JP5512694B2 - 電気機械トランスデューサデバイスおよびその製造方法 - Google Patents

電気機械トランスデューサデバイスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイスと、電気機械トランスデューサデバイスの製造方法とに関する。
電気機械システムは、マイクロ電気機械システム(MEMS)構造とナノ電気機械システム(NEMS)を含み、MEMSおよびNEMS構造は、多様な用途に、たとえば自動車のエアバッグ展開用のMEMS加速度計、またはゲームコントローラ等の娯楽電子機器、自動車のヨーイングを検知するために使用されるMEMSジャイロスコープ、光学スイッチ、バイオMEMS用途、MEMSスピーカ、インクジェットプリンタ、アンテナ移相器等のRF MEMSコンポーネントに使用されている。MEMS構造を使用する利点は、これらは機械的特性を有するが、寸法が非常に小さく、既存の半導体処理技術を用いて製造できることを含む。
アクチュエータまたはセンサに使用されてよいMEMSトランスデューサデバイスは、半導体基板上に製造され、ケイ素または窒化ケイ素等の材料からなる1以上の機械層を有する少なくとも1個の機械積層体と、デバイスを作動すると機械積層体の運動を促進する機能を持った少なくとも1個の機能/作動積層体とを備えた可動構造を含むことができる。作動積層体は、1以上の層を有し、その機械積層体に対する構成および機能は、MEMSトランスデューサデバイスのタイプに応じて互いに異なる。たとえば静電気作動デバイスにおいて作動積層体は、機械層の上に形成された可動電極と協働して機械層と可動電極の運動を促進する静電極を有する。磁気作動デバイスにおいて、機能積層体は、外部磁石と協働して可動な機械積層体に外力を加えるように構成された磁気層を有する。それゆえ作動積層体は、機械的ビームまたはカンチレバー等の機械積層体の上に形成された圧電材料または磁気材料等の材料からなる少なくとも1層の作動層を含む多層積層体であってよい。一般にPZTとして知られるチタン酸ジルコニウム酸鉛(Pb[ZrxTi1−x]O、0<x<1)は、その電気機械的変換特性のために、MEMSデバイスで最も普通に使用されている圧電材料である。
図1に示すような圧電的に作動されるMEMSスイッチデバイスの場合、多層可動構造は、カンチレバーまたはビーム4(窒化ケイ素または酸化ケイ素カンチレバーであってよい)の上に形成されたPZT膜2と、PZT膜に電圧を印加するためにPZT膜2の何れかの側に形成された電極6および8(プラチナ電極であってよい)を含む。接点10および12は、デバイスのスイッチ接点を提供する。周知のようにPZT膜に電圧を印加することで、PZT膜は、圧電によって印加された電圧に応じて膨張または収縮し、これがカンチレバーに応力を与え、その結果カンチレバーが垂直に(積層体に対して垂直方向に)歪むことでMEMSスイッチデバイスを開閉する。
非特許文献1に記載された論文は、カンチレバー上に形成されたPZTキャパシタを有する圧電作動されるRF MEMSスイッチを開示している。
特許文献1は、カンチレバー上の多数の圧電層と、これらの圧電層と交互する金属層とを有する調節可能な電子コンポーネントのための多層圧電スイッチを開示している。したがってこのデバイスは、圧電作動されるスイッチを形成するために、積層された圧電キャパシタを使用する。
少なくとも1個の(たとえば単一アンカーで固定された)自由端を備えた可動構造を有し、一緒に積層された多層材料から構成されたMEMSトランスデューサデバイスでは、可動構造の歪みは、可動構造をバイメタル板のように形成する互いに異なる材料に対する熱膨張率(CTE)の値が互いに異なるために、温度変化に応じて変動できる。たとえば図1の圧電作動されるトランスデューサデバイスでは、図1のプラチナ(Pt)電極6、PZT膜2およびプラチナ(Pt)電極8を含む層は、窒化ケイ素カンチレバー4の熱膨張率2〜3ppm/°Cに対しておよそ9.5ppm/°Cの熱膨張率を有する。したがって動作温度が変化すれば、Pt/PZT/Pt層は、窒化ケイ素カンチレバーとは別様に膨張(または収縮)し、その結果トランスデューサデバイスの垂直歪み、ひいてはその性能が変化する。たとえば動作温度が120°Cレンジ以上変化すると、図1の圧電MEMSスイッチデバイスは、7μmの全歪み運動を経験する。トランスデューサの歪みが大きく変化すると、デバイスは、動作不能になることがある。たとえば図1のMEMSスイッチデバイスでは、温度変化による歪みのためにスイッチが閉じるべきときに開くことがある。
同じ効果は、少なくとも1個の自由端を有し、可動な機械積層体と、可動な機械積層体の上に機能積層体の一部として形成された可動な電極層とを備えた可動構造を有する静電スイッチデバイスにも見られる。これらの2層の材料の熱膨張率の差は、熱的に誘起された作動を生み出すことがある。
少なくとも1個の自由端を有する可動構造に対して説明された歪みは、多層積層体に基づく機械的モーメントまたは力の曲げ効果に起因する。この曲げモーメントは、他の可動構造、たとえば多層積層体に基づく曲げモーメントが構造全体にわたって存在しない固定構造にも同じ効果を及ぼす。このような固定構造は、可動構造の端部で支持または固定された可動構造(たとえば機械層または機械膜)と、可動構造の端部または中心部に配置された作動構造(たとえば圧電作動積層体、静電作動積層体または磁歪作動積層体)を有するトランスデューサデバイスを含んでいる。作動構造は、曲げ効果を有するか、または可動構造に対する曲げモーメントを含んで可動構造を運動させる。上述した自由端の可動構造と同様に、そのような固定構造内に誘起された曲げモーメントも温度変化に応じて変動し得る。
静電スイッチデバイスにおいて、可動構造の熱挙動を補償するために、可動電極と同一の対称的な追加の層を有することによって熱補償を提供することが知られている。
たとえば特許文献2は、静電気の変化によって作動される3層ビームMEMSスイッチデバイスを開示している。基板上に位置する静電極と可動ビーム上に位置する反対側の可動電極に電圧が印加されると、静電極と可動電極とに等しい反対の電荷が生成される。互いに反対側の電極に電荷が分布すると、今は変形しているビーム上で弾性力によって平衡した静電力が生み出される。電圧が増すと、電荷は、ビーム表面にわたって不均一、かつ非直線的に上昇して、最後に安定点に達する。この安定点は、弾性力が静電力との平衡を維持できなくなることによって定義され、ビームは、飛び移り(snapsthrough)2個のスイッチ接点パッドを接触させる。この特許は、ビーム上で電極の相互接続がどのように形成されるか、膜応力および温度に誘起されたビーム変形に対する堅牢性を提供するためにどの電極相互接続が可動電極と構造的に整合しているか、または構造的に類似しているかを開示する。この特許は、一実施形態において、機械的平衡を提供するために、電極相互接続は、同じ材料から製造され、等しい寸法で設計されることを教示する。応力は、追加の層と可動電極とで等しく、ビームは、自然の状態で平坦である必要があると仮定する。自然の状態(またはデバイスが非アクティブな状態にあるとき)は、電圧が印加されていない状態、またはより一般的に作動のための外部エネルギーが無い状態と見なすことができる。
静電作動デバイスに対しては、デバイスが機能するために、静電極層と組み合わせた1層の(可動)電極層のみ必要とされる。それゆえ、熱応力平衡を実現するために対称的な3層構造を使用するのは、過度に複雑ではない。圧電作動デバイスのように多数の層を有するより複雑なデバイスでは、少なくとも3層(電極/PZT/電極)が機能/作動積層体を形成し、機械的ビーム層が機械積層体を形成する。これは熱平衡を達成するのをより困難にする。理論的には、静電作動デバイスで用いられるのと同じ対称的処理法を、熱平衡を達成する試みにおいて使用できよう。
米国特許出願公開第2005/127,792号明細書 米国特許第6,746,891号明細書
「圧電的に作動されるオームMEMSスイッチの2種類のタイプの設計、製造、およびRF性能」。Hee−ChulLee、Jae−HyoungPark、Jae−YeongPark、Hyo−JinNam、およびJong−UkBu。マイクロ工学およびマイクロエンジニアリング誌15(2005年)21098〜2104頁。 「弾性多層システムにおける熱応力」。C.H.Hsueh。ThinSolidFilm418(2002年)182〜188ページ。 「多層マイクロ電気機械的システムであるカンチレバーデバイスにおける残留膜応力変形の軽減」。JeffreyS.Pulskamp、AlmaWickenden、RonaldPolcawich、BrettPiekarskiおよびMadanDubey。J.Vac.Sci.Technol.B21(6)、2003年11/12月、2482〜2486ページ。 「RFマイクロスイッチ用シリコンオンインシュレータウェーハにおけるPZT作動カンチレバーの製造」。HongWenJiang、PaulKirbyおよびQiZhang。マイクロマシニング・アンド・マイクロファブリケーション・プロセス・テクノロジーVIII、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンホセ、2003年、165〜173ページ。
しかしながら現実には、これは製造プロセスの変動のために複雑である。層が多ければプロセス段階が増えて変動も大きくなり、その結果コストが増えて再現性が低下する。また、機械的ビームを堆積する前にPZT層が存在することは、深刻な汚染懸念のゆえに許されない。
プロセスの制約の点では、機械積層体の両側に同じ材料を置くことは、深刻な汚染問題のゆえ、またはプロセス条件のために必ずしも可能ではない。たとえば機械層の上で金属電極の補償として使用され、機械層の前に作成される金属層は、機械層の材料の温度堆積と両立しない可能性がある。したがって静電作動デバイスに対しても、対称的な可動構造を用いることなく熱安定性を改善するための解決を提案する必要がある。
