JP5507695B2 - プラズマエッチング方法、及びプラズマエッチング装置 - Google Patents

プラズマエッチング方法、及びプラズマエッチング装置 Download PDF

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Description

この発明は、シリコン基板をエッチングするプラズマエッチング方法、及びそれに用いるプラズマエッチング装置に関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、シリコン基板の厚さ方向に延びるホールを、六フッ化硫黄(SF)ガスや三フッ化窒素(NF)ガス等のフッ素含有ガスを用いたプラズマエッチングによって形成する方法が知られている。
フッ素含有ガスから生成されるプラズマには、シリコンのエッチャントであるフッ素系イオンとフッ素系ラジカルとが含まれる。このうちフッ素系イオンは、シリコン基板が有するバイアス電位によって基板の表面に引き込まれて、基板表面に対してその法線方向から入射する。それゆえに、フッ素系イオンによるシリコン基板のエッチングは、基板の厚さ方向にのみ進行する異方性エッチングとなる。
他方、フッ素系ラジカルは、プラズマ生成空間内のガスの流れに従ってシリコン基板の表面に到達する。そのため、基板表面に対する特定の方向を有しない等方性エッチングとなる。そして、フッ素含有ガスから生成されたプラズマによるエッチングには、イオンによる異方性エッチングとラジカルによる等方性エッチングとが混在することになる。
近年では、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System )デバイス等の製造にあたり、数十程度の高アスペクト比と数十μmにも及ぶ深さとを有するホールを、シリコン基板に精度よく形成することが求められている。そこで、こうした要請に応えるために、フッ素含有ガスと酸素ガスとを用いたプラズマエッチング方法が提案されている。こうしたエッチングガスによるプラズマエッチング方法では、ホールの形成に際し、プラズマ中に含まれる酸素イオンや酸素ラジカル等の酸素源が、ホールを構成する側面や底面のシリコンと反応してシリコン酸化膜を形成する。シリコン酸化物は、シリコンよりもフッ素系ラジカルによってエッチングされにくいことから、シリコン酸化膜はホールの側面をエッチングから保護する膜として機能する。また、ホールの底面に形成されたシリコン酸化膜は、フッ素系イオンとフッ素系ラジカルとの両方によってエッチングされることから、側面に形成されたシリコン酸化膜よりもエッチングが進行しやすい。そのため、基板の厚さ方向へのシリコンのエッチングは側方へのエッチングよりも進行する。こうして、基板表面に略垂直なホールが形成される。
特開2009−10240号公報
ところで、シリコン基板にホールを形成するときには、プラズマエッチングに先立って、フォトレジストからなるマスクがシリコン基板の表面に形成される。一方、上述したエッチングガスによるプラズマエッチングでは、有機物等からなるフォトレジストが酸素プラズマに曝される。それゆえに、プラズマエッチング時の酸素ガスの供給流量を所定量以上とすると、ホールの側面はシリコン酸化膜によって確実に保護される一方、シリコン基板の表面がエッチャントに曝される可能性がある。これにより、ホールの開口部近傍が所望の形状に維持されにくくなる。
フォトレジストのエッチング量を少なくするために酸素ガスの供給流量を所定量以下とすると、ホールの側面がシリコン酸化膜によって十分に保護されなくなる。その結果、特にフッ素系ラジカルに起因する等方性エッチングが進行してしまい、フォトレジストの開口よりも内側のシリコンが面方向にエッチングされることになる(いわゆるサイドエッチング)。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホールの加工における形状制御性を高めることができるプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置を提供することにある。
本発明の一態様は、レジストマスクが積層されたシリコン基板を収容する真空槽に六フッ化硫黄ガスと酸素ガスとをエッチングガスとして供給するガス供給工程と、前記真空槽内に高周波電力を供給して前記エッチングガスでプラズマを生成するプラズマ生成工程とを備え、前記プラズマによって前記シリコン基板をエッチングするプラズマエッチング方法であって、前記プラズマに含まれる酸素ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始時から単調増加する期間を第一の期間として設定し、前記プラズマに含まれるフッ素系ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始時から単調増加する期間を第二の期間として設定し、前記プラズマ生成工程は、前記高周波電力の供給開始時から前記第一の期間が経過した後でかつ前記第二の期間が経過する前に、前記高周波電力の供給を停止すること、及び、前記高周波電力の供給と前記高周波電力の供給停止とを繰り返すこと含む。
本発明の別の態様は、レジストマスクが積層されたシリコン基板を収容する真空槽と、前記真空槽に六フッ化硫黄ガスと酸素ガスとをエッチングガスとして供給するガス供給部と、前記真空槽内に高周波電力を供給して前記エッチングガスでプラズマを生成するプラズマ生成部とを備え、前記プラズマによって前記シリコン基板をエッチングするプラズマエッチング装置であって、前記プラズマに含まれる酸素ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始から単調増加する期間が第一の期間として設定されており、前記プラズマに含まれるフッ素系ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始から単調増加する期間が第二の期間として設定されており、前記プラズマ生成部は、前記供給開始から前記第一の期間が経過した後でかつ前記第二の期間が経過する前に、前記高周波電力の供給を停止し、前記高周波電力の供給と前記高周波電力の供給停止とを交互に繰り返す。
