JP5509076B2 - 免疫抑制剤の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1つまたはそれ以上の疎水性薬物を含有することが知られているか、またはその疑いのある患者サンプルのようなサンプル中の疎水性薬物、例えば、免疫抑制剤を決定するための化合物、方法およびキットに関する。
身体は複雑な免疫反応系に依存して、自己と非自己とを識別している。時には、減退した反応を向上させるか、または過剰反応を抑制させるために、身体の免疫系を制御しなければならない。例えば、腎臓、心臓、心肺、骨髄および肝臓のような臓器がヒトに移植される場合、しばしば、身体は同時移植の拒絶反応といわれるプロセスにより移植組織を拒絶する。
同時移植の拒絶反応の治療において、免疫系は、頻繁に、制御された様式において薬物治療を用いて抑制される。非自己組織の同時移植の拒絶反応の防止を補助するために、免疫抑制剤が移植レシピエントに慎重に投与される。臓器移植患者において、臓器の拒絶を防止するために投与される最も一般的な2つの免疫抑制剤は、シクロスポリン(CSA)およびFK−506(FKまたはタクロリムス)である。米国および他の国において免疫抑制剤としての使用が見出されている別の薬物は、ラパマイシンとしても知られているシロリムスである。シロリムスの誘導体はまた、免疫抑制剤として有用であると言われている。このような誘導体としては、例えば、エベロリウムなどが挙げられる。
いくつかの免疫抑制剤に関連する副作用は、患者における薬物の存在レベルを慎重に制御することにより部分的に制御され得る。最低毒性で最大免疫抑制を確保するために、免疫抑制剤の濃度および血液中の関連薬物の治療モニタリングにより投与計画を最適化する必要がある。免疫抑制剤(immunosuppressant drug)は非常に効果的な免疫抑制薬(immunosuppressive agent)であるが、有効な用量範囲がしばしば狭く、そして過剰投薬が深刻な副作用を引き起こし得るので、これらの使用は慎重に監視されなければならない。他方では、免疫抑制剤の非常に少量の投薬量が組織拒絶反応をもたらし得る。免疫抑制剤の分配および代謝が患者間で大きく変わり得るために、そして有害反応の幅広さおよび重症度のために、薬物レベルの正確なモニタリングが必要不可欠である。
免疫抑制剤のための多くの全血アッセイは、有機溶媒を使用して血液成分から薬物を抽出する手作業を必要とする。結果として、薬物分子は血漿タンパク質およびリポタンパク質粒子さらに多くの他の分子が除去されている比較的クリーンな溶液に抽出される。従って、これらのアッセイにおいて、多くの内因性物質の不在下、薬物へのアッセイ抗体の結合が起こる。しかし、血液成分から薬物の抽出または分離する手作業がない場合、均一系アッセイにおいて、免疫抑制剤および/またはそのアナログへの抗体の結合を妨害し得るほとんどまたは全ての血液成分の存在下、免疫抑制剤に対する抗体は薬物を検出しなければならない。
本発明者らは、免疫抑制剤のような疎水性薬物がコレステロールを多く含むリポタンパク質粒子(例えば、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)など)により吸収されることを認識している。薬物のためのアッセイにおいて、部分的または全ての薬物が検出抗体にアクセス不可能となるこのような方法において薬物が吸収され、結果的にアッセイにおいて検出可能な薬物の量が減少する。脂質異常症が臓器移植患者においてよく見られるので、免疫抑制剤を決定するためのアッセイは、リポタンパク質妨害に対して強靭である必要がある。
従って、患者において、免疫抑制剤またはそれらの誘導体のレベルを測定するための迅速でかつ正確な診断方法を開発することが引き続き必要である。全部ではないがほとんどの血液成分の存在下、アッセイにおいて利用される抗体が薬物を検出しなければならない場合、均一系アッセイを使用して、抽出されていない全血サンプルで実施される場合であっても、方法は完全に自動化され、そして正確にされるべきである。
本発明の1つの実施形態は、疎水性薬物を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる方法である。サンプルおよび疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤の組み合わせを含む媒体が提供され、ここで、バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも10の炭素原子の鎖を含むイオン性界面活性剤または少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位またはエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との組み合わせの鎖を含む非イオン性界面活性剤を含む。媒体中のバイオアベイラビリティー剤の濃度は、疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させるのに十分である。疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下、媒体をインキュベートする。
本発明の別の実施形態は、疎水性薬物を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物を決定する方法である。媒体中で組み合わせが形成され、この組み合わせは、サンプル、溶血素、および疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤を含む。バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも10の炭素原子の鎖を含むイオン性界面活性剤または少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位またはエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との組み合わせの鎖を含む非イオン性界面活性剤を含む。媒体中のバイオアベイラビリティー剤の濃度は、疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させるのに十分である。サンプル中で細胞を溶血させ、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下、媒体をインキュベートする。サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を決定するための試薬を媒体に添加し、この試薬は、疎水性薬物に対する少なくとも1つの抗体を含む。媒体を、疎水性薬物および疎水性薬物に対する抗体を含む複合体の存在について試験する。複合体の存在および/または量は、サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を示す。
本発明の別の実施形態は、免疫抑制剤を含有することが疑われるサンプル中の免疫抑制剤を決定する方法である。媒体中で組み合わせが形成され、この組み合わせは、サンプル、溶血剤(hemolytic agent)および上記のような疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤を含む。サンプル中で細胞を溶血させ、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下、媒体をインキュベートする。免疫抑制剤またはそれらのアナログを含む磁性粒子と酵素を含む免疫抑制剤に対する抗体を媒体中で混合し、次いでこれを免疫抑制剤および免疫抑制剤に対する抗体を含む複合体の存在について試験する。複合体の存在および/または量は、サンプル中の免疫抑制剤の存在および/または量を示す。
本発明の別の実施形態は、免疫抑制剤を含有することが疑われるサンプル中の免疫抑制剤を決定する方法である。媒体中で組み合わせが形成され、この組み合わせは、サンプル、溶血剤および上記のような疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤を含む。サンプル中で細胞を溶血させ、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下、媒体をインキュベートする。(i)第一の粒子と関連し、そして一重項酸素を生成し得る光増感剤、および(ii)一重項酸素により活性化可能となり、そして第二の粒子に関連する化学発光組成物を媒体に添加する。第一の粒子または第二の粒子またはその両方は、免疫抑制剤に対する抗体を含む。存在する場合、免疫抑制剤に抗体が結合する状態に組み合わせを供する。光増感剤に光を照射し、そして化学発光組成物により生成された発光の量を検出する。発光の量は、サンプル中の免疫抑制剤の量に関連する。
あるいは、上記の実施形態において、第一の粒子または第二の粒子の一方が抗体を含み、そして他方の粒子が免疫抑制剤に対する薬物アナログを含む。存在する場合、薬物アナログコーティング粒子と免疫抑制剤が薬物に対する抗体で競合する状態に組み合わせを供する。あるいは、上記の実施形態において、第一の粒子または第二の粒子がストレプトアビジンを含み、これは媒体中で免疫抑制剤に対するビオチン化アナログと混合される。ビオチン化薬物アナログと免疫抑制剤が薬物に対する抗体で競合する状態に組み合わせを供する。上記の代替実施形態のいずれかにおいて、光増感剤に光を照射し、そして化学発光組成物により生成された発光の量を検出する。発光の量は、サンプル中の免疫抑制剤の量に関連する。
特定の実施形態の詳細な説明
一般的な説明
現行方法は、内因性血液成分により、とりわけ、リポタンパク質、および特にトリグリセリドおよびコレステロールにより引き起こされる妨害の軽減に焦点を合わせている。本方法は、アッセイの前に、例えば、リポタンパク質を含み得る血液成分のようなサンプルの他の成分から疎水性薬物を抽出または分離しない完全自動化均一系アッセイに適用される。「抽出手作業がない」アッセイにおいて、全血サンプルのようなサンプルは、媒体中で溶血素と混合され、溶血が可能となるインキュベート期間に続いて、疎水性薬物についてのアッセイを実施するための試薬を媒体に添加し、そしてアッセイを実施する。薬物のためのアッセイにおいて、疎水性薬物のアベイラビリティーを向上させるバイオアベイラビリティー剤と共に疎水性薬物を含有することが疑われるサンプルをインキュベートし、その後、アッセイの間、薬物に対する抗体に結合させることにより、疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させ、サンプルの他の成分が存在する薬物の存在および/または量を検出し得ることが見出されている。
本明細書中で使用される場合、用語「疎水性薬物」とは、薬物、通常、治療薬をいい、この薬物は、薬物のためのアッセイにおいて、吸収が薬物定量を妨害する程度までリポタンパク質により吸収される特徴を示す。薬物定量の妨害とは、アッセイにおいて薬物を正確に定量する能力を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%減少させることを意味する。
リポタンパク質は、両親媒性脂質の表面単分子層(リン脂質および非エステル化コレステロール)で取り囲まれた非極性脂質コアおよびアポリポタンパク質と呼ばれる特定のタンパク質からなる球形粒子である。多くの異なるリン脂質は、リポタンパク質の被膜に取り込まれ、より一般的なものはホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびスフィンゴミエリンである。伝統的に、血漿リポタンパク質は、それらの密度に従って分類され、そして分離され、そして5つの主要なカテゴリーに分けられる:カイロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、および高密度リポタンパク質(HDL)。本方法に従って、リポタンパク質からの妨害を効果的に軽減するために、バイオアベイラビリティー剤はトリグリセリドおよびコレステロールの妨害の両方を軽減させるか、または実質的に減少させるべきである。
