JP5507445B2 - 2−アミノフェノール又はその誘導体を有効成分とする骨形成促進剤 - Google Patents

2−アミノフェノール又はその誘導体を有効成分とする骨形成促進剤 Download PDF

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Description

本発明は骨形成促進剤に関するものであり、とりわけ、2−アミノフェノール又はその誘導体を有効成分とする骨形成促進剤に関するものである。
生体内の骨組織は、破骨細胞による骨破壊(骨吸収)と骨芽細胞による骨形成とで絶えず更新されており、健常者では、そのバランスが保たれているので、一定の骨量が維持されている。一方、閉経後骨粗鬆症においては、骨破壊量が骨形成量を上回るために骨量の減少を生じている。破骨細胞は、単球/マクロファージ系前駆細胞が分化したものであるが、成熟破骨細胞への分化は生理的には、マクロファージ−コロニー刺激因子(以下、「M−CSF」と略記する。)や、骨芽細胞、ストローマ細胞、それに活性化T細胞上に発現されたLigand of Receptor Activator of NF−κB(以下、「RANKL」と略記する。)が関与していることが明らかとなっている。また、慢性関節リューマチでは、炎症により活性化した滑膜細胞やT細胞から産生されるインターロイキン−1(以下、「IL−1」と略記する。)や腫瘍壊死因子(以下、「TNF−α」と略記する。)などの炎症性サイトカインにより骨芽細胞が活性化され、破骨細胞への分化に必須の生理的因子であるRANKLの発現が亢進すると共に、インターロイキン−6(以下、「IL−6」と略記する。)や一酸化窒素(以下、「NO」と略記する。)の産生を誘導する。この産生誘導されたNOは、軟骨細胞のアポトーシスを亢進したり、軟骨基質合成を低下させることにより軟骨破壊を促進する。またNOにより単球/マクロファージが活性化され、破骨細胞へと分化が誘導され骨破壊が進行する。さらにTNF−αやIL−6自身による破骨前駆細胞の破骨細胞への分化誘導や、これら炎症性サイトカインにより誘導される骨芽細胞からのプロスタグランジンE(以下、「PGE」と略記する。)の産生による破骨細胞の形成などが、骨代謝異常に関与していることもわかっている(例えば、クゾクレア サルバトーレ(CUZZOCREA SALVATORE)ら著、『エンドクリノロジー』、第144巻、第3号、第1098乃至1107頁、2003年、コバヤシ ヤスヒロら著、『ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー』、第280巻、第12号、第11395乃至11403頁、2005年を参照)。このように、骨粗鬆症や慢性関節リューマチなどの骨代謝異常により引き起こされる疾患(以下、「骨代謝異常疾患」という。)では、幾つかの要因が重なり合って骨破壊という病態が形成されるものと考えられている。
骨粗鬆症や慢性関節リューマチなどの骨代謝異常疾患の治療には、通常、ビスフォスフォネート化合物、カルシトニン製剤、活性型ビタミンD製剤、カルシウム製剤、イソフラボン製剤、選択的エストロジェン受容体調節剤(SERM製剤)、エストラジオール含有のホルモン製剤、ビタミンK等の医薬品が一般に使用されている。また、副作用の少ない優れた治療薬をめざして、活性型ビタミンD誘導体、エストラジオール誘導体、第3世代ビスフォスフォネート系化合物等の開発がおこなわれている。しかし、前記薬剤を用いた骨代謝異常疾患の治療法は必ずしも満足できるものではなく、しかも、ホルモン製剤は副作用を惹起することがあるので、その使用には医師の処方が欠かせず、副作用の面から使用対象が限定される場合もある。したがって、これらの治療剤は、健常者が予防剤として普段から常用するなどということはできなかった。また、骨代謝異常疾患、とりわけ、骨粗鬆症や変形関節炎などの発症率は加齢に伴って急激に増大し、高齢者のクオリティーオブライフ(QOL)低下の大きな要因となっている。本格的な高齢化社会を迎えた今日では、健康にして快適な老後を過ごすためにも、骨代謝異常疾患を予防乃至治療する目的で、家庭で手軽に常用でき、効果的で、且つ、穏やかな作用を有する骨形成促進剤の開発が鶴首されている。
一方、2−アミノフェノール(別名:クエスチオマイシンB)は、下記化学式1で示される化合物であり、酸化重合して、下記化学式2で示される2−アミノフェノキサジン−3−オン(別名:クエスチオマイシンA)に比較的容易に変換する。2−アミノフェノール又はその誘導体は、抗菌活性を持つ物質として古くから知られており、特に、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、強力な抗癌剤であるアクチノマイシンDの基本骨格としても知られている。また、モトハシら著、『メディカル・リサーチ・レビュー』、第11巻、第250乃至254頁、1991年には、2−アミノフェノキサジン−3−オン及びその誘導体が抗腫瘍活性を有していることが開示されており、特にシマモトら著、『クリニカル・キャンサー・リサーチ』、第7巻、第704乃至708頁、2001年にはその誘導体の一つの2−アミノ−4,4α−ジヒドロ−4α,7−ジメチル−フェノキサジン−3−オンが、各種の腫瘍細胞に対して細胞障害活性を示すことが開示されている。さらに近年、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、特開2004−143101号公報ではウイルス性疾患の治療に、特開2005−272334号公報ではクラミジア症の治療に、特開2005−60325号公報ではヘリコバクター属が関与する消化器疾患の治療に有効であることが開示されている。また、本願と同じ出願人は、国際特許出願PCT/JP2007/70077号明細書において、2−アミノフェノール及びその誘導体が、PGEの産生を抑制することから、炎症性の疾患に有効であることを開示している。
化学式1:
Figure 0005507445
化学式2:
Figure 0005507445
本発明は、従来の骨形成促進剤よりも副作用が少なく、骨代謝異常疾患の予防乃至改善効果の高い骨形成促進剤を提供することを課題とするものである。
本発明者等が鋭意研究したところ、2−アミノフェノール又はその誘導体は、前骨芽細胞を骨芽細胞へと分化誘導し、石灰化を促進する作用を有することを発見した。さらに、これらの化合物は、マクロファージからの破骨細胞の分化誘導を抑制することで、骨破壊を抑制する作用も併せ持つことを発見し、これらの化合物が、骨代謝異常疾患の予防乃至治療に有効な骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の両方を併せ持っていることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は、2−アミノフェノール又はその誘導体を有効成分として含有する骨形成促進剤を提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明によれば、従来の骨形成促進剤よりも副作用が少なく、また、骨形成促進効果に優れる骨形成促進剤を提供することができる。
本発明でいう2−アミノフェノールとは、下記化学式1で示される化合物であり、本発明の効果を発揮する限り、その起源や由来を問わず、市販品を用いることもできる。本発明でいう2−アミノフェノールの誘導体とは、2−アミノフェノールの酸化重合体である下記化学式2で示される2−アミノフェノキサジン−3−オン及びそれを基本骨格とする誘導体を意味し、2−アミノフェノールと同等以上の効果を発揮する。2−アミノフェノキサジン−3−オンは、その起源や由来を問わず、それを豊富に含む植物、細菌などから適宜の抽出・精製方法により製造したり、前駆体の2−アミノフェノールを酸化重合させて合成することができる。例えば、特開2003−2878号公報に記載の、2−アミノフェノールとフェリシアン化カリウムなどの3価の鉄イオンとを反応させる方法や、特開平2−193984号公報に記載の、2−アミノフェノールとヒト又はウシのヘモグロビンとを反応させる方法により合成することができる。
化学式1:
Figure 0005507445
化学式2:
Figure 0005507445
