T2A,T2Bも上昇する。
次に、制御回路100は、基準温度切換部101によって、スイッチ102の接点Cを接点aに接続させる(ステップS3)。そうすると、基準温度として第1基準温度TS1が選択される。
そして、立ち上げモードでは、すべてのスイッチング素子120A及び120Bについて、検出温度T2A,T2Bが共に第1基準温度TS1を下回るとき(ステップS4でNO)、比較器103の出力信号はH(ハイ)レベルのままであるから、制御回路100によるスイッチング素子120A,120Bへのパルス信号出力が維持されて、制御回路100は、ステップS1〜S4を繰り返す。その一方で、スイッチング素子120A及び120Bのうちいずれかのスイッチング素子120について、検出温度T2が、第1基準温度TS1以上となったとき(ステップS4でYES)、比較器103の出力信号がLレベルとなって、信号ラインL1,L2の信号レベルがLレベルに固定され、すべてのスイッチング素子120A及び120Bがオフとなる(ステップS5)。
以上、ステップS1〜S5によって、上述した図5、図6の立ち上げモードにおける動作が実行される。
一方で、ステップS1において、定着ローラ45Aの温度が定着温度以上となれば(ステップS1でYES)、制御回路100は、定着ローラ45Aの温度を定着温度で維持するべく定常モードへ移行する(ステップS6)。そして、制御回路100は、定常モードにおいて、誘導コイル121からの磁束によって定着ローラ45Aの温度の維持に必要な程度の発熱を行わせるために、低周波のパルス信号を信号ラインL1,L2とゲートドライバ122とを介してスイッチング素子120A,120Bへ供給する。
以降、温度検出部14により検出される定着ローラ45Aの温度が定着温度に維持されている期間が定常モードである(ステップS1でYES、ステップS6〜S11)。定常モードの間は、制御回路100は、基準温度切換部101によって、スイッチ102の接点Cを接点bに接続させる(ステップS7)。
その後、制御回路100は、印字ジョブの実行指示がユーザインタフェース部Iによって受け付けられるまで待機する(ステップS8)。ここに、印字ジョブの実行指示に待機する期間が、待機モードに相当する。また、印字ジョブを実行している期間が、印字モードに相当する。そして、待機モード及び印字モードを含むモードが、定常モードに相当する。
印字ジョブの実行指示がユーザインタフェース部Iによって受け付けられない間(ステップS8でNO)、すべてのスイッチング素子120A及び120Bについて、検出温度T2A,T2Bが共に第2基準温度TS2を下回っていれば(ステップS11でNO)、比較器103の出力信号はH(ハイ)レベルのままであるから、制御回路100によるスイッチング素子120A,120Bへのパルス信号出力が維持されて、制御回路100は、ステップS8、S11を繰り返す。その一方で、スイッチング素子120A及び120Bのうちいずれかのスイッチング素子について、検出温度T2が、第2基準温度TS2以上となったとき(ステップS11でYES)、比較器103の出力信号がLレベルとなって、信号ラインL1,L2の信号レベルがLレベルに固定され、すべてのスイッチング素子120A及び120Bがオフとなる(ステップS12)。
制御回路100は、印字ジョブの実行指示がユーザインタフェース部Iによって受け付けられたとき(ステップS8でYES)、印字ジョブを実行する(ステップS9)。かかる印字ジョブが実行されている間(ステップS10でNO)、すべてのスイッチング素子120A及び120Bについて、検出温度T2が第2基準温度TS2を下回っていれば(ステップS11でNO)、比較器103の出力信号はH(ハイ)レベルのままであるから、制御回路100によるスイッチング素子120A,120Bへのパルス信号出力が維持されて、制御回路100は、ステップS8〜S11を繰り返す。その一方で、スイッチング素子120A及び120Bのうちいずれかのスイッチング素子について、検出温度T2が、第2基準温度TS2以上となったとき(ステップS11でYES)、比較器103の出力信号がLレベルとなって、信号ラインL1,L2の信号レベルがLレベルに固定され、すべてのスイッチング素子120A及び120Bがオフとなる(ステップS12)。
そしてまた、制御回路100は、印字ジョブが終了すると(ステップS10でYES)、待機モードに戻る。そして、制御回路100は、画像形成装置1の電源がオフされた後、或いは、通常モードからスリープモードへの移行後に(ステップS13)、スイッチング素子120A及び120Bの駆動による定着部45の発熱を停止させる。
以上、ステップS6〜S12によって、上述した図5〜図7の定常モードにおける動作が実行される。
以上に示すように、立ち上げモードでは、検出温度T2が、第1基準温度TS1以上となったときにスイッチング素子120A及び120Bがオフとなり、定常モードでは、検出温度T2が第2基準温度TS2以上となったときにスイッチング素子120A及び120Bがオフとなる。
これにより、立ち上げモード、定常モードのいずれにおいても、スイッチング素子120A及び120Bの温度が破壊温度Taに達することを適切に防止できる。
尚、本実施形態では、磁束発生部12は、誘導コイル121で発生する磁束の向き及び大きさを変化させて、定着ローラ45Aを発熱させる電磁誘導加熱方式を採用しているが、この例には限られず、定着ローラ45Aを電熱ヒーターによって加熱してもよい。
また、立ち上げモードにおいて、検出温度T2A,T2Bのいずれか一方が基準温度以上となったとき、スイッチング素子120A,120Bを両方オフさせる例を示したが、基準温度以上となったスイッチング素子のみをオフさせる構成としてもよい。この場合であっても、スイッチング素子120の温度が破壊温度Taを超えるおそれを低減できる。
しかしながら、検出温度T2A,T2Bのいずれか一方が基準温度以上となったとき、スイッチング素子120A,120Bを両方オフさせる構成とした場合には、スイッチング素子120の温度を破壊温度Ta未満にする確実性をさらに向上できる。すなわち、スイッチング素子にショート故障が生じたためにそのスイッチング素子の温度が基準温度以上となった場合、そのスイッチング素子をオフしようとしても実際にはオフさせることができない。そうすると、他方のスイッチング素子がオンしたときに、オンされた他方のスイッチング素子に過電流が流れて損傷するおそれがある。このような場合であっても、検出温度T2A,T2Bのいずれか一方が基準温度以上となったとき、スイッチング素子120A,120Bを両方オフさせる構成とすれば、ショート故障が生じていない他方のスイッチング素子の損傷を防止することが可能となる。
また、スイッチ102、比較器103、及びバッファ104A,104Bを備えず、温度検出部13から出力された電圧Vtを、検出温度T2A,T2Bを示すデジタル値に変換するアナログデジタルコンバータを備えてもよい。そして制御回路100が、立ち上げモードの期間中に検出温度T2A,T2Bのいずれかが第1基準温度TS1以上となったとき、及び定常モードの期間中に検出温度T2A,T2Bのいずれかが第2基準温度TS2以上となったときにスイッチング素子120A,120Bの両方、又は温度が基準温度以上になったスイッチング素子をオフさせるようにしてもよい。
しかしながら、検出温度T2が基準温度以上になったとき、例えばCPUを用いて構成された制御回路100の制御動作によりスイッチング素子をオフさせるよりも、スイッチ102、比較器103、及びバッファ104A,104Bを用いてスイッチング素子をオフさせる方が、温度上昇に対してスイッチング素子を保護する応答時間を短縮することが容易である。