疎水性薬物の例は、免疫抑制剤である。免疫抑制剤は、非自己組織の同時移植の拒絶反応の防止を補助するために、移植レシピエントに投与される治療薬である。免疫抑制剤は、4つの群に分類され得る:グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、抗体、イムノフィリンに作用する薬物、およびインターフェロン、アヘン剤INF結合タンパク質、ミコフェノール酸、FTY720などのような他の薬物。免疫抑制剤の特定のクラスは、イムノフィリンに作用するこれら薬物を含む。イムノフィリンは、生理学的意義を有する高親和性特異的結合タンパク質の例である。イムノフィリンの2つの異なるファミリーは、現在公知である:サイクロフィリンおよびマクロフィリン、後者は、例えば、タクロリムスまたはシロリムスに特異的に結合する。イムノフィリンに作用する免疫抑制剤としては、例えば、シクロスポリン(シクロスポリンA、シクロスポリンB、シクロスポリンC、シクロスポリンD、シクロスポリンE、シクロスポリンF、シクロスポリンG、シクロスポリンH、シクロスポリンIを含む)、タクロリムス(FK506、PROGRAF(R))、シロリムス(ラパマイシン、RAPAMUNE(R))、エベロリムス(RAD、CERTICAN(R))などが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「バイオアベイラビリティー」とは、測定に利用可能な、例えば、特に、疎水性薬物を吸収し、それにより疎水性薬物が疎水性薬物に対する抗体への結合に利用不可能となる成分が分析されるサンプル中に存在する場合、特にアッセイにおいて、疎水性薬物に対する抗体への結合に利用可能なサンプル中の疎水性薬物の量をいう。本方法において問題のバイオアベイラビリティーに影響を与える主な要因は、アッセイの前にこのようなリポタンパク質を分離することがない場合の、分析されるサンプル中のリポタンパク質による疎水性薬物の吸収である。
本発明に従って、疎水性薬物の「向上されたバイオアベイラビリティー」または「バイオアベイラビリティーの向上」または「バイオアベイラビリティーを向上する」とは、増量したコレステロールおよびトリグリセリドを含むサンプル中で検出に利用可能な疎水性薬物の量の向上または増量があることを意味する。
従って、上記のように、本発明の実施形態は、疎水性薬物を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物を決定するための方法である。媒体中で組み合わせを形成させ、この組み合わせは、サンプル、溶血素、および疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤を含む。バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも10の炭素原子の鎖を含むイオン性界面活性剤または少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位の鎖を含む非イオン性界面活性剤を含み、そして媒体中のバイオアベイラビリティー剤の濃度は疎水性薬物に生物学的利用可能性を付与するのに十分である。サンプル中で細胞を溶血させ、そして疎水性薬物に生物学的利用可能性を付与する条件下、媒体をインキュベートする。サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を決定するための試薬が媒体に添加され、この試薬は疎水性薬物に対する少なくとも1つの抗体を含む。媒体は、疎水性薬物および疎水性薬物に対する抗体を含む複合体の存在について試験される。複合体の存在および/または量は、サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を示す。
本明細書中で使用される場合、語句「少なくとも」とは、指定した項目の数が列挙された数と同じか、またはそれ以上であり得ることを意味する。本明細書中で使用される場合、語句「約」とは、列挙された数が±10%異なり得ることを意味し、例えば、「約5」は4.5〜5.5の範囲を意味する。
分析されるサンプルは、1つまたはそれ以上の疎水性薬物検体を含有することが疑われるものである。サンプルは、典型的に、リポタンパク質、特にコレステロールおよびトリグリセリドのような疎水性薬物を吸収する1つまたはそれ以上の化合物を含む。好ましくは、サンプルはヒトまたは動物由来であり、そしてこれらとしては、全血、血清、血漿、痰、リンパ液、精液、膣粘液、排泄物、尿、髄液、唾液、糞便、脳脊髄液、涙、粘液などのような生体液;毛髪、皮膚、切片または臓器もしくは他の身体部分から切除した組織のような生物組織などが挙げられる。多くの場合、サンプルは全血、血漿または血清であり、そして特定の実施形態において、サンプルは全血である。
サンプルは、アッセイを妨害しないあらゆる簡便な媒体中で調製され得る;水性媒体が好ましい。媒体の性質は、以下により詳細に議論される。溶血剤および本方法に従う疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤は媒体中で混合される。
溶血剤(hemolytic agent)
溶血剤は、赤血球の膜の完全性を崩壊させ、それにより、細胞の細胞内内容物を放出させる化合物または化合物の混合物である。多数の溶血剤が当該分野で公知である。溶血剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、低イオン強度水溶液(低張液)、細菌性試薬(bacterial agent)、補体依存性溶解を引き起こす抗体などが挙げられる。溶血剤として利用され得る非イオン性界面活性剤は、合成界面活性剤および天然界面活性剤の両方を含む。合成界面活性剤の例としては、TRITONTM X−100、TRITONTM N−101、TRITONTM X−114、TRITONTM X−405、TRITONTM SP−135、TWEEN(R) 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウレート)、TWEEN(R) 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、DOWFAX(R)、ZONYL(R)、パルミチン酸ペンタエリスリチル(pentaerythrityl palmitate)、ADOGEN(R) 464、ALKANOL(R) 6112界面活性剤、アリルアルコール1,2−ブトキシラート−ブロック−エトキシラートHLB 6、BRIJ(R)、エチレンジアミンテトラキス(エトキシラート−ブロック−プロポキシラート)テトロール、IGEPAL(R)、MERPOL(R)、ポリ(エチレングリコール)、2−[エチル[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルエーテル、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、TERGITOL(R)
NP−9、GAFAC(R)(RHODAFAC(R)、アルキルポリオキシエチレングリコールホスフェートエステル、例えば、α−ドデシル−オメガ−ヒドロキシポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)ホスフェート)、およびEP110(R)などが挙げられる。溶血剤として利用され得る天然界面活性剤としては、例えば、サポニン、 ナトリウムもしくはカリウムの中和脂肪酸、中和リン脂質、ジアシルグリセロール(diacylglyerol)、中和ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、中和ホスファチジルエタノールアミン(ethanoliamin)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、胆汁塩、非エステル化コレステロール、中和スフィンゴシン、セラミドなどが挙げられる。1つもしくはそれ以上の合成界面活性剤または1つもしくはそれ以上の天然界面活性剤の組み合わせおよび合成界面活性剤と天然界面活性剤の組み合わせもまた利用され得る。
利用される溶血剤の性質および量または濃度は、サンプルの性質、疎水性薬物の性質、残存する試薬成分の性質、反応条件などに依存する。溶血剤の量は、赤血球の溶解をもたらし、細胞成分を放出するのに少なくとも十分である。いくつかの実施形態において、溶血剤の量は、約0.0001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.01% 〜約0.3%、約0.01%〜約0.2%、約0.1%〜約0.3%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.2%などである(容量%である)。
バイオアベイラビリティー剤
本方法の実施形態に従うバイオアベイラビリティー剤は、少なくとも10の炭素原子の鎖を含むイオン性界面活性剤または少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位または繰り返しのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの断片の組み合わせの鎖を含む非イオン性界面活性剤を含み、繰り返し断片はそれぞれエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位を含む。1つまたはそれ以上の上記の界面活性剤を含む他の化学物質および材料との組み合わせもまた、バイオアベイラビリティー剤の定義に包含される。いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は液体である。
上記のイオン性界面活性剤は、陰イオン性または陽イオン性であり得る。多くの実施形態において、イオン性界面活性剤は陰イオン性である。いくつかの実施形態において、イオン性界面活性剤は、少なくとも約10、または少なくとも約11、または少なくとも約12、または少なくとも約13、または少なくとも約14、または少なくとも約15、または少なくとも約16、または少なくとも約17、または少なくとも約18、または少なくとも約19、または少なくとも約20の炭素原子の鎖を含む。鎖中の炭素原子の数は、通常、約50以下、または約40以下、または約30以下などである。通常、鎖は非環状であり、すなわち、鎖の一部として環は存在しない。鎖は、例えば、−CH2(CH2nCH2−のような繰り返しメチレン単位を含み得、nは、約8〜約30、または約9〜約30、または約10〜約30、または約11〜約30、または約12〜約30、または約8〜約25、または約8〜約20、または約9〜約25、または約9〜約20、または約10〜約25、または約10〜約20、または約11〜約25、または約11〜約20、または約12〜約25、または約12〜約20などである。いくつかの実施形態において、鎖の1〜3、または1〜2、または2〜3個の炭素原子は、酸素部分に置き換えられ、それによりエーテルを形成し得る。
メチレン鎖の1個またはそれ以上の水素は、約1〜約5、または約1〜約4、または約1〜約3、または約1〜約2、または約2〜約5、または約2〜約4、または約2〜約3、または約3〜約5、または約3〜約4個の炭素原子のアルキルで置換され得る。本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖、分枝鎖、または環状のいずれかの配置の指定された数の炭素原子のこれらのアルキル基を包含する。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチルなどが挙げられる。1個またはそれ以上の水素に代わるメチレン鎖上の他の置換基としては、例えば、ケト、アミノ、フェニルなどが挙げられる。多くの実施形態において、メチレン鎖上の置換基の数は、3以下、または2以下、または1以下である。メチレン鎖の末端の一方は、メチル、アルキルフェノールなどであり得る。メチレン鎖の末端の他方は、界面活性剤が陰イオン性または陽イオン性であるかどうかにより、陰イオン性置換基または陽イオン性置換基であり得る。いくつかの実施形態において、末端は、硫酸イオン、亜硫酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、アミンオキシド(第二級または第三級)、アンモニウムイオン(第一級、第二級または第三級)などであり得る。
いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも12または13または14または15または16個の炭素原子の鎖、例えば、CH3(CH2nCH2−(nは10、11、12、13または14である)を含む。いくつかの実施形態において、末端メチル基を含む末端以外の鎖の末端は、例えば、内部イオン部分を含まない硫酸イオンのような陰イオン部分であり;いくつかの実施形態において、末端メチル基を含む末端以外の鎖の末端は、例えば、内部イオン部分を含まないアンモニウムイオンのような陽イオン部分である。いくつかの実施形態において、α炭素は、例えば、ケト基のような置換基を含む。特定の実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は、アルキル硫酸塩であり、アルキルは12から16個の炭素原子の鎖を含む。このような実施形態のバイオアベイラビリティー剤の例としては、界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(デュポノール、デュポノールWAQE)、ドデシル硫酸リチウムなどが挙げられる。多くの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は両性イオンでない。