本発明で用いられる2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体としては、例えば、下記一般式1又は一般式2で表されるものがあり、これらの塩類であってもよい。また、本発明の効果を発揮する限り、その起源や由来を問わず、市販品を用いることもできる。具体的には、下記一般式1で表されるものとしては、2−アミノ−7−ヒドロキシ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがヒドロキシ基、R乃至Rが水素原子)、2−アミノ−7−メトキシ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがメトキシ基、R乃至Rが水素原子)、2−アミノ−3,4ジメトキシ−6,7−ジメトキシカルボニル−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、R及びRがメトキシ基、R及びRがメトキシカルボニル基、R、R及びRが水素原子)、2−アセチルアミノ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがアセチル基、R乃至Rが水素原子)、2−アセチルアミノ−7−ヒドロキシ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがアセチル基、Rがヒドロキシ基、R乃至Rが水素原子)、2−(N−ヒドロキシ)アセチルアミノ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがアセチル基、Rがヒドロキシ基、R乃至Rが水素原子)、2−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがヒドロキシアセチル基、R乃至Rが水素原子)、2−アセチルアミノ−7−メトキシ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがアセチル基、Rがメトキシ基、R乃至Rが水素原子)、7−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシアセチル)アミノ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがヒドロキシアセチル基、Rがヒドロキシ基、R乃至Rが水素原子)、2−アミノ−4,6,7−トリメトキシ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、R乃至Rがメトキシ基、R及びRが水素原子)、2−(N−ヒドロキシ)アセチルアミノ−フェノキサジン−3−オン(下記一般式1において、Rがヒドロキシ基、Rがアセチル基、R乃至Rが水素原子)などが挙げられる。また、下記一般式2で表されるものとしては、2−アミノ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オン(一般式2のR乃至R及びRが水素原子、Rがアミノブチル基)、2−アミノ−7−ヒドロキシ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オン(一般式2のR乃至R、R、R及びRが水素原子、Rがヒドロキシ基、Rがアミノブチル基)、2−アミノ−7−メトキシ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オン(一般式2のR乃至R、R、R及びRが水素原子、Rがメトキシ基、Rがアミノブチル基)などやこれらの塩類を挙げることができ、2−アミノ−10−[4′−(N−ジエチルアミノ)ブチル]−フェノキサジン−3−オン(一般式2のR乃至R及びRが水素原子、Rがジエチルアミノブチル基)や2−アミノ−10−(4′−N−ピペリジノブチル)−フェノキサジン−3−オン(一般式2のR乃至R及びRが水素原子、Rがピペリジノブチル基)などの2−アミノ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オンの誘導体が挙げられる。また、前記2−アミノフェノキサジン−3−オンやその誘導体の塩類や、これらの化合物に、さらに、人工的な手法により、糖を付加して配糖体にしたり、ポリエチレングリコールやプルランなどの水溶性ポリマーを結合させたものも含む。
一般式1:
Figure 0005507445
(但し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子(H)、ヒドロキシ基(OH)、アセチル基(COCH)、ヒドロキシアセチル基(COCHOH)から選ばれ、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子(H)、ヒドロキシ基(OH)、メトキシ基(OCH)、エトキシ基(OC)、メトキシカルボニル基(COOCH)、エトキシカルボニル基(COOC)から選ばれる。)
一般式2:
Figure 0005507445
(但し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子(H)、ヒドロキシ基(OH)、アセチル基(COCH)、ヒドロキシアセチル基(COCHOH)から選ばれ、R乃至R及びRは、それぞれ独立して、水素原子(H)、ヒドロキシ基(OH)、メトキシ基(OCH)、エトキシ基(OC)、メトキシカルボニル基(COOCH)、エトキシカルボニル基(COOC)から選ばれ、Rは、アミノプロピル基(CHCHCHNH)、アミノブチル基(CHCHCHCHNH)から選ばれる。
本発明でいう骨代謝異常疾患とは、破骨細胞による骨破壊と骨芽細胞による骨形成とのバランスがくずれて、骨量が健常者よりも減少する疾患をいい、骨量が健常者よりも低い状態にある場合や、その予備軍を含む。具体的には、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病やその予備軍などを例示することができる。
本発明でいう骨形成促進作用とは、骨芽細胞による骨形成が促進されて、骨量が増加する作用を意味し、骨量の減少を停止乃至改善する場合を含む。具体的には、骨芽細胞の活性の上昇や分化の促進、或いは、その細胞数の増加などによって、カルシウムの沈着を促進し、骨形成を促進する作用を意味する。また、本発明でいう破骨抑制作用とは、破骨細胞における骨破壊(骨吸収)の亢進による骨量減少を抑制する作用を意味し、RANKL刺激によるマクロファージからの破骨細胞の分化誘導の抑制、骨芽細胞からのIL−6の産生の抑制、さらには、シクロオキシゲナーゼ(以下、「COX」と略記する。)の活性を阻害することでPGEの合成の阻害、及び、誘導型一酸化窒素合成酵素(以下、「iNOS」と略記する。)の産生を抑制することでマクロファージによるNOの合成を阻害するなどの作用に基づき、マクロファージの破骨細胞への分化誘導を抑制する作用を含む。
本発明でいうNOの合成阻害作用は、細胞におけるiNOSが量的に減少することによって発揮され、NOの合成活性を有する細胞、例えば、マクロファージ細胞に本発明の化合物を添加して、当該細胞のiNOSの作用により産生するNO量を測定することにより調べることができる。マクロファージ細胞としては、マウス由来の細胞株RAW264.7細胞や、マウスなどの実験動物から採取したものを用いることができる。産生するNO量は常法のGriess法により測定できる。Griess法とは、NOをスルファニルアミドとN−(1−ナフチル)エチレンジアミンの混合物(Griess試薬)中に添加し、ジアゾ化カップリング反応により生成する赤色のアゾ色素を540nmの吸光度を測定することにより、NOの代謝物のNO を定量する方法である。
本発明でいうシクロオキシゲナーゼ(COX)活性阻害作用は、COX−1又はCOX−2及びアラキドン酸共存下において、試験試料としての本発明の化合物を添加することによって、PGEの生成量を測定し、対照試料と比較することによって確認することができる。50%阻害濃度(IC50値)は、非阻害の対照試料と比較し、PGE合成を50%阻害するために必要な試験試料の濃度を表す。また、シクロオキシゲナーゼ活性を有する細胞に試験試料を添加して、PGEの生成量を測定することによっても確認することができる。また、COX−1/COX−2比とは、COX−1に対してのIC50値とCOX−2に対してのIC50値の比であり、この値が大きいほど、COX−2に対しての選択的阻害剤であることを意味する。
上記のとおり、本発明で用いられる2−アミノフェノール又はその誘導体は、骨形成促進作用を有する。しかも、これらの化合物は、NO合成阻害作用、PGE産生抑制作用、シクロオキシゲナーゼ活性阻害作用、IL−6などの炎症性サイトカインの産生抑制作用などの、骨破壊の亢進に関与する生理活性物質の産生を抑制する作用を有している。しかも、2−アミノフェノール又はその誘導体は、骨や軟骨の基質を構成するコラーゲン産生を増強する作用も有していることから、骨形成促進剤を目的とする食品、化粧品、医薬部外品、医薬品としての多種多様の用途を有している。また、本発明の骨形成促進剤は、経口的に摂取、或いは、カテーテルや座剤等により経胃又は経腸的に投与することができる。経口摂取物又は経胃・経腸投与物の形態の場合、骨形成促進剤に含まれる有効成分としての2−アミノフェノール又はその誘導体の含有量は、骨形成促進剤の総質量に対して、通常、0.01乃至100質量%、好ましくは0.1乃至50質量%、より好ましくは0.5乃至10質量%であり、使用量としては、骨代謝異常疾患の症状の程度に応じて適宜決定すればよく、隔日で摂取しても、毎日摂取してもよく、1日1回乃至数回に分けて摂取してもよい。摂取量は、通常、2−アミノフェノール又はその誘導体としての一回の摂取量が、0.05乃至100mg/kg・体重、好ましくは0.5乃至50mg/kg・体重、より好ましくは2.5乃至25mg/kg・体重である。
