JP5505816B2 - 軽合金用の鋳造装置と該鋳造装置を用いた鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミ合金などの軽合金を鋳込むための鋳造装置と該鋳造装置を用いた鋳造方法の改良に関するものである。
軽合金用の鋳造としては、金型を用いたダイカスト法が一般に用いられているが、これは、保持炉から供給される溶湯をプランジャー加圧して金型に圧入させる技術である。
このダイカスト法は、金型に溶湯を高圧、高速で注入して成形を行うことができて、短時間での鋳造が可能であり、薄肉鋳物の生産性が高いが、寸法精度が得難く、ガス及び酸化皮膜の巻き込みによる欠陥も多く、加えて、鋳物装置寸法も大型化してコストが大きく、使用エネルギーも大きいという問題がある。
これに対し、最近においては、保持炉(ルツボ)の上部に金型を配置し、前記保持炉の溶湯に圧力を加え、セラミック製ストークを介して溶融を押し上げて金型に供給して成形を行う低圧鋳造法も提案されている。
この技術は、上述のダイカスト法に比べ、装置も簡素化でき、使用エネルギーも小さくて済む利点、及び高品質の鋳造品を得ることは可能であるが、金型の溶湯が凝固するまで溶湯の押し上げを終わらせることがないこと、即ち、金型と保持炉は連通状態のままであるからことから、溶湯凝固に時間を要し、鋳造のサイクルタイムが長くなって、生産性が低いという問題がある。
こうした問題を解消するために、保持炉(ルツボ)と、該保持炉の上部に配置した金型との間に、溶湯の供給を許容し、或いは遮断するシール板を作動させる開閉機構を介在させるという提案がなされている。
即ち、この技術は、シール板によって、保持炉と金型とを遮断できるようにし、溶湯を降下させて金型内の溶湯の凝固を早めるようにしようとするものである。
こうした技術として、次の文献を挙げることができる。
特開2008−213034
本発明者は、上述した従来技術のシール板(開閉体)を作動させる開閉機構を備えた鋳造装置の実験、研究を行ってきたが、前記シール板を平板状とし、或いは棒状とした構造のものにおいて、シール板が、そのホルダー内でのスムースな摺動が出来なくなり、稼動不能に陥るという問題に直面した。
かかる問題は、高温の溶湯に晒されるシール板が熱変形を来たすことが原因であると推測され、溶湯の漏れを防ぐためにホルダーと緊密に接当している構造では、少しの変形であってもホルダー内面に対する無理な接当状態を招いて、スムースな摺動が出来なくなるものと考えられる。
加えて、金型への溶湯供給後に、加圧手段によって金型内の溶湯に圧力を加え、鋳型の隅々に対する溶湯の完全密着を図ることになっているため、この際、金型内の溶湯を介して、その加圧力が前記シール板に伝達されることになり、溶湯と接触して高温になることで機械的強度が低下している前記シール板の変形を助長しているということも推測される。
本発明は、かかる問題点に鑑み、開閉機構を介在させることで在来の低圧鋳造法に比して製造サイクルを短くして生産性を高めながら、その開閉体を常に正常に摺動させることができるようにし、鋳造装置の生産効率を高めることができるようにすることを目的とする。
本発明にかかる軽合金用の鋳造装置は、溶融した軽合金を保持する保持炉(1)の上に開閉操作可能な金型(2)を配置し、前記保持炉(1)の湯面に圧縮空気を作用させてストーク(9)を介して溶湯を押し上げることにより前記金型(2)に溶湯を供給するように構成し、該保持炉(1)と前記金型(2)との間に開閉機構(3)を設け、該開閉機構(3)を、開閉体(4)と、該開閉体(4)を囲繞し、挿脱するホルダー(5)とから構成し、前記保持炉(1)から前記金型(2)への溶湯供給を導通、遮断出来るように構成した軽合金用の鋳造装置であって、
前記開閉体(4)と前記ホルダー(5)に連通孔(6A),(6B)を形成すると共に前記開閉体(4)には、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の2位置に切り替えることが出来るように構成し、
前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記ホルダー(5)の上下内面(5A),(5A)の少なくとも一面(5A)であって、且つ、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に盗み段部(7A)を形成してある、
という手段を講じたものである。
本発明にかかる鋳造方法は、上述した軽合金用の鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
前記開閉体(4)を前記遮断加圧位置(P3)に位置させると同時に、又は加圧工程に先行して保持炉(1)の溶湯を初期位置に降下させることを特徴とするものである。
本発明において、軽合金とは、アルミニウムを主とする合金を意味するが、金型に供給して鋳込むことのできる既存の全ての軽合金を含む。
