JP5506715B2 - 太陽光発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、太陽光発電システムに関し、特に、太陽電池パネルにおける受光面の傾斜角度を任意に変化させることで、発電効率を高めることを可能にした太陽光発電システムに関するものである。
太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する太陽光発電システム(いわゆる「ソーラー発電」)が従来から知られている。これによれば、無尽蔵の自然エネルギーである太陽光を使い、また二酸化炭素も排出しないことから、エネルギー問題及び環境問題に貢献できる発電方式として注目されている。一般住宅においても、太陽電池パネルを屋根面に取付け、発電した電力を各家庭で使用したり、電力会社に送電したりすることが行われている。
ところで、住宅の屋根面やビルの屋上に太陽電池パネルを取付ける方法として、一般的には、建物自体に太陽電池パネルを直接固定する方法、または、建物に架台を取付け架台上に複数枚の太陽電池パネルを並べる方法が採用されている。
ところが、上記の取付方法は、いずれも太陽電池パネルの姿勢を一定に保持するものであり、発電効率の低下が問題となっていた。すなわち、太陽は、日の出から日の入りまで天球上を移動し、日射角度を時々刻々と変化させているのに対し、太陽電池パネルの姿勢は一定であるため、時刻によっては太陽光を効率的に受光することが困難となり、ひいては発電効率が低下していた。
そこで、発電効率を向上させるため、太陽電池パネルにおける受光面の傾きを太陽光に追尾させる構成を備えた発電システムが提案されている。具体的に、特許文献1には、太陽電池パネルを傾動させるためのモータを備えるとともに、太陽電池パネルの受光面に複数の光センサーと、該光センサーに対する入射光を局所化する遮光体とを備え、各光センサーの出力が等しくなるようにモータを駆動することで、太陽電池パネルの受光面を日射方向に向けるようにした発電システムが開示されている。
また、特許文献2には、太陽電池パネルを回動させるための駆動手段(詳しくはモータや油圧駆動装置)を備えるとともに、時刻情報及び日付情報を含む標準電波信号を受信し、時刻情報及び日付情報に基づいて駆動手段を制御することで、太陽電池パネルの受光面を日射方向に向けるようにした発電システムが開示されている。
しかし、これらの発電システムは、いずれも太陽電池パネルを傾動(または回動)させる駆動手段として、モータや油圧駆動装置を用いているため、駆動機構が複雑になるとともに、発電システム全体が大型化する傾向となっていた。また、太陽電池パネルを複数枚備える場合のように、太陽電池パネルの総重量が大きい場合には、大型のモータ等が必要となるため、それらの駆動電力が大きくなり、その分、発電エネルギーが消費され、発電効率が悪くなっていた。さらに、従来の発電システムによれば、太陽光に追尾させるために、複数の光センサーを備えたり、複雑な制御を行なうことから、低廉化することが困難となっていた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、太陽電池パネルの傾きを変化させる機構を、簡単で且つ安価に構成することができ、しかも傾きを変化させるのに必要な消費電力を大幅に低減することができる太陽光発電システムを提供することを課題とするものである。
本発明にかかる太陽光発電システムは、
「太陽光を受光し光エネルギーを電力に変換する太陽電池パネルと、
該太陽電池パネルを支持する架台と、
屋根面、屋上面、及び地表の何れかである被設置面に固定された横設材、該横設材の両端部分から立設された一対の支柱、一対の該支柱間に横架された円柱状の軸部材、及び前記架台の底面に取付けられていると共に前記軸部材に対して回転可能に取付けられていることにより前記架台を前記軸部材を中心として搖動させるフランジ付きの軸受部材、を有する搖動支持部と、
前記架台の両側に夫々配設され、水を貯留可能な第一タンク及び第二タンクと、
前記第一タンク及び前記第二タンクを繋ぐとともに、互いに並列に接続された第一配管及び第二配管と、
