JP5506868B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導加熱調理器に関するものであり、特に調理器の底の反り、ふきこぼれ、沸騰などの検知を行う誘導加熱調理器に関するものである。
誘導加熱調理器は、交流電源を整流回路で直流電源に変換し、この直流電源をインバータ回路に供給して高周波交流電流に変換し、この高周波交流電流を誘導加熱コイルに流すことで誘導加熱コイルに交番磁界を発生させるものである。この交番磁界により、トッププレートを介して加熱コイルに近接配置された鍋などの磁性材料で構成された金属製調理具の底に渦電流を発生させ、発生した渦電流と金属製調理具の抵抗により発生する熱を利用して調理が行われる。
ところで、誘導加熱調理器の第1の従来技術として、インバータ発振開始時インバータ内のスイッチング素子のON期間を短くし、このON期間を徐々に増加させて行き、発振開始時の急激な入力の立ち上がりによって発生する起動音を無くすソフトスタートを行なった後、インバータへの入力電力を検知し、この入力電力に基づいて負荷判定を従来より正確にかつ安全に行い、ナイフやフォークなどの小物負荷、または無負荷の時はインバータの駆動を停止させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、第2の従来技術として、加熱開始時にパワー一定で加熱を行い、そのときの温度センサ出力の時間による2階微分値(加速度)により鍋底の反り量を判定する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、第3の従来技術として温度センサによって検知された温度に基づいて沸騰やふきこぼれや鍋ずれを判定する方法が開示されている。即ち、温度センサによって検知された温度が所定値以内である連続時間が所定時間に達した場合に、沸騰と判定し、上記温度センサによって検知された温度の増加する勾配が一定で、所定の時間経過後温度勾配が急激に増加し、その後は温度が一定になれば、ふきこぼれであると判定し、その途中で急激に温度勾配が増加し直後に急激に下がれば、鍋ずれであると判定する(例えば、特許文献3参照)。
また、第4の従来技術として、鍋内の水が沸騰した時に発生する振動のスペクトル分布の相違により沸騰を検知する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開昭60−198082号公報(第1図、第3図、第3頁左下欄第18行〜第5頁右上欄第2行) 特開2001−351771号公報(図2、段落0026〜0028) 特開2006−278099号公報(図2、段落0027) 特開昭61−233988号公報(第2図、第2頁右下欄第2行〜第3頁左上欄第4行)
特許文献1に示される従来例では、ソフトスタートで負荷判定を行っているため、判定に時間がかかり、瞬時に誘導加熱を開始することができないという問題があった。
また、特許文献2に示される従来例では、温度センサの変化により鍋底の反り量を判定するので、判定が完了するまでは温度がオーバーシュートしないようにパワーを抑えて加熱するので加熱に時間がかかる。また、温度の時間的変化(加速度)から鍋底の反り量を推定する為、周囲の温度環境の影響を受け易く正確な鍋底の反り量判定が行えないという問題があった。
また、従来技術として、鍋載置位置を検出する物は無い場合には、加熱コイルに対して鍋がずれた位置で置かれた場合、加熱コイルの発生した磁界が鍋と交わらないので、加熱効率が低下するという問題があった。
また、特許文献3に示される従来例では、温度勾配によりふきこぼれを検知する為、検出に時間がかかりふきこぼれ量が大きくなってしまうという問題があった。
また、特許文献4に示される従来例では、振動周波数は鍋の固有振動数により変わるため、検出周波数を広く取る必要があり誤動作も多いという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、誘導加熱開始までの時間を短縮するとともに小物、鍋の位置ずれ、鍋底の反り、沸騰、ふきこぼれなどを正確に検出して加熱停止や警報出力などの制御を行う誘導加熱調理器を得ることを目的とする。
本発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、このトッププレートの下に設けられ、前記鍋を加熱する加熱コイルと、交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、前記トッププレートの下に設けられた複数の電極と、各電極と所定電位との間の静電容量を計測する静電容量測定手段と、を備え、前記制御回路は、前記静電容量測定手段の計測結果に基づき前記鍋の反り量を推定するものである。
この発明によれば、制御回路は、加熱コイルを横断するように前記加熱コイルと非接触で配置された複数の電極と、各電極と所定電位との間の静電容量の計測結果に基づき鍋の大きさを判定するようにしたので、鍋の大きさに応じた制御を行うことが可能になる。
本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。 図1の加熱コイル部分を横から見た図である。 本発明の実施の形態1における電極3とGNDあるいは鍋との間の距離と面積の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1における複数の電極3と各電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1におけるトッププレート上における個々の電極3配置を示す要部平面図である。 