JP5213992B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

この発明は、加熱コイル周囲に設置された電極と所定電位間の静電容量の変化からふきこぼれを検知する誘導加熱調理器に関するものである。
従来のふきこぼれを検知する誘導加熱調理器の例として、加熱コイル周囲に設置された電極と所定電位間の静電容量の変化からふきこぼれ発生を判定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−159494号公報(第1図)
従来のふきこぼれを検知する誘導加熱調理器では、加熱コイルから発生する磁束により電極にノイズが重畳され、静電容量検知手段が誤動作する可能性があった。更に、ふきこぼれにより、静電容量式の操作スイッチが誤動作して、ふきこぼれにより加熱停止や投入電力低下状態が解除されてしまう課題があった。
本発明に係る誘導加熱調理器は、鍋を載置するトッププレートと、前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋を加熱する複数の加熱コイルと、交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、所定の電力になるように前記駆動回路を制御する制御回路と、前記複数の加熱コイルの各々の近傍に設けられた電極と、前記電極の静電容量を計測する静電容量測定手段とを備え、前記静電容量測定手段は、前記加熱コイルの駆動の有無に関わらず、静電容量を測定し、電極に対応した加熱コイルが停止中に静電容量が所定値以上の変化した場合は、隣接した駆動中の加熱コイルにふきこぼれが発生したと判定して、隣接する駆動中の加熱コイルの駆動を停止するか、投入電力を下げるものである。
少ない電極数で、ふきこぼれの発生の有無、ふきこぼれが発生している加熱口の特定ができるので、コストの安いふきこぼれ検知手段を提供できる。
実施の形態1を示す誘導加熱調理器の1つの加熱口を示すブロック図。 実施の形態1を示す誘導加熱調理器の上面図。 実施の形態1のふきこぼれ判定値を示すグラフ。 実施の形態2を示す誘導加熱調理器の上面図。 実施の形態3を示す誘導加熱調理器の上面図。 実施の形態4を示す誘導加熱調理器の1つの加熱口を示すブロック図。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における複数の加熱口を備えた誘導加熱調理器において1つの加熱口を示すブロック図である。図1において、誘導加熱調理器1は、加熱コイル2と、加熱コイル外周に設置した電極3と、交流電源4の交流電圧を高周波電圧に変換して加熱コイル2を駆動するための駆動回路5と、駆動回路5を制御するための制御回路6と、電極3と所定電位間の静電容量を測定する静電容量測定回路7(静電容量測定手段)とを備えている。トッププレート8の上に、調理器具として鍋9が載置され、静電容量測定回路7は、電極3と所定電位例えばアース電位(以下、GNDとも呼ぶ)間の静電容量(寄生容量)を計測する。
ふきこぼれが無い状態では、電極3とGNDとの間には主に比誘電率1の空気が存在するが、ふきこぼれが発生すると比誘電率80の水が入ってくる為、静電容量は急増する。そこで、静電容量が所定時間内に所定値以上変化した場合、または、所定値以上となった場合の有無を調べることで、ふきこぼれの検出が可能になる。静電容量測定回路7は電極3とGNDとの間に交流電圧を印加する。印加した交流電圧は静電容量が大きいと振幅が小さくなり、その振幅の減衰量から静電容量を計測する。
なお、静電容量測定回路7は電極3とGNDとの間の静電容量を計測したが、2つの電極で構成し、その電極間の静電容量を計測しても良い。
図2は、実施の形態1を示す誘導加熱調理器の上面図である。図2において加熱コイル2は2a、2b、2cの3個の加熱コイルがトッププレート8の下に設置されている。さらに、加熱コイル2aの近傍には電極3aが、加熱コイル2bの近傍には電極3bが、加熱コイル2cの近傍には電極3cが設置されている。
図3は、ふきこぼれの判定値を示すグラフの一例である。制御回路6には図3に示すグラフが記憶されている。例えば、加熱コイル2aが駆動中は、加熱コイル2aへの投入電力に応じて、ふきこぼれの判定値を図3より読み込み、静電容量測定回路7で測定した電極3aの静電容量が、それ以上であれば、加熱コイル2aにおいてふきこぼれが発生していると判定して、加熱コイル2aを停止させるか、投入電力を下げる。同様に、加熱コイル2bが駆動中は、2bの投入電力に応じて、ふきこぼれの判定値を図3より読み込み、静電容量測定回路7で測定した電極3bの静電容量が、それ以上であれば、加熱コイル2bにおいてふきこぼれが発生していると判定して、加熱コイル2bを停止させるか、投入電力を下げる。
ふきこぼれが発生したと判断した場合は、駆動回路5の動作を停止させるか、または加熱コイル2の投入電力を減らすように駆動回路5を制御することで、無駄な電力を使わずに済み、また、トッププレート8がふきこぼれた内容物で汚れるのを最小限にできる誘導加熱調理器を提供できる。また、加熱コイルから発生する磁束により電極にノイズが重畳され、ふきこぼれが発生しなくても、静電容量検知手段の出力は増加するが、判定値を投入電力に応じてあげることで、投入電力が大きくてもふきこぼれを確実に検知でき、使い勝手の良い誘導加熱調理器を提供できる。
なお、図3においては、低火力時はふきこぼれ判定値が一定だが、これは低火力時はノイズの影響をそれほど考慮しなくても良いためであり、より精度良くふきこぼれを検知するために低火力時からふきこぼれ判定値を上げてもかまわない。
なお、本実施の形態では、投入電力によりふきこぼれ判定値を上げているが、ふきこぼれを所定時間内の静電容量の変化量で検知する場合は、変化量を投入電力に応じて上げることで同様の効果がある。
実施の形態2.