上記されるように、バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの単位の組み合わせの鎖を含む非イオン性界面活性剤であり得る。いくつかの実施形態において、鎖は分枝鎖ではなく直鎖である。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤は、上記のような少なくとも約15、または少なくとも約16、または少なくとも約17、または少なくとも約18、または少なくとも約19、または少なくとも約20、または少なくとも約21、または少なくとも約22、または少なくとも約23、または少なくとも約24、または少なくとも約25、または少なくとも約26、または少なくとも約27、または少なくとも約28、または少なくとも約29、または少なくとも約30、または少なくとも約31、または少なくとも約32、または少なくとも約33、または少なくとも約34、または少なくとも約35の繰り返し単位の鎖を含む。鎖中の繰り返し単位の数は、通常、約50以下、または約45以下、または約40以下などである。鎖が繰り返しのエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位の組み合わせを含む場合、エチレンオキシド単位対プロピレンオキシド単位の比は、約1:1、または約2:1、または約3:1、または約1:2、または約1:3、または約1:4、または約1:5、または約1:6、または約1:7、または約1:8などである。上記の実施形態において、繰り返しのエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位は、代替可能であり得る。各繰り返しエチレンオキシド単位は、エチレンオキシド単位の断片であり得、この断片は、同じ長さまたは異なる長さを有し、すなわち、同じ数のエチレンオキシド単位または異なる数のエチレンオキシド単位を含み得る。各繰り返しプロピレンオキシド単位は、プロピレンオキシド単位の断片であり得、この断片は、同じ長さまたは異なる長さを有し、すなわち、同じ数のプロピレンオキシド単位または異なる数のプロピレンオキシド単位を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、界面活性剤は、約1〜約5、または約1〜約4、または約1〜約3、または約1〜約2、または約2〜約5、または約2〜約4、または約2〜約3、または約3〜約5、または約4〜約5のエチレンオキシド単位を含む末端エチレンオキシド断片および約10〜約30、または約10〜約25、または約10〜約20、または約15〜約30、または約15〜約25、または約15〜約20、または約20〜約30、または約20〜約25のプロピレンオキシド単位を含む内部プロピレンオキシド断片を含む。
いくつかの実施形態において、鎖は、例えば、−(CH2CH2O)p−(ここで、pは約15〜約40、または約20〜約40、または約25〜約40、または約15〜約35、または約20〜約35、または約25〜約35、または約30〜約35などである)のような繰り返しエチレンオキシド単位を含み得る。いくつかの実施形態において、鎖は、例えば、−(CH2CH(CH3)O)q−(ここで、qは約15〜約30、または約20〜約30、または約25〜約30、または約15〜約25、または約20〜約25、または約25〜約35、または約30〜約35などである)のような繰り返しプロピレンオキド単位を含み得る。
いくつかの実施形態において、鎖は、例えば、−(CH2CH2O)s−(CH2CH(CH3)O)t−(ここで、(s + t)は少なくとも15、または少なくとも約16、または少なくとも約17、または少なくとも約18、または少なくとも約19、または少なくとも約20、または少なくとも約21、または少なくとも約22、または少なくとも約23、または少なくとも約24、または少なくとも約25個の炭素原子、または少なくとも約26、または少なくとも約27、または少なくとも約28、または少なくとも約29、または少なくとも約30、または少なくとも約31、または少なくとも約32、または少なくとも約33、または少なくとも約34、または少なくとも約35、そして通常、約40以下、約39以下、約38以下、約37以下、約36以下である)のようなエチレンオキシド単位とプロピレンオキド単位の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、(s+t)は約15〜約40、または約20〜約40、または約25〜約40、または約15〜約35、または約20〜約35、または約25〜約35、または約30〜約35、約15〜約30、または約20〜約30、または約25〜約30、または約15〜約25などである。いくつかの実施形態において、(s+t)が上で定義される通りである限り、sは約1〜約30、または約1〜約25、または約1〜約20、または約1〜約15、または約1〜約10、または約1〜約5、または約2〜約30、または約2〜約25、または約2〜約20、または約2〜約15、5〜約30、または約5〜約25、または約5〜約20、または約5〜約15、または約5〜約10、または約10〜約30、または約10〜約25、または約10〜約20、または約10〜約15、または約15〜約30、または約15〜約25、または約15〜約20、または約20〜約30、または約20〜約25、または約25〜約30であり、そしてtは約5〜約30、または約5〜約25、または約5〜約20、または約5〜約15、または約5〜約10、または約10〜約30、または約10〜約25、または約10〜約20、または約10〜約15、または約15〜約30、または約15〜約25、または約15〜約20、または約20〜約30、または約20〜約25、または約25〜約30である。
鎖の1個またはそれ以上の水素は、約1〜約5、または約1〜約4、または約1〜約3、または約1〜約2、または約2〜約5、または約2〜約4、または約2〜約3、または約3〜約5、または約3〜約4個の炭素原子のアルキル(時折、本明細書中で低級アルキルと言われる)で置換され得る。1個またはそれ以上の水素に代わる鎖上の他の置換としては、例えば、ケト、アミノ、アルキルフェノールなどが挙げられる。多くの実施形態において、鎖上の置換基の数は、3以下、または2以下または1以下である。いくつかの実施形態において、鎖の末端の一方は、メチル、ヒドロキシル、フェニルなどであり得る。いくつかの実施形態において、鎖の末端の他方は、メチル、ヒドロキシル、フェニルなどであり得る。
いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は、少なくとも約30または31または32または33または34または35の繰り返しエチレンオキシド単位の鎖、例えば、−(CH2CH2O)p−(ここで、pは30、31、32、33、34または35である)を含む。いくつかの実施形態において、鎖の両末端はヒドロキシルである。繰り返しエチレンオキシド単位を含むバイオアベイラビリティー剤の実施形態の特定の例は、鎖の両末端がヒドロキシルである30または35の繰り返しエチレンオキシド単位の鎖を含むものである。バイオアベイラビリティー剤の実施形態の具体例としては、界面活性剤TRITONTM X−405、TRITONTM SP−135などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤は、約1〜約20、または約1〜約15、または約1〜約10、または約1〜約5、または約2〜約20、または約2〜約15、または約2〜約10、または約2〜約5、約3〜約20、または約3〜約15、または約3〜約10、または約3〜約5、約4〜約20、または約4〜約15、または約4〜約10、または約4〜約5、約5〜約20、または約5〜約15、または約5〜約10のエチレンオキシド単位と約5〜約50または約5〜約40、または約5〜約30、または約5〜約20、または約5〜約10、または約10〜約50、または約10〜約40、または約10〜約30、または約10〜約20、または約15〜約50、または約15〜約40、または約15〜約30、約15〜約20、または約20〜約50、または約20〜約40、または約20〜約30、約20〜約25、または約25〜約50、または約25〜約40、または約25〜約30、または約30〜約50、または約30〜約40、または約30〜約35、または約35〜約50、または約35〜約40、または約40〜約50のプロピレンオキシド単位の組み合わせを含む鎖を含む。いくつかの実施形態において、鎖の両末端はヒドロキシルである。
いくつかの実施形態において、鎖は、例えば、−(CH2CH2O)s−(CH2CH(CH3)O)t−(CH2CH2O)s−(ここで、各sは1〜3または1〜2であり、そしてtは15〜40または15〜35または15〜30であり、そして鎖の各末端はヒドロキシルである)のようなエチレンオキシド単位とプロピレン単位の組み合わせを含み得る。エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のこのような組み合わせを含むバイオアベイラビリティー剤の実施形態の特定の例としては、界面活性剤PLURONIC(R) 25R2、PLURONIC(R) 25R1、PLURONIC(R) 25R4、PLURONIC(R) 31R1、PLURONIC(R) 31R2、PLURONIC(R) 17R1、PLURONIC(R) 17R2、PLURONIC(R) 10R5、PLURONIC(R)(R) L123、PLURONIC(R) L31などが挙げられる。エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のこのような組み合わせを含むバイオアベイラビリティー剤の実施形態の他の例としては、界面活性剤DOWFAX(R) 63N10、DOWFAX(R) 63N13、DOWFAX(R) 63N30、DOWFAX(R) 63N40、DOWFAX(R) 20A612、DOWFAX(R) DF101、DOWFAX(R) DF111、DOWFAX(R) DF112などが挙げられる。
上記のように、本発明の実施形態に従うバイオアベイラビリティー剤は、疎水性薬物についてのアッセイにおいて、抗体に結合する疎水性薬物の利用可能性に対するコレステロールおよびトリグリセリドの両方からの妨害を軽減する。バイオアベイラビリティー剤は、このような化合物の別のものと組み合わせた、または両方ではないがコレステロール妨害またはトリグリセリド妨害のいずれかに対して十分な軽減効果を有し得る1つまたはそれ以上の他の化合物と組み合わせた1つまたはそれ以上の上記化合物の組み合わせであり得る。このような化合物としては、例えば、界面活性剤サポニン、GAFAC(R)、TWEEN(R) 20、TWEEN(R) 80、EP110TM、ZWITTERGENT(R)(例えば、3−(N,N−ジメチルテトラデシルアミンモニオ)プロパンスルホネートのような両性イオンアミドスルホベタイン界面活性剤)、TRITONTM X−100、胆汁塩、特定のPLURONIC(R)およびDOWFAX(R)界面活性剤などが挙げられる。本発明の実施形態に従うバイオアベイラビリティー剤は、前述の化合物の不在下、トリグリセリドとコレステロールの両方からの妨害を軽減すのに有効であることに注目すべきである。
媒体中のバイオアベイラビリティー剤の濃度は、疎水性薬物の正確な定量が疎水性薬物についての自動化均一系アッセイにおいて実現され得るように、疎水性薬物のバイオアベイラビリティーの向上を達成するのに十分であり、すなわち、サンプル中のリポタンパク質、特に、コレステロールおよびトリグリセリドによる妨害または吸収を軽減するのに十分な濃度である。言い換えれば、媒体中のバイオアベイラビリティー剤の濃度は、疎水性薬物に対する特異的結合メンバーへの結合に利用可能なサンプル中の疎水性薬物の量が、サンプル中の疎水性薬物の量を正確に決定するのに十分である程度に十分である。従って、バイオアベイラビリティー剤の濃度または量は、リポタンパク質、特に、コレステロールとトリグリセリドの両方からの妨害を軽減または低減するのに十分であるべきであり、従って、アッセイにおいて検出に利用可能な疎水性薬物の量の増加を達成する。
コレステロールについて、高コレステロールサンプル(例えば、400mg/dL)中で検出可能な疎水性薬物の量が、バイオアベイラビリティー剤の不在下で得られるものよりも少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約105%、少なくとも約110%、少なくとも約115%、少なくとも約120%、少なくとも約125%、少なくとも約130%、少なくとも約135%、少なくとも約140%、少なくとも約145%、少なくとも約150%、少なくとも約155%、少なくとも約160%、少なくとも約165%など増加する場合、妨害は十分に低減され、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーが向上され、それによりその検出の精度が向上する。