また、上記保持炉とは、単に、溶融した溶湯を保持する機能を備えるだけのものは勿論のこと、軽合金を溶融する機能を備えるものも含まれる。
更に、盗み段部とは、ホルダーについては、その内部の大きさを拡大させる切込み或いは凹部であり、開閉体については、その開閉体の厚み(或いは径)を減じる面取り或いは凹部を意味する。
本発明の装置によれば、開閉機構を介在させることで在来の低圧鋳造法に比して製造サイクルの短くして生産性を高めながら、ホルダーの所定箇所に盗み段部を形成することで、開閉体との接触面積を減らして開閉体に対する熱量の伝播を抑制することで、その開閉体の湾曲を極力抑えるようにし、同時に、多少の湾曲はその盗み段部で吸収することで、常にスムースに摺動させることができるようにしたものであり、これにより、開閉体の作動トラブルを未然に回避し、鋳造装置の生産効率を高めることができるに至ったものである。
本発明の方法によれば、従来の低圧鋳造法と異なり、開閉体が遮断加圧位置にあるときに、保持炉の湯面を降下させるようにしたことで、開閉体と保持炉の溶湯との接触を直ちに遮断できて、溶湯による開閉体の加熱を回避させ、より一層開閉体の熱変形を防止できるようにすることができ、更に、開閉体の安定した摺動を維持させ易くなるという利点がある。
本発明の装置及び方法にかかるその他の具体的効果については、以下の実施例の説明から明らかとなろう。
発明を実施するための好適形態
本発明の実施に際しては、前記開閉体(4)には、更に、前記保持炉(1)からの溶湯を止めるトラップ凹部(7)を設け、且つ、該トラップ凹部(7)には外部へガス抜連通孔(8)が形成されており、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、トラップ位置(P1)、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の3位置に切り替えることが出来るように構成してあることが好ましい。
このように構成することで、ストーク(9)を介しての溶湯の押し上げに際し、その上昇溶湯の上面の酸化部を開閉体(4)に形成したトラップ凹部(7)に溜め置き、次いで、開閉体(4)を操作して溶湯通過位置(P2)に位置させることで、この酸化溶湯が前記開閉体(4)と前記ホルダー(5)の連通孔(6A),(6B)から金型(2)へ送られないように自動的にカットするような状態で除去することができ、以って、酸化膜等の存在しない純粋な溶湯を金型(2)に供給させることができて、製品の品質を向上させることが出来る利点がある。
尚、ガス抜連通孔(8)が開閉体(4)のトラップ凹部(7)に連通されていることで、溶湯のストーク(9)内の上昇に伴うガスを容易に外部に排出され、このトラップ凹部(7)に酸化膜を有する溶湯部分を溜めることができる。このトラップ凹部(7)の酸化膜を有する溶湯部分は、開閉体(4)の移動操作後に適宜排出されることになる。
更に、前記ホルダー(5)の盗み段部(7A)がその上下内面(5A),(5A)に形成され、且つ、前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記開閉体(4)の下外面(4A)に盗み段部(7B)を形成してあることが好ましい。
このように、前記ホルダー(5)の盗み段部(7A)がその上下内面(5A),(5A)の両面に形成されることで、開閉体(4)の上下の何れの方向での変形をも確実に吸収させることができ、常時スムースな移動が確保できる。
そして、その盗み段部(7A)が前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置にあり、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に形成されているため、前記開閉体(4)が前記遮断加圧位置(P3)にあっても、その際に溶湯が前記盗み段部(7A)から外部に漏れ出す虞はない。
更に、前記トラップ凹部(7)に通じるエア抜通路(10)が前記開閉体(4)に形成されていることが好ましい。
このように構成することで、簡単な構造改変でもって前記開閉体(4)の作動に関わりなく、常に外部へのガス抜きが確保できる。
また、前記開閉体(4)が平板状体(4a)で構成され、前記ホルダー(5)が該平板状体(4a)を挿脱可能に構成されていることが好ましい。
このように板状体に構成することで、開閉体(4)の構造を簡単なものとすることができ、また、トラップ凹部(7)、連通孔(6A)、盗み段部(7B)の加工を簡単に行うことができる。
更に、前記開閉体(4)が棒状体(4b)で構成され、前記ホルダー(5)が該棒状体(4b)を挿脱可能に構成されていることが好ましい。
このように、前記開閉体(4)が棒状体(4b)、即ち、円柱状乃至ピストン状に構成されていることで、平板状に比べて熱変形、圧力変形を来たし難くすることができる。
