JP5506868B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
ところで、誘導加熱調理器の第1の従来技術として、インバータ発振開始時インバータ内のスイッチング素子のON期間を短くし、このON期間を徐々に増加させて行き、発振開始時の急激な入力の立ち上がりによって発生する起動音を無くすソフトスタートを行なった後、インバータへの入力電力を検知し、この入力電力に基づいて負荷判定を従来より正確にかつ安全に行い、ナイフやフォークなどの小物負荷、または無負荷の時はインバータの駆動を停止させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、第3の従来技術として温度センサによって検知された温度に基づいて沸騰やふきこぼれや鍋ずれを判定する方法が開示されている。即ち、温度センサによって検知された温度が所定値以内である連続時間が所定時間に達した場合に、沸騰と判定し、上記温度センサによって検知された温度の増加する勾配が一定で、所定の時間経過後温度勾配が急激に増加し、その後は温度が一定になれば、ふきこぼれであると判定し、その途中で急激に温度勾配が増加し直後に急激に下がれば、鍋ずれであると判定する(例えば、特許文献3参照)。
また、第4の従来技術として、鍋内の水が沸騰した時に発生する振動のスペクトル分布の相違により沸騰を検知する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、特許文献2に示される従来例では、温度センサの変化により鍋底の反り量を判定するので、判定が完了するまでは温度がオーバーシュートしないようにパワーを抑えて加熱するので加熱に時間がかかる。また、温度の時間的変化(加速度)から鍋底の反り量を推定する為、周囲の温度環境の影響を受け易く正確な鍋底の反り量判定が行えないという問題があった。
また、従来技術として、鍋載置位置を検出する物は無い場合には、加熱コイルに対して鍋がずれた位置で置かれた場合、加熱コイルの発生した磁界が鍋と交わらないので、加熱効率が低下するという問題があった。
また、特許文献3に示される従来例では、温度勾配によりふきこぼれを検知する為、検出に時間がかかりふきこぼれ量が大きくなってしまうという問題があった。
また、特許文献4に示される従来例では、振動周波数は鍋の固有振動数により変わるため、検出周波数を広く取る必要があり誤動作も多いという問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、誘導加熱装置1は、加熱コイル2と、加熱コイル中心部と加熱コイル間と加熱コイル外周に設置した電極3と、交流電源4の交流電圧を高周波電圧に変換して加熱コイル2を駆動するための駆動回路5と、駆動回路4を制御するための制御回路6と、電極3とトッププレート載置物との間の静電容量を測定する静電容量測定回路7(静電容量測定手段)とを備えている。
また、図4は、本発明の実施の形態1における複数の電極3と各電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。ここでは、図1に示すように配列された5つの電極3に対応する第1〜第5の電極3の静電容量が示されている。
また、図5は、本発明の実施の形態1におけるトッププレート上における個々の電極3配置を示す要部平面図である。
図3に示すように、面積Aの電極3とGNDとの間の比誘電率(主に空気)をKとし、その距離をdとし、真空の誘電率をε0とする。
鍋が無い場合、静電容量Cは、
C=K×ε0×A/d
となる。鍋が載置された場合、距離dの間に面積nA(nは1より大きい実数)の電極が挟まれることになる。このときの静電容量Cは電極と鍋間の静電容量をC1とすると、
C1=K×ε0×A/d1、
鍋と所定電位間の静電容量をC2とすると、
C2=K×ε0×nA/d2
となり、
C=C1×C2/(C1+C2)=K×ε0×A/(d1+d2/n)
となる。ここで、n>1である為、(d1+d2/n)<dとなり、鍋を載置すると静電容量Cは大きくなる。
また、鍋は操作部がある手前や左右の縁方向よりも広いスペースを持つ内側や奥側に置かれる可能性が高い。電極を奥側の電極が手前よりも狭まるように配置することでずれて置かれた場合も確実に検出することができる。
この実施の形態2では、鍋底の反り量を測定し、加熱制御する形態について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、図2と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。温度センサ11はトッププレートの下に加熱コイルの渦の間に設置される。
また、図7は、本発明の実施の形態2における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
次に、実施の形態2について図6と図7を用いて説明する。実施の形態1と同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
実施の形態3では、警報手段を備えた形態について説明する。
図8は、本発明の実施の形態3における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、図2と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略し、異なる部分について説明する。警報手段12は、例えば操作部10に設けられ、制御回路6に接続される。
また、図9は、本発明の実施の形態3における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
加熱コイル2に対して鍋9がずれた位置で置かれた場合、各電極3と鍋9との間の静電容量は図9に示すような偏ったものとなる。この場合、制御回路6は鍋9が偏って置かれていると判定し、警報手段12にその旨のメッセージを表示したり音声出力したりすることで、使用者の注意を喚起して鍋位置の修正などの対応を促す。
この実施の形態4では、内側と外側に2分割された加熱コイルを個別に駆動する形態について説明する。
図10は、本発明の実施の形態4における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、加熱コイル2を除いて図1と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。加熱コイルは、内側2aと外側2bに2分割されており、駆動回路5はそれぞれの加熱コイル2a、2bを個別に駆動できる。
また、図11は、本発明の実施の形態4における複数の電極3と個々の電極3によって検知される静電容量との関係を示すグラフである。
大鍋が載置された場合には、全ての電極と鍋間の静電容量が大きくなるため、大鍋と判定できる。小鍋の場合には、外側に設置した電極には鍋がかからないので、外側の電極の静電容量は小さいままである。これにより、大鍋と小鍋を判別できる。