動作温度変動に伴い熱応力がMEMSデバイス内で可動ビームの不要な変形または歪みを引き起こすことに加えて、多層MEMSデバイスの種々の層における残留薄膜応力も不要な変形または、歪みを引き起こす虞がある。薄膜応力は、多層デバイスの層を作成するために用いられる堆積プロセスから生じる。
たとえば、図1に示されているように、窒化シリコンビーム4上に形成されたPt/PZT/Pt層を有する作動構造を備えた、圧電的に作動されるMEMSスイッチデバイスでは、PZT膜2は、結晶化のために焼きなましされる必要がある。その結果、Pt/PZT/Pt作動層の応力は、実質的に良好な圧電特性を保証する600〜700°Cの焼きなまし温度によって制御される。低圧化学蒸着法(LPCVD)によって形成された窒化シリコンビーム4では、ビームにとって応力の到達可能性の範囲(300MPa〜1100MPa)が限られている。したがって、応力平衡を達成することが求められるビームの応力がこの範囲にあるならば、応力平衡は達成できる。しかし、作動層とビームとの間で垂直方向に応力平衡を達成することで平坦なビーム(すなわち垂直方向のゼロ歪みまたはゼロ変形)を実現することは、必ずしも可能ではない。残留応力の結果、ビームの先端部で数マイクロメートル歪むことがある。極端な温度を必要とする製造工程では、応力平衡を達成することは、より困難である。
非特許文献3は、解析的モデリングおよび数値モデリングとインプロセス薄膜特性評価に基づき、MEMSデバイスにおける残留薄膜応力変形を補償する方法を記載している。モデリングと採用される製造プロセスに関する詳細な知識に基づく式を用いて、プロセス制御の程度が高い後段の堆積工程が、前段で処理された膜の層応力と厚さのプロセス変動を補償するために使用される。
非特許文献4は、シリコンオンインシュレータウェーハを用いたPZT作動シリコンカンチレバーの製造の処理方式を記載している。底部チタン/プラチナ電極、PZT層および頂部チタン/金電極を有するPZT作動層がシリコンビーム上に形成される。二酸化シリコンインタフェース層がPZT作動層とビームの間に形成される。応力平衡は、デバイスの設計の過程で、カンチレバーを形成する層の応力状態を決定して、計算と堆積プロセスにおける適切な調整によって、応力がカンチレバー全体にわたって平衡して相対的に平坦なカンチレバーが得られるように層内の応力を選択することによって達成される。
これらの論文に記載された方法は、専ら応力補償に焦点を当てており、応力変形と熱変形をどのように補償するかについて詳細を提供していない。一般に、応力を平衡させるために見出される解決は、必ずしも熱平衡デバイスを提供しない。
対称的可動構造を用いる基本的なMEMデバイスでさえ、機械層の下側の層と上側の層で互いに異なる堆積条件のために残留応力が互いに異なると、応力が平衡しないことがある。
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された電気機械トランスデューサデバイスおよび電気機械トランスデューサデバイスを形成する方法を提供する。
発明の具体的な実施形態は、従属請求項に記載されている。
発明のこれらの側面およびその他の側面は、以下に記載する実施形態から明白であり、これらの実施形態について明らかにされる。
以下に図面に基づいて発明のその他の詳細、側面および実施形態を例示的にのみ説明する。
典型的な圧電MEMSスイッチデバイスの図式的な断面図。 開示の実施形態に従うマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの例の一部の図式的な断面図。 可動構造の歪みを計算するために使用される種々のパラメータを示す図2の可動構造の図式的な断面図。 図2に示すPZT作動ビームの種々の動作温度における歪みの変動を示すグラフ。 図2のマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの種々の製造段階における図式的な断面図。 図2のマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの種々の製造段階における図式的な断面図。 図2のマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの種々の製造段階における図式的な断面図。 図2のマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの種々の製造段階における図式的な断面図。 図2のマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの種々の製造段階における図式的な断面図。 可動構造の種々の歪みを示す、開示の実施形態に従う電気機械トランスデューサデバイスの可動構造の種々の例の単純化された図式的断面図。 可動構造の種々の歪みを示す、開示の実施形態に従う電気機械トランスデューサデバイスの可動構造の種々の例の単純化された図式的断面図。 可動構造の種々の歪みを示す、開示の実施形態に従う電気機械トランスデューサデバイスの可動構造の種々の例の単純化された図式的断面図。 可動構造の歪みを計算するために用いられるパラメータを示す、図2の可動構造の図式的断面図。 開示の他の実施形態に従うマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの一例の一部の図式的断面図。 開示の他の実施形態に従うマイクロ電気機械トランスデューサデバイスの一例の一部の図式的断面図。
図面内の各要素は、単純簡明に示され、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
以下の説明および幾つかの図面において、何らかの領域が特定の材料および/またはタイプからなるものとして特定される。しかしながらこれは、単に説明の便のために過ぎず、制限を意図したものではない。当業者は、本明細書で与えられた説明に基づき、様々な材料を使用できること、そして開示は、説明において与えられた特定の例に限定されないことを理解するであろう。
本開示は、圧電作動MEMSスイッチデバイスについて説明される。しかしながら開示は、圧電作動MEMSスイッチデバイスに制限されず、他のMEMSトランスデューサデバイス、たとえばセンサ、アクチュエータ、加速度計、光学スイッチ、バラクター、可変誘導子、移相器、磁気、または静電作動トランスデューサデバイスおよび/または類似のデバイスに等しく適用されることが認識されよう。さらに、この開示は、ナノ電気機械システム(NEMS)にも用いることができ、したがってMEMSデバイスに限定されない。
開示の目的のために、トランスデューサデバイスは、測定、作動、または情報伝送を含む様々な目的のために、あるタイプのエネルギーまたは物理的属性を他のタイプに変換するデバイスである。
加えて、以下の説明では、MEMSトランスデューサデバイスの種々の層は、構造内で特定の位置を有するものとして記載されている。しかしながら、種々の層の相対的位置は、記載されたものに限定されることはなく、MEMSデバイスのタイプおよび層を形成する材料の熱膨張率の相対的値に応じて互いに異なることが認識されよう。
図2について見ると、基板210の上に形成された開示の実施形態に従うマイクロ電気機械スイッチ(MEMS)デバイス200の例は、圧電層212を含む複数の層202と、作動構造の作動に応答して運動可能であるように構成された可動構造203とからなる作動構造を有する。たとえば可動構造203は、作動構造の層202および可動構造203の主要な面に対して実質的に垂直な一方向に(たとえば図2に示す線Aに沿って)運動可能に構成されてよい。図2に示した例では可動構造203は、作動構造の複数の作動層202と、機械構造204と、第1補償層206と、第2補償層207とを含む。他のMEMSデバイス、作動構造は、可動構造の一部として少なくとも1層と、可動構造の一部ではない少なくとも1層とを含んでよいことが認識されよう。たとえば静電作動デバイスは、可動構造の一部として形成された可動電極と、基板上に形成された静電極も有する作動構造を含んでよい。プロセスの必要上、可動構造は、さらに追加の薄層、たとえばシード層または緩衝層を含んでよい。図2に示す例において、機械構造204は、機械層すなわちビーム204を含み、基板210上に形成されたアンカー208によって支持されたカンチレバーである。アンカー208は、図面に示すように構造の一端もあることも、互いに異なる場所に位置することもできる。機械構造204は、代替として1層以上含んでよい。可動構造203は、少なくとも1個の自由端を有する。ビーム204は、作動構造によって、たとえば圧電層212に適切な電圧を印加することによって、作動構造の圧電作動に応答して運動するように構成されている。
作動構造の複数の層202は、ビーム204の熱応答特性とは異なる熱応答特性を有する。或る層の熱応答特性は、当該層を構成している材料の熱膨張率(CTE)に依存する。構造に或る層が付加されると、当該層は、熱効果を生み出し、このような層の熱効果は、当該層を構成している材料の熱膨張率およびヤング率等のパラメータと、当該構造の層の厚さに依存する。機械層204の上に形成されて互いに異なる熱応答特性を有する作動構造の複数の層202によって生み出される熱効果は、温度変動に伴い可動構造203を運動または歪ませる。
作動構造の複数の層202は、ビーム204の応力応答特性とは異なる応力応答特性を有する。或る層の応力答特性は、当該層を構成している材料のヤング率と、当該層が形成されている基板を基準にして定義される残留応力または残留歪みに依存する。構造に或る層が付加されると、当該層は、応力効果を生み出し、このような層の応力効果は、当該層を構成している材料の残留応力、ヤング率等のパラメータと、当該構造の層の厚さに依存する。機械層204の上に形成されて互いに異なる応力応答特性を有する作動構造の複数の層202によって生み出される応力効果は、可動構造203を、たとえばデバイスのリリース時、つまりデバイスが非アクティブな状態にあるとき(たとえば作動構造が作動されていないとき)の平坦な位置から運動または歪ませる。