本発明の骨形成促進剤には、2−アミノフェノール又はその誘導体の作用効果を阻害しない範囲で、他の骨形成促進作用乃至骨破壊抑制作用を有する物質を適宜配合することができる。具体的には、例えば、ビスフォスフォネート化合物、カルシトニン製剤、活性型ビタミンD製剤、エストラジオール含有のホルモン製剤、SERM製剤、イソフラボン製剤、ビタミンK、ミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)製剤、トレハロース、ラクトスクロースなどの骨破壊を抑制、及び/又は、骨形成促進する作用を有する物質を例示することができ、なかでも、ビスフォスフォネート化合物、エストラジオール含有のホルモン製剤、SERM製剤、イソフラボン製剤、カルシウム製剤などは、本発明の骨形成促進剤の骨形成促進作用を相乗的乃至相加的に高めるので特に好ましい。
上記成分の他に通常食品、医薬部外品や医薬品等に用いられる各種任意の成分を必要に応じて適宜配合することができる。例えば、水、エタノール、グリセリン、保湿剤、油性成分、乳化剤、乳化安定剤、増粘剤、抗酸化剤、防腐剤、pH調整剤、香料、生理活性物質、薬効成分、動・植物エキス等が挙げられる。また、本発明で使用する2−アミノフェノール又はその誘導体は、疎水性が非常に強いので、溶液の形態で使用する場合には、予め、オイル、レシチン、ポリエチレングリコール、糖類等と混合した後、少量の或いは適量の水と混合して、乳化乃至懸濁液として使用すればよい。また、リポソームに封入したり、親−疎水性ポリマーと共にアセトンなどの有機溶媒に溶解した後、有機溶媒を除去して、水と混合し、該ポリマーに封入したミセルの形態としてもよい。
本発明の骨形成促進剤の剤形は、経口摂取又は経胃・経腸投与に適した形態であればよく、例えば、液状、錠剤、トローチ、丸薬、水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップ、エリキシルなどの形態が挙げられる。また、経口・経胃・経腸投与以外にも皮下、皮内、筋肉内などの局所投与、血管内や腹腔内などへの投与、又は、吸飲、噴霧等による経気道、経肺投与などの非経口投与によることもでき、これらに適した剤形とすることも随意である。また、その所定量を飲食品に添加した形態で摂取することもできる。非経口的投与の場合の投与量としては、骨代謝異常疾患の症状の程度に応じて適宜決定すればよく、隔日で投与しても、毎日投与してもよく、1日1回乃至数回に分けて投与してもよい。その場合の投与量は、通常、2−アミノフェノール又はその誘導体としての一回の投与量が、0.0005乃至20mg/kg・体重、好ましくは0.005乃至5mg/kg・体重、より好ましくは0.05乃至2.5mg/kg・体重である。
また、本発明の骨形成促進剤は、所期の効果が得られる範囲で、骨代謝異常疾患に伴う痛みや炎症などを改善乃至抑制する目的で、本発明の骨形成促進剤の有効成分以外の薬剤と併用することができる。具体的には、例えば、アセトアミノフェン、フェナセチンなどの鎮痛剤、カフェインなどの鎮痛剤の鎮痛作用の増強剤、H2−アンタゴニスト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シメチコン、利尿薬、鎮痛性抗ヒスタミン薬、非鎮痛性抗ヒスタミン薬などが挙げられ、これらの1種又は2種以上と併用すればよい。
本発明の骨形成促進剤は、例えば、関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病、骨粗鬆症などの骨破壊を伴う骨代謝異常疾患、とりわけ骨破壊に炎症性反応を伴う骨代謝異常疾患の予防剤、改善剤、治療剤として利用することができる。また、本発明の骨形成促進剤は、骨形成促進作用に加えて、抗炎症作用なども併せ持つので、炎症性疾患や鎮痛剤、解熱剤などの用途でも利用できる。さらに本発明の骨形成促進剤は、COX−2が過剰発現している各種の癌の治療剤として利用することもできる。
本発明の骨形成促進剤は、製剤学上許容可能な基材や添加剤や賦形剤を含む投与単位調合物の形で投与される。また、ヒトの骨代謝異常疾患の治療又は予防のみならず、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ニワトリなどの家畜、家禽やペット等にも適用できる。
以下、実験で本発明の詳細を説明する。
<実験1:2−アミノフェノキサジン−3−オンの合成>
2−アミノフェノールを原料にして2−アミノフェノキサジン−3−オンを合成した。すなわち、550mg(5mmol)の2−アミノフェノール(和光純薬工業株式会社販売)を50mlの蒸留水に懸濁し、それに0.1規定(N)の塩酸225mlを加えた後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した。この溶液に500mlの5mMフェリシアン化カリウム水溶液を撹拌しながら5分間かけて滴下し、さらに26℃で30分間反応させた。反応液を減圧下で乾燥して得られた固形物を450mlのメタノールに溶解し、遠心分離して未溶解の固形分を除去した後、再度減圧下で乾燥した。得られた固形物を200mlの酢酸エチルに溶解し、200mlの0.005N塩酸水溶液を加え、撹拌した後、分液ロートで酢酸エチル層を回収した。この操作を3回繰り返した後、得られた酢酸エチル層を減圧下で液量が15mlになるまで濃縮し、これを常法にしたがい、シリカゲルクロマトグラフィーカラム(和光純薬工業株式会社販売、商品名『ワコーゲルC200』)及び逆相C30クロマトグラフィーカラム(野村化学株式会社販売、商品名『デベロシルC30』、又は、東ソー株式会社販売、商品名『HW−40F』)により精製し、乾燥して、粉末状の2−アミノフェノキサジン−3−オン220mgを得た。
<実験2:マウス前骨芽細胞株MC3T3−E1細胞に及ぼす影響>
24穴プレート(ベクトンデキンソン社販売)に、10容量%のウシ胎児血清(JRサイエンティフィック社販売、以下、ウシ胎児血清を「FCS」と略記する。)を含むα−MEM培地(ギブコ インビトロジェン社販売)(以下、「10容量%FCS加α−MEM培地」という。)に浮遊させたマウス前骨芽細胞株MC3T3−E1細胞(以下、「MC3T3−E1細胞」という。)を5.0×10細胞/2ml/ウエルで播種後、37℃、5容量%CO下で3日間培養した。セミコンフレント状態になった細胞の培養上清を除去後、被験物質として実験1で調製した粉末状の2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその始発原料の2−アミノフェノールをエタノールに溶解して使用した。また陽性対照として、骨粗鬆症治療剤として使用され、且つ、骨へのカルシウム(Ca)の沈着を促進する作用を有するビタミンKを使用した。この被験物質又は陽性対照を、表1に示す濃度となるように添加した分化誘導培地(10容量%FCS加α−MEM培地+10mM β‐グリセロフォスフェート(シグマ社販売)+10mM HEPES(DOJINDO 和光純薬工業株式会社販売))を2ml/ウエルで添加した。さらに、陰性対照として、溶媒として使用したエタノールを最終濃度が0.1質量%となるように添加した分化誘導培地を添加して培養した。骨芽細胞の分化前期の指標となるアルカリフォスファターゼ活性(ALP)、骨芽細胞の分化後期の指標となるオステオカルシンの分泌量、骨芽細胞による骨形成の指標となるCa沈着量、及び、細胞の生存率を下記方法により、それぞれ測定した。なお、表1における「AP」は2−アミノフェノール、「QA」は2−アミノフェノキサジン−3−オン(クエスチオマイシンA)、「VK」はビタミンKを意味する。また、培養は、3日又は4日に一度、全てのウエルについて同じ日に、最初に添加したものと同じ濃度の被験物質又は陽性対照を含む分化誘導培地、或いは、陰性対照の分化誘導培地による培地交換をおこないながら、酵素活性及びオステオカルシンの分泌量測定用の細胞は9日間、Ca沈着量の測定用の細胞は20日間培養した。試験は1サンプルにつき3ウエルで実施した。
<ALP活性の測定方法>
培養開始9日目に、培養上清を除去後、各ウエルに付着した細胞を0.25Mスクロースで3回洗浄後、市販のALP活性測定キット(和光純薬工業株式会社販売、商品名「ラボアッセイTMALP」)を使用して測定した。この培養上清を除去したウエルに、まず酵素反応緩衝液として、25mMのスクロースと1mMのMgClとを含有する50mM炭酸緩衝液(pH9.8)を0.9ml/ウエルで添加した。さらに、この反応緩衝液に、基質として2.5mM p−ニトロフェノールリン酸溶液を0.1ml/ウエルで添加し、25℃で10分間反応した。0.2NのNaOHで2倍希釈(反応停止)後、遊離したp−ニトロフェノールを405nmの吸光度で測定した。被験物質又は陽性対照を添加した場合の測定値を、陰性対照の測定値で除し、100倍して、陰性対照の測定値を100%とした相対値を求め、ALP活性の上昇率(%)として表1に併せて示す。
<オステオカルシンの測定方法>
培養開始9日目に、細胞培養上清を回収し、市販のマウスオステオカルシン測定用のEIAキット(Biomedical Technologies Inc.社販売、MA.USA)を使用して測定した。被験物質又は陽性対照を添加した場合の測定値を、陰性対照の測定値で除し、100倍して、陰性対照の測定値を100%とした相対値を求め、オステオカルシンの分泌量の上昇率(%)として表1に併せて示す。