本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の一工程を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の要部の斜視面。 本発明にかかる鋳造装置の図7におけるA−A線矢視断面図。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の要部の分解平面面。 本発明にかかる鋳造装置の図9におけるB−B線矢視断面面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の一工程における開閉体の位置を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の一工程における開閉体の位置を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の一工程における開閉体の位置を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉機構の一工程における開閉体の位置を示す全体の縦断面。 本発明にかかる鋳造装置の開閉体の変形量と改良前の開閉体の変形量の比較を示すグラフ。 本発明にかかる鋳造装置の開閉体の操作荷重と開閉体の温度との関係を示すグラフ。 本発明にかかる鋳造装置の開閉体の別態様を示す斜視図。 本発明にかかる鋳造装置の開閉体の図16におけるC−C線矢視断面図。 本発明にかかる鋳造装置の別態様の開閉体の変形量と改良前の開閉体の変形量の比較を示すグラフ。 本発明にかかる鋳造装置の開閉体の更に別の態様を示す概略斜視図。
以下、本発明にかかる軽合金用の鋳造装置の好適実施例について、図面を参照して詳述する。
図1から図14に示すように、この鋳造装置は、溶融した軽合金を保持する保持炉1の上に開閉操作可能な金型2を配置し、前記保持炉1の湯面に圧縮空気を作用させて、セラミック製の円筒状のストーク9を介して溶湯を押し上げることにより前記金型2に溶湯を供給するように構成されている。前記保持炉1は、この実施例では、軽金属を溶融する機能を備えた公知の構成のものであり、また、金型2も、割り型の従来公知の構成のものであり、ここでの詳細説明は省略する。
そして、前記保持炉1と前記金型2との間に開閉機構3を設け、該開閉機構3を、開閉体4と、該開閉体4を囲繞し、挿脱するホルダー5とから構成し、前記保持炉1から前記金型2への溶湯供給を導通、遮断出来るように構成したものである。図7から図10に示すように、ここでは、前記開閉体4が平板状体4aで構成され、前記ホルダー5が該平板状体4aを挿脱可能となるように構成されている。この開閉体4の作動は、油圧シリンダーで行われるが、サーボ機構(クランク機構などの機械的な手段)を用いて行ってもよい。
更に、前記開閉体4と前記ホルダー5に、所定の相対位置で合致するところの湯道としての連通孔6A,6Bを形成すると共に前記開閉体4には、前記開閉体4を、その押し引きの一操作方向において、溶湯通過位置P2及び遮断加圧位置P3の2位置に切り替えることが出来るように構成してある。
更に、前記開閉体4の前記遮断加圧位置P3よりも操作方向の下手側の位置における前記ホルダー5の上下内面5A,5Aであって、且つ、前記開閉体4の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に盗み段部7Aを形成し、前記ホルダー5と前記開閉体4の熱伝播を抑制して湾曲変形を減じ、また、発生した湾曲変形を吸収できるように構成してある。
この実施例では、前記盗み段部7Aは、従前の盗み段部のない開閉体の最大湾曲変形量である約0.12mmに設定されているが、実験における本発明の湾曲量の0.07mmとの間の範囲であれば、十分に実施可能である。
本発明においては、更に、前記開閉体4には、前記保持炉1からの溶湯を止めるトラップ凹部7を設け、且つ、該トラップ凹部7には外部へガス抜連通孔8が形成されており、前記開閉体4を、その一操作方向において、トラップ位置P1、溶湯通過位置P2及び遮断加圧位置P3の3位置に切り替えることが出来るように構成してある。
この構成によって、ストーク9を介しての溶湯の押し上げに際し、その上昇溶湯の上面の酸化部を開閉体4に形成したトラップ凹部7に溜め置き、次いで、開閉体4を操作して溶湯通過位置P2に位置させることで、この酸化溶湯が前記開閉体4と前記ホルダー5の連通孔6A,6Bから金型2へ送られないように自動的にカットするような状態で除去することができ、以って、酸化膜等の存在しない純粋な溶湯を金型2に供給させることができて、製品の品質を向上させる。
この際、ガス抜連通孔8が開閉体4のトラップ凹部7に連通されていることで、溶湯のストーク9内の上昇に伴うガスを容易に外部に排出され、このトラップ凹部7に酸化膜を有する溶湯部分を溜めることができる。このトラップ凹部7の酸化膜を有する溶湯部分は、開閉体4の移動操作後に適宜排出されるようにしている。
