JP5503945B2 - 音響調整方法、音響調整プログラム、音場調整システム、スピーカ台、家具 - Google Patents

音響調整方法、音響調整プログラム、音場調整システム、スピーカ台、家具 Download PDF

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Description

本発明は音響調整方法、音響調整プログラム、音場調整システム、スピーカ台、家具に係り、特に音響諸室において良好な音場を得るための音響調整方法、音響調整プログラム、音場調整システム、スピーカ台、家具に関する。
従来から、通常の家屋にあるオーディオルームやオーディオビジュアルルーム等の音響諸室では、広さや設計上の制限から、良好な音場を得ることが難しかった。
図6の側面図と図7の平面図とを参照して説明すると、各図面は、これらの音響諸室の音場における直接音と初期反射音(床、壁、天井などからの一次反射音)との関係を示している。
図6、図7のスピーカP(発音部)から発生した音波は、リスナーLに対して、直接音200として到達する。スピーカPの発する音波は、リスナーLに対して、この他にも、天井に反射する一次反射音である天井反射音320、同様に床に反射する床反射音330、同様に左右の側壁に反射する側壁反射音350、バスレフポート等から出てリスナーLの前方の壁に反射する一次反射音である前壁反射音310、同様にリスナーLの後方の壁に反射する後壁反射音340のような、初期反射音と呼ばれる音波が到達する。その他にも、これらの反射音が室壁でさらに反射して減衰しながらリスナーLに到達する残響音と呼ばれる音波も存在する。
図8を参照して、これらの音波の関係を説明する。
まず、初期反射音300は、もっとも音圧の高い直接音200に対して、反射により長い距離をかけて到達する。このために、時間的には、直接音よりも遅れて到達する。さらに、多重反射した残響音400が到達する。
リスナーLは、これらの音波を聞き取って、意識的・無意識的に音響諸室の音響環境、すなわち音場を認識することができる。
よって、リスナーLは、初期反射音の強さや方向、残響音の多さなどから、音響諸室の狭さを感じることがある。
このため、良好な音場を得るために、初期反射音や残響音を調整して、有限の容積の部屋でも、音の広がりを感じられるようにすることが重要である。
このため、従来から、室内の音響を調整するために、部屋に置いたり壁や天井に取り付けたりする吸音材で構成された音響パネルが市販されている。
ここで、従来の音響パネルとして、特許文献1を参照すると、水平方向の音環境を容易に調整できる音響拡散パネルが記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の音響パネルは、一定間隔に立設された2脚の支持脚と、それぞれの支持脚に支持された2枚の音響パネルとを備えている。この、音響パネルは、2枚の音響パネルが水平方向に自由に開くことができるように連結されている。また、各々の音響パネルは、水平方向に滑動するスライド機構を介して支持脚に支持され、各々の支持脚に音響パネルを水平方向に回動させる回動機構が設けられている。そして、音響パネルの前面に音を反射したり吸収する作用面が形成されており、音響パネルがその背面で支持脚に支持されている。
この従来技術1の音響パネル用いることにより、音響パネルを屏風の様に開閉させることで音の吸収及び反射する方向を微調整することができ、音響パネルがスライド機構と回動機構を介して支持脚に支持されているため、スムーズに開閉できる。
よって、初期反射音や残響音を調整して、音響諸室の音場を改善することができる。また、室内の対向する壁面間によって起こる多次回反射(フラッターエコー)や定在波、壁振動等を軽減することができる。
特開2007−291804号公報
しかしながら、従来技術1の音響パネルは、図8を参照すると、初期反射音や残響音について、吸音して大きさを調整することができるが、初期反射音や残響音が吸音されると、リスナーには不自然に感じられることがあり、息苦しさを感じるような音場となってしまうという問題があった。
また、従来技術1の音響パネルは、反射の方向を変えることで時間の遅れを多少調整することができるものの、直接音と初期反射音との時間差は存在するため、リスナーに音響諸室の広さ以上の音の広がりを感じさせることが難しいという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の音響調整方法は、音響諸室の音場を調整する音響調整方法であって、
音源から受音点に到達する直接音と初期反射音との間の区間に、拡散反射音を発生させ、前記拡散反射音は、乱反射体を音源及び/又は受音点の側に配置することで発生させ、前記乱反射体は、隙間を持って多層乱反射する構造とし、前記乱反射体は、音源から遠ざかるにつれてその密度が増してゆき、前記直接音と初期反射音との間の区間に前記拡散反射音を発生させるように配置することを特徴とする音響調整方法。
本発明の音響調整方法は、更に、前記初期反射音の区間にも、前記拡散反射音を発生させることを特徴とする。
本発明の音響調整方法は、前記乱反射体間の間隔が所定範囲でランダムに配置されることを特徴とする。
本発明の音響調整方法は、前記乱反射体は、それぞれ直径の異なる概円柱、概角柱、又は概楕円柱の柱状拡散体であることを特徴とする。
本発明の音響調整方法は、前記柱状拡散体は、串刺し状であることを特徴とする。
本発明の音響調整方法は、前記乱反射体は、球形、楕円球形、凸凹状物体の串刺し状のいずれかであることを特徴とする。