<沈着Ca量測定方法>
培養開始20日目に、培養上清を除去した各ウエルに、ダルベッコPBS(−)(日水製薬株式会社販売)を加えて、細胞を洗浄した。ダルベッコのPBS(−)を除去後、2Nの塩酸を0.5ml/ウエル加えて、細胞に沈着したカルシウムを溶解し、市販のカルシウム測定キット(和光純薬工業株式社販売、商品名「カルシウムCテストワコー」)を使用して測定した。被験物質又は陽性対照を添加した場合の測定値を、陰性対照の測定値で除し、100倍して、陰性対照の測定値を100%とした相対値を求め、カルシウムの沈着量上昇率(%)として表1に併せて示す。
<細胞の生存率>
細胞を、常法によりアラマーブルー(alamarBlue)色素(トレック ダイアゴノスティック システムズ社販売、商品名「アラマーブルーアッセイ」)で染色し、蛍光プレートリーダー(モレキュラー デバイス社販売)により測定して、被験物質又は陽性対照を添加した場合の測定値を、陰性対照の測定値で除し、100倍して、陰性対照の測定値を100%とした相対値を求めて、細胞の生存率(%)として表1に併せて示す。
Figure 0005507445
表1から明らかなように、培地に2−アミノフェノール(AP)又は2−アミノフェノキサジン−3−オン(QA)を添加して培養したMC3T3−E1細胞のALP活性及びカルシウム沈着量は、溶媒として使用したエタノールのみを添加して培養した場合(陰性対照)に比して、添加した濃度に依存して上昇した。オステオカルシンの分泌量は、培地に2−アミノフェノール(AP)又は2−アミノフェノキサジン−3−オン(QA)を1又は2μM添加した場合に、溶媒として使用したエタノールのみを添加して培養した場合(陰性対照)に比して、上昇した。また、陽性対照として使用したビタミンKも、エタノールのみを培地に添加した場合(陰性対照)に比して、ALP活性及びカルシウム沈着量が、添加した濃度に依存して上昇したものの、10μMの添加では、ALP活性が逆に抑制された。また、オステオカルシンの分泌量は、ビタミンKを10μMとなるように添加した場合に、陰性対照に比して、上昇が認められた。カルシウムの沈着量の上昇率で比較すると、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、陽性対照として使用したビタミンKよりも強いカルシウム沈着の増強作用を示した。これらの結果は、2−アミノフェノール及びその誘導体は、前骨芽細胞の骨芽細胞への分化を誘導して、該細胞におけるカルシウム沈着を促進する作用を有し、これらの物質が、慢性関節リューマチ、骨粗鬆症、歯周病等の骨代謝異常疾患やその予備軍に骨形成促進剤、或いは、カルシウム沈着促進剤として利用できることを物語っている。また、骨形成促進作用の強さの点では、2−アミノフェノール(AP)よりも2−アミノフェノキサジン−3−オン(QA)の方が優れていることを物語っている。さらに、本実験で使用した2−アミノフェノール及び2−アミノフェノキサジン−3−オンは、実験に使用した何れの濃度においても、細胞の生存率に影響を与えることはなかったことから、2−アミノフェノール及び2−アミノフェノキサジン−3−オンの細胞毒性は弱いと判断した。
<実験3:マウス前骨芽細胞株MC3T3−E1細胞のカルシウム沈着に及ぼす2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体の影響>
実験2で、2−アミノフェノキサジン−3−オンが、MC3T3−E1細胞のカルシウム沈着を強く増強することが確認されたので、2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体に同様の活性があることを確認する試験をおこなった。表2に示す5種類の2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体を常法により合成し、被験物質として使用した。実験2で使用したものと同じ分化誘導培地に被験物質を各々最終濃度が2μMとなるように溶解した。実験2と同様に24穴プレートにMC3T3−E1細胞を播種して、セミコンフレントの状態になった細胞に、被験物質を溶解した分化誘導培地のいずれかを、2ml/ウエルで添加した。3日又は4日に一度、全てのウエルについて同じ日に、最初に添加したものと同じ種類、濃度の被験物質を含む分化誘導培地による培地交換をおこないながら20日間培養した。実験2と同じ方法で、培養開始20日目の細胞のカルシウム沈着量を測定し、2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体を添加した培地で培養した細胞のカルシウム沈着量を、2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加した培地で培養した細胞のカルシウム沈着量で除し、100倍して、2−アミノフェノキサジン−3−オン添加時のカルシウム沈着量を100%とする相対値を求め、Ca(カルシウム)沈着率(%)として表2に併せて示す。また、実験2と同じ方法で細胞生存率(%)を求めて表2に併せて示す。なお、細胞生存率(%)は、2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加した培地で培養した細胞の生存率を100%とした相対値で示した。また、試験は1サンプルにつき3ウエルで実施した。
Figure 0005507445
表2から明らかなように、試験に使用した5種類の2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体は、何れも、2−アミノフェノキサジン−3−オンと同様に、MC3T3−E1細胞のカルシウム沈着を増強する作用を示した。このカルシウム沈着増強作用の強さの点からは、2−アミノフェノキサジン−3−オンが最も強く、2−アミノ−7−ヒドロキシ−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−3,4−ジメトキシ−6,7−ジメトキシカルボニル−フェノキサジン−3−オン及び2−アミノ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オンがそれに次ぐ強さを示した。
<実験4:マクロファージからのNO、PGE産生抑制活性>
骨量減少の原因となる骨破壊の進行には、NOや炎症性のサイトカインなどが関与していることが知られている。そこでマウスマクロファージ細胞株を用いて、マクロファージからのNO、PGE産生に及ぼす2−アミノフェノール誘導体の影響を調べる試験を以下のようにおこなった。すなわち、マウスマクロファージ細胞株RAW−264.7を、細胞濃度1×10細胞/mlになるように、10容量%FCSを含むRPMI−1640培地(シグマ アルドリッチ社販売)に浮遊させて、細胞浮遊液を調製した。これを96穴マイクロプレートに50μl/ウエル添加し、表3に示す濃度となるように被験物質の2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加し、さらに、NO及びPGE産生の誘導剤としてリポ多糖を2μg/ml及びIFN−γを10IU/mlとなるように添加し、10容量%FCSを含むRPMI−1640培地を加えて液量を200μlとした。これを、37℃で2日間培養した後、培養上清を常法のGriess法に供してNO量を、また、市販の抗PGE抗体による測定キット(アマシャムバイオサイエンス社販売、商品名「PGEEIAキット」)に供してPGE量を測定した。陽性対照として、COX阻害剤であるインドメタシン(和光純薬工業株式会社販売)、アスピリン(和光純薬工業株式会社販売)、COX−2選択的阻害剤であるNS−398(和光純薬工業株式会社販売)を用意し、上記と同様にして実験をおこなった。また陰性対照(表3の濃度0μM)として、上記被験物質又は陽性対照を添加しない系を設けた。結果を表3に示す。なお、表3における「QA」は2−アミノフェノキサジン−3−オン(クエスチオマイシンA)、「NS」はNS−398、「IN」はインドメタシン、「AS」はアスピリンを意味し、被験物質又は陽性対照を加えたときのNO産生量(%)、PGE産生量(%)、マクロファージの増殖(%)は、被験物質又は陽性対照添加時の各々の測定値を陰性対照の測定値で除し、100倍して、陰性対照の測定値を100%とした相対値で示した。
Figure 0005507445
表3から明らかなように、2−アミノフェノキサジン−3−オン(表3における「QA」)は、マクロファージの増殖を低下させることなく、NOの産生及びPGEの産生を抑制した。また、本実験で得られた各細胞抽出液に含まれるiNOSの量を、抗iNOS抗体を用いるウエスタンブロッティング解析により調べたところ、濃度依存的に2−アミノフェノキサジン−3−オンによりiNOS量が減少した。よって、2−アミノフェノキサジン−3−オンによるNOの産生阻害活性は、iNOSの量を減少させることによって発揮されるものと考えられた。この結果は、2−アミノフェノール又はその誘導体を経口的又は非経口的に患者に投与した場合、NO及びPGEの産生を抑制することにより、骨破壊を抑制できることを示している。