上記一態様及び別の態様では、第一の期間及び第二の期間を以下のように設定している。
[第一の期間]高周波電力の供給開始時から酸素ラジカルの密度が単調増加する期間。
[第二の期間]高周波電力の供給開始時からフッ素系ラジカルの密度が単調増加する期間。
本願発明者は、酸素(O)ガスから酸素ラジカルを生成するために必要な高周波電力の供給時間と、六フッ化硫黄(SF)ガスからフッ素系ラジカルを生成するために必要な同供給時間とを数値計算や実測によって得た。そして、OガスとSFガスとの混合系において、酸素ラジカルの生成に要する供給時間が、フッ素系ラジカルの生成に要する供給時間よりも大幅に短いことを見出した。上記第一の期間においては、酸素ラジカルに対するフッ素系ラジカルの比が大きくなりやすく、第一の期間の終了時から第二の期間の終了時までの間は、酸素ラジカルに対するフッ素系ラジカルの比が小さくなりやすい。こうした点に鑑みれば、エッチングプロセスの全体において、高周波電力の供給開始時から第一の期間が経過するまでの間は、エッチングにより形成されたホールの内壁と酸素ラジカルとの反応が相対的に進行しやすい。そのため、ホールの内壁には、酸化シリコン膜が形成されやすくなる。これに対して、第一の期間の経過後から第二の期間の終了までの間は、ホールの側壁が酸化シリコン膜により保護されて、ホールの側壁とフッ素系ラジカルとの反応が相対的に進行し難い。一方、ホールの底壁では、プラズマ中の正イオンとフッ素系ラジカルとによってエッチングが進行するため、ホールの側壁と比較して、酸化シリコン膜が除去されやすい。
そこで、上記一態様及び別の態様では、第一の期間の経過後であって第二の期間の経過前の期間で高周波電力の供給を停止し、こうした高周波電力の供給及びその停止を交互に繰り返すようにしている。これにより、ホールの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールの底壁がエッチングされやすい期間とを、交互に繰り返すことができるため、ホールの側壁を等方的なエッチングから保護しつつ、ホールの底壁をエッチングすることができる。
これに対し、上記エッチングガスを用いて連続的にエッチングを実施する場合、ホールの側壁における酸化シリコン膜の形成と、ホールの底壁におけるエッチングとが同時に進行することになる。それゆえに、シリコン基板の厚さ方向へホールを形成し続けるためには、ホールの側壁に対してエッチングが進行することを抑える分だけ、Oガスの供給流量を増大する必要がある。しかし、このような流量でOガスを供給すると、ホールの側壁は保護されやすくなるものの、シリコン基板の表面に積層されたレジストマスクまでもがエッチングされやすくなる。そのため、レジストマスクの厚さも増大させなければ、ホールが完成する以前にレジストマスクが除去されて、ホールの開口側の形状が維持されなくなる。
一方、上記一態様及び別の態様によれば、まず、ホールの内壁に酸化シリコン膜を形成してから、ホールの底壁がエッチングされるため、上記連続的なエッチングにおけるOガスよりも低い流量で、ホールの側壁が等方的にエッチングされることを抑えることができる。したがって、請求項1に記載の発明によれば、プラズマエッチング方法によるホールの加工における形状制御性を高めることができる。
一例では、前記プラズマ生成工程では、前記供給開始時から25ミリ秒以上経過して、該供給開始時から100ミリ秒以下経過する前に、前記高周波電力の供給を停止する。この方法によれば、酸素ラジカルの密度は、供給期間中においてフッ素ラジカルよりも確実に先行して増大し、フッ素ラジカルの密度は、同供給期間において酸素ラジカルの増大期間後も続けて増大するようになる。それゆえに、ホールの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールの底壁がエッチングされやすい期間とを、確実に交互に繰り返すことができる。
一例では、前記高周波電力の供給を停止してから再び前記高周波電力の供給を開始するまでの期間を第三の期間として設定し、前記第三の期間は、次回の高周波電力の供給開始時における前記フッ素系ラジカルの密度、及び前記次回の高周波電力の供給開始時における前記酸素ラジカルの密度を、前記供給開始時ごとに等しくするように設定される。この方法によれば、高周波電力の供給とその停止とを交互に繰り返したとしても、前回の電力供給時に生成されたフッ素系ラジカルが次回の電力供給時のエッチングに影響を及ぼし難くなる。また、前回の電力供給時に生成された酸素ラジカルが次回の電力供給時における酸化シリコン膜の生成に影響を及ぼし難くなる。それゆえに、プラズマエッチング方法によるホールの加工における形状制御性を再現性よく高めることができる。
一例では、前記高周波電力の供給開始時から前記高周波電力の供給停止時までの期間は、前記供給開始時ごとに等しく、前記第三の期間は、前記次回の高周波電力の供給停止時における前記フッ素系ラジカルの密度、及び前記次回の高周波電力の供給停止時における前記酸素ラジカルの密度が、前記供給停止時ごとに等しくなるように設定される。この方法によれば、高周波電力の供給時には、その開始時から停止時までにわたるフッ素ラジカルの密度の挙動、及び酸素ラジカルの密度の挙動が、高周波電力の供給ごとに略等しくなる。そのため、高周波電力の供給とその停止とを繰り返したとしても、高周波電力の供給期間ごとに、ホールの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールの底壁がエッチングされやすい期間とを、より確実に交互に繰り返すことができる。それゆえに、プラズマエッチング方法が有するホールの加工における形状制御性をより確実に高めることができる。