前記第一タンクに貯留されている水を、前記第一配管を通して前記第二タンクに圧送することが可能な第一ポンプと、
前記第二タンクに貯留されている水を、前記第二配管を通して前記第一タンクに圧送することが可能な第二ポンプと、
現在時刻を常時認識する時刻認識手段と、
現在時刻が第一動作開始時刻になったとき、前記揺動支持部を中心とする前記第一タンク側の揺動部分の重量が前記第二タンク側の揺動部分の重量よりも軽くなるように、前記第一ポンプを所定時間駆動し、
現在時刻が第二動作開始時刻になったとき、前記揺動支持部を中心とする前記第二タンク側の揺動部分の重量が前記第一タンク側の揺動部分の重量よりも軽くなるように、前記第二ポンプを所定時間駆動するポンプ制御手段と
を具備し、
前記架台は複数枚の前記太陽電池パネルを囲む枠部材を有しており、
前記第一タンク及び前記第二タンクの長さは、前記架台の軸方向における前記枠部材の長さと略一致する長さである
ことを特徴とするものである。
ここで、「太陽電池パネル」の数は特に限定されるものではなく、一枚であっても複数枚であってもよい。また「被設置面」としては、住宅等の屋根面、またはビルの屋上面を挙げることができるが、建物の一部に限定されるものではなく、例えば地表を被設置面としてもよい。また、「揺動支持部」は、例えば、一対の支柱と、支柱間に横架された軸部材と、「架台」の下面に取着されるとともに軸部材に対して回動可能に取付けられた一対の軸受部材と、を備えて構成することができる。
また、「第一タンク」及び「第二タンク」の形態は特に限定されるものではないが、例えば、架台における軸方向の長さと略一致する長さのタンクを横設させるようにすれば、架台に加わる重力を分散させることができ、安定した揺動が可能となる。なお、「第一タンク」及び「第二タンク」は互いに同じ重量で同じ容積とすることが好ましい。また、「第一タンク側の揺動部分」とは、揺動支持部よりも第一タンク側に位置する揺動可能な部分であり、少なくとも太陽電池パネル、架台、第一タンク、及び水が含まれている。また、同様に「第二タンク側の揺動部分」とは、揺動支持部よりも第二タンク側に位置する揺動可能な部分であり、少なくとも太陽電池パネル、架台、第二タンク、及び水が含まれている。
また、第一タンク及び第二タンクに貯留される水の総水量は、第一タンク及び第二タンク間で水を往来させることから、タンク一つ当たりの容積以下とすること、すなわち一方のタンクから他方のタンクに水を圧送したとき、全ての水が他方のタンクに移動し、一方のタンクが空となる水量とすることが好ましいが、夫々のタンクに貯留されている水の一部のみを圧送する場合には、第一タンク及び第二タンクに貯留される水の総水量が、タンク一つ当たりの容積以上とすることも可能である。つまり、揺動支持部を中心とする第一タンク側の重量と第二タンク側の重量とのバランスを水の移動によって変化させることが可能であれば、夫々のタンクの水量は特に限定されるものではない。
また、第一タンク及び第二タンクが配設される「架台の両側」とは、架台の両端に限るものではなく、揺動支持部を中心とした左右両側であれば、例えば架台の下面であってもよい。また、第一タンク及び第二タンクに貯留される「水」の種類は、特に限定されるものではないが、不凍液とすれば、寒冷地に設置する場合であっても水の凍結を防ぐことが可能となる。
また、「第一配管」及び「第二配管」としては、金属製または合成樹脂製のパイプを用いてもよく、可撓性のホースを用いてもよい。また、「第一ポンプ」及び「第二ポンプ」は、「第一タンク」及び「第二タンク」の外部に配置してもよいが、水中ポンプで構成すれば、「第一タンク」及び「第二タンク」内に配置することも可能である。さらに、「第一ポンプ」及び「第二ポンプ」の駆動を制御するための「ポンプ制御手段」は、「第一ポンプ」及び「第二ポンプ」に対して夫々別々に備えるようにしてもよいが、二つのポンプを一箇所で一元的に制御するようにしてもよい。