第1補償層206と第2補償層207は、可動構造203の運動が実質的に温度変動に依存しないように、機械層204と作動構造の複数の層202との互いに異なる第1熱応答特性と第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ電気機械トランスデューサデバイス200が非アクティブな状態(たとえばリリース時に電圧が印加されず作動構造が作動されていない)にあるとき可動構造が基板に対して相対的に所定量だけ歪むように、機械層204と作動構造の複数の層202との互いに異なる第1応力応答特性と第2応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成されている。電気機械トランスデューサデバイスがOFF状態にあるときの可動構造203の所定量の歪みは、基板210の表面に平行な面に対して相対的な所定範囲の歪み値を含む。所定量は、ゼロ歪みを含んでよく、この場合には可動構造203は、基板210に対して平坦である。
或る層の熱効果は、当該層を構成する材料の熱膨張率やヤング率等のパラメータと、層の厚さに依存し、また或る層の応力効果は、当該層を構成する材料の残留応力、ヤング率等のパラメータと、層の厚さに依存するので、第1補償層206と第2補償層207は、第1補償層206と第2補償層207の材料を熱膨張率、ヤング率等の「固有の」パラメータに従って選択することによって、またこれらの補償層が所望の補償を提供するために適切な厚さを有するように構成することによって、熱効果を補償するように構成されている。
したがって、第1補償層206と第2補償層207は、たとえば適切な熱膨張率、ヤング率、残留応力を有する材料と層206,207の厚さを選択することによって、両補償層206および207が応力効果と熱効果を補償するように構成されることができる。代替として、以下に詳しく記載するが、第1補償層206は、熱補償層206を提供し、第2補償層207は、応力補償層207を提供してよく、熱補償層206は、熱効果を補償するように構成され、応力補償層207は、応力効果を補償するように構成されている。
図2に示す例において、熱補償層206は、作動層202とは異なっている。言い換えれば熱補償層206は、可動構造の一部を形成する作動構造とは異なる構成もしくは構造、たとえば互いに異なる数の層および/または補償層を形成する互いに異なる材料を有する。さらに、可動構造203の運動が実質的に温度変動に依存しないように、熱補償層206は、その熱効果が、少なくとも作動層202がビーム204に付加されたときにその熱効果を平衡させ、もしくは補償するように設計される。しかし、熱効果を補償するための熱補償層と応力効果を補償するための応力補償層とを含む可動構造を備える技術は、代替的に熱補償層が可動な作動構造と対称的であり、同じ構造もしくは構成を有する場合に使用されてよいことが理解されよう。
一例において、熱補償層206は、作動構造の作動層202の材料とは異なる材料によって形成された補償層を有する。この補償層は、1層または2層のみ有してよい。上述したように、作動層202とビーム204の熱効果を補償するために、熱補償層206は、層206を形成するための適切な材料または材料の組合せを選択することによって設計されて、可動構造203の運動もしくは歪みが室温で制御され、動作温度範囲にわたって著しく変化しないようにできる。
応力補償層207は、1以上の層を有し、その機械応力効果が、少なくとも作動層202と、ビーム204と、また図2に示され説明された例では熱補償層206との組合せの機械応力効果を平衡させ、もしくは補償するように設計される。上述したように、作動層202とビーム204とを含む可動積層体の応力効果を補償するために、応力補償層207は、たとえば層207を形成するための適切な材料もしくは材料の組合せと、応力補償層207の厚さを選択することによって設計される。補償の結果として、基板210に対してゼロ歪みの平坦な可動構造が生じ、またはデバイスの用途の要件に応じて応力補償層207によって制御される所定歪みが生じる。応力補償層207はさらに、トランスデューサデバイス全体の熱平衡に与える影響が無視できるように構成されてよい。言い換えれば、応力補償層207は、作動層202とビーム204とを含む積層体に付加されたとき熱効果を生み出さないように構成できる。応力補償層207デバイスの熱平衡に与える影響が無視できることを保証することは、応力補償層207の熱応答特性が実質的にビーム204の熱応答特性と等しいことを保証することによって達成できる。たとえば、応力補償層207の熱膨張率は、ビーム204の熱膨張率と等しくなるように選択されるか、または応力補償層207の熱膨張率は、低いヤング率を有するビーム204の熱膨張率と類似になるように選択される。
図13〜図15は、リリース時もしくはデバイスが非アクティブな状態にあるときに補償層206および207によって達成できる、角度502で表される種々の歪みの例を示す。所望される歪みは、用途に応じて互いに異なる。たとえばMEMSスイッチデバイスでは、デバイスが非アクティブな状態にあるとき、可動構造203は、他のスイッチ接点パッドとの接触を作るか、または断つために或る量だけ歪む。
図13では、熱補償層206は、作動層202とは異なる構成を有し、作動層202とビーム204の熱効果を補償するように選択されている。しかし、互いに異なる層の応力効果のためにリリース時に結果として生じる積層体(応力補償層207を除き)は、歪み角500を有するであろう。この場合、適切な応力補償層207を付加して、リリース時に平坦な可動構造203を確保する(すなわち角度502はゼロもしくは歪み量はゼロである)。
図14では、熱平衡を提供するために熱補償層206は、作動層202と同じ構成を有している(すなわち作動層202と対称的である)。この例において、リリース時に結果として生じる積層体(応力補償層207を除き)では、ビーム204内の応力は、熱効果を持たないので歪み度は、ゼロであろう。この場合、適切な応力補償層207を付加して、リリース時に可動構造203が歪むことが求められる用途では、リリース時に可動構造203が所定角度502もしくは所定量だけ歪むようにする。
図15では、熱補償層206は、作動層202とは異なる構成を有し、作動層202とビーム204の熱効果を補償するように選択されている。しかし、互いに異なる層の応力効果のためにリリース時に結果として生じる積層体(応力補償層207を除き)は、歪み角500を有するであろう。この場合、リリース時に可動構造203が歪むことが求められる用途では、適切な応力補償層207を付加して、リリース時に可動構造203が所定角度502もしくは所定量だけ歪むようにする。
上記に見ることができるように、所定角度もしくは所定歪み量は、用途に応じて異なり、ある場合には所定範囲の歪み値を定義して、当該範囲内の歪みが許容されるようにすることができよう。
MEMSスイッチデバイス200は、スイッチ接点パッド等(図1参照)、他の要素を含んでよいが、単純化のためのこれら他の要素は、示されていない。磁気作動デバイスでは、作動構造は、可動構造の一部として形成される圧電層の代わりに磁気層を含む。静電作動MEMSデバイスでは、作動構造は、ビーム上の可動電極と反対側の静電電極を含んでいる。
図2に示す例において、熱補償層206は、応力補償層207と同じビーム204の側に形成され、作動層202とはビーム204の反対側に形成されている。この例では熱補償層206は、その熱膨張率が実質的に作動層202の熱膨張率と等しくなるように設計され、応力補償層207は、ビーム204に隣接して形成されているので、MEMSデバイスの熱平衡に与える影響は、無視できる。代替として、熱補償層206は、同じ作動層202と同じビーム204の側に形成されてよい。
図2は、ビーム204の上側に形成された作動層202も示している。代替として作動層202は、ビーム204の下側に熱補償層206と共に形成されて、応力補償層207は、ビーム204の反対側、または上述したように作動層202と同じビーム204の側に形成されてよいことが理解されよう。
熱補償層206と応力補償層207の目的は、応力が平衡して熱的に補償されたデバイスを提供することであることは理解されよう。以下に詳しく説明する例において、これは、最初に熱補償層206の構造を決定し、次に応力補償層207の構造を決定することによって達成される。たとえば、単層を有する熱補償層206に対しては、最初に熱補償層206の材料が、たとえばMEMSデバイスを製造するために用いられるプロセスと両立できる材料のリストから選択され、次に熱補償層206の厚さが決定される。それから応力補償層207の材料と厚さが決定される。
熱補償層206と応力補償層207の厚さと位置は、有限要素シミュレーションまたは解析的分析から導き出すことができる。
多層からなる自由/固定カンチレバービームの歪みの完全な数学的記述は、非特許文献2から導くことができる。図3は、図2に示された多層可動構造もしくはカンチレバーを数学的記述で使用されたパラメータで示したものであり、固定端205と自由端207を有する。
これらのパラメータに従い、非特許文献2から出発して、熱効果によるカンチレバーの自由端207の歪みδは、次式によって得られる。
ここでEiは、層iのヤング率であり、
tiは、層iの厚さであり、
Lは、アクチュエータの長さ(図2に示す長さ218)であり、
αiは、層iの熱膨張率であり、
hiは、層iの頂部と、始点(h0=0)として用いられる積層体の底部との間の距離であり、
ΔTは、デバイスが経験する動作温度と基準温度との差である(典型的には250°C)。
熱効果を(少なくとも部分的に)補償し、歪みゼロ度を提供するために、目標は、ΔTにかかわりなくδ=0であるような熱補償層206の材料と厚さを選択することである。式1およびcの値に従い、ビームの歪みに対して最初に次式が導かれる。
ここでδは、温度による歪み変化を表し、上方歪みは、正の値であり、
ΔT0は、デバイスの全動作温度範囲であり、
dijは、それぞれ層の中心で測定された層iと層jとの間の距離であり、