トリグリセリドについて、高トリグリセリドサンプル(例えば、1000mg/dL)中で検出可能な疎水性薬物の量が、バイオアベイラビリティー剤の不在下で得られるものよりも少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%など増加する場合、妨害は十分に低減され、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーが向上され、それによりその検出の精度が向上する。以下により詳細に議論されるように、向上したバイオアベイラビリティーの上記パラメータは、DIMENSION(R)臨床化学アナライザーでACMIAアッセイを使用して評価し得、コレステロールを多く含むサンプルは約400 mg/dLを含み、そしてトリグリセリドを多く含むサンプルは約1000mg/dLを含む。
利用されるバイオアベイラビリティー剤の量または濃度は、サンプルの性質、疎水性薬物の性質、他の界面活性剤化合物および有機溶媒の存在、他の試薬成分の性質、反応条件などに依存する。いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤の量は、0.0001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.01%〜約0.3%、約0.01%〜約0.2%、約0.1%〜約0.3%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.2%などである(容量%である)。いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤の最大濃度は、このような特性を示すこれらの界面活性剤(例えば、界面活性剤TRITONTM X−405、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウムなど)の臨界ミセル濃度未満である。いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティー剤の最大濃度は、このような特性を示すこれらの界面活性剤(例えば、界面活性剤PLURONIC(R) 25R2、PLURONIC(R) 25R1、PLURONIC(R) 25R4、PLURONIC(R) 31R1、PLURONIC(R) 31R2、PLURONIC(R) 17R1、PLURONIC(R) 17R2、PLURONIC(R) 10R5、PLURONIC(R) L123、PLURONIC(R) L31など)の凝集濃度の範囲または限界凝集濃度(limiting aggregation concentration)未満である。
溶血およびバイオアベイラビリティーの向上
サンプル、溶血剤、およびバイオアベイラビリティー剤が媒体中で混合され、上記のように媒体は、通常、水性媒体である。上記の全ては、媒体中で同時に混合してもよく、または1つまたはそれ以上の上記の試薬を連続して添加してもよい。水性媒体は、単なる水であってもよく、または例えば、有機溶媒のような共溶媒を0.1〜約40容量%含んでいてもよく、この有機溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル、エステルなどが挙げられ得る。媒体はまた、当該分野で公知であるような1つまたはそれ以上の防腐剤を含んでいてもよく、これらとしては、例えば、アジ化ナトリウム、硫酸ネオマイシン、PROCLIN(R) 300、ストレプトマイシンなどが挙げられる。媒体のpHは、通常、約4〜約11の範囲、より通常は、約5〜約10の範囲、そして好ましくは約6.5〜約9.5の範囲である。
種々の緩衝剤を使用して、所望のpHを達成させ、そしてインキュベーション期間中pHを維持し得る。例示的な緩衝剤としては、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、トリス、バルビタール、PIPES、HEPES、MES、ACES、MOPS、BICINEなどが挙げられる。媒体はまた、血栓形成を防止するための化学物質を含み得る。このような化学物質は、当該分野で周知であり、そして例えば、EDTA、EGTA、クエン酸塩、ヘパリンなどが挙げられる。種々の補助材料は上記の方法に利用され得る。例えば、緩衝剤および防腐剤に加えて、媒体は、媒体および利用される試薬の安定剤を含み得る。結合タンパク質が疎水性薬物に結合する場合、媒体はサンプル中の結合タンパク質の効果を軽減するための化学物質を含み得る。このような化学物質は、例えば、決定される疎水性薬物のエステルであり得る。例えば、タクロリムスについての決定において、タクロリムスのエステルが媒体に含まれ得る。上記の材料の全ては、所望の効果または機能を達成するのに十分な濃度または量で存在する。
サンプル中で細胞を溶血させ、そして疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下、媒体はインキュベートされる。インキュベーション期間は、約1秒〜約60分、または約1秒〜約6分、または約1秒〜約5分、または約1秒〜約3分、または約1秒〜約2分、または約1秒〜約1分、または約1秒〜約30秒、または約1秒〜約20秒、または約1秒〜約10秒、または約5秒〜約60分、または約5秒〜約6分、または約5秒〜約5分、または約5秒〜約3分、または約5秒〜約2分、または約5秒〜約1分、または約5秒〜約30秒、または約5秒〜約20秒、または約5秒〜約10秒、または約10秒〜約60分、または約10秒〜約6分、または約10秒〜約5分、または約10秒〜約3分、または約10秒〜約2分、または約10秒〜約1分、または約10秒〜約30秒、または約10秒〜約20秒、または約20秒〜約60分、または約20秒〜約6分、または約20秒〜約5分、または約20秒〜約3分、または約20秒〜約2分、または約20秒〜約1分、または約20秒〜約30秒、または約30秒〜約60分、または約30秒〜約6分、または約30秒〜約5分、または約30秒〜約3分、または約30秒〜約2分、または約30秒〜約1分、または約1分〜約30分、または約1分〜約20分、または約1分〜約10分などであり得る。
インキュベーション中の温度は、通常、約10℃〜約45℃、または約10℃〜約35℃、または約10℃〜約25℃、または約15℃〜約45℃、または約15℃〜約35℃、または約15℃〜約25℃、または約20℃〜約45℃、または約20℃〜約35℃、または約20℃〜約25℃などである。
疎水性薬物についてのアッセイの概要
上記のインキュベーション期間に続いて、サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を決定するための試薬が媒体に添加される。試薬の性質は、実行されるアッセイの特定の種類に依存する。一般に、アッセイは、疎水性検体の存在および/または量の決定方法または測定方法である。種々のアッセイ方法が、限定ではなく例として以下に議論される。
多くの実施形態において、試薬は疎水性薬物の少なくとも1つの抗体を含む。語句「疎水性薬物に対する抗体」により、疎水性薬物に特異的に結合し、そして疎水性薬物に対する検体を歪める他の物質にかなりの程度結合しない抗体を意味する。
免疫測定法に使用するための疎水性薬物に特異的な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。このような抗体は、宿主の免疫付与そして血清(ポリクローナル)の収集のような当該分野で周知の技術により、または連続したハイブリッド細胞株を調製し、そして分泌されたタンパク質(モノクローナル)を収集することにより、または少なくとも天然の抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはそれらの突然変異バージョンをクローニングし発現させることにより調製され得る。
抗体は、完全な免疫グロブリンまたはそれらのフラグメントを含み得、この免疫グロブリンは、種々のクラスおよびアイソタイプ、例えばIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgMなどを含む。それらのフラグメントは、Fab、FvおよびF(ab’)2、Fab’などを含み得る。さらに、特定の分子に対する結合親和性が維持される限りは、免疫グロブリンまたはそれらのフラグメントの凝集体、ポリマー、および抱合体を、必要に応じて使用し得る。
抗体を含む抗血清(ポリクローナル)は、適切な免疫原を用いるウサギ、モルモット、またはヤギのような動物の免疫付与に関連し、そして適切な待機時間後、免疫動物の血液から抗血清を得る十分に確立された技術により得られる。最先端の概説が、Parker,Radioimmunoassay of Biologically Active Compounds,Prentice−Hall(Englewood Cliffs,N.J.,U.S.,1976),Butler,J.Immunol.Meth.7:1−24(1975);Broughton and Strong,Clin.Chem.22:726−732(1976);およびPlayfair,et al.,Br.Med.Bull.30:24−31(1974)により提供される。
抗体はまた、体細胞バイブリダイゼーション技術により得ることができ、このような抗体は、一般に、モノクローナル抗体と言われる。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature 265:495−497,1975の標準技術に従って製造され得る。モノクローナル抗体技術の概説は、Lymphocyte Hybridomas,ed.Melchers,et al.Springer−Verlag(New York 1978),Nature 266:495(1977)、Science 208:692(1980)、およびMethods of Enzymology 73(Part B):3−46(1981)に見出される。
抗体を製造するための別のアプローチにおいて、抗体結合部位をコードする配列は、染色体DNAから切り取られ、そしてクローニングベクターに挿入され得、このクローニングベクターは、細菌中で発現され、対応する抗体の結合部位を有する組み換えタンパク質を製造し得る。
上記で議論されるように、疎水性薬物の免疫測定法において使用するために選択される抗体は、例えば、他の代謝物または関連する薬物のような他のリガンドよりも特異的かつ選択的に疎水性薬物およびその薬学的に活性な代謝物に結合すべきである。例えば、タクロリムスに対する抗体は、例えば、ラパマシシンよりも特異的かつ選択的にタクロリムスに結合すべきである。一般に、抗体は、第二の疎水性薬物と比較して1つの疎水性薬物を識別できなければならない。抗体が疎水性薬物を含むサンプルと混合される場合、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍の第一の疎水性薬物が抗体に結合する。結合はまた、疎水性薬物の相対濃度に依存するが、第一の疎水性薬物の結合定数が第二の疎水性薬物の結合定数よりも大きい場合、第一の疎水性薬物に対する結合は少なくとも10倍または少なくとも約50倍、そして1000倍まで、またはそれ以上高い。
実施されるアッセイの性質に依存して、他の試薬がアッセイ媒体中に含まれる。このようなアッセイは、通常、疎水性薬物分析物と対応する抗体のような結合パートナー間の反応、または抗体と、第一の抗体に結合する第二の抗体のような対応する結合パートナーとの結合を含む。従って、結合パートナーは、タンパク質であり得、これは抗体または抗原であり得る。結合パートナーは、特異的結合対のメンバー(「sbpメンバー」)であり得、これは、2つの異なる分子のうちの一方であり、表面上または空洞内に、他方の分子の特定の空間的構成および極性の構成に特異的に結合し、それによりこれらと相補的と定義される領域を有する。特異的結合対のメンバーは、通常、抗原−抗体のような免疫対のメンバーであるが、他の特異的結合対、例えば、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモン受容体、酵素−基質、核酸二本鎖、IgG−プロテインA、ポリヌクレオチド対、例えば、DNA−DNA、DNA−RNAなどは免疫対ではなく、sbpメンバーの範囲に含まれる。
従って、特異的結合は、他の分子の実質的により低い認識と比較して、他方に対して2つの異なる分子のうちの一方の特異的認識を含む。一方、非特異的結合は、特定の表面構造と比較的無関係である分子間の非共有結合を含む。非特異的結合は、分子間の疎水性相互作用を含むいくつかの要因から生じ得る。好ましい結合パートナーは抗体である。