本実施形態におけるプラズマエッチング装置の概略図。 プラズマに含まれる各種粒子の密度の経時変化を示すグラフ。 (a)フッ素系ラジカルの密度変動(b)酸素ラジカルの密度変動、及び(c)高周波電力の供給タイミングを示すタイムチャート。 プラズマエッチング方法の処理手順を示すフローチャート。 (a)実施例のプラズマエッチング方法によって形成したホールのSEM画像(b)比較例のプラズマエッチング方法によって形成したホールのSEM画像(c)比較例のプラズマエッチング方法によって形成したホールのSEM画像。
以下、本発明の一実施形態に従うプラズマエッチング装置及びプラズマエッチング方法について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本実施形態のプラズマエッチング方法を実施するプラズマエッチング装置である。プラズマエッチング装置10は、レジストマスクが形成されたシリコン基板Sに対し、その表面Ssをプラズマに曝して、シリコン基板Sの厚さ方向に延びるホールをシリコン基板Sに形成する。
プラズマエッチング装置10は、アルミニウム等の金属からなる円筒状の真空槽11を有している。真空槽11の上面11tには、接地された円板状の上部電極12が設けられている。上部電極12は、ガスを導入するガス導入管12aにと連通するガス室12bと、ガス室12b及び真空槽11と連通する複数のシャワーホール12cとを有している。ガス導入管12aには、エッチングガスとして六フッ化硫黄(SF)ガスと酸素(O)ガスとを供給するエッチングガス供給部13が、ガス供給管GLを介して接続されている。そして、接地電極としての上部電極12は、エッチングガスを真空槽11内に略均一に拡散させる。
真空槽11の下面11bには、排気管11eが接続されている。排気管11eには、真空槽11内の気体を排気する真空ポンプ等を備えた排気部14が接続されている。そして、プラズマエッチング装置10がプラズマエッチングを実施するとき、排気部14は真空槽11内の圧力を例えば20Pa〜150Paにする。
真空槽11内には、上部電極12と対向するように下部電極15が配設されている。下部電極15には、インピーダンス整合器18を介して、高周波電力をパルス状に出力してプラズマ生成部を構成する高周波電源19が接続されている。また、下部電極15は、シリコン基板Sが載置される基板ステージとしても機能する。下部電極15には、該下部電極15と上部電極12との距離を変更する可動軸16が連結されている。可動軸16には、可動軸16の位置を変更するモータ17が接続されている。
そして、モータ17が正回転あるいは逆回転すると、可動軸16が上方又は下方に移動することで、下部電極15の位置が変更される。また、下部電極15が固定された状態で、高周波電源19が下部電極15に高周波電力を供給すると、上部電極12と下部電極15とに挟まれたプラズマ生成領域PLに、エッチングガスのプラズマが生成される。加えて、下部電極15に高周波電力が供給されると、下部電極15が負のバイアス電位を有するようになる。なお、この間、インピーダンス整合器18は、高周波電源19の出力インピーダンスと、真空槽11内を含む負荷の入力インピーダンスとを整合させる。
上述のような平行平板型のプラズマエッチング装置10によってプラズマエッチングを実施する際には、まず、プラズマエッチング装置10の搬出入口からシリコン基板Sが真空槽11に搬入され、下部電極15上に載置される。次いで、排気部14が駆動されることによって、真空槽11内が所定の圧力にまで減圧される。その後、エッチングガス供給部13からSFガスとOガスとが真空槽11内に所定の流量で供給される。このとき、排気部14の排気流量とエッチングガス供給部13からのエッチングガスの供給流量とによって、真空槽11内が所定の圧力に保たれる。そして、高周波電源19から下部電極15に高周波電力が供給されることによって、エッチングガスのプラズマがプラズマ生成領域PLに生成される。プラズマに含まれるエッチャントであるフッ素系ラジカルや各種正イオンがシリコン基板Sの表面Ssに到達することによって、該表面Ssがエッチングされる。
ここで、上記エッチングガスを用いてシリコン基板Sを連続的にエッチングする場合、ホールの側面では、フッ素系ラジカルによるシリコンのエッチング反応と酸素ラジカルによるシリコンの酸化反応とが同時に進行する。この際、シリコン基板の厚さ方向にのみエッチングを進行させるためには、上記酸化反応を優先的に進行させるだけのOガスを供給し続ける必要がある。一般に、エッチングガスにおけるOガスの割合をSFガスの割合よりも大きくする必要がある。
一方、シリコン基板Sの表面Ssに形成されたレジストマスクは、フッ素系ラジカルによりシリコン基板Sがエッチングされると同時に、酸素ラジカルによりエッチングされる。そのため、シリコン基板Sに形成されるレジストマスクは、酸素ラジカルによるエッチング量よりも十分に厚いことが必要とされる。厚いレジストマスクを形成する結果、フッ素系ラジカルがホール内に到達し難くなり、エッチングの速度が低下したり、異方性のエッチングが進行し難くなったりする。
他方、レジストマスクの厚さを抑えるために、Oガスの供給流量を低減させると、ホールの側面において酸化シリコン膜が十分に形成されなくなる。そのため、フッ素系ラジカルによってホールの側面が等方的にエッチングされることになる。
