JP5505816B2 - 軽合金用の鋳造装置と該鋳造装置を用いた鋳造方法 - Google Patents
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Description
このダイカスト法は、金型に溶湯を高圧、高速で注入して成形を行うことができて、短時間での鋳造が可能であり、薄肉鋳物の生産性が高いが、寸法精度が得難く、ガス及び酸化皮膜の巻き込みによる欠陥も多く、加えて、鋳物装置寸法も大型化してコストが大きく、使用エネルギーも大きいという問題がある。
この技術は、上述のダイカスト法に比べ、装置も簡素化でき、使用エネルギーも小さくて済む利点、及び高品質の鋳造品を得ることは可能であるが、金型の溶湯が凝固するまで溶湯の押し上げを終わらせることがないこと、即ち、金型と保持炉は連通状態のままであるからことから、溶湯凝固に時間を要し、鋳造のサイクルタイムが長くなって、生産性が低いという問題がある。
即ち、この技術は、シール板によって、保持炉と金型とを遮断できるようにし、溶湯を降下させて金型内の溶湯の凝固を早めるようにしようとするものである。
かかる問題は、高温の溶湯に晒されるシール板が熱変形を来たすことが原因であると推測され、溶湯の漏れを防ぐためにホルダーと緊密に接当している構造では、少しの変形であってもホルダー内面に対する無理な接当状態を招いて、スムースな摺動が出来なくなるものと考えられる。
前記開閉体(4)と前記ホルダー(5)に連通孔(6A),(6B)を形成すると共に前記開閉体(4)には、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の2位置に切り替えることが出来るように構成し、
前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記ホルダー(5)の上下内面(5A),(5A)の少なくとも一面(5A)であって、且つ、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に盗み段部(7A)を形成してある、
という手段を講じたものである。
前記開閉体(4)を前記遮断加圧位置(P3)に位置させると同時に、又は加圧工程に先行して保持炉(1)の溶湯を初期位置に降下させることを特徴とするものである。
また、上記保持炉とは、単に、溶融した溶湯を保持する機能を備えるだけのものは勿論のこと、軽合金を溶融する機能を備えるものも含まれる。
更に、盗み段部とは、ホルダーについては、その内部の大きさを拡大させる切込み或いは凹部であり、開閉体については、その開閉体の厚み(或いは径)を減じる面取り或いは凹部を意味する。
本発明の装置及び方法にかかるその他の具体的効果については、以下の実施例の説明から明らかとなろう。
尚、ガス抜連通孔(8)が開閉体(4)のトラップ凹部(7)に連通されていることで、溶湯のストーク(9)内の上昇に伴うガスを容易に外部に排出され、このトラップ凹部(7)に酸化膜を有する溶湯部分を溜めることができる。このトラップ凹部(7)の酸化膜を有する溶湯部分は、開閉体(4)の移動操作後に適宜排出されることになる。
そして、その盗み段部(7A)が前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置にあり、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に形成されているため、前記開閉体(4)が前記遮断加圧位置(P3)にあっても、その際に溶湯が前記盗み段部(7A)から外部に漏れ出す虞はない。
このように構成することで、簡単な構造改変でもって前記開閉体(4)の作動に関わりなく、常に外部へのガス抜きが確保できる。
このように板状体に構成することで、開閉体(4)の構造を簡単なものとすることができ、また、トラップ凹部(7)、連通孔(6A)、盗み段部(7B)の加工を簡単に行うことができる。
このように、前記開閉体(4)が棒状体(4b)、即ち、円柱状乃至ピストン状に構成されていることで、平板状に比べて熱変形、圧力変形を来たし難くすることができる。
図1から図14に示すように、この鋳造装置は、溶融した軽合金を保持する保持炉1の上に開閉操作可能な金型2を配置し、前記保持炉1の湯面に圧縮空気を作用させて、セラミック製の円筒状のストーク9を介して溶湯を押し上げることにより前記金型2に溶湯を供給するように構成されている。前記保持炉1は、この実施例では、軽金属を溶融する機能を備えた公知の構成のものであり、また、金型2も、割り型の従来公知の構成のものであり、ここでの詳細説明は省略する。
この実施例では、前記盗み段部7Aは、従前の盗み段部のない開閉体の最大湾曲変形量である約0.12mmに設定されているが、実験における本発明の湾曲量の0.07mmとの間の範囲であれば、十分に実施可能である。
そして、前記トラップ凹部7に通じるエア抜通路8が前記開閉体4に穿孔される状態で形成されている。
図1は、鋳造開始状態を示し、この状態から保持炉1を圧縮空気で加圧し、溶湯を、ストーク9を介して上昇させる。
この時、図2及び図11に示すように、開閉体4は、トラップ位置P1にあり、そのトラップ凹部7が前記ストーク9に面しており、上昇した酸化膜を持つ溶湯部分がこのトラップ凹部7に溜められる。この際、ストーク9の中を上昇する溶湯によって押し上げられるガスは、ガス抜通路8を介して外部に排出されるので、ガスが溜まることはない。
