以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠アセンブリ2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及びプラ枠アセンブリ7(遊技機枠)を備えている。このうち外枠アセンブリ2は、木材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠アセンブリ2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。
その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、プラ枠アセンブリ7は外枠アセンブリ2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみてプラ枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠アセンブリ2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠アセンブリ2に対してガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動してプラ枠アセンブリ7とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠アセンブリ2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、プラ枠アセンブリ7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6をプラ枠アセンブリ7に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6は、全体的に外枠アセンブリ2から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、受け皿ユニット6の前面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きレバー6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きボタン6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを例えば左方向へスライドさせることで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きボタン6eを例えば押し込み操作することで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、可変始動入賞装置26、可変入賞装置30等が設置されている。また遊技領域8aの中央から右上部にかけては、比較的大型の可動入球役物装置28(可動入球装置)が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、普通入賞口22,24に入賞(入球)したり、あるいは、作動時(開放時)の可変始動入賞装置26に入賞したり、同じく作動時(開放時)の可動入球役物装置28に入賞したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板(遊技盤8を構成する合板材)に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
なお、始動ゲート20の直ぐ下方には前面開口型の普通入賞口25が設けられており、この普通入賞口25の下端位置には球受部材25aが設置されている。始動ゲート20を通過した遊技球は、その段階では入賞とならないが、球受部材25aによって流下方向を変化されることで、無作為に普通入賞口25に入賞することがある。また、可動入球役物装置28内に流入(入賞)した遊技球は、さらにその内部で流下や転動、保留等の過程を経て振り分け動作が行われた後に排出され、遊技盤8の裏側へ回収される。なお、可動入球役物装置28内での遊技球の振り分け動作については、別の拡大図を参照しながらさらに後述する。
上記の可変始動入賞装置26は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って始動入賞口26aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。また、始動入賞口26aは盤面に開口した前面開口型であり、始動入賞装置26は例えば図示しない舌片型(ベロタイプ)の可動片を有している。この可動片は、例えば図示しない普通電動役物ソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。すなわち、可動片は盤面より奥に引っ込んだ位置(閉止位置)にある状態で始動入賞口26aへの入賞を不能(遊技球が始動入賞口26aの前面を単に通過する状態)にしているが、盤面より手前側へ突出した位置(開放位置)に移動すると、始動入賞口26aの上方から流下してくる遊技球を受け止め、始動入賞口26aへの流入を案内する。この間に可変始動入賞装置26は遊技球の流入が可能な状態となり、始動入賞口26aへの入賞を発生させる。
可動入球役物装置28は、特定の条件が満たされた場合(特別図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、遊技球の流入を可能にする。すなわち可動入球役物装置28は、遊技領域8aの上部位置に設けられた可動片28a(いわゆる羽根部材)を有しており、この可動片28aは、例えば図示しない上大入賞口ソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って所定角度だけ往復回転する。図示のように可動片28aは略直立した状態で上大入賞口28bを閉止した状態にあり、このため可動入球役物装置28への遊技球の流入は常に不能となっている。可動入球役物装置28が作動すると、可動片28aがその基端部を中心として遊技領域8a内の左方向へ倒れるようにして変位し、上大入賞口28bを開放することで可動入球役物装置28への入賞(上大入賞口28bへの遊技球の流入)を可能にする。可動片28a及び上大入賞口28bは遊技領域8a内の上部位置、特に遊技球が最初に打ち込まれる位置の近くにあることから、可動入球役物装置28の作動時に遊技領域8a内に打ち込まれた遊技球は、上部位置の障害釘に誘導されて容易に可動片28aに到達し、そのまま可動片28aに案内されて入賞(上大入賞口28bに流入)しやすくなる。
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(可動入球役物装置28内に設けられた特定領域を遊技球が通過した場合)に作動し、下大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。なお、可動入球役物装置28内の特定領域についてはさらに後述する。またこれとは別に、特別図柄が当りの態様で停止表示されたことを契機として可変入賞装置30が作動することとしてもよい。可変入賞装置30は例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しない下大入賞口ソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき下大入賞口への入賞は常に不能(下大入賞口は閉鎖中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、下大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、下大入賞口への入賞という特別な事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは下大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。また、可変始動入賞装置26や可動入球役物装置28、可変入賞装置30に入賞した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示されていないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に特別図柄表示装置34及び特別図柄作動記憶ランプ34aをはじめとして、普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、状態表示ランプ36,37,38,39等の表示装置類が設けられている。このうち特別図柄表示装置34は、例えば2つ(2桁)の7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。また普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)で構成されており、このうち1つが当り図柄に対応し、もう1つが非当選図柄に対応する。そして普通図柄表示装置33は、これら2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄の変動状態を表示し、その停止表示時には普通図柄に対応する作動抽選の結果に応じていずれかのランプ(LED)を点灯させる。
また特別図柄作動記憶ランプ34aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。同様に普通図柄作動記憶ランプ33aも、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプがともに消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。
普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば普通図柄表示装置33による普通図柄の変動表示中(確定停止表示時間を含む)に始動ゲート20を遊技球が通過すると、その通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その変動が停止した後、次に普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。特別図柄作動記憶ランプ34aは、特別図柄表示装置34による特別図柄の変動表示中(確定停止表示時間を含む)に上記の可変始動入賞装置26に遊技球が入賞すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その変動が停止した後、次に特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。このように、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない始動ゲート20の通過の回数を表している。また特別図柄作動記憶ランプ34aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ特別図柄の変動が開始されていない可変始動入賞装置26への入賞回数を表している。
状態表示ランプ36〜39は、それぞれLEDで構成されている。本実施形態では、これら4つの状態表示ランプ36〜39の点灯又は消灯により、遊技に関する内部状態の遷移を表示することができる。表示する内部状態としては、例えば変動時間短縮機能の作動状態(時短ON)又は非作動状態(時短OFF)のいずれかである。なお、ここでは4つの状態表示ランプ36〜39を用いて1つの内部状態の遷移を表示しているが、例えば2つの状態表示ランプ36,37にそれぞれ別の表示機能を持たせてもよい。例えば、状態表示ランプ36について、可動入球役物装置28が開放可能な状態になると状態表示ランプ36が点灯表示され、可動入球役物装置28の作動が終了すると消灯されることとしてもよい。また状態表示ランプ37を大当り表示ランプとして、この大当り表示ランプ(状態表示ランプ37)は、可変入賞装置30が開放可能な状態になると点灯表示され、可変入賞装置30の作動が終了すると消灯されることとしてもよい。
なお本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、特別図柄作動記憶ランプ34a及び状態表示ランプ36,37,38,39が1枚の統合表示基板(図示していない)に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成〕
上記の可動入球役物装置28には、その上部から右側縁部にかけて装飾ユニット40が設けられている。装飾ユニット40は各種の装飾部品40a,40b,40cを備えており、これら装飾部品40a,40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。
また可動入球役物装置28の内側領域には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には普通図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や装飾ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
遊技領域8a内には、可動入球役物装置28の左側縁部に沿って球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dの上端にはワープ入口40fが設けられており、このワープ入口40fは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口している。遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為にワープ入口40fを通じて球案内通路40d内に流入すると、その遊技球は球案内通路40dの内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40gが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40gに流下した遊技球は、その真下にある始動ゲート20を通過しやすくなる。ただし、遊技球がそのまま始動ゲート20を通過するかどうかは無作為であり、偶発的に接近してきた他の遊技球と衝突したり、周辺の障害釘に弾かれたりすることで、球放出路40gから流下した遊技球が始動ゲート20を通過しないこともある。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50がガラスユニット8を取り巻くようにして複数の箇所に設置されている。また、受け皿ユニット6には受け皿ランプ52が設置されており、この受け皿ランプ52とガラス枠トップランプ46,48及びガラス枠サイドランプ50とは、外見上、パチンコ機1の前面において一体的につながっているかのようにデザインされている。
上述した各種ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対のガラス枠上スピーカ54とその中央にガラス枠中スピーカ55が内蔵されており、そして受け皿ユニット6には、下皿6cの右側に受け皿スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン41が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン41を操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出等)を発生させたりすることができる。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、複合サブ制御基板ユニット171、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。このうち主制御基板ユニット170及び複合サブ制御基板ユニット171は、上記の遊技盤8の裏側に設置されており、複合サブ制御基板ユニット171は、裏側からみて裏カバーユニット178に覆われている。
この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160,161、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図19)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aはプラ枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
〔可動入球装置内部の構成〕
図3は、遊技盤8を単独で示した正面図である。ここでは先ず、可動入球役物装置28内部の構成と遊技球の振り分け動作の概要について説明する。
可動入球役物装置28内には、上記の上大入賞口28bを開放端として導入通路28cが形成されている。導入通路28cは、上大入賞口28bから可動入球役物装置28内を鉛直下方に延びた後、さらに屈曲されて右下方向に延びている。なお上大入賞口28bは、上下方向でみて可動片28aの基端位置から導入通路28cの上端位置にかけて縦長に開放されている。可動入球役物装置28の作動時に上大入賞口28bを通じて流入した遊技球は、全て導入通路28cを通じて可動入球役物装置28内に案内される。導入通路28cの途中(上大入賞口28bに直近の上流位置)には上大入賞口スイッチ200が設けられており、可動入球役物装置28に流入した全ての遊技球は、ここで上大入賞口スイッチ200により検出される(入賞検出手段)。
また可動入球役物装置28内には、導入通路28cに続いて2つのルート振分体44,45が配置されている。これらルート振分体44,45は、例えば乗り物(ビークル)の車輪を模した形態を有しており、パチンコ機1の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)は盤面に沿って一方向(例えば時計回り)に回転している。このうち、導入通路28cによる遊技球の案内方向でみて、上流側に位置するルート振分体44には、その周縁部に3つのノーマル振り分け孔44aと1つのチャンス孔44bが形成されている。一方、下流側に位置するルート振分体45には、その周縁部に2つのノーマル振り分け孔45aと1つのスペシャル振り分け孔45bが形成されている。なお、各ルート振分体44,45において、チャンス孔44bやスペシャル振り分け孔45bにはいずれも矢印上のマーキングが付されることで、これらチャンス孔44bやスペシャル振り分け孔45bが他とは違う意味合いを有することが視覚的に強調されている。
可動入球役物装置28に流入した遊技球は、最初に導入通路28cを通じて上流側のルート振分体44に案内され、ここでルート振り分けが行われる。可動入球役物装置28内の上部位置には、大きく分けてノーマルルート用の案内通路28d(通常誘導路)とスペシャルルート用の案内通路28e(特別誘導路)が設けられており、2つのルート振分体44,45によって遊技球の転動先は案内通路28d,28eのいずれかに大きく振り分けられる。なお、導入通路28cやルート振分体44,45等はいずれも透明(又は半透明)な樹脂材料を用いて構成されているため、可動入球役物装置28内での遊技球の存在は遊技者から容易に視認可能である。
〔1回目のルート振分動作〕
具体的には先ず、遊技球が上流側のルート振分体44に到達すると、ここで遊技球は3つあるノーマル振り分け孔44a又はチャンス孔44bのいずれかに入り込む。このとき遊技球が3つのノーマル振り分け孔44aのどれかに入り込むと、その時点でノーマルルートへの振り分けが確定する。いずれかのノーマル振り分け孔44aに入り込んだ遊技球は、ルート振分体44の回転に伴い、ノーマル振り分け孔44aが下向きに位置したところでノーマルルート用の案内通路28dに放出される。
一方、チャンス孔44bに遊技球が入り込むと、その時点では未だ振り分け先が確定せず、次に下流側のルート振分体45に引き継がれる。可動入球役物装置28内には、2つのルート振分体44,45の間に連絡通路28fが設けられており、下流側のルート振分体45に引き継がれる遊技球は、ルート振分体44の回転に伴いチャンス孔44bから連絡通路28f内に放出され、そして下流側のルート振分体45に到達する。
〔2回目のルート振分動作〕
次に、遊技球が下流側のルート振分体45に到達すると、ここで遊技球は2つあるノーマル振り分け孔45a又は1つのスペシャル振り分け孔45bのいずれかに入り込む。このとき遊技球が2つのノーマル振り分け孔45aのどちらかに入り込むと、その時点でノーマルルートへの振り分けが確定する。可動入球役物装置28の内部には、ルート振分体45の奥に流下通路45cが形成されており、どちらかのノーマル振り分け孔45aに入り込んだ遊技球は、ルート振分体45の回転に伴い流下通路45c内に放出される。流下通路45cは内部で案内通路28dに通じており、流下通路45c内に放出された遊技球は、そこからノーマルルート用の案内通路28dに放出されることになる。
一方、スペシャル振り分け孔45bに遊技球が入り込むと、その時点でスペシャルルートへの振り分けが確定する。この場合、遊技球はルート振分体45の回転に伴い、スペシャル振り分け孔45bからスペシャルルート用の案内通路28e内に放出される。
〔ノーマルルート〕
先ず、ノーマルルートの構成について説明する。可動入球役物装置28内には、その左側縁部に沿ってダクト状に流下通路28gが配置されている。この流下通路28gは、上端が案内通路28dの終端に連結されており、そこから一旦下方に延びた後、盤面の奧方向に屈曲してさらに下方に屈曲し、再び手前方向に屈曲して下方に延びている。流下通路28gは途中で下向きに開放されており、その開放された箇所を堰き止めるようにして第1ストッパ190(通常用ストッパ部材)が設けられている。また、流下通路28gの途中にはノーマルルートスイッチ202が設けられており、ノーマルルートに振り分けられた遊技球は、流下通路28gを流下する過程でノーマルルートスイッチ202により検出される。またこれを受けて、例えば遊技球がノーマルルートに振り分けられた場合のノーマルパターン演出が液晶表示器42等において実行される。なお、案内通路28dや流下通路28gにも透明(又は半透明)な樹脂材料が用いられているため、ノーマルルートを通る遊技球の存在は遊技者から容易に視認可能である。
第1ストッパ190は、図示しない第1ストッパソレノイドにより例えば盤面に沿って横方向へ往復動作可能であり、この往復動作に伴い、流下通路28gを途中で堰き止める保留位置(規制状態)と流下通路28gを流通させる解除位置(解除状態)とに移動(位置又は状態が変化)する。第1ストッパ190が上記の保留位置に移動すると、流下通路28gを流下する遊技球が一旦そこで堰き止められ、一時的に流下を保留される。この状態で第1ストッパ190が解除位置に移動すると、それまで保留されていた遊技球が再び流下していく。なお、流下通路28g内に2個以上の遊技球が流下していた場合、第1ストッパ190は1個目の遊技球だけを保留し、2個目以降の遊技球を可動入球役物装置28から排出する(排出経路は図3に示されていない)。
流下通路28gは、第1ストッパ190より下方の位置でオープンな溝状となっており、溝状の流下通路28gは第1ストッパ190の直下から盤面の中央方向へ延びた後、盤面の奧方向へ屈曲され、最奧の位置からUターンして手前方向に延びている。そして流下通路28gの終端部分は、可動入球役物装置28の下縁部に沿って盤面の中央方向へ屈曲されている。
〔中間振分動作体〕
可動入球役物装置28の下縁部には、流下通路28gの終端部分に隣接して第1回転体440が配置されている。この第1回転体440は、例えば全体として円盤形状(又は笠形状)をなしており、パチンコ機1の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)は、可動入球役物装置28の下縁部に沿って一方向(例えば上面視で時計回り)に回転している。
また、可動入球役物装置28の下縁部には円形状の窪み部分(図示されていない)が形成されており、この窪み部分は、第1回転体440をその周囲よりも一段低く陥没させるようにして収容している。そして、この窪み部分より左側に流下通路28gの終端部分が形成されている。上記のように第1ストッパ190が解除位置に移動すると、それまで移動を規制されていた遊技球が開放され、第1ストッパ190より下流(下方)の流下通路28gを転動する。そして遊技球は、流下通路28gの終端から第1回転体440の外周縁に到達する。
第1回転体440には、その周縁部に6つのアウト振り分け孔440a(全ては図示されていない)と1つのV入賞孔440b、そして1つの逆転ルート振り分け部(図3には示されていない)が形成されている。このうちV入賞孔440bと逆転ルート振分部とは、第1回転体440の回転中心を挟んで互いに対称となる位置(多角形でいう対角線上)に形成されている。したがって逆転ルート振分部は、図3中でみてV入賞孔440bのちょうど真裏に位置することになる。その他の6つのアウト振り分け孔440aは、周方向でみてV入賞孔440bと逆転ルート振分部との間に、それぞれ3つずつ等間隔で配置されている。
上記のように、遊技球が流下通路28gの終端から第1回転体440の外周縁に到達すると、そこで遊技球は上記のアウト振り分け孔440a、V入賞孔440b又は逆転ルート振分部のいずれかに入り込む。この状態で遊技球は、第1回転体440の回転に伴ってその回転方向に移送されていく。
特に図示していないが、可動入球役物装置28の下縁部の内部(第1回転体440の下方)には特定領域としてV入賞通路が形成されており、第1回転体440はその回転に伴い、V入賞通路への落下口(V入賞落下口)の真上となる位置でV入賞孔440bを回転方向に通過させる。このため上記のV入賞孔440b内に入り込んだ遊技球は、第1回転体440の回転に伴い、V入賞通路を通過した後に可動入球役物装置28から排出される。また、V入賞通路には図示しない特定領域スイッチが設けられており、V入賞通路(特定領域)を通過する遊技球は特定領域スイッチにより検出される。
またV入賞通路とは別に、可動入球役物装置28の下縁部の内部(第1回転体440の下方)にはアウト通路が形成されており、第1回転体440はその回転に伴い、アウト通路への落下口(アウト落下口)の真上となる位置で各アウト振り分け孔440aを回転方向に通過させる。このため上記のアウト振り分け孔440aに入り込んだ遊技球は、V入賞通路を通過することなくアウト通路を通って可動入球役物装置28から排出される。なお、逆転ルート振分部に入り込んだ遊技球の振り分け先についてはさらに後述する。
〔スペシャルルート〕
次にスペシャルルートの構成について説明する。スペシャルルートは主に、可動入球役物装置28の右側縁部に沿って形成されている。上述した案内通路28eより下方にはスペシャルルートスイッチ204が設けられており、スペシャルルートに振り分けられた遊技球は、案内通路28eから放出されると、そこから流下する過程でスペシャルルートスイッチ204により検出される。またこれを受けて、例えば遊技球がスペシャルルートに振り分けられた場合のスペシャルパターン演出が液晶表示器42等において実行される。なお、この場合の演出内容は、先のノーマルパターン演出よりも期待感の高い内容(例えば見た目上でも派手な内容)とすることが好ましい。またスペシャルルートスイッチ204より下方の位置には第2ストッパ192(特別用ストッパ部材)が設けられている。
第2ストッパ192は、図示しない第2ストッパソレノイドにより例えば上下方向に往復動作可能であり、この往復動作に伴い、遊技球の移動を規制する保留位置(規制状態)とその移動を許容する開放位置(解除状態)とに移動(状態が変化)する。第2ストッパ192が上記の保留位置に移動すると、案内通路28eの下端から放出された遊技球が第2ストッパ192によって一時的に保留される。この状態で第2ストッパ192が開放位置に移動すると、それまで保留されていた遊技球が第2ストッパ192から開放されて流下する。
可動入球役物装置28内には、第2ストッパ192より下方に球誘導体28kが設けられている。この球誘導体28kは、例えばワイングラスのような容器を模した形態を有しており、第2ストッパ192による保留から開放されて流下した遊技球は、球誘導体28kの内側に落下する。また、球誘導体28kの奥には流下通路28mが形成されており、球誘導体28k内に落下した遊技球は、やがて流下通路28m内に流入する。なお、球誘導体28kや流下通路28mにも透明(又は半透明)な樹脂材料が用いられているため、スペシャルルートを流下していく遊技球の存在は遊技者から容易に視認可能である。
〔流入タイミングの変更〕
このとき球誘導体28kは、その全体が盤面に沿って左右方向に往復移動可能であり、パチンコ機1の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)は、例えば図示しないモータや往復スライダ機構の働きにより、球誘導体28kが一定の周期と振幅をもって左右に反復移動している。球誘導体28kの内側には開口28pが形成されており、図3に示される状態から球誘導体28kが左右いずれか一方向に移動すると、その開口28pが一緒に移動して流下通路28mへの落下口からずれる(流下通路28mは移動しない)。この状態で遊技球は開口28pから流下通路28mへは流入できず、その間、遊技球は球誘導体28kの内部に保留される。そして球誘導体28kの往復移動に伴い、次に開口28pと落下口とが合致するタイミングが到来すると、遊技球は開口28pから流下通路28m内に流入する。これにより、第2ストッパ192の保留から開放された遊技球が流下通路28m内に流入タイミングが様々に変化することになる。
流下通路28mは可動入球役物装置28内を下方に延びており、その下端が遊技盤面にて開放されている。流下通路28mの開放端より下方には案内通路28nが設けられており、この案内通路28nは右方向に下り傾斜を有している。流下通路28mに流入した遊技球は、その下端開放から放出されると案内通路28nに受け止められ、その下り傾斜に沿って右方向へ転動する。なお、案内通路28nにも透明(又は半透明)な樹脂材料が用いられている。
〔最終振分動作体〕
さらに可動入球役物装置28内には、第2回転体442が設けられている。この第2回転体442は上記の案内通路28nの下端に隣接して位置しており、案内通路28nを転動してきた遊技球は、最終的に第2回転体442によって振り分けられる。
第2回転体442もまた、例えば乗り物の車輪を模した形態を有しており、パチンコ機1の電源投入時は盤面に沿って一方向(例えば時計回り)に回転している。また第2回転体442には、その周縁部に2つのアウト振り分け孔442aと1つのV入賞孔442bが形成されている。
案内通路28nから放出された遊技球は、そのときの第2回転体442の回転角度(回転位置)に応じてアウト振り分け孔442a又はV入賞孔442bのいずれかに入り込む。第2回転体442の下方には、特定領域としてV入賞通路450が形成されており、上記のV入賞孔442b内に入り込んだ遊技球は、このV入賞通路450を通過した後に可動入球役物装置28から排出される。また、V入賞通路450には図示しない特定領域スイッチが設けられており、V入賞通路450を通過する遊技球は特定領域スイッチにより検出される。また、アウト振り分け孔442aに入り込んだ遊技球は、V入賞通路450を通過することなく可動入球役物装置28から排出される。なお、アウト振り分け孔442aには透明(又は半透明)な樹脂材料が用いられているため、アウト振り分け孔442aに入り込んだ遊技球の存在は遊技者から容易に視認可能である。また、V入賞孔442bは盤面の手前側が開放されているため、V入賞孔442bに入り込んだ遊技球の存在はそのまま遊技者から視認可能である。
このように可動入球役物装置28内での遊技球の振り分け動作は、先ず(1)ルート振分体44,45によるノーマルルート又はスペシャルルートへの振り分けを行った後、(2)ノーマルルートに振り分けられた場合は第1回転体440による振り分け、(3)スペシャルルートに振り分けられた場合は第2回転体442による振り分けが行われる。このとき、(2)の第1回転体440による振り分けでは8分の1で特定領域を通過するが、(3)の第2回転体442による振り分けでは3分の1の比較的高確率で特定領域を通過することになる。
このため可動入球役物装置28内に遊技球が流入した場合、先ず「ノーマルルート又はスペシャルルートのどちらに振り分けられるか」に関して遊技者の興味を惹き付けた後、次に「各ルートにおいて特定領域を遊技球が通過するかどうか」に関してさらに遊技者の興味を惹き付けることができる。特にスペシャルルートへの振り分けが行われた場合、特定領域を通過する確率が3分の1と極めて高くなるため、そこで一気に遊技者の興味や期待感を高めることができる。
〔逆転パターンによる振り分け動作〕
上記のように本実施形態では、ノーマルルートに振り分けられた遊技球が第1回転体440による振り分け動作によってアウト振り分け孔440a又はV入賞孔440bのいずれにも入り込まず、逆転ルート振分部に入り込む場合もある。この場合、遊技球はV入賞通路又はアウト通路のいずれにも落下せず、上述した第2回転体442での振り分け動作を受ける機会を与えられる。
具体的には、可動入球役物装置28の下縁部には第1回転体440よりも右側領域に右方向へ下り傾斜した逆転誘導通路28hが形成されている。逆転ルート振分部に入り込んだ遊技球は、第1回転体440の回転に伴い、その右側領域で逆転誘導通路28hに放出される。そして遊技球は、逆転誘導通路28hの下り傾斜に沿って右方向へ転動する。可動入球役物装置28内には、逆転誘導通路28hの終端位置に第3ストッパ194(逆転用ストッパ部材)が設けられており、逆転誘導通路28hを通じて右方向へ転動した遊技球は、第3ストッパ194にて受け止められる。なお、第3ストッパ194の手前に位置する部材には透明(又は半透明)な樹脂材料が用いられているため、第3ストッパ194に受け止められた遊技球の存在は遊技者から容易に視認可能である。
第3ストッパ194は、図示しない第3ストッパモータ(第1,第2ストッパ同様にソレノイドでもよい)を用いた昇降機構により上下方向に往復動作可能である。そして第3ストッパ194はこの往復動作に伴い、遊技球を受け止める保留位置(規制状態)と遊技球を上記の案内通路28nに放出する放出位置(開放状態)とに移動(状態が変化)することができる。第3ストッパ194は、上記の保留位置にある状態で逆転ルート誘導路から転動してきた遊技球を保留し、その移動を規制する。この状態で第3ストッパ194が図3中の2点鎖線で示される放出位置まで上昇すると、それまで保留されていた遊技球の移動が許容されて右方向へ転動し、案内通路28nに放出される。また、第3ストッパ194の近傍(ここでは下方)位置には近接方式の逆転検知スイッチ205が設置されており、第3ストッパ194に遊技球が受け止められると、その遊技球の存在が逆転検知スイッチ205により検出される。
これにより、一旦はノーマルルート(V入賞確率8分の1)に振り分けられた遊技球についても、第1回転体440の逆転ルート振分部から逆転誘導通路28hを経て第3ストッパ194に受け止められた場合は、そこから一気に逆転してスペシャルルートへの振り分けが行われた場合と同様のチャンス(第2回転体442によるV入賞確率3分の1の振り分け)を与えられる可能性が残されていることになる。これにより、ノーマルルートについても遊技者の興味を最後まで持続し、興趣の低下を抑えることができる。
図4は、可動入球役物装置28を遊技盤8から分離した状態で斜め上方から示した斜視図である。以下、図4でより明らかとなる構成について補足的に説明する。
先ず可動片28aは、図4に示されるように開放された状態で、その上面に沿って遊技球を上大入賞口28bに向けて案内する構造を有している。開放中の可動片28aにより案内された遊技球は、上記のように上大入賞口28bに入賞し、そのまま導入通路28c内に流入する。導入通路28cは一旦、盤面の奥方向に向かって屈曲した後、そこから下方に延びて再び手前方向に屈曲している。上大入賞口スイッチ200は、導入通路28cが盤面の奥側で下方に延びている部分に設けられており、この部分で流下していく遊技球を検出する。