ところで、上記エッチングガスから生成されるプラズマには、上述のフッ素系ラジカル及び酸素ラジカルに加え、Oイオン、SFxイオン等の各種正イオン、及び電子が含まれる。図2は、これら各種粒子の密度、及び電子温度の経時変化を示すグラフである。なお、図2は、真空槽11内にシリコン基板Sを搬入せず、プラズマ生成時の各種条件を以下のように設定した上で、各種粒子の密度等をシミュレーションによって算出したものである。
・Oガスの供給流量 150sccm
・SFガスの供給流量 150sccm
・真空槽11内の圧力 93Pa
・高周波電源19の出力周波数 60MHz
・高周波電源19の出力 2500W
図2に示されるように、高周波電力の供給を供給開始点T0から開始して凡そ10ミリ秒が経過すると、正イオンの密度が略一定になる。正イオンの密度は、高周波電力の供給を開始した時点からそれ程増加しないものの、単調増加の後に略一定になる。供給開始点T0から凡そ25ミリ秒が経過すると、電子の密度が、単調増加の後に略一定になる。酸素ラジカルの密度は、電子の密度よりもより急峻な単調増加の後に最大値を示す。酸素ラジカルについては、正イオンや電子の密度の変動と異なり、最大値を示した直後に単調減少を開始する。その後、供給開始点T0から凡そ375ミリ秒が経過したところで酸素ラジカルの密度は略一定になる。フッ素系ラジカルの密度は供給開始点T0から単調増加し、供給開始点T0から凡そ425ミリ秒が経過すると、フッ素系ラジカルの密度は略一定値になる。電子温度は、供給開始点T0から凡そ15ミリ秒が経過するまで減少し、その後、凡そ100ミリ秒まで単調増加し、再び単調減少して、凡そ350ミリ秒が経過したところで略一定になる。こうした各種粒子の密度は、Oガスの供給流量及びSFガスの供給流量が上述の条件とは異なる任意の流量に設定されたとしても、概ね同様の傾向で変動する。また、各種粒子の密度変動に見られる傾向は、高周波電源19の出力にかかわらず認められるものであり、真空槽11内の圧力が20Pa〜150Pa、高周波電源の出力周波数が60MHz〜150MHzの範囲でも概ね認められるものである。
各種粒子のうち、上記ホールの形状への寄与が相対的に大きい粒子である酸素ラジカルとフッ素系ラジカルとに着目する。以下の説明では、上記供給開始点T0から、酸素ラジカルの密度が単調増加し続ける期間、言い換えれば酸素ラジカルの密度が最大値となるまでの期間を、第一の期間T1と称する。他方、供給開始点T0から、フッ素系ラジカルの密度が単調増加し続ける期間、言い換えればフッ素系ラジカルの密度が飽和するまでの期間を、第二の期間T2と称する。これら第一の期間T1と第二の期間T2とを比較すると、上述のように第二の期間T2が第一の期間T1よりも顕著に長い。
また、第一の期間T1では、酸素ラジカルの密度が単調増加するとともに、酸素ラジカルの密度の増加率がフッ素系ラジカルの密度の増加率よりも大きい。そのため、フッ素系ラジカルの密度に対する酸素ラジカルの密度の比(密度比R=[酸素ラジカルの密度]/[フッ素系ラジカルの密度])は、時間の経過とともに大きくなる。そして、第一の期間T1の終了時にて密度比Rは最大値となる。
第一の期間T1の終了時から第二の期間T2の終了時までの期間では、酸素ラジカルの密度は単調減少するが、フッ素系ラジカルの密度は単調増加し続ける。そのため、密度比Rは、時間の経過とともに小さくなり、第二の期間T2の終了時点にて最も小さくなる。
第二の期間T2の終了時以降は、酸素ラジカルの密度及びフッ素系ラジカルの密度がともに一定の値で推移することから、密度比Rの値も一定となる。
プラズマ生成領域PL内にエッチングガスのプラズマを生成した場合、上記密度比Rは第一の期間T1において相対的に大きくなるとともに、第二の期間T2の終了時以降において相対的に小さくなる。そして、第一の期間T1の終了時から第二の期間T2の終了時までの期間における密度比Rは、第二の期間T2以降における密度比Rよりも大きく、且つ第一の期間T1における密度比Rと同じか小さい値となる。
ここで、プラズマ生成領域PLの酸素ラジカルがフッ素系ラジカルよりも先にホールの内壁に到達する確率は、密度比Rが相対的に大きくなる上記第一の期間T1において、最も高くなる。それゆえに、第一の期間T1においては、ホールの側面に酸化シリコン膜が形成されやすくなるため、フッ素系ラジカルによる等方的なエッチングからホールの側面が効果的に保護される。
これに対して、プラズマ生成領域PLのフッ素系ラジカルが酸素ラジカルよりも先にホールの内壁に到達する確率は、密度比Rが相対的に小さくなる期間、すなわち上記第一の期間T1の終了時から第二の期間T2の終了時までの間の方が第一の期間T1よりも高くなる。このとき、ホールの側面にはシリコンよりもフッ素系ラジカルによってエッチングされにくい酸化シリコン膜が予め形成されていることから、ホールの側面での等方的なエッチングは進行しにくい。
一方、上述のように連続的にエッチングを実施した場合、該エッチングの開始から終了までの大部分が、第二の期間T2経過後の期間となる。そして、第二の期間T2経過後では、フッ素系ラジカルが酸素ラジカルよりも先にホールの側面に到達しやすい状態が続くこととなる。その結果、高周波電力の供給開始直後にのみホールの側面に酸化シリコン膜が形成され、それ以降では、ホールの側面においてエッチングが支配的に進行し続けてしまう。それゆえに、プラズマ生成時の条件、特にOガスの供給流量やSFガスの供給流量が同じという前提であれば、一旦高周波電力の供給を開始してから連続的にエッチングを実施するよりも、第一の期間T1によるエッチングを繰り返し実施することが好ましい。これにより、ホールの側面をより確実に酸化シリコン膜によって保護しつつ、ホール底面のエッチングを進行させることができる。したがって、プラズマエッチングによるホールの加工における形状制御性が高められることになる。