本発明の音響調整プログラムは、コンピュータに音響調整方法を実行させるための音響調整プログラムであって、前記コンピュータは、音響諸室の音響特性から、直接音と初期反射音との間の区間を算出する時間計算部と、前記時間計算部により算出された直接音と初期反射音との間の区間に、拡散反射音を入れるための音響拡散体の最適な配置条件について算出する配置計算部とを備え、前記配置計算部により、前記拡散反射音を、乱反射体を音源及び/又は受音点の側に配置することで発生させ、前記乱反射体は、隙間を持って多層乱反射する構造とし、前記乱反射体は、音源から遠ざかるにつれてその密度が増してゆき、前記直接音と初期反射音との間の区間に前記拡散反射音を発生させるように配置する配置条件を算出させることを特徴とする。
本発明の音場調整システムは、前記音響調整プログラムを実行する前記コンピュータを備えることを特徴とする。
本発明のスピーカ台は、前記音響調整方法により前記乱反射体の配置を計算し、計算された配置条件で前記乱反射体が配置されたスピーカ台であることを特徴とする。
本発明の家具は、前記音響調整方法により前記乱反射体の配置を計算し、計算された配置条件で前記乱反射体が配置された家具であることを特徴とする。
本発明によれば、直接音と初期反射音との間に効果的に拡散反射音を発生させることで、良好な音響諸室の音場を作成する音響調整方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る音響調整システムXの制御構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る音響調整システムXの動作に係るフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係る音響拡散体が拡散反射音を発生する際の概念図である。 本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法にて音響拡散体を音響諸室に配置した際の平面に係る概念図である。 本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法にて音響拡散体を音響諸室に配置した際の直接音、拡散反射音、一次反射音、残響音との関係と時間減衰との関係を示すグラフである。 従来の音響諸室における直接音と初期反射音との関係について、音響諸室の側面に係る概念図である。 従来の音響諸室における直接音と初期反射音との関係について、音響諸室の平面に係る概念図である。 従来の音響諸室における、直接音、一次反射音、残響音と時間減衰との関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る音響諸室における、スピーカ台60を配置した音響諸室の側面に係る概念図である。 本発明の第2の実施の形態に係る音響調整システムXの動作に係るフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ台60に音響拡散体を配置した際の平面に係る概念図である。
<第1の実施の形態>
〔システム構成〕
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整システムXの制御構成について説明する。
音響調整システムXは、主に、PC10、音場計測部20、入力デバイス30、表示部40、プリンタ50などから構成される。
PC10は、PC(パーソナル・コンピュータ)である通常のPC/AT互換機やMAC規格のPCであり、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法の演算を行うことができる構成部位である。PC10は、各種データを入力する入力部110(入力手段)、入力されたデータや音響拡散体の配置用データ等を記憶する記憶部120(記憶手段)、後述する音響拡散体の直径を算出するための演算器等である時間計算部130(直径算出手段)、音響拡散体の配置条件を算出するための演算器等である配置計算部140(出力値算出手段)、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット、中央処理装置)やMPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)等である制御部150、演算により算出した結果を出力する出力部160とを主に備えている。
音場計測部20は、例えば指向性の音波発生装置とマイクとを備えた室内音場測定のための機器であり、超音波等を用いて室内の反射音や音場性状についてのデータを取得できる。これにより、直接音と一時反射音との関係性についてのデータを得ることができる。
入力デバイス30は、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル等のユーザインタフェイスに関する構成部位である。
表示部40は、一般的なLCDディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレイ等のディスプレイ装置である。また、表示部40は、部屋の構造について液晶シャッター方式やホログラム方式等で立体的に表示するようにしてもよい。
プリンタ50は、一般的なプリンタやXYプロッタ等の印刷装置である。また、プリンタ50には、フラッシュメモリカードリーダ/ライタ等を備えて、設計図や音響拡散体の配置等のデータを記憶できるようにしてもよい。
〔PC10の構成〕
PC10について、さらに具体的に説明する。
入力部110は、音場計測部20、入力デバイス30、その他図示していないが、LAN、WAN、フラッシュメモリカードリーダ、DVD−ROMのような入力手段等からの入力を行う、USB、ネットワーク、シリアル、パラレル等の各種端子とI/Oである。入力部110は、音場計測部20からの音響諸室の音場や形状等のデータや、予め測定員が設定した音響諸室の形状等のデータを入力することができる。