図4は、実施の形態2を示す誘導加熱調理器の上面図である。図4において加熱コイル2a、2b、2cの3個の加熱コイルがトッププレート8の下に設置されている。さらに、加熱コイル2aの近傍には電極3aが、加熱コイル2bの近傍には電極3bが、加熱コイル2cの近傍には電極3cが設置されている。10aは加熱コイル2aの操作を行なう静電容量式スイッチ部で、10a1は加熱コイル2aへの給電を停止する機能を有するスイッチである。同様に10bは加熱コイル2bの操作を行なう静電容量式スイッチ部で、10b1は加熱コイル2bへの給電を停止する機能を有するスイッチ、10cは加熱コイル2cの操作を行なう静電容量式スイッチ部で、10c1は加熱コイル2cへの給電を停止する機能を有するスイッチである。また、11は誘導加熱調理器への給電を停止する機能を有するスイッチである。
各加熱コイル近傍に設置された電極3a、3b、3cの静電容量測定手段を備え、静電容量によりふきこぼれを検知する。検知する方式については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
静電容量式スイッチ部10a、10b、10cは、トッププレートに投入電力の増減、タイマー操作などの機能が印字されており、印字部分の静電容量の変化により使用者の指令を検知する検知部(図示せず)を持ち、検知部は、検知結果に基づき制御回路6へ制御信号を伝達し、加熱コイル2a、2b、2cを制御する。
静電容量により加熱コイル2aのふきこぼれを検知した場合は、制御回路6は、加熱コイル2aの操作部である10aの操作スイッチのオンオフ状態に関わらず、加熱コイル2aの投入電力を停止するか、投入電力を下げる。但し、加熱コイル2aへの給電を停止する機能を有するスイッチ10a1の操作は受け付ける。同様に、加熱コイル2cのふきこぼれを検知した場合は、制御回路6は、加熱コイル2cの操作部である10cの操作スイッチのオンオフ状態に関わらず、加熱コイル2cの投入電力を停止するか、投入電力を下げる。但し、加熱コイル2cへの給電を停止する機能を有するスイッチ10c1の操作は受け付ける。また、誘導加熱調理器への給電を停止する機能を有するスイッチ11については、ふきこぼれが発生しても操作は受け付ける。
加熱コイル2aまたは2cでふきこぼれを検知した場合は、制御回路6は中央部の加熱コイル2bの操作を行なう操作部10bからの投入電力の増やす方向の操作を受け付けない。また、加熱コイル2a、2b、2cにおいて、ふきこぼれ検知後に制御回路6または操作スイッチにより加熱を停止した後に、再び加熱開始スイッチ操作が行なわれた場合は、ふきこぼれが解消されたと判断して加熱を開始する。
ふきこぼれが発生した場合、ふきこぼれが発生した加熱コイル近傍の静電容量式の操作スイッチが誤動作して、ふきこぼれにより加熱停止や投入電力低下状態が解除され、再びふきこぼれが発生してしまい、ふきこぼれによりトッププレートの汚れが拡大してしまうことを防止できる。また、給電を停止する機能を有するスイッチの操作は受け付けるようにしたので、使用者が加熱コイルを停止させることができるので、使い勝手の良い加熱調理器を提供できる。更に、加熱コイル2aまたは2cでふきこぼれを検知した場合は、中央部の加熱コイル2bの操作を行なう操作部10bからの投入電力の増やす方向の操作を受け付けないようにしたので、ふきこぼれによるスイッチの誤動作で、使用者の意図に反して投入電力が増えるのを防止でき安全性が確保できる。
実施の形態3.