本発明の太陽光発電システムによれば、太陽電池パネルを支持する架台が揺動可能に支持され、その架台の両側には第一タンク及び第二タンクが夫々配設されている。ここで、第一タンクが東向き、第二タンクが西向きとなるように配置した場合について説明する。第一タンク側の揺動部分の重量が第二タンク側の揺動部分の重量よりも大きい状態、すなわち第一タンクに貯留されている水量が第二タンクに貯留されている水量よりも多い場合(極端に言えば、第一タンクにのみ水が貯留され第二タンクが空の場合)を初期状態とすると、架台は、揺動可能に支持された部分を支点として、第一タンク側が第二タンク側よりも低くなるように傾斜した状態となる。これによれば、太陽電池パネルの受光面が東向きに所定角度傾いた状態となり、日の出から昼ごろまでの太陽光に対して、受光率を高めることが可能になる。
そして、ポンプ制御手段は、現在時刻が第一動作開始時刻(例えば午前11時)になると、第一ポンプを所定時間駆動する。すると、第一タンクに貯留されている水は、第一配管を通して第二タンクに圧送され、その結果、第二タンク側の重量が第一タンク側の重量よりも次第に重くなる。それに伴い、架台は支点を中心に揺動し、第二タンク側が第一タンク側よりも低くなるように逆向き傾斜した状態となる。これによれば、太陽電池パネルの受光面が西向きに所定角度傾いた状態となり、昼ごろから日没までの太陽光に対して、受光率を高めることが可能になる。
さらに、ポンプ制御手段は、現在時刻が第二動作開始時刻(例えば午後7時)になると、第二ポンプを所定時間駆動する。すると、第二タンクに貯留されている水は、第二配管を通して第一タンクに圧送され、その結果、第一タンク側の重量が再び第二タンク側の重量よりも重くなり、架台及び太陽電池パネルの傾きが元の状態に復帰する。
このように、第一タンク及び第二タンクに貯留される水を、第一ポンプ及び第二ポンプによって往来させるだけで、太陽電池パネルの傾きを変化させることができるため、駆動機構を、極めて簡単で且つ安価に構成することが可能になる。また、架台が傾斜した状態でも第一タンク及び第二タンクの高低差はそれほど大きくないため、比較的小型のポンプでも水を圧送することができる。特に、太陽電池パネルの総重量が比較的大きな場合でも、架台及び太陽電池パネルの重心を支点とすることにより、比較的少量の水を移動させるだけで架台及び太陽電池パネルの傾きを変化させることができる。しかも、一方のタンクから他方のタンクに全ての水を移す場合でも、一方のタンクに貯留されている水を半分以上圧送すれば、他方のタンクの方が重くなり、相対的な高さが逆転することから、その後、ポンプの駆動を停止しても、一方のタンクに残っている水を、他方のタンクに向かって自然に送ることが可能になる。したがって、架台及び太陽電池パネルの傾きを変化させるのに必要な消費電力を大幅に低減することが可能になる。
また、本発明の太陽光発電システムにおいて、
「前記第一動作開始時刻及び前記第二動作開始時刻を、夫々別々に設定可能とする時刻設定手段をさらに備える」
構成とすることができる。
これによれば、太陽電池パネルの傾きを変化させる時刻を任意に設定することができ、季節の変化に応じた日射角度の変化に対応することが可能となる。すなわち、極めて簡単な制御でありながらも、年間を通じて発電効率を高めることが可能になる。
また、本発明の太陽光発電システムにおいて、
「前記第一タンクに貯留されている水の水量を検出する第一水量検出手段と、
前記第二タンクに貯留されている水の水量を検出する第二水量検出手段と
をさらに備え、
前記第一タンク側の揺動部分及び前記第二タンク側の揺動部分は、前記第一タンクに貯留されている水の水量と前記第二タンクに貯留されている水の水量とが等しい場合、互いに重量が等しくなるように前記揺動支持部で支持されており、
前記ポンプ制御手段は、
前記第一ポンプの駆動開始後、前記第一水量検出手段によって検出される水の水量が、前記第二水量検出手段によって検出される水の水量よりも少なくなったとき、前記第一ポンプの駆動を停止する第一ポンプ停止手段と、
前記第二ポンプの駆動開始後、前記第二水量検出手段によって検出される水の水量が、前記第一水量検出手段によって検出される水の水量よりも少なくなったとき、前記第二ポンプの駆動を停止する第二ポンプ停止手段と
をさらに有する」
構成とすることもできる。