導入通路28cの終端部分は溝形状をなしており、この終端部分は例えば下りの階段形状をなして右方向に延びている。その先に1つ目のルート振分体44が位置しており、さらにその右側には連結通路28fと2つ目のルート振分体45が順に配置されている。
ノーマルルート用の案内通路28dに繋がる流下通路28gは、液晶表示器42の左側方に配置されている。流下通路28gのさらに左側方に可動装飾体280が設けられており、この可動装飾体280は、第1ストッパ190の位置の変化に連動して演出的な動作を行う。すなわち可動装飾体280は、例えばキャラクター(男性)の頭部と右手部分、さらにその右手部分によってキャラクターが操作しようとしている押ボタン(プッシュスイッチ)等を模した形状を有している。そして、第1ストッパ190が保留位置から解除位置に移動する際、これに連動して可動装飾体280は、その右手部分によって押ボタンを押し込むような演出動作を行う。これにより、遊技者に対して「キャラクターが押ボタンを押すと、それによって遊技球の保留が解除された」という演出上の印象を与えることができる。
また、スペシャルルート用の案内通路28eは盤面の手前方向に開放されている。ルート振分体45でスペシャルルート(スペシャル振り分け孔45b)に振り分けられた遊技球は、案内通路28eから放出されて右下方向に流下し、その過程でスペシャルルートスイッチ204により検出される。その後、遊技球は球誘導体28kの上端部に到達し、そこで第2ストッパ192により流下が規制される。第2ストッパ192が保留位置にある場合、遊技球は球誘導体28kの内部に落下することなく堰き止められた状態となる。
球誘導体28kの右側方には別の可動装飾体300が設けられている。この可動装飾体300は、第2ストッパ192の位置の変化に連動して演出的な動作を行うとともに、球誘導体28kによる定常的な左右への往復動作に連動して演出的な動作を行っている。すなわち可動装飾体300は、キャラクター(女性)の頭部と右手部分、左手部分等を模した形態を有している。また右手部分は、第2ストッパ192と一続きに成形されており、第2ストッパ192の移動に連動して右手部分も一体的に移動する。一方、第2ストッパ192は、例えば煙管(又はパイプ)を模した形態を有しており、可動装飾体300の右手部分は、ちょうどその指先で煙管の吸い口を挟み込むような形態を有している。また煙管の吸い口は、キャラクターの頭部でその口元に近接した位置にある。
そして、第2ストッパ192が保留位置から解除位置に移動する際、これに連動して可動装飾体300は、その右手部分で第2ストッパ192(煙管)全体を持ち上げるような演出動作を行う。これにより、遊技者に対して「キャラクターが右手で煙管を持ち上げる(口から離す)と、それによって遊技球の保留が解除される」という演出上の印象を与えることができる。
また、可動装飾体300の左手部分は球誘導体28kに対して固定されており、球誘導体28kが左右方向に往復移動すると、これに連動して左手部分も往復移動する。このとき可動装飾体300は、その左手部分によって球誘導体28kを揺り動かすような演出動作を行う。これにより、遊技者に対して「キャラクターが左手でワイングラス(球誘導体28k)を動かしながら、遊技球の流下タイミングに変化を与えている」という演出上の印象を与えることができる。
〔下縁部の詳細〕
図4に示される斜め上方の角度からは、可動入球役物装置28の下縁部の構成がより明らかとなっている。上記のように、第1ストッパ190から先の流下通路28gは溝形状をなしており、盤面の手前から奧方向へ一旦延びた後、そこでUターンするようにして手前方向へ折り返し、その終端は緩やかに右方向へ湾曲して第1回転体440の外周縁に到達している。
また、上記のように第1回転体440は全体として円盤形状(笠形状)をなしており、その周縁部にアウト振り分け孔440aやV入賞孔440b、逆転ルート振分部440c等が一定間隔で形成されている。可動入球役物装置28の下縁部は、第1回転体440を収容できるだけの奥行きを有しており、そのさらに奧側に液晶表示器42が配置されている。これにより、遊技者に対して盤面の中央部分に奥行き感や立体感を抱かせ、視覚的なインパクトを与えることができる。上記の流下通路28gは、この奥行きを利用して液晶表示器42の左側方に配置されている。
また図4に示されているように、可動入球役物装置28の下縁部には、その内部に特定領域スイッチ82及び排出検知スイッチ206がそれぞれ配置されている。このうち特定領域スイッチ82は上記のV入賞通路上に設けられており、また排出検知スイッチ206は上記のアウト通路上に設けられている。このため第1回転体440のアウト振り分け孔440aに入り込んだ遊技球は、上記のアウト通路を通って排出される過程で、排出検知スイッチ206により検出される(中間排出検出手段)。またV入賞孔440bに入り込んだ遊技球は、特定領域としてのV入賞通路を通過したことが特定領域スイッチ82により検出される(特定領域通過検出手段)。
上記のように逆転誘導通路28hは、第1回転体440の右側方に形成されており、第1回転体440の逆転ルート振分部440cに入り込んだ遊技球は、その回転に伴い逆転誘導通路28hに放出される。第3ストッパ194は、その保留位置(下降位置)で逆転誘導通路28hの終端に隣接し、逆転誘導通路28hに誘導された遊技球は、第3ストッパ194に受け止められて移動を規制される。
また第3ストッパ194は、別の可動装飾体290に連結されている。この可動装飾体290は、例えば架空の乗り物(又は乗り物兼用のロボット)を模したコミカルな形態をなしている。可動装飾体290は、第3ストッパ194と一緒に保留位置から上昇し、上記のように放出位置で案内通路28nに遊技球を放出する。
案内通路28nは、最終的に遊技球を第2回転体442に向けて誘導する。可動入球役物装置28の内部には、第2回転体442の奧に排出検知スイッチ206が設けられており、アウト振り分け孔442aに入り込んだ遊技球は、特定領域を通過することなく排出される過程で排出検知スイッチ206により検出される(最終排出検出手段)。また図4には示されていないが、可動入球役物装置28の内部には、V入賞通路450より奧に右側の特定領域スイッチ82が設けられている。第2回転体442でV入賞孔442bに入り込んだ遊技球は、特定領域としてのV入賞通路450の通過を特定領域スイッチ82により検出される。なお本実施形態では、スペシャルルート側とノーマルルート側とで、それぞれ特定領域スイッチ82及び排出検知スイッチ206が別個に設けられている。
〔ルート振分体の詳細〕
次に図5及び図6は、可動入球役物装置28の上縁部分に相当するパーツを単独で示した縦断面図である。これら図5,図6には、主に導入通路28cやルート振分体44,45、案内通路28d、流下通路45c等の構成が示されている。以下、ルート振分体44,45によるノーマルルート又はスペシャルルートへの振り分けを中心として補足的に説明する。
図5に示されているように、上大入賞口28bに入賞した遊技球は、導入通路28cを流下する途中で上大入賞口スイッチ200を通過し、最初に1つ目のルート振分体44に到達する。1つ目のルート振分体44は、上記のように一定方向(ここでは遊技者からみて時計回り)へ一定速度で回転しつつ、その周縁部に形成された3つのノーマル振り分け孔44a及び1つのチャンス孔44bを順々に導入通路28cに対向させている。ルート振分体44に到達した遊技球は、そのタイミングでちょうど導入通路28cに対向してきたノーマル振り分け孔44a又はチャンス孔44bのいずれかに入り込むことになる。例えば、図5に示されるタイミングであれば、既にノーマル振り分け孔44aの開口が導入通路28cの上方へ通り過ぎているため、次に回転してくるチャンス孔44bに遊技球が入り込むことになる。
また図5に示されているように、ノーマル振り分け孔44aとチャンス孔44bとでは、その断面形状が異なっている。すなわち、ノーマル振り分け孔44aは、半径(仮想線)に対して対称なポケット状の断面形状を有しており、また、外周縁の開口幅よりも内法の方が広いため、ノーマル振り分け孔44aは内部よりも開口が狭められた(絞られた)形状となっていることが分かる。これに対してチャンス孔44bは、半径(仮想線)に対して対称ではなく、ノーマル振り分け孔44aと比較すると、回転方向でみた上流側に開口が拡張されているため、チャンス孔44bは内部よりも開口が拡げられた形状となっていることが分かる。
このため、例えば図5中に二点鎖線で示されているように、ノーマル振り分け孔44aに遊技球が入り込んでいた場合、ノーマル振り分け孔44aの開口が連結通路28fに対して横向きに対向する位置に到達しても、その内部からみて開口の方向が登り坂となっている。このため、遊技球は開口から転がり出ることなく、そのままノーマル振り分け孔44a内に留まる。この後、ノーマル振り分け孔44aの開口が案内通路28dに対して下向きに対向する位置に到達すると、遊技球は開口から落下して案内通路28dに放出される。なお、案内通路28dに放出された遊技球は、その終端で次に流下通路28gへ流下する。
一方、チャンス孔44bに遊技球が入り込んでいた場合、チャンス孔44bの開口が連結通路28fに対して横向きに対向する位置に到達すると、その内部からみて開口の方向が下り坂となっている。このため、遊技球はそのまま開口から転がり出て連結通路28fに放出され、次に2つ目のルート振分体45へ向かうことになる。
2つ目のルート振分体45もまた、上記のように一定方向(ここでは時計回り)へ一定速度で回転しつつ、その周縁に形成された2つのノーマル振り分け孔45a及び1つのスペシャル振り分け孔45bを順々に連結通路28fに対向させている。連結通路28fを経てルート振分体45に到達した遊技球は、そのタイミングでちょうど連結通路28fに対向してきたノーマル振り分け孔45a又はスペシャル振り分け孔45bのいずれかに入り込むことになる。図6に示されるタイミングであれば、ちょうど次に回転してくるノーマル振り分け孔45aに遊技球が入り込むことになる。
図6に示されているように、ノーマル振り分け孔45aとスペシャル振り分け孔45bとで、互いの断面形状は略共通している。すなわち、ノーマル振り分け孔45a及びスペシャル振り分け孔45bは、いずれも半径(仮想線)に対して対称ではなく、回転方向でみた上流側に開口が拡張されており、内部よりも開口が拡げられた形状となっている。ただし、スペシャル振り分け孔45bには盤面の奥側に仕切壁45eが設けられているが、ノーマル振り分け孔44aには仕切壁がなく、盤面の奥側に向けて開放された状態となっている。またノーマル振り分け孔45aについては、その内壁が盤面の奥方向へ下り傾斜を有している。
また図6に示されているように、2つ目のルート振分体45より盤面の奥側には流入口45dが形成されている。この流入口45dは、ルート振分体45の径方向でみて、ちょうどノーマル振り分け孔44aやスペシャル振り分け孔45bと重なり合う位置にある。このため、例えばノーマル振り分け孔45aの方に遊技球が入り込んでいた場合、ルート振分体45の回転に伴ってノーマル振り分け孔45aが流入口45dに重なり合う位置に到達すると、そこから遊技球は流入口45dに落下する。
可動入球役物装置28の上縁部には、2つのルート振分体44,45よりも盤面の奥側に流下通路45cが設けられており、流下通路45cは、上記のようにノーマルルート用の案内通路28dに通じている。また上記の流入口45dは、流下通路45cへの入口となっており、ノーマル振り分け孔45aから流入口45dに落下した遊技球は、流下通路45cを通ってノーマルルート用の案内通路28dへ誘導される。流下通路45cの終端には流出口44cが形成されており、流下通路45cに放出された遊技球は、この流出口44cを通って案内通路28dに流れ込む。
一方、例えば図6中に二点鎖線で示されているように、スペシャル振り分け孔45bに遊技球が入り込んでいた場合、スペシャル振り分け孔45bが流入口45dに重なり合う位置に到達しても、仕切壁45eによって流入口45dへの落下は阻止される。このため、遊技球は流入口45dに落下することなく、そのままスペシャル振り分け孔45b内に留まる。この後、スペシャル振り分け孔45bの開口がスペシャルルート用の案内通路28eに対して下向きに対向する位置に到達すると、遊技球は開口から落下して案内通路28eに放出される。なお、案内通路28eに放出された遊技球は、その先でスペシャルルートスイッチ204により通過を検出され、上記のように第2ストッパ192で保留(移動を規制)される。
〔第1ストッパの詳細〕
図7は、第1ストッパ190による遊技球の保留時とその解除時の様子を具体的に示す図である。以下、流下通路28gの構造を含めて補足的に説明する。
〔保留時(規制状態)〕
図7中(A):第1ストッパ190が保留位置(規制状態)にある場合、上記のように第1ストッパ190によって流下通路28gが途中で堰き止められ、そこで遊技球の移動が規制される。なお、流下通路28gのダクト状の部分は透明(又は半透明)な樹脂材料から成形されており、遊技球はその内部に保留されるため、遊技者からは保留されている遊技球を容易に視認可能である。また、このとき可動装飾体280は、その右手部分280aを押ボタン280bから離しており、押ボタン280bは飛び出た(押し込み前の)状態にある。
〔解除時(解除状態)〕
図7中(B):第1ストッパ190は、例えば保留位置から盤面の左側へスライドして解除位置(解除状態)に移動する。これにより、遊技球は流下通路28gのダクト状部分から落下し、溝状部分に移動する。そして、上記のように遊技球は盤面の奧方向へ誘導された後にUターンして手前方向へ折り返し、そのまま第1回転体440に到達する。このように、第1ストッパ190から第1回転体440までの間にも、ある程度の長さを持った流下通路28gを形成しておくことで、解除のタイミングから遊技球が第1回転体440に到達するまでの時間や遊技球の動きに多様性を与え、遊技者の興味を惹き付けておくことができる。なお、このとき可動装飾体280は、その右手部分280aが押ボタン280bに向かって変位し、それによって押ボタン280bが押し込まれた状態にある。
〔保留球数〕
図8は、流下通路28gの部分的な断面を含む側面図である。ここでは、第1ストッパによる遊技球の保留球数を1個とする構造について補足的に説明する。
図8中(A):上記のように第1ストッパ190が保留位置にある場合、流下通路28gを流下してきた遊技球が第1ストッパ190により保留される。このとき流下通路28gは、遊技球が保留されている位置で盤面の奥側が開放されており、その先にはオーバーフロー排出路282及び奧排出口284が形成されている。このうち、オーバーフロー排出路282は遊技球の保留される位置から盤面の奧方向に延びており、その最奧が突き当たりとなって下方に開放している。また、奧排出口284は煙突状をなしており、その上端が開放してオーバーフロー排出路282につながるとともに、流下通路28gの奧側で鉛直下方に延びている。
図8中(B):第1ストッパ190により既に1個の遊技球が保留されている場合、その後から流下してきた遊技球(2個目以降)は続いて保留されることなく、1個目の遊技球に弾かれて流下通路28gから奥側のオーバーフロー排出路282へ放出される。そして、オーバーフロー排出路282へ放出された遊技球は、その内部で下方へ落下し、そのまま奧排出口284に流入する。奧排出口284は可動入球役物装置28の内部で上記のアウト通路に合流し、その排出過程で排出検知スイッチ206により検出される。このように、ノーマルルートに関して第1ストッパ190により保留が可能な遊技球数は1個に制限されている。
〔第1ストッパ作動機構の詳細〕
図9及び図10は、第1ストッパ190及びこれと連動する可動装飾体280の作動機構を具体的に示した正面図及び背面図である。このうち図9には、第1ストッパ190が保留位置にある場合の作動機構の状態が示されている。また図10には、第1ストッパ190が解除位置に変化した場合の作動機構の状態が示されている。なお、図9中(A)及び図10中(A)にはそれぞれ作動機構が正面から示されており、図9中(B)及び図10中(B)にはそれぞれ作動機構が背面から示されている。
第1ストッパ190の作動機構は、上記のように駆動源として第1ストッパソレノイド220を有している。第1ストッパソレノイド220は、そのプランジャ220aを下向きにした倒立姿勢で設置されている。プランジャ220aの先端部には主リンク部材220bがピン接合されており、この主リンク部材220bは、支持シャフト221を中心として回転(いわゆる「揺動」)可能に支持されている。
主リンク部材220bは全体としてT字形状をなし、中心となる支持シャフト221から三方向にそれぞれリンクアームが延びている。このうち1つは、上記のプランジャ220aにピン接合されたリンクアームであり、このリンクアームは支持シャフト221から横方向に延びている。他の2つのリンクアームは、支持シャフト221から上下方向へそれぞれ対称に延びており、上端及び下端にはそれぞれリンクピン220d,220fが形成されている。
このうち上端のリンクピン220dは、可動装飾体280(右手部分280a及び押ボタン280b)を作動させるものである。右手部分280aは支持シャフト280cを介して回転可能に支持されており、この支持シャフト280cに別のリンクロッド220cの一端が固定されている。支持シャフト280cは、それ自身が回転可能に支持されているが、支持シャフト280cと右手部分280aとは、支持シャフト280cを中心として一体的に回転し、またリンクロッド220cと支持シャフト280cとは、支持シャフト280cを中心として一体的に回転する。したがって、リンクロッド220cが例えば第1ストッパソレノイド220に近付く方向へ押されると、支持シャフト280cを中心として右手部分280aが回転し、全体的に持ち上げられた状態となる。逆に、リンクロッド220cが第1ストッパソレノイド220から離れる方向へ押されると、支持シャフト280cを中心として右手部分280aが回転し、全体として押し下げられた状態となる。なお、リンクロッド220cの他端部には長孔が形成されており、この長孔内に上端のリンクピン220dが嵌め合わされている(いわゆる「係合」している。)。
また下端のリンクピン220fは、第1ストッパ190を保留位置又は解除位置に移動させるものである。第1ストッパ190にはベース板190aが一体に形成されており、このベース板190aは、例えば2本の支持ピン190bを介して水平方向にスライド可能に支持されている。ベース板190aには、盤面の中央側に第1ストッパ190が連結されており、その反対側にリンク溝190cが形成されている。
このリンク溝190cと下端のリンクピン220fとは、別のリンクロッド220eを介して連結されている。具体的には、リンクロッド220eは支持ピン220hを介して回転可能に支持されており、その上端には別のリンクピン220gが形成されている。このリンクピン220gは、ベース板190aのリンク溝190c内に嵌め合わされている。なおベース板190aには、支持ピン220hとの干渉をさけるための長孔190dが形成されており、この長孔190d内に支持シャフト280cが嵌め合わされている。また、リンクロッド220eの下端部はヨーク状に形成されており、その内側(溝内)に下端のリンクピン220dが嵌め合わされている(いわゆる「係合」している。)。
〔保留位置(規制状態)〕
図9中(A),(B):第1ストッパソレノイド220は、非通電(オフ)時においてプランジャ220aを下方向へ伸長させている。このとき主リンク部材220bは、プランジャ220aによって1つのリンクアームが押し下げられていることから、例えば図9中(B)の背面図でみて、主リンク部材220bは全体として支持シャフト221を中心とした反時計回り方向への力で押さえられた状態にある。
この状態で、上端のリンクピン220dはリンクロッド220cを第1ストッパソレノイド220に近付ける方向に押しており、これによって右手部分280aの先端(指先)は押ボタン280bから離れた位置に保持されている。
一方、下端のリンクピン220fはリンクロッド220eの下端部を第1ストッパソレノイド220から離れる方向に押すことで、逆にリンクロッド220eの上端のリンクピン220gを第1ストッパソレノイド220に近付ける方向に押している。このとき、リンクピン220gがリンク溝190cを介してベース板190a全体を第1ストッパソレノイド220に近付ける方向に押すことで、第1ストッパ190が保留位置で保持されることになる。
〔解除位置(解除状態)〕
図10中(A),(B):一方、第1ストッパソレノイド220は、通電(オン)時においてプランジャ220aを上方向へ収縮させる。このとき主リンク部材220bは、プランジャ220aによって1つのリンクアームが引き上げられるため、例えば図10中(B)の背面図でみて、主リンク部材220bは全体として支持シャフト221を中心に時計回り方向へ回転する。
これに伴い、上端のリンクピン220dはリンクロッド220cを第1ストッパソレノイド220から離れる方向へ押しやり、これによって右手部分280aの先端(指先)は押ボタン280bを押し込む方向へ回転(移動)する。
一方、下端のリンクピン220fはリンクロッド220eの下端部を第1ストッパソレノイド220へ近付ける方向に押すことで、逆にリンクロッド220eの上端のリンクピン220gを第1ストッパソレノイド220から離れる方向へ押しやる。このとき、リンクピン220gがリンク溝190cを介してベース板190a全体を第1ストッパソレノイド220から離れる方向に押すことで、第1ストッパ190が解除位置に移動することになる。
なお、第1ストッパソレノイド220の通電が停止すると、プランジャ220aがスプリングの復元力で伸長し、図9に示される状態に復帰する。
〔第1回転体による振り分け動作の詳細〕
図11及び図12は、可動入球役物装置28の部分的な水平断面を含む下縁部の平面図である。これら図11,図12には、第1回転体440による各種の振り分け動作の様子が示されている。以下、第1回転体440による各種の振り分け動作について、それぞれ補足的に説明する。また、以下では第1ストッパ190が保留位置から解除位置に移動したことで、第1ストッパ190より先に遊技球の移動が許容された場合を想定している。
〔アウト振り分け時(第1の振り分け動作)〕
図11中(A):ここでは、いずれかのアウト振り分け孔440aに遊技球が入り込んだ場合の振り分け動作が示されている。先ず、アウト振り分け孔440aとV入賞孔440bとでは、V入賞孔440bに比較してアウト振り分け孔440aの方が第1回転体440の回転中心に近い位置に形成されている。すなわち、図中の二点鎖線で示されているように、アウト振り分け孔440aに入り込んだ遊技球は、V入賞孔440bと比較して第1回転体440の回転中心に近い位置で保持され、その回転方向に移送されていくことになる。
また、第1回転体440の下方にはアウト落下口444及びV入賞落下口446がそれぞれ形成されている。このうちV入賞落下口446に比較して、アウト落下口444の方が第1回転体440の回転中心に近い位置に形成されており、アウト落下口444が回転方向でみて上流側に位置している。そして、第1回転体440の回転に伴い、個々のアウト振り分け孔440aがアウト落下口444の真上を通過する際、アウト振り分け孔440aはその全体がアウト落下口444の内側に収まった状態となる。このため、いずれかのアウト振り分け孔440aに入り込んでいた遊技球は、そのアウト振り分け孔440aがアウト落下口444の内側に収まる位置に到達すると、そこでアウト落下口444内に落下する。なお、第1回転体440が収容されている円形状の窪み部分は、アウト落下口444やV入賞落下口446以外が全体的に底板(参照符号なし)で塞がれているため、アウト落下口444やV入賞落下口446以外のところで遊技球がアウト振り分け孔440aやV入賞孔440bから落下することはない。
〔V入賞振り分け時(第2の振り分け動作)〕
図11中(B):次に、ここではV入賞孔440bに遊技球が入り込んだ場合の振り分け動作が示されている。図中の二点鎖線で示されているように、V入賞孔440bに入り込んだ遊技球は、アウト振り分け孔440aよりも第1回転体440の回転中心から遠い位置で保持され、その回転方向に移送されていくことになる。
そして、V入賞孔440bがアウト落下口444の真上に到達しても、回転中心からの距離の違いにより、V入賞孔440bはアウト落下口444と部分的に重なり合うものの、遊技球の投影面積より大きい範囲にわたって重なり合うことはない。したがって、遊技球はV入賞孔440bからアウト落下口444へは落下することなく、第1回転体440の回転に伴ってさらに移送される。
次にV入賞孔440bがV入賞落下口446の真上を通過する際、V入賞孔440bはその全体がV入賞落下口446の内側に収まった状態となる。このとき遊技球はV入賞孔440bからV入賞落下口446に落下し、特定領域としてのV入賞通路(特定領域スイッチ82)を通過することになる。
〔逆転振り分け時(第3の振り分け動作)〕
図12:ここでは、逆転ルート振分部440cに遊技球が入り込んだ場合の振り分け動作が示されている。逆転ルート振分部440cは、アウト振り分け孔440aやV入賞孔440bと違って底が抜けていない。このため、逆転ルート振分部440cがアウト落下口444やV入賞孔440bの上方を通過しても、逆転ルート振分部440cから遊技球が落下することはない。
また第1回転体440(回転面)は、全体的に盤面の手前側へ下り傾斜している。このため、回転中心より手前側で逆転ルート振分部440cが逆転誘導通路28hに対向すると、遊技球は下り傾斜に沿って移動し、逆転ルート振分部440cから逆転誘導通路28hに放出される。この後、遊技球は第3ストッパ194に到達し、そこで保留されることになる。
〔スペシャルルート及び逆転ルートの詳細〕
図13は、可動入球役物装置28の右側縁部の構成を部分的に示した正面図である。図13には、遊技球がスペシャルルート又は逆転ルートを通り、第2回転体442で振り分けられるまでの経路が矢印で示されている。以下、それぞれ補足的に説明する。
上記のようにスペシャルルートに振り分けられた遊技球は、第2ストッパ192で保留された後、その保留を解除されて球誘導体28k内に落下する。このとき球誘導体28kは、盤面に沿って左右方向へ定常的に往復移動しており、球誘導体28kの内部で開口28pが流下通路28mへの落下口に合致するまでの間、遊技球は球誘導体28kの内部で停留する。やがて開口28pが流下通路28mの落下口に合致すると、遊技球は流下通路28m内に流入し、上記のように下端開放から案内通路28nに放出される。
また、逆転誘導通路28h(逆転ルート)を経て第3ストッパ194に保留された遊技球は、第3ストッパ194が上昇するタイミングで持ち上げられる。第3ストッパ194の底面は盤面の右側方向に下り傾斜しており、その右側端で第3ストッパ194は開放されている。ただし、保留位置から放出位置に上昇するまでの区間にかけて、第3ストッパ194の右側には直立した側壁面195が位置しているため、この区間内で遊技球は側壁面195に支えられている。
そして、第3ストッパ194が放出位置まで上昇すると、その右側には側壁面195が存在しなくなり、代わりに案内通路28nの左側端が位置した状態となる。これにより、放出位置で遊技球は第3ストッパ194から案内通路28n内に放出される。
図13に示されているように、スペシャルルート又は逆転ルートを通ってきた遊技球は、いずれも案内通路28nに流入し、最終的に第2回転体442に到達する。第2回転体442には、上記のように周縁部に沿って2つのアウト振り分け孔442aと1つのV入賞孔442bが設けられている。このうち、2つのアウト振り分け孔442aは盤面の奥側に開放されており、逆にV入賞孔442bは盤面の手前側へ開放されている。
また図13中に破線で示されているように、可動入球役物装置28内には、第2回転体442の奧にアウト流入口448が形成されており、アウト振り分け孔442aに入り込んだ遊技球は、第2回転体442の回転に伴い、アウト流入口448を通じて盤面の奥側へ落下する。可動入球役物装置28の内部には、アウト流入口448に通じる排出通路449が形成されており、この排出通路449の途中に右側の排出検知スイッチ206が設けられている。アウト振り分け孔442aからアウト流入口448に落下した遊技球は、排出通路449を通って排出され、その過程で排出検知スイッチ206により検出される。
V入賞孔442bは盤面の奥側で開放されていないため、V入賞孔442bがアウト流入口448と前後に重なり合う位置(回転角度)に到達しても、V入賞孔442b内の遊技球はアウト流入口448に落下しない。この後、V入賞孔442bの開口が下向きとなる位置(回転角度)に到達すると、遊技球がV入賞孔442bから放出されてV入賞通路450を通過する。可動入球役物装置28の内部には右側の特定領域スイッチ82が設けられており、この特定領域スイッチ82によりV入賞通路450(特定領域)の通過が検出される。
〔駆動機構の詳細〕
図14は、可動入球役物装置28の右側縁部に内蔵された駆動機構の構成を示す図である。この図14には、駆動機構の正面図(A)、右側面図(B)及び背面図(C)がそれぞれ表されている。
駆動機構は、上記のように駆動源として第2回転体モータ228を有している。また駆動機構は、歯車伝達機構として第1従動ギヤ228bの他、第2従動ギヤ228c、第3従動ギヤ228d及び第4従動ギヤ228eを有している。第2回転体モータ228には、その出力軸に駆動ギヤ228aが取り付けられており、この駆動ギヤ228aに対して第1従動ギヤ228bが噛み合わされている。これら第1〜第4従動ギヤ228b〜228eからなる歯車列は、第2回転体モータ228(駆動ギヤ228a)の回転に伴い、その動力を伝達する。
歯車列は、可動入球役物装置28の右側縁部に沿って縦方向に延びており、その始端(上端)に位置する第1従動ギヤ228bに対して、比較的歯数の多い(大径)第2従動ギヤ228cが噛み合っている。また第2従動ギヤ228cに対して、中程度の歯数を有する第3従動ギヤ228dが噛み合い、歯車列の末端(下端)で、比較的歯数の少ない第4従動ギヤ228eが第3従動ギヤ228dに噛み合っている。このため第2回転体モータ228の回転は、第2従動ギヤ228cでは減速されるが、その先の第3従動ギヤ228dや第4従動ギヤ228eではそれほど減速されない。
なお、可動入球役物装置28の右側縁部には、駆動機構のフレーム部分を構成するフレーム板307が設けられている。第2回転体モータ228や歯車列を含む駆動機構は、いずれもフレーム板307に支持されている。また第2回転体442や球誘導体28kは、駆動機構を介してフレーム板307に支持されている。
〔第2回転体の駆動〕
第2回転体442は、回転軸228hを介して第4従動ギヤ228eに連結されており、第4従動ギヤ228eと第2回転体442とは互いに一体的に回転する。なお、回転軸228hはフレーム板307を貫通して盤面の前後方向に延びており、回転軸228hはフレーム板307に対して回転自在に支持されている。このため図14中(C)に示されているように、背面視で第2回転体モータ228が反時計回りに回転すると、その回転が歯車列を通じて伝達され、第2回転体442が背面視で反時計回り、つまり、図14中(A)に示されるように正面視で時計回りに回転する。このように駆動機構は、第2回転体モータ228の駆動力により第2回転体442を定常的に一定方向へ回転させている。
〔球誘導体の駆動〕
また駆動機構は、上記の球誘導体28kを定常的に往復移動させている。すなわち、駆動機構はスライダ302及びロータ304を有しており、このうちスライダ302は、フレーム板307に対して水平方向(盤面の左右方向)へ往復自在に支持されている。またスライダ302は、例えば2本の支持ロッド302aを介して球誘導体28kを支持している。
ロータ304は、回転軸228fを介して歯車列の第2従動ギヤ228cに連結されており、第2従動ギヤ228cとロータ304とは互いに一体的に回転する。なお、回転軸228fもまたフレーム板307を貫通して盤面の前後方向に延びており、回転軸228fはフレーム板307に対して回転自在に支持されている。
図14中(A)に破線で示されているように、スライダ302には縦方向のガイド溝302bが形成されている。また、ロータ304にはローラ状のカム体304aが設けられており、このカム体304aはガイド溝302b内に嵌め合わされている。このためロータ304が回転すると、カム体304aが円運動しながらガイド溝302bを介してスライダ302全体を水平方向へ往復移動させる。これにより、球誘導体28kが定常的に盤面に沿って左右方向へ往復移動することになる。
〔第2ストッパ作動機構の詳細〕
図15及び図16は、第2ストッパ192及びこれと連動する可動装飾体300の作動機構を具体的に示した正面図及び右側面図である。このうち図15には、第2ストッパ192が保留位置にある場合の作動機構の状態が示されている。また図16には、第2ストッパ192が解除位置に変化した場合の作動機構の状態が示されている。なお、図15中(A)及び図16中(A)にはそれぞれ作動機構が正面から示されており、図15中(B)及び図16中(B)にはそれぞれ作動機構が右側面から示されている。
第2ストッパ192の作動機構は、上記のように駆動源として第2ストッパソレノイド222を有している。第2ストッパソレノイド222は、そのプランジャ222aを下向きにした倒立姿勢で設置されている。プランジャ222aの先端部にはベース体222bが固定されており、このベース体222bは、上記のフレーム板307(図15,図16には示されていない)に対して上下方向にスライド自在に支持されている。
ベース体222bには、可動装飾体300の右手部分300aとともに第2ストッパ192が一体的に支持されている。なお第2ストッパ192は、上記のように煙管(又はパイプ)を模した形態を有しており、このため第2ストッパ192の先端部分300bは、右手部分300aとともに可動装飾体300の一部としても機能する。
またベース体222bには、アーチ状の支持アーム222cが取り付けられており、この支持アーム222cは、ベース体222bから離れた位置でフレーム板307に上下方向へスライド自在に支持されている。また支持アーム222cは、その先端部にて第2ストッパ192の先端部分300bを支持している。
〔保留位置(規制状態)〕
図15中(A),(B):第2ストッパソレノイド222は、非通電(オフ)時においてプランジャ222aを下方向へ伸長させている。このときベース体222bはプランジャ222aとともに押し下げられているため、第2ストッパ192は保留位置に保持されている。
〔解除位置(解除状態)〕
図16中(A),(B):一方、第2ストッパソレノイド222は、通電(オン)時においてプランジャ222aを上方向へ収縮させる。これに伴い、ベース体222bが全体的に引き上げられ、第2ストッパ192が解除位置に移動することになる。また、このとき右手部分300aも第2ストッパ192とともに移動する。
この後、第2ストッパソレノイド222の通電が停止すると、プランジャ222aが図示しないスプリングの復元力(又はベース体222b等の重み)で伸長し、図15に示される状態に復帰する。
〔第3ストッパ作動機構の詳細〕
図17及び図18は、第3ストッパ194及びこれと連動する可動装飾体290の作動機構を具体的に示した左側面図及び後方斜視図である。このうち図17には、第3ストッパ194が保留位置にある場合の作動機構の状態が示されている。また図18には、第3ストッパ194が放出位置に移動した場合の作動機構の状態が示されている。なお、図17中(A)及び図18中(A)にはそれぞれ作動機構が左側面から示されており、図17中(B)及び図18中(B)にはそれぞれ作動機構が左斜め後方から示されている。