なお、高周波電力の供給は、上記第二の期間T2経過後まで実施するよりも、供給開始点T0からフッ素系ラジカルの密度が単調増加を継続している期間であるオン期間T3だけ実施する方が好ましい。これにより、エッチングの開始から終了までにわたり、酸素ラジカルの密度及びフッ素系ラジカルの密度が、上記連続的なエッチングと同等の条件となることを確実に抑えることができる。ひいては、上述したホールの加工における形状制御性が、より効果的に得られることになる。
図3は、上記オン期間T3にわたる高周波電力の供給と、オフ期間T4にわたる高周波電力の供給停止とを繰り返したときのラジカルの密度について経時変化を示している。図3(a)はフッ素系ラジカルの密度について経時変化を示しており、図3(b)は酸素ラジカルの密度について経時変化を示している。また、図3(c)は、高周波電力の供給を開始(ON)するタイミング及び停止(OFF)するタイミングを示している。なお、図3に示される各ラジカルの密度の経時変化も、図2に示される各種粒子の密度の経時変化を算出したときと同様の方法及び条件にて算出されたものである。また、各ラジカルの密度の経時変化は、高周波電力の供給の開始及び停止を任意の回数だけ繰り返したうちの一部のみを示したものである。
図3に示されるように、高周波電力の供給が開始されてから停止されるまでのオン期間T3を、例えば100ミリ秒に設定する。なお、該オン期間T3は25ミリ秒以上100ミリ秒以下に設定することが好ましい。これにより、高周波電力が供給されるごとに、上述した密度比Rが相対的に高くなり、その密度比Rが相対的に低くなるごとに、高周波電力の供給が停止される。また、オン期間T3と次のオン期間T3とに挟まれた期間であって、高周波電力の供給が停止されてから再び開始されるまでのオフ期間T4を、例えば50ミリ秒に設定する。
なおオフ期間T4は、フッ素系ラジカルの密度及び酸素ラジカルの密度が電力供給の開始ごとに同じ値(それぞれフッ素系ラジカルの所望開始時密度及び酸素ラジカルの所望開始時密度と呼ぶことがある)に等しくなるように設定されることが好ましい。これによれば、高周波電力の供給とその停止とを交互に繰り返したとしても、前回の電力供給時に生成されたフッ素系ラジカルが次回の電力供給時のエッチングに影響を及ぼし難くなる。また、前回の電力供給時に生成された酸素ラジカルが次回の電力供給時における酸化シリコン膜の生成に影響を及ぼし難くなる。さらに、高周波電力の供給を継続する期間を、高周波電力の供給時ごとに等しくするとともに、オフ期間T4を、該期間の次に高周波電力の供給を停止するときに、フッ素系ラジカルの密度、及び酸素ラジカルの密度が毎回同じ値(それぞれフッ素系ラジカルの所望停止時密度及び酸素ラジカルの所望停止時密度と呼ぶことがある)に等しくなるように定めることが好ましい。これによれば、高周波電力の供給時には、その開始時から停止時までにわたるフッ素ラジカルの密度の挙動、及び酸素ラジカルの密度の挙動が、高周波電力の供給ごとに略等しくなる。そのため、高周波電力の供給とその停止とを繰り返したとしても、高周波電力の供給期間ごとに、ホールの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールの底壁がエッチングされやすい期間とを、より確実に交互に繰り返すことができる。
ここで、高周波電力の供給が停止されている間に、フッ素系ラジカルの密度及び酸素ラジカルの密度を決定する要因としては、例えば以下の3つが挙げられる。
まず第1の要因は、ラジカルが生成されてから励起状態でなくなるまでの時間、いわゆるラジカルの寿命である。ラジカルの寿命は各ラジカルに固有の長さであることから、最も長い寿命よりも長い時間をオフ期間T4として設定すればよい。例えば、酸素ラジカルとフッ素系ラジカルとのうち、フッ素系ラジカルの寿命よりも長い時間をオフ期間T4として設定する。これによれば、オフ期間T4の直前のオン期間T3にて生成されたラジカルの略全てが励起状態ではなくなる。そのため、オン期間T3間で、各ラジカルの密度の初期値が等しくなる。それゆえに、オン期間T3同士でラジカルの密度の上限値が互いに大きく異なることはない。
第2の要因は、プラズマ生成領域PLにて生成されたラジカルが、真空槽11に滞在する時間(滞在時間)である。滞在時間は、例えば、真空槽11及び排気管11eの断面形状及び長さ等を含むプラズマエッチング装置10の内部形状や排気部14の排気能力等によって決まる。こうした滞在時間に応じてオフ期間T4を設定すればよい。例えば、滞在時間よりも長くオフ期間T4を設定すれば、オフ期間T4の直前のオン期間T3にて生成されたラジカルは、略全てが真空槽11外に排出されることになる。そのため、オン期間T3同士で、ラジカルの密度の初期値が等しくなる。それゆえに、オン期間T3同士でラジカルの密度の上限値が互いに大きく異なることはない。
第3の要因は、プラズマ生成領域PLの温度、圧力、高周波電力の伝達特性など、これらを初期化する時間(初期化時間)である。例えば、初期化時間は、例えば真空槽11内における各種構成部材の温度の形状制御性が高ければ短くなり、また真空槽11内における高周波電力の伝達性が安定していれば短くなる。反対に、初期化時間は、例えば真空槽11内における各種構成部材の温度の形状制御性が低ければ、プラズマ生成領域PLにおける温度を所定の温度に維持するために長くなり、また真空槽11内における高周波電力の伝達性が不安定なものであれば、所定の出力値を得るために長くなる。こうした初期化時間に応じてオフ期間T4を設定すればよい。例えば、初期化時間よりも長くオフ期間T4を設定すれば、オフ期間T4の直後のオン期間T3にて生成されるラジカルは、同じようなプラズマ生成領域PLの環境のもとで生成される。そのため、オン期間T3同士で、ラジカルの密度の挙動やラジカルの密度の終値が等しくなる。