更に、前記開閉体4の前記遮断加圧位置P3よりも操作方向の下手側の位置における前記開閉体4の下外面4Aにも、盗み段部7Bを形成してある。
そして、前記トラップ凹部7に通じるエア抜通路8が前記開閉体4に穿孔される状態で形成されている。
次に、作用について、図1から図6及び図11から図14に基づいて説明する。
図1は、鋳造開始状態を示し、この状態から保持炉1を圧縮空気で加圧し、溶湯を、ストーク9を介して上昇させる。
この時、図2及び図11に示すように、開閉体4は、トラップ位置P1にあり、そのトラップ凹部7が前記ストーク9に面しており、上昇した酸化膜を持つ溶湯部分がこのトラップ凹部7に溜められる。この際、ストーク9の中を上昇する溶湯によって押し上げられるガスは、ガス抜通路8を介して外部に排出されるので、ガスが溜まることはない。
次いで、開閉体4が、図2及び図12に示すように、図示の右方向に移動操作され、溶湯通過位置P2を採ることになる。即ち、前記開閉体4と前記ホルダー5の連通孔6A,6Bから溶湯が金型2へ送られ、金型2の内部に充填されることになる。
この際、上述したトラップ凹部7は右方に移動されるので、この内部に溜まった酸化溶湯は、カットされる状態で除去されることになり、金型2に送り込まれることがない。
図4及び図13は、前記開閉体4が更に右方向に操作、移動され、遮断加圧位置P3を採る状態を示す。即ち、上記連通孔6A,6Bが遮断され、開閉体4によって、金型2は保持炉1と分断された状態となる。
この状態において、同時に、保持炉1の内部圧力は開放され、湯面が降下することになる。尚、前記開閉体4の連通孔
更に、金型2に設けた加圧ピストン11が操作され、金型2の内部の溶湯に圧力が付与されて、溶湯が金型空間の隅々にまで到達できるようにされ、金型通りの鋳造を確実なものとする。
そして、図5及び図14は、鋳造完了状態を示し、開閉体4は、更に、右方向に操作、移動されることになる。
この際、開閉体4は、ほぼホルダー5から引き出され、そのトラップ凹部7及び連通孔6Aは、外部に露出され、この状態において、夫々の凝固した溶湯が排出され、回収される。
そして、図6は、金型2が開き操作され、鋳造品が取り出されるのである。
このようにして、鋳造工程が繰り返し行われる。
本発明の上述した鋳造装置を用い、前記開閉体4を前記遮断加圧位置P3に位置させたると同時に、又は加圧工程に先行して保持炉1の溶湯を初期位置に降下させる方法を実施できる。
この方法によれば、高温の溶湯を早く降下させ、開閉体4に対する熱量供給を大幅に減じることが可能であり、開閉体4の熱及び圧力変形を一層抑制できることになる。
図15は、本発明の開閉体4と従前の改良前の開閉体を使用した実験を通して得られた湾曲変形を比較したグラフであり、2点鎖線は、本発明を示し、実線は、従前のものを示す。
このグラフから分かるように、本発明においては、開閉体3の最大湾曲変形量を、約0.07mmに抑えることができることが分かる。
図16は、開閉体4の操作荷重と温度との関係を示したグラフで、荷重は○、温度は△で示しており、このグラフから、開閉体4の操作荷重が、使用回数が増えても略一定であることが分かり、開閉体4の作動トラブルが生じ難いことが明らかである。また、開閉体4の温度上昇も略一定に保持されていることが分かる。
図17乃至図19は、上記の開閉機構3の別態様を示し、図17及び図18に示すように、ここでは、上記開閉体4が、棒状体4bで構成され、上記ホルダー5が該棒状体4bを挿脱可能に構成されている。具体的には、開閉体4は円柱状に構成され、その軸線上の所定の間隔を隔てて、上記トラップ凹部7及び連通孔6Aが形成されており、且つ、ブロック状のホルダー5にも、その連通孔6Bが形成され、以って、トラップ位置P1、溶湯通過位置P2、遮断加圧位置P3を採ることができるように構成されている。
そして、上記盗み段部7Aは、そのホルダー5の挿入内径を、0.12mmから0.07mmの範囲で拡径することで形成されており、また、棒状体4bにおいても、盗み段部7Bが、その外径を、同様の寸法で小径とすることで形成している。
図19は、この棒状体4bである開閉体4を用いた実験によって得られた棒状体4bの湾曲変形を、従前の棒状体の開閉体4と比較したもので、やはり、従前全では、その湾曲変形量が、約0.15mmであったのを、やはり、約0.07mm程度に抑えることができることを示している。
図20は、上記開閉機構3の更に別の態様を示し、ここでは、前記開閉体4は、扇形体4cで構成され、その要の中心に回転軸4dが設けられ、これに駆動手段12(電動モータ)が連動連結されている。
この扇形体4cは、所定半径の円弧位置に連通孔6Aが形成され、仮想線で示すホルダー5に対して、回転によって摺動移動し、ホルダー5の対応位置に形成された連通孔6Bに対して、その連通孔6Aが回転(所定の各角度分)による連通状態(溶湯通過位置P2)、或いは遮断状態を採ることができる構成されている。