第3ストッパ194の作動機構は、上記のように駆動源として第3ストッパモータ224を有している。また作動機構は昇降体306を有しており、第3ストッパ194及び可動装飾体290は、この昇降体306に対して固定されている。第3ストッパモータ224の出力軸には駆動ピニオン224aが取り付けられており、一方の昇降体306にはラック224bが形成されている。そして、これら駆動ピニオン224aとラック224bとが互いに噛み合わされることで、第3ストッパモータ224を駆動源として昇降体306を昇降させることができる。
可動入球役物装置28の内部には、例えば2本のガイドロッド305が設けられており、これらガイドロッド305は、昇降体306を上下方向へスライド自在に案内する。また昇降体306には、盤面の手前方向に突出するブラケット290aが形成されており、このブラケット290aを介して第3ストッパ194及び可動装飾体290が昇降体306に支持されている。
その他、第3ストッパ194の作動機構には、周辺部品として第3ストッパ位置検出スイッチ225や位置検出体290d等が付属している。これら第3ストッパ位置検出スイッチ225や位置検出体290dは、第3ストッパ194の位置(保留位置又はそれ以外の位置)を検出するためのものであり、ここでは第3ストッパ位置検出スイッチ225として、透過型のフォトスイッチが用いられている。なお第3ストッパ位置検出スイッチ225は、例えばスイッチ基板225aに実装された状態で可動入球役物装置28に内蔵されている。
また位置検出体290dは、例えばコイルスプリング290eを介して上下動可能に支持されており、この状態で可動入球役物装置28内に設置されている。位置検出体290dには遮光板290fが一体的に形成されており、この遮光板290fは、第3ストッパ位置検出スイッチ225の検出光軸に対して垂直に配置されている。上述したブラケット290aには、その背面に突出部290cが一体的に形成されており、この突出部290cは、例えば図17に示されているように、位置検出体290dに対して上方から接する位置関係にある。
また、可動装飾体290に付属して球止め部材290bが設けられており、この球止め部材290bは、ちょうど第3ストッパ194の左側端縁に近接して配置されている。球止め部材290bは、可動入球役物装置28の内部を第3ストッパ194よりも下方に延びており、その下端部が位置検出体290dに連結されている。このため球止め部材290bは、位置検出体290dとともにコイルスプリング290eによって支持された状態にあり、その弾性によって上下動可能である。
〔保留位置(規制状態)〕
図17中(A),(B):作動機構は、例えば第3ストッパモータ224を一方向(CCWとする)に回転させることで、昇降体306を一番下まで下降させた状態で第3ストッパ194を保留位置に保持することができる。この状態では、ブラケット290aの突出部290cが位置検出体290dを下方に押さえ付けているため、それによってコイルスプリング290eが下方に圧縮されている。このとき、位置検出体290dの遮光板290fが第3ストッパ位置検出スイッチ225の検出光軸上まで下降するため、その位置検出信号(ON信号)を用いて第3ストッパ194が保留位置にあることを検出することができる。
また第3ストッパ194が保留位置にある状態では、位置検出体290dとともに球止め部材290bが下方に押し下げられている。このとき球止め部材290bの先端(上端)は、逆転誘導通路28h(二点鎖線で示す)の底面と同程度の高さにある。このため、上記のように逆転誘導通路28hから第3ストッパ194に到達した遊技球は、球止め部材290bに堰き止められることなく第3ストッパ194に流入し、そこで保留されることになる。
〔放出位置(解除状態)〕
図18中(A),(B):また作動機構は、第3ストッパモータ224を逆方向(CWとする)に回転させることで、昇降体306を一番上まで上昇させた状態で第3ストッパ194を放出位置に移動させることができる。また第3ストッパ194の上昇に伴い、ブラケット290aの突出部290cが位置検出体290dから離れると、それまで下方に押さえ付けていた力が解除され、コイルスプリング290eが復元力で上方に伸長する。これにより、位置検出体290dの遮光板290fが第3ストッパ位置検出スイッチ225の検出光軸上から退出するため、その位置検出信号(OFF信号)を用いて第3ストッパ194が保留位置以外に移動したことを検出することができる。
また第3ストッパ194が保留位置から上昇し、ブラケット290aの突出部290cが位置検出体290dから離れると、コイルスプリング290eによって位置検出体290dとともに球止め部材290bが持ち上げられる。この場合、球止め部材290bの先端は、逆転誘導通路28h(二点鎖線で示す)の底面からある程度突出する。この状態で、仮に逆転誘導通路28hを通って遊技球が転動してきたとしても、その遊技球は球止め部材290bに堰き止められる。これにより、第3ストッパ194が保留位置以外にある状態で遊技球が転動してきた場合のトラブル(例えば、可動入球役物装置28内での不用意な遊技球の停留)を防止することができる。なお、第3ストッパ194が保留位置に下降してくると、ブラケット290aの突出部290cが位置検出体290dを再び押し下げるため、球止め部材290bは図17に示される位置に復帰する。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図19は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力ドライバ(I/O)79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するための始動ゲートスイッチ80が内蔵して設けられている。また遊技盤8には、上述した可動入球役物装置28に対応して特定領域スイッチ82が設けられている。なお、可動入球役物装置28の詳細で先に述べたとおり、特定領域スイッチ82は、第1回転体440と第2回転体442のそれぞれに対応して2箇所(中央と右側)にそれぞれ配置されている。さらに遊技盤8には、可変始動入賞装置26に対応して特図始動入賞口スイッチ78が設けられている。これらの他にも、可動入球役物装置28内には上述した上大入賞口スイッチ200や排出検知スイッチ206が設けられている。なお排出検知スイッチ206は、可動入球役物装置28から排出された遊技球を検出し、その検出信号を出力するものである。これら検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。また排出検知スイッチ206は、第1回転体440と第2回転体442のそれぞれに対応して2箇所に配置されていてもよい。
この他にも遊技盤8には、カウントスイッチ208及び入賞口スイッチ210が設けられている。このうちカウントスイッチ208は、可変入賞装置30(下大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。また入賞口スイッチ210は、普通入賞口22,24,25への遊技球の入賞を検出するものである。これらスイッチ類208,210の入賞検出信号もまた主制御装置70に送信され、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態では始動ゲートスイッチ80及び特定領域スイッチ82からの検出信号が特に中継物を介することなく主制御装置70に送信されており、その他の検出信号はパネル中継端子板87を中継して主制御装置70に送信されている。パネル中継端子板87には、それぞれの検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
また遊技盤8には、上述した普通電動役物ソレノイド212や上大入賞口ソレノイド214及び下大入賞口ソレノイド216が設けられている。これらソレノイド212〜216には、主制御装置70(主制御CPU72)からパネル中継端子板87を経由して駆動信号が入力されるものとなっている。
また可動入球役物装置28内には、ルート振分体モータ218や上述した第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222、第3ストッパモータ224が設けられている他、第1回転体モータ226及び第2回転体モータ228が設けられている。このうちルート振分体モータ218は、2つのルート振分体44,45を回転させるものである。また第1回転体モータ226及び第2回転体モータ228は、それぞれ第1回転体440及び第2回転体442を回転させるためのものである。第2回転体モータ228については、先の詳細で述べたとおり球誘導体28kを往復移動させる駆動源としても利用されている。
また、先の詳細で述べたとおり、第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222は、それぞれ第1ストッパ190及び第2ストッパ192を保留位置又は解除位置に切り換えるためのものである。第3ストッパモータ224は、第3ストッパ194を上記の保留位置と放出位置との間で移動させるためのものである。なお、ここではルート振分体44,45を専用のルート振分体モータ218で回転させる例を挙げているが、ルート振分体44,45の駆動源を第2回転体モータ228で兼用してもよい。この場合、モータの部品点数を削減して省スペースやコストダウンを図ることができる。
その他に可動入球役物装置28内には、第3ストッパ194に対応して第3ストッパ位置検出スイッチ225が設けられている。先の詳細で述べたとおり、第3ストッパ位置検出スイッチ225は、例えば第3ストッパ194が上記の保留位置にある場合、位置検出信号(ON信号)を出力し、保留位置以外にある場合は論理を反転した位置検出信号(OFF信号)を出力する。この位置検出信号(ON又はOFF)に基づき、主制御CPU72は第3ストッパ194が保留位置にあるのか、それとも保留位置以外にあるのかを判断することができる。
本実施形態では、電源投入後からルート振分体44,45や第1回転体440、第2回転体442、球誘導体28k等がそれぞれ一定動作を行っているが、このうちルート振分体44,45や第1回転体440、第2回転体442(第2回転体モータ228)については、図示しないインデックスセンサを用いてこれらの回転に関する原点位置の検出を行っている。このため主制御装置70には、これらインデックスセンサからの原点位置検出信号が入力されている。
本実施形態では、遊技盤8に例えば1枚の統合表示基板230が設けられており、この統合表示基板230に実装された状態で普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、特別図柄作動記憶ランプ34a及び状態表示ランプ36〜39が設置されている。統合表示基板230には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信されており、普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、特別図柄作動記憶ランプ34a及び状態表示ランプ36〜39は、いずれも主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34及びランプ33a,34a,36〜39に対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記のプラ枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠アセンブリ2からプラ枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(ステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受け皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受け皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受け皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の受け皿ユニット6には受皿中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、受皿中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、受皿中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、受皿中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、受け皿ユニット6にはCR基板122が内蔵されており、このCR基板122には上記の球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチや、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号がCR基板122から受皿中継端子板118、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120から受皿中継端子板118を経由してCR基板122に送信される。CR基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、上記の複合サブ制御基板ユニット171に内蔵されている。演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行うものである。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50,受け皿ランプ52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置26、可動入球役物装置28、可変入賞装置30、装飾ユニット40等に内蔵されるLEDに相当するものである。なお、ここでは受け皿ランプ52がガラス枠電飾基板136に接続されている例を挙げているが、受け皿ユニット6に受け皿電飾基板を設置し、受け皿ランプ52については受け皿電飾基板を介してランプ駆動回路132に接続される構成であってもよい。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46〜52やスピーカ54,55,56に印加されている。またガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン41が接続されており、遊技者が演出切替ボタン41を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出切替ボタン41を接続した例を挙げているが、上記の受け皿電飾基板を設置する場合、演出切替ボタン41は受け皿電飾基板に接続されていてもよい。
その他、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。また、可動入球役物装置28内には演出用の球検出器として、上述したノーマルルートスイッチ202やスペシャルルートスイッチ204、逆転検知スイッチ205が設けられている。これらの検出信号は、パネル電飾基板138を中継して送信され、図示しない入出力ドライバを介して演出制御CPUに入力される。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライトに印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、プラ枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。
また、遊技盤8の裏側には盤用外部端子板160が設置されており、そしてプラ枠アセンブリ7の裏側には枠用外部端子板161が設置されている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、それぞれ盤用外部端子板160、枠用外部端子板161を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。盤用外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
〔遊技フロー〕
次に図20は、本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。パチンコ機1による通常遊技は、遊技球を遊技領域8a内に打ち込む(発射する)ことで開始される。以下、遊技球の打ち出しを前提として遊技の流れについて説明する。
〔G01:通過始動〕
遊技球が遊技領域8a内を流下する過程で上記の始動ゲート20を通過すると、始動ゲートスイッチ80によって遊技球の通過が検出され、これを契機として普通図柄抽選が行われる。普通図柄抽選は、上記のように可変始動入賞装置26を作動させるか否かに関わる抽選(作動抽選)である。
〔G02:当り判定〕
普通図柄抽選は、例えば主制御装置70において当り決定乱数を内部的に取得し、この乱数値を予め定められた比較値(ある程度の範囲をもった当り値)と比較することで行われる(作動抽選実行手段)。また普通図柄抽選においては、当り決定乱数とともに当り種別決定乱数もまた合わせて取得されており、当り決定乱数が当り値の範囲内に該当していた場合、当り種別決定乱数の値を参照して当選種類が決定される。なお、ここで非当選となった場合はひとまずゲームフローが終了となり、改めて通過始動(G01)からゲームフローを開始することになる。
また本実施形態では、普通図柄抽選での当選種類として例えば「当選A」及び「当選B」の2つが用意されている。このうち一方の「当選A」に比較して、他方の「当選B」は当選確率が30倍〜50倍程度の高確率に設定されている。
特に図示していないが、普通図柄抽選が行われると、普通図柄表示装置33において普通図柄が所定の変動時間にわたり変動表示された後、抽選結果を表す態様で停止表示される。なお、変動表示中に次の通過始動(始動ゲート20の通過)が発生した場合、そこで取得された乱数が記憶される(最大4個)。
〔G04:普通電動役物作動〕
普通図柄抽選で当選し、普通図柄表示装置33において普通図柄が当りの態様で停止表示されると、可変始動入賞装置26が作動する。なお本実施形態では、同じ当選でも上記の「当選A」に該当した場合の作動時間(開放時間)は比較的長く設定されている(例えば5.5秒〜6.0秒程度)が、「当選B」に該当した場合の作動時間は極端に短く設定されている(例えば0.06秒〜0.1秒程度)。この程度の極端な短時間の作動では、ほとんど可変始動入賞装置26(始動入賞口26a)への入賞は発生しにくい。一方、「当選A」に該当した場合はある程度の充分な開放時間が確保されるため、その間に始動入賞口26aに遊技球が入賞する可能性は充分にある。
〔G06:特図始動入賞判定〕
可変始動入賞装置26を作動に伴い、始動入賞口26aへの入賞が発生したか否かが判定される。本実施形態では、始動入賞口26aへの入賞を契機として特別図柄抽選(内部抽選)が行われるが、特別図柄抽選の当り確率(小当り確率)は1(=1/1)に設定されているため、入賞の発生がそのまま当選に該当する。したがって、特に主制御装置70において内部的に当り判定乱数を取得する必要はないが、敢えて取得することとしてもよい。本実施形態では、特に始動入賞口26aへの入賞を契機として直接的に可変入賞装置30(下大入賞口)が開放する当り(いわゆる直当り、直撃当り)を設けていないが、ここで取得した当り判定乱数を用いて直当り判定を行ってもよい。なお、ここで入賞が発生しなかった場合はひとまずゲームフローが終了となり、改めて通過始動(G01)からゲームフローを開始することになる。
本実施形態では、特別図柄表示装置34による特別図柄の変動パターンをランダムに変化させるため、ここでは変動パターン決定乱数を取得するものとする。また特別図柄抽選においては、この後に可動入球役物装置28内で特定領域通過(V入賞)が発生した場合、大当り終了後に付加される時間短縮機能の作動回数(0回を含めてもよい)を決定する抽選を合わせて実行している。このため、特別図柄抽選にも複数の当選種類が用意されており、本実施形態では例えば大きく分けて「特図当選1」、「特図当選2」、「特図当選3」の3種類が設けられているものとする。ただし、各当選種類にはさらに小分類として複数の当選種類(例えば「特図当選1a〜1j」、「特図当選2a〜2j」等)が設けられているものとする。
特別図柄抽選が実行されると、変動パターン決定乱数に基づいて決定された変動パターン(変動時間)にわたって特別図柄表示装置34により特別図柄の変動表示が行われた後、抽選結果を表す態様で特別図柄が停止表示される。本実施形態では特別図柄に「はずれ」の表示態様がなく、このときの停止表示態様は「特図当選1」〜「特図当選3」のいずれに該当したかを表すものとなっている。なお、上記のように各当選種類にはさらに細かな小分類が設けられており、それら全ての当選種類(例えば30種類〜120種類程度)に対応して個別に停止表示態様が設定されているため、それだけ当選図柄の停止表示態様を多様化し、見かけ上の結果判別を困難にしている。
〔G08:可動入球役物装置作動〕
いずれにしても、特別図柄表示装置34により特別図柄が確定停止表示されると、これを契機に可動入球役物装置28が作動(開放動作)する。可動入球役物装置28の作動は、上記のように可動片28aを開放位置に変化させるものであるが、本実施形態では所定の開放時間(例えば1.6秒程度)にわたり、1回だけ可動片28aを開放させるものとしている。
〔G10:役物入賞判定〕
次に、可動入球役物装置28の作動時に遊技球が流入(図中に「役物入賞」と表記)したか否かが判定される。ここで遊技球の流入があった場合、ゲームフローはさらに可動入球役物装置28内での振り分け動作に進行していくことになる。なお、可動入球役物装置28に遊技球が流入しなかった場合はひとまずゲームフローが終了となり、改めて通過始動(G01)からゲームフローを開始することになる。
〔G12:特定領域通過判定〕
ゲームフローが可動入球役物装置28内に進行すると、上記のように様々な遊技球の振り分け動作を経て、最終的に特定領域を遊技球が通過(V入賞)したか否かの判定が行われる。その結果、最終的に特定領域を通過することなく可動入球役物装置28から遊技球が排出された場合、残念ながらゲームフローはそこで終了となり、改めて通過始動(G01)からゲームフローを開始することになる。
〔G14:可変入賞装置作動(大当り図柄抽選演出)〕
これに対し、可動入球役物装置28内で遊技球の特定領域通過(V入賞)が発生した場合、可変入賞装置30が作動する。このとき可変入賞装置30の作動は、いわゆる第1種特別電動役物遊技(大当り遊技)の場合と同様である。具体的には、例えば1回あたりの下大入賞口の開放時間(例えば30秒程度)が経過するか、もしくは開放時間内に規定個数(例えば9個)の遊技球の入賞があるかのいずれかの条件が満たされるまでを1ラウンドとし、このラウンドを予め定められた連続作動回数(例えば15回)にわたって繰り返すというものである。このような大当り中(可変入賞装置30の作動中)は、通常時に閉止状態にある下大入賞口への入賞を短期間内に数多く発生させることができるため、その間に遊技者はまとまって多くの賞球を獲得することができる。なお、本実施形態では〔G08〕可動入球役物装置作動を1ラウンド目としているため、全体としてのラウンド数に1回分が加算される(例えば15回+1回)。
また本実施形態では、可変入賞装置30の作動中(大当り中)に演出上で大当り図柄抽選が行われる。大当り図柄抽選演出は、今回の大当りが終了した後、どの程度の時短回数(時間短縮機能が作動する普通図柄抽選の上限回数)が付加されるかを遊技者に教示(又は開示、示唆等)するものである。なお大当り図柄演出抽選は、大当り中ではなく、大当り開始前に行われるものであってもよい。
特に図示していないが、「大当り図柄抽選演出」は、例えば「レギュラーボーナス」、「ビッグボーナス」、「スーパーボーナス」といった大当り図柄の種別を象徴した呼称を液晶表示器42の画面内に表示させる態様となる。このとき、例えば「レギュラーボーナス」よりも「ビッグボーナス」の方が付加される時短回数が多く、また、「ビッグボーナス」よりも「スーパーボーナス」の方が付加される時短回数が多い。したがって、「大当り図柄抽選演出」でいずれの呼称が表示されるかは、遊技者にとって大きな関心事となる。なお本実施形態では、例えば上記の「レギュラーボーナス」が「時短2回当り(G16)」に対応し、「ビッグボーナス」が「時短4回当り(G18)」に対応し、そして、「スーパーボーナス」が「時短6回当り(G20)」に対応している。
また実際の演出は、例えば上記の「レギュラーボーナス」、「ビッグボーナス」、「スーパーボーナス」といった各候補の大当り図柄が次々と画面に現れては消える動作を行うことで、あたかも大当り図柄抽選が行われているかのような態様で進行する。すなわち、例えば最初に「レギュラーボーナス」の呼称が表示された後、次にその呼称が「ビッグボーナス」、「スーパーボーナス」という順に変化していき、再び「レギュラーボーナス」から「ビッグボーナス」、「スーパーボーナス」へと変化していくように各呼称の表示がくるくると変化していく。そして、最終的にいずれかの呼称(「レギュラーボーナス」、「ビッグボーナス」又は「スーパーボーナス」)が停止表示されると、それが今回の大当り図柄種別であったことを表す演出が行われる。今回の「大当り図柄種別」は、「大当り終了後にどの程度の時短回数が付加されるか」を教示(開示、示唆等)するものとなる。
このように、今回の大当り図柄種別がいずれに該当するかは、その後に付加される時短回数に関わってくるため、大当り図柄抽選演出は遊技者にとって興味深いものとなる。ただし実際の制御上では、今回の大当りの直前に行われた特別図柄抽選(G06)において当選種別が既に決定済みであるため、ここでの大当り図柄抽選演出は、先に行われた抽選結果を演出的に表現していることになる。
〔G24:時間短縮状態への移行〕
いずれにしても、通常状態(非時間短縮状態)からの大当り(いわゆる初当り)では「時短2回(G16)」、「時短4回(G18)」又は「時短6回(G20)」のいずれかに該当することで、大当りの終了後に予め設定された回数の時間短縮状態(特定遊技状態)に移行する。時間短縮状態に移行すると、普通図柄抽選において普通図柄の変動時間が通常よりも短縮(例えば28秒→1秒)されるとともに、「当選B」について開放時間が通常よりも延長(例えば0.08秒→5.8秒)される。したがって時間短縮状態では、通常よりも遊技者に有利な作動条件(開放時間延長)に基づいて可変始動入賞装置26の作動が制御されることになる。
そして、時間短縮状態に移行すると、始動ゲート20の通過に伴う可変始動入賞装置26の開放動作(長時間開放)が高頻度(特に「当選B」の確率1/1.04)で行われることになるため、それだけ可変始動入賞装置26への入賞が発生しやすくなる。その結果、可動入球役物装置28の作動も頻繁に発生することとなるため、ゲームフローは可動入球役物装置28内での振り分け動作にまで進行しやすくなる。
〔時短中の大当り図柄〕
なお、時間短縮状態に移行している間に特定領域通過が発生した場合、当選種類は「特図当選4」又は「特図当選5」の2種類の中から選択されるものとする。このうち「特図当選4」については、上記と同じ時短回数を6回とする当選種類に該当し、「特図当選5」については、時短回数を0回(時短なし)とする当選種類に該当する。なお、ここでも各当選種類にはさらに小分類として、複数の当選種類(例えば「特図当選4a〜4j」、「特図当選5a〜5j」等)が設けられているものとする。
〔可動入球装置内でのゲームフロー〕
次に、可動入球役物装置28内で進行するゲームフローについて説明する。図21は、可動入球役物装置28内に遊技球が流入した場合に行われるゲームの流れを概略的に示すゲームフロー図である。なお、ここでいう「ゲームフロー」は、遊技球の転動や振り分け動作を伴って進行するゲームの流れに相当する。
〔G50:ルート振り分け〕
可動入球役物装置28内では、上記のように先ず2つのルート振分体44,45によるルート振り分けが行われる。
〔G52:ノーマルルート〕
最初のルート振分体44でノーマル振り分け孔44aに入るか、もしくは2つ目のルート振分体45でノーマル振り分け孔45aに入った遊技球は、上記のようにノーマルルートへと振り分けられる。
〔G54:第1ストッパにて保留〕
ノーマルルートに振り分けられた遊技球は、上記のように流下通路28g内で保留される。このとき第1ストッパ190は、上記の第1ストッパソレノイド220により予め保留位置に移動されている。
〔G56:画像演出実行〕
第1ストッパ190による保留のタイミングに同期して、ノーマルルートスイッチ202からの検出信号に基づき、液晶表示器42の画面内で上記のノーマルパターン演出による画像演出が実行される。この画像演出は、例えば「これから遊技球が第1回転体440に向かって放出される」ということを予告する内容であり、それによって遊技球の行き先に遊技者の注意を惹き付けさせる効果を発揮する。
〔G58:第1ストッパ解除〕
第1ストッパ190による遊技球の保留が解除されるタイミングに同期して、これまで行われていた画像演出が概ね終了する。なお第1ストッパ190をはじめ、その他の第2ストッパ192及び第3ストッパ194は、いずれも予め定められたタイムスケジュールに従って順番に保留を解除する動作(正規の動作)を行う。これらストッパ190〜194の解除の順番は、例えば可動片28aの開放を契機として、そこからタイマにより第1の所定時間(例えば十数秒程度)をカウントすると最初に第1ストッパ190の保留が解除され、次に可動片28aの開放から第2の所定時間(例えば20秒台前半程度)が経過すると、2番目に第2ストッパ192の保留が解除され、さらに可動片28aの開放から第3の所定時間(例えば20秒代後半程度)が経過すると、最後に第3ストッパ194の保留が解除されるものとなっている。これら第1の所定時間、第2の所定時間、第3の所定時間は、第1の所定時間より第2の所定時間が長く、第2の所定時間より第3の所定時間が長く設定されている。これにより、先ず第1ストッパ190の解除で遊技球の振り分け動向を遊技者に注目させ、次に第2ストッパ192の解除でスペシャルルートでの遊技球の動向を遊技者に注目させ、さらに最後の第3ストッパ194の解除で最後の振り分け動向を遊技者に着目させるというゲームの流れをつくることができる。
〔G60:第1回転体到達〕
保留を解除された遊技球は、上記のように流下通路28gの下流部分を通じて第1回転体440に到達する。このとき、遊技球の振り分け動向に遊技者の注目を集めることができる。
〔G62:特定領域通過判定〕
ここで上記のV入賞孔440bに遊技球が入り込むと、その遊技球がV入賞通路を通過する際に中央(左側)の特定領域スイッチ82により特定領域の通過が検出される。
〔G64:可変入賞装置作動〕
特定領域通過が検出されると、上記のようにゲームフローは大当り遊技に進行し、可変入賞装置30が作動することになる。
〔G78:逆転チャンス判定〕
第1回転体440で特定領域通過が検出されなかった場合、次に逆転チャンスが発生したか否かの判定が内部的に行われる。この判定は、例えば上記の逆転検知スイッチ205を用いて行うことができる。演出制御上で特に検出信号が入力されなければ、逆転チャンスが発生しなかったと判定することができる。この場合、可動入球役物装置28内でのゲームフローは終了し、改めて最初のゲームフロー(図20)が再開されることになる。またこの他に、排出検知スイッチ206を用いて逆転チャンスの判定を行ってもよい。例えば、第1ストッパ190による保留の解除後、特定領域通過が検出されることなく一定時間内に排出検知スイッチ206により遊技球の排出が検出された場合、特に逆転チャンスは発生しなかったと判定することができる。
これに対し、第1回転体440で遊技球が逆転ルート振分部に入り込み、逆転ルート誘導路を通って第3ストッパ194に受け入れられると、逆転検知スイッチ205から検出信号が入力されるため、それによって逆転チャンスが発生したと判定することができる。なお、ここでは逆転検知スイッチ205を用いて判定を行っているが、排出検知スイッチ206から一定時間内に検出信号が入力されなかった場合、逆転チャンスが発生したと判定するものであってもよい。
〔G80:第3ストッパにて保留〕
いずれにしても、逆転チャンスが発生した場合、第3ストッパ194にて一時的に遊技球が保留されている。なお第3ストッパ194は、上記の第3ストッパモータ224により予め保留位置(下降位置)に移動されている。
〔G82:画像演出実行〕
第3ストッパ194による保留のタイミングに同期して、液晶表示器42の画面内で画像演出が実行される。この画像演出は、例えば「これから遊技球が持ち上げられ、第2回転体442に向かって放出される」ということを予告する内容であり、それによって遊技球の行き先に遊技者の注意を惹き付けさせる効果を発揮する。特にこの場合は第1回転体440でV入賞を逃した後の逆転チャンスであるため、遊技者の期待感も大きく高まることになる。
〔G84:第3ストッパ解除〕
第3ストッパ194による遊技球の保留が解除されるタイミングに同期して、これまで行われていた画像演出が概ね終了する。保留の解除は、第3ストッパモータ224により第3ストッパ194を放出位置まで上昇させることで行われる。なおこの間、画像演出が継続されていてもよい。
〔G74:第2回転体到達〕
保留を解除された遊技球は、上記のように案内通路28n上を右方向に転動し、第2回転体442に到達する。なお、第2回転体442での振り分け動作については、次のスペシャルルートでの流れの中で説明する。
〔G66:スペシャルルート〕
2つ目のルート振分体45でスペシャル振り分け孔45bに入った遊技球は、上記のようにスペシャルルートへと振り分けられる。
〔G68:第2ストッパにて保留〕
スペシャルルートに振り分けられた遊技球は、上記のように案内通路28e内で第2ストッパ192にて保留される。なお第2ストッパ192は、上記の第2ストッパソレノイド222により予め保留位置に移動されている。
〔G70:画像演出実行〕
第2ストッパ192による保留のタイミングに同期して、スペシャルルートスイッチ204からの検出信号に基づき、液晶表示器42の画面内で上記のスペシャルパターン演出による画像演出が実行される。この画像演出は、例えば「これから遊技球が第2回転体442に向かって放出される」ということを予告する内容であり、それによって遊技球の行き先に遊技者の注意を惹き付けさせ、はらはらどきどきさせる効果を発揮する。特に第2回転体442の場合、特定領域通過(V入賞)の確率が第1回転体440よりも高いため、遊技者の期待感もそれだけ高くなっている。
〔G72:第2ストッパ解除〕
第2ストッパ192による遊技球の保留が解除されるタイミングに同期して、これまで行われていた画像演出が概ね終了する。
〔G74:第2回転体到達〕
保留を解除された遊技球は、上記のように球誘導体28kを経て流下通路28mを流下し、案内通路28nを介して第2回転体442に到達する。またこのとき、上記のように球誘導体28kにより落下タイミングに変化が与えられるため、そこでも遊技球の振り分け動向に遊技者の注目を集めることができる。特に第2回転体442による特定領域通過の振り分け率は高いため、ここで一気に遊技者の興趣を高めることができる。
〔G76:特定領域通過判定〕
このように、スペシャルルートから遊技球が到達した場合に加えて、上記の逆転チャンスを経て到達した場合についても、ここで上記のV入賞孔442bに遊技球が入り込むと、その遊技球がV入賞通路を通過する際に右側の特定領域スイッチ82により特定領域の通過が検出される。
〔G64:可変入賞装置作動〕
そして特定領域通過が検出されると、上記のようにゲームフローは大当り遊技に進行し、可変入賞装置30が作動することになる。
これに対し、特定領域通過が検出されることなく、中央(左側)又は右側の排出検知スイッチ206により、可動入球役物装置28に入賞した全ての遊技球の排出が検出された場合、そこで可動入球役物装置28内でのゲームフローは終了となり、改めて最初のゲームフロー(図20)が再開されることになる。