記憶部120は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)等である。記憶部120は、音響諸室の音場や形状等のデータ、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法を実行する音響調整プログラム、音響調整プログラムに必要なその他のデータ等を記憶する。
時間計算部130は、専用の演算用DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)や物理演算専用演算装置やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算器であり、音場計測部20のデータから、後述する直接音200と初期反射音300との間の時間を算出する。
配置計算部140は、専用の演算用DSPや物理演算専用演算装置やGPU等のリアルタイムに演算可能な演算器である。配置計算部140は、後述する直接音200と初期反射音300との間の時間に、拡散反射音360を入れるための音響拡散体の最適な配置条件について算出する。
制御部150は、実際に以下の騒音判定処理を行う際の制御と演算を行う部位である。制御部150は、記憶部120のROMやHDD等に記憶しているプログラムに従って、各種の制御と演算の処理を実行する。
出力部160は、表示部40やプリンタ50等の出力手段に出力を行うI/O等である。出力部160は、設計された音響諸室の構造や設計図を出力することができる。また、音響拡散体の直径と配置条件である音響拡散体構造物の設計図等についても、出力することができる。また、出力部160は、オーディオI/Oも備えており、後述するシミュレーションにて、実際の音の聞こえ方をシミュレートして出力することも可能である。
なお、時間計算部130と配置計算部140の機能は、制御部150の演算機能を用いて実現してもよい。
〔音響調整方法〕
ここで、図2〜図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法の概要について説明する。
上述のように、限られた空間の中に作らざるをえない音響諸室では、施工するためのスピーカPの背後の空間は限られている。このため、従来は音響諸室について、音響設計、音響施工による音場調整を行い、又は音響パネルを組み合わせることで、初期反射音と残響音の大きさと時間遅れとを調整していた。
従来、このような調整方法においては、経験的に、音響諸室の大きさ以上の広がりを感じるような音場調整を行うことは難しかった。
このため、本発明の発明者らは、音響諸室においてより広がりを感じられるような音場調整を行うための方法について、鋭意検討と実験を行った。
そして、本発明の発明者らは、直接音と初期反射音(床、壁、天井などからの一次反射音)との間にできる無音部分が、音響諸室の音の広がり感に、従来考えられていたよりも大きな影響があることを見いだした。
すなわち、従来、直接音と初期反射音との間には必ず無音区間ができ、この無音区間をリスナーは意識的・無意識的に検知することが可能である。そして、リスナーは、この無音区間の時間の長さにより、音響諸室の大きさを意識的・無意識的に把握できる。
よって、従来、音響諸室の大きさ以上の広がりを感じるような音場調整を行うことは難しいということが分かった。
このため、本発明の発明者らは、直接音と初期反射音との間にできる無音区間に、拡散反射音(多層拡散音)を作成する調整を行う音場調整方法を発明した。
これにより、音響諸室の音の広がり感を大きく改善できる。
上述したように、本発明の発明者らは、直接音と初期反射音との間にできる無音部分を、拡散反射音で補う音場調整方法を思いついた。
このため、本発明の発明者らは、鋭意、実験と検討を行ったところ、このような多層乱反射構造は、従来技術1のような音響パネルや、板状の音響パネル、凸凹状の音響パネルでは実現が難しかった。
そこで、本発明の発明者らは、この拡散反射音を発生させるために、多層乱反射構造を用いることを考えついた。このような柱状拡散体(柱状拡散吸音体、柱状反射体)としては、複数の直径の異なる柱をランダムに配置したものが存在する(例えば、https://www.noe.co.jp/product/pdt1/pd1_12.htmlを参照)。
この柱状拡散体は、通常の配置においても、音響諸室に効果的に音の広がり感を与えることが可能である。この際に、直接音と初期反射音との間に一部は、拡散反射音が生じているものの、従来は経験的に配置を変更して、できるだけ音の広がり感を与えるような配置としていた。
このため、本発明の発明者らは、直接音と初期反射音との間にできる無音区間に拡散反射音が生じるように、柱状拡散体の構成と配置とを行うための方法について、鋭意実験と検討を行い、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法を完成させるに至った。
本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法においては、拡散に貢献する物体間の隙間を、後述するような基準で確保することにより、多層拡散反射構造を構成する。
この多層拡散反射構造により、スピーカから再生される直接音に付随した、直接音と初期反射音との間の区間を埋めるような拡散反射音を発生させることで、音響諸室の広さの限界を超えた音の広がり感を実現することができる。
また、元々、一次反射音は直接音に対して、部屋の響きを感じさせる効果がある。しかし、一次反射音は直接音と干渉するという問題があった。