zijは、層jが層iの上に位置するときには「1」に等しく、層jが層iの下に位置するときには「−1」に等しい。
そこで熱効果を取り除くための条件は、次のように記述できる。
式2によって記述される歪みは、式3aによって与えられたmの値に比例してビームに作用する曲げモーメントに起因する。m=0ならば、曲げモーメントはなく、したがって歪みもない。このように式3aをm=0について解くことによって、熱補償層206の適切な厚さを決定できる。
開示は、(図2に示すように)自由端を有するビーム構造に対する熱効果を減らすことについて記載しているが、開示は、曲げモーメントに対して敏感な他の構造、たとえば図14および図15に示された固定構造にも適用可能であることが理解されよう。この場合も曲げモーメントは、式3aによって与えられたmに比例してよい。図14および図15に開示された実施形態では、デバイスは、アンカー1208、2208によって端部で支持または固定された可動構造1203、2203を有し、可動構造1203、2203の一部上に形成された作動構造の少なくとも1層1202、2202を備えている。少なくとも1層は、可動構造の上面または可動構造1203,2203の底面に形成されてよい。図15は、作動構造の少なくとも1層が実質的に可動構造の中心部と可動構造の上面に形成されていることを示し、図14は、作動構造の少なくとも1層が可動構造の端部と可動構造の上面に形成されていることを示している。熱補償構造1206、2206は、作動構造の少なくとも1層と一緒に配置されている。作動構造は、圧電構造、静電構造、または磁歪構造であってよい。
これらの種類のトランスデューサデバイスに対して、デバイスの作動は、作動層内の応力(作動応力と呼ぶ)σの変化と等価であることが知られている。たとえば圧電作動層に対しては、次が知られている。
σ/E=d31V/T
ここでd31は、圧電係数、Vは、圧電作動層に印加される電圧、Eは、層のヤング率、Tは、作動層の厚さである。
各層の等価作動応力(最終的には0に等しい)によって定義される多層構造に対して、作動曲げモーメントmは、次式に比例する。
一例において、熱補償構造によって提供される熱補償は、正規の作動(たとえば圧電作動層に電圧を印加することによる)と比較して、mとmの比が熱作動を回避する程に十分小さくなるように設計されている。たとえば層の材料と厚さは、m/mが50%未満となるように選択されてよい。言い換えれば、一実施形態において熱補償層206の厚さの範囲は、式3aを解き、次にmとmの比に関する上記の条件、または式3aの解が存在するパーセンテージ(たとえば10%)を用いることによって得られる。
図14は、開示の他の実施形態に従い、作動構造の作動に応答して運動可能に構成された可動構造1203を有するMEMSデバイス1000を示す。可動構造1203は、アンカー1208によって機械層1204の端部で支持された機械膜もしくは機械層1204を含む機械構造1204を有する。作動構造は、機械層1204の端部に形成された、圧電層1212を含む複数の層1202を有する。作動構造の複数の層1202とは異なる少なくとも1層の熱補償層を有する熱補償構造1206は、機械層1204の端部に熱安定を促進するための作動構造の層を備えている。図2と同様の構成部材は、同じ参照符号に1000を加えて示されている。
図15は、開示の他の実施形態に従い、作動構造の作動に応答して運動可能に構成された可動構造2203を有するMEMSデバイス2000を示す。可動構造2203は、アンカー2208によって機械層2204の端部で支持された機械膜もしくは機械層2204を含む機械構造2204を有する。作動構造は、機械層2204の実質的に中心部に形成された、圧電層2212を含む複数の層2202を有する。作動構造の複数の層とは異なる少なくとも1層の熱補償層を有する熱補償構造2206は、機械層2204の実質的に中心部に熱安定を促進するための作動構造の層を備えている。図2と同様の構成部材は、同じ参照符号に2000を加えて示されている。
Ei、αi、ti、hiは、多層可動構造に関与するすべての材料について知られているので、多層可動構造を形成するために使用される製造プロセスと技術的に両立可能な多くの種々の材料を、可動構造を熱的に補償するために選択できる。実際、補償に或る材料を選択した場合、この材料についてEとαは、知られており、最後に知られていないのは、この層の適切な厚さであり、それは式3aを解くことによって決定できる。しかしながら幾つかのケースでは、式3aを解くと負の厚さが導かれることがあり、これは解が存在しないことを意味する。
式3aは、基板210に対する可動構造の歪みの目標が温度に依存しないことである場合に、熱補償層206に対して目標とする仕様を定義する。MEMSデバイスのそれぞれの用途について、製品仕様から出発して、温度範囲にわたり最大許容変更の変動δmを定義することが可能である。すなわち温度変動に起因する歪み量は、非ゼロであってよい。たとえば、RF MEMSスイッチに対してδmは、OFF状態に対するスイッチの絶縁特性を維持するように、したがってON状態に対して理論的歪みが常にギャップよりも大きくなるように定義される。一般に、室温でON状態とOFF状態との間の最大歪み変動δaによって定義されるアクチュエータについて、δmは、δaの分数、たとえば50%として定義できる。
このケースで式2は、δの値をδmよりも低く設定することで、熱補償層206の仕様に対する可能な値の範囲を定義するために用いることができる。
式2を単純化する第1方法は、「熱補償層206」と呼ばれる層の厚さが、少なくとも他の幾つかの層と比べて小さいと仮定することである。より正確に言うと、熱補償206層の番号をnと選択すれば、式2は、次式によって近似できると仮定される。
ここでdij*は、層Nの厚さを考慮しない場合の層iと層jとの間の距離である。
このとき熱補償層206の厚さは、次式によって与えられる。
式5によって与えられる厚さが正であることを保証するために、積層体上の層Nの位置を下方または上方に動かして正の値を有する解を提供することができる。なぜなら層Nが、積層体の頂部(ziNは常に正)から積層体の底部(ziNは常に負)に運動すると、式5の分母の符号は、2個の反対の値を取るからである。
式5によって与えられた熱補償層206の厚さの値が許容できる解であるようにするには、非常に厚い熱補償層206を有するのを避けるために値が高過ぎてはならない。したがって、tに対して小さい値を提供するために、より厚い層の熱特性とはできるだけ異なる熱特性を有する熱補償層206を選択する方がよい。
この式2を単純化する別の方法は、すべての層の厚さが1層に比べて小さいと仮定することである。実用的な例において、この1層は、機械層204と呼ばれる。この仮定によって式2および式3は、次式によって近似できる。
ここでi=0は、厚さtを有する最も厚い機械層である。
は、代数的厚さであり、図10に例示するように機械層の上では正、機械層の下では負であり、
および
である。
この場合、すべての層1〜n−1(上記nを除く)に対して与えられた材料から出発すると、n番目の層に対して常に与えられた代数的厚さ(すなわち厚さと位置(頂部または底部))があり、次式によって表される。
熱膨張率の値に依存して、熱補償層206の位置は、作動層202の側か、またはその反対側であることができる。熱補償層206の代数的厚さは、熱膨張率に依存するだけでなく、熱補償層206に使用される材料のヤング率の値にも依存する。2次熱効果を呈する補償層のみ有することを避けるために、機械層204の熱膨張率とは異なる熱膨張率を有する熱補償層206が使用されてよく、これは式5から推定されたことを確認する。
式5または式7は、近似された解に対する第1組のパラメータを見いだすために使用できる。次にこの第1組は、式4または有限要素シミュレーションを用いて調節できる。
再び式5および式7は、熱補償層206に対して目標とする厚さを与え、式6aは、δをδmと比較して許容値の範囲を定義するために用いられる。
熱補償に対する解が見出されたら、式4aおよび式6aは、一般に次式によって表すことができる。
δ=a・t−δ
ここでδT,0とaは、tの値に依存せず、同じ符号を有する(なぜならaT,0に対するδの比は、熱効果解消に対する厚さだからである)。
式4は、たとえばδT,0とaの値を次の通り与える。
式6aは、たとえばδT,0およびaTの値を次のように与える。
この場合、δmの与えられた値よりも低い最大熱歪みについて、熱補償層206に対する可能な厚さの範囲は、
可動構造203の互いに異なる層における残留応力は、たとえば単層材料を有するシリコンウェーハの歪みを測定する一方で、たとえば同じ焼きなまし温度を用いて全プロセスフローの効果を考慮することによって測定される。
この段階で、MEMSデバイスは、「自然に」平衡することができて(以下に定義する)歪みが無いか、またはMEMSデバイスは、「自然に」正しい所定歪みを有することができ、したがって応力を平衡させるために追加的な歪みを加える必要はない。
より典型的には、MEMSデバイスは、応力平衡していない(または所望された所定歪みを有していない)。それゆえ目標または所望の歪みを得るために応力を調整する必要がある。
機能層もしくは作動層202または熱補償層206の応力は、通常調整するのが困難である。なぜならこれらの層は、他のデバイス特性、たとえば圧電定数および/または熱膨張率によってよって決定される特殊な特性を有する特殊な材料から作られているからである。これは、たとえばPZTで作られる圧電層および関連した電極層にも該当する。なぜなら残留応力は、PZTによって課せられる結晶化のための焼きなましによって決定されるからである。これはまた同様にTIN熱補償層にも該当する。
ゼロ歪みまたは、所定歪みを有する応力平衡したデバイス構造を製造するために、ここに記載された例においてシリコンまたは窒化/酸化シリコンからなる主要な機械層の応力を調整できる。たとえばシリコン機械層では、機械層の応力は、堆積/焼きなまし温度によって制御でき、窒化シリコン機械層では応力は、堆積温度で制御できる。
非特許文献2から出発して、応力と熱効果を考慮するための式2を一般化して、次式に到達することが可能である。