以上が本実施形態のパチンコ機1による遊技の基本的な流れであるが、特に可動入球役物装置28内で行われる遊技球の振り分け動作の結果(特定領域を通過するか否か)は、その後の遊技の流れに大きく影響する。加えて第2回転体442により行われる振り分け動作では、遊技球1個に対して3分の1の確率で特定領域の通過(V入賞)が発生するため、第2回転体442に複数個の遊技球が同時期に到達した場合、その個数に比例してV入賞の確率が上昇する。
もちろん、正規に行われた遊技の流れとして、例えばスペシャルルートに2個の遊技球が振り分けられ、同時期(第2回転体442の1回転周期内)に2個の遊技球が第2回転体442に到達した場合は特に問題はない。しかし、何らかの人為的な操作によってスペシャルルートに流れる遊技球の個数が追加された場合、それによってV入賞確率が不用意に上昇し、本来の遊技性が歪められることになる。特に遊技球の振り分け動作は、プログラムによる制御上の動作ではなく、各種の可動部品(ルート振分体44,45、第1回転体440、第2回転体442等)を用いた機械的な動作として行われるため、例えばパチンコ機1の稼働前等において、予め人為的に可動入球役物装置28内(第2ストッパ192の保留位置)に遊技球が置かれていた場合は問題である。
〔確率上昇例〕
図22は、人為的な操作によって可動入球役物装置28内でのV入賞確率が上昇する事例を図解して示す図である。以下、遊技の動作を含めて順を追って説明する。
〔C0:事前の置き球〕
例えば、可動入球役物装置28の作動前(遊技開始前)に、スペシャルルート側の第2ストッパ192に遊技球が人為的に置かれていた場合を想定する。通常、電源投入後から第2ストッパ192は保留位置にあるため、このような事前の置き球(遊技球を置いておくこと)は可能である。
〔個数比較(1)〕
この時点で、制御プログラム上でカウントされる遊技球の個数と、実際に存在する遊技球の個数はそれぞれ以下のように乖離している。
(制御プログラム上の個数)
ノーマルルート:0個
スペシャルルート:0個
(実際の個数)
ノーマルルート:0個
スペシャルルート:1個(置き球)
〔C1:実際の入賞〕
遊技が開始されて実際に可動入球役物装置28が作動し、その際、2個の遊技球が上大入賞口28bに入賞したとする。これら2個の遊技球は、ルート振分体44,45によりノーマルルート又はスペシャルルートへ振り分けられる。
〔C2:ルート振り分け〕
入賞した2個の遊技球のうち、1個がスペシャルルートに振り分けられ、もう1個がノーマルルートに振り分けられたとする。ノーマルルートに振り分けられた遊技球は第1ストッパ190にて保留される。またスペシャルルートに振り分けられた遊技球は、第2ストッパ192にて保留される。このとき、事前の置き球(1個)と合わせて第2ストッパ192には、2個の遊技球が保留された状態となる。
〔個数比較(2)〕
この時点で制御プログラム上、可動入球役物装置28内には「2個の遊技球の入賞」が検出されているが、実際には事前の置き球(1個)が追加されて3個となっている。したがって、制御プログラム上でカウントされる遊技球の個数と、実際に存在する遊技球の個数はそれぞれ以下のように乖離している。
(制御プログラム上の個数)
ノーマルルート:1個
スペシャルルート:1個
(実際の個数)
ノーマルルート:1個
スペシャルルート:2個(置き球の追加)
〔C3:ノーマルルートから逆転ルートへの移行〕
第1ストッパ190が解除されて、第1回転体440による振り分け動作の結果、ノーマルルートの遊技球が逆転ルートに移行し、第3ストッパ194にて保留された場合を想定する。
〔個数比較(3)〕
この時点で、未だノーマルルート側(第1回転体440)からの遊技球の排出が検出されていないため、制御プログラム上では「2個の残球あり」と認識されている。しかし、実際に存在する遊技球の個数とは以下のように乖離している。
(制御プログラム上の個数)
ノーマルルート(逆転ルート):1個
スペシャルルート:1個
(実際の個数)
ノーマルルート(逆転ルート):1個
スペシャルルート:2個(置き球の追加)
〔V入賞確率の上昇〕
この後、第2ストッパ192が解除されると、2個の遊技球が連続して第2回転体442に到達するため、V入賞確率が3分の2(66.6%)に上昇してしまう。本来であれば、正規に2個の遊技球が入賞した場合の平均V入賞確率は3分の2より低いはずであるが、人為的に置き球がされていた場合、不用意にV入賞確率が上昇し、本来の遊技性を歪めることとなる。
そこで本実施形態では、可動入球役物装置28の機械的な構造はそのままにしつつ、制御上で不正対策を実現することにより、人為的な操作に起因して遊技性が歪められるのを防止している。以下、本実施形態において制御上で実現している不正対策の内容について説明する。
〔排出処理の追加例〕
図23は、本実施形態で行われる排出処理の追加前と追加後の動作の流れについて、いくつかの例を並列に示した図である。図23中、左端に示されている例は、排出処理を追加する前の動作の流れである。また中央に示されている例は、排出処理を1つのシーケンスとして追加した場合の動作の流れである。そして、右端に示されている例は、排出処理を並列の処理として追加した場合の動作の流れである。
全ての流れに共通して、普通電動役物としての可変始動入賞装置26が作動し(G08)、始動入賞口26aが開放される。そして、始動入賞口26aへの入賞が発生すると、特別図柄が変動するものとする(R01)。
〔追加前の動作の流れ〕
先ず、図23中の左端に示されている排出処理を追加する前の動作の流れについて説明する。なお、以下では便宜上、第1ストッパ190又は第2ストッパ192の解除後も全ての遊技球の排出が完了せず、逆転ルートに遊技球が放出されたことで第3ストッパ194の解除までが行われる流れ(最長のケース)を想定している。
〔R02:特別図柄変動停止〕
特別図柄の変動時間が経過し、特別図柄の変動が停止する。このとき特別図柄表示装置34に当選図柄が表示されている。
〔R03:上大入賞口開放〕
特別図柄の停止表示時間が経過(確定停止)すると、これを契機として可動入球役物装置28が作動し、可動片28aが開放位置に変位する。これにより、上大入賞口28bが開放された状態となる。
〔R04:第1ストッパ解除〕
上大入賞口28b(可動入球役物装置28)への入賞が発生した場合、上記のように特別図柄の確定停止時から第1の所定時間が経過すると、第1ストッパ190が最初に解除される。
〔R05:第2ストッパ解除〕
続いて、特別図柄の確定停止時から第2の所定時間が経過すると、第2ストッパ192が2番目に解除される。
〔R06:第3ストッパ解除〕
そして、特別図柄の確定停止時から第3の所定時間が経過すると、第3ストッパ194が3番目に解除される。この後、第2回転体442による振り分け動作の結果、特にV入賞することなく遊技球が排出されると、そこで役物ゲームが終了(END)となる。ただし、この動作の流れでは、上述した置き球によるV入賞確率の上昇が発生する。
〔排出処理の追加例(1)〕
次に、図23中の中央に示される動作の流れでは、上記のように排出処理を1つのシーケンスとして追加している。以下、特別図柄変動(R01)以降の流れを説明する。
〔R02:特別図柄変動停止〕
ここでも同様に、特別図柄の変動時間が経過し、特別図柄の変動が停止する。
〔EX01:排出処理〕
次の動作シーケンスとして、排出処理が行われる。この場合の排出処理は、例えば特別図柄の停止表示完了(確定停止)を契機として、第1ストッパ190、第2ストッパ192、そして第3ストッパ194を順に解除することで行われるものとする。これにより、仮に置き球がされていた場合、その置き球が上大入賞口開放(R03)前に排出されることになる。なお、排出処理中は特定領域スイッチ82の検出が無効となっている。
〔R03:上大入賞口開放〕
排出処理(EX01)が全て完了すると、次に可動入球役物装置28が作動し、上大入賞口28bが開放される。
〔R04,R05:第1,第2ストッパ解除〕
次に、第1ストッパ190、第2ストッパ192が順番に解除される。
〔R06:第3ストッパ解除〕
最後に第3ストッパ194が解除される。この後、同じく第2回転体442による振り分け動作の結果、特にV入賞することなく遊技球が排出されると、そこで役物ゲームが終了(END)となる。
この追加例では、上大入賞口開放(R03)の前に排出処理(EX01)を実行することで、ひとまず可動入球役物装置28内に遊技球が残存しない状態をつくりだし、そこから正規の役物ゲームを開始することができる。このため、上述した置き球によるV入賞確率の上昇を抑え、遊技の公正を維持することができる。
その代わり追加例(1)では、排出処理(EX01)が完了するまで上大入賞口開放(R03)の動作が行われないため、それだけ役物ゲームの開始タイミングが後ろにずれることになる。したがって、図23中の終了時間(ENT)を比較すると、単純に特別図柄変動(R01)から役物ゲーム終了(END)までのトータル時間が長くなってしまうことになる。このようなトータル時間の長期化は、ただでさえ時間を要する「役物ゲーム」をさらに長引かせるため、全体として遊技の流れを緩慢にし、遊技者に間延びした感覚を抱かせる原因となる。
〔排出処理の追加例(2)〕
そこで本実施形態では、図23中の右端に示されているように、上大入賞口開放(R03)と並行して排出処理(EX02)を流れの中に追加している。以下、具体的に説明する。
〔R02:特別図柄変動停止〕
先ず、これまでの2つの例(追加前、追加例(1))よりも特別図柄の変動時間を短縮し、時間的に前倒しで特別図柄の変動を停止させる。変動時間は、全ての変動パターンについて短縮するものとする。また「全ての変動パターン」とは、主制御CPU72の制御プログラム上で予め規定されている変動パターン(例えば数十〜数百通り)の全てに該当する。
〔EX02:排出処理(排出動作実行手段)〕
次に、本実施形態で採用する排出処理(EX02)が開始される。他の2つの例では、このタイミングで特別図柄の変動を停止(R02)させていたが、この追加例(2)では、前倒しで排出処理(EX02)を開始することとしている。この排出処理(EX02)では、例えば特別図柄の停止表示完了(確定停止)を契機として、第1ストッパ190及び第2ストッパ192を同時期(ある程度の時間差があってもよい)に解除し、その後、第3ストッパ194を解除する(放出位置まで上昇させる)。
〔R03:上大入賞口開放〕
排出処理(EX02)の動作中に、並行して上大入賞口開放(R03)が行われる。なお上大入賞口28bを開放するタイミングは、上記の第1ストッパ190及び第2ストッパ192の解除が終了し、これらを保留位置に復帰させた後であることが好ましい。
上大入賞口28bの開放と並行して、排出処理(EX02)が継続している。すなわち、第3ストッパ194については、上大入賞口28bの開放タイミングで未だ解除が行われていない。そして、次に第1ストッパ190が正規の動作として解除されるまでの時間を利用して、排出動作としての第3ストッパ194の解除が行われる。
〔R04:第1ストッパ解除(正規動作実行手段)〕
排出処理(EX02)及び上大入賞口開放(R03)の終了(上大入賞口28bの閉鎖)後、正規の動作として第1ストッパ190が解除される。
〔R05:第2ストッパ解除(正規動作実行手段)〕
次に第2ストッパ192が解除される。
〔R06:第3ストッパ解除(正規動作実行手段)〕
最後に第3ストッパ194が解除される。この後、同じく第2回転体442による振り分け動作の結果、特にV入賞することなく遊技球が排出されると、そこで役物ゲームが終了(END)となる。
本実施形態で採用する追加例(2)では、排出処理(EX02)の動作中に上大入賞口開放(R03)の動作が並行して行われるため、排出処理(EX02)の終了まで役物ゲームの開始タイミングが後ろにずれることはない。また、他の2つの例と比較して変動時間を短縮しているため、追加前の例(左端)と同程度のタイミングで役物ゲームを開始することができる。これにより、図23中の終了時間(ENT)を比較すると、特別図柄変動(R01)から役物ゲーム終了(END)までのトータル時間を排出処理の追加前と同程度に合わせることができる。
〔スイッチ有効化タイミング〕
図24は、排出処理(EX02)から第1ストッパ解除(R04)までの排出時間(EXT)内に各種スイッチを有効化するタイミングを示した概念図である。
排出時間(EXT)の初期において、中央(左)及び右側の排出検知スイッチ206はいずれも検出動作が無効化されている。また、2つの特定領域スイッチ82についても、その検出動作が無効化されている。このような各種スイッチの無効状態は、排出処理中も継続されている。このため、排出処理の開始に伴って置き球が排出通路やV入賞通路を通過したとしても、排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82からの検出信号は、いずれも制御上で無視(無効化)される(検出動作無効化手段)。
〔中央(左)排出検知スイッチ有効化〕
排出処理時間(EXT)内であっても、並行して行われる上大入賞口開放(R03)の時点で、最初に中央(左)の排出検知スイッチ206が有効化される(中間排出検出動作有効化手段)。例えば、上大入賞口28bに2個の遊技球が入賞し、これら2個ともノーマルルートに振り分けられた場合、1個目の遊技球は第1ストッパ190で保留されるが、2個目の遊技球は排出通路を通って排出される。したがって、この時点から中央(左)の排出検知スイッチ206を有効化することにより、ノーマルルート側での遊技球の排出個数を正確にカウントすることが可能になる。
一方、上大入賞口開放(R03)後も並行して排出処理は進行しているため、排出処理が完了するまでの間、右側の排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82は引き続き無効化されている。
〔右側排出検知スイッチ及び特定領域スイッチ有効化〕
この後、第1ストッパ解除(R04)が行われると、その時点から右側の排出検知スイッチ206及び特定領域スイッチ82がいずれも有効化される(最終通過検出有効化手段)。この時点では、排出動作としての第3ストッパ194の解除が行われた後であり、既に排出処理は完了している。したがって、この時点から右側の排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82を有効化することで、スペシャルルート側でも遊技球の排出個数を正確にカウントすることが可能になる。
なお、ここでは特に図示していないが、上大入賞口開放(R03)後に入賞した遊技球の個数と排出個数とが一致した場合、全てのスイッチの検出動作は再び無効化される。
図25は、特別図柄変動から役物ゲーム終了までの各種動作の時間的な変化を一覧にして示したタイミングチャートである。以下、排出処理中の動作を含めて説明する。
〔初期〜特別図柄停止表示まで〕
(A):特別図柄変動時間の経過により、特別図柄の変動が停止する(時刻t0)。この場合の変動時間は、上記のように追加前に比較して短縮されている。
(B):この段階で、2つの特定領域スイッチ82の検出動作は無効化されている。
(C),(D):同様に、右側の排出検知スイッチ206及び中央(左)の排出検知スイッチ206は、いずれも検出動作が無効化されている。
(E):この時点で、可動入球役物装置28は未作動(停止中)である。
(F),(G):したがって、上大入賞口ソレノイド214はオフであり、上大入賞口スイッチ200で入賞が検出されることはない。
(H),(I):また、第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222はいずれもオフである。
(J),(K):第3ストッパモータ224は停止状態であり、第3ストッパ位置検出スイッチ225からは、第3ストッパ194が保留位置にある場合のON信号が出力されている。
〔作動契機発生時〕
(A):特別図柄の停止表示時間T1が経過すると、特別図柄は確定停止する(時刻t1)。これにより、可動入球役物装置28の作動契機が発生する。
(B):この時点でも、2つの特定領域スイッチ82の検出動作は無効化されている。
(C),(D):同様に、右側の排出検知スイッチ206及び中央(左)の排出検知スイッチ206は、いずれも検出動作が無効化されている。
(E):作動契機が発生後、所定の開放タイミング(役物装置作動開始演出時間T2終了)までの間、可動入球役物装置28は未作動(停止)である。
(F),(G):したがって、上大入賞口ソレノイド214はオフであり、上大入賞口スイッチ200で入賞が検出されることはない。
〔排出処理開始〕
このとき図25中(H),(I)に示されているように、作動契機の発生時(時刻t1)で第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222がともにオンになり、上記の排出処理が開始される。
〔可動入球役物装置作動時〕
また図25中(E),(F)に示されているように、作動契機の発生後に役物装置作動開始演出時間T2が経過し、開放タイミングになると可動入球役物装置28が作動状態となる。そして、上大入賞口ソレノイド214が所定の開放時間T3(例えば1.6秒程度)にわたりオンになり、可動片28aが開放位置に変位して上大入賞口28bが開放された状態となる。またこれに伴い、上記のように中央(左)の排出検知スイッチ206が有効化される(D)。このとき、例えば上大入賞口28bに2個の遊技球が入賞すると、上大入賞口スイッチ200から2個分の入賞検出信号(オン)が出力される(G)。
〔第1ストッパソレノイドの動作パターン〕
図25中(H):第1ストッパソレノイド220は、作動契機の発生時から以下の予め定められた動作パターンを実行する。
〔1〕作動契機発生時(時刻t1)から排出用の作動時間(例えば0.2秒程度)にわたりオンになる(第1の排出動作)。これにより、仮にノーマルルートに置き球があった場合であっても、その置き球は可動入球役物装置28から排出される。
〔2〕排出用の作動時間経過後、停止時間(例えば18.8秒程度)にわたりオフになる。
〔3〕停止時間経過後、正規の作動時間(例えば0.2秒程度)にわたりオンになる。これにより、第1ストッパ190が正規の動作として解除される。したがって、第1ストッパ190は上大入賞口28bの開放時点(時刻t2)から所定時間T4(例えば15秒程度)の経過後に解除されることになる。
このとき、正規に入賞した遊技球がノーマルルートに振り分けられていた場合、その遊技球は第1回転体440に向けて放出される。そして、第1回転体440のアウト振り分け孔440aに遊技球が入り込むと、その遊技球は特定領域を通過することなく中央(左)の排出通路を通じて可動入球役物装置28から排出される。あるいは、V入賞孔440bに遊技球が入り込むと、その遊技球は中央(左)のV入賞通路(特定領域)を通過して可動入球役物装置28から排出される。また、この時点では全ての排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82が有効化されているため、正規に行われた振り分け動作の結果(排出又は特定領域通過)を制御上で正しく認識することができる。なお、逆転ルート振分部440cに遊技球が入り込んだ場合、その遊技球は第3ストッパ194にて保留されることになる。
〔第2ストッパソレノイドの動作パターン〕
図25中(I):また第2ストッパソレノイド222は、作動契機の発生時から以下の予め定められた動作パターンを実行する。
〔1〕作動契機発生時(時刻t1)から排出用の作動時間(例えば0.5秒程度)にわたりオンになる(第1の排出動作)。これにより、スペシャルルートに置き球があった場合、その置き球が可動入球役物装置28から排出される。
〔2〕排出用の作動時間経過後、停止時間(例えば25秒程度)にわたりオフになる。
〔3〕停止時間経過後、正規の作動時間(例えば0.5秒程度)にわたりオンになる。これにより、第2ストッパ192が正規の動作として解除される。
このとき、正規に入賞した遊技球がスペシャルルートに振り分けられていた場合、その遊技球は第2回転体442に向けて放出される。そして、第2回転体442のアウト振り分け孔442aに遊技球が入り込むと、その遊技球は特定領域を通過することなく右側の排出通路を通じて可動入球役物装置28から排出される。逆にV入賞孔442bに遊技球が入り込むと、その遊技球は右側のV入賞通路(特定領域)を通過して可動入球役物装置28から排出される。同様に、この時点では全ての排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82が有効化されているため、正規に行われた振り分け動作の結果(排出又は特定領域通過)を制御上で正しく認識することができる。
〔第3ストッパモータの動作パターン〕
図25中(J):第3ストッパモータ224は、作動契機の発生時から以下の予め定められた動作パターンを実行する。
〔1〕作動契機発生時(時刻t1)から第1停止時間(例えば5.5秒程度)の停止を行う。
〔2〕第1停止時間の経過後、一方向(CW方向)に一定速度で第1回転時間(例えば2.6秒程度)にわたり回転する。これにより、排出動作として第3ストッパ194が保留位置から放出位置まで上昇する。また第3ストッパ位置検出スイッチ225は、第3ストッパ194が保留位置以外にあることを表すOFF信号を出力する(K)。
〔3〕第1ストッパ190が放出位置に上昇すると、第2停止時間(例えば0.5秒程度)にわたり停止する(第2の排出動作)。これにより、逆転ルート(第3ストッパ194)に置き球(又は第1ストッパ190から排出されてきた置き球)があった場合、その置き球が可動入球役物装置28から排出される。
〔4〕第2停止時間経過後、逆方向(CCW方向)に一定速度で回転する。これにより、第3ストッパ194が保留位置に向かって下降する。
〔5〕第3ストッパ位置検出スイッチ225からON信号が出力された定時τ(例えば十数ms程度)後に回転を停止する(定時τは(K)参照)。これにより、第3ストッパ194が保留位置に復帰した状態となる。
〔6〕第3停止時間(例えば23秒程度)にわたり停止する。この間、第3ストッパ194はノーマルルートから逆転ルートに放出されてくる遊技球に備えて保留位置で待機している。
〔7〕第3停止時間経過後、一方向(CW方向)に一定速度で第1回転時間にわたり回転する。これにより、第3ストッパ194が正規の動作として保留位置から放出位置に上昇する。また第3ストッパ位置検出スイッチ225は、第3ストッパ194が保留位置以外にあることを表すOFF信号を出力する(K)。
〔8〕正規の動作として第1ストッパ190が放出位置に上昇すると、第2停止時間にわたり停止する。これにより、ノーマルルートから逆転ルート(第3ストッパ194)に流れてきた遊技球が第2回転体442に向けて放出されることになる。
〔9〕第2停止時間経過後、逆方向(CCW方向)に一定速度で回転する。これにより、第3ストッパ194が保留位置に向かって下降する。
〔10〕第3ストッパ位置検出スイッチ225からON信号が出力された定時τ後に回転を停止する(同じく(K)参照)。これにより、正規の解除後に第3ストッパ194が保留位置に復帰した状態となる。
なお、上記〔8〕で放出された遊技球が第2回転体442のアウト振り分け孔442aに入り込むと、その遊技球は特定領域を通過することなく右側の排出通路を通じて可動入球役物装置28から排出される。逆にV入賞孔442bに遊技球が入り込むと、その遊技球は右側のV入賞通路(特定領域)を通過して可動入球役物装置28から排出される。同じくこの時点では、全ての排出検知スイッチ206や特定領域スイッチ82が有効化されているため、正規に行われた振り分け動作の結果(排出又は特定領域通過)を制御上で正しく認識することができる。
〔役物ゲーム終了判定〕
図25に示されている役物ゲーム時間T5は、正規に入賞した遊技球の個数と正規に排出された遊技球の個数とが一致するまでの時間である。ここでは特に図示していないが、例えば今回の役物ゲームでV入賞(特定領域通過)が発生しなかった場合、入賞した遊技球の個数(例えば2個)と排出された遊技球の個数とが一致した時点で役物ゲームが終了する。この役物ゲーム時間T5は、遊技球の入賞個数や実際の振り分け動作によってある程度異なることになる。
以上が本実施形態で採用する排出処理を含めたパチンコ機1による遊技の流れであるが、このような遊技の進行やそれに伴う演出は上記の主制御装置70及び演出制御装置124を中心とする電子機器によって制御されている。また、図25に示される各種動作の時間的な変化は、主制御装置70(主制御CPU72)が実行する各種の制御処理を通じて実現されている。以下、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について、電源投入時を含めて説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図26及び図27は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1〜2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
ステップS105:また主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄状態指定コマンド、作動記憶数増加時演出コマンド、作動記憶数減少時演出コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、大当り状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、内部確率状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄及び普通図柄それぞれの表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば2ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は図31に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(駆動電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド212や上大入賞口ソレノイド214、下大入賞口ソレノイド216、第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222等に対応する出力ポートバッファをクリアすると、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、普通図柄に対応する当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図29中のステップS202)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(図29中のステップS203)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお上記のように、本実施形態において大当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(例えば普通図柄の変動に対応したリーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図29)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容については後述する。
〔電源断発生チェック処理〕
図28は、上記の電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
ステップS130:ここでは先ず、主制御CPU72は、電源断発生チェックのための条件を設定する。このチェック条件は、例えば主電源断検出信号が継続して出力されていることを確認するためのオンカウンタ値として設定することができる。
ステップS132:次に主制御CPU72は、主電源断検出スイッチ入力用ポートをリードし、主電源断検出信号が出力されているか否かを確認(特定のビットをチェック)する。特に図示していないが、主電源断検出スイッチは例えば主制御装置70に実装されており、この主電源断検出スイッチは、電源制御ユニット162から供給される駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に主電源断検出信号を出力する。なお、主電源断検出スイッチは電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。主制御CPU72は、現時点で主電源断検出信号が出力されていないことを確認すると(No)、この処理を抜けてリセットスタート処理に復帰する。一方、主電源断検出信号が出力されていることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS134に進む。
ステップS134:主制御CPU72は、上記のチェック条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS130で設定したオンカウンタ値を例えば1減算し、その結果が0になったか否かを確認する。現時点で未だオンカウンタ値が0でなければ(No)、主制御CPU72はステップS132に戻って主電源断検出スイッチ入力用ポートを改めて確認する。そして、ステップS134からステップS132へのループを繰り返してチェック条件が満たされると(ステップS134:Yes)、主制御CPU72は次にステップS136に進む。
ステップS136:主制御CPU72は、上記のように普通電動役物ソレノイド212や上大入賞口ソレノイド214、下大入賞口ソレノイド216、第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222に対応する出力ポートに加え、試験信号端子やコマンド制御信号に対応する出力ポートバッファをクリアする。
ステップS138,ステップS140:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容を1バイト単位で加算し、全領域について加算を完了するまで繰り返す。
ステップS142:全領域についてサムの算出が完了すると(ステップS140:Yes)、主制御CPU72はサムチェックバッファにサム結果値を保存する。
ステップS144:次に主制御CPU72は、上記のようにバックアップ有効判定フラグ領域に有効値を格納する。
ステップS146:また主制御CPU72は、RAM76のプロテクト値にアクセス禁止を表す「01H」を格納し、RAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含む)に対するアクセスを禁止する。
ステップS148:そして主制御CPU72は待機ループに入り、主電源断の遮断に備えて他の処理を全て停止する。主電源断の発生後は、図示しないバックアップ電源回路(例えば主制御装置70に実装された容量素子を含む回路)からバックアップ用電力が供給されるため、RAM76の記憶内容は主電源断後も消失することなく保持される。なおバックアップ用電源回路は、例えば電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。
以上の処理を通じて、バックアップ対象(サム加算対象)となるRAM76のワーク領域に記憶されていた情報は、全て主電源断の後もRAM76に記憶として保持されることになる。また保持されていた記憶は、先のリセットスタート処理(図26)でチェックサムの正常を確認した上で、電源断時のバックアップ情報として復元される。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図29は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、ポート出力要求バッファ初期設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えばポート0〜13までの各ポート出力要求バッファに対応するRAMを0クリア(値=00Hを格納)する。
ステップS202:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば特別図柄当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数、普通図柄当り図柄乱数等が含まれる。このうち特別図柄当り図柄乱数及び普通図柄当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される。
ステップS203:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS204:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(I/O)79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、始動ゲートスイッチ80からの通過検出信号や、特図始動入賞口スイッチ78、カウントスイッチ208、入賞口スイッチ210からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。また主制御CPU72は、上大入賞口スイッチ200、特定領域スイッチ82からの検出信号の入力状態をリードする。その他にも主制御CPU72は、ここで上大入賞口スイッチ200や特定領域スイッチ82、排出検知スイッチ206等からの検出信号の入力状態をリードする。
ステップS206:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、始動ゲートスイッチ80、特図始動入賞口スイッチ78からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、特図始動入賞口スイッチ78から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象が発生したと判定する。また始動ゲートスイッチ80から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した作動抽選の契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS207:次に主制御CPU72は、遊技盤エラー状態が発生しているか否かを確認する。この確認は、例えば遊技盤エラー状態フラグの値を参照することで行われる。なお、遊技盤エラー状態フラグは、先のスイッチ入力イベント処理の中で設定される。遊技盤エラー状態フラグに値(01H)がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72はステップS210から以降の処理を行う。一方、遊技盤エラー状態フラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次のステップS208に進む。
ステップS208:主制御CPU72は、特別遊技管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄表示装置34による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。また主制御CPU72は、この特別遊技管理処理の中で上述した排出処理の一部(第1ストッパ190及び第2ストッパ192での排出処理)を実行する。なお、特別遊技管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS209:また主制御CPU72は、普通遊技管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置26の作動を制御したりする。普通遊技管理処理の詳細についても、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS210:次に主制御CPU72は、モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種モータ(ルート振分体モータ218、第3ストッパモータ224、第1回転体モータ226、第2回転体モータ228等)の回転に関する原点位置を検出し、また、各種モータに対して駆動信号を出力する場合、その駆動信号を対応するポート出力要求バッファに格納する。主制御CPU72は、このモータ管理処理の中で上述した排出処理の一部(第3ストッパ194での排出処理)を実行する。モータ管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS211:次に主制御CPU72は、賞球払出管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種スイッチ80,200,208,210から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS212:次に主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は図示しない不正検知スイッチ(例えば磁気センサ、加速度センサ等)からの入力信号の有無を確認し、入力信号があった場合はその報知動作(例えば枠ランプの点灯、警報音の出力)を指示する。