すなわち、一次反射音は、位相が同じ場合は、音圧が倍になり、例えば、6dB程度上げることができる。ところが、位相が逆になると、音圧が限りなくゼロとなる方向になる。このため、強度の一次反射音が存在すると、直接音とその一次反射音の合成波形の周波数特性は、極端な凹凸特性となってしまうという問題があった。
本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法においては、直接音と初期反射音との間にできる無音区間に加えて、複数到来する一次反射音が含まれる初期反射音の区間にも拡散反射音を発生させることができる。
これにより、極端な位相干渉が起こりにくくなるという効果が得られる。
また、直接音と初期反射音との間にできる無音区間に生じた拡散反射音も、壁により反射して反射音となるために、一次反射音の区間の拡散反射音と合わせて、直接音とその一次反射音の合成波形の周波数特性を良好にすることができ、音響諸室の音場を大きく改善することができる。
図3を参照すると、乱反射体である音響拡散体500(例:柱状拡散体)を複数個、図のような多層拡散構造である音響拡散体群550として配置した例を示している。
ここで、一般的なダイナミック型や静電型や圧電型のスピーカ(ラウドスピーカ)等であるスピーカPからは、直接音200が発生する。
この直接音200については、高音帯域(高域、約数千Hz以上〜)では、スピーカPから、ほぼ正面に対して、鋭い指向性をもつ音響エネルギーが放射される。
しかしながら、中音帯域(中音域、約500Hz〜2000Hz程度)では、スピーカPの正面に対して、横90°方向に、直接音200から−5〜−15dBの音響エネルギーが回折音355として放射される。
また、低音帯域(低音域、約300Hz以下)においては、直接音200や回折音355に関係なく、ほぼ無指向的に音響エネルギーが放射される。
よって、従来は、特に中低音域の、これらの直接音200以外の音響エネルギーが、そのまま壁や音響パネルにより反射され、初期反射音の一部となっていた。また、スピーカPの背後に音響パネルを置いた場合でも、初期反射音の遅れを調整できるだけで、十分に多層拡散構造とすることができなかった。
このため、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法においては、スピーカPの近傍に音響拡散体500を配置することを特徴とする。
このスピーカPの近傍に配置した音響拡散体500により、直接音200以外の音響エネルギーについて、従来のように一次反射音の一部の成分になるよう放射されることがなく、拡散反射音360として放射することができる。
ここで、拡散反射音360のような「拡散」とは、周波数帯域が異なる音波の反射方向及び/又は反射時間遅れ(位相)が、リスナーLが自覚できない程度に複雑、すなわちランダムに反射することをいう。
図4と図5とを参照すると、音響諸室のリスナーに対して、上述の拡散反射音360が到達する際の例について示している。
図4のように、拡散反射音360は、所定の広がりを保ったまま、直接音200に付随して、リスナーLに到達する。後述する処理による音響拡散体群550内の音響拡散体500の構成と配置により、この拡散反射音360は、ちょうど直接音200と前壁反射音310や後壁反射音340等の初期反射音300とが到達する間の区間にリスナーLに到達する。
これによって、特に中低音域に対して直接音200を豊かにすることができる。この拡散反射音が付加された例を図5に示す。
なお、ここでは説明を簡単にするためにスピーカPを1本とした場合について説明したが、ステレオシステムの場合には、同様のスピーカPを2本、左右に並べることができる。また、サラウンドシステム等の多チャンネルシステムにも対応可能である。
〔音響調整方法の処理〕
ここで、図2を参照して具体的に、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法について説明する。
上述したように、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法においては、拡散反射音360を、直接音200と初期反射音300との間に発生させるように、音響拡散体500の構成と配置とを計算する。
この構成と配置については、音響拡散を行うための必ずしも柱状でなくともよい乱反射体(音響拡散体)が、隙間を持って多層状態になり、音源及び/又は受音座標から遠ざかるにつれてその平均密度が増してゆく配置方法を用いる。この密度の増加については、拡散に貢献する物体間の隙間の平均値を、音響諸室の音響に対応して計算して求める。これにより、多層拡散構造が実現できる。また、柱状拡散体を、穴の空いた板等に固定して串刺し状に配置してもよい。これにより、柱状拡散体の製造や配置が容易になるという効果が得られる。
なお、この乱反射体としては、以下では柱状拡散体を用いる例について説明するが、球形、楕円球形、凸凹状物体の串刺し状等、隙間の平均値が計算に従った構造であればどのような形状の乱反射体を用いてもよい。
以下で、図2を参照して、具体的な処理について説明する。これらの処理は、PC10の制御部150が、記憶部120に記憶されたプログラムに従って、各部を制御しつつ行う。
(ステップS101)
まず、PC10の音場計測部20は、音場計測処理を行う。
具体的には、音場計測部20は、図示しないスピーカ等から所定の周波数の音波を放射して、その音波をマイクロフォン等で計測し、音響諸室の初期反射音300の性状や残響音の大きさ等の音響特性を計測する。
また、3Dスキャナや、音響諸室の形状データ、音響パネルの配置等の情報により、シミュレーション計算を行って、音響特性を計算することもできる。
特に、音響諸室の設計図等を用いることで、数値計算によるシミュレーションによっても同様な拡散音の調整をすることが可能である。
(ステップS102)
次に、PC10の時間計算部130は、到達時間計算処理を行う。