ここでσiは、層i内の残留応力である。
温度変動に比例する平衡の構成要素から、以下のように式3aが導かれる。(温度変動に関する)定数項は、定義によって残留応力δRによる歪みである。
ゼロ初期歪みを達成するために、次の条件が適用されてよい。
式11aによって記述される歪みは、ビームに作用する残留応力曲げモーメントに起因し、これは式11bによって与えられる値mσに比例する。mσ=0のとき、曲げモーメントは存在せず、歪みはない。
単純化するために、以下の記述は、式11bから出発して、応力平衡または応力補償を達成して可動構造のゼロ残留平衡が生じることを目標とする(たとえばリリース時およびデバイス非アクティブな状態または、作動されていない状態)。上述したように、残留歪み量は、用途に応じて非ゼロであってよい。非ゼロ歪みを生じる応力調整に対する要件を決定するために同じ分析方法を適用できることが理解されよう。
開示は、(図2に示すように)自由端を有するビーム構造に対する熱効果を減らすことについて記載しているが、開示は、曲げモーメントに対して敏感な他の構造、たとえば図14および図15に示された固定構造にも適用可能であることが理解されよう。この場合も曲げモーメントは、式11bによって与えられたmσやmに比例してよい。
機械層内の応力の調整に関する問題は、往々にしていつ残留歪みの調整を試みるかという問題でもあるので、層の厚さに関して上記と同じ仮定(機械層は、他の層よりも大きい−薄層の場合)をすることができ、熱効果に対しては式6b、応力効果に対しては式12という2種類の式が導かれる。
熱補償層206に対する材料を選択すると、作動層202の主要熱膨張率に近い熱膨張率を有する熱補償層に至る(式4で定義)。これは温度補償層と作動層が同じ材料からなる場合に該当するが、たとえばPt電極と窒化チタンによって形成された熱補償層とを有するPZT積層体にも該当する。なぜならPZTは、TiNに比べてヤング率が低く、PtとTiNは、互いに類似の熱膨張率を有するからである。
熱補償層206と作動層202の熱膨張率が近ければ、式6bから出発する可動構造の熱平衡は、次式のようになる。
同時に、式8bから出発する応力平衡は、次式によって定義される。
もし
であるならば、式13の故に式14は、機械層の残留応力のすべての値に対して満たされ(「自然に平衡した」ケースと呼ばれた)デバイス構造では平衡している。しかし、このようなケースは、一般的ではなく、式13の故に応力を平衡させるために機械層内で必要とされる応力レベルは、過大で達成できないことがある。
一例において、離散応力勾配(またはより一般的には応力勾配)は、機械層204に隣接して熱応答特性が機械層と実質的に等しい材料で形成された応力補償層207によって機械層204に付加される。たとえば応力補償層207は、機械層204と同じ熱膨張率を有する材料か、または機械層の材料に実質的に近いか類似の熱膨張率を有し、ヤング率が(他の層に比べて)低い材料で形成される。
番号kの応力補償層がビーム204(番号0)に付加されたら、この新しい層の熱効果を制限するための条件は、(他のすべてのi層に対して)次式によって与えられる。
(α−α)<<E(α−α) 式15 。
一例において、SiNによって形成されてデバイスの熱挙動に対する影響を無視できるMEMSデバイスは、たとえば膜化学量論を調整することで応力レベルが互いに異なる(熱膨張率は、実質的に等しい)2層のSiNを使用することによって達成できる。すなわち機械層204は、あるSi−N比のSiNで形成され、応力補償層207は、別のSi−N比のSiNで形成される。別例において、デバイスの熱挙動に与える影響を無視できることは、SiNまたは多結晶Si機械層204に隣接する応力補償層207に二酸化シリコン層を代わりに使用することによって達成できる。この後のケースでは、二酸化シリコンは、熱膨張率がSiNまたは多結晶Siの熱膨張率に近く、ヤング率が低い。
式11aと式11bを単純化する第1方法は、「機械層」(層番号0)と呼ばれる層の厚さが、当該層の上と下に位置するすべての層の総厚と比べて大きいと仮定することである。この場合、機械層204と応力補償層207(層番号k)の垂直方向で与えられる応力勾配の値は、機械層と応力補償層の厚さによって決定され、これら2層の応力値の差は、次式によって与えられる。
式11aと式11bを単純化する第2方法は、「応力補償層207」と呼ばれる層の厚さが、少なくとも他の幾つかの層と比べて小さいと仮定することである。結果は、式4と式5によって記述されたものと同じであるが、ここでは残留歪みに対して式17aを与える式4と、厚さに対して式17bを与える式5とによって、αiは「−σi/Ei」に置き換えられる。同じ条件が式17bに適用され、厚さに対して正の解を見出すために応力補償層を頂部から底部に動かすことができる。
式11aと式11bを単純化する第3方法は、機械層と応力補償層が同じヤング率を有し、互いの頂部に位置すると仮定することである。これは、両層に対して同じ材料が使用される場合、たとえばSiドーピングによって応力を制御したSiNが使用される場合に該当する。
これは、式18aと式18bを与える。
ここで機械層と応力補償層とを比較したとき、
他の層の底部に位置する層は、厚さr×t、応力σ−δσ/2であり、
他の層は、厚さが(1−r)×tであり、応力σ+δσ/2である。
は、これら2層のヤング率である。
iは、応力層または機械層に対する層iの位置を比較することで事前の変換によって定義される。
Ti=2r(1−r)+z0i×(2r−1)である。
式18bは、2層の応力の差の値を、それらの層の厚さの関数として与える。式18bは、常に数学的解を持っており、厚さrの差は、選択された材料で使用できる解を見出すために用いることができる。
熱補償に関して、応力補償の解が見出されたときには、式17aは、次の一般的な形にすることができる。
δ=α・t−δR,0 式19 。
ここでδR,0とaRは、tの値に依存せず、同じ符号を持ち(比は、応力補償層に対する厚さであるから)、次式によって表すことができる。
この場合、熱補償に関して、最大残留歪みが与えられたδmの値よりも低い場合、応力補償層に対して可能な厚さ範囲は、
ここでδRmは、用途に対して許容可能な初期歪みの不確実性である。
式18aは、次の形にすることができる。
δ=ασ・δσ−δσ,0 式21 。
次に式20に類似した式22を導くことができる。
熱補償とδmに関して、δRmは、用途の仕様によって定義される。一般に、室温下でON状態とOFF状態との間の最大歪み変動δaによって定義されるアクチュエータに対して、残留応力に対するδRmは、δaの分数として、たとえば20%と定義できる。
目標とする歪みがゼロでない場合は、同じ計算を適用できる。式20は、式23によって置き換えられ、式21は、式24によって置き換えられる。
ここでδR*は、目標とする歪みである。
したがって、ここに記載する例において、熱補償層206の構造が決定されたら、応力補償層207の構造が決定される。単層を有する応力補償層207の場合、この決定は、たとえば応力補償層207の材料を、機械層204の材料と両立できる材料のリストから選択することを含む。
式11bは、可動構造203の結果として生じる実質的にゼロであるべき場合に、応力補償層207に対する目標とする厚さと応力値を提供することが理解されよう。非ゼロ歪みを提供するために、所定範囲の歪み値に対して補償層207の与えられた特性について式11aで一般化することによって歪みを計算できる。
一例において、補償層によって提供される応力補償は、残留応力に起因する曲げモーメントmσ(式11b参照)と作動に起因する曲げモーメントm(式3bによって定義)が、正規の作動(たとえば圧電作動層に電圧を印加することによる)と比較して、応力作動を回避する程に十分小さくなるように設計されている。たとえば層の材料と厚さは、mσ/mが50%未満となるように選択されてよい。言い換えれば、一実施形態において補償層の厚さの範囲は、式11bを解き、次にmσとmの比に関する上記の条件または式11bの解が存在するパーセンテージ(たとえば10%)を用いることによって得られる。
熱補償に関して、歪み値の範囲は、最大歪み変動δmによって定義できる。
熱効果に対する熱補償と応力効果に対する応力補償とを備えるよりも応力効果と熱効果を一緒に補償する第1補償層と第2補償層とを有する例において、第1補償層と第2補償層は、同時に熱補償と応力補償を提供するために式4bと8bに従って選択され、または他の層で与えられた応力の値に対して歪みを所定範囲内(ゼロに近いか近くない)で制御するために式4aと式4bでよいことが理解されよう。
図2に示す例において、作動層202は、ビーム204上で長さ218にわたって延び、熱補償層206は、ビーム204上で実質的に同じ長さ218にわたって延び、作動層202と熱補償層206は、ビーム204に対して実質的に平行な平面内で実質的に等しい被覆区域を有する。ビーム204上で等しい面積を有することによって、ビーム204の全長に沿って熱効果によって引き起こされるモーメントは、解消するか、少なくとも減少する。
一例において、作動層202は、第1電極214と第2電極216との間に形成された圧電層212を含む、少なくとも1個の圧電キャパシタを有してよい。作動層202は、代替として、参照によってこれに組み込まれる特許文献1に開示された配置構成におけるように複数の圧電キャパシタを有してよい。一例において、圧電層212は、PZT材料によって形成されてよく、したがってPZT層212を含み、第1電極214と第2電極216は、プラチナ電極である。作動層202がPt/PZT/Pt層を含むので、熱補償層206の熱膨張率が作動層202を熱的に補償するために、熱補償層206は、プラチナ層、窒化チタン層、ケイ化タングステン層、チタンタングステン層、窒化チタンタングステン層、窒化タングステン層、または類似の材料のその他の層、またはこれらの材料を組み合わせた1層もしくは2層を含んでよい。窒化チタン熱補償層206を有する例では、窒化チタン熱補償層206の熱膨張率は、約8〜9ppm/°Cであり、Pt/PZT/Pt作動層の熱膨張率は、9.5ppm/°Cであり、窒化ケイ素によって形成されたビーム204の熱膨張率は、2〜3ppm/°Cであり、したがって熱平衡を達成できる。