ステップS213:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は盤用外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに出力する外部情報をポート出力要求バッファに格納する。
ステップS214:また主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、時間短縮機能作動中、遊技盤エラー状態発生中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS215:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS213)及び試験信号処理(ステップS214)でそれぞれポート出力要求バッファに格納された外部情報信号及び試験信号(バイトデータ)をポート出力する。また主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている各種ソレノイド(普通電動役物ソレノイド212、上大入賞口ソレノイド214、下大入賞口ソレノイド216、第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222)の励磁状態(ON又はOFF)をポート出力する。さらに主制御CPU72は、各種モータ(ルート振分体モータ218、第1回転体モータ226、第2回転体モータ228、第3ストッパモータ224)に対する駆動信号をポート出力する。
ステップS216:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、特別図柄作動記憶ランプ34a、各種状態表示ランプ36,37,38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)をポート出力する。なお駆動信号は、先の特別遊技管理処理(ステップS208)や普通遊技管理処理(ステップS209)において各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS217:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
ステップS218,ステップS219:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔スイッチ入力イベント処理〕
図30は、スイッチ入力イベント処理(図29中のステップS206)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS30:先ず主制御CPU72は、遊技盤エラー状態が発生しているか否かを確認する。この確認は、上記のように遊技盤エラー状態フラグの値を参照することで行われる。このとき遊技盤エラー状態が発生していれば(Yes)、主制御CPU72はこの処理を抜けて割込管理処理(図29)に復帰する。これに対し、特に遊技盤エラー状態が発生していなければ(No)、主制御CPU72は次のステップS32に進む。
ステップS32:次に主制御CPU72は、現在の特別遊技管理ステータスの値を確認する。「特別遊技管理ステータス」は、特別図柄に対応する遊技の進行状況を管理(監視)するためのステータス値である。「特別遊技管理ステータス」の値は、主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行する中で、実際の遊技の進行状況に応じて設定される。「特別遊技管理ステータス」は、特別図柄に対応する遊技の進行状況に応じて例えば「00H」〜「0BH」まで遷移する。特別遊技管理ステータスの値がいずれに設定されるかは、その時点で特別図柄に対応する遊技がどこまで進行しているかによって異なる。例えば、現在の進行状況が可動入球役物装置28を開放動作中である場合、「特別遊技管理ステータス」の値は「4(04H)」に設定されている。あるいは、現在の進行状況が可動入球役物装置28を開放した後の閉鎖中である場合、「特別遊技管理ステータス」の値は「5(05H)」に設定されている。いずれにしても、ここでは「特別遊技管理ステータス」の値が「4(04H)」又は「5(05H)」のいずれかに設定されている場合(Yes)、主制御CPU72はステップS36〜ステップS39の処理を実行する。一方、「特別遊技管理ステータス」の値が「4(04H)」又は「5(05H)」のいずれにも設定されていない場合(No)、主制御CPU72はステップS34に進む。なお、「特別遊技管理ステータス」の設定についてはさらに後述する。
ステップS34:この場合、主制御CPU72は、セキュリティエラーが発生しているか否かを確認する。例えば、図示しない磁気センサによる磁気の検出(磁石等を用いた不正行為)や振動センサによる振動の検出(台に衝撃を加える不正行為)、各種スイッチについて断線の検出、あるいは、入賞を発生させる装置(可変始動入賞装置26、可動入球役物装置28、可変入賞装置30)の非作動時における不正な入賞の検出のいずれかのエラーが検出された場合、セキュリティエラー発生と判断し(Yes)、主制御CPU72はステップS35に進む。
ステップS35:この場合、主制御CPU72は遊技盤エラー状態フラグ(=01H)をセットし、上記の割込管理処理(図29)に復帰する。
これに対し、特にセキュリティエラーが発生していなければ(ステップS34:No)、主制御CPU72は以下のステップS36〜ステップS39を実行する。
ステップS36:この場合、先ず主制御CPU72は特別図柄作動チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は特図始動入賞口スイッチ78からの入力をチェックし、その結果に応じてそれぞれの処理を実行する。なお、特別図柄作動チェック処理の具体的な内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS37:また主制御CPU72は、普通図柄作動チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は始動ゲートスイッチ80からの入力をチェックし、その結果に応じてそれぞれの処理を実行する。なお、普通図柄作動チェック処理の具体的な内容についても別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS38:次に主制御CPU72は、演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の特別図柄作動チェック処理(ステップS36)及び普通図柄作動チェック処理(ステップS37)での各チェック結果に基づき、始動入賞口26aへの入賞又は始動ゲート20の通過にそれぞれ対応した演出コマンドを生成し、それらをポート出力要求バッファに格納する。
ステップS39:そして主制御CPU72は、各種入賞チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種入賞口に対応するスイッチ(入賞口スイッチ210)からの入力をチェックし、その結果に基づいて賞球制御用のカウンタを加算したり、外部情報出力用のカウンタを加算したりする。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理(図29)に復帰する。
〔特別図柄作動チェック処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(図30)中で実行される特別図柄作動チェック処理(図30中のステップS36)について説明する。図31は、特別図柄作動チェック処理の手順例を示すフローチャートである。以下、この処理を手順例に沿って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、特図始動入賞口スイッチ78から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の特別図柄乱数記憶領域に記憶されている特別図柄当り決定乱数及び当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の特別図柄乱数記憶領域もまた4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには当り決定乱数及び当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、当り決定乱数及び当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数を1つ加算する。特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図29中のステップS216)で特別図柄作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から当り決定乱数値を取得する(抽選要素取得手段)。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから当り決定乱数値をリードすると、これを当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
なお本実施形態では、上述したように特別図柄抽選の当り確率(小当り確率)は1(=1/1)に設定されているため、入賞の発生がそのまま当選に該当する。したがって、特にこの処理において当り判定乱数を取得する必要がない場合、ステップS16を省略してもよい。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から当り図柄乱数値を取得する(抽選要素取得手段)。この場合の乱数値の取得もまた、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした当り決定乱数及び当り図柄乱数をともに乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(抽選要素記憶手段)。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:主制御CPU72は、特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰すると、ここでセットしたフラグの値を上記の演出コマンド出力設定処理(図30中のステップS38)で参照し、演出制御装置124に対して出力する始動口入賞音制御コマンドを設定する。また各種入賞チェック処理(図30中のステップS39)では、ここでセットしたフラグの値を参照して賞球制御用のカウンタを加算する。
以上の手順を終えるか、もしくは特図始動入賞口スイッチ78から入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰する。したがって、既に特別図柄作動記憶数が4(上限数)に達していた場合、ステップS16,S17での各種乱数値の取得は制限される(抽選要素取得制限手段)。
〔普通図柄作動チェック処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(図30)中で実行される普通図柄作動チェック処理(図30中のステップS37)について説明する。図32は、普通図柄作動チェック処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS01:主制御CPU72は、始動ゲートスイッチ80から検出信号が入力されたか否かを確認する。この検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS02を実行する。
ステップS02:主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の普通図柄乱数記憶領域に記憶されている普通図柄当り決定乱数及び当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の普通図柄乱数記憶領域は4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには当り決定乱数及び当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、当り決定乱数及び当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、普通図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS04に進む。
ステップS04:主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数を1つ加算する。普通図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図29中のステップS216)で普通図柄作動記憶ランプ33aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS06:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から普通図柄当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから当り決定乱数値をリードすると、これを当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS07:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から普通図柄当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに普通図柄当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS08:主制御CPU72は、セーブした当り決定乱数及び当り図柄乱数をともに普通図柄乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS09:主制御CPU72は、普通図柄通過始動フラグをセットする。なお、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰すると、ここでセットしたフラグの値を上記の演出コマンド出力設定処理(図30中のステップS38)で参照し、演出制御装置124に対して出力する普通図柄通過始動音制御コマンドを設定する。
以上の手順を終えるか、もしくは始動ゲートスイッチ80から検出信号の入力がなかった場合(ステップS01:No)、あるいは普通図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS02:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰する。
〔普通遊技管理処理〕
次に、普通遊技管理処理の詳細について説明する。図33は、普通遊技管理処理の構成例を示すフローチャートである。普通遊技管理処理は、普通遊技制御モジュール選択処理(ステップS1001)、普通図柄変動開始待ち処理(ステップS2001)、普通図柄変動中処理(ステップS3001)、普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)、可変始動入賞装置管理処理(ステップS5001)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って普通遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1001:普通遊技制御モジュール選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2001〜ステップS5001のいずれかの制御モジュール)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして普通遊技管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ普通図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動開始待ち処理(ステップS2001)を選択する。一方、既に普通図柄変動開始待ち処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として普通図柄変動中処理(ステップS3001)を選択し、普通図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2001:普通図柄変動開始待ち処理では、主制御CPU72は普通図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3001:普通図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。具体的には、2つあるLEDに対してON又はOFFの駆動信号を出力する。駆動信号は2つのLEDについて対称に出力され、そのパターンが時間の経過に伴って変化するため、それによって普通図柄の変動表示(2つのLEDが交互に点灯表示)が行われる。
ステップS4001:普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33の駆動制御を行う。ここでも同様に、2つあるLEDに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより普通図柄の停止表示が行われる。なお、このとき普通図柄に対応する抽選結果が当選であれば、当選図柄を表す方のLEDについて駆動信号がONになり、抽選結果が非当選であれば、非当選図柄を表す方のLEDについて駆動信号がONになる。
ステップS5001:可変始動入賞装置管理処理は、先の普通図柄停止表示中処理において当りの態様(「当選A」又は「当選B」)で普通図柄が停止表示された場合に選択される。普通図柄が当りの表示態様で停止すると、この処理において主制御CPU72は、可変始動入賞装置26を予め設定された作動条件に基づいて作動させる。
可変始動入賞装置26の作動中は、先の普通遊技遊技制御モジュール選択処理(ステップS1001)においてジャンプ先が可変始動入賞装置管理処理にセットされ、普通図柄の変動表示は行われない。また可変始動入賞装置管理処理においては、普通電動役物ソレノイド212が一定時間、規定回数(例えば1回)だけ励磁され、これにより可変始動入賞装置26が決まったパターンで開放動作する(普通電動役物の作動)。この間に可変始動入賞装置26に対して遊技球を入賞させることで、上述したゲームフロー上で可動入球役物装置28の作動(開放)契機を発生させることができる。
〔普通図柄変動開始待ち処理〕
次に図34は、普通図柄変動開始待ち処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図29中のステップS217)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は普通遊技管理処理に復帰する。
これに対し、普通図柄作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は、普通図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の普通図柄乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(普通図柄当り決定乱数、当り図柄乱数)を読み出し、これらを例えば別の共通記憶領域に保存する。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の当り判定処理で作動抽選に使用される。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている普通図柄作動記憶数カウンタの値を1つ減算し、減算後の値を「普通図柄変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図29中のステップS216)の中で普通図柄作動記憶ランプ33による記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、当り判定処理(作動抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(作動抽選実行手段)。なお本実施形態では、このとき設定される当り値の範囲は一定である。そして、読み出した乱数値が当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で当り値の範囲を設定して当り判定を行っているが、予め当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら当り判定を行うプログラミング例もある。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の当り判定処理で当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄表示装置33によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄指定コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、普通図柄表示装置33に2つのLEDを用いているため、主制御CPU72の制御上、全ての停止図柄番号データに対して普通図柄表示装置33による表示態様(非当選のLEDが点灯表示)は共通である。このため、例えば、はずれ時の停止図柄番号データを1つの値(例えば01H)に固定することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄についてはずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、変動パターンの種類を区別したり、そのときの変動時間を規定したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。
以上のステップS2404,ステップS2406は、当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
ステップS2410:主制御CPU72は、当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り図柄乱数に基づき、当選図柄の種類(当り時停止図柄番号)を決定する。当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め普通図柄判定データテーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、当り時停止図柄決定処理において普通図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。なお本実施形態では、上述したように当選種別に大きく分けて2種類が用意されている。そのうち1つは「当選A」であり、もう1つは「当選B」である。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて普通図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。本実施形態のパチンコ機1による遊技では、基本的に、普通図柄の当り時には図柄演出を含めて当りリーチ変動を行うため、ここではリーチ変動パターンが選択される。なお一般的に当りリーチ変動の場合、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は当り時停止図柄番号に基づいて、普通図柄表示装置33による停止図柄(当り図柄)の表示態様を決定する。ただし主制御CPU72の制御上、全ての当り時停止図柄番号に対して普通図柄表示装置33による表示態様(当選のLEDが点灯表示)は共通である。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、普通図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に普通図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は普通遊技管理処理に復帰する。
〔図33:普通図柄変動中処理,普通図柄停止表示中処理〕
普通遊技管理処理に復帰すると、主制御CPU72は普通図柄変動中処理(ステップS3001)を次のジャンプ先に設定する。普通図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように普通図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は普通図柄停止表示中処理(ステップS4001)を次のジャンプ先に設定する。
また普通図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図34中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて普通図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
〔可変始動入賞装置管理処理〕
次に、可変始動入賞装置管理処理について説明する。図35は、可変始動入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変始動入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5101)、開放パターン設定処理(ステップS5201)、開閉動作処理(ステップS5301)、閉鎖処理(ステップS5401)、終了処理(ステップS5501)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5101:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5201〜ステップS5501のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変始動入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変始動入賞装置26の作動(開閉動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開放パターン設定処理(ステップS5201)を選択する。一方、既に開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として開閉動作処理(ステップS5301)を選択し、開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を選択する。また、開閉動作処理及び閉鎖処理を実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
〔開放パターン設定処理〕
ステップS5201:開放パターン設定処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置26の作動条件として、例えば開放時間と開放回数を設定する。ここで、開放時間の設定については、時間短縮機能の作動時と非作動時とで異なる。以下、この点について説明する。
〔図36:図柄別作動条件設定テーブルを参照〕
図36は、図柄別作動条件設定テーブルの構成例を示す図である。この図柄別作動条件設定テーブルは、普通図柄の当選種別である「当選A」と「当選B」のそれぞれについて、時間短縮機能の非作動時(通常中)と作動時(時短中)とで普通図柄の変動時間や可変始動入賞装置26の作動条件を異なる設定とするためのものである。
図36中(A):先ず「当選A」図柄については、上述したように時間短縮機能の非作動時と作動時で当り確率(1/54)は変化しない。ただし、変動時間については通常中が比較的長時間(通常変動時間)に設定されているのに対し、時短中は短縮された変動時間(1.0秒)に設定されている。通常変動時間は、例えば変動パターン決定乱数を用いて複数通り(例えば数秒〜百数十秒の範囲内)に設定されるため、時短中の変動時間に比較して長くなっている。なお、作動時間や作動回数の条件については通常中と時短中で同じである。
図36中(B):次に「当選B」図柄についても、上述したように時間短縮機能の非作動時と作動時で当り確率(1/1.04)は変化しない。ただし、変動時間については通常中が比較的長時間(通常変動時間)に設定されているのに対し、時短中は短縮された変動時間(1.0秒)に設定されている。さらに、作動時間の条件は通常中に比較して時短中は延長されている(0.08秒→5.8秒)。なお、作動回数の条件については通常中と時短中で同じである。
主制御CPU72は、開放パターン設定処理(図35中のステップS5201)において時間短縮機能作動フラグの値(「01H」又は「00H」)を参照し、値「01H」がセットされていれば、作動条件設定テーブルの下段に定められた作動条件(特に作動時間)を設定する。これにより、時短中は当り確率の高い「当選B」に対応する開放時間が通常中に比較して延長されるため、それだけ頻繁に可変始動入賞装置26への入賞が発生しやすくなる。
なお主制御CPU72は、先の変動パターン決定処理(図34中のステップS2406,ステップS2412)で変動パターン(変動時間)を設定する場合についても、図36の作動条件設定テーブルを使用することができる。
〔図35:可変始動入賞装置管理処理を参照〕
ステップS5301:次の開閉動作処理では、主制御CPU72は先のステップS5201で設定した作動条件(開放時間)に基づいて普通電動役物ソレノイド212を駆動する。これにより、特に時短中は「当選A」及び「当選B」のいずれに該当しても、開放時間が延長(5.8秒)された状態となる。また主制御CPU72は、次のジャンプ先として閉鎖処理(ステップS5401)を設定する。
ステップS5401:閉鎖処理では、主制御CPU72は開放時間の経過をタイマカウンタ値に基づいてカウントする。そして、タイマカウンタの値が0以下になれば、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド212を非作動状態に切り替える。そして主制御CPU72は、次のジャンプ先として終了処理(ステップS5501)を設定する。
ステップS5501:終了処理では、主制御CPU72は可変始動入賞装置26の作動を終了する際の条件を整える。例えば、主制御CPU72は普通電動役物作動フラグの値(01H)をリセットする。そして主制御CPU72は、普通図柄遊技処理の中の普通遊技制御モジュール選択処理(図33中のステップS1001)でのジャンプ先を普通図柄変動開始待ち処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変始動入賞装置管理処理に復帰する。
〔特別遊技管理処理〕
次に、特別遊技管理処理の詳細について説明する。図37は、特別遊技管理処理の構成例を示すフローチャートである。特別遊技管理処理は、特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)、特別図柄変動中処理(ステップS2000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)、役物装置作動開始待ち処理(ステップS3000)、役物装置初回開放処理(ステップS3500)、役物装置閉鎖処理(ステップS4000)、役物装置作動終了処理(ステップS4500)、可変入賞装置作動開始処理(ステップS5000)、可変入賞装置開放処理(ステップS5500)、可変入賞装置閉鎖処理(ステップS6000)、可変入賞装置作動終了処理(ステップS6500)、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:特別遊技制御モジュール選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS1500〜ステップS6500のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)のプログラムアドレスを「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)を選択する。一方、既に特別図柄変動開始待ち処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS2000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。
また、上記のように主制御CPU72が次のジャンプ先を選択するにあたり、現在までの処理の進行状況は「特別遊技管理ステータス」の値で表されている。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」として設定している。一方、既に特別図柄変動開始待ち処理が完了していれば、主制御CPU72は現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に設定し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に設定するといった具合である。なお、このような「特別遊技管理ステータス」の値の設定についてはさらに後述する。いずれにしても、主制御CPU72は特別遊技制御モジュール選択処理において「特別遊技管理ステータス」の値を参照し、その時点でジャンプ先となる処理(ステップS1500〜ステップS6500のいずれか)を選択することができる。
なお、特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)でジャンプ先として選択されるのは、上記のようにステップS1500〜ステップS6000までであり、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)はいずれも毎回の割り込みで実行される。
ステップS1500:上記のように「特別遊技管理ステータス」の値が「00H」である場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄変動開始待ち処理を実行する。この特別図柄変動開始待ち処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。特に図示していないが、例えば主制御CPU72は特別図柄作動記憶数が1以上である場合、特別図柄の当り決定乱数及び当り図柄乱数の記憶を共通記憶領域に保存してその他の記憶をシフトし、特別図柄の変動開始時作動記憶数を減算する。また主制御CPU72は、共通記憶領域に保存した当り決定乱数を当り値と比較し、当り判定を行う。なお本実施形態では、特別図柄抽選の当り確率(いわゆる小当り確率)が1であるため、このときの当り判定は確認的な処理となる。