このステップにおいては、上述の音響特性から、直接音200の到達から初期反射音300の到達までの区間を求める。この区間は、直接音200として計測された音響エネルギーのピークと、初期反射音300として計測された音響エネルギーのピークとの間について、数ミリ秒単位で計算することもできる。
また、数値計算によるシミュレーションの場合は、例えば、25℃の大気中の音速等と、スピーカPの配置状況と、壁との距離に応じて、直接音200として計測された音響エネルギーのピークと、初期反射音300の音響エネルギーのピークとを求める。これにより、直接音200と、初期反射音300との間の無音区間を計算により求めることができる。
これにより、拡散反射音360を発生すべき区間を計算することができる。
(ステップS103)
次に、PC10の配置計算部140は、配置条件算出処理を行う。
ここでは、上述の乱反射体を柱状拡散体とした例について説明する。
柱状拡散体の断面の形状は、円柱であれば、直径に対して所定の割合で短い波長の音波を、ほぼ理想的に再放射できる。これにより、より広いエリアに均一な拡散音を返すことができる。また、断面形状は円柱の他に、楕円柱や、他の形状であってもよい。
柱状拡散体の直径としては、従来より、円筒に音波が入射した場合の解析が行われているため、これを利用することができる(例えば、音響工学原論、「http://www.acoust.rise.waseda.ac.jp/publications/onkyou/genron−4.pdf」を参照)。
この上で、柱状拡散体を複数用いた柱状拡散体群について、柱状拡散体の本数、列内の間隔、列と列の間隔等を算出する。この算出については、複数本の柱の長さ方向に対する垂直な面で切った断面の断面積に対して、それぞれの密度を計算して基準とすることができる。また、柱状拡散体の柱の長さ方向に対して垂直方向の断面の投影したときの対面が見える隙間の断面積についての密度(開口率)を、音響拡散体の列毎に算出することもできる。これらの断面積の違いが10%未満になるように、柱の本数、列と列の間隔を設定することもできる。
これは、各列内における平均自由行程dの値を、ほぼ一定の割合にすることにあたる。
以下の式で、音響拡散体の拡散における平均自由行程dについて、より詳しく説明する:
Figure 0005503945
この式のように、各列内における平均自由行程dを、音源及び/又は、リスナーLの座標である受音点から遠ざかるにつれて密度が増してゆくように乱反射体を配置する。この例では、柱状拡散体である音響拡散体500を配置する。すなわち、各音響拡散体500は、隙間を備えつつ多層又は多重の状態になっていて、背後の方が反射させる密度が増えて行くように配置する。また、上述のように、乱反射体が柱状拡散体の場合は、遠ざかる方向に太い直径の柱の占める断面積を増やすことで、高音を乱反射させ、低音を透過させて背後にて反射させるといった制御が可能になる。
この乱反射体の配置と平均自由行程dの値については、気温25℃の大気中の音速等と、スピーカPの配置状況と、壁との距離に応じて、この平均自由行程dが、直接音200と初期反射音300との間にリスナーLに到達するような距離を設定する。この際に、スピーカPから離れすぎると、回折音355が初期反射音となってしまうため、配置計算部140は、最適な距離に近づけるように計算して求めることができる。
また、乱反射体の間隔は、上記の式(1)により算出した柱を、ランダムな間隔に配置するように設定する。この際に、均等配置した場合の間隔の値に対して、乱数を用いて5〜50%程度のランダムに配置することができる。
また、音響諸室の音響特性に合わせ、広帯域な周波数特性を得られるように算出することも可能である。
なお、吸音層の配置についても更に計算して、初期反射音や残響音の程度を調整して、より広がり感を得られるように構成することも可能である。
また、上述の方法では、乱反射体として柱状拡散体(柱状反射体)について説明したが、これに限られず、隙間を持ち、音源及び/又は受音点から遠ざかるにつれて乱反射体の密度が増してゆくような配置であれば、どのような音響拡散体も用いることができる。
また、柱状拡散体を、穴の空いた板等に固定して串刺し状に配置した場合には、この固定した板による音響の影響も計算することができる。
また、スピーカPと音響諸室の壁との角度を勘案して音響拡散体の配置を調整することも可能である。
また、記憶部120に記憶された設定によっては、初期反射音300にも拡散反射音を付加することができる。
この設定としては、必ず初期反射音300にも拡散反射音を付加する場合と、上述のステップS101で音場状態により初期反射音の周波数特性があまりフラットでない場合に初期反射音300にも拡散反射音を付加する場合について設定できる。
さらに、拡散反射音を音声再生することで加えるような構成も可能である。この場合は、スピーカPの周囲に、別のサブスピーカを1〜複数個配置して、拡散反射音を計算して再生して付加する。その際に、初期反射音とは位相が逆相の音も計算して加えて、初期反射音を軽減するような構成とすることもできる。
また、スピーカPから再生される音声について、直接音200と初期反射音300との間の区間に、直接、デジタルディレイ等の装置を用いて拡散反射音を加えるように構成することもできる。
さらに、マルチチャンネル再生の場合、例えば、直接音200と初期反射音300との間の区間にリスナーLに到達するように、それぞれのスピーカから、拡散反射音を再生するように構成することもできる。この際には、フロントやリア等のサラウンド用スピーカや、センタースピーカの配置と、リスナーLとの距離等から、最適な拡散反射音を計算して付加・再生することができる。