また、小鍋がトッププレート8に載置されたときには、外側の加熱コイル2bを駆動させてもこの外側加熱コイル2bから発生した磁界は鍋9と交差しないため無駄になってしまう。そこで、制御回路6は、相対比較の結果、一部の電極3が低い静電容量を検出すると、底面積が狭い小鍋が載置されたと判定し、内側の加熱コイル2aのみを駆動し、外側の加熱コイル2bの駆動を停止するように駆動回路5を制御する。
この実施の形態5では、ふきこぼれを検出する形態について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5における誘導加熱装置の概略構成を示す説明図である。同図において、電極3を除いて図1と同符号は同一または相当部分を示すので、説明を省略する。複数の電極3は加熱コイル2の外周に同心円状に配置される。
また、図13は、本発明の実施の形態5における静電容量の時間的変化を表すグラフである。
複数の電極は、前記加熱コイルの外側に同心円状に分散して配置することにより、鍋の周囲を全部監視できる。よって、鍋の周縁のどの部分からふきこぼれが発生しても前記加熱コイルの外側の同心円状に配置された複数の電極の少なくとも1つと所定電位との間の静電容量が増加した場合にふきこぼれと判定するので、ふきこぼれを正確に検出できる。
ふきこぼれが無い状態では、電極3と鍋9との間には主に比誘電率1の空気が存在するが、ふきこぼれが発生すると比誘電率80の水が入ってくる為、静電容量は急増する。そこで、静電容量の急増の有無を調べることで、ふきこぼれの検出が可能になる。
そして、制御回路6は静電容量が急増した場合には、ふきこぼれが発生したと判断して駆動回路5の動作を停止させるか、または加熱コイル2に流す電流を減らすように駆動回路5を制御する。また、通常ふきこぼれは鍋内容物の温度が高温時に発生するので、加熱開始から所定時間または、温度センサの値が所定値に到達するまではふきこぼれの検出を禁止する。
この実施の形態6では、沸騰を検出する形態について説明する。
図1および図3はこの実施の形態6でも使用される。
また、図14は、本発明の実施の形態6における静電容量の微分値の時間的変化を表すグラフであり、図1に示すような構成にて、電極の1つの沸騰時の微分値の動作を示している。
次に、この実施の形態6について図14を用いて説明する。
図14に示すように、沸騰時は鍋の振動により、図3に示す、電極3と鍋9との間の距離d1が変わるため、静電容量を時間で微分した微分値は判定値以上で変動する。そこで、静電容量の微分値が判定値以上か否かを調べることで、沸騰か否かを判定することができる。
この実施の形態7では、静電容量の計測タイミングについて説明する。
静電容量測定回路7の静電容量の計測は、加熱コイル2に電流が殆ど流れないか全く流れないときに実施することが好ましい。従って、静電容量の計測は、加熱コイル2に電流の流す前の停止状態で行うか、または、駆動回路を停止して加熱コイルに電流が流れていない停止状態で行うか、または、交流電圧のゼロクロス付近の加熱コイル電流が少ない部分で実施する。
この実施の形態8では、電極の材質について説明する。
電極は非磁性材で構成することが好ましく、さらに非磁性材であるアルミ材質で形成することが好ましい。
このようにアルミ材質を用いると、アルミは低抵抗で比透磁率も低い金属である為、加熱コイルから発生する磁界を受けても発熱を少なく抑えることができる。
この実施の形態9では、静電容量の測定に際して、電極3と所定電位との間に高周波電圧を印加し、その印加電圧の減衰レベルにより静電容量の測定を行うICを使用する。
これにより、高周波電圧の周波数をf、容量をCとするとインピーダンスは1/2πfCとなり、容量の増加に伴い、容量の大きさに反比例してインピーダンスが小さくなるため、高周波電圧は減衰する。この減衰量を測定することで簡単に静電容量を瞬時に検出できる。
また、所定電位の電位はGNDとする。
このように、GNDは最も安定した電位であり、電極とGND間の静電容量を測定することにより、静電容量の計測誤差を少なく出来る。
Claims (12)
- 鍋を載置するトッププレートと、
このトッププレートの下に設けられ、前記鍋を加熱する加熱コイルと、
交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御回路と、
前記トッププレートの下に設けられた複数の電極と、
各電極と所定電位との間の静電容量を計測する静電容量測定手段と、
を備え、
前記制御回路は、前記静電容量測定手段の計測結果に基づき前記鍋の反り量を推定することを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記トッププレートを介して載置された鍋の温度を間接的に計測する温度センサを備え、
前記制御回路は、鍋の反り量に応じて前記温度センサの出力値を補正することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御回路は、各電極と前記所定電位との間の静電容量の相対比較により鍋が載置されたか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記トッププレートは、少なくとも前面に操作部を有し、
前記加熱コイルは左右に1つずつ設けられ、
前記複数の電極は、各加熱コイルを横断するように配置され、一方の前記加熱コイルに配置された複数の電極と、他方の前記加熱コイルに配置され、これらの電極に左右方向で対向する複数の電極との距離が前記操作部から見て手前よりも奥側が狭まることを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱調理器。 - 前記電極は、前記加熱コイルの中心部、前記加熱コイル間、前記加熱コイルの外側に分散して配置されることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、前記加熱コイル駆動前の停止状態時に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、前記駆動回路を停止して前記加熱コイルに電流が流れていない停止状態で行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記静電容量測定手段は、静電容量の計測を、交流電圧のゼロクロス付近の前記加熱コイルを流れる電流が少ないときに実施することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記電極は非磁性材で構成されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記電極の非磁性材料は、アルミ材質であることを特徴とする請求項9に記載の誘導加熱調理器。
- 前記静電容量測定手段は、前記複数の電極と所定電位との間に高周波電圧を印加し、その印加電圧の減衰レベルにより前記複数の電極の静電容量を測定するICを使用することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記所定電位はアース電位であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
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