次に主制御CPU72は、ステップS1500において当り時停止図柄を決定する。上述したように、本実施形態では通常時(時間短縮機能非作動時)に得られる特別図柄の当選種別として「特図当選1」〜「特図当選3」の3種類が設けられているが、各当選種類にはさらに小分類として複数の当選種類が設けられているため、その中のいずれに該当するかを当り図柄乱数に基づいて決定する。なお、ここで決定した当り時停止図柄(大きく分けて「特図当選1」〜「特図当選3」)に基づいて、大当り終了後に付加される時間短縮機能の上限回数(通常時は0回を含まない)が決定されることになる。また時間短縮機能作動時については、特別図柄について得られる当選種別が「特図当選4」又は「特図当選5」のいずれかとなる。これら「特図当選4」及び「特図当選5」のそれぞれにも小分類として複数の当選種類が設けられているため、この場合も主制御CPU72は当り図柄乱数に基づいていずれの当選種類に該当するかを決定する。そして、ここで決定した当り時停止図柄(大きく分けて「特図当選4」又は「特図当選5」)に基づいて、時間短縮機能作動時の大当り終了後に付加される上限回数(時短中は0回を含む)が決定される。
ただし、本実施形態では特別図柄抽選での当選がそのまま大当りではなく、あくまで可動入球役物装置28の開放契機(=小当り)であり、実際に大当り(可変入賞装置30の開放)に進むためには、可動入球役物装置28内で特定領域通過を発生させる必要がある。このため、主制御CPU72はここで決定した当り時停止図柄(当選種別)の結果をRAM76のバッファ領域に保存し、次に特別図柄の当り判定が行われるまで抽選結果を表すフラグ(抽選結果フラグ)を記憶させている。なお主制御CPU72は、次回の特別図柄変動開始待ち処理において特別図柄の記憶シフトを行った場合、そこで前回の抽選結果フラグを消去することとしてもよい。
この他に主制御CPU72は、特別図柄変動開始待ち処理において変動タイマの値をセットする。例えば、主制御CPU72は変動パターン番号に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また主制御CPU72は、特別図柄変動開始待ち処理の手順を完了すると、「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に更新する。
ステップS2000:「特別遊技管理ステータス」の値が「01H」である場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄変動中処理を実行する。この特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。具体的には、2つある7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。この後、変動タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に更新する。
ステップS2500:「特別遊技管理ステータス」の値が「02H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄停止表示中処理を実行する。この特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止表示タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。ここでも同様に、2つある7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。なお、このとき特別図柄の停止表示態様は、先の特別図柄変動開始待ち処理で決定された当選種類(小分類)に対応している。この後、停止表示タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「03H」に更新する。
ステップS3000:「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において役物装置作動開始待ち処理を実行する。この役物作動開始待ち処理では、主制御CPU72は特別遊技タイマとして上大入賞口開放開始タイマのカウントダウンを実行する。なお上大入賞口開放開始タイマのカウント時間は、上述した可動入球役物装置28(上大入賞口)の開放開始を遊技者に意識させるために必要な演出時間(例えば数秒間)に基づいて設定されている。この後、上大入賞口開放開始タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「04H」に更新する。
ステップS3500:「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において役物装置初回開放処理を実行する。この役物装置初回開放処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置28の開放動作を制御する。具体的には、主制御CPU72は上大入賞口初回開放タイマをカウントしつつ、上大入賞口28bから入賞した遊技球の個数をカウントし、上大入賞口ソレノイド214に対する駆動信号を設定する。これにより、可動入球役物装置28の開放及び閉鎖の動作が行われる。また可動入球役物装置28を開放した後に閉鎖する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に更新する。なお、役物装置初回開放処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS4000:「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において役物装置閉鎖処理を実行する。この役物装置閉鎖処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置28の閉鎖に伴う各種の内部処理を実行する。各種の内部処理には、例えば可動入球役物装置28の開放時に入賞した遊技球の排出完了を確認したり、特定領域通過の有無を確認したり、回数切り機能の作動状態を確認したりする処理が含まれる。これら処理を終了する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に更新する。なお、役物装置閉鎖処理の詳細についても、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
また主制御CPU72は、この役物装置閉鎖処理において特定領域の通過を検出した場合、大当りフラグに値(01H)をセットし、大当り状態指定コマンドを設定する。合わせて主制御CPU72は、その時点で記憶されている抽選結果フラグに基づき、大当り種別コマンドを生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)において演出制御装置124に送信される。これを受けて演出制御装置124(演出制御CPU126)が上記のように大当り図柄抽選演出の実行を制御することができる。
ステップS4500:「特別遊技管理ステータス」の値が「06H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において役物装置作動終了処理を実行する。この役物装置作動終了処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置28の作動終了に伴う各種の内部処理を実行する。各種の内部処理には、例えば可動入球役物装置28の作動終了を確定させるエンディング時間の経過を確認したり、大当り状態移行コマンドや時間短縮状態指定コマンドを設定したりする処理が含まれる。ここで大当り状態移行コマンドを設定する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に更新する。一方、大当り状態移行コマンドを設定しない場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」を初期値の「00H」に復帰させる。なお役物装置作動終了処理の詳細についても、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS5000:可変入賞装置作動開始処理は、先の役物装置作動終了処理において「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」に更新された場合に実行される。この可変入賞装置作動開始処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の作動開始に先立つ前処理を実行する。すなわち、主制御CPU72は特別遊技タイマとして大当り開始待ち時間タイマのカウントダウンを実行し、タイマのカウントが0になると、可変入賞装置30の作動条件(実行ラウンド数、ラウンドごとの開放時間及び開放回数、インターバル時間等)を設定する。また主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に更新する。以後、大当り遊技中は遊技の進行状況に応じて「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」〜「0BH」まで更新され、そのときの値に応じてステップS5500〜ステップS6500が実行されることになる。また、可変入賞装置作動開始処理の詳細については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS5500:「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」に更新された場合、主制御CPU72は可変入賞装置開放処理を実行する。この可変入賞装置開放処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の開閉動作を制御する。これにより、大当り遊技の1ラウンド分が実行されることになる。1ラウンド分の大当り遊技を終了して可変入賞装置30を閉鎖する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「09H」に更新する。可変入賞装置開放処理の詳細についても、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS5550:「特別遊技管理ステータス」の値が「09H」に更新されると、主制御CPU72は次の可変入賞装置閉鎖有効処理を実行する。この可変入賞装置閉鎖有効処理では、主制御CPU72は大入賞口閉鎖有効時間タイマのカウントダウンを実行し、タイマのカウントが0になると、「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に更新する。なお、この処理は可変入賞装置30の開放から閉鎖に伴う時間を調整するために実行されるものであり、その詳細については省略する。
ステップS6000:「特別遊技管理ステータス」の値が「0AH」に更新されると、主制御CPU72は次の可変入賞装置閉鎖処理を実行する。この可変入賞装置閉鎖処理では、主制御CPU72は可変入賞装置30の閉鎖完了に伴う内部処理を実行する。この内部処理において、主制御CPU72はこれまでに実行したラウンド数を確認し、実行済みのラウンド数が設定したラウンド数(連続作動回数)に達していなければ「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に復帰させる。この場合、次回の特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)において先の可変入賞装置開放処理(ステップS5500)が再度選択されることになる。一方、既に実行済みのラウンド数が設定したラウンド数に達した場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0BH」に更新する(ステップS3000〜S6000:特別遊技実行手段)。なお可変入賞装置閉鎖処理の詳細については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS6500:「特別遊技管理ステータス」の値が「0BH」に更新された場合、主制御CPU72は可変入賞装置作動終了処理を実行する。この可変入賞装置作動終了処理では、主制御CPU72は大当りエンディング時間タイマのカウントダウンを実行する。タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は特別図柄状態フラグを設定し、また、特別図柄停止図柄種別に応じて時間短縮機能の作動回数(上限回数)を設定する。そして主制御CPU72は、特別図柄状態指定コマンドを設定し、「特別遊技管理ステータス」を初期値の「00H」に復帰させる。これにより、以後は特別図柄の変動(又は作動記憶数の追加)が可能な状態となる。なお可変入賞装置作動終了処理の詳細についても、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
また主制御CPU72は、以下の手順を「特別遊技管理ステータス」の値にかかわらず実行する。
ステップS7000:主制御CPU72は、残存球エラーコマンド設定処理を実行する。この残存球エラーコマンド設定処理では、主制御CPU72は、可動入球役物装置28の作動終了後に排出球不足エラーの監視を行うとともに、排出球不足エラー時の報知用コマンドを設定する。主制御CPU72は、例えば「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新されてから、次に「05H」に更新されるまでの間にカウントした入賞球数と、排出時間内にカウントした排出球数とが一致するかを確認する。その結果、入賞球数と排出球数とが一致する場合は排出球不足状態フラグをリセット(00H)し、この処理を終了する。これに対し、両者が一致しない場合、主制御CPU72は排出球不足状態フラグをセット(01H)し、排出球不足エラー状態コマンドを設定する。ここで設定した排出球不足エラー状態コマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)で演出制御装置124に送信される。
ステップS7500:主制御CPU72は、ソレノイド制御処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222の作動状態(ON又はOFF)を制御する。また主制御CPU72は、特にこの処理において上述した置き球の排出処理を実行することができる。ソレノイド制御処理の詳細については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
〔特別遊技進行状況〕
図38は、特別遊技管理処理の実行に伴い変化していく「特別遊技管理ステータス」の値と、それぞれの値に対応した特別遊技の進行状況を一覧にして示した図である。本実施形態において特別遊技(特別図柄に対応する遊技)は、例えば(1)「特別図柄変動待ち状態」を初期状態として開始される。そこから可変始動入賞装置26への入賞が発生すると、これを契機として特別遊技の進行状況は次の(2)「特別図柄変動表示中状態」に遷移し、さらに(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」を経て(4)「役物装置作動開始演出中状態」に進み、(5)「役物装置開放状態」、(6)「役物装置開放後閉鎖状態」、(7)「役物装置作動終了演出中状態」へと遷移していく。
このとき、可動入球役物装置28(役物装置)内で特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった場合、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に戻り、そこから繰り返しとなる。一方、(5)「役物装置開放状態」以降に可動入球役物装置28(役物装置)内で特定領域の通過(V入賞)が発生すると、特別遊技の進行状況は(8)大当り開始演出中状態に遷移し、そこから(9)「大入賞口開閉動作中状態」、(10)「大入賞口開放後閉鎖状態」、(11)「大入賞口閉鎖時間中状態」、(12)「大当りエンディング演出中状態」へと遷移していく。そして(12)「大当りエンディング演出中状態」まで終了すると、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に戻り、そこから繰り返しとなる。以下、より具体的に説明する。
(1)「特別図柄変動待ち状態」
パチンコ機1による遊技の開始初期において、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」にある。この状態は、特別図柄の始動条件が満たされていることを意味し、例えば特別図柄が変動中でなく、前回の変動表示が行われた場合は特別図柄の停止表示が既に確定している。この状態で、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)が選択される。
(2)「特別図柄変動表示中状態」
上記の(1)「特別図柄変動待ち状態」で可変始動入賞装置26への入賞が発生するか、もしくは、特別図柄の作動記憶が残存していた場合、特別図柄の変動表示が開始されて進行状況が(2)「特別図柄変動表示中状態」に遷移する。この状態は、特別図柄表示装置34において特別図柄が変動表示中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄変動中処理(ステップS2000)が選択される。
(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」
特別図柄の変動時間が経過して特別図柄が停止表示されると、進行状況が(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」に遷移する。この状態は、特別図柄表示装置34において特別図柄が停止表示中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)が選択される。
(4)「役物装置作動開始演出中状態」
特別図柄の停止表示時間が経過して特別図柄(小当り図柄)の停止表示が確定すると、進行状況が(4)「役物装置作動開始演出中状態」に遷移する。この状態は、特図当選(小当り)を契機とした可動入球役物装置28の作動開始待ちであることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「03H」に設定しており、特別遊技管理処理において役物装置作動開始待ち処理(ステップS3000)が選択される。また主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」に更新されたことを契機として、ソレノイド制御処理(ステップS7500)及びモータ管理処理(図29中のステップS210)において排出処理の制御を開始する。
(5)「役物装置開放状態」
可動入球役物装置28が作動すると、進行状況が(5)「役物装置開放状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置28の作動に伴う上大入賞口28bの開放中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「04H」に設定しており、特別遊技管理処理において役物装置初回開放処理(ステップS3500)が選択される。
(6)「役物装置開放後閉鎖状態」
上大入賞口28bが閉止されると、進行状況が(6)「役物装置開放後閉鎖状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置28において上大入賞口28bの閉止中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に設定しており、特別遊技管理処理において役物装置閉鎖処理(ステップS4000)が選択される。
(7)「役物装置作動終了演出中状態」
上大入賞口28bの閉止後、さらに進行状況が(7)「役物装置作動終了演出中状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置28内での遊技球の振り分け動作を用いた遊技を終了させる期間にあることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に設定しており、特別遊技管理処理において役物装置作動終了処理(ステップS4500)が選択される。なお、可動入球役物装置28内で特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった場合、進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に復帰する。
(8)「大当り開始演出中状態」
可動入球役物装置28内で特定領域の通過(V入賞)が発生すると、進行状況は(8)「大当り開始演出中状態」に遷移する。この状態は、可変入賞装置30の作動開始待ち期間であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に設定しており、特別遊技管理処理において可変入賞装置作動開始処理(ステップS5000)が選択される。
(9)「大入賞口開閉動作中状態」
可変入賞装置30が作動を開始すると、進行状況は(9)「大入賞口開閉動作中状態」に遷移する。この状態は、下大入賞口の開放中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に設定しており、特別遊技管理処理において可変入賞装置開放処理(ステップS5500)が選択される。
(10)「大入賞口開放後閉鎖状態」
可変入賞装置30により下大入賞口が閉止されると、進行状況は(10)「大入賞口開放後閉鎖状態」に遷移する。この状態は、ラウンドの終了に伴い下大入賞口が閉止された直後の状態であることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「09H」に設定しており、特別遊技管理処理において可変入賞装置閉鎖有効処理(ステップS5550)が選択される。
(11)「大入賞口閉鎖時間中状態」
可変入賞装置30の閉止後、進行状況は(11)「大入賞口閉鎖時間中状態」に遷移する。この状態は、ラウンド終了後の待機状態にあることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に設定しており、特別遊技管理処理において可変入賞装置閉鎖処理(ステップS6000)が選択される。なお、大当り中のラウンド数を全て消化していない場合、この後の進行状況は(9)「大入賞口開閉動作中状態」に復帰する。
(12)「大当りエンディング演出中状態」
大当り最終ラウンド終了後の待機時間が経過すると、進行状況は(12)「大当りエンディング演出中状態」に遷移する。この状態は、大当りエンディング演出状態にあることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0BH」に設定しており、特別遊技管理処理において可変入賞装置作動終了処理(ステップS6500)が選択される。
以上のように、特別遊技管理処理(図37)において主制御CPU72は、特別遊技の進行状況の変化に応じて「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」〜「0BH」に変化させ、そのときの進行状況に応じた特別遊技制御モジュールを選択することができる。
〔役物装置初回開放処理〕
図39は、役物装置初回開放処理(図37中のステップS3500)の手順例を示すフローチャートである。上記のように役物装置初回開放処理は、特別遊技管理処理において特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄が当選(確率1/1)の態様で停止表示された後、役物装置作動開始待ち処理(図37中のステップS3000)による上大入賞口開放開始タイマのカウントダウンを経て実行される。この場合、「特別遊技管理ステータス」の値は「04H」に更新されている。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS3501:役物装置初回開放処理において先ず主制御CPU72は、上大入賞口ソレノイドONフラグをセットする。このフラグは、例えばRAM76のフラグセット領域に格納される。
ステップS3502:次に主制御CPU72はスイッチ入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上大入賞口スイッチ200からの入賞検出信号に基づき、可動入球役物装置28(上大入賞口28b)への入賞球数カウンタを更新する。入賞球数カウンタの値は、例えばRAM76のカウント数領域に記憶されている。またスイッチ入力処理においては、主制御CPU72は排出検知スイッチ206及び特定領域スイッチ82からの各検出信号も合わせて確認する。なお、本モジュールを最初に呼び出した時点で上大入賞口ソレノイド214は非作動であり、上大入賞口28bは未だ開放していないので、初回に入賞球数カウンタが加算されることはない。また主制御CPU72は、このスイッチ入力処理において中央(左)の排出検知スイッチ206の検出動作を有効化する(図25中(D)参照)。ただし、右側の排出検知スイッチ206及び特定領域スイッチ82については、いずれも検出動作を無効化している。これにより、排出処理によって右側の排出通路やV入賞通路を通過した遊技球の検出を制御上でキャンセルすることができる。
ステップS3504:次に主制御CPU72は、入賞球数カウンタの値が最大個数(例えば10個)に達したか否かを確認する。上記のように本モジュールの初回呼び出し時にカウンタは加算されていないので(No)、主制御CPU72は次にステップS3506に進む。
ステップS3506:この場合、初回開放タイマカウントダウン処理を実行する。なお本モジュールの初回呼び出し時であれば、主制御CPU72はここで初回開放タイマを初期値(例えば1600ms)に設定する。また初回以降の呼び出し時であれば、主制御CPU72は設定済みの初回開放タイマの値をデクリメントする。
ステップS3508:そして主制御CPU72は、上大入賞口初回開放時間が終了したか否かを確認する。未だ初回開放タイマの値が0を超えていれば(No)、主制御CPU72はステップS3514に進む。
ステップS3514:この場合、主制御CPU72はRAM76のフラグセット領域から上大入賞口ソレノイドONフラグを読み込み、その値に基づいて上大入賞口ソレノイド214の制御信号として「作動(ON)」を設定する。これにより、上大入賞口ソレノイド214が励磁されて上大入賞口28bが開放された状態となる。
そして、次回以降に本モジュールが呼び出され、実際に上大入賞口28bへの入賞が発生すると、スイッチ入力処理(ステップS3502)において入賞球数カウンタの値が加算されることになる。
入賞球数カウンタの値が最大個数に達するか(ステップS3504:Yes)、もしくは初回開放タイマの値が0になった場合(ステップS3508:Yes)、主制御CPU72は次にステップS3509を実行する。
ステップS3509:この場合、主制御CPU72は上大入賞口ソレノイドOFFフラグをセットする。これにより、RAM76のフラグセット領域にセットされていたONフラグがOFFフラグに書き換えられる。
ステップS3510:そして主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に設定する。これにより、次回以降の本モジュールの呼び出しはされなくなり、特別遊技進行状況が次段階へ以降することになる。
ステップS3512:また主制御CPU72は、役物装置閉鎖コマンドを設定する。このコマンドは、可動入球役物装置28の閉鎖を演出制御装置124(演出制御CPU126)に通知するためのものである。ここで設定されたコマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)において演出制御装置124に送信される。
ステップS3514:主制御CPU72は、RAM76のフラグセット領域にセットされている上大入賞口ソレノイドOFFフラグの値に基づき、上大入賞口ソレノイド214の制御信号として「非作動(OFF)」を設定する。これにより、上大入賞口ソレノイド214の励磁が停止されて上大入賞口28bが閉鎖された状態となる。
以上の手順を実行すると、主制御CPU72は残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)のプログラムアドレスに復帰する。また上記のように、これ以降は「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新されているため、ひとまず(次回の特別図柄変動まで)本モジュールの呼び出しはされなくなる。
〔役物装置閉鎖処理〕
次に図40は、役物装置閉鎖処理(図37中のステップS4000)の手順例を示すフローチャートである。上記のように役物装置閉鎖処理は、「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新された場合に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS4002:先ず主制御CPU72は、スイッチ入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主に排出検知スイッチ206からの検出信号を確認し、排出球数カウンタの値を加算する。排出球数カウンタの値は、例えばRAM76のカウント数領域に格納されている。また主制御CPU72は、この処理において特定領域スイッチ82からの通過検出信号の有無を確認する。特定領域スイッチ82の有効時間内に通過検出信号が入力された場合、ここで主制御CPU72は大当りフラグの値(01H)をセットする。
ステップS4004:次に主制御CPU72は、有効球数管理開始タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、上大入賞口28bを通じて有効に入賞した遊技球の排出カウントを開始するタイミングを計る。上記のように本実施形態では、可動入球役物装置28が正規に作動する前から遊技球が不正に可動入球役物装置28内に存在していた場合(置き球あり)を想定し、特別図柄の停止表示が確定したことを契機として第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222及び第3ストッパモータ224にそれぞれ排出動作を実行させた後、それぞれ決められたタイミングで本来の解除動作を実行させることとしている。このとき排出カウントを開始するタイミングは、各種スイッチの種類と配置によって異なる。具体的には、上記のように中央(左)の排出検知スイッチ206については、特別図柄の確定停止時から役物装置作動開始演出時間T2(例えば4秒)の経過後から検出動作が有効化される(図25中(D))が、右側の排出検知スイッチ206と各特定領域スイッチ82については、いずれも上大入賞口28bの開放時点から所定時間T4(例えば15秒程度)の経過後から検出動作が有効化される(図25中(C),(D))。このため、上大入賞口28bを通じて有効に入賞した遊技球の排出カウント数を最終的に確認(入賞球数と排出球数とが一致するかを判断)する処理は、中央(左)の排出検知スイッチ206が有効化された段階では未だ実行されず、その後、全ての検出動作が有効化されたタイミング以降に実行されることになる。したがって有効球数管理開始タイマは、特別図柄の確定停止時から右側排出検知スイッチ206及び特定領域スイッチ82の検出動作が有効化されるまでの時間(例えば19秒程度)に設定されている。
〔有効球数管理開始前〕
ステップS4008:主制御CPU72は、先のステップS4004でカウントダウンした後の有効球数管理開始タイマの値に基づき、現時点で有効球数の管理中であるか否かを確認する。すなわち、上記の有効球数管理開始タイマ(19秒)が未だ0に達していなければ(No)、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。ただし、この間に有効化されているスイッチで遊技球を検出した場合、その検出結果(排出球数)はRAM76に記憶される。
〔有効球数管理開始後〕
この後、ステップS4008で有効球数管理開始タイマの値が0に達したことを確認すると(ステップS4008:Yes)、主制御CPU72はステップS4010を実行する。また、既にタイマの値が0に達していた場合も同様に、主制御CPU72はステップS4010を実行する。
ステップS4010:この場合、主制御CPU72は、第3ストッパモータ位置検出スイッチ225からの検出信号をロードする。上記のように第3ストッパモータ位置検出スイッチ225は、第3ストッパモータ224が原点位置にある場合(第3ストッパ194が保留位置にある場合)にON信号を出力する。
ステップS4012:そして主制御CPU72は、第3ストッパモータ224が原点位置に停止中であるか否かを判断する。上記のように、第3ストッパモータ224が正規の解除動作(第3ストッパ194を保留位置と放出位置との間で昇降させる動作)を行っている場合、第3ストッパ194は未だ原点位置で停止していない。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。一方、第3ストッパモータ224が正規の解除動作を完了し、原点位置で停止している場合(Yes)、主制御CPU72はステップS4014以降を実行する。
ステップS4014:主制御CPU72は、残存球排出チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上述した入賞球数カウンタの値と排出球数カウンタの値とを比較する。なお排出球数カウンタの値には、中央(左)排出検知スイッチ206及び右側排出検知スイッチ206によりそれぞれ検出された遊技球の数を合計した値のほか、特定領域スイッチ82により検出された遊技球の数も含まれる。
ステップS4016:そして主制御CPU72は、上記の比較結果に基づいて有効球の排出が完了したか否かを判断する。すなわち、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さければ、主制御CPU72は未だ有効球の排出が完了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。これに対し、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さくなければ(両者が一致した場合)、主制御CPU72は有効球の排出が完了したと判断し(Yes)、次のステップS4018に進む。
ステップS4018:ここで主制御CPU72は、回数切りカウンタの値をロードする。ここでいう「回数切りカウンタ」は、変動時間短縮機能を作動させる場合、その上限回数としてRAM76の時短回数カウント領域にセットされている値である。変動時間短縮機能の非作動時(通常時)であれば、回数切りカウンタの値は通常「0」に維持されている。一方、変動時間短縮機能の作動時(時短中)であれば、回数切りカウンタの値が「4」又は「6」のいずれかを初期値として設定されている。
ステップS4020:主制御CPU72は、ロードしたカウンタ値が0であるか否かを確認する。このとき、既に回数切りカウンタ値が0であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS4028に進む。一方、回数切りカウンタ値が0でなかった場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4022を実行する。