また、上述の第1の実施の形態においては、スピーカPの側に音響拡散体500を配置したが、受音点の近くに配置する構成も可能である。
たとえば、リスナーLが位置する受音点が確定している場合等には、このように配置することで、部屋の音場に関わらず、拡散反射音を直接音と初期反射音の間の区間と、その後の区間においても付加することができる。
また、受音点の近くに音響拡散体500を配置することで、直接音の回折音355のみならず、直接音にも拡散反射音を付加できるため、より音場に広がりを持たせることもできる。
以上により音響調整方法の処理を終了する。
音響諸室の設計者・施行者は、音響拡散体を、計算された構成と配置にて、スピーカPの周囲に配置することができる。
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、単純な吸音用の音響パネルではなく、直接音と初期反射音との間に拡散反射音を発生させることができる。
このため、スピーカPからの再生音に対して、音響諸室の広さ以上に奥行き感を与えることが可能になる。すなわち、音源から発生する音を豊かにする効果が期待できる。
これは、拡散反射音(多層散乱音)の付加により、直接音と初期反射音との間隔によりリスナーが意識的・無意識的に音響諸室の広さを把握してしまうことが少なくなるためだと考えられる。また、部屋の左右からの一次反射音を抑える効果もあると考えられる。
さらに、拡散反射音のさらなる反射音により、本来の部屋の広さによりカラリングされた音場以外の反射音や残響音が付加されて、音場が豊かになる効果によるものと考えられる。
このため、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、ステレオ再生の際に、音の奥行き感がよくなるという効果が得られる。
また、マルチチャンネル再生の場合、各チャンネル感の「音のつながり」がよくなるという効果が得られる。
さらに、本来、スピーカPの再生音には、録音時のホールの初期反射音や残響音が含まれるものの、従来は、部屋の音場の方を優先的にリスナーが感じていたと考えられる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、直接音と初期反射音との区間に拡散反射音を入れることにより、部屋の音場の影響を軽減して、本来の再生音に含まれる初期反射音や残響音を感じることが可能になる。
このため、クラシック音楽のような雄大なホールで録音された音源の臨場感がよくなるという効果が得られる。
また、部屋の余計な音場に付随する音が感じられにくくなるため、大音量で視聴した際にも、疲れにくくなるという効果が得られる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る音響調整方法においては、スピーカPの周囲に乱反射体が隙間を持ち多層状態になり、音源及び/又は受音点から遠ざかるにつれて乱反射体の密度が増してゆく配置方法を用いるように、音響拡散体の構成と配置することができる。
これにより、特別な電気的な装置が必要なく、安価に、音響を調整して広さを感じさせるように音響諸室の音場を調整することができる。また、既存の音響諸室を特にリフォーム等することがなくなるため、費用を削減できるという効果が得られる。
上述したように、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、既存の音響諸室に音響拡散体の構造と配置をすることができる。
これに加えて、従来の柱状拡散体を配置した音響諸室(例えば、「http://www.noe.co.jp/product/pdt1/pd1_12.html」を参照)に用いることも当然可能である。
本発明の第1の実施の形態で使用する柱状拡散体は、例えば、森のように複数の反射・拡散体が配置されているような感覚が得られるものであり、初期反射音が拡散音的にリスナーに到達する。このため、この直接音と拡散音的な初期反射音との間に、拡散反射音を発生させるような構成と配置の乱反射体を用いることで、さらに広がり感のある音場を提供することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、音源及び/又は受音点から遠ざかるにつれて柱状拡散体の密度が増してゆくような構成になっており、必ずしも柱状拡散体を用いる必要がないが、この密度の差が重要である。
柱状拡散体の密度の差により、中・低音域の指向性がない音響エネルギーを拡散と反射させることが可能になり、上述のようなより広さを感じさせる音場を与えるような音響調整を行うことが可能となる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、初期反射音300の区間に拡散音を発生させることで、一次反射音の極端な位相干渉が起こりにくいという効果が得られる。
なお、音響拡散体500の配置を調整して、直接音200と初期反射音300との無音区間に拡散音が無く初期反射音300の部分にのみ拡散音が存在するように構成しても、位相干渉が少なくなるため良い音場が得られる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る音場調整方法においては、主にスピーカーPの側に音響拡散体500を配置する。
このため、壁や天井に拡散体を配置するのに比べて、音源近くにて直接音200に拡散反射音360を付加する事ができる。これにより、床からの一次反射音にも拡散反射音の付加が可能である。
すなわち、たとえ壁や天井に音響拡散体がある場合でも、壁や天井に直接音200と拡散反射音360とが入射することで、音響エネルギーをより拡散させることができる。さらに、本発明の第1の実施の形態の音響拡散体500は、多層拡散構造であることを特徴としている。