本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態2における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態3における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態3における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態4における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態4における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態5における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施の形態5における静電容量の時間的変化を表すグラフである。 本発明の実施の形態6における静電容量の微分値の時間的変化を表すグラフである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、誘導加熱装置1は、加熱コイル2と、加熱コイル中心部と加熱コイル間と加熱コイル外周に設置した電極3と、交流電源4の交流電圧を高周波電圧に変換して加熱コイル2を駆動するための駆動回路5と、駆動回路4を制御するための制御回路6と、電極3とトッププレート載置物との間の静電容量を測定する静電容量測定回路7(静電容量測定手段)とを備えている。
また、図2は、図1の加熱コイル部分を横から見た図である。図2において、トッププレート8の上に、調理器具として鍋9が載置され、トッププレート8の下に複数の電極3が加熱コイルの渦の間に設置されている。次に、本発明の実施の形態1について図1および図2を用いて説明する。静電容量測定回路7は、電極3と所定電位例えばアース電位(以下、GNDとも呼ぶ)間の静電容量(寄生容量)を計測する。
また、図3は、本発明の実施の形態1における電極3とGNDあるいは鍋との間の距離と面積の関係を示す図である。
また、図4は、本発明の実施の形態1における複数の電極3と各電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。ここでは、図1に示すように配列された5つの電極3に対応する第1〜第5の電極3の静電容量が示されている。
また、図5は、本発明の実施の形態1におけるトッププレート上における個々の電極3配置を示す要部平面図である。
次に、実施の形態1について図1〜図5を用いて説明する。
図3に示すように、面積Aの電極3とGNDとの間の比誘電率(主に空気)をKとし、その距離をdとし、真空の誘電率をε0とする。
鍋が無い場合、静電容量Cは、
C=K×ε0×A/d
となる。鍋が載置された場合、距離dの間に面積nA(nは1より大きい実数)の電極が挟まれることになる。このときの静電容量Cは電極と鍋間の静電容量をC1とすると、
C1=K×ε0×A/d1、
鍋と所定電位間の静電容量をC2とすると、
C2=K×ε0×nA/d2
となり、
C=C1×C2/(C1+C2)=K×ε0×A/(d1+d2/n)
となる。ここで、n>1である為、(d1+d2/n)<dとなり、鍋を載置すると静電容量Cは大きくなる。
従って、無負荷の状態では、電極3とGND間の静電容量は図4(a)に示すように小さく、鍋9を載置すると図4(c)に示すように静電容量は大きくなる。また、スプーンやフォークなどの小物を置いた場合には、置いた付近の電極とGND間の静電容量のみが図4(b)に示すように大きくなり、それ以外は無負荷時の静電容量のままとなる。よって、静電容量が大きい電極の数を調べることにより、トッププレートに載置されたものが鍋か小物か、それとも無負荷かの判定が可能となる。
制御回路6は、静電容量測定回路7によって計測された各電極3と所定電位または鍋9との間の静電容量を受け取り、相対比較する。そして、この相対比較により所定値(図4の例では、所定値を120とする)より大きい静電容量を検出した互いに隣接する電極3の数が所定の数(例えば、図4の例では、第1〜第5の5個の電極3の内、所定の数を3個とする)よりも多いと、底面積が広い鍋が載置されたと判定し、即座に駆動回路5の駆動を開始する。例えば、図4(c)の例では、第1〜第5の全ての電極3の静電容量が120より大きいので、制御回路6は、底面積が広い鍋が載置されたと判定する。この場合、駆動回路5の駆動開始に際して時間のかかるソフトスタートのプロセスが無いため、従来よりも誘導加熱開始までの時間を短縮できる。また、スプーンやフォークなどの小物がトッププレート上に載置された場合、制御回路6は、高い静電容量を検出した電極3の数が所定の数よりも少ない(例えば、図4(b)の例では、第1〜第5の電極3の内、静電容量が高いものは第3の電極3のみである)場合には、表面積が狭い小物が載置されたと判定し、駆動回路5の動作を禁止する。
また、左右に2個の加熱コイルを持つ誘導加熱調理器においては、電極3の配置を奥側の電極3が手前よりも狭まるように配置する。このように配置する理由は、以下の通りである。調理を行う者は、操作し易さの観点から手前は広く周囲または奥は狭い所に物を置く傾向が高いため、このような位置に電極を配置すると、電極3を前方も奥も同様に配置した場合より鍋9の位置ずれを正確に検出することができる。
以上のように、この実施の形態1によれば、静電容量の大小により負荷判定を行うことができる。また、電極は複数個設置し、各電極と所定電位間の静電容量の相対比較により鍋または小物の載置を判定するので、鍋検知または小物検知が可能となる。さらに、複数個の電極は、加熱コイル中心部、加熱コイル間、加熱コイル外側の加熱コイル直径方向に分散して配置するので、鍋検知または小物検知を確実に行える。また、制御回路は、鍋の載置を検知するとソフトスタートを介さず即座に誘導加熱を開始する為、誘導加熱開始までの時間を短縮できる。また、前記制御回路は、小物が載置されたと判定すると、駆動回路の動作を禁止するので、無駄な電力を消費しないで済む。
また、鍋は操作部がある手前や左右の縁方向よりも広いスペースを持つ内側や奥側に置かれる可能性が高い。電極を奥側の電極が手前よりも狭まるように配置することでずれて置かれた場合も確実に検出することができる。
実施の形態2.