免疫測定法の多くの種類が、本発明の方法において利用され、疎水性薬物検体を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物検体の存在および/または量を決定し得る。免疫測定法は、標識または非常識試薬を含み得る。非標識試薬を含む免疫測定法は、通常、1つまたはそれ以上の抗体を含む比較的大きな複合体の形成を含む。抗体複合体を検出するためのこのようなアッセイとしては、例えば、免疫沈降および凝集反応法ならびに対応する光散乱法、例えば、ネフェロメトリー(nephelometry)および比濁法(turbidimetry)が挙げられる。標識化免疫測定法としては、酵素免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、放射免疫測定、阻害試験、誘起発光、蛍光性酸素チャネリングアッセイ(fluorescent oxygen channeling assay)などが挙げられる。
本明細書中で議論される多くのアッセイにおいて、標識が利用される;標識は、通常、シグナル生成系(「sps」)の一部である。標識の性質は、特定のアッセイ形式に依存する。spsは、通常、1つまたはそれ以上の成分、検出可能な標識である少なくとも1つの成分(これは結合した標識および/または未結合の標識の量、すなわち検出される疎水性薬物に結合した標識または結合していない標識の量または検出される疎水性薬物の量を示す化学物質に関連する検出可能なシグナルを生成する)を含む。標識はシグナルを生成するかシグナルを生成するように誘導され得るあらゆる分子であり、そして例えば、蛍光剤(fluorescer)、放射性標識、酵素、化学発光剤(chemiluminescer)または光増感剤であり得る。従って、シグナルは、場合によって、酵素活性、発光、光吸収または放射能などを検出することにより検出および/または測定される。
適切な標識としては、限定ではなく例として、酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(「G6PDH」)およびホースラディシュペルオキシダーゼ;リボザイム;QBレプリカーゼのようなレプリカーゼに対する基質;プロモータ;色素;蛍光剤、例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン化合物、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(phthaldehyde)、およびフルオレスカミン;量子ドットとして公知である半導体ナノ結晶中に存在するCdSeおよびZnSから製造されるもののような複合体;化学発光剤、例えば、イソルミノール;増感剤;補酵素;酵素基質;放射性標識、例えば、125l、131l、14C、3H、57Coおよび75Se;ラテックス粒子、炭素粒子、磁性粒子(例えば、クロム粒子など)を含む金属粒子のような粒子;金属ゾル;晶子;リポソーム;細胞などが挙げられ、これらは色素、触媒または他の検出可能な基でさらに標識され得る。適切な酵素および補酵素は、Litman、et al.、米国特許第4,275,149号、第19−28欄、およびBoguslaski、et al.、米国特許第4,318,980号、第10−14欄に開示され;適切な蛍光剤および化学発光剤は、Litman、et al.、米国特許第4,275,149号、第30および31欄に開示される;これらは参照により本明細書に加入される。
標識はシグナルを直接生成し得、従って、シグナルを生成させるためにさらなる成分は必要でない。多数の有機分子、例えば、蛍光剤は紫外線および可視光に吸収され得、光吸収がこれらの分子にエネルギーを移し、そしてそれらを励起エネルギー状態に遷移させる。次いで、この吸収されたエネルギーは第二の波長での発光により消失する。シグナルを直接生成する他の標識としては、放射性同位体および色素が挙げられる。
あるいは、標識はシグナルを生成するために他の成分を必要とし得、その結果、シグナル生成系は測定可能なシグナルを生成するために必要とされる成分の全てを含む。このような他の成分としては、基質、補酵素、エンハンサー、追加の酵素、酵素生成物と反応する物質、触媒、活性化因子、補因子、阻害剤、スカベンジャー、金属イオン、およびシグナル生成物質の結合に必要な特異的結合物質が挙げられ得る。適切なシグナル生成系の詳細な考察は、Ullman、et al.、米国特許第5,185,243号、第11−13欄(参照により本明細書に加入される)に見いだされ得る。
標識または他のspsメンバーは、支持体に結合し得る。疎水性薬物の誘導体またはアナログは、当該分野で公知の任意の様式において固体支持体に結合され得るが、ただし、アナログが抗体と結合する能力を結合が実質的に妨害しない場合だけである。いくつかの実施形態において、疎水性薬物の誘導体またはアナログは、コーティグされ得るか、または固相に直接共有結合され得るか、または1つまたはそれ以上の担体分子、例えば、血清アルブミンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質を含むポリ(アミノ酸)、または例えば、デキストランまたはデキストラン誘導体のような多糖類(炭水化物)の層を有し得る。連結基をまた使用して、固体支持体および疎水性薬物を共有結合させ得る。疎水性薬物の誘導体を結合させる他の方法もまた可能である。例えば、固体支持体は小分子(例えば、アビジン、抗体など)に対するバインダーのコーティングを有し、そして小分子(例えば、ビオチン、ヘパリンなど)は疎水性薬物の誘導体に結合し得、または逆もまた同様である。成分の支持体表面への結合は、直接的または間接的、共有または非共有であり得、そして文献において一般に入手可能な周知の技術により確立され得る。例えば、「Immobilized Enzymes,」Ichiro Chibata,Halsted Press,NewYork(1978)およびCautrecasas,J.Biol.Chem.,245:3059(1970)を参照のこと。
支持体は、有機または無機、固体または液体の水に不溶な材料を含み得、これは透明または部分的に透明であり得る。支持体は、粒子(ビーズを含む)、フィルム、膜、チューブ、ウェル、ストリップ、ロッド、平面、例えば、プレート、デンドリマーなどのような多数の形態のいずれかを有し得る。アッセイの種類に依存して、支持体はそれらが利用される媒体中に懸濁さていていも、されていなくてもよい。懸濁可能な支持体の例としては、ポリマー材料、例えば、ラテックス、脂質二重層もしくはリポソーム、油滴、細胞およびヒドロゲル、磁性粒子などが挙げられる。他の支持体の組成としては、ポリマー、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリ(エチレンレテフタラート)、ナイロン、ポリ(酪酸ブチル)などが挙げられ;それ自体で、または他の材料と共に使用される。
支持体は粒子であり得る。粒子は、少なくとも約0.02ミクロン〜約100ミクロン以内の平均直径を有するべきである。いくつかの実施形態において、粒子は、約0.05ミクロン〜約20ミクロン、または約0.3ミクロン〜約10ミクロンの平均直径を有する。粒子は、有機または無機、膨潤性または非膨潤性、多孔質または無孔の、好ましくは、水に近い密度、一般に、約0.7 g/mL〜約1.5 g/mLであり得、そして透明、部分的に透明、または不透明であり得る材料から成る。粒子は、細胞および微生物(例えば、赤血球、白血球、リンパ球、ハイブリドーマ、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、ウイルスなど)のような生物材料であり得る。粒子はまた、有機および無機のポリマー、リポソーム、ラテックス粒子、磁性または非磁性の粒子、リン脂質小胞、カイロミクロン、リポタンパク質などを含む粒子であり得る。いくつかの実施形態において、粒子はクロム粒子またはラテックス粒子である。
ポリマー粒子は、付加重合体または縮合重合体の形をなし得る。粒子は、水性媒体に容易に分散され、そして直接的または間接的に連結基により疎水性薬物アナログに抱合可能となるように、吸着性または機能的であり得る。粒子はまた、天然材料、合成的に変更されている天然材料、および合成材料から誘導され得る。有機ポリマーのうちで、多糖類、特に交差結合多糖類、例えば、アガロース(これは、Sepharoseとして入手可能である)、デキストラン(SephadexおよびSephacrylとして入手可能である)、セルロース、デンプンなど;付加重合体、例えば、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ホモポリマーおよびアクリル酸とメタクリル酸の誘導体のコポリマー、特に遊離ヒドロキシル官能基を有するエステルおよびアミドなどが特に興味深い。
標識および/または他のspsメンバーは、sbpメンバーまたは別の分子に結合され得る。例えば、標識は、例えば、抗体;抗体に対する受容体、抗体に抱合した小分子に結合し得る受容体、またはリガンドアナログのようなsbpメンバーに共有結合し得る。sbpメンバーへの標識の結合は、標識の水素原子とsbpメンバーへの結合の置き換えをもたらす化学反応により達成され得るか、または標識とsbpメンバーとの間に連結基を含み得る。他のspsメンバーはまた、sbpメンバーに共有結合され得る。例えば、蛍光剤および消光剤のような2つのspsメンバーは、検体と特異的複合体を形成する異なる抗体にそれぞれ結合され得る。複合体の形成は、蛍光剤と消光剤を極めて接近させ、従って、消光剤が蛍光剤と相互作用してシグナルを生成することを可能にする。抱合方法は当該分野で周知である。例えば、Rubenstein、et al.、米国特許第3,817,837号(参照により本明細書に加入される)を参照のこと。
標識タンパク質として特に興味深い酵素は、酸化還元酵素、特にデヒドロゲナーゼ、例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸脱水素酵素、および色素前駆体を色素に酸化するための過酸化水素の生成および過酸化水素の使用に関連する酵素はである。特定の組み合わせとしては、色素前駆体を酸化するために過酸化水素を利用する酵素、すなわち、ホースラディシュペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼとカップリングしたサッカリド酸化酵素、例えば、グルコースとガラクトース酸化酵素、または複素環酸化酵素、例えば、ウリカーゼおよびキサンチン酸化酵素が挙げられる。さらなる酵素の組み合わせが当該分野で公知である。単一酵素が標識として使用される場合、他の酵素は、加水分解酵素、転移酵素、および酸化還元酵素、特に加水分解酵素(例えば、アルカリホスファターゼおよびβ−ガラクトシダーゼ)のような用途が見出され得る。あるいは、蛍ルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼのような発光酵素が使用され得る。
用途が見出されている補酵素の例としては、NAD[H]、NADP[H]、ピリドキサルリン酸、FAD[H]、FMN[H]など、通常、サイクリング反応に関連する補酵素が挙げられる。例えば、米国特許第4,318,980号(この開示は参照により本明細書に加入される)を参照のこと。
例えば、酵素のような標識タンパク質を有する分子量の範囲は、約10,000〜約600,000、または約10,000〜約300,000の分子量である。通常、約200,000の分子量あたり少なくとも約1つ、または約150,000の分子量あたり少なくとも約1つ、または約100,000の分子量あたり少なくとも約1つ、または約50,000の分子量あたり少なくとも約1つなどの疎水性薬物アナログが存在する。酵素の場合において、疎水性薬物アナログ基の数は、通常、1〜約20、約2〜約15、約3〜約12、または約6〜約10である。
用語「非ポリ(アミノ酸)標識」とは、タンパク質(例えば、酵素)ではない標識を含む。非ポリ(アミノ酸)標識は、直接検出され得るか、または検出可能なシグナルを生成する特異的結合反応により検出可能である。非ポリ(アミノ酸)標識としては、例えば、放射性同位体、発光化合物、支持体、例えば、粒子、プレート、ビーズなど、ポリヌクレオチドなどが挙げられる。より特に、非ポリ(アミノ酸)標識は、同位体または非同位体、通常、非同位体であり得、そして触媒、プロモータ、色素、補酵素、酵素基質、放射性基、有機小分子(例えば、ビオチン、蛍光分子、化学発光分子などを含む)、増幅可能なポリヌクレオチド配列、例えば、粒子、例えば、ラテックス粒子または炭素粒子または二酸化クロム(クロム)粒子のような支持体または同種のもの、金属ゾル、微結晶、リポソーム、細胞など(これらは、色素、触媒または他の検出可能な基などでさらに標識されていても、されていなくてもよい)をコードするポリヌクレオチドであり得る。