このため、拡散反射音に、方向的な拡散と時間的拡散の効果を含ませることができ、顕著な音場の広がり感の効果が得られる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る音響拡散体の他の配置構成について説明する。
上述の本発明の第1の実施の形態に係る音響調整システムXについては、主にスピーカPの左右に音響拡散体500を配置する例について述べた。しかしながら、これに限られず、例えばスピーカースタンドに音響拡散体500を備える構成も可能である。
図9を参照して、このように音響拡散体500をスピーカースタンド60に備えた構成について説明する。スピーカスタンド60は、例えば、ベース部610に音響拡散体500を配置して備え、その上にスピーカPを載せるような構成にすることができる。スピーカPからの回折音355は、音響拡散体500により、拡散反射音360としてリスナーLに到達する。なお、ベース部610に加えてスピーカ載せ台を用いる構成も可能である。また、ベース部610を用いない構成も可能である。さらに、スピーカPの上下左右等の周囲や離れた場所に音響拡散体500を追加して配置する構成も可能である。
このような構成であっても、上述の音響調整システムXを用いることができ、同様の効果を得ることができる。
以下で、この際の音響拡散体500の配置について、図10のフローチャートを参照して具体的な処理について詳細に説明する。これらの処理は、PC10の制御部150が、記憶部120に記憶されたプログラムに従って、各部を制御しつつ行う。
(ステップS201)
制御部150は、図2のステップS101と同様の処理である、音場計測処理を行う。この際に、スピーカPの振動が床に伝わった場合の、いわゆる「床鳴り」となる低周波についても計測を行うことができる。
この際に、スピーカPのダイナミックスピーカやトウィータ等の発音デバイスの配置、床の材質やスピーカ台60の材質、ベース部610の材質、インシュレータによる減衰等を考慮することができる。
(ステップS202)
次に、制御部150は、ステップS102と同様の処理である、到達時間計算処理を行う。
この到達時間計算処理においては、図5の直接音200の到達から初期反射音300の到達の区間に関する計算に加えて、床鳴りの低周波(低周波帯域)のレベルと到達時間についても計算を行うことができる。
(ステップS203)
次に、制御部150は、ステップS103と同様の処理である、配置条件算出処理を行う。
この処理においては、配置条件として、図9の回折音355がスピーカ台60に到達する際に、図5の拡散反射音360が直接音200と初期反射音300との間になるように配置する。
配置条件算出処理において、具体的には、制御部150は、上述の第1の実施の形態に係る音響拡散体の配置と同様に、スピーカ台60に配置する音響拡散体500の本数、列内の間隔、列と列の間隔等を求める。
この際に、スピーカ台60以外にも音響拡散体500が配置されていた場合には、その配置についても求める。
(ステップS204)
次に、制御部150は、床鳴り算出処理を行う。
ここでは、上述の床鳴りの計算結果を用いて、床鳴りの周波数を打ち消したり残響音との間に拡散反射音として低音成分が残るような配置を算出する。
具体的には、太い柱状拡散体の直径と配置等を調整して、床鳴りの低音成分がリスナーLに到達するまでの時間的な範囲内に、拡散反射音の低音成分が得られるような配置を行う。これにより、床鳴りによるフラッター等を低減し、音場感を豊かにすることができる。
〔スピーカ台60の構成〕
図11の平面図を参照して説明すると、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ台60は、上述の配置条件算出処理にて算出した配置条件に従った音響拡散体500を用いて構成する。
図11は図9のA−A断面で、スピーカ台60、ベース部610に音響拡散体500を配置した一例を示している。
ベース部610は、内部損失の高い木材、合板、金属、プラスチック板等で構成されており、床に直接触れないようにインシュレータ等を備えていてもよい。
また、音響拡散体500は、ベース部610の一部をくり抜いて固定するか、釘やネジやダボ等で固定されている。
この音響拡散体500がスピーカP(図9)に接する端部は、例えば平らに加工されており、滑り止めと振動防止のブチルゴムやエラストマー等を接着している。また、端部を凸状に加工して、スピーカPとの接触面積を少なくすることもできる。これにより、スピーカPの振動が直接床に伝わることを防ぐことができる。
なお、上述のように、音響拡散体とスピーカPとが接触する箇所にスピーカ載せ台を備える構成も可能である。この場合は、スピーカ載せ台にインシュレータ等を備えることもできる。逆に、ベース部60をスピーカ載せ台として音響拡散体500の端部を床に接触させるような構成も可能である。さらに、ベース部610に大理石やジルコンサンド等を備えて、重量を増し、振動を抑えたり安定性を高める構成も可能である。
また、音響拡散体500は、必ずしも円柱や楕円柱状ではなく、上下左右に拡散反射音360を発生させるために、いわゆる「エンタシス」のように中央が膨らんでいたり、ボール状の形状のものをつなげたような拡散体を用いてもよい。さらに、球形、楕円球形、凸凹状物体の串刺し状の構成も可能である。
さらに、音響拡散体500の一部のみにスピーカPを設置するように構成し、スピーカPの周囲を音響拡散体500で取り囲むような構成も可能である。同様に、スピーカPの上方に音響拡散体500を取り付けるような構成も可能である。
以上のように構成することで、スピーカPを置く台と音響拡散体500とをスピーカ台60としてまとめることができ、設置面積を減少させることができる。この上で、上述の第1の実施の形態と同様に、直接音と初期反射音との間に拡散反射音を発生させることができ、音場を良好に調整することができる。