上記オフ期間T4は、こうしたラジカルの寿命、滞在時間、初期化時間のうち、ラジカルの密度に与える影響が大きい要因に対応付けて設定する、若しくは、ラジカルの寿命、滞在時間、初期化時間のうち、より長い時間に対応付けて設定すればよい。このように設定されたオン期間T3とオフ期間T4とを順に複数回繰り返してエッチングを実施することにより、ホールの形成中には、フッ素系ラジカルよりも先に、ホールの側面と酸素ラジカルとが反応する。そして、このような状態を複数回繰り返すことができる。
そこで、本実施形態では、ホールを形成するエッチングに際して、高周波電力を供給する期間と、高周波電力の供給を停止する期間とを順に複数回実施するようにしている。図4は、本実施形態のプラズマエッチング方法における処理の手順を示すフローチャートである。
プラズマエッチングに際しては、まず、レジストマスクが表面Ssに積層されたシリコン基板Sを真空槽11内に搬入する(ステップS11)。排気部14による真空槽11内の排気の後、ガス供給工程にてSFガスとOガスとを真空槽11内に供給する(ステップS12)。なお、SFガスの供給流量は例えば150sccmであり、Oガスの供給流量は例えば150sccmである。
次いで、高周波電源19から、60MHz、2500Wの高周波電力をパルス状で下部電極15に供給する(ステップS13)。上述のように、高周波電力を供給する期間は、シリコン基板Sが真空槽11内に搬入されていない状態で算出されたオン期間T3であり、例えば100ミリ秒とされる。そして、ステップS13の開始から100ミリ秒が経過したところで、高周波電力の供給を停止する。高周波電力の供給が停止される期間は、シリコン基板Sが真空槽11内に搬入されていない状態で算出されたオフ期間T4であり、例えば50ミリ秒とされる。オン期間T3とオフ期間T4とを順に繰り返すステップS13が所定の処理時間だけ実施されると(ステップS14:YES)、エッチングガスの供給が停止され(ステップS15)、その後、プラズマエッチング処理が終了される。なお、ステップS13のオン期間T3とオフ期間T4を順に繰り返す回数は、シリコン基板Sに形成されるホールの深さと、高周波電力を供給したときの深さ方向へのエッチング速度とに応じて設定すればよい。また、ステップS12にて開始されたエッチングガスの供給は、ステップS16にて停止されるまで継続される。加えて本実施形態では、ステップS13、及びステップS14がプラズマ生成工程に含まれる。
[実施例]
直径12インチ、厚さ100μmのシリコン基板を、上記プラズマエッチング装置を用いて以下の条件にてエッチングすることにより、基板表面の法線方向に延びるホールを形成した。
・高周波電力の周波数 60MHz
・高周波電力 2500W
・真空槽内の圧力 93Pa
・基板温度 −10℃
・エッチングガス SF/O
シリコン基板のエッチングに際し、高周波電力の供給とその停止とを以下の条件にて繰り返した。
・レジストマスクの厚さ 40μm
・エッチングガス流量 150(SF)/50(O)sccm
・高周波電力の供給期間(オン期間T3) 25ミリ秒
・高周波電力の供給停止期間(オフ期間T4) 25ミリ秒
・オン期間T3及びオフ期間T4の繰り返し回数 6000回
[比較例1]
シリコン基板の連続的なエッチングを以下の条件にて実施した。なお、エッチングガスの供給流量は、上記実施例と同一とした。
・レジストマスクの厚さ 40μm
・エッチングガス流量 150(SF)/50(O)sccm
・エッチング時間(高周波電力の供給時間) 連続的に5分
[比較例2]
シリコン基板の連続的なエッチングを以下の条件にて実施した。なお、エッチングガスの供給流量は、上記実施例と同一とした。
・レジストマスクの厚さ 40μm
・エッチングガス流量 50(SF)/100(O)sccm
・エッチング時間(高周波電力の供給時間) 連続的に5分
実施例、比較例1、及び比較例2によれば、図5及び以下の表に示される形状のホールが得られた。なお、図5(a)が実施例のエッチング条件によって得られたホールの形状、図5(b)が比較例1のエッチング条件によって得られたホールの形状、図5(c)が比較例2のエッチング条件によって得られたホールの形状である。
実施例のプラズマエッチングよれば、レジストマスクMの開口幅W1は、40μmであり、ホールHの最大幅W2は、55μmであった。このことから、レジストマスクMの開口よりも内側におけるシリコンのサイドエッチングの量(W2−W1)は、15μmであった。また、ホールHの深さDは125μmであった。
これに対し、比較例1のプラズマエッチングによれば、レジストマスクMの開口幅W1は、40μmであり、ホールHの最大幅W2は、90μmであった。このことから、サイドエッチングの量(W2−W1)は、50μmであった。また、ホールHの深さDは、120μmであった。
このように、SFガスの供給流量とOガスの供給流量とを同一として、略同一の深さを有するホールを形成するとき、実施例のプラズマエッチング方法によれば、比較例1のプラズマエッチング方法よりも、等方的なエッチングを抑えられることが認められた。したがって、実施例のプラズマエッチング方法は、比較例のプラズマエッチング方法に比べて、ホールの加工における形状制御性がより高い方法であると言える。
また、実施例のプラズマエッチングによれば、シリコン基板Sに積層されたレジストマスクMの厚さは、40μmである。これに対し、エッチング後のレジストマスクMの残厚MTは、32μmであった。つまり、シリコン基板Sのエッチングに伴って、8μmの厚さ分だけレジストマスクMがエッチングされた。