<実験5:COX−1及びCOX−2阻害活性>
上記実験4の結果を検証するために、PGEの合成系に必須の酵素であるCOXの酵素活性が阻害されるかどうか調べた。『COXインヒビタースクリーニングアッセイキット』(ケイマン社販売)により、COX−1又はCOX−2、及び、基質としてのアラキドン酸が存在する反応系に、試験試料として2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノールを表4に示す濃度となるように添加し、抗PGE抗体を用いたEIAにより、生成したPGEの量を測定し、COXの活性量とした。なお、対照として試験試料を添加しない系を設け、2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノールを添加したときの活性量を、対照の活性量で除し、対照の測定値を100%とした相対値を求めて、COX−1又はCOX−2の残存活性率として表4に併せて示す。また試験試料の各濃度での残存活性率をグラフにプロットし、COX−1又はCOX−2の活性を50%阻害するときの2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノールの濃度(IC50)を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0005507445
表4から明らかなように、2−アミノフェノール及び2−アミノフェノキサジン−3−オンは、COX−1及びCOX−2の活性を阻害した。その効果はIC50値で比較すると、モル比で4乃至6倍(≒28÷6.44乃至4.83)、質量比で2乃至3倍程度、2−アミノフェノールよりも2−アミノフェノキサジン−3−オンの方が優れていた。また、COX−1/COX−2比は、IC50値から計算すると2−アミノフェノールが約1(≒28.0÷27.7)、2−アミノフェノキサジン−3−オンが約1.3(≒6.44÷4.83)であり、アスピリン(COX−1/COX−2比=0.24)やインドメタシン(COX−1/COX−2比=0.03)などの非ステロイド系のCOX阻害剤よりもCOX−2に対する選択性が高く、COX−1及びCOX−2活性に対するIC50値はほぼ同じとなった。この結果は、2−アミノフェノール又は2−アミノフェノキサジン−3−オンを経口又は非経口的に患者に投与した場合、COX−1及びCOX−2の活性の両方を阻害することにより、骨破壊を促進する作用を有するPGEの産生を抑制して、骨破壊を抑制できることを示している。
<実験6:マウス骨髄細胞とMC3T3−E1細胞の共培養によるマウスマクロファージの破骨細胞への分化に及ぼす影響>
実験4及び5により、2−アミノフェノール及びその誘導体に、マクロファージの破骨細胞への分化を抑制し骨破壊を抑制する作用があることが示された。そこで、破骨細胞形成の主要な経路として知られている、マクロファージ−コロニー刺激因子(以下、「M−CSF」という場合がある。)の共存下におけるRANKLリガンド刺激により骨髄細胞が破骨細胞に分化する系に及ぼす、2−アミノフェノキサジン−3−オンの影響を調べる試験を、RANKLリガンドとしてこれを発現しているC57BL/6マウス由来の骨芽前駆細胞株MC3T3−E1細胞を使用して、以下のようにおこなった。すなわち、C57BL/6マウス(雌、7週齢、日本チャールスリバー社販売)の大腿骨より、常法により骨髄細胞を採集して、α−MEM培地にて2回洗浄後、10容量%FCS加α−MEM培地に浮遊させて、4×10細胞/mlの濃度に調製した。MC3T3−E1細胞は、予め50μg/mlのマイトマイシンC(以下、「MMC」と略記する場合がある。)溶液に浮遊させて、37℃のウオーターバスで30分間保持した後、α−MEM培地にて3回洗浄して、10容量%FCS加α−MEM培地に浮遊させて、4×10細胞/mlの濃度に調製した。48ウエルプレート(ベクトンデキンソン社販売、商品名「マルチウエルTM48ウエル」)に、この骨髄細胞の浮遊液を100μl/ウエルと、MMC処理したMC3T3−E1細胞の浮遊液を50μl/ウエルで加え、組換型ヒトM−CSF(120ng/ml、Pepro Tech社販売)を50μl/ウエル添加した。さらに、このウエルに表5に示す濃度となるように、10容量%FCS加α−MEM培地に溶解した被験物質の2−アミノフェノキサジン−3−オンを50μl/ウエルで加えて、37℃で培養を開始した。陰性対照としてM−CSFのみを添加した培地で9日間培養した。培養開始9日後に、培養上清を全量除去し、破骨細胞を選択的に染色するTRAP(Tartarate−resistant acid phosphatase)染色キット(シグマ アルドリッチ社販売、商品名「Acid Phosphatase kit」)を用いて、各ウエルの細胞を染色し、顕微鏡下で、染色されたTRAP陽性細胞数を計測した結果を表5に併せて示す。さらに、培養開始3日目に培養上清の一部をサンプリングして、上清中のIL−6産生量を酵素抗体法(EIA)により測定して表5に併せて示す。また、陽性対照として、骨粗鬆症治療剤として使用されているアレンドネート(Alendronate、LKT Laboratories社販売)又は塩酸ラロキシフェン(Raloxifene、LKT Laboratories社販売)を、アミノフェノキサジン−3−オンに替えて添加し、同様に培養して試験をおこなった結果を表5に併せて示す。なお、培養は、3日又は4日に一度、全てのウエルについて同じ日に、最初に添加したものと同じ濃度のM−CSFと、被験物質又は陽性対照とを含む培地、或いは、M−CSFを含む陰性対照の培地による培地交換をおこないながら9日間培養した。試験は1サンプルあたり3ウエルで実施した。
Figure 0005507445
表5から明らかなように、マウス骨髄細胞は、M−CSFとRANKLリガンドを発現しているMC3T3−E1細胞のみの共存下(2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度0μM参照)で、TRAP陽性細胞へ分化した。これに対して、M−CSFとMC3T3−E1細胞の共存下に、2−アミノフェノキサジン−3−オンを加えて培養した場合には、陽性対照として添加したアレンドネート又は塩酸ラロキシフェンの場合と同様に、M−CSFとMC3T3−E1細胞のみの共存下で培養した場合に比して、その濃度に依存したTRAP陽性細胞数の増加の抑制が認められた。また、マウス骨髄細胞は、M−CSFとMC3T3−E1細胞とのみの共存下(2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度0μM)では、IL−6を産生したのに対して、2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加した場合には、その産生の抑制が認められた。この結果は、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、陽性対照として使用したアレンドネート又は塩酸ラロキシフェンと同様に、骨髄細胞の破骨細胞への分化を抑制できるので、慢性関節リューマチ、骨粗鬆症、歯周病等の骨代謝異常疾患やその予備群における骨破壊を抑制できることを物語っている。また、2−アミノフェノキサジン−3−オンによるこの抑制効果は、骨粗鬆症治療剤のアレンドネートより強いことを物語っている。
<実験7:マウス脾臓マクロファージのM−CSF及び可溶性RANKL共存下での破骨細胞への分化に及ぼす影響>
実験6においてRANKLリガンドを発現しているMC3T3−E1細胞との共培養により、骨髄細胞から破骨細胞を誘導できることが確認されたので、マウス脾臓マクロファージを使用してM−CSFの共存下における可溶性のRANKL(以下、可溶性のRANKLを「sRANKL」と略記する。)による、マクロファージの破骨細胞への分化に及ぼす2−アミノフェノキサジン−3−オンの影響を調べる試験を以下のようにおこなった。すなわち、BALB/cマウス(雌、7週齢、日本チャールスリバー社販売)より、常法により脾臓細胞を採集し、α−MEM培地(MP Biomedical社販売)にて2回洗浄後、48ウエルプレート(ベクトンデキンソン社販売、商品名「マルチウエルTM48ウエル」)に、10容量%FCS加α−MEM培地に浮遊させて、8×10細胞/ウエルとなるように播種した。5容量%CO 37℃で2時間インキュベーションして、プレートに付着させたマクロファージを、α−MEM培地にて2回洗浄後、新鮮な10容量%FCS加α−MEM培地を200μl/ウエルと、10容量%FCS加α−MEM培地に溶解したヒト組換型M−CSF(60ng/ml、Pepro Tech社販売)を100μl/ウエルとを添加して、5容量%CO 37℃で5日間培養した。各ウエルの培養上清を完全に吸引除去して、20ng/mlの組換型ヒトM−CSFと、2.5nMのsRANKL(オリエンタル酵母株式会社販売)を含む破骨細胞の分化誘導用の10容量%FCS加α−MEM培地を300μl/ウエルで添加した。さらに、この分化誘導用の培地には、表6に示す濃度となるように被験物質のアミノフェノキサジン−3−オンを加えて、培養を継続した。培養開始14日後に、培養上清を全量除去後、実験5と同様に、破骨細胞を選択的に染色するTRAP染色キットを用いて、各ウエルの細胞を染色し、顕微鏡下で、染色されたTRAP陽性細胞数を計測した。結果を表6に併せて示す。陰性対照として、M−CSFのみを添加した培地及びM−CSFとsRANKLとを添加した培地で同様に骨髄細胞を培養した。また、陽性対照として、骨粗鬆症治療剤として使用されているリセドロネート(Risedronate、LKT Laboratories社販売)を、アミノフェノキサジン−3−オンに替えて添加し、同様に培養をおこなった。なお、培養は、3日又は4日に一度、全てのウエルについて同じ日に、最初に添加したものと同じ濃度の被験物質又は陽性対照を含む培地、或いは、陰性対照の培地による培地交換をおこないながら14日間培養した。試験は1サンプルにつき3ウエルで実施した。