利用され得る免疫測定法の一般的な1つの群としては、制限された濃度の抗体を使用する免疫測定法が挙げられる。免疫測定法の別の群は、過剰量の1つまたはそれ以上の第一の試薬、例えば、過剰量の免疫抑制剤に対する抗体を使用することを含む。免疫測定法の別の群は、疎水性薬物−抗体結合反応の際に、標識された試薬が標識シグナルを調節する分離工程のない均一系アッセイである。アッセイの別の群は、問題のある標識化ハプテンの使用を避ける疎水性薬物のための標識化抗体試薬限定競合アッセイ(labeled antibody reagent limited competitive assays)を含む。この種類のアッセイにおいて、疎水性薬物検体を固定化した固相が一定限度の量で存在する。固定化された疎水性薬物検体と遊離の疎水性薬物検体との間の標識の分離は、サンプル中の検体の濃度に依存する。
あらゆるアッセイ成分または生成物を分離しないアッセイ(均一系)または分離するアッセイ(不均一系)のいずれかが実施され得る。均一系免疫測定法は、Rubenstein,et al.米国特許第3,817,837号、第3欄、第6行目〜第6欄、第64行目に開示されるEMIT( アッセイ(Syva Company,San Jose,CA); Ullman,et al.米国特許第3,996,345号、第17欄、第59行目〜第23欄、第25行目に開示されるもののような免疫蛍光測定法;Maggio,et al.米国特許第4,233,402号、第6欄、第25行目〜第9欄、第63行目に開示されるもののような酵素チャネリング免疫測定法(enzyme channeling immunoassay「ECIA」);例えば、とりわけ米国特許第5,354,693号に開示されるような蛍光偏光免疫測定法(「FPIA」);などにより例示される。
他の酵素免疫測定法としては、Ngo and Lenhoff,FEBS Lett.(1980)116:285−288により議論される酵素調節媒介免疫測定法(enzyme modulate mediated immunoassay「EMMIA」);Oellerich,J.Clin.Chem.Clin.Biochem.(1984)22:895−904により開示される基質標識蛍光免疫測定法(「SLFIA」); Khanna,et al.,Clin.Chem.Acta(1989)185:231−240により開示される組み合わせ酵素ドナー免疫測定法(combined enzyme donor immunoassay「CEDIA」);粒子強化阻害免疫比濁法(particle enhanced turbidimetric inhibition immunoassay「PEINIA」)、粒子強化免疫比濁法(particle enhanced turbidimetric immunoassay「PETTIA」)などのような均一系粒子標識免疫測定法(homogeneous particle labeled immunoassay);などが挙げられる。
他のアッセイとしては、ゾル粒子免疫測定法(「SPIA」)、分散色素免疫測定法(disperse dye immunoassay「DIA」);メタロ免疫測定法(metalloimmunoassay「MIA」);酵素膜免疫測定法(「EMIA」);発光免疫測定法(「LIA」)などが挙げられる。他の種類のアッセイとしては、疎水性薬物の結合の際、抗体固定化表面の光学、音波および電気特性の変化をモニタリングすることを含む免疫センサー測定法が挙げられる。このようなアッセイとしては、例えば、光免疫センサー測定法、音波免疫センサー測定法、半導体免疫センサー測定法、電気化学的トランスデューサー免疫センサー測定法、電位差免疫センサー測定法、アンペロメトリー電極測定法などが挙げられる。
本方法において使用され得るアッセイのいくつかの実施形態において、疎水性薬物アナログが媒体に添加される。疎水性薬物アナログは、受容体に対する類似の疎水性薬物と競合し得る改変された薬物であり、改変は別の分子に疎水性薬物アナログを結合する手段を提供する。通常、疎水性薬物アナログは、薬物アナログをハブ(hub)または標識に連結する結合で水素が置き換えられていること以上に疎水性薬物と異なるが、必要ではない。疎水性薬物アナログは、疎水性薬物が受容体に結合するのと同様の様式で受容体に結合する。疎水性薬物アナログは、例えば、連結基により別の分子に抱合する疎水性薬物、疎水性薬物に対する抗体のイディオタイプに指向された抗体などであり得る。
1つの実施形態において、アッセイは誘導発光免疫測定法であり、「Assay Method Utilizing Photoactivated Chemiluminescent Label」(「induced luminescence assay」)と表題される米国特許第5,340,716号(Ullman、et al.)(この開示は参照により本明細書に加入される)に記載される。1つのアプローチにおいて、アッセイは光増感剤を組み込んだ粒子、および化学発光化合物を組み込んだ標識粒子を使用する。標識粒子は、疎水性薬物検体の存在に関して、sbpメンバー、例えば、疎水性薬物検体に結合し得る疎水性薬物に対する抗体に抱合して複合体を形成するか、または第二のsbpメンバーに抱合して複合体を形成する。疎水性薬物検体が存在する場合、光増感剤および化学発光化合物は極めて接近する。光増感剤は一重項酸素を生成し、そして2つの標識が極めて接近する場合、化学発光化合物を活性化する。続いて活性化された化学発光化合物は発光する。生成された光の量は、形成された複合体の量に関連付けられ、同様に、これは存在する疎水性薬物検体の量と関連付けられる。
さらなる実例として、粒子中に組み込まれるかまたは粒子に付着することによりそれらに関連付けられた化学発光化合物を含む化学発光粒子が利用される。疎水性薬物検体に結合するsbpメンバー(例えば、疎水性薬物に対する抗体)は、粒子をコーティングしている多糖類に結合される。疎水性薬物検体に結合する第二のsbpメンバーはビオチン抱合体の一部である。ストレプトアビジンは、それらと関連付けられた光増感剤を有する第二の粒子組に抱合される。粒子(光増感剤粒子)のこの第二の組に対するストレプトアビジンの結合は、粒子上の多糖類を含んでも含まなくてもよい。化学発光粒子は、疎水性薬物検体を含有することが疑われるサンプルおよび光増感剤粒子と混合される。sbpメンバーの疎水性薬物検体への結合により粒子が疎水性薬物検体に結合することを可能にするために、反応媒体はインキュベートされる。次いで、媒体に光照射して光増感剤を励起させ、これがその励起状態において酸素を一重項状態に活性化し得る。疎水性薬物検体の存在により、1組の粒子の化学発光化合物がここで光増感剤に極めて接近するので、一重項酸素により活性化され、そして発光する。次いで、媒体を発光または放射される光の存在および/または量について試験し、その存在は疎水性薬物検体の存在および/または量と関連付けられる。
疎水性薬物検体を決定するために利用され得るアッセイの別の特定の例は、米国特許第5,616,719号(Davalian、et al.)において議論され、これは蛍光酸素チャネリング免疫測定法を記載する。
いくつかの実施形態において、疎水性薬物検体が1つまたはそれ以上の他の検体(例えば、他の薬物など)と共に検出することが主題となり得る場合、多重検体免疫測定法(multi−analyte immunoassay)が利用さ得る。このような多重検体システムが、例えば、Loor,et al.,J.Anal.Toxicol.12:299(1988)に記載される。
上で議論されるアッセイは、通常、一般に最適なアッセイ感度を提供する中程度のpHの水性緩衝化媒体中で実施される。水性媒体は単に水であっても、または0.1〜約40容量パーセントの共溶媒を含んでいてもよい。媒体のpHは、通常、約4〜約11の範囲、より通常には約5〜約10の範囲、そして好ましくは約6.5〜約9.5の範囲である。pHは、通常、任意の特異的結合対の結合メンバーの最適な結合、シグナル生成系のメンバーのようなアッセイの他の試薬に最適なpHなどの間の折衷である。
種々の緩衝剤を使用して、所望のpHを達成し、そして決定の間pHを維持し得る。緩衝剤の例としては、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、トリス、バルビタールなどが挙げられる。利用される特定の緩衝剤は重要ではないが、個々のアッセイにおいて、1つまたは別の緩衝剤が好ましくあり得る。種々の補助的な材料が上記の方法に利用され得る。例えば、緩衝剤に加えて、媒体は媒体および利用される試薬のための安定剤を含み得る。頻繁に、これらの添加剤に加えて、アルブミンのようなタンパク質;ホルムアミドのような有機溶媒;第四級アンモニウム塩;硫酸デキストランのようなポリアニオン;結合増強剤、例えば、ポリアルキレングリコール;などを含んでもよい。
1つまたはそれ以上のインキュベーション期間が、1つまたはそれ以上の間隔(上記の種々の試薬の添加の間のあらゆる間隔を含む)で媒体に適用され得る。媒体は、通常、試薬の種々の成分の結合が生じるのに十分な温度および時間でインキュベートされる。中程度の温度が、通常、方法を実施するために利用され、そして測定の期間中、通常、一定温度、好ましくは室温である。インキュベーション温度は、通常、約5℃〜約99℃、通常、約15℃〜約70℃、より通常、20℃〜約45℃の範囲である。インキュベーションの期間は、約0.2秒〜約24時間、または約1秒〜約6時間、または約2秒〜約1時間、または約1〜約15分である。期間は、媒体の温度および会合速度定数、濃度、結合定数、および解離速度定数により決定される種々の試薬の結合速度に依存する。測定の間の温度は、一般に、約10〜約50℃、または約15〜約40℃の範囲である。
アッセイされ得る検体の濃度は、一般に、約10-5〜約1017M、より通常、約106〜約1014Mで変化する。アッセイが定性的、半定量的または定量的(サンプル中に存在する疎水性薬物検体の量に関連する)であるかどうか、特定の検出技術および検体の濃度のような考慮により、通常、種々の試薬の濃度が決定される。
アッセイ媒体中の種々の試薬の濃度は、一般に、目的の疎水性薬物検体の濃度範囲、アッセイの性質などにより決定される。しかし、各試薬の最終濃度は、通常、その範囲にわたってアッセイの感度を最適化するように経験的に決定される。すなわち、疎水性薬物検体の濃度における重要な変化は、正確に測定可能なシグナルの差異を提供するはずである。シグナル生成系の性質および検体の性質のような考慮により、通常、種々の試薬の濃度が決定される。
添加の順序は大巾に変更し得るが、アッセイの性質に依存して特定の優先傾向が存在する。添加の最も単純な順序は、全ての材料を同時に添加することであり、そして均一系アッセイにおいて見られるようなアッセイ媒体がシグナルに対して及ぼす影響を決定する。あるいは、試薬は連続して混合され得る。場合により、上で議論されるように各添加の後にインキュベーション工程が含まれ得る。
試験工程
本発明の開示に従う方法の次の工程において、媒体は、疎水性薬物および疎水性薬物に対する抗体を含む複合体の存在について試験される。複合体の存在および/または量は、サンプル中の疎水性薬物の存在および/または量を示す。
語句「疎水性薬物検体の量を測定する」とは、疎水性薬物検体の定量的、半定量的、および定性的な決定をいう。定量的、半定量的、および定性的である方法、さらに疎水性薬物検体を決定するための他の全ての方法が、疎水性薬物検体の量を測定する方法とみなされる。例えば、疎水性薬物検体を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物検体の存在または不在を単に検出するだけの方法は、本発明の範囲内に包含されるとみなされる。用語「検出すること」および「決定すること」、さらに測定することに関する他の一般的な同義語が、本発明の範囲内に意図される。
多くの実施形態において、媒体の試験は、媒体からのシグナルの検出を含む。シグナルの存在および/または量はサンプル中の疎水性薬物の存在および/または量に関連付けられる。検出の特定のモードは、spsの性質に依存する。上で議論されるように、spsの標識が、外部手段により、望ましくは目視試験により検出可能なシグナルを生成し得る多数の方法が存在し、そしてこれらとしては、例えば、電磁波放射線、電気化学、加熱、放射能検出、化学試薬などが挙げられる。
シグナル生成系の活性化は、シグナル生成系のメンバーの性質に依存する。光で活性化されるシグナル生成系のこれらのメンバーに対しては、メンバーに光を照射する。粒子の表面上に存在するシグナル生成系のメンバーに対しては、塩基を添加することにより活性化をもたらす。本明細書中の開示を考慮して、他の活性化法が当業者に示唆される。放射線標識、酵素などである標識が含まれる系のようないくつかのシグナル生成系に対しては、活性化のための化学物質は必要とされない。酵素系に対しては、基質および/または補因子の添加が必要とされ得る。