一方、比較例2のプラズマエッチングによれば、レジストマスクMの開口幅W1は、40μmであり、ホールHの最大幅W2は、60μmであった。このことから、サイドエッチングの量(W2−W1)は、20μmであった。また、ホールの深さDは、120μmであった。シリコン基板Sに積層されたレジストマスクMの厚さが40μmであるのに対し、エッチング後のレジストマスクMの残厚MTは、7μmであった。つまり、シリコン基板Sのエッチングに伴って、33μmの厚さ分だけレジストマスクMがエッチングされた。
このように、実施例と略同じ深さ、且つ略同じサイドエッチング量のホールHを形成する場合、比較例2のプラズマエッチング方法であれば、実施例のプラズマエッチング方法の2倍のOガスを単位時間あたりに供給する必要がある。そのため、比較例2におけるレジストマスクMのエッチング量は、実施例におけるレジストマスクMのエッチング量の凡そ4.1倍となることが認められた。それゆえに、比較例2のプラズマエッチング方法によれば実施例よりも多量のレジストマスクMを塗布する必要があると言える。したがって、実施例のプラズマエッチング方法は、より少量のレジストマスクMによって、ホールH、特に開口部付近の形状を担保できる。それゆえに、比較例2のプラズマエッチング方法よりもホールの加工における形状制御性が高い方法であると言える。
以上説明したように、本実施形態のプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)高周波電力の供給を開始後、第一の期間T1の終了時と第二の期間T2の終了時との間で高周波電力の供給を停止し、こうした高周波電力の供給及びその停止を交互に繰り返すようにしている。これにより、ホールHの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールHの底壁がエッチングされやすい期間とを、交互に繰り返すことができるため、ホールHの側壁を等方的なエッチングから保護しつつ、ホールHの底壁をエッチングすることができる。
(2)ホールHの内壁に酸化シリコン膜を形成してから、ホールHの底壁がエッチングされるため、上記連続的なエッチングにおけるOガスよりも低い流量で、ホールHの側壁が等方的にエッチングされることを抑えることができる。したがって、プラズマエッチング方法によるホールHの加工における形状制御性を高めることができる。
(3)高周波電力の供給期間であるオン期間T3を、25ミリ秒以上100ミリ秒以下としている。これにより、酸素ラジカルの密度は、オン期間T3中においてフッ素ラジカルよりも確実に先行して増大するとともに、フッ素ラジカルの密度は、同オン期間T3において酸素ラジカルの増大期間後も続けて増大するようになる。それゆえに、ホールHの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールHの底壁がエッチングされやすい期間とを、確実に交互に繰り返すことができる。
(3)フッ素系ラジカルの密度及び酸素ラジカルの密度が電力供給の開始ごとに等しくなるように、高周波電力の供給がオフ期間T4だけ停止される。これにより、高周波電力の供給とその停止とを交互に繰り返したとしても、前回の電力供給時に生成されたフッ素系ラジカルが次回の電力供給時のエッチングに影響を及ぼし難くなる。また、前回の電力供給時に生成された酸素ラジカルが次回の電力供給時における酸化シリコン膜の生成に影響を及ぼし難くなる。それゆえに、プラズマエッチング方法によるホールの加工における形状制御性を再現性よく高めることができる。
(4)高周波電力の供給を継続するオン期間T3を、高周波電力の供給時ごとに等しくしている。加えて、オン期間T3を、該オン期間の次に高周波電力の供給を停止する時点における、フッ素系ラジカルの密度、及び酸素ラジカルの密度が毎回等しくなるように定めている。つまり、高周波電力の供給時には、その開始時から停止時までにわたるフッ素ラジカルの密度の挙動、及び酸素ラジカルの密度の挙動が、高周波電力の供給ごとに略等しくなる。そのため、高周波電力の供給とその停止とを繰り返したとしても、高周波電力の各オン期間T3に、ホールHの内壁に酸化シリコン膜が形成されやすい期間とホールの底壁がエッチングされやすい期間とを、より確実に交互に繰り返すことができる。それゆえに、プラズマエッチング方法が有するホールの加工における形状制御性をより確実に高めることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・オフ期間T4は、フッ素系ラジカル及び酸素ラジカルが真空槽11内に存在しなくなるまで継続せずともよい。オフ期間T4が、これらラジカルが真空槽11内に存在しなくなるだけの長さでなくとも、オフ期間T4の継続時間だけ、真空槽11内の各ラジカルの密度は低下する。そのため、オフ期間T4を設けない場合よりも、該オフ期間T4に続くオン期間T3において、各ラジカルの密度が単調増加し続ける可能性が高くなる。
・高周波電力の供給とその停止とを複数回繰り返す間に、フッ素系ラジカルの密度及び酸素ラジカルの密度が略一定の値として推移するようになってもよい。これによっても、各ラジカルの密度が略一定の値となる以前、及び以後においては、高周波電力の供給とその停止とを繰り返す効果が得られることになる。
・高周波電力を供給するオン期間T3は、高周波電力の供給からその停止に切り替えることが可能な最小の時間、例えば1ナノ秒以上の値であればよい。
・高周波電力の供給とその停止とは、2回以上繰り返すこととすればよい。該繰り返しの回数は、2回以上であれば、高周波電力を供給したときのエッチング速度や、ホールの深さ等に応じて任意に設定可能である。
