JP5504194B2 - エンジンの軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの軸受装置に関し、詳しくは、オイルシールの熱劣化を抑制することができるエンジンの軸受装置に関する。
従来、エンジンの軸受装置として、クランクケースに軸受を支持させ、この軸受にクランク軸のジャーナル部を軸受けさせ、軸受の外側にオイルシールを配置し、オイル供給口からオイルシールにエンジンオイルを供給するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種のエンジンの軸受装置によれば、クランクケース内のエンジンオイルがクランクケースの外に漏れるのをオイルシールで防止することができるとともに、オイル供給口から供給したエンジンオイルでオイルシールを冷却することができる利点がある。
しかし、この従来技術では、オイルシールにエンジンオイルを供給するオイル供給口が軸受ケースの上部1個所にだけ設けられているため、問題がある。
特開2005−76574号公報(図2参照)
《問題》 オイルシールが熱劣化しやすかった。
オイルシールにエンジンオイルを供給するオイル供給口が軸受ケースの上部1個所にだけ設けられているため、オイル供給口の正面にあるオイルシールの上部1個所だけはオイル供給口から供給された直後のエンジンオイルで強力に冷却されるが、オイルシールの下部には、オイルシールの上部から熱を吸収して比較的高温になったエンジンオイルが流れ落ちて接触する。このため、オイルシールの冷却が不均一となり、オイルシールが熱劣化しやすかった。
本発明の課題は、オイルシールの熱劣化を抑制することができるエンジンの軸受装置を提供することにある。
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2に例示するように、クランクケース(1)に軸受(2)を支持させ、この軸受(2)にクランク軸(3)のジャーナル部(4)を軸受けさせ、図1(A)に例示するように、軸受(2)の外側に円環形のオイルシール(5)を配置し、オイル供給口(6)からオイルシール(5)にエンジンオイル(7)を供給するようにした、エンジンの軸受装置において、
図1(A)(B)に例示するように、軸受(2)に転がり軸受(8)を用い、クランク軸(3)のクランクアーム(9)にオイル供給口(6)を配置し、このオイル供給口(6)を転がり軸受(8)に向け、クランク軸(3)の回転で、オイル供給口(6)から噴射された直後のエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の周方向全域に供給し、このエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の隙間(10)を介してオイルシール(7)の周方向全域に供給するようにし、
クランク軸(3)にクランクピン摺動面(11)へのオイル供給通路(12)を形成し、
このオイル供給通路(12)の端部開口(13)をクランクアーム(9)に設け、この端部開口(13)をプラグ(14)で塞ぎ、このプラグ(14)にオイル供給口(6)をあけ、
プラグ(14)に椀形プラグ(15)を用い、この椀形プラグ(15)の奥端壁(16)にオイル供給口(6)をあけ、
椀形プラグ(15)と転がり軸受(8)とを前後方向に並べ、椀形プラグ(15)の凹入空間(15a)を転がり軸受(8)に向け、この凹入空間(15a)の開口面(15b)を転がり軸受(8)の端面(8a)に沿わせた、ことを特徴とするエンジンの軸受装置。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。《効果》オイルシールの熱劣化を抑制することができる。
図1(A)(B)に例示するように、軸受(2)に転がり軸受(8)を用い、クランク軸(3)のクランクアーム(9)にオイル供給口(6)を配置し、このオイル供給口(6)を転がり軸受(8)に向け、クランク軸(3)の回転で、オイル供給口(6)から噴射された直後のエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の周方向全域に供給し、このエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の隙間(10)を介してオイルシール(7)の周方向全域に供給するようにしたので、オイル供給口(6)から噴射された直後の比較的低温のエンジンオイル(7)が、転がり軸受(8)の隙間(10)を介してオイルシール(5)の周方向全域に供給され、オイルシール(5)の周方向全域が均一に冷却され、オイルシール(5)の熱劣化が抑制される。
《効果》転がり軸受の熱劣化も抑制され、また潤滑性も高まる。
図1(A)(B)に例示するように、軸受(2)に転がり軸受(8)を用い、クランク軸(3)のクランクアーム(9)にオイル供給口(6)を配置し、このオイル供給口(6)を転がり軸受(8)に向け、クランク軸(3)の回転で、オイル供給口(6)から噴射された直後のエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の周方向全域に供給するので、転がり軸受(8)の熱劣化も抑制され、また潤滑性も高まる。
《効果》オイル供給通路の有効利用を図ることができる。
図2に例示するように、クランク軸(3)にクランクピン摺動面(11)へのオイル供給通路(12)を形成し、図1(A)(B)に例示するように、このオイル供給通路(12)の端部開口(13)をクランクアーム(9)に設け、この端部開口(13)をプラグ(14)で塞ぎ、このプラグ(14)にオイル供給口(6)をあけたので、クランクピン摺動面(11)へのオイル供給通路(12)をオイルシール(5)へのオイル供給通路としても利用でき、オイル供給通路(12)の有効利用を図ることができる。
《効果》オイル供給口の形成が容易になる。
図1(A)(B)に例示するように、プラグ(14)に椀形プラグ(15)を用い、この椀形プラグ(15)の端壁(16)にオイル供給口(6)をあけたので、オイル供給口(6)は椀形プラグ(15)の端壁(16)の薄い肉壁にキリ等を用いて開ければよく、オイル供給口(6)の形成が容易になる。