ステップS4022:主制御CPU72は、回数切りカウンタ値をデクリメント(1減算)する。
ステップS4024:そして主制御CPU72は、その減算結果が0でないか否かを判断する(終了判定手段)。減算の結果、回数切りカウンタの値が0でなかった場合(Yes)、主制御CPU72はステップS4028に進む。これに対し、回数切りカウンタの値が0になった場合(No)、主制御CPU72はステップS4026を実行する。
ステップS4026:ここで主制御CPU72は、回数切り機能作動時のフラグ(時間短縮機能作動フラグ)をリセットする。これにより、本実施形態では可動入球役物装置28からの有効球の排出完了を契機として時間短縮状態が終了(時短OFF)することになる(通常状態復帰手段)。したがって、これ以後に始動ゲート20を遊技球が通過しても、普通図柄の作動条件には通常時(非時間短縮状態)の内容が適用されるため、「時間短縮状態」に比較して可変始動入賞装置26が開放される頻度が低下することになる。
ステップS4028:ここで主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に設定する。これにより、正規の入賞球数と排出球数とが一致したこと(ステップS4016:Yes)を条件として役物ゲームが終了になる(役物遊技終了手段)。
ステップS4030:また主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。特に大当りフラグの値がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。一方、大当りフラグの値がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72はステップS4032を実行する。
ステップS4032:この場合、主制御CPU72は大当り状態指定コマンドを設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。
〔役物装置作動終了処理〕
次に図41は、役物装置作動終了処理(図37中のステップS4500)の手順例を示すフローチャートである。上記のように役物装置作動終了処理は、「特別遊技管理ステータス」の値が「06H」に更新された場合に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS4502:主制御CPU72は、エンディング時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はエンディング時間タイマに初期値を設定し、その後、時間の経過に伴って(本モジュールの呼び出しごとに)タイマをカウントダウンする。このときエンディング時間タイマの初期値は、例えば可動入球役物装置28からの有効球の排出完了時を基点として、そこから可変始動入賞装置26の延長された開放時間(例えば5.8秒)より長い時間(特定期間)に設定される。これにより、「時間短縮状態」に移行した場合に「エンディング時間」の終了時点を跨いで可変始動入賞装置26の開放が継続される事態の発生を抑え、可動入球役物装置28内での遊技(役物ゲーム)終了後に特別図柄が不用意に変動してしまうことを防止することができる(始動条件充足抑制手段)。また液晶表示器42の画面内では、この「エンディング時間」を利用して、可動入球役物装置28内でのゲームフローを終了させるエンディング演出が行われる。
ステップS4504:次に主制御CPU72は、エンディング時間が終了したか否かを確認する。具体的には、エンディング時間タイマの値が未だ0になっていなければ、主制御CPU72はエンディング時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。
この後、時間の経過に伴ってエンディング時間タイマの値が0になると、主制御CPU72はエンディング時間が終了したと判断し(Yes)、ステップS4506以降を実行する。
ステップS4506:主制御CPU72は、上記の大当り状態指定コマンドの値(01H)がセットされているか否かを確認する。特に大当り状態指定コマンドの値がセットされていない場合(No)、主制御CPU72はステップS4512に進む。これに対し、大当り状態指定コマンドの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72はステップS4508に進む。
ステップS4508:この場合、主制御CPU72は大当り状態移行コマンドを設定する。
ステップS4510:また主制御CPU72は、時間短縮状態指定コマンドを設定する。ここでの設定は、上述した「特図当選1」〜「特図当選3」のいずれか(通常時)、あるいは「特図当選4」又は「特図当選5」のいずれか(時間短縮機能作動時)に基づいて行われる。すなわち(1)通常時においては、「特図当選1」〜「特図当選3」のいずれについても時間短縮状態指定コマンドが「01H」に設定される。一方、(2)時間短縮機能作動時の場合、例えば「特図当選4」については時間短縮状態指定コマンドが「01H」に設定されるが、「特図当選5」については時間短縮状態指定コマンドがリセット値(=00H)に維持されるものとする。
以上のように、大当り状態指定コマンドの値がセットされていないか(ステップS4506:No)、もしくは大当り状態指定コマンドの値がセットされている場合(ステップS4506:Yes)にステップS4508,S4510を実行すると、主制御CPU72はステップS4512を実行する。
ステップS4512:ここで主制御CPU72は、エンディング時間終了コマンドを設定する。このエンディング時間終了コマンドは、演出制御装置124(演出制御CPU126)に対して可動入球役物装置28内でのゲームフローが終了したことを通知するためのものである。ここで設定したエンディング時間終了コマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)で演出制御装置124に送信される。
ステップS4514:そして主制御CPU72は、大当り状態移行コマンドの値に基づいて「特別遊技管理ステータス」の値を設定する。すなわち、ここでは大当り状態移行コマンドの値(01H)が設定されているか否かによって結果が異なる。具体的には、先のステップS4508で大当り状態移行コマンドを設定した場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に設定(更新)する。この場合、上記のように特別遊技管理処理において可変入賞装置作動開始処理(図37中のステップS5000)が実行されることになる。
これに対し、ステップS4508を実行していない(大当り状態移行コマンドを設定していない)場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」に復帰させる。この場合、以後の特別遊技管理処理において可変入賞装置作動開始処理(図37中のステップS5000)は選択されず、特別図柄変動開始待ち処理(図37中のステップS1500)が実行されることになる。いずれにしても、以上の手順を実行すると主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。
〔可変入賞装置作動開始処理〕
図42は、可変入賞装置作動開始処理(図37中のステップS5000)の手順例を示すフローチャートである。以下、大当り状態移行コマンドが設定された場合(「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」に更新された場合)の処理について説明する。
ステップS5002:先ず主制御CPU72は、大当り開始待ち時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り開始待ち時間タイマに初期値を設定し、その後、時間の経過に伴って(本モジュールの呼び出しごとに)タイマをカウントダウンする。大当り開始待ち時間タイマの初期値は、可動入球役物装置28の作動終了時から可変入賞装置30の作動を開始するまでの待ち時間(例えば数秒程度)として設定される。また液晶表示器42の画面内では、この「大当り開始待ち時間」を利用して、大当り遊技の開始前演出が行われる。
ステップS5004:次に主制御CPU72は、大当り開始待ち時間が経過したか否かを確認する。すなわち、大当り開始待ち時間タイマの値が未だ0になっていなければ、主制御CPU72は大当り開始待ち時間が経過していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。
この後、時間の経過に伴って大当り開始待ち時間タイマの値が0になると、主制御CPU72は大当り開始待ち時間が経過したと判断し(Yes)、ステップS5006以降を実行する。
ステップS5006:この場合、主制御CPU72は実行ラウンド数を設定する。本実施形態では、実行ラウンド数(連続作動回数)は「16ラウンド」の1通りであるが、上述したように可動入球役物装置28の初回開放(小当りの動作)が1ラウンド目に相当する。したがって、ここでは実行ラウンド数として残りの「15ラウンド」を設定することとする。ここで設定した実行ラウンド数は、プログラム上で対応する値(15回なら「14」)として、例えばRAM76のバッファ領域に格納される。なお、ここで実行ラウンド数を「16ラウンド」に設定しておき、ラウンド数カウンタの初期値を「1」に設定する態様であってもよい。
ステップS5008:次に主制御CPU72は、大当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。本実施形態では、大当り時開放タイマの値として例えば29.0秒程度が設定される。この程度の開放時間であれば、その間に充分な数(例えば9個程度)の遊技球を大入賞口に入賞させることができる。
ステップS5010:そして主制御CPU72は、大当り時インターバルタイマ(大入賞口閉鎖時間タイマ)を設定する。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間、又は最終ラウンド終了時の待機時間となる。なおタイマの値は、例えば2〜3秒程度に設定される。
ステップS5012:そして主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に更新し、特別遊技管理処理に復帰する。
〔可変入賞装置開放処理〕
図43は、可変入賞装置開放処理(図37中のステップS5500)の手順例を示すフローチャートである。先の可変入賞装置作動開始処理(図42中のステップS5012)で「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」に更新されると、以後は可変入賞装置開放処理が実行される。この処理は主に、大当り遊技(特別遊技)中の動作として可変入賞装置30の開閉動作を制御するためのものである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS5502:主制御CPU72は、大入賞口を開放させる。具体的には、下大入賞口ソレノイド216に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30が作動して閉止状態から開放状態に移行する。
ステップS5504:次に主制御CPU72は、開放タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の可変入賞装置作動開始処理(図31中のステップS5008)で設定した大当り時開放タイマのカウントダウンを実行する。
ステップS5506:続いて主制御CPU72は、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の大当り時開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS5508を実行する。
ステップS5508:主制御CPU72は、入賞球数カウント処理を実行する。この処理では、開放時間内に可変入賞装置30(開放中の下大入賞口)に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、主制御CPU72は開放時間内にカウントスイッチ208から入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
ステップS5510:次に主制御CPU72は、現在のカウント数が所定数(例えば9個)未満であるか否かを確認する。この所定数は、上記のように開放1回(大当り中の1ラウンド)あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(Yes)、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「08H」に設定されているため、主制御CPU72は可変入賞装置開放処理を選択し、上記のステップS5502〜ステップS5510の手順を繰り返し実行する。
上記のステップS5506で開放時間が終了したと判断するか(Yes)、もしくはステップS5510でカウント数が所定数に達したことを確認すると(No)、主制御CPU72は次にステップS5512を実行する。
ステップS5512:主制御CPU72は、大入賞口を閉止させる。具体的には、下大入賞口ソレノイド216に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
ステップS5514:ここで主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「09H」に設定し、特別遊技管理処理に復帰する。このため、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次の可変入賞装置閉鎖有効処理(図37中のステップS5550)が選択されることになる。
特に図示していないが、上記のように可変入賞装置閉鎖有効処理は、可変入賞装置30の開放から閉鎖に伴う時間を調整するために実行されるものである。この処理で主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に更新し、特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次の可変入賞装置閉鎖処理(図37中のステップS6000)が選択される。
〔可変入賞装置閉鎖処理〕
図44は、可変入賞装置閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。この可変入賞装置閉鎖処理は、上記のように可変入賞装置30の閉鎖有効時間が経過した後、次の動作に移る前の内部状態を整えるためのものである。以下、具体的に説明する。
ステップS6002:先ず主制御CPU72は、大入賞口閉鎖時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の可変入賞装置作動開始処理(図42中のステップS5010)で設定した大当り時インターバルタイマ(大入賞口閉鎖時間タイマ)のカウントダウンを実行する。
ステップS6004:続いて主制御CPU72は、閉鎖時間(インターバル時間)が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の大当り時インターバルタイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで可変入賞装置閉鎖処理を終了し、特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0AH」に設定されているため、主制御CPU72は可変入賞装置閉鎖処理を選択し、上記のステップS6002〜ステップS6004の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6004で閉鎖時間が終了したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6006を実行する。
ステップS6006:主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値をインクリメントする。なお、ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
ステップS6008:主制御CPU72は、インクリメント後のラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達しているか否かを確認する。なお実行ラウンド数は、先の可変入賞装置作動開始処理(図42中のステップS5006)で設定されたものである。このとき、ラウンド数カウンタの値が未だ実行ラウンド数に達していなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS6014に進む。
〔最終ラウンド終了前〕
ステップS6014:この場合、主制御CPU72は、現在のラウンド数カウンタの値に基づき、ラウンド数コマンドを設定する。ここで設定したラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)で演出制御装置124に送信される。演出制御装置124は、受信したラウンド数コマンドに基づいて現在のラウンド数を認識し、その結果を大当り中の演出制御に反映させることができる。
ステップS6016:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「0AH」から変更して「08H」に設定する。これにより、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、主制御CPU72は再び可変入賞装置開放処理(図43)を選択し、次のラウンドでの可変入賞装置30の開放動作が実行されることになる。
ステップS6018:また主制御CPU72は、今回のラウンド内でカウントした入賞球数カウンタをリセットする。これにより、再び可変入賞装置開放処理(図43)が実行された場合、次回のラウンド内での入賞球数が0からカウントされることになる。
〔最終ラウンド終了時〕
この後、ステップS6008でラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達したことを確認すると(ステップS6008:Yes)、主制御CPU72は次にステップS6010に進む。
ステップS6010:この場合、主制御CPU72は今回の大当りで用いたラウンド数カウンタをリセットする。
ステップS6012:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「0AH」から「0BH」に更新して設定する。
ステップS6018:また主制御CPU72は、最終ラウンド内でカウントした入賞球数カウンタをリセットする。
最終ラウンド終了時に以上の手順を実行すると、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次に可変入賞装置作動終了処理(図37中のステップS6500)が選択されることになる。
〔可変入賞装置作動終了処理〕
図45は、可変入賞装置作動終了処理の手順例を示すフローチャートである。この可変入賞装置作動終了処理は、上記のように大当りエンディング時間の経過を確認するとともに、大当り遊技終了後の内部状態(特別図柄状態)を整えるためのものである。以下、具体的に説明する。
ステップS6502:先ず主制御CPU72は、大当りエンディング時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は予め「大当りエンディング時間(エンディング演出時間)」として設定されている大当りエンディング時間タイマのカウントダウンを実行する。このときの「大当りエンディング時間」を利用して、液晶表示器42の画面内では大当り遊技のエンディング演出が実行される。
ステップS6504:主制御CPU72は、大当りエンディング時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の大当りエンディング時間タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0BH」に設定されているため、主制御CPU72は可変入賞装置作動終了処理を選択し、上記のステップS6502〜ステップS6504の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6504で大当りエンディング時間が経過したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6506を実行する。
ステップS6506:主制御CPU72は、特別図柄状態フラグを設定する。具体的には、先の大当り時に時短回数が0回以外の当選種類(特図当選1〜4)に該当していれば、主制御CPU72は時間短縮機能作動フラグ(01H)をセットする。この場合、大当り遊技の終了後に「非時間短縮状態(通常状態)」から「時間短縮状態」に移行する(特定遊技状態移行手段)。一方、先の大当り時に時短回数が0回の当選種類(特図当選5)に該当していた場合、主制御CPU72は時間短縮機能作動フラグをクリア(00H)する。この場合、大当り遊技の終了後に「時間短縮状態」へは移行しない。
ステップS6508:また主制御CPU72は、先の大当り時に決定した特別図柄停止図柄種別(特図当選1〜5)に応じて時間短縮回数を設定する。具体的には、先の当選種類が「特図当選1」であれば、時間短縮回数は「2回」に設定される。また、当選種類が「特図当選2」であれば、時間短縮回数は「4回」に設定され、当選種類が「特図当選3」であれば、時間短縮回数は「6回」に設定される。以上は「非時間短縮状態」の場合についてであるが、「時間短縮状態」の場合、当選種類が「特図当選4」であれば、時間短縮回数は「6回」に設定される。なお、当選種類が「特図当選5」であれば、時間短縮回数は特に設定されない(あるいは、「0回」に設定される。)。そして、ここで設定した時間短縮回数に基づき、回数切りカウンタの値がセットされることになる。
ステップS6510:次に主制御CPU72は、特別図柄状態指定コマンドを設定する。ここで設定する特別図柄状態指定コマンドは、時間短縮機能の作動(ON)又は非作動(OFF)のいずれかを表すとともに、作動(ON)の場合はその時間短縮回数を合わせて表す形式となる。また、ここで設定した特別図柄状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図29中のステップS217)で演出制御装置124に送信される。演出制御装置124は、受信した特別図柄状態指定コマンドに基づいて時間短縮機能の(ON)又は非作動(OFF)を認識し、また、作動の場合は時間短縮回数を認識してその結果を通常演出に反映させることができる。
ステップS6512:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「00H」に初期設定する。これにより、特別図柄に対応する遊技の進行状況が「変動待ち」の状態(始動条件を満たす状態)に遷移する。したがって、このとき特別図柄作動記憶数が残存していれば、制御上でその記憶を消費して特別図柄を新たに変動(始動)させることが可能となる。あるいは、特別図柄作動記憶数が残存していなければ(記憶数0)、可変始動入賞装置26への新たな入賞を契機として作動記憶を追加し、特別図柄を変動(始動)させることが可能となる。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別遊技管理処理(図37)に復帰し、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)を実行した後、割込管理処理(図29)に復帰する。これにより、以後の特別遊技管理処理では、特別図柄変動開始待ち処理(図37中のステップS1500)が選択されることになる。
〔ソレノイド制御処理〕
図46は、ソレノイド制御処理の手順例を示すフローチャートである。このソレノイド制御処理は、上記のように「特別遊技管理ステータス」の値にかかわらず、毎回の割り込みにおいて実行される。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS7501:主制御CPU72は、第1ストッパソレノイド220又は第2ストッパソレノイド222の停止時間タイマが既にセット済みであるか否かを確認する。特に停止時間タイマがセットされていなければ(No)、主制御CPU72はステップS7502,S7504をスキップしてステップS7505に進む。
ステップS7505:主制御CPU72は、現在の「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」であるか否かを確認する。上記のように「特別遊技管理ステータス」が「03H」に設定されるのは、遊技フロー上で特別図柄の変動後に確定停止し、可動入球役物装置28の作動契機が発生した場合である。未だ「特別遊技管理ステータス」が「03H」でなければ(No)、主制御CPU72はステップS7506を実行する。
ステップS7506:次に主制御CPU72は、現在の「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」であるか否かを確認する。「特別遊技管理ステータス」が「05H」に設定されるのは、遊技フロー上で可動入球役物装置28が開放後の閉鎖状態である。未だ「特別遊技管理ステータス」が「05H」でなければ(No)、主制御CPU72はステップS7508以降に進む。
ステップS7508,S7510:この場合、可動入球役物装置28が未作動であるため、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222に対する駆動信号をOFFに設定する。これにより、第1ストッパ190及び第2ストッパ192が保留位置に維持された状態となる。
この後、遊技フローの進行に伴い、「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」に更新されると(ステップS7505:Yes)、主制御CPU72はステップS7512以降を実行する。
〔第1ストッパ排出処理〕
ステップS7512:主制御CPU72は、第1ストッパ排出処理を実行する。具体的には、第1ストッパソレノイド220に対する駆動信号をONに設定するとともに、作動時間タイマに値(例えば200ms)を設定する。そして主制御CPU72は、作動時間タイマのカウントダウンを実行し、その値が0以下になるまで駆動信号の設定をONに維持する。これにより、特別図柄の確定停止を契機として第1ストッパ190での排出処理が行われる。なお、作動時間タイマが0以下になると、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220の駆動信号をOFFに設定する(図25中(H))。また主制御CPU72は駆動信号のOFFに伴い、第1ストッパソレノイド220用の停止時間タイマに値(例えば18800ms)をセットする。
〔第2ストッパ排出処理〕
ステップS7514:また主制御CPU72は、第2ストッパ排出処理を実行する。具体的には、第2ストッパソレノイド222に対する駆動信号をONに設定するとともに、作動時間タイマに値(例えば500ms)を設定する。そして主制御CPU72は、作動時間タイマのカウントダウンを実行し、その値が0以下になるまで駆動信号の設定をONに維持する。これにより、特別図柄の確定停止を契機として第2ストッパ192での排出処理が行われる。なお、作動時間タイマが0以下になると、主制御CPU72は第2ストッパソレノイド222の駆動信号をOFFに設定する(図25中(I))。また主制御CPU72は駆動信号のOFFに伴い、第2ストッパソレノイド222用の停止時間タイマに値(例えば25000ms)をセットする。
この後、主制御CPU72がソレノイド制御処理を実行すると、既に停止時間タイマがセット済みとなっているため(ステップS7501:Yes)、主制御CPU72はステップS7502,ステップS7504を実行する。
ステップS7502:主制御CPU72は、第1ストッパタイマカウントダウン処理を実行する。これにより、第1ストッパソレノイド220用の停止時間タイマが減算されていくことになる。
ステップS7504:また主制御CPU72は、第2ストッパタイマカウントダウン処理を実行する。これにより、第2ストッパソレノイド222用の停止時間タイマについても同様に減算されていくことになる。
また遊技フローが進行し、「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新されると(ステップS7505:No,ステップS7506:No)、主制御CPU72はステップS7508,ステップS7510で第1ストッパソレノイド220、第2ストッパソレノイド222をそれぞれ非作動(OFF)に維持する。なお、この間もステップS7502,ステップS7504において、それぞれの停止時間タイマは減算されている。
さらに遊技フローが進行し、「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新されると(ステップS7506:Yes)、主制御CPU72はステップS7516以降を実行する。上記のように「特別遊技管理ステータス」が「05H」になるのは、遊技フロー上で上大入賞口28bが閉鎖された場合である。
〔第1ストッパソレノイド管理処理〕
ステップS7516:この場合、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220用の停止時間タイマを参照し、その値が0以下であるか否かを確認する。未だ停止時間タイマが0以下でなければ、主制御CPU72はこの処理から抜けてソレノイド制御処理に復帰する。そして、時間の経過に伴い停止時間タイマが0以下であることを確認すると、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220の駆動信号をONに設定するとともに、正規の作動時間タイマに値(例えば200ms)を設定する。そして主制御CPU72は、正規の作動時間タイマのカウントダウンを実行し、その値が0以下になるまで駆動信号の設定をONに維持する。これにより、特別図柄の確定停止を契機として第1の所定時間(例えば19秒)経過後に第1ストッパ190が正規に解除される。なお、作動時間タイマが0以下になると、主制御CPU72は第1ストッパソレノイド220の駆動信号をOFFに設定する(図25中(H))。
〔第2ストッパソレノイド管理処理〕
ステップS7518:また主制御CPU72は、第2ストッパソレノイド管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は第2ストッパソレノイド222用の停止時間タイマを参照し、その値が0以下であるか否かを確認する。未だ停止時間タイマが0以下でなければ、主制御CPU72はこの処理から抜けてソレノイド制御処理に復帰する。そして、時間の経過に伴い停止時間タイマが0以下であることを確認すると、主制御CPU72は第2ストッパソレノイド222の駆動信号をONに設定するとともに、正規の作動時間タイマに値(例えば500ms)を設定する。そして主制御CPU72は、正規の作動時間タイマのカウントダウンを実行し、その値が0以下になるまで駆動信号の設定をONに維持する。これにより、特別図柄の確定停止を契機として第2の所定時間(例えば25.5秒)経過後に第2ストッパ192が正規に解除される。なお、作動時間タイマが0以下になると、主制御CPU72は第2ストッパソレノイド222の駆動信号をOFFに設定する(図25中(I))。
またこの後、「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」以外に設定されると(ステップS7506:No)、主制御CPU72は、ソレノイド制御処理において第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222の駆動信号をOFFに維持する(ステップS7508,ステップS7510)。
以上のようにソレノイド制御処理では、第1ストッパソレノイド220及び第2ストッパソレノイド222について、排出処理(ステップS7512,S7514)でそれぞれ停止時間タイマをセットすると、その後は排出処理(ステップS7512,S7514)から抜けた後でもタイマカウントダウン処理(ステップS7502,S7504)を行っている。このため、「特別遊技管理ステータス」が「03H」から「04H」、「05H」に更新されていっても、それぞれの正規の解除動作のタイミングを正確に管理することができる。
〔モータ管理処理〕
次に図47は、割込管理処理の中で実行されるモータ管理処理(図29中のステップS210)の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、このモータ管理処理において第3ストッパ194での排出処理を実行することができる。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS2800:先ず主制御CPU72は、原点監視処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は第3ストッパモータ224の原点位置(保留位置又はそれ以外)を監視する必要があるか否かを確認し、監視する必要があれば、第3ストッパモータ位置検出スイッチ225からの検出信号を取得する。なお、その他の各種モータ(ルート振分体モータ218、第1回転体モータ226、第2回転体モータ228)についても、それぞれの原点位置を検出する必要があれば、所望により各モータインデックスセンサ(図示していない)からインデックス信号を取得することとしてもよい。
ステップS2802:次に主制御CPU72は、各種モータについて電源投入時動作が完了しているか否かを確認する。このときパチンコ機1の電源投入直後であり、未だ各種モータについて電源投入時の動作が完了していなければ(No)、主制御CPU72はステップS2804を実行する。
ステップS2804:この場合、主制御CPU72は電源投入時動作処理を実行する。これにより、例えばルート振分体モータ218、第1回転体モータ226及び第2回転体モータ228は、それぞれ一定方向に一定速度で回転を開始する。また第3ストッパモータ224は、所定の電源投入時動作パターンを実行した後に原点位置で停止する。この後、第3ストッパモータ224について電源投入時動作が完了すると、先のステップS2802で動作完了(Yes)と判定されるため、以後はステップS2804がスキップされる。
ステップS2806:また主制御CPU72は、可動入球役物装置28の作動に備えて「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」に更新されたか否かを監視する。未だ値が「03H」に更新されていない間(No)、主制御CPU72はステップS2808をスキップする。遊技フローの中で可動入球役物装置28の作動契機(特別図柄の確定停止時)が発生し、「特別遊技管理ステータス」が「03H」に更新されると(Yes)、主制御CPU72はステップS2808を実行する。
ステップS2808:この場合、主制御CPU72は作動契機発生後第3ストッパモータ動作パターン設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は作動契機発生時の第3ストッパモータ224が行う動作パターンを設定する。この動作パターンは、既に述べたように〔1〕第1停止時間の停止、〔2〕第1回転時間のCW方向回転、〔3〕第2停止時間の停止、〔4〕CCW方向回転、〔5〕原点位置停止(ここまで排出動作)、〔6〕第3停止時間の停止、〔7〕第1回転時間のCW方向回転、〔8〕第2停止時間の停止、〔9〕CCW方向回転、そして〔10〕原点位置停止(ここまで正規の解除動作)である(図25中(J))。したがって主制御CPU72は、ここで上記〔1〕〜〔10〕の動作に必要な各種タイマの値を設定し、また、モータ駆動パターンテーブルの設定を行う。モータ駆動パターンテーブルは、第3ストッパモータ224に対する駆動信号の印加パターンを回転方向(CW/CCW)別に規定したものである。