Figure 0005507445
表6から明らかなように、マウスマクロファージは、M−CSFのみの共存下では、TRAP陽性細胞への分化は認められず、M−CSFとsRANKLとを共存(2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度0μM参照)させると、TRAP陽性細胞へ分化した。これに対して、M−CSFとsRANKLと共に、2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加した場合には、陽性対照として使用したリセドロネートを添加して培養した場合と同様に、M−CSFとsRANKLとの共存下で培養した場合に比して、その濃度に依存したTRAP陽性細胞数の増加の抑制が認められた。この結果は、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、骨粗鬆症治療剤として使用されているリセドロネートと同様に、生理的なリガンドのsRANKLの共存下で誘導される、マクロファージの破骨細胞への分化を抑制できるので、骨芽細胞などが活性化されてRANKLの発現が過剰となった場合でも、慢性関節リューマチ、骨粗鬆症、歯周病等の骨代謝異常疾患における骨破壊を阻止できることを物語っている。また、2−アミノフェノキサジン−3−オンによるこの抑制効果は、市販の骨粗鬆症治療剤のリセドロネートよりも強いことを物語っている。
<実験8:TNF−α又はIL−1による骨芽細胞活性化に及ぼす影響>
慢性関節リューマチや歯周病は、通常、炎症を伴っているので、その炎症部位では、活性化した滑膜細胞やT細胞から産生される炎症性サイトカイン(IL−1、TNF−α)が分泌されて、骨芽細胞が活性化され、破骨細胞への分化に必須の生理的因子であるRANKLの発現が亢進すると共に、IL−6やNOの産生が亢進されている。この産生誘導されたNOは、軟骨細胞のアポトーシスを亢進したり、軟骨基質合成を低下させるので、炎症部位では軟骨の破壊が促進される。またNOにより単球/マクロファージが活性化され、破骨細胞へと分化が誘導され骨破壊(骨吸収)が進行する。さらにTNF−α自身による破骨前駆細胞から破骨細胞への直接の分化誘導の経路も存在する。このように、慢性関節リューマチでは、幾つかの経路が重なり合って骨破壊という病態が形成されるものと考えられている。そこで、TNF−α又はIL−1による骨芽細胞の活性化に及ぼす2−アミノフェノキサジン−3−オンの影響を調べる試験を、骨芽細胞として、MC3T3−E1細胞を使用して以下のようにおこなった。すなわち、MC3T3−E1細胞を、10容量%FCS加α−MEM培地にて5×10細胞/mlの濃度に調製したものを96穴マイクロプレート(ベクトンデキンソン社販売、商品名「マイクロテストTM96」)に50μl/ウエルで添加した。次に表7又は8に示す濃度となるように、同培地で希釈した2−アミノフェノキサジン−3−オンを50μl/ウエル添加した。さらに、同培地に溶解した組換型ヒトTNF−α又は組換型ヒトIL−1βを100μl/ウエル(各々の終濃度20ng/ml)添加して、5容量%CO、37℃で3日間培養した。陰性対照として培地のみ、或いは、IL−1β又はTNF−αのみを添加した培地を使用した。陽性対照として表7又は8に示す濃度のリセドロネートを、2−アミノフェノキサジン−3−オンに替えて添加して同様に培養をおこなった。培養後、上清中のNO産生量をGriess試薬にて、IL−6産生量を特異的EIAにて測定した。細胞の増殖は、アラマーブルー原液を同培地にて4倍希釈したものを、100μl/ウエル添加して、5容量%CO、37℃で2〜3時間インキュベーションした後、544/590nmの吸光度を測定した。試験は1サンプルにつき3ウエルで実施した。組換型ヒトIL−1β共存下でのNO産生量及びIL−6産生量の測定結果を表7に、組換型ヒトTNF−α共存下での測定結果を表8に併せて示す。
Figure 0005507445
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表7及び8から明らかなように、MC3T3−E1細胞は、組換型ヒトIL−1β又は組換型ヒトTNF−αのみの共在下(2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度0μM参照)で、NO及びIL−6の産生が認められた。組換型ヒトIL−1βと共に2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加して培養した場合には、組換型ヒトIL−1βのみを添加して培養した場合に比して、NO及びIL−6の産生が強く抑制された。また、組換型ヒトTNF−αと共に2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加して培養した場合には、組換型ヒトTNF−αのみを添加して培養した場合に比して、IL−6の産生が強く抑制された。陽性対照として使用したリセドロネートは、2μMの添加の場合に、組換型ヒトIL−1βとの共存下で誘導されるNOの産生を抑制したものの、抑制の程度は、2−アミノフェノキサジン−3−オンよりも弱かった。この結果は、2−アミノフェノキサジン−3−オンが、IL−1βにより、骨芽細胞が活性化されて産生するNOやIL−6の産生や、TNF−αによって誘導されるIL−6の産生を効果的に抑制することにより、マクロファージから破骨細胞への分化誘導を抑制できることを物語っている。また、2−アミノフェノキサジン−3−オンによるこの抑制効果は、市販の骨粗鬆症治療剤のリセドロネートよりも強いことを物語っている。さらに、具体的なデータは示さないが、本実験で使用した2−アミノフェノキサジン−3−オンは、何れの濃度においても、MC3T3−E1細胞の生存率に影響を与えることはなかったことから、2−アミノフェノキサジン−3−オンの細胞毒性は弱いと判断した。
<実験9:マウス脾臓マクロファージのM−CSF及びTNF−α共存下における破骨細胞への分化に及ぼす影響>
マクロファージから破骨細胞への分化誘導は、骨芽細胞による経路のみではなく、特に慢性関節リューマチや歯周病のような疾患では慢性的に産生されたTNF−αやIL−1が、M−CSFの共存下で直接マクロファージに作用して破骨細胞へと分化を誘導する経路もあることが明らかとなっている。そこで、TNF−α及びM−CSF共存下におけるマクロファージからの破骨細胞への分化誘導に及ぼす2−アミノフェノキサジン−3−オンの影響を調べる試験を以下のようにおこなった。すなわち、C57BL/6マウス(雌、7週齢、日本チャールスリバー社販売)より、常法により脾臓細胞を採集し、α−MEM培地にて2回洗浄後、10%FCS加α−MEM培地に浮遊させ、48ウエルプレート(ベクトンデキンソン社販売、商品名「マルチウエルTM48ウエル」)に、6×10細胞/ウエルとなるように播種した。5容量%CO、37℃で2時間インキュベーションして、プレートに付着させたマウス脾臓マクロファージを、α−MEM培地にて2回洗浄後、新鮮な10容量%FCS加α−MEM培地を200μl/ウエルと、組換型ヒトM−CSF(60ng/ml、Pepro Tech社販売)を100μl/ウエルとを添加した後、37℃で5日間培養した。各ウエルの培養上清を完全に吸引除去して、20ng/mlのヒト組換型M−CSFと、20ng/mlの組換型ヒトTNF−αを含む10容量%FCS加α−MEM培地を200μl/ウエルで添加した。さらに、この培地中に、表9に示す濃度となるように被験物質として2−アミノフェノキサジン−3−オンを加えて、培養を14日間継続した。陰性対照としてM−CSFとTNF−αを添加した培地で培養を14日間継続した。培養上清を除去後、実験6と同様に、破骨細胞を選択的に染色するTRAP染色キットを用いて、各ウエルの細胞を染色し、顕微鏡下で、染色されたTRAP陽性細胞数を計測した結果を表9に併せて示す。陽性対照として、リセドロネートをアミノフェノキサジン−3−オンに替えて添加し、同様に培養をおこなった。なお、培養は、3日又は4日に一度、全てのウエルについて同じ日に、最初に添加したものと同じ濃度の被験物質又は陽性対照を含む培地、或いは、陰性対照の培地による培地交換をおこないながら14日間培養した。試験は1サンプルにつき3ウエルで実施した。