・プラズマエッチング方法を実施する装置は、上述のような平行平板型(容量結合型)のプラズマエッチング装置に限らず、例えば、プラズマ源として高周波アンテナを真空槽11外に備える誘導結合型のプラズマエッチング装置として具現化することもできる。また、誘導結合型のプラズマエッチング装置に、真空槽11内にゼロ磁場領域を形成する磁場コイルを有した磁気中性線放電型エッチング装置として具現化することもできる。
・図2及び図3には、プラズマに含まれる各種粒子の密度の変動を、シミュレーションによって算出した結果を示した。これに限らず、各種粒子の密度の変動は実測することも可能であるとともに、実測値においても上記シミュレーションと同様の傾向が見られる。そのため、実測値に基づいて上記第一の期間T1や第二の期間T2を決定したり、上記オン期間T3やオフ期間T4を設定したりしてもよい。
・プラズマエッチングを実施するときの各種条件、例えば、SFガスの供給流量、Oガスの供給流量、真空槽11内の圧力、高周波電力、高周波電力の周波数等は、上記以外の他の値でもよい。
・上記のプラズマエッチング方法は、プログラムコードとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納させることができる。
・上記のプラズマエッチング方法は、プラズマエッチング装置に備えられた図示しない制御装置によって自動的に実施することができる。この制御装置は、実験等で予め決められた期間T1、T2、T3、T4を格納するメモリを備えることができる。制御装置は、プログラムコード及びメモリに格納した期間T1、T2、T3、T4等に従い、エッチングガス供給部13、排気部14及び高周波電源19に制御信号を供給して、プラズマエッチング方法を実施することができる。
10…プラズマエッチング装置、11…真空槽、11b…下面、11e…排気管、11t…上面、12…上部電極(シャワープレート)、12a…ガス供給管、12b…ガス室、12cシャワーホール、13…エッチングガス供給部、14…排気部、15…下部電極(基板ステージ)、16…可動軸、17…モータ、18…整合器、19…高周波電源、GL…ガス供給管、H…ホール、M…レジストマスク、S…シリコン基板、Ss…表面。

Claims (5)

  1. レジストマスクが積層されたシリコン基板を収容する真空槽に六フッ化硫黄ガスと酸素ガスとをエッチングガスとして供給するガス供給工程と、
    前記真空槽内に高周波電力を供給して前記エッチングガスでプラズマを生成するプラズマ生成工程とを備え、
    前記プラズマによって前記シリコン基板をエッチングするプラズマエッチング方法であって、
    前記プラズマに含まれる酸素ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始時から単調増加する期間を第一の期間として設定し、
    前記プラズマに含まれるフッ素系ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始時から単調増加する期間を第二の期間として設定し、
    前記プラズマ生成工程は、
    前記高周波電力の供給開始時から前記第一の期間が経過した後でかつ前記第二の期間が経過する前に、前記高周波電力の供給を停止すること、及び、前記高周波電力の供給と前記高周波電力の供給停止とを繰り返すことを含む
    ことを特徴とするプラズマエッチング方法。
  2. 前記プラズマ生成工程では、
    前記供給開始時から25ミリ秒以上経過して、該供給開始時から100ミリ秒以下経過する前に、前記高周波電力の供給を停止する
    請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
  3. 前記高周波電力の供給を停止してから再び前記高周波電力の供給を開始するまでの期間を第三の期間として設定し、
    前記第三の期間は、次回の高周波電力の供給開始時における前記フッ素系ラジカルの密度、及び前記次回の高周波電力の供給開始時における前記酸素ラジカルの密度を、前記供給開始時ごとに等しくするように設定される
    請求項1又は2に記載のプラズマエッチング方法。
  4. 前記高周波電力の供給開始時から前記高周波電力の供給停止時までの期間は、前記供給開始時ごとに等しく、
    前記第三の期間は、前記次回の高周波電力の供給停止時における前記フッ素系ラジカルの密度、及び前記次回の高周波電力の供給停止時における前記酸素ラジカルの密度が、前記供給停止時ごとに等しくなるように設定される
    請求項3に記載のプラズマエッチング方法。
  5. レジストマスクが積層されたシリコン基板を収容する真空槽と、前記真空槽に六フッ化硫黄ガスと酸素ガスとをエッチングガスとして供給するガス供給部と、前記真空槽内に高周波電力を供給して前記エッチングガスでプラズマを生成するプラズマ生成部とを備え、
    前記プラズマによって前記シリコン基板をエッチングするプラズマエッチング装置であって、
    前記プラズマに含まれる酸素ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始から単調増加する期間が第一の期間として設定されており、前記プラズマに含まれるフッ素系ラジカルの密度が前記高周波電力の供給開始から単調増加する期間が第二の期間として設定されており、
    前記プラズマ生成部は、
    前記供給開始から前記第一の期間が経過した後でかつ前記第二の期間が経過する前に、前記高周波電力の供給を停止し、前記高周波電力の供給と前記高周波電力の供給停止とを交互に繰り返す
    ことを特徴とするプラズマエッチング装置。
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