また、スピーカ台60として音響拡散体500に配置することにより、壁際といったスピーカPの周囲に音響拡散体を備えることが難しい状況においても、拡散反射音による音響調整を行うことができる。
さらに、音響拡散体500は複数配置するため安定性が高い。また、音響拡散体500の配置はランダムであるため、スピーカPの筐体に由来する固有振動等が床に伝わることを抑えることができる。このため、スピーカ台として音響諸室の音場への悪影響を抑える機能が得られる。
また、スピーカ台60に、床鳴りを抑えるように計算して音響拡散体500を配置することで、従来はフラッターエコー等の原因となり音響諸室の音場を悪くしていた床鳴りを、残響音の一部のように用いることができる。これにより、音響諸室の音場感の向上に役立てることができ、音場を豊かにすることができる。すなわち、狭い音響諸室であっても、低音域の残響音のような音波が得られ、リスナーLはコンサートホール等の大きな部屋にいるように広い音場を体験できる。
なお、上述の配置条件算出処理にて算出した配置条件に従った音響拡散体500は、スピーカ台に限らず、オーディオアンプ(Amplifier)台、AV(Audio Visual)ラック、リビングのテーブル、椅子、フロアライト、天井照明等の調度類等を含む家具についても利用可能である。この調度類等を含む家具についても、音響諸室内で、直接音と初期反射音との区間に拡散反射音を入れるように計算して配置する。
また、この際に、上述のスピーカ周囲の音響拡散体やスピーカ台等を併用することで、より音場を豊かにすることができる。
また、スピーカーコードや電源コードや光ファイバー等のコード類を上述の柱状の音響拡散体の内部に通したり表面に配置することで、コード類の接続を簡易にすることができ、省スペース化を実現することも可能である。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
10 PC
20 音場計測部
30 入力デバイス
40 表示部
50 プリンタ
60 スピーカ台
110 入力部
120 記憶部
130 時間計算部
140 配置計算部
150 制御部
160 出力部
200 直接音
300 初期反射音
310 前壁反射音
320 天井反射音
330 床反射音
340 後壁反射音
350 側壁反射音
355 回折音
360 拡散反射音
400 残響音
500 音響拡散体
550 音響拡散体群
610 ベース部
P スピーカ
L リスナー
X 音場調整システム

Claims (10)

  1. 音響諸室の音場を調整する音響調整方法であって、
    音源から受音点に到達する直接音と初期反射音との間の区間に、拡散反射音を発生させ、
    前記拡散反射音は、乱反射体を音源及び/又は受音点の側に配置することで発生させ、
    前記乱反射体は、隙間を持って多層乱反射する構造とし、
    前記乱反射体は、音源から遠ざかるにつれてその密度が増してゆき、前記直接音と初期反射音との間の区間に前記拡散反射音を発生させるように配置する
    ことを特徴とする音響調整方法。
  2. 更に、前記初期反射音の区間にも、前記拡散反射音を発生させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響調整方法。
  3. 前記乱反射体間の間隔が所定範囲でランダムに配置される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音響調整方法。
  4. 前記乱反射体は、それぞれ直径の異なる概円柱、概角柱、又は概楕円柱の柱状拡散体である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音響調整方法。
  5. 前記柱状拡散体は、串刺し状である
    ことを特徴とする請求項4に記載の音響調整方法。
  6. 前記乱反射体は、球形、楕円球形、凸凹状物体の串刺し状のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音響調整方法。
  7. コンピュータに音響調整方法を実行させるための音響調整プログラムであって、
    前記コンピュータは、
    音響諸室の音響特性から、直接音と初期反射音との間の区間を算出する時間計算部と、
    前記時間計算部により算出された直接音と初期反射音との間の区間に、拡散反射音を入れるための音響拡散体の最適な配置条件について算出する配置計算部とを備え、
    前記配置計算部により、
    前記拡散反射音を、乱反射体を音源及び/又は受音点の側に配置することで発生させ、
    前記乱反射体は、隙間を持って多層乱反射する構造とし、
    前記乱反射体は、音源から遠ざかるにつれてその密度が増してゆき、前記直接音と初期反射音との間の区間に前記拡散反射音を発生させるように配置する配置条件を算出させる
    ことを特徴とする音響調整プログラム。
  8. 請求項7に記載の音響調整プログラムを実行する前記コンピュータを備える音場調整システム。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の音響調整方法により前記乱反射体の配置を計算し、
    計算された配置条件で前記乱反射体が配置されたスピーカ台。
  10. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の音響調整方法により前記乱反射体の配置を計算し、
    計算された配置条件で前記乱反射体が配置された家具。
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