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表9から明らかなように、マウス脾臓マクロファージは、M−CSFとTNF−αとの共存下(2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度0μM参照)で、TRAP陽性細胞へ分化した。これに対して、M−CSFとTNF−αと共に、2−アミノフェノキサジン−3−オンを添加した場合には、陽性対照として使用したリセドロネートを添加して培養した場合と同様に、M−CSFとTNF−αとのみの共存下で培養した場合に比して、その濃度に依存したTRAP陽性細胞数の増加の抑制が認められた。この結果は、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、陽性対照として使用したリセドロネートと同様に、TNF−αなどの炎症性サイトカインにより誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化を抑制できることを物語っている。なお、具体的なデータは示さないが、マクロファージ細胞株のRAW−264.7細胞を組換型ヒトTNF−αで刺激して、破骨細胞に分化誘導させる系においても、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、リセドロネートと同様に、その濃度に依存したTRAP陽性細胞数の増加の抑制が認められた。
<実験10:骨粗鬆症モデルマウスに及ぼす影響>
実験2乃至9において、2−アミノフェノール又はその誘導体が、骨形成の促進作用と骨破壊の抑制作用を併せ持つことが確認されたので、2−アミノフェノールの誘導体の及ぼす骨粗鬆症への影響を調べる試験を、骨粗鬆症モデルマウスを使用して以下のようにおこなった。すなわち、被験物質として1Nの塩酸1.5質量%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液に溶解した2−アミノフェノキサジン−3−オンを使用した。40匹のddyマウス(8週齢、、日本チャールスリバー株式会社販売)を、ランダムに4群各10匹に分けて、3群各10匹の卵巣を摘出した。残りの1群10匹は、対照1として、卵巣を摘出することなく開腹のみを実施した。卵巣を摘出した翌日から、2群各10匹には2−アミノフェノキサジン−3−オンを、3mg/kg・体重又は10mg/kg・体重のいずれかの量で、胃ゾンデを使用して、5回/週投与して、4週間飼育した。卵巣を摘出した残りの1群10匹(対照2)及び対照1の1群10匹には、1Nの塩酸1.5%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液を、各々、胃ゾンデを使用して、5回/週投与して、4週間飼育した。卵巣摘出手術29日後に、エーテル麻酔下で、腹大静脈から全採血した後、マウスを解剖して、右大腿骨を摘出した。この大腿骨を、70容量%エタノールに一晩浸漬後、付着した筋肉などの組織を除去し、110℃のオーブンで一晩乾燥した。乾燥後の大腿骨をるつぼに入れ、950℃のオーブンで6時間加熱して灰化して、その質量を測定した。さらに、各マウスの大腿骨の骨灰分中のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)量を、ICP発光分析法(株式会社リガク販売、商品名「ICP−AES CIROS120」)により測定した。その結果を表10に示す。また、採血した血液から血清を分離して、実験2と同じ方法で、血清中のオステオカルシン量を測定した結果を表10に併せて示す。なお、マウスへの被験物質又は対照の投与は、全てのマウスに対して同じ日におこなった。
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表10から明らかなように、卵巣を摘出していない開腹のみのマウス(対照1)に比べて、卵巣を摘出後、1Nの塩酸1.5質量%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液を4週間胃ゾンデで投与したマウス(対照2)では、大腿骨の骨灰化質量、Ca、Mg及びPの含有量が何れも減少した。これに対して、卵巣を摘出後、2−アミノフェノキサジン−3−オンを、胃ゾンデで3mg/kg・体重又は10mg/kg・体重投与したマウスでは、卵巣を摘出後、1Nの塩酸1.5%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液を4週間胃ゾンデで投与したマウス(対照2)に比して、投与量に依存して、大腿骨の骨灰化質量、Ca、Mg及びPの含有量の減少が何れも抑制された。また、血清中のオステオカルシン量は、卵巣を摘出しない開腹のみのマウス(対照1)に比べて、卵巣を摘出後、1Nの塩酸1.5質量%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液を4週間経胃ゾンデで投与したマウス(対照2)で、その濃度が低下した。これに対して、卵巣を摘出後、2−アミノフェノキサジン−3−オンを、胃ゾンデで3mg/kg・体重又は10mg/kg・体重投与したマウスでは、卵巣を摘出後1Nの塩酸1.5質量%とカルボキシメチルセルロース0.5質量%を含む水溶液を4週間胃ゾンデで投与したマウス(対照2)よりも、投与量に依存して、さらにその濃度が低下した。この結果は、2−アミノフェノキサジン−3−オンが、骨形成促進剤として骨粗鬆症などの骨代謝異常疾患の改善に優れた効果を発揮できることを物語っている。また、血清中のオステオカルシン量が、2−アミノフェノキサジン−3−オンの投与量に依存して減少することは、骨粗鬆症のエストロジェンによる治療の場合と同様に、オステオカルシンがカルシウムと結合して効率よく細胞に取り込まれて、骨形成が促進されていることを物語っている。なお、試験期間中、マウスの体重を計測したところ、試験期間を通じて、体重の増減に、4群間で差は認められず、2−アミノフェノキサジン−3−オンは経口摂取しても毒性の低い、安全な化合物であると判断した。
<実験11:コラーゲン産生に及ぼす影響>
骨形成には、骨や軟骨の基質としてコラーゲンが重要な役割を担っている。そこで、コラーゲン産生に及ぼす2−アミノフェノールの誘導体の影響を調べる試験を、2−アミノフェノールの誘導体として2−アミノフェノキサジン−3−オンを使用して、以下のようにおこなった。すなわち、10容量%FCS加ダルベッコのMEM培地(日本水産株式会社販売、以下、ダルベッコのMEM培地を「D−MEM」と略記する。)にヒト胎児由来正常繊維芽細胞(倉敷紡績株式会社販売、細胞名「NHDF」)を5.0×10細胞/mlとなるように浮遊させ、96穴マイクロプレート(ベクトンデキンソン社販売)に、50μl/ウエル添加して、37℃、5容量%CO下で1日間培養した。この各ウエルの培養上清を除去し、100μMのアスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)を含む10容量%FC加D−MEMを100μl/ウエルで添加した。さらに、被験物質として実験1で調製した2−アミノフェノキサジン−3−オンを4mMとなるようにDMSOに溶解した溶液を、10容量%FCS加D−MEMで希釈して、100μl/ウエル添加して、各ウエルの最終濃度が表11に示す濃度となるように調整した。37℃、5容量%CO下で3日間培養後、同じ組成の培地に交換して、さらに、3日間培養を継続した。この各ウエルのNHDF細胞中のコラーゲン量を測定するために、培養上清を除去後、ペプシン(シグマ社販売)の1mM酢酸溶液(ペプシン濃度1mg/ml)を、50μl/ウエル添加し、室温で4時間振とうして、ペプシン消化物を得た。この消化物をピペッティングして、1.5ml容の遠心用チューブに回収し、市販のコラーゲン定量キット(Biocolor社販売、商品名「Sircol Collagen Assay Kit」)の発色用試薬を200μl/チューブ添加して、室温で30分間、転倒混和した。混和後、遠心用チューブを、そのまま、4℃で10分間遠心後(15000rpm)、上清を除去し、1NのNaOHを50μl添加して沈殿を溶解して、560/650nmの吸光度を測定した。標準品として既知量のコラーゲンを適宜希釈して、同様にペプシン消化し、同様に発色用試薬を加えて処理して、その吸光度を測定して標準曲線を作成した。この標準曲線に基づき、NHDF細胞中のコラーゲン量を計算した結果を表11に併せて示す。
Figure 0005507445
表11から明らかなように、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、アスコルビン酸存在下でのコラーゲン産生を、濃度依存的に増強した。この結果は、2−アミノフェノール及びその誘導体は、骨や軟骨を構成するコラーゲンの産生を、アスコルビン酸の存在下で増強する作用を有する点からも、骨形成促進剤として優れていることを物語っている。なお、この実験で使用した濃度では、2−アミノフェノキサジン−3−オンのNHDF細胞に対す細胞毒性は認められなかった。