シグナルの存在および/または量のために試験はまた、シグナルの検出を含み、これは一般に、シグナルを読み取る1工程だけである。シグナルは、通常、機器を使用して読み取られ、この性質はシグナルの性質に依存する。機器は、分光光度計、蛍光光度計、吸光度計、照度計、化学照度計(chemiluminometer)、光量計、写真機器などであり得る。検出されるシグナルの存在および量は、サンプル中に存在する疎水性薬物化合物の存在および量に関連付けられる。測定の間の温度は、一般に、約10℃〜約70℃、または約20℃〜約45℃、または約20℃〜約25℃の範囲である。1つのアプローチにおいて、検査される検体の既知濃度を使用して標準曲線が形成される。上で議論されるように、キャリブレーターおよび他の対照が使用され得る。
アッセイの特定の実施形態
以下の実施例は、限定ではなく例として本発明の特定の実施例を記載し、そして本発明の範囲を限定するためではなく、単に記載することを意図する。
全ての試薬を混合した後の均一系アッセイにおいて、シグナルを決定し、そしてサンプル中の検体の量に関連付ける。例えば、疎水性薬物についてのEMITアッセイにおいて、疎水性薬物を含有することが疑われるサンプルを水性媒体中で、同時にまたは連続して疎水性薬物の酵素抱合体、すなわち、疎水性薬物に対するアナログ、および疎水性薬物を認識し得る抗体と混合する。一般に、酵素に対する基質を添加し、これにより酵素触媒反応の際に発色生成物または蛍光生成物の形成をもたらす。好ましい酵素はグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびアルカリ性ホスファターゼであるが、他の酵素を利用してもよい。疎水性薬物検体および酵素抱合体の部分は、抗体上の結合部位で競合する。次いで、通常、分光光度手段により媒体中の酵素活性を決定し、そして既知量の疎水性薬物が存在するキャリブレーターまたは参照サンプルを試験した場合に決定される酵素活性と比較する。典型的に、疎水性薬物検体を含有することが疑われるサンプルの試験と類似の様式で、キャリブレーターを試験する。キャリブレーターは、典型的に、異なるが既知である濃度の決定される疎水性薬物検体を含む。好ましくは、キャリブレーター中に存在する濃度範囲は、未知のサンプル中の疎水性薬物検体の疑わしい濃度の範囲に及ぶ。
酵素抱合体の酵素として変異グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを使用して前述のアッセイを実施し得る。この変異酵素は、米国特許第6,090,567号および同第6,033,890号に記載され、関連するこれらの開示は参照により本明細書に加入される。さらに、疎水性薬物に対する抗体を使用して、そして米国特許第5,328,828号および同第5,135,863号(関連するこれらの開示は参照により本明細書に加入される)に開示されるような手順を使用してアッセイを実施し得る。
通常、不均一アッセイは、1つまたはそれ以上の分離工程を含み、そして競合または非競合であり得る。様々な競合および非競合のアッセイ形式は、Davalian,et al.、米国特許第5,089,390号、第14欄、第25行目〜第15欄、第9行目に開示され、この開示は参照により本明細書に加入される。競合アッセイの1種において、本明細書中で議論されるような支持体(支持体に結合した疎水性薬物に対する抗体を有する)を、サンプルおよび疎水性薬物の適切な酵素抱合体を含む媒体と接触させる。支持体と媒体を分離した後、支持体または媒体の酵素活性を従来の技術により決定し、そしてサンプル中の疎水性薬物の存在および/または量に関連付ける。
特定の実施形態において、酵素抱合体の酵素に加えて第二の酵素を利用し得る。第一の酵素の生成物が第二の酵素に対する基質として作用するという点において、酵素対の酵素は関連する。
アッセイ形式の別の実施形態は、捕捉アッセイである。このアッセイ形式において、疎水性薬物に対する抗体を磁性粒子に共有結合させる。サンプルをこれらの粒子と共にインキュベートし、サンプル中の疎水性薬物が疎水性薬物に対する抗体に結合することを可能にする。続いて、共有結合している疎水性薬物または疎水性薬物の誘導体を有する酵素を、磁性粒子と共にインキュベートする。洗浄後、磁性粒子に結合している酵素量を測定し、そしてサンプル中の疎水性薬物の存在および/または量に逆に関連付ける。
以下の特定のアッセイの説明は例であり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明が一般的な疎水性薬物、特に免疫抑制剤の検出に一般に適用される場合、疎水性薬物としてのタクロリムスの選択はまた例であり、限定するものではない。
1つの実施形態において、試験サンプルまたはタクロリムス標準物質は、タクロリムス抱合体、すなわち、ビオチンに結合させているタクロリムスアナログと混合される。試験サンプルのタクロリムスおよびタクロリムスアナログは、タクロリムスに対する抗体への結合で競合することを可能にし、これによりタクロリムスまたはタクロリムスアナログに結合し得る。適切な洗浄緩衝液でリンスした後、酵素、蛍光(florescent)もしくは化学発光分子または放射性部分に抱合したストレプトアビジンまたはアビジンから成る検出分子は、媒体に添加され得、次いで、これはシグナルの存在および/または量について試験される。シグナルの存在および/または量は、タクロリムスの存在および/または量に関連付けられる。
1つの実施形態において、利用されるアッセイは、上記のような誘起発光アッセイである。試薬は、2つのラッテクスビーズ試薬およびビオチン化抗−タクロリムスマウスモノクローナル抗体を含む。第一のビーズ試薬はタクロリムスまたはタクロリムスアナログでコーティングされ、そして化学発光色素を含む。第二のビーズ試薬は、ストレプトアビジンでコーティングされ、そして光増感色素を含む。第一の工程において、タクロリムスを含有することが疑われるサンプルをタクロリムスに対するビオチン化抗体と共にインキュベートし、サンプルからのタクロリムスがタクロリムス濃度に直接関連付けられるビオチン化抗体の画分を飽和状態にさせる。第二の工程において、第一のビーズ試薬を添加し、そしてビオチン化抗体の不飽和画分を用いてビーズ/ビオチン化抗体免疫複合体の形成をもたらす。次いで、第二のビーズ試薬を添加し、ビオチンに結合させ、ビーズ対免疫複合体を形成する。680nmで光照射される場合、第二のビーズ試薬は、反応溶液中の溶存酸素をよりエネルギーのある一重項酸素形態に変換する。ビーズ対において、一重項酸素は第一のビーズ試薬中に拡散し、それにより、化学発光反応を引き起こす。得られた化学発光シグナルを612nmで測定し、そしてこれはサンプル中のタクロリムス濃度の逆関数である。このシグナルの量は、サンプル中のタクロリムスの存在および/または量に関連付けられる。
特定の例の別のアッセイ形式は、ACMIA(アフィニティーカラム免疫測定法:Affinity Column Mediated Immuno Assay)である。ACMIAアッセイ形式について、タクロリムスまたはタクロリムスアナログでコーティングされているクロム粒子を、第一の成分として利用する。第二の成分は、タクロリムスに対する抗体である。レポーター酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ)に連結したこの抗体を過剰量、すなわちサンプル中に存在し得る検体の全てを結合するのに必要とされる以上の量で反応容器に添加する。抗体−酵素抱合体をタクロリムスを含有することが疑われるサンプルと混合し、タクロリムス検体が抗体に結合することを可能にする。次に、クロム試薬を添加し、超過分の抗体−酵素抱合体を結合させる。次いで、磁石を適用し、全てのクロムおよび過剰量の抗体−酵素を懸濁液の外に引き上げ、そして上清を最終反応容器に移す。レポーター酵素の基質を最終反応容器に添加し、そして酵素活性を時間と共に変化する吸光度を分光光度法で測定する。このシグナルの量をサンプル中のタクロリムスの存在および/または量に関連付ける。
サンドウィッチアッセイ形式において、抗タクロリムス抗体でコーティングしたクロム粒子を含む第一の試薬およびレポーター酵素に抱合した第一の抗体に対する第二の抗体(または結合タンパク質)を含む第二の試薬を利用する。この形式において、サンプル中に存在する場合、タクロリムスの全てがクロム粒子と結合するように、タクロリムスを含有している疑いのあるサンプルをクロム粒子と共にインキュベートする。クロム粒子を洗浄し、磁石を使用して上清から結合検体を分離する。次いで、第二の試薬、すなわちレポーター酵素に抱合した抗体(または結合タンパク質)をクロム粒子と共にインキュベートし、「サンドウィッチ」を形成する。洗浄後、クロムに結合している酵素量を測定し、そしてサンプル中のタクロリムスの存在および/または量に関連付ける。
別のアッセイ形式は、EMIT(R)(酵素免疫測定技術;Enzyme−Mediated Immunoassay Technology)である。このアッセイ形式において、酵素抱合体は、例えば、G−6−PDHとタクロリムスアナログの抱合体を形成する。タクロリムスに対する抗体を、酵素−抱合体およびタクロリムスを含有している疑いのあるサンプルと共にインキュベートする。タクロリムスに対する抗体は、酵素抱合体への結合の代わりに、サンプル中のタクロリムス検体に結合し、これによりサンプル中のタクロリムスの不在下、他に生じ得る酵素活性の阻害量を減少させる。このような方法で、より多くのタクロリムス検体を含むサンプルはより高い酵素活性をもたらし、そしてタクロリムス検体を含まないサンプルは、最大阻害および最低の酵素活性を有する。酵素活性の阻害の減少量は、サンプル中のタクロリムスの量に関連付けられる。
特定のアッセイを実施するための試薬は、疎水性薬物検体を決定するためのアッセイを都合よく実施するのに有用なキット中に存在し得る。1つの実施形態において、キットは疎水性薬物検体に対する抗体とアッセイを実施するための他の試薬とのパッケージされた組み合わせを含み、これらの性質は特定のアッセイ形式に依存する。試薬は各々、別々の容器内にあるか、または種々の試薬は、試薬の交差反応性および安定性に依存して、1つまたはそれ以上の容器に組み合わされ得る。キットは、アッセイを実施するための別々にパッケージされた他の試薬、例えば、追加のsbpメンバー、補助的な試薬(例えば、補助的酵素の基質)などをさらに含み得る。
キット中の種々の試薬の相対量は、本方法の間に生じることが必要な反応を実質的に最適化する試薬の濃度を提供し、そしてさらにアッセイの感度を実質的に最適化するために変化に富み得る。適当な条件下で、キット中の1つまたはそれ以上の試薬は通常、凍結乾燥された乾燥粉末(添加剤を含む)として提供され、溶解される際、これは本発明に従う方法またはアッセイを実施するのに適切な濃度を有する試薬溶液を提供する。キットはさらに、上記のような本発明に従う方法のまとめられた記述を含む。
【0103】
【0103】
以下の実施例は、限定ではなく例として本発明の特定の実施形態をさらに記載し、そして本発明の範囲を限定するのではなく、記載することを意図する。本明細書中に開示される部およびパーセンテージは、他に示されない限り容量である。
材料:
PLURONIC(R) 25R2をBASF Corporation(Wilmington NC)から購入した。他の全ての化学物質をSigma−Aldrich Company(St.Louis MO)から購入した。
Dade Behring Inc.,Newark DEから入手可能なDIMENSION(R) RxL分析器を使用して試験を行った。ACMIATM免疫測定技術を使用して機器を利用した。ACMIAアッセイ法は、米国特許第7,186,518号、同第5,147,529号、同第5,128,103号、同第5,158,871号、同第4,661,408号、同第5,151,348号、同第5,302,532号、同第5,422,284号、同第5,447,870号、同第5,434,051号に開示され、これらの開示はそれらの全体が本明細書に加入される。本明細書中で使用され、そして以下により詳細に議論されるACMIA法の実施形態において、患者サンプル中のクロム粒子上のタクロリムスアナログとタクロリムス(TACR)が酵素に抱合したタクロリムスに対する抗体(抱合体)で競合することを利用して、患者サンプル中のタクロリムスの量を決定した。クロム粒子上のタクロリムスアナログに結合する抱合体を磁気分離により取り出した。上清に残っている抱合体から酵素活性を測定し、そしてこれは患者サンプル中のタクロリムスの量に正比例する。利用されるACMIAアッセイ形式において、タクロリムスを含まないサンプルを試験する場合、観察される酵素活性は、活性化抗体に結合しない酵素活性の量を示す(すなわち、クロム粒子上のタクロリムスに結合できない)。クロム粒子が存在しない場合、観察される酵素活性は、抱合体中の酵素活性の全量を示す。これらの値を使用して、活性化抗体に結合する酵素活性の割合を見積もる。
実施例1.