ここで、「第一水量検出手段」及び「第二水量検出手段」は、第一タンク及び第二タンク夫々に対して水量を検出するセンサを個々に設けるようにしてもよいが、一方のタンクに貯留されている水を全て他方のタンクに移すように構成するものにおいては、例えば第一タンクに対してのみセンサを設け、そのセンサで検出される水量を第一タンクに貯留されている水量とし、一定の総水量から、センサで検出される水量を差し引いて求めた水量を、第二タンクに貯留されている水量とすることもできる。
これによれば、第一タンクの水を第二タンクに送る場合、第一タンクに貯留されている水量が、第二タンクに貯留されている水量よりも少なくなったとき、第一ポンプの駆動を停止する。第一ポンプの駆動を停止することにより水に加わる圧力はなくなるが、第一タンクの高さが第二タンクよりも高くなることから、第一タンクの残り水を第二タンクへ自然に送ることが可能となる。また、第二タンクの水を第一タンクに送る場合も同様である。このように制御することにより、第一ポンプ及び第二ポンプの駆動時間を必要最小限の時間とすることができ、第一ポンプ及び第二ポンプによる消費電力をさらに低減することができる。
このように、本発明によれば、太陽電池パネルの傾きを変化させる機構を、簡単で且つ安価に構成することができる。また、太陽電池パネルの重量が比較的大きな場合でも、小型の駆動機構で傾きを変化させることができる。さらに、傾きを変化させるのに必要な消費電力を大幅に低減することができ、発電効率を高めることができる。
本実施形態の太陽光発電システムの構成を示す斜視図である。 太陽光発電システムの動作を示す説明図である。 制御装置における機能的構成を示すブロック図である。 コントローラにおける処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態である太陽光発電システム1について、図1及び図2に基づき説明する。太陽光発電システム1は、住宅等の建物2の屋根面3に取付けることができるものであり、複数枚の太陽電池パネル5と、これらの太陽電池パネル5を支持する架台6と、架台6を屋根面3に対し揺動可能に支持する揺動支持部7と、架台6の揺動範囲を制限する制限部材16と、を備えている。また、太陽光発電システム1は、架台6の左右両端側に夫々配設された第一タンク8及び第二タンク9と、第一タンク8及び第二タンク9を繋ぐ第一配管10及び第二配管11と、第一タンク8及び第二タンク9内に夫々収容された第一ポンプ12(図2参照)及び第二ポンプ13(図2参照)と、を備えている。さらに、太陽光発電システム1は、第一タンク8及び第二タンク9の駆動を制御するための制御盤14を備えている。なお、本例では、第一タンク8が東側、第二タンク9が西側を向くように設置されている。
太陽電池パネル5は、太陽光Tを受光し太陽光Tの光エネルギーを電力に変換するものであり、受光面21が上面に形成されている。なお、太陽電池パネル5によって発電された電力(直流)は、電力会社の送電線(図示しない)を介して電力会社に送電してもよく、パワーコンディショナによって交流に変換し建物2内で使用するようにしてもよい。
架台6は、複数枚の太陽電池パネル5を平面上に並べた状態で支持するものであり、複数枚の太陽電池パネル5を囲む枠部材22と、夫々の太陽電池パネル5の底面を支持するように格子状に設けられ縦桟(図示しない)及び横桟(図示しない)とから構成されている。なお、架台6の平面視形状は長方形であり、長手方向及び短手方向の長さの比は約3:1となっている。また、架台6の両端側(長手方向の両端)には、第一タンク8及び第二タンク9を支持するためのタンク支持材25が設けられている。このタンク支持材25は、凹字形に形成されており、内側上端が枠部材22に固着されている。また、タンク支持材25は、短手方向に沿って所定の間隔で複数個設けられており、上面開放部分から挿入された第一タンク8及び第二タンク9を安定した状態で支持することが可能になっている。