図5は、実施の形態3を示す誘導加熱調理器の上面図である。
図5において加熱コイル2a、2b、2cの3個の加熱コイルがトッププレート8の下に設置されている。さらに、加熱コイル2aの近傍には電極3aが、加熱コイル2bの近傍には電極3b1と3b2が、加熱コイル2cの近傍には電極3cが設置されている。各電極の静電容量測定手段を備え、静電容量によりふきこぼれを検知する。検知する方式については、実施の形態1と同じであるため説明を省略する。
制御回路6は、加熱コイル2bが停止中で、かつ、加熱コイル2aを動作中に、加熱コイル近傍に配置した電極3aがふきこぼれを検知しない場合においても、加熱コイル2bの近傍に配置した電極3b1がふきこぼれを検知した場合は、ふきこぼれが加熱コイル2aの上に配置した鍋によるものと判定して、加熱コイル2aの動作を停止させるか、投入電力を下げる。同様に、加熱コイル2bが停止中で、かつ、加熱コイル2cを動作中に、加熱コイル近傍に配置した電極3cがふきこぼれを検知しない場合においても、加熱コイル2bの近傍に配置した電極3b2がふきこぼれを検知した場合は、ふきこぼれが加熱コイル2cの上に配置した鍋によるものと判定して、加熱コイル2cの動作を停止させるか、投入電力を下げる。
電極を備えていない側でふきこぼれが発生した場合でも、ふきこぼれの発生の有無、ふきこぼれが発生している加熱口の特定ができるので、コストの安いふきこぼれ検知手段を提供できる。
実施の形態4.
図6は、実施の形態4における複数の加熱口を備えた誘導加熱調理器において1つの加熱口を示す説明図である。図6において、誘導加熱調理器1は、加熱コイル2と、加熱コイル近傍に設置した電極3と、交流電源4の交流電圧を高周波電圧に変換して加熱コイル2を駆動するための駆動回路5と、駆動回路5を制御するための制御回路6と、電極3と所定電位間の静電容量を測定する静電容量測定回路7(静電容量測定手段)とを備えている。トッププレート8の上に、調理器具として鍋9が載置され、静電容量測定回路7は、電極3と所定電位例えばアース電位(以下、GNDとも呼ぶ)間の静電容量(寄生容量)を計測する。12は加熱コイル2を保持するコイルベースで、バネ構造13によりトッププレート8に押し付ける構造となっている。電極3はコイルベース12の加熱コイルより上側に取り付けられており、また、電極3と静電容量測定回路7とを接続する信号線14は信号を電気的に伝達する線の周囲を導電性を有する部材で覆ったシールド線により接続されている。
電極の取り付け部を加熱コイルベースとしたことで、安価にトッププレート下に電極を取り付けられる。また、電極とトッププレートの距離が一定に保たれるため、精度良くふきこぼれを検知できる。また、加熱コイルより上の位置に電極を設置することで、測定対象物の液体との距離が近くなり、精度良くふきこぼれを検知できる。
1 誘導加熱調理器、2 加熱コイル、3 電極、4 交流電源、5 駆動回路、6 制御回路、7 静電容量測定回路、8 トッププレート、9 鍋、10 操作部、11 スイッチ、12 コイルベース、13 バネ構造、14 信号線。

Claims (1)

  1. 鍋を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下に設けられ、前記鍋を加熱する複数の加熱コイルと、
    交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、
    所定の電力になるように前記駆動回路を制御する制御回路と、
    前記複数の加熱コイルの各々の近傍に設けられた電極と、
    前記電極の静電容量を計測する静電容量測定手段と
    を備え、
    前記静電容量測定手段は、前記加熱コイルの駆動の有無に関わらず、静電容量を測定し、電極に対応した加熱コイルが停止中に静電容量が所定値以上の変化した場合は、隣接した駆動中の加熱コイルにふきこぼれが発生したと判定して、隣接する駆動中の加熱コイルの駆動を停止するか、投入電力を下げることを特徴とする誘導加熱調理器。
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