この実施の形態2では、鍋底の反り量を測定し、加熱制御する形態について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、図2と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。温度センサ11はトッププレートの下に加熱コイルの渦の間に設置される。
また、図7は、本発明の実施の形態2における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
次に、実施の形態2について図6と図7を用いて説明する。実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
制御回路6は、温度センサ11の値が所定値になるように駆動回路を制御する。静電容量測定回路7は、各電極3と鍋9との間の静電容量を計測する。図6に示すように鍋の底面が反っている場合、各電極の鍋との間の静電容量については、鍋底の反り量が大きい部分では比誘電率が小さい空気層が形成される為、静電容量は小さくなる(図7)。また、空気層がある場合、温度センサ11の検出値も鍋9の実際の温度よりも低い値を示す。制御回路6は静電容量測定回路7が検出した各電極における静電容量を相対比較して鍋底の反り量を決定し、鍋底の反り量に応じた温度差を換算し、この温度差に基づいて温度センサ11の検出値を補正して鍋温度を判定する。例えば、静電容量から換算した鍋底の反り量が5mmと判定した場合には、温度センサ11の値よりも鍋自体の温度は、所定値A度高いと推定されるので、所定値A度を加算したものを鍋温度と判定して駆動回路の制御を行う。なお、鍋底の反り量から温度差を換算する場合には、予め決められた数式を用いて算出することもできるし、事前の学習によって鍋底の反り量と温度差との対応表を作成しておき、この対応表を用いることで鍋底の反り量に対応した温度差を推定することも可能である。
この実施の形態2によれば、検出した静電容量により鍋底の反り量を判定し、この鍋底の反り量に基づいて鍋温度を補正して駆動回路の制御を行うので、加熱時間を短縮できる。また、電極は複数個設置し、各電極と所定電位間の静電容量の相対比較により鍋底の反り量を判定するので、正確な判定が可能となる。さらに、複数個の電極は、加熱コイル中心部、加熱コイル間、加熱コイル外側の加熱コイル直径方向に分散して配置するので、更に正確な判定が行える。
実施の形態3.
実施の形態3では、警報手段を備えた形態について説明する。
図8は、本発明の実施の形態3における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、図2と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略し、異なる部分について説明する。警報手段12は、例えば操作部10に設けられ、制御回路6に接続される。
また、図9は、本発明の実施の形態3における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
次に、実施の形態3について図8と図9を用いて説明する。実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
加熱コイル2に対して鍋9がずれた位置で置かれた場合、各電極3と鍋9との間の静電容量は図9に示すような偏ったものとなる。この場合、制御回路6は鍋9が偏って置かれていると判定し、警報手段12にその旨のメッセージを表示したり音声出力したりすることで、使用者の注意を喚起して鍋位置の修正などの対応を促す。
このように、鍋がずれて置かれている場合、使用者に警報で鍋の位置ずれを通知するので、使用者は鍋位置を修正することができる。そして、使用者によって鍋位置が修正されると、加熱コイルから発生した磁界は、鍋と交わるので加熱効率のよい誘導加熱調理器となる。
実施の形態4.