揺動支持部7は、架台6の下面における長手方向の中央部分(重心位置)に対して設けられており、屋根面3に固定された横設部材27と、横設部材27の両端部分から立設された一対の支柱28と、一対の支柱28の上端部分に架設された円柱状の軸部材29と、架台6の底面に取着されるとともに、軸部材29の両端部分に対して回転可能に取付けられたフランジ付きの軸受部材30と、を備えている。つまり、支柱28に固定された軸部材29を中心に架台6を滑らかに揺動させることが可能になっている。また、傾斜している屋根面3に揺動支持部7を設置する場合でも、軸部材29の軸方向が水平となるように構成されている。具体的には一対の支柱28の高さを互いに異ならせることで、支柱28が立設された部位における屋根面3の高低差が相殺されるようになっている。
制限部材16は、架台6における長手方向両端部分の下方に夫々配置されており、屋根面3に敷設されるベース板16aと、ベース板16aから立設されるとともにベース板16aに沿って所定の間隔で設けられた複数の柱状部16bと、柱状部16bの上面に設けられ架台6が当接する際の衝撃を緩和する緩衝部材(図示しない)と、を備えて構成されている。なお、複数の柱状部16bの長さは、支柱28と同様、屋根面3の勾配を考慮して互いに異なっている。また、制限部材16の上面の高さは支柱28の高さよりも低くなっており、架台6が傾斜した際、架台6の下面が緩衝部材に突き当たることにより、架台6の揺動範囲が規制されるようになっている。
第一タンク8及び第二タンク9は、互いに同一の形状であり、本例では円筒状で両端が閉鎖されたドラム缶形の外観となっている。また、第一タンク8及び第二タンク9の長さは架台6の短手方向の長さと略一致している。なお、第一タンク8及び第二タンク9の容積は特に限定されるものではないが、本例では、約700リットルの水を貯留することが可能な大きさとなっている。また、図示しないが、第一タンク8及び第二タンク9の上面には、各タンク8,9内に第一ポンプ12及び第二ポンプ13を挿入するための開口が形成されている。また、第一タンク8及び第二タンク9には予め水が貯留されており、その総水量は約500リットルとなっている。つまり、一方のタンク8(9)に全ての水が移動した場合、他方のタンク9(8)は空の状態となるように設定されている。
第一タンク8の中には、小型の水中ポンプからなる第一ポンプ12(図2参照)が配設されており、その第一ポンプ12に、可撓性のホースからなる第一配管10が接続されている。第一配管10の先端は第二タンク9内に差し込まれており、第一ポンプ12を駆動することで、第一タンク8に貯留されている水を、第一配管10を通して第二タンク9に圧送することが可能となっている。また、第二タンク9の中には、第一ポンプ12と同一構造である第二ポンプ13が配設されており、その第二ポンプ13に、可撓性のホースからなる第二配管11が接続されている。第二配管11の先端は第一タンク8内に差し込まれており、第二ポンプ13を駆動することで、第二タンク9に貯留されている水を、第二配管11を通して第一タンク8に圧送することが可能となっている。
一方、制御盤14の内部にはコントローラ15(図3参照)が設けられ、コントローラ15の入力部には、第一動作開始時刻を設定するための第一時刻設定手段33と、第二動作開始時刻を設定するための第二時刻設定手段34とが接続されている。なお、第一時刻設定手段33及び第二時刻設定手段34は、制御盤14の前面に配置されている(図1参照)。また、制御盤14と、第一ポンプ12及び第二ポンプ13とは、電線32を介して電気的に接続されている。
コントローラ15には、機能的構成として、現在時刻を常時認識する時刻認識手段35と、現在時刻が第一動作開始時刻になったとき、第一ポンプ12を駆動する第一ポンプ駆動手段36と、現在時刻が第二動作開始時刻になったとき、第二ポンプ13を駆動する第二ポンプ駆動手段37とが備えられている。また、第一ポンプ駆動手段36及び第二ポンプ駆動手段37はそれぞれ第一タイマ38及び第二タイマ39を有しており、第一ポンプ12及び第二ポンプ13は、第一タイマ38及び第二タイマ39によって決められた一定時間経過後に自動的に停止されるようになっている。なお、この一定時間は、一方のタンク8(9)から他方のタンク9(8)に水を移すのに要する時間に相当する長さに設定されている。