以上の実験結果は、2−アミノフェノールやその誘導体が、骨芽細胞を活性化して骨形成を促進すると共に、破骨細胞による骨吸収を抑制する作用を併せ持っているので、効果的に、骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少を抑制乃至骨量を増加させることができることを物語っている。また、2−アミノフェノールやその誘導体のもつ破骨細胞による骨吸収抑制は、RANKLリガンドなどにより誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化の抑制や、その分化を誘導する炎症性サイトカインの産生を抑制して、マクロファージの破骨細胞への分化を抑制する作用によることを物語っている。さらに、2−アミノフェノールやその誘導体は、細胞毒性も弱いことから、骨形成促進剤、骨代謝改善剤、カルシウムの沈着促進剤、或いは、骨代謝異常疾患治療剤として有用であることを物語っている。
以下、実施例で本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明の技術範囲は、この実施例により、何ら限定的に解釈されるべきものではない。
<骨形成促進剤>
無水結晶α−マルトース粉末(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売)75質量部に対して、実験1に記載の方法で合成した2−アミノフェノキサジン−3−オン、又は、その合成原料として使用した2−アミノフェノールを25質量部の割合で添加して均一に混合して、粉末状の骨形成促進剤を調製した。本品は、そのままで、打錠して、カプセルに封入して、或いは、清涼飲料等に添加して利用することができる。本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。
<骨形成促進剤>
実施例1で使用した2−アミノフェノキサジン−3−オン25質量部に替えて、実験3で合成した2−アミノフェノキサジン−3−オンの誘導体の2−アミノ−7−ヒドロキシ−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−7−メトキシ−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−3,4ジメトキシ−6,7−ジメトキシカルボニル−フェノキサジン−3−オン、2−(N−ヒドロキシ)アセチルアミノ−フェノキサジン−3−オン、又は、2−アミノ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オンを25質量部添加した以外は、実施例1と同じ方法で粉末状の骨形成促進剤を調製した。本品は、そのままで、打錠して、カプセルに封入して、或いは、清涼飲料等に添加して利用することができる。本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。
<骨形成促進剤>
実施例1又は2で調製した粉末状の骨形成促進剤のいずれか99質量部に対して1質量部のシュガーエステルを添加し均質に混合し、常法により打錠して、一錠200mg当り、2−アミノフェノキサジン−3−オン又はその誘導体を約50mg、或いは、2−アミノフェノールを50mg含む錠剤を得た。本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。また、本品は、COX阻害活性及び一酸化窒素合成阻害活性を有していることから、経口投与により、リューマチ、胃炎などの各種炎症性疾患、癌、アルツハイマー病の治療又は予防剤、鎮痛剤や解熱剤としても利用できる。
<骨形成促進剤>
下記の成分を配合し、粉末状の骨形成促進剤を得た。
実施例1又は2で調製した粉末状の骨形成促進剤 41質量部
のいずれか1種
ラクトスクロース(粉末、ラクトスクロース純度90%) 5質量部
粉飴 41質量部
糖転移アスコルビン酸(株式会社林原商事販売、 1質量部
商品名「アスコフレッシュ」)
コタラヒム抽出物粉末 0.2質量部
ミネラル酵母(亜鉛、セレン、クロム、銅、マンガン、 1質量部
モリブデン、ヨウ素含有)
カルニチン 適量
ビタミンA 適量
ビタミンD 適量
塩酸チアミン 適量
リボフラビン 適量
塩酸ピリドキシン 適量
シアノコバラミン 適量
酒石酸水素コリン 適量
ニコチン酸アミド 適量
パントテン酸カルシウム 適量
酢酸トコフェロール 適量
コエンザイムQ10 適量
α−リポ酸 適量
硫酸鉄 適量
リン酸水素カルシウム 適量
アラビアガム 適量
本品は、そのままで、打錠して、カプセルに封入して、或いは、清涼飲料などに添加して、骨形成促進剤として摂取することにより、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。また、本品は、血糖の上昇抑制剤、糖質や脂質の吸収抑制剤、糖や脂質の代謝改善剤として、生活週間病全般の予防や治療に利用することもできる。
<骨形成促進剤>
以下の処方で歯磨を製造した。
不溶性メタリン酸ナトリウム 26.0質量%
グリセリン 25.0質量%
第2リン酸カルシウム 15.0質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5質量%
トラガントガム 1.4質量%
香料 1.0質量%
実験1で製造した2−アミノフェノキサジン− 0.1質量%
3−オン又は2−アミノフェノール
(和光純薬工業株式会社販売)
サッカリン 0.1質量%
銅クロロフィリンナトリウム 1.0質量%
水 28.9質量%
本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。
<骨形成促進剤>
植物油20gと2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノール0.5gとを加温下に混合して混和した。この混和した溶液に、精製卵黄レシチン0.6g、及びグリセリン5.5gを添加し、加温しながら激しく撹拌して溶解した後、適量の蒸留水を加えポリトロンホモジナイザーで撹拌し乳化液を調製した。この乳化液をさらにマイクロフルイダイザーにより乳化した後、乳化液に蒸留水を加えて100mlとし、ポワサイズが0.45μmのフィルターで濾過することにより、2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノールを約400μg/ml含む脂肪粒子が分散した注射剤を調製した。本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。
<骨形成促進剤>
2−アミノフェノキサジン−3−オン又は2−アミノフェノールを15μg/ml、α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所製造、パイロジェンフリー)を140mg/ml、ツイーン20を2mg/mlとなるように生理食塩水に溶解して、常法により、精密濾過して滅菌して、100mlずつ分注し、パイロジェンフリーの液剤を得た。本品は、点滴液とし使用することができる。本品は、骨形成促進剤として、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、リューマチ様脊椎炎、骨ページェット病、変形性関節炎、痛風性関節炎、歯肉炎、歯周病をはじめとする骨代謝異常疾患やその予備軍の骨量の減少の抑制乃至骨量の増加促進に適している。また、本品は、COX阻害活性及び一酸化窒素合成阻害活性を有していることから、リューマチなどの各種炎症性疾患、癌、アルツハイマー病の治療又は予防剤、鎮痛剤や解熱剤としても利用できる。
叙述のとおり、2−アミノフェノール又はその誘導体は、前骨芽細胞を骨芽細胞に分化させて、該細胞へのカルシウム沈着を促進する。しかも、2−アミノフェノール又はその誘導体は、NO合成阻害作用、IL−6産生抑制及びPGE合成阻害作用により、破骨細胞の活性を抑制して骨吸収を抑制する作用を有している。さらに、2−アミノフェノール又はその誘導体は経口或いは非経口的に摂取しても毒性が低く、長期間連用しても、安全なので、骨形成促進剤として有用である。

Claims (1)

  1. 2−アミノフェノキサジン−3−オンか、又は、2−アミノ−10−(N−4′−アミノブチル)−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−7−ヒドロキシ−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−3,4−ジメトキシ−6,7−ジメトキシカルボニル−フェノキサジン−3−オン、2−アミノ−7−メトキシ−フェノキサジン−3−オン及び2−(N−ヒドロキシ)アセチルアミノ−フェノキサジン−3−オンから選ばれる2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体を有効成分として含有する骨形成促進剤。
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