応力補償層207は、たとえばビーム204が窒化シリコンビームまたは他のタイプのシリコンビームであるとき、二酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化・窒化・酸化シリコン層または他の類似の材料を含んでよい。窒化シリコンビーム204と一緒に形成された窒化シリコン応力補償層207の場合、応力補償層207とビーム204とで互いに異なる堆積プロセス処方を有することによって応力平衡を達成するために、窒化シリコン応力補償層207応力は、窒化シリコンビーム204とは異なるように整えられている。応力補償層207の材料と応力は、垂直応力平衡を提供する一方で、デバイスの熱平衡に与える影響を無視できるように、MEMSトランスデューサデバイスの層全体で応力勾配が保証されるように選択されている。
図4は、図2に示すPZT作動ビームの種々の動作温度における歪みの変動を、窒化チタン熱補償層206と窒化シリコンビーム204を有する種々の応力補償層207について示したグラフである。曲線300は、厚さ150nmの窒化チタン熱補償層206と、残留応力600MPaを有する窒化シリコンビーム204(すなわちこの構造は、応力補償層207を持たない)について温度の変化に伴う歪みの変動を表す。曲線304は、厚さ120nmの窒化チタン熱補償層206と、厚さ0.2μmで残留応力400MPaを有する窒化シリコン応力補償層207と、厚さ0.8μmで残留応力600MPaを有する窒化シリコンビーム204について温度の変化に伴う歪みの変動を表す。曲線306は、厚さ120nmの窒化チタン熱補償層206と、厚さ0.2μmで残留応力500MPaを有する窒化シリコン応力補償層207と、厚さ0.8μmで残留応力600MPaを有する窒化シリコンビーム204について温度の変化に伴う歪みの変動を表す。曲線308は、厚さ120nmの窒化チタン熱補償層206と、厚さ0.2μmで残留応力500MPaを有する窒化シリコン応力補償層207と、厚さ0.8μmで残留応力700MPaを有する窒化シリコンビーム204について温度の変化に伴う歪みの変動を表す。グラフから見ることができるように、構造の応力平衡を調整するために窒化シリコン応力補償層207を使用することで、温度に対するビーム204の歪みは、実質的に平坦であり、歪みの値は、応力補償層207の応力によって調整できる。
図14または図15に示すような固定された構造では、応力の平均値は、構造の弾性の変化を誘発する。これは、多層構造の異なる層と熱効果に起因する応力勾配と比較すると、歪みに対する2次効果である。機械構造の熱膨張率が基板に近い場合は、特にそうである(これは基板がケイ素基板であり、ビームが窒化ケイ素であるケースである)。
図2〜図9は、本開示の実施形態に従う電気機械トランスデューサデバイスを形成する方法の例を説明する。単純化するために図には、トランスデューサデバイスの一部しか示されていない。
図5に示すように、半導体基板400が設けられ、この半導体基板400の上に犠牲層402が形成されている。ここに記載する半導体基板は、任意の半導体材料または材料の組合せ、たとえば窒化ガリウム、炭化ケイ素、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコン、単結晶シリコン等、および上記材料の組合せからなることができる。たとえば犠牲層402は、厚さ1μmのアモルファスシリコン層であり、プラズマ加速化学的気相成長法(PECVD)を用いて堆積されてよい。犠牲層402の厚さが熱補償層206(図2)と基板400(図2の200)との間の空隙の高さを決定する。犠牲層402は、他の材料、シリコン、ポリシリコン、二酸化ケイ素によって形成されてよい。
図6に示すように、次に犠牲層402の上に層405が堆積されて、パターン形成およびエッチングされた後、熱補償層206を形成する。一実施形態において、それから層405の上に層411が形成されて、パターン形成およびエッチングされた後、応力補償層207を形成する。次に層405および411は、パターン形成およびエッチングされて、熱補償層206と応力補償層207を形成する(図2)。例示された方法において、層405および411は、シングルマスクを用いてエッチングできる。これによって熱補償層206と応力補償層207を、シングルマスクを用いて形成することが可能となり、プロセス段階とコストが減少するとともに、応力補償層207が熱補償層206に等しい被覆区域を有することが保証されて、応力平衡と熱補償を達成するのを助ける。
図示された実施形態において、層405は、物理蒸着法(PVD)で堆積された単層の窒化チタンであり、厚さ10nm〜300nmの単層の熱補償層206を形成する。熱補償層206に使用されてよい他の材料は、プラチナ、窒化チタン、タングステンシリコン、チタンタングステン、チタン、窒化タングステン、窒化タングステン、またはその他の類似の材料もしくはこれらの材料の組合せを含む。2層以上を含む熱補償層206の場合は、他の層はこの段階で堆積、パターン形成およびエッチングされてよい。層の数、1以上の層に使用される材料のタイプ、および各層の厚さは、ビーム204と作動層202の熱効果を補償し、または平衡させる所望の熱効果に従って選択され、したがって上述したようにビーム204と作動層202のそれぞれの厚さと熱応答特性に応じて選択されてよい。
図示された例において、層411は、プラズマ加速化学的気相成長法を用いて堆積された単層の窒化シリコンであり、これは、厚さ0.1μm〜0.5μmの単層応力補償層207を形成する。応力補償層207に使用されてよい他の材料は、酸化シリコン、酸窒化タングステン、またはこれらの任意の組合せを含む。層の数、1以上の層に使用される材料のタイプ、および各層の厚さは、ビーム204と作動層202の熱効果を補償し、または平衡させる所望の熱効果に従って選択され、したがって上述したようにビーム204と作動層202のそれぞれの厚さと熱応答特性に応じて選択されてよい。
図8に示すように、犠牲層402の上に、層408と熱補償層206が堆積される。それから層408は、パターン形成およびエッチングされて、最終的に許可される構造に支持と機械的強度を与えるビーム204を形成する。一実施形態において層408は、低圧化学蒸着法(LPCVD)を用いて堆積される窒化ケイ素層である。しかしながら層408には、他の材料、たとえば二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコン、ポリシリコン、窒化アルミニウム、または類似の誘電材料が使用されてよい。層408は、図9の圧電層212に用いられるエッチング法に応じてこの段階または後の段階でパターン形成できる。たとえば図9の圧電層212がドライエッチングプロセスでエッチングされる場合、層408は、この段階でパターン形成できる。図9の圧電層212がウェットエッチングプロセスを用いてエッチングされる場合、層408は、後の段階でパターン形成されて、基底に位置する犠牲層402をエッチング剤から保護する働きをする。
図9に示すように、次に第1電極214が層408の上に形成される。第1電極214は、たとえばスパッタリング法と当業界で公知のリフトオフプロセスを用いて形成できる。一実施形態において、第1電極214は、厚さ50nm〜500nmのプラチナ電極である。他の実施形態において、第1電極214は、酸化ルテニウム、イリジウム、酸化イリジウム、ルテニウム、二酸化ルテニウム、金、銅、または他の適切な金属によって形成されてよい。
次に第1電極214の上に、圧電層212が形成される。圧電層212は、たとえば厚さ50nm〜3μmのPZT層からなり、たとえばゾルゲル法を用いて堆積され、それからパターン形成され、多様なドライエッチング技術またはウェットエッチング技術でエッチングされる。圧電層212のための代替材料は、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、PLZT、PMNT、または類似の材料を含む。
次の圧電層212の上に、第2電極216が形成される。第2電極216は、たとえばスパッタリング法と当業界で公知のリフトオフプロセスを用いて形成できる。一実施形態において、第2電極216は、厚さ50nm〜500nmのプラチナ電極である。他の実施形態において、第2電極216は、酸化ルテニウム、イリジウム、酸化イリジウム、ルテニウム、二酸化ルテニウム、金、銅、または他の適切な金属によって形成されてよい。第2電極216は、第1電極214と同じ材料か、または異なる材料によって形成されてよい。互いに同じ材料によって第1電極214と第2電極216を形成することで、全体のプロセスが簡潔化される。
熱補償層206とPt/PZT/Pt層202は、ビーム204の表面上に等しい被覆区域を有するように構成されている。互いに異なる層を整合させるためにフォトリソグラフィーが用いられてよい。
次に、図示されないが、幾つかの積層された圧電キャパシタを有する構造を提供するために追加の圧電層が形成されてよい。
図示および説明されないが、MEMSスイッチデバイス200を構成する間に、可動構造203を基板210上に支持するために少なくとも1個のアンカー208が形成されることが認識されよう。
この後はMEMSトランスデューサデバイスの製造は、標準プロセスに従って続けられてよい。これは、たとえば焼きなまし段階の実行および最後の金属層の形成を含んでよい。さらに、犠牲層402および406が当業界で公知の化学的除去法、たとえばフッ化水素酸によって取り除かれて、図2に示すような構造を提供する。
上述したように、単純化するためにトランスデューサデバイスの一部のみの製造について記載した。デバイスの他の要素、たとえばスイッチ接点パッドやアンカー208をいかに形成するかは、当業者にとって明白であろう。