ステップS2810:次に主制御CPU72は、動作パターンが設定済みであるか否かを確認する。先のステップS2808で排出動作パターンを設定済みであれば(Yes)、主制御CPU72はステップS2812を実行する。
ステップS2812:ここで主制御CPU72は、役物ゲームの終了に備えて「特別遊技管理ステータス」の値が「06H」に更新されたか否かを監視する。未だ値が「06H」に更新されていなければ(No)、主制御CPU72はステップS2814を実行する。
ステップS2814:主制御CPU72は、第3ストッパモータ管理処理を実行する。この処理では、先のステップS2808で設定した動作パターンに基づいて第3ストッパモータ224の駆動状態を制御する。これにより、第3ストッパモータ224が上記〔1〕〜〔10〕の動作を順に実行し、第3ストッパ194での排出処理が行われた後、正規の解除が行われる。
この後、全ての動作パターンを実行すると、主制御CPU72はステップS2814の中で動作パターンの設定をリセットする。これにより、以後はステップS2810で動作パターンが未設定である(No)と判断されるため、ステップS2812,S2814はスキップされることになる。
一方、全ての動作パターンを実行し終える前に役物ゲームが終了すると、「特別遊技管理ステータス」が「06H」に更新される(ステップS2812:Yes)。この場合、主制御CPU72はステップS2816を実行する。
ステップS2816:この場合、主制御CPU72は設定済みの動作パターンをリセットする。これにより、同じく以後はステップS2810で動作パターンが未設定である(No)と判断されるため、ステップS2812,S2814はスキップされることになる。
ステップS2818:また主制御CPU72は、大当り遊技に備えて「特別遊技管理ステータス」が「06H」より大きい値に更新されたか否かを監視する。特に「特別遊技管理ステータス」が「06H」より大きい値に更新されていなければ(No)、主制御CPU72はステップS2820をスキップし、割込管理処理に復帰する。
これに対し、遊技フローが大当り開始演出中状態以降に進行すると、「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」に更新される(ステップS2818:Yes)。この場合、主制御CPU72は(ステップS)2820を実行する。
ステップS2820:そして主制御CPU72は、大当り時モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えば大当り遊技中の第3ストッパモータ224の動作パターンを設定し、その動作パターンに基づいて第3ストッパモータ224の駆動状態を制御する。これにより、大当り遊技中に第3ストッパ194が予め設定されたパターンで動作(例えばラウンド間に昇降)する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
以上のようにモータ管理処理では、特別図柄の確定停止を作動契機とした第3ストッパモータ224の動作パターンを設定し、その後は動作パターン終了又はリセットまで動作パターンに基づいて第3ストッパモータ224の駆動を制御している。このため、「特別遊技管理ステータス」が「03H」から「04H」、「05H」に更新されていく過程で、上大入賞口28bの開放や閉鎖と並行して排除処理を行った後、正規のタイミングで解除動作を実行することができる。
〔表示出力管理処理〕
図48は、割込管理処理の中で実行される表示出力管理処理(図29中のステップS216)の構成例を示すフローチャートである。表示出力管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、特別図柄作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、普通図柄作動記憶表示設定処理(ステップS1240)のサブルーチン群を含む構成である。
このうち特別図柄表示設定処理(ステップS1200)と普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、特別図柄作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、普通図柄作動記憶表示設定処理(ステップS1240)については、既に述べたように特別図柄表示装置34、普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a及び特別図柄作動記憶ランプ34aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。
状態表示設定処理(ステップS1220)については、状態表示ランプ36〜39の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。すなわち状態表示設定処理では、主制御CPU72は、時間短縮機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、主制御CPU72は状態表示ランプ36〜39に対応するLEDに対して点灯信号を出力する。一方、時間短縮機能作動フラグがクリア(00H)されていれば、主制御CPU72は状態表示ランプ36〜39に対応するLEDに対する点灯信号を出力しない。これにより、特別図柄状態に応じて状態表示ランプ36〜39のON又はOFFが制御されることになる。
以上のように本実施形態のパチンコ機1では、主制御CPU72による制御処理の実行に伴って普通図柄遊技が進行した後、その結果に応じて特別図柄遊技の進行状況が遷移していく。さらに特別図柄遊技では、可動入球役物装置28内での遊技球の振り分け動作の結果に応じて大当り遊技又は通常遊技へと進行状況が大きく分岐することになる。
このため本実施形態では、実際の遊技の進行状況に応じて主に液晶画像を用いた演出を行い、遊技者に進行状況の遷移を分かりやすく伝達している。以下、液晶画像を用いた演出について例を挙げて説明する。
〔通常演出例〕
図49及び図50は、通常遊技中に実行される画像を用いた演出例の流れを示す連続図である。通常遊技中の演出は、主に普通図柄の変動表示及び停止表示に対応して実行される。以下、順を追って説明する。
図49中(A):例えば、液晶表示器42の画面の上部領域に3つの演出図柄が表示されている。3つの演出図柄は、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄であり(参照符号なし)、それぞれ数字の「1」〜「7」のいずれかを表示した状態で停止している。この例では、左演出図柄と右演出図柄に比較して中演出図柄の大きさが一回り小さい。また、各演出図柄はいわゆる「図柄例」としては表示されておらず、個々に単独の演出図柄として表示されている。
また画面内の右下位置には、普通図柄の表示態様に対応した第4図柄FZ4とともに、特別図柄の表示態様に対応した特別演出図柄TZ1が表示されている。ここで第4図柄FZ4は、上述した3つの左演出図柄、中演出図柄及び右演出図柄に続く「第4の演出図柄」を意味している。また特別演出図柄TZ1については、これ単独で特別図柄の表示態様に対応している。
さらに画面内の右下位置には、普通図柄の作動記憶数に対応した普図記憶数マーカFMが表示されている。普図記憶数マーカFMは、例えばハート形状のシンボルマークを最大で4つ表示することにより、普通図柄の作動記憶数を演出として表示するものである。この例では、4つの普図記憶数マーカFMが表示されていることで、現在の作動記憶数が4個であることを表している。
その他に画面内には、図示しない背景画像とともに女性キャラクターが中央位置に表示されている。この例では、一人の女性キャラクターが静かにたたずんでいる様子が演出的に表示されている。
〔変動表示演出〕
図49中(B):普通図柄の変動開始に伴い、3つの演出図柄を用いた変動表示演出が実行される。このとき3つの演出図柄の変動表示は、例えば1ライン表示のリールが回転している態様で表現されている。このとき第4図柄FZ4についても変動表示を開始する。第4図柄FZ4の変動表示は、例えばその表示色を様々に変化させる態様で表現されている。なお、このき特別図柄は変動していないため、特別演出図柄TZ1については停止表示のままである。
また普通図柄の変動開始に伴い、それまで4つあった普図記憶数マーカFMの表示数が1つ減少し、残りの3つが順送りで画面中央方向へ移動していく様子が演出的に表現されている。これにより、遊技者に対して「普通図柄の変動開始により、作動記憶数が1つ減少した(消費された)」ことを伝達することができる。
またこのとき、例えば画面の左側から何らかのアイテム(例えばプレゼント箱)が出現し、それに対して女性キャラクターが何らかの反応(例えば「小さい驚き」)を示す態様により予告演出が行われる。このような予告演出は、今回の変動表示がリーチに発展したり、あるいは、最終的に当りになったりする可能性があることを示唆するものとなる。
〔左演出図柄停止〕
図49中(C):変動表示演出の中期にさしかかると、先ず左演出図柄が停止表示される。この例では、数字の「3」を表す態様で左演出図柄の停止表示が行われている。その他の中演出図柄及び右演出図柄については、未だ変動表示中である。また第4図柄FZ4についても同様に、変動表示が継続されている。
また予告演出の態様は、先に出現したアイテムが画面右側へ通り過ぎていき、これを女性キャラクターが静かに見送っていくという内容に変化している。このような予告演出の態様により、「今回の変動では特に大きな変化がない」ということを遊技者に想起させることができる。
〔図50:右演出図柄停止〕
図50中(D):変動表示演出の中後期に至ると、続いて右演出図柄が停止表示される。この例では、数字の「5」を表す態様で右演出図柄の停止表示が行われている。残りの中演出図柄については、未だ変動表示中である。また第4図柄FZ4についても変動表示が継続されている。
予告演出の態様は、先に出現したアイテムがいよいよ画面右側端から過ぎ去っていき、これを女性キャラクターがそのまま見送くるという内容に変化している。このような予告演出の態様により、「今回の変動では特に変化がなかった(非当選の可能性が高い)」ということを遊技者に想起させることができる。なお、本実施形態では普通図柄に対応する「当選B」の当り確率が1.04分の1であり、確率的に非当選は発生しにくいが、通常時の「当選B」は「演出上の非当選」として扱っている。これは、通常時に「当選B」に該当しても、可変始動入賞装置26の作動時間が0.08秒程度と極端に短時間であるため、実質的に可変始動入賞口26aへの入賞は困難であるからである。このため以下では、通常時の「当選B」についても「演出上の非当選」として説明することとする。
〔中演出図柄停止〕
図50中(E):変動表示演出の終期に至ると、最後に中演出図柄が停止表示される。この例では、数字の「2」を表す態様で中演出図柄の停止表示が行われている。また第4図柄FZ4についても最終的に停止表示されている。このとき、3つの演出図柄が不揃いな3つの数字の組み合わせ態様(例えば「3」−「2」−「5」)で停止表示されることにより、普通図柄の停止表示に対応した結果表示演出が行われている。このような結果表示演出の態様により、今回の変動では普通図柄が演出上非当選の態様(通常時の「当選B」)で停止表示されたことを遊技者に伝達することができる。なお、内部的に「当選B」に該当していた場合、第4図柄FZ4は「当選B」に対応する態様で停止表示されている。
その他、画面の右下位置では新たに普図記憶数マーカFMが追加表示されることで、普通図柄の作動記憶数が4つに変化したことが演出的に表現されている。また画面中央の女性キャラクターは、変動表示演出の終了に合わせてポーズをとり、今回の変動表示が演出上非当選で終了したことを表す態様で表示されている。
この後も同様にして、通常遊技中に普通図柄の変動表示及び停止表示が行われると、それに対応して演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出が実行される。
〔普図当り演出〕
図51及び図52は、通常遊技中の当り変動時に実行される画像を用いた演出例の流れを示す連続図である。
図51中(I):この例では、変動表示演出の中期に左演出図柄が停止表示され、そこに遅れて予告演出が実行された様子が示されている。このように、予告演出が通常より遅れたタイミングで実行されることにより、遊技者に対して何らかの違和感を抱かせ、その後の演出の変化に注目させることができる。
〔リーチ状態の発生〕
図51中(II):この例では、変動表示演出の中後期に右演出図柄が停止表示され、演出上でリーチ状態が発生している。すなわち、左演出図柄と右演出図柄の両方が数字の「7」を表す態様で停止表示されたことで、演出上でリーチ状態が発生している。なお、中演出図柄は未だ変動表示中である。
また、先の予告演出で出現したアイテムが画面の中央位置で変化することにより、リーチ後予告演出が実行されている。この例では、プレゼント箱の蓋が開かれ、その中から何らかの物体が出現した様子が演出的に表現されている。このようなリーチ後予告演出を実行することにより、遊技者に対して「このリーチが当りになるかも知れない」という期待感を抱かせ、最後まで演出の成り行きに興味を惹き付けておくことができる。
〔リーチ演出〕
図51中(III):リーチ状態の発生後、例えば中演出図柄が画面の中央位置で拡大表示されるとともに、その変動がスローモーション化されることにより、リーチ演出が実行されている。この例では、中演出図柄が数字の「6」から「7」にゆっくりと変化していく様子が演出的に表現されている。このようなリーチ演出を実行することにより、遊技者に対して「いよいよ当りになるかも知れない」という緊張感を抱かせることができる。
〔図52:当り演出〕
図52中(IV):今回の変動が当り(作動抽選での当選)であった場合、これに対応して当り演出が実行される。なお本実施形態では、通常時に「当選A」に該当した場合、このような当り演出を実行するものとする(「当選B」は演出上非当選)。この例では、画面中央位置に拡大表示された中演出図柄が数字の「7」を表す態様で停止表示されることで、リーチ状態から最終的に当りになったことが演出上で表現されている。なお、実際に普通図柄表示装置33で停止表示が行われるまでの間、第4図柄FZ4は変動表示されている。
図52中(V):普通図柄の停止表示に同期して、3つの演出図柄が確定停止表示される。この例では、画面上部位置に3つの演出図柄が元の大きさで停止表示されるとともに、同じ数字の組み合わせ(「7」−「7」−「7」)が表示されることで、演出上で今回の変動が当り(「当選A」)になったことを遊技者に伝達している。また第4図柄FZ4についても、当りの態様(例えば赤色)で停止表示されている。また画面中央位置では、女性キャラクターが何らかの台詞(例えば「やったね」)を発することで、遊技者に対して当りを実感させる演出が行われている。
〔普図当り後演出〕
図52中(VI):続いて、画面中央位置で普図当り後演出が実行される。この例では、女性キャラクターが「左に入れてね。」という台詞を発するとともに、その台詞を表した吹き出しの中に左向きの大きな矢印が表示されている。このような普図当り後演出により、遊技者に対して「次は盤面左側の可変始動入賞装置26に入賞させる必要がある」ということを想起させ、以後の遊技の進行を促進することができる。
〔特別図柄当選時演出〕
図53は、特別図柄の変動表示に伴う特別図柄当選時演出の流れを示す連続図である。上記のように本実施形態では、可変始動入賞装置26(始動入賞口26a)への入賞を契機として特別図柄の変動表示が行われるが、その当選確率(小当り確率)が1/1であるため、特別図柄に関して演出図柄等を用いた演出は行われず、以下の特別図柄当選時演出が実行される。
〔特別図柄変動表示中演出〕
図53中(VII):特別遊技進行状況が上記の(2)「特別図柄変動表示中状態」に遷移すると、例えば画面中央位置で、女性キャラクターが「次は上が開くよ!」といった台詞を発する演出が行われる。このような演出により、遊技者に対して「上大入賞口28bが開かれる」ということを意識させることができる。なお、このとき特別図柄表示装置34において特別図柄が変動表示されているため、これに合わせて特別演出図柄TZ1が変動表示されている。また普通図柄については、可変始動入賞装置26の作動終了によって次の変動が行われるため、画面右下位置では普図記憶数マーカFMを減少させる演出が行われている。
〔特別図柄停止表示中演出〕
図53中(VIII):特別遊技進行状況が上記の(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」に遷移すると、例えば上記の女性キャラクターが「上を狙って!」といった台詞を発する演出が行われる。このような演出により、遊技者に対して「開放中の上大入賞口28bに入賞させる必要がある」ということを意識させ、その後の遊技の円滑な進行を促進することができる。また、このとき特別図柄表示装置34において特別図柄が当選図柄で停止表示されているため、これに合わせて特別演出図柄TZ1も当選の態様(例えば水色)により停止表示されている。
〔役物装置作動開始演出〕
図53中(IX):特別遊技進行状況が上記の(4)「役物装置作動開始演出中状態」に遷移すると、例えば上記の女性キャラクターが「よーし行くぞ。」といった台詞を発する演出が行われる。このような演出により、遊技者に対して「可動入球役物装置28内で振り分け動作による遊技が開始される」ということを意識させ、実際にこの後の遊技球の振り分け動作に対して遊技者の注意を惹き付けることができる。
また本実施形態では、このタイミングで第1ストッパ190、第2ストッパ192による排出処理が行われているが、このような排出処理の時間を「役物装置作動開始演出時間(図25中(A)のT2)」とすることで、演出上でも遊技フローの進行が停滞するのを防止している。
〔振り分け動作中演出〕
図54は、可動入球役物装置28内での振り分け動作中に実行される演出の流れを示す連続図である。このような演出は、例えば特別遊技進行状況が上記の(6)「役物装置開放後閉鎖状態」以降に遷移した場合に実行される。
図54中(A):振り分け動作中演出の初期では、味方の女性キャラクター(右側)と敵方のキャラクター(左側)の画像が並んで表示されるとともに、お互いが睨み合い、真ん中で火花を散らしている様子が動画像によって演出的に表現されている。また適宜、表示画面内に「勝負」等の文字が表示されることで、遊技者に対して「いよいよこれから2人の勝負が始まるぞ」といった観念を想起させることができる。また、このとき合わせて各キャラクターの台詞(例えば「絶対に勝つ!」「かかって来なさい!」等)が音響出力される態様であってもよい。この場合、例えば台詞の内容で期待度を示唆することができる(台詞の内容が積極的なほど期待度が高い等。)。なお「期待度」は、例えば第1ストッパ190が解除されるタイミングと、そのときの第1回転体440の回転角度との相対関係から導き出すことができる。
また、このとき普通図柄の変動表示が行われることで、画面右下位置では普図記憶数マーカFMが減少し、その他の残りが順送りで移動していく様子が表示されている。
図54中(B):振り分け動作中演出の中期から終期にかけて、2名のキャラクターが表示画面から一旦消えて、「じゃんけん」という文字情報が大きく表示される。これにより、遊技者に対して「キャラクター同士がじゃんけんで勝負するのだな」という観念を想起させるとともに、可動入球役物装置28内で例えば第1ストッパ190が解除される動作に注目させることができる。なお、このとき合わせて「じゃんけんで勝負」といった掛け声や効果音、BGM等が音響出力される態様であってもよい。
また本実施形態では、このような役物ゲーム中も並行して排出処理が進行している(図23参照)。具体的には、第1ストッパ190が正規に解除される前に第3ストッパ194が放出位置に上昇し、ノーマルルートに置かれていた球(置き球)の排出を行っている。このとき、上記のように演出上で第1ストッパ190が正規に解除される動作に遊技者の注目を向けさせることで、並行して行われている排出処理の動作をなるべく目立たなくすることができる。
〔特定領域通過時演出〕
この後、実際に振り分け動作が行われ、その結果、特定領域の通過(V入賞)が発生すると、例えば以下の演出が実行される。
図54中(C):この場合、2名のキャラクターが「それぞれじゃんけんの手を出す」という内容の動画像が表示される。この例では、画面の右から味方のキャラクターの手「チョキ」が出現し、また画面の左から敵方のキャラクターの手「パー」が出現するまでの一連の様子が表現されている。このとき、各キャラクターの動作に合わせて、「じゃーんけーんーぽん!」といった掛け声が音響出力される態様であってもよい。
図54中(D):そして勝負の結果、見事に味方のキャラクターが勝利を収めたことが表示される。この例では、見事勝利した味方のキャラクターが表示画面の中央に大写しとなり、顔の横で勝利のVサインを見せている様子が演出的に表現されている。また表示画面内には、「勝った!!」という文字が表示されることで、遊技者に対して「じゃんけんに勝利した」という観念を想起させ、「振り分け動作の結果、特定領域の通過(V入賞)が発生した」ということを教示することができる。
〔大当り中演出〕
次に図55は、特定領域通過後の大当り遊技中に実行される演出の例を部分的に示す連続図である。このような演出は、例えば特別遊技進行状況が上記の(9)「大入賞口開閉動作中状態」以降に遷移した場合に実行される。
〔2ラウンド開始時〕
図55中(A):上記のように本実施形態では、大当り遊技が2ラウンド目から開始される。この場合、例えば画面内に「ROUND2」のラウンド数に対応する文字情報が表示されるとともに、大当り遊技中に固有の演出画像(例えば女性キャラクター)が表示される。なお画面の右下位置には、第4図柄FZ4や普図記憶数マーカFM、特別演出図柄TZ1等が引き続き表示されている。
〔16ラウンド中〕
図55中(B):この後、大当り遊技が順調に進行し、最終の16ラウンドに移行する。このとき、画面内には「ROUND16」のラウンド数に対応する文字情報が表示されるとともに、大当り遊技中に固有の演出画像が表示されている。
〔大当りエンディング演出〕
図55中(C):大当り遊技が終了するタイミング(可変入賞装置作動終了処理)において、この後に移行する「時間短縮状態」とその回数を教示する内容の大当りエンディング演出が実行される。この例では、例えば画面内に「チャンスモード突入!」という文字情報とともに、「6回」という残りの変動回数を表す情報が表示されている。このような大当りエンディング演出を実行することにより、大当り遊技終了後の特典として「時間短縮状態」に移行することと、合わせてその時短回数を遊技者に教示することができる。
〔時短中演出〕
大当り遊技の終了後、実際に「時間短縮状態」に移行すると、例えば時短中演出が実行される。なお、「時間短縮状態」では普通図柄に対応する作動抽選が「当選B」に該当した場合であっても、可変始動入賞装置26の作動時間が通常より延長され、可変始動入賞口26aへの入賞が容易になる。このため、「時間短縮状態」では「演出上非当選」がほとんど発生しないため、上述した変動表示演出(図49〜図50)は実行されない。
図55中(D):例えば時短中演出として、女性キャラクターが「☆は4つまで貯められるよ!」といった台詞を発する演出が行われる。ここで「☆」のシンボルマークは、画面左下位置に示されているように特別図柄作動記憶マーカTMを表している。したがって、このような台詞を発する演出を実行することにより、遊技者に対して「時短中は特別図柄の作動記憶を4つまで貯めた方がよい」ということを認識させ、その後の円滑な遊技の進行を促すことができる。なお、ここでは特に図示していないが、その他の態様により時短中演出が実行されることとしてもよい。
〔時短中の振り分け動作中演出〕
次に図56及び図57は、「時間短縮状態」に移行した場合に実行される振り分け動作演出の流れを示す連続図である。この例では、可動入球役物装置28内で第1回転体440による振り分けの結果、上記の逆転ルート振分部に遊技球が振り分けられ、さらに第2回転体442により特定領域以外に振り分けられた場合に実行される演出を示している。また以下の例では、今回の可動入球役物装置28の作動終了をもって「時間短縮状態」が終了するケースを想定している。
〔可動入球役物装置入賞後〕
図56中(A):上記のように可動入球役物装置28(上大入賞口28b)への入賞後、第1ストッパ190による正規の解除を経て第1回転体440で遊技球が逆転ルート振分部に振り分けられた場合、逆転検知スイッチ205から検出信号が出力される。これを受けて演出の内容は、例えばじゃんけんの手が「あいこ」となり、この時点では勝負がつかなかったことを表す態様(再挑戦演出)に変化する。
〔再挑戦演出〕
図56中(B):この場合、味方の女性キャラクターが画面内で大写しとなり、例えば「まだまだ!」といった台詞を発する演出が行われる。このような演出により、遊技者に対して逆転ルート振分部による逆転が発生したことを認識させるとともに、以後の遊技球の振り分け動作に対して注目させることができる。
図56中(C):再挑戦演出では、例えば同じく味方の女性キャラクター(右側)と敵方のキャラクター(左側)の画像が並んで表示されるとともに、お互いが睨み合い、真ん中で火花を散らしている様子が動画像によって演出的に表現されている。
〔図57参照〕
図57中(D):そして、再び2名のキャラクターが表示画面から一旦消えて、「じゃんけん」という文字情報が大きく表示される。これにより、遊技者に対して「キャラクター同士がじゃんけんで再度勝負するのだな」という観念を想起させるとともに、可動入球役物装置28内で第3ストッパ194が解除される動作(第2回転体442に向けて遊技球が放出される動作)に注目させることができる。
この後、実際に振り分け動作が行われ、その結果、特定領域を通過(V入賞)することなく遊技球が排出された場合、例えば以下の排出検知演出が実行される。
〔排出検知演出〕
図57中(E):この場合、2名のキャラクターが「それぞれじゃんけんの手を出す」という内容の動画像が表示されるが、画面の右から味方のキャラクターの手「パー」が出現し、また画面の左から敵方のキャラクターの手「チョキ」が出現することで、「残念ながらじゃんけんに負けた」ということを表す演出が行われる。これにより、遊技者に対して「特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった」ことを伝達し、可動入球役物装置28内での役物ゲームが終了したことを認識させることができる。
このとき、主制御CPU72による制御上では、遊技球の排出完了を契機として時間短縮機能がOFFになる。そして、特別遊技進行状況が上記(7)「役物装置作動終了演出中状態」に遷移すると、例えば以下のエンディング演出が実行される。エンディング演出は、上記のように役物装置作動終了処理(図41中のステップS4502)においてカウントダウンされるエンディング時間を利用して実行される。
〔エンディング演出〕
図57中(F):エンディング演出の初期では、先の勝負の結果、残念ながら味方のキャラクターが負けてしまったことが表示される。この例では、勝負に負けた味方のキャラクターが表示画面の中央に大写しとなり、残念がっている様子が演出的に表現されている。また表示画面内には、「負けた・・・」という文字が表示されることで、遊技者に対して「じゃんけんに勝てなかった」という観念を想起させ、「振り分け動作の結果、特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった」ということを教示することができる。
図57中(G):そしてエンディング演出の終期では、味方の女性キャラクターが画面上で位置を変えて表示され、例えば「またね!」という台詞をにこやかに発する内容の演出が実行される。このような演出により、遊技者に対して気持ちを入れ替えさせ、次の振り分け動作に対して意欲を向けさせることができる。なお、このとき画面左上位置には、これまでに演出上で勝利した回数を表す文字(例えば「バトル10勝」)が表示されている。この回数は、これまでに連続で発生させた大当りの回数(初当りを含む)を示している。
また、このとき画面右下位置では普図記憶数マーカFMが1つ減少しているが、既に時間短縮機能がOFFになっているため、今回の普通図柄の変動は「非時間短縮状態」で行われる。これにより、エンディング時間の終了時点を跨いで可変始動入賞装置26が開放されることを防止し、不用意に特別図柄の変動回数が追加されてしまうことを抑制することができる。
なお、画面左下位置に特別図柄作動記憶マーカTMが表示されているように、この時点で特別図柄の作動記憶が残存していれば、その記憶を消化して次の特別図柄の変動表示が可能になる。
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上述した各種演出は、いずれも以下の制御処理を通じて制御されている。
〔演出制御処理〕
図58は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、普通図柄当り後演出管理処理(ステップS404)、表示出力処理(ステップS405)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば機種指定コマンド、特別図柄状態指定コマンド、作動記憶数増加時演出コマンド、作動記憶数減少時演出コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、普通図柄通過始動音制御コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄指定コマンド、図柄停止コマンド、役物装置閉鎖コマンド、大当り状態指定コマンド、大当り種別コマンド、大当り状態移行コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出(図49,図50等)の内容を制御する。
ステップS404:普通図柄当り後演出管理処理において、演出制御CPU126は普通図柄抽選で当選(通常時に「当選A」に該当)した後の演出(図53〜図57等)を制御する。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
ステップS405:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、普通図柄お呼び特別図柄それぞれの作動記憶数、変動演出パターン番号、予告演出番号、モード番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、可動入球役物装置28内での振り分け動作中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図19中のパネル電飾基板138に接続することができる。
〔普通図柄当り後演出管理処理〕
図59は、普通図柄当り後演出管理処理の構成例を示すフローチャートである。普通図柄当り後演出管理処理は、例えば実行選択処理(ステップS500)、可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)、役物装置作動時処理(ステップS504)、役物入賞時処理(ステップS506)、可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして普通図柄当り後演出管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、演出制御CPU126は最初のジャンプ先として可変始動入賞装置作動時処理(ステップS502)を選択する。一方、既に可変始動入賞装置作動時処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として役物装置作動時処理(ステップS504)を選択し、役物装置作動時処理まで完了していれば、次のジャンプ先として役物入賞時処理(ステップS506)を選択する。なお、可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置作動開始処理(図37中のステップS5000)が選択された場合にのみ、以降のジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:可変始動入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は可変始動入賞装置26を作動させる場合の演出(図52中(VI)等)を制御する。このような演出を実行することで、遊技者が漫然と遊技を消化するのを防止し、目的意識を再確認させて遊技意欲の低下を防止することができる。
ステップS504:この役物装置作動時処理において、演出制御CPU126は上記の特別図柄当選時演出(図53)を実行することができる。
ステップS506:役物入賞時処理では、演出制御CPU126は上記のように可動入球役物装置28内でのゲームフローの進捗状況に合わせて実行される画像演出(図54,図56,図57等)を制御する。これにより、可動入球役物装置28内での遊技の流れを遊技者に対して訴求させることができる。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は大当り中の演出内容を制御する。例えば、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。また演出制御CPU126は、大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では大当り中に専用の演出画像(図55参照)が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
以上のように本実施形態のパチンコ機1によれば、可動入球役物装置28内に置き球がされていた場合であっても、遊技フローの中で可動入球役物装置28の作動契機が発生すると、置き球を排出した上で正規の役物ゲームを実行することができる。これにより、本来の遊技性が歪められるのを防止し、遊技の公正を保証することができる。
また、置き球の排出動作(第1ストッパ190、第2ストッパ192の解除)を行っている時間を「役物装置作動開始演出時間T4」とし、液晶表示器42の画面上で「これから役物ゲームが開始される」ということを遊技者に訴求させているため、「排出処理」という待ち時間を遊技者に意識させにくくし、テンポよく遊技を継続させることができる。さらに、役物ゲーム開始後も並行して排出処理を行っているため、排出処理を1つのシーケンスとして長々と待つ必要がない。
さらに、排出処理を行わない場合に比較して特別図柄の変動時間を短縮化し、その分、排出処理の開始を前倒しにしているため、全体として役物ゲームの時間が間延びしてしまうのを有効に防止することができる。これにより、テンポよくスムーズに遊技を進行させ、遊技者の意欲減退を抑えることができる。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、各種の変形を採用することができる。例えば、演出の例として挙げた画像や動作はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。
一実施形態で挙げた抽選の確率や図柄の変動時間、可変始動入賞装置26の開放時間、可動入球役物装置28の開放時間、可変入賞装置30の開放時間等の各種条件はあくまで例示であり、これらは適宜に変形してもよい。また、遊技領域8の構成や可動入球役物装置28内の具体的な構成は種々に変形して実施してもよい。
また、図25で挙げた各種ソレノイドやモータの動作タイミングは一例であり、具体的な作動時間や停止時間等の設定は、実際の役物装置の構造に合わせて適宜に変更して実施することができる。
その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。