また、扇形体4cには、上記トラップ凹部7が所定半径の円弧位置に形成され、トラップ位置P1を採ることができる。勿論、前記遮断加圧位置P3を採るための単に保持炉1からの溶湯上昇を遮断するブロック位置Xが存在する。
ここでは、上記実施例の開閉体4を、押し引き操作でなく、回転操作によって上記の3位置を採ることになるため、押し引き操作に比して、操作負荷が小さくなると共に円弧状位置にトラップ凹部7、溶湯通過位置P2の連通孔6A、遮及び遮断加圧位置P3のブロック位置を設ければよいので、開閉体4が長尺物とならず、湾曲変形量を抑えることができて、スムースな作動を確保し易いだけでなく、回転故に作動変位量が少なく、機構全体としてコンパクトに構成できる。
本発明にかかる軽合金用の鋳造装置と方法は、開閉機構の簡単な構造改変によるも生産性の向上に寄与して多大の利益をもたらすもので、種々の軽合金用の鋳造装置に適用して有益なものであり、その適用範囲は広いものである。
1:保持炉
2:金型
3:開閉機構
4:開閉体
4A:開閉体の下外面
4a:平板状体
4b:棒状体
5:ホルダー
5A:上下内面
6A:開閉体の連通孔
6B:ホルダーの連通孔
7:トラップ凹部
7A:ホルダーの盗み段部
7B:開閉体の盗み段部
8:エア抜通路
9:ストーク
P1:トラップ位置
P2:溶湯通過位置
P3:遮断加圧位置

Claims (7)

  1. 溶融した軽合金を保持する保持炉(1)の上に開閉操作可能な金型(2)を配置し、前記保持炉(1)の湯面に圧縮空気を作用させてストーク(9)を介して溶湯を押し上げることにより前記金型(2)に溶湯を供給するように構成し、該保持炉(1)と前記金型(2)との間に開閉機構(3)を設け、該開閉機構(3)を、開閉体(4)と、該開閉体(4)を囲繞し、挿脱するホルダー(5)とから構成し、前記保持炉(1)から前記金型(2)への溶湯供給を導通、遮断出来るように構成した軽合金用の鋳造装置であって、
    前記開閉体(4)と前記ホルダー(5)に連通孔(6A),(6B)を形成すると共に前記開閉体(4)には、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の2位置に切り替えることが出来るように構成し、
    前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記ホルダー(5)の上下内面(5A),(5A)の少なくとも一面(5A)であって、且つ、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に盗み段部(7A)を形成してある、
    ことを特徴とする軽合金用の鋳造装置。
  2. 前記開閉体(4)には、更に、前記保持炉(1)からの溶湯を止めるトラップ凹部(7)を設け、且つ、該トラップ凹部(7)には外部へガス抜連通孔(8)が形成されており、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、トラップ位置(P1)、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の3位置に切り替えることが出来るように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の軽合金用の鋳造装置。
  3. 前記ホルダー(5)の盗み段部(7A)がその上下内面(5A),(5A)に形成され、且つ、前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記開閉体(4)の下外面(4A)に盗み段部(7B)を形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軽合金用の鋳造装置。
  4. 前記トラップ凹部(7)に通じるエア抜通路(10)が前記開閉体(4)に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の軽合金用の鋳造装置。
  5. 前記開閉体(4)が平板状体(4a)で構成され、前記ホルダー(5)が該平板状体(4a)を挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の軽合金用の鋳造装置。
  6. 前記開閉体(4)が棒状体(4b)で構成され、前記ホルダー(5)が該棒状体(4b)を挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の軽合金用の鋳造装置。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の軽合金用の鋳造装置を用いた鋳造方法であって、前記開閉体(4)を前記遮断加圧位置(P3)に位置させると同時に、又は加圧工程に先行して保持炉(1)の溶湯を初期位置に降下させることを特徴とする軽合金用の鋳造装置を用いた鋳造方法。
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