次に、本実施形態の太陽光発電システム1の作用について、図2及び図4に基づき説明する。まず第一タンク8にのみ水が貯留され第二タンク9が空の場合には、図2(a)に示すように、架台6は、軸部材29を中心として、第一タンク8側が第二タンク9側よりも低くなるように傾斜した状態となる。これによれば、太陽電池パネル5の受光面21が東向きに所定角度傾いた状態となり、日の出から昼ごろまでの太陽光Tに対して、受光率を高めることが可能になる。
そして、現在時刻が第一動作開始時刻(例えば午前11時)になると(ステップS1においてYES)、第一ポンプ12を所定時間駆動する(ステップS2)。すると、第一タンク8に貯留されている水は、第一配管10を通して第二タンク9に圧送され、その結果、第一タンク8側の重さは次第に軽く第二タンク9側の重さは次第に重くなる。そして、第一タンク8側及び第二タンク9側の重さが等しくなると、図2(b)に示すように、架台6は軸部材29を中心に回動し、釣合った状態、すなわち水平状態となる。さらに、第一タンク8の水が第二タンク9に向かって圧送されると、第二タンク9側の重さが第一タンク8側よりも大きくなり、図2(c)に示すように、第二タンク9側が第一タンク8側よりも低くなるように逆向き傾斜した状態となる。これによれば、太陽電池パネル5の受光面21が西向きに所定角度傾いた状態となり、昼ごろから日没までの太陽光Tに対して、受光率を高めることが可能になる。
さらに、現在時刻が第二動作開始時刻(例えば午後7時)になると(ステップS3においてYES)、第二ポンプ13を所定時間駆動する(ステップS4)。すると、第二タンク9に貯留されている水は、第二配管11を通して第一タンク8に圧送され、その結果、第一タンク8側の重さが再び第二タンク9側よりも重くなり、架台6及び太陽電池パネル5の傾きが元の状態(図2(a)参照)に復帰する。
このように、本例の太陽光発電システム1によれば、第一タンク8及び第二タンク9に貯留される水を、第一ポンプ12及び第二ポンプ13によって入れ替えるだけで、太陽電池パネル5の受光面21の傾きを変化させることができるため、極めて簡単で且つ安価に構成することができる。また、架台6が傾斜した状態でも第一タンク8及び第二タンク9の高低差はそれほど大きくないため、比較的小型の第一ポンプ12及び第二ポンプ13でも水を圧送することができる。特に、太陽電池パネル5の総重量が比較的大きな場合でも、架台6及び太陽電池パネル5の重心を支点として揺動させることから、比較的少量の水を移動させるだけで架台6及び太陽電池パネル5の傾きを変化させることができる。したがって、架台6及び太陽電池パネル5の傾きを変化させるのに必要な消費電力を大幅に低減することができる。
また、本例の太陽光発電システム1によれば、太陽電池パネル5の傾きを変化させる時刻を任意に設定することができるため、極めて簡単な制御でありながらも、季節の変化に応じた日射角度の変化に対応することができ、年間を通じて発電効率を高めることが可能になる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、第一ポンプ12及び第二ポンプ13の駆動時間を第一タイマ38及び第二タイマ39に基づいて管理するものを示したが、第一タンク8及び第二タンク9に貯留されている夫々の水の水量を比較することにより駆動時間を制御するようにしてもよい。具体的に説明すると、図3において点線で示すように、第一タンク8に貯留されている水の水量を検出する第一水量検出手段45と、第二タンク9に貯留されている水の水量を検出する第二水量検出手段46とを備えるものである。なお、本例では第一タンク8及び第二タンク9の容積及び形状が互いに等しいことから、第一タンク8及び第二タンク9に貯留されている水の水位を検出し、その水位に基づいて夫々の水量の大きさを比較判定している。第一ポンプ駆動手段36は、第一タンク8の水を第二タンク9に送る場合、第一タンク8に貯留されている水量が、第二タンク9に貯留されている水量よりも少なくなったとき、第一ポンプ12の駆動を停止する。また第二ポンプ駆動手段37は、第二タンク9の水を第一タンク8に送る場合、第二タンク9に貯留されている水量が、第一タンク8に貯留されている水量よりも少なくなったとき、第二ポンプ13の駆動を停止する。この場合、第一ポンプ12及び第二ポンプ13の停止により、水に加わる圧力がなくなるが、第一タンク8及び第二タンク9の相対的な高さが逆転することから、残った水を自然に送ることが可能になる。そして、このように制御することにより、第一ポンプ12及び第二ポンプ13の駆動時間を必要最小限の時間とすることができ、第一ポンプ12及び第二ポンプ13による消費電力をさらに低減することが可能になる。ここで、第一ポンプ駆動手段36が本発明のポンプ制御手段及び第一ポンプ停止手段に相当し、第二ポンプ駆動手段37が本発明のポンプ制御手段及び第二ポンプ停止手段に相当する。