この実施の形態4では、内側と外側に2分割された加熱コイルを個別に駆動する形態について説明する。
図10は、本発明の実施の形態4における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、加熱コイル2を除いて図1と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。加熱コイルは、内側2aと外側2bに2分割されており、駆動回路5はそれぞれの加熱コイル2a、2bを個別に駆動できる。
また、図11は、本発明の実施の形態4における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
次に、この実施の形態4について図10と図11を用いて説明する。実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
大鍋が載置された場合には、全ての電極と鍋間の静電容量が大きくなるため、大鍋と判定できる。小鍋の場合には、外側に設置した電極には鍋がかからないので、外側の電極の静電容量は小さいままである。これにより、大鍋と小鍋を判別できる。
制御回路6は、静電容量測定回路7によって計測された各電極3と所定電位または鍋9との間の静電容量を受け取り、相対比較する。そして、この相対比較によりすべての電極3が高い静電容量を検出すると、底面積が非常に広い大鍋が載置されたと判定し、内側の加熱コイル2aと外側の加熱コイル2bの双方を動作させるように即座に駆動回路6の駆動を開始する。
また、小鍋がトッププレート8に載置されたときには、外側の加熱コイル2bを駆動させてもこの外側加熱コイル2bから発生した磁界は鍋9と交差しないため無駄になってしまう。そこで、制御回路6は、相対比較の結果、一部の電極3が低い静電容量を検出すると、底面積が狭い小鍋が載置されたと判定し、内側の加熱コイル2aのみを駆動し、外側の加熱コイル2bの駆動を停止するように駆動回路5を制御する。
本実施の形態4によれば、以上のようにトッププレート8に載置された鍋が大鍋か小鍋かを識別でき、小鍋の時は外側加熱コイルの駆動を停止させるので、無駄な電力を使わず効率の良い誘導加熱調理器を提供できる。
実施の形態5.
この実施の形態5では、ふきこぼれを検出する形態について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、電極3を除いて図1と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。複数の電極3は加熱コイル2の外周に同心円状に配置される。
また、図13は、本発明の実施の形態5における静電容量の時間的変化を表すグラフである。
次に、この実施の形態5について図12と図13を用いて説明する。実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
複数の電極は、前記加熱コイルの外側に同心円状に分散して配置することにより、鍋の周囲を全部監視できる。よって、鍋の周縁のどの部分からふきこぼれが発生しても前記加熱コイルの外側の同心円状に配置された複数の電極の少なくとも1つと所定電位との間の静電容量が増加した場合にふきこぼれと判定するので、ふきこぼれを正確に検出できる。
ふきこぼれが無い状態では、電極3と鍋9との間には主に比誘電率1の空気が存在するが、ふきこぼれが発生すると比誘電率80の水が入ってくる為、静電容量は急増する。そこで、静電容量の急増の有無を調べることで、ふきこぼれの検出が可能になる。
制御回路6は、静電容量測定回路7が検出した静電容量常時または定期的に基準値を超えたか否かを調べ、例えば、所定の遅れ時間だけ記憶する記憶手段をディレイ回路と比較回路で構成し、この記憶手段によって、前回の静電容量と今回の静電容量とを比較回路に入力させて差分電圧を出力させ、この差分電圧と電圧を分圧して構成した基準電圧とを比較回路に入力させて、出力が正の電圧か否かで静電容量が急増したか否かを判定する。
そして、制御回路6は静電容量が急増した場合には、ふきこぼれが発生したと判断して駆動回路5の動作を停止させるか、または加熱コイル2に流す電流を減らすように駆動回路5を制御する。また、通常ふきこぼれは鍋内容物の温度が高温時に発生するので、加熱開始から所定時間または、温度センサの値が所定値に到達するまではふきこぼれの検出を禁止する。
本実施の形態5によれば、以上のように静電容量の変化によりふきこぼれが直ちに分かり停止するので、ふきこぼれ量を最小限に抑えることが出来る。また、ふきこぼれが発生しない加熱開始から所定時間または、温度センサの値が所定値に到達するまではふきこぼれ検出を禁止するので、誤動作を防止できる。
実施の形態6.
この実施の形態6では、沸騰を検出する形態について説明する。
図1および図3はこの実施の形態6でも使用される。
また、図14は、本発明の実施の形態6における静電容量の微分値の時間的変化を表すグラフであり、図1に示すような構成にて、電極の1つの沸騰時の微分値の動作を示している。
次に、この実施の形態6について図14を用いて説明する。
図14に示すように、沸騰時は鍋の振動により、図3に示す、電極3と鍋9との間の距離d1が変わるため、静電容量を時間で微分した微分値は判定値以上で変動する。そこで、静電容量の微分値が判定値以上か否かを調べることで、沸騰か否かを判定することができる。
制御回路6は静電容量測定手段7が測定した電極3と鍋9との間の静電容量の微分値と判定値とを比較し、静電容量の微分値(時間による微分値)が判定値以上となる変動が所定時間以上連続したした場合には、沸騰が発生していると判定して、駆動回路5の動作を停止させるか、または加熱コイル2に流す電流を減らすように駆動回路5を制御する。
本実施の形態6によれば、以上のように振動によるトッププレートと鍋の距離の時間軸上での変化によって発生する静電容量の変化で沸騰を検知するので、鍋の固有振動数の影響が少なく誤動作を防止できる。また、沸騰が発生しない加熱開始から所定時間または、温度センサの値が所定値に到達するまでは沸騰検出を禁止するので、誤動作を防止できる。
実施の形態7.