要約すると、たとえば図2に基づいて説明したトランスデューサデバイスは、少なくとも1層の作動層と機械層を含む可動構造の熱効果を平衡させ、もしくは補償するために熱補償層206を使用して、広い温度範囲にわたって熱的に安定なデバイスを提供する。要約すると、たとえば図2に基づいて説明されたトランスデューサデバイスは、少なくとも1層の作動層とビームを含む可動構造の熱効果を平衡させ、もしくは補償して、広い温度範囲にわたって熱的に安定なデバイスを提供するための熱補償層と、少なくともビームと作動層の熱効果を調整もしくは補償するための応力補償層とを使用する。応力補償層は、トランスデューサデバイスの他の機能層によって生み出された応力勾配を保証するための応力勾配を生成して、制御されたビーム歪みを有する構造を実現する。図2に示す応力補償層と熱補償層のように2層の補償層を使用することによって、堆積プロセスのパラメータを調整して応力を平衡させる公知の方法に比べ、より自立的に応力平衡と熱平衡を制御することができる。これによって種々互いに異なる補償層のための補償材料をより広範囲に選択することが可能となる。少なくとも1層の作動層とは異なる熱補償層206、たとえば1層もしくは2層のみ含み、またはプロセスと両立可能な異なる金属で形成された熱補償層206を用いることで、開示に従うトランスデューサデバイスは、作動構造と対称的な補償構造を用いる必要がなく、したがってコストの著しい増加や複雑なプロセスを伴うことなく熱的安定を達成できる。圧電作動デバイスの場合、非常に複雑な対称的補償構造を回避できるが、これは対称的補償構造に比べて著しく少ない製造工程バリエーションに基づき所定数の処理段階とバリエーションで熱平衡を達成できることを意味する。また、機械層を堆積する前に補償構造を形成することで汚染問題も回避できる。
一例において、応力補償層の熱応答特性は、ビームと同じに整えられているため、応力補償層は、熱補償層によって提供される熱平衡に無視できる程度の影響しか与えない。
以上、発明は、片持ちビーム構造に関して説明された。しかしながら、上述した熱補償層206は、他のビーム構成(たとえば二重支持ビーム)またはプレート、または少なくとも1個の自由端もしくは少なくとも1個の非支持端もしくは固定構造(支持端または固定端)を有する類似の配置構成にも適用でき、片持ちビーム構造に限定されるものでないことは、認識されよう。より一般的には上述した熱補償構造は、曲げモーメントを誘起するために層内に応力を生成させることによって作動されるように設計されたデバイスに適用できる。
この明細書において発明は、発明の実施形態の特定の例に関して説明された。しかしながら、特許請求の範囲に記された発明のより広い範囲を逸脱することなく、様々な変容および変更が可能であることは、明らかであろう。

Claims (16)

  1. 半導体基板(210)上に形成されたマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)であって、
    前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)は、作動構造(202)の作動に応答して運動可能に構成された可動構造(203)を有し、
    前記可動構造(203)は、
    第1熱応答特性と第1機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の機械層を備えた機械構造(204)と;
    前記第1熱応答特性とは異なる第2熱応答特性と、前記第1機械応力応答特性とは異なる第2機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の前記作動構造(202)と;
    第3熱応答特性と第3機械応力応答特性とを有する第1補償層(206)と;
    第4熱応答特性と第4機械応力応答特性とを有する第2補償層(207)と
    を有し、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記可動構造(203)の運動が温度変動に依存しないように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1熱応答特性と前記第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が非アクティブな状態のときに前記可動構造(203)が前記半導体基板(210)に対して相対的に所定量だけ歪むように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1機械応力応答特性と前記第2機械応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成され
    前記第1補償層(206)は、熱補償層であり、
    前記第2補償層(207)は、応力補償層であり、
    前記熱補償層(206)は、前記熱効果を補償するように構成され、
    前記応力補償層(207)は、前記応力効果を補償するように構成され、
    前記応力補償層(207)は、前記第1熱応答特性に等しい前記第4熱応答特性を有するように構成されている、
    マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス
  2. 前記可動構造(203)は、前記半導体基板(210)の表面上に形成され、
    前記所定量は、前記半導体基板(210)の表面に平行な面に対して相対的な所定範囲の歪み値を含む、
    請求項1記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  3. 前記所定量は、ゼロ歪みを含む、
    請求項1または2記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  4. 前記応力補償層(207)は、前記機械構造(204)に隣接している、
    請求項1〜3何れか一項記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  5. 前記機械構造(204)と前記応力補償層(207)とは、応力レベルが互いに異なるかつ互いに熱膨張率が同一の材料によって形成されている、
    請求項1〜4何れか一項記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  6. 前記熱補償層(206)は、前記作動構造(202)とは異なる、
    請求項1〜5何れか一項記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  7. 前記熱補償層(206)は、前記応力補償層(207)とは反対側で前記機械構造(204)に隣接している、
    請求項1〜6何れか一項記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  8. 前記作動構造(202)の少なくとも1層は、第1材料によって形成され、
    前記熱補償層(206)は、前記第1材料とは異なる第2材料によって形成されている、
    請求項1〜7何れか一項記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  9. 半導体基板(210)上に形成されたマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)であって、
    前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)は、作動構造(202)の作動に応答して運動可能に構成された可動構造(203)を有し、
    前記可動構造(203)は、
    第1熱応答特性と第1機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の機械層を備えた機械構造(204)と;
    前記第1熱応答特性とは異なる第2熱応答特性と、前記第1機械応力応答特性とは異なる第2機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の前記作動構造(202)と;
    第3熱応答特性と第3機械応力応答特性とを有する第1補償層(206)と;
    第4熱応答特性と第4機械応力応答特性とを有する第2補償層(207)と
    を有し、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記可動構造(203)の運動が温度変動に依存しないように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1熱応答特性と前記第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が非アクティブな状態のときに前記可動構造(203)が前記半導体基板(210)に対して相対的に所定量だけ歪むように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1機械応力応答特性と前記第2機械応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成され、
    前記第1補償層(206)は、熱補償層であり、
    前記第2補償層(207)は、応力補償層であり、
    前記熱補償層(206)は、前記熱効果を補償するように構成され、
    前記応力補償層(207)は、前記応力効果を補償するように構成され、
    前記熱補償層(206)と、前記可動構造(203)の一部を形成する前記作動構造(202)とは、互いに前記機械構造(204)の反対側に形成されている、
    イクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  10. 半導体基板(210)上に形成されたマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)であって、