本発明の実施形態に係るエンジンの軸受装置の要部を説明する図で、図1(A)は図2のIA部拡大図、図1(B)は図1(A)のB方向矢視図である。 本発明の実施形態に係る軸受装置を備えたエンジンの縦断側面図である。
図1〜図3は本発明の実施形態に係るエンジンの軸受装置を説明する図であり、この実施形態では、立形頭上カム式の直列2気筒ガソリンエンジンの軸受装置について説明する。
図2に示すように、このエンジンは、クランクケース(1)の上部にシリンダ(17)を一体形成したシリンダブロック(18)を備え、シリンダ(17)の上部にシリンダヘッド(19)を組み付け、シリンダヘッド(19)の上部にシリンダヘッドカバー(20)を組み付け、シリンダブロック(18)の前部に調時伝動ケース(21)を配置し、調時伝動ケース(21)の前方に冷却ファン(22)を配置し、クランクケース(1)の後部にフライホイール(23)を配置し、クランクケース(1)の下部にオイルパン(24)を組み付けている。クランクケース(1)にクランク軸(3)を架設し、クランク軸(3)をコンロッド(25)を介してピストン(26)に連動連結している。
図2に示すように、クランクケース(1)の前壁にメタル軸受(26)を支持させ、このメタル軸受(26)にクランク軸(3)の前側のジャーナル部(27)を軸受させている。
また、クランクケース(1)に後側の軸受(2)を支持させ、この後側の軸受(2)にクランク軸(3)の後側のジャーナル部(4)を軸受けさせ、図1(A)に示すように、軸受(2)の外側に円環形のオイルシール(5)を配置し、オイル供給口(6)からオイルシール(5)にエンジンオイル(7)を供給するようにしている。
後側の軸受(2)とオイルシール(7)とは、軸受ケース(28)を介してクランクケース(1)の後壁に取り付けられている。
後側の軸受(2)の構造は次の通りである。
図1(A)(B)に示すように、軸受(2)に転がり軸受(8)を用い、クランク軸(3)のクランクアーム(9)にオイル供給口(6)を配置し、このオイル供給口(6)を転がり軸受(8)に向け、クランク軸(3)の回転で、オイル供給口(6)から噴射された直後のエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の周方向全域に供給し、このエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の隙間(10)を介してオイルシール(7)の周方向全域に供給するようにしている。
転がり軸受(8)はボールベアリングであり、アウターレース(29)とインナーレース(30)の間にボール(31)を配置し、このボール(31)の周方向の間隔をリテーナ(32)で保持している。アウターレース(29)とリテーナ(32)の間、リテーナ(32)とインナーレース(30)の間には、隙間(10)が形成されるため、この隙間(10)を介してエンジンオイル(7)がオイルシール(7)の周方向全域に供給される。
図2に示すように、クランク軸(3)にクランクピン摺動面(11)へのオイル供給通路(12)を形成し、図1(A)(B)に示すように、このオイル供給通路(12)の端部開口(13)をクランクアーム(9)に設け、この端部開口(13)をプラグ(14)で塞ぎ、このプラグ(14)にオイル供給口(6)をあけている。
図1(A)(B)に示すように、プラグ(14)に椀形プラグ(15)を用い、この椀形プラグ(15)の端壁(16)にオイル供給口(6)をあけている。
椀形プラグ(15)と転がり軸受(8)とを前後方向に並べ、椀形プラグ(15)の凹入空間(15a)を転がり軸受(8)に向け、この凹入空間(15a)の開口面(15b)を転がり軸受(8)の端面(8a)に沿わせている。
(1) クランクケース
(2) 軸受
(3) クランク軸
(4) ジャーナル部
(5) オイルシール
(6) オイル供給口
(7) エンジンオイル
(8) 転がり軸受
(8a) 端面
(9) クランクアーム
(10) 隙間
(11) クランクピン摺動面
(12) オイル供給通路
(13) 端部開口
(14) プラグ
(15) 椀形プラグ
(15a) 凹入空間
(15b) 開口面
(16) 端壁

Claims (1)

  1. クランクケース(1)に軸受(2)を支持させ、この軸受(2)にクランク軸(3)のジャーナル部(4)を軸受けさせ、軸受(2)の外側に円環形のオイルシール(5)を配置し、オイル供給口(6)からオイルシール(5)にエンジンオイル(7)を供給するようにした、エンジンの軸受装置において、
    軸受(2)に転がり軸受(8)を用い、クランク軸(3)のクランクアーム(9)にオイル供給口(6)を配置し、このオイル供給口(6)を転がり軸受(8)に向け、クランク軸(3)の回転で、オイル供給口(6)から噴射された直後のエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の周方向全域に供給し、このエンジンオイル(7)を転がり軸受(8)の隙間(10)を介してオイルシール(7)の周方向全域に供給するようにし、
    クランク軸(3)にクランクピン摺動面(11)へのオイル供給通路(12)を形成し、
    このオイル供給通路(12)の端部開口(13)をクランクアーム(9)に設け、この端部開口(13)をプラグ(14)で塞ぎ、このプラグ(14)にオイル供給口(6)をあけ、
    プラグ(14)に椀形プラグ(15)を用い、この椀形プラグ(15)の端壁(16)にオイル供給口(6)をあけ、
    椀形プラグ(15)と転がり軸受(8)とを前後方向に並べ、椀形プラグ(15)の凹入空間(15a)を転がり軸受(8)に向け、この凹入空間(15a)の開口面(15b)を転がり軸受(8)の端面(8a)に沿わせた、ことを特徴とするエンジンの軸受装置。
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