この際、上述したトラップ凹部7は右方に移動されるので、この内部に溜まった酸化溶湯は、カットされる状態で除去されることになり、金型2に送り込まれることがない。
この状態において、同時に、保持炉1の内部圧力は開放され、湯面が降下することになる。尚、前記開閉体4の連通孔
更に、金型2に設けた加圧ピストン11が操作され、金型2の内部の溶湯に圧力が付与されて、溶湯が金型空間の隅々にまで到達できるようにされ、金型通りの鋳造を確実なものとする。
この際、開閉体4は、ほぼホルダー5から引き出され、そのトラップ凹部7及び連通孔6Aは、外部に露出され、この状態において、夫々の凝固した溶湯が排出され、回収される。
そして、図6は、金型2が開き操作され、鋳造品が取り出されるのである。
このようにして、鋳造工程が繰り返し行われる。
この方法によれば、高温の溶湯を早く降下させ、開閉体4に対する熱量供給を大幅に減じることが可能であり、開閉体4の熱及び圧力変形を一層抑制できることになる。
このグラフから分かるように、本発明においては、開閉体3の最大湾曲変形量を、約0.07mmに抑えることができることが分かる。
図16は、開閉体4の操作荷重と温度との関係を示したグラフで、荷重は○、温度は△で示しており、このグラフから、開閉体4の操作荷重が、使用回数が増えても略一定であることが分かり、開閉体4の作動トラブルが生じ難いことが明らかである。また、開閉体4の温度上昇も略一定に保持されていることが分かる。
この扇形体4cは、所定半径の円弧位置に連通孔6Aが形成され、仮想線で示すホルダー5に対して、回転によって摺動移動し、ホルダー5の対応位置に形成された連通孔6Bに対して、その連通孔6Aが回転(所定の各角度分)による連通状態(溶湯通過位置P2)、或いは遮断状態を採ることができる構成されている。
2:金型
3:開閉機構
4:開閉体
4A:開閉体の下外面
4a:平板状体
4b:棒状体
5:ホルダー
5A:上下内面
6A:開閉体の連通孔
6B:ホルダーの連通孔
7:トラップ凹部
7A:ホルダーの盗み段部
7B:開閉体の盗み段部
8:エア抜通路
9:ストーク
P1:トラップ位置
P2:溶湯通過位置
P3:遮断加圧位置
Claims (7)
- 溶融した軽合金を保持する保持炉(1)の上に開閉操作可能な金型(2)を配置し、前記保持炉(1)の湯面に圧縮空気を作用させてストーク(9)を介して溶湯を押し上げることにより前記金型(2)に溶湯を供給するように構成し、該保持炉(1)と前記金型(2)との間に開閉機構(3)を設け、該開閉機構(3)を、開閉体(4)と、該開閉体(4)を囲繞し、挿脱するホルダー(5)とから構成し、前記保持炉(1)から前記金型(2)への溶湯供給を導通、遮断出来るように構成した軽合金用の鋳造装置であって、
前記開閉体(4)と前記ホルダー(5)に連通孔(6A),(6B)を形成すると共に前記開閉体(4)には、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の2位置に切り替えることが出来るように構成し、
前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記ホルダー(5)の上下内面(5A),(5A)の少なくとも一面(5A)であって、且つ、前記開閉体(4)の2位置において前記溶融を逃がさない箇所に盗み段部(7A)を形成してある、
ことを特徴とする軽合金用の鋳造装置。 - 前記開閉体(4)には、更に、前記保持炉(1)からの溶湯を止めるトラップ凹部(7)を設け、且つ、該トラップ凹部(7)には外部へガス抜連通孔(8)が形成されており、前記開閉体(4)を、その一操作方向において、トラップ位置(P1)、溶湯通過位置(P2)及び遮断加圧位置(P3)の3位置に切り替えることが出来るように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の軽合金用の鋳造装置。
- 前記ホルダー(5)の盗み段部(7A)がその上下内面(5A),(5A)に形成され、且つ、前記開閉体(4)の前記遮断加圧位置(P3)よりも操作方向の下手側の位置における前記開閉体(4)の下外面(4A)に盗み段部(7B)を形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軽合金用の鋳造装置。
- 前記トラップ凹部(7)に通じるエア抜通路(10)が前記開閉体(4)に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の軽合金用の鋳造装置。
- 前記開閉体(4)が平板状体(4a)で構成され、前記ホルダー(5)が該平板状体(4a)を挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の軽合金用の鋳造装置。
- 前記開閉体(4)が棒状体(4b)で構成され、前記ホルダー(5)が該棒状体(4b)を挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の軽合金用の鋳造装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の軽合金用の鋳造装置を用いた鋳造方法であって、前記開閉体(4)を前記遮断加圧位置(P3)に位置させると同時に、又は加圧工程に先行して保持炉(1)の溶湯を初期位置に降下させることを特徴とする軽合金用の鋳造装置を用いた鋳造方法。
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