1 太陽光発電システム
3 屋根面(被設置面)
5 太陽電池パネル
6 架台
7 揺動支持部
8 第一タンク
9 第二タンク
10 第一配管
11 第二配管
12 第一ポンプ
13 第二ポンプ
21 受光面
33 第一時刻設定手段(時刻設定手段)
34 第二時刻設定手段(時刻設定手段)
35 時刻認識手段
36 第一ポンプ駆動手段(ポンプ制御手段,第一ポンプ停止手段)
37 第二ポンプ駆動手段(ポンプ制御手段,第二ポンプ停止手段)
45 第一水量検出手段
46 第二水量検出手段
T 太陽光
特開昭64−79816号公報 特開2002−202817号公報

Claims (2)

  1. 太陽光を受光し光エネルギーを電力に変換する太陽電池パネルと、
    該太陽電池パネルを支持する架台と、
    屋根面、屋上面、及び地表の何れかである被設置面に固定された横設材、該横設材の両端部分から立設された一対の支柱、一対の該支柱間に横架された円柱状の軸部材、及び前記架台の底面に取付けられていると共に前記軸部材に対して回転可能に取付けられていることにより前記架台を前記軸部材を中心として搖動させる軸受部材、を有する搖動支持部と、
    前記架台の両側に夫々配設され、水を貯留可能な第一タンク及び第二タンクと、
    前記第一タンク及び前記第二タンクを繋ぐとともに、互いに並列に接続された第一配管及び第二配管と、
    前記第一タンクに貯留されている水を、前記第一配管を通して前記第二タンクに圧送することが可能な第一ポンプと、
    前記第二タンクに貯留されている水を、前記第二配管を通して前記第一タンクに圧送することが可能な第二ポンプと、
    現在時刻を常時認識する時刻認識手段と、
    現在時刻が第一動作開始時刻になったとき、前記揺動支持部を中心とする前記第一タンク側の揺動部分の重量が前記第二タンク側の揺動部分の重量よりも軽くなるように、前記第一ポンプを所定時間駆動し、
    現在時刻が第二動作開始時刻になったとき、前記揺動支持部を中心とする前記第二タンク側の揺動部分の重量が前記第一タンク側の揺動部分の重量よりも軽くなるように、前記第二ポンプを所定時間駆動するポンプ制御手段と
    を具備し、
    前記架台は複数枚の前記太陽電池パネルを囲む枠部材を有しており、
    前記第一タンク及び前記第二タンクの長さは、前記架台の軸方向における前記枠部材の長さと略一致する長さである
    ことを特徴とする太陽光発電システム。
  2. 前記第一タンクに貯留されている水の水量を検出する第一水量検出手段と、
    前記第二タンクに貯留されている水の水量を検出する第二水量検出手段と
    をさらに備え、
    前記第一タンク側の揺動部分及び前記第二タンク側の揺動部分は、前記第一タンクに貯留されている水の水量と前記第二タンクに貯留されている水の水量とが等しい場合、互いに重量が等しくなるように前記揺動支持部で支持されており、
    前記ポンプ制御手段は、
    前記第一ポンプの駆動開始後、前記第一水量検出手段によって検出される水の水量が、前記第二水量検出手段によって検出される水の水量よりも少なくなったとき、前記第一ポンプの駆動を停止する第一ポンプ停止手段と、
    前記第二ポンプの駆動開始後、前記第二水量検出手段によって検出される水の水量が、前記第一水量検出手段によって検出される水の水量よりも少なくなったとき、前記第二ポンプの駆動を停止する第二ポンプ停止手段と
    をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
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