この実施の形態7では、静電容量の計測タイミングについて説明する。
静電容量測定回路7の静電容量の計測は、加熱コイル2に電流が殆ど流れないか全く流れないときに実施することが好ましい。従って、静電容量の計測は、加熱コイル2に電流の流す前の停止状態で行うか、または、駆動回路を停止して加熱コイルに電流が流れていない停止状態で行うか、または、交流電圧のゼロクロス付近の加熱コイル電流が少ない部分で実施する。
この実施の形態7によれば、以上のように、駆動回路を停止するか、電流の少ない交流ゼロクロス付近で静電容量の測定を行うのでノイズによる誤検出を防止できる。
実施の形態8.
この実施の形態8では、電極の材質について説明する。
電極は非磁性材で構成することが好ましく、さらに非磁性材であるアルミ材質で形成することが好ましい。
このようにアルミ材質を用いると、アルミは低抵抗で比透磁率も低い金属である為、加熱コイルから発生する磁界を受けても発熱を少なく抑えることができる。
実施の形態9.
この実施の形態9では、静電容量の測定に際して、電極3と所定電位との間に高周波電圧を印加し、その印加電圧の減衰レベルにより静電容量の測定を行うICを使用する。
これにより、高周波電圧の周波数をf、容量をCとするとインピーダンスは1/2πfCとなり、容量の増加に伴い、容量の大きさに反比例してインピーダンスが小さくなるため、高周波電圧は減衰する。この減衰量を測定することで簡単に静電容量を瞬時に検出できる。
実施の形態10.
また、所定電位の電位はGNDとする。
このように、GNDは最も安定した電位であり、電極とGND間の静電容量を測定することにより、静電容量の計測誤差を少なく出来る。
なお、以上の説明では、制御回路6を回路として説明したが、マイコンを用いてもよいことはいうまでもない。
1 誘導加熱装置、2 加熱コイル、2a 加熱コイル、2b 加熱コイル、3 電極、4 交流電源、5 駆動回路、6 制御回路、7 静電容量測定回路、8 トッププレート、9 鍋、10 操作部、11 温度センサ、12 警報手段。

Claims (12)

  1. 鍋を載置するトッププレートと、
    このトッププレートの下に設けられ、前記鍋を加熱する加熱コイルと、
    交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、
    前記駆動回路を制御する制御回路と、
    前記トッププレートの下に設けられた複数の電極と、
    各電極と所定電位との間の静電容量を計測する静電容量測定手段と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記静電容量測定手段の計測結果に基づき前記鍋の反り量を推定することを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 前記トッププレートを介して載置された鍋の温度を間接的に計測する温度センサを備え、
    前記制御回路は、鍋の反り量に応じて前記温度センサの出力値を補正することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記制御回路は、各電極と前記所定電位との間の静電容量の相対比較により鍋が載置されたか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記トッププレートは、少なくとも前面に操作部を有し、
    前記加熱コイルは左右に1つずつ設けられ、
    前記複数の電極は、各加熱コイルを横断するように配置され、一方の前記加熱コイルに配置された複数の電極と、他方の前記加熱コイルに配置され、これらの電極に左右方向で対向する複数の電極との距離が前記操作部から見て手前よりも奥側が狭まることを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱調理器。
  5. 前記電極は、前記加熱コイルの中心部、前記加熱コイル間、前記加熱コイルの外側に分散して配置されることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
  6. 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、前記加熱コイル駆動前の停止状態時に行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  7. 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、前記駆動回路を停止して前記加熱コイルに電流が流れていない停止状態で行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  8. 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、交流電圧のゼロクロス付近の前記加熱コイルを流れる電流が少ないときに実施することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  9. 前記電極は非磁性材で構成されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  10. 前記電極の非磁性材料は、アルミ材質であることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱調理器。
  11. 前記静電容量測定手段は、前記複数の電極と所定電位との間に高周波電圧を印加し、その印加電圧の減衰レベルにより前記複数の電極の静電容量を測定するICを使用することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  12. 前記所定電位はアース電位であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
JP2012139857A 2012-06-21 2012-06-21 誘導加熱調理器 Active JP5506868B2 (ja)

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