    前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)は、作動構造(202)の作動に応答して運動可能に構成された可動構造(203)を有し、
    前記可動構造(203)は、
    第1熱応答特性と第1機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の機械層を備えた機械構造(204)と;
    前記第1熱応答特性とは異なる第2熱応答特性と、前記第1機械応力応答特性とは異なる第2機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の前記作動構造(202)と;
    第3熱応答特性と第3機械応力応答特性とを有する第1補償層(206)と;
    第4熱応答特性と第4機械応力応答特性とを有する第2補償層(207)と
    を有し、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記可動構造(203)の運動が温度変動に依存しないように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1熱応答特性と前記第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が非アクティブな状態のときに前記可動構造(203)が前記半導体基板(210)に対して相対的に所定量だけ歪むように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1機械応力応答特性と前記第2機械応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成され、
    前記作動構造(202)は、複数の層を有し、
    前記複数の層(202)は、当該複数の層の作動に応答して運動可能である前記可動構造(203)の一部を形成し、
    前記作動構造(202)の前記複数の層は、第1電極層(214)と第2電極層(216)との間に圧電層(212)を有する、
    イクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  11. 前記作動構造(202)はさらに、前記半導体基板(210)上に形成された層を有している、
    請求項10記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  12. 前記可動構造(203)の一部を形成する前記作動構造(202)の少なくとも1層は、前記機械構造(204)に対して平行な面内で第1区域を占め、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記機械構造(204)に対して平行な面内で第2区域を占め、
    前記第2区域は、前記第1区域に等しい、
    請求項10または11記載のマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  13. 半導体基板(210)上に形成されたマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)であって、
    前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)は、作動構造(202)の作動に応答して運動可能に構成された可動構造(203)を有し、
    前記可動構造(203)は、
    第1熱応答特性と第1機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の機械層を備えた機械構造(204)と;
    前記第1熱応答特性とは異なる第2熱応答特性と、前記第1機械応力応答特性とは異なる第2機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の前記作動構造(202)と;
    第3熱応答特性と第3機械応力応答特性とを有する第1補償層(206)と;
    第4熱応答特性と第4機械応力応答特性とを有する第2補償層(207)と
    を有し、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記可動構造(203)の運動が温度変動に依存しないように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1熱応答特性と前記第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が非アクティブな状態のときに前記可動構造(203)が前記半導体基板(210)に対して相対的に所定量だけ歪むように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1機械応力応答特性と前記第2機械応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成され、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、材料の熱膨張率とヤング率とに従って選択された材料によって形成され、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)のそれぞれは、前記熱効果と前記応力効果を補償するために所定厚さを有し、
    前記第1補償層(206)は、熱補償層であり、
    前記第2補償層(207)は、応力補償層であり、
    前記熱補償層(206)の所定厚さは、次式を解くことによって得られ、
    前記応力補償層(207)の所定厚さは、次式を解くことによって得られ、
    ここでEiは、層iのヤング率であり、
    tiは、層iの厚さであり、
    αiは、層iの熱膨張率であり、
    dijは、それぞれの層の中心で測定された層iと層jとの間の距離であり、
    zijは、層jが層iの上に位置するときには「1」に等しく、層jが層iの下に位置するときには「−1」に等しい、
    イクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス。
  14. 半導体基板(210)上にマイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)を形成する製造方法であって、
    前記製造方法は、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が有する可動構造(203)を形成することを含み、前記可動構造(203)は、動構造(202)の作動に応答して運動可能に構成され、
    前記可動構造(203)を形成することは、
    第1熱応答特性と第1機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の機械層を備えた機械構造(204)を提供することと;
    前記第1熱応答特性とは異なる第2熱応答特性と、前記第1機械応力応答特性とは異なる第2機械応力応答特性とを有する少なくとも1層の前記作動構造(202)を提供することと;
    第3熱応答特性と第3機械応力応答特性とを有する第1補償層(206)を提供することと;
    第4熱応答特性と第4機械応力応答特性とを有する第2補償層(207)を提供することと
    を含み、
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記可動構造(203)の運動が温度変動に依存しないように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1熱応答特性と前記第2熱応答特性とによって生み出される熱効果を補償するように構成され、かつ
    前記第1補償層(206)と前記第2補償層(207)とは、前記マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)が非アクティブな状態のときに前記可動構造(203)が前記半導体基板(201)に対して相対的に所定量だけ歪むように、前記機械構造(204)と前記作動構造(202)との互いに異なる前記第1機械応力応答特性と前記第2機械応力応答特性とによって生み出される応力効果を調整するように構成され
    前記第1補償層(206)は、熱補償層であり、
    前記第2補償層(207)は、応力補償層であり、
    前記熱補償層(206)は、前記熱効果を補償するように構成され、
    前記応力補償層(207)は、前記応力効果を補償するように構成され、
    前記製造方法はさらに、
    前記熱補償層(206)と前記応力補償層(207)の材料を、材料の熱膨張率とヤング率とに従って選択することと;
    前記熱効果と前記応力効果を補償するために所定厚さを有するように前記熱補償層(206)と前記応力補償層(207)とのそれぞれを構成することと
    を含み、
    前記熱補償層(206)の所定厚さは、次式を解くことによって得られ、
    前記応力補償層(207)の所定厚さは、次式を解くことによって得られ、
    ここでEiは、層iのヤング率であり、
    tiは、層iの厚さであり、
    αiは、層iの熱膨張率であり、
    dijは、それぞれの層の中心で測定された層iと層jとの間の距離であり、
    zijは、層jが層iの上に位置するときには「1」に等しく、層jが層iの下に位置するときには「−1」に等しい、
    マイクロまたはナノ電気機械トランスデューサデバイス(200)の製造方法。
  15. 前記可動構造(203)は、前記半導体基板(210)の表面上に形成され、
    前記所定量は、前記半導体基板(210)の表面に平行な面に対して相対的な所定範囲の歪み値を含む、
    請求項14記載の製造方法。
  16. 前記所定量は、ゼロ歪みを含む、
    請求項14または15記載の製造方法。
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