手動でない前処理を利用する液体妨害を低減させた疎水性薬物についての自動化免疫測定
PLURONIC(R) 25R2を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPESTM 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.09%の最終濃度までのPLURONIC(R) 25R2を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終反応混合物中のPLURONIC(R) 25R2の濃度は、約0.021%であった。
SDSを含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.2%の最終濃度までのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のSDSの濃度は、約0.047%であった。
LDSを含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5リチウム塩、0.3mg/mL EDTA二リチウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.05%の最終濃度までのドデシル硫酸リチウム(LDS)を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のLDSの濃度は、約0.012%であり、これはLDS CMC(0.24%)より低かった。
TRITONTM X405を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.5%の最終濃度までのTRITONTM X405を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のTRITONTM X405の濃度は、約0.117%である。
GAFAC(R)を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.2%の最終濃度までのGAFAC(R)を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のGAFAC(R)の濃度は、約0.047%である。
EP110(R)を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.05%の最終濃度までのEP110(R)を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のEP110(R)の濃度は、約0.0117%である。
ZWITTERGENT(R)を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.1%の最終濃度までのZWITTERGENT(R)を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のZWITTERGENT(R)の濃度は、約0.0234%である。
TWEEN(R) 20を含む前処理溶液の調製
6.8mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、0.3mg/mL EDTA 二ナトリウム、1.0mg/mLサポニン、5μg/mLのFK−506 カルバメート化合物(またはタクロリムスエステル)、0.2% Proclin 300、0.024mg/mL 硫酸ネオマイシンおよび0.99mg/mL NaN3を含む緩衝液(pH 6.5)に0.1%の最終濃度までのTWEEN(R)20を添加することにより、この前処理基礎液を調製した。最終ACMIA反応混合物中のTWEEN(R)20の濃度は、約0.0234%である。
抗タクロリムス抗体−β−ガラクトシダーゼ抱合体の調製
公知の技術に従って標準的なヘテロ二官能性連結剤、すなわちSMCC(スクシニミジルトランス−4−(N−マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)リンカーを使用して、モノクローナル抗タクロリムス抗体をβ−ガラクトシダーゼに抱合させた。抗体抱合体溶液(pH 6.5)は、約7.5μg/mL抗タクロリムス抗体−βガラクトシダーゼ抱合体、30mg/mL プロテアーゼを含まないウシ血清アルブミン、0.126mg/mL MgCl2、0.03mg/mLのエチレングリコール、3
5.14mg/mL PIPES 1.5ナトリウム塩、50mg/mL NaClおよびβ−gal突然変異タンパク質(不活性化したβ−ガラクトシダーゼ)を含んでいた。
磁性クロム粒子の調製
FK−タクロリムス−BGG(ウシガンマグロブリン)−デキストラン抱合体を作製し、クロム粒子でスラリーを調製し、次いでコーティング粒子をタブレット化することにより、FK−タクロリムスクロム粒子(免疫測定固相)の生成を進めた。各FK−タクロリムスタブレットは、FK−タクロリムスクロムスラリー(約2mg)、30% ウシ血清アルブミン(BSA)(10.5mg)、トレハロース二水和物(30.4mg)およびCARBOWAX(R) 100μm(3.6mg)を含んでいた。
タクロリムスアッセイ
タクロリムスについてのACMIAアッセイの原理および操作は以下の通りであった:
上記の界面活性剤の1つを含む前処理試薬をDIMENSION(R) RxL/HM機器の反応容器に添加した。次いで、タクロリムスを含む全血(20μl)を添加した。血液と超音波サンプルプローブを始めに混合することにより、全血を標準カップからサンプリングした。全血サンプルとタクロリムスカルバメート前処理溶液を混合することにより、全血の溶解およびタクロリムスカルバメート分子によるそれらの結合部位からのタンパク質結合タクロリムス分子の置換を確実にした。従って、放出されたタクロリムス分子は、反応混合物中の抗タクロリムス抗体にアクセス可能となる。次に、抗タクロリムス抗体−β−ガラクトシダーゼ抱合体(50μL)を添加し、そしてサンプル中のタクロリムスの反応を可能にした。固定化したタクロリムス−BGG(ウシガンマグロブリン)−デキストランを有するクロム粒子を添加し(50μL)、そして未反応抱合体への結合を可能にした。抗タクロリムス抗体−β−ガラクトシダーゼ抱合体を結合したタクロリムスは、クロムに結合しないが、磁場を上記の反応混合物に適用し、クロム粒子から溶液を分離させた場合、上清中に残っていた。反応容器から光度計のキュベットに上清を移し、そしてクロロフェノールレッド−β−D−ガラクトピラノシド(CRPG)の存在下、抱合体の酵素率(enzymatic rate)を測定することによって、タクロリムス−結合抱合体を検出した。この比率を二重クロマチック的に577および700nmで測定した。
異なる前処理試薬の比較
PLURONIC(R) 25R2、SDS、LDSおよびTRITONTM X405を使用して、通常のコレステロールまたはトリグリセリドおよび高コレステロールまたは高トリグリセリドを含む全血サンプル中のタクロリムス濃度を測定するために、DIMENSION(R) ANALYZERで実施されるACMIAアッセイのための前処理溶液(上で詳細に議論されるような)を別々に作製した。アッセイの対照として上記の界面活性剤を含まない別の前処理溶液を作製した(「対照」)。上記の界面活性剤を混ぜたか、混ぜていない前処理溶液を使用して、DIMENSION(R) 臨床化学分析器上でのタクロリムスACMIAアッセイのための試薬カートリッジを調製した。上記の界面活性剤を使用しない場合、コレステロールおよびトリグリセリドの両方は、全血サンプル中のタクロリムス回収率を減少させた。以下の表において、タクロリムス回収率(ng/ml)を報告する。(妨害の減少量を示すので)、コレステロール妨害率は負数として報告され、そして通常のコレステロールの検体回収率と高コレステロールの検体回収率との間の差を通常のコレステロールの検体回収率で割って100倍する。例えば、以下の対照から、コレステロールの妨害率は、(10.6−3.9)÷10.6×100である。(妨害の減少量を示すので)、トリグリセリドの妨害率は、負数として報告され、そして通常のトリグリセリドの検体回収率と高トリグリセリドの検体回収率との間の差を通常のトリグリセリドの検体回収率で割って100倍する。例えば、以下の対照から、トリグリセリドの妨害率は、(10.0−6.5)÷10.0×100である。
Figure 0005509076
上記の界面活性剤が前処理溶液中に配合される場合、界面活性剤PLURONIC(R) 25R2、SDS、LDSおびよTRITONTM X405は、本方法の実施形態に従って、コレステロールおよびトリグリセリド妨害の両方を実質的に軽減することを示した。
本明細書中に言及される全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が参照により加入されると具体的かつ個別に示される場合、参照により本明細書に加入される。
上述の発明は、理解の明確さの目的のために例および実施例を少し詳しく記載されてきたが、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくそれらに対してなされ得ることは、本発明の教示を考慮すると当業者に容易に明らかとなる。さらに、上述の記載は、説明の目的のために、本発明の十分な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかし、具体的な詳細が本発明を実施するために必要ではないということは当業者に明らかであろう。従って、本発明の特定の実施形態の上述の記載は、例示および説明の目的のために提示され;それらは包括的であることも、本発明を開示された厳密な形態に限定することも意図されない。上記の教示を考慮すれば多くの変更および変化が可能である。本発明の原理およびその実際の適用を説明し、そしてそれにより当業者が本発明を利用することを可能にするために、実施形態は選択され、そして記載された。

Claims (11)

  1. 疎水性薬物を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させるための方法であり、該方法は、以下:
    (a)媒体中で、
    (i)該サンプルおよび
    (ii)該疎水性薬物に対するバイオアベイラビリティー剤、ここで、該バイオアベイラビリティー剤は、(1)一方の末端に硫酸イオン、亜硫酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、アミンオキシド又はアンモニウムイオンを有し、他方の末端にアルキル又はアルキルフェノールを有する少なくとも10の炭素原子の鎖を含むイオン性界面活性剤または(2)少なくとも15の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位またはエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との組み合わせの鎖を含む非イオン性界面活性剤を含み、該バイオアベイラビリティー剤は両性イオンでなく、そして該媒体中の該バイオアベイラビリティー剤の濃度は容量で0.0001%〜0.5%である、
    の組み合わせを提供し、そして
    (b)1秒〜60分間、10℃〜45℃で該媒体をインキュベートすることを包含する、方法。
  2. 媒体中の組み合わせがさらに溶血剤を含む、疎水性薬物を含有することが疑われるサンプル中の疎水性薬物を決定するための、請求項1に記載の方法であり、該方法は、さらに以下:
    (b)該サンプル中の細胞を溶血させ、そして該疎水性薬物のバイオアベイラビリティーを向上させる条件下で該媒体をインキュベートし、
    (c)該サンプル中の該疎水性薬物の存在および/または量を決定するための媒体試薬、ここで、該試薬は、該疎水性薬物に対する少なくとも1つの抗体を含む
    添加し、そして
    (d)該サンプル中の該疎水性薬物と該疎水性薬物に対する抗体を含む複合体の存在、該疎水性薬物の存在および/または量を示す該複合体の存在および/または量について該媒体を試験することを包含する、方法。
  3. 疎水性薬物が免疫抑制剤である、請求項1に記載の方法。
  4. バイオアベイラビリティー剤が、少なくとも20の繰り返しのエチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位またはエチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との組み合わせを含む非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  5. バイオアベイラビリティー剤が、界面活性剤PLURONIC(R) 25R2またはTRITONTM X−405である、請求項4に記載の方法。
  6. バイオアベイラビリティー剤が、少なくとも10のメチレン単位を含むイオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  7. バイオアベイラビリティー剤が、ドデシル硫酸ナトリウムまたはドデシル硫酸リチウムである、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(c)において、疎水性薬物アナログが媒体に添加される、請求項2に記載の方法。
  9. 疎水性薬物の少なくとも1つの抗体および疎水性薬物アナログが標識を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(c)において、第二の抗体が媒体に添加され、該第二の抗体が疎水性薬物と該疎水性薬物に対する抗体の複合体に結合する、請求項2に記載の方法。
  11. 疎水性薬物の少なくとも1つの抗体および第二の抗体が標識を含む、請求項10に記載の方法。
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